JP2006215178A - プラスチック光ファイバケーブル - Google Patents

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好宏 塚本
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Abstract

【課題】初期の伝送損失が小さく、かつ105℃程度の高温環境下において光学特性および寸法安定性を長期間維持でき、柔軟で取り扱い性に優れたプラスチック光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】コアの外周に1層または2層以上のクラッド層を有するプラスチック光ファイバと、プラスチック光ファイバの外周を被覆する被覆層とからなるプラスチック光ファイバケーブルにおいて、コアが、ポリメタクリル酸メチル又は1種類以上のビニル系単量体単位とメタクリル酸メチル単位との共重合体からなり、クラッド層の最外層が、テトラフルオロエチレン単位を含み且つ示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂からなり、被覆層の最内層が、熱変形温度(ASTM D−648)が90℃以上で、ポリプロピレン系樹脂およびゴム成分を含有するオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる。
【選択図】なし

Description

本発明はプラスチック光ファイバケーブルに関するものであって、特に自動車等の移動体中での情報伝送用途あるいは食品・半導体分野でのセンサー用途に好適な、100〜105℃程度の高温環境下での長期耐熱性に優れたプラスチック光ファイバケーブルに関する。
従来、光ファイバとしては広い波長領域にわたって優れた光伝送を行うことができることから石英系の光ファイバが幹線系を中心として使用されているものの、この石英系光ファイバは高価で加工性が低い。そのため、より安価で、軽量、大口径であり、端面加工や取り扱いが容易である等の長所を有したプラスチック製の光ファイバ(POF)が開発され、照明・装飾用途や、食品・半導体分野等でのセンサー用途、FA、OA、LAN等の短・中距離での光情報伝送用途等において実用化されている。
上記POFの大部分は、主たる光伝送路であるコアを透明性に優れたポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用いて形成し、コアの外周部にコアよりも屈折率が低い材料からなるクラッド層を設け(以下、コア−クラッド部をPOFと呼ぶ。)、さらにその外周部を熱可塑性樹脂からなる被覆層によって被覆したPOFケーブルの形態で使用されている。
近年では、上記のPOFケーブルが自動車等の移動体内での情報伝送用途、あるいは食品・半導体分野におけるセンサー用途として、使用環境温度が100〜105℃付近に達するような高温環境下での使用が検討されるようになり、POFケーブルに対して前述のような高温環境下において長期間の使用に耐え得る性能が求められるようになった。
しかしながら、従来一般に使用されてきたPMMAをコアに用いたPOFケーブルを100〜105℃付近に達する高温環境下で長時間使用した場合、POFのクラッド層又はコア―クラッド界面に形成される混合層の透明性の低下が原因となって、あるいはコア−クラッド界面の構造不整の増大が原因となって伝送損失の著しい増加がおこるため、上記のPOFケーブルを長期耐熱性が要求される分野で用いることは困難であった。
PMMAをコアに用いたPOFケーブルのクラッド材、被覆材を選択することによって、100〜105℃付近での耐熱性を向上させる試みはこれまでにも多くなされてきた。
例えば特許文献1には、α−フルオロアクリル酸エステル単位を主成分とした共重合体をクラッドに用い、耐熱性の向上を図ったPOFケーブルが提案されている。
特許文献2には、被覆材に、エチレン−プロピレン共重合体等のゴム成分とポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂成分とのブレンド体などのオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることによって、POFケーブルに120℃以上での高い寸法安定性を付与できることが記載されている。
特許文献3には、特定の三種のフッ素モノマー単位を含有する共重合体をクラッドに用い、ポリプロピレンを主成分とする樹脂を被覆材に使用することにより、曲げ特性、引張強力、耐薬品性、耐湿熱性、耐屈曲性などバランス良く優れたPOFコードが記載されている。
特開昭61−103107号公報 特開昭63−236004号公報 特開2002−48923公報
特許文献1に記載のPOFは、クラッド材として用いられているα−フルオロアクリル酸エステル共重合体が非結晶性でかつ高いガラス転移温度(110℃以上)を有するため、POFとして105℃程度の高温下に長期間置かれた場合であっても安定した光伝送特性を示すものの、このクラッド材が非常に高価であることに加えて、クラッド材が着色しているため初期の伝送損失が高いという問題があった。
特許文献2に記載のPOFケーブルについては、耐熱性として、その中間部を乾燥機内に入れ、乾燥機外の一端から光を入射して、一定温度で昇温していった時の、乾燥機外の他端からの出射光量が、室温時の出射光量の半分になる時の温度を測定している。この測定結果は、短期間においては耐熱性が向上することを示しているものの、105℃環境下で3000時間に達するような長期間の耐熱性を保証するものではなかった。
また、特許文献3に記載のPOFコードは、85℃で500時間放置した時の光量値のが改善されることについて記載されているが、105℃環境下での長期間の耐熱性を保証しているものではなかった。
本発明の目的は、初期の伝送損失が小さく、かつ105℃程度の高温環境下において光学特性および寸法安定性を長期間維持でき、柔軟で取り扱い性に優れたPOFケーブルを提供することにある。
本発明は、コアと該コアの外周に形成された1層または2層以上のクラッド層を有するプラスチック光ファイバと、前記プラスチック光ファイバの外周を被覆する少なくとも1層の被覆層とを有するプラスチック光ファイバケーブルであって、前記コアが、ポリメタクリル酸メチル又は1種類以上のビニル系単量体単位とメタクリル酸メチル単位との共重合体からなり、前記クラッド層が、テトラフルオロエチレン単位を含み且つ示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂からなる層を少なくとも最外層に有し、前記被覆層が、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分(A)およびゴム成分を含有するオレフィン系熱可塑性エラストマー(X)であって、熱変形温度(ASTM D−648)が90℃以上である材料からなる層を少なくとも最内層に有することを特徴としたプラスチック光ファイバケーブルに関する。
本発明によれば、初期の伝送損失が小さく、かつ105℃程度の高温環境下において光学特性および寸法安定性を長期間維持でき、柔軟で取り扱い性に優れたプラスチック光ファイバケーブルを提供することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明のプラスチック光ファイバケーブル(POFケーブル)は、コアとその外側に形成された1層または2層以上のクラッド層を有するプラスチック光ファイバ(POF)に被覆層を被覆することによって形成される。
コアに用いられる材料(コア材)としては、特に透明性に優れることから、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)又は1種類以上のビニル系単量体単位とメタクリル酸メチル(MMA)単位との共重合体を用いることが好ましい。これらのなかでもPMMAを用いることが、透明性および機械的強度のバランスに優れていることから特に好ましい。また、1種類以上のビニル系単量体単位とMMA単位との共重合体を用いる場合には、透明性を十分に確保する点から、MMA単位の含有量は共重合体の構成単位の全合計を100質量%として50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
MMA単位以外の共重合成分としては、メタクリル酸エステルあるいはアクリル酸エステル等のPOF用コア材としてこれまで提案されている材料から適宜選択することができる。具体的には、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸芳香族エステル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸(1−メチルトリシクロヘプチル)、(メタ)アクリル酸(1−メチルヘキサシクロドデシル)等の脂環式基を有する(メタ)アクリル酸脂環式エステル;N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミド;α−メチレン−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−エチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−シクロヘキシル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−β−エチル−γ−ブチロラクトン等のγ−ブリロラクトン系化合物を、POFに要求される性能に応じて、所望の物性を損なわない範囲で適宜選択できる。
前記コアの外周に形成されるクラッド層は、1層で形成されていても2層以上の複数層から形成されても良いが、100〜105℃環境下での長期耐熱性を満足するためには、POF部の表層、すなわち被覆層に接するクラッド層(クラッド最外層)は、低屈折率で透明性、耐熱性に優れ、さらに内側のクラッド層あるいはコアの保護層として、密着性を維持しながら、POFに加わる振動や外圧等の応力を緩和してPOFの耐屈曲性を高めたり、耐溶剤性・耐薬品性を向上する機能を有する材料を用いることが好ましい。このような材料として、少なくともテトラフルオロエチレン(TFE)単位を含み、かつ示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂を使用することが必要である。
上記の結晶融解熱は、前記含フッ素オレフィン系樹脂の熱融解に起因して発生する熱量であり、この熱量が大きいほど含フッ素オレフィン系樹脂の結晶性が増大し、小さいほど結晶性が減少する。より具体的にはこの熱量が40mJ/mgより大きい場合にはクラッド材が白濁する傾向にあり、このような樹脂をクラッド最外層に用いた場合、POFケーブルの初期の伝送損失が大きくなり、さらに長期間高温環境下に曝された場合にはPOFケーブルの伝送損失が著しく増大する傾向にある。より十分に伝送損失の増加を抑える点から、結晶融解熱が30mJ/mg以下である樹脂を用いることが好ましく、15mJ/mg以下であればさらに好ましい。
テトラフルオロエチレン(TFE)単位を含む含フッ素オレフィン系樹脂としては、フッ化ビニリデン(VdF)単位とTFE単位とヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位との3元共重合体(THV共重合体)、VdF単位とTFE単位とHFP単位とパーフルオロ(フルオロ)アルキルビニルエーテル(FVE)単位との共重合体、VdF単位とTFE単位とFVE単位との共重合体、エチレン単位とTFE単位とHFP単位との共重合体、TFE単位とHFP単位との共重合体、VdF単位とTFE単位とヘキサフルオロアセトン単位との共重合体等が、透明性が高く、かつ耐熱特性にも優れていることから好ましいが、これらに限定されるものではない。より具体的には、
VdF単位10〜60質量%、TFE単位20〜70質量%、HFP単位5〜35質量%からなるTHV共重合体、
VdF単位5〜25質量%、TFE単位50〜80質量%、FVE単位5〜25質量%からなる3元共重合体、
エチレン単位5〜60質量%、TFE単位25〜70質量%、HFP単位5〜45質量%からなる3元共重合体、
VdF単位10〜30質量%、TFE単位40〜80質量%、HFP単位5〜40質量%、FVE単位1〜15質量%からなる4元共重合体、
TFE単位40〜90質量%、FVE単位10〜60質量%からなる2元共重合体、
TFE単位30〜75質量%、HFP単位25〜70質量%からなる2元共重合体、等を挙げることができる。
クラッド最外層を形成する含フッ素オレフィン系樹脂中にVdF単位を含有する場合、このVdF単位の含有量は当該樹脂の全構成単位中60質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であればより好ましい。VdF単位の含有量が60質量%を超えると樹脂の結晶性が高くなるため、非結晶性の内層樹脂(コアのPMMA、又はクラッドが2層以上からなる場合には内側のクラッド材との間に相溶層が形成される傾向があり、POFケーブルが温度85℃湿度95%RHのような高温高湿環境下に長時間曝された場合にはこの相溶層が相分離をおこして層間の界面状態が悪化して伝送損失の増加につながる傾向がある。
なお、上述した「FVE単位」とは、
一般式(IV)
CF2=CF−(OCF2CF(CF3))aO−Rf2 (IV)
(式中、Rf2は炭素原子数が1〜8個のアルキル基もしくはフルオロアルキル基又はアルコキシルアルキル基もしくはフルオロアルコキシルアルキル基を示し、aは0〜3の整数である。)
で示されるものである。
このFVE単位としては、下記一般式(V)〜(VIII)
CF2=CFO(CF2n−OCF3 (V)
(式中、nは1〜3の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nO(CF2mCF3 (VI)
(式中、nは0〜3の整数、mは0〜3の整数)
CF2=CFO(CH2n(CF2mCF3 (VII)
(式中、nは1〜3の整数、mは0〜3の整数)
CF2=CFO(CH2nCH3 (VIII)
(式中、nは0〜3の整数)
の何れかによって表わされる化合物の単位であることが好ましい。
これらのなかでも、CF2=CFOCF3、CF2=CFOCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF3、CF2=CFOCH2CF3、CF2=CFOCH2CF2CF3、CF2=CFOCH2CF2CF2CF3、CF2=CFOCH3、CF2=CFOCH2CH3及びCF2=CFOCH2CH2CH3からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物の単位であれば、原料の低コスト化を図ることができる点からも好ましい。
本発明のPOFケーブルは、前記クラッド最外層とコアの間にさらにクラッド層を有していてもよい。すなわちクラッド層を2層以上の複数層から形成することもできる。しかし製造コストを低減する観点からは、第1クラッド層の外周に、第2クラッド層(最外層)を同心円状に設けた2層構造とすることが好ましい。
クラッドをこのような2層構造とする場合、コアの屈折率n1、第1クラッド層の屈折率n2、第2クラッド層の屈折率n3が、下記の関係式(1)
1>n2>n3 (1)
あるいは、下記の関係式(2)および(3)
1>n2 (2)
3>n2 (3)
を満足することが好ましい。なお、本発明における屈折率は、ナトリウムD線による25℃での屈折率をいう。
特に、上記の関係式(1)を満たす場合には、POFケーブル屈曲時に第1クラッド層から漏れた光をより低屈折率な第2クラッド層によって反射できるため、曲げ光量損失をより小さくすることができる。
第1クラッド層を形成する樹脂としては、フッ素化メタクリレート系重合体、フッ化ビニリデン系重合体等のPOF用クラッド材として使用されている公知の材料を適宜選択することができるが、本発明のPOFケーブルにおいては、屈折率の調整が容易である、透明性および耐熱性が高い、屈曲性及び加工性に優れているといった特徴を有する点からフッ素化メタクリレート系重合体を用いることが好ましい。
上記のフッ素化メタクリレート系重合体としては、より具体的には下記一般式(I)
CH2=CX−COO(CH2m(CF2nY (I)
(式中、Xは水素原子またはメチル基、Yは水素原子またはフッ素原子を示し、mは1又は2、nは1〜12の整数を示す。)
で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートの単位(A)15〜90質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(B)10〜85質量%からなり、屈折率が1.39〜1.475の範囲にある共重合体を挙げることができる。
また、第1クラッド層のフッ素化メタクリレート系重合体として、下記一般式(II)、
CH2=C(CH3)COO−(CH2m(CF2nCF3 (II)
(式中、mは1又は2、nは5〜12の整数を示す。)
で表わされる長鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(C)0〜50質量%と、下記一般式(III)
CH2=C(CH3)COO−CH2(CF2mX (III)
(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、mは1〜4の整数を示す。)
で表わされる短鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(D)0〜50質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(E)50〜80質量%からなり(単位(C)と(D)の少なくともいずれか一方を含む)、屈折率が1.45〜1.48の範囲にあるフッ素化メタクリレート系重合体を挙げることができ、この重合体を用いる場合は、POFケーブルの伝送帯域をより広くすることができる。
また、上記フッ素化メタクリレート系共重合体として、上記長鎖フルオロアルキルメタクリレート単位(C)0〜80質量%と、上記短鎖フルオロアルキルメタクリレート単位(D)10〜90質量%と、他の共重合可能な単量体単位(E)10〜50質量%とからなり、屈折率が1.39〜1.435の範囲にある共重合体を挙げることができ、この重合体を用いる場合は、POFケーブル屈曲時の曲げ光量損失をより低減することができる。
但し、第1クラッド層の屈折率が高すぎると、伝送帯域を広げることができる一方で第2クラッド層による曲げ光量損失の抑制効果が不十分になる傾向があるため、第1クラッド層は上記の組成範囲内でPOFケーブルが使用される環境に応じて必要とされる伝送帯域と曲げ光量損失が得られるように適宜設計することが望ましい。
上記の他の共重合可能な単量体の単位(E)としては特に限定されないが、透明性の向上には(メタ)アクリル酸メチル単位を、機械特性の向上には(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単位を、耐熱性の向上には(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルの単位、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸芳香族エステルの単位、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロネオペンチルの単位、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミドの単位、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ、γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−エチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−シクロヘキシル−γ−ブチロラクトン等のγ−ブチロラクトン系化合物の単位を用いることができる。
これらのなかでも透明性および100〜105℃付近での長期耐熱性、機械的強度に優れたPOFケーブルが得られる点から、他の共重合可能な単量体(E)として(メタ)アクリル酸メチルの単位を用いることが特に好ましい。
また、100℃付近での耐熱性を満足するためには、通常第1クラッド層のTgは100℃前後あるいはそれ以上であることが好ましいが、本発明のPOFケーブルにおいては、第1クラッド層にTgが70〜90℃程度の公知のフッ素化メタクリレート系重合体を用いた場合であっても100〜105℃での長期耐熱性を満足することができる。
このTgが70〜90℃程度の公知のフッ素化メタクリレート系重合体は第1クラッド層に限定されず、クラッドが2層以上からなる場合には最外層を除いた他の層にも適用することができる。Tgが70℃〜90℃のフッ素化メタクリレート系重合体は、Tgが100℃前後あるいはそれ以上のフッ素化メタクリレート系重合体と比較すると柔軟性に富み、割れにくい特徴を有しているため、クラッド層に用いた場合、特に曲げ特性に優れたPOFケーブルを得ることができる。
本発明のPOFケーブルの被覆層を形成する被覆材には、耐熱性、耐屈曲性、耐化学薬品性、加工性に優れるとともに、適度な融点を有しており、POFケーブルの光伝送特性を低下させることなく容易にPOFを被覆することができる樹脂を用いることが好ましく、このような樹脂として、少なくとも被覆層の最内層には、ASTM D−648に準じて測定した熱変形温度(荷重4.6kgf(45.1N))が90℃以上で、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分(A)にゴム成分を適当量配合したオレフィン系熱可塑性エラストマー(X)を用いる。
樹脂成分(A)としては、POFケーブルの耐熱性を向上できる点からポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂を用いる。具体的には、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレンとポリエチレンのブレンド組成物から選ばれた少なくとも1種を挙げることができる。特に、ポリプロピレン(A1)とポリエチレン(A2)のブレンド組成物は、各重合体(A1、A2)の配合比を適宜選ぶことにより、POFケーブルの耐熱性を容易に調整できる点から好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂であれば、POFに被覆層を形成する時の温度を230℃より低く設定でき、被覆工程時に発生するPOFの光学性能の低下も抑えることができる。なお、ポリプロピレンとはアイソタクチックまたはシンジオタクチックなポリプロピレンを示し、ポリエチレンとは低密度、中密度または高密度なポリエチレンを示す。
上述したポリプロピレン(A1)とポリエチレン(A2)のブレンド組成物において、ポリプロピレン(A1)とポリエチレン(A2)の割合は、POFケーブルが使用される要求温度に従って適宜選べば良いが、POFケーブルが100℃以上で長期間使用される場合には、樹脂成分はポリプロピレン(A1)30〜100質量部とポリエチレン(A2)0〜70質量部の混合物からなることが好ましく、POFケーブルが125℃以上で長期間使用される場合には、ポリエチレン(A1)0〜50質量部、ポリプロピレン(A2)50〜100質量部の混合物からなることが好ましい。ポリエチレン(A1)が多すぎると、POFケーブルが100℃以上で熱変形しやすくなる等、耐熱性が低下する傾向がある。
一方、ゴム成分としては、エチレンおよび/またはプロピレンの単位と非共役ジエンの単位を主成分として有する共重合体(B)、この共重合体(B)に水素添加してなる共重合体(B’)から選ばれた少なくとも1種の重合体が好ましい。共重合体(B)としては、エチレンおよび/またはプロピレンの単位を主成分として有する重合体ブロック(b1)と非共役ジエン化合物の単位を主成分として有する重合体ブロック(b2)とからなるブロック共重合体(Bb)が挙げられ、共重合体(B’)としてはこのブロック共重合体(Bb)に水素添加してなるブロック共重合体(Bb’)が挙げられる。なお、非共役ジエンモノマーとしては、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジクロロペンタジエン等を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。特に、エチレン−プロピレン−非共役ジエンモノマーの三元共重合体は、上述したゴム成分としての機能を発現してPOFケーブルに適度な柔軟性を持たせることができるだけではなく、上記樹脂成分のポリエチレン(A1)とポリプロピレン(A2)の相溶性を向上する効果も合わせ持つという利点がある。
また、上述した共重合体(B)又は(Bb)の水素添加とは、共重合体(B)又は(Bb)は主鎖に不飽和結合(炭素・炭素二重結合)を含み耐熱性、耐候性などの化学的安定性が劣るため、その不飽和結合部分を水素化することによって、安定な飽和結合へと変化させることを意味する。水素化反応により、ポリマーの主鎖中に含まれる残存二重結合の量が少なくなるほど、つまり水素化率が高くなるほど、被覆層の耐熱性、耐化学薬品性、耐候性などが向上する傾向がある。
このオレフィン系熱可塑性エラストマー(X)は、室温においては、エントロピー弾性を有するゴム成分である軟質ブロックが、POFケーブルを柔軟にする効果を有することに加え、低温時には加硫ゴムと同様の挙動をとり、樹脂成分である硬質ブロックがその塑性変形を防止する効果を有し、また高温下では、その樹脂成分がその結晶融点までは軟化しないため、十分な耐熱性を有し、かつ柔軟で、優れた加工性を備えている。また、このエラストマー(X)は熱可塑性であるため、ポリエチレン、ポリプロピレン同様の加工が可能であり、POFへ被覆後、煩雑な後架橋処理も必要とせず、オレフィン系ポリマーであることから官能基やPOF中へ移行する低分子化合物を含まないため、POFケーブルの耐湿熱特性も良好である。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(X)の耐熱性や柔軟性は、樹脂成分とゴム成分を混合する割合によって調整することが可能である。例えば自動車用途等で要求されている100℃以上、さらには125℃以上の耐熱性を要求される用途で利用するには、樹脂成分(ポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分(A))100質量部に対して、ゴム成分(例えばブロック共重合体(Bb及び/又はBb’))を5〜40質量部配合した樹脂組成物からなることが好ましく、10〜30質量部配合した樹脂組成物からなることがより好ましい。ゴム成分が多すぎると、POFケーブルの耐熱性やPOFに被覆層を形成する時の成形安定性が低下する傾向があり、少なすぎると、柔軟なPOFケーブルを得ることができない。
さらに、オレフィン系熱可塑性エラストマー(X)において、前記共重合体(B)又は(Bb)を、架橋(加硫)することによって耐熱性を向上することが可能である。具体的には、前記共重合体(B)又は(Bb)に、加硫剤(架橋剤)としての硫黄化合物、架橋開始剤としての有機過酸化物、さらに場合によっては充填剤や加硫促進剤、加硫促進助剤を添加して架橋処理(加硫)を行う。加硫剤(架橋剤)、架橋開始剤、加硫促進剤、加硫促進助剤の組み合わせた系を加硫系というが、使用される加硫系は、ポリマーの構造、性質、製品に要求される性能、製品の製造方法などに従って加硫促進剤の種類、量の選定を行えば良い。なお、加硫温度は有機過酸化物の分解温度以上である必要がある。
架橋剤としての硫黄の種類としては、硫黄華、脱酸硫黄、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄などがあるが、特に粉末硫黄が最も多く使われている。有機過酸化物の選定は、加硫方法や架橋助剤の種類によって選択する必要がある。有機過酸化物の種類としては、例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1′−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチレンシクロヘキサン、1,3−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン等がある。充填剤の種類としては、例えば、硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸塩類、金属粉末、高比重金属粉末等がある。加硫促進剤の種類としては、例えば、スルフェンアミド系化合物、チウラム系化合物、ジチオカルバミン酸塩類、ブチルキサントゲン酸亜鉛、チオ尿素系化合物、チアゾール系化合物、アルデヒドアンモニア系化合物、グアニジン系化合物、加硫促進助剤の種類としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等がある。
市販品として入手可能なオレフィン系熱可塑性エラストマー(X)としては、例えば三井化学社製のミラストマー(商品名)、三菱化学社製のサーモラン(商品名)、住友化学工業社製の住友TPE(商品名)等がある。例えば自動車用途等で要求されている100℃以上、さらには125℃以上の耐熱性を満足することが可能な樹脂を挙げると、三井化学社製の商品名:ミラストマー5030B、6030B、7030B、8030B、9020B、9070B、M2400B、M4400B、M2600B、M3800B、M4800B、三菱化学社製の商品名:サーモラン3555B、3655B、3705B、3755B、3855B、3981B、3707B、Z102B、5800B、215B、Z101N、5850N、TT744N、住友化学工業社製の商品名:住友TPE3000、4000、5000、8000、9000シリーズ等がある。
また上述したように、オレフィン系熱可塑性エラストマー(X)は、ASTM D−648に準じて測定した熱変形温度(荷重4.6kgf(45.1N))が90℃以上であることが必要であるが、例えば自動車用途で要求されるような高い耐熱性を満足するには、この熱変形温度が100℃以上であることがより好まく、110℃以上であることがさらに好ましい。熱変形温度が低すぎると、POFケーブルが100〜105℃付近で用いられた時に、被覆層が著しく変形して、POFの光学性能が低下する傾向がある。
また、上記オレフィン系熱可塑性エラストマー(X)のメルトフローインデックスは5〜50の範囲にあることが好ましい。メルトフローインデックスが低すぎると、POF部に被覆層を被覆する際、配向ひずみが大きくなる傾向があり、この配向ひずみを抑えるために加工温度を上げると、POFの熱劣化を生じる傾向がある。また、メルトフローインデックスが高すぎると、被覆層の強度が極めて弱いものとなり、使用上不都合を生じるおそれがある。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(X)には、必要に応じて酸化防止剤、POFへの外光の入射を防止するための黒色無機顔料等(例えばカーボンブラック等)の遮光剤、タルク、ガラス繊維、芳香族ポリアミド、炭素繊維等の無機物あるいは有機物のフィラー等を含有させてもよい。
また、耐久性、耐環境特性などをさらに良好なものとするために、被覆材において、上記被覆層(一次被覆層)の外周に、熱可塑性樹脂からなる二次被覆層を形成しても良い。二次被覆層の材料としては、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体を例示することができる。これらはPOFケーブルの使用環境に応じて、1種単独で、又は2種以上を適宜選択し混合したものを用いることができる。特に自動車内配線用などでは、二次被覆層として、耐油性、耐熱性等に優れた材料を用いることが好ましい。具体的には、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−12等の単独重合体や、これら重合体の単量体単位の組合せからなるナイロン共重合体、これら重合体に柔軟なセグメントを導入したナイロン系エラストマー、このエラストマーを主成分とするポリアミド系樹脂が好ましい。また、これらの中でも、成形性が良好で、POFケーブルに熱的及び機械的ダメージを与えにくいことから、ナイロン系エラストマー、又はナイロン系エラストマーと他のポリアミド系樹脂との混合物が好ましい。
本発明のPOFケーブルは、公知の方法に従って製造することができる。例えば、POFは一般的な製造装置である複合溶融紡糸設備により製造できる。また、コア材のみを溶融紡糸した後に、クラッド材をジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の溶媒に溶解してソルベントコーティングすることによっても製造できる。また、被覆層の形成方法としては、POFのケーブル化法として一般的に使用されている方法で行うことができるが、本発明の効果を充分に発現するPOFケーブルを得る点から、クロスヘッドダイを用いて被覆層を形成する方法が好ましい。
以上のようにして得られた本発明のPOFケーブルは、初期の伝送損失を150dB/km以下に、さらに105℃の高温環境下に3000時間曝された後でも伝送損失の増加を30dB/km以下に抑えることができるため、高温環境下で長期間の耐久性が要求される自動車内LANケーブルなどの用途に好適である。
以下、実施例により本発明を説明する。なお、本発明の実施例における評価方法については、下記の方法により実施した。
(ガラス転移温度(Tg)、結晶融解熱(ΔH))
測定には示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツルメンツ社製、DSC−220)を使用した。サンプルを、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、その状態で5分間保持して溶融させた後、降温速度10℃/分で0℃まで降温させた。この操作を再度繰り返して行い、この時のガラス転移温度、結晶融解熱を求めた。
(屈折率)
溶融プレスにより厚さ200μmのフィルム状の試験片を形成し、アッベの屈折計を用い、25℃におけるナトリウムD線の屈折率(nD 25)を測定した。
(伝送損失)
波長650nmの光を用い、励振NA=0.1の条件で、25−1mのカットバック法により測定した。測定は、POFケーブルの初期状態と、POFケーブルを温度105℃のオーブンに放置して3000時間経過後について実施した。
(熱変形温度)
ペレットを乾燥し、シリンダー温度240℃で、金型温度60℃に設定した射出成形機で1/4インチ(0.635cm)厚短冊片を成形し、ASTM D−648の方法に準じて、4.6kgf/cm2(45.1N)の荷重で熱変形温度を測定した。
(メルトフローインデックス)
メルトフローインデックス(MI)は、日本工業規格JIS K7210に準じて測定した。230℃、荷重5kgf(49N)の条件下で直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に吐出される重合体量を測定した。
[実施例1]
コア材としてPMMA(屈折率1.492)、第1クラッド材として、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)/2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(17FM)/MMA/メタクリル酸(MAA)(51/31/17/1(質量%))共重合体(屈折率1.417)、第2クラッド材として、VdF/TFE/HFP/パーフルオロヘプタフルオロプロピルビニルエーテル(FHFPVE)(21/55/18/6(質量%))共重合体(屈折率1.350、結晶融解熱11mJ/mg)を用いた。これらの重合体を溶融して、220℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合ノズルを用いて複合紡糸した後、140℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、各クラッド層の厚み10μm、直径1mmのPOFを得た。
次に、オレフィン系熱可塑性エラストマーとして、ポリプロピレン/ポリエチレン/エチレン−プロピレン−ジクロロペンタジエン共重合体(配合比は、70/30/20質量部、MI40g/10分、融点160℃、熱変形温度120℃)を用い、上記のPOFに、210℃に設定したクロスヘッドダイにてクロスヘッドケーブル被覆装置を用いて被覆し、厚みが250μmの被覆層を形成し、外径1.5mmのPOFケーブルを得た。このようにして得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表2に示した。
[実施例2]
POFの構成を表1に示す通り、クラッド層を単層構造とした以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表2に示した。
[実施例3〜4、比較例2〜3]
第1クラッド材、第2クラッド材、被覆層を表1に示す通りとした以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表2に示した。
[実施例5]
ナイロン6−12共重合体(ダイセル・デグサ社製、商品名:ダイアミドN1901)を、実施例4で作製したPOFに、210℃に設定したクロスヘッドダイにてクロスヘッドケーブル被覆装置を用いて被覆し、厚みが350μmの被覆層を形成し、外径2.2mmのPOFケーブルを得た。このようにして得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表2に示した。
[実施例6]
被覆層として被覆材Bを用いた以外は実施例2と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表2に示した。
[比較例1]
第2クラッド材として、VdF/TFE共重合体(80/20(質量%)、屈折率1.402、結晶融解熱59mJ/mg)を用いた以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表1に示した。
(結果)
実施例1〜6のPOFケーブルは、初期の伝送特性が良好(150dB/km以下)であるとともに、105℃、3000時間後の伝送損失の増加(30dB/km以下)も小さいものであった。また、POFケーブルは柔軟であり、取り扱い性は良好であった。
一方、クラッドの最外層に結晶融解熱(ΔH)が40mJ/mgより大きい含フッ素オレフィン系樹脂を用いた比較例1のPOFケーブルは、105℃、3000時間後の伝送損失の増加が大きかった。
被覆層がポリプロピレン樹脂からなる比較例2のPOFケーブルは、105℃、3000時間後には、POFケーブルが硬化して取り扱いにくく、しかもPOFケーブルの表面にひび割れが見られた。一方、被覆層がポリエチレン樹脂からなる比較例3のPOFケーブルは、温度105℃のオーブンに放置すると、すぐにカール状に変形してしまったため、伝送損失の測定が不可能であった。
Figure 2006215178
Figure 2006215178
表1中の略号は下記の化合物を示す。
フッ素化メタクリレート共重合体:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート/2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート/メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体(各成分の質量比51/31/17/1)
VdF:フッ化ビニリデン
TFE:テトラフルオロエチレン
HFP:ヘキサフルオロプロピレン
FEVE:パーフルオロエチルビニルエーテル
FHFPVE:パーフルオロヘプタフオロプロピルビニルエーテル
PP:ポリプロピレン(出光石油化学社製、商品名:Y3000GV)
PE:ポリエチレン(日本ポリオレフィン社製、商品名:JK401N)
EPDM:エチレン−プロピレン−ジクロロペンタジエン共重合体(デュポン・ダウエラストマー社製、商品名:ノーデルMG)
被覆材A:オレフィン系熱可塑性エラストマー(ポリプロピレンとポリエチレンと加硫ゴム成分とのアロイ、三井化学社製、商品名:ミラストマーM3800B)
被覆材B:オレフィン系熱可塑性エラストマー(ポリプロピレンとポリエチレンと非架橋ゴム成分とのアロイ、三菱化学社製、商品名:サーモラン215B)
PA6−12:ナイロン6−12共重合体(ダイセル・デグサ社製、商品名:ダイアミドN1901)

Claims (6)

  1. コアと該コアの外周に形成された1層または2層以上のクラッド層を有するプラスチック光ファイバと、前記プラスチック光ファイバの外周を被覆する少なくとも1層の被覆層とを有するプラスチック光ファイバケーブルであって、
    前記コアが、ポリメタクリル酸メチル又は1種類以上のビニル系単量体単位とメタクリル酸メチル単位との共重合体からなり、
    前記クラッド層が、テトラフルオロエチレン単位を含み且つ示差走査熱量測定(DSC)における結晶融解熱が40mJ/mg以下である含フッ素オレフィン系樹脂からなる層を少なくとも最外層に有し、
    前記被覆層が、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂成分(A)およびゴム成分を含有するオレフィン系熱可塑性エラストマー(X)であって、熱変形温度(ASTM D−648)が90℃以上である材料からなる層を少なくとも最内層に有することを特徴とするプラスチック光ファイバケーブル。
  2. 前記オレフィン系熱可塑性エラストマー(X)が、樹脂成分(A)100質量部に対して、ゴム成分を5〜40質量部配合した樹脂組成物であることを特徴とする、請求項1に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  3. 前記樹脂成分(A)が、プロピレンの単独重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−エチレン共重合体、及びポリプロピレンとポリエチレンのブレンド組成物から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  4. 前記ゴム成分が、エチレンおよび/またはプロピレンの単位と非共役ジエンの単位を有する共重合体(B)、この共重合体(B)に水素添加してなる共重合体(B’)から選ばれた少なくとも1種の重合体であることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  5. 前記共重合体(B)ならびに(B’)が、エチレンおよび/またはプロピレンの単位を有する重合体ブロック(b1)と非共役ジエン化合物の単位を有する重合体ブロック(b2)からなるブロック共重合体(Bb)またはこのブロック共重合体(Bb)に水素添加してなるブロック共重合体(Bb’)である請求項4に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  6. 前記ブロック共重合体(Bb)が、硫黄化合物により架橋(加硫)されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
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