JP2005105169A - 変性オレフィン系重合体組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【目的】 接着性が良好でかつ外観の良い変性オレフィン系重合体組成物、およびその製造方法を提供する。
【構成】 オレフィン系重合体(A)、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)、及びラジカル発生剤(D)を溶融混練して得られる変性オレフィン系重合体組成物であり、オレフィン系重合体(A)と、該オレフィン系重合体(A)100重量部あたり極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)0.1〜10重量部、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)0.2〜10重量部、ラジカル発生剤(D)0.005〜5重量部を溶融混練することを特徴とする変性オレフィン系重合体組成物の製造方法。

Description

本発明は、接着性が良好でかつ外観の良い変性オレフィン系重合体組成物、およびその製造方法に関するものである。
従来より、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィンの単独重合体や、これらのオレフィンを主成分とする他の共重合可能な単量体との共重合体は、比較的安価でかつ良好な成形性、耐熱性、耐溶剤性、機械的特性、外観等の特性を有するため、各種の成形品に加工され多くの分野で使用されている。しかしながら、これらのオレフィン系重合体は、基本的に飽和炭化水素で構成されていて化学反応性に乏しく、また極性も低いため接着性、塗装性、印刷性等に問題があった。この問題を解決するため、電子線等の放射線やオゾン等でオレフィン系重合体を処理する方法、或いは有機過酸化物等のラジカル発生剤の存在下、ビニル化合物あるいは不飽和カルボン酸等のエチレン性不飽和化合物をグラフト反応させて変性する方法が知られている。
グラフト反応の方法としては、溶剤に溶解した溶液状態で反応させる溶液法、懸濁状態で反応させる懸濁法、押出機を使用して溶融状態で反応させる溶融法等がある。これらのうち、溶液法は、比較的グラフト反応の効率が高く性能の良いものが得られやすいが、一般に大量の溶剤を使用し、しかも製造後の溶剤回収処理等も必要となり、また環境面での配慮も必要となるためコスト高となり、利用されにくい。一方、溶融法は溶剤の使用がないので簡便な方法として注目されているが、通常、未反応物や副生物(グラフト反応しなかったエチレン性不飽和化合物や、グラフト反応の触媒として使用するラジカル発生剤の分解物、及びその他の副反応生成物等)の除去が行われないため、これら成分が相当量残存している場合がある。これらは接着性、塗装性、印刷性等を阻害するばかりでなく、臭い、色相の悪化等の原因となるため一般的には好ましくない。また、溶融法において、変性率を上げるためにはより多くのエチレン性不飽和化合物、ラジカル発生剤を添加することが必要とされるが、これらの添加量の増大はそのまま上記残存成分増大の原因となる場合が多く、特にラジカル発生剤量の増大は、ポリオレフィン相互間の架橋による外観不良やフィッシュアイの増加、樹脂の劣化等の副反応を増大させることとなる。
従って、溶融法で良好な接着性を有しかつ外観の良い変性オレフィン系重合体組成物を得るには、不飽和カルボン酸などのエチレン性不飽和化合物、ラジカル発生剤の添加を可能な限り少なくし、効率良くグラフト反応させる必要がある。従来、グラフト効率を上げる方法として、(1)溶融押出機のバレル温度の調整を行い樹脂に与えるエネルギーを最適化する方法(例えば、特許文献1参照)、(2)ベース樹脂とビニル系単量体を予備混合し、スクリューの長さ(L)と口径(D)との比が30以上である二軸押出機を用いる方法(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。しかしながら、本発明者等の検討によると(1)の方法では大幅なグラフト効率の改良効果は得られず、(2)の方法ではスクリュー形状の変更など新たな設備投資が必要となるなどの問題があった。
特開平6−293818号公報 特開平8−109227号公報
本発明の目的は接着性が良好でかつ外観の良い変性オレフィン系重合体組成物を提供することを目的とする。
本発明は、前述の現状に鑑みてなされたものであり、オレフィン系重合体(A)をラジカル発生剤(D)の存在下、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)で、溶融法にて変性する際、同時に極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)を添加することによって、グラフト反応の効率が大幅に引上げられることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の要旨は、オレフィン系重合体(A)、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)、及びラジカル発生剤(D)を溶融混練して得られる変性オレフィン系重合体組成物に存している。
また、本発明の別の要旨は、オレフィン系重合体(A)と、オレフィン系重合体(A)100重量部あたり、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)0.1〜10重量部、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)0.2〜10重量部、及びラジカル発生剤(D)0.005〜5重量部を溶融混練して得られ、る変性オレフィン系重合体組成物に存している。
更に本発明の別の要旨は、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)の変性率が0.3〜10重量%であり、数平均分子量が500〜30,000である変性オレフィン系重合体組成物に存している。
また、本発明の他の要旨は、オレフィン系重合体(A)と、オレフィン系重合体(A)100重量部あたり極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)0.1〜10重量部、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)0.2〜10重量部、ラジカル発生剤(D)0.005〜5重量部を溶融混練することを特徴とする変性オレフィン系重合体組成物の製造方法に存している。
本発明により、接着性が良好でかつ外観の良い変性オレフィン系重合体組成物を得ることが可能となる。
本発明のオレフィン系重合体(A)としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等の、炭素原子数2〜20のα−オレフィンの単独重合体、これらのα−オレフィンから選ばれる2種類以上の単量体のランダム共重合体、またはブロック共重合体、あるいは上記の重合体の混合物が挙げられる。重合方法は、チーグラー系触媒もしくはメタロセン系触媒等を用いる公知の方法を採用することが可能であるが、分子量分布、結晶化分布が狭く、より均一な組成分布を持つメタロセン系触媒を用いて製造された重合体が好ましい。具体的には、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状高密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等の直鎖状低・中・高密度エチレン−α−オレフィン共重合体、及び、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、それら共重合体に、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等の非共役ジエンを更に共重合させた、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体等のエチレン系ゴム等が挙げられる。中でも、本発明においては、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体等が好ましい
これらのオレフィン系重合体(A)のメルトフローレート(JIS−K7210、190℃、21.2N荷重)は通常0.5〜100g/10分、好ましくは1〜50g/10分である。メルトフローレートが上記範囲以外のものを用いたときには、溶融混練時に不具合が生じ、目的とする変性オレフィン系重合体が得られない場合がある。また、密度は0.85〜0.97g/cm3であるのが好ましく、特に好ましくは0.88〜0.94g/cm3である。上記範囲以外のものを用いたときには、機械的特性が劣ったり、ベタツキが生じたりする場合がある。
本発明の、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)としては、上記オレフィン系重合体を、極性モノマーを用いて変性したものである。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等の不飽和カルボン酸、及び、その無水物、エステル、酸ハライド、アミド、イミド等の誘導体等が挙げられる。なお、ここで「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は/及び「メタアクリル」を意味するものとする。これらは2種以上が併用されてもよい。極性モノマーとして、好ましくは不飽和ジカルボン酸又はその無水物が用いられ、特に好ましくは、マレイン酸無水物が用いられる。具体的な成分(B)としては、カルボン酸変性エチレン系重合体、カルボン酸変性プロピレン系重合体、カルボン酸変性エチレン−αオレフィン系共重合体などが挙げられる。
これら重合体のカルボン酸変性量としては、0.3〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。成分(B)の変性量が0.3重量%未満では、成分(A)との親和性は有するものの成分(C)との親和性が不十分となりやすく、他方、成分(B)の変性量が10重量%超過では成分(C)との親和性を有するものの成分(A)との親和性が不十分となることがある。その結果、いずれの場合も、本発明の効果が得られない場合がある。
成分(B)の不飽和カルボン酸変性量は、以下に説明する赤外吸収スペクトル法により求められる。成分(B)を沸騰キシレンに溶解し、アセトン中に再沈した後、80℃で6時間真空乾燥して粉末状のサンプルを得る。このサンプルをプレス成形することにより得られたフィルムの赤外線吸収スペクトルを、フーリエ変換型赤外分光光度計を用いて測定し、得られた赤外線吸収スペクトルの1665cm-1と1827cm-1の間でベースラインを引き、この間の面積値を算出した。そして、別途変性量を変えてNMR法を用いて作成した検量線と、この面積値から不飽和カルボン酸変性量を求めた。
また、成分(B)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量として、500〜30,000が好ましく、1000〜25,000がより好ましく、1000〜20,000が特に好ましい。数平均分子量が上記範囲超過の場合、オレフィン系重合体(A)への分散性が低下する傾向となり、上記範囲未満の場合、接着性が低下する場合がある。
成分(B)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、溶液法、溶融混練法等の方法を用いて製造可能であるが、平均分子量が20,000以下のものは製造時の溶融粘度が低く、押出機による連続生産では取扱が困難となる場合があることから、溶液法またはバッチ式の溶融混練機を用いた製造法を選択することが好ましい。上記物性を満たすような製品としては、ネオワックス(酸変性ポリエチレンワックス、ヤスハラケミカル社製)、ユーメックス(酸変性ポリオレフィン、三洋化成社製)などが挙げられる。
成分(B)の添加量は、上記オレフィン系重合体(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部とするのが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量部である。添加量が0.1重量部未満では十分な接着性改良効果が得られない場合があり、10重量部を越える量を添加してもこれ以上の接着性改良効果は得られにくく、製造コスト等の面で不利になるため好ましくない。
本発明の不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等の不飽和カルボン酸、及び、その無水物が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらの中では、無水マレイン酸が好ましい。成分(C)の配合量は、上記オレフィン系重合体(A)100重量部に対して、0.2〜10重量部とするのが好ましく、より好ましくは0.5〜2.5重量部である。添加量が0.2重量部未満では、成分(A)への不飽和カルボン酸のグラフト量が少なくなり、十分な接着性を有する変性オレフィン系重合体組成物が得られない場合がある。一方、10重量部を越える量を添加すると未反応成分が増大し、接着性の低下が起こることがある好ましくない。
本発明のラジカル発生剤(D)としては、有機過酸化物が好ましく、具体的には、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類、アセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類等が挙げられる。これらの中では、1分間の半減期温度が140℃以上の有機過酸化物が好ましく、例えば、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、又は、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられる。
これらの添加量は上記オレフィン系重合体(A)100重量部に対して、0.005〜5重量部とするのが好ましく、より好ましくは0.02〜2重量部である。添加量が0.005重量部未満では、成分(A)への不飽和カルボン酸のグラフト量が少なくなることから、十分な接着性を有する変性オレフィン系重合体組成物が得られない場合があり、5重量部を越える量を添加するとオレフィン系重合体の劣化や架橋などの副反応が増加し、結果的に接着性の低下や外観の悪化が起こることがあるため好ましくない。
成分(A)〜(D)を溶融混練して得られる変性オレフィン系重合体組成物のメルトフローレート(温度190℃、荷重21.18N)は、0.1〜1000(g/10分)であるものが好ましい。メルトフローレートがこの範囲を外れると、他の樹脂との分散性、加工性、外観が悪化することがある。不飽和カルボン酸変性量(変性オレフィン系重合体組成物の全不飽和カルボン酸変性量から、変性オレフィン系重合体(B)のカルボン酸変性量を引いた値)は、0.1〜5重量%が好ましく、特に好ましくは0.3〜3重量%である。上記範囲未満の場合、他樹脂との接着性が劣るばあいがあり、上記範囲超過では外観に劣ることがある。
本発明の変性オレフィン系重合体は、オレフィン系重合体(A)、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)、及びラジカル発生剤(D)を同時に溶融混練するか、又は極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)を少なくともラジカル発生剤(D)が反応してラジカルを発生する前、好ましくは、ラジカル発生剤(D)の配合前に添加して、(D)以外の成分を均一に混合しておくことが好ましい。
具体的には、(1)上記成分(A)〜(D)を予備混合した後、押出機に投入し溶融混練する方法、(2)成分(A)、(B)を予備混合して押出機に投入し、押出機中で溶融した成分(A)、(B)の混合物に、成分(C)、(D)の混合物を、挿入口から別途添加し溶融混練する方法、(3)成分(A)のみを押出機に投入し、押出機中で溶融した成分(A)に、成分(B)、(C)、(D)の混合物を挿入口から別途添加して溶融混練する方法、などが挙げられる。
溶融混練に用いられる装置は特に限定されるものではなく、例えば、タンブラーブレンダー、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等により均一に混合した後、バンバリーミキサーなどのバッチ式混練機や、単軸混練機あるいは多軸混練機等の連続混練機等で溶融混練する方法を用いることが可能である。通常、生産効率の点から、連続生産が可能な単軸あるいは多軸混練機を用いることが好ましい。混練温度としては、原料のオレフィン系重合体が溶融する温度で、かつ180℃〜260℃の範囲にあることが好ましく、混練時間は、0.3〜30分、特に好ましくは1〜10分である。
ここで成分(A)の不飽和カルボン酸変性量は、得られた変性オレフィン系重合体組成物の不飽和カルボン酸変性量(全不飽和カルボン酸変性量)から、成分(B)の不飽和カルボン酸変性量を引いた値である。測定は前述の方法を用いて行う。
本発明の変性オレフィン系重合体組成物は、そのまま各種の成形品に加工して使用することも可能であるし、本発明の効果、特徴を損なわない範囲で、更に他のオレフィン系重合体を配合して使用することもできる。配合するオレフィン系重合体としては、特に制限されるものではないが、例えば、前述のオレフィン系重合体(A)で例示したものを使用することができる。配合の方法は特に限定されるものではないが、例えば、本発明の変性オレフィン系重合体組成物とオレフィン系重合体を前述の方法を用いて溶融混練することによって行うことが出来る。このとき得られる変性オレフィン系重合体組成物のメルトフローレートは0.1〜100(g/10分)、不飽和カルボン酸変性量は0.01〜5重量%であることが好ましい。
本発明の変性オレフィン系重合体は、上記の原材料の成分以外に、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の成分を使用することができる。ここで用いることができるその他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤、発泡剤、充填剤、導電剤、帯電防止剤、防曇剤、金属不活性剤、分散剤、難燃剤、加工助剤、離型剤、殺菌剤、防かび剤、分子量調整剤などが挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。本発明で使用する物性値の測定方法、原料を以下に示す。
<評価方法>
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に従って、温度190℃、荷重21.18N、オリフィス直径2.1mmの条件にて測定した。
(2)不飽和カルボン酸変性量
ペレット状の変性オレフィン系重合体を沸騰キシレンに溶解し、アセトン中に再沈した後、80℃で6時間真空乾燥して粉末状のサンプルを得た。このサンプルをプレス成形することにより得られたフィルムの赤外線吸収スペクトルを、フーリエ変換型赤外分光光度計(装置:Jasco FT/IR−610)を用いて測定した。得られた赤外線吸収スペクトルの1665cm-1と1827cm-1の間でベースラインを引き、この間の面積値を算出し、別途作成した検量線とこの面積値からペレット中の全不飽和カルボン酸変性量を求めた。同様な方法で変性オレフィン系重合体製造時に添加した変性オレフィン系重合体(B)のカルボン酸変性量を求め、全不飽和カルボン酸変性量から変性オレフィン系重合体(B)のカルボン酸変性量を引いた値を、不飽和カルボン酸変性量とした。
(3)数平均分子量
予めエステル化処理を施した資料をオルトジクロロベンゼンに溶解し、下記の装置、及び条件にて測定を行った。
装 置:GPC150C
移動相:オルトジクロロベンゼン
カラム:SHODEX AD806MS
カラム温度:140℃
(4)接着強度
変性オレフィン系重合体組成物を中間層とし、外層の一方を線状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE:日本ポリケム株式会社製 SF8402)層、他方をエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH:株式会社クラレ製 F101A)層として、ダイス温度220℃にて三層の共押出インフレーションフィルムを製造した。なお、押出機口径、層構成比、積層体成形速度は以下の通りである。
(押出機口径)
LLDPE/変性樹脂組成物/EVOH=90/45/65mmφ
(層構成比)
LLDPE層/接着層/EVOH層=4/1/2(総厚さ=70μm)
(積層体成形速度)
30m/min、70m/min
得られた積層体から切り出した短冊状サンプル(幅10mm)を用い、JIS K6854に準拠して、その一端のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層と、変性オレフィン系重合体組成物層との間を予め僅かに剥離して、23℃雰囲気下で剥離速度300mm/minでT形剥離試験を行って剥離強度を測定し、この値を接着強度とした。
(5)組成物外観
変性オレフィン系重合体ペレットから、成形温度200℃、ブロー比1.4の条件で、厚み30μmのフィルムを空冷インフレーション成形した後、このフィルムの外観を目視観察し、以下に示す基準で判定した。
○:フィツシュアイは殆ど見られない。
△:フィツシュアイが見られる。
×:かなりのフィツシュアイが見られる。
(6)積層体外観
上記(4)で製造された三層の共押出インフレーションフィルムの外観を目視観察し、上記(5)に示す基準で判定した。
<原材料>
(A)オレフィン系重合体
A−1:エチレンと1−ヘキセンとの、メタロセン系触媒による共重合体であって、メルトフローレート(温度190℃、荷重21.18N)が3.5g/10分、密度が0.898g/cm3の直鎖状エチレン−1−ヘキセン共重合体。
A−2:エチレンと1―ブテンとのチーグラー系触媒による共重合体であって、メルトフローレート(温度190℃、荷重21.18N)が2g/10分、密度が0.920g/cm3の直鎖状エチレン−1−ブテン共重合体。
A−3:エチレンと1―ブテンとのチーグラー系触媒による共重合体であって、メルトフローレート(温度190℃、荷重21.18N)が3g/10分、密度が0.922g/cm3の直鎖状エチレン−1−ブテン共重合体。
(B)極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体
B−1:カルボン酸変性エチレン系重合体(変性量:2.3重量%、数平均分子量:1,500)
B−2:カルボン酸変性プロピレン系重合体(変性量:2.4重量%、数平均分子量:14,000)
B−3:カルボン酸変性エチレン系重合体(変性量:0.9重量%、数平均分子量:22,000)
(C)不飽和カルボン酸および/またはその誘導体
C:無水マレイン酸(試薬1級)
(D)ラジカル発生剤
D:2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂社製、商品名「パーヘキサ25B」)
<実施例1〜6、比較例1〜3>
オレフィン系重合体(A)、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)、ラジカル発生剤(D)を、表1に示す割合で配合、ヘンシェルミキサーで均一に混合した後、口径30mmの二軸押出機に供給し、230℃で溶融混練してストランド状に押出し、ペレット化して変性オレフィン系重合体組成物を得た。これらのメルトフローレート、不飽和カルボン酸変性量および外観の評価結果を表1に示す。
続いて、この変性オレフィン系重合体組成物10重量%と、上記オレフィン系重合体A−3とを90重量%とをヘンシェルミキサーで均一に混合した後、口径40mmの単軸押出機に供給し、190℃で溶融混練してストランド状に押出し、ペレット化して積層体評価用の変性オレフィン系重合体組成物を得た。これらを用いて、接着強度、積層体外観を評価した。評価結果を表1に示す。
<実施例7>
オレフィン系重合体(A)、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)、ラジカル発生剤(D)を、表1に示す割合で配合、ヘンシェルミキサーで均一に混合した後、口径30mmの二軸押出機に供給し、230℃で溶融混練した。極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)を、二軸押出機の途中に設けたフィード口から供給して、溶融混練を続け、ストランド状に押出し、ペレット化して変性オレフィン系重合体組成物を得た。評価結果を表1に示す。
続いて、積層体の評価を実施例1〜6と同様に行った。評価結果を表1に示す。
<実施例8>
オレフィン系重合体(A)、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)を、表1に示す割合で配合、ヘンシェルミキサーで均一に混合した後、口径30mmの二軸押出機に供給し、230℃で溶融混練した。ラジカル発生剤(D)を、二軸押出機の途中に設けたフィード口から供給して、溶融混練を続け、ストランド状に押出し、ペレット化して変性オレフィン系重合体組成物を得た。評価結果を表1に示す。
続いて、積層体の評価を実施例1〜6と同様に行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2005105169
<結果の評価>
1)比較例1は、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体 (B)が配合されていないため、実施例1〜3に比較して不飽和カルボン酸変性量が低く、組成物外観、接着強度、積層体外観が劣っている。
2)比較例2は、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体 (B)が配
合されていない例である。実施例1と同等の不飽和カルボン酸変性量を得るため、(C)、(D)の配合量を増加した結果、組成物外観、接着強度、積層体外観が劣っている。この接着強度の低下は、未反応の無水マレイン酸、及び触媒である過酸化物の分解生成物などの接着阻害成分を多量に含んでいるためと推測される。3)比較例3は、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体 (B)が配合されていないため、実施例4〜6に比較して不飽和カルボン酸変性量が低く、組成物外観、接着強度、積層体外観が劣っている。
4)比較例4は、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体 (B)が配合されていない例である。実施例4と同等の不飽和カルボン酸変性量を得るため、(C)、(D)の配合量を増加した結果、組成物外観、接着強度、積層体外観が劣っている。
本発明の変性オレフィン系重合体は、接着性重合体組成物として好適に用いられる。具体的には、公知の方法により、被着材上にアンカーコート剤を介して、又は介さずに、逐次押出ラミネート、サンドイッチ押出ラミネート、共押出ラミネートする方法、或いは、被着材樹脂と共に共押出する方法、並びに、予めフィルム状として被着材樹脂に熱圧着する方法等により積層体を製造する際に好適に用いられる。その際、被着材としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂等の各種熱可塑性樹脂、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属の箔・板、及び、紙等が挙げられる。

Claims (6)

  1. オレフィン系重合体(A)、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)、及びラジカル発生剤(D)を溶融混練して得られる変性オレフィン系重合体組成物。
  2. オレフィン系重合体(A)と、該オレフィン系重合体(A)100重量部あたり、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)0.1〜10重量部、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)0.2〜10重量部、及びラジカル発生剤(D)0.005〜5重量部を溶融混練して得られる請求項1に記載の変性オレフィン系重合体組成物。
  3. 極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)の変性率が0.3〜10重量%であり、数平均分子量が500〜30,000である請求項1または2に記載の変性オレフィン系重合体組成物。
  4. オレフィン系重合体(A)と、該オレフィン系重合体(A)100重量部あたり極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)0.1〜10重量部、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)0.2〜10重量部、ラジカル発生剤(D)0.005〜5重量部を溶融混練することを特徴とする変性オレフィン系重合体組成物の製造方法。
  5. 極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)の変性率が0.3〜10重量%であり、数平均分子量が500〜30,000である請求項4に記載の変性オレフィン系重合体組成物の製造方法。
  6. オレフィン系重合体(A)、極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(C)、及びラジカル発生剤(D)を同時に溶融混練するか、又は極性モノマーによって変性された変性オレフィン系重合体(B)を添加し、混練した後にラジカル発生剤(D)を添加することを特徴とする請求項4または5に記載の変性オレフィン系重合体組成物の製造方法。
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