JP4038422B2 - 酸変性ポリプロピレン系樹脂の製造法 - Google Patents

酸変性ポリプロピレン系樹脂の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸変性ポリプロピレン系樹脂の製造法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、酸のグラフト量が多い酸変性ポリプロピレン系樹脂の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン系樹脂は、比較的安価で、かつ良好な成形性、耐熱性、耐溶剤性、機械的特性、外観等を有するため、各種成形品に加工され多方面の分野で使用されている。さらにその特長を活かすために、異種ポリマーとブレンドしたりアロイ化したり、各種の無機材料と組み合わせて複合材料としたり、あるいは金属に積層して、より優れた特長を有する材料を形成する試みが行われている。
【0003】
しかし、極性基のないポリプロピレン系樹脂は、接着性、塗装性、印刷性等に問題があり、無機材料や金属との接着性が良好ではなかった。また、極性基を有する異種ポリマー、特にポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンオキサオド樹脂等のいわゆるエンジニアリングプラスチックとは相容性が低いために、両者を配合したポリマーアロイは耐衝撃性や機械的強度などが低くなり、成形品表面剥離が生じるという問題があった。
【0004】
この問題を解決するためにポリプロピレン系樹脂を改質する方法が提案され、電子線、放射線やオゾン等でのポリプロピレンを処理する方法、あるいは、有機過酸化物等ラジカル発生剤存在下、官能基をグラフト変性させる方法が行われている。
【0005】
この中で一般的に用いられるのは、混練押出機を使用して溶融状態でポリプロピレン系樹脂を官能基でグラフト変性させる方法である。この方法では、グラフト化に際して有機過酸化物等を開始剤として用いるか、あるいは紫外線や放射線の照射が必要であり、ポリプロピレン系樹脂の一部が酸化反応を引き起こしたり分解したりする。このため、グラフト量を向上させるために有機過酸化物等の開始剤の添加量を増やしていくとMFRの著しい上昇が発生するので、開始剤の添加量にはおのずと限界があり、その結果グラフト量向上にも限度があるという問題が生じた。
【0006】
この問題を解決するためにスチレンを添加する方法(非特許文献1参照。)、ジビニルベンゼンを添加する方法(特許文献1参照。)が開示されているが十分とはいえなかった。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−173229号公報
【非特許文献1】
井出文雄著,実用ポリマーアロイ設計,P.51工業調査会(1996))
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況の下、本発明は、酸のグラフト量が多い酸変性ポリプロピレン系樹脂の製造法を提供する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ポリプロピレン系樹脂組成物の触媒残渣、特に触媒残渣の中でもケイ素化合物が有機過酸化物と接触することで有機化酸化物の活性が低下し、グラフト量の低下をもたらすことを発見した。よってポリプロピレン系樹脂中の触媒残渣を少なくすることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記の(A)100重量部に対して、(B)0.1〜20重量部及び(C)0.01〜20重量部を配合して混練する酸変性ポリプロピレン系樹脂の製造法に係るものである。
(A):触媒残渣が200重量ppm以下のポリプロピレン系樹脂
(B):同一分子内に(i)少なくとも一種の不飽和基すなわち炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合と(ii)少なくとも一種の極性基を併せ持つ化合物と、同一分子内に(iii)(OR)(ここでRは水素又はアルキル、アリール、アシル又はカルボニルジオキシ基である。)及び(iv)カルボン酸、酸ハライド、酸無水物、酸ハライド無水物、酸エステル、酸アミド、イミド、イミド、アミノ及びこれらの塩から選ばれた少なくとも二つの同一又は相異なる官能基を併せ持つ化合物からなる群から選ばれる少なくともひとつの化合物
(C):有機過酸化物
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の成分(A)は触媒残渣が200重量ppm以下のポリプロピレン系樹脂である。ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体又はエチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体があげられる。また、これらの重合体をブレンドしてもかまわない。前述のα−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等をあげることができる。
【0011】
本発明のポリプロピレン系樹脂の触媒残渣は200重量ppm以下、好ましくは160重量ppm以下である。さらに好ましくは触媒残渣中のケイ素が90重量ppm以下、最も好ましくは触媒残渣中のケイ素が60重量ppm以下である。
【0012】
触媒残渣中のケイ素は有機ケイ素化合物に由来し、前記有機ケイ素化合物は主に一般式Si(OR2m3 4-mで表されるアルコキシシラン化合物であり、更に詳しくは1≦m≦4であり、特にm=4のテトラアルコキシシランである。ポリプロピレン系樹脂組成物有機ケイ素化合物が有機過酸化物と接触することで有機酸化物の活性が低下し、グラフト量の低下をもたらす。ケイ素化合物の削減、公知の酸素化合物等に一部、または全量置き換えることによって、ポリプロピレン系樹脂中の有機ケイ素化合物が少なくなり、有機過酸化物との接触を回避することができ、酸のグラフト量が多い酸変性ポリプロピレン系樹脂を提供することができる。
【0013】
本発明の成分(B)は、同一分子内に(i)少なくとも一種の不飽和基すなわち炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合と(ii)少なくとも一種の極性基を併せ持つ化合物と、同一分子内に(iii)(OR)(ここでRは水素又はアルキル、アリール、アシル又はカルボニルジオキシ基である。)及び(iv)カルボン酸、酸ハライド、酸無水物、酸ハライド無水物、酸エステル、酸アミド、イミド、イミド、アミノ及びこれらの塩から選ばれた少なくとも二つの同一又は相異なる官能基を併せ持つ化合物からなる群から選ばれる少なくともひとつの化合物である。(i)少なくとも一種の不飽和基すなわち炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合と(ii)少なくとも一種の極性基を併せ持つ化合物は、不飽和基すなわち炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合と、極性基すなはちポリアミド樹脂中に含まれるアミド結合、連鎖末端に存在するカルボキシル基、アミノ基と親和性や、化学反応性を示す官能基を同一分子内に併せ持つ化合物である。かかる官能基としては、カルボン酸基、カルボン酸より誘導される基すなわちカルボキシル基の水素原子あるいは水酸基が置換した各種の塩やエステル、酸アミド、酸無水物、イミド、酸アジド、酸ハロゲン化物、あるいはオキサゾリン、ニトリルなどの官能基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、又は、イソシアン酸エステル基などがあげられ、不飽和基と極性基を併せ持つ化合物すなわち、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸誘導体、不飽和エポキシ化合物、不飽和アルコール、不飽和アミン、不飽和イソシアン酸エステルが用いられる。具体的には、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、マレイミド、マレイン酸ヒドラジド、無水マレイン酸とジアミンの反応物たとえば、式
Figure 0004038422
(ただしRは脂肪族、芳香族基を示す。)などで示される構造を有するもの、無水メチルナジック酸、無水ジクロロマレイン酸、マレイン酸アミド、イタコン酸、無水イタコン酸、大豆油、キリ油、ヒマシ油、アマニ油、麻実油、綿実油、ゴマ油、菜種油、落花生油 、椿油、オリーブ油、ヤシ油、イワシ油などの天然油脂類、エポキシ化天然油脂類、アクリル酸、ブテン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、2−ペンテン酸、3−ペンテン酸、α−エチルアクリル酸、β−メチルクロトン酸、4−ペンテン酸、2−ヘキセン、2−メチル−2−ペンテン酸、3−メチル−2−ペンテン酸、α−エチルクロトン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2−ヘプテン酸、2−オクテン酸、4−デセン酸、9−ウンデセン酸、10−ウンデセン酸、4−ドデセン酸、5−ドデセン酸、4−テトラデセン酸、9−テトラデセン酸、9−ヘキサデセン酸、2−オクタデセン酸、9−オクタデセン酸、アイコセン酸、ドコセン酸、エルカ酸、テトラコセン酸、ミコリペン酸、2,4−ヘキサジエン酸、ジアリル酢酸、ゲラニウム酸、2,4−デカジエン酸、2,4−ドデカジエン酸、9,12−ヘキサデカジエン酸、9,12−オクタデカジエン酸、ヘキサデカトリエン酸、アイコサジエン酸、アイコサトリエン酸、アイコサテトラエン酸、リシノール酸、エレオステアリン酸、オレイン酸、アイコサペンタエン酸、エルシン酸、ドコサジエン酸、ドコサトリエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、テトラコセン酸、ヘキサコセン酸、ヘキサコジエン酸、オクタコセン酸、トラアコンテン酸などの不飽和カルボン酸、あるいはこれらの不飽和カルボン酸のエステル、酸アミド、無水物、あるいはアリルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニルカルビノール、アリルカルビノール、メチルプロピペニルカルビノール、4−ペンテン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール、プロパルギルアルコール、1,4−ペンタジエン−3−オール、1,4−ヘキサジエン−3−オール、3,5−ヘキサジエン−2−オール、2,4−ヘキサジエン−1−オール、一般式Cn2n-5OH、Cn2n-7OH、Cn2n-9OH(ただし、nは正の整数)で示されるアルコール、3−ブテン−1,2−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、2,6−オクタジエン−4,5−ジオールなどの不飽和アルコール、あるいはこのような不飽和アルコールのOH基が、−NH2基に置き換わった不飽和アミン、あるいはグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。また、ブタジエン、イソプレンなどの低重合(たとえば平均分子量が500から10000ぐらいのもの)あるいは高分子量体(たとえば平均分子量が10000以上のもの)に無水マレイン酸、フェノール類を付加したもの、あるいはアミノ基、カルボン酸基、水酸基、エポキシ基などを導入したもの、イソシアン酸アリルなどがあげられる。
【0014】
本発明における同一分子内に不飽和基と極性基を併せ持つ化合物の定義には、不飽和基を2個以上、極性基を2個以上(同種又は異種)含んだ化合物も含まれることは、いうまでもなく、また、2種以上の特定化合物を使うことも可能である。これらの内で、好ましくは無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、無水イタコン酸、イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレートが、より好ましくは無水マレイン酸、フマール酸が用いられる。
【0015】
同一分子内に(iii)(OR)(ここでRは水素又はアルキル、アリール、アシル又はカルボニルジオキシ基である。)及び(iv)カルボン酸、酸ハライド、酸無水物、酸ハライド無水物、酸エステル、酸アミド、イミド、イミド、アミノ及びこれらの塩から選ばれた少なくとも二つの同一又は相異なる官能基を併せ持つ化合物は、アリファティックポリカルボン酸、酸エステル又は酸アミドであり、一般式(R1O)mR(COOR2)n(CONR34)l
(ここで、Rは:線状又は分岐状飽和アリファティック炭化水素であって2〜20個、好ましくは2〜10個の炭素原子を有するものであり、 R1は水素、アルキル基、アリール基、アシル基、又はカルボニルジオキシ基で特に好ましくは水素であり、R2は水素、アルキル基、又はアリール基で炭素数1〜20、好ましくは1〜10であり、R3及びR4は水素、アルキル基、又はアリール基で炭素数1〜10、好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4であり、m=1であり、n+lは2以上の整数、好ましくは2又は3であり、nは0以上の整数であり、lは0以上の整数であり、(R1O)はカルボニル基のα位又はβ位に位置し、少なくとも2つのカルボニル基の間には、2〜6個の炭素が存在するものである。)によって表される飽和脂肪族ポリカルボン酸及びその誘導体化合物。(具体的には、飽和脂肪族ポリカルボン酸のエステル化合物、アミド化合物、無水物、水加物及び塩などを示す。飽和脂肪族ポリカルボン酸として、クエン酸、リンゴ酸、アガリシン酸などである。これらの化合物の詳細は、公表特許公報昭61−502195号公報に開示されている。)
【0016】
なお、成分(B)としては、ポリプロピレンとの反応性や経済性の観点から、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸及びイタコン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0017】
成分(B)の添加量は、ポリプロピレン系樹脂(A)100重両部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。添加量が過少であるとポリプロピレン系樹脂へのグラフト量が低下して十分な接着強度は得られない。また、添加量が過多になると樹脂中の未反応の成分(B)が多くなり、十分な接着強度は得られない。
【0018】
本発明の成分(C)は、有機過酸化物であり、好ましくは半減期が1分となる分解温度が50〜210℃である有機過酸化物である。分解温度が低すぎるとグラフト量が向上せず、分解温度が高すぎると樹脂の分解が促進される。また、これらの有機過酸化物は分解してラジカルを発生した後、ポリプロピレン系樹脂からプロトンを引き抜く作用があることが好ましい。
【0019】
半減期が1分となる分解温度が50〜210℃である有機過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、パーオキシケタール化合物、アルキルパーエステル化合物、パーカボネート化合物等があげられる。具体的には、ジ−3−メトキシ ブチル パーオキシジカルボネート,ジ−2−エチルヘキシル パーオキシジカルボネート、ビス(4−t−ブチル シクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、ジイソプロピル パーオキシジカルボネート、t−ブチル パーオキシイソプロピルカーボネート、ジミリスチルパーオキシカルボネート、1,1,3,3−テトラメチル ブチル ネオデカノエート,α―クミル パーオキシ ネオデカノエート,t−ブチル パーオキシ ネオデカノエート、1,1ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン,t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート,t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート,t−ブチルパーオキシラウレート,2,5ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン,t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブテン,t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ベルオキシ)バレラート、ジ−t−ブチルベルオキシイソフタレート、ジクミルパーオキサイド、α−α‘−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等があげられる。分解温度が50℃より低いとグラフト量が向上しない。また、分解温度が210℃より高いとグラフト量が向上しない。また、これらの有機過酸化物で好ましいのはジアルキルパーオキサイド化合物、ジアシルパーオキサイド化合物、パーカボネート化合物、アルキルパーエステル化合物である。成分(C)の添加量は、ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部である。
【0020】
本発明におけるポリプロピレン系樹脂組成物には、その目的、効果を大きく阻害しない範囲で、スチレンやジビニルベンゼン等の電子供与性化合物を配合することが可能である。また、一般にポリプロピレン系樹脂に添加される公知の物質、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、中和剤等をさらに配合することも可能である。
【0021】
本発明での製造法としては、樹脂同士あるいは樹脂と固体もしくは液体の添加物を混合するための公知の各種方法が採用可能である。好ましい例としては、各成分の全部もしくはいくつかを組み合わせて別々にヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ブレンダー等により混合して均一な混合物とした後、該混合物を混練する等の方法を挙げることができる。混練の手段としては、バンバリーミキサー、プラストミル、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸の押出機等の従来公知の混練手段が広く採用可能である。特に好ましいのは、一軸又は二軸押出機を用い、予め十分に予備混合した成分(A)、成分(B)、成分(C)を押出機の供給口より供給して混練を行う方法である。というのも、本方法では連続生産が可能であり、生産性が向上するからである。混練機の混練を行う部分の温度は(例えば、押出機ならシリンダー温度)、100〜300℃、好ましくは160〜260℃である。温度が低すぎるとグラフト量が向上しない場合があり、また、温度が高すぎると樹脂の分解が起こる場合がある。混練時間は、0.1〜30分間、特に好ましくは0.5〜5分間である。混練時間が短すぎると十分なグラフト量は得られない場合があり、また、混練時間が長すぎると樹脂の分解が起こる場合がある。
【0022】
【実施例】
以下実施例により、本発明を説明するが、これらは単なる例示であり、本発明を逸脱しない限りこれら実施例に限定されるものではない。
【0023】
[評価用サンプルの調製法]
実施例及び比較例における評価用サンプルの製造には、東洋精機製二軸押出機2D25−S(L/D=25,シリンダー径=20mm)を用いた。シリンダー温度は250℃に設定し、スクリュー回転数は70rpmで行った。
【0024】
実施例及び比較例における評価方法について以下に示す
(1)触媒残渣測定
ポリプロピレン系樹脂サンプル100gを精秤し、800℃の電気炉で灰化させる。灰化したサンプルを精秤して下式により求めた。
触媒残渣(重量ppm)=(灰化後のポリプロピレン系樹脂(g)÷灰化前のポリプロピレン系樹脂(g))×10
(2)ケイ素量測定
サンプル1gを白金皿に取り硫酸1ml添加後、ホットプレートで炭化させその後電気炉にて550℃で灰化させる。灰化後の残渣を炭酸ナトリウム0.5g加えバーナーで溶融し、超純水にて50mlに定容後パーキンエルマー社製IICP−AES(誘導結合プラズマ発光分析計 型式:Optima 3000)にて定量した。
(3)マレイン酸グラフト量
サンプル1.0gをキシレン20mlに溶解した。サンプルの溶液をメタノール300mlに攪拌しながら滴下してサンプルを再沈殿させて回収した。回収したサンプルを真空乾燥した後(80℃、8時間)、熱プレスにより厚さ100μmのフイルムを作成した。この作成したフイルムの赤外吸収スペクトルを測定し、1780cm−1付近の吸収よりマレイン酸グラフト量を定量した。
【0025】
実施例1
ポリプロピレン系樹脂A−1のパウダー(触媒残渣=95重量ppm、触媒残渣中のケイ素5重量ppm)100重量部に、無水マレイン酸1.0重量部、1,3−ビス(t−ブチル パーオキシイソプロピル)ベンゼン0.15重量部、ステアリン酸カルシウム0.05重量部、酸化防止剤テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.3重量部を添加して十分に予備混合後、二軸押出機の供給口より供給して混練を行い、サンプルを得た。
【0026】
実施例2
有機過酸化物の添加量を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
【0027】
実施例3
ポリプロピレン系樹脂A−2のパウダー(触媒残渣=148重量ppm、触媒残渣中のケイ素45重量ppm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
【0028】
比較例1
ポリプロピレン系樹脂A−3のパウダー(触媒残渣=290重量ppm、触媒残渣中のケイ素100重量ppm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
【0029】
【表1】
Figure 0004038422
*1;1,3−ビス(t−ブチル パーオキシイソプロピル)ベンゼン(半減期が1分となる温度=183℃)
【0030】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、酸のグラフト量が多く、かつ生産性の優れた酸変性ポリプロピレン系樹脂の製造法を提供することができた。

Claims (2)

  1. 下記の(A)100重量部に対して、(B)0.1〜20重量部及び(C)0.01〜20重量部を配合して混練する酸変性ポリプロピレン系樹脂の製造法。
    (A):触媒残渣が200重量ppm以下であり、前記触媒残渣中のケイ素がテトラアルコキシシラン化合物に由来するポリプロピレン系樹脂
    (B):無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸からなる群から選ばれる少なくともひとつの化合物
    (C):有機過酸化物
  2. 触媒残渣中のケイ素が90重量ppm以下である請求項1記載の製造法。
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