JP4245513B2 - プラスチック光ファイバケーブル、及びプラグ付きプラスチック光ファイバケーブル - Google Patents

プラスチック光ファイバケーブル、及びプラグ付きプラスチック光ファイバケーブル Download PDF

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Description

本発明は、自動車等の移動体内における光情報通信に好適なプラスチック光ファイバケーブルに関し、特に、被覆層との密着性が良好で、耐熱安定性、耐屈曲性に優れたプラスチック光ファイバケーブルに関するものである。
従来、光ファイバとしては、広い波長領域にわたって優れた光伝送を行うことができる石英系光ファイバが幹線系を中心に実用化されているが、この石英系光ファイバは高価で加工性が低い。そのため、より安価、軽量、大口径であり、端面加工や取り扱いが容易である等の長所を有するプラスチック光ファイバ(以下「POF」と略する)が開発され、ライティングやセンサー等の分野や、FA、OA、LAN等の屋内配線、自動車内LAN等の移動体内配線等の短・中距離通信用途の分野で実用化されている。
上記POFの大部分は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート系樹脂をコア材とし、含フッ素共重合体をクラッド材とするとするコア−クラッド(芯−鞘)構造からなるステップインデックス型光ファイバである。
上記の通信用POFは一般に、その外周が被覆層により被覆されたPOFケーブルの形態で用いられ、POFケーブルの端部にプラグを固定したプラグ付きPOFケーブルの形態で用いられることもある。
ここで、自動車内LANの用途に使用されるPOFケーブルは、85℃から100℃を超えるような高温環境下に敷設されるため、耐熱安定性が要求される。また、オイルや電解液、ガソリン等の引火性物質の存在する環境下で使用されるため、被覆層を構成する被覆材には、耐熱安定性に優れることに加えて、耐薬品性、難燃性に優れることが要求される。現在市販されている自動車用POFケーブルにおいては、POFケーブルに耐薬品性、耐熱安定性等を付与することを目的として、被覆材としてナイロン11やナイロン12等のポリアミド系樹脂が使用されている。
また、自動車内LANに使用されるPOFケーブルには、下記の3つの理由で、POFと被覆層との密着性が高いことも要求される。
一つ目の理由として、POFケーブルの末端にプラグ等を固定する端末処理を行う場合、POFと被覆層とが強固に密着していれば、被覆層上からプラグ等を締め付けて固定できるので、端末処理を簡略化できることが挙げられる。被覆層上からプラグ等を固定できることは、POF保護の観点からも好ましい。
また、二つ目の理由として、POFケーブルは繰り返し屈曲や振動の作用を受けるため、POFのコアとクラッド間や、クラッドと被覆層間で剥離が発生し、光損失が大きくなる恐れがあるが、POFと被覆層との密着性が高ければ、POFを繰り返し屈曲や振動から保護することができることが挙げられる。
さらに、三つ目の理由として、自動車内環境のような、高温下では、POFに熱膨張・熱収縮等の形態変化が生じ、その結果、被覆層に対してPOFの突き出しや引っ込み(ピストニング)が生じる場合がある。ピストニングが生じると、光源あるいは受光素子とPOFケーブル端面との距離が変化して光損失が大きくなり、POFから出射される光量が変動してシステムに障害が生じる恐れがある。POFと被覆層との密着性が高ければ、POFケーブルのピストニングを抑制することができる。
以上のような理由から、自動車内LANで用いられるPOFケーブルでは、POFと被覆層との密着性を改善することを目的として、被覆層を構成するポリアミド系樹脂を改質したり、POFと被覆層の間に密着層を設けて、密着性を向上させる技術が提案されている。
例えば、特許文献1(WO00/60382号パンフレット)には、コア材がPMMAからなり、クラッド材がフッ素含有樹脂からなるPOFの外周部に、カルボキシル末端基濃度が最大15μeq/gであり、アミノ末端基濃度が50〜300μeq/gの範囲にある改質ポリアミドまたはポリアミド共重合体からなる被覆層を備え、該被覆層がクラッドに対して自己接着状態で接合したPOFケーブルが提案されている。
特許文献2(WO01/40841号パンフレット)には、POFの外周に、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、グルタル酸無水物などの有機酸無水物や、メタクリル酸、マレイン酸等の有機酸を含有するポリアミド系樹脂からなる一次被覆層を備えたPOFケーブルにより、POFと被覆層との密着性を高めピストニングを抑えることが提案されている。
特許文献3(特開2000−249879号公報)には、POFの外周に、酸無水物構造又はカルボキシル基を有するポリマーを含有する樹脂組成物からなる密着層を備え、さらにその外周に、ナイロン12からなる被覆層を備えたPOFケーブルが開示されている。
WO00/60382号パンフレット WO01/40841号パンフレット 特開2000−249879号公報
特許文献1に開示されているように、特定濃度のカルボキシル末端基およびアミノ末端基を有するポリアミド系樹脂からなる被覆層を、自己接着状態でクラッドに接合させるには、ベースとなるポリアミド系樹脂に末端アミノ基を有する低分子のオリゴマーを添加・混合する必要があり、高温環境下では、オリゴマーのブリーデイングによりPOFの光伝送特性が低下する問題がある。さらに、クラッドを構成するフッ素含有樹脂がフッ化ビニリデン(VdF)単位を一定量以上含有していることが必要であり、この技術を適用できるクラッド材の種類が限られる。加えて、VdF単位の含有量が多くなる程、クラッド材の熱変形温度やガラス転移点が低下するためPOFの耐熱性が低下する。また、VdF単位の含有量が多くなる程、クラッド材の屈折率を下げることが難しくなるため、POFが小さい曲率半径で曲げられた際にも曲げ光量損失が少ない高開口数のPOFを得ることが困難になる。
特許文献2に開示されているように、被覆層を有機酸無水物や有機酸を含有するポリアミド系樹脂により構成した場合、POFと被覆層との密着性をある程度は改善させることができるものの、有機酸無水物をポリアミド系樹脂に混合する工程が必要になるため、製造作業上の負担が増え、生産性に劣る。
また、特許文献3に開示されているように、密着層を、酸無水物構造またはカルボン酸基を有するメタクリレート系共重合体とVdF系樹脂との混合物や、VdF系樹脂に無水マレイン酸を反応させて変性させた樹脂から構成する場合も、POFと被覆層との密着性をある程度は改善させることができるものの、混合工程や変性工程が必要になるため、製造作業上の負担が増え、生産性に劣る。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高い光伝送特性を有しながら、POFと被覆層との密着性が高く、耐熱安定性に優れ、生産性にも優れたPOFケーブルを提供することを目的とする。
すなわち、本発明のプラスチック光ファイバケーブルは、
コアと、該コアの外周に形成された少なくとも1層以上のクラッドを有するプラスチック光ファイバの外周にポリアミド系樹脂からなる被覆層を設けたプラスチック光ファイバケーブルであって、
前記クラッドは、下記一般式(I)
12C=CR34 (I)
(式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜24のフルオロアルキル基、フルオロアルキルエーテル基またはフルオロアルコキシフルオロアルキルエーテル基であり、これらの少なくとも1つはフッ素原子又は含フッ素基である)
で表される含フッ素不飽和化合物の単量体単位(a)と、
下記一般式(II−a)、(II−b)
56C=CR7COOR8 (II−a)
8OOCR6C=CR7COOR8 (II−b)
(式中、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフルオロアルキル基であり、R8は水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜6のアルキル基又はフルオロアルキル基である)
のいずれかで表される不飽和カルボン酸、その塩又はエステルの単量体単位(b)と、
を含む含フッ素共重合体(X)からなる層を少なくとも最外層に有し、
単量体単位(a)と単量体単位(b)の合計を100質量%としたとき、単量体単位(a)の含有量が90〜99.8質量%の範囲にあり、単量体単位(b)の含有量が0.2〜10質量%の範囲にあることを特徴とする。
前記含フッ素共重合体(X)は、単量体単位(a)として、
テトラフオロエチレンの単位30〜85質量%と、
下記一般式(III)
CF2=CF−(OCF2CF(CF3))aO−Rf (III)
(式中、Rfは炭素原子数が1〜8個のアルキル基もしくはフルオロアルキル基又はアルコキシルアルキル基もしくはフルオロアルコキシルアルキル基を示し、aは0〜3の整数である。)
で表されるフルオロビニル化合物の単位3〜45質量%と、
フッ化ビニリデンの単位1〜35質量%を含有することが好ましい。
前記単量体単位(b)が、メタクリル酸の単位であることが好ましい。
前記被覆層が、ナイロン11、ナイロン12又はこれらの共重合体を主成分とする樹脂からなることが好ましい。
プラスチック光ファイバと被覆層との間の引抜強度が20N以上であることが好ましい。
さらに、本発明のプラグ付きプラスチック光ファイバケーブルは、プラスチック光ファイバケーブルの少なくとも一端において前記被覆層にプラグが固定されていることを特徴とする。
本発明によれば、光伝送特性が良好で、且つ被覆層との密着性の高いPOFを提供することができ、POFと被覆層との密着性が高く、耐熱安定性(耐ピストニング特性等)に優れ、生産性にも優れたPOFケーブルを提供することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明のPOFは、コアと、その外周に形成された少なくとも1層以上のクラッドを有する。コアとクラッドからなるPOFの外周に少なくとも一層の被覆層を設けることでPOFケーブルを形成することができる。
コアを構成する材料(コア材)としては、特に限定されるものではないが、透光性に優れることから、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、又は1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチル(MMA)との共重合体が用いられる。このような共重合体としては、透明性を十分に確保する点から、メタクリル酸メチル単位の含有量は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
コア材を構成するMMA以外の共重合成分としては、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステル等のPOF用コア材として、これまで提案されている材料を適宜選択することができる。具体的には、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸芳香族エステル;(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸(1−メチルトリシクロヘプチル)、(メタ)アクリル酸(1−メチルヘキサシクロドデシル)等の脂環式基を有する(メタ)アクリル酸脂環式エステル;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミド;α−メチレン−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−エチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−シクロヘキシル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β−エチル−γ−ブチロラクトン等のγ−ブチロラクトン系化合物を、POFに要求される特性に応じて、所望の物性を損なわない範囲で適宜選択できる。
POFに100℃付近での長期耐熱性が要求される場合には、PMMAがPOFの透光性と機械的強度のバランスに優れていることから、コア材として特に好ましい。
また、POFにさらに高い耐熱性が要求される場合には、コア材として、ポリカーボネート系樹脂や環状ポリオレフィン系樹脂を用いてもよい。ポリカーボネート系樹脂や環状ポリオレフィン系樹脂は、公知のものを使用できる。
クラッドは、単層と多層のいずれであってもよいが、少なくともクラッドの最外層は、ポリアミド系樹脂等を主成分とする被覆層に対して高い密着性を発現することが必要であるとともに、低屈折率であり、良好な透明性を有し、耐屈曲性および加工性に優れる重合体を用いることが好ましい。さらに、長期間、高温環境下で使用されても、POFと被覆層との密着性が低下しにくいことも必要である。
このような特性を有する重合体として、本発明では、下記一般式(I)
12C=CR34 (I)
(式中、R1,R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜24のフルオロアルキル基、フルオロアルキルエーテル基またはフルオロアルコキシフルオロアルキルエーテル基であり、これらの少なくとも1つはフッ素原子又は含フッ素基である)
で表される含フッ素不飽和化合物の単量体単位(a)と、
下記一般式(II−a)、(II−b)
56C=CR7COOR8 (II−a)
8OOCR6C=CR7COOR8 (II−b)
(式中、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフルオロアルキル基であり、R8は水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜6のアルキル基又はフルオロアルキル基である)
のいずれかで表される不飽和カルボン酸、その塩又はエステルの単量体単位(b)(以下「不飽和系カルボン酸単位(b)」と略する)とを含む含フッ素共重合体(X)を用いる。なお、含フッ素共重合体(X)は、単量体単位(a)及び単量体単位(b)としてそれぞれ1種又は複数種の単量体単位を含むことができる。
含フッ素共重合体(X)を構成する含フッ素不飽和化合物の単量体単位(a)と不飽和系カルボン酸単位(b)の合計を100質量%とした時、含フッ素不飽和化合物の単量体単位(a)の含有量を90〜99.8質量%とし、不飽和系カルボン酸単位(b)の含有量を0.2〜10質量%とすることが好ましく、含フッ素不飽和化合物の単量体単位(a)の含有量を92〜99.5質量%とし、不飽和系カルボン酸単位(b)の含有量を0.5〜8質量%とすることがさらに好ましい。不飽和系カルボン酸単位(b)の含有量が少なすぎると、POFと被覆層との密着性向上効果が低下し、耐熱安定性が低下する傾向にあり、多すぎると、含フッ素共重合体(X)の透明性や成形安定性が低下する傾向がある。
不飽和系カルボン酸単位(b)は、POFと被覆層とを強固に密着するための成分であり、一般式(II−a)、(II−b)のいずれかで表される、カルボキシル基、カルボキシルエステル基の少なくともどちらかの基を含有する単量体の単位であり、1種または2種以上含むことができる。
一般式(II−a)で表される単量体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体等を挙げることができる。(メタ)アクリル酸誘導体としては、(メタ)アクリル酸エステルや、(メタ)アクリル酸のフッ素化誘導体、(メタ)アクリル酸のナトリウム塩やカリウム塩等を挙げることができる。
具体的には、(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−(3−ヒドロキシプロピル)等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等を挙げることができる。
一般式(II−b)で表される単量体としては、具体的には、マレイン酸やフマル酸等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上述した単量体単位(b)を形成する不飽和系カルボン酸の中でも、下記一般式
CH2=CCH3COOR8
(式中、R8は水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜6のアルキル基又はフルオロアルキル基である)
で表されるメタアクリル酸及びその誘導体が、含フッ素共重合体(X)の重合性やPOFと被覆層との密着性の点から好ましく、特にメタアクリル酸は、安価であり、含フッ素不飽和化合物との共重合性も良く、含フッ素共重合体(X)中に少量を共重合することによってPOFと被覆層との密着性を向上できる点から好ましい。
一方、含フッ素不飽和化合物の単量体単位(a)は、含フッ素共重合体(X)の耐熱性、屈折率、成形安定性、溶融流動性等を調整するための成分であり、前記一般式(I)で表される少なくとも1種の単量体の単位を含むことができ、下記一般式
CF2=CR12
(R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜24のフルオロアルキル基、フルオロアルキルエーテル基またはフルオロアルコキシフルオロアルキルエーテル基である。)
で表される含フッ素不飽和化合物の単位を含むことが好ましい。
上記含フッ素不飽和化合物としては、具体的には、フッ化ビニリデン(VdF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、オクタフルオロプロピレン、あるいは、パーフル(フルオロ)メチルビニルエーテル、パーフルオロ(フルオロ)エチルビニルエーテル、パーフルオロ(フルオロ)プロピルビニルエーテル等のパーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテル等が挙げられる。
POFに高い光伝送特性、耐熱性、低曲げ損失が要求される場合には、含フッ素共重合体(X)を構成する含フッ素不飽和化合物の単量体単位(a)として、VdF単位とTFE単位と、下記一般式(III)
CF2=CF−(OCF2CF(CF3))aO−Rf (III)
(式中、Rfは炭素原子数が1〜8個のアルキル基もしくはフルオロアルキル基又はアルコキシルアルキル基もしくはフルオロアルコキシルアルキル基を示し、aは0〜3の整数である。)
で示されるパーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテル(以下適宜「FVE」と略する)の単位とを用いることが好ましい。
このFVE単位としては、下記一般式(IV)〜(VII)
CF2=CFO(CF2n−OCF3 (IV)
(式中、nは1〜3の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nO(CF2mCF3 (V)
(式中、nは0〜3の整数、mは0〜3の整数)
CF2=CFO(CH2n(CF2mCF3 (VI)
(式中、nは1〜3の整数、mは0〜3の整数)
CF2=CFO(CH2nCH3 (VII)
(式中、nは0〜3の整数)
の何れかで表される化合物の単位であることが好ましい。
このFVE単位としては、CF2=CFOCF3、CF2=CFOCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF3、CF2=CFOCH2CF3、CF2=CFOCH2CF2CF3、CF2=CFOCH2CF2CF2CF3、CF2=CFOCH3、CF2=CFOCH2CH3及びCF2=CFOCH2CH2CH3からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物の単位であることが、原料の低コストの点から好ましい。
このようなFVE単位は、フルオロアルキル基等の側鎖基が、酸素原子を介して主鎖(−CF2−CF−)に結合しており、その炭素−酸素結合(C−O)は、熱的にも化学的にも、炭素−フッ素結合(C−F)と同程度の安定性を有している(里川孝臣著、「ふっ素樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社発行、1990年、p.285)。しかも、FVE単位では、フルオロアルキル基等の側鎖基が酸素(−O−)を介して主鎖に結合しているため、側鎖基がかなり大きくても、側鎖基に起因する構造的な不安定性の要因が回避されており、熱的にも化学的にも安定である特徴がある。
上記の特徴に加えて、FVE単位は、フルオロアルキル基等の側鎖基がエーテル結合を介して主鎖(−CF2−CF−)に結合しているため、側鎖基の運動性が大きく、また嵩高い構造を有している。そのため、FVE単位を含有することで、TFEの共重合体が有している結晶性や融点、溶融粘度を大きく低減でき、さらに屈折率も低下させることができる。
含フッ素不飽和化合物の単量体単位(a)としてVdF単位、TFE単位およびFVE単位を含む場合、各単位の含有割合(含フッ素共重合体(X)中での含有割合)は、含フッ素不飽和化合物の単量体単位(a)と不飽和系カルボン酸単位(b)の合計を100質量%とした時、VdFが1〜35質量%、TFEが30〜85質量%、FVE単位が3〜45質量%であることが好ましい。
共重合体(X)中のVdF単位の含有量が多すぎると、低屈折率にすることが困難となったり、熱変形温度が低下するため耐熱性が低下する傾向がある。一方、少なすぎると、下地層(コア又は第1クラッド)との密着性が低下する傾向がある。よって、共重合体(X)中のVdF単位の含有率は1〜35質量%の範囲にあることが好ましく、5〜25質量%の範囲がより好ましい。
共重合体(X)中のTFE単位の含有量が多すぎると、溶融粘度が高くなり成形安定性が低下する傾向や、結晶性が高くなり白濁する傾向がある。一方、少なすぎると、硬度および耐熱性が低下する傾向がある。よって、共重合体(X)中のTFE単位の含有率は30〜85質量%の範囲にあることが好ましく、50〜80質量%の範囲がより好ましい。
共重合体(X)中のFVE単位の含有量が多すぎると、FVE単位中のエーテル結合部分に含まれる酸素原子の存在により、吸水性が高くなる傾向があるため、POFの耐熱性が低下する傾向がある。また、共重合体(X)のエラストマー性が高くなる傾向があるため、POFの成形性安定性が低下する傾向がある。さらに、FVE単位の含有量が多すぎる上記共重合体(X)をクラッドの最外層に用いたPOFは、表面のべた付きが大きくなる傾向があり、そのためPOFを紡糸して巻き取ったボビンからPOFを解き取りにくくなる傾向がある。一方、FVE単位の含有量が少なすぎると、結晶性の低減による流動性の改善効果が低下する傾向がある。よって、共重合体(X)中のFVE単位の含有量は3〜45質量%の範囲にあることが好ましく、5〜25質量%の範囲にあることがより好ましい。
含フッ素共重合体(X)の屈折率は、1.42以下が好ましく、1.38以下がより好ましく、1.36以下がさらに好ましい。このような屈折率の共重合体(X)をクラッドの少なくとも最外層に用いることで、POFの開口数が小さくなるため、例えばワイヤーハーネス類と束ねられて自動車内に配設されるときのように、半径10mm以下で屈曲された場合においても、曲げ光量損失の少ないPOFを得ることが可能となる。なお、上記共重合体(X)は、屈折率が小さくなる程、フルオロビニル化合物の単位を多く含有するため、エラストマー性が高くなる傾向にあり、溶融紡糸安定性が低下したり、POFをボビンに巻き取る際に、POF同士が密着する傾向がある。したがって屈折率の下限は1.32以上が好ましく、1.33以上がより好ましく、1.335以上であることが特に好ましい。なお、本発明において、屈折率はナトリウムD線により、室温25℃の環境下において測定した値である。
また、含フッ素共重合体(X)は、POFの成形安定性の点から、230℃、荷重5kgf(49N)で測定したメルトフローインデックス(MFR)が、2〜100g/10分の範囲にあることが好ましく、10〜70g/10分の範囲にあることがより好ましく、15〜60g/10分の範囲にあることがさらに好ましい。MFRは、共重合体の重合時に分子量を調整したり、低分子量の共重合体を適当量添加することで、適宜調整できる。
さらに、含フッ素共重合体(X)は、POFの溶融紡糸時の紡糸安定性の点から、結晶融点が125〜230℃の範囲にあることが好ましく、150〜190℃の範囲にあることが耐熱性向上の点からより好ましい。結晶融点が高すぎると、PMMAやPC系樹脂等からなるコアを備えたPOFの一般的な紡糸温度付近での成形が困難になる傾向がある。結晶融点は、共重合体中を構成する単量体の組成比を選ぶことにより適宜調整できる。
また、含フッ素共重合体(X)は、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が59以下であるものが好ましく、55以下であるものがより好ましく、50以下のものであることがさらに好ましい。このようなショアD硬度を有する共重合体でクラッドの最外層を形成すると、POFと被覆層との密着性を向上でき、POFケーブルのピストニングを抑制することができる。
含フッ素共重合体(X)の重合方法としては、懸濁重合法や乳化重合法、あるいは圧力が約40MPaから約700MPa、温度が約200℃から400℃の条件下でフリーラジカル反応を用いて行う高温高圧重合法など、公知の方法を用いることができる。特に、POFの開口角を大きくするため、屈折率を十分低くすることを目的として、FVE単位の含有量が25質量%より多い組成にしたい場合は、高温高圧重合法が好適である。
以上説明したように、含フッ素共重合体(X)は、被覆層との密着性に優れるとともに、低屈折率でありながら結晶性が低いため、透明性、成形安定性にも優れるため、これを少なくともクラッドの最外層として用いることにより、光伝送特性に優れ、自動車内LAN等に適したPOFを提供することができる。
本発明のPOFにおけるクラッドは、1層で形成されていても、2層以上の複数層から形成されても良いが、少なくとも最外層に位置するクラッド層は、含フッ素共重合体(X)を用いることが必要である。
クラッドが複数層から形成される場合、製造コストを低減する観点から、第1クラッドの外周に、第2クラッドを同心円状に設けた2層構造とし、第2クラッドとして上記含フッ素共重合体(X)を用いることが好ましい。
クラッドがこのような2層構造を有する場合、ナトリウムD線による25℃における、コアの屈折率n1、第1クラッドの屈折率n2、第2クラッドの屈折率n3の関係は、POFの曲げ光量損失を低減する点から、下記の関係式(1)
1>n2>n3 (1)
を満たすことが好ましい。
上記の関係式(1)を満たすことにより、POFが屈曲されて第1クラッドから光が漏れても、その漏れた光を第2クラッドで反射させることができ、POFの曲げ光量損失を低減できる。
クラッドを2層構造とする場合、クラッドの第1層(内層)を構成する材料については適宜設計することができる。
第1クラッドに用いられる重合体としては、例えば、良好な透明性および耐熱性を有しながら、屈曲性および加工性に優れる重合体として、下記一般式(VIII)
CH2=CX−COO(CH2m(CF2nY (VIII)
(式中、Xは水素原子又はフッ素原子又はメチル基、Yは水素原子又はフッ素原子を示し、mは1又は2、nは1〜12の整数を示す。)
で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートの単位(A)15〜90質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(B)10〜85質量%からなり、屈折率が1.39〜1.475の範囲にある共重合体を用いることができる。
なお、他の共重合可能な単量体の単位(B)としては、POFが使用される用途に応じて、単量体を適宜選択して共重合することができる。このような単量体は特に限定されないが、POFの機械的強度を向上する場合には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、POFの耐(湿)熱性を向上する場合には、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等のメタクリル酸芳香族エステル;(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸(1−メチルトリシクロヘプチル)、(メタ)アクリル酸(1−メチルヘキサシクロドデシル)等の脂環式基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸脂環式エステル;(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロイソブチル等の分岐状フッ素化アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸フッ素化エステル;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミド;α−メチレン−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ、γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−エチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−シクロヘキシル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β、β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β−エチル−γ−ブチロラクトン等のγ−ブチロラクトン化合物等から少なくとも1種類以上の単量体を適宜選択できる。これらの単量体は、重合体の屈折率や透明性、機械的強度、耐熱分解性等が、POFの使用用途に要求される物性を損なわないような配合比、重合方法で共重合すればよい。
本発明のPOFケーブルは、以上に説明した本発明のPOFの外周に被覆層を配設したものである。
被覆層を構成する被覆材としては、POFケーブルの被覆層として一般に用いられている種々の熱可塑性樹脂を主成分として構成することができるが、ポリアミド系樹脂が、上述した含フッ素共重合体(X)との密着性に優れ、さらに耐熱性、耐屈曲性、耐溶剤特性に優れることから、耐熱性および耐環境特性を要求される自動車内LAN用のPOFケーブルの被覆材として好適である。また、加工性が良く、適度な融点を有しているため、POFの光伝送特性を低下させることなく、容易にPOFを被覆することができる。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66等の単独重合体や、これらの単量体単位の組み合わせからなる共重合体、柔軟なセグメントを導入したナイロン系エラストマー等が挙げられる。これらは1種を単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良く、また、必要に応じて、ポリアミド系樹脂以外の重合体や化合物を添加して使用することもできる。他の重合体や化合物などの他成分を配合する場合には、ポリアミド系樹脂の含有量が20質量%以上、好ましくは50質量%以上となるように、所望の効果が得られる範囲内で他成分を添加することが好ましい。
ポリアミド系樹脂の中では、特に、ナイロン11又はナイロン12、あるいはこれらの単量体単位の組み合わせからなる共重合体が好ましい。これらは被覆工程における成形性が良好で、POFに熱的および機械的なダメージを与えにくく、POFとの密着性や寸法安定性にも優れる。このような密着性と寸法安定性との相乗効果により、ピストニングを効果的に防止することができる。
最外層のクラッドと被覆層との密着性をより十分なものとするために、被覆層に、末端アミノ基の含有量が30〜300μeq/gの範囲にあるポリアミド系樹脂を用いることもできる。末端アミノ基の含有量が高すぎると樹脂の流動性が低下したり、POFケーブル表面の平滑性が低下するおそれがある。このような樹脂としては、例えば、市販品ではEMS社製のGrilamide−L16A(商品名)等が挙げられる。
以上のようにして得られた、POFの外側に被覆層を有するPOFケーブルは、POFと被覆層との間の引抜強度が20N以上のPOFケーブルを提供することができる。本発明においては、POFと被覆層との間の引抜強度は、好ましくは20N以上、より好ましくは30N以上、さらに好ましくは40N以上である。このように本発明のPOFケーブルでは、POFと被覆層との間の引抜強度が20N以上となり、POFと被覆層との密着性が十分に強いため、耐熱安定性に加え、振動などの機械的作用によって、強固に固定化されたコネクタ部の端部等におけるPOFの破断を防止することができる。
なお、本発明のPOFケーブルでは、POFへの外光の入射を防止するために、被覆層にカーボンブラック等の遮光剤を含有させることもできる。また、POFケーブルの識別性、意匠性を高めるために、被覆層に着色剤を含有させることもできる。その他、被覆層に難燃性を付与あるいは向上するために、難燃剤を含有させてもよい。
また、本発明のPOFケーブルでは、上述したPOFケーブルの少なくとも一端に、プラグを接続、固定することにより、プラグ付きPOFケーブルとすることができる。このようにプラグを接続、固定することにより、信号源である光源、検知器に組み込まれたユニットのハウジング、別のPOFケーブル等と容易に接続することができる。プラグの形態には特に制限はなく、POFケーブルを挿入する挿入孔が形成されたプラグ本体と、POFケーブルをこのプラグ本体に固定するためのストッパを備えたものなどが使用できる。また、POFケーブルとプラグとの接続は、プラグを接続する端部の被覆層にプラグを固定する方法などで行うことができる。
このようなプラグ付きPOFケーブルによれば、POFケーブルとして、上述したように特にピストニングが抑制されたものが使用されているので、高温環境下で他の機器などと接続して使用した場合にも、高い性能を安定に維持できる。
以上説明したように、本発明によれば、クラッドの最外層を特定の含フッ素共重合体(X)により構成することにより、POFと被覆層との間に、密着層を設けたり、クラッドの最外層又は被覆層に密着性を向上させる成分を添加・混合しなくても、POFと被覆層とは強固に密着した状態となる。これによって、高温環境下におけるピストニングを抑制したり、POFケーブルの末端にプラグ等を固定する端末処理を簡略化できたり、POFを振動から保護できる等の効果を得ることができる。
以下実施例により本発明をより具体的に説明する。なお、実施例における評価、測定は以下の方法により実施した。
(MFR)
MFRは、日本工業規格JIS K7210に準じて測定した。230℃、荷重5kgf(49N)の条件下で直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に吐出される重合体量を測定した。
(ショアD硬度)
ASTM D2240に準拠して測定した。高分子計器(株)ASKER CL−150を用いた。
(屈折率)
溶融プレスにより厚さ200μmのフィルム状の試験片を形成し、アッベの屈折計を用い、25℃におけるナトリウムD線の屈折率(nD 25)を測定した。
(伝送損失)
25m−5mカットバック法により伝送損失(dB/km)を測定した。測定波長が650nm、入射光のNA(開口数)が、0.1、0.65の光を用いた。
(熱収縮率)
試長間距離を1mとしたPOF、またはPOFケーブルを105℃の乾燥機内でつり下げ、24時間後の試長間距離の変化量を測定し、最初の試長(1m)で割り返し、POFの繊維軸方向の収縮率を求めた。
(被覆層の引抜強度)
被覆層の引抜強度(剥離強度)は、図1に示すように、POFケーブル10を保持する治具12と、治具12の一端部に形成された突起14を把持するチャック8と、POFケーブル10の剥離部分5を把持するチャック7とを備えた測定装置20を用いて測定した。治具12には、POFケーブル10の被覆部分4が収容される保持室13と、POFケーブル10の剥離部分5よりも大きく被覆部分4よりも狭い貫通孔15が形成されている。
測定にあたっては、一端側の被覆層を剥離したPOFケーブルを用意し、POFケーブルの被覆部分4の長さが30mmになるように切断した。
次に、治具12に形成されている保持室13内にPOFケーブルの被覆部分4を収容し、POFケーブルの剥離部分5を貫通孔15から抜き出した。次に、治具12の一端部に形成されている突起14をチャック8で把持し、POFケーブルの剥離部分5をチャック7で把持した。
次に、POFケーブル10の中心軸方向(図中矢印方向)に沿って、一定速度50mm/minでチャック8を移動させて治具12を引っ張り、POFケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分を引き抜いた。このときの引き抜き応力と、POFケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分の引き抜き方向へのずれ量との関係を示す曲線から、引き抜く際の応力のピーク値を読みとり引抜強度とした。
(ピストニング)
105℃の雰囲気中に、長さ50cmのプラグ付きPOFケーブルを24時間放置した後の、プラグ端面からのPOFケーブルの突出または引き込み長さ(μm)を測定した。
(繰り返し屈曲回数)
長さ4mのPOFケーブルの一端に荷重500gf(4.9N)をかけ、このPOFケーブルの中央を直径15mmの2本の円管にて挟持した。このPOFケーブルの他端を一方の円管側に移動させてPOFケーブルが90度折れ曲がるように円管外周に巻き付けた後、他方の円管側に移動させてPOFケーブルが90度折れ曲がるように円管外周に巻き付けて合計180度屈曲させ、これを繰り返し、POFケーブルが切断した際の曲げ回数を測定した。
(碁盤目試験)
クラッドの最外層に用いられる含フッ素共重合体(X)(重合体(X)とする)と、被覆層に用いられるポリアミド系樹脂(重合体(Y)とする)の密着性は、碁盤目試験法(碁盤目法、碁盤目テープ法)により、日本工業規格JIS K5400に準じて測定した。
まず、表1に示す組成の重合体(X)を用いて、加熱プレス機で厚さ200μmのフイルム(X)を作製した。また重合体(Y)を用いて、射出成形機で厚さ7mmのプレート片(Y)を作製した。次いで、フイルム(X)とプレート片(Y)を重ね合わせ、加熱プレス機で190℃、90秒(圧力10MPa・G)の条件で融着した。次いで、以下の手順で、碁盤目法および碁盤目テープ法を行った。
碁盤目法:上記のとおり作製した融着片のフイルム(X)上に、カッターで1mm角の「マス」を100個(10×10個)を引いた。その時、剥離した「マス」の数を数えた。
碁盤目テープ法:碁盤目法で「マス」を引いた融着片のフイルム(X)上に、セロハンテープを貼り付け、引き剥がした。その時に剥離した「マス」の全数を数えた。
剥離した「マス」の全数から、次のように評価点をつけた。
剥離した「マス」の数/点数:0個/10点、1〜2個/8点、3〜6個/6点、7〜15個/4点、16〜30個/2点、31個以上/0点。
[実施例1〜4、比較例1]
表1に示す組成をもつ共重合体(実施例1〜4:含フッ素共重合体(X)、比較例1)を用意し、各共重合体と、被覆層に用いられるナイロン12(ダイセル・デグッサ社製、Daiamide L1640)との密着性を、碁盤目試験法(碁盤目法、碁盤目テープ法)により測定した。表1にその結果を示す。表1に示すように、メタクリル酸(MAA)を共重合した含フッ素共重合体(X)は、ナイロン12に対する密着性が向上した。
[実施例5]
コア材としてPMMA(屈折率1.492)、第1クラッド材として、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)/2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(17FM)/メタクリル酸メチル(MMA)/メタクリル酸(MAA)=50/30/20/1(質量部)の共重合体(屈折率1.416)、第2クラッド材として、VdF/TFE/パーフルオロトリフルオロメチルビニルエーテル(PFTFMVE:CF2=CFOCF3)/メタクリル酸の共重合体(13/67/19/1(質量%)、屈折率1.346、MFR16)を用いた。これらの重合体を溶融して、220℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合ノズルを用いて複合紡糸した後、140℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、第1クラッドと第2クラッドの厚みが各10μm、直径1mmのPOFを得た。すなわち、この例ではクラッドが第1クラッド及び第2クラッドの2層からなる。
このPOFに、クロスヘッドケーブル被覆装置を用いて、220℃に設定したクロスヘッドダイにて、ナイロン12樹脂(ダイセル・デグッサ社製、Daiamide L1640)を被覆して厚みが250μmの一次被覆層を形成し、外径1.5mmのPOFケーブルを得た。
得られたPOFケーブルの各種評価を行い、その結果を表3に示した。得られたPOFケーブルは、POFと被覆層との密着性に優れ、伝損性能、繰り返し屈曲性能が良好であり、引き剥き強度が大きく、ピストニングが小さく、自動車内LANに好適なPOFケーブルであった。
[実施例6〜15、比較例2〜3]
POFの構成を表2に示す通りとした以外は、実施例5と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表3に示した。但し、実施例6及び比較例3のクラッドは単層構造とし、そのクラッドの厚みはそれぞれ10μmとした。
実施例6〜15のPOFケーブルは、POFと被覆層との密着に優れ、伝損性能、繰り返し屈曲性能に優れ、比較例2〜3と比較して、いずれもピストニングが小さく、自動車内LANに好適なPOFケーブルであった。
[実施例16]
コアをポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリング・プラスチック社製、ユーピロン H3000)、紡糸ヘッドの温度を230℃、クラッドを単層構造とし、そのクラッドの厚みを10μmにした以外は、実施例5と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表3に示した。このPOFケーブルは、比較例2〜3と比較してピストニングが小さく、POFと被覆層との密着に優れていた。
表1、表2中の略号及び略称は下記の内容を示す。
VdF:フッ化ビニリデン(ビニリデンフルオライド)
TFE:テトラフルオロエチレン
HFP:ヘキサフルオロプロピレン
PFTFMVE:パーフルオロトリフオロメチルビニルエーテル(CF2=CFOCF3
PA11:ナイロン11(アトフィナ社製、Rilsan BMF−0)
PA12:ナイロン12(ダイセル・デグッサ社製、Daiamide L1640)
PA12(b):ナイロン12(EMS昭和電工社製、Grilamide−L16A)
MMA:メタクリル酸メチル
MAA:メタクリル酸
3FM:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート
4FM:2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート
5FM:2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート
17FM:2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート
PMMA:ポリメタクリル酸メチル
PC:ポリカーボネート
Figure 0004245513
Figure 0004245513
Figure 0004245513
被覆層の引抜強度の測定方法を説明するための図である。
符号の説明
4 被覆部分
5 剥離部分
8、7 チャック
10 POFケーブル
12 治具
13 保持室
14 突起
15 貫通孔
20 測定装置

Claims (4)

  1. コアと、該コアの外周に形成された少なくとも1層以上のクラッドを有するプラスチック光ファイバの外周にポリアミド系樹脂からなる被覆層を設けたプラスチック光ファイバケーブルであって、
    前記クラッドは、下記一般式(I)
    12C=CR34 (I)
    (式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜24のフルオロアルキル基、フルオロアルキルエーテル基またはフルオロアルコキシフルオロアルキルエーテル基であり、これらの少なくとも1つはフッ素原子又は含フッ素基である)
    で表される含フッ素不飽和化合物の単量体単位(a)と、
    下記一般式(II−a)、(II−b)
    56C=CR7COOR8 (II−a)
    8OOCR6C=CR7COOR8 (II−b)
    (式中、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフルオロアルキル基であり、R8は水素原子、アルカリ金属、炭素数1〜6のアルキル基又はフルオロアルキル基である)
    のいずれかで表される不飽和カルボン酸、その塩又はエステルの単量体単位(b)と、
    を含む含フッ素共重合体(X)からなる層を少なくとも最外層に有し、
    単量体単位(a)と単量体単位(b)の合計を100質量%としたとき、単量体単位(a)の含有量が90〜99.8質量%の範囲にあり、単量体単位(b)の含有量が0.2〜10質量%の範囲にある、プラスチック光ファイバケーブル
  2. 前記含フッ素共重合体(X)は、単量体単位(a)として、
    テトラフオロエチレンの単位30〜85質量%と、
    下記一般式(III)
    CF2=CF−(OCF2CF(CF3))aO−Rf (III)
    (式中、Rfは炭素原子数が1〜8個のアルキル基もしくはフルオロアルキル基又はアルコキシルアルキル基もしくはフルオロアルコキシルアルキル基を示し、aは0〜3の整数である。)
    で表されるフルオロビニル化合物の単位3〜45質量%と、
    フッ化ビニリデンの単位1〜35質量%を含有する請求項1に記載のプラスチック光ファイバケーブル
  3. 単量体単位(b)が、メタクリル酸の単位である、請求項1又は2記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  4. 請求項1、2又は3に記載のプラスチック光ファイバケーブルの少なくとも一端において前記被覆層にプラグが固定されているプラグ付きプラスチック光ファイバケーブル。
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