JP4799946B2 - 玉縁縫いミシン - Google Patents
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即ち、当該玉縁縫いミシンにおける縫製では、針板上面において、身頃生地とその上に玉縁布とを重ねて配置し、その上から底板部とその上面に垂直に立設された立板部とからなる断面逆さT字状であるバインダーを載置する。さらに、玉縁布の両端部をそれぞれバインダーの底板部の上面から立板部の各平面に沿わせるように折り返した状態で保持し、送り機構で所定方向に各布地を送りつつ、バインダーの立板部の両側で2本の縫い針により縫製を行う。また、かかる縫製時には、縫い針の上下動に同期してセンターメスを上下動させてポケットの開口部を形成するための直線状のセンター切れ目を形成し、その後、略V字状に配置されたコーナーメスの上下動により当該センター切れ目の両端部側に連続するように二叉に枝分かれする略V字状のコーナー切れ目を形成して縫製が行われている。
そして、縫製終了後に玉縁布をセンター切れ目内に通すようにして1回転返すことにより、ポケットが形成される。
具体的には、コーナーメス装置に回転支点が設けられており、メスの調整等のメンテナンスを行う際には、当該回転支点を中心にコーナーメス装置を回転移動させて、ミシンテーブル下方の位置からミシンテーブルの外側の位置に移動させる構成のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、メスの調整等の際にコーナーメス装置を回転移動させた結果、ミシンテーブルと回転移動したコーナーメスとの間に作業者が位置する場合には、調整作業時のコーナーメス装置の向きが作業者にとって使用時と逆になることになり、調整作業時に作業者が装置の向きに関して混乱する等、調整作業がやり難いという問題が生じていた。
さらに、回転移動によるコーナーメス装置の移動では、回転支点がミシンテーブル下方にあるため、装置を回転させても回転支点付近はミシンテーブルの十分に外側に出てくることはなく、回転支点に近い方のコーナーメスの調整作業がやり難いという問題があった。
下端に2本の縫い針を上下動するように保持する針棒を有し、前記ミシンテーブルの一端側上面に配置されるミシン本体と、
前記2本の縫い針の上下動により平行な2本の縫目が形成されるように、前記ミシンテーブル上に載置される被縫製物を前記ミシンテーブルの前後方向に送る布送り装置と、
前記針棒の近傍に配置され、前記被縫製物が前記布送り装置により送られる際に前記2本の縫目の間に直線状の切れ目を形成するセンターメス機構と、
装置上部に配置されたコーナーメスと、前記コーナーメスの下方に配置され、前記コーナーメスを上下動するシリンダーとを有し、前記布送り装置による布送り方向下流側かつ前記ミシンテーブル下方に配置され、前記布送り装置により送られて前記コーナーメス上方に位置する前記被縫製物に対し前記コーナーメスを上昇させて前記ミシンテーブル下方から突出させることにより前記直線状の切れ目の長手方向外側に前記直線状の切れ目に連続する略V字状の切れ目を形成するコーナーメス装置とを備えた玉縁縫いミシンにおいて、
前記機枠は、前記機枠の前記ミシンテーブル下方に支持されて前記ミシンテーブルの左右方向に沿って配設された2本の第1ガイド部材を有し、
前記コーナーメス装置は、前記第1ガイド部材の内側に配置され、前記第1ガイド部材と嵌合して直線移動する2本の第2ガイド部材と、
前記コーナーメスがV字状の切れ目を形成可能な動作位置に、前記コーナーメス装置を固定するロック部材と、
前記コーナーメス装置の正面側を覆う部材に設けられ、前記コーナーメス装置を引き出す際に用いる取っ手と、を有し、
前記シリンダーは、前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の下方に延出するように配置され、且つ、前記コーナーメス装置は、前記第1及び第2ガイド部材を介して前記機枠に支持されると共に、前記第1及び第2ガイド部材を介して直線移動させることにより、少なくとも前記コーナーメスが前記ミシンテーブルの端縁外側に到るまで、前記左右方向に沿って前記ミシンテーブル下方から引出し可能に構成されていることを特徴としている。
なお、「コーナーメスがミシンテーブルの端縁外側に到る」とは、テーブル上面の垂直上方から見てテーブルの直下となる領域から脱した状態をいうものとする。
図1は、玉縁縫いミシン10の全体の概略構成を示す斜視図である。なお、本実施の形態においては、各図中に示したXYZ軸を基準にしてそれぞれの方向を定めるものとし、Z軸方向は後述する縫い針41の上下動方向と一致し、縫製作業を行う平面はZ軸方向と垂直となり、当該作業平面に平行であって布送りが行われる方向をX軸方向とし、作業平面に平行であってX軸方向に直交する方向をY軸方向とする。また、X軸方向を前後方向、Y軸方向を左右方向、Z軸方向を上下方向というものとする。
ここで、図3〜図5は、コーナーメス装置90及び当該コーナーメス装置90のガイド部材60を示す図である。
コーナーメス装置90は、図1に示すように、ミシンテーブル11aの下方であって布送り装置20による大押さえ21,21の通過経路に配置されており、布送り装置20により搬送されてきた玉縁布B及び身頃生地Mに下方からコーナーメス91を差し込むことでセンター切れ目Sの両端となる位置に略V字状のコーナー切れ目Vを形成する。
即ち、コーナーメス装置90は、布送り方向Fに沿って間隔をあけて配置された2つのコーナーメス91,91と、各コーナーメス91を所定の動力伝達機構を介してそれぞれ上下動させる駆動手段としてのシリンダー92,92とを備えている。
そして、2つのコーナーメス91は、それぞれが形成する略V字状のコーナー切れ目Vの開口部が互いに逆向きとなるように各々が支持されている。また、2つのコーナーメス91は、その間隔を調節することが可能となっている。
前記コーナーメス装置90は、2本の縫目Tと、センター切れ目Sが形成された布地B,Mが、布送り装置20により、コーナーメス装置90の真上となる位置まで搬送されると、2つのコーナーメス91をセンター切れ目Sの両端部で上下動させることで、2つの略V字状のコーナー切れ目Vを布地B,Mに形成する。
前記したように嵌合した第1ガイド部材61及び第2ガイド部材62を介してコーナーメス装置90は機枠11に支持されており、さらに、第1ガイド部材61に対して第2ガイド部材62がY軸方向に直線的にスライド移動するようになっている。これにより、コーナーメス装置90は、第1ガイド部材61及び第2ガイド部材62を介して直線移動され、少なくともコーナーメス91がミシンテーブル11aの端縁外側に到るまで、ミシンテーブル11a下方からミシンテーブル11aの外側(本実施形態では、Y軸方向における手前側又は下側)まで前記左右方向に沿って引出し可能となっている。また、コーナーメス装置90の引出し方向の手前側(図3及び図4のY軸方向の手前側)には、第1ガイド部材61及び第2ガイド部材62を利用してコーナーメス装置90を引き出す際に引き出し易いように取っ手63が設けられている。
ガイド部材60の構成については、第1ガイド部材61,第2ガイド部材62間において、ボール,コロを介在せしめる構造、相互に摺動させる構造等のように、相互間での滑動を可能とする種々のガイド構造を採用しても良い。
その結果、円滑かつ確実にコーナーメス装置の調整作業を行うことができ、その結果、良好な状態で動作させることができる玉縁縫いミシンとすることができる。
例えば、本実施形態では、第2ガイド部材62がコーナーメス装置90の両側面に配置されているが、これに限るものではなく、他の箇所、例えばコーナーメス装置90の両側付近の下面側等に配置されていても良い。このときには、当該第2ガイド部材62の位置に合わせて第1ガイド部材61が配置されることは言うまでもない。
また、上記実施形態では、コーナーメス装置90は、第1ガイド部材61及び第2ガイド部材62を介して機枠11に支持されているが、通常運転時は、コーナーメス装置90を取付けネジあるいはフック等の支持部材により機枠11に支持しておき、調整のためにコーナーメス装置90を引き出す場合のみ、支持部材による支持を解放した上で第1ガイド部材61及び第2ガイド部材62を介してコーナーメス装置90を引き出すようにしても良い。この場合は、通常は両ガイド部材61及び62に掛かる負荷が少なくて済むので、両ガイド部材61及び62をより低コストで構成することができる。
11 機枠
11a ミシンテーブル
11b 脚体
12 ミシン本体
13 針板
20 布送り装置
21 大押さえ
22 支持体
30 バインダー
31 底板部
32 立板部
41 縫い針
51 センターメス
90 コーナーメス装置
91 コーナーメス
60 ガイド部材
61 第1ガイド部材
62 第2ガイド部材
63 取っ手
B 玉縁布
M 身頃生地
S センター切れ目
V コーナー切れ目
T 縫目
F 布送り方向
Claims (1)
- 複数の脚体と、前記脚体上方に前記脚体によって支持されるミシンテーブルとを有する機枠と、
下端に2本の縫い針を上下動するように保持する針棒を有し、前記ミシンテーブルの一端側上面に配置されるミシン本体と、
前記2本の縫い針の上下動により平行な2本の縫目が形成されるように、前記ミシンテーブル上に載置される被縫製物を前記ミシンテーブルの前後方向に送る布送り装置と、
前記針棒の近傍に配置され、前記被縫製物が前記布送り装置により送られる際に前記2本の縫目の間に直線状の切れ目を形成するセンターメス機構と、
装置上部に配置されたコーナーメスと、前記コーナーメスの下方に配置され、前記コーナーメスを上下動するシリンダーとを有し、前記布送り装置による布送り方向下流側かつ前記ミシンテーブル下方に配置され、前記布送り装置により送られて前記コーナーメス上方に位置する前記被縫製物に対し前記コーナーメスを上昇させて前記ミシンテーブル下方から突出させることにより前記直線状の切れ目の長手方向外側に前記直線状の切れ目に連続する略V字状の切れ目を形成するコーナーメス装置とを備えた玉縁縫いミシンにおいて、
前記機枠は、前記機枠の前記ミシンテーブル下方に支持されて前記ミシンテーブルの左右方向に沿って配設された2本の第1ガイド部材を有し、
前記コーナーメス装置は、前記第1ガイド部材の内側に配置され、前記第1ガイド部材と嵌合して直線移動する2本の第2ガイド部材と、
前記コーナーメスがV字状の切れ目を形成可能な動作位置に、前記コーナーメス装置を固定するロック部材と、
前記コーナーメス装置の正面側を覆う部材に設けられ、前記コーナーメス装置を引き出す際に用いる取っ手と、を有し、
前記シリンダーは、前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の下方に延出するように配置され、且つ、前記コーナーメス装置は、前記第1及び第2ガイド部材を介して前記機枠に支持されると共に、前記第1及び第2ガイド部材を介して直線移動させることにより、少なくとも前記コーナーメスが前記ミシンテーブルの端縁外側に到るまで、前記左右方向に沿って前記ミシンテーブル下方から引出し可能に構成されていることを特徴とする玉縁縫いミシン。
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