JP3670029B2 - ミシンの送り機構 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ミシンの送り機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばパイピング縫い等を行う場合には、上布と下布とを合わせ縫うために、総合送りミシンが用いられている。この総合送りミシンは、上軸の回転に従った揺動運動を受けて、上送り足と押え足とをほぼ逆位相で上下動させる機構としてのベルクランクと、ミシン針を備え、該上送り足と同調して上下動する針棒と、この針棒及び上記上送り足を上下動自在に支承し、下軸の回転に関連して該針棒及び上送り足を揺動させる針棒揺動手段と、を具備しており、上送り足及びミシンベッド側の送り歯により上布、下布を上下から挟持し、ミシン針を該上布、下布に突き刺した状態で、上送り足と送り歯とを協働させて上布、下布を共に送り方向に送るようにしたものであって、上記ベルクランクにより布送り時には押え足は上布から浮いており、布停止時に押え足で上布を押えるというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の総合送りミシンにおいては、以下の問題点があった。
すなわち、送り歯による下送り力に比して上送り足による上送り力の方がどうしても劣ってしまうので、図7に示されるように、例えばパイピングの縫い上がり等で上布Aに対して下布Bが撓んでしまい、製品不良になるといった問題がある。
【0004】
ここで、上送り足による上送り量を増やすことができれば、上記問題点を解決することができるが、布送り時には、上述の如くミシン針が突き刺さった状態となっているので、針が折れてしまうことになる。
【0005】
また、送り歯を通常の楕円送りではなく、水平送りにしその下送り力を弱めることにより上記問題点に対処することも考えられるが、例えばスポンジ状の柔らかい縫製物を縫う場合には送り力が著しく低下してしまい、縫製が困難になってしまうので好ましくない。
【0006】
さらにまた、上記総合送りミシンに限られず、一般のミシンの送り機構にあっては、図6に実線Pで示されるように、1針(上軸1回転)当たりの送り回数は1回となっており、1針の間には送り期間とほぼ同じ期間の休止期間を含んでいるので、その送り(送り期間の実線Pの傾き)が急激となり、従ってオペレーターが、例えば高速や大きなピッチでの曲線縫いをする際に縫製物の速度変化が大きく、追従できないといった問題がある。
【0007】
ここで、送り歯に代えて2個のローラを用い、これらローラをワンウェイクラッチによりそれぞれ同調しないよう間欠運動させて、縫製物を連続的に送るように構成したミシンの送り機構が知られているが、ローラの送り力は下送り歯のそれに比べて弱い等の欠点があり、従って使用できる工程が限定されてしまう等の問題点があって好ましくない。
【0008】
そこで本発明は、上送り足による上送り量の不足分を押え足による差動送りにより補うことができ、製品品質を向上し得るミシンの送り機構を提供することを第1の目的とする。
【0009】
また、縫製物の連続送りが可能にされ、縫製物の速度変化が可能な限り小さくされて、良好な縫製がなされるミシンの送り機構を提供することを第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のミシンの送り機構は、上送り足と、押え足と、これら上送り足と押え足とをほぼ逆位相で上下動させる機構と、ミシン針を備えて前記上送り足と同調して上下動する針棒とを有するミシンの送り機構において、前記針棒及び前記上送り足を上下動自在に支承すると共に揺動させる針棒揺動手段と、前記押え足を上下動自在に支承すると共に前記上送り足に対してほぼ逆位相で揺動させる押え足揺動手段と、を具備した。
【0011】
【作用】
このような手段におけるミシンの送り機構によれば、2枚重ねられた縫製物を用い、例えば上送り足と送り歯とを同調させれば、ミシン針が下降して上布、下布を貫くと、これと同調して上送り足及び送り歯により上布、下布は上下から挟持されながら、上送り足と送り歯との協働により送り方向に共に送られるが、この時押え足は、上送り足と押え足とをほぼ逆位相で上下動させる機構により上布から浮いた状態で、且つ押え足揺動手段により上送り足に対して逆位相で揺動する。ミシン針が上昇して上布、下布から抜かれると、これと同調して上送り足及び送り歯は上布、下布から離れながら揺動して元の位置に戻るが、この時押え足は、上記機構により下降して上布を押えると共に、押え足揺動手段により上送り足に対して逆位相で揺動し、上布のみ送り方向に送られるようになる。
【0012】
また、1枚の縫製物を用い、例えば上送り足と送り歯とを同調させれば、ミシン針、上送り足、送り歯の協働による送りと、押え足による送りとが繰り返されて縫製物が連続して送られるようになり、縫製物の速度変化が小さくされる。
【0013】
さらにまた、例えば押え足と送り歯とを同調させれば、ミシン針、上送り足による送りと、押え足、送り歯の協働による送りとが繰り返されて縫製物が連続して送られるようになり、縫製物の速度変化が小さくされる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施例を示すミシンの送り機構が適用された総合送りミシンの構成図である。
【0015】
同図において、符号1は図示されない軸受に回転自在に支承された上軸を示しており、この上軸1には偏心カムとしての上送りカム26が固設されている。この上送りカム26には上送り揺動ロット27の一端が摺動可能に係合されており、この上送り揺動ロット27の他端には上送り揺動腕(後)28の上端部が枢着されている。この上送り揺動腕(後)28の下端部には軸50が連結されており、この軸50は回転自在に支承されている。
【0016】
軸50の図におけるこちら側には上送り揺動腕(前)29の上端部が連結されており、この上送り揺動腕(前)29の下端部には上送り揺動リンク30の一端が枢着されている。上送り揺動リンク30の他端には三角てことしてのベルクランク31の一端が枢着されている。このベルクランク31の股部分にはベルクランク支持リンク36の一端が枢着されており、このベルクランク支持リンク36の他端はミシンヘッド54側に枢着されている。ベルクランク支持リンク36の途中とミシンヘッド上部との間には上送りバネ37が配設されており、この上送りバネ37により、ベルクランク支持リンク36はその他端を支点として下方に押圧された状態となっている。ベルクランク31の他端には連結リンク32の上端部が枢着されており、この連結リンク32の下端部には上送り棒34の上端部が枢着されている。そして、この上送り棒34の下端部には上送り足35が固設されている。
【0017】
ところで、上記ベルクランク31の股部分には連結リンク33の上端部も枢着されており、この連結リンク33の下端部には押え棒24の上端部が枢着されている。そして、この押え棒24の下端部には押え足25が固設されている。
【0018】
一方、図2には後述の針棒及び上送り足を揺動させる針棒揺動手段60及び押え足を揺動させる押え足揺動手段61の揺動駆動機構62の構成図が示されている。
同図において、符号5は図示されない軸受に回転自在に支承された下軸を示しており、この下軸5には偏心カムとしての水平送りカム6が固設されている。この水平送りカム6には水平送りロット7の一端が摺動可能に係合されており、この水平送りロット7の他端には水平送り腕8の下端部が枢着されている。この水平送り腕8の上端部には水平送り軸9が連結されており、この水平送り軸9は図示されない軸受に回転自在に支承されている。
【0019】
水平送り軸9の図における向こう側には上送り腕(下)10の一端が連結されており、この上送り腕(下)10の他端には上送りロット11の下端部が枢着されている。上送りロット11の上端部には上送り腕(上)12の一端が枢着されており、この上送り腕(上)12の他端には上送り軸20が連結されている。この上送り軸20は図示されない軸受に回転自在に支承されており、この上送り軸20には偏心カムとしての針送りカム13が固設されている。この針送りカム13には針送りロット14の上端部が摺動可能に係合されており、この針送りロット14の下端部には針送り腕15の一端が枢着されている。この針送り腕15の他端には針送り軸16が連結されており、この針送り軸16は図示されない軸受に回転自在に支承されている。
【0020】
該針送り軸16の図におけるこちら側には、図1に示されるように、針棒揺動台17の上端部が連結されている。この針棒揺動台17の下部には、この下部17aを上下方向に貫通する図示されない2個のスライド孔が形成されており、この各々のスライド孔に、上記上送り棒34及びミシン針51を備えた針棒19がそれぞれ遊嵌された状態となっている。
【0021】
また、図2に示した上送り軸20の図におけるこちら側には、図1に示されるように、上送り腕(前)21の上端部が連結されている。この上送り腕(前)21はスライド溝を有するチャンネル形状をなしており、そのスライド溝の途中には、上送り揺動リンク22の一端が、段螺子55によりスライド溝の長手方向(図1における上下方向)に位置調節可能に枢支されている。
【0022】
該上送り揺動リンク22の他端には、L字状をなす押え棒揺動台23の一端が枢着されており、この押え棒揺動台23の股部分はミシンヘッド54側に回転自在に支持されている。押え棒揺動台23の他端部分23aには、この他端部分23aを上下方向に貫通する図示されない1個のスライド孔が形成されており、このスライド孔に、上記押え棒24が遊嵌された状態となっている。
【0023】
なお、図1における符号52は針板を、53は楕円運動を行う送り歯をそれぞれ示しており、図1、図2において、内部にハッチングが施された軸は回転自在に支承された軸をそれぞれ示している。
【0024】
次に、このように構成された総合送りミシンの動作について以下説明する。
先ず、図1を参照にして説明する。
上軸1が回転すると、この回転運動は上送りカム26及び上送り揺動ロット27により往復直線運動に変換され、上送り揺動腕(後)28が揺動運動することになり、この上送り揺動腕(後)28に連結された軸50も揺動運動する。この軸50の揺動運動は上送り揺動腕(前)29及び上送り揺動リンク30により往復直線運動に変換される。
【0025】
ここで、上送り揺動リンク30が、例えば図における右方に押し出されるとすると、押え棒24及び押え足25が下降し、該押え足25が着地して図1に示される状態となる。
【0026】
この状態から、上送り揺動リンク30がさらに右方に押し出されると、押え足25が着地していてこれ以上下降することができないので、ベルクランク31はベルクランク31の股部分を支点として時計回りに回動することになり、上送り棒34及び上送り足35が下降し、今度は上送り足35が着地する。
【0027】
この状態から、上送り揺動リンク30がさらに右方に押し出されると、上送り足35が着地していてこれ以上下降することができないので、ベルクランク31はベルクランク31の他端を支点として時計回りに回動することになり、押え棒24及び押え足25が上昇する。
【0028】
次いで、今度は軸50の揺動方向が反転し、上送り揺動リンク30が上記状態から図における左方に引き戻されると、ベルクランク31はベルクランク31の他端を支点として反時計回りに回動することになり、押え棒24及び押え足25が下降し、今度は押え足25が着地する。
【0029】
この状態から、上送り揺動リンク30がさらに左方に引き戻されると、押え足25が着地していてこれ以上下降することができないので、ベルクランク31はベルクランク31の股部分を支点として反時計回りに回動することになり、上送り棒34及び上送り足35が上昇する。
【0030】
そして、この状態から上送り揺動リンク30がさらに左方に引き戻されると、元の状態に戻り、これら動作が繰り返し行われる。すなわち、上送り足35と押え足25とは該ベルクランク31によりほぼ逆位相で上下動し、交互に着地して縫製物を押えられるようになっている。なお、針棒19は該上送り足35とほぼ同期して上下動するようになっている。
【0031】
次に、針棒揺動手段60及び押え足揺動手段61の動作について説明する。
先ず、図2を参照にして説明する。下軸5が回転すると、この回転運動は水平送りカム6及び水平送りロット7により往復直線運動に変換され、水平送り腕8が揺動運動することになり、この水平送り腕8に連結された水平送り軸9も揺動運動する。この水平送り軸9の揺動運動は上送り腕(下)10及び上送りロット11により往復直線運動に変換され、上送り腕(上)12が揺動運動することになり、この上送り腕(上)12に連結された上送り軸20も揺動運動する。すなわち、水平送り軸9と上送り軸20は連動して揺動運動する。
【0032】
上送り軸20の揺動運動は針送りカム13及び針送りロット14により往復直線運動に変換され、針送り腕15が揺動運動することになり、この針送り腕15に連結された針送り軸16も揺動運動する。
【0033】
次いで、図1を参照にして説明すれば、該針送り軸16が揺動すると、針棒揺動台17が針送り軸16を支点として揺動し、従って上送り棒34及び針棒19も揺動する。この揺動運動は送り歯53の楕円送り運動と同調するようになっている。
【0034】
一方、上送り軸20が揺動すると、この揺動運動は上送り腕(前)21及び上送り揺動リンク22により往復直線運動に変換され、押え棒揺動台23が股部分を支点として揺動運動することになる。ここで、針送り軸16及び上送り軸20が例えば時計回りに揺動運動しているとすると、針棒揺動台17は時計回りに、押え棒揺動台23は反時計回りにそれぞれ揺動運動する。従って、針棒揺動台17と押え棒揺動台23の揺動運動は逆位相となっている。
【0035】
斯くの如く、上記針棒19及び上送り足35(上送り棒34)並びに押え足25(押え棒24)は、上下運動並びに揺動運動を行っているので、実際には、これら上下運動と揺動運動を合成した運動となる。
【0036】
以下、図3を参照にして上記合成した実際の動きを説明する。
先ず、図3(a)に示されるように、ミシン針51が下降して重ねられた上布A、下布Bを突き刺し、これと同時に上送り足35が下降する。この時、上送り足35と楕円揺動して上昇してきた送り歯53との間に上、下布A,Bが挟持される。
【0037】
次いで、図3(b)に示されるように、上送り足35が上、下布A,Bを押えると同時に、押え足25が上布Aから離れ始める。この時、針棒揺動台17の揺動が開始され、ミシン針51及び上送り足35が図における左方向へ揺動する。従って、上、下布A,Bはミシン針51に突き刺された状態で上送り足35と送り歯53との協働により図における左側に送られる。この時、押え棒揺動台23の揺動も開始され、押え足25は上布Aから離れながら上送り足35とは逆方向、すなわち図における右方向に揺動する。
【0038】
次いで、図3(c)に示されるように、上送り足35と送り歯53との協働による上、下布A,Bの送り運動が終了すると、ミシン針51が上、下布A,Bから抜け始める。この時、押え足25が下降してきて上布Aを押える。
【0039】
次いで、図3(d)に示されるように、押え足25が上布Aを押えると同時に、上送り足35及び送り歯53が上、下布A,Bから離れ始め、これと同時に押え棒揺動台23及び針棒揺動台17の揺動がそれぞれ反転する。従って、押え足25の図における左方向への揺動により、上布Aのみが図における左側に送られるようになり、この間、ミシン針51及び上送り足35並びに送り歯53は、上、下布A,Bから離れながら揺動し、図3(a)に示される初期位置に戻る。そして、これら動作が引き続き繰り返される。
【0040】
このように、第1実施例においては、所定の揺動運動を受けて、上送り足35と押え足25とをほぼ逆位相で上下動させるベルクランク31と、ミシン針51を備え、上送り足35と同調して上下動する針棒19と、この針棒19及び上送り足35を上下動自在に支承して揺動させる針棒揺動手段60と、押え足25を、上下動自在に支承すると共に上送り足35に対してほぼ逆位相で揺動させる押え足揺動手段61と、を具備し、さらに上送り足35と送り歯53とを同調するようにしたので、例えば2枚重ねられた上、下布A,Bを用いた場合には、上送り足35による上送り量の不足分を押え足25による差動送りにより補えることができるようになっており、従って従来生じていた下布Bの撓み等が生じなくなり、製品品質を向上することが可能となっている。
【0041】
また、上述のように、ミシン針51、上送り足35、送り歯53の協働による送りと、押え足25による送りとが交互に繰り返されることから、1枚の縫製物を用いた場合には、該縫製物が連続して送られるようになる。従って、図6に点線Qで示されるように、その送りの傾きを従来に比べて穏やかにすることができるようになっている。因って、縫製物の速度変化が可能な限り小さくなり、例えば高速や大きなピッチでの曲線縫いをする際に良好な縫製を行うことが可能となっている。
【0042】
因に、押え足25による送り量を調節したい場合には、上送り揺動リンク22の一端を上送り腕(前)21のスライド溝内で移動すれば良く、例えば図1における上方に上送り揺動リンク22の一端をスライドして固定すれば、その送り量を小さくすることができ、下方にスライドして固定すれば、その送り量を大きくすることができる。
【0043】
図4は本発明の第2実施例を示すミシンの送り機構の針棒揺動手段及び押え足揺動手段の揺動駆動機構の構成図である。
【0044】
この第2実施例のミシンの送り機構が先の第1実施例のそれと違う点は、上送り腕(下)10の一端を、第1実施例に対して180°回転させて水平送り軸9に連結した点である。すなわち、送り歯53に対する押え足25とミシン針51、上送り足35との位相が、第1実施例のものに対して180°ズレるようになっており、従って、送り歯53に対しては押え足25が同調するようになっている。なお、ミシン針51は上送り足35に同調して上下動するようになっており、また送り歯53の位置は、ミシン針51との干渉を避けるために、第1実施例のようなミシン針51の直下ではなく、脇に設けられている。
【0045】
以下、図5を参照して動作を説明する。
先ず、図5(a)に示されるように、ミシン針51が下降して重ねられた上布A、下布Bを突き刺し、これと同時に上送り足35が下降する。この時、押え足25と送り歯53との間に上、下布A,Bを挟持した送りが完了する。
【0046】
次いで、図5(b)に示されるように、上送り足35が上、下布A,Bを押えると同時に、押え足25が上布Aから離れると共に送り歯53が下布Bから離れ始める。この時、針棒揺動台17の揺動が開始され、ミシン針51及び上送り足35が図における左方向へ揺動する。従って、上、下布A,Bはミシン針51に突き刺された状態で上送り足35とミシン針51により図における左側に送られる。この時、押え棒揺動台23の揺動も開始され、押え足25と送り歯53は、布A,Bから離れながら上送り足35とは逆方向、すなわち図における右方向に揺動する。
【0047】
次いで、図5(c)に示されるように、上送り足35とミシン針51による上、下布A,Bの送り運動が終了すると、ミシン針51が上、下布A,Bから抜け始める。この時、押え足25が下降してきて上布Aを押える。また、送り歯53が上昇し、この送り歯53と押え足25との間に、上、下布A,Bが挟持される。
【0048】
次いで、図5(d)に示されるように、押え足25が上布Aを押えると同時に、上送り足35が上、下布A,Bから離れ始め、これと同時に押え棒揺動台23及び針棒揺動台17の揺動がそれぞれ反転する。従って、押え足25と送り歯53とが図における左方向へ揺動し且つ協働することにより、上、下布A,Bが図における左側に送られるようになり、この間、ミシン針51及び上送り足35は、上、下布A,Bから離れながら揺動し、図5(a)に示される初期位置に戻る。そして、これら動作が引き続き繰り返される。
【0049】
このように、第2実施例においては、送り歯53に対して押え足25を同調させるようにしたので(第1実施例においては、ミシン針51及び上送り足35を同調させていた)、ミシン針51、上送り足35による送りと、押え足25、送り歯53の協働による送りとが繰り返されて、上、下布A,Bが連続して送られるようになっている。従って、図6に点線Qで示されるように、その送りの傾きを従来に比べて穏やかにすることができるようになっており、因って、縫製物の速度変化が可能な限り小さくなり、例えば高速や大きなピッチでの曲線縫いをする際に良好な縫製を行うことが可能となっている。
【0050】
なお、第2実施例においては、2枚重ねられた上、下布A,Bを用いた例が述べられているが、単枚であっても同様な効果を得ることができる。
【0051】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもなく、例えば、上記実施例においては、V字状のベルクランク31を用いているが、三角形状のベルクランクを用いても良く、要は上送り足と押え足とをほぼ逆位相で上下動させる機構であれば何でも良い。
【0052】
また、上記送り歯53に代えて送りローラを用いることも可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のミシンの送り機構によれば、所定の揺動運動を受けて、上送り足と押え足とをほぼ逆位相で上下動させる機構と、ミシン針を備え、前記上送り足と同調して上下動する針棒と、この針棒及び前記上送り足を上下動自在に支承して揺動させる針棒揺動手段と、前記押え足を、上下動自在に支承すると共に前記上送り足に対してほぼ逆位相で揺動させる押え足揺動手段と、を具備したので、2枚重ねられた縫製物を用い、例えば上送り足と送り歯とを同調させれば、ミシン針が下降して上布、下布を貫くと、これと同調して上送り足及び送り歯により上布、下布は上下から挟持されながら、上送り足と送り歯との協働により送り方向に共に送られるが、この時押え足は、上送り足と押え足とをほぼ逆位相で上下動させる機構により上布から浮いた状態で、且つ押え足揺動手段により上送り足に対して逆位相で揺動する。ミシン針が上昇して上布、下布から抜かれると、これと同調して上送り足及び送り歯は上布、下布から離れながら揺動して元の位置に戻るが、この時押え足は、上記機構により下降して上布を押えると共に、押え足揺動手段により上送り足に対して逆位相で揺動し、上布のみ送り方向に送られるようになる。従って、上送り足による上送り量の不足分を押え足による差動送りにより補えるようになり、例えば従来生じていた下布の撓み等がなくなって、製品品質を向上することが可能となる。
【0054】
また、1枚の縫製物を用い、例えば上送り足と送り歯とを同調させれば、ミシン針、上送り足、送り歯の協働による送りと、押え足による送りとが繰り返されて縫製物が連続して送られるようになり、従って縫製物の速度変化が小さくなり、良好な縫製を行うことが可能となる。
【0055】
さらにまた、例えば押え足と送り歯とを同調させれば、ミシン針、上送り足のによる送りと、押え足、送り歯の協働による送りとが繰り返されて縫製物が連続して送られるようになり、従って縫製物の速度変化が小さくなり、良好な縫製を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すミシンの送り機構が適用された総合送りミシンの構成図である。
【図2】第1実施例の針棒揺動手段及び押え足揺動手段の揺動駆動機構の構成図である。
【図3】第1実施例の動作を表したミシンの送り機構の要部の拡大図である。
【図4】本発明の第2実施例を示すミシンの送り機構の針棒揺動手段及び押え足揺動手段の揺動駆動機構の構成図である。
【図5】第2の実施例の動作を表したミシンの送り機構の要部の拡大図である。
【図6】上軸の回転数と送りピッチとの関係を従来技術と比較して表した図である。
【図7】従来技術の問題点を表した縫製物の斜視図である。
【符号の説明】
19 針棒
25 押え足
31 上送り足と押え足とを逆位相で上下動させる機構(ベルクランク)
35 上送り足
51 ミシン針
60 針棒揺動手段
61 押え足揺動手段
Claims (1)
- 上送り足と、
押え足と、
これら上送り足と押え足とをほぼ逆位相で上下動させる機構と、
ミシン針を備えて前記上送り足と同調して上下動する針棒と、
を有するミシンの送り機構において、
前記針棒及び前記上送り足を上下動自在に支承すると共に揺動させる針棒揺動手段と、
前記押え足を上下動自在に支承すると共に前記上送り足に対してほぼ逆位相で揺動させる押え足揺動手段と、
を具備したミシンの送り機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05525794A JP3670029B2 (ja) | 1993-09-27 | 1994-02-28 | ミシンの送り機構 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26295493 | 1993-09-27 | ||
JP5-262954 | 1993-09-27 | ||
JP05525794A JP3670029B2 (ja) | 1993-09-27 | 1994-02-28 | ミシンの送り機構 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07136363A JPH07136363A (ja) | 1995-05-30 |
JP3670029B2 true JP3670029B2 (ja) | 2005-07-13 |
Family
ID=26396145
Family Applications (1)
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