JP5292664B2 - 多層ペレットおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂の多層ペレットおよびその製造方法に関するものである。更に詳しくは、流動性に優れ、金属や他のポリマーへの分散性が優れ、かつ機械物性や塗装性に優れた多層ペレットおよびその製造方法に関するものである。
従来から、熱可塑性樹脂を、異種ポリマーとブレンドしたり、アロイ化したり、各種の無機材料と組み合わせて複合材料としたり、または、金属に積層したりすることによって、より優れた特長を有する材料を形成させることが知られており、より優れた特長を有する材料を形成するときに、熱可塑性樹脂を不飽和カルボン酸又はその誘導体でグラフト変性させた変性熱可塑性樹脂を用いることが知られている。
例えば、特公平3−65802号公報には、製造時に、反応器壁や撹拌翼に付着することがなく、重合溶媒としてエチルベンゼンを用いて製造され、重量平均分子量が、1000〜20000であるα−オレフィンと無水マレイン酸との低分子量共重合体が記載されている。
また、特公平7−53781号公報には、合成樹脂用加工助剤として用いることにより、合成樹脂の成形時の流動性や離型性を改善するものとして、特定の極限粘度の低分子量ポリオレフィンに、芳香族カルボン酸ビニルをグラフトしてなり、特定の極限粘度のグラフト変性低分子量ポリオレフィンが記載されている。
そして、特許第3375668号公報には、製造時に増粘が生じることがない変性低分子量ポリオレフィンとして、特定の極限粘度の低分子量ポリオレフィンに、特定の(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合させてなる変性低分子量ポリオレフィンが記載されている。
特公平3−65802号公報 特公平7−53781号公報 特許第3375668号公報
しかし、上記の公報等に記載されている変性ポリオレフィンにおいても、流動性、金属や他のポリマーへの分散性、かつ機械物性や塗装性については、さらなる改良が求められていた。
かかる状況の下、本発明の目的は、流動性に優れ、金属や他のポリマーへの分散性が優れ、かつ機械物性や塗装性に優れた多層ペレットおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、検討の結果、本発明が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
熱可塑性樹脂(A1)を含有する鞘層と、
メルトインデックスが200g/10分以上である熱可塑性樹脂(A2)を含有する芯層とからなる多層ペレット(ただし、樹脂(A1)と樹脂(A2)は異なる熱可塑性樹脂である。)、および、およびその製造方法に係るものである。
本発明によれば、流動性に優れ、金属や他のポリマーへの分散性が優れ、かつ機械物性や塗装性に優れた多層ペレットを得ることができる。
本発明の多層ペレットは、熱可塑性樹脂(A1)を含有する鞘層と、メルトインデックスが200g/10分以上である熱可塑性樹脂(A2)を含有する芯層とからなる多層ペレットである(ただし、樹脂(A1)と樹脂(A2)は異なる熱可塑性樹脂である。)。
流動性を悪化させないという観点や、溶融張力を低下させず、ストランドの引き取り性を悪化させないという観点から、好ましくは、鞘層と芯層のそれぞれの重量の比(鞘層/芯層)が、50/50〜1/99である多層ペレットである。
本発明の多層ペレットの鞘層に用いられる熱可塑性樹脂(A1)の230℃で測定したメルトインデックスとして、好ましくは200g/10分未満である。
本発明の多層ペレットの芯層に用いられる熱可塑性樹脂(A2)の230℃で測定したメルトインデックスが200g/10分以上である。そして、熱可塑性樹脂(A2)として、好ましくは、熱可塑性樹脂(A)と、少なくとも一種の不飽和基(a)を有する少なくとも一種の化合物(B)と、有機過酸化物(C)とを溶融混練してなる変性熱可塑性樹脂である。さらに好ましくは、熱可塑性樹脂(A)と、少なくとも一種の不飽和基(a)と少なくとも一種の極性基(b)とを有する少なくとも一種の化合物(B)と、有機過酸化物(C)とを溶融混練してなる変性熱可塑性樹脂である。
本発明の多層ペレットの鞘層に用いられる熱可塑性樹脂(A1)、芯層に用いられる熱可塑性樹脂(A2)、および、熱可塑性樹脂(A2)に用いられる熱可塑性樹脂(A)は、一般に熱可塑性樹脂と称される樹脂であり、具体的には、後述のポリオレフィン樹脂; ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂等のスチレン系樹脂; ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂; ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂; ポリカーボネート、変性ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂; ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46等のポリアミド系樹脂; ポリオキシメチレンコポリマー、ポリオキシメチレンホモポリマー等のポリアセタール樹脂; ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド等のエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック; セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース等のセルロース誘導体; 液晶ポリマー、液晶アロマチックポリエステル等の液晶系ポリマー; 熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性スチレンブタジエンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性塩化ビニルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー等の熱可塑性エラストマー、フッ素系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂(A1)、熱可塑性樹脂(A2)または熱可塑性樹脂(A)として、好ましくはオレフィンに由来する構造単位を有するポリオレフィン樹脂であり、例えば、エチレン重合体樹脂、プロピレン重合体樹脂、ブテン重合体樹脂、水素添加ブロック共重合体樹脂等が例示され、更に好ましくは、エチレン重合体樹脂またはプロピレン重合体樹脂であり、最も好ましくはプロピレン重合体樹脂である。これらの熱可塑性樹脂は単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
熱可塑性樹脂(A1)、熱可塑性樹脂(A2)または熱可塑性樹脂(A)に用いられる「エチレン重合体樹脂」としては、エチレン単独重合体、エチレンに由来する構造単位51〜99.99重量%と、エチレンと共重合可能な少なくとも1種のモノマーに由来する構造単位49〜0.01重量%とからなる共重合体(ただし、共重合体の全量を100重量%とする)、または、これらの混合物が例示される。
エチレンと共重合可能なモノマーとして、プロピレン、炭素数4〜20のα−オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル等が例示され、炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が例示され、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル等が例示され、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル等が例示される。
エチレンと共重合可能なモノマーとエチレンとの共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が例示され、エチレン−α−オレフィン共重合体としては、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン等が例示される。
熱可塑性樹脂(A1)、熱可塑性樹脂(A2)または熱可塑性樹脂(A)に用いられる「プロピレン重合体樹脂」としては、プロピレン単独重合体、プロピレンに由来する構造単位51〜99.99重量%と、エチレンに由来する構造単位49〜0.01重量%とからなるエチレン−プロピレンランダム共重合体(ただし、共重合体の全量を100重量%とする)、プロピレンに由来する構造単位51〜99.99重量%と、炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構造単位49〜0.01重量%とからなるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(ただし、共重合体の全量を100重量%とする)、第一セグメントとしてプロピレン単独重合体部分を有し、第二セグメントとしてエチレン−プロピレンランダム共重合体部分を有するエチレン−プロピレンブロック共重合体、第一セグメントとしてプロピレン単独重合体部分を有し、第二セグメントとしてプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体部分を有するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(ただし、α−オレフィンは炭素数4〜20のα−オレフィン)、または、これらの混合物が例示される。
上記のエチレン−プロピレンブロック共重合体、または、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体は、一般に、(i)第一セグメントを製造する工程と、(ii)次いで、前記第一セグメントの存在下に第二セグメントを製造する工程とを有する方法で製造される共重合体である。
上記のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、または、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体に用いられるα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が例示される。
上記のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体等が例示され、上記のプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体としては、ブロピレン−1−ブテンブロック共重合体等が例示される。
熱可塑性樹脂(A2)に用いられる化合物(B)は、少なくとも一種の不飽和基(i)を有する少なくとも一種の化合物である。少なくとも一種の不飽和基(i)とは、炭素−炭素二重結合を有する基、または、炭素−炭素三重結合を有する基が挙げられ、好ましくは炭素−炭素二重結合を有する基である。
炭素−炭素二重結合を有する基としては、
(I)CH2=CR1−R2
(上記の式中、R1、R2は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
であらわされる化合物(I)、または、
(II)下記の式で表される化合物(II)等が挙げられる。
Figure 0005292664
(式中、R3は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R4は炭素数1〜20のアルキレン基を表す。)
化合物(I)としては、例えば、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロブタン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン、ビニルシクロオクタン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、3−メチル−1−ヘプテン、3−メチル−1−オクテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘプテン、3,3−ジメチル−1−オクテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ヘプテン、3,4−ジメチル−1−オクテン、3,5−ジメチル−1−ヘキセン、3,5−ジメチル−1−ヘプテン、3,5−ジメチル−1−オクテン、3,6−ジメチル−1−ヘプテン、3,6−ジメチル−1−オクテン、3,7−ジメチル−1−オクテン、3,3,4−トリメチル−1−ペンテン、3,3,4−トリメチル−1−ヘキセン、3,3,4−トリメチル−1−ヘプテン、3,3,4−トリメチル−1−オクテン、3,4,4−トリメチル−1−ペンテン、3,4,4−トリメチル−1−ヘキセン、3,4,4−トリメチル−1−ヘプテン、3,4,4−トリメチル−1−オクテン、5−ビニル−2−ノルボルネン、1−ビニルアダマンタン、4−ビニル−1−シクロヘキセン、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
少なくとも一種の極性基(ii)とは、例えば、ポリアミド樹脂中に含まれるアミド結合、連鎖末端に存在するカルボキシル基やアミノ基と、親和性や化学反応性を示す官能基等が挙げられる。
さらに具体的には、カルボキシル基、エステル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ニトリル基、エポキシ基、水酸基、イソシアン酸エステル基、およびカルボン酸化合物、酸アミド化合物、酸アジド化合物、酸ハロゲン化物、酸無水物やオキサゾリンから誘導される官能基や、カルボン酸化合物、酸アミド化合物、酸アジド化合物、酸ハロゲン化物の塩から誘導される官能基等が挙げられる。
化合物(B)としては、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘導体、不飽和エポキシ化合物、不飽和アルコール、不飽和アミン、不飽和イソシアン酸エステル等が挙げられる。
さらに具体的には、
(1)マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、マレイミド、マレイン酸ヒドラジド、無水メチルナジック酸、無水ジクロロマレイン酸、マレイン酸アミド、イタコン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、
(2)無水マレイン酸とジアミンの反応物、例えば、下記の式で示される構造を有する化合物類、
Figure 0005292664
(ただし、上記の式中、Rは脂肪族基、または、芳香族基を示す。)
(3)大豆油、キリ油、ヒマシ油、アマニ油、麻実油、綿実油、ゴマ油、菜種油、落花生油、椿油、オリーブ油、ヤシ油、イワシ油などの天然油脂類、
(4)エポキシ化天然油脂類、
(5)アクリル酸、ブテン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、2−ペンテン酸、3−ペンテン酸、α−エチルアクリル酸、β−メチルクロトン酸、4−ペンテン酸、2−ヘキセン、2−メチル−2−ペンテン酸、3−メチル−2−ペンテン酸、α−エチルクロトン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2−ヘプテン酸、2−オクテン酸、4−デセン酸、9−ウンデセン酸、10−ウンデセン酸、4−ドデセン酸、5−ドデセン酸、4−テトラデセン酸、9−テトラデセン酸、9−ヘキサデセン酸、2−オクタデセン酸、9−オクタデセン酸、アイコセン酸、ドコセン酸、エルカ酸、テトラコセン酸、ミコリペン酸、2,4−ヘキサジエン酸、ジアリル酢酸、ゲラニウム酸、2,4−デカジエン酸、2,4−ドデカジエン酸、9,12−ヘキサデカジエン酸、9,12−オクタデカジエン酸、ヘキサデカトリエン酸、アイコサジエン酸、アイコサトリエン酸、アイコサテトラエン酸、リシノール酸、エレオステアリン酸、オレイン酸、アイコサペンタエン酸、エルシン酸、ドコサジエン酸、ドコサトリエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、テトラコセン酸、ヘキサコセン酸、ヘキサコジエン酸、オクタコセン酸、トラアコンテン酸などの不飽和カルボン酸類、
(6)上記の不飽和カルボン酸のエステル化合物、酸アミド化合物または無水物、
(7)アリルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニルカルビノール、アリルカルビノール、メチルプロピペニルカルビノール、4−ペンテン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール、プロパルギルアルコール、1,4−ペンタジエン−3−オール、1,4−ヘキサジエン−3−オール、3,5−ヘキサジエン−2−オール、2,4−ヘキサジエン−1−オール、
(8)3−ブテン−1,2−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、2,6−オクタジエン−4,5−ジオールなどの不飽和アルコール類、
(9)上記の不飽和アルコール類のOH基が、−NH2基に置換された不飽和アミン類、
(10)ブタジエンやイソプレンなどの重合体であって、分子量が低いもの(例えば、平均分子量が500から10000ぐらいのもの)、
(11)高分子量体(例えば、平均分子量が10000以上のもの)に無水マレイン酸やフェノール類を付加したもの、
(12)高分子量体(例えば、平均分子量が10000以上のもの)にアミノ基、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基などを導入したもの、
(13)イソシアン酸アリル
等が挙げられる。
化合物(B)として、好ましくは無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。
また、化合物(B)としては、同種の不飽和基を少なくとも2個、または異種の不飽和基を少なくとも2個有していても良く、そして、同種の極性基を少なくとも2個、または異種の極性基を少なくとも2個有していても良い。
そして、化合物(B)を、単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用しても良い。
化合物(B)の配合量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、熱可塑性樹脂(A)への化合物(B)のグラフト量を低下させることなく十分な接着強度を得るという観点から、通常、0.01重量部以上であり、好ましくは0.1重量部以上である。
本発明で用いられる有機過酸化物(C)としては、グラフト量を向上させるという観点や、樹脂の分解を防ぐという観点から、好ましくは半減期が1分となる分解温度が50〜210℃である有機過酸化物である。また、分解してラジカルを発生した後、熱可塑性樹脂(A)からプロトンを引き抜く作用を有する有機過酸化物が好ましい。
半減期が1分となる分解温度が50〜210℃である有機過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、パーオキシケタール化合物、アルキルパーエステル化合物、パーカーボネート化合物等が挙げられる。好ましくは、ジアルキルパーオキサイド化合物、ジアシルパーオキサイド化合物、パーカーボネート化合物、アルキルパーエステル化合物である。
有機過酸化物(C)として、具体的には、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジミリスチルパーオキシカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルネオデカノエート、α―クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブテン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレラート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
有機過酸化物(C)の配合量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜20重量部であり、好ましくは0.003〜10重量部である。
また、熱可塑性樹脂(A)に化合物(B)及び有機過酸化物(C)を配合して、溶融混練して、変性熱可塑性樹脂を得るときに、必要に応じて、スチレンやジビニルベンゼン等のビニル芳香族化合物を配合しても良い。ビニル芳香族化合物の配合量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、0〜15重量部であり、好ましくは0〜7重量部である。
本発明の多層ペレットの鞘層および/または芯層には、必要に応じて、酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、造核剤、紫外線防止剤、難燃剤、充填剤、可塑剤、発泡剤、発泡助剤、分散剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、抗菌剤、架橋剤、架橋助剤、有機多孔質パウダー、顔料等の添加剤を添加しても良い。
本発明の多層ペレットの製造方法としては、鞘層を構成する熱可塑性樹脂(A1)と、芯層を構成する熱可塑性樹脂(A2)を溶融した状態で多層ストランドダイ装置に供給し、多層ストランドを押出し、冷却し、カッティングする方法が例示される。
芯層及び鞘層を構成する成分を供給する方法は、特に制限はなく、芯層と鞘層を構成するそれぞれの成分を、それぞれ別の押出機にから供給する方法が好ましい。供給装置としては、フィーダールーダー、コールドフィード押出機、二軸テーパ押出機等の公知の押出機があげられ、押出機は一軸押出機でも良く、二軸押出機でも良い。
使用する押出機の台数は、目的とする多層ペレットの層の数に応じて使用すれば良く、芯層と鞘層からなる2層構造の場合は、少なくとも2台の押出機を使用すれば良く、芯層と鞘層とさらに他の1層からなる3層構造の場合は、少なくとも3台の押出機を使用すれば良い。
使用するクロスヘッドダイの好適な構造の例としては、欧州特許公開公報EP1063070−A2に詳細に開示されているクロスヘッドダイである。
本発明の多層ペレットの用途としては、例えば、車両部品、電気・電子機器部品、電線、建築材料、農・水産・園芸用品、化学産業用品、土木資材、産業・工業資材、家具、文房具、日用・雑貨用品、衣服、容器・包装用品、玩具、レジャー用品、医療用品等の用途が挙げられる。
特に車両部品としては、例えば、インストルメンタルパネル、ドア、ピラー等の自動車内装部品、バンパー等の自動車外装部品等があげられる。電線としては、プラスチックケーブル、絶縁電線、電線保護材等が挙げられる。
本発明を以下の実施例および比較例によって説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
実施例1
JIS K7210に従い、230℃、荷重21.2Nで測定したMFRが300g/10分のポリプロピレン単独重合体(A)100重量部に、無水マレイン酸(B)5重量部、ジセチル パーオキシジカルボネート(C)(活性酸素量が2.8%、半減期が1分である分解温度が99℃)0.50重量部、1,3−ビス(t−ブチル パーオキシイソプロピル)ベンゼン(D)(活性酸素量が9.3%、半減期が1分である分解温度が183℃)0.15重量部、ステアリン酸カルシウム0.05重量部、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(酸化防止剤)0.3重量部を添加して十分に混合し、配合物を得た。
該配合物を芯用二軸押出機(池貝社製PCM46:46φmm、L/D=38.5)に供給し、一方でポリプロピレン単独重合体(商品名:住友ノーブレンU501E1、住友化学工業社製、MFR=120)を鞘用単軸押出機(池貝社製VS40:40φmm、L/D=25)に供給した。それぞれの押出機から温度250℃で芯鞘型ダイ(口金6個)に芯鞘比が、芯/鞘=90/10重量%で供給した。押し出された6本のストランドを水槽に通し冷却しペレタイザーにてカッティングし、2層ペレットを得た。MFRを測定すると1500g/10分、グラフト率は0.2wt%であった。
実施例2
JIS K7210に従い、230℃、荷重21.2Nで測定したMFRが300g/10分のポリプロピレン単独重合体(A)100重量部に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(B)12重量部、t−ブチルパーオキシベンゾエート(C)(活性酸素量が8.1%、半減期が1分である分解温度が169℃)3重量部、スチレンモノマーを1.2重量部、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガノックス1010を0.2重量部、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガフォス168を0.2重量部、有機多孔質パウダーとしてMEMABRANA社製 MP−1000を5重量部添加して十分に混合し、配合物を得た。
該配合物を芯用二軸押出機(池貝社製PCM46:46φmm、L/D=38.5)に供給し、一方でポリプロピレン単独重合体(商品名:住友ノーブレンU501E1、住友化学工業社製、MFR=120)を鞘用単軸押出機(池貝社製VS40:40φmm、L/D=25)に供給した。それぞれの押出機から温度220℃で芯鞘型ダイ(口金6個)に芯鞘比が、芯/鞘=97/3重量%で供給した。押し出された6本のストランドを水槽に通し冷却しペレタイザーにてカッティングし、2層ペレットを得た。MFRを測定すると1000g/10分、グラフト率は3.5wt%であった。
比較例1
JIS K7210に従い、230℃、荷重21.2Nで測定したMFRが300g/10分のポリプロピレン単独重合体(A)100重量部に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(B)12重量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート(C)(活性酸素量が8.1%、半減期が1分である分解温度が169℃)3重量部、スチレンモノマーを1.2重量部、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガノックス1010を0.2重量部、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガフォス168を0.2重量部、有機多孔質パウダーとしてMEMABRANA社製 MP−1000を5重量部添加して十分に混合し、配合物を得た。
該配合物を芯用二軸押出機(池貝社製PCM46:46φmm、L/D=38.5)に供給し、押出機から温度220℃で芯鞘型ダイ(口金6個)で供給した。押し出された6本のストランドは溶融張力が低く、ストランドを引くことが困難であった。

Claims (4)

  1. 温度230℃、荷重21.2Nで測定したメルトインデックスが200g/10分未満のポリオレフィン樹脂(A1)を含有する鞘層と、
    ポリオレフィン系樹脂(A)と、少なくとも一種の不飽和基(a)を有する少なくとも一種の化合物(B)と、有機過酸化物(C)とを溶融混練してなる変性ポリオレフィン樹脂であり、温度230℃、荷重21.2Nで測定したメルトインデックスが200g/10分以上であるポリオレフィン樹脂(A2)を含有する芯層と
    からなり(ただし、樹脂(A1)と樹脂(A2)は異なる熱可塑性樹脂である。)、
    鞘層と芯層のそれぞれの重量の比(鞘層/芯層)が、50/50〜1/99であり、かつ、前記鞘層によって前記芯層が完全に包み込まれた構造を除く構造を有する多層ペレット。
  2. ポリオレフィン系樹脂(A2)が、ポリオレフィン系樹脂(A)と、少なくとも一種の不飽和基(a)と少なくとも一種の極性基(b)とを有する少なくとも一種の化合物(B)と、有機過酸化物(C)とを溶融混練してなる変性ポリオレフィン系樹脂である請求項1に記載の多層ペレット。
  3. 少なくとも1機の押出機から、温度230℃、荷重21.2Nで測定したメルトインデックスが200g/10分未満のポリオレフィン樹脂(A1)をクロスヘッドダイに供給し、
    少なくとも1機の他の押出機から温度230℃、荷重21.2Nで測定したメルトインデックスが200g/10分以上であるポリオレフィン系樹脂(A2)(ただし、樹脂(A1)と樹脂(A2)は異なる熱可塑性樹脂である。)を前記クロスヘッドダイに供給し、
    前記クロスヘッドダイで前記熱可塑性樹脂(A1)を含有する鞘層と前記ポリオレフィン系樹脂(A2)を含有する芯層とからなる構造を有する多層ストランドを形成し、当該多層ストランドを押出し、冷却してカッティングする請求項1または2に記載の多層ペレットの製造方法。
  4. 少なくとも1機の押出機で、熱可塑性樹脂(A)と、少なくとも一種の不飽和基(a)と少なくとも一種の極性基(b)とを有する少なくとも一種の化合物(B)と、有機過酸化物(C)とを溶融混練してなるポリオレフィン系樹脂(A2)をクロスヘッドダイに供給する請求項3に記載の多層ペレットの製造方法。
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