JP4037151B2 - ミシンの上糸保持装置 - Google Patents

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  • Textile Engineering (AREA)
  • Sewing Machines And Sewing (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縫い始めに針に挿通されている上糸の端部を針板の下方で挟持するとともに、挟持した上糸の端部を針の上下動経路から離れた位置に移動させ、所定針数の針落ち後、挟持した上糸の端部を開放するミシンの上糸保持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
縫い始めの縫い目を確実に形成するとともに、縫い始め位置で布の裏側に残された上糸の端部を見栄えよく処理したい場合、縫い始めの針先に残る上糸の長さを安定させるため、縫い始めにおける第一針目を含む所定針数の針の上下動速度を低速に抑えて、針が下降する際に針の目穴から上糸の端部が引き抜かれるのを防止したり、或いは、第一針目の針に挿通された上糸の端部を針板の裏側で挟持する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許2671478号公報や特開2000−325683号公報に上糸の端部を挟持する技術が開示されている。特許2671478号公報には、透孔を有する糸つかみを縫製開始時に針の上下動通路に向かって往動させ、透孔を針の上下動通路上に配置し、上糸が前記透孔に挿通した後、針の上下動通路から退避させて、その挟持部と針板の下面との間で上糸の端部を挟持して、その後、糸つかみを針板下面から下方に回動させることにより、挟持した上糸の端部を開放する上糸保持装置が記載されている。
【0004】
一方、特開2000−325683号公報には、先端部が薄板状部材とワイヤー状部材とにより構成された上糸保持部材を縫製開始時に針の上下動通路に向かって往動させ、上糸が薄板状部材とワイヤー状部材との間を挿通した後、ワイヤー状部材を薄板状部材に接近するように引き込むことにより薄板状部材とワイヤー状部材との間に上糸の端部を保持するとともに、上糸保持部材を針の上下動通路から退避させ、その後、天秤による上糸の引き上げにより上糸の端部を開放し、上糸の端部を開放した上糸保持部材を糸切り装置との干渉を避ける退避位置に移動させる上糸保持装置が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの開示技術は、縫い始めの速度を極力低速に抑えずに、換言すれば、縫製効率を低下させることなく上糸の端部を保持して、針先に残る上糸の長さを安定させるという機能面において有用な技術ではあるが、それぞれの開示技術には次ぎのような不都合又は問題がある。特許2671478号公報の上糸保持装置では、糸つかみを針板下面から下方に回動させることにより挟持された上糸を開放するだけの構成であるため、透孔から上糸の端部が抜け出ない場合がある。
【0006】
すなわち、図17を参照して具体的に説明すると、縫い始めの最初の針落ち(第1針目)が行われて糸つかみ104と針板102との間で上糸の端部が挟持された後、上糸100が挿通された針101による2回目(第2針目)の針落ちが行われると針板102上に載置された布103に対して縫い始めの縫い目が形成されるが、このとき、3回目(第3針目)の針落ちの前に針板102の下面との間で上糸100の端部を挟持していた糸つかみ104は、針板102の下面から下方に離れ上糸100の端部を開放し、一方、開放された上糸100の端部は、糸つかみ104に設けられた透孔104aを挿通した状態で垂れ下がり、針板103の針穴103aの下方に設けられた釜105に接触可能となる。そして、この状態で、布103が布送り方向に送り出されるとともに針101による3回目以降の針落ちが行われると、糸つかみ104は、図17に示す開放位置で静止した状態を保持するので、図18(a)(b)に示すように、糸つかみ104の透孔104aを通過した上糸100の端部は、釜105の剣先に引き込まれるとともに布103に縫い込まれ透孔104aを通るループWが形成されてしまい、このとき、布送り方向とは反対の方向に布103が引っ張られて布103の所望の位置に縫い目が形成されない可能性がある。なお、図17、図18(a)(b)においては、下糸は、説明の都合上省略している。
【0007】
一方、特開2000−325683号公報の上糸保持装置では、上糸の開放が天秤による糸の引き上げにより行われるため、加工布が厚い場合は比較的問題無いが、加工布が薄い場合には上糸の開放の際に天秤による張力のため加工布にシワが発生しやすいという問題がある。
【0008】
また、これら従来の上糸保持装置は、上糸の端部を布の裏側で挟持(保持)するために少なくとも二つのアクチュエータ(エアーシリンダ等)を必要とし、そのため、アクチュエータの数に対応して上糸保持装置自体の大きさ(サイズ)が大きくなる。これに付随して、用いたアクチュエータ数分のコストが余計にかかり、また、アクチュエータの数に対応してこれらアクチュエータの制御も複雑なものとなる。
【0009】
本発明の課題は、単一のアクチュエータを用いて上糸の端部を挟持(保持)でき、かつ、上述したような布に係る縫製不備が生じないように挟持した上糸の端部を円滑に開放できるミシンの上糸保持装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、例えば、図1〜図3及び図6〜図9に示すように、
縫い始めに針に挿通されている上糸の端部を針板(50)の下方で挟持するとともに、挟持した上糸の端部を針の上下動経路から離れた位置に移動させ、所定針数の針落ち後、挟持した上糸の端部を開放するミシンの上糸保持装置(A)において、
上糸の端部を保持する保持部(前壁2i)と、該保持部に対して挟持位置と開放位置(初期位置を含む。)とに相対的に移動して前記保持部との間で上糸の端部を挟持開放する挟持部(突起部5d)とを備える挟持手段(D)と、
前記挟持手段が針の上下動経路上に位置する第一移動位置と、前記挟持手段が前記第一移動位置から針の上下動経路に対して側方向に離間する第二移動位置と、前記挟持手段が前記第二移動位置より更に針の上下動経路から側方向に離間する第三移動位置とに前記挟持手段を移動可能とする単一のアクチュエータ(ステッピングモータ10)を備え、縫い始めに第一移動位置から第二移動位置に移動して所定針数の針落ちの間停止した後、第二移動位置から第三移動位置に移動する移動手段(B)と、
前記挟持手段が第一移動位置から第二移動位置に移動するときに、針(52)に挿通された上糸の端部を挟持するように前記挟持部を前記挟持位置に位置させ、第三移動位置において前記挟持部を前記開放位置に位置させるように、前記移動手段の移動に機械的に連動して前記挟持部を前記挟持位置と前記開放位置とに位置させる関連動作手段(C)と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項1記載の発明では、単一のアクチュエータにより駆動される移動手段の移動が関連動作手段を介した状態で挟持手段に伝達されて、挟持手段が針の上下動通路上に位置する第一移動位置から第二移動位置に移動する際に挟持部を挟持位置に位置させて上糸の端部を挟持し、所定針数の針落ちが行われるまで第二移動位置にて上糸の端部を保持したまま停止した後、第三移動位置において、挟持部を開放位置にして上糸の端部を開放するように構成されている。
このような構成によれば、従来、複数のアクチュエータを用いて行っていた挟持手段の挟持位置(第一移動位置)、及び保持位置(第二移動位置)への移動と、挟持手段の各移動位置に対応した上糸の端部の挟持、保持、開放の動作が単一のアクチュエータで実現することができ、これにより、上糸保持装置をよりコンパクトに構成できることができるとともに、アクチュエータに係わるコストを抑えることができ、さらにアクチュエータに係わる制御もより簡単なものとすることができる。
また、上記構成では、第三移動位置で挟持部を開放位置として上糸の端部を開放するので、天秤による上糸の引き上げの際に、加工布に挟持部からの上糸の端部の引き抜きによる張力がかからず、加工布が薄い場合に加工布へのシワの発生を防止できる。
【0012】
請求項2記載の発明は、例えば、図1に示すように、
請求項1記載のミシンの上糸保持装置において、
前記関連動作手段は、
先端部に前記保持部を備えた第一移動部材(下部糸掴み板2)と、先端部に前記挟持部を備えた第二移動部材(上部糸掴み板3)とを有し、
前記挟持手段が第一移動位置から第二移動位置に移動する際に、前記挟持部を前記開放位置(初期位置)から前記挟持位置に相対移動させるとともに、前記挟持手段が第二移動位置から第三移動位置に移動する際に、第三移動位置において前記挟持部を前記挟持位置から前記開放位置に相対移動させるように前記第二移動部材を前記第一移動部材に対して相対移動させることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明では、関連動作手段が、保持部を備える第一移動部材に対して挟持部を備える第二移動部材を相対移動させることにより、挟持手段は、第一移動位置から第二移動位置に移動する際に上糸の端部を挟持し、また、第二移動位置から第三移動位置に移動した際に上糸の端部を開放できる。すなわち、関連動作手段は、第一移動部材に対して第二移動部材を相対移動させるといった構成で、移動手段の移動を挟持手段に伝達することができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、例えば、図1に示すように、
請求項2記載のミシンの上糸保持装置において、
前記保持部は、中央部(前壁2i)に上糸の端部を誘導するための誘導部(誘導壁6a)を備え、
前記挟持部は、前記中央部に上糸の端部を誘導するように前記第二移動部材に対して回動可能に支持されていることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載したように第一移動部材に対して第二移動部材を相対移動させる、すなわち、第一移動部材の先端部に備えられた保持部に対して第二移動部材の先端部に備えられた挟持部を相対移動させる場合において、保持部に対して挟持部が近接すると保持部と挟持部との間に上糸の端部を挟持でき、また、保持部に対して挟持部が離間すると挟持した上糸の端部を開放できる。
ここで、請求項3記載の発明では、保持部は上糸の端部を誘導するための誘導部を備えているので、保持部が挟持部に対して近接するように移動するとき、上糸の端部は、保持部に係合するとともに誘導部に誘導されて常に中央部という所定位置に配置されるようになっている。一方、挟持手段の挟持部は、保持部の中央部に上糸の端部を誘導するように第二移動部材に対して回動可能に支持されているので、挟持部が保持部に対して近接するように移動するとき、保持部の中央部に上糸の端部が誘導されるように回動しながら確実に上糸の端部を保持部の中央部に誘導して、保持部と挟持部との間に上糸の端部を挟持するような構成とされている。従って、挟持手段の保持部及び挟持部の動作を組み合わせることによって、挟持手段は確実に上糸の端部を挟持することができ、ひいては上糸保持装置における上糸挟持機能の精度を高めることができる。
【0016】
請求項4記載の発明は、例えば、図6(b)に示すように、
請求項1〜3のいずれか一つに記載のミシンの上糸保持装置において、
前記挟持手段の第一移動位置から第三移動位置への移動方向は、針(52)の上下動方向と略直交する方向で、かつ、ミシンの立胴部に向かう方向であることを特徴とする。
【0017】
請求項1に記載されているように、第一移動位置では挟持手段が針の上下動経路上に位置するので、請求項4記載の発明の構成においては、挟持手段は、針が上下動する位置からミシンの立胴部側に向かって退避するように移動することになる。挟持手段の移動方向がミシンの針の上下動方向と直交する方向でミシンの立胴部側に向かっているということは、挟持手段がミシンベッド部の長手方向に移動するということであり、移動の為のスペースを新たに確保すること無く挟持手段の移動に十分な距離を確保することが可能となる。
【0018】
請求項5記載の発明は、例えば、図1に示すように、
請求項1〜4のいずれか一つに記載のミシンの上糸保持装置において、
前記移動手段は、前記単一のアクチュエータと前記関連動作手段とを連結する連結部材(12)を備え、
前記単一のアクチュエータをミシンの立胴部側のミシンベッド下方に設け、かつ、前記連結部材により前記単一のアクチュエータと前記関連動作手段とを連結することによって前記関連動作手段を介した状態で前記単一のアクチュエータと前記挟持手段とを連結し、前記挟持手段による上糸の端部の挟持及び開放並らびに前記挟持手段の移動を、前記連結部材の針の上下動経路側方向とミシンの立胴部側方向とへの進退移動により行うことを特徴とする。
【0019】
単一のアクチュエータをスペースが十分に確保できるミシンの立胴部側に配置し、このアクチュエータの駆動力が、針の上下動経路側方向とミシンの立胴部側方向とへ進退運動する連結部材によって関連動作手段に伝達されて、挟持手段による上糸の端部の挟持及び開放並らびに挟持した上糸の端部の移動が行われるから、ミシンベッドには最小限のスペースを確保するのみでよく、ベッドの形状の細長いシリンダベッドミシンにも、適用可能な上糸保持装置を提供することができる。
【0020】
請求項6記載の発明は、例えば、図5及び図6〜図9に示すように、
請求項1〜5のいずれか一つに記載のミシンの上糸保持装置において、
前記挟持手段の位置を検出する検出手段(E)と、
縫い始めに、前記検出手段により検出される検出信号に基づいて、前記挟持手段が、前記第一移動位置に位置しているか否かを判断する判断手段(CPU33)と、
前記判断手段により、縫い始めに前記挟持手段が第一移動位置に位置していないと判断された場合、ミシンの起動又は駆動を停止させる駆動停止制御手段(CPU33)と、
を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、縫い始めに検出手段によって挟持手段の位置を検出し、さらに、検出手段による検出信号に基づいて、縫い始めに挟持手段が正規の第一移動位置に位置していないと判断手段が判断した場合には、駆動停止制御手段によってミシン自体の起動又は駆動が停止するようになっている。すなわち、縫い始め時の挟持手段が、正規の第一移動位置からずれた位置に配置されて第一針目の針と干渉する位置に配置されている場合等に、ミシンの起動又は駆動を停止させることができる。これにより、挟持手段が第一針目の針と干渉するのを防止でき、ひいては挟持手段が第一針目の針と干渉して針が折損又は損傷することを未然に防止できる。
【0022】
請求項7記載の発明は、例えば、図8、図9及び図11(a)(b)に示すように、
縫い始めに針に挿通されている上糸の端部を針板の下方で、かつ、前記針に対向する釜(105)の剣先(105a)の通過経路の上方で挟持するとともに、挟持した上糸の端部を針の上下動経路から離れた位置に移動させ、所定針数の針落ち後、挟持した上糸の端部を開放するミシンの上糸保持装置において、
上糸の端部を保持する保持部と、該保持部に対して挟持位置と開放位置とに相対的に移動して前記保持部との間で上糸の端部を挟持開放する挟持部とを備える挟持手段と、
前記挟持手段が針の上下動経路上に位置する第一移動位置と、前記挟持手段が前記第一移動位置から針の上下動経路に対して側方向に離間する第二移動位置と、前記挟持手段が前記第二移動位置より更に針の上下動経路から側方向に離間する第三移動位置と、前記挟持手段が前記第三移動位置より更に針の上下動経路から側方向に離間する第四移動位置とに前記挟持手段を移動可能として、縫い始めに第一移動位置から第二移動位置に移動して所定針数の針落ちの間停止した後、第二移動位置から第三移動位置を経て第四移動位置に移動し停止する移動手段と、
前記挟持手段が第一移動位置から第二移動位置に移動するときに針に挿通された上糸の端部を挟持するように前記挟持部を挟持位置に位置させ、第三移動位置において前記挟持部を開放位置に位置させるように、前記移動手段の移動に機械的に連動して前記挟持部を挟持位置と開放位置とに位置させる関連動作手段と、
を備え、
前記保持部が、第三移動位置において前記挟持部が前記開放位置に位置した後も、上糸の端部を係合するように構成されているとともに、
第四移動位置は、少なくとも、前記挟持手段の第三移動位置から第四移動位置の移動により前記保持部に係合した上糸の端部が、前記釜の剣先の通過経路から離間可能な位置であることを特徴とする。
【0023】
ここで、従来技術で(詳しくは図17及び図18を参照して)説明した特許2671478号公報の上糸保持装置において、本発明の挟持手段と対応する糸つかみは、上糸の端部を開放した状態で開放位置から移動しない構成となっており、これにより、糸つかみの透孔を挿通した上糸の端部が釜に引き抜かれ布に縫い込まれるといった不都合を生じる可能性があった。しかしながら、請求項7記載の発明では、挟持手段は、挟持した上糸の端部を第三移動位置で開放し、その後、上糸の端部を開放した状態で第三移動位置からさらに針の上下動経路から離間する第四移動位置に移動する。一方、このような挟持手段の移動に付随して、開放された上糸の端部も挟持手段の保持部に係合した状態で上糸の端部が釜の剣先の通過経路から離れる第四移動位置まで移動することになる。従って、請求項7記載の発明では、図11に示すように、挟持手段が上糸の端部Lを開放した後に、上糸の端部Lが釜105の剣先105aに引き込まれて布に縫い込まれていたとしても(図11(a)参照)、上糸の端部Lが保持部の移動によって引き抜かれ、さらに、釜105の剣先105aの通過経路から離間され、その後も釜105の剣先105aに引き込まれることの無いようにすることができる(図11(b)参照)。より詳しくは、挟持手段を第三移動位置から第四移動位置へ移動させることにより、上糸の端部Lを係合した保持部をさらに針の上下動経路から離間した方向に移動させ、布に縫い込まれた上糸の端部Lを略水平方向に引き抜くことができる。さらに、この第四移動位置は、縫い込まれた上糸の端部Lを引き抜くだけでなく、引き抜いた上糸の端部Lが釜105の剣先105aの通過経路から離間する位置に設定されているので、挟持手段の移動を第四移動位置で停止させ、縫製中は常にその位置を維持させておくことにより、縫製中は、二度と上糸の端部Lが釜105の剣先105aに捕捉されることは無く、この上糸の端部Lが布に縫い込まれるのを防止できる。これにより、上糸の端部が布に縫い込まれて所望の位置に縫い目が形成されないといった不都合を防止できる。また、この場合、第三移動位置において挟持部が開放位置に移動して上糸の端部を開放するので、従来技術で説明した特開2000−325683号公報の上糸保持装置のように、上糸の開放が天秤による糸の引き上げにより行われず、布が薄い場合において上糸開放時の天秤による張力のために布にシワが発生しやすいといった問題も解決できる。従って、縫製される布には縫製不備が生じないように挟持した上糸の端部を円滑に開放することができる。
【0024】
請求項8記載の発明は、例えば、図5及び図6〜図9に示すように、
請求項7記載のミシンの上糸保持装置において、
前記移動手段が、単一のアクチュエータを有し、前記挟持手段の第一移動位置から第二移動位置、第三移動位置を経て第四移動位置への移動が、前記単一のアクチュエータの駆動力によって行われることを特徴とする。
【0025】
請求項8記載の発明によれば、従来、複数のアクチュエータを用いても実現できなかった上糸の挟持及び開放と、開放後の上糸の端部を釜の剣先の通過経路から退避させるという一連の動作が、単一のアクチュエータにより実現することができ、これにより、上糸保持装置をよりコンパクトに構成することができるとともに、アクチュエータに係わるコストを抑えることができ、さらにアクチュエータに係わる制御もより簡単なものとすることができる。
【0026】
請求項9記載の発明は、例えば、図5及び図6〜図9に示すように、
請求項7又は8記載のミシンの上糸保持装置において、
上糸の糸切りを行う糸切り機構と、
前記挟持手段の位置を検出する検出手段(E)と、
前記糸切り機構により糸切りを行う際に、前記検出手段により検出される検出信号に基づいて、前記挟持手段が第四移動位置に位置しているか否かを判断する判断手段(CPU33)と、
前記判断手段により前記挟持手段が第四移動位置に位置していないと判断された場合、ミシン又は糸切り機構の駆動を停止させる糸切り停止制御手段(CPU33)と、
を備えることを特徴とする。
【0027】
請求項9記載の発明によれば、糸切り機構により糸切りを行う際に、検出手段による検出信号に基づいて、挟持手段が正規の第四移動位置に位置していないと判断手段が判断した場合には、糸切り停止制御手段によってミシン又は糸切り機構が停止するようになっている。すなわち、第四移動位置は、糸切り機構を構成する可動部材と挟持手段との干渉を防ぐことが可能な位置でもあるため、縫製終了時において、何らかの異常により挟持手段が糸切り機構を構成する可動部材と干渉する場合に、この第四移動位置に挟持手段が位置していないときには、ミシン又は糸切り機構を停止させることができる。これにより、挟持手段が糸切り機構を構成する可動部材と干渉するのを防止でき、ひいては挟持手段が糸切り機構を構成する可動部材と干渉して該可動部材が損傷すること等を未然に防止できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の上糸保持装置に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明の上糸保持装置は、種々のミシンに組み込まれる装置であって、縫い始めに針に挿通されている上糸の端部を針板の下方で挟持するとともに、挟持した上糸の端部を針の上下動経路から離れた位置に移動させ、所定針数の針落ち後、挟持した上糸の端部を開放するミシンの上糸保持装置に関するものである。
【0029】
以下、上糸保持装置に係る具体的な構成を説明する。
図1〜図5に示すように、上糸保持装置Aは、主に、前後方向に移動可能な移動手段Bと、移動手段Bの前後方向の移動に機械的に連動する関連動作手段Cと、上糸の端部を挟持(保持)しかつ挟持(保持)した上糸の端部を開放する挟持手段Dと、挟持手段Dの位置を検出する検出手段E(図6〜図9参照)と、検出手段Eからの検出信号に基づいて上糸保持装置Aの動作を制御する制御装置F(図5参照)と、から構成されている。
なお、上記した主要部の構成を説明するにあたって、本実施形態では、図中に示したXYZ軸によりそれぞれの方向を定め、特に、X軸方向における+側を右、−側を左;Y軸方向における+側を前、−側を後;Z軸方向における+側を上、−側を下と表現する。
【0030】
図1〜図4に示すように、移動手段Bは、ミシンの立胴部90側のミシンベッド91下方に固定されるステッピングモータ(以下「モータ」という。アクチュエータ)10と、回動腕部(以下「腕部」という。)11と、連結部材12と、を備えている。モータ10は、制御装置F(図5参照)から出力されるパルス信号に同期して所定角度ずつ回転する周知のステッピングモータである。腕部11の一端部は、モータ10の軸部10aに固定されており、腕部11の他端部には孔部11aが形成されている。モータ10が駆動して軸部10aが回転すると、腕部11は軸部10aを支点として回動する(図1及び図3中矢印L参照)ようになっている。
【0031】
また、連結部材12は、前後方向に延在する長尺な部材であって、前側及び後側にはそれぞれ孔部12a、12bが形成されている。そして、腕部11の孔部11aと連結部材12の孔部12bとが、段ネジ13により、摺動可能に固定されている。従って、腕部11が回動する(図1及び図3中矢印L参照)と、連結部材12は前後動する(図1〜図3中矢印M参照)ようになっている。
【0032】
図1及び図4に示すように、関連動作手段Cは、その主要部材として、ミシンフレームに固定されている糸掴み板土台(以下「土台」という。)1と、下部糸掴み板(以下「下板」という。第一移動部材)2と、上部糸掴み板(以下「上板」という。第二移動部材)3と、糸掴み土台蓋(以下「土台蓋」という。)4と、糸掴みカム板リンク(以下「カム板リンク」という。)7と、コイルバネ8と、コロ9と、を備えている。
【0033】
土台1には、その中央部に所定幅を有する溝部1aが前後方向に沿って形成され、さらに溝部1aには、孔部1bが前後方向に沿って形成されている。なお、溝部1aの幅は、下板2及び上板3の幅と略同じである。土台1の溝部1aの左右両側には、左孔部1c及び右孔部1dが前後方向に沿ってそれぞれ形成されている。ここで、これら左孔部1c及び右孔部1dは、互いに略平行に形成されているが、左孔部1c及び右孔部1dは互いに前後方向においてややずれた位置関係となっており、相対的に左孔部1cは前側に、右孔部1dは後側に形成されている。また、土台1の左側の縁部には、ネジ1eにより、コロ9が取り付けられている。
【0034】
下板2は、長尺でかつ略平板状の部材である。下板2の前端部2aには略四角形状の孔部2bが形成され、後端部2cにはスリット状の孔部2dが形成されている。なお、前端部2aの孔部2bは、針板50の針穴51(図6〜図9参照)の下方に位置した場合に、針52(図6(b)参照)が貫通する貫通孔となるものであって、以下、孔部2bを「貫通孔2b」という。下板2には、その略中央部2eから左側にやや突出する左突出片2fが設けられている。また、下板2において、中央部2e及び左突出片2fの下部には、前ピン2g及び左ピン2hがそれぞれ設けられている。
このような構成を備える下板2は、土台1の溝部1aにフィットするように土台1の上部に重なった状態となっている。この場合、下板2の前ピン2gは、土台1の孔部1bを挿通した状態でコイルバネ8の前掛け部8aに掛止し、一方、左ピン2hは土台1の左孔部1cを挿通してさらにカム板リンク7の左孔部7aをも挿通した状態で、ストッパ部材7bによりカム板リンク7に摺動可能に固定されている。
【0035】
上板3は、下板2よりもやや短い略平板状の部材である。上板3の前端部3aには、下方に突出するボス部3bが設けられている。また、上板3には、その略中央部3cから右側にやや突出する右突出片3dが設けられている。上板3において、後端部3e及び右突出片3dの下部には、後ピン3f及び右ピン3gがそれぞれ設けられている。
このような構成を備える上板3は、土台1の溝部1aにフィットするように下板2の上部に重なった状態となっている。この場合、上板3の後ピン3fは、上板2の孔部2d及び土台1の孔部1bを挿通した状態でコイルバネ8の後掛け部8bに掛止し、一方、右ピン3gは土台1の右孔部1dを挿通してさらにカム板リンク7の右孔部7cをも挿通した状態で、ストッパ部材7dによりカム板リンク7に摺動可能に固定されている。
【0036】
土台蓋4は、略平板状の部材であって、四つのネジ4aにより前側及び後側のそれぞれ二箇所の位置で土台1に固定されている。これにより、上述した下板2及び上板3は、土台1及び土台蓋4との間に挟まれ、下板2及び上板3のがたつきを防止できる構造となっている。
【0037】
カム板リンク7は、略左右方向に沿って配置される略平板状の部材である。カム板リンク7の左右両端部には左孔部7a及び右孔部7cが形成されており、上述したように、これらの孔部7a、7cに下板2の左ピン2h及び上板3の右ピン3gが挿通されている。カム板リンク7の下部には、カム板ピン7eが設けられており、カム板ピン7eは、連結部材12の前端部に形成された円形の孔部12aに摺動可能に嵌合されている。従って、モータ10の駆動力により連結部材12が前後方向(図1〜図3中矢印M参照)に沿って移動すると、その前後動をカム板リンク7に伝達することができるようになっている。なお、詳細な説明は後述する上糸保持装置Aの動作の説明にて行うが、モータ10の駆動力からのカム板リンク7への伝達に伴い、関連動作手段Cの各部材が連動するようになっている。
また、カム板リンク7の左縁部には、コロ9の外周面に対応するようにやや湾曲したカム形状部7fが設けられている。なお、詳細な説明は後述する上糸保持装置Aの動作の説明にて行うが、このカム形状部7fに、土台1の左側の縁部に取り付けられたコロ9の外周面が接触するようになっている。
【0038】
コイルバネ8は、下板2及び上板3の前後方向の移動を規制する部材である。具体的に、図2に示すように、コイルバネ8の前掛け部8a及び後掛け部8bそれぞれは、下板2の前ピン2g及び上板3の後ピン3fに掛止されている。このコイルバネ8は、前ピン2gと後ピン3fとが前後に離れるように移動すると、これら前ピン2g及び後ピン3fが互いに近づくように付勢する。従って、下板2及び上板3は、このコイルバネ8の付勢力によって、互いに前後方向に接近するように付勢されていることになる。なお、同図に示すように、コイルバネ8は、カム板リンク7の下方に配置されるとともに、平面視してカム板リンク7と交差するように配置されている。
【0039】
図1に示すように、挟持手段Dは、貫通孔2bを挿通した上糸の端部を所定の位置にガイドするガイド部材6と、貫通孔2bを挿通した上糸の端部を挟持するための挟持部材5と、を備えている。
【0040】
ガイド部材6は、両側が内側に凹んだテーパ状の誘導部(誘導壁6a)を有する部材であって、二つのネジ6bにより下板2の前端部2a、具体的には下板2の貫通孔2bより前側縁側に固定されている。なお、詳細な説明は後述する上糸保持装置Aの動作の説明にて行うが、下板2の貫通孔2bに上糸の端部が挿通した状態においては、この上糸の端部は、下板2の後側への移動に伴いガイド部材6の誘導壁6aにガイドされる。そして、この上糸の端部は、貫通孔2bの前壁2iに係合した状態で保持されることになる。すなわち、貫通孔2bの前壁2iが、上糸の端部を保持する保持部としての機能を有することになる。
【0041】
挟持部材5は、上板3の前端部3aに取り付けられる部材である。詳しくは、挟持部材5の後端部5aには、円形の孔部5bが形成されており、この孔部5bが上板3のボス部3bと嵌合する。この場合、挟持部材5は、ボス部3bを支点として回動可能となる(図1中矢印K参照)。すなわち、挟持部材5は上板3に対して回動可能に支持される状態となる。また、挟持部材5の前端部5cには、下方にやや突出する突起部5dが設けられている。この突起部5dは、孔部5bを上板3のボス部3bに嵌合させた場合に、下板2の前端部2aに形成された貫通孔2bに入り込むようになっている。なお、突起部5dの幅は下板2の貫通孔2bの幅よりやや小さいので、挟持部材5が上板3に対して回動した場合には、突起部5dの左右両端が誘導壁6aにぶつかり、挟持部材5の回動が規制される構造となっている。逆に言えば、挟持部材5の突起部5dには、貫通孔2b内において左右方向にやや遊びが設けられている。そして、下板2に対して上板3が相対的に前側に移動した場合には、挟持部材5は、上板3のボス部3bを支点として回動しながら前記誘導壁6aに案内されて前側に移動するとともに挟持部材5の突起部5dが貫通孔2bの前壁2iの中央部に当接するようになっている。これにより、貫通孔2bを挿通した状態の上糸の端部を挟持できるようになっている。すなわち、挟持部材5の突起部5dが、上糸の端部を挟持する挟持部としての機能を有することになる。
【0042】
なお、上述したように、本実施の形態では、二つのネジ6bでガイド部材6を下板2に固定することで、貫通孔2bの前壁2iとガイド部材6とを一体として保持部を形成する構成としたが、ガイド部材6を設けずに貫通孔2bの前側の形状をテーパ状に形成して、誘導壁を設ける構成としてもよい。このとき、挟持部材5の突起部5dも貫通孔2bの前側の形状に対応するようにテーパ状に形成する必要がある。
また、本実施の形態では、上糸の端部が挿通される部分は、貫通孔2bに対応する開口であるが、この部分がフックとされていてもよい。
【0043】
なお、図4に示すように、上述した移動手段B、関連動作手段C及び挟持手段Dはミシンベッド91の内部に配置されるが、関連動作手段C及び挟持手段Dは針板50の下方に配置され、また、移動手段Bのモータ10はミシンの立胴部90の下方に配置されている。すなわち、移動手段Bと関連動作手段Cとが、ミシンベッド91の内部において針板50側と立胴部90側とで連結部材12により橋渡しされたような状態となっている。
【0044】
また、図面を参照して詳細には説明しないが、針板50(図4及び図6〜図9参照)の下方には、上糸の端部を挿通した針52(図4及び図6参照)の下降時に上糸ループを捕捉して下糸と絡ませる剣先を備えた釜を有する周知の釜機構及び縫製終了時に上糸及び下糸の少なくとも一方を切断する糸切り機構等が設けられている。
【0045】
図6〜図9に示すように、検出手段Eは、センサスリット板(以下「スリット板」という。)20と、初期位置検出センサ(以下「初期センサ」という。)21と、退避位置検出センサ(以下「退避センサ」という。)22とを備えている。
【0046】
スリット板20は、連結部材12に固定されており、連結部材12とともに前後動する部材である。スリット板20は、初期センサ21によって挟持手段Dが初期位置(挟持手段Dの最前位置)に位置しているか否かが検出される第一被検出部20aと、挟持手段Dが退避位置(挟持手段Dの最後位置)に位置しているか否かが検出される第二被検出部20bとを備えている。
【0047】
初期センサ21は、ミシンフレームに固定されかつ発光素子と受光素子とを備える公知の光学センサであって、スリット板20の前後動に伴い、第一被検出部20aが初期センサ21の光線21aを(i)遮蔽するときON状態(ii)遮蔽しないときOFF状態となる。そして、初期センサ21は、ON状態か又はOFF状態かを示す検出信号を制御装置Fに出力する。
また、退避センサ22は、初期センサ21と同様に、ミシンフレームに固定されかつ発光素子と受光素子とを備える公知の光学センサであって、スリット板20の前後動に伴い、第二被検出部20bが退避センサ22の光線22aを(i)遮蔽するときON状態(ii)遮蔽しないときOFF状態となる。そして、退避センサ22は、ON状態か又はOFF状態かを示す検出信号を制御装置Fに出力する。
【0048】
図5に示すように、制御装置Fは、上述した各部材の動作を制御するものである。具体的に、制御装置Fは、その基本構成として、図5に示すように、ROM30、RAM31、EEPROM32及びCPU33を備えている。
【0049】
ROM30は、予めミシン制御するための縫製プログラム及び該縫製プログラムで使用されるデータ等を記憶しているものである。
RAM31は、ROM31から読み出したデータ及び縫製プログラムに基づいてCPU33により算出されたデータ等を記憶するものである。
EEPROM32は、後述する操作パネル34aから設定されたデータ等を記憶するものである。
【0050】
CPU33は、RAM31を作業領域としてROM30に格納された縫製プログラムに基づく各種の演算処理を行うものである。
具体的には、CPU33は、インターフェース34を介して操作パネル34aに接続されており、操作パネル34aから入力されるデータに基づき縫製データの選択及び変更を行う。
また、CPU33は、インターフェース34を介して布押えスイッチ34b及びスタートスイッチ34cと接続されており、布押えスイッチ34b及びスタートスイッチ34cから指示信号が入力された場合に、前述の縫製データに基づき、布押え機構、布送り機構、駆動機構、糸切り機構等のその他の縫製に係る機構を制御して、縫製を行わせる処理を行う。
【0051】
また、CPU33は、インターフェース35を介して、主軸モータ35aを駆動する主軸モータ駆動回路35bに接続され、主軸モータ35aの回転を制御することにより、駆動機構(例えば、針52が取り付けられた針棒等)の動作を制御する。なお、主軸モータ35aはエンコーダを備えており、主軸モータ35aのエンコーダからインターフェース35cを介してCPU33に入力されるパルス信号によって、CPU33は主軸モータ35aの回転角度を認識でき、第一針目の針が布に対して針落ちして上昇したか否かを認識することができる。
また、CPU33は、インターフェース36及びインターフェース37を介して、縫製すべき布の布送り機構に備えられるX軸モータ36a及びY軸モータ37aをそれぞれ駆動するX軸モータ駆動回路36b及びY軸モータ駆動回路37bが接続され、布送り機構のX軸方向及びY軸方向の動作を制御する。
【0052】
また、CPU33は、インターフェース38を介して、糸切り機構及び布押え機構に備えられる糸切り、布押えモータ38aを駆動する糸切り、布押えモータ駆動回路38bが接続され、糸切り機構及び布押え機構の動作を制御する。
また、CPU33は、インターフェース39を介して、上述した移動手段Bのモータ10を駆動する上糸保持モータ駆動回路39aが接続され、後述するようなモータ10の動作を制御する。
【0053】
また、CPU33は、インターフェース40を介して、布送り機構に備えられた布送り台(図示しない)の原点位置(布送り台の初期位置)を検出するためのX軸原点センサ40a及びY軸原点センサ40bに接続され、布送り台が原点位置に戻っているか否かを示す信号を入力されて、該信号に基づく制御を行う。
また、CPU33は、インターフェース40を介して、糸切り機構及び布押え機構に備えられた糸切り部材及び布押え部材(図示しない)の原点位置(糸切り部材及び布押え部材の初期位置)を検出するための糸切り、布押え原点センサ40cに接続され、糸切り部材及び布押え部材が原点位置に戻っているか否かを示す信号を入力されて、該信号に基づく制御を行う。
【0054】
また、CPU33は、インターフェース40を介して、検出手段Eとしての前述した初期センサ21及び退避センサ22に接続され、挟持手段Dが正規の位置に位置しているか否かを示す検出信号を入力されて、該検出信号に基づく制御を行う。
【0055】
次に、布に縫製を行う際の上記した上糸保持装置Aに係る各部材の動作を説明する。
まず、図6を参照して、縫製開始前から縫製開始直後にかけての移動手段B、関連動作手段C、挟持手段D及び検出手段Eを構成する各部材の動作を説明する。
【0056】
各部材の動作は、以下に示すとおりである。
(O1)腕部11は、モータ10の回転により軸部10aを支点として、所定角度をもって前側に回動する(図6(a)中矢印L0参照)。また、段ネジ13により腕部11に摺動可能に固定された連結部材12も、前側に移動(以下「前移動」という。)する(図6(a)中矢印M0参照)。
【0057】
(O2)連結部材12とピン結合しているカム板リンク7は、連結部材12の前移動に伴い全体として前移動する。
【0058】
(O3)カム板リンク7とピン結合している上板3の右ピン3gは、カム板リンク7の前移動に伴い、土台1の右孔部1dに沿って前移動して右孔部1dの前壁にぶつかり(係止し)、右ピン3gの前移動が規制された状態となる。この場合、右ピン3gと一体とされた上板3も前移動し、上板3は最前位置に位置する。
【0059】
(O4)カム板リンク7とピン結合している下板2の左ピン2hは、カム板リンク7の前移動に伴い、土台1の左孔部1cに沿って前移動する。この際、土台1の左孔部1cと右孔部1dとでは、相対的に左孔部1cの方が右孔部1dよりやや前方に形成されているので、上板3の右ピン3gの方が下板2の左ピン2hより早く左孔部1dの前壁にぶつかり(O3の状態)、その後は、下板2の左ピン2hは、上板3の右ピン3gを支点とするように土台1の左孔部1cに沿って、前移動する。そして、この左ピン2hの前移動、すなわち下板2の前移動は、下板2の貫通孔2bが針板50の針穴51直下の所定の最前位置に到達するまで続けられ、その時点で制御手段Fがモータ10を停止させることにより停止する。なお、土台1の左孔部1cの前方向の長さは、左ピン2hが前記最前位置に到達したときも左孔部1cの前壁とぶつからないように余裕を持った適当な大きさに形成され、左ピン2hが左孔部1cの前壁にぶつかってモータ10が脱調するのを防いでいるとともに、万一、モータ10が脱調した場合における連結部材12の不都合な移動を規制して上糸保持装置の機構を保護している。
【0060】
(O5)下板2及び上板3が最前位置に位置するとき、下板2の前ピン2gと上板3の後ピン3fは、互いにコイルバネ8の付勢力に抗して離間した状態となる。なお、この場合、コイルバネ8の付勢力により下板2の前ピン2gと上板3の後ピン3fとが互いに前後方向に近づくように付勢されているが、コイルバネ8の付勢力よりもモータ10の駆動力のほうが大きいので、下板2は、コイルバネ8の付勢力に抗して、最前位置に位置することができる。
【0061】
(O6)また、下板2及び上板3が最前位置に位置するとき、下板2の貫通孔2bにおける前壁2iと、上板3の前端部3aに取り付けられた挟持部材5の突起部5dとが離間しており、貫通孔2bが開いた状態となる。このとき、貫通孔2bと針板50の針穴51とが上下に重なった状態となっており、縫製開始後の第一針目の針52がこれら貫通孔2b及び針板50の針穴51を貫通して上下動できるようになる。
【0062】
(O7)連結部材12が前移動した状態となり、初期センサ21及び退避センサ22は、ともにOFF状態となる。
【0063】
なお、各部材が上記(O1)〜(O7)に示した状態となる位置は、挟持手段Dが針52の上下動経路上に位置する位置であって、以下の説明では、この位置を各部材の「第一移動位置」又は「初期位置」という。また、この「第一移動位置」又は「初期位置」では、貫通孔2bの前壁2iと挟持部材5の突起部5dとが離間した状態なので、挟持手段Dは、「開放位置」に位置することになる。
【0064】
(O8)そして、各部材が「第一移動位置」に位置すると、上糸の端部が挿通されている第一針目の針52が、針穴51及び貫通孔2bを貫通するように上下動する。なお、上糸の端部は、針52が下降したとき釜105(図11参照)によって下方に引き出され、その後、針52が上昇したときには、貫通孔2b及び針穴51に挿通された状態で垂れ下がった状態となる。
【0065】
次に、図7を参照して、縫製開始後(第一針目の針52の上下動後)における移動手段B、関連動作手段C、挟持手段D及び検出手段Eを構成する各部材の動作を説明する。
【0066】
各部材の動作は、以下に示すとおりである。
(P1)腕部11は、モータ10の回転により軸部10aを支点として、所定角度をもって後側に回動する(図7(a)中矢印L1参照)。また、段ネジ13により腕部11に摺動可能に固定された連結部材12も、後側に移動(以下「後移動」という。)する(図7(a)中矢印M1参照)。
【0067】
(P2)連結部材12とピン結合しているカム板リンク7は、連結部材12の後移動に伴い全体として後移動する。
【0068】
(P3)カム板リンク7が後移動を始めると、上板3は、コイルバネ8の付勢力によって上板3の後ピン3fが前方に引っ張られて上板3の右ピン3gが土台1の右孔部1dの前壁とぶつかったままであるので、最初、後移動せず、下板2のみが後移動を開始する。そして、互いに離間していた前ピン2g及び後ピン3f(O5参照)は、カム板リンク7の後移動に伴い、下板2の前ピン2g及び上板3の後ピン3fに掛止されたコイルバネ8の付勢力によって互いに近づき、これらピンと一体とされた下板2及び上板3もやや後移動する。
なお、上板3も下板2との距離が小さくなるにつれて、徐々に後移動をするようになるが、下板2の後移動量の方が大きいため、上板3と下板2とは互いに接近する。
【0069】
(P4)上板3の右ピン3gは、上板3の後移動に伴い、土台1の右孔部1dとの規制(O3参照)が解除されるとともに土台1の右孔部1dに沿ってやや後移動する。この場合、上板3の右ピン3g及び下板2の左ピン2hの両ピンがピン結合したカム板リンク7は、前後方向に対して略直交した状態となり、この時点では、上板3も下板2も略同量ずつ移動する。
【0070】
(P5)下板2及び上板3が後移動する場合、下板2及び上板3が後移動を開始してからは、下板2の後移動量の方が上板3の後移動量よりも大きいので(P4参照)、下板2の貫通孔2bの前壁2i及び前端部2aに固定されたガイド部材6は、上板3の前端部3aに取り付けられた挟持部材5に近づくように後移動する。この場合、挟持部材5の突起部5dと下板2の貫通孔2bにおける前壁2iとが互いに当接する状態となり、貫通孔2bが閉じた状態となる。そして、貫通孔2bが閉じる際に、開いた状態の貫通孔2bに挿通された上糸の端部が、突起部5dと前壁2iとの間に挟持される。
【0071】
ここで、貫通孔2bが閉じる際に、貫通孔2bに挿通された上糸の端部は、ガイド部材6の誘導壁6aに係合しながら前壁2iの中央部に誘導されるようになっている。また、挟持部材5の突起部5dには貫通孔2b内において左右方向にやや遊びが設けられた状態で挟持部材5は上板3に対して回動可能に支持されているので、突起部5dは前壁2iに対して左右にやや揺動しながら前壁2iに当接する。このような構成により、突起部5dと前壁2iとを強制的に当接するためにコイルバネ8の付勢力を大きくする必要は無く、突起部5dと前壁2iとの間で柔軟かつ確実に上糸の端部を挟持できるようになっている。
【0072】
なお、この場合、上述した保持部としての機能を有する貫通孔2bの前壁2iに対して、上述した挟持部としての機能を有する挟持部材5の突起部5dが相対的に移動して上糸の端部を挟持するので、挟持手段Dは、「挟持位置」に位置することになる。
【0073】
(P6)そして、挟持部材5の突起部5dと貫通孔2bの前壁2iとの間に上糸の端部を挟持した状態で、挟持手段Dはさらにやや後移動して、上糸保持装置Aは不動状態となる。この状態において、針52(図6参照)による所定針数(例えば、2〜3針)の針落ちが行われる。
【0074】
(P7)連結部材12の後移動に伴い、スリット板20の第一被検出部20aが初期センサ21の光線21aを遮蔽し、初期センサ21はON状態となる。この場合、退避センサ22はOFF状態のままとなっている。
【0075】
なお、各部材が上記(P1)〜(P7)に示した状態となる位置は、挟持手段Dが上糸の端部を挟持する「挟持位置」を経由して、挟持手段Dが針52の上下動経路に対して側方向に離間する位置であって、以下の説明では、この位置を各部材の「第二移動位置」又は「保持位置」という。
【0076】
次に、図8を参照して、上糸の端部の挟持(保持)後における移動手段B、関連動作手段C、挟持手段D及び検出手段Eを構成する各部材の動作を説明する。
【0077】
各部材の動作は、以下に示すとおりである。
(Q1)腕部11は、モータ10の回転により軸部10aを支点として、所定角度をもって後側に回動する(図8(a)中矢印L2参照)。また、段ネジ13により腕部11に摺動可能に固定された連結部材12も、後移動する(図8(a)中矢印M2参照)。
【0078】
(Q2)連結部材12とピン結合しているカム板リンク7は、連結部材12の後移動に伴い全体として後移動する。そして、所定の後移動量を超えたところで、カム板リンク7のカム形状部7fは、コロ9の外周面と接触する。
【0079】
(Q3)カム板リンク7の後移動に伴い、下板2の左ピン2h及び上板3の右ピン3gも、土台1の左孔部1c及び右孔部1dに沿ってやや後移動する。この場合、下板2の左ピン2h及び上板3の右ピン3g両方ともが後移動するので、これらピンと一体とされた下板2及び上板3もやや後移動する。
【0080】
ここで、カム板リンク7が所定の後移動量を超えると、カム形状部7fはコロ9の外周面と接触するようになっているので(Q2参照)、この接触部を支点とするように、上板3の右ピン3gは後移動する。この場合、カム形状部7fとコロ9の接触により下板2の左ピン2hにおける後移動は、やや規制されるので、右ピン3gの後移動量の方が左ピン2hの後移動量よりも大きくなる。従って、右ピン3g及び左ピン2hが一体とされた上板3及び下板2の後移動量に関しても、上板3の後移動量の方が下板2の後移動量よりも大きくなる。
【0081】
(Q4)下板2及び上板3が後移動する場合、上板3の後移動量の方が下板2の後移動量よりも大きいので(Q3参照)、上板3の前端部3aに取り付けられた挟持部材5の突起部5d(P5参照)も、前壁2iから離間するように後移動するため、貫通孔2bがやや開いた状態となる。要約すると、下板2及び上板3の両板が後移動しつつ、貫通孔2bが閉じた状態からやや開いた状態となる。そして、この場合に、挟持部材5の突起部5と貫通孔2bの前壁2iとの間に挟持されていた上糸の端部(P5及びP6参照)が開放される。
【0082】
(Q5)連結部材12の後移動に伴いスリット板20も後移動するが、第二被検出部20bが退避センサ22の光線22aを遮蔽するほどにはスリット板20は後移動していない。従って、この場合、初期センサ21はON状態のままであり、また、退避センサ22もOFF状態のままである。
【0083】
なお、各部材が上記(Q1)〜(Q5)に示した状態となる位置は、挟持手段Dが「第二移動位置」より更に針52(図6(b)参照)の上下動経路から側方向に離間する位置であって、以下の説明では、この位置を各部材の「第三移動位置」という。この「第三移動位置」では、上述した保持部としての機能を有する貫通孔2bの前壁2iに対して、上述した挟持部としての機能を有する挟持部材5の突起部5dが相対的に移動して上糸の端部を開放するので、挟持手段Dは、「開放位置」に位置することになる。
【0084】
次に、図9を参照して、上糸の端部の開放後における移動手段B、関連動作手段C、挟持手段D及び検出手段Eを構成する各部材の動作を説明する。
【0085】
各部材の動作は、以下に示すとおりである。
(R1)腕部11は、モータ10の回転により軸部10aを支点として、所定角度をもってさらに後側に回動する(図9(a)中矢印L3参照)。また、段ネジ13により腕部11に摺動可能に固定された連結部材12も、さらに後移動する(図9(a)中矢印M3参照)。
【0086】
(R2)連結部材12とピン結合しているカム板リンク7は、連結部材12の後移動に伴い全体としてさらに後移動する。この場合、カム板リンク7のカム形状部7fがコロ9の外周面と接触し続けながら、カム板リンク7は後移動する。
【0087】
(R3)カム板リンク7のさらなる後移動に伴い、下板2の左ピン2h及び上板3の右ピン3gも、土台1の左孔部1c及び右孔部1dに沿ってさらに後移動する。この場合、左ピン2h及び右ピン3g両方ともが後移動するので、これらピンと一体とされた下板2及び上板3もさらに後移動する。
【0088】
ここで、左ピン2h及び右ピン3gの後移動の際に、カム板リンク7のカム形状部7fがコロ9に接触すること、及び、土台1の左孔部1cと右孔部1dとで相対的に右孔部1dの方が左孔部1cよりやや後側に形成されていることから、上板3の右ピン3gは、カム形状部7fとコロ9との接触点を支点とするように後移動するので、右ピン3gの後移動量も左ピン2hより大きくなる。この場合、左ピン2h及び右ピン3gの両ピンがピン結合したカム板リンク7は、左右方向に対してやや傾斜した状態となる。
そして、左ピン2hは、土台1の左孔部1cの後壁にぶつかり(係止し)、左ピン2hの後移動が規制された状態となる。また、右ピン3gの後移動は、所定の最後位置で、制御手段Fがモータ10を停止することにより停止する。なお、土台1の左孔部1dの後方向の長さは、右ピン3gが前記最後位置に到達したときも右孔部1dの後壁とぶつからないように余裕を持った適当な大きさに形成され、右ピン3gが右孔部1dの後壁にぶつかってモータ10が脱調するのを防いでいるとともに、万一、モータ10が脱調した場合における連結部材12の不都合な移動を規制して上糸保持装置の機構を保護している。この場合、左ピン2h及び右ピン3gと一体とされた下板2及び上板3は、最後位置に位置することになる。
【0089】
(R4)下板2及び上板3が最後位置に位置しているとき、下板2の前ピン2gと上板3の後ピン3fは、互いにコイルバネ8の付勢力に抗して離間した状態となる。なお、この場合、コイルバネ8の付勢力により下板2の前ピン2gと上板3の後ピン3fとが互いに近づくように付勢されているが、コイルバネ8の付勢力よりもモータ10の駆動力のほうが大きいので、上板3は、コイルバネ8の付勢力に抗して、最後位置に位置することができる。
【0090】
(R5)また、下板2及び上板3が最後位置に位置しているとき、下板2の貫通孔2bにおける前壁2iと、上板3の前端部3aに取り付けられた挟持部材5の突起部5dとがさらに離間し、貫通孔2bがやや開いた状態(Q4参照)から全開した状態となる。このとき、上糸及び縫製に係る糸の糸切りを行う糸切り機構の糸切りメス(図示しない)等と上糸保持装置Aの部材とが接触することはなく、糸切りメス等が損傷する等の不都合は生じないようになっている。
【0091】
(R6)連結部材12のさらなる後移動に伴い、スリット板20の第二被検出部20bが退避センサ22の光線22aを遮蔽し、退避センサ22はON状態となる。この場合、初期センサ21及び退避センサ22の両センサがON状態となる。
【0092】
なお、各部材が上記(R1)〜(R6)に示した状態となる位置は、挟持手段Dが「第三移動位置」より更に針52(図6(b)参照)の上下動経路から側方向に離間する位置であって、以下の説明では、この位置を各部材の「第四移動位置」という。この「第四移動位置」では、挟持手段Dは、針52(図6(b)参照)の上下動経路から最も後側に退避する「退避位置」に位置することになる。この「退避位置」(第四移動位置)は、「開放位置」において開放され、保持部(前壁2i)と挟持部(突起部5d)との間に通されて、保持部(前壁2i)に係合する上糸の端部を釜の剣先の移動経路から離間させるのに十分な距離に針の上下動経路に対して離間して設定されている。従って、図11に示すように、挟持手段Dが「開放位置」(第三移動位置)から「退避位置」(第四移動位置)に移動する際に、挟持手段Dが「保持位置」に停止しているとき釜105の剣先105aによって布103に縫い込まれた上糸の端部L(図11(a)参照)を、保持部に係合させた状態で後方に引くことにより、布103から引き抜いて釜105の剣先105aの通過経路から離間させることができる(図11(b)参照)。
【0093】
(R7)そして、挟持手段Dが「開放位置」から「退避位置」に移動する際に、開放された状態の上糸の端部を、釜105の剣先105aの通過経路から離間させて、布103から出た上糸が貫通孔2bを経て、再び布103に縫い込まれるのを防止することができる。
また、「退避位置」を上記した位置よりもさらに針52の上下動経路から離れた位置として、上糸の端部が貫通孔2bから抜け出るようにすれば、その後形成される縫い目に縫い込ませることも可能となる。この場合、上糸は貫通孔2bを通らないので、図18(a)(b)に示すようなループWが形成されることはない。
なお、ミシンが縫製終了時に上糸或いは下糸を切断する糸切りを行う周知の糸切り機構(図示しない。)を備えている場合は、通常糸切り機構の可動刃は、糸切りの際、針板50の針穴51の直下を通過するため、挟持手段Dが「保持位置」(第二移動位置)の近傍より針52の上下動経路側に位置すると、可動刃と挟持手段Dが干渉する可能性があるが、糸切り機構の動作中は、挟持手段Dを「退避位置」に位置させておくことによりこの干渉を防ぐことができる。
【0094】
ここで、図4を参照して説明したように、ミシンベッド91の内部において挟持手段Dは針板50側に配置されており、また、移動手段Bのモータ10はミシンの立胴部90側に配置されているので、挟持手段Dの「第一移動位置」から「第四移動位置」への移動方向は、針52(図6(b)参照)の上下動方向と略直交する方向で、かつ、ミシンの立胴部90に向かう方向となる。
【0095】
次に、図10に示すフローチャートを参照して、上糸保持装置Aを備えるミシン動作を説明する。
まず、スタートスイッチ34cからの指示信号がCPU33に入力されると、縫製が開始される。
【0096】
その後、初期センサ21は、ON状態であるか又はOFF状態であるかを示す検出信号をCPU33に出力する。
その後、CPU33は、縫い始めに、初期センサ21からの検出信号に基づいて、挟持手段Dが「第一移動位置」に位置しているか否かを判断する(ステップS1)。CPU33が、挟持手段Dは「第一移動位置」に位置していないと判断した場合(すなわち、初期センサ21がON状態の場合)には、CPU33は、布押え機構、布送り機構、駆動機構、糸切り機構等のその他の縫製に係る機構の各部材を駆動するアクチュエータ(X軸モータ36a、Y軸モータ37a、糸切り、布押えモータ38a等)に停止信号を出力するエラー処理を行う(ステップSa1)とともに、主軸モータ35aにも停止信号を出力してミシンの起動又は駆動を停止させる(ステップSa2)。
【0097】
ステップS1処理において、CPU33が、挟持手段Dは「第一移動位置」に位置していると判断した場合(すなわち、初期センサ21がOFF状態の場合)には、主軸モータ35aが駆動され、第一針目の針52が布に対して下降する(ステップS2)。
その後、主軸モータ35aのエンコーダから、第一針目の針52が布に対して上昇したか否かを示すエンコーダ信号が、CPU33に入力される。CPU33は、該エンコーダ信号に基づき、第一針目の針52が布から抜け出したかを判断する(ステップS3)。CPU33は、第一針目の針52が布から抜け出していないと判断した場合、主軸モータ35aのエンコーダから第一針目の針52が布から抜け出した旨のエンコーダ信号が入力されるまでステップS3処理を繰り返す。
一方、ステップS3処理において、CPU33は、第一針目の針52が布から抜け出したと判断した場合、移動手段Bのモータ10に駆動信号を出力し、モータ10の駆動力により、挟持手段Dは「第一移動位置」から「挟持位置」を経由して「第二移動位置」に移動する(ステップS4)。
【0098】
その後、初期センサ21は、ON状態であるか又はOFF状態であるかを示す検出信号をCPU33に出力する。
その後、CPU33は、初期センサ21からの検出信号に基づいて、初期センサ21がON状態となっているか否かを判断する(ステップS5)。CPU33が、挟持手段Dは「第二移動位置」に位置していないと判断した場合(すなわち、初期センサ21がOFF状態の場合)には、CPU33は、ステップS1処理における否定判断の場合と同様にエラー処理を行う(ステップSa1、ステップSa2)。
【0099】
ステップS5処理において、CPU33が、挟持手段Dは「第二移動位置」に位置していると判断した場合(すなわち、初期センサ21がON状態の場合)には、各部材の「第二移動位置」において主軸モータ35aが回転して第二針目以降の縫製が行われる(ステップS6)。そして、CPU33は、所定針数(例えば、2〜3針)の針落ちが行われたか否かを判断する(ステップS7)。CPU33は、所定針数の縫製が行われていないと判断した場合、ステップS7処理を繰り返す。
そして、CPU33は、所定針数の針落ちが行われたと判断した場合、移動手段Bのモータ10に駆動信号を出力し、モータ10の駆動力により、挟持手段Dは「第二移動位置」から「第三移動位置」に移動し、さらに「第四移動位置」に移動する(ステップS8)。
その後、退避センサ22は、ON状態であるか又はOFF状態であるかを示す検出信号をCPU33に出力する。
【0100】
その後、CPU33は、針52による縫製が終了したか否かを判断する(ステップS9)。CPU33は、針による縫製が終了していないと判断した場合、ステップS9処理を繰り返す。
そして、CPU33は、針による縫製が終了したと判断した場合、退避センサ22からの検出結果に基づいて、挟持手段Dが「第四移動位置」に位置しているか否かを判断する(ステップS10)。CPU33が、挟持手段Dは「第四移動位置」に位置していないと判断した場合(すなわち、退避センサ22がOFF状態の場合)には、CPU33は、布押え機構、布送り機構、駆動機構、糸切り機構等のその他の縫製に係る機構を駆動する各種アクチュエータ(主軸モータ35a、糸切り、布押えモータ38a等)に停止信号を出力して、ミシン又は糸切り機構の駆動を停止させる(ステップSb1)。
【0101】
ステップS10処理において、CPU33が、挟持手段Dは「第四移動位置」に位置していると判断した場合(すなわち、退避センサ22がON状態の場合)には、CPU33は、糸切り機構の糸切りモータ38aに駆動信号を出力し、糸切りモータ38aの駆動力により、糸切り機構による上糸及び縫製に係る糸の糸切りが行われる(ステップS11)。
その後、CPU33は、移動手段Bのモータ10に駆動信号を出力し、モータ10の駆動力により、挟持手段Dは「第四移動位置」から「第一移動位置」に移動する(ステップS12)。
【0102】
そして、これらステップS1処理〜ステップS12処理(ステップSa1処理、ステップSa2処理及びステップSb処理を含む。)を経ることにより、上糸保持装置Aを備えるミシンの縫製に係る一サイクルが終了する。
【0103】
以上、本実施の形態に係る上糸保持装置Aによれば、以下の作用効果を奏することになる。
●挟持手段Dは、「第一移動位置」から「第二移動位置」に移動する際に、第一針目の針に挿通された上糸の端部を、保持部としての機能を有する貫通孔2bの前壁2iにより保持し、かつ、貫通孔2bの前壁2iと挟持部材5の突起部5dとの間に挟持するが、このような動作を単一のアクチュエータとなる移動手段Bのモータ10により実現できる。逆に言えば、複数のアクチュエータを用いること無く単一のアクチュエータとなるモータ10のみで上糸の端部を挟持(保持)することができる。これにより、上糸の端部を挟持(保持)するためのアクチュエータに係るコストをなるべく抑えることができ、該アクチュエータに係る制御もより簡単なものとすることができる。
【0104】
●本実施の形態では、単一のアクチュエータとなるモータ10をミシンの立胴部側のミシンベッド下方に配設し、かつ、関連動作手段C及び挟持手段Dを針52の上下動経路側に配設して、モータ10と関連動作手段Cとを連結部材12により連結するといった構成となっている。そして、モータ10を作動させると腕部11を介してモータ10に連結された連結部材12は、針52の上下動経路側に向かう方向又はミシンの立胴部側に向かう方向に進退移動し、(モータ10の移動量を制御することで)立胴部側から挟持手段Dの動作を制御する構成となっている。ここで、関連動作手段C及び挟持手段Dは小さな部材の集合体となる小型化されたもの(実際には、手のひらに容易に載置できる程度のもの)であって、また、連結部材12も長尺な部材である。従って、ミシンベッドの縫製部分が細長状(略円筒状)に形成され、かつ、針板50の下方にアクチュエータ分のスペースを確保できない所謂「シリンダベッドミシン」において、アクチュエータとなるモータ10を立胴部側に配設するとともに細長状のシリンダベッド部の長さ方向に略沿って連結部材12をシリンダベッド部内に配設し、小型化された関連動作手段C及び挟持手段Dを針板の下方に配設することにより、本発明の上糸保持装置Aをシリンダベッドミシンにも適用できる。
【0105】
●本実施の形態では、針52による第一針目の針落ち後に、挟持手段Dが「第一移動位置」から「第二移動位置」に移動する際に上糸の端部を挟持(保持)し、「第二移動位置」に停止した状態で、所定針数の針落ちが行われる構成となっている。ここで、挟持手段Dが「第二移動位置」に停止しているとき、挟持された上糸の端部は、針板50の下方に垂れ下がって釜に引き込まれ布に縫い込まれる可能性がある。しかしながら、挟持手段Dは、上糸の端部を挟持した状態で「第二移動位置」から針52の上下動経路から側方向に離間する「第三移動位置」に移動するので、挟持手段Dが「第二移動位置」に停止しているとき上糸の端部が布に縫い込まれていたとしても、この縫い込まれた上糸の端部を引き抜いて、釜の剣先の通過経路から離間させることができる。すなわち、挟持手段Dが「第三移動位置」に移動して上糸の端部を開放する前において、上糸の端部が布に縫い込まれていたとしても、この縫い込まれた上糸の端部を引き抜いて、その後も、釜の剣先に引き込まれるのを防止することができる。
【0106】
●本実施の形態では、保持した上糸の端部を開放する際に、挟持部が「開放位置」に移動して、上糸の端部を開放するため、上糸の開放が天秤による糸の引き上げにより行われず、布が薄い場合において上糸開放時の天秤による張力のために布にシワが発生しやすいといった問題も解決できる。これらのことより、縫製される布には縫製不備が生じないように挟持した上糸の端部を円滑に開放することができる。
【0107】
●本実施の形態では、挟持手段Dの「第三移動位置」から「第四移動位置」への移動中においては、「第三移動位置」で挟持手段Dから開放された上糸の端部は、強制的な張力がかけられることなく挟持手段Dの貫通孔2bの前壁2iに係合した状態で挟持手段Dの移動に追従し、最終的に、貫通孔2bの前壁2iと挟持部材5の突起部5dとが離間して開いた状態の貫通孔2bから抜け出るようになっている。従って、上糸の端部を第二針目以降の針落ちによる布の縫い目に確実に絡ませることができる。
【0108】
●図10のステップS1処理に示すように、縫い始めに初期センサ21による検出信号に基づいて、挟持手段Dが正規の「第一移動位置」に位置しているか否かを判断してミシン自体の起動又は駆動を制御する構成なので、縫い始め時の挟持手段Dが、正規の「第一移動位置」からずれた位置に配置されて第一針目の針52と干渉する位置に配置されている場合等に、ミシンの起動又は駆動を停止させることができる。これにより、挟持手段Dが第一針目の針52と干渉するのを防止でき、挟持手段Dが第一針目の針52と干渉して針52が折損又は損傷すること等を未然に防止できる。また、これと同様に図10のステップS5処理に示すように、挟持手段Dが正規の「第二移動位置」に位置しているか否かを判断してミシン自体の起動又は駆動を制御する構成なので、針52による第一針目の針落ちが行われ「第一移動位置」から「第二移動位置」に移動する際に上糸の端部を挟持(保持)した挟持手段Dが、正規の「第二移動位置」からずれた位置に配置されて第二針目以降の針52と干渉する位置に配置されている場合等に、ミシンの起動又は駆動を停止させることができる。これにより、挟持手段Dが第二針目以降の針52と干渉するのを防止でき、挟持手段Dが第二針目以降の針52と干渉して針52が折損又は損傷すること等を未然に防止できる。そして、これらのことより、縫い始めの縫製ミスを未然に防止できる。
【0109】
●図10のステップS10処理に示すように、退避センサ22による検出信号に基づいて、挟持手段Dが正規の「第四移動位置」(又は「退避位置」)に位置しているか否かを判断してミシン又は糸切り機構の停止を制御する構成なので、縫製終了時において、挟持手段Dが糸切り機構を構成する可動部材と干渉する場合等に、ミシン又は糸切り機構を停止させることができる。これにより、挟持手段Dが糸切り機構を構成する可動部材と干渉するのを防止でき、挟持手段Dが糸切り機構を構成する可動部材と干渉して該可動部材が損傷すること等を未然に防止できる。
【0110】
次に、前述した関連動作手段C及び挟持手段Dに代えて、以下の図12〜図15を参照して説明する関連動作手段G及び挟持手段Hを適用する変形例について説明する。なお、これら関連動作手段G及び挟持手段H以外の部材は、上記で説明したものと略同様であるので、これら部材には図1〜図9と同様の符号を付すとともにこれら部材の詳細な説明は省略する。更に、関連動作手段G及び挟持手段Hを構成する一部の部材においても、図1〜図9(図5を除く。)と同様の部材を適用できるものがあり、これら部材にも図1〜図9(図5を除く。)と同様の符号を付すとともにこれら各部材の詳細な説明も省略する。
【0111】
図12〜図15に示すように、関連動作手段Gは、ミシンフレームに固定された土台80及び土台蓋81と、移動部材60と、を備えている。移動部材60は前後方向に延在する長尺な部材であって、移動部材60の幅は土台80の溝部80aの幅と略同じか又はやや狭く形成されている。また、移動部材60の中央よりもやや後側には、下方に突出するピン61が設けられている。そして、ピン61が土台80のスリット状の孔部80jに挿通された状態で、この移動部材60は、溝部80aにフィットするように土台80の上部に重なった状態となっている。孔部80jを挿通したピン61は連結部材12の孔部12aに嵌合している。なお、土台80の孔部80jの長さは、図1に示した孔部1bよりも短い。この状態において、移動部材60を覆うように土台蓋81が土台80に固定されている。
【0112】
これにより、土台80の溝部80aの左右側壁によって移動部材60の左右方向の移動が規制され、かつ、土台80及び土台蓋81によって移動部材60の上下方向の移動が規制されて、移動部材60のガタツキを防止できる構造となっている。また、移動部材60のピン61が連結部材12に固定されているから、連結部材12の前後方向への移動に伴い、移動部材60は前後方向に移動する。より詳しくは、連結部材12の前後方向への移動に伴い、移動部材60は、土台80及び土台蓋81間に挟まれた状態で溝部80aに沿って前後方向にスライド移動する。なお、土台80の孔部80j内でのピン61の移動範囲が、移動部材60の移動範囲と同等になる。
【0113】
ところで、移動部材60は、基本的に略平板状とされた部材であるが、後側に配置される後部60aと、後部60aに対して前側に配置される前部60bと、から構成される。後部60aから前部60bに繋がる部分には段がつけられ、前部60bは後部60aよりも一段高くなっている。そして、後部60aと前部60bとで段差を形成する段部62の上部62a(以下「角部62a」という。)は、移動部材60の幅方向に沿って斜めに削ぎ落とされている(又は丸みを帯びた形状とされている)。
【0114】
移動部材60の前部60bには、略四角形状の孔部60cが形成されている。この孔部60cは、図12(b)に示すように、針板50の針穴51の下方に位置した場合に、針が貫通する貫通孔となるものであって、以下、孔部60cを「貫通孔60c」という。
【0115】
また、図12〜図15に示すように、挟持手段Hは、ガイド部材6と、挟持部材(挟持部)70と、を備えている。挟持部材70は、上記貫通孔60cを囲む枠体の前枠部60dの上部に設けられる部材であって、移動部材60の前部60bの全幅又はそれよりもやや短い幅にわたっている。詳細は後述するが、挟持部材70は、針板50の下面50aとの間で上糸を挟持するための部材であって、挟持部材70の表面は、図12(b)に示すように、側面視して略半球形状とされており、挟持部材70と当接する後述の針穴形成部53及び針板50等との接触面積を少なくして針穴形成部53との摩擦を抑えるとともに、針板50の下面50aとの間で上糸を挟持する際の挟持力を集中する構成とされている。なお、ガイド部材6は、図1〜図9(図5を除く。)に示すものと同様の部材であって、前枠部60dの下部に固定されている。
【0116】
また、後部60a及び前部60bを含む移動部材60は、弾性部材(例えば、板バネ)から構成されている。この移動部材60は、後部60aが針板50の下面50aに対して所定間隔を開けた状態で平行に(言い換えれば、水平面に平行に)配置されて挟持部材70が針板50の下面50aに当接した際に、弾性部材の弾性力によって、上糸の挟持力を得るため、前部60bが後部60aに対して所定角度(Δw)上向きの角度となるように、角部62aで折り曲げられている(図16参照)。
【0117】
また、図12(b)に示すように、針板50には略円形の針穴51が設けられているが、針穴51を形成する略円筒形状の針穴形成部53が針板50の下方にやや突出している。針穴形成部53の下面53aは、側面視して前側から後側にいくにつれて高くなる傾斜面とされている。さらに、針板50の下面50aは水平面に平行な面とされており、この下面50aには、移動部材60が前後動した際に移動部材60が係合する係合部材54が設けられている。係合部材54は、側面視して、前側から後側にいくにつれて低くなる傾斜面54aと、針板50の下面50aと略平行な平坦面54bと、を有する部材である。
【0118】
次に、前述した「第一移動位置」、「第二移動位置」、「第三移動位置」及び「第四移動位置」の各位置における関連動作手段G及び挟持手段Hを構成する各部材の状態、及び、「第一移動位置」、「第二移動位置」及び「第三移動位置」の各位置から次ぎの移動位置に移動する際の関連動作手段G及び挟持手段Hを構成する各部材の動作を説明する。なお、図12は「第一移動位置」での各部材の状態に、図13は「第二移動位置」での各部材の状態に、図14は「第三移動位置」での各部材の状態に、図15は「第四移動位置」での各部材の状態に対応する。さらに、関連動作手段G及び挟持手段H以外の移動手段B、検出手段E及び制御装置Fの各第一〜第四移動位置での状態、及び、各第一〜第三移動位置から次ぎの移動位置に移動する際の移動手段B、検出手段E及び制御装置Fの動作は、上記した通りであるので、これら移動手段B、検出手段E及び制御装置Fに関する説明は省略する。
【0119】
図12に示すように、「第一移動位置」では、移動部材60は最前位置に位置し、貫通孔60cと針板50の針穴51とが上下に重なった状態となっている。このとき、図12(b)に示すように、挟持部材70は針穴形成部53の下面53aに当接し、これにより、移動部材60の前部60bが下方に押し下げられた状態となっている。従い、移動部材60の前部60bは、針板50の下面53aに向かって付勢した状態となっている。全体的には、移動部材60は、弾性を保持する範囲内で下方にやや撓んだ状態となっている。この状態で、針52による第一針目の針落ちが行われ、その後、この針52が上昇して、上糸の端部は貫通孔60c及び針穴51に挿通された状態で垂れ下がった状態となる。
【0120】
その後、図12に示す「第一移動位置」から図13に示す「第二移動位置」に各部材が移動する。具体的に、連結部材12は、図12に示す「第一移動位置」から図13に示す「第二移動位置」に後移動し、これに伴い、移動部材60も後移動する。このとき、挟持部材70は、針穴形成部53の下面53aに係合した状態で下面53aに沿って後移動し、さらに、下面53aから針板50の下面50aに係合した状態で後移動する。そして、挟持部材70が針板50の下面50aと係合すると、移動部材60は、下面50aに略平行な状態となり、移動部材60の下面50aに与える付勢力が、上糸を保持するために適正な量となる。
【0121】
一方、針穴51及び貫通孔60cに垂れ下がった状態の上糸の端部は、挟持手段Hの後移動に伴い、ガイド部材6の誘導壁6aに係合しながら貫通孔60cの前壁60eの中央部に誘導される。同時に、上糸の端部は、針穴形成部53の下面53a、詳しくは針穴51より後側の下面53aと挟持部材70との間に挟持され、さらに、挟持手段Hが後移動することにより、針板50の下面50aと挟持部材70との間に挟持される。これらの動作がなされて、各部材が「第二移動位置」に位置する。
【0122】
「第二移動位置」では、移動部材60の前部60b及び後部60aは、略水平な状態となる(針板50の下面50aに略平行な状態となる)。このとき、挟持部材70は、上方にやや付勢した状態で針板50の下面50cとの間で上糸の端部を保持する。この状態で、針52による所定針数(例えば、2〜3針)の針落ちが行われる。
【0123】
その後、図13に示す「第二移動位置」から図14に示す「第三移動位置」に各部材が移動する。具体的に、連結部材12は、図13に示す「第二移動位置」から図14に示す「第三移動位置」に後移動し、これに伴い、移動部材60も後移動する。このとき、移動部材60の角部62aが係合部材54の傾斜面54aに当接し、移動部材60(特に、前部60a)が下方に押し下げられて、移動部材60の角部62aは、傾斜面54aに沿って移動する。なお、上記したように、角部62aは、移動部材60の幅方向に沿って斜めに削ぎ落とされている(又は丸みを帯びた形状とされている)ため、傾斜面54aから大きな摩擦を受けずに円滑に傾斜面54aに沿って移動する。
【0124】
そして、図14に示すように、「第三移動位置」では、移動部材60の角部62aが係合部材54の傾斜面54aに当接した状態で、移動部材60の前部60bが下方に押し下げられ、挟持部材70は針板50の下面50aから下方に離間する。これにより、挟持部材70と針板50の下面50aとの間に隙間が生じ、挟持部材70と針板50の下面50aとの間に挟持されていた上糸の端部は、開放される。
【0125】
その後、図14に示す「第三移動位置」から図15に示す「第四移動位置」に各部材が移動する。このとき、移動部材60の角部62aは、係合部材54の傾斜面54aから平坦面54bにのり下げて平坦面54bに沿って後移動する。そして、「第四移動位置」では、前部60bの一部の上部が、係合部材54の平坦面54bに係合している。また、移動部材60の後部60aの略全ての部分が、スライド移動して土台80及び土台蓋81間に入り込んでいる。
【0126】
勿論、「第三移動位置」から「第四移動位置」に移動部材60が移動する場合、移動部材60の前部60bが係合部材54に係合した状態で移動部材60は後移動するので、移動部材60のうち前部60bを含む土台80及び土台蓋81間から露出する部分は、下方に押し下げられ、挟持部材70と針板50の下面50aとが離間し、上糸の端部は開放された状態のまま「第三移動位置」から「第四移動位置」に位置することになる。
【0127】
なお、図12〜図15に示す例では、針板50の下面50aに係合部材54を設け、挟持手段Hが「第二移動位置」から「第三移動位置」に移動するときに、移動部材60と係合部材54とを係合させて上糸の端部を開放する構成となっている。しかし、係合部材54に代えて、図13〜図15に示すように、針板50の下面50aに略四角形状の凹部55を設けてもよい。この場合、挟持部材70が「第二移動位置」から「第四移動位置」に移動する際に、挟持部材70の上部と凹部55との間に隙間が生じ、上糸の端部を開放できる。この凹部55は、針板50の下面50aにおいて、挟持部材70の「第二移動位置」から「第四移動位置」への移動軌跡に対応して該移動軌跡の上方に設けられている。勿論、挟持部材70は、「第二移動位置」から「第四移動位置」に移動するとき、係合部材54とは係合しないから、針板50の下面50aと略平行な状態を保持しながら後移動する。
【0128】
以上、図12〜図16を参照して説明した変形例を含む本実施の形態では、挟持手段D及び挟持手段Hの「第一移動位置」から「第四移動位置」までの移動、及びこれら挟持手段D及び挟持手段Hの移動に対応する挟持部(挟持部材5の突起部5d及び挟持部材70)の「挟持位置」から「開放位置」への移動を、単一のアクチュエータ(モータ10)により駆動される構成としたが、同様の動作を可能とする構成であれば、複数のアクチュエータにより行う構成としてもよい。
【0129】
また、本実施の形態では、「第一移動位置」から「第四移動位置」までの移動手段B、関連動作手段C及び関連動作手段G並びに挟持手段D及び挟持手段H等の各部材の動作を制御して、確実に上糸の端部を挟持、保持及び開放するような構成としたが、「第一移動位置」から「第四移動位置」に至るまでの各位置での挟持手段D及び挟持手段Hの動作を特に制御しない構成としてもよい。
この場合、挟持手段D及び挟持手段Hは、「第一移動位置」から即座に「第四移動位置」に移動するので、挟持手段D又は挟持手段Hの「第一移動位置」で貫通孔2b又は貫通孔60cに挿通されるとともに釜により布の裏側に引き出された状態の上糸の端部は、即座に挟持手段D又は挟持手段Hにより挟持され、その後、開放されて、挟持手段D又は挟持手段Hの移動方向に引き抜かれる。このとき、上糸の端部は、釜及び釜近傍の部材との接触が減るので、上糸の端部の糸汚れを大幅に低減できる。
【0130】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、従来、複数のアクチュエータを用いて行っていた挟持手段の挟持位置(第一移動位置)、及び保持位置(第二移動位置)への移動と、挟持手段の各移動位置に対応した上糸の端部の挟持、保持、開放の動作が単一のアクチュエータで実現できる。これにより、上糸保持装置をよりコンパクトに構成できることができるとともに、アクチュエータに係わるコストを抑えることができ、さらには、アクチュエータに係わる制御もより簡単なものとすることができる。
【0131】
請求項2記載の発明によれば、関連動作手段が第一移動部材に対して第二移動部材を相対移動させるといった構成で、移動手段の移動を挟持手段に伝達できる。
【0132】
請求項3記載の発明によれば、確実に上糸の端部を挟持することができ、上糸保持装置における上糸挟持機能の精度を高めることができる。
【0133】
請求項5記載の発明によれば、ミシンベッドの縫製部分が細長状(略円筒状)に形成された所謂シリンダベッドミシンにも適応できる。
【0134】
請求項6記載の発明によれば、挟持手段が第一針目の針と干渉するのを防止できる。
【0135】
請求項7記載の発明によれば、縫製される布には縫製不備が生じないように挟持した上糸の端部を円滑に開放することができる。
【0136】
請求項8記載の発明によれば、従来、複数のアクチュエータを用いても実現できなかった上糸の挟持及び開放と、開放後の上糸の端部を釜の剣先の通過経路から退避させるという一連の動作が、単一のアクチュエータにより実現できる。これにより、上糸保持装置をよりコンパクトに構成することができるとともに、アクチュエータに係わるコストを抑えることができ、さらには、アクチュエータに係わる制御もより簡単なものとすることができる。
【0137】
請求項9記載の発明によれば、挟持手段が糸切り機構を構成する可動部材と干渉するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る上糸保持装置を示す分解斜視図である。
【図2】前記上糸保持装置を下から見た斜視図である。
【図3】前記上糸保持装置を上から見た斜視図である。
【図4】前記上糸保持装置を備えるミシンの一部破断側面図である。
【図5】前記上糸保持装置の制御装置を示すブロック図である。
【図6】本実施の形態に係る移動手段、関連動作手段、挟持手段及び検出手段等を構成する各部材の「第一移動位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。
【図7】前記移動手段、関連動作手段、挟持手段及び検出手段等を構成する各部材の「第二移動位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。
【図8】前記移動手段、関連動作手段、挟持手段及び検出手段等を構成する各部材の「第三移動位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。
【図9】前記移動手段、関連動作手段、挟持手段及び検出手段等を構成する各部材の「第四移動位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。
【図10】前記上糸保持装置を備えるミシンの縫製動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】前記上糸保持装置を用いた場合の上糸の端部の挙動を説明するための(a)(b)概略断面図である。
【図12】本実施の形態に示す関連動作手段及び挟持手段の変形例の「第一移動位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。
【図13】前記変形例の「第二移動位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。
【図14】前記変形例の「第三移動位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。
【図15】前記変形例の「第四移動位置」を説明するための(a)平面図(b)側面図である。
【図16】前記変形例に係る移動部材の部品形状の一部を示す側面図である。
【図17】従来技術を説明するための概略断面図である。
【図18】従来技術の問題点を説明するための(a)概略断面図(b)一部拡大断面図である。
【符号の説明】
A 上糸保持装置
B 移動手段
10 ステッピングモータ(移動手段の一部、単一のアクチュエータ)
11 糸掴み腕部(移動手段の一部)
12 連結部材(移動手段の一部)
C 関連動作手段
2 下部糸掴み板(関連動作手段の一部、第一移動部材)
3 上部糸掴み板(関連動作手段の一部、第二移動部材)
D 挟持手段
5 挟持部材(挟持手段の一部)
5d 突起部(挟持部)
6 ガイド部材(挟持手段の一部)
6a 誘導壁
2i 前壁(保持部)
E 検出手段
20 センサスリット板(検出手段の一部)
21 初期位置検出センサ(検出手段の一部)
22 退避位置検出センサ(検出手段の一部)
F 制御装置
33 CPU(判断手段、駆動停止制御手段、糸切り停止制御手段)
50 針板
52 針
105 釜
105a 剣先

Claims (9)

  1. 縫い始めに針に挿通されている上糸の端部を針板の下方で挟持するとともに、挟持した上糸の端部を針の上下動経路から離れた位置に移動させ、所定針数の針落ち後、挟持した上糸の端部を開放するミシンの上糸保持装置において、
    上糸の端部を保持する保持部と、該保持部に対して挟持位置と開放位置とに相対的に移動して前記保持部との間で上糸の端部を挟持開放する挟持部とを備える挟持手段と、
    前記挟持手段が針の上下動経路上に位置する第一移動位置と、前記挟持手段が前記第一移動位置から針の上下動経路に対して側方向に離間する第二移動位置と、前記挟持手段が前記第二移動位置より更に針の上下動経路から側方向に離間する第三移動位置とに前記挟持手段を移動可能とする単一のアクチュエータを備え、縫い始めに第一移動位置から第二移動位置に移動して所定針数の針落ちの間停止した後、第二移動位置から第三移動位置に移動する移動手段と、
    前記挟持手段が第一移動位置から第二移動位置に移動するときに、針に挿通された上糸の端部を挟持するように前記挟持部を前記挟持位置に位置させ、第三移動位置において前記挟持部を前記開放位置に位置させるように、前記移動手段の移動に機械的に連動して前記挟持部を前記挟持位置と前記開放位置とに位置させる関連動作手段と、
    を備えることを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  2. 請求項1記載のミシンの上糸保持装置において、
    前記関連動作手段は、
    先端部に前記保持部を備えた第一移動部材と、先端部に前記挟持部を備えた第二移動部材とを有し、
    前記挟持手段が第一移動位置から第二移動位置に移動する際に、前記挟持部を前記開放位置から前記挟持位置に相対移動させるとともに、前記挟持手段が第二移動位置から第三移動位置に移動する際に、第三移動位置において前記挟持部を前記挟持位置から前記開放位置に相対移動させるように前記第二移動部材を前記第一移動部材に対して相対移動させることを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  3. 請求項1又は2記載のミシンの上糸保持装置において、
    前記保持部は、中央部に上糸の端部を誘導するための誘導部を備え、
    前記挟持部は、前記中央部に上糸の端部を誘導するように前記第二移動部材に対して回動可能に支持されていることを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載のミシンの上糸保持装置において、
    前記挟持手段の第一移動位置から第三移動位置への移動方向は、針の上下動方向と略直交する方向で、かつ、ミシンの立胴部に向かう方向であることを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つに記載のミシンの上糸保持装置において、
    前記移動手段は、前記単一のアクチュエータと前記関連動作手段とを連結する連結部材を備え、
    前記単一のアクチュエータをミシンの立胴部側のミシンベッド下方に設け、かつ、前記連結部材により前記単一のアクチュエータと前記関連動作手段とを連結することによって前記関連動作手段を介した状態で前記単一のアクチュエータと前記挟持手段とを連結し、前記挟持手段による上糸の端部の挟持及び開放並らびに前記挟持手段の移動を、前記連結部材の針の上下動経路側方向とミシンの立胴部側方向とへの進退移動により行うことを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一つに記載のミシンの上糸保持装置において、
    前記挟持手段の位置を検出する検出手段と、
    縫い始めに、前記検出手段により検出される検出信号に基づいて、前記挟持手段が、前記第一移動位置に位置しているか否かを判断する判断手段と、
    前記判断手段により、縫い始めに前記挟持手段が第一移動位置に位置していないと判断された場合、ミシンの起動又は駆動を停止させる駆動停止制御手段と、
    を備えることを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  7. 縫い始めに針に挿通されている上糸の端部を針板の下方で、かつ、前記針に対向する釜の剣先の通過経路の上方で挟持するとともに、挟持した上糸の端部を針の上下動経路から離れた位置に移動させ、所定針数の針落ち後、挟持した上糸の端部を開放するミシンの上糸保持装置において、
    上糸の端部を保持する保持部と、該保持部に対して挟持位置と開放位置とに相対的に移動して前記保持部との間で上糸の端部を挟持開放する挟持部とを備える挟持手段と、
    前記挟持手段が針の上下動経路上に位置する第一移動位置と、前記挟持手段が前記第一移動位置から針の上下動経路に対して側方向に離間する第二移動位置と、前記挟持手段が前記第二移動位置より更に針の上下動経路から側方向に離間する第三移動位置と、前記挟持手段が前記第三移動位置より更に針の上下動経路から側方向に離間する第四移動位置とに前記挟持手段を移動可能として、縫い始めに第一移動位置から第二移動位置に移動して所定針数の針落ちの間停止した後、第二移動位置から第三移動位置を経て第四移動位置に移動し停止する移動手段と、
    前記挟持手段が第一移動位置から第二移動位置に移動するときに針に挿通された上糸の端部を挟持するように前記挟持部を挟持位置に位置させ、第三移動位置において前記挟持部を開放位置に位置させるように、前記移動手段の移動に機械的に連動して前記挟持部を挟持位置と開放位置とに位置させる関連動作手段と、
    を備え、
    前記保持部が、第三移動位置において前記挟持部が前記開放位置に位置した後も、上糸の端部を係合するように構成されているとともに、
    第四移動位置は、少なくとも、前記挟持手段の第三移動位置から第四移動位置の移動により前記保持部に係合した上糸の端部が、前記釜の剣先の通過経路から離間可能な位置であることを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  8. 請求項7記載のミシンの上糸保持装置において、
    前記移動手段が、単一のアクチュエータを有し、前記挟持手段の第一移動位置から第二移動位置、第三移動位置を経て第四移動位置への移動が、前記単一のアクチュエータの駆動力によって行われることを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  9. 請求項7又は8記載のミシンの上糸保持装置において、
    上糸の糸切りを行う糸切り機構と、
    前記挟持手段の位置を検出する検出手段と、
    前記糸切り機構により糸切りを行う際に、前記検出手段により検出される検出信号に基づいて、前記挟持手段が第四移動位置に位置しているか否かを判断する判断手段と、
    前記判断手段により前記挟持手段が第四移動位置に位置していないと判断された場合、ミシン又は糸切り機構の駆動を停止させる糸切り停止制御手段と、
    を備えることを特徴とするミシンの上糸保持装置。
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