JP2007052095A - プラスチック光ファイバケーブル - Google Patents

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周 青柳
Yoshihiro Tsukamoto
好宏 塚本
Yasushi Fujishige
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Abstract

【課題】 耐薬品性に優れる上に、初期の伝送損失が小さく、100〜105℃程度の高温環境下での長期耐熱性に優れたプラスチック光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】 本発明のプラスチック光ファイバケーブルは、メタクリル酸メチル単位を含有する重合体からなるコアおよび該コアの外周面上に形成された1層または2層以上のクラッド層を備えたプラスチック光ファイバ素線と、該プラスチック光ファイバ素線の外周部を被覆した被覆層とを有するプラスチック光ファイバケーブルであって、前記クラッド層の少なくとも最外層が、特定の含フッ素オレフィン系樹脂からなり、前記被覆層が、特定のポリブチレンテレフタレートおよび遮光剤を含む被覆材からなる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば、自動車等の移動体中での情報伝送用途や食品・半導体分野でのセンサー用途などに利用できるプラスチック光ファイバケーブルに関する。
従来、光ファイバとしては広い波長領域にわたって優れた光伝送を行うことができることから、石英系の光ファイバが幹線系を中心として使用されているが、石英系光ファイバは高価である上に加工性が低いという問題がある。そのため、安価で、軽量、大口径であり、端面加工や取り扱いが容易である等の長所を有したプラスチック製の光ファイバ(プラスチック光ファイバ)が開発されている。プラスチック光ファイバは、照明・装飾用途や、食品・半導体分野等でのセンサー用途、FA、OA、LAN等の短・中距離での光情報伝送用途等において実用化されている。
プラスチック光ファイバは、プラスチック光ファイバ素線の外周部が、熱可塑性樹脂からなる被覆層で被覆されたプラスチック光ファイバケーブルの形態で使用されるのが一般的である。
ここで、プラスチック光ファイバ素線は、透明性に優れたポリメタクリル酸メチル(PMMA)から形成された主たる光伝送路になるコアと、コアの外周面上にコアよりも屈折率が低い材料からなるクラッド層とを備えたものである。
近年、プラスチック光ファイバケーブルを、自動車等の移動体内での情報伝送用途として使用することがある。自動車等の移動体内での情報伝送用途として使用する場合には、オイルや電解液、ガソリン等の引火性物質などの薬品存在下で使用されるため、被覆層には、耐熱性、耐熱寸法安定性に優れることに加えて、耐薬品性に優れることが要求される。
そこで、機械的強度や耐熱性、耐熱寸法安定性、さらに耐油・耐薬品性、成形加工性、耐衝撃性、幅広い温度領域にわたっての屈曲疲労性に優れることから、ポリエステル系樹脂やポリエステル系エラストマー、特にポリブチレンテレフタレートの単位を含む樹脂を、プラスチック光ファイバケーブルの被覆材として用いることが提案されている。
例えば、特許文献1には、被覆材として融点またはガラス転移温度が120〜260℃であるポリエステルなどの熱可塑性樹脂を用いたプラスチック光ファイバケーブルが提案されている。このプラスチック光ファイバケーブルは、初期の伝送損失が420〜500dB/km、115℃環境下に6〜7時間保存した後の伝送損失の増加量が0〜50dB/kmとされており、短時間では優れた耐熱性を示している。
特許文献2では、芳香族ポリエステル単位(ポリエチレンテレフタレート)と、脂肪族ポリエステル単位の組成比が30/70〜70/30(モル比)の範囲にあり、熱膨張係数の小さい共重合ポリエステルからなる光ファイバ素線の被覆材が提案されている。特許文献2の被覆材では、上記共重合ポリエステルを用いることで、溶融粘度のずり速度依存性が小さくなり、配向を容易に制御できるため、プラスチック光ファイバケーブルの成型加工性が向上するとされている。
特許文献3には、ポリブチレンテレフタレート単位からなるハードセグメントと、脂肪族ポリエステル単位からなるソフトセグメントとを有し、融点またはガラス転移温度が120〜260℃の範囲にあるポリエステル系熱可塑性エラストマーを被覆層に用いたプラスチック光ファイバケーブルが提案されている。このプラスチック光ファイバケーブルは、初期の伝送損失が270〜290dB/km、115〜120℃環境下に1000〜1200時間保存した後の伝送損失の増加量が0〜20dB/kmとされている。すなわち、高温下の放置時間が1000時間程度では優れた耐熱性を有している。
特開昭59−226302号公報 特開昭62−288142号公報 特開昭63−208009号公報
ところで、プラスチック光ファイバケーブルを自動車等の移動体内での情報伝送用途として使用する場合には、光量損失が充分に小さいこと(160dB/km以下)が要求される。また、エンジン等の高温体の近傍など、使用環境温度が100〜105℃付近に達するような高温高湿環境下に敷設するため、長期間の耐熱性が要求される。具体的には、100〜105℃環境下で5000時間に達する長期間にわたっても、伝送損失の増加量が小さいことが求められる。
しかしながら、特許文献1〜3に記載されたプラスチック光ファイバケーブルでは、プラスチック光ファイバのコア材が特定の脂環式メタクリレートとメタクリル酸メチルの共重合体からなるため、光透過性が低く(200dB/km以上)、初期の伝送損失が高かった。また、特許文献1〜3に記載されたプラスチック光ファイバケーブルでは、プラスチック光ファイバ素線が100〜105℃での長期耐熱性を有しているにもかかわらず、長期耐熱性が不充分であった。具体的には、1000〜1200時間程度での伝送損失が保証されているにすぎず、5000時間に達する長期間の耐久性能を有するものではない。したがって、これまでに知られていた、ポリエステル系樹脂やポリエステル系エラストマー(以下、ポリエステル系樹脂類という。)からなる被覆層を設けたプラスチック光ファイバケーブルを、自動車等の移動体内での情報伝送用途に適用することは困難であった。
本発明の目的は、耐薬品性に優れる上に、初期の伝送損失が小さく、100〜105℃程度の高温環境下での長期耐熱性に優れたプラスチック光ファイバケーブルを提供することにある。
本発明者らは、ポリエステル系樹脂類からなる被覆層を設けた際にプラスチック光ファイバの長期耐熱性が損なわれる原因について詳細に解析したところ、PMMAをコアに用いたプラスチック光ファイバ素線と、ポリエステル系樹脂類からなる被覆層とでは、100〜105℃付近での熱収縮特性が異なることを見出した。具体的には、プラスチック光ファイバ素線の熱収縮が大きいのに対し、被覆層の熱収縮が小さく、プラスチック光ファイバケーブル内部に収縮歪が発生することを見出した。そして、その収縮歪がプラスチック光ファイバ素線に加わり、その結果、コア−クラッド界面の構造不整が増大するため、伝送損失の増加が生じることを見出した。以上の知見に基づき、本発明者らは以下のプラスチック光ファイバケーブルを発明した。
すなわち、本発明のプラスチック光ファイバケーブルは、メタクリル酸メチル単位を含有する重合体からなるコアおよび該コアの外周面上に形成された1層または2層以上のクラッド層を備えたプラスチック光ファイバ素線と、該プラスチック光ファイバ素線の外周部を被覆した被覆層とを有するプラスチック光ファイバケーブルであって、
前記クラッド層の少なくとも最外層が、テトラフルオロエチレン単位を含み、かつ、示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂からなり、
前記被覆層が、ポリブチレンテレフタレートおよび遮光剤を含む被覆材からなり、前記ポリブチレンテレフタレートは、融点が190℃以下であり、210℃、荷重5kgf(49N)で測定したメルトフローインデックスが25〜100g/10分の範囲にあることを特徴とする。
本発明のプラスチック光ファイバケーブルは、耐薬品性に優れる上に、初期の伝送損失が小さく、100〜105℃程度の高温環境下での長期耐熱性に優れている。
本発明のプラスチック光ファイバケーブル(以下、POFケーブルという。)は、コアおよび該コアの外周面上に形成されたクラッド層を備えたプラスチック光ファイバ素線(以下、POF素線という。)と、該POF素線の外周部を被覆した被覆層とを有するPOFケーブルである。
POF素線におけるコアを形成する材料(コア材)としては、透明性および機械的強度のバランスに優れていることから、メタクリル酸メチル(MMA)単位を含有する重合体が用いられ、中でも、メタクリル酸メチルのホモポリマーであるポリメタクリル酸メチル(PMMA)が好ましい。
POF素線におけるクラッド層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。ただし、本発明では、クラッド層の少なくとも最外層が、テトラフルオロエチレン単位を含み、かつ、示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂からなる層である。なお、クラッド層が1層の場合にはその1層のクラッド層が最外層となる。
結晶融解熱は、前記含フッ素オレフィン系樹脂の熱融解に起因して発生する熱量であり、この熱量が小さいほど結晶性が低いことを示す。含フッ素オレフィン系樹脂の結晶融解熱は30mJ/mg以下であることが好ましく、15mJ/mg以下であることがより好ましい。
テトラフルオロエチレン単位を含む含フッ素オレフィン系樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという。)単位と、フッ化ビニリデン(以下、VdFという。)単位、ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPという)単位、パーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテル(以下、FVEという。)単位のうちの少なくとも1種を共重合して得られる共重合体、VdF単位とTFE単位とヘキサフルオロアセトン単位との共重合体、TFE単位とHFP単位とエチレン単位との共重合体等が挙げられるがこれに限定されるものではない。TFE単位との共重合成分としては、低コストであり、得られた共重合体の透明性が高く、耐熱性に優れる点から、VdF単位とHFP単位とFVE単位が好ましい。
また、TFE単位を含む含フッ素オレフィン系樹脂中にVdF単位とHFP単位のうち少なくとも1種類を含む樹脂は、POF素線の溶融紡糸時の安定性に優れている点で好ましい。
TFE単位を含む含フッ素オレフィン系樹脂の具体例としては、
VdF単位60〜90質量%と、TFE単位10〜40質量%とからなる2元共重合体、
VdF単位10〜60質量%と、TFE単位20〜70質量%と、HFP単位5〜35質量%とからなる3元共重合体、
VdF単位5〜25質量%と、TFE単位50〜80質量%と、FVE単位5〜25質量%とからなる3元共重合体、
エチレン単位5〜60質量%と、TFE単位25〜70質量%と、HFP単位5〜45質量%とからなる3元共重合体、
VdF単位10〜30質量%と、TFE単位40〜80質量%と、HFP単位5〜40質量%と、FVE単位0.1〜15質量%とからなる4元共重合体、
TFE単位40〜90質量%と、FVE単位10〜60質量%とからなる2元共重合体、
TFE単位30〜75質量%と、HFP単位25〜70質量%とからなる2元共重合体であって、(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂を挙げることができる。
前記含フッ素オレフィン系樹脂がVdF単位を含有する場合には、VdF単位の含有量が該含フッ素オレフィン系樹脂中の60質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。VdF単位の含有量が60質量%を超えると、含フッ素オレフィン系樹脂の結晶性が高くなるため、非結晶性の内層樹脂(コアのPMMA、又はクラッドが2層以上からなる場合には内側のクラッド材)との間に相溶層が形成されることがある。そのため、POFケーブルが温度85℃湿度95%RHのような高温高湿環境下に長時間曝された場合には、相溶層が相分離して伝送損失の増加を引き起こす傾向がある。
上記パーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテルとは、一般式(I)で示されるものである。
CF=CF−(OCFCF(CF))O−Rf2 (I)
(式中、Rf2は炭素原子数が1〜8個のアルキル基もしくはフルオロアルキル基又はアルコキシルアルキル基もしくはフルオロアルコキシルアルキル基を示し、aは0〜3の整数である。)
このパーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテルとしては、下記一般式(II)〜(V)から選ばれるものが好ましい。
CF=CFO(CF−OCF (II)
(式中、nは1〜3の整数)
CF=CF(OCFCF(CF))O(CFCF (III)
(式中、nは1〜3の整数、mは0〜3の整数)
CF=CFO(CH(CFCF (IV)
(式中、nは1〜3の整数、mは0〜3の整数)
CF=CFO(CHCH (V)
(式中、nは1〜3の整数)
これらの中でも、原料の低コスト化を図ることができる点から、CF=CFOCF、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF、CF=CFOCHCF、CF=CFOCHCFCF、CF=CFOCHCFCFCF、CF=CFOCH、CF=CFOCHCH及びCF=CFOCHCHCHからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
クラッド層が2層以上である場合には、第1クラッド層の外周に、第2クラッド層(最外層)を同心円状に設けた2層構造とすることが好ましい。
2層構造とする場合、コアの屈折率n、第1クラッド層の屈折率n、第2クラッド層の屈折率nが、下記の関係式(a)
>n>n (a)
あるいは、下記の関係式(b)および(c)
>n (b)
>n (c)
を満たすことが好ましい。なお、本発明における屈折率は、ナトリウムD線による25℃での屈折率をいう。
特に、上記の関係式(a)を満たす場合には、POFケーブル屈曲時に第1クラッド層から漏れた光をより低屈折率な第2クラッド層によって反射できるため、曲げ光量損失を小さくすることができる。
第1クラッド層を形成する樹脂(第1クラッド材)としては、フッ素化メタクリレート系重合体、フッ化ビニリデン系重合体等のPOF用クラッド材として使用されている公知の材料を適宜選択することができる。中でも、本発明においては、屈折率の調整が容易である、透明性および耐熱性が高い、屈曲性及び加工性に優れているといった特徴を有する点からフッ素化メタクリレート系重合体を用いることが好ましい。
上記のフッ素化メタクリレート系重合体としては、より具体的には下記一般式(VI)で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートの単位(A)15〜90質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(B)10〜85質量%とからなり、屈折率が1.39〜1.475の範囲にある共重合体を挙げることができる。
CH=CX−COO(CH(CFY (VI)
(式中、Xは水素原子またはメチル基、Yは水素原子またはフッ素原子を示し、mは1又は2、nは1〜12の整数を示す。)
また、フッ素化メタクリレート系重合体として、下記一般式(VII)で表わされる長鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(C)0〜50質量%と、下記一般式(VIII)で表わされる短鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(D)0〜50質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(E)50〜80質量%とからなり(単位(C)と(D)の少なくとも一方を必ず含む)、屈折率が1.45〜1.48の範囲にあるフッ素化メタクリレート系重合体を挙げることができる。このようなフッ素化メタクリレート系重合体を用いる場合は、POFケーブルの伝送帯域をより広くすることができる。
CH=C(CH)COO−(CH(CFCF (VII)
(式中、mは1又は2、nは5〜12の整数を示す。)
CH=C(CH)COO−CH(CFX (VIII)
(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、mは1〜4の整数を示す。)
また、フッ素化メタクリレート系共重合体として、上記長鎖フルオロアルキルメタクリレート単位(C)0〜80質量%と、上記短鎖フルオロアルキルメタクリレート単位(D)10〜90質量%と、他の共重合可能な単量体単位(E)10〜50質量%とからなり、屈折率が1.39〜1.435の範囲にある共重合体を挙げることができる。このような重合体を用いる場合は、POFケーブル屈曲時の曲げ光量損失をより低減することができる。
上記フッ素化メタクリレート系重合体における他の共重合可能な単量体の単位(E)としては特に限定されないが、透明性の向上のためには、(メタ)アクリル酸メチル単位が好ましい。機械特性の向上のためには、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単位が好ましい。耐熱性の向上のためには、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルの単位、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸芳香族エステルの単位、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロネオペンチルの単位、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミドの単位、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ、γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−エチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−シクロヘキシル−γ−ブチロラクトン等のγ−ブチロラクトン系化合物の単位が好ましい。
これらの中でも透明性および100〜105℃付近での長期耐熱性、機械的強度に優れたPOFケーブルが得られる点から、他の共重合可能な単量体(E)として(メタ)アクリル酸メチルの単位を用いることが特に好ましい。
第1クラッド材のガラス転移温度(Tg)は、100℃付近での耐熱性がより高くなることから、100℃前後あるいはそれ以上であることが好ましい。ただし、本発明では、第1クラッド層にTgが70〜90℃程度の公知のフッ素化メタクリレート系重合体を用いた場合であっても100〜105℃での長期耐熱性を満足することができる。Tgが70℃〜90℃のフッ素化メタクリレート系重合体は、Tgが100℃前後あるいはそれ以上のフッ素化メタクリレート系重合体と比較すると柔軟性に富み、割れにくい特徴を有しているため、クラッド層に用いた場合には、特に曲げ特性に優れたPOFケーブルを得ることができる。
第1クラッド層は、屈折率が高いほど、伝送帯域を広げることができる反面、第2クラッド層による曲げ光量損失の抑制効果が不十分になる傾向がある。したがって、第1クラッド層は、POFケーブルが使用される環境に応じて必要とされる伝送帯域と曲げ光量損失とのバランスを考慮して適宜設計することが望ましい。
被覆層を形成する被覆材は、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTという。)および遮光剤を含むものである。
ここで、PBTとは、1,4ブタンジオール(テトラメチレングリコール)とテレフタル酸のエステル化反応、または、1,4ブタンジオールとテレフタル酸ジメチルのエステル交換反応により得られたビスヒドロキシブチルテレフタレート(BHT)ないしはそのオリゴマーがさらに重縮合されて合成された、下記一般式(1)で示されるオリゴポリ1,4ブチレンテレフタレート単位を基本単位として含む重合体である。なお、一般式(1)中、nは1以上の整数を示す。
Figure 2007052095
また、PBTは、上記下記一般式(1)で示されるオリゴポリ1,4ブチレンテレフタレートをハードセグメント単位(結晶相)と、下記一般式(2)または下記一般式(3)で示されるソフトセグメント単位(非晶相)とを有するブロック共重合体であるポリエステルエラストマーが好ましい。
ここで、一般式(2)で示されるソフトセグメント単位は、例えば、分子量が200〜5000の範囲にある脂肪族ポリエーテル(例えば、ポリテトラメチレンオキシドグリコール(PTMG)など)とテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルとの重縮合により合成されたものである。なお、一般式(2)中、mは1以上の整数、pは4〜12の整数、qは1〜20の整数を示す。
また、一般式(3)で示されるソフトセグメント単位は、例えば、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)やポリブチレンアジペート(PBA)などの脂肪族ポリエステルである。なお、一般式(3)中、lは1以上の整数、rは1〜20の整数を示す。
Figure 2007052095
このようなポリエステルエラストマーでは、分子量や、ハードセグメント/ソフトセグメントのモル比などを適宜調整することにより、PMMAをコアとするPOF素線に被覆層を形成する際の温度(190〜230℃程度)における溶融粘度を容易に調整できる。
上記ポリエステルエラストマーにおいて、ハードセグメント/ソフトセグメントのモル比は20/80〜80/20であることが好ましく、30/70〜70/30であることがより好ましい。ハードセグメント/ソフトセグメントのモル比が20/80より小さいと、POF素線の被覆時において被覆材を充分に配向できないことがあり、80/20より大きいと、PBTの結晶化速度が速すぎるために、POF素線の被覆安定性が低くなる傾向にある。
PBTの融点は190℃以下であり、180℃以下であることが好ましい。PBTの融点が190℃より高いと、POF素線に被覆層を安定して被覆するためにはクロスヘッドダイの温度を220℃より高くする必要がある。その結果、POF素線が熱により損傷を受け、初期の伝送損失が低くなる。
また、PBTは、210℃、荷重5kgf(49N)で測定したメルトフローインデックスが25〜100g/10分の範囲にある。PBTのメルトフローインデックスが25g/10分より小さいと、溶融粘度が高くなるため、POF素線の外周に被覆層を被覆する際に、クロスヘッドダイ内部でPOF素線に加わる樹脂圧力が高くなり、POF素線が損傷しやすくなる。また、PBTのメルトフローインデックスが25g/10分より小さいと、POF素線に被覆層を被覆する際に、配向ひずみが大きくなる傾向がある。配向ひずみが大きくなった場合、配向ひずみを抑えるために加工温度を上げると、POF素線の熱劣化を生じる傾向がある。メルトフローインデックスが100g/10分より大きいと、粘度が低くなり、均一な厚みで保護被覆層を設けることが困難になる。また、被覆層の強度が極めて弱いものとなったり、POFケーブルが高温環境下で捲縮(カーリング)したりすることがある。
PBTの融点やメルトフローインデックスは、分子量やハードセグメント/ソフトセグメントのモル比を調整することによって適宜調整できる。
上記PBTのうち、市販されているものとして、例えば、東レ・デュポン社製の、商品名ハイトレル2551,4047,4057,4767や、ポリプラスチック社製の商品名DYURANEX 400LP、帝人化成社製の商品名ヌーベラン4400シリーズ、東洋紡社製の商品名ペルプレンSタイプ,Pタイプ、三菱化学社製の商品名プリマロイBシリーズ等が挙げられる。
被覆材に含まれる遮光剤としては、POF素線への外光の入射を防止でき、被覆層を無彩色にするものが用いられ、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。遮光剤の含有量としては、0.1〜2.0質量%であることが好ましい。
被覆層の厚さは150〜750μmであることが好ましく、250〜350μmであることがより好ましい。被覆層の厚みが150μm未満である場合には、POF素線を機械的に保護する効果が不十分であり、またPOF素線と被覆層の間の引抜強度を十分に維持できないことがある。一方、被覆層の厚みが750μmを超えると、被覆層に使用する材料のコストが高くなる。また、被覆層が厚くなる分だけ、被覆工程時にPOF素線に伝わる熱量が大きくなり、POF素線の光学性能が低下する傾向にある。
POFケーブルにおいては、耐久性、耐環境特性などを高めるために、上記被覆層の外周に、熱可塑性樹脂からなる二次被覆層が設けられていてもよい。二次被覆層を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、フッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらはPOFケーブルの使用環境に応じて、1種単独で、又は2種以上を適宜選択し混合したものを用いることができる。
自動車内配線用などでは、二次被覆層として、耐油性、耐熱性等に優れたポリアミド系樹脂を用いることが好ましい。具体的には、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−12等の単独重合体や、これら重合体の単量体単位の組み合わせからなるナイロン共重合体、これら重合体に柔軟なセグメントを導入したナイロン系エラストマー、ナイロン系エラストマーと他のポリアミド系樹脂を含む混合物が好ましい。また、これらの中でも、成形性が良好で、二次被覆層形成の際に熱的及び機械的損傷を防止できることから、ナイロン系エラストマー、又はナイロン系エラストマーと他のポリアミド系樹脂との混合物が好ましい。
上記POFケーブルにおいては、POF素線と被覆層との間の引抜強度が20N以下であることが好ましい。引抜強度が20N以下であれば、コア−クラッド界面の構造不整をより防止でき、伝送損失の増加をより抑制できる。
なお、本発明における引抜強度は、後述の測定方法で測定された値であり、密着性の指標となるものである。
上記POFケーブルを製造するためには、例えば、まず、POF素線形成工程にて、公知の複合溶融紡糸法によりPOF素線を形成し、次いで、被覆工程にて、クロスヘッドダイを備えた押出被覆装置を用いて、POF素線の外周部を被覆材で被覆して被覆層を設ける。これにより、POF素線と被覆層とを有するPOFケーブルを得る。
POF素線形成工程では、延伸倍率を1.3〜2.2とすることが好ましく、1.5〜2.0とすることがより好ましい。延伸倍率が1.3より小さいと、POF素線の機械的強度が不十分になるため、POFケーブルを屈曲した際に破断することがある。延伸倍率が2.2より大きいと、熱収縮を低減するために非常に長時間の熱処理が必要になったり、緩和処理の回数を増やす必要が生じたりすることがある。
POFケーブルの製造方法においては、POF素線形成工程と被覆工程の間に、POF素線に熱処理または緩和処理を施す熱収縮性低減化工程を有して、105℃で24時間熱処理した後の、POF素線の軸方向の熱収縮率を1.0%以下、特に0.5%以下にすることが好ましい。熱収縮率が1.0%を超えると、POFケーブルを105℃の高温下で長期使用した際に、POF素線と被覆層との収縮特性の違いによって、コア−クラッド界面の構造不整が増大し、伝送損失が増加することがある。
熱処理及び緩和処理の方法としては、水、水蒸気、加熱気体などの加熱媒体によってPOF素線を加熱する方法、POF素線の供給速度あるいは排出速度を調整しながら加熱媒体中にPOF素線を通過させる方法などが挙げられる。
また、熱処理または緩和処理をする際には、延伸配向を保持できることから、POF素線に数百gfの張力を付与することが好ましい。
POF素線の熱処理または緩和処理の温度としては、90〜120℃程度が好ましい。熱処理または緩和処理の温度が120℃より高いと、POF素線の延伸配向が低下して強度が低下する傾向があり、90℃より低いと、所望の熱収縮性を得るために非常に長時間の熱処理が必要になったり、緩和処理の回数を多くしたりする必要がある。
また、延伸配向の低下を抑制し、熱収縮特性を向上させ、機械特性に優れたPOF素線が得られることから、熱処理または緩和処理の温度は、コア材のガラス転移温度とクラッド層を形成する材料のガラス転移温度のいずれか低い方の温度以下であることが好ましい。
上記熱収縮低減化工程を有していれば、高温環境下におけるPOFケーブルの伝送損失の増加を防ぐことができる。
コア材であるメタクリル酸メチル単位を含む重合体はガラス転移点が約110℃であり、その温度付近で分子配向が緩和されて熱収縮するが、高融点のPBTを含む被覆材からなる被覆層は熱収縮性が小さいため、POFケーブルに収縮歪みが生じる。また、クラッドの最外層の含フッ素オレフィン系樹脂とPBTとの密着性は低い(引抜強度25N以下)。そのため、被覆層に対してPOF素線が突き出したり、引っ込んだりするピストニングが生じる場合がある。ピストニングが生じると、光源あるいは受光素子とPOFケーブル端面との距離が変化して光損失が大きくなり、POFケーブルから出射される光量が変動することがある。しかし、熱収縮低減化工程にて、POF素線の熱収縮性を低減化しておくことにより、ピストニングを抑制することができため、伝送損失の増加を抑えることができる。
以上説明したPOFケーブルでは、POF素線を構成するクラッド層の最外層が特定の含フッ素オレフィン系樹脂からなり、被覆層が、特定のPBTを含む被覆材からなっているため、熱収縮差が小さい。その結果、プラスチック光ファイバケーブル内部に収縮歪が発生しにくくなっており、コア−クラッド界面の構造不整の増大を防止でき、伝送損失の増加を抑制できる。具体的には、105℃の高温環境下に5000時間曝された後の伝送損失を190dB/km以下に抑えることができる。また、上記POFケーブルでは、被覆材に含まれるPBTの融点が190℃以下であり、クロスヘッドダイの温度を220℃より低く設定できるため、POF素線の熱による損傷を防ぐことができる。したがって、光学性能の低下を抑えることができ、具体的には、25m−1mのカットバック法で測定した初期の伝送損失を150dB/km以下にできる。
したがって、本発明のPOFケーブルは、高温環境下で長期間の耐熱性が要求される自動車内LANケーブルなどの用途に好適である。
また、上記POFケーブルでは、POF素線におけるクラッド最外層は、特定の含フッ素ポリオレフィン系樹脂からなっているため、耐溶剤性・耐薬品性に優れる上に、POF素線に加わる振動や外圧等の応力を緩和でき、耐屈曲性を高めることができる。
さらに、上記POFケーブルの被覆層が特定のPBTを含む被覆材からなっているため、耐屈曲性、耐薬品性、加工性に優れる上に、吸収性や熱膨張性が低い。
以下、実施例により本発明を説明する。なお、本発明の実施例における評価方法については、下記の方法により実施した。
(ガラス転移温度(Tg)、結晶融解熱(△H))
測定には示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツルメンツ社製、DSC−220)を使用した。サンプルを、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、その状態で5分間保持して溶融させた後、降温速度10℃/分で0℃まで降温させた。この操作を再度繰り返して行って、ガラス転移温度、結晶融解熱を求めた。
(屈折率)
溶融プレスにより厚さ200μmのフィルム状の試験片を形成し、アッベの屈折計を用い、25℃におけるナトリウムD線の屈折率(n 25)を測定した。
(伝送損失)
波長650nmの光を用い、励振NA=0.1の条件で、25−1mのカットバック法により測定した。測定は、POFケーブルの初期状態と、POFケーブルを温度105℃のオーブンに放置して1000時間経過後及び5000時間経過後について実施した。
(メルトフローインデックス)
メルトフローインデックス(MFI)は、日本工業規格JIS K7210に準じて測定した。具体的には、210℃、荷重5kgf(49N)の条件下で直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に吐出される量を測定した。
(引抜強度)
被覆層の初期引抜強度(光ファイバ素線と被覆層の間の初期引抜強度)を、図1に示すように、光ファイバケーブル10を保持する治具12と、治具12の一端部に形成された突起14を把持するチャック8と、光ファイバケーブル10の剥離部分5を把持するチャック7とを備えた測定装置20を用いて測定した。治具12には、光ファイバケーブル10の被覆部分4が収容される保持室13と、光ファイバケーブル10の剥離部分5よりも大きく被覆部分4よりも狭い貫通孔15が形成されている。
測定にあたっては、一端側の被覆層を剥離した光ファイバケーブルを用意し、光ファイバケーブルの被覆部分4の長さが30mmになるように切断した。
次に、治具12に形成されている保持室13内に光ファイバケーブルの被覆部分4を収容し、光ファイバケーブルの剥離部分5を貫通孔15から抜き出した。次に、治具12の一端部に形成されている突起14をチャック8で把持し、光ファイバケーブルの剥離部分5をチャック7で把持した。
次に、光ファイバケーブル10の中心軸方向(図中矢印方向)に沿って、一定速度50mm/分でチャック8を移動させて治具12を引っ張り、光ファイバケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分を引き抜いた。このときの引抜応力と、光ファイバケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分の引抜方向へのずれ量との関係を示す曲線から、引き抜く際の応力のピーク値を読みとり引抜強度とした。
(ピストニング)
105℃の雰囲気中に、長さ50cmのプラグ付POFケーブルを24時間放置した。その後、プラグ端面からのPOFケーブルの突出、または引き込み長さ(μm)を測定してピストニングを評価した。
[実施例1]
コア材としてPMMA(屈折率1.492)、第1クラッド材として、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)/2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(17FM)/MMA/メタクリル酸(MAA)(51/31/17/1(質量%))共重合体(屈折率1.417)、第2クラッド材(最外層を形成する材料)として、VdF/TFE/HFP共重合体(48.0/42.7/9.3(質量%)、屈折率1.374、結晶融解熱16mJ/mg)を用いた。これらの重合体を溶融して、220℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合ノズルを用いて複合紡糸した後、140℃の熱風加熱炉中で長さ方向に2.0倍に延伸し、各クラッド層の厚み10μm、直径1mmのPOF素線を得た。このPOF素線をプラスチックボビンに巻き取った状態で、90℃に設定した恒温槽に65時間放置し、熱緩和処理を行った。
次に、被覆材用のPBTとして、市販のPBT(東レ・デュポン社製、ハイトレル4047、融点;182℃、MFI;47g/10分)を準備した。
そして、上記のPOF素線に、210℃に設定したクロスヘッドダイを備えたクロスヘッドケーブル被覆装置により前記被覆材を被覆した。これにより、表1に示すような、厚みが250μmの被覆層を形成し、外径1.5mmのPOFケーブルを得た。
このようにして得られたPOFケーブルは、初期の伝送損失が134dB/km、引抜強度が6Nであった。さらに、このPOFケーブルを105℃の恒温槽中に1000時間放置した後の伝送損失は136dB/km、5000時間放置した後の伝送損失は188dB/kmであった(表2参照)。
Figure 2007052095
Figure 2007052095
[実施例2]
実施例1に記載した方法で製造したPOF素線をプラスチックボビンに巻き取った状態で、105℃に設定した恒温槽に24時間放置して、熱緩和処理を行った。その後、市販のPBT(東レ・デュポン社製、ハイトレル4057、融点;163℃、MFI;44g/10分)を用いた以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを製造した。このようにして得られたPOFケーブルの初期の伝送損失は134dB/km、引抜強度は7Nであった。さらに、このPOFケーブルを105℃の恒温槽で放置した時、1000時間後の伝送損失は137dB/km、5000時間後の伝送損失は185dB/kmと良好であった。
[実施例3]
第2クラッド材をVDF/TFE/HFP/PFPVE共重合体(21/55/18/6(質量%)、屈折率1.350、結晶融解熱11mJ/mg)とした以外は実施例1と同様にしてPOF素線(延伸率1.6)を製造した。なお、PFPVEとは、パーフルオロペンタフオロプロピルビニルエーテル(CF=CFOCHCFCF)の略称のことである。
このPOF素線を、温度130℃に設定した熱風炉型の恒温槽を連続的に通過させ熱緩和処理を行った。そして、このPOF素線に、市販のPBT(ポリプラスチック社製、DYURANEX−400LP、融点;175℃、MFI;56g/10分)を用いた以外は、実施例1と同様にして被覆層を設けてPOFケーブルを得た。
このようにして得られたPOFケーブルは、初期の伝送損失が135dB/km、引抜強度が20Nであった。さらに、このPOFケーブルを105℃の恒温槽中に1000時間放置した後の伝送損失は138dB/km、5000時間放置した後の伝送損失は183dB/kmであった。
[比較例1]
第2クラッド材として、VdF/TFE共重合体(80/20(質量%)、屈折率1.402、結晶融解熱59mJ/mg)を用いた以外は、実施例1と同様にしてPOF素線を製造した。その後、105℃に設定した恒温槽に24時間放置して、熱緩和処理を行った。このPOF素線に、実施例1と同様にして被覆層を設けてPOFケーブルを得た。
このようにして得られたPOFケーブルは、初期の伝送損失が162dB/km、引抜強度が5Nであった。さらに、このPOFケーブルを105℃の恒温槽で1000時間放置した後の伝送損失は412dB/km、5000時間放置した後の伝送損失は1000dB/km以上であった。
[比較例2]
被覆材用のPBTとして市販のPBT(東レ・デュポン社製、ハイトレル2551、融点;164℃、MFI;11g/10分)を用いた以外は、実施例2と同様にしてPOFケーブルを製造した。
このようにして得られたPOFケーブルは、初期の伝送損失が155dB/km、引抜強度が7Nであった。さらに、このPOFケーブルを105℃の恒温槽で1000時間放置した後の伝送損失は210dB/km、5000時間放置した後の伝送損失は580dB/kmであった。
[比較例3]
被覆材用のPBTとして市販のPBT(東レ・デュポン社製、ハイトレル3046、融点;160℃、MFI;120g/10分)を用いた以外は、実施例2と同様にしてPOFケーブルを得た。
このようにして得られたPOFケーブルは、初期の伝送損失が135dB/km、引抜強度は10Nであった。このPOFケーブルを105℃の恒温槽で放置したところ、捲縮(カーリング)してしまったため、伝送損失を測定することができなかった。
[比較例4]
被覆材用のPBTとして、市販のPBT(東レ・デュポン社製、ハイトレル4767、融点;199℃、MFI;18g/10分(測定温度220℃、荷重5kg))を用いた以外は、実施例2と同様にしてPOFケーブルを製造した。ただし、クロスヘッドダイの温度は、210℃ではPBTの流動性が低く、被覆が困難であったため、230℃に設定した。
このようにして得られたPOFケーブルは、初期の伝送損失が144dB/km、引抜強度が7Nであった。さらに、このPOFケーブルを105℃の恒温槽で1000時間放置した後の伝送損失は205dB/km、5000時間放置した後の伝送損失は578dB/kmであった。
クラッド層の最外層が特定の含フッ素ポリオレフィン系樹脂からなり、被覆層が特定の被覆材からなる実施例1〜3のPOFケーブルは、初期の伝送特性が良好(140dB/km以下)であり、105℃、5000時間後の伝送損失(190dB/km以下)も良好であった。
クラッド層の最外層に結晶融解熱が40mJ/mgより大きい含フッ素オレフィン系樹脂を用いた比較例1のPOFケーブル、被覆層中のPBTの溶融粘度(メルトフローレート)が25g/10分未満の比較例2のPOFケーブルは、初期の伝送損失及び105℃の伝送損失の増加が大きかった。
被覆層中のPBTの溶融粘度(メルトフローレート)が100g/10分を超える比較例3のPOFケーブルは、被覆層を安定に形成できず、POFケーブルが得られなかった。
比較例4のように被覆層中のPBTの融点が190℃より高いPOFケーブルでは、被覆温度を高く設定せざるを得なかったため、初期の伝送損失及び105℃の伝送損失の増加が大きかった。
引抜強度の測定方法を説明するための図である。
符号の説明
4 被覆部分
5 剥離部分
8、7 チャック
10 POFケーブル
12 治具
13 保持室
14 突起
15 貫通孔
20 測定装置



Claims (1)

  1. メタクリル酸メチル単位を含有する重合体からなるコアおよび該コアの外周面上に形成された1層または2層以上のクラッド層を備えたプラスチック光ファイバ素線と、該プラスチック光ファイバ素線の外周部を被覆した被覆層とを有するプラスチック光ファイバケーブルであって、
    前記クラッド層の少なくとも最外層が、テトラフルオロエチレン単位を含み、かつ、示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂からなり、
    前記被覆層が、ポリブチレンテレフタレートおよび遮光剤を含む被覆材からなり、前記ポリブチレンテレフタレートは、融点が190℃以下であり、210℃、荷重5kgf(49N)で測定したメルトフローインデックスが25〜100g/10分の範囲にあることを特徴とするプラスチック光ファイバケーブル。




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