JP4800072B2 - 根巻きボタン付けミシン及びボタン付け方法 - Google Patents

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Description

本発明は、根巻きボタン付けミシン及び根巻きボタン付けミシンを用いたボタン付け方法に関する。
従来から布上にボタンを縫いつけ、さらにボタンと布の間の根糸(縫い糸)の周囲に糸を巻いて根巻きを形成する根巻きボタン付けミシンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
根巻きボタン付けミシンを用いて布へボタン付けを行う際には、図9〜図11に示すように、タング111の先端部111aをくるむように布116をセットし、その状態を維持しながらタング111の先端部111aを支持台112に接近させる。支持台112の近傍には、タングセンサ(図示略)が設けられており、このタングセンサがタング111の先端部111aを検出することにより、タングシリンダ118により駆動されてタング111は支持台112に立設された挟持部材113に突き当たるまで引き込まれる。これにより、布116は折り曲げられた状態でタング111と挟持部材113に挟まれて保持される。ここで、図9及び図10に示すように、一対の挟持部材113,113は、根巻き縫いをする際に根糸114を通すための開口部113aを形成するように配置されており、この開口部113aは針振り幅よりも広く形成されている。すくい縫いの際には、図示しないチャック機構によりボタン115が布116の上方に略水平にセットされ、すくい縫いが行われる。
そして、すくい縫いの後に根巻き縫いを行う場合には、図10及び図11に示すようにすくい縫い後の状態でボタン115の裏側がタング111側に向くようにチャック機構が回転してボタン115を90度回転させて、すくい縫いにより形成された根糸114を直線状に保持する。このようにボタン115を保持すると、ボタン115は立った状態となって布116が若干ボタン115側に引っ張られるとともに、ボタン115と布116の結節部Cとの間の根糸114が前後方向に向いて根巻き縫いが可能となる。この状態で、縫い針117を上下動させつつ、開口部113a内からボタン115近傍に到る根糸114の両側に針振りすることで、図示しないルーパとの間で環縫いの縫い目が形成され、根糸114の布直近部からボタン115近傍に到る根糸114に根巻き縫いが行われる。すなわち、従来の根巻きボタン付けミシンにおいては、根巻き縫いをできるだけ根糸114の布直近部から形成する必要があるため、挟持部材113は針振り幅よりも広い間隔で配置されていた。
特開2002−355453号公報
しかしながら、ニットのように比較的伸びやすい布116にボタン115を縫いつけて根巻き縫いを行う際には、図10及び図11に示すように、根糸115を直線状に維持する際にかかる引張力により布116が大きく引っ張られて布が浮き上がってしまう。そして、この状態で根巻き縫いを行うと、図12に示すように、針落ち位置がS地点となり、布116に対して根巻き縫いが行われてしまい、縫製品質が低下するという問題があった。
なお、布116に合わせて布116が浮き上がった部分を避けるように図10の符号Lの部分の両側に針落ちさせれば、布116に根巻き縫いによる縫い目を形成することなく布116直近からの根巻き縫いが可能となる。しかし、ニットのような伸びやすい布で形成された被縫製物はボタン115の取り付け位置によって伸び方が異なるため、布116に針落ちさせないように余裕を見て針落ち位置を決定する必要があり、結果として、布116の直近から根巻き縫いを形成することができないという問題がある。
また、根巻き縫いを行う際には、根巻き縫いの根糸114を布116に固着するため根巻き縫いに先立って布116の根糸114の結節部C近傍(図10におけるA点)に縫い目を形成する必要があるが、布116に合わせて布116が浮き上がった部分を避けるように針落ちをさせる場合、この1針目の針落ちを浮き上がった状態の布116に形成しようとすると、布116の上下位置が固定されていないため縫い針117の上昇の際に布116が縫い針117とともに上昇し、布116の下方に形成された縫い糸のループ全体も縫い糸とともに上昇してしまう。そのため、ルーパが糸を捉えきれず縫い目が正常に形成されず、縫い糸と布116とが確実に固着できないという問題がある。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ニットのように比較的伸びやすい布にボタンを付けて根巻き縫いをする際に布の伸びを抑えて縫製品質の低下を防止することができる根巻きボタン付けミシン及びボタン付け方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は、根巻き縫いをする際に生じる布の浮きを防止することを目的とする。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、縫い針を挿通させる針穴を有する針板と、針板の下方に設けられ縫い針との協働により環縫いの縫目を形成するルーパと、縫い針を保持する針棒を上下動させる針棒駆動装置と、前記針棒と前記針板の間に配置され、根糸によって布に縫付けられたボタンを垂直の状態で保持するボタン保持部材と、前記ボタン保持部材を前後に移動させるボタン保持部材駆動装置と、前記針棒を針振りさせて前記縫い針を前記根糸の両側に所定の振り幅で針落ちさせる針振り駆動装置と、前記ボタン保持部材とともに前後移動する支持台と、前記布を前記根糸の結節部で折り返した状態で保持する保持部を有し、該保持部に保持された布と前記ボタン保持部材に保持されたボタンとの間に掛け渡された根糸を前記縫い針の針振り方向と略直交する方向に沿って直線状に維持しつつ前記縫い針の通過線上に位置するように前記支持台に支持されて前記針板上を前後移動する布保持部材と、前記根糸を挿通可能とするように前記布保持部材に保持された布からボタンに至る根糸の経路の両側に配置され、前記支持台から上方に延出して前記保持部に対向して前記保持部との間で前記布を挟持する一対の挟持部材と、前記各駆動装置の駆動を制御する制御装置と、を備え、前記一対の挟持部材の双方は、双方の挟持部材の間かつ前記根糸の布直近部両側への針落ちを可能とするように前記所定の振り幅よりも広い開口部を形成する間隔に配置され、前記各駆動装置を制御して、前記縫い針を前記根糸の前記双方の挟持部材の間かつ前記根糸の布直近部両側からボタン近傍までの両側に針落ちさせて、前記根糸に根巻き縫い目を形成する根巻きボタン付けミシンにおいて、前記開口部内に着脱自在に設けられ、前記保持部に対向して布を挟持するとともに、前記根糸を挿通可能かつ前記所定の振り幅よりも狭い間隔の糸通し部を形成する間隔に配置される一対のガイド部材を備え、前記制御装置は、前記縫い針を前記根糸の前記一対のガイド部材のボタン側側面直近部からボタン近傍までの両側に針落ちさせるように前記各駆動装置を制御して前記根糸に根巻き縫い目を形成することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、一対のガイド部材を保持部に対向させて布を挟持するとともに、根糸を挿通可能かつ所定の振り幅よりも狭い間隔の糸通し部を形成する間隔に配置することにより、ガイド部材は、布保持部材の保持部を縫い針の通過線上に接近させたときに保持部に対向する。これにより、ガイド部材は、保持部とで布を保持する挟持部材としての機能を有するとともに、挟持部材に形成された開口部を覆う。また、一対のガイド部材の間には、縫い針の振幅よりも狭い幅とされた糸通し部が形成されているため、ニットのように比較的伸びやすい布にボタンを縫いつけて根巻き縫いを行う際に、根糸を直線状に維持する際にかかる引張力により布が引っ張られても挟持部材とガイド部材によって布がボタン側に引っ張られる部分が大幅に小さくなり、根巻き縫いをする際に生じる布の浮きを防止することができる。
また、制御装置は、縫い針を根糸の一対のガイド部材のボタン側側面直近部からボタン近傍までの両側に針落ちさせるように各駆動装置を制御して根糸に根巻き縫いの縫い目を形成する。これにより、ガイド部材と縫い針との干渉を避けるとともに、根巻き縫いをする際の針落ち位置も布に近づけることができるので、根巻き不良が生じることはない。
よって、根巻き縫いを行う際にガイド部材が布の伸びを抑え、布に根巻き縫いの縫い目を形成することなく、根糸に根巻き縫いを形成することができ、ニットのように比較的伸びやすい布にボタンを付けて根巻き縫いをする場合であっても、縫製品質の低下を防止することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の根巻きボタン付けミシンを用いたボタン付け方法において、根巻き縫いを行う際に、前記制御装置により、前記縫い針を前記根糸の前記一対のガイド部材のボタン側側面直近部からボタン近傍までの両側に針落ちさせるように前記各駆動装置を制御して前記根糸に根巻き縫い目を形成する制御ステップを備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、一対のガイド部材を保持部に対向させて布を挟持するとともに、根糸を挿通可能かつ所定の振り幅よりも狭い間隔の糸通し部を形成する間隔に配置することにより、ガイド部材は、布保持部材の保持部を縫い針の通過線上に接近させたときに保持部に対向する。これにより、ガイド部材は、保持部とで布を保持する挟持部材としての機能を有するとともに、挟持部材に形成された開口部を覆う。また、一対のガイド部材の間には、縫い針の振幅よりも狭い幅とされた糸通し部が形成されているため、ニットのように比較的伸びやすい布にボタンを縫いつけて根巻き縫いを行う際に、根糸を直線状に維持する際にかかる引張力により布が引っ張られても挟持部材とガイド部材によって布がボタン側に引っ張られる部分が大幅に小さくなり、根巻き縫いをする際に生じる布の浮きを防止することができる。
また、制御ステップでは、制御装置が、縫い針を根糸の一対のガイド部材のボタン側側面直近部からボタン近傍までの両側に針落ちさせるように各駆動装置を制御して根糸に根巻き縫い目を形成する。これにより、ガイド部材と縫い針との干渉を避けるとともに、根巻き縫いをする際の針落ち位置も布に近づけることができるので、根巻き不良が生じることはない。
よって、根巻き縫いを行う際にガイド部材が布の伸びを抑え、布に根巻き縫いの縫い目を形成することなく、根糸に根巻き縫いを形成することができ、ニットのように比較的伸びやすい布にボタンを付けて根巻き縫いをする場合であっても、縫製品質の低下を防止することができる。
本発明によれば、根巻き縫いを行う際にガイド部材が布の伸びを抑え、布に根巻き縫いの縫い目を形成することなく、根糸に根巻き縫いを形成することができ、ニットのように比較的伸びやすい布にボタンを付けて根巻き縫いをする場合であっても、縫製品質の低下を防止することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る根巻きボタン付けミシンの最良の形態について詳細に説明する。
<根巻きボタン付けミシンの構成>
図1は、根巻きボタン付けミシン1の外観の概略構成を、制御回路のブロック図とともに示したものであり、図2及び図3は、根巻きボタン付けミシン1におけるボタン付けが行われる部分の斜視図を示したものである。根巻きボタン付けミシン1は、ベッド部2と、ベッド部2から立設された縦胴部3と、縦胴部3からベッド部2に対向するように延設されたアーム部4とを備えている。以下の説明では、根巻きボタン付けミシン1の前後方向、上下方向は図1で示すとおりであり、それぞれY軸方向、Z軸方向とする。また、図1の紙面に対して直角な方向を左右方向(X軸方向)とし、紙面表面側を右側、紙面裏面側を左側とする。
根巻きボタン付けミシン1は、アーム部4の先端に設けられた針棒9の先端に固定され、糸が通された縫い針5と、ベッド部2内に縫い針5に対向するように設けられた図示しないルーパとの協働により自動的に布W(図7参照)にボタンB(図7参照)を縫い付けるものである。ルーパは、縫い針5を挿通させる針穴を有する針板の下方に設けられ、縫い針5との協働により環縫いの縫い目を形成するものである。なお、ルーパの動作等の縫い目の形成については周知の技術であるので、詳細な説明は省略する。
根巻きボタン付けミシン1は、ボタンBや布Wなどを独立に自在に搬送することによって、多様なボタン付け縫いが可能となっている。
(針上下動機構)
針棒9は、縫い針5を保持する針棒9をZ軸方向に上下動させる針棒駆動装置としての主軸モータ14を駆動源としてクランク機構を介して上下動が行われる。また針棒9は、Y軸方向(前後方向)を中心として揺動可能な針棒支持体により上下動可能に支持されている。従って、針棒9は、上下動を行いながらその下端部で保持する縫い針5をX軸方向(左右方向)に沿って揺動させることが可能となっている。針棒支持体は、針棒9の上下動方向に対して略直交する方向(X軸方向)に針棒9を振らせ、縫い針5を根糸T(図7参照)の両側に所定の振り幅で針落ちさせる針振り駆動装置としてのパルスモータである針振りモータ20を駆動源とする。この針振りモータ20は、その駆動時には、その揺動における両端部に縫い針5が位置するときに下死点となるように主軸モータ14と同期して駆動制御される。また、針振りモータ20は、針棒9を振らせることにより、ボタンBを布Wに縫い付ける根糸Tの両側に所定の振り幅で針落ちさせる。
(ボタン保持機構)
ボタンBは、アーム部4の中間下部において垂下支持されるとともに、その先端部が縫い針5の上下動経路近傍まで延設されたボタン保持部材としてのボタン保持アーム34により保持される。かかるボタン保持アーム34は、その基端部において、アーム部4に対してY軸方向に沿って移動可能に支持されるとともに上Y送りモータ32により当該Y軸方向への駆動が行われるようになっている。
さらに、ボタン保持アーム34は、その基端部がX軸方向を中心として揺動可能に支持されており、且つ基端部には上下駆動モータ35が併設されている。かかる上下駆動モータ35により、ボタン保持アーム34の先端側で保持されるボタンBは、上下に移動することが可能となっている。
ボタン保持アーム34の先端部には、針棒9と針板の間に配置され、根糸Tによって布Wに縫い付けられたボタンBを当該ボタンBの表面が針板に対して垂直な状態で保持するボタン保持部材としてのチャック機構34a(図2参照)が設けられており、ボタンBを左右方向両側から挟むようにしてボタン保持を行う。
かかるチャック機構34aは、ボタン保持アーム34の先端部において、左右方向を中心として回動可能に装備されており、エアにより作動する回転シリンダ37により、90度の範囲で角度の切り替えが可能となっている。即ち、回転シリンダ37は、チャック機構34aがボタンBを水平に保持した通常保持位置と、ボタンBの底面が前方を向いて起立した起立保持位置とに切り替えることができる。ボタンBが水平状態の時には、すくい縫いやベタ縫いが行われ、起立状態の時には根巻き縫いが行われるようになっている。
また、チャック機構34aには、当該チャック機構34aを介してボタン保持アーム34に対してボタンBをX軸方向に移動位置決めするための差動モータ72が併設されている。かかる差動モータ72の制御により、ボタンBをX軸方向の任意の位置に位置決めすることが可能となっている。
(ベッド部周辺及びタング)
ベッド部2の上面には、図2及び図3に示すように、すくい縫いではない通常のボタン縫着縫製(いわゆるベタ縫い)を行う場合において、上面に布Wを支持するフレーム21が設けられている。
ベッド部2の縦胴部3側には、針板40上でボタンBを縫着すべき布Wを載置する下板41と、下板41上に載置された布Wを保持する第二の布押さえ42と、ボタンBに対して布Wの裏側に取り付けられる力ボタンを保持する力ボタン保持部43とが備えられている。
下板41は、ベッド部2の上面であって、所定の縫い位置に配された縫い針5の下方近傍に配置されている。また、下板41の上面は、ベタ縫いを行う際に布Wが載置されるようになっている。
なお、ベタ縫いとは、後述するタング57を用いないで行われ、下板41上において縫い針5と略垂直に広げられて設置された布Wの表面に沿うようにボタンBが配置された状態で、その上方から布Wの裏面まで縫い針5及び縫い糸が突き通されて行われる縫製をいう。
第二の布押さえ42は、下板41の上方に配置されるとともに上下動可能に支持されており、当該下板41に載置された布Wに対して上方から圧接して布Wの保持を行うためのものである。
力ボタン保持部43は、下板41における布Wの載置面の下方に設けられ、力ボタンに対してその外周における三方から加圧保持する爪を備えており、当該爪によって力ボタンを下板41の載置面に沿った状態(力ボタンのボタン孔がZ軸方向に沿った状態)で保持する。
また、力ボタン保持部43は、力ボタンの保持を行っていない状態では、爪の間に設けられた間隙を介して縫い針5を下板41の下方に挿通させる。
なお、力ボタンとは、ボタン縫着を行う際に布Wの裏面に通常のボタン(表(上)ボタン)とともに縫着されるボタンをいい、通常のボタンを縫い付けるためのみに使用され、通常のボタンと異なり、被服の開き部分を留める機能を有していない。かかる力ボタンは、通常のボタンと変わらない大きさのものを使用する場合もあるが、一般には通常のボタンよりも小さいものが使用される場合が多い。
次に、ベッド部2の構成ついて図面を参照して説明する。
ここで、図3は、ベッド部2に備わる第一の布押さえ59及び布押さえ移動機構部55を示す斜視図である。
図2及び図3に示すように、ベッド部2の先端部には、布Wを保持部57aで折り返すとともに、保持部57aを縫い針5の通過線上に接近させて、チャック機構34aに保持されたボタンBと布Wとの間に掛け渡された根糸Tを直線状に保持しつつ保持部57aで折り返された布Wが縫い針5の通過線上に位置するようにフレーム21に支持されて針板40上を前後方向に移動する布保持部材としてのタング57と、保持位置(後述)にて布Wをタング57とで挟持する挟持部材6と、タング57により保持された布Wを当該タング57の上方から押圧保持する第一の布押さえ59と、タング57をX軸方向の軸心周りに回動させるタング移動機構部58と、第一の布押さえ59を上下動させる布押さえ移動機構部55と、が設けられている。
タング57は、アーム状に形成された部材であり、その基端部がベッド部2の先端部側の下端部にX軸方向の軸心周りに回動自在に支持されている。
また、タング57の先端部には、すくい縫いの際にボタンBを縫着すべき布Wを屈曲させた状態で保持するとともに、すくい縫いの形成後に根巻き縫いを行う際に、布Wをすくい縫いにより形成された根糸Tの結節部C(図8参照)で折り返した状態で保持する。保持部57aが設けられている。この保持部57aは、Y軸方向に沿って延設されており、なおかつ略平板状に形成されると共にその先端部に向かうに従ってその厚さが薄くなる略くさび形状に形成されている。そして、保持部57aは、保持位置においてその平板面がX−Y平面に沿った状態となるように設定されている。
また、タング57の保持部57aには、半円形の切り欠き57bが形成されており、折り返された状態で装着された布Wに対するすくい縫いによるボタン縫着を行う場合に、かかる切り欠き57bがタング57の保持部57aと縫い針5との干渉を回避させる構造となっている。支持台としてのフレーム21とタング57とは、ベッド部2の後方本体によりY軸方向に移動可能に支持されており、下Y送りモータ51によりボタン保持アーム34と同期して前後方向に移動位置決めすることが可能となっている。すなわち、ボタン保持アーム34とフレーム21とは、それぞれ上Y送りモータ32と下Y送りモータ51とにより駆動するが、ボタン保持アーム34とフレーム21とはともにそれぞれの前後方向の距離を保ちつつ同期して前後方向に移動する。従って、フレーム21は、ボタン保持アーム34とともに前後移動する。
タング移動機構部58は、ベッド部2に沿って配置されたフレーム21の正のX軸方向側に設けられ、タング57を駆動するために出力ロッド581を進退させるタングシリンダ582と、一端部が出力ロッド581の一端部にX軸方向の軸心周りに回動自在に取り付けられるとともに他端部がタング57の回動中心側の基端部に固定されたタングリンク583とを備えている。
タング移動機構部58は、制御装置としての電装ボックス101(図1参照)による制御下にて、タングシリンダ582が駆動されることにより、タング57を布Wの保持位置と当該保持の解除位置に位置切り替え可能となっている。具体的には、出力ロッド581の進退によりタングリンク583を介してタング57をX軸方向の軸心周りに回動させることにより、布Wを縫い針5の上下動経路上に位置させる保持位置(図2参照)と縫い針5の上下動経路から隔離させて布Wの保持を解除する解除位置(図4参照)とにタング57の保持部57aの位置を切り替え可能となっている。
ここで、タングシリンダ582は、タング57を布Wの保持位置と解除位置とに移動させる駆動力を付与する。
なお、作業者の手動操作に基づいて、解除位置に位置するタング57の保持位置に向かう方向に対しての回動動作が所定のセンサにより検知されると、電装ボックス101の制御下にてタングシリンダ582を駆動させて、保持部57aを縫い針5の下方に位置するように自動的にセット可能となっている。
図3に示すように、第一の布押さえ59は、フレーム21の負のX軸方向側の面に沿って略Y軸方向に延設されたY軸延設部591と、Y軸延設部591の正のY軸方向側の端部からフレーム21に対して略垂直となるように略Z軸方向に延設されたZ軸延設部592と、Z軸延設部592の上端からベッド部2の上面に対して略平行となるように正のY軸方向に延設されるともに、先端部がタング57の保持部57aの中央部にほぼ重なる位置まで正のX軸方向側に湾曲された湾曲延設部593と、湾曲延設部593の先端部からベッド部2の上面に対して略垂直に延出され、タング57の保持部57aにより屈曲された布Wの上面に当接する当接部594と、を備えて構成されている。
Y軸延設部591は、その負のY軸方向側の端部に形成された螺子孔に例えばフレーム21に軸支される段ネジ21cが螺子込まれることにより、X軸方向の軸心周りに回動自在に支持されている。
また、Y軸延設部591のZ軸延設部592側には、当該Y軸延設部591の回動を案内するとともに回動動作を規制するガイド孔595が形成されており、このガイド孔595にフレーム21に設けられたガイド軸21aが挿通されナット等の抜止部材21bにより第一の布押さえ59が抜け止めされている。ガイド孔595は、具体的には、例えばZ軸方向に沿った長円形状に形成されており、その長さに応じて第一の布押さえ59の回動距離を規定するようになっている。
また、Y軸延設部591のガイド孔595よりもさらにZ軸延設部592側には、後述する布押さえ移動機構部55の布押さえリンク553が連結されている。
湾曲延設部593は、ベッド部2の先端よりも正のY軸方向に延出されており、タング57が退避位置に退避しているときには、保持位置にあるタング57及びベッド部2の上面高さよりも下方まで移動可能となっている。
布押さえ移動機構部55は、第一の布押さえ59に上下動の駆動力を付与するための出力ロッド551を進退させる布押さえシリンダ552と、一端部が出力ロッド551の一端部に取り付けられるとともに他端部がY軸延設部591に取り付けられた布押さえリンク553とを備えている。
そして、布押さえ移動機構部55は、電装ボックス101の制御下にて、布押さえシリンダ552が駆動され出力ロッド551の進退が行われることにより、Y軸延設部591の負のY軸方向側の端部を軸心として第一の布押さえ59をX軸方向の軸心周りに回動可能となっている。即ち、具体的には、布押さえシリンダ552が出力ロッド551を押し出すように駆動されることにより、第一の布押さえ59を正のZ軸方向に移動するように回動させ、湾曲延設部593の当接部594を保持部57aよりも上方に位置させることができ、このとき、例えばガイド孔595の下側内側面にガイド軸21aが当接することにより、第一の布押さえ59の回動動作が停止される。このようにして、第一の布押さえ59をタング57の上方の待機位置に移動可能となっている。
また、布押さえシリンダ552が出力ロッド551を引き込むように駆動されることにより、第一の布押さえ59を負のZ軸方向に移動するように回動させ、保持位置に配された保持部57aの上面よりも下方に位置させることができ、このとき、例えばガイド孔595の上側内側面にガイド軸21aが当接することにより、第一の布押さえ59の回動動作が停止される。このようにして、第一の布押さえ59を保持位置にあるタング57よりも下方の退避位置に移動可能となっている。
ここで、第一の布押さえ59のZ軸方向に対する移動は、タング57が保持位置に配された状態では、タング57により移動動作が規制される。つまり、布Wを屈曲させたタング57が保持位置に配された状態では、当該タング57の保持部57aよりも上方に位置する第一の布押さえ59を負のZ軸方向に移動させると、その移動は保持部57aにより屈曲された布Wの上面に接触して、その移動が停止される。このようにして、第一の布押さえ59を、ボタン付け縫いの際に保持位置にあるタング57に布Wを介して接する作用位置に移動させることができ、これによって、布Wが上方から第一の布押さえ59により押さえられた状態となる。
上記構成のうち、下板41、第二の布押さえ42、タング57、挟持部材6、第一の布押さえ59、タング移動機構部58及び布押さえ移動機構部55は、一体となって、下Y送り機構部(図示略)の下Y送りモータ51(図1参照)の駆動に従ってY軸方向にフレーム21とともに移動位置決めを行うことが可能となっている。
すなわち、縫い針5の下方に、フレーム21は下板41を位置させるボタン付け縫いによる縫着位置と、タング57の保持部57a及び挟持部材6を位置させるボタン付け縫いによる縫着位置とに切り替え可能となっている。
(挟持部材)
図2〜図5に示すように、フレーム21の前側先端部の上面には、タング57の保持部57aに対向し、タング57の更なる回動を阻止するとともに、タング57の保持部57aとで布Wを挟持する一対の挟持部材6が設けられている。
挟持部材6は、根糸Tを挿通可能とするようにタング57に保持された布Wにおける根糸Tの結節部C(図8参照)からボタンBに至る根糸Tの経路の両側に配置され、フレーム21から上方に延出して保持部57aに対向して保持部57aとの間で布Wを挟持するものである。挟持部材6は、X軸方向に延びる板材から形成され、針板40の上面に固定されている。ここで、挟持部材6は、一対の板材から構成され、その基端部には互いの挟持部材6を連結する取付板61と一体に形成されている。なお、取付板61を設けずに、挟持部材6をそれぞれ針板40に着脱自在に設けても良い。
挟持部材6は、針板40に対して略直角となるように設けられており、タング57の保持部57aとY軸方向に沿って並ぶように形成されている。挟持部材6は、双方の挟持部材6の間かつ根糸Tの布直近部両側への針落ちを可能とするように所定の振り幅よりも広い開口部62を形成する間隔に配置されている。
開口部62は、すくい縫いによりボタンBを布Wに縫いつけた後、ボタン保持アーム34のチャック機構34aによりボタンBを90度回転させて垂直に配置した際にボタンBと布Wとを結ぶ根糸Tの経路を形成する。
また、図5に示すように、挟持部材6の取付板61には、タング57を縫い針5の通過線上に接近させたときに、タング57の保持部57aに形成された切り欠き57bとZ軸方向に並ぶように、切り欠き6aが形成されており、折り返された状態で装着された布Wに対するすくい縫いによるボタン縫着を行う場合に、かかる切り欠き6aが挟持部材6と縫い針5との干渉を回避させる構造となっている。
(ガイド部材)
図2〜図5及び図8に示すように、挟持部材6の上面には、当該挟持部材6の間に形成された開口部62の開口領域を絞るガイド部材8が設けられている。
ガイド部材8は、開口部62内に着脱自在に設けられ、保持部57aに対向して布Wを挟持するとともに、根糸Tを挿通可能かつ所定の振り幅よりも狭い間隔の糸通し部82を形成する間隔に配置される。ここで、ガイド部材8は、X軸方向に延びる一対の板材から構成され、その基端部には互いのガイド部材8を連結する取付板81と一体に形成されている。なお、取付板81を設けずに、ガイド部材8をそれぞれ針板40に着脱自在に設けても良い。
ガイド部材8は、挟持部材6とともに針板40に固定され、針板40に対して略直角となるように設けられており、タング57の保持部57aとY軸方向に沿って並ぶように形成されている。挟持部材6は、双方の挟持部材6の間かつ根糸Tの布直近部両側への針落ちを可能とするように所定の振り幅よりも広い開口部62を形成する間隔に配置されている。
また、ガイド部材8は、挟持部材6に取り付けた際に、その前面が挟持部材6の前面とほぼ面一になるように形成されている。これにより、挟持部材6とガイド部材8とでタング57の保持部57aに保持された布Wを挟持することができるようになっている。
糸通し部82は、すくい縫いによりボタンBを布Wに縫いつけた後、ボタン保持アーム34のチャック機構34aによりボタンBを90度回転させた際にボタンBと布Wとを結ぶ根糸Tを挿通させる機能を有する。
また、ガイド部材8は、針板40の移動方向(Y軸方向)の厚さが挟持部材6のY軸方向の厚さよりも薄く形成されており、ガイド部材8を挟持部材6に設けた際に、ガイド部材8の後面が挟持部材6の後面よりも針板40の先端側に凹んだ状態となっている。
また、図5に示すように、ガイド部材8には、タング57を縫い針5の通過線上に接近させたときに、タング57の保持部57aに形成された切り欠き57bとZ軸方向に並ぶように、切り欠き8aが形成されており、折り返された状態で装着された布Wに対するすくい縫いによるボタン縫着を行う場合に、かかる切り欠き8aがガイド部材8と縫い針5との干渉を回避させる構造となっている。
なお、ガイド部材8は、挟持部材6に対して着脱可能とされているため、縫製条件によって異なる切り欠きを有するガイド部材を適宜交換できるようになっている。
(根巻きボタン付けミシンの制御系)
次に、根巻きボタン付けミシン1の制御回路について図1に基づいて説明する。根巻きボタン付けミシン1には、上記の各駆動装置の駆動を制御する制御装置としての電装ボックス101が設けられ、この電装ボックス101に各部が接続されている。
電装ボックス101には、操作パネル103、電源スイッチ104、スタートペダル105、一時停止スイッチ106が接続されている。
操作パネル103は作業者が根巻き縫いなしのすくい縫い、すくい根巻き縫い、下ボタン付け縫い、べた付け縫いなどからボタン付けの種類を選択したり、選択したボタン付け縫製の縫製条件などを入力したり、あるいは設定されている縫製条件や縫製状況などを表示するものである。設定される縫製条件としては、例えば、各ボタン穴間の渡り糸の数、布とボタン間の距離としてボタン高さH(図10参照)及び上述したガイド部材8を利用して根巻き縫い行うガイド部材使用モードの実行の有無等がある。また、操作パネル103には外部メモリ103aが接続可能であり、外部メモリ103aからの縫製データを読み込んで縫製条件を設定できるようにもなっている。
また、逆に、操作パネル103から入力した各種の縫製条件を外部メモリ103aで記憶することもできるようになっている。
また、電装ボックス101内には、制御プログラム等に基づいて演算処理を行うCPU102が備えられ、このCPU102には、メモリ102aが接続され、当該メモリ102aに制御プログラム等の各種プログラムが記憶されている。特に、メモリ102aには、縫い針5を根糸Tのガイド部材8のボタン側側面直近部からボタン近傍までの両側に針落ちさせるように各駆動装置を制御して根糸Tに根巻き縫い目を形成する縫製制御プログラムが格納されている。具体的には、縫製制御プログラムは、根巻き縫いを行う際に、縫い針5を挟持部材6の後面と、ガイド部材8の後面との間に形成される空間領域A(図7参照)に落とす(例えば、図7におけるP地点)ように各モータの駆動を制御する。
電源スイッチ104は、根巻きボタン付けミシン1を通電状態にするためのON/OFFスイッチである。スタートペダル105は、縫製をスタートするときに操作するペダルであり、これを操作するとCPU102の制御により縫製を開始する。一時停止スイッチ106は、縫製開始後に、一時的に停止するためのスイッチである。
また、電装ボックス101内には、図示しないインターフェースが設けられ、CPU102からの制御信号がこのインターフェースを介して、さらに図示しない駆動回路を介して各駆動源に出力されるようになっている。
すなわち、インターフェースを介して、主軸モータ14、針振りモータ20、上Y送りモータ32、上下駆動モータ35、差動モータ72、フレーム21を針棒9の上下動方向及び針振り方向に対して略直交する方向である前後方向に駆動させる下Y送りモータ51及びボタン保持アーム34を前後方向に移動させる上Y送りモータ32が接続されている。また、インターフェースを介して電磁弁108が接続され、この電磁弁108を介して回転シリンダ37、タングシリンダ582、布押えシリンダ552が接続されている。さらに、根巻きボタン付けミシン1には、図示しない糸切り機構が設けられ、縫製途中や縫製後に所定のタイミングで糸が切断されるようになっており、その駆動源として糸切りモータ109や糸切りシリンダ110が設けられている。
以上の構成を有する根巻きボタン付けミシン1は、ボタンBに関しては、差動モータ72の駆動によりX軸方向への移動を行い、上Y送りモータ32の駆動によりY軸方向への移動を行い、上下駆動モータ35の駆動によりZ軸方向を行うことができる。
また、布Wに関しては下Y送りモータ51の駆動によりフレーム21とともにY方向に移動させることができる。加えて、X軸方向に針棒9を揺動させる針振りモータ20の駆動により、縫い針5の針落ち位置をX軸方向について位置決めすることができる。
すなわち、針振りモータ20,上Y送りモータ32,差動モータ72及び下Y送りモータ51が協働することで、ボタン保持アーム34に保持されたボタンB及びタング57に保持された布Wに対して縫い針5の針落ち位置を相対的に位置決めする。また、下Y送りモータ51は、タング57を縫い針5から退避させることもできる。
<根巻きボタン付けミシンによるボタン付け方法>
次に、根巻きボタン付けミシン1による布Wへのボタン付け方法について説明する。
図6は、根巻きボタン付けミシン1による布Wへのボタン付け方法のフローチャート、図7は、タング57の保持部57aにより布Wを保持し、タング57の保持部57aを縫い針5の通過線上に接近させたときの平面図であり、図8は、タング57の保持部57aにより布Wを保持し、タング57の保持部57aを縫い針5の通過線上に接近させたときの図7におけるVIII−VIII断面図である。
図6に示すように、根巻きボタン付けミシン1によりボタンBにボタン付けを行う際には、ガイド部材8を挟持部材6に取り付けるとともに操作パネル103によりガイド部材を使用して根巻き縫いを行うガイド部材使用モードを設定する(ステップS1:取り付けステップ)。
次いで、電装ボックス101は、保持部57aで折り返された布Wを保持するタング57をタングシリンダ582の駆動により回動させ、タング57の保持部57aを縫い針5の通過線上に接近させる(ステップS2:セットステップ)。
次いで、電装ボックス101は、ボタン保持アーム34のチャック機構34aにより保持されたボタンBを所定位置に移動させ、電装ボックス101により各モータを駆動させてすくい縫いを行い、ボタンBを布Wに縫いつける(ステップS3:すくい縫いステップ)。
次いで、すくい縫いが終了すると、電装ボックス101は、ボタン保持アーム34を駆動させて布Wに縫いつけられたボタンBをその上面がフレーム21の後方に向かうように90度回転させる(ステップS4:ボタン回転ステップ)。これにより、ボタンBは、起立した状態となり、ボタンB及び布Wは、図7及び図8に示すように垂直に保持される状態となる。
さらに、予め操作パネル103により設定されているボタン高さHに基づき上Y送りモータ32を駆動して、布WにするボタンBとの間隔が上記ボタン高さHとなるようにボタンBをY方向に移動する(ステップS5:根巻き長さ設定ステップ)。このとき、糸TがボタンB側に引っ張られるため、糸Tが縫いつけられた布WもボタンB側に引っ張られるが、挟持部材6及びガイド部材8により、布WがボタンB側に引っ張られるのを防止し、糸通し部82に対向する布WだけがボタンB側に少し引っ張られる。
次いで、操作パネル103によりガイド部材8を使用してボタン付けを行うガイド使用モードが設定されているか否かが判別される(ステップS6:ガイドしようモード判定ステップ)。ガイド使用モードが設定されている場合は、上Y送りモータ32と下Y送りモータ51とを同期駆動して、ボタンBと布Wとを同一距離Y方向に移動して縫製開始位置P(図7参照)に位置決めする(ステップS7:ガイド部材使用モード位置決めステップ)。なお、縫製開始位置Pは、ガイド部材8を使用して根巻き縫いをする際の縫い針5に対するボタンB及び布Wの縫製開始位置であり、図8の縫い針5’で示すガイド部材8を使用せずに根巻き縫いをする場合の針の位置と比較して、相対的にガイド部材8の板厚tだけボタン側に寄っており、この長さtは予めメモリ102aに記憶されている。
次いで、CPU102は、ボタン高さHに基づき根巻き縫い針数Nを算出する。この根巻き縫い針数Nは、ボタン高さHとメモリ102aに予め記憶されている根巻き縫いの縫いピッチMとにより算出される針数であるが、ガイド部材使用モードが設定されている場合には、ボタン高さHから板厚tだけ減算した値を縫いピッチMで除算する演算式(N=(H−t)/M)により、算出される(ステップS8:針数算出ステップ)。
そして、電装ボックス101が駆動制御プログラムを実行することにより、各モータの駆動を制御して縫い針5を空間領域A内のP地点に落として根巻き縫いを開始する(ステップS9:根巻きステップ)。この根巻き縫いの際に制御ボックス101は、ボタン保持アーム34とタング57とに掛け渡された根糸Tを縫い針5の針振り方向と略直交する方向に沿って直線状に維持しつつ、縫い針5の通過線上に前後移動するように、上Y送りモータ32と下Y送りモータ51とを同期駆動する。
次いで、根巻き縫いされた針数が算出された針数Nに到達したか否かを判別し(ステップS10:根巻き終了判別ステップ)、到達していなければ根巻き縫いを繰り返し、到達すれば、糸切りシリンダ110を駆動して根巻き糸を切断し根巻き縫いを終了する。
これをもってガイド部材8の使用による布Wへのボタン付けが終了する。なお、縫製開始位置Pは、上述した例に限らずガイド部材8と縫い針5の干渉を防止できる範囲でガイド部材8の後面に可能な限り近づけることが好ましい。
一方、ステップS6でガイド部材使用モードが設定されていない場合は、上Y送りモータ32と下Y送りモータ51とを同期駆動して、ボタンBと布Wとを同一距離Y方向に移動して縫製開始位置S(図10参照)に位置決めする(ステップS11:ガイド部材不使用モード位置決めステップ)。
次いで、CPU102によりボタン高さHに基づき根巻き縫い針数Nが算出される。この場合、根巻き縫い針数Nは、ボタン高さHを縫いピッチMで除して算出される針数であるのでN=H/Mの演算式により算出される(ステップS12:針数算出ステップ)。
次いで、ステップS9に移行して、ガイド部材使用モードと同様の処理を行いガイド部材8を使用しない場合の布Wへのボタン付けが終了する。
以上のように、ガイド部材8を装着した場合は、ガイド部材8を装着する必要のない比較的伸びやすくない布Wに対する場合と同じように布W直近に針落ちさせると、ガイド部材8と縫い針5との干渉を防止してしまうが、制御ボックス101の駆動制御プログラムが、ガイド部材8の板厚t分だけ布Wから離れた位置からボタンBの近傍までの間で根巻き縫いを形成するように、各駆動部材を制御するためガイド部材8と縫い針5との干渉を防止しつつ、比較的伸びやすい布Wに対しても品質の良い根巻き縫いを形成することができる。
<実施形態の作用効果>
実施形態における根巻きボタン付けミシン1及び根巻きボタン付けミシン1を用いたボタン付け方法によれば、ガイド部材8を保持部57aに対向して布Wを挟持するとともに、根糸Tを挿通可能かつ所定の振り幅よりも狭い間隔の糸通し部82を形成する間隔に配置することにより、ガイド部材8は、タング57の保持部57aを縫い針5の通過線上に接近させたときに保持部57aに対向する。これにより、ガイド部材8は、保持部57aとで布Wを保持する挟持部材6としての機能を有するとともに、挟持部材6に形成された開口部62を覆う。また、ガイド部材8の間には、縫い針5の振幅よりも狭い幅とされた糸通し部82が形成されているため、ニットのように比較的伸びやすい布WにボタンBを縫いつけて根巻き縫いを行う際に、根糸Tを直線状に維持する際にかかる引張力により布Wが引っ張られても挟持部材6とガイド部材8によって布Wが引っ張られる部分が大幅に小さくなり、根巻き縫いをする際に生じる布Wの浮きを防止することができる。
また、制御装置101は、縫い針5を根糸Tのガイド部材8のボタン側側面直近部からボタン近傍までの両側に針落ちさせるように各駆動装置を制御して根糸Tに根巻き縫い目を形成する。これにより、縫い針5とガイド部材8の干渉を避けるとともに、根巻き縫いをする際の針落ち位置も布Wに近づけることができるので、根巻き不良が生じることはない。
よって、根巻き縫いを行う際にガイド部材8が布Wの伸びを抑え、布Wに根巻き縫いの縫い目を形成することなく、根糸Tに根巻き縫いを形成することができ、ニットのように比較的伸びやすい布WにボタンBを付けて根巻き縫いをする場合であっても、縫製品質の低下を防止することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、挟持部材6は、必ずしも一体に形成する必要はなく、一対の部材を縫い針5の振り幅よりも広くなるように配置してもよい。同様に、ガイド部材8は、必ずしも一体に形成する必要はなく、一対の部材を縫い針5の振り幅よりも狭くなるように配置してもよい。
また、上記実施形態ではフレーム21とボタン保持部材34は別個の駆動源で駆動する構成となっているが、フレーム21とボタン保持部材34を同じ駆動源で動作させるようにしてもよい。
すなわち、上記実施形態では、ボタン保持アーム34とフレーム21とは、それぞれ上Y送りモータ32と下Y送りモータ51とにより駆動されて前後方向に移動位置決めする構成となっているが、ボタン保持アーム34とフレーム21をともに上Y送りモータ32により駆動する構成としても良いことは勿論である。
また、上記実施形態では、操作パネル103によりガイド部材使用モードが選択されると自動的にガイド部材使用モードでの縫い始め位置Pに布WとボタンPとを位置決めしているが、ガイド部材使用モードを設けずとも操作パネル103に縫い始め位置設定スイッチを設けこの縫い始め位置設定スイッチにより縫い始め位置Pを設定しても良いことは勿論である。なお、この場合は、根巻き縫い針数Nは、ガイド部材8を使用せずに根巻き縫いを行う場合の標準的な縫い始め位置Sと縫い始め位置設定スイッチにより設定された縫い始め位置Pとの差をボタン高さHより差し引いた距離を縫いピッチMで除する演算がCPU102によって実行され求められる。
根巻きボタン付けミシンの構成ブロック図である。 根巻き縫いが行われるガイド部材周辺の斜視図である。 根巻き縫いが行われるガイド部材周辺の斜視図である。 根巻き縫いが行われるガイド部材周辺の斜視図である。 挟持部材及びガイド部材の拡大斜視図である。 ボタン付け方法のフローチャートである。 根巻き縫いを行う際の挟持部材及びガイド部材の平面図である。 図7におけるVIII−VIII断面図である。 従来の根巻きボタン付けミシンにおける根巻き縫いが行われるガイド部材周辺の斜視図である。 従来の根巻きボタン付けミシンにおける根巻き縫いを行う際の挟持部材及びガイド部材の平面図である。 図10におけるXI−XI断面図である。 従来の根巻きボタン付けミシンにより根巻き縫いを行ったときのボタンと布の状態を示す側面図である。
符号の説明
1 根巻きボタン付けミシン
5 縫い針
9 針棒
14 主軸モータ(針棒駆動装置)
20 針振りモータ(針振り駆動装置)
40 針板
51 下Y送りモータ(ボタン保持部材駆動装置)
57 タング(布保持部材)
57a 保持部
6 挟持部材
62 開口部
8 ガイド部材
82 糸通し部
101 電装ボックス(制御装置)
B ボタン
T 根糸
W 布

Claims (2)

  1. 縫い針を挿通させる針穴を有する針板と、
    針板の下方に設けられ縫い針との協働により環縫いの縫目を形成するルーパと、
    縫い針を保持する針棒を上下動させる針棒駆動装置と、
    前記針棒と前記針板の間に配置され、根糸によって布に縫付けられたボタンを垂直の状態で保持するボタン保持部材と、
    前記ボタン保持部材を前後に移動させるボタン保持部材駆動装置と、
    前記針棒を針振りさせて前記縫い針を前記根糸の両側に所定の振り幅で針落ちさせる針振り駆動装置と、
    前記ボタン保持部材とともに前後移動する支持台と、
    前記布を前記根糸の結節部で折り返した状態で保持する保持部を有し、該保持部に保持された布と前記ボタン保持部材に保持されたボタンとの間に掛け渡された根糸を前記縫い針の針振り方向と略直交する方向に沿って直線状に維持しつつ前記縫い針の通過線上に位置するように前記支持台に支持されて前記針板上を前後移動する布保持部材と、
    前記根糸を挿通可能とするように前記布保持部材に保持された布からボタンに至る根糸の経路の両側に配置され、前記支持台から上方に延出して前記保持部に対向して前記保持部との間で前記布を挟持する一対の挟持部材と、
    前記各駆動装置の駆動を制御する制御装置と、を備え、
    前記一対の挟持部材の双方は、双方の挟持部材の間かつ前記根糸の布直近部両側への針落ちを可能とするように前記所定の振り幅よりも広い開口部を形成する間隔に配置され、前記各駆動装置を制御して、前記縫い針を前記根糸の前記双方の挟持部材の間かつ前記根糸の布直近部両側からボタン近傍までの両側に針落ちさせて、前記根糸に根巻き縫い目を形成する根巻きボタン付けミシンにおいて、
    前記開口部内に着脱自在に設けられ、前記保持部に対向して布を挟持するとともに、前記根糸を挿通可能かつ前記所定の振り幅よりも狭い間隔の糸通し部を形成する間隔に配置される一対のガイド部材を備え、
    前記制御装置は、前記縫い針を前記根糸の前記一対のガイド部材のボタン側側面直近部からボタン近傍までの両側に針落ちさせるように前記各駆動装置を制御して前記根糸に根巻き縫い目を形成することを特徴とする根巻きボタン付けミシン。
  2. 請求項1に記載の根巻きボタン付けミシンを用いたボタン付け方法において、
    根巻き縫いを行う際に、前記制御装置により、前記縫い針を前記根糸の前記一対のガイド部材のボタン側側面直近部からボタン近傍までの両側に針落ちさせるように前記各駆動装置を制御して前記根糸に根巻き縫い目を形成する制御ステップを備えることを特徴とするボタン付け方法。
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