JP3889287B2 - プラスチック光ファイバケーブルおよびプラグ付きプラスチック光ファイバケーブル - Google Patents
プラスチック光ファイバケーブルおよびプラグ付きプラスチック光ファイバケーブル Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭内ホームネットワークや、自動車、航空機、鉄道などの移動媒体中での光情報通信などに用いられるプラスチック光ファイバケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ファイバとしては、広い波長領域にわたって優れた光伝送を行うことができる石英系光ファイバが知られており、幹線系を中心に広く実用化されてきたが、石英系光ファイバは高価で加工性が低いという欠点を有している。そのため、端面加工や取り扱いが容易であるとともに安価で、さらに軽量、大口径であるなどの長所を有するプラスチック光ファイバ(以下、POFという。)が開発され、ライティング、センサ等の分野や、FA、OA、LAN等の短・中距離通信用途の配線などの分野で用いられている。
さらに近年、短・中距離通信用途の中でも、特に自動車内通信分野においては、カーナビゲーションシステムの普及、ITC/ETCシステム導入等の構想を背景とした通信情報量の増加への対応、ハーネスケーブルの軽量化、安価な通信システムの構築等に対する要求が高まってきており、POFの自動車内通信分野への展開が行われつつある。
【0003】
通信用POFのコア材としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート、ポリスチレンなど各種の非晶性樹脂材料が提案され実用化されてきたが、最近では、その中でも特に、透光性、材料価格、耐久性に優れたPMMAをコア材とするPOFが主流となっている。
【0004】
POFが自動車内の配線に用いられる場合、その使用環境に則して、以下に述べる3つの性能が要求されている。
1)低曲げ損失性
POFは一般的に、POFの外周に樹脂からなる被覆層が形成されたPOFケーブルの形態でワイヤーハーネス類と共に束ねられ、高温多湿の狭い空間内に屈曲した状態で敷設される。この場合、POFケーブルには、半径10mmで屈曲されても光量ロスの少ないこと(低曲げ損失性)が要求される。
2)被覆層の耐熱性、難燃性など
POFケーブルが自動車内の配線に用いられる場合、POFケーブルは、エンジン等の高温体に近い環境で使用されたり、夏期に高温下した自動車内で使用されることが多い。また、自動車内には、オイル、電解液、ガソリンなどの引火性の物質も存在する。よって、被覆層には、耐熱性、耐熱寸法安定性、耐薬品性、難燃性が要求される。
3)被覆層とPOF素線との密着性および低ピストニング性
POFケーブルにおいては、POF素線と被覆層とが密着していることも要求される。すなわち、POFケーブルの末端にプラグを固定するなどの端末処理を行う場合、POF素線と被覆層が強固に密着していれば、被覆層の上からプラグを締め付けて固定することができる。また、被覆層の上からプラグを固定するこのような方法では、POF素線を保護することもできる。さらに、POF素線と被覆層とが強く密着していれば、POF素線を振動などから保護することもできる。
また、POFケーブルが、高温多湿の厳しい環境で使用される場合、POFに熱膨張・収縮等の形態変化が生じ、その結果、被覆層に対してPOF素線の突き出しや引っ込みなど(ピストニング)が生じる場合がある。ピストニングが生じると、光源または受光素子とPOFケーブル端面との距離が変化して損失増加が大きくなり、その結果、POFから出射される光の受光量が変動してシステムに障害が生じるおそれがある。よって、POF素線と被覆層とが強く密着し、また、POFは熱膨張・収縮しにくく、ピストニングが小さいことが要求される。
【0005】
一方、開口数が高く高温環境でも安定なプラスチック光ファイバケーブルとして、例えば特開2000−266970号公報には、コアがポリメチルメタクリレート系樹脂からなり、クラッドがビニリデンフロライド成分40〜62モル%とテトラフルオロエチレン成分28〜40モル%とヘキサフルオロフロペン成分8〜22モル%とからなり、ショアD硬度(ASTM D2240)の値が38〜45の範囲にある3元共重合体から形成されたPOF素線の外周に、ナイロン12からなる被覆層を設けたPOFケーブルが開示されている。
【0006】
被覆層にポリアミド系重合体を用いることによりPOFケーブルに耐熱性、耐薬品性、耐熱寸法安定性等を付与する技術としては、例えば特開平7−77642号公報、特開平10−319281号公報、特開平11−242142号公報などで提案され、現在使用されている自動車用POFケーブルにおいてもナイロン11やナイロン12などのポリアミド樹脂が使用されている。
【0007】
また、例えばWO01/40841号公報には、POF素線の外周に、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、グルタル酸無水物などの有機酸無水物を含有するポリアミド樹脂からなる一次被覆層を備え、さらにその外周に二次被覆層を被覆したPOFケーブルにより、POF素線と被覆層との密着性を高めピストニングを抑えることが提案されている。
WO00/60382号公報には、POF素線の外周部に、カルボキシル末端基濃度が最大15μeq/gであり、アミノ末端基濃度が50−300μeq/gの範囲にある改質ポリアミドまたはポリアミド共重合体を被覆層として備えたPOFケーブルが提案されている。
また、特開2000−275481号公報、特開2000−292659号公報には、フッ化ビニリデン系樹脂からなるクラッドと、ナイロン12樹脂からなる被覆層の中間に、接着層として、ビニリデンフロライド成分40〜62モル%と、テトラフロロエチレン成分28〜40モルと、ヘキサフロロプロペン成分8〜22モル%とからなる3元共重合体からなる層を備えたPOFケーブルが開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の公報に開示の技術では、上記1)〜3)の要求のいずれかを満足できたとしても、すべての性能を同時、かつ、安定に満足することは困難であった。
例えば、特開2000−266970号公報に開示の技術では、耐熱性に優れ、高開口数であるとともに、引き抜き強度が7kg以上のPOFケーブルが一応開示されているが、市販されている一般のポリアミド樹脂からなる被覆層を単に設けるだけでは、このような引き抜き強度のプラスチック光ファイバケーブルを製造することは困難であった。
【0009】
また、特開平7−77642号公報などに開示されているように、被覆層にポリアミド系重合体を用いることによりPOFケーブルに耐熱性、耐薬品性、耐熱寸法安定性等を付与することはできるが、被覆層とPOF素線との密着性をも向上させることは困難であった。
さらに、WO01/40841号公報に記載されているように、有機酸無水物をポリアミド樹脂に含有させてこれを被覆層として使用することにより、POF素線と被覆層の密着性をある程度向上させることはできるものの、有機酸無水物は人体への刺激性を有するため、取り扱いにくいという問題があった。
【0010】
さらに、WO00/60382号公報に開示された技術では、被覆層とPOF素線との密着性はある程度改善されたとしても、低曲げ損失などの性能は十分とは言えなかった。また、特開2000−275481号公報や特開2000−292659号公報に開示されている方法では、特定の3元共重合体からなる接着層を備えているためコストが高く、さらに、このような3元共重合体からなる接着層は、ヘキサフルオロプロピレン成分の含有量などによっては耐熱性が不十分となり、このような接着層を備えた構成のPOFケーブルを高温となりやすい自動車通信用に使用しても満足できる特性を得ることは困難であった。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、曲げ損失が小さいとともに耐熱性、難燃性、耐薬品性などに優れ、かつ、POF素線と被覆層との密着性も良好で、例えば自動車内など、狭く、高温多湿の厳しい環境下で使用した場合であっても優れた特性を示すとともに、狭い空間への敷設も容易なPOFケーブルおよびプラグ付きPOFケーブルを提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のPOFケーブルは、コアと該コアの外周に形成されたクラッドからなるプラスチック光ファイバ素線の外周に、一次被覆層が設けられたプラスチック光ファイバケーブルであって、前記クラッドは、ビニリデンフロライド単位とテトラフルオロエチレン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とからなり、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が59以下である3元共重合体から形成される最外層を少なくとも有し、前記一次被覆層は、末端アミノ基の含有量が25〜116μeq/gであり、末端カルボキシル基の含有量が40〜76μeq/gであるポリアミド系樹脂を含有するポリアミド系樹脂材料から形成される最内層を少なくとも有することを特徴とする。
【0013】
前記3元共重合体は、ビニリデンフロライド単位37.01〜92モル%と、テトラフルオロエチレン単位0.01〜55モル%と、ヘキサフルオロプロピレン単位4.0〜22モル%とからなり、アッベ屈折率計で測定したナトリウムD線による23℃での屈折率が1.350〜1.385であることが好ましい。
本発明のプラグ付き光ファイバケーブルは、前記プラスチック光ファイバケーブルの少なくとも一端の一次被覆層に、プラグが固定されていることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
[POF素線]
本発明のPOFケーブルに使用されるPOF素線は、コアの外周にクラッドが形成されたものである。コアを形成する材料としては、公知の材料が使用可能であるが、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)か、1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチルとの共重合体かのいずれかを使用することが好ましく、透光性、材料価格、耐久性の点からPMMAがより好ましい。
【0015】
コアの外周に形成されるクラッドは、単層であっても多層であってもよいが、少なくとも後述の一次被覆層と接する最外層は、ビニリデンフロライド単位とテトラフルオロエチレン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とからなり、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が59以下である3元共重合体から形成される。すなわち、クラッドが単層からなるものであれば、この層が上記3元共重合体から形成される。
このような3元共重合体は、透明性、耐熱性、耐薬品性に優れるためクラッド材として適しているとともに、これを最外層に使用することによって、取り込み可能な光量が増加する。また、耐屈曲性に優れ、曲げ損失の少ないPOF素線とすることができる。さらに、詳しくは後述するが、このような3元共重合体をクラッドの最外層に使用すると、この最外層が、末端アミノ基および末端カルボキシル基の含有量が特定の範囲であるポリアミド系樹脂を含有するポリアミド系樹脂材料からなり、クラッドの最外層の外周に形成される一次被覆層の最内層に強く密着する。このような密着性の向上効果は主として、ヘキサフルオロプロピレン単位を含有する3元共重合体がクラッドの最外層に使用されているため、この3元共重合体中に存在する極性の高いC−F結合と、一次被覆層の最内層を形成するポリアミド系樹脂中に存在する極性の高い末端アミノ基および末端カルボキシル基との間の相互作用が生じ、クラッドの最外層と一次被覆層の最内層との自己接着効果が強く発現することによるものである。このように最外層は後述する特定の一次被覆層の最内層に強く密着するが、そのうえ、その際の密着性は、POFケーブルを温度60℃以上の環境で50時間以上放置した場合に20%以上増加する。なお、密着性は、後述の引き抜き強度を指標として評価することができる。
【0016】
また、このような3元共重合体としては、ビニリデンフロライド単位が37.01〜92モル%、テトラフルオロエチレン単位が0.01〜55モル%、ヘキサフルオロプロピレン単位が4.0〜22モル%の範囲であるものが好ましい。ビニリデンフロライド単位の含有量が92モル%を超える3元共重合体は、成形性が十分ではなく、また、屈折率が高くなるためPOF素線の開口角が小さくなり、曲げ損失が増加するおそれがある。一方、ビニリデンフロライド単位の含有量が37.01モル%未満の3元共重合体は、硬度および耐熱性が低下するおそれがある。より好ましいビニリデンフロライド単位の含有率は、50〜70モル%である。
【0017】
テトラフルオロエチレン単位は、3元共重合体の屈折率を低下させ光ファイバの開口数を大きくするとともに、耐熱性を高めるためのものであるが、3元共重合体におけるテトラフルオロエチレン単位の含有量が55モル%を超えると、3元共重合体の硬度および成形性が低下するおそれがある。より好ましいテトラフルオロエチレン単位の含有率は、22.5〜45モル%である。
【0018】
また、ヘキサフルオロプロピレン単位の含有量は、4.0〜22モル%であることが好ましく、4.0〜7.99モル%であることがより好ましく、特に好ましくは4.7〜7.5モル%である。
このような含有量が好ましい理由としては、まず第1に、ヘキサフルオロプロピレンはその構造の対称性が低いため、比較的少量を共重合することで、ビニリデンフロライドとテトラフルオロエチレンとの共重合体が有している結晶性を低減できる。この結晶性低減効果は、ヘキサフルオロプロピレン単位を4.0モル%以上含有させることで十分に発現する。
【0019】
また、第2に、前述したクラッドの最外層と一次被覆層の最内層との密着性の向上効果は、3元共重合体におけるヘキサフルオロプロピレン単位の含有量の増加にともない増加する。また、このような密着性は、すでに述べたように、得られたPOFケーブルを温度60℃以上の環境で50時間以上放置した場合に20%以上増加するが、このような効果は、特に3元共重合体がヘキサフルオロプロピレン単位を4.0モル%以上含む場合に顕著である。例えば、クラッドの最外層が、ダイキン工業社製、VP−50(ビニリデンフロライド/テトラフルオロエチレン=80/20モル%の2元共重合体)などのビニリデンフロライドとテトラフルオロエチレンとの2元共重合体からなる場合には、同様の効果を得るために100時間以上を要する。
【0020】
そして、第3に、3元共重合体中におけるヘキサフルオロプロピレン単位の含有量が22モル%を超えると、この3元共重合体はエラストマー性が高くなり、その材料自身の「べたつき」が増加する傾向にある。よって、POF素線を製造する際の紡糸安定性、POF素線の取り扱いが困難になる可能性がある。また、この3元共重合体の熱変形温度が低下する傾向にあるため、POFケーブルが高温環境下におかれた場合、不都合を生じる可能性がある。
【0021】
また、このような3元共重合体としては、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が59以下のものを使用し、好ましくは50以下のものを使用する。このようなショアD硬度を有し、柔軟性を有する3元共重合体からクラッドの最外層を形成すると、詳しくは後述するように、クラッドの最外層のさらに外周に特定のポリアミド系樹脂材料からなる最内層を備えた一次被覆層を形成した場合に、クラッドの最外層と一次被覆層の最内層との間に強い密着性が発現し、ピストニングを抑制することができる。
すなわち、ビニリデンフロライド単位とテトラフロロエチレン単位とヘキサフロロプロピレン単位からなる3元共重合体とポリアミド系樹脂とは相溶性が低いために、クラッドの最外層と一次被覆層の最内層との間に、これらが相溶してなる相溶層は存在せず、クラッドの最外層と一次被覆層の最内層とは密着しただけの状態となる。この場合に、3元共重合体が上述のようなショアD硬度を有し適度な柔軟性を備えていると、一次被覆層からPOFを引き抜こうとする力がPOFの軸方向に加わった場合、POF素線と一次被覆層との界面に応力が生じ、実質的にPOF素線と一次被覆層の間の引き抜き強度を高めることが可能となる。なお、本発明における引き抜き強度の測定方法は、後述の実施例において説明する。
【0022】
また、ショアD硬度が30以下の3元共重合体は、熱変形温度が低下する傾向にある。よって、自動車内などの高温条件下で使用されるPOFケーブルについては、好ましくは、ショアD硬度が30を超え、59以下の3元共重合体を使用する。
【0023】
さらに、クラッドの最外層を構成する3元共重合体としては、その屈折率(アッベ屈折率計で測定したナトリウムD線による23℃での屈折率)が、1.350〜1.385であるものを使用することが好ましい。このような屈折率の3元共重合体をクラッドの最外層に使用すると、POF素線の曲げ損失をより一層低減することができる。
【0024】
なお、クラッドが多層からなる場合、最外層以外の層にはビニリデンフロライド単位とテトラフルオロエチレン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とからなる3元共重合体以外の材料を使用してもよく、例えば、公知のフルオロアルキルメタクリレート系樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂とメタクリレート系樹脂の混合物などが用いられる。また、クラッドが多層である場合、コアに接する最内層のクラッド(第1クラッド)としては、比較的透明性に優れ、コアやこの第1クラッドの外側の第2クラッドに対する密着性が優れているものを使用することが好ましい。
【0025】
[一次被覆層]
一次被覆層は、上述したPOF素線の外周に5〜1000μmの厚さで形成されることが好ましく、POF素線を保護するものであって、50〜600μmの厚さで形成されることがより好ましい。一次被覆層の厚みが5μm未満である場合には、POF素線と一次被覆層の間の引き抜き強度を十分に維持できない場合がある。一方、一次被覆層の厚みが1000μmを超えると、一次被覆層に使用する材料のコストが高くなるため好ましくない。
【0026】
また、一次被覆層は単層であっても多層であってもよいが、少なくともクラッドに接触する最内層は、末端アミノ基の含有量が20〜300μeq/gであり、末端カルボキシル基の含有量が16μeq/g以上であるポリアミド系樹脂を含有するポリアミド系樹脂材料から形成される。
なお、ここでポリアミド樹脂材料は、ポリアミド系樹脂のみからなってもよいし、ポリアミド系樹脂に必要に応じて他の重合体や、難燃剤、着色剤、POFへの外光の入射を防止するためのカーボンブラック等の黒色無機成分などの添加剤や化合物を含有させることもできる。
【0027】
ポリアミド系樹脂は融点が比較的低いために、POFの伝送性能を熱劣化させない低い温度で被覆を形成でき加工性が良いうえ、耐熱性、耐薬品性等にも優れているため、被覆材料として好ましい。また、ポリアミド系樹脂を被覆材料に使用すると、得られるPOFケーブルは耐屈曲性に優れるとともに、寸法安定性(熱収縮性)に優れた被覆層を形成できるため、ピストニングを低減することができるが、特に、末端アミノ基の含有量が20〜300μeq/gの範囲であって、かつ、末端カルボキシル基含有量が16μeq/g以上であるポリアミド系樹脂を含むポリアミド系樹脂材料を一次被覆層の最内層に使用すると、ポリアミド系樹脂が有するアミド結合の極性が有する作用と相まって、POF素線と一次被覆層との密着性が一層優れ、引き抜き強度が向上し、さらに効果的にピストニングを抑制することができる。
【0028】
ポリアミド系樹脂中における末端アミノ基の含有量および末端カルビボキシル基の含有量を任意にコントロールする方法としては、例えば、ポリアミド系樹脂の一部として低分子のポリアミド系オリゴマ−等を使用する方法がある。また、WO00/60382号公報に開示されているように、重合が完了する前のポリアミド系樹脂にアミン調節剤を添加することによって、末端アミノ基の含有量を調節する方法も有効である。
ポリアミド系樹脂の末端アミノ基の含有量が20μeq/g未満、および/または、末端カルボキシル基の含有量が16μeq/g未満では、一次被覆層の最内層とクラッドの最外層との間の密着性が低くなったり、ピストニングが起こりやすくなったりしやすい。
また、末端アミノ基の含有量が300μeq/gより高い場合は、一次被覆層の最内層からクラッドへのモノマーの拡散および熱的反応により、POFの光学的性能が劣化する。
【0029】
なお、ポリアミド系樹脂の末端アミノ基の含有量が40μeq/g未満の場合は、POF素線に一次被覆層を形成した直後の初期の密着性が低い場合があるが、その後増加する。例えば、得られたPOFケーブルを室温以上の温度で7〜10日放置すると密着性の指標となる引き抜き強度が10N以上増加する傾向があり、60℃以上の温度で24時間以上放置した場合でも同様の傾向がある。
ポリアミド系樹脂は、好ましくは末端アミノ基の含有量が20〜300μeq/g、末端カルボキシル基の含有量が16μeq/g以上であり、さらに好ましくは、末端アミノ基の含有量が40〜200μeq/g、末端カルボキシル基の含有量が20μeq/g以上である。特に好ましくは、末端アミノ基の含有量が80〜200μeq/g末端カルボキシル基の含有量が40〜200μeq/gである。
【0030】
ポリアミド系樹脂材料に使用するポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66などの各単量体単位からなる単独重合体やこれら単量体単位の組合せからなる共重合体、柔軟なセグメントを導入したナイロン単量体単位を含むナイロン系エラストマーなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよく、また、必要に応じて、ポリアミド系樹脂以外の重合体や化合物を混合して使用してもよい。他の重合体や化合物などを混合する場合には、ポリアミド系樹脂材料中のポリアミド系樹脂の含有量が、20質量%以上、70質量%以下となる範囲で混合することが好ましい。
【0031】
これらの中では、特に、ナイロン11単独重合体またはナイロン12単独重合体を使用すると、被覆工程における成形性が良好で、POFに熱的および機械的なダメージを与えにくいだけではなく、上述した3元共重合体からなるクラッドの最外層との密着性が非常に優れる。また、ナイロン11単独重合体およびナイロン12単独重合体は寸法安定性にも優れるため、このような密着性と寸法安定性との相乗効果により、ピストニングを効果的に防止することができる。
【0032】
ナイロン11単独重合体及びナイロン12単独重合体は、低温衝撃性、耐屈曲性、引っ張り破断伸び、曲げ弾性が低い等の力学的特性、耐摩耗性、線膨張係数、ガス透過性が低いという優れた特徴を有する。そのため、ポリアミド系樹脂としてナイロン11単独重合体及びナイロン12単独重合体を使用すると、柔軟で耐疲労性に優れ、高温環境下でのピストンニング、伝送特性の劣化が少ないPOFケーブルを得ることができる。
ナイロン11単独重合体は、ナイロン12単独重合体よりも弾性率が高いため、POFケーブルに適度な弾性力が要求される場合にはナイロン11単独重合体を用いることが好ましく、POFケーブルに適度な柔らかさが要求される場合はナイロン12単独重合体を用いることが好ましい。
【0033】
また、一次被覆層には、上述したように各種添加剤が含まれていてもよく、例えば難燃性を付与するために、公知の各種金属水酸化物、燐化合物、トリアジン系化合物などの難燃剤を添加してもよい。これら難燃剤の中では、ポリアミド系樹脂の難燃性向上効果が大きいため、トリアジン系化合物が好ましく、特にシアヌル酸メラミンが好ましい。
【0034】
[POFケーブル]
上述したPOF素線の外周に、このような一次被覆層を形成することによって、POFケーブルが得られる。このようなPOFケーブルにおいては、POF素線と一次被覆層の間の引き抜き強度が25N以上であることが好ましい。引き抜き強度が25N以上であれば、POF素線と一次被覆層との密着性が十分強く、ピストニングが抑制される。また、後述するように、POFケーブルの一端にプラグを固定したうえで他の機器などと接続し、その後振動などの機械的作用を受けた場合、POF素線と一次被覆層との密着性が不十分であれば、POF素線に過剰な力が作用して、POF素線が破断する場合もあるが、密着性が優れていれば、このような破断のおそれもない。より好ましい引き抜き強度は35N以上である。また、一次被覆層が複数の層からなる多層の場合、それらの層間の引き抜き強度はいずれも50N以上であることが好ましく、さらに好ましくは60N以上である。50N未満では、層間の密着性が不十分なことに起因して、ピストニングが発生する場合がある。
【0035】
さらに、このPOFケーブルは、温度85℃、湿度85%以上の条件で500時間放置した時の、引き抜き強度の低下が5N未満であることが好ましく、引き抜き強度が10N以上向上することがより好ましい。引き抜き強度の低下が5N未満であると、高温環境下におけるPOFケーブルのピストニングに起因する特性劣化がほとんどなく、高い信頼性が得られる。
なお、上述したように、このPOFケーブルにおいて、密着性の指標となる引き抜き強度は、POFケーブルを温度60℃以上の環境で50時間以上放置した場合などに20%以上増加する傾向があり、温度85℃、湿度85%以上の条件で500時間放置しても、ほとんど低下は認められない。
【0036】
また、このPOFケーブルには、耐久性、耐環境特性などをさらに向上させるために、一次被覆層の外周に熱可塑性樹脂からなる二次被覆層が形成されていてもよい。
二次被覆層の材料としては、このPOFが使用される環境に応じて適宜選択することができるが、特に自動車内の配線など、二次被覆層に耐油性、耐熱性などが要求される場合には、これらの性能に優れたポリアミド系樹脂材料が好ましい。ポリアミド系樹脂としては、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−12、ナイロン621などの各単量体単位からなる単独重合体や、これらの単量体単位が組み合わされたポリアミド樹脂、ナイロン系エラストマーなどが好ましい。これらの中では、被覆工程における成形性が良好で、POFに熱的および機械的なダメージを与えにくいため、ナイロン系エラストマーまたは、ナイロン系エラストマーと他のポリアミド樹脂との混合物が好ましい。
【0037】
また、二次被覆層は、POFケーブルの接続作業時などに必要に応じて剥離される場合が多いことから、比較的容易に剥離可能に形成されることが好ましく、一次被覆層と二次被覆層の引き抜き強度は、好ましくは10〜30Nで、より好ましくは15〜25Nの範囲である。一次被覆層と二次被覆層の引き抜き強度が10N未満では、二次被覆層から一次被覆層とともにPOF素線が簡単に抜けるなど、取扱性が悪くなるおそれがある。一方、30Nを超えるとストリッピング性が悪くなり、POFケーブルの接続作業時などにおいて二次被覆層を剥離する際に、一次被覆層が伸びてしまい、取扱性が低下するおそれがある。一次被覆層と二次被覆層の間の引き抜き強度は、一次被覆層の最外層に使用する材料と二次被覆層の最内層に使用する材料との組合せを適切に選択することや、後述するように被覆方法を適宜選択することなどで調整できる。なお、二次被覆層は、単層であっても多層であってもよく、多層である場合、各層間の引き抜き強度は適宜設定できる。
【0038】
また、POFケーブルの最外層(すなわち、被覆層として一次被覆層のみが形成されている場合には一次被覆層の最外層、被覆層として一次被覆層の外周に二次被覆層が形成されている場合には二次被覆層の最外層)に着色剤等を添加することにより、POFケーブルの識別性、意匠性を容易に高めることができる。
着色剤としては公知のものを使用できるが、染料系の着色剤は高温下などでPOFに移行して伝送損失を増加させるおそれがあるため、無機顔料を用いることが好ましい。
【0039】
このようなPOFケーブルは、公知の方法により製造できる。例えばクロスヘッド型被覆装置を用いた押し出し被覆により、POFに一次被覆層、二次被覆層を順次設ける方法や、POFを形成する材料に、一次被覆層と二次被覆層を形成する材料を積層して複合紡糸する方法などが挙げられる。これらのなかでは、クロスヘッド型被覆装置を用いて、POFに一次被覆層、二次被覆層を設ける方法が好ましい。より具体的には、POFに一次被覆層を一括で被覆して、その後に二次被覆層を被覆する方法が好ましい。このような方法でPOFケーブルを製造すると、POF素線と一次被覆層の引き抜き強度や、一次被覆層と二次被覆層の引き抜き強度を、所望の値に制御して被覆することができる。
【0040】
このようなPOFケーブルは、ビニリデンフロライド単位とテトラフルオロエチレン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とからなり、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が59以下である3元共重合体から形成される最外層を少なくとも有するクラッドを具備し、このクラッドの外周には、最内層が、末端アミノ基の含有量および末端カルボキシル基の含有量が特定の範囲のポリアミド系樹脂を含有するポリアミド系樹脂材料からなる一次被覆層を有するので、POF素線と一次被覆層との密着性が良好で、高温多湿環境下で使用された場合でも、ピストニングが抑制される。また、曲げ損失も小さいため、狭い空間に敷設された場合であっても、伝送損失が低下しにくい。さらに、耐熱性、難燃性などにも優れている。
したがって、このようなPOFケーブルは、ワイヤーハーネス類と共に束ねられ、自動車内など、高温多湿であって引火性の物質も存在する狭い空間内に屈曲した状態で敷設されるような場合でも、高い性能を維持することができる。
【0041】
[プラグ付きPOFケーブル]
上述したPOFケーブルの少なくとも一端に、プラグを接続、固定することにより、プラグ付きPOFケーブルとすることができる。このようにプラグを接続、固定することにより、信号源である光源、検知器に組み込まれたユニットのハウジング、別のPOFケーブル等と容易に接続することができる。プラグの形態には特に制限はなく、POFケーブルを挿入する挿入孔が形成されたプラグ本体と、POFケーブルをこのプラグ本体に固定するためのストッパを備えたものなどが使用できる。また、POFケーブルとプラグとの接続は、プラグを接続する端部の一次被覆層にプラグを固定する方法などで行う。すなわち、二次被覆層を備えたPOFケーブルの場合には、端部の二次被覆層を剥ぎ取って、一次被覆層を露出させ、この露出した部分の一次被覆層にプラグを取り付ける。
このようなプラグ付きPOFケーブルによれば、POFケーブルとして、上述したように特にピストニングが抑制されたものが使用されているので、こうしてプラグ付きPOFケーブルとして、たとえ高温環境下で他の機器などと接続して使用した場合にも、高い性能を安定に維持できる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。なお、実施例における評価、測定は以下の方法により実施した。
(ショアD硬度)
ASTM D2240に準拠して測定した(23℃)。高分子計器(株)ASKER CL−150を用いた。
(伝送損失)
25m−5mカットバック法により伝送損失(dB/km)を測定した。測定波長が650nm、入射光のNA(開口数)が、0.1、0.65の光を用いた。なお、伝送損失は、初期の伝送損失と、POFケーブルを、温度85℃、湿度(RH)95%のオーブンに1000時間放置した後の伝送損失とを測定した。
(曲げ損失の測定)
長さ11mのPOFケーブルの一端から光を入射させ、その状態で、POFケーブルを、1m間隔の10箇所において、半径10mmで90度ずつ屈曲させ、他端から出射される光量を測定した。このように屈曲させたPOFケーブルから出射される光量と、直線状の同POFケーブルについて同様に測定した出射光量とから曲げ損失を算出した。
【0043】
(引き抜き強度の測定)
引き抜き強度は、図1に示すように、POFケーブル10を保持する治具12と、治具12の一端部に形成された突起14を把持するチャック8と、POFケーブル10の剥離部分5を把持するチャック7とを備えた測定装置20を用いて測定した。治具12には、POFケーブル10の被覆部分4が収容される保持室13と、POFケーブル10の剥離部分5よりも大きく被覆部分4よりも狭い貫通孔15が形成されている。
測定にあたっては、一端側の被覆層を剥離したPOFケーブルを用意し、POFケーブルの被覆部分4の長さが30mmになるように切断した。なお、POF素線と一次被覆層との間の引き抜き強度(剥離強度)を測定する場合は一次被覆層および二次被覆層を剥離し、一次被覆層と二次被覆層との間の引き抜き強度(剥離強度)を測定する場合は、二次被覆層のみを剥離した。
次に、治具12に形成されている保持室13内にPOFケーブルの被覆部分4を収容し、POFケーブルの剥離部分5を貫通孔15から抜き出した。次に、治具12の一端部に形成されている突起14をチャック8で把持し、POFケーブルの剥離部分5をチャック7で把持した。
次に、POFケーブル10の中心軸方向(図中矢印方向)に沿って、一定速度50mm/minでチャック8を移動させて治具12を引っ張り、POFケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分を引き抜いた。このときの引き抜き応力と、POFケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分の引き抜き方向へのずれ量との関係を示す曲線から、引き抜く際の応力のピーク値を読みとり測定値とした。
また、引き抜き強度の耐熱安定性を見るため、長さ100cmのPOFケーブルを85℃、相対湿度85%のオーブンに500時間放置した後の、引き抜き強度についても、同様の方法で測定した。
【0044】
(ピストニング)
POFケーブルの端部の二次被覆層を剥離して一次被覆層を露出させ、この露出した部分の一次被覆層を、一次被覆層の直径よりも50μm大きい内径を有するプラグに挿入し、一次被覆層をかしめて固定して、プラグ付きPOFケーブルを作製した。次いで、85℃、相対湿度95%の雰囲気中に、長さ50cmのプラグ付POFケーブルを1000時間放置した後の、プラグ端面からのPOFケーブルの突出、または引き込み長さ(μm)を測定した。
【0045】
(実施例1)
コア材としてPMMA、第1クラッド材料として、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)/2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(17FM)/メタクリル酸メチル/メタクリル酸=51/31/17/1(質量部)の共重合体、第2クラッド材料として、ビニリデンフロライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体=60.5/34.5/5.0(mol%)(ショアD硬度の値42、アッベ屈折率計で測定したナトリウムD線による23℃での屈折率1.374)の共重合体を用い、これらを溶融して、225℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合ノズルを用いて複合紡糸した後、150℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、第1クラッド厚み10μm、第2クラッドの厚み10μmの直径1mmのPOF素線を得た。すなわち、この例ではクラッドが2層からなり、第2クラッドがクラッドにおける最外層に相当する。
次いで、得られたPOF素線を60℃で48時間熱処理した。
【0046】
このPOF素線に、220℃に設定したクロスヘッドダイにて改質ポリアミド樹脂(末端アミノ基濃度116μeq/g、末端カルボキシル基濃度60μeq/g)をクロスヘッドケーブル被覆装置を用いて、上記POF素線に被覆して厚みが250μmの一次被覆層を形成し、外径1.5mmのPOFケーブルを得た。すなわち、この例では一次被覆層は1層からなり、この層が一次被覆層における最内層に相当する。
このPOFケーブルの外周部に、メラミンシアヌレートを含有したナイロン6−12(ダイアミド N1901、ダイセル・デグサ社製)を、クロスヘッドケーブル被覆装置を用いて被覆して厚みが350μmの二次被覆層を形成し、外径2.2mmの2層被覆構造を有するPOFケーブルを得た。
得られたPOFケーブルの各種評価を行い、その結果を表1に示した。
得られたPOFケーブルは曲げ損失が小さく、耐熱環境下での伝送特性、ピストニングが抑制され、POF素線と被覆層の密着も強く、自動車用途での使用に優れたPOFケーブルであった。
【0047】
[実施例2〜5、比較例1〜7]
POF素線またはPOFケーブルの構成を表1に示した通りとした以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表1に示した。なお、実施例3および4で第2クラッド材に使用した3元共重合体の屈折率は1.365であった。また、実施例6で第2クラッド材に使用した3元共重合体の屈折率は1.370であった。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
表1に示したように、比較例1〜3および比較例7のPOFケーブルは、第2クラッドに、ビニリデンフロライド単位とテトラフルオロエチレン単位からなり、ショアD硬度の値が60以上の2元共重合体を使用しているので、表2に示したように、曲げ損失が大きいとともに、ピストニングが大きく耐熱使用時の伝送損失の増加が顕著であり、信頼性が不十分であった。
比較例4〜6のPOFケーブルは、一次被覆層に用いられたポリアミド樹脂の末端官能基の含有量が本発明の範囲外であったので、曲げ損失が大きいとともに、一次被覆層の初期の引き抜き強度が小さいか、または、ピストニングが大きく、耐熱使用時の伝送損失の増加が顕著であり、信頼性が不十分であった。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のPOFケーブルは、特定の組成および硬度の最外層を有するクラッドと、特定の最内層を有する一次被覆層とが組み合わされたものであるので、POF素線と一次被覆層との密着性が良好で、高温多湿環境下で使用された場合でも、ピストニングが抑制される。また、曲げ損失も小さいため、狭い空間に敷設された場合であっても伝送損失が低下しにくいとともに、耐熱性、難燃性などにも優れている。したがって、このようなPOFケーブルおよびこのPOFケーブルの一端の一次被覆層にプラグが固定されたプラグ付きPOFケーブルは、ワイヤーハーネス類と共に束ねられ、自動車内など、高温多湿であって引火性の物質も存在する狭い空間内に屈曲した状態で敷設されるような場合でも、高い性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における引き抜き強度の測定方法を説明する断面図である。
Claims (3)
- コアと該コアの外周に形成されたクラッドからなるプラスチック光ファイバ素線の外周に、一次被覆層が設けられたプラスチック光ファイバケーブルであって、
前記クラッドは、ビニリデンフロライド単位とテトラフルオロエチレン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とからなり、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が59以下である3元共重合体から形成される最外層を少なくとも有し、
前記一次被覆層は、末端アミノ基の含有量が25〜116μeq/gであり、末端カルボキシル基の含有量が40〜76μeq/gであるポリアミド系樹脂を含有するポリアミド系樹脂材料から形成される最内層を少なくとも有することを特徴とするプラスチック光ファイバケーブル。 - 前記3元共重合体は、ビニリデンフロライド単位37.01〜92モル%と、テトラフルオロエチレン単位0.01〜55モル%と、ヘキサフルオロプロピレン単位4.0〜22モル%とからなり、
アッベ屈折率計で測定したナトリウムD線による23℃での屈折率が1.350〜1.385であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック光ファイバケーブル。 - 請求項1または2に記載のプラスチック光ファイバケーブルの少なくとも一端の一次被覆層に、プラグが固定されていることを特徴とするプラグ付き光ファイバケーブル。
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