JP2004252401A - マルチコアプラスチック光ファイバ、及びマルチコアプラスチック光ファイバケーブル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリメタクリル酸メチル、又は1種類以上のビニル系単量体単位とメタクリル酸メチル単位との共重合体からなる7本以上のコアと、各コアの外周に形成された少なくとも1層以上のクラッドを有するマルチコアプラスチック光ファイバであって、前記クラッドの最外層が、フッ化ビニリデン単位37.01〜92モル%とテトラフルオロエチレン単位0.01〜55モル%とヘキサフルオロプロピレン単位4.0〜7.99モル%を含む共重合体からなることを特徴としたマルチコアプラスチック光ファイバ。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭内ホームネットワーク、および自動車や航空機、鉄道などのような移動媒体中での光情報通信などに用いられる、耐曲げ損失特性、耐湿熱性、および耐屈曲性に優れたマルチコアプラスチック光ファイバ、マルチコアプラスチック光ファイバケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)をコア材とするプラスチック光ファイバ(以下適宜「POF」と略する)は、安価で、軽量、かつ大口径であり、端面加工や取り扱いが容易である等の長所を有するため、例えばライティングやセンサー等の分野や、FA、OA、LAN等の短・中距離通信用途の配線などの分野で実用化されているものの、屈曲時の損失が大きい為、その利用が限られていた。
【0003】
ところが最近では、多数のコア材またはコア材とクラッド材からなる島部を、クラッド材あるいは保護材からなる海部で取り囲んだ、マルチコアPOF(以下、適宜「MC−POF」と略する)が提案され、従来のコア−クラッド単芯構造のみからなるステップインデックス型POF(以下、適宜「SI−POF」と略する)と比べて、耐曲げ損失特性が大幅に改善されるため、その実用化が特に期待されている。
【0004】
このようなMC−POFは、具体的には、狭い空間に屈曲した状態で敷設されることが多い分野に、例えば屋内あるいは自動車内における短・中距離用高速通信用途、食品分野あるいは半導体分野で使われる異物検出機のようなセンサー用途、またはロボットや自動組み立て装置のようなFA機器配線用途における光通信媒体としての利用が期待されているが、その一方で、例えばセンサー用途においては、半径が5mm以下の大きさに屈曲されても曲げ光量損失の少ないこと、ロボットや自動組み立て装置のようなFA機器配線用途では、繰り返し屈曲を受けても損失増加のないことが要求されている。また、このような用途においては、高温多湿な環境下に敷設されることが多いため、高い耐湿熱性もあわせて要求される。特に、自動車内通信用途やセンサー用途で用いられる場合には、長時間にわたって温度85℃、相対湿度95%RHの高温高湿環境下に耐えうることが要求されている。
【0005】
さらに、MC−POFでは、SI−POFに比べてコア径が小さいため、透過光がコア−クラッド界面で反射する回数が増えてしまうので、クラッド材の透明性や、コア−クラッド界面の密着性、構造不整等の状態が、光伝送特性に与える影響がSI−POFに比べて増大する。従ってクラッドとして機能する材料の選定も非常に重要となる。
【0006】
ポリメチルメタクリレート系樹脂(PMMA系樹脂)をコア部(島部)としたMC−POFのクラッド材については、
例えば、特開平5−134120号公報に開示されているように、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体(VT共重合体、質量比約80/20)をクラッド材に用いたMC−POFが一般的に知られている。しかし、この共重合体は、コアのPMMA系樹脂との相溶性に優れてはいるが、70℃以上の湿熱雰囲気下に長期間保持された場合、クラッド材の透明性が低下するため、伝送損失が著しく増大するという問題を有していた。
【0007】
この問題を解決することを目的として、フッ化ビニリデン(VdF)とテトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)からなる3元共重合体(THV共重合体)を用い、耐湿熱性を向上させる技術が提案されている。
【0008】
例えば、特開平11−95048号公報(特許文献2)には、PMMA系樹脂からなるコアと、該コアの周りをVdFが30〜92モル%とTFEが0〜55モル%とHFPが8〜25モル%からなる3元共重合体で形成されたクラッド材で取り囲んだ芯を7本以上を一纏めにして形成されたMC−POFが開示されている。
【0009】
特開平11−237513号公報(特許文献3)には、PMMA系樹脂からなるコアと、該コアの周りを、VdF30〜92モル%とTFE0〜55モル%とHFP8〜25モル%からなるTHV共重合体で形成されたクラッド材で取り囲み、さらに該クラッド材の周りを120℃以上の融点を有し、且つビカット軟化点温度が110℃以上であるVdF系樹脂で被覆し形成された芯を7本以上一纏めにして形成されたMC−POFが開示されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献2または3に開示される組成範囲のTHV共重合体では、VdFが45モル%以下の組成では、TFE成分が増えるためTHV共重合体の結晶性は高くなり、常温では白濁している傾向があるためクラッド材として好ましいものではない。一方、VdFが45モル%より多い組成では、結晶性が低いために高温高湿下でも透明の低下が小さいが、TFE含有量が低減して、HFP含有量が増大するため、VT共重合体より熱変形温度が低下する傾向がりあり、105℃での耐熱性を得るには不十分である。
【0011】
さらに、上記組成のTHV共重合体は、PMMA系樹脂に対して相溶性が低いため、コアとクラッド間で相溶層を形成せず、コア−クラッド界面に構造不整が生じやすい。そのため、MC−POFを全モード光で励起した場合に伝送損失が低下し、MC−POFが繰り返し屈曲された時に、コア−クラッド界面で剥離が起きやすくなる傾向がある。この傾向は、MC−POFのようにコア径が小さくなり、コア−クラッド界面で光が反射する回数が多くなる場合に顕著となり、特に高温高湿環境下に長期間保持された場合に顕著となる。
【0012】
また、このような構造不整により比較的短いファイバ長で透過光量が早く減衰するため、20m程度の距離で測定した伝送損失が劣る傾向がある。しかも、MC−POFではクラッド樹脂自体の透明性が高い場合、各コア間でクロストークが発生しやすい傾向がある。
【0013】
一方、高温環境下やオイル、電解液、ガソリン等の引火性物質にふれる環境下に配設される場合には、MC−POF素線の外周部に被覆層を設けたケーブルの形態で用いられることが一般的であり、被覆層の材料には耐熱性、耐熱寸法安定性、耐薬品性、難燃性に優れていることが要求されている。POFケーブルに耐熱性、耐薬品性、耐熱寸法安定性等を付与する手段としては、被覆層にナイロン12を始めとするポリアミド系重合体を用いる技術が、特開平7−77642号公報(特許文献4)、特開平10−319281公報(特許文献5)、特開平11−242142号公報(特許文献6)などで提案されている。
【0014】
一方、特許文献4〜6に開示されたPOFケーブルにおいては、POFケーブルの末端へのコネクターの固定などの端末処理を行う場合や、POFケーブルが高温高湿な環境下に長時間置かれた時に、POF素線の熱収縮を被覆層で抑制するため、あるいは、振動に対するPOF素線の保護という観点等の理由から、MC−POF素線と被覆層との密着性の改善が要求されている。
【特許文献1】
特開平5−134120号公報
【特許文献2】
特開平11−95048号公報
【特許文献3】
特開平11−237513号公報
【特許文献4】
特開平7−77642号公報
【特許文献5】
特開平10−319281公報
【特許文献6】
特開平11−242142号公報
【0015】
したがって本発明の目的は、耐湿熱性や耐曲げ損失特性、耐屈曲性に優れたマルチコアプラスチック光ファイバ及びマルチコアプラスチック光ファイバケーブルを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のマルチコアプラスチック光ファイバは、ポリメタクリル酸メチル、又は1種類以上のビニル系単量体単位とメタクリル酸メチル単位との共重合体からなる7本以上のコアと、各コアの外周に形成された少なくとも1層以上のクラッドを有するマルチコアプラスチック光ファイバであって、前記クラッドの最外層が、フッ化ビニリデン単位37.01〜92モル%とテトラフルオロエチレン単位0.01〜55モル%とヘキサフルオロプロピレン単位4〜7.99モル%を含む共重合体からなることを特徴とする。
【0017】
また本発明のマルチコアプラスチック光ファイバは、上記のようなマルチコアプラスチック光ファイバの外周部に被覆層を設けたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
本発明のMC−POFを構成するコアには、PMMA、又はメチルメタクリレート(MMA)単体とこのMMAと共重合可能な単量体単体との共重合体(以下「PMMA系共重合体」という)が用いられる。これらの重合体をコア材に用いることにより、光学特性に優れ、信頼性の高いMC−POFを得ることができる。PMMA系共重合体としては、透明性及び耐熱性の点からMMA単位を50質量%以上含むことが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
【0019】
MMAと共重合可能な単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、フッ素化アルキルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、イソプロピルマレイミド等のマレイミド類、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン等が挙げられ、これらの中から1種以上を適宜選択してMMAと共重合させることができる。
【0020】
本発明のMC−POFを構成するクラッドは、単層であっても、複数層から形成されていても良いが、単層である場合にはその単層部分が、複数層である場合にはその最外部に位置する層が、VdF単位37.01〜92モル%とTFE単位0.01〜55モル%とHFP単位4.0〜7.99モル%を含んだ共重合体(以下、適宜「THV共重合体」と略する)であることが必要である。
また上記最外層をなすクラッドは、図2,または島部が多層化された図3の様な構造においては海部を形成するが、図4の様に島部の一部として存在しても良い。その場合、海部にコアおよびクラッドを形成する樹脂とは異なる他の樹脂が用いられる。
【0021】
上記の最外層クラッドを形成するTHV共重合体は、所望の特性が得られる範囲内であれば他の単位を20モル%以下の範囲で含有してもよく、10モル%以下がより好ましく、5モル%以下がさらに好ましい。
【0022】
上記の組成範囲にあるTHV共重合体は、PMMA系共重合体との相溶性が良好であるため、コア−クラッド界面の構造不整を低減し、伝送損失の低減が可能となる。さらにMC−POFが高温高湿条件下に置かれた場合(例えば85℃、95%RH条件下に3000時間放置した場合)に、同界面における構造不整の増大に起因する伝送損失の増加を抑制することができ、しかもクラッド自体が有する耐湿熱特性と相まって、MC−POFの耐湿熱性をより向上させることができる。また、MC−POFが繰り返し屈曲された場合においても、コアークラッド界面の剥離が抑制され、伝送損失の増大を防ぐことが可能となる。
【0023】
本発明の最外層のクラッドを形成するTHV共重合体において、VdF単位の含有率は、40〜92モル%の範囲にあることが好ましく、50〜70モル%の範囲にあることがより好ましい。VdF単位の含有量が92モル%より多くなると、成形性が低下する傾向にあるとともに、また屈折率が高くなるため光ファイバの開口角が大きくなり、曲げ損失光量が増加する傾向がある。また、37.01モル%より少なくなると、硬度および耐熱性が低下する傾向がある。
【0024】
また、TFE単位の含有率は、22.5〜45モル%の範囲にあることが好ましい。TFE単位の含有量が55モル%より多くなると、硬度および成形性が低下する傾向がある。また、0.01モル%より少なくなると、屈折率が高くなるため光ファイバの開口数が小さくなり、耐熱性が低下する傾向がある。
【0025】
HFP単位は対称性が低い構造を有しているため、比較的少量共重合することで、VdFとTFEとの共重合体が有している結晶性を低減できる。この結晶性低減効果は、HFP単位を4モル%以上含有することで十分に発現する。しかし、以下に述べる3つの理由により、共重合組成におけるHFP単位は7.99モル%以下とする必要がある。
【0026】
1)HFP単位が7.99モル%より多いと、上述したようなコアとクラッドとの相溶性が低下し、コア−クラッド界面において構造不整が生じやすくなり、光伝送特性、耐湿熱性、機械的特性が低下する傾向がある。
【0027】
2)ポリアミド系樹脂、特にナイロン11又はナイロン12を用いた被覆層が最外層のクラッドの外周に形成される場合に、HFP単位の含有量が多いと、最外層のクラッドと被覆層との密着性が低下し、POFケーブルの引き抜き強度が低下する傾向にある。
【0028】
3)最外層のクラッド中にも、内側のクラッドから漏れた光が反射しながら伝送する場合、該クラッドの透明性が高ければ、発生した高次モード光は損失することなくファイバ中を伝送するため、帯域が低下する原因となる場合がある。したがって、最外層のクラッドに適度な結晶性部分を若干量残しておくことにより、高次モード光を低減し、帯域を向上させることができる。
【0029】
HFP単位の含有量は上記の理由から4.7〜7.5モル%の範囲であることが好ましい。
【0030】
また、THV共重合体のメルトフローインデックスは5〜200(230℃、荷重5kg)であることが、MC−POFの紡糸安定性の点から好ましい。
【0031】
また、THV共重合体は、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が59以下であることが好ましく、50以下のものがより好ましい。このようなショアD硬度とすることによって、THV共重合体がその外周に直接特定のポリアミド系樹脂材料からなる一次被覆層を形成した場合に、MC−POFケーブルとしてのピストニングを抑制することができる。
【0032】
これは、通常THV重合体とポリアミド系樹脂とは相溶性が低いために、最外層のクラッドと一次被覆層とは密着しただけの状態であるが、最外層のクラッドのTHV共重合体が上述のようなショアD硬度を有し適度な柔軟性を備えていると、一次被覆層との間により強い密着性が発現するためである。この密着性を評価する方法の一つとして、引き抜き強度測定があるが、一次被覆層からMC−POFを引き抜こうとしても、MC−POFと一次被覆層との界面がより密着している場合はこの引き抜き強度の大きさもより高められる。なお、本発明における引き抜き強度の測定方法は、後述の実施例において説明する。
【0033】
一方、ショアD硬度が30未満のTHV共重合体は、熱変形温度が低下する傾向にあるため、自動車内などの高温条件下で使用されるPOFケーブルについては、ショアD硬度が30以上であることが好ましい。
【0034】
また、最外層のクラッドを構成するTHV共重合体の屈折率(ナトリウムD線を用いた25℃で測定)は、1.35〜1.385の範囲にあることが、曲げ損失光量を十分に低減できるため好ましく、1.35〜1.38の範囲にあることがより好ましい。
【0035】
さらに、クラッドを複数層設けた場合には、コアの屈折率n1、第1クラッド(コアに隣接するクラッド)の屈折率n2、クラッド最外層の屈折率n3が、下記の関係式(1)を満足するような MC−POFであることが好ましい。
n1>n2>n3 (1)
【0036】
関係式(1)を満たすことにより、MC−POFを屈曲させた場合に、第1クラッドから漏れた光を最外層クラッドで反射させることができ、MC−POFを曲げたときの伝送損失を低減することができる。
【0037】
本発明のMC−POFの場合、第1クラッドに用いられる重合体としては、例えば、良好な透明性および耐熱性を有しながら、屈曲性および加工性に優れる下記一般式(I)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートの単位(A)15〜90質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(B)10〜85質量%からなり、屈折率が1.39〜1.475の範囲にある共重合体を用いることが好ましい。
【化4】
(式中、Xは水素原子またはメチル基、Yは水素原子またはフッ素原子を示し、mは1又は2、nは1〜12の整数を示す。)
【0038】
第1クラッドを構成する共重合体は、230℃で荷重5kgf(49N)の条件で直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に吐出される重合体の量(g)を示すメルトフローインデックス(MI)が5〜40であることが好ましい。
メルトフローインデックスが大きすぎると、MC−POFの屈曲性および加工性が低下する傾向がある。逆に、小さすぎると、共重合体の成形性が低下するおそれがある。
【0039】
また、第1クラッドを構成する共重合体は、DSC(示差走査型熱量分析計)より求めたガラス転移温度(Tg)が75℃以上であることが好ましい。Tgが低すぎると、紡糸安定性が低下したり、MC−POFの耐熱性が低下する傾向がある。逆に、Tgが高すぎると、クラッド材が固く、割れやすくなるため、MC−POFを屈曲したときの伝送損失が増大するおそれがある。そのため、Tgは110℃以下がより好ましい。
【0040】
第1クラッド材に用いられる共重合体は、MC−POFの使用用途に応じて、適宜組成を選ぶことができる。
【0041】
例えば、MC−POFに対して特に高帯域が要求される場合には、第1クラッド材として、下記一般式(II):
【化5】
(式中、mは1又は2、nは5〜12の整数を示す。)
で表わされる長鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(C)0〜50質量%と、下記一般式(III)
【化6】
(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、mは1〜4の整数を示す。)
で表わされる短鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(D)0〜50重量%と、他の共重合可能な単量体の単位(E)50〜80質量%からなる共重合体であって、屈折率が1.45〜1.48の範囲にあるものを用いることができる。
【0042】
また、MC−POFに対して特に低曲げ損失と耐(湿)熱性が要求される場合には、第1クラッド材として、前述の一般式(II)で表わされる長鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(C)10〜50質量%と、前述の一般式(III)で表わされる短鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(D)20〜90質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(E)0〜50質量%からなる共重合体であって屈折率が1.39〜1.450の範囲にあるものを用いることができる。
【0043】
なお、前記の単位(B)または単位(E)を形成する他の共重合可能な単量体としては、鎖状アルキル(メタ)アクリレート、環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル、親水性単独重合体を形成しうるビニル系単量体等が挙げられる。
【0044】
鎖状アルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル等が挙げられる。中でもメタクリル酸メチルが好ましい。環状炭化水素基を有するメタクリル酸エステルとしては、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、(イソ)ボルニルメタクリレート、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02.6 ]−デカ−8−イル等が挙げられる。親水性単独重合体を形成しうるビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でもメタクリル酸が好ましい。
【0045】
前記の単位(B)または単位(E)を形成する単量体は、耐熱分解性を向上させる点からはアクリル酸メチルを含有することが好ましく、コア−クラッド界面の密着性を向上させる点からはメタクリル酸を含有することが好ましい。
【0046】
上述のような第1クラッドを形成することによりTHV共重合体と第1クラッドを構成する共重合体との相溶性が良好となるため、第1クラッドとTHV共重合体との界面の構造不整が低減される。このため伝送損失の低減が可能となるだけでなく、MC−POFが高温高湿条件下に長時間置かれた場合(例えば85℃、95%RH条件下に3000時間放置)にも、同界面における構造不整の増大に起因する伝送損失の増加を抑制することができる。また、最外層クラッドが有する耐湿熱特性と相まって、MC−POFとしての耐湿熱性も向上させることができる。さらに、クラッド間の界面における剥離が抑制され、強度に優れたTHV共重合体が第1クラッドを効果的に保護して第1クラッドの割れを抑制することによって、MC−POFが繰り返し屈曲された場合の伝送損失の増大も抑制することができる。
【0047】
また、本発明のMC−POFは、図4に示したように前記最外層のクラッドの外周に、保護層を形成してもよい。
【0048】
前記保護層は、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が50以上の範囲にあり、フッ素原子の割合が59質量%以上である含フッ素オレフィン系共重合体が好ましい。フッ素原子の割合が59質量%以上であれば、十分な耐屈曲性、耐湿熱性、及び耐薬品性を付与することができる。
【0049】
上記の保護層の材料としては、例えば、VdFとTFEとの共重合体、VdFとヘキサフルオロアセトンとの共重合体、VdFとトリフルオロエチレンとの共重合体、VdFとHFP共重合体、VdFとTFEとHFPとの共重合体、VdFとTFEとヘキサフルオロアセトンとの共重合、エチレンとTFEとHFPとの共重合体等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0050】
本発明のMC−POFは、素線の直径が0.5〜1.5mmの範囲にあることが好ましい。素線の直径が0.5mm以下であると、MC−POFがより充分な光量の信号を取り込むことができず、通信の信頼性が低下する。また1.5mm以上とすると、MC−POFケーブルの作製にかかるコストが増大する。
【0051】
本発明のMC−POFケーブルは、コアの個数が7個以上であることが好ましく、500個未満であることが好ましい。コアを六方最密充填構造に並べた場合、コアの個数は少なくとも7個以上必要になる為である。コアの個数が500以上であると、コアを同様に並べた場合、MC−POFの断面積に占めるコア部の面積占有率が小さくなり、POFの受光量が低下する傾向にあるためである。
【0052】
また、本発明のMC−POFは、各島間の距離が1μm以上であることが好ましく、20μm以下であることが好ましい。島間距離が1μm未満であると、紡糸安定性が不安定になり、クラッドの厚み斑が生じたり、隣接する島部が繋がってしまうおそれがある。島間距離が20μmより大きいと、MC−POFの断面積に占めるコア部の面積占有率が小さくなり、POFの受光量が低下する傾向にある。
【0053】
さらに、本発明のMC−POFでは、以上のようなファイバ構造とするためには、各コアの直径は30μm以上、150μm以下の範囲とすることが好ましい。
【0054】
本発明のMC−POFは、耐屈曲性および耐湿熱性を向上させるために、クラッドの外周あるいは保護層の外周に被覆層を密着配設してMC−POFケーブルとすることができる。この被覆層は、コアと直接接しないので、結晶化により透明性が低下しても特に問題は生じない。
【0055】
被覆層の材料としては、通常被覆材として用いられている公知の材料から適宜選択することができ、例えば塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、およびフッ素系樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0056】
中でも、ポリアミド系樹脂は、耐熱性、耐屈曲性、耐溶剤特性に優れることから、耐熱性および耐環境特性を要求される用途向けのMC−POFの被覆材として好適である。また、ポリアミド系樹脂は加工性が良く、適度な融点を有しているため、MC−POFの伝送性能を低下させることなく、容易にPOF素線を被覆することができる。
【0057】
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、これら各ナイロンの構成成分の2種以上からなるナイロン共重合体、これらナイロンの構成成分に加え他の単量体成分を有する共重合体、これらナイロンの構成成分に加え他の成分として柔軟なセグメントが導入されたナイロン系エラストマー等が挙げられる。これらは、単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、被覆材としての特性を損なわない範囲内で他の樹脂や化合物を混合してもよい。
【0058】
特に、上記ポリアミド系樹脂の中でも、ナイロン11、ナイロン12は、熱収縮性、耐屈曲性、耐摩耗性に優れ、しかも比較的融点が低いために加工性が良いことから、MC−POFの被覆材として好ましい。また、ナイロン11やナイロン12は、上述した本発明の最外層クラッドとの密着性が優れ、被覆層の寸法安定性と相まってピストニング現象を効果的に抑止でき、特にナイロン11がより好ましい。ナイロン11は、低温衝撃性、耐屈曲疲労性、引っ張り破断伸び、曲げ弾性等の力学的特性、耐摩耗性、線膨張係数、ガス透過性等に優れ、耐屈曲疲労性に優れ、高温環境下でのピストニングや伝送特性劣化、ナイロンの結晶化による硬化が抑えられたMC−POFケーブルを得ることができる。また、ナイロン11は、耐屈曲性や耐摩耗性、引っ張り破断伸び、低曲げ弾性、低線膨張係数等の点で被覆材に適した力学的特性を有するため、MC−POFケーブルが変形した場合にMC−POFに加わる応力等の力学的緩衝作用に優れるばかりでなく、高温環境下でのMC−POFの収縮をより抑制することができる。また、被覆工程における成形性が良好で、POFに熱的および機械的なダメージを与えにくいことから、ナイロン系エラストマーや、ナイロン系エラストマーと他のポリアミド系樹脂との混合物も好ましい。
【0059】
本発明のMC−POFケーブルでは、MC−POF素線と被覆層との密着性を向上させることで、高温(高湿)環境下に長時間置かれた場合におけるピストニングを抑制することができる。
【0060】
MC−POF素線とポリアミド系樹脂よりなる被覆層の密着性を向上させる方法として被覆層に有機酸あるいは有機酸無水物を添加することができる。有機酸あるいは有機酸無水物の添加量は、被覆層を構成する樹脂に対して0.2〜10質量%とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。添加量が0.2質量%未満では所望の効果が十分に得られない傾向にあり、10質量%を超えると樹脂の流動性が低下したり、MC−POFケーブル表面の平滑性が低下する傾向がある。使用する有機酸、有機酸無水物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、サリチル酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸、及びこれらの無水物などを挙げることができる。中でも、無水マレイン酸が、少量の添加量で高い密着効果が得られることから、特に好ましい。
【0061】
末端アミノ基の含有量が30〜300μeq/gの範囲にあるポリアミド系樹脂を用いることによっても、POF素線と被覆層との密着性をより一層向上させることができる。末端アミノ基の含有量が30μeq/g未満では所望の効果が十分に得られない傾向にあり、300μeq/gを超える樹脂の流動性が低下したり、POFケーブル表面の平滑性が低下する傾向がある。このようなポリアミド系樹脂としては、例えば、EMS社製のGrilamide−L16A(登録商標)等が挙げられる。
【0062】
上述したMC−POF素線の外周に、このようなポリアミド系樹脂からなる被覆層を形成して得られたMC−POFケーブルにおいては、MC−POF素線と被覆層の間の引き抜き強度が25N以上であることが好ましい。引抜強度が25N以上であれば、POF素線と一次被覆層との密着性が十分強く、ピストニングが抑制される。より好ましい引き抜き強度は35N以上である。
【0063】
また、本発明のMC−POFケーブルでは、MC−POFへの外光の入射を防止するために、被覆層にカーボンブラック等の黒色無機成分を含有させることもできる。
【0064】
本発明のMC−POFケーブルおいては、少なくとも一つの被覆層が延伸されていない状態で被覆されていることが好ましい。これはコア材に用いられるメタクリル酸メチルを主成分とした重合体は、100℃を超えるとガラス転移温度に近づき、延伸時に樹脂内部に生じた分子配向が緩和されるために熱収縮が起こるためであり、被覆層として、MC−POFのクラッドあるいは保護層と密着性が良く、耐熱性に優れた樹脂を、延伸させずに被覆することで、MC−POFの熱収縮を効果的に抑えることができる。
【0065】
また、被覆材には可塑剤を添加してもよく、被覆材として塩化ビニル樹脂を用いる場合は、例えばジオクチルフタレート、トリオクチルトリメリテート、トリクレジルフォスフェート等を添加することができる。可塑剤の添加に際しては、添加された可塑剤がMC−POFへ移行して、その光学性能や機械特性に支障を来すことのないように、適宜選択し、必要量を用いることが好ましい。
【0066】
また、本発明のMC−POFケーブルでは、難燃性を付与あるいは向上するために、被覆材に難燃剤を含有させてもよい。難燃剤としては、金属水酸化物、燐化合物、トリアジン系化合物などの公知の難燃剤を用いることができるが、ポリアミド系樹脂を被覆材の主成分として用いる場合は、トリアジン系化合物を用いることが好ましく、この中でもシアヌル酸メラミンがより好ましい。
【0067】
また、本発明のMC−POFケーブルでは、MC−POFケーブルの識別性、意匠性を高めるために、少なくとも最外層を構成する被覆層に着色剤等を添加して着色してもよい。着色剤としては公知のものが用いられるが、高温下などで光ファイバに移行し伝送損失を増加させるおそれのない無機顔料を用いることが好ましい。
【0068】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。なお、実施例における評価、測定は以下の方法により実施した。
【0069】
メルトフローインデックス(MFR)
日本工業規格JIS K7210に準じて測定した。230℃、荷重5kgf(49N)の条件下で直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に吐出される重合体量を測定した。
【0070】
屈折率
溶融プレスにより厚さ200μmのフィルム状の試験片を形成し、アッベの屈折計を用い、室温25℃におけるナトリウムD線の屈折率(nD 25)を測定した。
【0071】
伝送損失
15m−5mカットバック法により伝送損失(dB/km)を測定した。測定には、波長が650nm、入射光のNA(開口数)0.1、0.65の光を用いた。
【0072】
曲げ損失の測定
長さ10mのMC−POFケーブルの一端から光を入射させ、MC−POFケーブルの中間地点(ケーブル末端から5mの個所)の1箇所において、半径10mmで360度屈曲させ、他端から出射される光量を測定した。このように屈曲させたMC−POFケーブルから出射される光量と、直線状の同ケーブルについて同様に測定した出射光量とから曲げ損失を算出した。
【0073】
繰り返し屈曲回数
長さ4mのMC−POFケーブルの一端に荷重500gf(4.9N)をかけ、このPOFケーブルの中央を直径15mmの2本の円管にて挟持した。このMC−POFケーブルの他端を一方の円管側に移動させて、MC−POFケーブルが90度折れ曲がるように円管外周に巻き付けた後、他方の円管側に移動させてMC−POFケーブルが90度折れ曲がるように円管外周に巻き付けて合計180度屈曲させ、これを繰り返し、MC−POFケーブルが切断した際の曲げ回数を測定した。
【0074】
引抜き強度
MC−POF素線と被覆層との間の引抜き強度を測定した。まずMC−POFケーブル150mmをとり、片端から被覆層を10mmずつ注意深くはぎとり、全部で片側から長さ50mmの被覆層をはぎとり、長さ50mmの被覆層を残した。被覆層が取り除かれたMC−POF素線の露出部分を厚さ5mmのアクリル板の直径1.1mmの孔に貫通させ、この素線を引き抜き速度100mm/分で引きながら、MC−POFケーブルから素線が引き抜かれる時の応力を測定した。
【0075】
耐湿熱試験
MC−POFを、温度85℃湿度(RH)95%のオーブンに3000時間、及び温度105℃のオーブンに1000時間放置した時の伝送損失(dB/km)を、15m−5mカットバック法により測定した。測定には波長650nm、入射光のNA(開口数)0.1、0.65の光を用いた。
【0076】
ショアD硬度
高分子計器(株)製ASKER CL−150を用い、ASTM D2240に準拠して測定した。
【0077】
ピストニング
MC−POFケーブルの端部において、被覆層の直径よりも50μm大きい内径を有するプラグに挿入し、被覆層をかしめて固定して、プラグ付きMC−POFケーブルを作製した。85℃の乾燥機内に、長さ100cmのプラグ付きMC−POFケーブルを24時間放置した後の、プラグ端面からのMC−POF素線の突出または引込みの長さを測定した。
【0078】
〔実施例1〕
コア材としてPMMA(屈折率1.492)、クラッド材としてVdF/TFE/HFP共重合体(60.5/34.5/5.0mol%、屈折率1.374、MFR30、ショアD硬度42)を、225℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合ノズルを用いて紡糸した後、140℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、図2に示すような、外径が1.0mm、島部の数が151個、各島部の距離が2μm、のMC−POF素線を得た。この例でMC−POF素線はクラッドが1層からなり、コアが島、クラッドが海部に相当する。
得られたMC−POF素線の伝送損失は入射NA0.1の光で測定したときは170dB/kmであり、入射NA0.65の光で測定したときは270dB/kmであり、良好な伝送特性を示した。
【0079】
上記のMC−POF素線に、T型ダイを用いて改質ナイロン12(EMS社製、Grilamide L16A)を被覆して被覆層を形成して、直径1.5mmのPOFケーブルを得た。
得られたMC−POFケーブルの各種評価を行い、その結果を表2に示した。得られたMC−POFケーブルは初期の伝送損失、曲げ損失、繰り返し屈曲が良好で、ピストニングが抑制され、MC−POF素線と被覆層の密着も強く、自動車用途での使用に優れたPOFケーブルであった。
【0080】
〔実施例2〕
第1クラッド材として、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)51質量%、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(17FM)31質量%、メタクリル酸メチル17質量%、メタクリル酸1質量%からなる共重合体(MFRは20、屈折率は1.412、ガラス転移温度78.4℃)、第2クラッド材としてVdF/TFE/HFP共重合体(60.5/34.5/5.0mol%、屈折率1.374、MFR30、ショアD硬度42)、を用いた以外は実施例11と同様にして、図3に示すような、外径がφ1.0mm、島部の数が151個、第1クラッド厚み5μm、各島部の距離が2μmのMC−POF素線を得た。このMC−POF素線はクラッドが2層からなり、コアと第1クラッドが島部、最外層のクラッドが海部に相当する。
【0081】
次いで、このMC−POF素線に、実施例1と同様にして被覆層を設け、MC−POFケーブルを得た。
得られたMC−POFケーブルの各種評価を行い、その結果を表2に示した。得られたMC−POFケーブルは曲げ損失が小さく、耐熱環境下での伝送特性が良好で、ピストニングが抑制され、MC−POF素線と被覆層の密着も強く、自動車用途での使用に優れたMC−POFケーブルであった。
【0082】
〔実施例3〜6、比較例1〜4〕
MC−POF素線またはMC−POFケーブルの構成を表1に示した通りとした以外は、実施例1と同様にしてMC−POFケーブルを作製した。得られたMC−POFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表2に示した。なお、実施例4〜6、及び比較例1〜2、比較例3〜4で最外層クラッド材(海材)に使用した3元共重合体のショアD硬度はそれぞれ41、58、57であった。また、比較例1〜2で最外層クラッド(海材)に使用した3元共重合体は、室温で白濁していた。
【0083】
実施例3〜6のMC−POFケーブルは、伝送損失、耐熱性、繰り返し屈曲が良好であった。また、被覆層に用いられたポリアミド樹脂とMC−POF素線との密着強度(引き抜き強度)が大きく、ピストニングが小さかった。
比較例1〜2のMC−POFケーブルは、初期の伝送損失および耐熱使用時の伝送損失の増加が顕著であり、さらに繰り返し屈曲が劣っていった。また、比較例3〜4のMC−POFケーブルは、105℃での耐熱使用時の伝送損失の増加が顕著であった。また、比較例1〜4のMC−POFケーブルは、被覆層に用いられたポリアミド樹脂とMC−POF素線の密着強度(引き抜き強度)が小さく、ピストニングが大きかった。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
尚、表1中の略号は下記の内容を示す。
PMMA:ポリメチルメタクリレート
MMA:メタクリル酸メチル
MAA:メタクリル酸
3FM:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート
4FM:2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート
17FM:2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート
2F:フッ化ビニリデン(VdF)
4F:テトラフルオロエチレン(TFE)
6F:ヘキサフルオロプロピレン(HFP)
PA11:ナイロン11(アトフィナ社製、Rilsan BMF−0)
PA12:ナイロン12(ダイセル・デグサ社製、ダイアミド−L1640)
改質PA12:ナイロン12(EMS社製、Grilamide L16A)
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、耐(湿)熱性や耐曲げ損失特性が優れたMC−POF、及びMC−POFケーブルを提供することができる。また、十分な繰り返し屈曲耐性や、引き抜き強度、ピストニングを持つMC−POFケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】被覆層の引抜強度の測定方法を説明するための図である。
【図2】本発明のマルチコアプラスチック光ファイバ断面の概略図である。
【図3】本発明のマルチコアプラスチック光ファイバ断面の概略図である。
【図4】本発明のマルチコアプラスチック光ファイバ断面の概略図である。
【符号の説明】
4 被覆部分
5 剥離部分
8、7 チャック
10 POFケーブル
12 治具
13 保持室
14 突起
15 貫通孔
20 測定装置
Claims (14)
- ポリメタクリル酸メチル、又は1種類以上のビニル系単量体単位とメタクリル酸メチル単位との共重合体からなる7本以上のコアと、該コアの外周に形成された少なくとも1層以上のクラッドを有するマルチコアプラスチック光ファイバであって、前記クラッドの最外層が、フッ化ビニリデン単位を37.01〜92モル%、テトラフルオロエチレン単位を0.01〜55モル%、ヘキサフルオロプロピレン単位を4〜7.99モル%含む共重合体からなることを特徴としたマルチコアプラスチック光ファイバ。
- 前記コアの屈折率をn1、前記コアに隣接する第1クラッドの屈折率をn2、クラッド最外層の屈折率をn3とした場合、n1、n2およびn3が下記の関係式(1)
n1>n2>n3 (1)
を満足することを特徴とした、請求項1に記載のマルチコアプラスチック光ファイバ。 - 前記クラッド最外層を形成する樹脂が、ショアD硬度(ASTM D2240)の値が59以下であり、かつ屈折率n3が1.35〜1.38の範囲にあることを特徴とした請求項1〜4のいずれか一項に記載のマルチコアプラスチック光ファイバ。
- 前記クラッド最外層の外周に保護層を有し、該保護層が、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が50以上の範囲にあり、かつフッ素原子を59質量%以上含有する含フッ素オレフィン系共重合体からなることを特徴とした請求項1〜5のいずれか一項に記載のマルチコアプラスチック光ファイバ。
- 前記コアを含む島部に相当する部分の直径が30μm以上、150μm以下の範囲にあり、且つその個数が500個未満であることを特徴とした請求項1〜6のいずれか一項に記載のマルチコアプラスチック光ファイバ。
- 前記マルチコアプラスチック光ファイバの外周部に、フッ素原子を59質量%以上含有するフッ素系樹脂からなる層を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載のマルチコアプラスチック光ファイバ。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のマルチコアプラスチック光ファイバの外周に被覆層を有することを特徴としたマルチコアプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記被覆層が、ポリアミド系樹脂からなることを特徴とした請求項9に記載のマルチコアプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記被覆層がナイロン11又はナイロン12又はナイロン6−12を主成分とするポリアミド系樹脂組成物からなることを特徴とした請求項10に記載のマルチコアプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記被覆層が、有機酸あるいは有機酸無水物を0.2〜10質量%含有することを特徴とした請求項10または11に記載のマルチコアプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記被覆層が、末端アミノ基を30〜300μeq/g含有することを特徴とした、請求項10または11に記載のマルチコアプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記マルチコアプラスチック光ファイバと前記被覆層との間の引抜強度が25N以上であることを特徴とした、請求項9〜13のいずれか一項に記載のマルチコアプラスチック光ファイバケーブル。
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