JP5073272B2 - ミシン - Google Patents

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    • D05B65/06Devices for severing the needle or lower thread and for disposing of the severed thread end ; Catching or wiping devices for the severed thread

Description

本発明は、上糸の縫い開始端部を保持する上糸保持装置を備えるミシンに関する。
従来のミシンには、縫い針に挿通された上糸の縫い開始端部を布地の裏側で保持されて第一針目から縫い目が適正に形成されるように、針板の下側で上糸の縫い開始端部を保持する上糸保持装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
かかるミシンでは、縫いが開始されると、第一針目の縫い針から釜の剣先が上糸を捕捉してその縫い開始端部を針板の下側に引き出すと共に、当該縫い開始端部を上糸保持装置の糸保持具が保持し、当該糸保持具は後方(立胴部側)に移動して待機する。そして、数針の針落ちにより縫い目が安定すると、縫い開始端部を解放する。これにより、布地の裏側から上糸の縫い開始端部が抜けることが防止され、第一針目から適正に縫い目を形成することを可能としている。
特開2000−279666号公報
ところで、多くのミシンには、縫い終了時に針板の針穴と釜機構との間を渡る上糸及び下糸を切断するために、針板の下側で針上下動経路を薙ぐように動メスが回動する糸切り機構が設けられており、上述の上糸保持装置と糸切り機構とを備えるミシンをボタン縫着に適用すると以下のような問題が生じていた。
二つ穴ボタンの縫着の際には、二つの穴に交互に複数回の針落ちを行い、最終針の針落ち完了後、糸切り機構により針板と釜との間に渡っている上糸及び下糸の切断が行われる。また、四つ穴ボタンの場合には、二つの穴ごとに縫いと糸切りを行うか、二つの穴について縫いを行ってから他の二つの穴に縫いを行って、その後に糸切りが行われる。その際、上糸保持装置により保持されていた上糸の縫い開始端部は、縫い開始から数針後には解放されて垂れ下がった状態となることから、二つの穴の間に形成される下糸の縫い目に何度も巻き込まれて細かいループが絡み合ったような状態となる、いわゆる「鳥の巣」状態が発生するか、下糸に絡むことなく糸保持具によって引き出された長さだけ垂れ下がったままの状態で縫いが終わり、いずれの場合も縫い品質の低下を招いていた。
なお、ボタン付けではなく、一定方向にジグザグ縫いを行うボタン穴かがり縫製を行う場合には、ジグザグの縫い目が上糸保持装置から解放された縫い開始端部を縫い込んでしまうため、布地の裏面上に長く垂れ下がったり、鳥の巣を発生することはなかった。つまり、上記問題は、第一針目と第二針目の短い針落ち間隔を何度も繰り返し針落ちを行うボタン付けに固有の問題であった。
本発明は、主として、ボタン縫着において縫い品質の向上を図ることをその目的とする。
請求項1記載の発明は、針板の下側において上糸の縫い開始端部の挟持と解放とを切り替え可能な上糸保持装置と、前記針板の針穴の下方で上糸を捕捉して下糸を絡める釜機構と、前記針板の針穴と前記釜機構との間を渡る上糸及び下糸を切断する糸切り機構とを備え、前記上糸保持装置は、縫い針の通過線上となる針下位置と当該針下位置から離間した待機位置との間を前記針板の下面に沿って移動可能であって、前記針下位置では前記上糸を解放状態とし、前記針下位置と前記待機位置との間に位置する中間位置から前記待機位置までの間では前記上糸を挟んで挟持した状態となる糸保持具を備え、縫い開始の一針目の針落ち時には前記糸保持具を針下位置とし、二針目の針落ち以降は、前記糸保持具は待機位置に位置し、最終針の針落ち後に前記糸保持具を前記待機位置から前記中間位置に移動してから糸切り機構を作動させて前記上糸の縫い開始端部の切断を行う動作制御手段を備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記動作制御手段は、前記最終針の針落ち完了後、前記糸保持具を待機位置に維持したまま前記糸切り機構を作動させて前記針板の針穴と前記釜機構との間を渡る上糸及び下糸を切断し、その後、前記糸保持具を前記中間位置に移動させて前記上糸の縫い開始端部の切断を行うことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記動作制御手段は、前記最終針の針落ち完了後、前記糸切り機構の一回の作動により前記針板の針穴と前記釜機構との間を渡る上糸及び下糸と前記上糸の縫い開始端部の切断を行うことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、ボタン縫着が行われる被縫製物を移動して前記縫い針を所定位置に針落ちさせる被縫製物の移動機構を備え、前記動作制御手段は、第一針の針落ち位置と最終針の針落ち位置とが一致しない場合には、前記最終針の針落ち後、前記糸保持具を前記中間位置に移動させる前に、前記被縫製物を前記縫い針に対して前記第一針の針落ち位置に位置合わせするように前記移動機構を制御することを特徴とする。
請求項1記載の発明は、最終針まで縫い開始端部が上糸保持装置に保持されるため、途中で解放される場合のように下糸の縫い目に巻き込まれて鳥の巣状態の発生が効果的に低減される。
そして、最終針の針落ち後に糸保持具を前記待機位置から針下位置側に向かって所定距離だけ移動してから糸切り機構を作動させるので、針穴から糸保持具に向かって延びていた状態の上糸はたるみを生じ、針穴下方で幾分垂れ下がった状態となるため、糸切り機構は、針穴と釜の間を渡る糸を切断する場合と同様に縫い開始端部を切断することが可能となる。また、このとき上糸保持装置では上糸の縫い開始端部を解放していないので、フリーな状態で垂れ下がった糸を切断する場合と異なり、糸切り機構は良好に切断を行うことが可能となる。
これにより、縫製後の被縫製物において残り糸を短くすることができ、縫い品質の向上を図ることが可能となる。また、縫製後の残り糸の後処理を不要とすることができ、生産性を向上させることが可能となる。さらに、残り糸の切断専用の糸切りを不要とし、縫製作業におけるコスト低減を図ることが可能となる。
請求項2記載の発明は、最終針の針落ち完了後に、釜機構との間を渡る上糸及び下糸が切断されてから上糸の縫い開始端部の切断が行われるので、まとめて切断が行われる場合に比べて糸切り装置への負担を低減すると共により確実に切断を行うことができる。
請求項3記載の発明は、最終針の針落ち完了後に、上糸の縫い開始端部と釜機構との間を渡る上糸及び下糸が同時に切断されるので、各糸の切断作業時間の短縮化を図ることが可能となる。
請求項4記載の発明は、動作制御手段が、第一針の針落ち位置と最終針の針落ち位置とが一致しない場合に、第一針の針落ち位置を縫い針に位置合わせしてから糸保持具を中間位置に移動させるため、上糸の縫い開始端部の被縫製物側の根本となる位置を針板の針穴に近づけることが可能となる。このため、糸保持具を中間位置に移動させたときに、より上糸の縫い開始端部を弛ませることができ、糸切り機構により上糸の縫い開始端部の切断をより確実に行うことが可能となる。また、切断後に被縫製物側に残る上糸の縫い開始端部をより短くすることが可能となる。
(ミシンの全体的な概略構成)
以下、図1乃至図19に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。本実施形態たるミシン100は、図示しないメモリに記憶されている所定の縫製パターンに従ってボタン及び布地を縫い針に対して相対的に移動して、ボタンの各穴に設定回数分の針落ちを実現するものである。
図1は本発明の実施形態であるミシン100の概要を示す全体図である。かかるミシン100は、その外形的な概略が、その下部に位置するミシンベッド101と、ミシンベッド101の一端部から上方に立ち上げられたミシン立胴部102と、ミシン立胴部102の上方からミシンベッド101に沿うように延設されたミシンアーム103とから構成されている。なお、ミシン100は、上記ミシンベッド101の先端部が略筒状に形成されると共に後述するX軸方向の幅が他の部位よりも狭く設定されたいわゆるシリンダベッドミシンに相当するものである。
なお、ミシン100の構成を説明するにあたって、後述する縫い針104の上下動方向をZ軸方向とし、これと直交する方向であってミシンベッド101及びミシンアーム103の長手方向をY軸方向とし、Z軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向をX軸方向とする。また、ミシン100を水平面上に設置した場合に、Z軸方向における+側が上,−側が下となり、X軸方向における+側を右,−側を左、Y軸方向における+側を前,−側を後と表現する。
ミシン100は、ミシンアーム103の先端部に設けられ,ミシンモータ105により上下方向に往復駆動する縫い針104と、ミシンアーム103の上部に設けられ,縫い針104に上糸を供給するための図示しない上糸供給源と、この上糸供給源と縫い針104との間で上糸を所定の荷重で挟持してその送り方向の移動に抵抗力を発生させる糸調子装置106と、この糸調子装置106と縫い針104との間で所定のタイミングで天秤107により上糸の引き上げを行う天秤装置と、ミシンベッド101の上面に設けられ,縫い針104の先端部を挿通させる針穴108aが設けられた針板108と、ミシンベッド101内であって針板108の下方に設けられ,下降した縫い針104から上糸ループをすくい取ると共に当該ループに下糸を挿通させる釜機構120と、針板108と釜機構120の間において縫い針104の第一針目の上昇時に上糸端部の保持を行う上糸保持装置10と、ミシンベッド101内に設けられ,縫製後に針板108の針穴108aと釜機構120との間を渡る上糸及び下糸を切断する糸切り機構130と、布地とボタンを保持して縫い針に対する移動動作を付与する布保持機構140と、布地の上方で切断された上糸を払う図示しない糸払い機構と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段80とを備えている。
上記縫い針104はその先端部(下端部)近傍に糸通し穴が形成されており、この糸通し穴に上糸が挿通される。また、縫い針104は針棒104aの下端部に支持されており、この針棒104aは、図示しないクランク機構によりミシンモータ105からの回転駆動力が上下往復駆動力に変換されて付与され、所定周期で往復上下動を行う。ミシンモータ105にはその回転角度量を検出するためのエンコーダ109(図18参照)が併設されており、縫い針104が上死点位置にある時を0°として現在のミシンモータ105の出力軸が0〜360°のいずれの角度位置にあるかを動作制御手段80に出力する。
天秤107は、上糸挿通穴(図示略)が設けられ、上糸が挿通された状態で上下動を行うことにより、その上昇時に縫い針104に挿通された上糸の引き上げを行う。また、天秤装置は、天秤107を縫い針104と同じ周期で上下動させるが、天秤107が上死点隣タイミングは、縫い針の上死点よりも幾分遅れるように設定されている。
糸調子装置106は、上糸を挟持する糸調子皿とその挟持のための推力を変化させることで糸張力を制御する糸張力ソレノイド86(図18参照)とを備えている。かかる糸張力ソレノイド86は動作制御手段80によりその推力の制御が行われるようになっている。
(釜機構)
図3に示すように、釜機構120は、往復半回転を行い,回転周方向に沿って突出した剣先121により上糸のループを捕捉する中釜122と、中釜122を回転自在に支持する大釜123と、大釜123の上部に設けられた上糸ガイド板124と、ミシン立胴部側から大釜123に向かってミシンベッド長手方向に平行に延びて図示しないドライバーを介して中釜122に往復半回転駆動力を付与する釜軸125とを有している。
上記中釜122は、半回転を繰り返し行えるようにその外周渡ってレール状の突出構造部126が形成され、当該突出構造部126の両側には釜123の支持溝123aと摺接するレース面127,128が形成されている。また、剣先121は上記レール状の突出構造部126の周方向の端部に形成されており、中釜122の一方の半回転動作により、上糸ガイド板124のガイド穴から侵入した縫い針104の糸通し穴のすぐ脇を通過することで上糸のループをすくい取る。このため、剣先122は、その先端部が、中釜122の回転中心線に沿った一方の方向Lに偏った形状に形成されると共に、剣先121及び突出構造部126は、縫い針104の上下動経路Nに対して回転中心線に沿った他方の方向R側に配置される。
また、釜軸125は、中釜122に対してR側に位置しており(以下、方向R側を釜軸側とする)、直接,中釜122に連結されてはいないが、中釜122に併設されて共に往復半回動を行うドライバを介して中釜122に往復半回転の駆動力を伝達する。
かかる釜機構120の釜軸125はY軸方向に平行に配設されており、中釜121に対してY軸方向−側(後方)に位置すると共にかかる方向から往復半回転駆動力の付与を行う。また、釜軸125は、ミシンモータ105から分岐された駆動力が往復回動に変換されて伝達される構成であり、縫い針104の上下往復動作と中釜122の往復半回動動作とについて所定位相差で同期が図られている。
上糸ガイド板124は、上糸の中釜122のレース面127及び128に対する接触や巻き込みを防止するための板状の部材で、図3の上方(矢印U方向)から見ると図2に示すような形状のガイド穴124aが設けられ、ガイド穴124aの右側略中央部には、中釜122の剣先121によってすくい取られた上糸ループを広げるための糸分け部124bが設けられている。図3に示すように、矢印S方向に回転する剣先121によってすくい取られた上糸ループは、この糸わけ部124bによって剣先121を境に縫い針側の糸NFと布側の糸NBとに前後に大きく分離され、中釜122の両レース面127,128に対する接触や巻き込みが防止される。
(布保持機構)
布保持機構140は、ステッピングモータであるX軸モータ83とY軸モータ84とによりミシンベッド101の上面においてにX軸方向とY軸方向とに任意に移動位置決め可能な布送り台141と、布送り台141の前端部において昇降可能に装備された布保持部材142と、ステッピングモータである作動モータ82に設けられたカム143により揺動する第一揺動腕144と、第一揺動腕144の揺動により前後移動を行う伝達桿145と、伝達桿145の前後移動により揺動を行うL字状の第二揺動腕146と、第二揺動腕146により上下動動作を付与される昇降体147と、布送り台141によりその両端部が揺動可能に支持された揺動桿148とを備えている。
布送り台141は、周知の構造によりミシンベッド101の上部においてX−Y平面に沿って任意に移動可能に取り付けられている。また、布送り台141は、周知の動力伝達構造によりX軸モータ83及びY軸モータ84の回転駆動力がX軸方向とY軸方向への移動力に変換されて伝達されるようになっている。
つまり、布保持機構140及びX軸モータ83及びY軸モータ84は、被縫製物である布地とボタンを保持して、これらを縫い針に対して任意に移動位置決めし、所定の針落ち位置に針落ちを行われる移動機構として機能する。
布保持部材142は、針板108の上方に配置され、布地の上にボタンを重ねた状態で保持することが可能であり、下降時にそれらの保持状態となり、上昇時に保持状態を解除する。
かかる布保持部材142は布送り台141に昇降可能に支持されつつ、揺動桿148の一端部に連結されており、当該揺動桿148の一端部が揺動により上下動することで布保持部材142も昇降するようになっている。
揺動桿148は、その他端部が図示しない引っ張りバネにより上方に張力を付与されており、かかる張力により布保持部材142は常時下方に押圧されている。そして、揺動桿148の他端部近傍には昇降体147の下端部により下方に押圧力が付与される当接部148aが設けられている。
昇降体147は、その長手方向が上下方向に沿うように配置されており、当該長手方向に沿って昇降を行う。昇降体147の上端部は第二揺動腕146に連結され、下端部近傍は昇降体147の姿勢を安定化させる動作規制リンク体149に連結されている。そして、第二揺動腕146の連結端部が上下に揺動を行うことから昇降体146に上下動が付与されるようになっている。
第二揺動腕146は、前述したように略L字状であって、その屈曲部にてミシンフレームにより回動可能に支持されている。そして、第二揺動腕46の下端部が伝達桿145に連結されて前後に揺動動作が付与され、上端部側で昇降体146に上下動を付与する。
伝達桿145は、その後端部が第一揺動腕144の一端部に連結され、第一揺動腕144の他端部はカム143に係合している。
カム143は、作動モータ82により回転駆動される外周カムであって、第一揺動腕144の他端部はカム143の外周と当接し、当該外周形状に応じて第一揺動腕144が揺動を行うようになっている。
上記布保持機構140は、作動モータ82の回転駆動により、モータ出力軸が所定角度の時に布保持部材142が上昇するように設定されている。つまり、作動モータ82の回転角度制御により布地及びボタンの保持と解除とが行われる。
また、ボタン縫着においては、ボタンの糸通し穴の個数や配置、穴の間隔、糸が渡る順番、途中の糸切りの有無等に応じて一連の縫着動作を実行するための複数種類の縫製データが動作制御手段80に記憶されている。そして、縫製データの一つが選択されてボタン縫着が実行され、その際、布保持機構140は、ボタンの各糸通し穴に所定の順番で所定回数だけ針落ちが行われるように、各針ごとにX軸モータ83とY軸モータ84とが縫製データに定められた駆動量で駆動され、布送り台141及び布保持部材142の移動位置決めが行われる。
また、図示しない糸払い機構は、第二揺動腕146から複数のリンク体を介して動力を得て往復回動を行う糸払い部材を備えている。かかる糸払い部材は、その先端部が針上位置にある縫い針の下端部と針板との間を通過するようにミシン面部側に設けられている。そして、針板108の針穴108aから釜機構120の間を渡る上糸の切断が行われた後に糸払い部材が回動を行うことにより、切断された上糸の端部を布地の上方に引き出すことができる。
(糸切り機構)
図4は糸切り機構130の要部平面図、図5はその動作説明図である。図1,4,5に示すように、糸切り機構130は、作動モータ82に設けられたカム131により揺動する第一揺動腕132と、第一揺動腕132の揺動により前後移動を行う伝達桿133と、伝達桿133の前後移動により揺動を行う第二揺動腕134と、針板108の下面に固定装備された固定メス135と、固定メス135の刃先に摺接しながら往復回動を行う動メス136と、動メス136と第二揺動腕134とを連結するリンク体137とを備えている。
カム131は、作動モータ82により回転駆動される溝カムであって、第一揺動腕132の上端部はカム131の周溝に沿って移動する図示しないコロを介してカム131と連結されている。従って、第一揺動腕132は、カム131の溝形状に応じて揺動を行うようになっている。
第一揺動腕132は、その中間部でミシンフレームに回動可能に軸支されており、おおむねZ軸方向に沿うように配設されている。そして、その上端部は前述したようにカム131に連結されており、下端部は伝達桿133の後端部に連結されている。これにより、第一揺動腕132の上端部がカム131により揺動せしめられると、伝達桿133に対して前後方向の往復動作の付与が行われる。
第二揺動腕134は、その長手方向中間部で針板108の下面に回動可能に軸支されており、その一端部は伝達桿133の前端部と連結されている。また、第二揺動腕134の他端部はリンク体137を介して動メス136と連結されており、作動モータ82は、第一揺動腕132と伝達桿133と第二揺動腕134とリンク体137を経て最終的に動メス136の往復回動を付与することとなる。
動メス136は、針板108の下面に回動可能に軸支されており、当該動メス136の上面を固定メス137の下面に摺接させながら往復回動動作を行う。動メス136は、非切断時には、図4の二点鎖線及び図5(a)に示す待機位置で待避しており、切断時には図4の実線及び図5(b)に示す前進位置まで前進した後に待機位置まで戻る往復回動を行う。
ところで、前述したように上糸は中釜122の剣先121に捕捉されて上糸ループを形成し、上糸ガイド板124の糸分け部124bにより、上糸は剣先121を境に縫い針側の糸NFと布側の糸NBとに分けられる。かかる状態において、動メス136は上糸の切断を行うが、その際、上糸の縫い針側の糸NFと布側の糸NBの両方を切断すると上糸が二カ所で切断されることとなるので、これに回避するために、布側の糸NBのみを選り分けて切断を行う。かかる選り分けを行うために、動メス136には、前進縁部側に尖出した分離突起136aが形成されている。
分離突起136aは、動メス136の前進回動の際に、糸分け部124bにより分けられた上糸の縫い針側の糸NFと布側の糸NBとの間を通過するように位置設定されており、動メス136が前進回動を行うと、回動半径外側となる布側の糸NBのみが動メス136の回動半径方向外側に流れて動メス136の後退縁部側に設けられた糸捕捉部136bに回り込む(図5(b)参照)。
また、動メス136の上面には当該上面よりも段差を生じた刃部136cが形成されており、動メス136の後退回動により糸捕捉部136bの布側の糸NBは刃部136cと固定メス135の先端部に挟まれて切断が行われる(図5(c)参照)。
以上のように、作動モータ82は、カム143及びカム131を通じて、布押さえの昇降と糸払いの作動と糸切り機構130の作動とを実行させることができる。そして、これら各動作は、作動モータ82の一回転(0〜360°)の中のそれぞれ重複しない角度範囲で実行されるように各カム形状及びその取り付け角度が調整されている。また、作動モータ82の所定方向の回転により、「布保持部材下降」、「一回目の動メス前進」、「一回目の動メス後退」、「糸払い部材の往復回動」、「二回目の動メス前進」、「二回目の動メス後退」、「布保持部材上昇」がこの順番で実行されるようにカム143及びカム131のカム形状が設定され、作動モータ82に取り付けられている。
(上糸保持装置)
上記上糸保持装置10は、上糸の縫い始めの端部(縫い開始端部)が布地から抜脱することを防止するために、縫い始めに縫い針104に挿通されている上糸の縫い開始端部を針板108の針穴108aのすぐ下方で挟持し、挟持した上糸の端部を縫い針104の上下動経路から後方に向かって離れた位置に移動させるものである。
上糸保持装置10は、上糸の縫い開始端部を保持する保持部21と,当該保持部21に対して接離方向に相対的に移動して保持部21との間で上糸の縫い開始端部を挟持又は解放する挟持部31とを備える糸保持具20と、糸保持具20を、縫い針104の上下動経路N(図8参照)上に位置する針下位置から、縫い針104の上下動経路N(Z軸方向に平行であって,上死点における縫い針104の先端位置から下死点における縫い針104の先端位置を結ぶ経路)に対して後方(ミシン立胴部102側)に離間した待機位置までの間を移動させる移動手段40と、糸保持具20が針下位置に位置するときに糸保持具20を解放状態とし、針下位置と待機位置との間で糸保持具20を解放状態から挟持状態に切り替える関連動作手段60とを備えている。以下、各部を詳細に説明する。
(上糸保持装置の糸保持具)
図6は上糸保持装置10の主要な全体構成を示す斜視図、図7はその分解斜視図である。
これらに示されるように、糸保持具20は、保持部21を備える保持部材22と、挟持部31を備える挟持部材32とを有している。これらの各部材22,32は、いずれもその全体形状が長尺板状であり、これらは挟持部材32を上として重ね合わされ、いずれもその長手方向をY軸方向に平行に向けられた状態で当該Y軸方向(前後方向)に沿って双方が滑動可能に関連動作手段60に支持される。以下、糸保持具20の各部の説明において方向を示す言葉が使用される場合には、特にことわりがない限り、糸保持具20が関連動作手段60に支持された状態における方向を示しているものとする。
保持部材22は、前側と後側となる各端部にそれぞれ前後方向に沿って長方形状の貫通穴23,24が形成され、前側の貫通穴23の内面であって最も前端に位置し且つY軸+方向に対向する面を含む部位が保持部21となっている。また、この前側の貫通穴23は挟持部材32の挟持部31の前後方向移動を案内するガイド穴としても機能する。
保持部材22の後側の貫通穴24は、後述する関連動作手段60の引っ張りバネ62が配置され、その伸縮を行う動作領域を形成する。かかる後側の貫通穴24の前端部に引っ張りバネ62の一端部が連結される。
また、保持部材22のY軸方向中間部やや後寄りの位置にはX軸−方向に向かって延設されたブラケット部25が設けられ、その先端部には下方に向かって延出された丸棒状の係合ピン26が固定装備されている。保持部材22は、かかる係合ピン26を介して関連動作手段60による前後方向の移動力が入力される。
挟持部材32は、前側部33と後側部34とに二分割されており、これらが連結体35により連結されることで一体の略長尺板形状を形成する。前側部33の前端部には挟持部31が設けられており、かかる挟持部31は、保持部21に対して接離及び当接可能な平面部30と当該当接時に保持部21の下方を通過して保持部材22の先端面より前方に突出する屈曲部36とを有している。
従って、保持部材22と挟持部材32との相対的な最接近動作により保持部材22の前側貫通穴23に上方から挿通された上糸を、保持部21と挟持部31の平面部30とにより挟持することが可能である。また、挟持された上糸は、平面部30の下端部から前方に向かって延設された屈曲部36により、前方に向かって折り曲げられ、上糸を前方から下方にしなる状態とすることができる。これにより、上糸端部は、屈曲部36により、より前方に位置した状態で垂れ下がることとなるので、その下方に位置する釜機構120の中釜122よりも前方にずらされて、当該中釜122への接触や巻き込みを防止することができる。
後側部34は、前後方向に沿って貫通穴37が形成され、挟持部材32と保持部材22とが重ね合わされた状態で関連動作手段60に支持された場合に、貫通穴37は前述した保持部材22の後側貫通穴24と重合し、これらの内側に関連動作手段60の引っ張りバネ62が配置され、その伸縮を行う動作領域を形成する。かかる貫通穴37の後端部に引っ張りバネ62の他端部が連結される。従って、挟持部材32は保持部材22と引っ張りバネ62を介して連結された状態となり、保持部材22の保持部21と挟持部材32の挟持部31とは常時互いに接近し当接する方向に弾性力が付与されることとなる。
また、挟持部材32のY軸方向中間部にはX軸+方向に向かって延設されたブラケット部38が設けられ、その先端部には下方に向かって延出された丸棒状の係合ピン39が固定装備されている。挟持部材32は、かかる係合ピン39を介して関連動作手段60による前後方向の移動力が入力される。
(上糸保持装置の移動手段)
移動手段40について図6〜14に基づいて説明する。
移動手段40は、糸保持具20を針下位置と糸屈曲位置と待機位置と糸弛み位置(中間位置)とに移動位置決めする。
糸保持具20は、後述する関連動作手段60の構造により、移動手段40によって前後方向に移動されると、当該移動方向における各位置に応じて、保持部材22の保持部21と挟持部材32の平面部30の開閉状態が変化する。
ここで、針下位置とは、保持部材22の保持部21と挟持部材32の平面部30とが完全に開口し、糸保持具20の先端が縫い針の上下動経路Nの下方となる位置をいう。
糸屈曲位置とは、針下位置よりも後方であって、保持部材22の保持部21と挟持部材32の平面部30とが完全に閉じる手前の状態とする位置をいう。
待機位置とは、保持部材22の保持部21と挟持部材32の平面部30とが完全に閉じた状態となり、上記四位置の中で最も後方となる位置をいう。
糸弛み位置とは、保持部材22の保持部21と挟持部材32の平面部30とが完全に閉じた状態を維持し、糸屈曲位置と待機位置との間となる位置をいう。
移動手段40は、関連動作手段60に支持された糸保持具20をY軸方向に沿って往復駆動するY軸移動機構41と、糸保持具20が針下位置、待機位置等の各位置にあるか否かを検出する移動位置検出手段46とを備え、動作制御手段80により、移動位置検出手段46の検出に基づいてY軸移動機構41の動作制御が行われる。
Y軸移動機構41は、図7に示すように、回転駆動力を出力する糸掴み用モータ42と、糸掴み用モータ42の出力軸に自らの揺動中心位置が連結された主動リンク体43と、関連動作手段60の相対位置調節リンク63にY軸方向の移動力を付与する従動リンク体44と、主動リンク体43から従動リンク体44へ駆動力を伝達する伝達リンク体45とを備えている。
上記糸掴みモータ42は、ステッピングモータであり動作制御手段80の動作制御により正負方向について任意の回転角度量で駆動される。
主動リンク体43は、その一端部が糸掴みモータ42の出力軸に固定連結され、その他端部が伝達リンク体45の一端部に回動可能に連結されている。
従動リンク体44は、その一端部が関連動作手段60の後述するガイド板61に軸支され、その他端部が伝達リンク体45の他端部に回動可能に連結されている。また、略くの字形の従動リンク体44には関連動作手段60の相対位置調節リンク63にY軸方向に沿った移動力を付与するための係合突起52が設けられている。
伝達リンク体45は、ほぼY軸方向に沿うように配設され、糸掴みモータ42の駆動による主動リンク体43の揺動と共に従動リンク体44を揺動させる。
これらの構成により、糸掴みモータ42が駆動すると主動リンク体43の揺動と共に従動リンク体44が揺動し、係合突起52を介して関連動作手段60の相対位置調節リンク63がY軸方向に沿って移動を行う。
移動位置検出手段46について図8〜14を参照して説明する。なお、図6,7では移動位置検出手段46は図示を省略している。
かかる移動位置検出手段46は、発光素子と受光素子とを有しこれらの間の遮蔽物の存在の有無を検出する第一及び第二の状態センサ47,48と、前述したY軸移動機構41の伝達リンク体45に設けられ、第一〜三の遮蔽領域51a,51b,51cを有する遮蔽板51とを備えている。これら第一〜三の遮蔽領域51a,51b,51cは遮蔽板51の前端部から後方に向かって順番に形成されている。
上記第一及び第二の状態センサ47,48は、遮蔽板51の移動線上に沿って並んで配置されると共に第一の状態センサ47が後側に配置される。これにより、各状態センサ47,48はほぼY軸方向に沿って並んだ状態となる。各状態センサ47,48の受光素子は、遮蔽物有りの状態をON状態とし、遮蔽物なしの状態をOFF状態とし、各状態が識別可能な信号を動作制御手段80に出力する。
一方、遮蔽板51は、第一及び第二の状態センサ47,48の双方に対して発光素子−受光素子間を通過するように伝達リンク体45に固定支持されており、第一〜第三の遮蔽領域51a,51b,51cが形成されている。
そして、図8に示すように、糸保持具20が針下位置にあるときには、第一〜第三の遮蔽領域51a,51b,51cはいずれのセンサ47,48も遮蔽しない配置となっている。つまり、伝達リンク体45及び係合突起52を前進させたときに、第一の状態センサ47がOFF状態(非遮蔽状態)、第二の状態センサ48もOFF状態となった時に針下位置であることを検出することができる。
また、図10に示すように、糸保持具20が糸屈曲位置にあるときには、第一の遮蔽領域51aはいずれのセンサ47,48も遮蔽せず、第二の遮蔽領域51bが第一の状態センサ48を遮蔽し、第三の遮蔽領域51cが第一のセンサ47を遮蔽する配置となっている。つまり、針下位置から伝達リンク体45及び係合突起52を後退させたときに、第一の状態センサ47がON状態(遮蔽状態)、第二の状態センサ48もON状態となった時に糸屈曲位置であることを検出することができる。
また、図12に示すように、糸保持具20が待機位置にあるときには、第一の遮蔽領域51aは第二のセンサ48を遮蔽し、第二の遮蔽領域51bはいずれのセンサ47,48も遮蔽せず、第三の遮蔽領域51cもいずれのセンサ47,48も遮蔽しない配置となっている。つまり、糸屈曲位置から伝達リンク体45及び係合突起52を後退させたときに、第一の状態センサ47がOFF状態、第二の状態センサ48がON状態となった時に待機位置であることを検出することができる。
また、図14に示すように、糸保持具20が糸弛み位置にあるときには、第一の遮蔽領域51aはいずれのセンサ47,48も遮蔽せず、、第二の遮蔽領域51bもいずれのセンサ47,48も遮蔽せず、第三の遮蔽領域51cは第一のセンサ47を遮蔽する配置となっている。つまり、待機位置から伝達リンク体45及び係合突起52を前進させたときに、第一の状態センサ47がON状態、第二の状態センサ48がOFF状態となった時に糸弛み位置であることを検出することができる。
ここで、動作制御手段80によりY軸移動機構41に対して行われる制御について説明する。動作制御手段80は、予め、糸保持具20を針下位置から待機位置の間で移動させるための糸掴みモータ42の回転角度量及び待機位置から糸弛み位置へ移動させる回転角度量も記憶しており、糸保持具20を各位置に位置決めする際には記憶角度位置をも参照して糸掴みモータ42の動作制御を行う。
なお、針下位置については、動作制御手段80が、ミシン100の主電源投入時に移動位置検出手段46を利用して初期位置制御部としての制御を行い、糸掴みモータ42を駆動して針下位置を検索し、その位置で待機する。
また、縫製開始後の第一針目においてミシンモータ105のエンコーダ109により、縫い針104が布地から上方に抜けたことを認識して糸保持具20を糸屈曲位置に位置決めする上糸保持制御部としての制御を行う。かかる糸屈曲位置では、保持部材22の保持部21と挟持部材32の平面部30と間に若干の隙間を生じた状態なので、天秤107の引き上げ力により上糸の縫い開始端部は保持部材22の保持部21と挟持部材32の平面部30との間で摺動抵抗を生じつつ縫い針14側に摺動し、上糸の縫い開始端部の保持長さを低減することができる。
そして、第二針目においてミシンモータ105のエンコーダ109により縫い針104が布地から上方に抜けたことを検出すると、糸保持具20を待機位置に位置決めする制御を行う。これにより、保持部材22の保持部21と挟持部材32の平面部30とが閉じられた状態となり、これ以降天秤107の張力を受けても上糸の縫い開始端部は摺動することなく挟持される
そして、最終針の針落ち後、針穴108aから中釜122に渡る上糸と下糸とが切断され、糸払いが行われると、糸保持具20を糸弛み位置に位置決めする制御を行う。待機位置に対して糸弛み位置は針穴108aに近い位置にあるので、かかる移動により上糸の縫い開始端部は糸保持具20と針穴108aの間で弛みを生じ、上糸の縫い開始端部を糸切り機構130の動メス136の回動範囲内に侵入させることができ、動メス136の回動により上糸の縫い開始端部の切断を行うことが可能となる。なお、糸弛み位置における上糸の縫い開始端部と動メス136の配置に関する詳細な説明は後述することとする。
(上糸保持装置の関連動作手段)
関連動作手段60について図6乃至図16に基づいて説明する。
関連動作手段60は、挟持部材32と保持部材22とをそれぞれY軸方向に沿って往復可能に支持するガイド手段としてのガイド板61と、挟持部31と保持部21とが互いに接近する方向に挟持部材32と保持部材22との間に常時張力を付与する張力付勢手段としての引っ張りバネ62と、自らの揺動による姿勢変化に応じて挟持部31と保持部21とを接離させることを可能として挟持部材32と保持部材22のそれぞれに係合すると共に,移動手段40による糸保持具20の各移動位置への移動力が入力される相対位置調節リンク体63と、糸保持具20を糸弛み位置から針下位置に移動させると,相対位置調節リンク体63に当接して挟持部31と保持部21とを離間させる方向に揺動せしめる第一の当接部材64と、糸保持具20を糸弛み位置から待機位置に移動させると,相対位置調節リンク体63に摺接して挟持部31と保持部21とが密接した状態を維持するように相対位置調節リンク体63の傾きを一定に維持したまま後方へ移動可能とする第二の当接部材65と、を有している。
上記ガイド板61は、ミシンベッド103の上部であって針板108の後方に固定装備されている。以下、関連動作手段60の各部の説明において方向を示す言葉が使用される場合には、特にことわりがない限り、ガイド板61がミシンベッド103に固定装備された状態における方向を示しているものとする。
ガイド板61の上面にはそのX軸方向における中間位置にY軸方向に沿ったガイド溝66が設けられている。かかるガイド溝66には、糸保持具20の保持部材22及び挟持部材32が長手方向を揃えて重ね合わされた状態で格納され、さらにその上からは押さえ板67が保持部材22及び挟持部材32がガイド溝66から外れ落ちないように蓋をする。これにより、保持部材22及び挟持部材32はガイド溝66に案内されて各々Y軸方向に沿って滑動することが可能となる。但し、前述したように、保持部材22と挟持部材32とは引っ張りバネ62を介して連結されているので、外力が加わらない限り、各部材22,32は保持部21と挟持部31とを当接させた状態を維持することとなる。なお、図9,11,13,15では、保持部材22と挟持部材32のX軸方向幅が異なるように図示されているが、これは各部材22,32の相対的な位置関係を明瞭に図示するために便宜上異なるように表現しているのであって、実際には保持部材22及び挟持部材32はいずれも滑動可能な範囲でガイド溝66のX軸方向幅とほぼ等しく設定されている。
さらに、ガイド板61のガイド溝66を挟んで両側には、それぞれ貫通穴68,69が設けられている。一方の貫通穴68は、保持部材21に設けられた係合ピン26が上方から嵌挿され、他方の貫通穴69には挟持部材32の係合ピン39が嵌挿される。また、各貫通穴68,69は、いずれも、糸保持具20の針下位置から待機位置までの移動及びこれに伴う保持部材22及び挟持部材32の相対的な移動において各係合ピン26,39に各穴の前端部及び後端部がいずれも接触しないようにそのY軸方向長さが設定されている。また、各貫通穴68,69に挿通された各係合ピン26,39はその先端部がガイド板61の下面側から幾分突出し、個別に相対位置調節リンク体63に係合する。
相対位置調節リンク体63は、その長手方向に沿って並んだ配置で、保持部材22との回動係合部70と挟持部材32との回動係合部71とこれらの間に位置する移動手段40との回動係合部72とが設けられている。
即ち、保持部材22との回動係合部70は、相対位置調節リンク体63の長手方向に沿った長穴状の貫通穴であり、係合ピン26が挿通される。挟持部材32との回動係合部71は、円形貫通穴であり、係合ピン39が挿通される。移動手段40との回動係合部72は、相対位置調節リンク体63の長手方向に沿った長穴状の貫通穴であり、係合突起52が挿通される。
図16は相対位置調節リンク体63の揺動動作と保持部材22及び挟持部材32の応対位置変化を関係を示す下方から見た説明図である。
図16を参照すると、保持部材22及び挟持部材32は、前述したように、外力を受けない限り引っ張りバネ62により保持部21と挟持部31との当接状態が維持される。かかる状態が上糸の挟持状態となる。そして、各係合ピン26,39は、保持部21と挟持部31とが当接状態にあるときにY軸方向についてほぼ同じ位置に並ぶように位置設定が図られている。従って、これら各係合ピン26,39と各回動係合部70,71を介して連結された相対位置調節リンク体63も、引っ張りバネ62の張力により通常状態にあってはほぼX軸方向に沿った状態が維持される(図16の実線で示した状態)。
かかる状態において、相対位置調節リンク体63に対して係合突起52を中心として反時計方向の回転力が加わると、当該相対位置調節リンク体63は揺動し、その姿勢に変化を生じる。このとき、各回動係合部70,71にはY軸方向に変位を生じることにより、保持部材22と挟持部材32との間に保持部21と挟持部31とが互いに離間する方向の外力が付与されることになる。従って、引っ張りバネ62の張力に抗して保持部21及び挟持部31が離間し、上糸の挟持状態から解放状態に切り替えられる。
第一の当接部材64について図9,11,16に基づいて説明する。第一の当接部材64は、糸保持具20が針下位置にあるときに保持部21と挟持部31とを離間状態とし、針下位置から待機位置に移動する際に保持部21と挟持部31とが互いに接近し合う方向に移動させ、少なくとも糸弛み位置よりも針下位置寄りの位置で当接するように相対位置調節リンク体63の揺動を操作する。
上記動作を実現するために第一の当接部材64は、針下位置に位置する相対位置調節リンク体63に対して、移動手段40の回動係合部72と挟持部材32の回動係合部71との間において前方から当接するように配置されている。かかる配置とすることにより、針下位置に糸保持具20を位置決めするために移動手段40により前方への移動力が相対位置調節リンク体63に付与された場合に、当該相対位置調節リンク体63は引っ張りバネ62の張力に抗して第一の当接部材64との接点を支点として揺動する。その際、当接時よりも挟持部材32の回動係合部71は後方に移動し、保持部材22の回動係合部70は前方に移動することとなる。従って、保持部材22を介して保持部21は前方に、挟持部材32を介して挟持部31は後方に移動するので、これらは互いに離間した状態となる(図16の二点鎖線参照)。かかる状態において、保持部21と挟持部31との間に上糸端部の挿通が行われる。
そして、この針下位置から糸保持具20が後方に移動すると、第一の当接部材64による相対位置調節リンク体63への当接状態が徐々に解除されるので、相対位置調節リンク体63は引っ張りバネ62の張力により時計方向に回動することとなる。従って、保持部21と挟持部31との間が閉じられて、第一の当接部材64との当接状態が完全に解除されるまで相対位置調節リンク体63は時計方向に回動し、挟持部31は挟持部材32を介して前方に移動すると共に、保持部21は保持部材22を介して後方に移動する。
なお、本実施形態では、係合突起52を後方に移動させると、ある地点で保持部21と挟持部31との間が閉じられて、それより後方へ移動させると保持部21と挟持部31の閉じた状態が維持される。そして、ミシン100では、係合突起52の後方移動において、保持部21と挟持部31との間が初めて閉じる位置を糸弛み位置に設定している。さらに、糸屈曲位置は、保持部21と挟持部31の間が閉じきってしまう手前の位置とする必要があるので、上記糸弛み位置よりも幾分前方に設定されている。
第二の当接部材65について図11,13,15に基づいて説明する。第二の当接部材65は、糸保持具20が糸弛み位置から待機位置に移動する際に挟持状態を維持するように相対位置調節リンク体63の揺動を規制する。
上記動作を実現するために第二の当接部材65は、糸保持具20が糸弛み位置から待機位置に移動する際に相対位置調節リンク体63が通過する領域に対してX軸方向−側から当該相対位置調節リンク体63に摺接するように配置されている。
第二の当接部材65は、その摺接面がY軸方向に沿って平滑に形成されている。そして、相対位置調節リンク体63のX軸方向−側の端部に設けられた摺接部63aも平滑であって、保持部21と挟持部31とが当接状態のときにY軸方向に並行となるように形成されている。
このため、相対位置調節リンク体63がほぼX軸方向を向いた状態で針下位置から糸弛み位置に到達すると、摺接部63aに対して第二の当接部材65が摺接し、糸弛み位置から待機位置までの行程は、摺接部63aがY軸方向に平行な状態が維持されて、保持部21と挟持部31との当接状態が維持される。
なお、糸弛み位置から待機位置の区間では、引っ張りバネ62の張力により、第二の当接部材65がなくとも保持部21と挟持部31とが閉じた状態を維持することは可能だが、係合突起52の急峻な動作により慣性力などの影響により保持部21と挟持部31が開くことを防止することが可能となる。
(各移動位置における保持部及び挟持部の配置)
糸保持具20が針下位置に位置決めされる場合、保持部21と挟持部31とは互いに離間し合う方向に移動することは、前述の通りである。そして、針下位置に到達すると、図8に示すように、保持部21は縫い針の上下動経路Nより前方に位置することになる。
また、挟持部31はその屈曲部36の先端部が、直線Mよりも少なくとも後方に位置することになる。この直線Mは、針穴108aの下端部における後方側縁部(下方から見た円形の針穴108aのY軸方向に沿った直径のY軸方向−側の端部となる位置)から縫い針の上下動経路Nの後方側に近接して配置された中釜122の後ろ側となる一方のレース面128における上端部とを連結することで決定される直線である。挟持部31の先端部の配置をこのように設定することで縫製における第一針目による上糸ループが中釜122の剣先121に補足され上糸ガイド板124の糸分け部124bによって広げられる(拡張される)場合に、挟持部31の先端部が上糸に接触して糸分け部124bがループを広げることが妨げられず、従って、上糸がレース面128に接触することを効果的に抑制することが可能である。
なお、上記保持部21の位置や挟持部31の先端位置は、保持部材21及び挟持部材32のY軸方向長さや相対位置調節リンク体63に対する第一の当接部材64の当接位置により決定される。例えば、第一の当接部材64の当接位置が移動手段40の回動係合部72寄りであれば保持部材21の位置はより前方となり、挟持部31の先端位置はより後方となる。また、当接位置が挟持部材32の回動係合部71寄りであれば保持部21の位置はより後方となり、挟持部31の先端位置はより前方となる。
糸保持具20が針下位置から糸弛み位置に到達すると、保持部21と挟持部31の平面部30とが当接し、それより後方の待機位置までずっと挟持状態が維持される。
図10及び図11は糸屈曲位置、図12及び図13は待機位置、図14及び図15は糸弛み位置に糸保持具20が位置する状態を示している。
ここで、待機位置及び糸弛み位置における上糸の状態と糸切り機構130との関係を図17に基づいて説明する。
図17(A)は糸保持具20が待機位置にあり、糸切り機構130の動メス136が前進回動から後退回動に切り替わる瞬間の配置を示している。このとき、上糸の縫い開始端部は針穴108aから糸保持具20の先端まで真っ直ぐに張られており、糸保持具20は動メス136よりもずっと後方に位置している。つまり、糸保持具20の待機位置は、少なくとも、動メス136が後退回動を行っても上糸の縫い開始端部が動メス136に捕捉されない程度に動メス136から離間した位置に設定される。
図17(B)は糸保持具20が待機位置から糸弛み位置に移動し、糸切り機構130の動メス136が前進回動から後退回動に切り替わる瞬間の配置を示している。このとき、上糸の縫い開始端部は針穴108aと糸保持具20との間で動メス136よりも低い位置まで弛みを生じて、動メスの回動範囲を示す扇形の平面領域内に上糸の縫い開始端部が入り込んだ状態となっている。従って、動メス136が後退回動を行うと、上糸の縫い開始端部が動メス136に捕捉され(図17(C))、固定メス135まで運ばれて上糸の縫い開始端部の切断が行われる。
つまり、糸弛み位置は、挟持されていた上糸端部の切断を可能とする位置、具体的には、待機位置からの移動による上糸の弛みにより、上糸の縫い開始端部を動メス136の移動軌跡を示す平面上の領域内に侵入させることが可能な位置とすることが要求される。
なお、上糸の縫い開始端部の切断を行うだけであれば、上記条件を満たすためには、糸弛み位置を待機位置よりもある程度前方に設定すれば十分である。しかしながら、上糸の縫い開始端部の切断と共に、図17(C)に示すような糸保持具20からの離脱も実現することが望ましい。従って、かかる離脱を図るために、上糸の縫い開始端部に生じる弛み長さが、動メス136に捕捉されて固定メスに至るまでに消費される長さよりも短くすることが要求される。
なお、かかる条件を満たすためには、(1)動メス136が固定メス135に向けて上糸の縫い開始端部を運ぶ方向と糸保持具20の針下位置から待機位置までの移動方向とが互いに逆方向となる移動方向成分を含むこと(より望ましくは互いに逆方向であること)、(2)糸保持具の挟持により上糸の縫い開始端部に生じる引き抜きの際の摩擦力が少なくとも上糸の耐久張力以下であることも、要求される。
(動作制御手段)
動作制御手段80について図18に基づいて説明する。図18はミシン100の制御系を示すブロック図である。かかる制御手段80は、詳細には図示しないが、各種演算処理を行うCPUと、制御、判断等各種処理用の各種プログラムが記憶、格納されたROMと、各種処理におけるワークメモリとして使用されるRAMと、各種の縫製データを格納したEEPROMとで概略構成されている。そして、制御手段80には、システムバス及び駆動回路等を介してミシンモータ105,そのエンコーダ109,糸掴みモータ42,移動位置検出手段46の第1の状態センサ47,第2の状態センサ48,ミシン100のS/S(スタートストップ)スイッチ81,縫製の設定条件入力や縫製データ選択を行う操作パネル85,糸切り等の駆動源である作動モータ82,被縫製物の移動を行うX軸モータ83,Y軸モータ84等が接続されている。
制御手段80は、ミシンモータ105の出力軸に設けられているエンコーダ109から入力されるパルス信号に基づき、ミシンモータ105の回転角度を認識することができる。
また、制御手段80は、移動位置検出手段46の第1の状態センサ47、第2の状態センサ48から入力される検出信号に基づき、糸保持具20の各移動位置を確認することができる。
また、制御手段80は、スタートスイッチ81から縫製開始信号が入力されると、確認、認識したミシンモータ105の回転角度や移動位置糸保持具46の動作位置検出に応じて、移動手段40の糸掴みモータ42の駆動を制御する。
(ミシンの動作説明)
上記構成からなるミシン100の動作を図8乃至図19に説明する。図19はミシン100の動作制御を示すフローチャートである。なお、ボタン縫着を行うために各針の針落ち位置を定めた縫製データ及び必要な各種のパラメータは予め設定されていることを前提して説明する。
以下の処理は、制御手段80のROMに格納された制御プログラムをCPUが実行することにより実現するものである。
まず、制御手段80は、S/Sスイッチ81の入力待ち状態において(ステップS1)、入力を受けると、作動モータ82を「布保持部材下降」を実行する角度に回転駆動し、布保持部材142を下降させて、布地とボタンの保持を行う(ステップS2)。
そして、移動位置検出手段46により針下位置検出(初期位置検出)が行われる(ステップS3)。針下位置は、伝達リンク体45及び係合突起52が前進移動する方向に糸掴みモータ42を駆動した時に、第一の状態センサ47がOFF状態、第二の状態センサ48もOFF状態である否かにより判断される。これにより、糸保持具20を、縫い針の上下動経路N上に配置することができる(図8,9の状態)。
次いで、ミシンモータ105の駆動を開始する(ステップS4)。なお、これ以降各針ごとに縫製データが示す針落ち位置に針落ちが行われるようにX軸モータ83及びY軸モータの駆動制御が行われる。
ミシンモータ108の駆動により、第一針目の針落ちが行われ、縫い針104は針板108の針穴108aに挿入され、保持部21と挟持部31との間を上糸が通過する。さらに、その下方において、縫い針104の脇の上糸ループが釜機構120の剣先に捕捉される。そして、中釜122の回転と上糸ガイド板124とにより上糸ループは広げられるが、その際、挟持部31の先端部が充分に後方に位置するため、上糸ガイド板124による上糸ループの拡大を遮らない。従って後方レース面128への上糸の接触は防止される。
さらに、ミシンモータ105のエンコーダ109から、第一針目の縫い針104が布から抜け出したことが示されると、動作制御手段80は、移動手段40の糸掴みモータ42に糸屈曲位置へ糸保持具20を移動させるよう駆動を開始する動作制御を行う(ステップS5)。
糸屈曲位置は、伝達リンク体45及び係合突起52が針下位置から後退移動する方向に糸掴みモータ42を駆動した時に、第一の状態センサ47がON状態、第二の状態センサ48もON状態である否かにより判断される。これにより、糸保持具20を糸屈曲位置に配置することができる(図10,11の状態)。
糸保持具20が針下位置から糸屈曲位置に移動する過程で上糸の縫い開始端部が糸保持部に挟持される。そして、糸屈曲位置への移動後、天秤107により上糸の引き上げが行われる(ステップS6)。糸屈曲位置では保持部21と挟持部31との間に若干の隙間が形成されているので、上糸はこれらの間で所定の摩擦抵抗を受けつつ摺動し、上糸は挟持された部分から端部までの上糸の長さを最も短くすることができる。
次いで、ミシンモータ105のエンコーダ109から、第二針目の縫い針104が布から抜け出したことが示されると、動作制御手段80は、移動手段40の糸掴みモータ42に待機位置へ糸保持具20を移動させるよう駆動を開始する動作制御を行う(ステップS7)。
待機位置は、伝達リンク体45及び係合突起52が糸屈曲位置から後退移動する方向に糸掴みモータ42を駆動した時に、第一の状態センサ47がOFF状態、第二の状態センサ48がON状態である否かにより判断される。これにより、糸保持具20を待機位置に配置することができる(図12,13の状態)。
また、糸保持具20の待機位置への移動の間だけ、糸調子装置106の糸張力を通常の縫いの張力よりも低減するように糸張力ソレノイド86の制御が行われる(ステップS8)。
かかる糸保持具20の待機位置への移動により、上糸の縫い開始端部は針穴108aから真っ直ぐに後方に引っ張られた状態となる。
待機位置への移動後、天秤107により上糸の引き上げが行われる(ステップS9)。待機位置では保持部21と挟持部31との間が密接しているので、上糸と下糸の結節が緊縛され、縫い目のほつれが防止される。
次いで、縫製データから次の針落ちが最終針か否かの判定が行われる(ステップS10)。そして、最終針ではない場合には、縫製データに従って縫いを継続する。
また、最終針の場合には、エンコーダ109の出力からミシンモータ105二より観点駆動される上軸が所定の糸切り角度か判定される(ステップS11)。糸切り角度とは、下降した縫い針104から上糸のループが捕捉され、糸分け部124bにより縫い針側の糸NFと布側の糸NBとに十分に分離される角度である。
エンコーダ109により糸切り角度が検出されると、動作制御手段80は、作動モータ82を「一回目の動メス前進」を実行する角度に回転駆動し、動メス136を固定メス135から離れる方向に回動させ、糸さばきを実行する(ステップS12)。
次いで、ミシンモータ105を停止させた後に(ステップS13)、動作制御手段80は、作動モータ82を「一回目の動メス後退」を実行する角度に回転駆動し、動メス136を固定メス135側に戻る方向に回動させ、上糸の布側の糸NB糸のみと下糸とを切断する(ステップS14)。このとき、図17(A)に示すように、上糸の縫い開始端部は針穴108aから真っ直ぐに後方に引っ張られた状態なので、前進と後退を行う動メス136により捕捉されたり切断されることはない。
さらに、糸切断後、動作制御手段80は、作動モータ82を「糸払い部材の往復回動」を実行する角度に回転駆動し、縫い針104の下方で糸払い部材を往復回動させて、上糸の縫い針側の糸NFを布地から抜き払う(ステップS15)。
次いで、動作制御手段80は、選択されている縫製データから、第一針目の針落ち位置と最終針の針落ち位置とが同じ位置であるか否かを判定する(ステップS16)。
もし、第一針目の針落ち位置と最終針の針落ち位置とが同じである場合には、処理をステップS18に進め、異なる場合には第一針目の針落ち位置に針落ちが行われる位置に布地及びボタンを移動するようにX軸モータ83及びY軸モータ84の駆動制御が行われてから(ステップS17)、ステップS18に処理が進められる。
ステップS18では、移動手段40の糸掴みモータ42に糸弛み位置へ糸保持具20を移動させるよう駆動を開始する動作制御が行われる。
糸弛み位置は、伝達リンク体45及び係合突起52が待機位置から前進移動する方向に糸掴みモータ42を駆動した時に、第一の状態センサ47がON状態、第二の状態センサ48がOFF状態である否かにより判断される。これにより、糸保持具20を糸弛み位置に配置することができる(図14,15の状態)。
糸保持具20が待機位置から糸弛み位置に移動すると、図17(B)に示すように、上糸の縫い開始端部は針板108の針穴108aから糸保持部20の間で大きく弛みを生じた状態となる。
そして、動作制御手段80は、作動モータ82を「二回目の動メス前進」を実行する角度に回転駆動し、さらに、作動モータ82を「二回目の動メス後退」を実行する角度に回転駆動し、動メス136を往復回動させる。このとき、上糸の縫い開始端部は大きく下方に弛んだ状態なので後退回動する動メス136に捕捉されて後方にたぐり寄せられる(図17(C))。そのため、上糸の縫い開始端部は糸保持具20から引き抜かれることとなる。
さらに、上糸の縫い開始端部は動メス136の刃部136cと固定メス135の先端の刃部とに挟まれて切断される(図17(D))。切断された上糸の縫い開始端部は、ミシンのカバー内に落下して回収される。また、取り出し可能な専用の受け皿をミシン内の底部に設けても良い。
次いで、上糸の縫い開始端部切断後に、動作制御手段80は、作動モータ82を「布保持部材上昇」を実行する角度に回転駆動し、布保持部材142を上昇させて、布地とボタンを保持状態から解放する(ステップS20)。
(実施形態の効果)
以上のように、ミシン100では、最終針まで縫い開始端部が糸保持具20に挟持されるため、途中で解放される場合のように下糸の縫い目に巻き込まれて鳥の巣状態が発生する事態を効果的に回避することが可能となる。
そして、最終針の針落ち後に糸保持具20を待機位置から糸弛み位置まで移動してから糸切り機構130を作動させるので、針穴108aから糸保持具20に向かって延びていた状態の上糸の縫い開始端部はたるみを生じ、針穴108aの下方で幾分垂れ下がった状態となるため、糸切り機構130の動メス136は縫い開始端部を切断することが可能となる。また、このとき糸保持具20では上糸の縫い開始端部を解放していないので、フリーな状態で垂れ下がった糸を切断する場合と異なり、糸切り機構130は良好に切断を行うことが可能となる。
さらに、動作制御手段80は、第一針の針落ち位置と最終針の針落ち位置とが一致しない場合に、X、Y軸モータ83,84の駆動により第一針の針落ち位置を縫い針104に位置合わせしてから糸保持具20を糸弛み位置に移動させるため、上糸の縫い開始端部の布地側の根本となる位置を針板の針穴に近づけることが可能となる。このため、糸保持具20を糸弛み位置に移動させたときに、より上糸の縫い開始端部を弛ませることができ、糸切り機構130により上糸の縫い開始端部の切断をより確実に行うことが可能となる。また、切断後に布地側に残る上糸の縫い開始端部をより短くすることが可能となる。
(その他)
なお、上記ミシン100の動作制御手段80は、針穴108aから中釜122に渡る上糸及び下糸の切断を行ってから、それとは別駆動で上糸の縫い開始端部の切断を行っているが、針穴108aから中釜122に渡る上糸及び下糸と上糸の縫い開始端部とは動メス136の一回の往復回動でまとめて切断しても良い。その場合、作動モータ82の所定方向の回転により、「布保持部材下降」、「動メス前進」、「動メス後退」、「糸払い部材の往復回動」、「布保持部材上昇」がこの順番で実行されるようにカム143及びカム131のカム形状が設定される必要がある。また、その場合、前述した縫製処理のステップS1〜S20までの処理の内、ステップS16とS17の処理をステップS11の次に行い、ステップS18の処理をステップS12又はS13の次に行い、ステップS20の処理をステップS15の次に行い、ステップS19の処理は行わないことで実現可能である。
ミシンの概要を示す一部を切り欠いた全体側面図である。 上糸ガイド板を図8におけるU方向から見た平面図である。 釜機構の中釜をX軸方向から見た正面図である 糸切り機構の平面図である。 糸切り機構の動作説明図であり、図5(a)は動メス待機状態、図5(b)は動メス前進回動状態、図5(c)は動メス後退回動状態を示す。 上糸保持装置の主要な全体構成を示す斜視図である。 上糸保持装置の主要な全体構成を示す分解斜視図である。 糸保持具が針下位置にある場合の上糸保持装置を右方から見た動作説明図である。 糸保持具が針下位置にある場合の上糸保持装置を下方から見た動作説明図である。 糸保持具が糸屈曲位置にある場合の上糸保持装置を右方から見た動作説明図である。 糸保持具が糸屈曲位置にある場合の上糸保持装置を下方から見た動作説明図である。 糸保持具が待機位置にある場合の上糸保持装置を右方から見た動作説明図である。 糸保持具が待機位置にある場合の上糸保持装置を下方から見た動作説明図である。 糸保持具が糸弛み位置にある場合の上糸保持装置を右方から見た動作説明図である。 糸保持具が糸弛み位置にある場合の上糸保持装置を下方から見た動作説明図である。 相対位置調節リンク体の揺動動作と保持部材及び挟持部材の相対位置変化の関係を示す下方から見た説明図である。 待機位置及び糸弛み位置における上糸の状態と糸切り機構との関係を示す動作説明図であり、図17(A)は糸保持具待機位置での動メス切断動作状態、図17(B)は糸保持具糸弛み位置での動メス前進回動状態、図17(C)は糸保持具糸弛み位置での動メス後退回動状態、図17(D)は糸保持具糸弛み位置での動メス後退回動状態であって上糸の縫い開始端部の切断状態を示す。 ミシンの制御系を示すブロック図である。 ミシンの動作フローチャートである。
符号の説明
10 上糸保持装置
20 糸保持具
40 移動手段
60 関連動作手段
80 動作制御手段
83 X軸モータ
84 Y軸モータ
100 ミシン
104 縫い針
108 針板
108a 針穴
130 糸切り機構
140 布保持機構(移動機構)
M 針穴の釜軸側側縁と中釜の釜軸側レース面の上端縁とを結ぶ直線
N 縫い針の上下動経路

Claims (4)

  1. 針板の下側において上糸の縫い開始端部の挟持と解放とを切り替え可能な上糸保持装置と、
    前記針板の針穴の下方で上糸を捕捉して下糸を絡める釜機構と、
    前記針板の針穴と前記釜機構との間を渡る上糸及び下糸を切断する糸切り機構とを備え、
    前記上糸保持装置は、縫い針の通過線上となる針下位置と当該針下位置から離間した待機位置との間を前記針板の下面に沿って移動可能であって、前記針下位置では前記上糸を解放状態とし、前記針下位置と前記待機位置との間に位置する中間位置から前記待機位置までの間では前記上糸を挟んで挟持した状態となる糸保持具を備え、
    縫い開始の一針目の針落ち時には前記糸保持具を針下位置とし、二針目の針落ち以降は、前記糸保持具は待機位置に位置し、最終針の針落ち後に前記糸保持具を前記待機位置から前記中間位置に移動してから糸切り機構を作動させて前記上糸の縫い開始端部の切断を行う動作制御手段を備えることを特徴とするミシン。
  2. 前記動作制御手段は、前記最終針の針落ち完了後、前記糸保持具を待機位置に維持したまま前記糸切り機構を作動させて前記針板の針穴と前記釜機構との間を渡る上糸及び下糸を切断し、その後、前記糸保持具を前記中間位置に移動させて前記上糸の縫い開始端部の切断を行うことを特徴とする請求項1記載のミシン。
  3. 前記動作制御手段は、前記最終針の針落ち完了後、前記糸切り機構の一回の作動により前記針板の針穴と前記釜機構との間を渡る上糸及び下糸と前記上糸の縫い開始端部の切断を行うことを特徴とする請求項1記載のミシン。
  4. ボタン縫着が行われる被縫製物を移動して前記縫い針を所定位置に針落ちさせる被縫製物の移動機構を備え、
    前記動作制御手段は、第一針の針落ち位置と最終針の針落ち位置とが一致しない場合には、前記最終針の針落ち後、前記糸保持具を前記中間位置に移動させる前に、前記被縫製物を前記縫い針に対して前記第一針の針落ち位置に位置合わせするように前記移動機構を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のミシン。
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