JP2004163927A - プラスチック光ファイバ及びプラスチック光ファイバケーブル - Google Patents

プラスチック光ファイバ及びプラスチック光ファイバケーブル Download PDF

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Abstract

【課題】 光学特性、耐湿熱性、耐曲げ損失特性に優れたプラスチック光ファイバを提供する。
【解決手段】 コアと、そのコアの外周に形成された1層以上からなるクラッドを有するプラスチック光ファイバにおいて、コア材として、ポリメタクリル酸メチル単位を主成分とする共重合体を用い、クラッドの最外層の材料として、フッ化ビニリデン単位と、テトラフルオロエチレン単位と、下記一般式(I)
CF2=CFRf1 (I)
(式中、Rf1は炭素原子数が1〜8個のフルオロアルキル基)
で表されるフルオロビニル化合物の単位と、下記一般式(II)
CF2=CF−(OCF2CF(CF3))aO-Rf2 (II)
(式中、Rf2は炭素原子数が1〜8個のアルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシルアルキル基またはフルオロアルコキシルアルキル基を示し、aは0〜3の整数である。)
で表されるフルオロビニル化合物の単位とを特定の組成比で含む共重合体を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ホームネットワーク、あるいは自動車、航空機、鉄道などのような移動媒体中での光情報通信などに用いられるプラスチック光ファイバ及びプラスチック光ファイバケーブルに関する。
従来、光通信を行うための手段として、広い波長領域にわたって優れた光伝送特性を有する石英系光ファイバが幹線系を中心に使用されてきたものの、この石英系光ファイバは高価で加工性が低い。そのため、より安価で、軽量、大口径であり、端面加工や取り扱いが容易である等の長所を有するプラスチック光ファイバ(以下、適宜「POF」と略する。)が開発され、例えばライティングやセンサー等の分野、FA、OA、LAN等の短・中距離通信用途の配線などの分野において実用化が進められている。
現在実用化されている通信用POFは、主としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなる単芯のコアを、クラッドにより取り囲んで形成されたステップインデックス型構造を有するもの(以下、適宜「SI−POF」と略する。)であり、特に屋内配線あるいは自動車内配線のような短・中距離用の高速通信媒体として利用が期待されている。
前記SI−POFが屋内あるいは自動車内における通信媒体用途として使用される場合には、高温多湿な環境下に屈曲した状態で敷設されることが多いため、耐湿熱性や耐曲げ損失特性などに優れていることが要求される。特に、自動車内における通信媒体用途として用いられる場合には、曲げ半径が10mm、さらには曲げ半径が5mm程度に屈曲された場合においても、曲げ光量損失の少ないこと、また温度85℃、湿度95%RH程度の高温高湿雰囲気下に長時間放置された後においても、伝送損失の増加が小さいことが要求されている。
最近では、SI−POFの屈曲時における曲げ光量損失を改善することを目的として、クラッド材にフッ化ビニリデン(VdF)単位とテトラフルオロエチレン(TFE)単位とヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位を含有する低屈折率な共重合体を用いたPOFが提案されている。
例えば、特許文献1(特開2002−156533号公報)には、コアがメチルメタクリレート単位を主成分とする(共)重合体からなり、第1クラッドがパーフルオロアルキルメタクリレート単位及びメチルメタクリレート単位を含有する共重合体、第2クラッドがHFP単位を10〜25質量%、TFE単位を35〜70質量%、VdF単位を15〜45質量%含有する共重合体からなるPOFが開示されている。
また、特許文献2(特開2001−174646号公報)には、コアがポリメチルメタクリレート系樹脂からなり、クラッドがHFP成分10〜16モル%、TFE成分55〜70モル%、VdF成分20〜35モル%(これは、HFP成分15〜23質量%、TFE成分60〜72質量%、VdF成分13〜24質量%に相当する。)の範囲にある共重合体からなるPOFが開示されている。
また、特許文献3(特開2002−148451号公報)には、コアがメチルメタクリレート単位を主成分とする(共)重合体からなり、第1クラッドがパーフルオロアルキルメタクリレート単位及びメチルメタクリレート単位を含有する共重合体からなり、第2クラッドがHFP単位10〜30質量%と、TFE単位45〜75質量%と、VdF単位10〜35質量%と、他の共重合可能な成分1〜10質量%とを含有する4元共重合体からなるPOFが開示されている。
一方、SI−POF屈曲時の曲げ光量損失を低減する目的で、細径化した多数のコアあるいは多数のコア−クラッド構造からなる芯繊維を、クラッド材あるいは保護材で取り囲んで一纏めにして形成されるマルチコア型のPOF(以下、適宜「MC−POF」と略する。)が提案されている。
例えば、特許文献4(特開平5−134120号公報)には、PMMA系樹脂をコアに用い、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体(VT共重合体、モル比90/10(質量比約85/15))をクラッドに用いたMC−POFが開示されている。
また、MC−POFの耐湿熱性を向上させる目的で、クラッドにVdF単位とTFE単位とHFP単位からなる3元共重合体を用いる技術が提案され、実用化もなされている。
例えば、特許文献5(特開平11−95048号公報)には、PMMA系樹脂からなるコアを、VdF単位30〜92モル%とTFE単位0〜55モル%とHFP単位8〜25モル%の範囲にある共重合体からなるクラッドにより取り囲んで形成された芯繊維を7本以上一纏めにしてなるMC−POFが開示されている。
特許文献6(特開平11−237513号公報)には、PMMA系樹脂からなるコアを、VdF単位30〜92モル%とTFE単位0〜55モル%とHFP単位8〜25モル%からなる共重合体で形成されたクラッドで取り囲み、さらに該クラッドの周りを120℃以上の融点を有し且つビカット軟化点温度が110℃以上であるVdF系樹脂で被覆して形成された芯繊維を7本以上一纏めにしてなるMC−POFが開示されている。
特開2002−156533号公報 特開2001−174646号公報 特開2002−148451号公報 特開平5−134120号公報 特開平11−95048号公報 特開平11−237513号公報
特許文献1及び2に開示された組成範囲にある、第2クラッドを形成するHFP単位、TFE単位およびVdF単位からなる3元共重合体の屈折率は1.35程度と比較的低いものである。通常、この程度の屈折率を有する透明な樹脂をクラッド最外層に設けたPOFの場合、曲げ半径が10mm程度に屈曲されたときには、曲げ光量損失の低減効果が得られるものの、曲げ半径10mm程度以下に屈曲された場合には、十分な曲げ光量損失の低減効果が得られなかった。
また、上記の3元共重合体の組成比を屈折率が1.35以下になるよう調整することで耐曲げ損失特性の向上を図ろうとした場合には、前記3元共重合体のTFE単位の含有量を多くする必要があるが、このTFE単位の含有量を多くすると、前記3元共重合体の結晶性が高くなり、常温において白濁してしまうため、POFの伝送損失は大きくなり、曲げ光量損失の低減効果も小さくなる傾向にあった。
また、このようにTFE単位の含有量を多くした3元共重合体の融点は、190℃以上に上昇し、溶融粘度も上昇するため、溶融紡糸を行う際の流動性が低下する傾向にあった。この流動性を改善するため、POFを紡糸する際にノズル周辺部の温度を250℃以上の高温とした場合には、コアに用いられるメチルメタクリレート(MMA)単位を主構成単位とする(共)重合体が熱分解を起こしてしまい、初期伝送損失が大きくなる傾向にあった。
また、上記の3元共重合体をクラッドとするPOFは、80℃以上の湿熱雰囲気下に長期間保持された場合、クラッドの結晶化がより進むために透明性がさらに低下し、POFの伝送損失が増大する傾向が見られた。
従来のVdF単位とTFE単位とHFP単位からなる3元共重合体は、上述の通り、屈折率が1.35程度以下になる組成では結晶性が高くなり、また紡糸時における流動性が低くなる。このような3元共重合体の改善のために、特許文献3には、例えば、ヘキサフルオロアセトン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、弗化ビニル、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の単位を第4成分として含有させ、フッ素含有率を特定範囲とする共重合体をクラッドに用いることで、透光性、耐熱性、耐屈曲性、耐曲げ特性等をバランス良く向上させることについて記載されている。しかし、このような第4成分の中には現在、原料の入手が困難であったり、原料コストが高いものが存在する上、含有させた場合にはクラッド表面の粘着性が高くなったり、高温環境下での硬度が低下する傾向があり、そのため、クラッド表面が互いに粘着してしまったり、高温環境下に曝された場合にクラッドが変形してしまうおそれがあった。
また、POFがマルチコア型の形態をとる場合、前述のようにクラッドの選定が非常に重要となるが、特許文献4のように、VT共重合体をクラッドに用いたMC−POFは、70℃以上の湿熱雰囲気下に長期間曝されると、クラッドの透明性が著しく低下するため、伝送損失が増大するという問題を有していた。
また、特許文献5及び6に開示された3元共重合体からなるクラッドの場合は、VdF単位が45モル%以下の組成では、TFE単位の増加によって3元共重合体の結晶性は高くなり、常温で白濁してしまう。一方、VdF単位が45モル%より多い組成では、3元共重合体の結晶性は低くなり、高温高湿下においても透明性に優れている特徴があるものの、TFE単位の減少によって3元共重合体の熱変形温度が低下するため、100℃以上の高温環境下ではクラッド材が変形するおそれがあった。
本発明の目的は、コアにMMA単位を主構成単位とする樹脂を用い、クラッドの最外層に、透明性に優れ、低屈折率であり、かつ結晶性が低く、紡糸温度付近での溶融成形が容易な特定の樹脂を用いることによって、光学特性、耐湿熱性、耐曲げ損失特性に優れたプラスチック光ファイバ及びプラスチック光ファイバケーブルを提供することである。
本発明は、コアと、該コアの外周に形成された少なくとも1層以上からなるクラッドを有するプラスチック光ファイバあって、
前記コアが、ポリメタクリル酸メチル、又は1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチルとの共重合体からなり、
前記クラッドは、フッ化ビニリデン単位10〜30質量%と、テトラフルオロエチレン単位40〜80質量%と、下記一般式(I)
CF2=CFRf1 (I)
(式中、Rf1は炭素原子数が1〜8個のフルオロアルキル基)
で表されるフルオロビニル化合物の単位5〜40質量%と、下記一般式(II)
CF2=CF−(OCF2CF(CF3))aO-Rf2 (II)
(式中、Rf2は炭素原子数が1〜8個のアルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシルアルキル基またはフルオロアルコキシルアルキル基を示し、aは0〜3の整数である。)
で表されるフルオロビニル化合物の単位0.1〜15質量%を含む共重合体からなる層を少なくとも最外層に有することを特徴とするプラスチック光ファイバに関する。
また本発明は、前記コアを少なくとも含む芯繊維の複数本が一纏めにされていることを特徴とする上記のプラスチック光ファイバに関する。
また本発明は、前記のプラスチック光ファイバの外周に、熱可塑性樹脂からなる少なくとも一層以上の被覆層を有することを特徴とするプラスチック光ファイバケーブルに関する。
本発明によれば、透光性能が良好で、耐曲げ光量損失、耐湿熱安定性に優れたPOF及びPOFケーブルを提供することができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明のPOFは、コアとその外周に形成された少なくとも1層以上からなるクラッドを有している。さらにコアとクラッドからなるPOFの外周に少なくとも1層以上からなる被覆層を設けることでPOFケーブルを形成することができる。また、POFと被覆層との間には密着層を設けていてもよい。
コアを構成する材料(以下、適宜「コア材」という。)としては、透光性に優れることから、ポリメタクリル酸メチル、又は1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチルとの共重合体が用いられる。このような共重合体としては、透明性を十分に確保する点から、メタクリル酸メチル単位の含有量は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
本発明のPOFを構成するクラッドは、1層で形成されていても、2層以上の複数層から形成されても良いが、少なくとも最外層に位置するクラッド層は、低屈折率であり、かつ良好な透明性を有しながら、屈曲性および加工性に優れた特性を得るために、VdF単位とTFE単位と一般式(I)で示されるフルオロビニル化合物(以下、適宜「FVE1」という。)の単位と一般式(II)で示されるフルオロビニル化合物(以下、適宜「FVE2」という。)の単位とを有する特定の共重合体とすることが必要である。
FVE1単位としては、ペンタフルオロプロピレン単位、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位、オクタフルオロブチレン単位(例えば、−CF2−CF(CF2CF3)−)から選ばれる少なくとも1種の単位であることが好ましい。中でも、原料が安価で、共重合体の結晶性の低減効果に優れ、屈折率を小さくすることが可能であることから、HFP単位を用いることが特に好ましい。
上記のような、最外層に位置するクラッド層を構成する共重合体として、VdF単位、TFE単位、FVE1単位に加えて、さらに第4成分としてFVE2単位を含む共重合体を用いることが本発明の特徴の1つである。
第4成分としてFVE2単位を含む前記共重合体は、硬度の低下や粘着性の増加を抑えながら、結晶性が低減され、流動性が改善されるため、この共重合体をクラッドの最外層に用いることにより、光学特性に優れ、曲げ損失が少なく、かつ耐熱安定性に優れたPOFを得ることができる。
FVE2単位においては、フルオロアルキル基等の側鎖基が、酸素原子を介して主鎖(−CF2−CF−)に結合しており、その炭素−酸素結合は、熱的にも化学的にも、炭素−フッ素結合と同程度の安定性を有している。しかも、FVE2単位では、フルオロアルキル基等の側鎖基が酸素を介して主鎖に結合しているため、側鎖基がかなり大きくても、側鎖基に起因する構造的な不安定性の要因が回避されており、熱的にも化学的にも安定である特徴がある。さらに、FVE2単位は、フルオロアルキル基等の側鎖基がエーテル結合を介して主鎖(−CF2−CF−)に結合しているため、HFP単位や特許文献3記載の第4成分と比較すると、側鎖基の運動性が大きく、また嵩高い構造を有している。そのため、FVE2単位を含有することで、TFE単位を含有する共重合体が有している結晶性や融点、溶融粘度を大きく低減でき、さらに屈折率を低下させることができる。
FVE2単位としては、下記一般式(III)〜(VI)
CF2=CFO(CF2n−OCF3 (III)
(式中、nは1〜3の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nO(CF2mCF3 (IV)
(式中、nは0〜3の整数、mは0〜3の整数)
CF2=CFO(CH2n(CF2mCF3 (V)
(式中、nは1〜3の整数、mは0〜3の整数)
CF2=CFO(CH2nCH3 (VI)
(式中、nは0〜3の整数)
のいずれかで表わされる化合物の単位であることが好ましい。
また、FVE2単位は下記一般式
CF2=CFO(CH2n(CF2m
(式中、Xは水素原子またはハロゲン原子を示し、nは0又は1以上の整数、mは0又は1以上の整数を示す。但し、n+mは1以上8以下の整数。)
で表わされる化合物の単位であることが好ましい。
さらに、FVE2単位としては、CF2=CFOCF3、CF2=CFOCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF3、CF2=CFOCH2CF3、CF2=CFOCH2CF2CF3、CF2=CFOCH2CF2CF2CF3、CF2=CFOCH3、CF2=CFOCH2CH3及びCF2=CFOCH2CH2CH3からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物の単位であることが、原料の低コストの点から好ましい。
また、最外層に位置するクラッド層を構成する共重合体において、各単位の含有割合は、VdF単位が10〜30質量%、TFE単位が40〜80質量%、FVE1単位が5〜40質量%、FVE2単位が0.1〜15質量%の範囲内であることが好ましい。
特に耐湿熱性をより向上させたい場合には、これらの単位の含有割合を、VdF単位が10〜30質量%、TFE単位が40〜69質量%、FVE1単位が21〜40質量%、FVE2単位が1〜15質量%の範囲とすることが好ましい。
また、耐曲げ損失特性をより向上させたい場合には、これらの単位の含有割合を、VdF単位が10〜30質量%、TFE単位が54〜80質量%、FVE1単位が6〜16.9質量%、FVE2単位が1〜15質量%の範囲とすることが好ましい。
VdF単位は、その含有量が多すぎると、低屈折率とすることが困難となったり、熱変形温度が低下するため耐熱性が低下する傾向がある。一方、VdF単位の含有量が少なすぎると、下地層(コアまたは第1クラッド)との密着性が低下する傾向がある。よって、前記共重合体中に含まれるVdF単位の含有率は10〜30質量%の範囲とすることが好ましい。
TFE単位は、その含有量が多すぎると、溶融粘度が高くなり成形安定性が低下したり、結晶性が高くなり白濁する傾向がある。一方、TFE単位の含有量が少なすぎると、硬度および耐熱性が低下する傾向がある。よって、TFE単位の含有率は40〜80質量%の範囲とすることが好ましい。
FVE1単位の含有量が多すぎると、エラストマー性が高くなる傾向にあるため、溶融粘度が高くなり成形安定性が低下したり、粘着性が高くなり、POFの取り扱い性が低下したり、硬度および耐熱性が低下する傾向がある。一方、FVE1単位の含有量が少なすぎると、結晶性の低減効果が不十分となり、特にTFE単位を60質量%以上含有する場合には、共重合体が白濁する傾向がある。よって、前記共重合体中のFVE1単位の含有率は5〜40質量%の範囲とすることが好ましい。
FVE2単位の含有量が多すぎると、FVE2単位中のエーテル結合部分に含まれる酸素原子の存在により、吸水性が高くなる傾向があるため、POFの耐湿熱性が低下する傾向がある。また、FVE2単位の含有量が多すぎると、共重合体のエラストマー性が高くなる傾向があるため、POFの成形安定性が低下する傾向がある。さらに、FVE2単位の含有量が多すぎると、表面のべた付きが大きくなる傾向にあり、そのためPOFを紡糸して巻き取ったボビンからPOFを解き取りにくくなり、クラッド表面を傷つけてしまう傾向がある。一方、FVE2単位の含有量が少なすぎると、結晶性の低減による流動性の改善効果が不十分になるおそれがある。よって、前記共重合体中のFVE単位の含有量は0.1〜15質量%の範囲にあることが必要であり、1〜15質量%の範囲にあることが好ましく、1〜10質量%の範囲にあることがより好ましい。
このように、最外層に位置するクラッド層を構成する共重合体として、FVE2単位を含有する上記共重合体を用いることにより、クラッド最外層と下地層(第1クラッド材またはコア材)との相溶性を低くすることができ、下地層とクラッドの界面にこれらが相溶してなる相溶層が形成されにくく、下地層とクラッドとは密着した状態となる。このため、POFが高温高湿条件下に長時間置かれた場合(例えば温度85℃、湿度95%RH、3000時間)に、同界面における構造不整の増大に起因する伝送損失の増加を抑制することができ、クラッド材そのものが有する耐湿熱特性と相まって、POFの耐湿熱性をより向上させることができる。
また、FVE2単位を含有する上記共重合体は、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が59以下であるものが好ましく、55以下であるものがより好ましく、50以下のものであることがさらに好ましい。このようなショアD硬度を有し、柔軟性を有する共重合体でクラッドの最外層を形成すると、下地層(コアまたは第1クラッド)との間に強い密着性が発現し、ピストニングを抑制することができる。
FVE2単位を含有する上記共重合体の屈折率(ナトリウムD線により、25℃で測定した際の屈折率。以下同じ。)は1.37以下が好ましく、1.35以下がより好ましく、1.34以下がさらに好ましい。このような屈折率の共重合体をクラッドの最外層に用いることで、例えばワイヤーハーネス類と束ねられて車体に配設されるときのように、半径10mm以下で屈曲した場合にも曲げ光量損失の少ないPOFを得ることが可能となる。なお、上記共重合体は、屈折率が小さくなる程、フルオロビニル化合物の単位を多く含有し、エラストマー性が高くなる傾向にあるため、屈折率の下限は1.325以上であることが好ましい。
このようなFVE2単位を含有する上記共重合体は、屈折率が1.35以下であっても、透明性が高く、分子量の調整により流動性を改善することが可能であり、この共重合体をクラッドの最外層に用いることにより、初期伝送特性および耐湿熱特性に優れたPOFを提供できる。
FVE2単位を含有する上記共重合体は、POFの成形安定性の点から、230℃、荷重5kgf(49N)で測定したメルトフローインデックスが、2〜100g/10分の範囲にあることが好ましく、10〜50g/10分の範囲にあることがより好ましい。メルトフローインデックスは、共重合体の重合時に分子量を調整したり、低分子量の共重合体を適当量添加することで、適宜調整できる。
FVE2単位を含有する上記共重合体の重合方法としては、懸濁重合法や乳化重合法、あるいは圧力が約40MPaから約700MPa、温度が約200℃から400℃の条件下でフリーラジカル反応を用いて行う高温高圧重合法など、公知の方法を用いることができる。特に、POFの開口角を高くするため、屈折率を十分低くすることを目的として、FVE1単位とFVE2単位の含有量をあわせて25質量%より多い組成にする場合は、高温高圧重合法が好適である。
前述のように、クラッドは複数層から形成されていてもよいが、クラッド層を複数層で形成する場合は、製造コストを低減する観点から、第1クラッドの外周に、第2クラッドを同心円状に設けた2層構造とすることが好ましい。
クラッドがこのような2層構造を有する場合、コアの屈折率n1、第1クラッドの屈折率n2、第2クラッドの屈折率n3が、下記の関係式(1)
1>n2>n3 (1)
を満たすことが好ましい。
上記の関係式(1)を満たすことにより、POFが屈曲されて第1クラッドから光が漏れた場合においても、その漏れた光を第2クラッドで反射させることができるため、POFを半径10mm、あるいは半径5mmにまで屈曲させた場合においても伝送損失を十分に抑えることができる。
第1クラッドに用いられる重合体としては、例えば、良好な透明性および耐熱性を有しながら、屈曲性および加工性に優れる重合体として、下記一般式(VII)
CH2=CX−COO(CH2m(CF2nY (VII)
(式中、Xは水素原子またはメチル基、Yは水素原子またはフッ素原子を示し、mは1又は2、nは1〜12の整数を示す。)
で表されるフルオロアルキル(メタ)アクリレートの単位(A)15〜90質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(B)10〜85質量%からなり、屈折率が1.39〜1.475の範囲にある共重合体を用いることができる。
POFに対して特に高帯域が要求される場合には、第1クラッド材として、下記一般式(VIII)、
CH2=C(CH3)COO-(CH2m(CF2nCF3 (VIII)
(式中、mは1又は2、nは5〜12の整数を示す。)
で表わされる長鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(C)0〜50質量%と、下記一般式(IX)
CH2=C(CH3)COO-CH2(CF2mX (IX)
(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、mは1〜4の整数を示す。)
で表わされる短鎖フルオロアルキルメタクリレートの単位(D)0〜50質量%と、他の共重合可能な単量体の単位(E)50〜80質量%からなり、屈折率が1.45〜1.48の範囲にある共重合体を用いることが好ましい。
なお、第1クラッドの屈折率が高すぎると、第2クラッドによる曲げ光量損失の抑制効果が不十分になる傾向があるため、POFが使用される環境に応じて伝送帯域と曲げ光量損失とのバランスを考慮して第1クラッドの屈折率を選択することが望ましい。
また、耐曲げ損失特性を向上させたい場合には、第1クラッド材として、長鎖フルオロアルキルメタクリレート単位(C)0〜80質量%と、短鎖フルオロアルキルメタクリレート単位(D)10〜90質量%と、他の共重合可能な単量体単位(E)10〜50質量%とからなり、屈折率が1.39〜1.435の範囲にある共重合体を用いることが好ましい。
また、POFに対して特に耐熱性が要求される場合には、下記一般式(X)
CH2=C(F)COO-CH2(CF2mX (X)
(式中、Xは水素原子またはフッ素原子、mは1〜4の整数を示す。)
で表わされるα−フルオロアクリル酸エステルの単位(F)からなる構造単位を有する共重合体であって、屈折率が1.38〜1.435の範囲にあり、ガラス転移温度が100℃以上である共重合体を用いることが好ましい。
このようなα−フルオロアクリル酸エステルの単位としては、α−フルオロアクリル酸メチル、α−フルオロアクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、α−フルオロアクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル等の単位が挙げられる。
上記の他の共重合可能な単量体の単位(E)としては、特に限定されないが、透明性の向上には(メタ)アクリル酸メチル、機械的特性の向上には(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、耐熱性の向上には(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸芳香族エステル、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロネオペンチル、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN−置換マレイミド、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ、γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−エチル−γ−ブチロラクトン、α−メチレン−γ−シクロヘキシル−γ−ブチロラクトン等の単位を、所望の物性を損なわない範囲で適宜選択できる。上記の、他の共重合可能な単量体の単位(E)の中でも、(メタ)アクリル酸メチルの単位が、POFの透光性と機械的強度のバランスに優れていることから特に好ましい。
本発明のPOFは、耐屈曲性および耐湿熱性を向上させるために最外層のクラッドの外周に保護層を被覆することができる。この保護層としては、フッ素原子の割合が59質量%以上であるフッ素系樹脂を用いることが好ましい。フッ素原子の割合が59質量%以上であれば、十分な耐屈曲性、耐湿熱性、及び耐薬品性を達成することができる。
前記保護層は、23℃におけるショアD硬度(ASTM D2240)の値が50以上の範囲にあり、フッ素原子の割合が59質量%以上である含フッ素オレフィン系共重合体が特に好ましい。
保護層の材料としては、例えば、VdFとTFEとHFPと(パーフルオロ)アルキルビニルエーテルとの共重合体、VdFとTFEとの共重合体、VdFとヘキサフルオロアセトンとの共重合体、VdFとトリフルオロエチレンとの共重合体、VdFとHFPとの共重合体、VdFとTFEとHFPとの共重合体、VdFとTFEとヘキサフルオロアセトンとの共重合体、エチレンとTFEとHFPとの共重合体等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、本発明のPOFは、図2〜4に示すように、コアまたはコア−クラッド構造からなるファイバ(芯繊維)の複数本が一纏めにされた構造を有するMC−POFとすることにより、半径5mm以下での曲げ光量損失を、より一層低減することができる。
MC−POFにおいては、SI−POFと比較してコア径が小さくなるため曲げ損失特性は向上するものの、透過光がコア−クラッド界面で反射する回数が多くなり、その光学性能が、クラッド材や、コア-クラッド界面の状態の影響を受けやすくなる。したがって、クラッドに使用する材料の選定が、MC−POFの光学性能に大きく影響を与えることになる。この影響は、MC−POFの伝送損失を、特に全モード励起光で測定した場合や、MC−POFが高温高湿条件下に置かれた場合(例えば温度85℃湿度95%RHの条件下にて3000時間)に顕著になる傾向がある。
このため、MC−POFのクラッドとしては、常温から高温(さらには高湿)環境下にわたって結晶化が起きにくく適度な透明性を維持でき、伝送損失の増加を抑制することができる材料を用いることが好ましく、前述のFVE2単位を含有する共重合体が最適である。
また、MC−POFのコアを構成する材料についても、前述のPOFの場合と同様に、透光性に優れたポリメタクリル酸メチル、又は1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチルとの共重合体が用いられる。このような共重合体としては、透明性を十分に確保する点から、メタクリル酸メチル単位の含有量は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
本発明のMC−POFは、図2に示されるような、コアからなる芯繊維の複数本がクラッドを介して一纏めにされ、これら芯繊維間にクラッドが充填された構造、すなわちコアからなる島部とクラッドからなる海部との海島構造を有することができる。
また、本発明のMC−POFは、図3に示されるような、コアと、このコアの外周に同心円状に積層された第1クラッドからなる芯繊維の複数本が、第2クラッドを介して一纏めにされ、これら芯繊維間に当該第2クラッドが充填された構造、すなわちコア及び第1クラッドからなる島部と第2クラッドからなる海部との海島構造を有することができる。この構造において、ナトリウムD線による25℃での、コアの屈折率n1、第1クラッドの屈折率n2、第2クラッドの屈折率n3が、下記の関係式(1)
1>n2>n3 (1)
を満足することが好ましい。なお、第1クラッドは同心円状に積層された多層構造を有していてもよい。
また、本発明のMC−POFは、図4に示されるような、コアと、このコアの外周に同心円状に積層されたクラッドからなる芯繊維の複数本が、保護層を介して一纏めにされ、これら芯繊維間に当該保護層が充填された構造、すなわちコア及びクラッドからなる島部と保護層からなる海部との海島構造を有することができる。なお、このクラッドは同心円状に積層された多層構造を有していてもよい。
このようなMC−POFとしては、その直径が0.5〜1.5mmの範囲であることが好ましい。この直径が0.5mm以上であると、MC−POFがより充分な光量の信号を取り込むことができ、通信の信頼性をより向上させることができる。この直径を1.5mm以下とすると、曲げ損失特性に優れ、かつ低コストでMC−POFを作製することができる。
また、本発明のMC−POFは、芯繊維の数が7本以上500本未満であることが好ましい。光学特性の点から芯繊維をできるだけ均等に配置、すなわち細密充填配置にすることが好ましく、例えば六方最密充填配置にする場合、芯繊維の数は少なくとも7本以上が必要になる。一方、芯繊維の数が500本以上であると、芯繊維を同様な間隔で並べた場合、MC−POFの断面積にしめるコア部の面積占有率が小さくなり、MC−POFの受光量が低下する傾向にある。
また、本発明のMC−POFは、各芯繊維間の距離(島部の間隔)が1μm以上、20μm以下であることが好ましい。芯繊維間距離が1μm未満であると、紡糸安定性が不安定になるため、クラッドの厚み斑が生じたり、隣接する芯繊維が繋がってしまう傾向がある。芯繊維間距離が20μmより大きいと、MC−POFの断面積に占めるコア部の面積占有率が小さくなり、MC−POFの受光量が低下する傾向がある。本発明のMC−POFでは、以上の条件を満たすようにファイバ構造を設定する場合には、各コアの直径は30μm以上150μm以下の範囲にあることが好ましい。
次に、本発明のPOFケーブルについて説明する。
本発明のPOFケーブルは、上記のようなPOFの耐屈曲性および耐湿熱性を向上させるためにクラッドの外周あるいは保護層の外周に被覆層を密着配設してPOFケーブルとすることができる。この被覆層は、コアと直接接しておらず、結晶化により透明性が低下しても特に問題は生じない。
被覆層の材料としては、POFの被覆材として一般的に用いられている種々の熱可塑性樹脂を用いることができ、POFケーブルが使用される環境に応じて、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリウレタン系樹脂及びフッ化ビニリデン系樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
中でも、ポリアミド系樹脂は、耐熱性、耐屈曲性、耐溶剤特性に優れることから、耐熱性および耐環境特性を要求される用途向けのPOFの被覆材として好適である。また、ポリアミド系樹脂は加工性が良く、適度な融点を有しているため、POFの伝送性能を低下させることなく、容易にPOFを被覆することができる。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66などの単独重合体や、これら重合体を構成する単量体単位の組み合わせからなる共重合体、柔軟なセグメントを導入したナイロン単量体単位を含むナイロン系エラストマーなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよく、また、必要に応じて、ポリアミド系樹脂以外の重合体や化合物を混合して使用してもよい。他の重合体や化合物などを混合する場合には、被覆材中のポリアミド系樹脂の含有量が好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上となるように、所望の効果が得られる必要量の範囲内で他成分を混合することが好ましい。
ポリアミド系樹脂の中では、特に、ナイロン11又はナイロン12の単独重合体や、これらの単量体単位の組み合わせからなる共重合体が、被覆工程における成形性が良好で、POFに熱的および機械的なダメージを与えにくいとともに、密着性に優れ、寸法安定性にも優れることから特に好ましい。このような密着性と寸法安定性との相乗効果により、ピストニングを効果的に防止することができる。
本発明においては、クラッドの最外層に位置するクラッドの屈折率を1.37以下とすることが好ましいが、この屈折率を1.35以下にするためには、共重合体中の低屈折率に寄与する構成単位を多くする必要があり、その結果、共重合体中のVdF単位の含有量が低下することになる。このように共重合体中のVdF単位の含有量が少なくなると、その共重合体と被覆層との密着性が低下する傾向があり、特に、被覆層がナイロン11やナイロン12等のポリアミド系樹脂からなる場合にその傾向が大きい。POFのクラッドと被覆層との密着性が低下すると、例えば車載用POFケーブルにおいては、走行中の振動や、エンジン周辺あるいは夏場等の高温環境下で、POFのコネクタの緩みや、ピストニング等が生じやすくなる。
このため、本発明のPOFケーブルでは、最外層のクラッドと被覆層との密着性をより十分なものとするために、被覆層の少なくとも最内層や、後述する密着層に、有機酸あるいは有機酸無水物を添加し、POFと被覆層との密着性をより一層向上させることができる。有機酸あるいは有機酸無水物の含有量は、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましく、0.5〜5質量%がさらに好ましい。この含有量が少なすぎると所望の効果が十分に得られない傾向にあり、多すぎると樹脂の流動性が低下したり、POFケーブル表面の平滑性が低下する傾向がある。使用する有機酸、有機酸無水物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、サリチル酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸、及びこれらの無水物などを挙げることができる。その中でも、無水マレイン酸が、少量の添加量で高い密着効果が得られることから、特に好ましい。
また、最外層のクラッドと被覆層との密着性をより十分なものとするために、被覆層の少なくとも最内層あるいは密着層に、末端アミノ基の含有量が30〜300μeq/gの範囲にあるポリアミド系樹脂を用いることによっても、POFと被覆層との密着性をより一層向上させることができる。末端アミノ基の含有量が低すぎると所望の効果が十分に得られない傾向にあり、高すぎると樹脂の流動性が低下したり、POFケーブル表面の平滑性が低下する傾向がある。上記の樹脂としては、例えば、市販品ではEMS社製のGrilamide-L16A(商品名)等が挙げられる。
また、本発明のPOFケーブルでは、被覆層の少なくとも最内周側の層(例えば被覆層が複数からなる場合は最内層:密着層)に、ポリアミド系樹脂とVdF単位を含む重合体との混合物を用いることによっても、POFと被覆層との密着性をより一層向上させることができる。このVdF単位を含む重合体中のVdF単位の含有量は60〜90質量%が好ましい。これにより、この重合体の成形加工温度をポリアミド系樹脂とほぼ同じにすることができ、この重合体とポリアミド系樹脂との溶融混合性を良好にできる。特に、ポリアミド系樹脂45〜85質量%とVdF単位を含む重合体15〜55質量%との混合物であることが好ましく、ポリアミド系樹脂50〜65質量%とVdF単位を含む重合体35〜50質量%との混合物であることがより好ましい。なお、この混合物中におけるVdF単位の好ましい含有量は、15〜70質量%の範囲にあることが好ましい。
上記混合物に用いられるポリアミド系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6-10、ナイロン6-12が挙げられる。また、上記VdF単位を含む重合体としては、特に限定されるものではないが、VdFとTFEとの共重合体、VdFとヘキサフルオロアセトンとの共重合体、VdFとトリフルオロエチレンとの共重合体、VdFとHFPとの共重合体、VdFとTFEとHFPとの共重合体、VdFとTFEとヘキサフルオロアセトンとの共重合体、VdFとエチレンとTFEとHFPとの共重合体等が挙げられる。
また、本発明のPOFケーブルでは、クラッドの外周に密着層を設け、その密着層の外周に被覆層を設けることでも、POFと被覆層との密着性をより一層向上させることができる。この密着層に用いられる樹脂としては熱可塑性ウレタン系樹脂が好ましく、ポリカーボネート系ポリウレタン、アジペート系ポリウレタン若しくはエーテル系ポリウレタン、又はこれらのいずれかを主成分とする樹脂組成物が特に好ましい。ポリカーボネート系ポリウレタン及びアジペート系ポリウレタンは初期密着強度がより大きいという特徴があり、エーテル系ポリウレタンはPOFが高温多湿環境下に置かれても、密着強度の低下がより抑えられるという特徴がある。なお、この熱可塑性ウレタン系樹脂に、所望の特性を損なわない範囲内で他の樹脂や化合物を混合してもよい。
上記密着層に用いられる熱可塑性ウレタン系樹脂としては、例えば、DIC・バイエルポリマー社製のパンデックスT−1000シリーズ、T−8000シリーズ、T−9000シリーズを用いることができる。
以上のようにして得られた、POFの外側に被覆層を有するPOFケーブルは、POFと被覆層との間の引抜強度が15N以上であることが好ましく、20N以上がより好ましく、30N以上がさらに好ましい。この引抜強度が十分な大きさであれば、POFと被覆層との密着性が十分に強いため、振動などの機械的作用によって、強固に固定化されたコネクタ部の端などでのPOFの破断を防止することができる。
また、本発明のPOFケーブルでは、POFへの外光の入射を防止するために、被覆層にカーボンブラック等の遮光剤を含有させることもできる。また、POFケーブルの識別性、意匠性を高めるために彩色系の着色剤を含有させることもできる。このような着色剤としては、染料系や無機系の公知のものが用いられるが、耐熱性の点から無機顔料を用いることが好ましい。
さらに、本発明のPOFケーブルでは、難燃性を付与あるいは向上するために、被覆層に難燃剤を含有させてもよい。難燃剤としては、金属水酸化物、燐化合物、トリアジン系化合物などの公知の難燃剤を用いることができる。特に、ポリアミド系樹脂を被覆層の主成分として用いる場合は、トリアジン系化合物の難燃剤を用いることが好ましく、中でもシアヌル酸メラミンがより好ましい。
以下実施例により本発明をより具体的に説明する。なお、実施例における評価、測定は以下の方法により実施した。
(メルトフローインデックス)
メルトフローインデックス(MFR)は、日本工業規格JIS K7210に準じ、230℃、荷重5kgf(49N)の条件下で直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間に吐出される重合体量を測定した。
(ショアD硬度)
高分子計器(株)ASKER CL−150を用い、ASTM D2240に準拠して測定した。
(屈折率)
溶融プレスにより厚さ200μmのフィルム状の試験片を形成し、アッベの屈折計を用い、25℃におけるナトリウムD線の屈折率(nD 25)を測定した。
(伝送損失)
25m−5mカットバック法により、POFケーブルの伝送損失(dB/km)を測定した。測定には、波長が650nm、入射光のNA(開口数)が、0.1、0.65の光を用いた。なお、伝送損失は、初期の伝送損失、およびPOFケーブルを温度85℃、湿度(RH)95%のオーブンに3000時間放置した後の伝送損失を測定した。
(曲げ損失)
長さ10mのPOFケーブルの一端から660nmLED光を入射させ、POFケーブルを、POFケーブルの中間地点で、半径10mm(R10mm)又は半径5mm(R5mm)の棒に360度巻き付け、他端から出射される光量を測定した。このように屈曲させたPOFケーブルから出射される光量と、直線状の同POFケーブルについて同様に測定した出射光量とから曲げ損失を算出した。
(繰り返し屈曲回数)
長さ4mのPOFケーブルの一端に荷重500gf(4.9N)をかけ、このPOFケーブルの中央を直径15mmの2本の円管にて挟持した。このPOFケーブルの他端を一方の円管側に移動させてPOFケーブルが90度折れ曲がるように円管外周に巻き付けた後、他方の円管側に移動させてPOFケーブルが90度折れ曲がるように円管外周に巻き付けて合計180度屈曲させ、これを繰り返し、POFケーブルが切断するまでの曲げ回数を測定した。
(被覆層の引抜強度)
被覆層の引抜強度(剥離強度)は、図1に示すように、POFケーブル10を保持する治具12と、治具12の一端部に形成された突起14を把持するチャック8と、POFケーブル10の剥離部分5を把持するチャック7とを備えた測定装置20を用いて測定した。治具12には、POFケーブル10の被覆部分4が収容される保持室13と、POFケーブル10の剥離部分5よりも大きく被覆部分4よりも狭い貫通孔15が形成されている。
測定にあたっては、一端側の被覆層を剥離したPOFケーブルを用意し、POFケーブルの被覆部分4の長さが30mmになるように切断した。
次に、治具12に形成されている保持室13内にPOFケーブルの被覆部分4を収容し、POFケーブルの剥離部分5を貫通孔15から抜き出した。その後、治具12の一端部に形成されている突起14をチャック8で把持し、POFケーブルの剥離部分5をチャック7で把持した。次いで、POFケーブル10の中心軸方向(図中矢印方向)に沿って、一定速度(50mm/min)でチャック8を移動させて治具12を引っ張り、POFケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分を引き抜いた。このときの引き抜き応力と、POFケーブル10の被覆部分4において剥離部分5よりも厚い部分の引き抜き方向へのずれ量との関係を示す曲線から、引き抜く際の応力のピーク値を読みとり引抜強度とした。
〔実施例1〕
コア材としてPMMA(屈折率1.492)、第1クラッド材として、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)/2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(17FM)/メタクリル酸メチル(MMA)/メタクリル酸(MAA)の共重合体(50/30/20/1(質量%)、屈折率1.416)、第2クラッド材料として、VdF/TFE/HFP/パーフルオロトリフルオロメチルビニルエーテル(PFTFMVE:CF2=CFOCF3)の共重合体(20/63/11/6(質量%)、屈折率1.352、メルトフローインデックス17)を用いた。これらの重合体を溶融して、220℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合ノズルを用いて複合紡糸した後、140℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、第1クラッドと第2クラッドの厚みが各10μm、直径1mmのPOFを得た。すなわち、この例ではクラッドが第1クラッド及び第2クラッドの2層からなる。
得られたPOFに、クロスヘッドケーブル被覆装置を用いて、220℃に設定したクロスヘッドダイにて、変性ナイロン12(EMS社製、Grilamide−L16A、末端アミノ基含有量116μeq/g)を被覆して厚みが250μmの一次被覆層を形成し、外径1.5mmのPOFケーブルを得た。
得られたPOFケーブルの各種評価を行い、その結果を表2に示した。
表2に示したように、得られたPOFケーブルは伝送性能が良好で、曲げ損失が小さく、湿熱環境下での伝送特性も良好なPOFケーブルであった。
〔実施例2〜7〕
POFの構成を表1に示す通りとした以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表2に示した。なお、実施例7の単層構造のクラッドの厚みは10μmとした。
得られたPOFケーブルは、いずれも伝送性能が良好で、曲げ損失が小さく、湿熱環境下での伝送特性も良好なPOFケーブルであった。
〔比較例1、2〕
クラッドの最外層を、VdF/TFE/HFP共重合体(8/70/22(質量%)、屈折率1.34、メルトフローインデックス4)の共重合体とし、紡糸ヘッドの温度を250℃にした以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表2に示した。なお、得られたPOFのクラッドの最外層に使用した共重合体は、常温で白濁していた。
表2に示したように、比較例1及び2のPOFケーブルは、それぞれ、同程度の屈折率をもつ4元系共重合体をクラッドに用いたPOFケーブル(実施例6,7)と比較して、湿熱環境下での伝送特性は同程度であるが、半径10mm以下での曲げ損失が大きかった。また、クラッドを単層(厚み10μm)で設けた場合のPOF(比較例2)は初期伝送損失が著しく劣っていた。
〔実施例8、9〕
コア材にPMMAを用い、クラッド材に実施例4で用いた第2クラッド材を用いて単層構造のクラッド(厚み10μm)を形成し、このクラッドの外周に表3に示す通り被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの被覆層の引き抜き強度を測定し、その結果を表3に示した。
表3に示したように、実施例9のPOFケーブルは、被覆層としてクラッドの外周に変性ナイロン12を設けることにより、被覆層にナイロン12を用いた実施例8と比較して引き抜き強度が向上した。
〔実施例10〜12〕
コア材にPMMAを用い、クラッド材に実施例4で用いた第2クラッド材を用いて単層構造のクラッド(厚み10μm)を形成し、このクラッドの外周に厚み50μmの密着層を設けた後に、表3に示す通り被覆層を形成した以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの被覆層の引き抜き強度を測定し、その結果を表3に示した。
表3に示したように、クラッドの外周に密着層を設けた後に被覆層を設けることにより、密着層を設けず被覆層としてナイロン12を用いた実施例8に比較して引き抜き強度が向上した。
なお、実施例10の密着層には、無水マレイン酸を含有させたナイロン12を用い、実施例11の密着層には、VdF/TFE共重合体(80/20(質量%)とナイロン12との混合樹脂を用い、実施例12の密着層には、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン(DIC・バイエルポリマー社製、パンデックスT−9290)を用いた。
〔実施例13〜19〕
POFの構成を表4に示す通りとした以外は、実施例1と同様にしてPOFケーブルを作製した。得られたPOFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表5に示した。
得られたPOFケーブルは、いずれも伝送性能が良好で、曲げ損失が小さく、湿熱環境下での伝送特性も良好なPOFケーブルであった。
〔実施例20〕
コア材としてPMMA(屈折率1.492)、クラッド材としてVdF/TFE/HFP/パーフルオロトリフルオロメチルビニルエーテル(PFTFMVE:CF2=CFOCF3)の共重合体(20/63/11/6(質量%)、屈折率1.352、メルトフローインデックス17)を用いた。これらの重合体を溶融して、225℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合ノズルを用いて紡糸した後、140℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、図2に示すような、外径が1.0mm、島部の数が151個、各島部間の距離が2μmのMC−POFを得た。すなわち、この例ではクラッドが1層からなり、コア21が島、クラッド22が海部に相当する。
こうして得られたPOFを前記の方法により評価した。このPOFの伝送損失は入射NA0.1で測定したときは165dB/kmであり、入射NA0.65では265dB/kmであり、良好な伝送特性を示した。
上記のMC−POFに、T型ダイを用いて変性ナイロン12(EMS社製、Grilamide−L16A)を被覆して被覆層を形成して、直径1.5mmのPOFケーブルを得た。
得られたPOFケーブルの各種評価を行い、その結果を表7に示した。表7に示したように、得られたPOFケーブルは伝送性能が良好で、曲げ損失が小さく、湿熱環境下での伝送特性も良好なPOFケーブルであった。さらに、このPOFケーブルは、繰り返し屈曲が良好で、ピストニングが抑制され、POFと被覆層との密着も強く、自動車用途での使用に優れたPOFケーブルであった。
〔実施例21〕
コア材としてPMMA(屈折率1.492)、第1クラッド材として、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート(3FM)/2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート(17FM)/メタクリル酸メチル(MMA)/メタクリル酸(MAA)からなる共重合体(51/31/17/1(質量%)、メルトフローインデックス20、屈折率1.412、ガラス転移温度78.4℃)、第2クラッド材としてVdF/TFE/HFP/パーフルオロトリフルオロメチルビニルエーテル(PFTFMVE:CF2=CFOCF3)の共重合体(20/63/11/6(質量%)、屈折率1.352、メルトフローインデックス17)を用いた。これらの重合体を溶融して、225℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合ノズルを用いて紡糸した後、140℃の熱風加熱炉中で繊維軸方向に2倍に延伸し、図3に示すような、外径が1.0mm、島部の数が151個、第1クラッドの厚み5μm、各島部間の距離が2μmのMC−POFを得た。すなわち、この例ではクラッドが2層からなり、コア21と第1クラッド22が島部、第2クラッド23が海部に相当する。
次いで、このPOFに、実施例20と同様にして被覆層を設け、MC−POFケーブルを得た。
得られたPOFケーブルの各種評価を行い、その結果を表7に示した。得られたPOFケーブルは伝送性能が良好で、曲げ損失が小さく、湿熱環境下での伝送特性も良好なPOFケーブルであった。さらに、このPOFケーブルは、繰り返し屈曲が良好で、ピストニングが抑制され、POFと被覆層との密着も強く、自動車用途での使用に優れたPOFケーブルであった。
〔実施例22〕
コア材としてPMMA(屈折率1.492)、クラッド材として、VdF/TFE/HFP/パーフルオロトリフルオロメチルビニルエーテル(PFTFMVE:CF2=CFOCF3)の共重合体(20/63/11/6(質量%)、屈折率1.352、メルトフローインデックス17)、第2クラッド材に代えて保護層を形成する材料としてVdF/TFEの共重合体(80/20(質量%)、屈折率1.402、メルトフローインデックス30)、被覆層を形成する材料としてPA11を用いた以外は、実施例21と同様にして、図4に示すような、外径が1.0mm、島部の数が151個、クラッドの厚み5μm、各島部間の距離が2μmのMC−POFを得た。すなわち、この例ではクラッドが1層からなり、コア21とクラッド22が島部、保護層24が海部に相当する。
次いで、このPOFに、実施例20と同様にして被覆層を設け、MC−POFケーブルを得た。
得られたPOFケーブルの各種評価を行い、その結果を表7に示した。得られたPOFケーブルは伝送性能が良好で、曲げ損失が小さく、湿熱環境下での伝送特性も良好なPOFケーブルであった。さらに、このPOFケーブルは、繰り返し屈曲が良好で、ピストニングが抑制され、POFと被覆層との密着も強く、自動車用途での使用に優れたPOFケーブルであった。
〔実施例23〜26、比較例5〜8〕
MC−POFケーブルの構成を表6に示した通りとする以外は、実施例21、22と同様にしてMC−POFケーブルを作製した。なお、比較例6及び8は島部をコアのみから構成した。
得られたMC−POFケーブルの各種特性を評価し、その結果を表7に示した。比較例5〜6のMC−POFケーブルは、海部のクラッド材の共重合体が常温でも白濁しているため初期の伝送損失が大きく、かった。比較例7〜8のMC−POFケーブルは、VdF単位とTFE単位からなる二元共重合体を使用しているため、耐熱使用時の伝送損失の増加が顕著であった。
表1、表3、表4及び表6中の略号及び略称は下記の内容を示す。
VdF:フッ化ビニリデン(ビニリデンフルオライド)
TFE:テトラフルオロエチレン
HFP:ヘキサフルオロプロピレン
PFTFMVE:パーフルオロトリフオロメチルビニルエーテル(CF2=CFOCF3
PFPFEVE:パーフルオロペンタフオロエチルビニルエーテル(CF2=CFOCF2CF3
PFHFPVE:パーフルオロヘプタフオロプロピルビニルエーテル(CF2=CFOCF2CF2CF3
PFTMDMVE:パーフルオロトリフルオロメトキシジフルオロメチルビニルエーテル(CF2=CFOCF2OCF3
PFPFPVE:パーフルオロペンタフオロプロピルビニルエーテル(CF2=CFOCH2CF2CF3
PFEVE:パーフルオロエチルビニルエーテル(CF2=CFOCH2CH3
PFMHVE:パーフルオロメトキシヘキサフルオロプロピルビニルエーテル(CF2=CF−OCF2CF(CF3)O-CH3
PFTMHVE:パーフルオロトリフルオロメトキシヘキサフルオロプロピルビニルエーテル(CF2=CF−OCF2CF(CF3)O-CF3
PA12:ナイロン12(ダイセルヒュルス社製、ダイアミド−L1640)
変性PA12:変性ナイロン12(EMS社製、Grilamide−L16A)
TPU:ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン(DIC・バイエルポリマー社製、パンデックスT−9290)
MMA:メタクリル酸メチル
MAA:メタクリル酸
3FM:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート
4FM:2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート
5FM:2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート
17FM:2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート
Figure 2004163927
Figure 2004163927
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Figure 2004163927
Figure 2004163927
Figure 2004163927
Figure 2004163927
被覆層の引抜強度の測定方法を説明するための図である。 本発明のPOFの一実施形態の模式的断面図である。 本発明のPOFの他の実施形態の模式的断面図である。 本発明のPOFの他の実施形態の模式的断面図である。
符号の説明
4 被覆部分
5 剥離部分
8、7 チャック
10 POFケーブル
12 治具
13 保持室
14 突起
15 貫通孔
20 測定装置
21 コア
22 クラッド(第1クラッド)
23 第2クラッド
24 保護層

Claims (20)

  1. コアと、該コアの外周に形成された少なくとも1層以上からなるクラッドを有するプラスチック光ファイバであって、
    前記コアが、ポリメタクリル酸メチル、又は1種類以上のビニル系単量体とメタクリル酸メチルとの共重合体からなり、
    前記クラッドは、フッ化ビニリデン単位10〜30質量%と、テトラフルオロエチレン単位40〜80質量%と、下記一般式(I)
    CF2=CFRf1 (I)
    (式中、Rf1は炭素原子数が1〜8個のフルオロアルキル基)
    で表されるフルオロビニル化合物の単位5〜40質量%と、下記一般式(II)
    CF2=CF−(OCF2CF(CF3))aO-Rf2 (II)
    (式中、Rf2は炭素原子数が1〜8個のアルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシルアルキル基またはフルオロアルコキシルアルキル基を示し、aは0〜3の整数である。)
    で表されるフルオロビニル化合物の単位0.1〜15質量%を含む共重合体からなる層を少なくとも最外層に有することを特徴とするプラスチック光ファイバ。
  2. 前記コアを少なくとも含む芯繊維の複数本が一纏めにされていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック光ファイバ。
  3. 前記の各コアの直径が30μm以上150μm以下の範囲にあり、且つ前記芯繊維が7本以上500本未満であることを特徴とする請求項2に記載のプラスチック光ファイバ。
  4. 前記クラッドの最外層は、フッ化ビニリデン単位10〜30質量%と、テトラフルオロエチレン単位40〜69質量%と、一般式(I)で表されるフルオロビニル化合物の単位21〜40質量%と、一般式(II)で表されるフルオロビニル化合物の単位1〜15質量%を含む共重合体からなることを特徴とする請求項1、2又は3記載のプラスチック光ファイバ。
  5. 前記クラッドの最外層は、フッ化ビニリデン単位10〜30質量%と、テトラフルオロエチレン単位54〜80質量%と、一般式(I)で表されるフルオロビニル化合物の単位6〜16.9質量%と、一般式(II)で表されるフルオロビニル化合物の単位1〜15質量%を含む共重合体からなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のプラスチック光ファイバ。
  6. 前記一般式(II)で表されるフルオロビニル化合物の単位が、
    下記一般式(III)〜(VI)
    CF2=CFO(CF2n−OCF3 (III)
    (式中、nは1〜3の整数)
    CF2=CF(OCF2CF(CF3))nO(CF2mCF3 (IV)
    (式中、nは0〜3の整数、mは0〜3の整数)
    CF2=CFO(CH2n(CF2mCF3 (V)
    (式中、nは1〜3の整数、mは0〜3の整数)
    CF2=CFO(CH2nCH3 (VI)
    (式中、nは0〜3の整数)
    のいずれかで表わされる化合物の単位であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラスチック光ファイバ。
  7. 前記一般式(I)で表されるフルオロビニル化合物の単位が、ペンタフルオロプロピレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位、オクタフルオロブチレン単位から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバ。
  8. 前記クラッドの最外層が、ナトリウムD線による25℃での屈折率が1.325〜1.37の範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバ。
  9. 前記クラッドの最外層が、230℃、荷重5kg(49N)で測定したメルトフローインデックスが2〜100g/10分の範囲にある樹脂からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバ。
  10. 前記クラッドが、前記コアの外周に第1クラッド、第2クラッドの順で積層された2層構造を有し、
    ナトリウムD線による25℃での、コアの屈折率n1、第1クラッドの屈折率n2、第2クラッドの屈折率n3が、下記の関係式(1)
    1>n2>n3 (1)
    を満足することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバ。
  11. 前記第1クラッドが、下記一般式(VII)
    CH2=CX−COO(CH2m(CF2nY (VII)
    (式中、Xは水素原子またはメチル基、Yは水素原子またはフッ素原子を示し、mは1又は2、nは1〜12の整数を示す。)
    で表されるフルオロアルキル(メタ)クリレートの単位15〜90質量%と、他の共重合可能な単量体の単位10〜85質量%との共重合体からなり、ナトリウムD線による25℃での屈折率が1.39〜1.475の範囲にあることを特徴とする請求項10に記載のプラスチック光ファイバ。
  12. 前記クラッドの最外層の外周部に、フッ素原子の含有割合が59質量%以上であるフッ素系樹脂からなる保護層を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバ。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバの外周に、熱可塑性樹脂からなる少なくとも一層以上の被覆層を有することを特徴とするプラスチック光ファイバケーブル。
  14. 前記被覆層のうち少なくともその最内層が、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項13に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  15. 前記被覆層のうち少なくともその最内層が、ポリアミド系樹脂からなることを特徴とする請求項13に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  16. 前記被覆層のうち少なくともその最内層が、ポリアミド系樹脂100質量部に対して無水マレイン酸0.1〜5質量部を含有するポリアミド系樹脂組成物からなることを特徴とする請求項13に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  17. 前記被覆層のうち少なくともその最内層が、末端アミノ基の含有量が30〜300μeq/gの範囲にあるポリアミド系樹脂組成物からなることを特徴とする請求項13に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  18. 前記被覆層のうち少なくともその最内層が、ナイロン11、ナイロン12又はこれらの共重合体を主成分とする樹脂からなることを特徴とする請求項13に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  19. 前記被覆層のうち少なくともその最内層が、フッ化ビニリデン単位を含む重合体とポリアミド系樹脂との混合樹脂からなることを特徴とする請求項13に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
  20. プラスチック光ファイバと前記被覆層との間の引抜強度が20N以上であることを特徴とする請求項13〜19のいずれか一項に記載のプラスチック光ファイバケーブル。
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