JP3595047B2 - パッカリング防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パッカリング防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パッカリングを防止する装置として、例えば特開平7−47184号公報記載の装置が知られている。このパッカリング防止装置は、図18に示されるように、針板71上にその基部(図示右端部)が固定されたバネ材からなるストッパ75を備えている。このストッパ75は、その先端部(図示左端部)に針板71の針孔71aに重なる貫通孔75aが形成されていると共に、この貫通孔75aのさらに先端に押圧部75bを備えている。ストッパ75はまた、その先端部の両脇(紙面垂直方向)下面に送り歯7が当接する送り歯当接部75cを有している。
【0003】
そして、上記装置にあっては、送り歯7が上昇すると当該送り歯7が送り歯当接部75cに当接することによってストッパ75が押し上げられ、送り歯7が下降するとストッパ75自体の弾性力によってストッパ75が下降するようになっており、縫糸の締結張力が略最高になる時点(送り歯7の最上点)で、送り歯7の上面と押圧部75bの上面が同一高さまで上昇することによって、布(縫製物)42における針孔75に最も近く形成された縫目部分(一針前の縫目部分)が上記押圧部75bにより押え足51の下面に押圧され、これによって上記締結張力が抑制されてパッカリングが防止されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記パッカリング防止装置においては、以下の問題点があった。すなわち、押圧部75bが送り歯7の押し上げ力(衝突力)によって、図19に示されるように、当該送り歯7の上面より高い位置まで上昇してしまうと共に、この高い位置まで上昇したストッパ75の送り歯7の上面と同一高さまで戻ろうとする弾性力による追従性が悪いために、天秤が最上点にある時に、押圧部75bが送り歯7の上面より高い位置で布42を押圧してしまうことになってミシン釜70より下糸を多く引き出して糸締まり不良を生じたり、送り歯7の上面より高い位置まで上昇したストッパ75の貫通孔75aによって下糸が屈曲されることになって糸切れを生じるといった問題があった。特に、ストッパ75が高速で上下動するミシン高速縫製時においては、ストッパ75が送り歯7の上面と同一高さまで戻ろうとする動作が全く追い付かなくなることから、このような問題は極めて顕著となる。
【0005】
また、上記パッカリング防止装置においては、上述したように、ストッパ75と送り歯7とが衝突を繰り返す構成になされていることから、騒音を生じるといった問題もある。
【0006】
また、このようにストッパ75と送り歯7とが衝突を繰り返し、しかもストッパ75がバネ材よりなることから、バネ材の耐久性が問題となる。
【0007】
また、バネ材は硬度が低いことから、特開平7−47184号公報に記載のように下糸経路に用いた場合には、下糸の移動によって当該バネ材の表面に傷が付き、この傷によって糸切れを生じるといった問題もある。
【0008】
また、上記特開平7−47184号公報記載のパッカリング防止装置を始めとして、例えば特公昭37−17182号公報、特公昭53−24851号公報等に記載のパッカリング防止装置にあっては、送り歯7の楕円運動を構成する上下運動の位相に対して押圧部材(特開平7−47184号公報記載の装置にあってはストッパ75)の上下運動の位相が同期しており、ストッパの上下運動のストローク(針板上面からの突出高さ;送り歯上面と同一高さまで上昇)が一定となっていることから、布種に応じて、押圧部材75の上下運動の位相を送り歯7のそれに対して異ならせて(変更して)押圧部材75の押圧タイミングを最適にしたり、押圧部材75の上下運動のストロークを変更して押圧力を最適にして、上記パッカリングを防止するということができないといった問題があった。
【0009】
また、上記各装置にあっては、布42の先端が押圧部材75を通過していない(載置されていない)状態であっても、送りを開始してしまうと押圧部材75が上下動して該押圧部材75が針板71から突出してしまうことから、突出した押圧部材75が邪魔となってミシンスタート時(縫製開始前)の布の送り(前進)が妨げられるといった問題もある。
【0010】
さらにまた、上記各装置にあっては、送り方向を反転させるバック縫い時にあっても押圧部材75が上下動して該押圧部材75が針板71から突出してしまうことから、突出した押圧部材75が邪魔となってバック縫い時の布の送り(後進)が妨げられるといった問題もある。
【0011】
そこで本発明は、糸締まり不良及び糸切れ並びに騒音の発生が防止されると共に耐久性が向上され、縫い品質及び装置品質を向上できるパッカリング防止装置を提供することを第1の目的とする。
【0012】
また、布種に応じた最適なパッカリング防止が施され、縫い品質を向上できるパッカリング防止装置を提供することを第2の目的とする。
【0013】
また、ミシンスタート時(縫製開始前)またはバック縫い時における送りの抵抗が大幅に低減され、良好な送りを行うことができるパッカリング防止装置を提供することを第3の目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、請求項1のパッカリング防止装置は、ミシン針上下動に同期して楕円運動を行う送り歯と、ミシン機台より突設される支持軸と、この支持軸に一端が軸支されると共に、他端にミシン針が通過可能な貫通孔を備える布押えと、を具備し、この布押えは、ミシン上下送り軸に伝達リンクを介して連結され、前記送り歯に同期して上下動すると共に、ミシン押え足と共働して縫製物を押圧可能であることを特徴としている。
【0015】
上記第2、第3の目的を達成するために、請求項2のパッカリング防止装置は、送り歯の楕円運動を構成する上下動の位相及びストロークに対する、布押えの上下動の位相及びストロークの少なくとも一方を変更可能としたことを特徴としている。
【0016】
上記第2の目的を達成するために、請求項3のパッカリング防止装置は、布押えの位相及びストロークの少なくとも一方の変更を、布種に応じて行うことを特徴としている。
【0017】
上記第3の目的を達成するために、請求項4のパッカリング防止装置は、布押えのストロークの変更を、布位置または縫い条件に応じて行い、この変更に従って、布押えの上面が針板上面と略同一面において最小ストロークで運動するようにしたことを特徴としている。
【0018】
このような請求項1におけるパッカリング防止装置によれば、ミシン針が通過可能な貫通孔を備えミシン押え足と共働して布を押圧可能な布押えが、送り歯を上下動させるミシン上下送り軸に対して伝達リンクを介して機械的に連結され、送り歯に対する完全同期(完全追従)がなされるようになり、送り歯が最上点に上昇した時に布押えと送り歯上面とが同一の高さにされ得ることによってミシン釜からの余分な下糸引き出しが防止されると共に、この布押えが送り歯の上面より高い位置まで上昇することに起因しての下糸屈曲がなくされ、しかも布押えの上昇が衝突によるものではなくされる。
【0019】
また、上述した構成によって布押えにバネ材を敢えて用いる必要がなくされると共に、これによって布押え表面の下糸移動による傷付きが防止されるようになる。
【0020】
また、請求項2におけるパッカリング防止装置によれば、送り歯の楕円運動を構成する上下動の位相及びストロークに対する、布押えの上下動の位相及びストロークの少なくとも一方が変更され、例えば請求項3のように、布押えの位相及びストロークの少なくとも一方の変更が布種に応じてなされると、布種に応じた最適なパッカリング防止が施されるようになる。
【0021】
また、例えば請求項4のように、布押えのストロークの変更が布位置に応じてなされ、例えば布の先端が布押えを通過するまでストローク量が極めて小さくされて布押えの上面が針板上面と略同一面で運動するようになされると、ミシンスタート時(縫製開始前)の送りの抵抗が大幅に低減されるようになる。また、布押えのストロークの変更が、縫い条件に応じてなされ、例えばバック縫い時にストローク量が極めて小さくされて布押えの上面が針板上面と略同一面で運動するようになされると、バック縫い時の送りの抵抗が大幅に低減されるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の基本構成となる第1実施形態におけるパッカリング防止装置を表した斜視図、図2は図1の一部断面側面図である。
【0023】
同図において、符号1は本縫いミシンの上下送り軸を、6は水平送り軸を、それぞれ示しており、これら上下送り軸1、水平送り軸6は、図示されない公知の偏心カムとリンクによって図示されない上軸に連結されている。
【0024】
従って、これら上下送り軸1、水平送り軸6は、上軸と連動(同期)して揺動運動するようになっている。
【0025】
上下送り軸1には、コの字形状の溝が形成された上下送り腕2が固定されており、この上下送り腕2のコの字形状の溝には、スライド軸3が遊嵌配置されている。また、上記水平送り軸6には、水平送り腕4が固定されており、この水平送り腕4には、送り土台5の一方の端部が回転可能に取り付けられ、この送り土台5の他方の端部には、上記スライド軸3が回転可能に取り付けられている。
【0026】
従って、上下送り軸1が揺動すると、スライド軸3が上下動し、送り土台5と共に送り歯7が上下動する一方で、水平送り軸6が揺動すると、送り土台5と共に送り歯7が水平運動するようになっている。
【0027】
すなわち、送り歯7は、上下送り軸1及び水平送り軸6が揺動すると、上下運動と水平運動が合成された楕円運動をするようになっている。
【0028】
上記スライド軸3には、伝達リンクとしてのリンク8の一方の端部が回転可能に取り付けられおり、このリンク8の他方の端部には、布押え部9とこの布押え部9に連設された布押え支持部9dとの凡そ境界部分が回転可能に取り付けられている。この布押え部9及び布押え支持部9dより構成される布押え9Xは、への字形状をなしており、布押え部9が針板50の上面50aに凡そ平行をなすように配置がなされている。この布押え部9は、針板50に形成された開口部50bに介挿可能となっていて、この布押え部9の針落ち点には、貫通孔9bが設けられており、この貫通孔9bに対してミシン針40が通過可能となっている。そして、布押え支持部9dの後端部(図示右端部)は、ミシンベッド(ミシン機台)に固定された支持軸41に回転可能に取り付けられている。
【0029】
従って、スライド軸3は、上下送り軸1及び水平送り軸6が揺動すると、上下運動と水平運動が合成された楕円運動をし、このスライド軸3の楕円運動によって布押え支持部9dが支持軸41を支点として揺動し、これによって布押え部9が送り歯7と同期した上下動をするようになっている。
【0030】
ここで、布押え部9の上下運動を司る部材は、布押え部9の上下運動量が送り歯7の上下運動量より小さくなるような構成になされており、送り歯7が最下点に達して針板50の上面50aより沈んだ時には、布押え部9の上面9aが針板50の上面50aと略同一面となり、送り歯7が最上点に達した時には、布押え部9の上面9aが該送り歯7の上面7aと略同一面となるようになっている。
【0031】
すなわち、このように構成されたパッカリング防止装置にあっては、図3に示されるように、押え足51と布押え部9との間で布(上布及び下布)42をしっかりと挟持した状態で送り歯7によって布42を送り得るようになっており、所謂先引効果(従来技術における先引ローラ等によって生じる公知の効果)によって縫い合わせる布地間のずれを防止できるようになっている。
【0032】
また、布42における針落ち周囲を布押え部9の貫通孔9bを形成する周辺部分(貫通孔9bを除く布押え部上面9a)によって押え足51の下面に押圧し、しかも布押え部9が最下点に達した時でも上面9aが針板上面50aと面一にされて針板上面50aより下方に沈まないようになされていることから、針40が布42を突き刺す時、針40が布42から抜ける時に、布42における針落ち周囲が下方に凹むことがなく布42のばたつきを防止できるようになっており、所謂目飛びを防止できるようになっている。
【0033】
さら、図4に示されるように、布押え部9の貫通孔9bを形成する周辺部分(貫通孔9bを除く布押え部上面9a)の先端部9cによって、一針前の縫目部分を押え足51の下面に押圧し、当該一針前の縫目部分に対しての締結張力を引き締め時に抑制して縫い締まりに対して悪影響を及ぼさないようになっている。
【0034】
すなわち、基本構成となる第1実施形態においては、以上の三つの効果によって、パッカリングを確実に防止できるようになっている。
【0035】
そして、この第1実施形態においては、上記布押え9Xを、送り歯7を上下動させるミシン上下送り軸1に対してリンク8を介して機械的に連結しているために、送り歯7に対する完全同期(完全追従)が可能となっており、送り歯7が最上点に上昇した時に布押え9Xの上面9aと送り歯7の上面7aとを同一の高さにし得ることによってミシン釜70からの余分な下糸引き出しを防止できると共に、この布押え9Xが送り歯7の上面7aより高い位置まで上昇することに起因しての下糸屈曲をなくすことができるようになっており、しかも布押え9Xの上昇を衝突により行わない構成になされていることから、糸締まり不良、糸切れ及び騒音の発生を防止可能となっている。
【0036】
また、このような構成よって布押え9Xにバネ材を敢えて用いる必要がなく、これによって布押え部9の表面9aの下糸移動による傷付きを防止できるようになっていることから、耐久性の向上及び糸切れ防止を図ることが可能となっている。
【0037】
図5は本発明の第2実施形態におけるパッカリング防止装置を表した斜視図であり、第1実施形態で説明したのと同一なもの及び同一機能を果たすものに関しては同一符号が付してある。
【0038】
この第2実施形態にあっては、布押え部9に上下運動を伝達するリンク8に代えて伝達リンクとしての他のリンク機構8,10,11,12が用いられている。すなわち、上下送り軸1には、布押え上下腕12の一方の端部が固定されており、この布押え上下腕12の他方の端部には、連結リンク10の一方の端部が枢着されている。また、この連結リンク10の他方の端部には、布押え調節リンク8の一方の端部が枢着されており、この布押え調節リンク8の他方の端部には、上記布押え支持部9dが回転可能に取り付けられている。上記連結リンク10の他方の端部及び布押え調節リンク8の一方の端部はまた、布押え揺動リンク11の一方の端部に回転可能に取り付けられており、この布押え揺動リンク11の他方の端部は、ミシンベッドに固定された軸43に回転可能に取り付けられている。
【0039】
従って、上下送り軸1が揺動すると、連結リンク10が図示左右に運動し、この連結リンク10の左右の運動によって布押え揺動リンク11が軸43を支点として揺動し、この布押え揺動リンク11の揺動運動によって布押え調節リンク8が上下動し、この布押え調節リンク8の上下動によって布押え支持部9dが支持軸41を支点として揺動し、これによって布押え部9が送り歯7と同期した上下動をするようになっている。
【0040】
このように、第1実施形態で示したリンク8に代えて本実施形態のリンク機構8,10,11,12を用いても、第1実施形態と同様な効果を得ることができるというのはいうまでもない。
【0041】
ところで、この第2実施形態にあっては、布押え部9の上下運動のストローク(針板上面50aからの突出高さ)を変更可能となっている。すなわち、図6に模式的に示されるように、布押え揺動リンク11の軸43の位置を変えることによって、布押え部9の上下運動のストロークを大きくしたり、小さくしたりすることができるようになっている。ここで、図6(a)は、図5に示した装置のストローク(基準ストローク)が得られる軸43の位置を示したものであり、そのストロークは最大である。また、図6(b)は、最小ストロークが得られる軸43の位置を示したものであり、布押え部9は、その上面9aが針板上面50a付近で微小上下運動するようになる。
【0042】
また、この第2実施形態にあっては、送り歯7の楕円運動を構成する上下運動の位相に対する布押え部9の上下運動の位相を変更可能となっている。すなわち、図7に模式的に示されるように、布押え揺動リンク11の軸43の位置を変えることによって、布押え部9の上下運動の位相を送り歯7の上下運動の位相に対してずらすことができるようになっている。ここで、図7(a)は、送り歯7の上下運動の位相に同期した位相が得られる軸43の位置を示したものであり、図7(b)は、図7(a)に示した位相に対して180°ずれた位相が得られる軸43の位置を示したものである。
【0043】
なお、図6においては、最大、最小ストロークが得られる軸43の位置を、図7においては、180°ずれた位相が得られる軸43の位置を、それぞれ示しているが、軸43の位置を上記外の位置に適宜移動することによって、他のストロークや180°ずれ以外の位相ずれを得ることができるようになる。
【0044】
従って、布種に応じて、軸43の位置の移動を行い布押え部9の上下運動のストロークを変更して最適な押圧力が布42に対して付与されるようにすれば、布種に応じた最適なパッカリング防止を施すことができることとなり、縫い品質を向上することが可能となる。
【0045】
また同様に、布種に応じて、軸43の位置の移動を行い布押え部9の上下運動の位相を送り歯7の上下運動の位相に対して異ならせて布押え部9の押圧タイミングが最適となるようにすれば、布種に応じた最適なパッカリング防止を施すことができることとなり、縫い品質を向上することが可能となる。
【0046】
因に、パッカリングが発生しやすい腰の弱い布を縫製する場合には、上記ストローク変更を行って、送り歯7の上面7aより高い位置に布押え部9の上面9aを上昇させて、当該布を強く押圧することが望ましい。このように、布押え部9の上面9aを送り歯7の上面7aより高い位置に上昇させても、本実施形態の布押え9Xは、ミシン上下送り軸1にリンク機構を介して連結されていることから、送り歯7に対して正確(完全)な追従性があり、当該送り歯7に同期して確実に上下動し、糸締まり不良や糸切れが発生する畏れはない。
【0047】
また、パッカリングの畏れがない厚くて腰の強い布を縫製する場合には、上記位相変更を行って、天秤が最上点にある時に、布押え部9が布に接しないようにするのが好ましい。
【0048】
このように、布種に応じて位相及びストローク変更をし得る構成になされていることから、ミシンの汎用性を増すことができる。
【0049】
図8は本発明の第3実施形態におけるパッカリング防止装置の斜視図である。この第3実施形態にあっては、布押え9Xの傾きを、傾き調節土台44によって調節可能となっている。すなわち、傾き調節土台44の図示右端部には、針板上面50aに直交する方向(上下方向)に長くされた長孔44a,44aが形成されていて、この長孔44a,44aに螺子45,45が挿入されて当該螺子45,45によって傾き調節土台44がミシンベッドに固定された状態となっており、この傾き調節土台44の図示左端部に、上述した布押え支持部9dを回転可能に支承する支持軸41が取り付けられた状態となっている。
【0050】
従って、螺子45,45を緩めて傾き調節土台44を長孔44a,44aの長手方向に沿って螺子45,45をガイドにして移動し、その後螺子45,45を締結すれば、布押え9Xの傾きが変化することになる。すなわち、傾き調節土台44を上方に移動すれば布押え部9の後端部(図示右端部)の押圧力が強くなり、傾き調節土台44を下方に移動すれば布押え部9の先端部(図示左端部)の押圧力が強くなる。
【0051】
このように、布押え部9の後端部の押圧力を強くすれば、縫製前の布42をしっかりと押えて縫製された布42を送ることから、上述した所謂先引効果を高めて縫い合わせる布地間のずれをさらに防止できるようになる。また、布押え部9の先端部の押圧力を強くすれば、一針前の縫目部分を押え足51の下面にさらに強く押圧できるようになり、当該一針前の縫目部分に対しての締結張力を引き締め時に抑制して縫い締まりに対して悪影響を及ぼさないという効果をさらに高めることができるようになる。
【0052】
図9は本発明の第4実施形態におけるパッカリング防止装置の斜視図である。この第4実施形態にあっては、第2実施形態で説明した軸43の位置の移動をアクチュエータ14によって自動的に行うことができるようになっている。すなわち、ミシンベッドに固定されたアクチュエータ(例えばモータ等)14のその出力軸には、布押え揺動停止腕13の一方の端部が固定されており、この布押え揺動停止腕13の他方の端部には、第2実施形態で説明した布押え揺動リンク11を回転可能に支承する軸43が回転可能に取り付けられた状態となっている。
【0053】
従って、アクチュエータ14を駆動すると、布押え揺動停止腕13がアクチュエータ14の出力軸を支点として揺動し、この布押え揺動停止腕13の揺動によって軸43の位置が移動し、当該軸43の位置を、例えば図6、図7に示した位置に移動し得るようになっている。
【0054】
ここで、この第4実施形態においては、特に送り方向を反転する所謂バック縫い時に上記軸43の移動を行うようになっている。この動作手順を、図10に示したフロー図に従って説明する。先ず、ステップ1において、バック縫いを行うためのバックレバーの信号がオンか否かを判定する。ここで、バック縫いは特別な縫いであるから、ステップ1の前では、軸43の位置は、図6(a)、図9に示される位置にある。
【0055】
そして、ステップ1において、バックレバー信号がオフと判定した場合にはオペレーターがバック縫いを行わないとしてステップ5に進み、ステップ5において、アクチュエータ14を駆動せずにそのままの状態とする。すなわち、この時軸43は、上述したように図6(a)、図9に示される位置にあり、通常縫い(前進縫い)を行う態勢にある。
【0056】
一方、ステップ1において、バックレバー信号がオンと判定した場合にはオペレーターがバック縫いを行うとしてステップ2乃至4に進み、ステップ2乃至4において、アクチュエータ14を駆動して、軸43の位置を図6(b)に示される位置に移動し、布押え9の上下運動のストロークを最小ストロークにしてステップ1にリターンする。
【0057】
ここで、前述したように、布押え部9の上下運動のストロークを最小ストロークにすると、布押え部9は、その上面9aが針板上面50a付近で微小上下運動(恰も停止したような状態)するようになっている。
【0058】
すなわち、バック縫い時には、布押え部9が殆ど針板上面50aから突出せずに、図6(a)に示した位置による突出量に比して送り抵抗が大幅に低減されて、布の送り(後進)が妨げられないようになっており、バック縫い時に良好な送りを行うことが可能となっている。
【0059】
図11は本発明の第5実施形態におけるパッカリング防止装置の斜視図である。この第5実施形態のパッカリング防止装置が第4実施形態のそれと機械的に違う点は、布押え9Xのさらに前方(図示左側)の範囲Xに布42の有無を検出可能なセンサ46を設けた点である。
【0060】
また、この第5実施形態にあっては、特にセンサ46により布42が検出されない時に、上記軸43の移動を行うようになっている。この動作手順を、図12に示したフロー図に従って説明する。先ず、ステップ1において、センサ46によって布42を検出したか否かを判定する。ここで、ステップ1の前では、軸43の位置は、図6(a)、図11に示される位置にある。
【0061】
そして、ステップ1において、センサ46により布42を検出したと判定した場合にはステップ5に進み、ステップ5において、アクチュエータ14を駆動せずにそのままの状態とする。すなわち、この時軸43は、上述したように図6(a)、図11に示される位置にあり、通常縫い(前進縫い)を行う態勢にある。
【0062】
一方、ステップ1において、センサ46により布42を検出しないと判定した場合には、例えばミシンスタート時(縫製開始前)で布42が布押え部9を通過していないとしてステップ2乃至4に進み、ステップ2乃至4において、アクチュエータ14を駆動して、軸43の位置を図6(b)に示される位置に移動し、布押え部9の上下運動のストロークを最小ストロークにして、布押え部9の上面9aが針板上面50a付近で微小上下運動(恰も停止したような状態)するようにしてステップ1にリターンする。
【0063】
すなわち、センサ46により布42が検出されない(布42が布押え部9を通過していない)時には、布押え部9が殆ど針板上面50aから突出せずに、図6(a)に示した位置による突出量に比して送り抵抗が大幅に低減されて、布の送り(前進)が妨げられないようになっており、例えばミシンスタート時に良好な送りを行うことが可能となっている。
【0064】
図13乃至図17は布押え9Xの他の実施形態を表した斜視図である。図13に示される布押え60Xの布押え部60は、貫通孔60bを含む先端側上面60eがそれ以外の上面(貫通孔60bより後方の上面)60aに対して低くなっており、図14に示される布押え61Xの布押え部61は、貫通孔61bを含まない先端側上面61eが貫通孔61bを含むそれ以外の上面61aに対して低くなっている。すなわち、これら布押え60X,61Xを用いれば、布押え部60,61の後端部60a,61aの押圧力が強くなり、縫製前の布42をしっかりと押えて縫製された布42を送ることから、上述した所謂先引効果を高めて縫い合わせる布地間のずれをさらに防止できるようになる。
【0065】
図15に示される布押え62Xの布押え部62は、貫通孔62bを含まない先端側上面62eが貫通孔62bを含むそれ以外の上面62aに対して高くなっており、図16に示される布押え63Xの布押え部63は、貫通孔63bを含む先端側上面63eがそれ以外の上面(貫通孔63bより後方の上面)63aに対して高くなっている。すなわち、これら布押え62X,63Xを用いれば、布押え部62,63の先端部62e,63eの押圧力が強くなり、一針前の縫目部分を押え足51の下面にさらに強く押圧できるようになることから、当該一針前の縫目部分に対しての締結張力を引き締め時に抑制して縫い締まりに対して悪影響を及ぼさないという効果をさらに高めることができるようになる。
【0066】
また、布押え9Xの布押え部9を、図17(a)に示されるさらに段が付いた布押え部64、図17(b)に示される溝付きの布押え部65、図17(c)に示されるローレットの付いた布押え部66に代えることも可能である。
【0067】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0068】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1のパッカリング防止装置によれば、ミシン針が通過可能な貫通孔を備えミシン押え足と共働して布を押圧可能な布押えを、送り歯を上下動させるミシン上下送り軸に対して伝達リンクを介して機械的に連結し、送り歯に対する完全同期(完全追従)を可能として、送り歯が最上点に上昇した時に布押えと送り歯上面とを同一の高さにし得ることによってミシン釜からの余分な下糸引き出しを防止すると共に、この布押えが送り歯の上面より高い位置まで上昇することに起因しての下糸屈曲をなくし、しかも布押えの上昇を衝突により行わないように構成したものであるから、糸締まり不良、糸切れ及び騒音の発生を防止でき、縫い品質及び装置品質を向上することが可能となる。
【0069】
また、上記構成によって布押えにバネ材を敢えて用いる必要をなくすと共に、これによって布押え表面の下糸移動による傷付きを防止するように構成したものであるから、耐久性を向上できると共に糸切れの発生を防止でき、装置品質及び縫い品質を向上することが可能となる。
【0070】
また、請求項2のパッカリング防止装置によれば、送り歯の楕円運動を構成する上下運動の位相に対する布押えの上下運動の位相及び布押えの上下運動のストロークの少なくとも一方を、例えば請求項3に記載のように布種に応じて変更し、布種に応じた最適なパッカリング防止を施し得るように構成したものであるから、縫い品質を向上することが可能となる。
【0071】
また、上記布押えのストロークの変更を、例えば請求項4に記載のように布位置または布条件に応じて行い、例えば布の先端が布押えを通過するまでまたはバック縫い時に、ストローク量を極めて小さくして布押えの上面を針板上面と略同一面で運動するようにして、ミシンスタート時(縫製開始前)またはバック縫い時の送りの抵抗を大幅に低減するように構成したものであるから、ミシンスタート時(縫製開始前)またはバック縫い時に良好な送りを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態におけるパッカリング防止装置の斜視図である。
【図2】図1の一部断面側面図である。
【図3】先引効果を説明するために図2の要部を抽出して表した一部断面側面図である。
【図4】一針前の縫目部分に対しての締結張力の抑制効果を説明するために図2の要部を抽出して表した一部断面側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態におけるパッカリング防止装置の斜視図である。
【図6】布押えの上下運動のストローク変化の原理を表したパッカリング防止装置の模式図である。
【図7】布押えの位相変化の原理を表したパッカリング防止装置の模式図である。
【図8】本発明の第3実施形態におけるパッカリング防止装置の斜視図である。
【図9】本発明の第4実施形態におけるパッカリング防止装置の斜視図である。
【図10】同上第4実施形態におけるパッカリング防止装置の動作手順を表したフロー図である。
【図11】本発明の第5実施形態におけるパッカリング防止装置の斜視図である。
【図12】同上第5実施形態におけるパッカリング防止装置の動作手順を表したフロー図である。
【図13】布押えの他の実施形態を表したパッカリング防止装置の斜視図である。
【図14】布押えのさらに他の実施形態を表したパッカリング防止装置の斜視図である。
【図15】布押えのさらに他の実施形態を表したパッカリング防止装置の斜視図である。
【図16】布押えのさらに他の実施形態を表したパッカリング防止装置の斜視図である。
【図17】布押えを構成する布押え部のさらに他の実施形態を表した各斜視図である。
【図18】従来技術におけるパッカリング防止装置を表した一部断面側面図である。
【図19】図18に示した装置の問題点を表した一部断面側面図である。
【符号の説明】
1 ミシン上下送り軸
7 送り歯
8,10,11,12 伝達リンク
9,60,61〜66 布押えの他端(布押え部)
9a,60a,60e,61a,61e〜63a,63e 布押えの上面
9b,60b,61b〜63b 貫通孔
9d 布押えの一端(布押え支持部)
9X,60X,61X〜63X 布押え
40 ミシン針
41 支持軸
42 布
50 針板
50a 針板上面
51 押え足

Claims (4)

  1. ミシン針上下動に同期して楕円運動を行う送り歯と、ミシン機台より突設される支持軸と、
    この支持軸に一端が軸支されると共に、他端にミシン針が通過可能な貫通孔を備える布押えと、を具備し、
    この布押えは、ミシン上下送り軸に伝達リンクを介して連結され、前記送り歯に同期して上下動すると共に、ミシン押え足と共働して縫製物を押圧可能であるパッカリング防止装置。
  2. 請求項1記載のパッカリング防止装置において、
    送り歯の楕円運動を構成する上下動の位相及びストロークに対する、布押えの上下動の位相及びストロークの少なくとも一方を変更可能としたパッカリング防止装置。
  3. 請求項2記載のパッカリング防止装置において、
    布押えの位相及びストロークの少なくとも一方の変更は、布種に応じて行われることを特徴とするパッカリング防止装置。
  4. 請求項2記載のパッカリング防止装置において、
    布押えのストロークの変更は、布位置または縫い条件に応じて行われ、
    この変更に従って、布押えの上面が針板上面と略同一面において最小ストロークで運動するようにしたことを特徴とするパッカリング防止装置。
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