JP5177055B2 - プラスチック光ファイバ - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性、耐湿熱性、耐屈曲性、被覆層との密着性などがバランス良く優れ、屋内配線や自動車内配線用等に使用されるプラスチック光ファイバに関するものである。
プラスチック光ファイバは、加工性、取扱い性、製造コストなどの面でガラス系光ファイバに比べ優れているので、短距離の光通信伝送、光電センサー、ライトガイドなどに使用されている。特に、最近では自動車内情報通信用配線にナイロン(ポリアミド)等の熱可塑性樹脂を被覆したプラスチック光ファイバコードが提案されている。
上記プラスチック光ファイバは、コア、クラッドの2種の重合体により構成されている。コアには、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと略記する)に代表されるように、透明性に優れ耐候性の良好な重合体が一般に使用される。一方、クラッドには、コア内部に光を閉じ込めておくために、コアよりも低屈折率であることが必要であり、弗素含有重合体が広く使用されている。
屋内配線や自動車内通信配線用途において、プラスチック光ファイバは高温多湿の環境下で狭い空間を屈曲した状態で施工される事が多く、耐熱性、耐湿熱性、耐屈曲性、耐曲げ損失特性などが要求される。
特に自動車内でルーフやエンジンルーム内への配線では環境温度が約100℃と高温になるため、プラスチック光ファイバコードの性能も100〜105℃の長期耐熱性を満足することが求められている。
また、プラスチック光ファイバコードは、通常その端部にコネクタを装着して使用するが、被覆層を剥離する際、プラスチック光ファイバ裸線に傷を付けやすいということから、被覆層を残したままコネクタ部品と接続固定する装着方式が行われている。被覆層をコネクタ部品に接続固定する場合、コネクタとプラスチック光ファイバコードとの接続強度を保持する上で、耐熱性と共にプラスチック光ファイバ裸線と被覆層の密着力が高いことも必要である。
そのため、被覆層の樹脂にクラッド材をポリマーブレンドしたり共重合したり、特殊な高接着性樹脂を使用することが検討されている。
ところで、PMMAをコアに用いたプラスチック光ファイバコードの耐熱性を向上させる技術はこれまでいくつか提案されている。
例えば、特許文献1、及び2には、クラッド材として非晶性でガラス転移温度が高いα−フルオロアクリレート共重合体を用い、被覆材としてナイロン12やポリプロピレン等を用いたプラスチック光ファイバコードが開示されている。
また、特許文献3には、第1クラッドがフルオロアルキル(メタ)クリレートの単位(A)15〜90質量%と、他の共重合可能な単量体単位(B)10〜85質量%を含有する共重合、第2クラッドとしてテトラフルオロエチレン単位を含む含フッ素オレフィン系樹脂からなるプラスチック光ファイバ素線の外周に、ポリアミド系樹脂組成物からなる被覆層を被覆してなるプラスチック光ファイバケーブルが開示されている。
また、特許文献4には、芯材がPMMAからなり、鞘材がフッ化ビニリデン(VdF)単位40〜62モル%とテトラフルオロエチレン(TFE)単位28〜40モル%とヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位8〜22モル%との3元共重合体からなる光ファイバの外周に、ナイロン12からなる被覆材を設けた光ファイバケーブルが開示されている。
また特許文献5には、芯材がPMMAからなり、鞘材がエチレン単位5〜30wt%とTFE単位40〜75wt%とHFP単位15〜50wt%との3元共重合体からなる光ファイバの外周に、熱可塑性樹脂からなる被覆材を設けた光ファイバケーブルが開示されている。
しかし、特許文献1,2に開示されているプラスチック光ファイバは、クラッド材として用いられているα−フルオロアクリレート共重合体が非晶性でガラス転移点が高く、プラスチック光ファイバ素線として105℃環境下における耐熱性は良好であるが、このクラッド材は非常に高価であり、またクラッド材自体の透明性が悪いため、初期の伝送損失が悪く、コアとの界面密着性が悪いため耐屈曲性等の機械特性に劣るという問題があった。
また、特許文献3に開示されているプラスチック光ファイバのクラッド材として用いられているフルオロアルキル(メタ)クリレート系共重合体も、非晶性でガラス転移点が高く、プラスチック光ファイバ素線として105℃環境下における耐熱性は良好であるが、このクラッド材も非常に高価であり、また、コアとの界面密着性が悪いため耐屈曲性等の機械特性に劣るという問題があった。
また、特許文献4に開示されているプラスチック光ファイバのクラッド材として用いられているフッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの3元共重合体からなる光ファイバは1000時間以上の長期耐熱性に劣るという問題があった。
また、特許文献5に開示されているプラスチック光ファイバのクラッド材として記載されているエチレン/TFE/HFP共重合体は、低屈折率性、低結晶化性を有するため、透光損失を低減できることに加えて、機械的特性も良好であるが、105℃環境下における耐熱性に劣るという問題があった。
特許第3815367号公報(特許請求の範囲) 特開2002−55243号公報(特許請求の範囲) 特開2005−234135号公報(特許請求の範囲) 特開2000−266970号公報(特許請求の範囲) 特開2001− 74944号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、特に耐熱性、耐屈曲性、耐曲げ特性などが優れた2層クラッドのプラスチック光ファイバを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は次の構成を有する。
すなわち、本発明は、コア、第1クラッド、第2クラッドの3層構造からなるプラスチック光ファイバであって、コアがメチルメタクリレ−トを主成分とする(共)重合体からなり、該第1クラッドは、エチレン10〜35重量%、テトラフルオロエチレン45〜69重量%、ヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%、及び、式(1)
CH=CX(CF (1)
で示されるフルオロビニル化合物0.01〜10重量%を含有する共重合体からなるからなるプラスチック光ファイバである。
本発明によれば、耐熱性、耐屈曲性、耐曲げ特性などがバランス良く優れ、屋内配線や自動車内配線用等に使用されるプラスチック光ファイバを提供できる。
本発明におけるプラスチック光ファイバは、コア、第1クラッド、第2クラッドの3層構造からなる。
本発明のプラスチック光ファイバのコアは、メチルメタクリレート(以下、MMAと略記する)を主成分とする重合体である。メチルメタクリレート(MMA)を主成分とする重合体は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、または、MMAが70重量%以上である共重合体も含み、例えば(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、(置換)スチレン、(N−置換)マレイミドなどを共重合するか、あるいはそれらを高分子反応したグルタル酸無水物、グルタルイミドなどの変性重合体などが挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ボルニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレートなどが、置換スチレンとしては、メチルスチレン、α−メチルスチレンなどが、N−置換マレイミドとしては、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミドなどが挙げられる。これら共重合成分は、複数で用いても良く、これら以外の成分を少量使用してもよい。また、耐酸化防止剤などの安定剤が透光性に悪影響しない量だけ含まれていても構わない。これらの重合体の中で、実質的にPMMAであることが、生産性、透光性、耐環境性などの点から最も好ましい。
本発明のプラスチック光ファイバにおける第1クラッドは、エチレン10〜35重量%、テトラフルオロエチレン45〜69重量%、ヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%、及び、式(1)
CH=CX(CF (1)
(式中、Xはフッ素原子又は水素原子、Xはフッ素原子、水素原子又は炭素原子、nは1〜10の整数である。)
で示されるフルオロビニル化合物0.01〜10重量%を含有する共重合体を含有することが必要である。
上記共重合成分が、上記範囲外の組成では、低屈折率化、低結晶化(無色透明化)が達成できなかったり、コアのMMA主体の(共)重合体への密着性が劣り、耐熱性が大幅に低下し、耐屈曲性などの機械特性が低下するなどの問題を有する。
特にコアのMMA主体の(共)重合体への密着性や耐熱性に優れた特性を付与するために式(1)で示されるフルオロビニル化合物を0.01〜10重量%を含有することが必要である。
特に、前記式(1)で示されるフルオロビニル化合物が
CH=CF(CFH (2)
である場合、生産性、コスト、環境性、及び品質面において、さらに優れているので、好ましい。
また、本発明のプラスチック光ファイバにおける第1クラッドの共重合体が、ポリマー鎖末端または側鎖にポリマー鎖末端または側鎖にカルボニル基含有官能基を有する共重合体であると、コアのMMA主体の(共)重合体への密着性、及び第2クラッドとの密着性が更に向上するため、好ましい。
本発明のプラスチック光ファイバにおいて、カルボニル基含有官能基とは、一般に−OC(=O)O−の結合を有するカーボネート基や−COY[Yはハロゲン元素]の構造を有するカルボン酸ハライド基であり、特に、含フッ素カーボネート基(R−O−C(=O)−RF’)、またはカルボン酸フルオライド基(−C(=O)F)が好ましい。
本発明のプラスチック光ファイバにおいて、ポリマー分子末端にカルボニル基含有官能基を有する含フッ素エチレン性重合体を得るためには、種々の方法を採用することができるが、パーオキシカーボネート系のパーオキサイドを重合開始剤として用いる方法が、経済性の面、耐熱性、耐薬品性など品質面で好ましい。
末端カルボニル基含有官能基を導入するために用いられるパーオキシカーボネートとしては、例えばジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートなどが好ましく使用できる。
本発明のプラスチック光ファイバの第1クラッドのメルトフローレート(以下、MFRと略記する。)値が、10〜100g/10分(条件:265℃、荷重5kg、オリフィス径2mm、長さ8mm)の範囲内であることが好ましい。特に好ましい範囲は、20〜60g/10分である。
本発明のプラスチック光ファイバの第1クラッドの理論開口数(NA)は、0.51〜0.65であることが好ましい。なお、理論開口数は次式のように、
開口数=((コアの屈折率) −(第1クラッドの屈折率)1/2
コア、第1クラッドの屈折率差にて表わされる。
これまでに実用化されているPMMAをコアとしたプラスチック光ファイバの開口数は0.45〜0.65前後であり、理論開口数を0.51〜0.63とすることにより、同じく実用化されている受発光素子等の周辺部品への互換性を保持することが出来る。
本発明のプラスチック光ファイバにおける第2クラッドは、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン単位を含む共重合体からなることが好ましい。
本発明のプラスチック光ファイバの耐屈曲性、耐薬品性、及び被覆層との密着性などを向上させる目的では第2クラッド材としてフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン単位を含む共重合体を用いることが好ましい。
フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン単位を含む共重合体としては、好ましくは、(1)弗化ビニリデン10〜35重量%とテトラフルオロエチレン45〜75重量%とヘキサフルオロプロピレン10〜30重量%とパーフルオロアルキルビニルエーテル類1〜10重量%を共重合成分として含有する共重合体、(2)フッ化ビニリデン35〜60重量%とテトラフルオロエチレン35〜60重量%とヘキサフルオロプロピレン5〜30重量%を共重合成分として含有する共重合体、(3)フッ化ビニリデン65〜85重量%とテトラフルオロエチレン15〜35重量%を共重合成分として含有する共重合体などが挙げられる。
フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン単位を含む共重合体は、より好ましくは、弗化ビニリデン13〜30重量%とテトラフルオロエチレン50〜70重量%とヘキサフルオロプロピレン13〜27重量%とパーフルオロアルキルビニルエーテル類2〜8重量%を共重合成分として含有する共重合体、さらにより好ましくは、弗化ビニリデン16〜25重量%とテトラフルオロエチレン55〜65重量%とヘキサフルオロプロピレン16〜22重量%とパーフルオロアルキルビニルエーテル類2〜6重量%を共重合成分として含有する共重合体である。
フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン単位を含む共重合体は、より好ましくは、
フッ化ビニリデン35〜55重量%とテトラフルオロエチレン35〜50重量%とヘキサフルオロプロピレン5〜15重量%を共重合成分として含有する共重合体、または、フッ化ビニリデン70〜80重量%とテトラフルオロエチレン20〜30重量%を共重合成分である。
本発明のプラスチック光ファイバにおける第2クラッドは、パーフルオロアルキルメタクリレート単位を含む共重合体からなることが好ましい。第2クラッドに、パーフルオロアルキルメタクリレート単位を含む共重合体を使用すると、耐熱性、耐湿熱性などの熱特性が向上する。
前記パーフルオロアルキルビニルエーテル類としては、CF2=CFOCF3、CF2=CFOCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF3、CF2=CFOCH2CF3、CF2=CFOCH2CF2CF3、CF2=CFOCH2CF2CF2CF3、CF2=CFOCH3、CF2=CFOCH2CH3などが挙げられるが、CF2=CFOCF3、CF2=CFOCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF3からなる群より選ばれた化合物の単位が、原料の低コスト化を図ることができる点から特に好ましい。
また、パーフルオロアルキルメタクリレート単位を含む共重合体としては、
CH=C(CH)−COO(CH(CF
(但し、Rはフッ素原子又は水素原子、mは1または2、nは1から10の整数を表す。)
で示されるパーフルオロアルキルメタクリレート60〜95重量%、およびメチルメタクリレ−ト5〜40重量%を共重合成分として含有する共重合体を用いることが、透明性や耐熱性の点から好ましい。
上記式で示されるパーフルオロアルキルメタクリレートは、共重合体が白濁、黄変することがなく、機械特性がよく、プラスチック光ファイバとすると透光性、耐熱性、耐屈曲性などがよい。
更に好ましくは、本発明のプラスチック光ファイバにおいて、第2クラッドが
CH=C(CH)−COOCH(CF
(但し、Rはフッ素原子又は水素原子、nは1から4の整数を表す。)
で示されるパーフルオロアルキルメタクリレート60〜95重量%、およびメチルメタクリレ−ト5〜40重量%を共重合成分として含有する共重合体である。
本発明で好ましく使用するパーフルオロアルキルメタクリレートは、さらにMMA以外の(メタ)アクリル酸エステル類、脂環式炭化水素をエステルに有するメタクリル酸、(メタ)アクリル酸、(置換)スチレン、(N−置換)マレイミドなどを10重量%程度以内で共重合しても良い。
本発明のプラスチック光ファイバは、常法により製造することができる。例えば、同心円状複合用の複合口金から吐出してコア/第1クラッド/第2クラッドの3層芯鞘構造を形成させる複合紡糸法が好ましく用いられる。
クラッド層の厚みは、第1および第2クラッド厚みは、それぞれ2〜10μmであることが好ましく、第1及び第2クラッド合計の厚みで5〜15μmであることが特に更に好ましい。
続いて、機械特性を向上させる目的で、1.2〜3倍程度の延伸処理が一般的に行なわれプラスチック光ファイバとなる。このプラスチック光ファイバの外径は、通常、0.1〜3mm程度であり、目的に応じて適宜選択すればよいが、取扱性などの面から、0.5〜1.5mmのものが好ましい。
本発明のプラスチック光ファイバは、その外周に更に、1層以上の被覆層を被覆してプラスチック光ファイバコードとすることが好ましい。
被覆層は熱可塑性樹脂からなることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンあるいはそれらの共重合体、ブレンド品、有機シラン基を含有するオレフィン系ポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ナイロン12などのポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロンエラストマー、ポリエステルエラストマーあるいはウレタン樹脂、弗素樹脂が好ましく用いられる。
被覆層が、特にポリアミド樹脂を主成分とする樹脂やポリプロピレンを主成分とする樹脂を用いると、耐油性、耐摩耗性、耐熱性、耐衝撃性などに優れ、自動車内配線用として優れているので特に好ましく用いられる。
本発明においてポリアミド樹脂を主成分とする樹脂とは、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン10,ナイロン11,ナイロン12などのホモポリマーあるいはこれらの単量体を50重量%以上含有する共重合体、ポリマーブレンドなどをさし、可塑剤、難燃剤の他、耐酸化防止剤、耐老化剤、UV安定剤などの安定剤、あるいは着色のためのカーボンブラック、顔料、染料などを含んでも良い。
本発明においてポリプロピレンを主成分とする樹脂とは、ポリプロピレン、あるいはポリエチレンなどとの架橋を含めた共重合体、あるいはそれらの混合物などをさし、難燃剤の他、耐酸化防止剤、耐老化剤、UV安定剤などの安定剤、あるいは着色のための顔料などを含んでも良く、また、引張降伏強度20〜35MPa(ASTM D638)、曲げ弾性率1.1〜1.7GPa(ASTM D790)、ロックウエル硬度(R)80〜110(JIS−K7202)、荷重たわみ温度105〜130℃(JIS−K7207、0.45MPa)などの特性の一般市販品を利用できる。
本発明のプラスチック光ファイバコードにおいて、プラスチック光ファイバとその外周に接する被覆層との密着力が15N以上であることが好ましい。更に好ましい密着力は20N以上である。
本発明のプラスチック光ファイバコードにおいては被覆層の外周に、さらに第2被覆層を被せた第1被覆層と第2被覆層の2層被覆構造とすることが好ましい。
第1被覆層としてポリアミド樹脂を主成分とする樹脂を用いると、耐油性、耐摩耗性、耐熱性、耐衝撃性などに優れ、自動車内配線用として優れているので好ましく用いられる。
更に好ましくは、第1被覆層は、ナイロン12を主成分とする樹脂が用いられる。本発明においてナイロン12を主成分とする樹脂とは、ナイロン12ホモポリマーあるいはこれらの単量体を50重量%以上含有する共重合体、ポリマーブレンドなどをさし、可塑剤、難燃剤の他、耐酸化防止剤、耐老化剤、UV安定剤などの安定剤、あるいは着色のためのカーボンブラック、顔料、染料などを含んでも良く、また、曲げ弾性率が1.0〜2.0GPa、引張降伏点強度が30〜55MPa、荷重たわみ温度(0.45MPa)が135〜150℃などの特性の一般市販品を利用できる。
第2被覆層としては(第1)被覆層よりも柔軟であることが好ましく、ナイロン12に可塑剤含有したものやナイロン6などその他のナイロンとの共重合体、ポリエーテル、ポリエステルなどとのブロック共重合であるポリアミド系エラストマーなどが好ましく使用でき、その他、各種エラストマー、例えばポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーや、ポリ塩化ビニル、アクリレート系または酢酸ビニルとのエチレン共重合体などが挙げられる。更に、第2被覆層は、ポリアミドおよび/または熱可塑性エラストマーよりなることが好ましい。第2被覆層には、難燃剤の他、耐酸化防止剤、耐老化剤、UV安定剤などの安定剤、着色のためのカーボンブラック、顔料、染料などを含んでも良く、更に第1被覆層との間にケブラーなどのテンションメンバーを入れても良い。
なお、被覆層はクロスヘッダダイを使用した溶融押し出し成形法等の常法によって形成することができる。
以下、本発明を実施例により、更に詳細に説明する。なお、評価は以下の方法で行った。
透光性:
ハロゲン平行光(波長650nm、入射NA=0.25)を使用して30/2mカットバック法により測定した。
耐熱性:
高温オーブン(タバイエスペック社製PHH−200)内に試長18mのプラスチック光ファイバコード(両末端各1mはオーブン外)を105℃、500時間投入し、試験前後の光量を測定してその変化量を指標とした(n=3の平均値。マイナスは光量ダウンを示す)。
耐湿熱性:
耐熱性の測定と同様にして温度85℃、湿度90%にて評価した。
曲げ損失:
660nmLEDを使用し、金属製半径10mmの棒に360度巻き付けた時の光量を測定してその前後での減少量を指標とした(n=3の平均値)。
密着力:
1次被覆コード90mmから第1被覆層を60mm剥離してファイバを露出し、ファイバ径+0.1mmの径の穴をあけた金属板にファイバを通し、一般市販の引張試験機にて引張速度50mm/分でファイバを引き抜き、n=20の降伏点強力の最低値を密着力として示した。尚、2層被覆構造の場合は第2被覆層を除去した後、上記方法にて測定を実施した。
屈折率:
測定装置としてアッベ屈折率計を使用して、室温25℃雰囲気にて測定した。
連続屈曲回数:
1次被覆コードの一端に500gの荷重をかけ、直径30mmφのマンドレルで支持し、その支持点を中心にファイバの他端を角度90°で連続的に屈曲させて、コードが切断するまでの回数を測定した。(n=5の平均値)
メルトフローレート(MFR):
日本工業規格JIS K7210に準じて、265℃、荷重5.0kg、ノズル径2mm、長さ8mmの条件下で、ノズルから10分間に吐出される量を測定した。
[実施例1]
表1に示す第1クラッド(エチレン(Et)/テトラフルオロエチレン(4F)/ヘキサフルオロプロピレン(6F)/CH=CF(CFH(単量体A)からなる共重合体(屈折率1.368))及び第2クラッド(フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ヘプタフルオロプロピルビニルエーテルからなる共重合体(屈折率1.351))を複合紡糸機に供給した。さらに、連続魂状重合によって製造したPMMA((屈折率1.492)をコア材として複合紡糸機に供給して、235℃にてコア、第1クラッド、第2クラッドを芯鞘複合溶融紡糸し、ファイバ径1000μm(コア径980μm、第1/第2クラッド厚各5.0μm)のプラスチック光ファイバを得た。
さらに、引張降伏点強度41MPa、曲げ弾性率1.3GPa、荷重たわみ温度145℃のナイロン12樹脂(ダイセルエボニック社製;ダイアミドL1640)にカーボンブラックを0.25重量%入れ、電線被覆方式で200℃にて被覆して外径2.2mmのプラスチック光ファイバコードとした。
こうして得られたプラスチック光ファイバコードを前記の評価方法により評価し、その結果を表2に示した。表2からわかるように、密着力、透光性、繰り返し屈曲性、耐熱性、耐湿熱性、曲げ損失がいずれも優れていた。
[実施例2〜5および比較例1〜4]
第1クラッド、被覆材を表1のとおりに変更した(ただし、ファイバ径をすべて1000μmに統一)以外は実施例1と同様にしてプラスチック光ファイバコードを得た。これらのプラスチック光ファイバコードを使用して実施例1と同じ評価を行い、その結果を表2に示した。
本発明の実施例2〜5は、透光性や密着力、耐屈曲性、耐熱性、耐湿熱性、耐曲げ特性がいずれも優れていた。一方、クラッド組成等が異なる比較例1〜4については、透光性や密着力、耐屈曲性、耐熱性、その他の物性バランスが悪かった。
[実施例6〜9]
第2クラッドを表1のとおりに変更した(ただし、ファイバ径をすべて1000μmに統一)以外は実施例1と同様にしてプラスチック光ファイバコードを得た。これらのプラスチック光ファイバコードを使用して実施例1と同じ評価を行い、その結果を表2に示した。
本発明の実施例6〜9は、透光性や密着力、耐屈曲性、耐熱性、耐湿熱性、耐曲げ特性がいずれも優れていた。
Figure 0005177055
PMMA :ポリメチルメタクリレ−ト
MMA :メタクリル酸メチル
Et :エチレン
4FM :2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレ−ト
5FM :2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピリメタクリレ−ト
2F :フッ化ビニリデン
4F :テトラフルオロエチレン
6F :ヘキサフルオロプロピレン
FVE :ヘプタフルオロプロピルビニルエーテル
単量体A :CH=CF(CF
Figure 0005177055

Claims (8)

  1. コア、第1クラッド、第2クラッドの3層構造からなるプラスチック光ファイバであって、コアがメチルメタクリレ−トを主成分とする(共)重合体からなり、該第1クラッドは、エチレン10〜35重量%、テトラフルオロエチレン45〜69重量%、ヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%、及び、式(1)
    CH=CX(CF (1)
    (式中、Xはフッ素原子又は水素原子、Xはフッ素原子、水素原子又は炭素原子、nは1〜10の整数である。)
    で示されるフルオロビニル化合物0.01〜10重量%を含有する共重合体からなるからなるプラスチック光ファイバ。
  2. 式(1)で示されるフルオロビニル化合物が
    CH=CF(CFH (2)
    である請求項1に記載のプラスチック光ファイバ。
  3. 第2クラッドが、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン単位を含む共重合体からなる請求項1または2に記載のプラスチック光ファイバ。
  4. 第2クラッドが弗化ビニリデン 10〜35重量%とテトラフルオロエチレン45〜75重量%とヘキサフルオロプロピレン10〜30重量%とパーフルオロアルキルビニルエーテル類1〜10重量%を共重合成分として含有する共重合体からなる請求項3に記載のプラスチック光ファイバ。
  5. 第2クラッドがフッ化ビニリデン35〜60重量%とテトラフルオロエチレン35〜60重量%とヘキサフルオロプロピレン5〜30重量%を共重合成分として含有する共重合体からなる請求項3に記載のプラスチック光ファイバ。
  6. 第2クラッドがフッ化ビニリデン65〜85重量%とテトラフルオロエチレン15〜35重量%を共重合成分として含有する共重合体からなる請求項3に記載のプラスチック光ファイバ。
  7. 第2クラッドが、パーフルオロアルキルメタクリレート単位を含む共重合体からなる請求項1または2に記載のプラスチック光ファイバ。
  8. 第2クラッドが、
    CH=C(CH)−COO(CH(CF
    (但し、Rは、フッ素原子又は水素原子、mは1または2、nは1から10の整数を表す。)
    で示されるパーフルオロアルキルメタクリレート60〜95重量%、およびメチルメタクリレ−ト5〜40重量%を共重合成分として含有する共重合体からなる請求項7に記載のプラスチック光ファイバ。
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