JP2004219579A - プラスチック光ファイバ及びプラスチック光ファイバケーブル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コアと、該コアの外周に形成された少なくとも1層以上のクラッドを有し、前記コアは、ポリメタクリル酸メチル又は1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチル単量体との共重合体からなり、前記クラッドのうち最外部のクラッド層が、フッ化ビニリデン単位1〜30質量%と、テトラフルオロエチレン単位30〜85質量%と、下記一般式(I)
CF2=CF−(OCF2CF(CF3))aO−Rf2 (I)
(式中、Rf2は炭素原子数が1〜8個のアルキル基もしくはフルオロアルキル基またはアルコキシルアルキル基もしくはフルオロアルコキシルアルキル基。aは0〜3の整数。)
で表されるフルオロビニル化合物単位3〜40質量%を含む三元共重合体からなり、屈折率が1.335〜1.370の範囲にあることを特徴とするプラスチック光ファイバ。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭内ホームネットワーク、および自動車や航空機、鉄道などのような移動媒体中での光情報通信などに用いられるプラスチック光ファイバ及びプラスチック光ファイバケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ファイバとしては、広い波長領域にわたって優れた光伝送を行うことができる石英系光ファイバが幹線系を中心に実用化されているが、この石英系光ファイバは高価で加工性が低い。そのため、より安価で、軽量、大口径であり、端面加工や取り扱いが容易である等の長所を有するプラスチック光ファイバ(以下適宜「POF」と略する)が開発され、例えばライティングやセンサー等の分野や、FA、OA、LAN等の短・中距離通信用媒体として使用される配線分野等で一部実用化がなされている。
【0003】
上記通信用POFの大部分は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)をコア材とするコア−クラッド(芯−鞘)構造からなるステップインデックス型構造をとっており、具体的には屋内配線あるいは自動車内配線のような短・中距離通信用途における高速通信媒体として利用拡販されることが期待されている。
【0004】
屋内配線あるいは自動車内配線用途におけるPOFは、高温多湿な環境下に屈曲した状態で敷設されることが多いため、耐湿熱性や耐曲げ損失特性などが良好であることが要求される。特に、自動車内通信媒体として用いられる場合には、POFが半径10mm、さらには半径5mmで屈曲されても、光ロス(曲げ光量損失)の少ないこと、さらには、POFが温度85℃、相対湿度95%の雰囲気下に長時間放置されても、伝送損失の増加が小さいこともあわせて要求されている。
【0005】
最近では、POFの曲げによる光ロスを改善することを目的として、クラッド材にフッ化ビニリデン(VdF)単位とテトラフルオロエチレン(TFE)単位とヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位を含有した、低屈折率な共重合体を用い、曲げ特性を向上させる技術が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1(特開2002−156533号公報)には、コアがメチルメタクリレート単位を主成分とする(共)重合体からなり、第1クラッドがパーフルオロアルキルメタクリレート単位及びメチルメタクリレート単位を含有する共重合体、第2クラッドがHFP単位10〜25質量%、TFE単位35〜70質量%、VdF単位15〜45質量%を含有する共重合体からなるPOFが開示されている。
【0007】
また、特許文献2(特開2001−174646号公報)には、コアがポリメチルメタクリレート系樹脂からなり、クラッドがHFP成分10〜16モル%、TFE成分55〜70モル%、VdF成分20〜35モル%(これは、HFP成分15〜23質量%、TFE成分60〜72質量%、VdF成分13〜24質量%に相当する。)を含有する共重合体からなるPOFが開示されている。
【0008】
また、特許文献3(特開2002−148451号公報)には、コアがメチルメタクリレート単位を主成分とする(共)重合体、第1クラッドがパーフルオロアルキルメタクリレート単位及びメチルメタクリレート単位を含有する共重合体、第2クラッドがHFP単位10〜30質量%、TFE単位45〜75質量%、VdF単位10〜35質量%、他の共重合可能な成分1〜10質量%を含有する4元共重合体からなるPOFが開示されている。
【特許文献1】
特開2002−156533号公報
【特許文献2】
特開2001−174646号公報
【特許文献3】
特開2002−148451号公報
【0009】
【発明が解決しょうとする課題】
特許文献1及び2に開示された組成範囲にある、第2クラッドの3元共重合体の屈折率は1.35程度と比較的低いものである。通常、この程度の屈折率をもつ透明な樹脂を、クラッドの最外層に設けたPOFにおいては、曲げ半径10mmで屈曲された時、第1クラッドを透過した光の一部を反射する効果、すなわち曲げによる曲げ光量損失の低減効果は十分である。
【0010】
しかし、上記公報に記載の3元共重合体は、屈折率が1.35程度又はそれ以下になる組成にした場合には、TFE単位を高濃度で含有するために、結晶性が高くなり、常温で白濁してしまう。このような透明性の低い3元共重合体をクラッドの最外層に設けたPOFでは、曲げ半径10mm以下で屈曲された場合、最外層に位置するクラッド層が低屈折率であるにもかかわらず、曲げ光量損失の低減効果が不十分となる傾向が見られた。
【0011】
また、上記のPOFが80℃以上の高温高湿雰囲気下に長期間曝された場合、クラッド材が結晶化することによって、透明性がさらに低下し、POFの伝送損失が著しく低下する傾向が見られた。
【0012】
さらに、上記公報に記載の3元共重合体は、屈折率が1.35程度又はそれ以下となるような組成にした場合、結晶性が高くなるため、3元共重合体の分子量を調整することによっても溶融粘度を十分に調整できない。また融点が190度以上になるため、POFを紡糸する際に、ノズル周辺部の温度を250℃以上の高温とする必要が生じてしまい、左記温度で紡糸をした際にはコア材のメチルメタクリレート(MMA)単位を主構成単位とする(共)重合体の熱分解を引き起こすため、初期伝送損失や、特に長期の高温高湿下における伝送損失が増加する傾向があった。
【0013】
また、コアの外周部にこのような透明性の低い3元共重合体を直接被覆して、コア−クラッドの2層構造からなるPOFを得た場合には、伝送損失が大きくなる傾向があった。
【0014】
また、特許文献3に開示された組成範囲にある第2クラッド樹脂は、前述のように上記3元共重合体を構成するHFP単位、TFE単位及びVdF単位に加え、さらに第4の「他の共重合可能な成分」の単位を加え、例えばその実施例に記載の通り、ヘプタフルオロプロピルビニルエーテル、トリフルオロエチレン又はヘキサフルオロアセトン等の単位を特定の範囲で含有した4元共重合体とすることで、POFの透光性、耐熱性、耐曲げ特性等をバランス良く向上させることを図っている。しかし、このような4つの単量体からなる共重合体は、製造コストが高くなることや、また第4の「他の共重合可能な成分」の中には、原料の入手が困難であったり、原料コストが高いものも存在する。
【0015】
また、上記共重合可能な第4の成分を加えることで、流動性についても改善されるものの、樹脂表面の粘着性が高くなったり、高温環境下での硬度が低下する。そのため、このような4元共重合体をクラッドの最外層として用いた場合、POF最外層同士が互いに粘着し、ボビンからほどく際にPOFが損傷したり、高温環境下では最外層のクラッドが変形してPOFの伝損損失が増大する傾向があった。
【0016】
本発明の目的は、コア材にMMA単位を主構成単位とする樹脂を用い、最外層に位置するクラッド層に、透明性に優れ、低屈折率であり、かつ紡糸温度付近(220〜230℃)での紡糸性が安定な樹脂を用いることによって、光学特性や、耐湿熱性、耐曲げ損失特性に優れたプラスチック光ファイバ及びプラスチック光ファイバケーブルを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コアと、該コアの外周に形成された少なくとも1層以上のクラッドを有するプラスチック光ファイバあって、
前記コアは、ポリメタクリル酸メチル、又は1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチルとの共重合体からなり、
前記クラッドのうち最外部に位置するクラッド層は、フッ化ビニリデン単位1〜30質量%と、テトラフルオロエチレン単位30〜85質量%と、下記一般式(I)
CF2=CF−(OCF2CF(CF3))aO−Rf2 (I)
(式中、Rf2は炭素原子数が1〜8個のアルキル基もしくはフルオロアルキル基またはアルコキシルアルキル基もしくはフルオロアルコキシルアルキル基を示し、aは0〜3の整数である。)
で表されるフルオロビニル化合物単位3〜40質量%を含む三元共重合体であって、屈折率が1.335〜1.370の範囲にあることを特徴とするプラスチック光ファイバに関する。
【0018】
また本発明は、上記のプラスチック光ファイバの外周に、熱可塑性樹脂からなる被覆層を有するプラスチック光ファイバケーブルに関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明のPOFは、コアとその外周に形成された少なくとも1層以上のクラッドを有し、コアとクラッドからなるPOFの外周に少なくとも1層以上の被覆層を設けることでPOFケーブルを形成することができる。また、POFと被覆層との間には密着層を設けていてもよい。
【0020】
コアを構成する材料(コア材)としては、特に透光性に優れることから、ポリメタクリル酸メチル、又は1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチル単量体との共重合体が用いられる。このような共重合体としては、透明性を十分に確保する点から、メタクリル酸メチル単位の含有量は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
【0021】
本発明のPOFにおけるクラッドは、1層で形成されていても、2層以上の複数層から形成されても良いが、最外部に位置するクラッド層は、低屈折率であり、良好な透明性を有しながら、屈曲性および加工性に優れた性質を兼ね備えるために、VdF単位とTFE単位と一般式(I)で示されるフルオロビニル化合物(以下適宜「FVE」と略する)単位とを特定の比率で含有する共重合体からなることが必要である。
【0022】
これらの3種の単位の合計を100質量%とした時、各単位を含有する割合は、VdF単位が1〜30質量%、TFE単位が30〜85質量%、FVE単位が3〜40質量%の範囲にあることが、クラッド材の紡糸安定性や、コア又は第1クラッド材との密着性の観点から好ましい。
【0023】
特に、POFに耐熱性が要求される場合には、さらに熱変形温度、成形安定性の点も考慮して、VdF単位が5〜25質量%、TFE単位が50〜80質量%、FVE単位が5〜25質量%の範囲にあることが好ましい。
【0024】
また、特にPOFに低曲げ損失特性が要求される場合には、さらに低屈折率(高開口角)、透明性の点から、VdF単位が5〜15質量%、TFE単位が65〜80質量%、FVE単位が5〜25質量%の範囲にあることが好ましい。具体的には、開口数Na(コアの屈折率の値の平方と最外層クラッドの屈折率の値の平方の差の値の平方根) の値が0.58以上であれば、曲げ損失を低減することができる、0.60以上であればより好ましい。
【0025】
FVE単位においては、フルオロアルキル基等の側鎖基が、酸素原子を介して主鎖(−CF2−CF−)に結合しており、その炭素−酸素結合(C−O)は、熱的にも化学的にも、炭素−フッ素結合(C−F)と同程度の安定性を有している(里川孝臣著、「ふっ素樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社発行、1990年、p.285)。しかも、HFP単位では、側鎖のCF3基がかなり大きい「かたまり」のため主鎖との結合において、立体的に障害を起こしているのに対して、FVE2単位では、フルオロアルキル基等の側鎖基が酸素(−O−)を介して主鎖に結合しているため、側鎖基がかなり大きくても、側鎖基に起因する構造的な不安定性の要因が回避されており、熱的にも化学的にも安定である特徴がある。
【0026】
上記の特徴に加えて、FVE2単位は、フルオロアルキル基等の側鎖基がエーテル結合を介して主鎖(−CF2−CF−)に結合しているため、HFP単位や上述の従来の第4成分(「他の共重合可能な成分」)の単位と比較すると、側鎖基の運動性が大きく、また嵩高い構造を有している。そのため、FVE2単位を含有することで、TFEの共重合体が有している結晶性や融点、溶融粘度を大きく低減でき、さらに屈折率も低下させることができる。
【0027】
FVE単位としては、 下記一般式(II)
CF2=CFO(CF2)n−OCF3 (II)
(式中、nは1〜3の整数)
下記一般式(III)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nO(CF2)mCF3 (III)
(式中、nは0〜3の整数、mは0〜3の整数)
下記一般式(IV)
CF2=CFO(CH2)n(CF2)mCF3 (IV)
(式中、nは1〜3の整数、mは0〜3の整数)
下記一般式(V)
CF2=CFO(CH2)nCH3 (V)
(式中、nは0〜3の整数)
のいずれかで表わされる化合物の単位であることが好ましい。
【0028】
さらに、FVE2単位としては、CF2=CFOCF3、CF2=CFOCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF3、CF2=CFOCH2CF3、CF2=CFOCH2CF2CF3、CF2=CFOCH2CF2CF2CF3、CF2=CFOCH3、CF2=CFOCH2CH3及びCF2=CFOCH2CH2CH3からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物の単位であることが、原料の低コストの点から好ましい。
【0029】
本発明のPOFのクラッドの最外層部に位置するクラッド層を構成する共重合体において、VdF単位の含有量が多すぎると、低屈折率にすることが困難となったり、熱変形温度が低下するため耐熱性が低下する傾向がある。一方、少なすぎると、下地層(コアまたは第1クラッド)との密着性が低下するおそれがある。
よって、低屈折率化、耐熱性、下地層との密着性等の点から、共重合体中のVdF単位の含有率は1〜30質量%の範囲にあることが好ましく、5〜25質量%の範囲がより好ましい。
【0030】
また、上記共重合体のTFE単位の含有量が多すぎると、溶融粘度が高くなり成形安定性が低下する傾向や、結晶性が高くなり白濁する傾向がある。一方、少なすぎると、硬度および耐熱性が低下するおそれがある。よって、成形安定性、透明性、硬度および耐熱性等の点から、共重合体中のTFE単位の含有率は30〜85質量%の範囲にあることが好ましく、50〜80質量%の範囲が成形安定性が良好であることから、より好ましい。
【0031】
また、上記共重合体のFVE単位の含有量が多すぎると、FVE単位中のエーテル結合部分に含まれる酸素原子の存在により、吸水性が高くなる傾向があるため、POFの耐湿熱性が低下するおそれがある。また、共重合体のエラストマー性が高くなるため、POFの成形性安定性が低下する傾向が生じる。さらに、FVE単位の含有量が多すぎる上記共重合体をクラッドの最外層に用いたPOFは、表面のべた付きが大きくなるためPOFを紡糸して巻き取ったボビンからPOFを解き取りにくくなる傾向がある。一方、FVE単位の含有量が少なすぎると、結晶性の低減による流動性の改善効果が不十分になるおそれがある。よって、上記の成形安定性、透明性、硬度および耐熱性等の点を考慮して、共重合体中のFVE単位の含有量は3〜40質量%の範囲にあることが必要であり、5〜25質量%の範囲にあることが耐熱安定性に優れるという点からは好ましい。
【0032】
また、FVE単位を含有する上記共重合体は、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が59以下であるものが好ましく、55以下であるものがより好ましく、50以下のものであることがさらに好ましい。このようなショアD硬度を有し、柔軟性を有する共重合体でクラッドの最外層を形成すると、被覆層の最内層との間に強い密着性が発現し、ピストニングを抑制することができる。
【0033】
また、FVE単位を含有する上記共重合体は、下地層(第1クラッド材またはコア材)との相溶性が低いため、下地層とクラッドの界面にこれらが相溶してなる相溶層が形成されにくく、下地層とクラッドとは密着した状態となる。これにより、POFが高温高湿条件下に長時間置かれた場合(例えば温度85℃、相対湿度95%条件下に3000時間)に、同界面における構造不整の増大に起因する伝送損失の増加を抑制することができ、クラッド材そのものが有する耐湿熱特性と相まって、POFの耐湿熱性をより向上させることができる。
【0034】
FVE単位を含有する上記共重合体の屈折率の上限は、1.37以下が好ましく、1.36以下がより好ましい。このような屈折率の共重合体をクラッドの少なくとも最外層に用いることで、例えばワイヤーハーネス類と束ねられて車体に配設されるときのように、半径10mm以下で屈曲された場合においても、曲げ光量損失の少ないPOFを得ることが可能となる。なお、上記共重合体は、屈折率が小さくなる程、フルオロビニル化合物の単位を多く含有するため、エラストマー性が高くなる傾向にある。したがって屈折率の下限は1.335以上であることが好ましい。なお、本発明に記載された屈折率の値は、すべて、ナトリウムD線により、室温25℃の環境下において測定した値である。
【0035】
FVE単位を含有する上記共重合体は、POFの成形安定性の点から、230℃、荷重5kgf(49N)で測定したメルトフローインデックスが、2〜100g/10分の範囲にあることが好ましく、10〜50g/10分の範囲にあることがより好ましい。メルトフローインデックスは、共重合体の重合時に分子量を調整したり、低分子量の共重合体を適当量添加することで、適宜調整できる。
【0036】
FVE単位を含有する上記共重合体の重合方法としては、懸濁重合法や乳化重合法、あるいは圧力が約40MPaから約700MPa、温度が約200℃から400℃の条件下でフリーラジカル反応を用いて行う高温高圧重合法など、公知の方法を用いることができる。特に、POFの開口角を高くするため、屈折率を十分低くすることを目的として、FVE単位の含有量が25質量%より多い組成にしたい場合は、高温高圧重合法が好適である。
【0037】
本発明のPOFにおけるクラッドは、1層で形成されていても、2層以上の複数層から形成されても良いが、少なくとも最外層に位置するクラッド層は、FVE単位を含有する上記共重合体を用いることが必要である。
【0038】
クラッドが複数層から形成される場合、製造コストを低減する観点から、第1クラッドの外周に、第2クラッドを同心円状に設けた2層構造とすることができる。
【0039】
クラッドがこのような2層構造を有する場合、ナトリウムD線による25℃における、コアの屈折率n1、第1クラッドの屈折率n2、第2クラッドの屈折率n3が、下記の関係式(1)
n1>n2>n3 (1)
を満たすことが好ましい。
【0040】
上記の関係式(1)を満たすことにより、POFが屈曲されて第1クラッドから光が漏れても、その漏れた光を第2クラッドで反射させることができ、POFを曲げたときの伝送損失を低減できる。
【0041】
第1クラッドに用いられる重合体としては、例えば、良好な透明性および耐熱性を有しながら、屈曲性および加工性に優れる重合体として、
下記一般式(VI)
CH2=CX−COO(CH2)m(CF2)nY (VI)
(式中、Xは水素原子またはメチル基、Yは水素原子またはフッ素原子を示し、mは1又は2、nは1〜12の整数を示す。)
で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートの単位(A)15〜90質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(B)10〜85質量%からなり、屈折率が1.39〜1.475の範囲にある共重合体を用いることができる。
【0042】
POFに対して特に広帯域な特性が要求される場合には、第1クラッド材として、下記一般式(VII)、
CH2=C(CH3)COO−(CH2)m(CF2)nCF3 (VII)
(式中、mは1又は2、nは5〜12の整数を示す。)
で表わされる長鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(C)0〜50質量%と、下記一般式(IX)
CH2=C(CH3)COO−CH2(CF2)mX (IX)
(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、mは1〜4の整数を示す。)
で表わされる短鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(D)0〜50質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(E)50〜80質量%からなる共重合体であって、屈折率が1.45〜1.48の範囲にある共重合体を用いることができる。
【0043】
但し、第1クラッドの屈折率が高すぎると、第2クラッドによる曲げ光量損失の抑制効果が不十分になる傾向があるため、POFが使用される環境に応じて伝送帯域と曲げ光量損失とのバランスをとることが望ましい。
【0044】
また、POFに対して特に低曲げ損失が要求される場合には、第1クラッド材として、長鎖フルオロアルキルメタクリレート単位(C)0〜80質量%と、短鎖フルオロアルキルメタクリレート単位(D)10〜90質量%と、他の共重合可能な単量体単位(E)10〜50質量%とからなる共重合体であって、屈折率が1.39〜1.435の範囲にある共重合体を用いることができる。
【0045】
また、POFに対して特に耐熱性が要求される場合には、下記一般式(X)
CH2=C(F)COO−CH2(CF2)mX (X)
(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、mは1〜4の整数を示す。)
で表わされるα−フルオロアクリル酸エステルの単位(F)からなる構造単位を有する共重合体であって、屈折率が1.38〜1.435の範囲にあり、ガラス転移温度が100℃以上である共重合体を用いることができる。
【0046】
このようなα−フルオロアクリル酸エステルの単位としては、α−フルオロアクリル酸メチル、α−フルオロアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、α−フルオロアクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル等の単位が挙げられる。
【0047】
以上に説明したとおり、本発明においては、第2クラッドとして前述のFVE単位を含有する共重合体を用い、第1クラッドとして、関係式(1)の条件をみたす材料を用いることで、半径10mm以下での曲げ損失光量を低減することができ、耐湿熱安定性の優れたPOF及びPOFケーブルを得ることが可能となる。
【0048】
本発明のPOF及びPOFケーブルは、耐屈曲性および耐湿熱性を向上させるために最外層のクラッドの外周に保護層を被覆することができる。この保護層としては、フッ素原子の割合が59質量%以上であるフッ素系樹脂を用いることができる。フッ素原子の割合が59質量%以上であれば、十分な耐屈曲性、耐湿熱性、及び耐薬品性を達成することができる。
【0049】
保護層の材料としては、例えば、VdFとTFEとHFPと(パーフルオロ)アルキルビニルエーテルとの共重合体、VdFとTFEとの共重合体、VdFとヘキサフルオロアセトンとの共重合体、VdFとトリフルオロエチレンとの共重合体、VdFとHFPとの共重合体、VdFとTFEとHFPとの共重合体、VdFとTFEとヘキサフルオロアセトンとの共重合体、エチレンとTFEとHFPとの共重合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
本発明のPOFケーブルは、耐屈曲性および耐湿熱性を向上させるためにクラッドの外周あるいは保護層の外周に被覆層を密着配設してPOFケーブルとすることができる。この被覆層は、コアと直接接しないので、結晶化により透明性が低下しても特に問題は生じない。
【0051】
被覆層の材料としては、POFの被覆材として一般的に用いられている種々の熱可塑性樹脂を用いることができるが、POFケーブルが使用される環境に応じて、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びフッ化ビニリデン系樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0052】
中でも、ポリアミド系樹脂は、耐熱性、耐屈曲性、耐溶剤特性に優れることから、耐熱性および耐環境特性を要求される用途向けのPOFの被覆材として好適である。また、加工性が良く、適度な融点を有しているため、POFの伝送性能を低下させることなく、容易にPOF素線を被覆することができる。
【0053】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66などの各単量体の単位からなる単独重合体や、これら単量体単位の組合せからなる共重合体、柔軟なセグメントを導入したナイロン単量体単位を含むナイロン系エラストマーなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよく、また、必要に応じて、ポリアミド系樹脂以外の重合体や化合物を混合して使用してもよい。他の重合体や化合物などの他成分を混合する場合には、被覆材中のポリアミド系樹脂の含有量が好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上となるように、所望の効果が得られる必要量の範囲内で他成分を混合することが好ましい。
【0054】
ポリアミド系樹脂の中では、特に、ナイロン11又はナイロン12の単独重合体や、これらの単量体単位の組み合わせからなる共重合体が好ましい。これらは被覆工程における成形性が良好で、POFに熱的および機械的なダメージを与えにくいだけではなく、密着性に優れ、寸法安定性にも優れる。このような密着性と寸法安定性との相乗効果により、ピストニングを効果的に防止することができる。
【0055】
クラッドの屈折率を1.35以下にするためには、共重合体中の低屈折率に寄与する構成単位を多くする必要があるが、結果、共重合体中のVdF単位の含有量が低下することになる。共重合体中のVdF単位の含有量が少ないほど、その共重合体と被覆層との密着性が低下する傾向があり、特に、被覆層がナイロン11やナイロン12等のポリアミド系樹脂からなる場合にその傾向が大きい。POFのクラッドと被覆層との密着性が低下すると、例えば車載されたPOFケーブルにおいては、走行中の振動や、エンジン周辺あるいは夏場等の高温環境下で、POFのコネクタの緩みや、ピストニング等が生じやすくなる。
【0056】
本発明のPOFケーブルでは、最外層のクラッドと被覆層との密着性をより十分なものとするために、被覆層の少なくとも最内周側の層(例えば、被覆層が複数からなる場合は最内層:密着層)に、有機酸あるいは有機酸無水物を添加してよい。これにより、POFと被覆層との密着性をより一層向上させることができる。被覆層(被覆層が複数からなる場合は最内層)中の有機酸あるいは有機酸無水物の含有量は、0.2〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。含有量が少なすぎると所望の効果が十分に得られない傾向にあり、多すぎると樹脂の流動性が低下するおそれや、POFケーブル表面の平滑性が低下するおそれがある。使用する有機酸、有機酸無水物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、サリチル酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸、及びこれらの無水物などを挙げることができる。その中でも、無水マレイン酸が、少量の添加量で高い密着効果が得られることから、特に好ましい。
【0057】
あるいは、最外層のクラッドと被覆層との密着性をより十分なものとするために、被覆層の少なくとも最内周側の層(例えば被覆層が複数からなる場合は最内層:密着層)に、末端アミノ基の含有量が30〜300μeq/gの範囲にあるポリアミド系樹脂を用いることによっても、POFと被覆層との密着性をより一層向上させることができる。末端アミノ基の含有量が低すぎると所望の効果が十分に得られない傾向にあり、高すぎると樹脂の流動性が低下するおそれや、POFケーブル表面の平滑性が低下するおそれがある。上記の樹脂としては、例えば、市販品ではEMS社製のGrilamide−L16A(商品名)等が挙げられる。
【0058】
また、本発明のPOFケーブルでは、被覆層の少なくとも最内周側の層(例えば被覆層が複数からなる場合は最内層:密着層)に、ポリアミド系樹脂とVdF単位を含む重合体との混合物を用いることによって、POFと被覆層との密着性をより一層向上させることができる。このVdF単位を含む重合体中のVdF単位の含有量は60〜90質量%が好ましい。これにより、この重合体の成形加工温度をポリアミド系樹脂とほぼ同じにすることができ、この重合体とポリアミド系樹脂との溶融混合性を良好にできる。また、ポリアミド系樹脂45〜85質量%とVdF単位を含む重合体15〜55質量%との混合物であることが好ましく、ポリアミド系樹脂50〜65質量%とVdF単位を含む重合体35〜50質量%との混合物であることがより好ましい。また、この混合物中におけるVdF単位の好ましい含有量は、15〜70質量%の範囲にあることが好ましい。
【0059】
上記混合物に用いられるポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−10、ナイロン6−12が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、上記VdF単位を含む重合体としては、VdFとTFEとの共重合体、VdFとヘキサフルオロアセトンとの共重合体、VdFとトリフルオロエチレンとの共重合体、VdFとHFPとの共重合体、VdFとTFEとHFPとの共重合体、VdFとTFEとヘキサフルオロアセトンとの共重合体、VdFとエチレンとTFEとHFPとの共重合体等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0060】
また、本発明のPOFケーブルでは、クラッドの外周に熱可塑性ウレタン系樹脂からなる密着層を設け、その密着層の外周に被覆層を設けることでも、POFと被覆層との密着性をより一層向上させることができる。この密着層に用いられる熱可塑性ウレタン系樹脂としては、ポリカーボネート系ポリウレタン、アジペート系ポリウレタン若しくはエーテル系ポリウレタン、又はこれらのいずれかを主成分とする樹脂組成物が好ましい。ポリカーボネート系ポリウレタン及びアジペート系ポリウレタンは初期密着強度がより大きいという特徴があり、エーテル系ポリウレタンはPOFが高温多湿環境下に置かれても、密着強度の低下がより抑えられるという特徴がある。なお、この熱可塑性ウレタン系樹脂に由来の所望の特性を損なわない範囲内で他の樹脂や化合物を混合してもよい。
【0061】
上記密着層に用いられる熱可塑性ウレタン系樹脂としては、例えば、DIC・バイエルポリマー社製のパンデックスT−1000シリーズ、T−8000シリーズ、T−9000シリーズを用いることができる。
【0062】
以上のようにして得られた、POFの外側に被覆層を有するPOFケーブルは、POFと被覆層との間の引抜強度が15N以上であることが好ましく、20N以上がより好ましく、30N以上がさらに好ましい。この引抜強度が十分な大きさであれば、POFと被覆層との密着性が十分に強いため、振動などの機械的作用によって、強固に固定化されたコネクタ部の端などでのPOFの破断を防止することができる。
【0063】
また、本発明のPOFケーブルでは、POFへの外光の入射を防止するために、被覆層にカーボンブラック等の遮光剤を含有させることもできる。また、POFケーブルの識別性、意匠性を高めるために着色剤を含有させることができる。着色剤としては、染料系や無機系の公知のものが用いられるが、耐熱性の点から無機顔料を用いることが好ましい。
【0064】
また、本発明のPOFケーブルでは、難燃性を付与する、あるいは向上させるために、被覆層に難燃剤を含有させてもよい。難燃剤としては、金属水酸化物、燐化合物、トリアジン系化合物などの公知の難燃剤を用いることができる。特に、ポリアミド系樹脂を被覆層の主成分として用いる場合は、トリアジン系化合物を用いることが好ましく、この中でもシアヌル酸メラミンがより好ましい。
【0065】
【実施例】
以下実施例により本発明をより具体的に説明する。なお、実施例における評価、測定は以下の方法により実施した。
【0066】
(メルトフローインデックス)
メルトフローインデックス(MFR)は、日本工業規格JIS K7210に準じて測定した。230℃、荷重5kgf(49N)の条件下で直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に吐出される重合体量を測定した。
【0067】
(ショアD硬度)
ASTM D2240に準拠して測定した。高分子計器(株)ASKER CL−150を用いた。
【0068】
(屈折率)
溶融プレスにより厚さ200μmのフィルム状の試験片を形成し、アッベの屈折計を用い、25℃におけるナトリウムD線の屈折率(nD 25)を測定した。
【0069】
(伝送損失)
25m−5mカットバック法により伝送損失(dB/km)を測定した。測定波長が650nm、入射光のNA(開口数)が、0.1、0.65の光を用いた。なお、伝送損失は、初期の伝送損失と、POFケーブルを、温度85℃、相対湿度95%雰囲気のオーブン内に3000時間放置した後の伝送損失とを測定した。
【0070】
(曲げ損失)
長さ10mのPOFケーブルの一端から660nmLED光を入射させ、その状態で、POFケーブルを、POFケーブルの中間地点で、半径10mm(R10mm)又は半径5mm(R5mm)の棒に360度巻き付けた時、他端から出射される光量を測定した。このように屈曲させたPOFケーブルから出射される光量と、直線状の同POFケーブルについて同様に測定した出射光量から曲げ損失を算出した。
【0071】
(繰り返し屈曲回数)
長さ4mのPOFケーブルの一端に荷重500gf(4.9N)をかけ、このPOFケーブルの中央を直径15mmの2本の円管にて挟持した。このPOFケーブルの他端を一方の円管側に移動させてPOFケーブルが90度折れ曲がるように円管外周に巻き付けた後、他方の円管側に移動させてPOFケーブルが90度折れ曲がるように円管外周に巻き付けて合計180度屈曲させ、これを繰り返し、POFケーブルが切断した際の曲げ回数を測定した。
【0072】
(被覆層の引抜強度)
被覆層の引抜強度(剥離強度)は、図1に示すように、POFケーブル10を保持する治具12と、治具12の一端部に形成された突起14を把持するチャック8と、POFケーブル10の剥離部分5を把持するチャック7とを備えた測定装置20を用いて測定した。治具12には、POFケーブル10の被覆部分4が収容される保持室13と、POFケーブル10の剥離部分5よりも大きく被覆部分4よりも狭い貫通孔15が形成されている。
【0073】
測定にあたっては、一端側の被覆層を剥離したPOFケーブルを用意し、POFケーブルの被覆部分4の長さが30mmになるように切断した。
次に、治具12に形成されている保持室13内にPOFケーブルの被覆部分4を収容し、POFケーブルの剥離部分5を貫通孔15から抜き出した。次に、治具12の一端部に形成されている突起14をチャック8で把持し、POFケーブルの剥離部分5をチャック7で把持した。
【0074】
次に、POFケーブル10の中心軸方向(図中矢印方向)に沿って、一定速度50mm/minでチャック8を移動させて治具12を引っ張り、POFケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分を引き抜いた。このときの引き抜き応力と、POFケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分の引き抜き方向へのずれ量との関係を示す曲線から、引き抜く際の応力のピーク値を読みとり引抜強度とした。
【0075】
[実施例1]
コア材としてPMMA(屈折率1.492)、第1クラッド材として、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)/2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(17FM)/メタクリル酸メチル(MMA)/メタクリル酸(MAA)=50/30/20/1(質量部)の共重合体(屈折率1.416)、第2クラッド材料として、VdF/TFE/パーフルオロトリフルオロメチルビニルエーテル(PFTFMVE:CF2=CFOCF3)の共重合体(8/64/28(質量%)、屈折率1.344、MFR12)を用いた。これらの重合体を溶融して、220℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合ノズルを用いて複合紡糸した後、140℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、第1クラッドと第2クラッドの厚みが各10μm、直径1mmのPOFを得た。すなわち、この例ではクラッドが第1クラッド及び第2クラッドの2層からなる。
【0076】
このPOFに、クロスヘッドケーブル被覆装置を用いて、220℃に設定したクロスヘッドダイにて、PA11(アトフィナ社製、Rilsan BMF−0)100質量部に対して、無水マレイン酸を1質量部配合したものを被覆して厚みが250μmの一次被覆層を形成し、外径1.5mmのPOFケーブルを得た。
【0077】
得られたPOFケーブルの各種評価を行い、その結果を表2に示した。
得られたPOFケーブルは伝損性能が良好で、曲げ損失が小さく、耐熱環境下での伝送特性も良好なPOFケーブルであった。
【0078】
[実施例2〜9]
POFの構成を表1に示す通りとした以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表2に示した。なお、実施例8及び9の単層構造のクラッドの厚みは10μmとした。
【0079】
得られたPOFケーブルは、いずれも伝損性能が良好で、曲げ損失が小さく、耐熱環境下での伝送特性も良好なPOFケーブルであった。
【0080】
[比較例1、2]
クラッドの最外層を、VdF/TFE/HFP共重合体(14/66/22(質量%)、屈折率1.344、メルトフローインデックス6)の共重合体、紡糸ヘッドの温度を230℃にした以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表2に示した。なお、クラッドの最外層に使用した共重合体は、常温で白濁していた。
【0081】
[比較例3、4]
POFの構成を表1に示す通りとした以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表2に示した。特に曲げ損失の値に上昇が見られた。
【0082】
[実施例10〜11]
コア材にPMMAを用い、クラッド材に実施例2で用いた第2クラッド材を用いて単層構造のクラッド(厚み10μm)を形成し、このクラッドの外周に表3に示す通り被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの被覆層の引き抜き強度を測定し、その結果を表3に示した。実施例11のPOFケーブルは、被覆層としてクラッドの外周に変性ナイロン12を設けることにより、被覆層にナイロン12を用いた実施例10と比較して引き抜き強度が向上した。
【0083】
[実施例12〜14]
コア材にPMMAを用い、クラッド材に実施例2で用いた第2クラッド材を用いて単層構造のクラッド(厚み10μm)を形成し、このクラッドの外周に厚み50μmの密着層を設けた後に、表3に示す通り被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの被覆層の引き抜き強度を測定し、その結果を表3に示した。クラッドの外周に密着層を設けた後に被覆層を設けることにより、密着層を設けず被覆層としてナイロン12を用いた実施例10に比較して引き抜き強度が向上した。
なお、実施例12の密着層には、無水マレイン酸を含有させたナイロン12を用い、実施例13の密着層には、VdF/TFE共重合体(80/20(質量%)とPA12との混合樹脂を用い、実施例14の密着層には、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン(DIC・バイエルポリマー社製、パンデックスT−9290)を用いた。
【0084】
[実施例15〜20]
POFの構成を表4に示す通りとした以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表5に示した。
得られたPOFケーブルは、いずれも伝損性能が良好で、曲げ損失が小さく、耐熱環境下での伝送特性も良好なPOFケーブルであった。
表1、表3及び表4中の略号及び略称は下記の内容を示す。
VdF:フッ化ビニリデン(ビニリデンフルオライド)
TFE:テトラフルオロエチレン
HFP:ヘキサフルオロプロピレン
PFTFMVE:パーフルオロトリフオロメチルビニルエーテル(CF2=CFOCF3)
PFPFEVE:パーフルオロペンタフオロエチルビニルエーテル(CF2=CFOCF2CF3)
PFTMDMVE:パーフルオロトリフルオロメトキシジフルオロメチルビニルエーテル(CF2=CFOCF2OCF3)
PFPFPVE:パーフルオロペンタフオロプロピルビニルエーテル(CF2=CFOCH2CF2CF3)
PFEVE:パーフルオロエチルビニルエーテル(CF2=CFOCH2CH3)
PFMHVE:パーフルオロメトキシヘキサフルオロプロピルビニルエーテル(CF2=CF−OCF2CF(CF3)O−CH3)
PFTMHVE:パーフルオロトリフルオロメトキシヘキサフルオロプロピルビニルエーテル(CF2=CF−OCF2CF(CF3)O−CF3)
PA11:ナイロン11(アトフィナ社製、Rilsan BMF−0)
PA12:ナイロン12(ダイセルヒュルス社製、ダイアミド−L1640)
変性PA12:変性ナイロン12(EMS社製、Grilamide−L16A)
TPU:ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン(DIC・バイエルポリマー社製、パンデックスT−9290)
MMA:メタクリル酸メチル
MAA:メタクリル酸
3FM:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート
17FM:2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、透光性能が良好で、耐曲げ光量損失、耐湿熱安定性に優れたPOF及びPOFケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】被覆層の引抜強度の測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
4 被覆部分
5 剥離部分
8、7 チャック
10 POFケーブル
12 治具
13 保持室
14 突起
15 貫通孔
20 測定装置
Claims (14)
- コアと、該コアの外周に形成された少なくとも1層以上のクラッドを有するプラスチック光ファイバであって、前記コアは、ポリメタクリル酸メチル、又は1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチル単量体との共重合体からなり、前記クラッドのうち最外部に位置するクラッド層は、フッ化ビニリデン単位1〜30質量%と、テトラフルオロエチレン単位30〜85質量%と、下記一般式(I)
CF2=CF−(OCF2CF(CF3))aO−Rf2 (I)
(式中、Rf2は炭素原子数が1〜8個のアルキル基もしくはフルオロアルキル基またはアルコキシルアルキル基もしくはフルオロアルコキシルアルキル基を示し、aは0〜3の整数である。)
で表されるフルオロビニル化合物単位3〜40質量%を含む三元共重合体からなり、屈折率が1.335〜1.370の範囲にあることを特徴とするプラスチック光ファイバ。 - 前記最外部に位置するクラッド層は、フッ化ビニリデン単位5〜25質量%と、テトラフルオロエチレン単位50〜80質量%と、一般式(I)で表されるフルオロビニル化合物単位5〜25質量%を含む共重合体であって、屈折率が1.335〜1.360の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載のプラスチック光ファイバ。
- 一般式(I)で表される前記フルオロビニル化合物の単位が、下記一般式(II)
CF2=CFO(CF2)n−OCF3 (II)
(式中、nは1〜3の整数)
下記一般式(III)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nO(CF2)mCF3 (III)
(式中、nは0〜3の整数、mは0〜3の整数)
下記一般式(IV)
CF2=CFO(CH2)n(CF2)mCF3 (IV)
(式中、nは1〜3の整数、mは0〜3の整数)
下記一般式(V)
CF2=CFO(CH2)nCH3 (V)
(式中、nは0〜3の整数)
のいずれかで表わされる化合物の単位である、請求項1または2に記載のプラスチック光ファイバ。 - 前記最外部に位置するクラッド層を形成する樹脂の、230℃、荷重5kg(49N)条件下で測定したメルトフローインデックスが、2〜100g/10分の範囲にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバ。
- 前記クラッドは、前記コアの外周に第1クラッド、第2クラッドの順で同心円状に積層された2層構造を有し、コアの屈折率n1、第1クラッドの屈折率n2、第2クラッドの屈折率n3が、下記の関係式(1)
n1>n2>n3 (1)
を満足する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバ。 - 前記第1クラッドが、下記一般式(VI)
CH2=CX−COO(CH2)m(CF2)nY (VI)
(式中、Xは水素原子またはメチル基、Yは水素原子またはフッ素原子を示し、mは1又は2、nは1〜12の整数を示す。)
で表されるフルオロアルキル(メタ)クリレートの単位(A)15〜90質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(B)10〜85質量%との共重合体からなり、屈折率が1.39〜1.475の範囲にある、請求項5に記載のプラスチック光ファイバ。 - 前記クラッドの外周部に、フッ素原子の割合が59質量%以上であるフッ素系樹脂からなる保護層を有する、請求項1〜6の何れか一項に記載のプラスチック光ファイバ。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバの外周に、熱可塑性樹脂からなる被覆層を有するプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記被覆層が、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とする樹脂からなる、請求項8に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記被覆層が、ナイロン11、ナイロン12又はこれらの共重合体を主成分とする樹脂からなる、請求項9に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記被覆層が少なくとも1層以上からなり、その少なくとも最内層に位置する層が、ポリアミド系樹脂100質量部に対して無水マレイン酸0.1〜5質量部を含有するポリアミド系樹脂組成物からなる、請求項10に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記被覆層は少なくとも1層以上からなり、その最内層に位置する層が、末端アミノ基を30〜300μeq/gの範囲で含有するポリアミド系樹脂組成物からなる、請求項10に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
- 前記被覆層が少なくとも1層以上からなり、その最内層に位置する層が、フッ化ビニリデン単位を含む重合体とポリアミド系樹脂との混合樹脂からなる、請求項10に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
- プラスチック光ファイバと前記被覆層との間の引抜強度が20N以上である、請求項8〜13の何れか一項に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
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