JP2021036312A - プラスチック光ファイバおよびそれを用いたプラスチック光ファイバコード - Google Patents

プラスチック光ファイバおよびそれを用いたプラスチック光ファイバコード Download PDF

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Abstract

【課題】耐屈曲性や耐摩耗性に非常に優れたプラスチック光ファイバを提供すること。【解決手段】コアと、第1クラッドと、第2クラッドとをこの順に有する、プラスチック光ファイバであって、前記コアのガラス転移温度Tgcと、前記第1クラッドのガラス転移温度Tg1との関係が、Tg1<Tgcであり、且つ、−10℃≦Tg1≦10℃である、プラスチック光ファイバ。【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチック光ファイバ、それを用いたプラスチック光ファイバコード、内視鏡照明用機器、眼科手術照明用プローブ、および血管用カテーテルに関するものである。
プラスチック光ファイバは、加工性、取り扱い性、製造コストなどの面でガラス系光ファイバに比べて優れているので、短距離の光信号伝送、ライトガイドなどに使用されている。
特に、医療用途で使用される内視鏡照明用プラスチック光ファイバには、複雑な構造を持つ体内器官を通過させるために、可とう性や繰り返し屈曲に対する耐久性が要求される。また、ロボット用導光センサーや、工業機器用光電センサーにおいても、曲げ駆動部が大きいので、優れた屈曲性が要求される。
プラスチック光ファイバは、通常、コアとクラッドとの2層より構成されており、コアには、一般的に、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと略す)に代表されるように、透明性に優れ、耐候性の良好な重合体が使用される。一方、クラッドは、コア内部に光を閉じ込めておくために、コアよりも低屈折率であることが必要であり、弗素含有重合体が広く使用されている。
プラスチック光ファイバが可とう性や繰り返し屈曲に対する耐久性を有するためには、クラッドが柔軟性を有していることが重要であり、これにより、クラッドにひびが入ったり破断したりすることを抑制し、コア/クラッド間の界面不整によって引き起こされる伝送損失の上昇も抑制される。
弗素含有重合体として代表的な材料であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、可とう性を有する材料であり、耐薬品性や耐熱性を有するが、プラスチック光ファイバに適用するには、その結晶性により不透明となることが課題となる。そのため、通常は、透明性を確保するために、2種類以上の弗素系材料を用いた共重合体が用いられる。
クラッドに弗素含有重合体を用いたプラスチック光ファイバとしては、例えば、下記のものが提案されている。
(1)弗化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体(特許文献1)、弗化ビニリデン/ヘキサフルオロアセトン共重合体(特許文献2)などの弗化ビニリデン系共重合体をクラッドに用いたプラスチック光ファイバ。
(2)フルオロアルキルメタクリレートとメチルメタクリレートとの共重合体(特許文献3)をクラッドに用いたプラスチック光ファイバ。
(3)クラッドを2層にしたプラスチック光ファイバ(特許文献4、5)。
特公昭63−67164号公報 特開昭61−22305号公報 特公昭43−8978号公報 特許第5177055号公報 特許第5459070号公報
これら従来の弗素含有重合体を用いてプラスチック光ファイバを製造した場合、可とう性や繰り返し屈曲に対する耐久性が要求される用途では、強度特性が不十分で耐屈曲性が低下したり、界面不整による伝送損失の増大が生じたりするなど、耐久性に課題があった。
また、特許文献1〜3のように2層のクラッドにした場合、耐屈曲性や耐久性が不十分である課題があった。
本発明の主な目的は、耐屈曲性および耐久性に優れたプラスチック光ファイバを提供することにある。
本発明は、コアと、第1クラッドと、第2クラッドとをこの順に有する、プラスチック光ファイバであって、前記コアのガラス転移温度Tgcと、前記第1クラッドのガラス転移温度Tg1との関係が、Tg1<Tgcであり、且つ、−10℃≦Tg1≦10℃である、プラスチック光ファイバである。
本発明によれば、耐屈曲性および耐久性に優れたプラスチック光ファイバが提供可能となる。
以下、本発明に係るプラスチック光ファイバおよびそれを含むプラスチック光ファイバコードの好適な実施の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバは、コアと、第1クラッドと、第2クラッドとをこの順に有し、前記コアのガラス転移温度Tgcと、前記第1クラッドのガラス転移温度Tg1との関係が、Tg1<Tgcであり、且つ、−10℃≦Tg1≦10℃である。ここで、クラッドを3層以上有する場合、最内層のクラッドを第1クラッド、最外層のクラッドを第2クラッドとする。
(コア)
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバにおいて、コアをなす重合体(ポリマー)としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、メチルメタクリレート主体の共重合体(例えば、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、置換スチレン、N−置換マレイミドなどを共重合したもの)、あるいはそれらを高分子反応したグルタル酸無水物、グルタルイミドなどの変性重合体などが挙げられる。好ましく用いられる重合体は、メチルメタクリレートを主成分とする重合体、すなわち、ポリマーを構成する繰り返し単位の50モル%以上、好ましく70モル%以上、より好ましく90モル%以上、がメチルメタクリレートに由来する重合体である。
なお、(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレ−ト、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ボルニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレートなどが挙げられ、置換スチレンとしては、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられ、N−置換マレイミドとしては、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミドなどが挙げられる。
これら共重合成分は、複数で用いてもよく、これら以外の成分を少量使用してもよい。また、耐酸化防止剤などの安定剤が透光性に悪影響しない量だけ含まれていても構わない。これらの重合体の中で、メチルメタクリレートを主成分とする(共)重合体からなること、特に実質的にPMMAであることが、生産性、透光性、耐環境性などの点から最も好ましい。
(クラッド)
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバは、少なくとも2層のクラッドを有する。クラッドを3層以上有する場合、最内層のクラッドを第1クラッド、最外層のクラッドを第2クラッドとする。
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバにおいて、コアのガラス転移温度Tgcと、第1クラッドのガラス転移温度Tg1との関係が、Tg1<Tgcであり、且つ、−10℃≦Tg1≦10℃である。Tg1≧Tgcの場合は、室温(23℃)の状態において、コア自体が柔らかくなり、ファイバが変形する可能性が生じる。Tg1>10℃の場合、室温(23℃)の状態において、クラッドが硬く、耐久性が低下する。また、−10℃>Tg1の場合、室温(23℃)の状態において、すでにゴム状で、クラッドが柔らかくなりすぎて、耐久性が低下する。より好ましくは、−5℃≦Tg1≦10℃であり、さらに好ましくは、0℃≦Tg1≦10℃である。
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバにおいて、第2クラッドのガラス転移温度Tg2は、前記Tg1および前記TgcがTg1<Tgcの関係を有する限り、特に制限はない。すなわち、Tg1<Tg2<Tgc、Tg2<Tg1<Tgc、Tg1<Tgc<Tg2のいずれであってもよい。好ましくは、Tg1<Tg2<Tgcである。そうすることで、光ファイバを曲げた際に、コアと第2クラッドとの間のクッション性を高め、繰り返し曲げの際に発生しうる、コアと第2クラッドとの間の歪みを低減することができる。これにより、光ファイバの耐屈曲性および耐久性がより向上する。
本発明におけるガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量計)を用いて、窒素雰囲気下、以下の条件で測定して得られる値である。まず、−40℃から昇温速度10℃/分で昇温し、200℃に到達後5分間保持する。その後、−40℃に下げてから5分間保持した後、再び昇温速度10℃/分で200℃まで昇温する。2回目の昇温過程で得られた熱量の変化点をガラス転移温度とする。示差走査熱量計としては、例えば、Perkin Elmer社製のDiamond DSC等が挙げられる。クラッドを採取して直接ガラス転移温度を測定することが困難な場合、クラッドの組成が既知であれば、同組成のクラッドを作製してガラス転移温度を測定することができる。
なお、各種のガラス転移温度を有する市販のクラッド材の中から、所望のガラス転移温度を有するクラッド材を選択することができる。
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバにおいて、後述するとおり、プラスチック光ファイバの開口数(NA)は0.60以上が好ましいことから、第1クラッドの屈折率は、開口数(NA)が0.60以上となる値であることが好ましい。
一般に、弗化ビニリデン系共重合体は、PMMAなどメチルメタクリレートを主成分とする重合体との相溶性が良いため、これらをクラッドに用いたプラスチック光ファイバは、コアとの界面密着性が良く機械特性も良好である。しかしながら、それら弗化ビニリデン系共重合体はいずれも結晶性の重合体であるため、無色透明な弗化ビニリデン系共重合体とするためには、弗化ビニリデン組成を実質的に70〜85モル%と限られた範囲にする必要がある。また、弗化ビニリデン系共重合体をクラッドに用いたPMMA系のプラスチック光ファイバの開口数は0.50前後である。そこで、開口数の高いプラスチック光ファイバを得るためには、さらに屈折率の低い弗素含有率の高いモノマーを共重合する必要がある。
(第1クラッド)
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバの第1クラッドは、コアの光を閉じ込める必要があり、コアより屈折率が低いことが好ましい。コアがPMMA(ポリメチルメタクリレート)の場合、第1クラッドの屈折率は、1.33〜1.45であることが好ましい。さらに好ましくは、1.33〜1.40であり、さらにより好ましくは、1.33〜1.36である。
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバにおいて、第1クラッドの曲げ弾性率は、20〜1000MPaであることが好ましい。さらに好ましくは、20〜70MPaであることが好ましい。一般に、医療用途で使用されるプラスチック光ファイバは、体内の細部まで先端を精密に駆動させながら進むため、可とう性や繰り返し屈曲に対する耐久性を有することが非常に重要である。第1のクラッドの曲げ弾性率が20〜70MPaの範囲にあることで、クラッドの硬さが適切な範囲となり、耐久性と耐屈曲性をより向上させ、それらの特性を満足することができる。
なお、曲げ弾性率は、ASTM D790により、測定された値である。ここで、「クラッドの曲げ弾性率」の意味は、当該クラッドを構成する重合体の曲げ弾性率の意味であり、ASTM D790(2010年度)に準拠して測定することができる。試験片のサイズは127mm×13mm×3.1mmとし、測定単位はkg/cmとし、応力−曲げ変位曲線において応力印加初期のもっとも傾斜が大きくなった箇所での傾き、すなわち当該箇所での接線から、曲げ弾性率を求めることができる。なお、本発明において重合体の意味は、目的に応じて、重合体の混合物とする態様や他の成分を含有した態様(重合体組成物)とする意味を含む。
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバにおいて、第1クラッドは、少なくとも、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンおよび弗化ビニリデンの3種を共重合成分とする共重合体からなることが好ましい。弗化ビニリデンとテトラフルオロエチレンの共重合体は透明性が高く、さらにヘキサフルオロプロピレンを共重合成分として含むことによって結晶性を抑えることができるので、可とう性を付与することができる。これにより、開口数が高く、透光性に優れ、柔軟なプラスチック光ファイバを得ることができる。
さらに、上記3種のモノマーに加えて、もう1種類の含フッ素モノマーを含めた、4種を共重合成分とする共重合体とすることがより好ましく、開口数がより高く、透光性により優れ、より柔軟なプラスチック光ファイバを得ることができる。もう1種類の含フッ素モノマーとしては、パーフルオロアルキルビニルエーテル類が好ましい。
かかる共重合体において、ヘキサフルオロプロピレンの含有率は、第1クラッドを構成する樹脂を得るモノマー成分の総量を100重量%としたとき、10〜30重量%が好ましく、17〜25重量%がより好ましい。
テトラフルオロエチレンの含有率は、第1クラッドを構成する樹脂を得るモノマー成分の総量を100重量%としたとき、45〜75重量%が好ましく、49〜70重量%がより好ましい。
弗化ビニリデンの含有率は、10〜35重量%であることが好ましく、14〜30重量%であることがより好ましく、14〜25重量%であることがさらに好ましい。弗化ビニリデンが10重量%以上であると、コアとの界面密着性が良くなり、透光性が向上する。また、35重量%以下であると、弗素含有率の割合が増えるため、クラッドの屈折率が低くなり、高い開口数(高NAとも称する)が得られる。
パーフルオロアルキルビニルエーテル類の含有率は、第1クラッドを構成する樹脂を得るモノマー成分の総量を100重量%としたとき、1〜10重量%が好ましく、2〜9重量%がより好ましい。
また、第1クラッドにおいて、ポリマー中の弗素重量率は70〜74%であることがさらに好ましい。ポリマー中の弗素重量率をこの範囲とすることで、プラスチック光ファイバのNAを後述する好ましい範囲に容易に調整することができる。
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバの第1クラッドのメルトフローレート(以下、MFRと略記することがある。)値は、10〜100g/10分(条件:温度265℃、荷重5kg)の範囲内であることが好ましい。特に好ましいMFRの範囲は、10〜60g/10分である。MFRを上記範囲内とすることで押出が容易となることから、紡糸が円滑に進む。また、コアとの密着性を適度に保つことができ、偏心することなく、プラスチック光ファイバとしての外径変動を抑制することができる。
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバの第1クラッドの厚みは、2〜20μmであることが好ましい。特に好ましいクラッドの厚みの範囲は、3〜12μmである。クラッドの厚みを上記範囲内とすることで、プラスチック光ファイバとしての引張り強度が保たれ、可とう性も維持される。
(第2クラッド)
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバの第2クラッドは、曲げ弾性率が、500〜2000MPaであることが好ましい。さらに好ましくは、800〜1600MPaである。500MPa以上であると、耐摩耗性がより向上し、第1クラッドの保護の効果がより大きくなる。2000MPa以下であると、曲げた際に生じる、1層目のクラッドへの応力を低減することができ、曲げ状態の光量損失がより抑制され、耐屈曲性がより向上する。かかる曲げ弾性率を有する重合体としては、カーボネート基を有する構造単位が共重合されたエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体樹脂が挙げられる。
また、第2クラッドの共重合体が、ポリマー鎖末端または側鎖にカルボニル基含有官能基を有する共重合体であると、被覆層との密着性が更に向上する。
ここで、カルボニル基含有官能基とは、一般に−OC(=O)O−の結合を有するカーボネート基や−COY[Yはハロゲン元素]の構造を有するカルボン酸ハライド基であり、特に含フッ素カーボネート基(RF−O−C(=O)−RF’)、またはカルボン酸フルオライド基(−C(=O)F)が好ましい。RFやRF’はフッ素基が含まれる官能基、例えばフッ化アルキル基やフッ化ビニリデン基などを表している。また、カルボニル基含有官能基を有することで、耐溶剤性が優れ、プロセス工程での工程適用性が向上する。
第2クラッドは、第2クラッドを構成する樹脂を得るモノマー成分の総量を100重量%としたとき、
エチレン10〜35重量%、
テトラフルオロエチレン45〜69重量%、
ヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%
から得られる共重合体で、カーボネート基を有するものであることが好ましい。第2のクラッドは、係る共重合体から実質的になることが好ましい。
さらに、
エチレン10〜35重量%、
テトラフルオロエチレン45〜69重量%、
ヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%、および式(1)
CH=CX(CF (1)
(式中、Xはフッ素原子又は水素原子を示し、Xはフッ素原子、水素原子又は炭素原子を示し、nは1〜10の整数である。)
で示されるフルオロビニル化合物0.01〜10重量%
から得られる共重合体であることが好ましい。
上記の第2クラッドにおいて、エチレンが10重量%以上の場合、成形安定性がより向上する。35重量%以下の場合、結晶性を低くでき、透明性がより向上する。エチレンの割合は、11〜30重量%が好ましい。また、テトラフルオロエチレンが45重量%以上の場合、成形安定性がより向上する。69重量%以下の場合、結晶性を低くでき、透明性がより向上する。また、ヘキサフルオロプロピレンが20重量%以上の場合、柔軟性が向上し、耐屈曲性がより向上する。45重量%以下の場合、粘着性が低下し、被覆層を被覆するときの加工性がより向上する。
式(1)で表されるフルオロビニル化合物を0.01〜10重量%含有することにより、コアのメチルメタクリレートを主成分とする(共)重合体への密着性や耐熱性に優れた特性を付与することができる。式(1)で表されるフルオロビニル化合物としては、例えば、CH=CF(CFH、CH=CH(CFH、CH=CF(CFH、CH=CH(CFH、CH=CF(CFCH、CH=CF(CF、CH=CH(CFFなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)であるCH=CF(CFHが好ましく、プラスチック光ファイバの生産性、コスト、環境性および伝送特性において優れている。
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバのNAは、0.60〜0.65が好ましい。NAを大きくすることで、コア/クラッド界面での臨界角が大きいために、曲げによる光量損失を抑制し、耐屈曲性をより向上させることができる。また、NAを大きくすることで、PMMAを代表とするコア材料への密着性が良好であり、耐屈曲性などの機械特性、低粘着性、耐熱性を両立したバランス良いプラスチック光ファイバ特性が得られる。NAは、0.61〜0.65がより好ましい。NAを0.61以上とすることにより、光量を増やすことができ、また、ファイバの耐屈曲性がより良好になる。
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバの、第1クラッドの厚みt1と、第2のクラッドの厚みt2との関係が、0.5≦t1/t2≦2.5を満たすことが好ましい。0.5以上の場合、第1のクラッドの厚みを維持できるため、耐屈曲性がより向上する。2.5以下の場合、第2のクラッドの厚みを維持できるため、耐久性がより向上する。
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバの長さは、0.5〜5.0mであることが好ましい。特に医療用途において、0.5m以上であると、体内に挿入できる長さを確保することができ、5.0m以下であると、体内に挿入しない部分の長さを短くすることができるため、作業性が向上する。
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバの外径は、通常0.1〜3mm程度であり、目的に応じて適宜選択すればよいが、取扱性などの面から0.1〜1.5mmが好ましい。
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバは、一般的な製造方法と同様にして製造することができるが、コア材と、第1クラッド材と、第2クラッド材とを用いて、コアと、第1のクラッドと、第2クラッドとをこの順に有するプラスチック光ファイバを製造する方法であって、Tg1<Tgcで、且つ、−10℃≦Tg1≦10℃である、プラスチック光ファイバの製造方法であることが好ましい。
プラスチック光ファイバの製造方法としては、例えば、コア材とクラッド材とを加熱溶融状態下で、同心円状複合用の複合口金から吐出してコア/第1クラッド/第2クラッドの3層芯鞘構造を形成する複合紡糸法が好ましく用いられる。続いて、機械特性を向上させる目的で、1.2〜3倍程度の延伸処理が一般的に行なわれ、プラスチック光ファイバとなる。
本発明の実施の形態に係るプラスチック光ファイバコードは、前述のプラスチック光ファイバの外層に、少なくとも1層の被覆層を有する。被覆層を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンあるいはそれらの共重合体、ブレンド品、有機シラン基を含有するオレフィン系ポリマー、エチレン−酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ナイロン12などのポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ウレタン樹脂、弗素樹脂、EPM、EPDMなどのゴムなどが挙げられる。被覆層は1層でも多層でもよく、多層の場合は、被覆層間に“ケブラー”(登録商標)などのテンションメンバーを入れてもよい。これらの被覆層には、難燃剤の他、耐酸化防止剤、耐老化剤、UV安定剤などの安定剤などを含んでもよい。なお、被覆層は、クロスヘッダダイを使用した溶融押し出し成形法等の公知の方法によって形成することができる。
本発明のプラスチック光ファイバおよびプラスチック光ファイバコードは、自動車や航空機、船舶、電車等の移動体内の配線、AV機器、家庭内機器、オフィス機器等の短距離通信用配線、医療用内視鏡照明、眼科手術用照明、腹腔鏡手術用照明、カテーテル用照明、顕微鏡照明、ロボット用導光センサー、工業機器用光電センサー、自動車衝突センサー、壁面装飾用照明、室内照明等の用途に好適に用いることができる。特に、高い開口率と適度な柔軟性、また、屈曲に対しても伝送損失を減じ難いという性質を有していることから、医療機器の照明や工業用センサー用途に好適であり、より具体的には、内視鏡照明用途、眼科手術用途、カテーテルの用途に好適である。
本発明の実施の形態に係る内視鏡照明用機器は、前述のプラスチック光ファイバを有し、内視鏡と組み合わせて用いることができる。本発明の実施の形態に係る眼科手術照明用プローブは、前述のプラスチック光ファイバを眼科手術用照明として有する。本発明の実施の形態に係る血管用カテーテルは、前述のプラスチック光ファイバをカテーテル用照明または光センサーとして有する。
以下、本発明を実施例により、更に詳細に説明する。なお、クラッド材料および作製したプラスチック光ファイバの評価は以下の方法で行った。
組成比:固体19F NMR(Bruker社製AVANCE NEO 400)やFT−IR(Bio−Rad Digilab製FT−IR)を用いて求めた。
クラッドの屈折率:測定装置としてアッベ屈折率計を使用して、室温25℃雰囲気にて、クラッド別に、測定した。各実施例に記載のクラッド材をそれぞれ20mm×8mm×1.4mmに成形し、試験片とした。
クラッドのガラス転移温度:DSC(示差走査熱量計、昇温速度10℃/分、窒素雰囲気下)を用いて測定した。まず、−40℃から昇温速度10℃/分で昇温し、200℃に到達後5分間保持した。その後、−40℃に下げてから5分間保持した後、再び昇温速度10℃/分で200℃まで昇温した。2回目の昇温過程で得られた熱量の変化点をガラス転移温度とした。
クラッドの曲げ弾性率:ASTM D790(2010年度)に準拠して測定した。試験片のサイズは127mm×13mm×3.1mmとした。ASTM D790の測定単位はkg/cmとし、応力−曲げ変位曲線において応力印加初期のもっとも傾斜が大きくなった箇所での傾き、すなわち当該箇所での接線から曲げ弾性率を求めた。
プラスチック光ファイバの開口数:前述の方法により測定した屈折率から、下記式により開口数を算出した。
開口数=((コアの屈折率)―(クラッドの屈折率)1/2
ファイバの透光性:ハロゲン平行光(波長650nm、入射NA=0.25)を使用して30/2mカットバック法により測定した。透光性は値が小さいほど好ましく、150dB/km以下が好ましい。
ファイバの破断屈曲回数(耐久性):ファイバの一端に175gの荷重をかけ、直径10mmφのマンドレルで支持し、その支持点を中心にファイバの他端を角度180°で連続的に屈曲させて、ファイバが切断するまでの回数を測定した(n=5の平均値)。回数が多いほど、耐久性に優れる。
ファイバの曲げ状態の光量損失(耐屈曲性):各実施例および比較例により得られたプラスチック光ファイバについて、660nmLED(発光ダイオード)を使用して光量を測定した。また、各実施例および比較例により得られたプラスチック光ファイバを金属製半径5mmの棒に360度巻きつけ、同様に光量を測定した。曲げ状態の光量から初期の光量を差し引いた減少量(光量損失)を耐屈曲性の指標とした。光量損失の数値がマイナスであることは、初期の光量に対して曲げ状態の光量が低下したことを意味する。光量損失の絶対値が小さいほど、耐屈曲性に優れる。
[実施例1]
第1のクラッド材として、表1の共重合比の弗化ビニリデン(2F)/テトラフルオロエチレン(4F)/ヘキサフルオロプロピレン(6F)/ヘプタフルオロプロピルビニルエーテル(FVE)の共重合体(屈折率1.351)、第2のクラッド材として、表1の共重合比のエチレン/テトラフルオロエチレン(4F)/ヘキサフルオロプロピレン(6F)/フルオロビニル化合物の共重合体(カーボネート基含有)(屈折率1.385)を複合紡糸機に供給した。さらに、連続魂状重合によって製造したPMMA(屈折率1.492)をコア材として複合紡糸機に供給して、240℃にてコア、クラッドを芯鞘複合溶融紡糸し、ファイバ径500μm(コア径482μm、第1のクラッド厚み5μm、第2のクラッド厚み4.0μm)のベアファイバを得た。
こうして得られたプラスチック光ファイバを前記の評価方法により評価し、その結果を表3に示した。表1からわかるように、NA=0.63で、高開口数であり、透光性、耐久性、耐屈曲性が良好であり、プラスチック光ファイバとして好適なものであった。
[実施例2〜4]
第2クラッドのクラッド材を表1の組成の共重合体(カーボネート基非含有)に変更した以外は実施例1と同様にしてプラスチック光ファイバを得た。これらのプラスチック光ファイバを使用して実施例1と同じ評価を行い、その結果を表3に示した。
[実施例5〜7]
第1クラッドのクラッド材を表1の組成比の共重合体に変更した以外は実施例1と同様にしてプラスチック光ファイバを得た。これらのプラスチック光ファイバを使用して実施例1と同じ評価を行い、その結果を表3に示した。
[実施例8〜11]
第1クラッドおよび第2クラッドの厚みを表1の組成比の共重合体に変更した以外は実施例1と同様にしてプラスチック光ファイバを得た。これらのプラスチック光ファイバを使用して実施例1と同じ評価を行い、その結果を表1に示した。
[比較例1〜6]
第1クラッドのクラッド材を表2の組成比の共重合体に変更した以外は実施例1と同様にしてプラスチック光ファイバを得た。これらのプラスチック光ファイバを使用して実施例1と同じ評価を行い、その結果を表3に示した。
Figure 2021036312
Figure 2021036312
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Claims (12)

  1. コアと、第1クラッドと、第2クラッドとをこの順に有する、プラスチック光ファイバであって、前記コアのガラス転移温度Tgcと、前記第1クラッドのガラス転移温度Tg1との関係が、Tg1<Tgcであり、且つ、−10℃≦Tg1≦10℃である、プラスチック光ファイバ。
  2. 前記第2クラッドのガラス転移温度Tg2と、前記Tg1と、前記Tgcとの関係が、Tg1<Tg2<Tgcである、請求項1に記載のプラスチック光ファイバ。
  3. 前記第2クラッドは、少なくとも、
    エチレン10〜35重量%
    テトラフルオロエチレン45〜69重量%、および
    ヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%
    を共重合成分として含む共重合体からなり、
    且つ、前記共重合体がカーボネート基を含有する、
    請求項1または2のいずれかに記載のプラスチック光ファイバ。
  4. 前記第2クラッドは、
    エチレン10〜35重量%
    テトラフルオロエチレン45〜69重量%
    ヘキサフルオロプロピレン20〜45重量%および、次式(1)
    CH=CX(CF (1)
    (式中、Xはフッ素原子又は水素原子を示し、Xはフッ素原子、水素原子又は炭素原子を示し、nは1〜10の整数である。)
    で示されるフルオロビニル化合物0.01〜10重量%を共重合成分とする共重合体からなる、
    請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチック光ファイバ。
  5. 前記第1クラッドは、
    ヘキサフルオロプロピレン10〜30重量%、
    テトラフルオロエチレン45〜75重量%、
    弗化ビニリデン10〜35重量%、および
    パーフルオロアルキルビニルエーテル類1〜10重量%
    を共重合成分とする共重合体からなる請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチック光ファイバ
  6. 開口数が0.61〜0.65である、請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチック光ファイバ。
  7. 前記第1のクラッドの厚みt1と、前記第2のクラッドの厚みt2との関係が、0.5≦t1/t2≦2.5を満たす、請求項1〜6のいずれかに記載のプラスチック光ファイバ。
  8. 長さが0.5〜5.0mである、請求項1〜7のいずれかに記載のプラスチック光ファイバ。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のプラスチック光ファイバの外層に、少なくとも1層の被覆層を有する、プラスチック光ファイバコード。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のプラスチック光ファイバを内視鏡照明として有する、内視鏡照明用機器。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載のプラスチック光ファイバを眼科手術用照明として有する、眼科手術照明用プローブ。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載のプラスチック光ファイバをカテーテル用照明またはセンサーとして有する、血管用カテーテル。
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