JP5235426B2 - プラスチック光ファイバケーブルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車や航空機、船舶、電車等の移動体内、あるいはFA、家庭内機器、オフィス機器等の短距離通信用の配線として好適な被覆層の密着性が高く、耐熱性に優れたプラスチック光ファイバケーブルの製造方法に関するものである。
従来、光ファイバとしては、広い波長領域に渡って優れた光伝送を行うことができる石英系光ファイバが幹線系を中心に実用化されているが、この石英系光ファイバは高価で加工性が低い。
そのため、安価で、端面加工や取り扱いが容易である等の長所を有するプラスチック光ファイバ(以下「POF」という)が、ライティング用途やセンサー用途、あるいはFA、OA、LAN等の屋内配線、自動車等の移動体内配線に適用されている。
POFは、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、或いはアモルファスポリオレフィンのような、屈折率が大きく、且つ光の透過性に優れる重合体をコア材に用い、これよりも屈折率の小さく且つ透明な重合体をクラッド材に用いたコア−クラッド構造を有する。コア材として、特にポリメタクリル酸メチルは、透明性、耐候性、機械的強度等の力学的性質、耐候性に優れている。
このようなPOFは、屋内配線や自動車内配線のような短・中距離通信用途における高速通信媒体として用いられる場合には、POFの外周部に熱可塑性樹脂からなる被覆層を設けたPOFケーブルの形態で用いられ、光源システムや受光システムとの接続を容易に行えるようにするため、プラグやフェルールを取り付けた形態で用いられる。
特に、自動車内通信媒体として用いられる場合には、軽量化や加工性の容易さの観点から樹脂製フェルールが用いられ、その固定方法はレーザーによるスポット溶着などが行われている。このようなフェルール付POFケーブルは、前記のフェルール取り付け加工時や、自動車内での配線時において、また自動車走行時の振動等の影響により、フェルールが外れやすくなる等の取り付け状態の不具合が生じる場合があり、フェルールの十分な取り付け強度が求められる。
また、POFケーブルは、自動車内の天井、エンジン周りに敷設され、100℃以上の高温環境下で使用されることから、105℃程度の高温雰囲気下に長期間暴露された後も、優れた伝送特性を有することが要求される。
このような要求を満たすことを目的として、例えば下記のPOFケーブルが提案されている。
特許文献1(特開2000−275481号公報)には、POFの外周に、ビニリデンフロライド系樹脂からなる保護層と、ビニリデンフロライドとテトラフロロエチレンとヘキサフロロプロペンの特定組成の樹脂からなる接着層と、ナイロン12樹脂からなる被覆層を設けた、被覆層の密着性が高く、耐熱性に優れたPOFケーブルが記載されている。
特許文献2(特開2003−322776号公報)には、フッ化ビニリデン単位を有する共重合体を主成分とするクラッド材で最外層が構成されるPOFの外周に、熱可塑性ポリウレタンエラストマー共重合体を主成分とする密着層と、熱可塑性樹脂からなる被覆層を設けた、被覆層の密着性に優れるPOFケーブルが記載されている。
特許文献3(特開2001−324626号公報)には、コアの外周に、ビニリデンフロライド系樹脂とポリメチルメタクリレート系樹脂との混合物からなる第1のクラッドと、ビニリデンフロライドとヘキサフロロプロペンとテトラフロロエチレンの特定組成の樹脂からなる第2のクラッドを有するPOFの外周に、ナイロン12を被覆し、110〜120℃で1時間以上アニールして得られたPOFケーブルが記載されている。このPOFケーブルは、100〜105℃で長時間放置してもピストニングが小さく、且つ機械的強度も十分であることが記載されている。
特開2000−275481号公報 特開2003−322776号公報 特開2001−324626号公報
特許文献1に記載のPOFケーブルは、被覆層の密着性は向上するが、接着層の形成工程と被覆層の形成工程が別工程となっているため、POFにかかる熱履歴が大きく、POFケーブルの光学特性が損なわれる傾向にあった。
特許文献2に記載のPOFケーブルでは、被覆層の密着強度は向上するものの、90〜105℃程度の高温雰囲気下では十分な伝送特性を維持することができなかった。
特許文献3に記載のPOFケーブルでは、110〜120℃という高温環境下で長時間の熱処理を必要とするため、POFの構成材料が熱劣化し、POFケーブルの初期および長期高温環境下で光学特性が低下する傾向があった。
すなわち本発明の目的は、被覆層の密着性が高く、且つ耐熱性に優れたPOFケーブルの製造方法を提供することにある。
本発明は、コアと該コアの外周に形成された単層または複層構造のクラッドとを有し、前記コアは、ポリメタクリル酸メチル又は1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチルとの共重合体からなり、前記クラッドは、テトラフルオロエチレン単位を含み、示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂からなる層を少なくとも最外層に有するプラスチック光ファイバを形成し、
前記プラスチック光ファイバの外周に設けられる被覆内層(A)と該被覆内層(A)の外周に設けられる被覆外層(B)とを一括して形成し、90℃〜110℃で2分〜60分間熱処理を行うプラスチック光ファイバケーブルの製造方法に関する。
本発明の製造方法によれば、被覆層の密着性が高く、且つ耐熱性に優れたプラスチック光ファイバケーブルを提供することができる。
本発明による製造方法によって提供されるプラスチック光ファイバケーブル(POFケーブル)は、コアとその外周に形成された単層または複層構造のクラッドを有するプラスチック光ファイバ(POF)と、このPOFの外周に形成される被覆内層(A)と、この被覆内層(A)の外周に形成される被覆外層(B)とを有する。本発明らは、このようなPOFケーブルの製造において、POFの外周に、被覆内層(A)および被覆外層(B)の少なくとも2層からなる被覆層を一括形成した後、90〜110℃で短時間熱処理することにより、POFと被覆層との密着性が向上し、耐熱性に優れたPOFケーブルが得られることを見出した。
以下、本発明によるPOFケーブルの製造方法の好適な実施形態について説明する。
コア材としては、非晶性の透明重合体が好適であり、メタクリル酸メチルの単独重合体(ポリメタクリル酸メチル)、又はメタクリル酸メチルの共重合体が好ましい。なかでも、POFの光伝送特性を向上する点からポリメタクリル酸メチルが好ましい。
メタクリル酸メチルの共重合体としては、メタクリル酸メチルと当該メタクリル酸メチルと共重合可能な他の単量体との合計単量体量を100質量%として、メタクリル酸メチルが70質量%以上の共重合体が好ましく、80質量%以上の共重合体であることがより好ましく、90質量%以上の共重合体がさらに好ましい。メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、例えば、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸2−2−2トリフルオロエチル等のメタクリル酸エステル類;、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類;耐熱性向上を目的とする場合には、N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミドなどのマレイミド化合物や、α−メチレン−β−メチル−γ−ブチロラクトンなどのラクトン単量体が挙げられる。
コア材の製造方法は、特に制限は無く、公知の重合方法により製造することができるが、異物の混入防止等の面から連続塊状重合もしくは連続溶液重合法を用いることが好ましい。
クラッドは、1層または2層以上からなり、少なくとも最外層に、テトラフルオロエチレン単位を含み、示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂からなる層を有する。
クラッドが2層以上からなる場合は、製造コストの観点から、コア外周の第1クラッドと、第1クラッド外周の第2クラッドとが同心円状に設けられた2層構造を有することが好ましい。
クラッドがこのような2層構造を有する場合、コアの屈折率n1、第1クラッドの屈折率n2、第2クラッドの屈折率n3が、下記の関係式(1)
n1>n2>n3 (1)
を満たすことが好ましい(これらの屈折率は、ナトリウムD線による25℃における屈折率をいう)。この関係式(1)を満たすことにより、POFが屈曲されて第1クラッドから光が漏れても、その漏れた光を第2クラッドで反射させることができ、POFを曲げたときの伝送損失を低減できる。
第1クラッドを形成する樹脂としては、フッ素化メタクリレート系重合体、フッ化ビニリデン系重合体等のPOFのクラッド材として提案されている材料を適宜選択することができる。良好な透明性及び耐熱性を有しながら、屈曲性及び加工性に優れる点から、フッ素化メタクリレート系重合体を用いることが好ましい。
第1クラッドに用いられるフッ素化メタクリレート系重合体としては、例えば、良好な透明性および耐熱性を有しながら、屈曲性および加工性に優れる重合体として、下記一般式(I)
CH2=CX−COO(CH2m(CF2nY (I)
(式中、Xは水素原子またはメチル基、Yは水素原子またはフッ素原子を示し、mは1又は2、nは1〜12の整数を示す。)
で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートの単位(A)15〜90質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(B)10〜85質量%からなり、屈折率が1.39〜1.475の範囲にある共重合体を用いることができる。
POFに対して特に広帯域が要求される場合には、第1クラッド材として、下記一般式(II)、
CH2=C(CH3)COO−(CH2m(CF2nCF3 (II)
(式中、mは1又は2、nは5〜12の整数を示す。)
で表わされる長鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(C)0〜50質量%と、下記一般式(III)
CH2=C(CH3)COO−CH2(CF2mX (III)
(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、mは1〜4の整数を示す。)
で表わされる短鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(D)0〜50質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(E)50〜80質量%からなる共重合体であって、屈折率が1.45〜1.48の範囲にある共重合体を用いることができる。
但し、第1クラッドの屈折率が高すぎると、第2クラッドによる曲げ光量損失の抑制効果が低下する傾向があるため、POFが使用される環境に応じて伝送帯域と曲げ光量損失とのバランスをとることが望ましい。
また、POFに対して特に低曲げ損失が要求される場合には、第1クラッド材として、長鎖フルオロアルキルメタクリレート単位(C)0〜80質量%と、短鎖フルオロアルキルメタクリレート単位(D)10〜90質量%と、他の共重合可能な単量体単位(E)10〜50質量%とからなる共重合体であって、屈折率が1.39〜1.435の範囲にある共重合体を用いることができる。
また、POFに対して特に高い耐熱性が要求される場合には、下記一般式(IV)
CH2=C(F)COO−CH2(CF2mX (IV)
(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、mは1〜4の整数を示す。)
で表わされるα−フルオロアクリル酸エステルの単位(F)を有する共重合体であって、屈折率が1.38〜1.435の範囲にあり、ガラス転移温度が100℃以上である共重合体を用いることができる。
このようなα−フルオロアクリル酸エステルの単位としては、α−フルオロアクリル酸メチル、α−フルオロアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、α−フルオロアクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル等の単位が挙げられる。
本発明の方法で製造するPOFのクラッドの少なくとも最外層を構成するクラッド材としては、テトラフルオロエチレン(TFE)単位を含む含フッ素オレフィン系樹脂が用いられる。
この含フッ素オレフィン系樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)とTFEとの共重合体、VdFとTFEとヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体、VdFとTFEとHFPと(パーフルオロ)アルキルビニルエーテルとの共重合体、VdFとTFEと(パーフルオロ)アルキルビニルエーテルとの共重合体、エチレンとTFEとHFPとの共重合体、TFEとHFPとの共重合体、VdFとTFEとヘキサフルオロアセトンとの共重合体等が挙げられるが、これに限定されるものではない。中でも、TFEと、VdF、HFP、(パーフルオロ)アルキルビニルエーテルの少なくとも1種の成分との共重合体が透明性、耐熱特性、コストの点から好ましい。
TFE単位を含む含フッ素オレフィン系樹脂としては、具体的には、
VdF単位16〜44質量%、TFE単位46〜62質量%、HFP単位10〜22質量%からなる3元共重合体、
VdF単位5〜25質量%、TFE単位50〜80質量%、(パーフルオロ)アルキルビニルエーテル単位5〜25質量%からなる3元共重合体、
エチレン単位5〜60質量%、TFE単位25〜70質量%、HFP単位5〜45質量%からなる3元共重合体、
VdF単位10〜30質量%、TFE単位40〜68質量%、HFP単位21〜40質量%、パーフルオロアルキルビニルエーテル単位1〜15質量%からなる4元共重合体等を挙げることができる。
TFE単位を含む含フッ素オレフィン系樹脂は、示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱(ΔH)が40mJ/mg以下であり、より高い耐熱性を得る点から、30mJ/mg以下がより好ましく、15mJ/mg以下がさらに好ましい。この結晶融解熱は、含フッ素オレフィン系樹脂における、TFE単位等に由来(VdF単位を有する場合はTFE単位にも由来)する結晶成分の熱融解に起因するものである。この結晶融解熱が40mJ/mgより大きいと、樹脂自体の結晶性が高くなり、材料が白濁する傾向がある。そのため、POFケーブルの初期の伝送損失が増大したり、POFケーブルが高(湿)熱環境下に長期間放置された場合、伝送損失の増加が著しくなる傾向がある。
結晶融解熱が小さい含フッ素オレフィン系樹脂は、比較的低い結晶性を有し、長時間の高温条件においてもPOF自体の光学特性の劣化を抑えることができる。
含フッ素オレフィン系樹脂がVdF単位を有する場合は、耐熱性の点から、VdF単位の含有量は50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。VdF単位の含有量が多すぎると、当該含フッ素オレフィン系樹脂と内層側の樹脂(コア材、または内層側のクラッド材)との間に相溶層の形成が進行する傾向がある。結晶性が高い当該含フッ素オレフィン系樹脂と非結晶性である内層側樹脂との間に形成される相溶層は、POFが長時間高温(高湿)状態に曝されることにより相分離を生じ、層間の界面状態が悪化し、光学特性を低下させる。この影響は、温度85℃湿度95%のように、水分が存在するような、高温高湿環境下で著しく現れる傾向がある。VdF単位の含有量が50質量%以下である含フッ素オレフィン系樹脂は、内層側樹脂との層間には相溶層を生じにくく、長時間の高温条件においてもPOF自体の光学特性の劣化を抑えることができる。
POFケーブルを70〜105℃の高温環境や、温度差の激しい環境で用いる場合には、POFケーブルの熱収縮を抑制するため、POFを連続もしくはバッチ処理でのアニール処理を施してもよい。アニール処理の温度は、90℃〜105℃が好ましい。処理温度が高すぎると、POFの製造において一般的に強度付与を目的として施される延伸配向が低下する傾向があり、処理温度が低すぎると、所望の熱収縮特性を得るために非常に長時間の熱処理が必要になったり、何度もアニール処理を行う必要が生じたりする傾向がある。また、このアニール処理の温度を、コア材のガラス転移温度とクラッド材のガラス転移温度とのいずれか低い方の温度以下で実施することが、前述の延伸配向の低下を抑制し、熱収縮特性を向上させ、機械特性に優れたPOFを得ることが可能となるため好ましい。
POFの延伸及びアニール処理の方法としては、水、水蒸気、加熱気体などの加熱媒体によってPOFを加熱、あるいは加熱媒体中にPOFを通過させ、炉前後のPOFの供給、排出速度を変化させることで行うことができる。また、このような処理を行う際、POFに数百gf(数N)の張力を付与して行うことで、延伸配向の保存性を高めることが可能となるため、このような張力を付与してアニール処理を行うことが好ましい。
POFの延伸倍率は1.3〜3.0であることが好ましく、1.4〜2.1であることがより好ましい。延伸率が低すぎると、POFの機械的強度が十分に向上できず、POFが屈曲されたときに破断しやすくなる恐れがある。延伸率が大きすぎると、高温環境下での使用において、収縮しやすくなり、POF自体の光伝送特性が低下する恐れがある。
以上に説明したPOFの外周に被覆層を設けてPOFケーブルを得ることができる。この被覆層としては、当該POFに接する被覆内層(A)と当該被覆内層(A)に接する被覆外層(B)を含む被覆層を設けることができる。
被覆内層(A)には、被覆外層(A)より外側の層内に存在する低分子量体や、着色顔料、可塑剤等のPOF内への移動を防止するバリア機能を付与することができる。被覆内層(A)に用いる材料としては、付与する機能に応じて、POFケーブルの被覆材料として公知の樹脂から適宜選択できる。バリア機能および耐熱性の点から、(メタ)アクリル酸メチル単位を主成分とする樹脂((メタ)アクリル酸メチル系樹脂)、スチレン単位を主構成単位とする樹脂(スチレン系樹脂)、ポリカーボネートを主成分とする樹脂(ポリカーボネート系樹脂)、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリブチレンテレフタレートを主成分とする樹脂(ポリブチレンテレフタレート系樹脂)から選ばれるものが好ましい。中でも、(メタ)アクリル酸メチル系樹脂およびポリブチレンテレフタレート系樹脂は、バリア機能が高い点、後述するPOFケーブルのアニール処理によって被覆外層(B)との高い密着強度を発現する点からより好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸メチル系樹脂は、(メタ)アクリル酸メチル単位を60質量%以上含むものが好ましく、70質量%以上含むものがより好ましく、80質量%以上含むものがさらに好ましい。スチレン系樹脂は、スチレン単位を60質量%以上含むものが好ましく、70質量%以上含むものがより好ましく、80質量%以上含むものがさらに好ましい。ポリカーボネート系樹脂は、ポリカーボネート成分を60質量%以上含むものが好ましく、70質量%以上含むものがより好ましく、80質量%以上含むものがさらに好ましい。ポリブチレンテレフタレート系樹脂は、ポリブチレンテレフタレート成分を60質量%以上含むものが好ましく、70質量%以上含むものがより好ましく、80質量%以上含むものがさらに好ましい。
被覆外層(B)には、耐薬品性を向上させる機能、外光の入射を防止する機能、機械的強度を向上させる機能、耐熱性を向上させる機能などを付与することができる。被覆外層(B)に用いる樹脂材料としては、付与する機能に応じて、POFケーブルの被覆材料として公知の樹脂から適宜選択できる。例えば、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、ポリウレタン、フッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、これら2種以上の混合物を主成分とする材料を使用できる。耐薬品性、機械的強度、耐熱性の点から、ポリアミド樹脂が好ましく、なかでもナイロン11、ナイロン12、これらの共重合体を構成する単量体単位を組み合わせてなる共重合体が好ましく、ナイロン11及びナイロン12の少なくとも一方を用いることがより好ましい。これらのポリアミド樹脂は、被覆時の温度条件が低く、被覆工程における成形性が良好でPOFに熱的ダメージを与えにくい。しかも高温環境下における寸法安定性に優れるため、被覆内層(A)との密着性を高めることで、フェルール外れ等の不具合を抑えることができる。被覆外層(B)の材料は、これらの樹脂を60質量%以上含むものが好ましく、70質量%以上含むものがより好ましく、80質量%以上含むものがさらに好ましい。
被覆外層(B)の材料には、外光の入射を防止する機能を付与する目的で、カーボンブラックなどの遮光材を含有させてもよい。
被覆内層(A)と被覆外層(B)の双方の機能を有効に発現させるためには、被覆内層(A)の厚み(dA)と被覆外層(B)の厚み(dB)の比(dB/dA)が下記式(2)の範囲にあることが好ましい。
1.1≦dB/dA≦49 (2)
被覆内層(A)の上記バリア機能をより高めるためには、被覆内層(A)はできる限り厚くした方がよいが、dB/dAの値を小さくしすぎると、被覆外層(B)が薄くなり、被覆外層(B)に与えられた耐薬品性や機械強度等の機能が低下する。被覆層の密着性の向上のためには被覆内層(A)はできる限り薄くしたほうがよいが、dB/dAの値を大きくしすぎると、被覆内層(A)が薄くなり、被覆内層(A)に与えられたバリア機能が低下する。
POFケーブルの被覆は、クロスヘッドダイを備えた押出被覆装置を用いて行うことができる。その際、被覆内層(A)および被覆外層(B)は一括被覆される。
POFを被覆する際の被覆温度Tは、190〜230℃の範囲にあることが好ましい。被覆温度が低すぎると、被覆材が十分に溶融されず、塊となって被覆層の厚み変動が大きくなったり、被覆材の被覆装置配管中の流れが悪くなり、樹脂吐出不足を起こしたりして、所望の厚み制御が困難になる。被覆温度が高すぎると、POFが溶融しやすくなり、被覆材供給圧力による外径変動が生じたり、熱劣化による伝送損失が増加したりする恐れがある。被覆層の厚みがより均一になるように制御し、且つPOFケーブルの光学特性をより十分に確保するためには、被覆温度Tの範囲は上記温度範囲が好ましく、200〜220℃の範囲がより好ましい。
押出被覆装置は、図2に示すようなクロスヘッドを備えた装置(クロスヘッドダイ)を用いることが好ましい。POFは、クロスヘッドのダイス21とニップル22に設けられた軸線25に沿った経路を通過し、被覆された後に、ダイス21の先端面21aの開口からPOFケーブルとして外部へ押し出される。その際、このクロスヘッド内では、第1流路23及び第2流路24からの樹脂が共押出しにより一括してPOFの外周へ被覆される。第1流路23と第2流路24が合流した第3流路26と軸線25とのなす角度θが20度から60度となっていることが好ましい。すなわち、POFと被覆内層(A)および被覆外層(B)を形成する材料とが、POFの中心軸と被覆材料の流路(第3流路26)の流れ方向とのなす角が20度から60度の範囲で接触することが好ましい。θが20度未満では、被覆内層(A)および被覆外層(B)をPOFに均一な厚みで被覆することが難しく、一方、60度を超えると、高温に加熱された材料がPOFに与える熱や応力が大きくなり、POFの光学特性が劣化する場合がある。被覆内層(A)をより薄く均一に形成するためには、角度θが30〜45度となるように形成されていることが好ましい。
被覆外層(B)の外側に更に被覆層を設ける場合においても、被覆温度やPOFとの接触角度は上記範囲に設定することが好ましい。
上述の被覆層の形成後、得られたPOFケーブルに対して、POFと被覆層との密着性の向上を目的として、アニール処理を施す。POFと被覆層とが接した状態でアニール処理をすることで、POFと被覆内層(A)との界面の接着性、および被覆内層(A)と被覆外層(B)との界面の接着性を向上することができる。
このアニール処理によって、被覆層の密着性を十分に向上させるためには、前述した被覆内層(A)の材料を用いることが好ましい。これらの材料を用いると、短時間のアニール処理により、POFと被覆内層(A)間、および被覆内層(A)と被覆外層(B)間に化学的な相互作用が働き、密着性を向上できる。この際、前述した被覆内層(A)が存在しない場合は、密着性が十分に向上せず、また十分な耐熱性も得られず、被覆内層(A)および被覆外層(B)を形成した後にアニール処理を実施することが重要である。このアニール処理は、被覆外層(B)の外側に後述の被覆層(C)を形成する場合は、その被覆層(C)の形成後にアニール処理を実施してもよい。
アニール処理の条件は、処理温度90℃〜110℃、処理時間2分〜60分の範囲に設定することができる。
アニール処理温度が高すぎると、POF材料の熱劣化によりPOFの光学特性が低下する恐れがある。アニール処理温度が低すぎると、所望の密着強度を得るために非常に長時間を要したり、密着性が十分に向上しなかったりする恐れがある。このような観点から、アニール処理温度は90℃以上に設定することができ、95℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。またアニール処理温度は、110℃以下に設定することができ、105℃以下が好ましい。
アニール処理時間が長すぎると、POF材料の熱劣化により光学特性が低下する恐れがあり、生産性も低くなる。アニール処理時間が短すぎると、密着性が十分に向上しない恐れがある。このような観点から、アニール処理時間は2分以上に設定することができ、3分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、10分以上がさらに好ましい。またアニール処理時間は60分以下に設定することができ、50分以下が好ましく、40分以下がより好ましい。
アニール処理の方法としては、水などの液体、水蒸気、加熱気体などの加熱媒体によってPOFケーブルを加熱する対流加熱方式や、IR(赤外線)ヒーター等による輻射加熱(放射加熱)方式、マイクロ波などによる電磁波加熱方式などから適宜選択して用いることができる。特に、POFケーブル表面からの媒体を介する加熱である対流加熱方式に対して、材料を直接発熱させる輻射加熱(放射加熱)方式や電磁波加熱方式によれば、加熱効率が向上し、より短時間での熱処理が可能となるため、IRヒーターなどを用いる輻射加熱方式またはマイクロ波などを用いる電磁波加熱方式によるアニール処理が好ましい。
対流加熱方式と輻射加熱方式または電磁波加熱方式とは、加熱効率が異なるため、対流加熱方式のアニール処理時間は、上記の温度範囲内の処理温度に応じて、3分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、処理温度が比較的低い場合は10分以上が好ましく、20分以上がより好ましい。一方、輻射加熱方式または電磁波加熱方式のアニール処理時間は、上記の温度範囲内の処理温度に応じて、2分以上が好ましく、3分以上がより好ましく、処理温度が比較的低い場合は5分以上が好ましい。
POFケーブルの炉内への設置は、枷状の形態で炉中に放置する方法や、ボビンに巻き付けた状態で炉中へ放置する方法、あるいは加熱媒体中に連続してPOFケーブルを通過させる方法など適宜選択することができる。処理温度、処理時間、コスト等の点から、ボビンに巻いた状態で実施することが好ましい。IRヒーターなどを用いる輻射加熱方式またはマイクロ波などを用いる電磁波加熱方式による場合には加熱効率が向上し、より短時間での熱処理が可能となるため、POFケーブルを連続的に移動させながらアニール処理することができる。
本発明に係わるPOFケーブルは、特にPOFケーブルが自動車内通信で用いられる場合には、本発明の方法にて製造されたPOFケーブルの外側に、被覆層(C)として、耐熱性、耐屈曲性、耐薬品性、耐衝撃性に優れるポリアミド樹脂を主成分とする材料を被覆することが好ましい。このようなポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン612、ナイロン621、これらを構成する構造単位を含む各種共重合ナイロン、ナイロンエラストマー、及びこれらの混合物などが挙げられる。中でも、ナイロン6、ナイロン66、或いはこれらを構成する構造単位を組み合わせてなる共重合体が好ましく、ナイロン6及びナイロン66の少なくとも一方がより好ましい。これらは樹脂自体の融点が高く、90〜105℃のような高温環境下においても、材料中に含まれる低分子量物質などの不純物の内側の層への移動を抑える働きがある。また、ナイロン66は、高温環境下でのPOFの光伝送損失を大きく抑制する働きがある点から特に好ましい。
被覆層(C)の材料は、このようなポリアミド樹脂を60質量%以上含むものが好ましく、70質量%以上含むものがより好ましく、80質量%以上含むものがさらに好ましい。
本発明におけるPOFケーブルでは、POFへの外光の入射を防止するために、被覆材にカーボンブラック等の遮光剤を含有させることもできる。また、POFケーブルの識別性、意匠性を高めるために、被覆材に着色剤を含有させることもできる。着色剤としては、染料系や無機系の公知のものを用いることができるが、耐熱性の観点から無機顔料を用いることが好ましい。
その他、被覆材に難燃性を付与あるいは向上するために、難燃剤を含有させてもよい。難燃剤としては、金属水酸化物、リン化合物、トリアジン系化合物など公知の難燃剤を用いることができる。ポリアミド樹脂を用いる場合は、トリアジン系化合物や臭素系化合物が好ましく、特にシアヌル酸メラミン、臭素化ポリスチレンが好ましい。
以下、本発明を実施例に挙げて説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例における各種測定方法を説明する。
[結晶融解熱(△H)の測定]
示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツル社製、DSC−220)を用いて測定を行った。サンプルを、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温して5分間保持して溶融させた後、降温速度10℃/分で0℃まで降温し、再度昇温速度10℃/分で昇温、5分間保持、10℃/分で降温を繰り返し、このときの結晶融解熱を求めた。
[メルトフローレイト(MFR)の測定]
メルトフローレイト測定装置(テクノセブン社製、メルトインデクサ L217−1531)を用い、JIS K 7210A法に基づき、測定温度210℃、荷重5kgf(49N)の条件下にて、10分間に吐出される量(g)を測定した。
[被覆層引抜強度]
POFと被覆層との間の初期引抜強度を次にようにして測定した。
図1に示すように、POFケーブル10を保持する治具12と、治具12の一端部に形成された突起14を把持するチャック8と、POFケーブル10の剥離部分5を把持するチャック7とを備えた測定装置1を引っ張り試験機に取り付けて測定した。治具12には、POFケーブル10の被覆部分4が収容される保持室13と、POFケーブル10の剥離部分5よりも大きく被覆部分4よりも狭い貫通孔15が形成されている。
測定にあたっては、一端側の被覆層を剥離したPOFケーブルを用意し、POFケーブルの被覆部分4の長さが30mmになるように切断した。
次に、治具12に形成されている保持室13内にPOFケーブルの被覆部分4を収容し、POFケーブルの剥離部分5を貫通孔15から抜き出した。
次に、治具12の一端部に形成されている突起14をチャック8で把持し、POFケーブルの剥離部分5をチャック7で把持した。
次に、POFケーブル10の中心軸方向(図中矢印方向)に沿って、一定速度50mm/分でチャック8を移動させて治具12を引っ張り、POFケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分を引き抜いた。このときの引き抜き応力と、POFケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分の引き抜き方向へのずれ量との関係を示す曲線から、引き抜く際の応力のピーク値を読みとり被覆層引抜強度とした。
[伝送損失測定]
25−5mのカットバック法により、入射NA=0.1における波長650及び570nmの光を用いて、POFケーブルの伝送損失を測定した。
(比較例1)
コア材としてメチルメタクリレート(MMA)の単独重合体(MFR:2.4g/10分、屈折率:1.492)を用い、内層側のクラッド層の材料として2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)/1,1,2,2−テトラヒドロパーフルオロデシルメタクリレート(17FM)/MMA/メタクリル酸(MAA)=50/31/18/1(質量%)の共重合体(MFR:20g/10分、屈折率:1.417)を用い、外層側のクラッド層の材料として、フッ化ビニリデン(VdF)/テトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)=48/43/9(質量%)の共重合体(MFR:45g/10分、屈折率:1.374、結晶融解熱:14mJ/mg)を用い、これらを溶融して同心円状に中心から順次積層して複合紡糸し、コア径970μm、内層側クラッド層の厚み5μm、外層側クラッド層の厚み10μmのPOFを得た。
被覆内層(A)の材料としてポリブチレンテレフタレート系エラストマー(商品名:ハイトレル4047、東レ・デュポン社製)、被覆外層(B)の材料としてナイロン12(商品名:ダイアミド12 L1640、ダイセル・デグッサ社製)を用い、これらを図2に示すコンプレッション式の2層一括被覆用クロスヘッド型被覆装置に供給して、POFの外周に一括被覆して外径1.51mmのPOFケーブルを得た。その際の被覆内層(A)の厚みは40μm、被覆外層(B)の厚みは215μmであった。
得られたPOFケーブルの被覆層引抜強度は30Nであり、伝送損失は、650nmでは130dB/km、570nmでは83dB/kmであった。また、このPOFケーブルを105℃環境下に5000時間曝したPOFケーブルの伝送損失は650nmでは177dB/km、570nmでは386dB/kmであった。
(実施例1)
比較例1と同様にして作製したPOFケーブルを100℃の恒温槽に30分間放置した。
このアニール処理後の被覆層引抜強度および伝送損失を測定した。
結果は表1の通りであり、被覆層引抜強度が54Nであり、被覆層の密着性が向上した。 伝送損失は、650nmでは130dB/km、570nmでは85dB/kmであった。このPOFケーブルを105℃環境下に5000時間曝したPOFケーブルの伝送損失は650nmでは178dB/km、570nmでは390dB/kmであり、耐熱性も良好であった。
(実施例2〜7)
アニールの処理温度および処理時間を表1に示す通りにした以外は実施例1と同様にPOFケーブルを作製した。結果は表1に示した通りであり、光伝送特性を損なうことなく、被覆層引抜強度が向上し、耐熱性も良好であった。
(実施例8、9)
比較例1と同様にして作製したPOFケーブルの外周に、被覆層(C)の材料として、ナイロン66樹脂(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン66 2015B)を83質量%、臭素化ポリスチレン(アルベマール社製、商品名:HP−3010、GPCで測定したポリスチレン換算分子量50,000)を10質量%、五酸化アンチモン(日産化学社製、商品名:サンエポック)を5質量%、群青を2質量%の比率で配合したナイロン66樹脂組成物を、280℃に設定したクロスヘッドダイを用いたクロスヘッドケーブル被覆装置を用いて被覆し、厚み400μmの被覆層(C)が設けられた外径2.30mmのPOF二次ケーブルを得た。
アニールの処理温度および処理時間を表1に示すに通りにした以外は、得られたPOFケーブルを実施例1と同様にしてアニール処理を行なった。表1に示した通り、被覆層引抜強度が比較例1に対して向上し、実施例1〜8よりも耐熱性に優れた、特に短波長側の伝送損失の増加が少ないPOFケーブルが得られた。
(実施例10、11)
アニールの処理の加熱手段としてセラミックスプレートヒーター(遠赤外線セラミックプレートヒーター 型式:PLC−322 200W電熱線内蔵 株式会社ノリタケカンパニーリミテド製)を備えた熱処理炉を用い、処理時間を表1に示す通りにした以外は、実施例1および実施例8とそれぞれ同様にして実施例10及び11のPOFケーブルを作製した。表1に示した通り、実施例1や実施例8よりも短時間のアニール処理であるにもかかわらず、実施例1や実施例8と同等に優れた耐熱性、被覆引抜強度特性が得られた。
(比較例2〜5)
アニールの処理温度と処理時間を表1に示す通りにした以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。表1に示した通り、比較例2では耐熱性が低く、比較例3では被覆層引抜強度が十分に改善されず、比較例4では長時間のアニールにもかかわらず被覆層引抜強度の向上は小さかった。
(比較例6)
被覆内層(A)を設けなかった以外は実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。表1に示す通り、被覆層引抜強度は32Nであり、比較例1に対してほとんど向上せず、耐熱性も不十分なものであった。
Figure 0005235426
表中の樹脂の略号および略称の説明は以下のとおりである。
PMMA:ポリメタクリル酸メチル、
フッ素化MA:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)/1,1,2,2−テトラヒドロパーフルオロデシルメタクリレート(17FM)/メチルメタクリレート(MMA)/メタクリル酸(MAA)=50/31/18/1(質量%)の共重合体、
VdF/TFE/HFP:フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン=48/43/9(質量%)の共重合体、
PBT:ポリブチレンテレフタレートエラストマー(東レ・デュポン社製、商品名:ハイトレル4047)、
PA12:ナイロン12(ダイセル・デグッサ社製、商品名:ダイアミド12 L1640)、
PA66:ナイロン66(宇部興産社製、商品名:UBEナイロン66 2015B)/臭素化ポリスチレン(アルベマール社製、商品名:HP−3010)/五酸化アンチモン(日産化学社製、商品名:サンエポック)/群青の組成物(83/10/5/2(質量%))。
プラスチック光ファイバケーブの被覆層引抜強度の測定方法を説明するための断面図である。 本発明のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法に使用される被覆装置の一例を示す部分断面図である。
符号の説明
1 引き抜き強度測定装置
4 被覆部分
5 剥離部分
7 チャック
8 チャック
10 POFケーブル
12 治具
13 保持室
14 突起
15 貫通孔
21 ダイス
21a 先端面
22 ニップル
23 第1流路(被覆内層(A)の樹脂流路)
24 第2流路(被覆外層(B)の樹脂流路)
25 POF素線1が通る経路の軸線
26 第3流路

Claims (7)

  1. コアと該コアの外周に形成された単層または複層構造のクラッドとを有し、前記コアは、ポリメタクリル酸メチル又は1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチルとの共重合体からなり、前記クラッドは、テトラフルオロエチレン単位を含み、示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂からなる層を少なくとも最外層に有するプラスチック光ファイバを形成し、
    前記プラスチック光ファイバの外周に接して設けられる被覆内層(A)と該被覆内層(A)の外周に接して設けられる被覆外層(B)とを一括して形成し、
    前記被覆内層(A)及び前記被覆外層(B)を含む被覆層が前記プラスチック光ファイバの外周に設けられたプラスチック光ファイバケーブルに対して、90℃〜110℃で2分〜60分間熱処理を行い、
    前記被覆内層(A)は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂を用いて形成され、
    前記被覆外層(B)は、ナイロン11及びナイロン12の少なくとも一方を主成分とする材料を用いて形成される、プラスチック光ファイバケーブルの製造方法。
  2. 前記熱処理は、3分以上50分以下の範囲内で行う、請求項1に記載のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法。
  3. 前記被覆外層(B)は、ナイロン12を主成分とする材料を用いて形成される、請求項1又は2に記載のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法。
  4. 前記含フッ素オレフィン系樹脂は、テトラフルオロエチレン単位とフッ化ビニリデン単位とヘキサフルオロプロピレン単位を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法。
  5. 前記熱処理は、対流加熱方式、輻射加熱方式または電磁波加熱方式により行う請求項1から4のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法。
  6. 前記熱処理は、輻射加熱方式または電磁波加熱方式により行う請求項1からのいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法。
  7. 前記被覆層の外周に、ナイロン6及びナイロン66の少なくとも一方を主成分とする材料からなる被覆層(C)を形成する請求項1からのいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバケーブルの製造方法
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