JP6108742B2 - ボタン穴かがりミシン - Google Patents

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Description

本発明は、ボタン穴かがりミシンに関する。
従来のボタン穴かがりミシンは、主に、身頃を所定の布送り方向に送る布送り機構と、布送り機構の送り板の上で身頃を保持する押さえ上げ機構と、縫い針に上下動を付与する針上下動機構と、布送り方向に直交する方向に縫い針を移動させて、針振りを行う針振り機構と、ボタン穴を形成する布切りメスとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
布送り機構は、身頃を載置する送り板と、送り板の移動の駆動源となる送りモーターとを備えており、送りモーターはミシンの制御部によって動作制御が行われている。
針上下動機構は、縫い針に上下動を付与するミシンモーターの他に、縫い針に針振り動作を付与する針振りモーターを備えており、針振りモーターも制御部によって動作制御が行われている。
押さえ上げ機構は、送り板上で昇降可能に支持された布押さえと、布押さえに対して押さえ圧を付与する押さえバネと、押さえバネに抗して布押さえを昇降させる押さえ上げモーターとを備えている。そして、布押さえは送り板と共に布送り方向に沿って移動を行うように支持されており、押さえバネと押さえ上げモーターは、布押さえの移動動作を許容して押さえ圧、昇降動作の付与が可能となっている。
ミシンは操作ペダルを備えており、この操作ペダルの操作により、押さえ上げ機構は、布押さえが送り板に押圧接触する下降位置と、送り板から幾分上方に離間した中間位置と、最大限に上昇させた最上昇位置とに切り換えることが出来るようになっている。
上記従来のボタン穴かがりミシンでは、布押さえを最上昇位置とした状態で送り板の上に身頃をセットし、操作ペダルにより布押さえを中間位置まで下げてから身頃の縫い位置を正確に位置決めする。その後、布押さえを下降位置まで下ろして布保持を行い、操作ペダルにより縫い開始の操作を行うと、布移動機構、押さえ上げ機構、布切りメスが制御されてボタン穴かがりの縫い目が形成され、その後、自動的に布押さえが中間位置に上昇されるようになっている。
なお、上記のように、操作ペダルにより縫い開始の操作を行うと、ミシンが、ボタン穴かがりの縫い目を形成し、その後、自動的に布押さえが中間位置に上昇されるまでの動作をミシンの自動的な動作といい、その時間をミシンの自動動作時間とする。
特許第4084025号公報
縫製工場では、一人のオペレーターが複数台のミシンを担当している。そして、1台のミシンが自動で縫製を行っている間に、他のミシンへの縫製生地のセット作業を行い、生産効率の向上を図ることが行われている。
上記従来のボタン穴かがりミシンは、一つ分のボタン穴かがり縫いが形成されるまで自動的に動作が行われるので、理屈の上では、この期間を利用して、もう一台のボタン穴かがりミシンで身頃の位置合わせと縫いの開始を行えば、二台のボタン穴かがりミシンを休みなく連続的に稼働させることが可能である。
しかしながら、実際は、一つ分のボタン穴かがり縫いに要する時間は2秒を超える程度であり、これに対して、身頃の位置合わせ作業は熟練のオペレーターでも3秒程度必要であるため、二台のボタン穴かがりミシンを一人のオペレーターが掛け持ちで操作使用すると、毎回ミシンの停止状態が発生し、十分な生産効率の向上を図ることが出来なかった。
本発明は、一つ一つのボタン穴かがり縫いの作業速度を落とすことなく、ミシンの自動動作時間を十分に確保することが出来るボタン穴かがりミシンを提供することをその目的とする。
請求項1記載の発明は、被縫製物を載置する載置部を備え、当該載置部を一定の送り方向に沿って移動させることにより前記被縫製物の送りを行う送り機構と、縫い針を上下動させる針上下動機構と、前記縫い針を前記送り方向に直交する方向に沿って移動させる針振り機構と、前記載置部の上で前記被縫製物を保持する第一の押さえ部材と、前記送り機構と前記針上下動機構と前記針振り機構との協働により前記載置部に載置された前記被縫製物に対してボタン穴かがり縫いを行うボタン穴かがりミシンにおいて、前記載置部の外側で前記被縫製物を保持する第二の押さえ部材と、前記第一の押さえ部材と前記第二の押さえ部材とに対して前記被縫製物の保持状態とその解除状態とを切り換える押さえ上げ機構と、前記第一の押さえ部材の保持状態での前記送り機構による前記載置部の移動動作と前記第二の押さえ部材の保持状態での前記送り機構による前記載置部の移動動作とにより、前記載置部に対する前記被縫製物の保持位置を変更することで前記被縫製物の複数箇所にボタン穴かがり縫いを行う制御部を備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記押さえ上げ機構は、一つのアクチュエーターと当該アクチュエーターと前記第一の押さえ部材及び前記第二の押さえ部材を連結するリンク機構とを備え、前記リンク機構は、前記第一の押さえ部材が保持状態で前記第二の押さえ部材が解除状態となる第一の状態と、前記第一の押さえ部材が解除状態で前記第二の押さえ部材が保持状態となる第二の状態とを前記アクチュエーターにより切り換え可能であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記押さえ上げ機構は、前記第一の押さえ部材の保持状態と解除状態とを切り換えるアクチュエーターと、前記第二の押さえ部材の保持状態と解除状態とを切り換えるアクチュエーターとを個別に備えることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記押さえ上げ機構は、前記第一の押さえ部材の高さを、前記被縫製物を保持する保持位置と、当該保持位置よりも高位置となる被縫製物の解放位置と、前記保持位置と前記解放位置との間となる中間位置とに切り替え可能であり、前記第二の押さえ部材の保持状態の時には、前記第一の押さえ部材を前記中間位置とすることを特徴とする。
請求項1記載の発明は、第二の押さえ部材の保持状態での載置部の移動動作により、被縫製物に対して載置部のみが移動するので、被縫製物と載置部とは布送り方向について相対的に位置関係が変動する。このため、現在のボタン穴かがり縫いの縫製位置から次の縫製目標位置への移動量と同じ移動量で載置部のみを移動させることで、載置部に対して被縫製物の次の縫製目標位置を位置合わせすることが出来る。
そして、第一の押さえ部材の保持状態での載置部の移動動作により、被縫製物の次の縫製目標位置を縫い針により縫製位置に移動させることが出来るので、第一の押さえ部材の保持状態による移動動作と第二の押さえ部材の保持状態による移動動作とによって、被縫製物のボタン穴かがり縫いの縫製目標位置を切り換えることが出来る。また、これを複数回繰り返すことにより三箇所以上にボタン穴かがり縫いを行うことも可能である。
なお、第一の押さえ部材の保持状態による移動動作と第二の押さえ部材の保持状態による移動動作とは、いずれを先に行うことも可能である。
このように、従来は、ミシンによる自動的な動作を一つのボタン穴かがり縫いについてしか行うことが出来なかったが、本発明にかかるミシンは、複数のボタン穴かがり縫いについて連続的に自動的な動作を継続することが可能である。
この結果、1台のミシンが自動で複数のボタン穴かがり縫いを行っている間に、他のミシンへの縫製生地のセット作業を行い、より生産効率の向上を図ることが行われる。
さらに、縫製を開始してから次の操作が必要となるまでの時間が増えるので、その間にオペレーターは他のミシンに対する操作が可能となり、複数台のミシンを操作することが可能となる。
つまり、個々のボタン穴かがり縫いの作業速度を低減させることなく、複数台のミシンが操作可能となり、縫製作業の効率を飛躍的に向上させることが可能である。
なお、第一の押さえ部材を布送り方向に延長し、一つの第一の押さえ部材で二乃至三箇所のボタン穴かがり縫いを連続的に行うことを可能とするミシンが存在するが、このようなミシンと比べた場合、本発明のミシンは、載置部の大きさに制限されることなく、より多くのボタン穴かがり縫いを連続的に行うことができ、より高効率的な縫製がかのうである。また、自動的な縫製時間をより長く確保することができ、オペレーターが複数のミシンを操作する場合でもより有利である。また、第一の押さえ部材を布送り方向に延長する場合、第一の押さえ部材の大型化を生じ、動作スペースの確保、部材の重量増加に伴う駆動源の大型化、動作の低速化等を生じ得るが、本発明はそのような不利益を回避することが出来る。
なお、上記布送り方向に延長した第一の押さえ部材を本発明のミシンに搭載しても良いことは言うまでもない。その場合、二乃至三箇所のボタン穴かがり縫いを行ってから、第一の押さえ部材の保持状態による移動動作と第二の押さえ部材の保持状態による移動動作とによって、被縫製物のボタン穴かがり縫いの縫製目標位置を切り換えることにより、連続的により多くの目標位置にボタン穴かがり縫いを行うことが出来る。
請求項2記載の発明は、梃子部材やベルクランク等のリンク体を用いたリンク機構により第一と第二の押さえ部材の対する昇降動作の伝達を行うことにより、一つのアクチュエーターが一定方向への動力を出力することで、各押さえ部材に対して互いに逆方向への動作を付与することが可能である。
これにより、アクチュエーターの個体数を低減し、部品コストの低減、制御系の簡略化を実現することが可能となる。
請求項3記載の発明は、第一の押さえ部材と第二の押さえ部材とを個別のアクチュエーターで動作させるので、動作伝達を行う機構構造の単純簡略化を図ることが可能となる。
請求項4記載の発明は、第一の押さえ部材を保持位置に対して二段階で上昇させ、第二の押さえ部材の保持の際には第一の押さえ部材は中間位置で被縫製物の保持状態を解除するので、上昇動作の所要時間を短縮し、動作の高速化が可能となる。
また、縫製終了後に被縫製物を交換する場合には、第一の押さえ部材をより高い解放位置とすることが出来るので、良好な作業性を得ることが可能である。
発明の実施形態であるボタン穴かがりミシンの斜視図である。 ボタン穴かがりミシンの内部構成の概略図である。 ボタン穴かがりミシンにおける押さえ上げ機構の構成のみを抽出した斜視図である。 布押さえの周辺の拡大斜視図である。 図4と異なる方向から見た布押さえの周辺の拡大斜視図である。 押さえ上げ機構を面部側から見た図である。 補助押さえ棒の動作説明図であり、図7(A)が伝達桿の最前位置の状態を示し、図7(B)は伝達桿の途中停止位置の状態を示し、図7(C)伝達桿の最後退位置の状態を示す。 布押さえ及び補助押さえ棒の動作説明図であり、図8(A)が伝達桿の最前位置の状態を示し、図8(B)は伝達桿の途中停止位置の状態を示し、図8(C)伝達桿の最後退位置の状態を示す。 ボタン穴かがりミシンの制御系を示すブロック図である。 ボタン穴かがり縫いの縫製パターンの設定パラメータを示す説明図である。 ボタン穴かがり縫いの連続的な形成動作の制御を示すフローチャートである。 ボタン穴かがり縫いの連続的な形成動作の動作説明図であり、図12(A)〜図12(E)の順で動作が進行する。 ボタン穴かがり縫いの連続的な形成動作の動作を示す斜視図であり、図13(A)〜図13(D)の順で動作が進行する。 二つ穴対応の布押さえを示す斜視図である。 三つ穴対応の布押さえを示す斜視図である。 右前の身頃生地に対して好適な縫製動作を示す動作説明図である。 図16に続く動作説明図である。 図17に続く動作説明図である。 図18に続く動作説明図である。 図19に続く動作説明図である。 補助押さえを送り板の左側に配置した例を示す斜視図である。 押さえモーターを二つ搭載した押さえ上げ機構の他の例を示す斜視図である。 補助押さえの他の例を示す斜視図である。
[ボタン穴かがりミシンの概略]
以下、図面を参照して、本発明にかかるボタン穴かがりミシン100について説明する。図1はボタン穴かがりミシン100の斜視図、図2はその内部構成の概略図である。なお、以下の説明において、水平方向であってボタン穴かがりミシン100による布送り方向をY軸方向、水平方向であってY軸方向に直交する方向をX軸方向、鉛直上下方向をZ軸方向というものとする。また、必要に応じて、図1に示すように、Y軸方向における一方を「前」、他方を「後」とし、X軸方向における一方を「右」、他方を「左」とする。
ボタン穴かがりミシン100は、被縫製物を載置する載置部としての送り板71を備え、当該送り板71を一定の送り方向(以下、「布送り方向」という)に沿って移動させることにより被縫製物の送りを行う送り機構としての布送り機構70と、縫い針1を上下動させる針上下動機構20と、縫い針を前記送り方向に直交する方向に沿って移動させる針振り機構270と、送り板71の上で被縫製物を保持する第一の押さえ部材としての布押さえ41と、送り板71の外側で被縫製物を保持する第二の押さえ部材としての補助押さえ51と、布押さえ41と補助押さえ51とに対して被縫製物の保持状態とその解除状態とを切り換える押さえ上げ機構40と、ボタン穴を被縫製物に形成するメス機構60と、上糸に張力を付与する糸調子装置11と、上糸に下糸を絡める釜機構と、上糸の切断を行う上糸切断装置(図示略)と、下糸の切断を行う下糸切断装置(図示略)と、上記各部の動作制御を行う制御部90と、上記各構成を格納保持するミシンフレーム101とを備えている。そして、布送り機構70(送り機構)と針上下動機構20と針振り機構270との協働により送り板71(載置部)に載置された被縫製物に対してボタン穴かがり縫いを行う。
なお、上記ボタン穴かがりミシン100の糸調子装置11、上糸切断装置及び下糸切断装置は、従来周知のものと同一なので詳細な説明は省略する。
また、上記ボタン穴かがりミシン100はボタン穴が形成される衣類の生地を縫製の対象とするミシンであり、以下の説明では、被縫製物が身頃生地Cである場合を例にして説明を行うものとする。
[ミシンフレーム]
ミシンフレーム101は、ボタン穴かがりミシン100の下部を構成すると共にY軸方向に沿って延在するベッド部102と、ベッド部102の後端部から立設された縦胴部103と、縦胴部103の上端部からY軸方向にそって前方に向かって延出されたアーム部104とから構成されている。
上記ベッド部102はほぼ直方体状に形成されており、その長方形の上面部は長辺がY軸方向に沿っている。そして、ベッド部102の上面は縫製時には被縫製物である身頃生地Cが載置される作業領域となる。
縦胴部103は、ベッド部102の上面後端部側において、左側に寄せて配置されている。これにより、ベッド部102の上面のほぼ右半分は、Y軸方向の全長に渡って身頃生地Cを載置する作業領域とすることが可能となっている。
アーム部104は、縦胴部103の上端部から前方に向かってベッド部102の前端部近くまで延出されている。なお、以下の説明では、アーム部104の前端部端面を面部105というものとする。
[針上下動機構]
針上下動機構20は、縫い針1を保持する針棒21の上下動動作を付与する機能を有し、当該針上下動機構20に併設された針振り機構270によりX軸方向に沿って針振りを行う。この針上下動機構20は、図2に示すように、縫い針1を下端部で保持する針棒21と、針棒21の上下動の駆動源となるサーボモーターとしてのミシンモーター22と、ミシンモーター22の出力軸に直結された上軸23と、上軸23の前端部に固定装備された釣合錘24と、釣合錘24の回転中心からの偏心位置に上端部が連結されたクランクロッド25を備えている。
上記上軸23は、アーム部104の内部でY軸方向に沿った状態で回転可能に支持されている。そして、ミシンモーター22はその出力軸が上軸23と同心となるように縦胴部103の上部に装備されている。
クランクロッド25はその下端部が針棒抱き31を介して針棒21に連結されている。従って、ミシンモーター22の駆動により上軸23を通じて釣合錘24が回転を行うと、その偏心位置に連結されたクランクロッド25の上端部は円運動を行うが、その下端部では針棒21に沿った上下方向の往復動作のみが伝達される。
[針振り機構]
針振り機構270は、針棒21をその長手方向に沿って往動可能に支持する揺動台26と、針振りの駆動源となる針振りモーター27(図8参照)と、針振りモーター27により往復回動を行う揺動軸28と、揺動軸28の前端部に固定装備されて揺動台26に揺動動作を付与する揺動アーム29とを備えている。
揺動台26は、アーム部104の内側であって面部105のすぐ近傍に配置され、その上端部がY軸方向に沿った段ネジ30により揺動可能に支持されている。この揺動台26は、針棒21を挿通する二つのメタル軸受け(図示略)により、縫い針1側を下方に向けた状態で針棒21を摺動可能に支持している。
揺動軸28はアーム部104内において、Y軸方向に沿って回転可能に支持されている。この揺動軸28は、その後端部側から針振りモーター27により回動動作が入力される。
また、揺動アーム29は、その揺動端部が下方に向けられた状態で揺動軸28の前端部側に軸支されており、当該揺動端部にはY軸回りに回動可能な状態で角駒32が装備されている。この角駒32は、揺動台26の凹部に嵌合している。揺動台26の凹部は、角駒32のX軸方向における両側面に摺接する対向面を備え、角駒32のZ軸方向の一変位を許容する。従って、揺動アーム29が下方を向いた状態でX軸方向に揺動を行うと、揺動台26に対して角駒32の上下方向の変位を許容しつつX軸方向の揺動が付与される。
これにより、ミシンモーター22による針棒21の針落ちタイミングに合わせて針棒21を所定量だけ揺動させることにより、X軸方向における任意の位置に針落ちを行うことが可能となっている。
[釜機構]
釜機構は、ベッド部102内においてY軸方向に沿った状態で回転可能に支持された下軸33と、下軸33により回転が付与される垂直釜34と、下軸33にトルク伝達を行うために上軸23に装備された主動スプロケット35と、下軸33に装備された図示しない従動スプロケットと、主動スプロケット35と従動スプロケットとの間に掛け渡された歯付きのタイミングベルト36とを備えている。
上軸23から下軸33に対しては二倍速の回転が伝達されるように主動スプロケット35と従動スプロケットとの歯数が設定されており、縫い針1の上下動の2倍速で垂直釜34は回転を行うようになっている。
垂直釜34は、下軸33に固定装備されると共に剣先を備える外釜と、ボビンケースを保持して回転を行わない内釜とを備えている。この垂直釜34としては、前方と後方のいずれの布送りに対してもパーフェクトステッチを維持することが出来るいわゆるDP釜が使用されている。
[メス機構]
メス機構60は、Y軸方向に沿った切れ目によりボタン穴を形成する布切りメス61と、当該布切りメス61を保持するベース部材62と、ベース部材62を下端部で保持すると共にアーム部104により昇降可能に支持されたメス支持棒(図示略)と、メス支持棒を介して布切りメス61に昇降動作を付与するアクチュエーターとしてのソレノイド63(図8参照)とを備えている。
布切りメス61は、縫い針1の後方に併設されており、その刃先がY軸方向に沿うようにベース部材62に支持されている。
ベース部材62は布切りメス61を着脱可能としており、歯幅の異なる布切りメス61と交換してサイズの異なるボタン穴の形成を可能としている。
メス支持棒は、図示しない引っ張りバネにより常に上方に付勢されており、ソレノイド63は切断時に引っ張りバネに抗して布切りメス61を下降させるようになっている。
[布送り機構]
布送り機構(送り機構)70は、ベッド部102の上面に配置された長方形状の送り板71と、ベッド部102内において二本のガイドシャフト72,72によりY軸方向に沿って滑動可能に支持された送りベース73と、Y軸方向の布送りの駆動源である送りモーター74と、二つのプーリー75,75の間に張設されたタイミングベルト76とを備えている。
上記ガイドシャフト72,72は、いずれもY軸方向に平行な状態でベッド部102内に固定支持されている。
送り板(載置部)71は、その長辺がY軸方向に平行となるようにベッド部102の上面に設置され、その前端部近傍であってX軸方向のほぼ中央部にはY軸方向に沿ったスリット状の開口部711が上下に貫通形成されている。縫製作業時にこの開口部711に対して、縫い針1が通過して垂直釜34との協動により縫い目の形成を行うと共に、メス機構60の布切りメス61が通過して身頃生地Cに対するボタン穴の形成を行う。
送りベース73は、図示しない滑り軸受けを介してガイドシャフト72,72により滑動可能に支持されており、その上部において送り板71を保持している。
二つのプーリー75,75の一方は、送りモーター74の出力軸に取り付けられており、もう一方は、ベッド部102の内壁に回転可能に支持されている。そして、これらのプーリー75,75はいずれもX軸回りに回転可能であると共にこれらの相互間に掛け渡されたタイミングベルト76がY軸方向に沿った状態となるように配置されている。
そして、このタイミングベルト76は、その一部が送りベース73の下部に連結されており、送りモーター74が回転駆動を行うと、タイミングベルト76を介して送りベース73及び送り板71がY軸方向に移動を行うようになっている。
従って、送り板71の上面において布送り41によって保持された身頃生地Cは、送りモーター74に対する動作制御によってY軸方向において任意に移動位置決めを行うことが可能となっている。そして、前述したように、縫い針1は、針上下動機構20によりX軸方向について任意の位置に針落ちを行うことが出来るので、当該針上下動機構20と布送り機構70との協働により、身頃生地Cに対してX−Y平面における任意の位置に針落ちを行うことが可能となっている。
[押さえ上げ機構]
図3は主に押さえ上げ機構40の構成のみを抽出した斜視図である。この押さえ上げ機構40は、送り板71の上面で身頃生地Cを押さえる布押さえ41(第一の押さえ部材)と、送り板71の外側で、ミシンベッド102の上面に載置された身頃生地Cを押さえる補助押さえ51(第二の押さえ部材)と、押さえ足42を介して布押さえ41を支持する押さえアーム43と、押さえアーム43を下方に押圧するスライドローラー44と、当該スライドローラー44を支持すると共にアーム部104に昇降可能に支持された布押さえ棒45と、布押さえ41に下方への押さえ圧を付与する押さえバネ46と、布押さえ棒45に抱き締めで固定された棒抱き47と、棒抱き47の回転を規制しつつ昇降動作をガイドする押さえガイド48と、布押さえ41及び補助押さえ51の昇降動作の駆動源となるアクチュエーターとしての押さえモーター49と、アーム部104内でほぼY軸方向に沿った状態で押さえモーター49により前後往復動作を行う伝達桿50と、伝達桿50の前端部に連結されたベルクランク52と、ベルクランク52と棒抱き47とを連結するリンク部材53と、補助押さえ51を支持すると共にアーム部104に昇降可能に支持された補助押さえ棒54と、補助押さえ51に下方への押さえ圧を付与する押さえバネ55と、補助押さえ棒54に抱き締めで固定された棒抱き56と、棒抱き56の回転を規制しつつ昇降動作をガイドする押さえガイド57と、伝達桿50に連結されて棒抱き56に昇降動作を付与する梃子部材58と、梃子部材58と棒抱き56とを連結するリンク部材59とを備えている。また、符号491は押さえモーター49の原点位置を求めるための原点センサーである。
布押さえ41は、略長方形状の平板であり、その長辺がY軸方向に沿った状態で縫い針1の下方に配置されている。また、この布押さえ41はY軸方向に沿ったスリット状の開口部411が上下に貫通形成されており、前述した送り板71の開口部211と重合する配置となっており、縫い針1と布切りメス61とが挿通可能となっている。
押さえ足42は、下方に延びる二本の足が図示しない板バネを介して布押さえ41のY軸方向両端部をそれぞれ支持しており、布押さえ41のY軸回りの微小な傾動を可能としている。
押さえアーム43は、Y軸方向に沿って延在しており、その前端部側で押さえ足42を介して布押さえ41を支持しており、その後端部側において送り板71によりX軸回りに揺動可能に支持されている。つまり、押さえアーム43は、その揺動により布押さえ41を昇降させることが可能となっている。
また、押さえアーム43は、押さえ足42をX軸回りに微小角度範囲で傾動可能に支持している。
押さえアーム43は前述したように送り板71の上面に支持されているので、当該押さえアーム43及び布押さえ41は、送り板71と共にY軸方向への移動を行う。
さらに、押さえアーム43は、その前半分は直線状に形成され、後ろ半分は略クランク状に湾曲形成されている。そして、押さえアーム43の前半分の上面には、その長手方向に沿って凹溝431が形成されている。
図4及び図5はそれぞれ異なる方向から見た布押さえ41の周辺の拡大斜視図である。図3〜図5に示すように、スライドローラー44は、ローラーの踏面が外周半径外側に向かうにつれて幅が狭くなる形状となっており、布押さえ棒45の下端部に設けられたローラーブラケット441によりX軸回りに回転可能に支持されている。そして、スライドローラー44は、前述した押さえアーム43の前半分上面の凹溝431に嵌合している。
また、押さえアーム43の左側面にはプレート432がY軸方向に沿わせた状態で固定装備されている。固定されたプレート432にはY軸方向に長孔432aが形成されている。そして、ローラーブラケット441には、右に突出するピン442が取り付けられており、プレート432に形成された長穴432aに挿入されている。
布押さえ棒45は、後述する押さえバネ46及び押さえモーター49の協動により昇降動作が付与されるようになっている。そして、布押さえ棒45が下降動作を付与された時には、スライドローラー44を介して押さえアーム43及び布押さえ41に下降動作を伝達する。また、布押さえ棒45が上昇動作を付与された時には、ピン442を介して押さえアーム43及び布押さえ41に上昇動作を伝達する。
また、送り板71及び押さえアーム43はY軸方向に移動動作を行うが、その際には、スライドローラー44が押さえアーム43の凹溝431に沿って滑動し、ピン442がプレート432に形成された長穴に沿って滑動するので、送り板71及び押さえアーム43の妨げとならないようになっている。
布押さえ棒45は、アーム部104内に固定されたメタルスリーブ451により、その下端部が上下方向に摺動可能に支持されている。また、布押さえ棒45の上部には、ミシン頭部に固定され、押さえバネ46の上端に当接して、押さえバネ46の付勢力を調節する調節ネジ452が装備されている。調節ネジ452は、外径にネジ部が形成されており、ミシン頭部に上下位置を調節して固定される。
布押さえ棒45の途中部分には、棒抱き47が固定装備され、調節ネジ452と棒抱き47との間には、圧縮状態でコイル状の押さえバネ46が介挿されている。これにより、布押さえ棒45及びスライドローラー44は、常に棒抱き47を介して下方に押圧される。
また、棒抱き47の左側には丸棒状の突起部471が突設されており、当該突起部471は、押さえガイド48にZ軸方向に沿って形成された長孔に嵌合しており、これによって棒抱き47及び布押さえ棒45がZ軸回りに回動したりY軸方向に振れたりすることなく、安定した昇降動作を行うことができるようになっている。
押さえモーター49は、アーム部104の後部内側において、出力軸がX軸方向を向いた状態で固定支持されている。
押さえモーター49の出力軸には小歯車492が装備され、アーム部104の内壁に回転可能に支持された大歯車493が噛合している。
そして、大歯車493は、その左側面側において図示しない段ネジにより伝達桿50の後端部にX軸回りに回転可能に連結されている。これにより、押さえモーター49が回転駆動を行うと、伝達桿50に対して接線方向の移動動作が付与される。このとき、伝達桿50はほぼY軸方向に沿った状態で配設されており、同方向に十分に長いので、もっぱらY軸方向に沿った進退動作が伝達される。
なお、押さえモーター49はステッピングモーターであり、主電源投入時の原点検索を必要とする。従って、上記伝達桿50の所定位置に遮蔽板501を固定装備し、入射光の有無を検出する原点センサー491が遮蔽板501により遮蔽を行った位置を原点として検知するようになっている。
伝達桿50の前端部にはベルクランク52に連結されている。ベルクランク52は略V字状であってその中央屈曲部をアーム部104の内壁にX軸回りに回動可能に支持されている。そして、ベルクランク52は二方に分岐した回動端部を備え、その一方が伝達桿50の前端部にX軸回りに回動可能に連結され、他方が棒抱き47に連結されたリンク部材53にX軸回りに回動可能に連結されている。
リンク部材53は、その上端部に形成された長穴を介してベルクランク52に連結され、下端部は棒抱き47にX軸回りに回動可能に連結されている。
上記構成により、ベルクランク52の一方の回動端部が伝達桿50によりY軸方向に沿って回動させられると、他方の回動端部では上下方向に沿って回動を行い、リンク部材53を介して棒抱き47、布押さえ棒45、押さえアーム43及び布押さえ41を上下に移動させる。
図6は押さえ上げ機構40を面部105側から見た図、図7は補助押さえ棒54の動作説明図である。図3、図6及び図7に示すように、補助押さえ51は、補助押さえ棒54の底部に設けられ、ゴム、クッション、樹脂等の弾性体である。この補助押さえ51は、補助押さえ棒54に対してねじ込み式となっており、回転操作により高さ調節が可能となっている。これにより、身頃生地Cに対する押さえ圧を調節することが可能となっている。
また、補助押さえ棒54に対して補助押さえ51をX軸方向及びY軸方向に位置調節を可能とするようにスライドと位置固定を行う構造を施しても良い。
なお、補助押さえ51は、送り板71の上面の範囲外で身頃生地Cを保持することを必須とし、このボタン穴かがりミシン100では送り板71の右側縁部よりも右側に配置されている。
補助押さえ棒54は、アーム部104内に固定されたメタルスリーブ541により、その中央部が上下方向に摺動可能に支持されている。また、補助押さえ棒54の上部には、ミシン頭部に固定され、押さえバネ55の上端に当接して、押さえバネ55の付勢力を調節する調節ネジ542が装備されている。調節ネジ542は、外径にネジ部が形成されており、ミシン頭部に上下位置を調節して固定される。
補助押さえ棒54の途中部分には、棒抱き56が固定装備され、調節ネジ542と棒抱き56との間には、圧縮状態でコイル状の押さえバネ55が介挿されている。これにより、補助押さえ51は常に棒抱き56を介して下方に押圧される。
また、棒抱き56の左側には丸棒状の突起部561が突設されており、当該突起部561は、押さえガイド57にZ軸方向に沿って形成された長孔に嵌合しており、これによって棒抱き56及び布押さえ棒54がZ軸回りに回動したりY軸方向に振れたりすることなく、安定した昇降動作を行うことができるようになっている。
この補助押さえ51も、布押さえ41と同様に、押さえモーター49から伝達桿50を介して昇降動作を付与される構造となっている。押さえモーター49は、伝達桿50を最前進位置と最後退位置とこれらの間の途中停止位置の三位置に切り替えるように制御される。
前述した布押さえ41の場合にはベルクランク52を用いて昇降動作付与を行っているので、伝達桿50が最前進位置の時に布押さえ41が最も下降する布保持位置となり、途中停止位置の時に布押さえ41が幾分送り板71から離間する中間位置となり、最後退位置の時に布押さえ41が最も送り板71から離間する解放位置となる。
これに対して、補助押さえ51は、後述する縫製位置移動制御を行うために、布押さえ41が布保持を行っていない時(このミシン100では布押さえ41が中間位置の場合)に下降して身頃生地Cを押さえ、それ以外では身頃生地Cから離間して解放状態にする必要がある。
このため、図7に示すように、梃子部材58はその中間部で段ネジ581によりアーム部104内で回動可能に支持され、その上端部が伝達桿50の前端部近傍にX軸回りに回動可能に連結され、下端部が棒抱き56に連結されたリンク部材59にX軸回りに回動可能に連結されている。
また、リンク部材59は、その上端部が梃子部材58に連結され、下端部は棒抱き56にX軸回りに回動可能に連結されている。
梃子部材58は、直線状に形成されているので、その傾斜角度がZ軸方向に平行となる状態で、梃子部材58の下端部が最も低位置となり、補助押さえ51を下降させることが出来る。従って、図7(B)のように、伝達桿50が途中停止位置の時に梃子部材58の傾斜角度がZ軸方向に平行となるように連結し、伝達桿50が最前進位置の時には図7(A)のように梃子部材58の上端部が前方に傾斜し、伝達桿50が最後退位置の時には図7(C)のように梃子部材58の上端部が後方に傾斜するよう連結されている。
これにより、図8(A)に示すように、伝達桿50を最前進位置としたときには、布押さえ41が下降して布保持位置となり、補助押さえ51は、上昇して解放位置となる。また、図8(B)に示すように、伝達桿50を途中停止位置としたときには、布押さえ41が途中まで上昇して中間位置となり、補助押さえ51は、下降して布保持位置となる。さらに、図8(C)に示すように、伝達桿50を最後退位置としたときには、布押さえ41が完全に上昇して解放位置となり、補助押さえ51は再び上昇して解放位置となる。
なお、伝達桿50を最前進位置と途中停止位置と最後退位置とに位置決めする為の押さえモーター49の軸角度は予め制御部90に記憶されており、これら軸角度となるように押さえモーター49の制御を行うことで、上記図8(A)〜図8(C)のそれぞれの押さえ状態を実現することが可能となっている。
上述のように、伝達桿50,ベルクランク52,リンク部材53,梃子部材58及びリンク部材59は、布押さえ41が布保持位置(保持状態)で補助押さえ51が解放位置(解除状態)となる第一の状態と、布押さえ41が中間位置(解除状態)で補助さえ51が布保持位置(保持状態)となる第二の状態とを一つの送りモーター49により切り換え可能とするリンク機構を構成している。
すなわち、押さえ上げ機構40は、一つのアクチュエーター(送りモーター49)と当該アクチュエーターと第一の押さえ部材(布押さえ41)及び第二の押さえ部材(補助押さえ51)を連結するリンク機構(伝達桿50,ベルクランク52,リンク部材53,梃子部材58及びリンク部材59)とを備え、
リンク機構は、第一の押さえ部材が保持状態で第二の押さえ部材が解除状態となる第一の状態と、第一の押さえ部材が解除状態で第二の押さえ部材が保持状態となる第二の状態と、をアクチュエーターにより切り換え可能である。
[ボタン穴かがりミシンの制御系]
図9はボタン穴かがりミシン100の制御系を示すブロック図である。ボタン穴かがりミシン100は、上記各構成の動作を制御するための動作制御手段としての制御部90を備えている。そして、制御部90は、各種の制御プログラムを記憶するROM92と、制御プログラムを実行するCPU91と、CPU91の作業領域となるRAM93と、縫製パターンデータ及びミシンの動作制御に要する各種の設定データを記憶すると共に記憶内容を書き換え可能なEEPROM96とを備えている。
また、CPU91には、ミシンモーター22及びその回転角度を検出するエンコーダー221と接続されたミシンモータードライバー22a、針振りモーター27を駆動する針振りモータードライバー27a、送りモーター74を駆動する送りモータードライバー74a、押さえモーター49を駆動する送りモータードライバー49a、押さえモーター49の原点検索を行う原点センサー491の検出制御を行うセンサードライバー491a、布切りメス61を昇降させるソレノイド63を駆動させるソレノイドドライバー63a及び糸調子装置11の糸張力駆動源である糸調子ソレノイド111を駆動させる糸調子ソレノイドドライバー111aが図示しないインターフェイスを介して接続されている。
また、CPU91には、縫製に関する各種設定の入力を行う操作パネル94と、縫製の開始を入力するスタートスイッチ95とが接続されている。
[制御部によるボタン穴かがり縫い目形成制御]
上記制御部90は、一つの身頃生地Cに対して複数箇所に一定の縫製パターンデータに従ってボタン穴かがり縫い目を形成するボタン穴かがり縫い目形成制御を実行する。
図10はボタン穴かがり縫いの縫製パターンデータに設定される各種のパラメータを示す説明図である。
縫製パターンデータには、ボタン穴かがり縫目u0に関して、(1)ボタン穴u1の長さである布切り長さデータ、(2)ボタン穴u1と右側縫い部u4の左端との間の距離であるメス溝右幅データ、(3)ボタン穴溝u1と左側縫い部u2の右端との距離メス溝左幅データ、(4)側縫い部u2,u4の左右幅であるかがり幅データ、(5)閂止め部u3、u5の前後長さである閂止め長さデータ、(6)第1閂止め部u3とボタン穴溝u1との間隙長さであるすきまデータ、(7)第2閂止め部u3とボタン穴溝u1との間隙長さである第2すきまデータ、(8)側縫い部u2、u4の2針間の前後方向の距離である平行部ピッチデータ、(9)閂止め部u3、u5の2針間の前後方向の距離である閂止め部ピッチデータが設定されている。
また、図10に示すパラメータの他に、左側縫い部u2の縫製時の糸張力である左平行部張力データ、右側縫い部u4の縫製時の糸張力である右平行部張力データ、第1閂止め部u3の縫製時の糸張力である第1閂止め部張力データ、第2閂止め部u5の縫製時の糸張力である第2閂止め部張力データ等が縫製パターンデータ中には設定されている。
なお、上記各種のパラメータは操作パネルから設定し、縫製パターンデータとして登録することも可能となっている。
制御部90は、ボタン穴かがり縫い目形成制御による縫製を行う際に特定の縫製パターンデータの読み込みを行い、そこに定められた上記各種のパラメータから、一つのボタン穴かがり縫いに要する針数、毎針ごとの針振りモーター27及び送りモーター74の動作量を算出し、押さえモーター49,布切りメス61用のソレノイド63及び糸調子ソレノイド111の動作タイミングを特定し、これらを制御データとして展開する。
そして、各ボタン穴かがり縫い目の形成時には、展開された制御データに従って、ミシンモーター22,針振りモーター27,送りモーター74,押さえモーター49,布切りメス61用のソレノイド63及び糸調子ソレノイド111を所定のタイミング、所定の動作量で駆動する動作制御を実行する。
[制御部による縫製位置移動制御]
また、身頃生地Cに対して複数の目標縫製位置に同一の縫製パターンによりボタン穴かがり縫いを施す場合には、制御部90は、一つのボタン穴かがり縫いを施すたびに、自動的に次の目標縫製位置に身頃生地Cを移動させる縫製位置移動制御を実行する。
身頃生地Cに対して複数のボタン穴かがり縫いを施す場合、一定方向に均一間隔で並んで各縫い目の形成を行うのが一般的である。
従って、ボタン穴かがりミシン100では、布送り機構70による布送り方向であるY軸方向とボタン穴かがり縫いの複数の目標縫製位置の並び方向とが一致するように身頃生地Cが送り板71上でセットされることを前提として、Y軸方向における各縫いの目標縫製位置の間隔である「ボタン穴間隔」と、ボタン穴かがり縫いの個数である「縫い数」とが操作パネル94から予め設定される。
そして、制御部90は、「ボタン穴間隔」と「縫い数」とを読み出して、前述した縫い目形成制御に基づいて一つのボタン穴かがり縫いを実行するごとに、押さえ上げ機構40と布送り機構70とを制御することで次の目標縫製位置に身頃生地Cを移動させる動作制御を行い、「縫い数」分のボタン穴かがり縫いを自動的且つ連続的に実行する。
[ボタン穴かがりミシンの縫製動作]
上記制御部90による縫製位置移動制御及びボタン穴かがり縫い目形成制御による複数のボタン穴かがり縫いの連続的な形成動作を図11のフローチャート及び図12と図13の動作説明図により説明する。
動作開始の前提として、前述した「ボタン穴間隔」と、「縫い数」aとが設定され、縫製の対象となる縫製パターンデータが選択され、伝達桿50が最後退位置にあって布押さえ41が解放位置、補助押さえ51が解放位置にあるものとする。
そして、送り板71が初期位置(図1及び図2に示す最後退位置にある状態)にある状態で身頃生地Cの最初の目標縫製位置を縫い針1の下方に合わせてセットする。
その後、スタートスイッチ95が押下されると、制御部90のCPU91は、縫い数のカウント値nを1に設定する(ステップS1)。
そして、押さえモーター49を駆動して伝達桿50を最前進位置にする。これにより、布押さえ41が布保持位置、補助押さえ51が解放位置となり、送り板71上の身頃生地Cは布押さえ41に保持される(ステップS3、図12(A)及び図13(A)の状態)。
次いで、ミシンモーター22を駆動を開始し、毎針ごとに縫製パターンデータに基づく針落ち位置となるように針振りモーター27及び送りモーター74の動作制御が実施され、図10に示すボタン穴かがり縫いの縫製パターンを形成する(ステップS5)。
そして、上記縫製パターンの形成が完了すると、ミシンモーターを停止させたままの状態で送りモーター74のみを駆動し、「ボタン穴間隔」に定める移動量で送り板71を前方に移動させて空送りを実行する(ステップS7)。この時、図12(B)及び図13(B)に示すように、布押さえ41が身頃生地Cを保持した状態にあるので、送り板71と共に身頃生地Cも前方に送られる。
これにより、次の目標縫製位置が縫い針1の下方に位置する状態となる。
次いで、押さえモーター49を駆動して伝達桿50を途中停止位置にする。これにより、布押さえ41が中間位置、補助押さえ51が布保持位置となり、ミシンベッド102の上面に載置された身頃生地Cは補助押さえ51により保持される(ステップS9、図12(C)及び図13(C)の状態)。
そして、送りモーター74を駆動し、「ボタン穴間隔」に定める移動量で送り板71を後方に移動させて、身頃生地Cが送られない空送りを実行する(ステップS11)。この時、図12(D)及び図13(D)に示すように、補助押さえ51が身頃生地Cを保持した状態にあるので、身頃生地Cはベッド部102の上面に対して位置が保持され、送り板71のみが初期位置に戻される。
次に、制御部90は、縫い数のカウント値nが縫い数の設定値aに達したか否かを判定する(ステップS13)。そして、n=aではない場合には、カウント値を1加算し(ステップS15)、ステップS3に処理を戻して、送り板71上の身頃生地Cを布押さえ41で保持して次の目標縫製位置へのボタン穴かがり縫いの形成を繰り返し行う。
一方、縫い数の設定値aまでボタン穴かがり縫いを行ってn=aとなった場合には、押さえモーター49を駆動して伝達桿50を最後退位置にする。これにより、布押さえ41が解放位置、補助押さえ51が解放位置となり、送り板71上の身頃生地Cはベッド部102上面から取り外し可能となる(ステップS17、図12(E)の状態)。
そして、一枚の身頃生地Cに対する複数のボタン穴かがり縫い形成動作が完了する。
[ボタン穴かがりミシンの技術的効果]
上記のボタン穴かがりミシン100は、押さえ上げ機構40が布押さえ41とは別に布保持を行う補助押さえ51を備え、当該補助押さえ51が送り板71の上面以外の位置で、ミシンベッド102の上面に載置された身頃生地Cを保持することが出来る。そして、布押さえ41の保持状態での送り板71の移動動作により、アーム部104の上面に対する身頃生地Cの移動を行い、補助押さえ51の保持状態での送り板71の移動動作により、送り板71の上面に対する身頃生地Cの移動とを行うことが出来る。また、これらの移動動作を組み合わせて、身頃生地Cにおける複数の目標縫製位置を順番に縫い針1の下方の針落ち位置に切り換えることが可能となる。
すなわち、制御部90は、第一の押さえ部材(布押さえ41)の保持状態での載置部(送り板71)の移動動作と、第二の押さえ部材(補助押さえ51)の保持状態での載置部の移動動作とにより、載置部に対する被縫製物の保持位置を変更することで被縫製物の複数箇所にボタン穴かがり縫いを行う。
これにより、オペレーターによる身頃生地Cのセット作業を介在させることなく、身頃生地Cに対して複数のボタン穴かがり縫いを連続的且つ自動的に行うことが可能となる。また、オペレーターによる操作が介在しないで連続的に縫製が行われるので、迅速且つ高効率的な縫製を行うことが可能となる。
さらに、身頃生地Cに対して予定された複数のボタン穴かがり縫いが完了するまでボタン穴かがりミシン100を自動的且つ継続的に動作させることが出来るので、オペレーターは次の作業までの待機時間を飛躍的に延長することが出来るため、その間にオペレーターは他のミシンに対する操作が可能となり、複数台のミシンを単独で操作することが可能となる。
つまり、個々のボタン穴かがり縫いの作業速度を低減させることなく、複数台のミシンが操作可能となり、縫製作業の効率を飛躍的に向上させることが可能である。
また、ボタン穴かがりミシン100では、押さえ上げ機構40の伝達桿50,ベルクランク52,リンク部材53,梃子部材58及びリンク部材59が、布押さえ41が布保持位置(保持状態)で補助押さえ51が解放位置(解除状態)となる第一の状態と、布押さえ41が中間位置(解除状態)で補助さえ51が布保持位置(保持状態)となる第二の状態とを一つの送りモーター49により切り換え可能とするリンク機構を構成している。
このため、一つの押さえモーター49が一定方向への動力を出力することで、布押さえ41及び補助押さえ51の二つの部材に対して互いに逆方向への動作を付与することができ、アクチュエーターの個体数を低減し、部品コストの低減、制御系の簡略化を実現することが可能である。
さらに、布押さえ41は、布保持位置と中間位置と解放位置とで三段階で位置切り替えが可能であって、複数のボタン穴かがり縫い完了後は最も高い位置となる解放位置にすることができるので、身頃生地Cを送り板71から取り外しやすく、作業性の向上を図ることが可能となる。さらに,その一方で、補助押さえ51を布保持位置に切り換える際には、布押さえ41は布保持位置から中間位置に切り換えられるので、布保持位置から解放位置まで切り換える場合に比べて移動距離が少なくなり、動作時間を短縮化して縫製作業の迅速化を図ることが可能となる。
すなわち、押さえ上げ機構40は、第一の押さえ部材(布押さえ41)の高さを、被縫製物を保持する保持位置と、当該保持位置よりも高位置となる被縫製物の解放位置と、保持位置と解放位置との間となる中間位置とに切り替え可能であり、第二の押さえ部材の保持状態の時には、第一の押さえ部材を中間位置とすることで、動作時間を短縮化して縫製作業の迅速化を図ることが可能となる。
[二つ穴及び三つ穴対応の布押さえとの比較]
図14は布押さえ41に比べてY軸方向についてより長い二つ穴対応の布押さえ41Aを示す斜視図、図15は布押さえ41に比べてY軸方向についてさらに長い三つ穴対応の布押さえ41Aを示す斜視図である。
布押さえ41Aは、二つの開口部411,411がY軸方向に並んで形成され、これらの相互間隔は前述したボタン穴間隔に等しくなっている。また、布押さえ41Bは三つの開口部411,411,411がY軸方向に並んで形成され、隣接するそれぞれの開口部411の相互間隔が前述したボタン穴間隔に等しくなっている。
これら布押さえ41A、41Bは、それぞれ、送り板71の上面で身頃生地Cを保持したまま、解放動作を行うことなく送り板71と共に移動を行うことで、身頃生地Cの二つ又は三つの目標縫製位置を針落ち位置に位置決めすることが可能でとなっている。
また、布押さえ41Aと布押さえ41Bをそれぞれ支持する押さえ足42A、42Bは、布押さえ41A、41BのY軸方向長さに応じて同方向に長く形成されている。
また、図示を省略しているが、押さえ足42A、42Bのそれぞれに対応する送り板は、その開口部が押さえ足42A、42Bの長さに応じて、やはりY軸方向に延長して形成されている。
上記布押さえ41A、41Bを、補助押さえ51を搭載していない従来のボタン穴かがりミシンに装備した場合、二箇所又は三箇所のボタン穴かがり縫いに要する時間の間は、オペレーターは身頃生地Cのセット作業を行う必要がなくなるので、その待機時間中は他のミシンを操作することが可能となる。
しかしながら、これらのボタン穴かがりミシンとボタン穴かがりミシン100とを比較した場合、ボタン穴かがりミシン100は、ボタン穴かがり縫いの縫い数に制限がなく、任意の縫い数のボタン穴かがり縫いをボタン穴かがり縫いを連続的に行うことが可能である。つまり、布押さえ41A、41Bを搭載したボタン穴かがりミシンを使用する場合よりも、より多くのボタン穴かがりミシンの操作を一人で行うことが可能であり、作業効率の面で選り優れている。
また、布押さえ41A、41Bの大型化を回避することが出来、その動作領域の確保によりミシンの大型化や布押さえの重量増加による送りモーター74の大型化を回避することができる。
なお、ボタン穴かがりミシン100に布押さえ41A、41Bを搭載しても良い。その場合、ミシンの大型化や送りモーター74の大型化等は生じ得るが、送り板71のY軸方向の往復動作回数を低減することが出来るので、身頃生地C一枚当たりの縫製所要時間を短縮することができ、縫製効率の向上を図ることが可能である。
[ボタン穴かがりミシンの他の動作例]
図12及び図13に示した縫製動作は、左前の身頃生地Cであって、生地の左側端部に沿って複数のボタン穴かがり縫いを形成する場合を例示したが、右前の身頃生地Dに対して生地の右側端部に沿って複数のボタン穴かがり縫いを形成する場合に制御部90が行う好適な縫製動作について図16〜図20の動作説明図によって説明する。
身頃生地Cの場合には生地の上部が前方を向いた状態で送り板71上にセットしたが、この図16〜図20の動作例の場合には、身頃生地Dの上部が後方を向いた状態で送り板71上にセットし、当該身頃生地Dを後方に向かって順番に送りを行う。
まず、伝達桿50が最後退位置にあって布押さえ41が解放位置、補助押さえ51が解放位置にあり、送り板71が初期位置にある状態で身頃生地Dの最初の目標縫製位置を縫い針1の下方に合わせてセットする。
次に、スタートスイッチ95の押下により、押さえモーター49により伝達桿50を最前進位置にする。これにより、図16に示すように、布押さえ41が布保持位置、補助押さえ51が解放位置となり、送り板71上の身頃生地Dは布押さえ41に保持される。
そして、縫製パターンデータに従って縫製を実行する。当該目標縫製位置でのボタン穴かがり縫いが完了すると、図17に示すように、押さえモーター49により伝達桿50を途中停止位置にして、布押さえ41を中間位置、補助押さえ51を布保持位置とする。
さらに、図18に示すように、送りモーター74を駆動して送り板71の前方への空送りを行う。これにより、身頃生地Dに対して送り板71が前方に移動する。この時の移動量は設定された「ボタン穴間隔」と同じ移動量である。
その後、再び、押さえモーター49により伝達桿50を最前進位置に切り替えて、図19に示すように、布押さえ41を布保持位置、補助押さえ51が解放位置とする。これにより、身頃生地Dを送り板71上に保持する。
そして、図20に示すように、送りモーター74を駆動し、「ボタン穴間隔」に定める移動量で送り板71を後方に移動させて空送りを実行する。この時、布押さえ41が身頃生地Dを送り板71上に保持した状態にあるので、身頃生地Dはベッド部102の上面に対して設定された「ボタン穴間隔」でだけ後方に送られる。従って、身頃生地Dは次の目標縫製位置が針落ち位置に位置合わせされた状態となり、次の縫製が可能となる。以下、図16〜図20の動作を設定された「縫い数」分繰り返した後に、送りモーター74を伝達桿50を最後退位置として身頃生地Dを解放可能とすることにより、右前の身頃生地Dに対する縫製が完了する。
このように、制御部90による縫製動作の順番を適宜変更することにより、ボタン穴かがりミシン100では、左前の身頃生地Cと右前の身頃生地Dの双方について迅速且つ効率的な縫製を行うことが可能である。
[補助押さえの他の配置例]
また、ボタン穴かがりミシン100において、図21に示すように、補助押さえ51を右前の身頃生地Dに対する適した配置としても良い。
前述したボタン穴かがりミシン100では、図6に示したように、補助押さえ51を送り板71の右側に配置したが、これに替えて、図21のように、補助押さえ51を送り板71の左側に配置しても良い。この場合も、補助押さえ51は、針落ち位置に極力近い配置とすることが望ましい。仮に離れた配置とすると、最初の目標縫製位置が身頃生地Dの端部に近い場合に、補助押さえ51が身頃生地Dの範囲内を押さえられない場合が生じるからである。
このように、補助押さえ51を送り板71の左側に配置した場合には、右前の身頃生地Dを前方に送りながら順番に各目標縫製位置にボタン穴かがり縫いを行うことが可能である。
[押さえ上げ機構の他の例]
図3に示す押さえ上げ機構40は単一のアクチュエーターとしての押さえモーター49を用いて布押さえ41と補助押さえ51の双方の位置切り替えを行っているが、図22に示す押さえ上げ機構40Cのように、第一の押さえモーター494Cにより布押さえ41の位置切り替えを行い、第二の押さえモーター495Cにより補助押さえ51の位置切り替えを行う構成としても良い。
この場合、各押さえモーター494C、495Cごとに、小歯車492,大歯車493及び伝達桿50を設け、第一の押さえモーター494C側の伝達桿50の前端部にベルクランク52を連結し、第二の押さえモーター494C側の伝達桿50の前端部に梃子部材58を連結する。そして、各押さえモーター494C、495Cごとに個別に制御を行って、図8(A)〜図8(C)に示す布押さえ41と補助押さえ51の三つの位置切り替え状態を実行させる。
上記のように、押さえ上げ機構40Cは、第一の押さえ部材(布押さえ41)の保持状態と解除状態とを切り換えるアクチュエーター(第一の押さえモーター494C)と、第二の押さえ部材(補助押さえ51)の保持状態と解除状態とを切り換えるアクチュエーター(第二の押さえモーター495C)とを個別に備えている。
上記の押さえ上げ機構40Cをボタン穴かがりミシン100に搭載した場合でも、押さえ上げ機構40と同じ効果を得ることが可能である。
但し、この場合には、アクチュエーターが二つ必要となり、伝達を行う部品点数も増加するが、布押さえ41と補助押さえ51とが連動することなく個別に動作させることが出来るので、より多彩な動作制御が、各押さえ41、51について微細な動作タイミング調整を図ることが可能となる。
また、各押さえモーター494C、495Cから各押さえ41,51への動作伝達機構は、例えば、双方ともベルクランクを用いたり、双方とも梃子部材を用いるなど部品共通化及び機構構造の単純簡略化を図ったりすることが可能となる。
なお、図22では図示を省略したが、各押さえモーター494C、495Cごとに個別に原点センサー491を設ける必要がある。
[補助押さえの他の例]
補助押さえ41は、図3に示すように、板状の弾性体を使用したが、これに限らず例えば、図23に示すように、補助押さえ棒54の下端部においてX軸方向に沿った支軸511Dにより回転可能に支持されたローラー形状の補助押さえ51Dを使用しても良い。この補助押さえ51Dの場合も補助押さえ51と同様に弾性材料で形成することが望ましい。
かかるローラー形状の補助押さえ51Dの場合には、補助押さえ51と同じように機能すると共に、押さえを行っている際に身頃生地Cの移動方向をY軸方向にのみ移動が生じやすいようにすることが可能である。
[その他]
なお、制御部90において、前述した「ボタン穴間隔」と「縫い数」と縫製の対象となる縫製パターンデータとが全て定められたものを一つの連続縫いデータとして、EEPROM96に登録することも可能である。この場合、多種の連続縫いデータを登録して適宜選択するようにしても良い。
また、押さえ上げ機構40における布押さえ41及び補助押さえ51の昇降動作の駆動源をモーターとしているがこれに限らず、直動系のアクチュエーター、例えば、ソレノイドやエアシリンダを使用しても良い。
また、押さえ上げ機構40における布押さえ41(第一の押さえ部材)の駆動源としてモーター(アクチュエーター)を用い、補助押さえ(第2の押さえ部材)の駆動源としてエアシリンダ(アクチュエーター)を用いる場合、従来機種のミシン頭部にエアシリンダを取付けて補助押さえを駆動させるプログラムを組み込むことにより、この発明を適用することも容易に考えられる。
1 縫い針
20 針上下動機構(移動機構)
21 針棒
22 ミシンモーター
23 上軸
27 針振りモーター
270 針振り機構
40,40C 押さえ上げ機構
41 布押さえ(第一の押さえ部材)
49,494C,495C 押さえモーター
50 伝達桿
51 補助押さえ(第二の押さえ部材)
52 ベルクランク
53 リンク部材
58 梃子部材
59 リンク部材
60 メス機構
61 布切りメス
70 布送り機構
71 送り板(載置部)
74 送りモーター
90 制御部
100 ボタン穴かがりミシン
101 ミシンフレーム
C,D 身頃生地(被縫製物)

Claims (4)

  1. 被縫製物を載置する載置部を備え、当該載置部を一定の送り方向に沿って移動させることにより前記被縫製物の送りを行う送り機構と、
    縫い針を上下動させる針上下動機構と、
    前記縫い針を前記送り方向に直交する方向に沿って移動させる針振り機構と、
    前記載置部の上で前記被縫製物を保持する第一の押さえ部材と、
    前記送り機構と前記針上下動機構と前記針振り機構との協働により前記載置部に載置された前記被縫製物に対してボタン穴かがり縫いを行うボタン穴かがりミシンにおいて、
    前記載置部の外側で前記被縫製物を保持する第二の押さえ部材と、
    前記第一の押さえ部材と前記第二の押さえ部材とに対して前記被縫製物の保持状態とその解除状態とを切り換える押さえ上げ機構と、
    前記第一の押さえ部材の保持状態での前記送り機構による前記載置部の移動動作と前記第二の押さえ部材の保持状態での前記送り機構による前記載置部の移動動作とにより、前記載置部に対する前記被縫製物の保持位置を変更することで前記被縫製物の複数箇所にボタン穴かがり縫いを行う制御部を備えることを特徴とするボタン穴かがりミシン。
  2. 前記押さえ上げ機構は、一つのアクチュエーターと当該アクチュエーターと前記第一の押さえ部材及び前記第二の押さえ部材を連結するリンク機構とを備え、
    前記リンク機構は、前記第一の押さえ部材が保持状態で前記第二の押さえ部材が解除状態となる第一の状態と、前記第一の押さえ部材が解除状態で前記第二の押さえ部材が保持状態となる第二の状態とを前記アクチュエーターにより切り換え可能であることを特徴とする請求項1記載のボタン穴かがりミシン。
  3. 前記押さえ上げ機構は、前記第一の押さえ部材の保持状態と解除状態とを切り換えるアクチュエーターと、前記第二の押さえ部材の保持状態と解除状態とを切り換えるアクチュエーターとを個別に備えることを特徴とする請求項1記載のボタン穴かがりミシン。
  4. 前記押さえ上げ機構は、前記第一の押さえ部材の高さを、前記被縫製物を保持する保持位置と、当該保持位置よりも高位置となる被縫製物の解放位置と、前記保持位置と前記解放位置との間となる中間位置とに切り替え可能であり、
    前記第二の押さえ部材の保持状態の時には、前記第一の押さえ部材を前記中間位置とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のボタン穴かがりミシン。
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