JP2010101932A - プラスチック光ファイバ、および、プラスチック光ファイバコード - Google Patents
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Abstract
【課題】耐曲げ漏光性、耐熱性、耐湿熱性、耐屈曲性、被覆層との密着性などがバランス良く優れ、屋内配線や自動車内配線用等に使用されるプラスチック光ファイバ、およびプラスチック光ファイバコードを提供する。
【解決手段】メチルメタクリレートを主成分とする重合体からなるコアと該コアの外周にコアの屈折率より小さい屈折率を有する有機重合体からなる少なくとも1層のクラッドを有するコア/クラッド構造のプラスチック光ファイバにおいて該クラッドはエチレン10〜35重量%とテトラフルオロエチレン45〜70重量%とヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%と他の共重合可能な成分0〜10重量%からなる層を有するプラスチック光ファイバ。
【選択図】なし
【解決手段】メチルメタクリレートを主成分とする重合体からなるコアと該コアの外周にコアの屈折率より小さい屈折率を有する有機重合体からなる少なくとも1層のクラッドを有するコア/クラッド構造のプラスチック光ファイバにおいて該クラッドはエチレン10〜35重量%とテトラフルオロエチレン45〜70重量%とヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%と他の共重合可能な成分0〜10重量%からなる層を有するプラスチック光ファイバ。
【選択図】なし
Description
本発明は耐熱性、耐湿熱性、耐屈曲性、被覆層との密着性などがバランス良く優れ、屋内配線や自動車内配線用等に使用されるプラスチック光ファイバ、並びにそれを用いたプラスチック光ファイバコードに関するものである。
プラスチック光ファイバは、加工性、取扱い性、製造コストなどの面でガラス系光ファイバに比べ優れているので、短距離の光通信伝送、光電センサー、ライトガイドなどに使用されている。特に、最近では自動車内情報通信用配線にナイロン(ポリアミド)等の熱可塑性樹脂を被覆したプラスチック光ファイバコードが提案されている。
上記プラスチック光ファイバは、コア、クラッドの2種の重合体により構成されている。コアには、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと略記する)に代表されるように、透明性に優れ耐候性の良好な重合体が一般に使用される。一方、クラッドには、コア内部に光を閉じ込めておくために、コアよりも低屈折率であることが必要であり、弗素含有重合体が広く使用されている。
屋内配線や自動車内情報通信配線用途において、POFは高温多湿の環境下で狭い空間を屈曲した状態で施工される事が多く、耐熱性、耐湿熱性、耐屈曲性、耐曲げ損失特性などが要求される。
更に、プラスチック光ファイバコードは、通常その端部にコネクタを装着して使用するが、被覆層を剥離する際、プラスチック光ファイバ裸線に傷を付けやすいということから、被覆層を残したままコネクタ部品と接続固定する装着方式が行われている。被覆層をコネクタ部品に接続固定する場合、コネクタとプラスチック光ファイバコードとの接続強度を保持する上で、プラスチック光ファイバ裸線と被覆層の密着力が高いことも必要である。
そのため、被覆層の樹脂にクラッド材をポリマーブレンドしたり共重合したり、特殊な高接着性樹脂を使用することが検討されている。
ところで、プラスチック光ファイバの耐熱性、耐湿熱性、耐屈曲性、耐曲げ損失特性などの改善を目的として、クラッドに低屈折率であるフッ化ビニリデン(ビニリデンフロライド)とテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンからなる3元共重合体を用い、曲げ特性を向上させる技術がいくつか提案されている。
例えば、特許文献1に示すようにクラッド材としてフッ化ビニリデン成分30〜50重量%、テトラフルオルエチレン成分25〜55重量%、ヘキサフルオルプロピレン成分15〜25重量%の範囲にある3元共重合体を用いたプラスチック光ファイバが開示されている。
また、特許文献2には、鞘(クラッド)材として、ビニリデンフロライド成分が45〜57モル%、テトラフロロエチレン成分が31〜35モル%、ヘキサフロロプロペン成分が12〜20モル%の範囲にある3元共重合体を用いたプラスチック光ファイバ裸線の外側にビニリデンフロライド系樹脂からなる保護層を被覆したプラスチック光ファイバが開示されている。
また、特許文献3には、第1クラッドが第2クラッドより屈折率の高い樹脂からなり、第2クラッドがビニリデンフロライド成分が30〜92モル%、テトラフルオロエチレン成分0〜55モル%、ヘキサフルオロプロペン成分8〜25モル%の範囲にある三元共重合体からなるプラスチック光ファイバが開示されている。また、第1クラッドに最適なものとして(メタ)アクリル酸長鎖フルオロアルキルエステル/(メタ)アクリル酸短鎖フルオロアルキルエステル/(メタ)アクリル酸メチル共重合体が例示されている。
また、特許文献4には、第1クラッドが短鎖パーフルオロアルキルメタクリレート及びメチルメタクリレートを含有する共重合体、第2クラッドがヘキサフルオロプロピレン成分10〜25重量%、テトラフルオロエチレン成分35〜70重量%、フッ化ビニリデン成分15〜45重量%を含有する共重合体からなるプラスチック光ファイバが開示されている。
また、特許文献5には第1クラッドが長鎖フルオロアルキルメタクリレート/短鎖フルオロアルキルメタクリレート/他の共重合可能な単量体を含有する共重合体、第2クラッドがビニリデンフルオライド成分が37.01〜92モル%、テトラフルオロエチレン成分0.01〜55モル%、ヘキサフルオロプロピレン成分4.0〜7.99モル%の範囲にある三元共重合体からなるプラスチック光ファイバが開示されている。
しかし、特許文献1に開示されているプラスチック光ファイバは開口数が高く透光性に優れるが、クラッド材が柔軟で巻き取り時に粘着するなどの問題があったり、耐熱性、耐湿熱性などが劣り、実用化が困難であった。
また、特許文献2に開示されているプラスチック光ファイバは、2層クラッド構造とすることにより、上記粘着性は改善されるものの、耐熱性、耐湿熱性や被覆層との密着力などが劣るという問題があった。
また、特許文献3、4、5に開示されているプラスチック光ファイバにおける第2クラッドは耐熱性、耐湿熱性は改善されるものの、被覆層との密着力が不十分であった。
特許第2857411号公報(特許請求の範囲)
特許第3850961号公報(特許請求の範囲)
特開平11−101915号公報(第3ページ)
特開2002−156533号公報(特許請求の範囲)
特開2003−139973号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、耐曲げ漏光性、耐熱性、耐湿熱性、耐屈曲性、被覆層との密着性などがバランス良く優れ、屋内配線や自動車内配線用等に使用されるプラスチック光ファイバ、並びにそれを用いたプラスチック光ファイバコードを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は次の構成を有する。
すなわち、本発明は、メチルメタクリレートを主成分とする重合体からなるコアと該コアの外周にコアの屈折率より小さい屈折率を有する有機重合体からなる少なくとも1層のクラッドを有するコア/クラッド構造のプラスチック光ファイバであって、該クラッドは、エチレン10〜35重量%とテトラフルオロエチレン45〜70重量%とヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%と他の共重合可能な成分0〜10重量%からなる層を有するプラスチック光ファイバである。
本発明によれば、透光性、耐熱性、耐湿熱性、耐屈曲性、被覆層との密着性などがバランス良く優れ、屋内配線や自動車内配線用等に使用されるプラスチック光ファイバ、およびプラスチック光ファイバコードを提供できる。
本発明のプラスチック光ファイバはメチルメタクリレートを主成分とする重合体からなるコアと該コアの外周にコアの屈折率より小さい屈折率を有する有機重合体からなる少なくとも1層のクラッドを有するコア/クラッド構造のプラスチック光ファイバである。
本発明のプラスチック光ファイバのコア材料は、メチルメタクリレート(以下、MMAと略記する)を主成分とする重合体からなる。メチルメタクリレートを主成分とする重合体は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、またはMMAが70重量%以上である共重合体も含み、例えば(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、(置換)スチレン、(N−置換)マレイミドなどを共重合するか、あるいはそれらを高分子反応したグルタル酸無水物、グルタルイミドなどの変性重合体などが挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ボルニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレートなどが、置換スチレンとしては、メチルスチレン、α−メチルスチレンなどが、N−置換マレイミドとしては、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミドなどが挙げられる。これら共重合成分は、複数で用いても良く、これら以外の成分を少量使用してもよい。また、耐酸化防止剤などの安定剤が透光性に悪影響しない量だけ含まれていても構わない。これらの重合体の中で、実質的にPMMAであることが、生産性、透光性、耐環境性などの点から最も好ましい。
本発明のプラスチック光ファイバにおけるクラッドは、コアの屈折率より小さい屈折率を有する有機重合体からなり、その共重合体が下記の成分を
エチレン :10〜35重量%
テトラフルオロエチレン :45〜70重量%
ヘキサフルオロプロピレン :20〜45重量%
他の共重合可能な成分 :0〜10重量%
含有することが必要である。
エチレン :10〜35重量%
テトラフルオロエチレン :45〜70重量%
ヘキサフルオロプロピレン :20〜45重量%
他の共重合可能な成分 :0〜10重量%
含有することが必要である。
他の共重合可能な成分としては、好ましくは、ヘキサフルオロアセトン、ヘキサフルオロイソブテン、弗化ビニル、弗化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル類、フルオロビニル化合物類、パーフルオロビニル化合物類、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート類、αフルオロパーフルオロアルキルアクリレート類などが挙げられる。
クラッドが、エチレン10〜35重量%とテトラフルオロエチレン45〜70重量%とヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%と他の共重合可能な成分0〜10重量%からなる層を有しない場合は、低屈折率化、低結晶化(低透光性)が達成できなかったり、コアのMMA主体の(共)重合体への密着性が劣ったり、耐屈曲性などの機械特性が大幅に低下したり、低結晶化(無色透明化)が達成できなかったり、耐屈曲性などの機械特性が大幅に低下したり、また粘着性があったり、耐熱性が不十分であったりなどの問題を有する。
本発明のプラスチック光ファイバにおけるクラッドは、コアの外周に少なくとも1層で形成される。クラッドが2層以上で形成される場合、エチレン10〜35重量%とテトラフルオロエチレン45〜70重量%とヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%と他の共重合可能な成分0〜10重量%からなる層を有するクラッドを最外層に含むとプラスチック光ファイバの外周に更に被覆層を形成する場合にプラスチック光ファイバと被覆層との密着力が向上するため特に好ましい。
本発明のプラスチック光ファイバは、好ましくは、コア/第1クラッド/第2クラッドの3層構造である。
また、本発明のプラスチック光ファイバにおけるクラッドは、エチレン10〜35重量%とテトラフルオロエチレン45〜70重量%とヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%と他の共重合可能な成分0〜10重量%からなり、かつ、ポリマー鎖末端または側鎖にカルボニル基含有官能基を有する共重合体を含有すると更にプラスチック光ファイバと被覆層との密着力が更に向上するため特に好ましい。
カルボニル基含有官能基とは、一般に−OC(=O)O−の結合を有するカーボネート基や−COY[Yはハロゲン元素]の構造を有するカルボン酸ハライド基であるが、本発明では、カルボニル基含有官能基が、カーボネート基の場合、プラスチック光ファイバと被覆層との密着力の安定性の面で好ましい。
ポリマー分子末端にカルボニル基含有官能基を有する含フッ素エチレン性重合体を得るためには、種々の方法を採用することができるが、パーオキシカーボネート系のパーオキサイドを重合開始剤として用いる方法が、経済性の面、耐熱性、耐薬品性など品質面で好ましい。
末端カルボニル基含有官能基を導入するために用いられるパーオキシカーボネートとしては、例えばジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートなどが好ましく使用できる。
また、本発明のプラスチック光ファイバにおけるクラッドのメルトフローレート(以下、MFRと略記する。)値が、10〜100g/10分(条件:265℃、荷重5kg、オリフィス径2mm、長さ8mm)の範囲内であることが好ましい。特に好ましい範囲は20〜60g/10分である。
また、本発明のプラスチック光ファイバにおいて、エチレン10〜35重量%とテトラフルオロエチレン45〜70重量%とヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%と他の共重合可能な成分0〜10重量%からなる共重合体を第2クラッドとした2層クラッド構造のプラスチック光ファイバとした場合、第1クラッドとして
CH2=C(CH3)−COO(CH2)m(CF2)nR
(但し、Rはフッ素原子又は水素原子、mは1または2、nは1から10の整数を表す。)
で示されるパーフルオロアルキルメタクリレート60〜95重量%、およびメチルメタクリレ−ト5〜40重量%を共重合成分として含有する共重合体を用いることが、透明性や耐熱性の点から好ましい。
CH2=C(CH3)−COO(CH2)m(CF2)nR
(但し、Rはフッ素原子又は水素原子、mは1または2、nは1から10の整数を表す。)
で示されるパーフルオロアルキルメタクリレート60〜95重量%、およびメチルメタクリレ−ト5〜40重量%を共重合成分として含有する共重合体を用いることが、透明性や耐熱性の点から好ましい。
更に好ましくは、本発明のプラスチック光ファイバにおいて、第1クラッドが
CH2=C(CH3)−COOCH2(CF2)nR
(但し、Rはフッ素原子又は水素原子、nは1から4の整数を表す。)
で示されるパーフルオロアルキルメタクリレート60〜95重量%、およびメチルメタクリレ−ト5〜40重量%を共重合成分として含有する共重合体である。
CH2=C(CH3)−COOCH2(CF2)nR
(但し、Rはフッ素原子又は水素原子、nは1から4の整数を表す。)
で示されるパーフルオロアルキルメタクリレート60〜95重量%、およびメチルメタクリレ−ト5〜40重量%を共重合成分として含有する共重合体である。
上記式(1)、又は(2)で示されるパーフルオロアルキルメタクリレートは、共重合体が白濁、黄変することがなく、機械特性がよく、プラスチック光ファイバとすると透光性、耐熱性、耐屈曲性などがよい。
本発明で好ましく使用するパーフルオロアルキルメタクリレートは、さらにMMA以外の(メタ)アクリル酸エステル類、脂環式炭化水素をエステルに有するメタクリル酸、(メタ)アクリル酸、(置換)スチレン、(N−置換)マレイミドなどを10重量%程度以内で共重合しても良い。
本発明のプラスチック光ファイバは、好ましくは第1クラッドの屈折率はコアより低く、第2クラッドより高い樹脂からなる。
第2クラッドが第1クラッドより低屈折率であれば、POFが曲げられたり、第1クラッドの不整部分から漏れだした光を反射して回収する働きをするので好ましい。
また、本発明のプラスチック光ファイバのコアと第1クラッドとの屈折率から計算される理論開口数はNA=0.45〜0.52が好ましい。なお、理論開口数は次式のように、
開口数=((コアの屈折率)2 −(第1クラッドの屈折率)2 )1/2
コア、第1クラッドの屈折率差にて表わされる。
開口数=((コアの屈折率)2 −(第1クラッドの屈折率)2 )1/2
コア、第1クラッドの屈折率差にて表わされる。
開口数を0.45〜0.52とすることにより、従来1層で用いていた物性バランスのとれたクラッドをそのまま本発明の第1クラッドとして使用することが可能である。
本発明のプラスチック光ファイバは常法により製造することができる。例えば、同心円状複合用の複合口金から吐出してコア/クラッドの2層芯鞘構造やコア/第1クラッド/第2クラッドの3層芯鞘構造を形成させる複合紡糸法が好ましく用いられる。
クラッド層の厚みはコア/クラッドの2層芯鞘構造の場合は2〜20μmが好ましく、5〜15μmが特に好ましい。また、コア/第1クラッド/第2クラッドの3層芯鞘構造の場合は、第1および第2クラッド厚みはそれぞれ2〜10μmであることが好ましい。更に、特性上問題にならない程度に細くするのが好ましく、第1及び第2クラッド合計の厚みで5〜15μmであることが特に更に好ましい。
続いて、機械特性を向上させる目的で1.2〜3倍程度の延伸処理が一般的に行なわれプラスチック光ファイバとなる。このプラスチック光ファイバの外径は、通常、0.1〜3mm程度であり、目的に応じて適宜選択すればよいが、取扱性などの面から、0.5〜1.5mmのものが好ましい。
本発明のプラスチック光ファイバは、その外周に更に、1層以上の被覆層を被覆してプラスチック光ファイバコードとすることが好ましい。
被覆層は熱可塑性樹脂からなることが好ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレンあるいはそれらの共重合体、ブレンド品、有機シラン基を含有するオレフィン系ポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ナイロン12などのポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロンエラストマー、ポリエステルエラストマーあるいはウレタン樹脂、弗素樹脂が好ましく用いられる。
被覆層が、特にポリアミド樹脂を主成分とする樹脂やポリプロピレンを主成分とする樹脂を用いると、耐油性、耐摩耗性、耐熱性、耐衝撃性などに優れ、自動車内配線用として優れているので特に好ましく用いられる。
本発明においてポリアミド樹脂を主成分とする樹脂とは、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン10,ナイロン11,ナイロン12などのホモポリマーあるいはこれらの単量体を50重量%以上含有する共重合体、ポリマーブレンドなどをさし、可塑剤、難燃剤の他、耐酸化防止剤、耐老化剤、UV安定剤などの安定剤、あるいは着色のためのカーボンブラック、顔料、染料などを含んでも良い。
本発明においてポリプロピレンを主成分とする樹脂とはポリプロピレン、あるいはポリエチレンなどとの架橋を含めた共重合体、あるいはそれらの混合物などをさし、難燃剤の他、耐酸化防止剤、耐老化剤、UV安定剤などの安定剤、あるいは着色のための顔料などを含んでも良く、また、引張降伏強度20〜35MPa(ASTM D638)、曲げ弾性率1.1〜1.7GPa(ASTM D790)、ロックウエル硬度(R)80〜110(JIS−K7202)、荷重たわみ温度105〜130℃(JIS−K7207、0.45MPa)などの特性の一般市販品を利用できる。
本発明のプラスチック光ファイバコードにおいて、プラスチック光ファイバとその外周に接する被覆層との密着力が15N以上であることが好ましい。更に好ましい密着力は
20N以上である。
20N以上である。
本発明のプラスチック光ファイバコードにおいては被覆層の外周に、さらに第2被覆層を被せた第1被覆層と第2被覆層の2層被覆構造とすることが好ましい。
第1被覆層としてポリアミド樹脂を主成分とする樹脂を用いると、耐油性、耐摩耗性、耐熱性、耐衝撃性などに優れ、自動車内配線用として優れているので好ましく用いられる。
更に好ましくは、第1被覆層は、ナイロン12を主成分とする樹脂が用いられる。本発明においてナイロン12を主成分とする樹脂とは、ナイロン12ホモポリマーあるいはこれらの単量体を50重量%以上含有する共重合体、ポリマーブレンドなどをさし、可塑剤、難燃剤の他、耐酸化防止剤、耐老化剤、UV安定剤などの安定剤、あるいは着色のためのカーボンブラック、顔料、染料などを含んでも良く、また、曲げ弾性率が1.0〜2.0GPa、引張降伏点強度が30〜55MPa、荷重たわみ温度(0.45MPa)が135〜150℃などの特性の一般市販品を利用できる。
第2被覆層としては(第1)被覆層よりも柔軟であることが好ましく、ナイロン12に可塑剤含有したものやナイロン6などその他のナイロンとの共重合体、ポリエーテル、ポリエステルなどとのブロック共重合であるポリアミド系エラストマーなどが好ましく使用でき、その他、各種エラストマー、例えばポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーや、ポリ塩化ビニル、アクリレート系または酢酸ビニルとのエチレン共重合体などが挙げられる。更に、第2被覆層は、ポリアミドおよび/または熱可塑性エラストマーよりなることが好ましい。第2被覆層には、難燃剤の他、耐酸化防止剤、耐老化剤、UV安定剤などの安定剤、着色のためのカーボンブラック、顔料、染料などを含んでも良く、更に第1被覆層との間にケブラーなどのテンションメンバーを入れても良い。
なお、被覆層はクロスヘッダダイを使用した溶融押し出し成形法等の常法によって形成することができる。
以下、本発明を実施例により、更に詳細に説明する。なお、評価は以下の方法で行った。
透光性:ハロゲン平行光(波長650nm、入射NA=0.25)を使用して30/2mカットバック法により測定した。
耐熱性:高温オーブン(タバイエスペック社製PHH−200)内に試長18mのプラスチック光ファイバコード(両末端各1mはオーブン外)を105℃、500時間投入し、試験前後の光量を測定してその変化量を指標とした(n=3の平均値。マイナスは光量ダウンを示す)。
耐湿熱性:同様にして温度85℃、湿度90%にて評価した。
曲げ損失:660nmLEDを使用し、金属製半径10mmの棒に360度巻き付けた時の光量を測定してその前後での減少量を指標とした(n=3の平均値)。
密着力:1次被覆コード90mmから第1被覆層を60mm剥離してファイバを露出し、ファイバ径+0.1mmの径の穴をあけた金属板にファイバを通し、一般市販の引張試験機にて引張速度50mm/分でファイバを引き抜き、n=20の降伏点強力の最低値を密着力として示した。尚、2層被覆構造の場合は第2被覆層を除去した後、上記方法にて測定を実施した。
屈折率:測定装置としてアッベ屈折率計を使用して、室温25℃雰囲気にて測定した。
連続屈曲回数:1次被覆コードの一端に500gの荷重をかけ、直径30mmφのマンドレルで支持し、その支持点を中心にファイバの他端を角度90°で連続的に屈曲させて、コードが切断するまでの回数を測定した。(n=5の平均値)
メルトフローレート(MFR):日本工業規格JIS K7210に準じて、265℃、荷重5.0kg、ノズル径2mm、長さ8mmの条件下で、ノズルから10分間に吐出される量を測定した。
[実施例1]
クラッド材として表1に示す組成のエチレン(Et)/テトラフルオロエチレン(4F)/ヘキサフルオロプロピレン(6F)共重合体(屈折率1.39)を複合紡糸機に供給した。さらに、連続魂状重合によって製造したPMMA((屈折率1.492)をコア材として複合紡糸機に供給して、235℃にてコア、クラッドを芯鞘複合溶融紡糸し、ファイバ径1000μm(コア径980μm、クラッド厚10.0μm)のプラスチック光ファイバを得た。
クラッド材として表1に示す組成のエチレン(Et)/テトラフルオロエチレン(4F)/ヘキサフルオロプロピレン(6F)共重合体(屈折率1.39)を複合紡糸機に供給した。さらに、連続魂状重合によって製造したPMMA((屈折率1.492)をコア材として複合紡糸機に供給して、235℃にてコア、クラッドを芯鞘複合溶融紡糸し、ファイバ径1000μm(コア径980μm、クラッド厚10.0μm)のプラスチック光ファイバを得た。
さらに、引張降伏点強度41MPa、曲げ弾性率1.3GPa、荷重たわみ温度145℃のナイロン12樹脂(ダイセルエボニック社製;ダイアミドL1640)にカーボンブラックを0.25重量%入れ、電線被覆方式で200℃にて被覆して外径1.5mmのプラスチック光ファイバコードとした。
こうして得られたプラスチック光ファイバコードを前記の評価方法により評価し、その結果を表2に示した。表2からわかるように、密着力、透光性、繰り返し屈曲性、耐熱性、耐湿熱性、曲げ損失がいずれも優れていた。
[実施例2〜5および比較例1〜3]
第1クラッドを表1のとおりに変更した(ただし、ファイバ径をすべて1000μmに統一)以外は実施例1と同様にしてプラスチック光ファイバコードを得た。これらのプラスチック光ファイバコードを使用して実施例1と同じ評価を行い、その結果を表2に示した。
第1クラッドを表1のとおりに変更した(ただし、ファイバ径をすべて1000μmに統一)以外は実施例1と同様にしてプラスチック光ファイバコードを得た。これらのプラスチック光ファイバコードを使用して実施例1と同じ評価を行い、その結果を表2に示した。
本発明の実施例2〜5は、透光性や密着力、耐屈曲性、耐熱性、耐湿熱性、耐曲げ特性がいずれも優れていた。一方、クラッド組成等が異なる比較例1〜3については、透光性や密着力、耐屈曲性、耐熱性、その他の物性バランスが悪かった。
[実施例6、7および比較例4]
第1クラッド/第2クラッドを表1のとおりに変更した(ただし、ファイバ径をすべて1000μmに統一)以外は実施例1と同様にしてプラスチック光ファイバコードを得た。前記第1被覆を行った後、さらに、第2被覆材として引張降伏点強度15MPa、ショアD硬度56、荷重たわみ温度75℃のポリエーテルを柔軟成分としたナイロン12系エラストマーを、電線被覆方式で200℃にて被覆して外径2.3mmの2層被覆コードとした。これらのプラスチック光ファイバコードを使用して実施例1と同じ評価を行い、その結果を表2に示した。
第1クラッド/第2クラッドを表1のとおりに変更した(ただし、ファイバ径をすべて1000μmに統一)以外は実施例1と同様にしてプラスチック光ファイバコードを得た。前記第1被覆を行った後、さらに、第2被覆材として引張降伏点強度15MPa、ショアD硬度56、荷重たわみ温度75℃のポリエーテルを柔軟成分としたナイロン12系エラストマーを、電線被覆方式で200℃にて被覆して外径2.3mmの2層被覆コードとした。これらのプラスチック光ファイバコードを使用して実施例1と同じ評価を行い、その結果を表2に示した。
本発明の実施例6、7は透光性や密着力、耐屈曲性、耐熱性、耐湿熱性、耐曲げ特性がいずれも優れていた。一方、クラッド組成等が異なる比較例4については、透光性や密着力、耐屈曲性、耐熱性、その他の物性バランスが悪かった。
PMMA :ポリメチルメタクリレ−ト
MMA :メタクリル酸メチル
Et :エチレン
3FM :2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレ−ト
4FM :2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレ−ト
5FM :2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピリメタクリレ−ト
17FM :1,1,2,2−テトラヒドロパーフルオロデシルメタクリレ−ト
2F :フッ化ビニリデン
4F :テトラフルオロエチレン
6F :ヘキサフルオロプロピレン
FVE :ヘプタフルオロプロピルビニルエーテル
MMA :メタクリル酸メチル
Et :エチレン
3FM :2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレ−ト
4FM :2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレ−ト
5FM :2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピリメタクリレ−ト
17FM :1,1,2,2−テトラヒドロパーフルオロデシルメタクリレ−ト
2F :フッ化ビニリデン
4F :テトラフルオロエチレン
6F :ヘキサフルオロプロピレン
FVE :ヘプタフルオロプロピルビニルエーテル
Claims (11)
- メチルメタクリレートを主成分とする重合体からなるコアと該コアの外周にコアの屈折率より小さい屈折率を有する有機重合体からなる少なくとも1層のクラッドを有するコア/クラッド構造のプラスチック光ファイバであって、該クラッドは、エチレン10〜35重量%とテトラフルオロエチレン45〜70重量%とヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%と他の共重合可能な成分0〜10重量%からなる層を有するプラスチック光ファイバ。
- エチレン10〜35重量%とテトラフルオロエチレン45〜70重量%とヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%と他の共重合可能な成分0〜10重量%からなる層が最外層である請求項1に記載のプラスチック光ファイバ。
- クラッドが、エチレン10〜35重量%とテトラフルオロエチレン45〜70重量%とヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%と他の共重合可能な成分0〜10重量%からなり、かつ、ポリマー鎖末端または側鎖にカルボニル基含有官能基を有する共重合体からなる請求項1または2に記載のプラスチック光ファイバ。
- コア/第1クラッド/第2クラッドの3層構造である請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチック光ファイバ。
- 前記第1クラッドが
CH2=C(CH3)−COO(CH2)m(CF2)nR
(但し、Rはフッ素原子又は水素原子、mは1または2、nは1から10の整数を表す。)
で示されるパーフルオロアルキルメタクリレート60〜95重量%、およびメチルメタクリレ−ト5〜40重量%を共重合成分として含有する共重合体からなる請求項4に記載のプラスチック光ファイバ。 - 前記第1クラッドが
CH2=C(CH3)−COOCH2(CF2)nR
(但し、Rはフッ素原子又は水素原子、nは1から4の整数を表す。)
で示されるパーフルオロアルキルメタクリレート60〜95重量%、およびメチルメタクリレ−ト5〜40重量%を共重合成分として含有する共重合体からなる請求項4に記載のプラスチック光ファイバ。 - 請求項1〜6のいずれかに記載のプラスチック光ファイバの外周に少なくとも1層以上の被覆層を有し、該被覆層が熱可塑性樹脂からなるプラスチック光ファイバコード。
- 前記被覆層が第1被覆層および第2被覆層の2層構造からなる請求項7に記載のプラスチック光ファイバコード。
- 前記第1被覆層がポリアミドを主成分とする樹脂である請求項8に記載のプラスチック光ファイバコード。
- 前記ポリアミドを主成分とする樹脂がナイロン12を主成分とする樹脂である請求項
9に記載のプラスチック光ファイバコード。 - 前記第2被覆層がポリアミドおよび/または熱可塑性エラストマーよりなる請求項8〜10のいずれかに記載のプラスチック光ファイバコード。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008270603A JP2010101932A (ja) | 2008-10-21 | 2008-10-21 | プラスチック光ファイバ、および、プラスチック光ファイバコード |
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JP2008270603A JP2010101932A (ja) | 2008-10-21 | 2008-10-21 | プラスチック光ファイバ、および、プラスチック光ファイバコード |
Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2008270603A Pending JP2010101932A (ja) | 2008-10-21 | 2008-10-21 | プラスチック光ファイバ、および、プラスチック光ファイバコード |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012027304A (ja) * | 2010-07-26 | 2012-02-09 | Asahi Kasei E-Materials Corp | プラスチック光ファイバ素線及びケーブル |
JP2012198424A (ja) * | 2011-03-22 | 2012-10-18 | Asahi Kasei E-Materials Corp | 多芯プラスチック光ファイバ素線及びケーブル |
-
2008
- 2008-10-21 JP JP2008270603A patent/JP2010101932A/ja active Pending
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