JP2013162859A - ミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】下糸の過剰な繰り出しを抑えつつ糸締まりを良好にする。
【解決手段】縫い針11を保持して上下動を行う針棒12と、回動動作により上糸Uを下糸Dに絡める釜13と、針棒の上下動と釜の回動動作の駆動源となるミシンモータ21と、布保持部81により被縫製物Cを水平面に沿って任意の移動方向に移動させて任意の位置に針落ちを行わせる移動機構80と、縫製データに基づいて移動機構を制御する制御部90と縫い針を挿通する挿通部113を備えると共に布保持部に保持された被縫製物の浮き上がりを防止する中押さえ110とを備え、中押さえは、布保持部が保持する被縫製物の直上位置で固定保持又は停止可能であって、挿通部の少なくとも下端部については下方に向かって広がる開口形状としたことを特徴とする。
【選択図】図21

Description

本発明は、中押さえを備えるミシンに関する。
従来より、被縫製物である布地を保持枠により保持した状態で任意に移動位置決めする移動機構を備えるミシンが知られている。この移動機構を備えるミシンでは、布地の任意の移動動作を妨げるので、布地を上方から押圧保持する非動作型の布押さえを使用することができない。
布地を上方から押さえることなく縫製を行うと、縫い針が布地を貫通して上昇する際に、布地も上方に引き上げられてしまう。この結果、布地の下側で上糸のループが十分に形成されないことにより釜の剣先が上糸ループを捕捉できずに目飛びを生じるという問題を生じる。
このため、上記移動機構を備えるミシンでは、図32に示すように、縫い針11が挿通される挿通穴201を有し、縫い針11に追従して上下動を行う布押さえとしての中押さえ200を備えている。この中押さえ200は、布地Cの上面付近で上下動を行うと共に縫い針11よりも短いストロークで若干遅れて上下動を行うため、縫い針11が上昇する際には、中押さえ200が布地Cを上方から押さえて布地Cの上昇を防ぎ、上糸ループを良好に形成することを可能としている(例えば、特許文献1参照)。
特開平08−257275号公報
ところで、上記従来のミシンは、中押さえ200が上下動を行うことから、その上昇時に天秤が上糸Uの引き上げを行うと、図33に示すように、上糸Uが布地Cを上方に引き上げて下糸Dが余分に繰り出されて、縫い目の糸締まりが悪化するという問題があった。
この問題の対策として、中押さえ200の下端部を布地Cの上面に近接させた状態で上下動しないように停止させて縫製を行うことも考えられる。これにより、上糸Uの引き上げの際にも布地Cが上方に引き上げられないために下糸Dの過剰な繰り出しは回避することができる。
しかしながら、この方法では、布地Dが送られると、中押さえ200の挿通穴201の下端部の角部201aにおいて、図34に示すように、上糸Uがほぼ直角に屈曲した状態となり、当該角部201aにおいて上糸Uに大きな抵抗が生じて天秤による引き上げが不十分となり、縫い目の糸締まりが低下して縫い品質の低下が生じるという新たな問題が生じる。
本発明は、縫製時に、下糸の過剰な繰り出しを回避しつつ、糸締まりの低下を防止するミシンを提供することをその目的とする。
本発明は、縫い針を保持して上下動を行う針棒と、回動動作により上糸を下糸に絡める釜と、前記針棒の上下動の駆動源となるミシンモータと、布保持部により被縫製物を水平面に沿って任意の移動方向に移動させて任意の位置に針落ちを行わせる移動機構と、所定の縫製パターンを形成するための一針ごとの針落ち位置又は前記被縫製物の移動量を定めた縫製データに基づいて前記移動機構を制御する制御部と、前記縫い針を挿通する挿通部を備えると共に前記布保持部に保持された被縫製物の浮き上がりを防止する中押さえとを備えるミシンにおいて、前記中押さえは、前記布保持部が保持する被縫製物の直上位置で固定保持又は停止可能であって、前記挿通部の少なくとも下端部については下方に向かって広がる開口形状としたことを特徴とする。
上記構成において本発明は、天秤による上糸引き上げ時に中押さえを布保持部が保持する被縫製物の直上位置に配置するので、被縫製物の上昇による下糸の過剰な繰り出しを防止することが可能である。
さらに、中押さえの挿通部の少なくとも下端部側を下方に広がる開口形状としたので、下端部の角部が鈍角となり、縫い針から被縫製物に渡る上糸が挿通部の下端の角部に接触した場合でも、上糸の引き上げに対する抵抗を低減することができ、良好な糸締まりを実現できる。
また、挿通部の下端部側を下方に広がる開口形状としたのでその下端部の内部半径を拡大することができ、当該内部半径よりも被縫製物の移動量が小さければ、挿通部の下端角部に対する上糸の接触を回避することができ、上糸の引き上げに対する抵抗のさらなる低減が可能である。
また、本発明は、前記挿通部は、縫い針の上下動を許容し、内径が一定の等径部と、前記等径部に連続して形成され、下方に向かって広がる開口形状の拡径部と、を有することが好ましい。
また、本発明は、前記挿通部の下端部の内径を前記縫い針の中心線から前記移動機構における一針での最大送り量以上とすることが好ましい。
上記構成において本発明は、移動機構により被縫製物が最大送り量で移動した場合でも挿通部の下端角部に対する上糸の接触を回避することができ、常に、上糸の引き上げに対する角部の接触抵抗を低減することが可能である。
また、本発明は、前記挿通部の下端部の内部半径を前記縫い針の中心線から3[mm]以上13[mm]以下とすることが好ましい。
上記構成において本発明は、移動機構により被縫製物が3[mm]以下13[mm]以下の送り量で移動した場合には挿通部の下端角部に対する上糸の接触を回避することができ、上糸の引き上げに対する角部の接触抵抗を低減することが可能である。
また、3[mm]を超える送り量で移動した場合には挿通部の下端角部に上糸が接触するが、当該角部は鈍角であるため、上糸の引き上げに対する抵抗を低減することができ、良好な糸締まりを実現できる。
また、本発明は、縫い針を保持して上下動を行う針棒と、回動動作により上糸を下糸に絡める釜と、前記針棒の上下動の駆動源となるミシンモータと、布保持部により被縫製物を水平面に沿って任意の移動方向に移動させて任意の位置に針落ちを行わせる移動機構と、所定の縫製パターンを形成するための一針ごとの針落ち位置又は前記被縫製物の移動量を定めた縫製データに基づいて前記移動機構を制御する制御部と、前記縫い針を挿通する挿通穴を備えると共に前記布保持部に保持された被縫製物の浮き上がりを防止する中押さえとを備えるミシンにおいて、前記中押さえは、前記布保持部が保持する被縫製物の直上位置で固定保持又は停止可能であって、前記挿通部は、前記縫い針の中心線からの内部半径が上下方向に沿って一定である貫通穴を有し、当該内部半径は前記移動機構における一針での最大送り量以上とする構成としても良い。
上記構成において本発明は、天秤による上糸引き上げ時に中押さえを布保持部が保持する被縫製物の直上位置に配置するので、被縫製物の上昇による下糸の過剰な繰り出しを防止することが可能である。
さらに、中押さえの挿通部の貫通穴の内部半径が全体的に一定であって縫い針の中心線から移動機構における一針での最大送り量以上としたので、縫い針から被縫製物に渡る上糸が挿通部の下端角部へ接触することを回避することができ、上糸の引き上げに対する抵抗の十分な低減が可能である。
また、本発明は、縫い針を保持して上下動を行う針棒と、回動動作により上糸を下糸に絡める釜と、前記針棒の上下動の駆動源となるミシンモータと、布保持部により被縫製物を水平面に沿って任意の移動方向に移動させて任意の位置に針落ちを行わせる移動機構と、所定の縫製パターンを形成するための一針ごとの針落ち位置又は前記被縫製物の移動量を定めた縫製データに基づいて前記移動機構を制御する制御部と、前記縫い針を挿通する挿通穴を備えると共に前記布保持部に保持された被縫製物の浮き上がりを防止する中押さえとを備えるミシンにおいて、前記中押さえは、前記布保持部が保持する被縫製物の直上位置で固定保持又は停止可能であって、前記挿通部は、前記縫い針の中心線からの内部半径が上下方向に沿って一定である貫通穴を有し、当該内部半径が3[mm]以上13[mm]以下とする構成としても良い。
上記構成において本発明は、天秤による上糸引き上げ時に中押さえを布保持部が保持する被縫製物の直上位置に配置するので、被縫製物の上昇による下糸の過剰な繰り出しを防止することが可能である。
さらに、中押さえの挿通部の内部半径が全体的に一定であって縫い針の中心線から3[mm]以上としたので、移動機構による被縫製物の送り量がそれ以下の場合には挿通部の下端角部に対する上糸の接触を回避することができ、上糸の引き上げに対する角部の接触抵抗を低減することが可能である。
また、3[mm]を超える送り量で移動した場合には挿通部の下端角部に上糸が接触するが、縫い針から被縫製物に渡る上糸の挿通部の下端角部における屈曲角が十分に鈍角となるので、上糸の引き上げに対する抵抗を低減することができ、良好な糸締まりを実現できる。
また、本発明は、前記中押さえを前記針棒と同周期で上下動させる中押さえ上下動機構を備え、前記中押さえ上下動機構は、前記中押さえの高さを調節する調節部と上下動の振幅を調節する調節部とを有する構成とすることが好ましい。
上記構成において本発明は、中押さえの高さを調節する高さ調節部と上下動の振幅を調節する振幅調節部とを有するので、これらの調節により、中押さえを被縫製物の直上位置で停止させた縫製と中押さえを上下動させながら行う縫製とを任意に選択することが可能となる。
また、本発明は、前記針棒を上下動軸心周りに回動させる針棒回動機構と、針板の下側で糸寄せ部材により下糸の糸寄せを行う糸寄せ機構とを備える構成とすることが好ましい。
上記構成において本発明は、針棒回動機構と糸寄せ機構とを備えるので、中押さえにより被縫製物の引き上げによる下糸の過剰な繰り出しを防止することができ、糸寄せの実行による下糸の繰り出しが行われても、縫い品質の低下を抑制することが可能となる。
本発明は、中押さえの下端部が保持枠に保持された被縫製物に近接して上糸の引き上げに伴う被縫製物の引き上げを防止することで、下糸の過剰な繰り出しが回避することが可能となる。
そして、上記効果に加えて、縫い針から被縫製物に渡る上糸の中押さえの挿通部の下端部の角部に対する接触を回避することを可能とし又は接触しても上糸の屈曲角度を十分に鈍角にすることができ、上糸の引き上げに対する抵抗を低減して、良好な糸締まりによる縫い品質の向上を図ることが可能である。
第一の実施形態のミシンの斜視図である。 ミシンアーム部の前端部の一部を切り欠いた状態を示す斜視図である。 針棒台の斜視図である。 針棒台の上端部の斜視図である。 針棒台の下端部の斜視図である。 クランクロッドと針棒との連結部の構造を示す斜視図である。 クランクロッドと針棒との連結部の構造を示す図6と方向の異なる斜視図である。 針棒回動機構の動作系統の平面図である。 針棒回動機構の動作説明図である。 針棒回動機構の動作説明図である。 針棒カム部材の平面図である。 モータの速度特性を示す線図である。 針棒カム部材のカム部におけるコロの基準の待機位置と停止位置との関係を示す説明図である。 糸寄せ機構の平面図である。 糸寄せ機構の斜視図である。 糸寄せカム部材の平面図である。 糸寄せカム部材のカム部におけるコロの基準の待機位置と停止位置との関係を示す説明図である。 糸調子装置の断面図である。 中押さえ上下動機構の概略構成図であり、図19(A)は中押さえを低位置とし、図19(B)は中押さえを高位置としている状態を示している。 中押さえの斜視図である。 中押さえの一部を切り欠いた正面図である。 中押さえの挿通部の拡大断面図であり、図22(A)は布送り量よりも拡径部の下端部の半径が大きい場合を示し、図22(B)は布送り量よりも拡径部の下端部の半径が大きい場合を示す。 ミシンの制御系を示したブロック図である。 図24(A)は縫い針が布に刺さるときに目孔を通った上糸が左巻き方向に絡んだ状態を示す断面図、図24(B)は上糸が右巻き方向に絡んだ状態を示す断面図である。 図25(A)は釜のボビンケースの角の部分から針板の針穴に下糸が渡っている状態を示す平面図、図25(B)はその正面図を示す。 半回転釜を用いるミシンにおいて布の移動方向とヒッチステッチの発生要因との関係を示す説明図である。 布送り方向の角度区分に応じて糸寄せと針棒回動のいずれを実行すべきかを記憶したテーブルデータを示す説明図である。 他の例である中押さえの一部を切り欠いた正面図である。 中押さえの挿通部の拡大断面図である。 縫い針から中押さえに渡る上糸の傾斜角度と針棒回動との関係を示す説明図である。 さらに他の例である中押さえの正面図である。 従来の中押さえの斜視図である。 従来の中押さえの一部を切り欠いた正面図である。 図34(A)は中押さえを布地の直上位置に固定設置した場合の上糸の状態を示す説明図であり、図34(B)はその拡大図を示す。
[発明の実施形態の概要]
本発明の実施の形態を図1〜図27に基づいて説明する。
本実施形態として以下に記載するミシン100は、いわゆる電子サイクルミシンであり、縫製を行う被縫製物である布地を保持する布保持部としての保持枠により布地を移動させて任意の位置に針落ちを行う移動機構を有し、保持枠に保持される布地に所定の縫製データに基づく縫製パターンを形成することを可能とする。
また、このミシン100では、保持枠による布地の移動方向に応じて適宜、下糸の糸寄せ又は針棒の回動を選択的に実施し、ヒッチステッチの発生を防止することを可能としている。
図1は本発明にかかるミシン100の斜視図である。
ここで、後述する縫い針11が上下動を行う方向をZ軸方向又は上下方向とし、これと直交する一の方向をX軸方向又は左右方向とし、Z軸方向とX軸方向の両方に直交する方向をY軸方向又は前後方向と定義する。なお、以下の説明における「前」とはミシン100に対して縫製を行う作業者が位置する方向、「左」はミシン100の前側にいる作業者がミシン100と向き合った状態における左手側、「右」はミシン100の前側にいる作業者がミシン100と向き合った状態における右手側を示すものとする。
上記ミシン100は、縫い針11をその下端部に保持してZ軸方向に沿って上下動を行う針棒12と、ミシンモータ21を駆動源として縫い針を上下動させる針上下動機構20と、針棒12をZ軸方向に沿ったその中心線回りに回動させる針棒回動機構30と、回動動作により縫い針11に通された上糸に下糸を絡める釜13と、下糸の糸寄せを行う糸寄せ機構50と、上糸の糸張力の可変調節を行う糸調子装置70と、布地を保持してX−Y平面に沿って任意に移動位置決めを行う移動機構としての布移動機構80と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段としての制御装置90と、布移動機構80の布保持部としての保持枠81に保持された布地を上方へのばたつきを押さえる中押さえ110と(図20参照)、中押さえ110を上下動させる中押さえ上下動機構120と(図19参照)、ミシン100の各構成を支持するミシンフレーム101とを主に備えている。
[ミシンフレーム]
図1に示すように、ミシン100は、外形がX軸方向から見て略コ字状を呈するミシンフレーム101を備えている。このミシンフレーム101は、ミシン100の上部をなしY軸方向に延びるミシンアーム部101aと、ミシン100の下部をなしY軸方向に延びるミシンベッド部101bと、ミシンアーム部101aとミシンベッド部101bとを連結する縦胴部101cとを有している。
[針上下動機構]
図2はミシンアーム部101aの前端部の一部を切り欠いた状態を示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、針上下動機構20は、上記ミシンアーム部101a内においてY軸方向に沿った状態で回転可能に支持された上軸22と、上軸22の一端部から回転力を付与する図23に示すミシンモータ21と、上軸22の他端部に設けられた針棒クランク23と、針棒クランク23の回転中心に対する偏心位置に一端部が連結されたクランクロッド24と、クランクロッド24の針棒12側の端部を上下方向に沿って往復するよう案内するガイド25とを備えている。
上軸22はミシンモータ21の出力軸に直結されて回転駆動が行われ、上軸22の回転は針棒クランク23とクランクロッド24とにより上下の往復動作に変換されて針棒12に伝達される。
クランクロッド24の針棒12側の端部にはY軸方向に沿った支軸26が貫通装備され、当該支軸26はその両端部でクランクロッド24を挟むようにして二つの角コマ27,28を回転可能に軸支している。
そして、クランクロッド24に対して針棒12側の面に設けられた角コマ27は、後述する針棒抱き331,332を介して針棒12と係合し、針棒12に上下動を伝達する。また、クランクロッド24に対して針棒12とは逆側の面に設けられた角コマ28はミシンアーム部101aの壁面にZ軸方向に沿って形成された溝状のガイド25に嵌合している。即ち、角コマ28は、溝状のガイド25に滑動可能な状態で嵌合しているため、クランクロッド24の針棒12側の端部をX軸方向の移動を規制しつつもZ軸方向に沿ってのみ往復可能としている。
これにより、針棒12には、ミシンモータ21の回転に同期した上下方向の往復動作が付与される。
[釜]
本実施形態たるミシン100では、釜として半回転釜を採用する場合を例示する。半回転釜は、大釜の内側で針棒12の上下動と同期して往復回動を行う中釜と、中釜の内側に収納されたボビン及びボビンケースと、中釜に往復回動を付与するドライバと、上軸22に形成されたクランク部に一端部が連結されたクランクロッドと、クランクロッドの他端部に連結されたアーム部を有する往復回動軸と、往復回動軸により増速されて往復回動を行う下軸とを備え、当該下軸はドライバを保持して当該ドライバを介して中釜を往復回動させるようになっている。また、前述したミシンモータ21は針棒12の上下動と釜13の回動動作の駆動源となり、縫い針11の上下動と釜13の回動により上糸を下糸に絡める。なお、半回転釜の構造・構成は周知であるため、詳細な説明は省略する。
[針棒回動機構]
針棒回動機構30は、ミシンアーム部101aの前端部においてZ軸周り(上下軸心周りとも称する)に回動可能に支持されると共に針棒12を上下動可能に支持する針棒台31と、針棒台31を通じて針棒12に対してZ軸周りの回動動作を付与する動作系統とを主な構成とする。
図3は針棒台31の斜視図であり、図4はその上端部、図5は下端部を示す斜視図である。
針棒台31は、その上端部311と下端部312とが同心となる円筒状に形成されており、それらの間は矩形状の枠部313により一体的に連結されている。そして、下端部312と枠部313の内側には筒状のメタル軸受け321,322が保持されており、これら二つのメタル軸受け321,322の内側に丸棒状の針棒12が挿入される。これにより、針棒12は、Z軸方向に沿った状態で上下動可能に支持された状態となる。
また、針棒台31の上端部311と下端部312の外周には、それぞれ軸受け323,324が装備され、当該各軸受け323,324の外周はミシンアーム部101aの壁面に保持される。これにより、針棒台31及び針棒台31に支持された針棒12は、ミシンアーム部101aに対してZ軸回りに回動可能となっている。
なお、符号325と326は、それぞれ座金であり、軸受け323,324の外輪と針棒台31側との滑動性を保持するためのものである。
また、針棒台31の上端部311であって、軸受け323の下側には、前述した動作系統から回動トルクが入力されるアーム部材327がネジ止めにより固定装備されている。このアーム部材327は、針棒12を中心とする半径方向外側に向かって延出された腕部が形成されており、当該腕部の先端部が動作系統を構成するリンク体の一つと段ネジで連結され、腕部を通じて回動動作が入力されるようになっている。
また、針棒台31の枠部313は、Z軸方向に沿った矩形の平面部を備え、当該平面部の上部には、検出体328が固定装備されている。この検出体328は、ミシンアーム部101aの壁面に装備された近接センサである針棒角度センサ329により、その近接状態が検出される。つまり、針棒角度センサ329は、検出体328との距離に応じた検出信号を出力し、これにより、針棒角度センサ329に対する検出体328の近接状態或いは離間状態を識別することができ、例えば、上記最近接状態を針棒12の回動方向における原点位置と定めた場合に、針棒12が原点にいるか、原点より離れて回動を生じているかを識別することが可能となる。
また、針棒台31の枠部313の平面部には、長尺のガイド板330がネジ止めにより装備されている。かかるガイド板330は、Z軸方向に沿って表裏に貫通した状態でスリット330aが形成されている。枠部313の平面部は、図示されていないが、ガイド板330の背面側がガイド板330のスリット330aより大きく開口が形成されている。
そして、針棒12には後述する図6及び図7に示す針棒抱き331が固定装備されており、当該針棒抱き331には、針棒12を中心とする半径方向外側に向かって延出した矩形の突起部331aが形成されている。かかる突起部331aは、ガイド板330の背面側から外側に向かってスリット330aに挿入され、針棒12の上下動の際には、スリット330a内を突起部331aも上下動を行う。そして、突起部331aの横幅はスリット330aの幅とほぼ等しく設定されており、これにより、針棒台31がZ軸回りに回動動作を行うと、針棒12も供回りを行うようになっている。
図6はクランクロッド24と針棒12との連結部の構造を示す斜視図、図7はクランクロッド24と針棒12との連結部の構造を示す図6と方向の異なる斜視図である。
前述したように、クランクロッド24の下端部であって針棒12側の面には角コマ27がY軸回りで回動可能に軸支されている。
そして、針棒12には、二つの針棒抱き331,332が上下に並んで所定の隙間をもって抱き締め固定されている。そして、上下に並んだ針棒抱き331と針棒抱き332との間には、座金333,334を介して角コマ27を介在させている。
各座金333,334は摺動性の良好な素材から形成されており、角コマ27の摺動面は滑動性に優れている。また、各座金333,334は、それぞれの針棒抱き331,332に突出装備されたピンが嵌合しており、針棒12の回動時には各針棒抱き331,332と共に回動動作を行うようになっている。
また、前述したように、上側の針棒抱き331には、Y軸方向前側に突起部331aが突設されており、ガイド板330により針棒台31と共にZ軸回りに針棒12を回動させる。その際、針棒12と共に各針棒抱き331,332は回動を行うが、クランクロッド24に支持された角コマ27は、座金333,334を介して針棒抱き331,332の間に位置した状態を維持することができ、針棒回動時であっても、ミシンモータ21からの上下動の動力を針棒12に伝達することが可能となっている。
図8は針棒回動機構30の動作系統の平面図、図9及び図10は針棒回動機構30の動作説明図である。
針棒回動機構30の動作系統は、駆動源となる針棒回動モータ34と、針棒回動モータ34により作動する針棒カム部材35と、針棒カム部材35から動作付与が行われる従動体としてのコロ36と、コロ36から針棒12に回動動作を伝達する伝達部材とを主に備えている。この伝達部材は、コロ腕361とリンク体362とアーム部材327から構成される。
上記針棒回動モータ34は、ミシンアーム部101aの左側面に取り付けられたモータ取り付け台341により出力軸を垂直上方に向けた状態で支持されており、当該出力軸には主動スプロケット342が装備されている。モータ取り付け台341の上面には、主動スプロケット342に隣接して小径の従動スプロケット343が設けられており、相互のスプロケット342,343にはタイミングベルト344が掛け渡され、主動スプロケット342から従動スプロケット343へ増速回転が伝わるようになっている。
従動スプロケット343は、その回動軸345を介して針棒カム部材35と連結されており、従動スプロケット343の回動は針棒カム部材35に伝達される。
図11は針棒カム部材35の平面図である。針棒カム部材35は略扇形であり、略円弧状の外縁部がコロ36に当接して変位を付与するカム部351となっている。そして、このカム部351は、回動中心位置から一定の距離を維持する円弧のカム形状の二つの不動区間352,353を有し、二つの不動区間352,353の間には、これらに連なる動作区間354が形成されている。この動作区間354は、一方の不動区間352との境界位置から徐々に縮径し、その後再び徐々に拡径して他方の不動区間353との境界位置で当該不動区間353と同じ径に戻るカム形状となっている。また、この動作区間354は、左右対称のカム形状となっている。
すなわち、針棒カム部材35は、針棒12に回動動作を付与しない不動区間352,353と針棒12に回動動作を付与する動作区間354とが連続して形成されたカム部を有している。
詳細は後述するが、針棒回動機構30は、縫製中に一定の上軸角度の範囲内となるタイミングで針棒12を所定の角度範囲で往復回動させるためのものである。従って、縫製速度が高速となればなるほど、針棒12の往復回動動作も高速で行わなければならない。
しかしながら、モータは一般に、図12に示すように、駆動開始直後は加速度が小さく、低速状態V1が一定期間継続し、その後、加速して高速状態V2に至るという速度特性を有している。従って、針棒回動モータ34によって針棒カム部材35に回動動作を付与すると、針棒回動モータ34の駆動開始時には低速で針棒カム部材35が回動を行うこととなり、針棒12の回動動作が間に合わなくなる場合がある。
従って、針棒カム部材35のカム部351に不動区間352又は353を設け、当該不動区間352又は353をコロ36の待機位置とし、針棒回動モータ34の駆動開始から高速状態に至るまでの間は、コロ36が不動区間352又は353に沿って相対移動し、針棒回動モータ34が十分に加速した時に、コロ36が動作区間354に沿って相対移動するように、針棒カム部材35は設計されている。これにより、針棒回動モータ34の高速域のみを利用して針棒12の回動動作を行うことが可能となり、高速で針棒12の回動動作を行うことが可能となっている。
そして、制御装置90は、針棒カム部材35の不動区間352又は353で駆動を開始すると共に十分に加速してから動作区間354で針棒に回動動作を付与するように針棒回動モータ34を制御する。
また、針棒カム部材35は、動作区間354を挟んで両側に不動区間352,353が形成されているので、針棒12の往復回動動作を一回行う場合に、針棒カム部材35を往復回動させる必要がなく、一方の不動区間352からもう一方の不動区間353にコロ36が相対移動するように、針棒カム部材35を片側回動させるだけで足りる。次回の針棒12の往復回動動作を行う場合には、コロ36はもう一方の不動区間353に当接しているため、当該不動区間353でモータ34が高速に至るまでの助走動作を行うことができる。
なお、針棒カム部材35には、原点センサ355が併設されている。原点センサ355が、回動軸345に固定された検出子346を検知して、コロ36を針棒カム部材35のカム部351における基準の待機位置に位置決めすることができる。つまり、この基準の待機位置にコロ36が位置する状態から針棒カム部材35を回動させることにより、針棒回動モータ34が高速に達した時に丁度、コロ36を動作区間354に到達させることができ、針回動を高速で行うことが可能となっている。
上記コロ36は、ベルクランクである伝達部材としてのコロ腕361の一方の腕部361aに回転可能に保持されており、コロ腕361のもう一方の腕部361bは、伝達部材としてのリンク体362を介してアーム部材327の回動端部に連結されている。
また、このコロ腕361は、二本の腕部361a,361bの基端部側がミシンアーム部101aの壁面に固定されたコロ腕台366に段ネジ363を支軸として回動可能に支持されている。
また、コロ腕361は、コロ36が常時、針棒カム部材35のカム部351に当接するようにねじりコイルバネ364により付勢されている。
また、コロ腕361には、針棒カム部材35が余分に回動してコロ36がカム部351から脱落した場合に、ねじりコイルバネ364により過剰に回動しないように、ストッパ365が併設されている。
上記の構成により、針棒回動機構30では、原点センサ355によりコロ36が針棒カム部材35のカム部351における基準の待機位置に位置する図9の状態から、針棒回動モータ34が駆動を開始すると、主動スプロケット342,タイミングベルト344,従動スプロケット343を介して針棒カム部材35が回動を開始する。
そして、針棒回動モータ34の駆動開始時の低速状態では、コロ36は針棒カム部材35の不動区間352に沿って相対的に移動しているため、針棒12及び針棒台31には回動動作が付与されず、針棒回動モータ34が徐々に加速して高速に達すると、図10に示すように、コロ36は針棒カム部材35の動作区間354に到達して相対移動を行う。これにより、コロ腕361が回動し、リンク体362を介して針棒台31を回動させる。これにより、針棒12も回動を行う。
また、針棒回動モータ34の駆動は、コロ36が動作区間354を脱してもう一方の不動区間353内の所定の停止位置に到達するまで継続する。なお、図13に示すように、この停止位置S2は、前述した原点センサ355によるカム部351の不動区間352における基準の待機位置S1から当該不動区間352と動作区間354の境界位置K1までの回動角度θ1とした場合に、動作区間354と不動区間353との境界位置K2から停止位置S2までの回動角度θ2も角度θ1と等しくなるように制御することが望ましい。
即ち、次回の針棒12の回動動作を行う際には、この停止位置S2が回動の開始位置としての待機位置なって逆方向に針棒カム部材35を回動させるため、動作区間354と不動区間353との境界位置K2から停止位置S2までの回動角度θ2をθ1と同じ角度とすることにより、コロ36が不動区間353から動作区間354に進入する時点で針棒回動モータ34が高速に達した状態とすることできる。
なお、上記針棒カム部材35を使用する場合、コロ36が不動区間352又は353を相対移動している間の助走期間は、針棒12は停止状態であって動作させることができないことから、針棒12の回動をより正確なタイミングである上軸角度で開始させる必要がある場合には、回動開始タイミングに対して当該助走期間の分だけ先行して針棒回動モータ34の駆動を開始させるよう制御が行われる。
[糸寄せ機構]
図14は糸寄せ機構50の平面図、図15は斜視図である。
糸寄せ機構50は、ミシンベッド部101bの内部であって針板14よりも下側に設けられ、糸寄せ部材51により下糸の糸寄せを行う。この糸寄せ機構50は、ボビンケースから針板14の針穴15に渡る下糸を寄せてその経路を変更する糸寄せ部材51と、当該糸寄せ部材51の糸寄せ動作の駆動源となる糸寄せ用モータ52と、糸寄せ用モータ52により作動する糸寄せカム部材53と、糸寄せカム部材53から動作付与が行われる従動体としてのコロ54と、コロ54から糸寄せ部材51に下糸の糸寄せ動作を伝達するリンク機構55とを主に備えている。リンク機構55は、コロ腕541と支軸542から構成される。
上記糸寄せ用モータ52は、ミシンベッド部101bの内部に取り付けられたモータ取り付け台521により出力軸を垂直上方に向けた状態で支持されており、当該出力軸には主動歯車522が装備されている。モータ取り付け台521の上面には、主動歯車522に隣接して小径の従動歯車523が設けられており、これらは相互に噛合しており、主動歯車522から従動歯車523へ増速回転が伝わるようになっている。
従動歯車523は、その回動軸524を介して糸寄せカム部材53と連結されており、従動歯車523の回動は糸寄せカム部材53に伝達される。
図16は糸寄せカム部材53の平面図である。糸寄せカム部材53は略扇形であり、略円弧状の外縁部がコロ54に当接して変位を付与するカム部531となっている。そして、このカム部531は、回動中心位置から一定の距離を維持する円弧のカム形状の不動区間532,533を有し、二つの不動区間532,533の間には、これらに連なる動作区間534が形成されている。二つの不動区間532,533は、いずれも回動中心から一定の距離を維持するカム形状であるが、不動区間533は不動区間532よりも径が大きく設定されている。
動作区間534は、一方の不動区間532との境界位置から徐々に拡径して他方の不動区間533との境界位置で当該不動区間533と同じ径に至るカム形状となっている。
すなわち、糸寄せカム部材53は、糸寄せ部材51に糸寄せ動作を付与しない不動区間532、533と、糸寄せ部材51に糸寄せ動作を付与する動作区間534とが連続して形成されたカム部531を有する。
詳細は後述するが、糸寄せ機構50は、縫製中に一定の上軸角度の範囲内となるタイミングで糸寄せ部材51を所定の角度範囲で一定方向に回動させると共に、また別の上軸角度の範囲内となるタイミングで糸寄せ部材51を前回と同じ角度範囲で逆方向に回動させるためのものである。従って、縫製速度が高速となればなるほど、糸寄せ部材51の各方向への回動動作も高速で行わなければならない。
従って、前述した針棒回動機構30と同様にして、糸寄せカム部材53のカム部531に不動区間532又は533を設け、当該不動区間532又は533をコロ54の待機位置とし、糸寄せ用モータ52が不動区間532又は533をコロ54が相対移動する期間を助走期間として十分に加速した後に、コロ54が動作区間534に沿って相対移動するように、糸寄せカム部材53は設計されている。これにより、糸寄せ用モータ52の高速域のみを利用して糸寄せ部材51の高速回動動作を行うことが可能となっている。
なお、糸寄せ部材51は、往復回動を行うが、針棒12の場合と異なり、往路の回動と復路の回動との間で一旦停止が行われる。さらに、糸寄せカム部材53は、前述した針棒カム部材35のように片側への回動により針棒12が往復回動するように設計されてはおらず、糸寄せ部材51の往復回動を行う場合には、糸寄せカム部材53も往復回動を行う必要がある。
従って、一方の不動区間532は糸寄せカム部材53の往路の回動時における助走期間のために使用され、もう一方の不動区間533は糸寄せカム部材53の復路の回動時における助走期間のために使用される。
これにより、糸寄せ部材51の往路の回動と復路の回動のそれぞれを高速を行うことが可能となっている。
なお、この糸寄せカム部材53については、前述した針棒カム部材35のように、原点センサを図示していないが、この糸寄せ機構50にも、糸寄せカム部材53の基準の待機位置を検出する原点センサを設け、当該待機位置から糸寄せカム部材53の回動を開始させることにより糸寄せ用モータ52が丁度高速状態になる時に糸寄せカム部材53が回動動作を行うように構成しても良い。
糸寄せカム部材53のカム部531に当接するコロ54は、ベルクランクであるコロ腕541の一方の腕部541aに回転可能に保持されており、コロ腕541のもう一方の腕部541bには糸寄せ部材51が保持されている。
また、このコロ腕541は、二本の腕部541a,541bの基端部側がモータ取り付け台521に設けられた支軸542により回動可能に支持されている。
また、コロ腕541は、コロ54が常時、糸寄せカム部材53のカム部531に当接するようにねじりコイルバネ543により付勢されている。
また、コロ腕541には、糸寄せカム部材53が余分に回動してコロ54がカム部531から脱落した場合に、ねじりコイルバネ543により過剰に回動しないように、ストッパ544が併設されている。
糸寄せ部材51は、その基端部がコロ腕541の腕部541bの回動端部に保持されており、当該糸寄せ部材51の先端部は針板14の下側において針穴15の方向に延出されている。また、この糸寄せ部材51の先端部側が自由端となっており、また、先端部は尖鋭な形状に形成されている。そして、糸寄せ部材51は、通常は、その先端部が針穴15に対して前方に離れて待避しており、糸寄せの際には、先端部が針穴15の真下を通過するように移動してボビンケースから針穴15に渡る下糸に係合して後方に寄せる動作を行う。
また、針板14の左側部には、上下二枚の板状体の隙間に板状の糸寄せ部材51を回動動作の前後に渡って介挿するように支えるガイド511が設けられており、糸寄せ部材51の回動動作時における上下方向の震えを抑止している。
上記の構成により、糸寄せ機構50では、コロ54が糸寄せカム部材53のカム部531の不動区間532における所定の待機位置に位置する状態から、糸寄せ用モータ52が駆動を開始すると、主動歯車522,従動歯車523を介して糸寄せカム部材53が回動を開始する。
そして、糸寄せ用モータ52の駆動開始時の低速状態では、コロ54は糸寄せカム部材53の不動区間532に沿って相対的に移動しているため、糸寄せ部材51には回動動作が付与されず、糸寄せ用モータ52が徐々に加速して高速に達すると、コロ54は糸寄せカム部材53の動作区間534に到達して相対移動を行う。これにより、コロ腕541が回動し、糸寄せ部材51を回動させる。これにより、糸寄せ部材51往路の回動動作を行い、その先端部が針穴15の真下を通過して下糸を後方に寄せる動作を行う。
さらに、糸寄せ用モータ52は、コロ54が動作区間534を脱してもう一方の不動区間533内の所定の停止位置に到達するまで駆動を継続する。
また、糸寄せ部材51は、復路の回動動作を行って元の位置に戻す必要があるため、糸寄せ機構50は、コロ54が不動区間533における停止位置である待機位置に位置する状態から、糸寄せ用モータ52が逆回転で駆動を開始すると、糸寄せ用モータ52の駆動開始時の低速状態では、コロ54は不動区間533に沿って相対的に移動し、糸寄せ用モータ52が高速に達すると、コロ54は動作区間534に到達して相対移動を行う。これにより、コロ腕541が逆方向に回動し、糸寄せ部材51の復路の回動動作を行う。
さらに、糸寄せ用モータ52は、コロ54が動作区間534を脱して不動区間532内の当初の待避位置に到達するまで駆動を継続する。
すなわち、糸寄せカム部材53の不動区間532と533は、動作区間534を挟んでその両側にそれぞれ形成されている。そして、制御部としての制御装置90は、糸寄せカム部材53の不動区間532又は533で駆動を開始すると共に十分に加速してから動作区間534で糸寄せ部材51に糸寄せ動作を付与するように糸寄せ用モータ52を制御す
る。
なお、図17に示すように、コロ54の所定の待機位置をS3とし、当該待機位置S3から糸寄せ用モータ52の駆動を開始した場合に、不動区間532と動作区間534との境界位置K3において糸寄せ用モータ52が高速状態に達するように待機位置S3から境界位置K3までの回動角度θ3を設定することが望ましい。
また、糸寄せ部材51の往路の回動時の不動区間533におけるコロの停止位置S4は、糸寄せ部材51の復路の回動時の開始位置としての待機位置となるので、停止位置S4から不動区間533と動作区間534の境界位置K4までの回動角度θ4は上記回動角度θ3と同じ角度に設定することが望ましい。
また、糸寄せ機構50の場合も、コロ54が不動区間532又は533を相対移動している間の助走期間を考慮して、予定された駆動開始タイミングよりも助走期間の分だけ糸寄せ用モータ52の駆動を早く開始する必要がある。
[布移動機構]
図1に示すように、布移動機構(移動機構)80は、ミシンベッド部101bの上面において被縫製物を保持する保持枠(布保持部)81と、保持枠81を昇降可能に支持する支持アーム82と、支持アーム82を介して保持枠81をX軸方向に移動させる図23に示すX軸モータ83と、支持アーム82を介して保持枠81をY軸方向に移動させる図23に示すY軸モータ84とを備えている。布保持部とも称する保持枠81は、長方形状の枠体である図示省略の下板と布押え外枠から構成される。被縫製物(布)は位置決めして下板上に載置された後、上方より布押え外枠が下降して被縫製物を保持する。
布移動機構80は、かかる構成により、保持枠81を介して被縫製物をX−Y平面の任意の位置に移動位置決めすることができ、一針ごとに任意の位置に針落ちを行うことができ、自在な縫い目の形成が可能となっている。すなわち、移動機構とも称する布移動機構80は、被縫製物を水平面に沿って任意の位置に移動させて任意の位置に針落ちを行わせる。
[糸調子装置]
図18は糸調子装置70の断面図である。糸調子装置70は、上糸に糸張力を付与する糸調子器79と、糸調子器79による糸張力を可変調節する糸張力調節用アクチュエータとしての糸調子ソレノイド71とから主に構成される。
上記糸調子器79は、ミシンアーム部101aの右側面に設けられ、糸供給源から天秤に至る経路の上糸を挟持して糸張力の付与を行うものである。この糸調子器79は、上糸を挟む二枚の糸調子皿72,72と、これらの糸調子皿72,72が互いに接離するX軸方向にそって移動可能に支持する中空支軸73と、中空支軸73の内部を貫通して一方の糸調子皿72を他方の糸調子皿72に押圧することが可能な押圧軸74と、糸取りバネ75と、これらを格納保持する本体ケース76とを備えている。
一方、糸調子ソレノイド71は糸調子器の左方において、通電される電流値に応じて突出する方向に推力を生じる出力軸71aが、前述した押圧軸74と同一線上に並ぶように配置されている。
そして、出力軸71aは、コイルバネ77に挿通された伝達軸78と結合されており、この伝達軸78は、出力軸71aを押し戻す方向に押圧するコイルバネ77に挿通されている。
従って、糸調子ソレノイド71の非通電時には、出力軸71aはコイルバネ77に押し戻され、押圧軸74を糸調子皿72の方向に押圧する押圧力が得られないので、二枚の糸調子皿72,72はフリーとなり、糸張力の付与が行われない。
また、糸調子ソレノイド71に通電を行うと、その電流値に応じた推力で出力軸71aが突出し、コイルバネ77に抗して伝達軸78が押圧軸74を介して一方の糸調子皿72を押圧し、当該押圧力に応じて二枚の糸調子皿72,72の間に介挿された上糸に張力を付与することができる。
なお、糸調子ソレノイド71の通電量は制御装置90により制御され、糸調子装置70において、任意の糸張力を上糸に付与することが可能となっている。
また、制御部としての制御装置90は、糸寄せを実行する運針又は当該運針を含む複数針数の運針の際に、算出した縫い方向が、A又はBの区分に属する場合、糸張力を低減調節するように糸張力調節用アクチュエータとしての糸調子ソレノイド71を制御する。
[中押さえ上下動機構]
図19は中押さえ上下動機構120の概略構成図である。図示のように、中押さえ上下動機構120は、中押さえ110を下端部で保持すると共にミシンアーム部101a内において上下動可能に支持された中押さえ棒121と、中押さえ棒121を通じて中押さえ110を下方に押圧して挙動を安定させる押圧バネ134と、ミシンモータ21から動力を得て上軸22と同じ周期でY軸回りに往復回動を行う駆動軸122と、駆動軸122に軸支されてY軸回りに往復回動を行う駆動腕123と、駆動腕123の回動半径方向に延出された腕部123aに一端部が連結された駆動リンク124と、一端部がミシンアーム部101a内においてY軸回りに回動可能に支持されると共に長手方向中間部が駆動リンク124の他端部に連結された回動腕125と、回動腕125の他端部と中押さえ棒121に固定装備された棒抱き126とを連結する第一と第二の伝達リンク127,128と、第一の伝達リンク127の一端部と第二の伝達リンク128の一端部とがY軸回りに回動可能に連結されると共にこれらの連結部においてY軸回りに回動可能に装備された角コマ129と、角コマ129を滑動可能にガイドする直線状のガイド溝130aを有するガイド板130と、ガイド板130に回動動作を付与する高さ調節モータ131と、Y軸方向に沿った高さ調節モータ131の出力軸に軸支されると共に当該出力軸を中心とする回動半径方向外側に向かって延出された出力腕132と、出力腕132とガイド板130とを連結する連結リンク133とを主に備えている。
上記駆動軸122は、ミシンモータ21により回転駆動が行われる上軸22から例えばクランク機構を介して往復回動動作が付与されている。上軸22の回転周期と駆動軸122の往復回動周期は一致しており、これによって、縫い針11の上下動と中押さえ110の上下動とは同期が図られている。
駆動腕123は、その腕部123aに沿って長穴123bが形成されており、駆動リンク124の一端部は締結ボルト124aにより当該長穴123bの任意の位置に連結可能となっている。長穴123bは、駆動腕123の回動半径にそって形成されているので、その連結位置を変えることで駆動軸122からの距離に比例して駆動リンク124に付与する往復動作量を調節することができる。そして、駆動リンク124の往復動作量は、中押さえ110に伝達される上下動の振幅にほぼ比例するので、長穴123bに対する駆動リンク124の一端部の連結位置を変えることで中押さえ110に伝達される上下動の振幅を調節することが可能となっている。
つまり、長穴123bが形成された駆動腕123の腕部123aと長穴123bの任意の位置に駆動リンク124の一端部を連結可能とする締結ボルト124aとにより、中押さえ110の上下動の振幅を調節する振幅調節部を構成している。
なお、長穴123bは、駆動リンク124とほぼ同じ長さを半径とする円弧状に湾曲形成されており、駆動軸122が所定の軸角度であるときに長穴123bに対する駆動リンク124の一端部の連結位置を変えることにより、回動腕125から中押さえ110までに姿勢の変化を生じさせることなく中押さえ110の上下動振幅の調節を行うことが可能となっている。
また、長穴123bは、駆動軸122の中心と駆動リンク124の一端部の回動中心とが同心となる位置まで形成されており、駆動軸122の中心と駆動リンク124の一端部の回動中心とが同心となるように駆動リンク124の一端部の位置調節を行うことにより、駆動リンク124から中押さえ110までの各部材に全く動作を付与しない停止状態とすることができる。つまり、これにより、中押さえ110を上下動させないで縫製を行うことが可能である。
回動腕125は、駆動リンク124によりその他端部が往復回動動作を行う。
前述したように、第一の伝達リンク127と第二の伝達リンク128とは互いの一端部がY軸回りに回動可能に連結されており、第一の伝達リンク127の他端部がY軸回りに回動可能な状態で回動腕125の他端部に連結されている。また、第二の伝達リンク128の他端部はY軸回りに回動可能に棒抱き126に連結されている。
第一の伝達リンク127と第二の伝達リンク128とは、相互の連結部において中折れを生じ得る構造となっているので、そのままの状態では回動腕125から棒抱き126に対して往復上下動を伝達することができないが、各リンク127と128の連結部には角コマ129が装備され、当該角コマ129はその挙動がガイド板130に形成されたガイド溝130aにより一定の直進方向に動作が規制されている。このため、ガイド板130が回動しないで定位置を維持している状態では、第一の伝達リンク127と第二の伝達リンク128はほぼ一定の屈曲角度を維持することができ、回動腕125から棒抱き126に対して往復上下動を伝達可能となっている。
また、図19(A)及び図19(B)に示すように、ガイド板130が回動すると、ガイド溝130aの傾斜角度が変動し、これにより、第一の伝達リンク127と第二の伝達リンク128の屈曲角度を変化させることが可能である。これにより、回動腕125の他端部と棒抱き126との距離を変えることができ、中押さえ棒121を通じて中押さえ110の高さを変えることが可能となっている。この高さ調節により、中押さえ110は、その上下動を行う範囲全体の高さを任意に変えることができる。
また、ガイド板130と出力腕132とガイド板130と連結リンク133とは、いわゆる四節リンク機構を構成しており、その一節に出力軸が連結された高さ調節モータ131の駆動により、ガイド板130の回動角度を任意に変更可能となっている。つまり、高さ調節モータ131の動作量を制御することで、中押さえ110の高さを自在に制御可能となっている。
つまり、第一の伝達リンク127、第二の伝達リンク128、角コマ129、ガイド板130、出力腕132及び高さ調節モータ131は、中押さえ110の高さを調節する高さ調節部を構成している。
そして、図示しないミシン100の天秤による上糸Uの引き上げの際に、布地が上方に引っ張り上げられて糸締まりが悪化している場合には、前述した振幅調節部を構成する駆動軸122の中心と駆動リンク124の一端部の回動中心とが同心となるよう位置調節して、中押さえ110の振幅を0に調節する。さらに、高さ調節部を構成する高さ調節モータ131を駆動して、中押さえ110の高さを調節する。これらの調節により停止した中押さえ110の下端部を保持枠81に保持された布地の上面に最近接させた直上位置に調節する。かかる状態で縫製を行うことにより、天秤による布地の引き上げを抑止することが可能である。すなわち、中押さえ110は、布保持部が保持する被縫製物の直上位置で停止可能である。
なお、被縫製物に対する中押さえ110の直上位置とは、図21に示すように、布保持部に保持された被縫製物(布)上面C1と、中押さえ110下端面(挿通部113の下端面113a)との間に、所定量の隙間Sがあることが望ましい。この隙間Sは、例えば0.1mm以上〜1.0mm以下でも好ましく、0.2mm以上〜0.8mm以下であればより好ましい。また、被縫製物に対する中押さえ110の直上位置とは、布保持部に保持された被縫製物(布)上面C1と、中押さえ110下端面(挿通部113の下端面113a)との間に隙間Sが無く、被縫製物上面C1と中押さえ110下端面とが接する程度でも良く、中押さえ110下端面が被縫製物上面C1を軽く押圧する状態でも良い。この軽く押圧する状態で、被縫製物の移動や、縫い目形成に問題が無ければよい。
[中押さえ]
図20は中押さえ110の斜視図、図21は一部を切り欠いた正面図である。図示のように、中押さえ110は、その上部に位置し、中押さえ棒121の下端部が嵌合する溝が形成された装着部111と、当該装着部111から針棒12側に屈曲した屈曲部112と、屈曲部112の下端部に設けられ、上下動を行う縫い針11が挿通される挿通部113とを備えている。
前述した中押さえ棒121は、針棒12よりも左方に位置しており、中押さえ110は、装着部111が中押さえ棒121の下端部に取り付けられ、屈曲部112が右方に延びている。これにより、挿通部113に対して縫い針11が挿入された状態となっている。
中押さえ110の挿通部113は、上下に貫通した貫通穴を有し、当該貫通穴の上部は面取り部114が形成され、その下には内径が一定の等径部115が形成され、貫通穴の下端部側は挿通部113の底面に至るまで下方に向かって一定の角度で広がるすり鉢状の拡径部116が形成されている。この拡径部116は挿通部113の下端部を含む挿通部113の一部であり、当該拡径部116の形状は挿通部113の底面に至るまで下方に向かって一定の角度で広がるすり鉢状であることから、挿通部113は、「少なくとも下端部については下方に向かって広がる開口形状」であるものと言うことができる。
また、挿通部113は、針棒12に保持された縫い針11の中心線と同心となるように形成されている。すなわち、挿通部113は、縫い針の上下動を許容し、内径が一定の等径部115と、前記等径部に連続して形成され、下方に向かって広がる開口形状の拡径部116と、を有している。なお、「縫い針の上下動を許容」するとは、縫い針11をその周囲に隙間をもって挿入し、その上下動の妨げとならない状態を意味する。
挿通部113の等径部115は、従来からある中押さえに形成された縫い針の挿通穴の内径と同様に、挿入された縫い針11に接触を生じ得ない程度の内径に設定されている。
中押さえ110の挿通部113において拡径部116の上端部から下端部まで拡径する形状としているので、中押さえ110を上下動させずにその下端部を布地Cに最近接した状態で縫製を行った場合でも、図22(A)に示すように、布移動機構80による布送りが行われた時に上糸Uが拡径部116の下端部における内側の縁の角部(以下、内側角部116aとする)に接触せず、天秤が上糸Uを引き上げる際に角部116aとの接触による抵抗が生じないことから良好な引き上げを可能とする。また、中押さえ110の下端部が布地Cに最近接しているので、布地Cが上糸Uに引き上げられることも防止され、下糸Dの過剰な繰り出しも防止され、上糸Uと下糸Dとが共に適宜な糸締まりで縫い目を形成して縫い品質の向上を図ることが可能となっている。なお、中押さえ110は、縫製時に縫い針の上昇や天秤による上糸の引き上げに伴う、(布保持部に保持された)被縫製物の浮き上がりを防止する。
また、図22(B)に示すように、布移動機構80の布地Cの布送り量Pが拡径部116の下端部の内部半径rよりも大きい場合には、布送りが行われた時に上糸Uが拡径部116の内側角部116aに接触するが、拡径部116は内面が傾斜しているので内側角部116aは鈍角となり、天秤が上糸Uを引き上げる際の角部116aとの接触による抵抗は従来の角部が直角となっている中押さえよりも十分に低減され、良好な引き上げを可能とする。また、この場合も、中押さえ110の下端部が布地Cに最近接しているので(直上位置に位置している)、下糸Dの過剰な繰り出しも防止され、上糸Uと下糸Dとが共に適宜な糸締まりで縫い目を形成して縫い品質の向上を図ることが可能となっている。
なお、このことからわかるように、拡径部116の内部半径rは、布移動機構80に対して設定可能な最大の布送り量P以上「布送り量P+1mm」以下の大きさとすることが望ましい。
また、布移動機構80において、X軸方向の最大送り量XmaxとY軸方向の最大送り量Ymaxとが別々に定められている場合には、それらを合成した送り量を布移動機構80の最大送り量とする。つまり、拡径部116の下端部の内部半径rは、次式のように、最大送り量XmaxとY軸方向の最大送り量Ymaxとを合成した値以上であって「合成した値+1mm」以下の大きさに設定することが望ましい。
r≧(Xmax2+Ymax21/2
なお、拡径部116の下端部の内部半径rは例えば3[mm]以上13[mm]以下とすると良い。この数値設定における下限値は通常の布移動量2[mm]に対応する数値であり、上限値はミシンの設定できる最大の布送り量Pである12.5[mm]に対応する数値である。これにより、縫い品質の向上を図ることが可能である。
[ミシンの制御系:制御装置]
図23はミシン100の制御系を示したブロック図である。ミシン100は、上述した各部、各部材の動作を制御するための制御部としての制御装置90を備えている。そして、制御装置90は、縫製における動作制御を行うためのプログラムが格納されたROM92と、演算処理の作業領域地となるRAM93と、縫製データを記憶する記憶手段としての不揮発性のデータメモリ94と、ROM92内のプログラムを実行するCPU91とを備えている。
また、CPU91は、ミシンモータ駆動回路21a、X軸モータ駆動回路83a、Y軸モータ駆動回路84a、糸寄せ用モータ駆動回路52a、針棒回動モータ駆動回路34a、高さ調節モータ駆動回路131a、糸調子ソレノイド駆動回路71bを介して、ミシンモータ21、X軸モータ83、Y軸モータ84、糸寄せ用モータ52、針棒回動モータ34、高さ調節モータ131及び糸調子ソレノイド71のそれぞれに接続され、各モータ21,83,84,52,34,131及び糸調子ソレノイド71の駆動を制御する。
また、ミシンモータ21は、図示しないエンコーダを備えており、その検出角度がCPU91に出力される。また、上記各モータ83,84,52,34はステッピングモータであり、これらの図示しない原点検索手段がCPU91に接続され、その出力からCPU91は各モータの原点位置を認識することができる。
データメモリ94に格納されている縫製データには、所定の縫製パターンを縫製するための一針ごとのX軸モータ83及びY軸モータ84の動作量が順番に記憶されており、CPU91は、縫製の際には、一針ごとにX軸モータ83及びY軸モータ84の動作量を読み込むと共に当該各動作量に応じてX軸モータ83及びY軸モータ84を駆動する動作制御を行う。すなわち、制御装置(制御部)90は、所定の縫製パターンを形成するための一針ごとの針落ち位置又は被縫製物の移動量を定めた縫製データに基づいて布移動機構80を制御する。
また、制御装置90には、各種の設定入力を行うための入力装置95が併設されている。かかる入力装置95により、上記縫製パターンの設定入力を行ったり、中押さえ上下動機構120による中押さえ110の高さの設定入力が可能となっている。
[ヒッチステッチの発生要因]
上記CPU91は、上記縫製データに基づく縫製制御の実行に伴い、ヒッチステッチ回避制御を実行する。
布移動機構80により布を縫製データに応じて毎針ごとに任意の方向に移動する場合、その布送り方向、つまり縫目形成方向に応じて、縫い針11が布に刺さるときに縫い針11の目孔11aを通った上糸Uが縫い針11に絡む絡み方向が、図24(A)に示す左巻き方向となる場合と図24(B)に示す右巻き方向になる場合とがあり、これらの内のいずれになるかによって、パーフェクトステッチとなるかヒッチステッチとなるかが決定する。
また、図25(A)は釜13のボビンケースの角の部分から針板14の針穴15に下糸Dが渡っている状態を示す平面図であり、図25(B)はその正面図を示しているが、図示のように、下糸Dの経路に対し、縫い針11が左側Lと右側Rの何れに針落ちするかによっても、パーフェクトステッチになるかヒッチステッチになるかが決定する。
次に、本実施形態のミシン100のような半回転釜を用いる場合において、布の移動方向とヒッチステッチの発生要因との関係を図26により説明する。図26では針穴15を中心として布移動機構80が布を送る方向又は角度に応じていずれの範囲について、ヒッチステッチが生じるか、また、その要因は前述したいずれに該当するのかを示している。
まず、Aの送り方向の角度範囲は、下糸Dがボビンから針穴15に向かう方向にほぼ一致するため、針穴15を通る下糸に対し、縫い針11が右側に落ちるか左側に落ちるかが不確定な領域で、パーフェクトステッチとヒッチステッチのいずれも発生し得る領域である。一方、この領域は、その送り方向により、縫い針11に対する上糸の絡み方向は一定なため、この要因には影響されない。
次に、Bの送り方向の角度範囲は、送りの方向が下糸経路に対し、縫い針11が落ちる側が確実に左側となり、且つ、この領域はその送り方向により縫い針11に対する上糸の絡み方向は右側になるため、確実にヒッチステッチになる領域である。
次に、Cの送り方向の範囲は、送りの方向が下糸経路に対し、縫い針11が落ちる側が確実に左側となるが、縫い針11に対する上糸の絡み方向が不確定なため、パーフェクトステッチとヒッチステッチのいずれも発生し得る領域である。
残りのDの送り方向の範囲は、送りの方向が下糸経路に対し、縫い針11が落ちる側が確実に右側となり、縫い針11に対する上糸の絡み方向は左側になるため、確実にパーフェクトになる領域である。
[制御装置:ヒッチステッチ回避制御]
このように、ミシン100では、二つの要因が絡んでパーフェクトステッチとヒッチステッチのいずれになるかが決定し、また、それぞれの要因が不確定となる領域については縫い目の種類も不確定となる傾向を示す。
従って、ミシン100では、布移動機構80による送り方向の範囲を前述したA〜Dの四つに区分し、各区分の角度範囲をデータメモリ94に登録する。さらに、図27に示すように、A〜Dの各区分に応じて、糸寄せ機構50による糸寄せと針棒回動機構30による針棒回動のいずれを実行すべきかを記憶したテーブルデータをデータメモリに登録している。
そして、制御装置90は、縫製実行時において、以下のヒッチステッチ回避制御を実行する。即ち、所定の縫製パターンの縫製を行うために一針分のX軸モータ83及びY軸モータ84の動作量を縫製データから読み込むと、X軸方向とY軸方向の移動量から布の移動方向がA〜Dのいずれの区分に属するかを判定する。そして、判定した区分に応じてテーブルデータから、糸寄せと針棒回動のいずれを実行すべきかを特定し、それぞれの実行タイミングに応じた上軸角度で各々の動作を実行するように糸寄せ機構50の糸寄せ用モータ52又は針棒回動機構30の針棒回動モータ34を制御する。
制御部としての制御装置90は、縫製データに定められた針落ち位置又は被縫製物の移動量から、布移動機構80による各針落の際の被縫製物の移動方向を算出して、布の移動方向がA〜Dのいずれの区分に属するかを判定する。
そして、移動方向が予め定められた第一の角度範囲であるA又はBの場合には糸寄せ機構50による糸寄せを実行し、第二の角度範囲であるCの場合には針棒回動機構30による針棒の回動を実行し、第三の角度範囲であるDの場合には糸寄せ機構50による糸寄せと針棒回動機構30による針棒の回動を実行しない。
なお、制御部としての制御装置90は、縫製データに定められた針落ち位置又は被縫製物の移動量から、布移動機構80による各針落の際の被縫製物の移動方向を算出している。これに代えて、予め縫製データに第一の角度範囲、第二の角度範囲、第三の角度範囲であるとの角度範囲データを設定し、それらのデータに基づいて、制御装置90が針棒の回動や糸寄せの実行の有無を制御することも容易に考えられる。
すなわち、制御部としての制御装置90は、布移動機構80による各針落ちごとの被縫製物の移動方向が予め定められた第一の角度範囲であるA又はBの場合には糸寄せ機構50による糸寄せを実行し、移動方向が予め定められた第二の角度範囲であるCの場合には針棒回動機構30による針棒の回動を実行する。
なお、ヒッチステッチ回避制御における針棒の回動動作は、縫い針11による針刺さり角度に達するまでに縫い針11の向きが必要な角度だけ回動していることが要求される。従って、針棒回動機構30の針棒回動モータ34は、少なくとも、針刺さり角度に到達するタイミングよりも、針棒カム部材35の不動区間352又は353の基準の待機位置から動作区間354の丁度中間位置に到達するまでの所要時間分だけ前から駆動を開始するよう制御される。
なお、上軸角度は、ミシンモータ21に設けられたエンコーダの出力により得ることができる。
また、ヒッチステッチ回避制御における糸寄せを実行するタイミングは、針刺さり角度までに糸寄せ部材51の往路の回動が完了していることが望ましい。従って、糸寄せ機構50の糸寄せ用モータ52は、少なくとも、針刺さり角度に到達するタイミングよりも、糸寄せカム部材53の不動区間532の待機位置から不動区間533の停止位置に到達するまでの所要時間分だけ前から駆動を開始するよう制御される。
また、糸寄せ部材51の復路の回動は、上糸が釜により針心から最も遠ざかる上軸角度270°となる上糸開き角度で糸寄せ部材51の往路の回動が行われることが望ましい。従って、糸寄せ機構50の糸寄せ用モータ52は、糸寄せカム部材53の不動区間533から動作区間534に移行するタイミングと上糸開き角度とが一致するように駆動を開始するよう制御される。
糸寄せ部材51の回動動作は、往路復路共に短いタイミングでの動作が要求されるが、糸寄せ用モータ52は、不動区間532又は533で助走してから高速状態で動作区間534に至るため、糸寄せ部材51を高速で回動させることができ、短いタイミングでの動作の要求に十分に対応することが可能である。
[糸締まりの改善縫製]
中押さえ110は、通常、針棒12と同周期で上下動を行い、これにより、布地Cに刺さった縫い針11が上昇する際に布地Cを引き上げて上糸ループの捕捉ミスや下糸Dの締まりの悪化の発生を防止し、適正な縫いを可能とする。しかし、上糸U又は下糸Dの太さが被縫製物である布地Cの布質によっては、中押さえ110が上昇中であって天秤が上糸Uを引き上げたときに、布地Cを引っ張り上げてしまうことがあり、これにより糸締まりの悪化が生じる。
そのような場合には、中押さえ上下動機構120の駆動腕123の腕部123aに形成された長穴123bに沿って駆動リンク124の一端部の連結位置を駆動軸122の中心となるように位置調節を行い、締結ボルト124aにて固定する。これにより、まず、中押さえ110の上下動の振幅が0となり、縫製中でも中押さえ110は上下動を行わずに停止状態となる。
さらに、入力装置95から中押さえ110の高さの設定入力を行うと、制御部90は高さ調節モータ131を駆動して、中押さえ110の下端部が布地Cの上面に最近接する高さに設定する。
これらにより、中押さえ110はその下端部が、布地に最近接した状態で停止したまま縫製が行われる。
その結果、天秤による上糸Uの引き上げの際には布地Cの上昇が中押さえ110により抑えられる。また、上糸Uの引き上げの際に、中押さえ110の拡径部116の内側角部116aに上糸Uが接触しても鈍角であるために抵抗が低減されて良好に引き上げが行われ、上糸Uと下糸Dの双方が適度に締め付けられて糸締まりの良い縫製が行われる。
また、上糸Uの引き上げの際に、中押さえ110の拡径部116の内側角部116aに上糸Uが接触しない場合にはさらに上糸引き上げ時の抵抗が低減されて良好に引き上げが行われ、上糸Uと下糸Dの双方が適度に締め付けられて糸締まりの良い縫製が行われる。
[実施形態の効果]
以上のように、ミシン100では、毎針の縫い方向を求め、縫い方向に応じて選択的に糸寄せ或いは針棒回動動作を実行する。このため、ヒッチステッチの発生原因が、下糸に対する針落ち位置を要因として発生するヒッチステッチのみならず、縫い針11に対する上糸の絡み方向によるヒッチステッチをも防止することができ、ヒッチステッチの発生をより効果的に低減することが可能となる。また、複数の要因に対処することから、垂直釜、水平釜、全回転釜、半回転釜など多種多様の釜を使用する場合でもヒッチステッチの発生防止することが可能となる。
さらに、ミシン100では、中押さえ110を保持枠81に保持された布地Cの直上位置に配置した状態で縫製を行うことにより、天秤による上糸引き上げ時に布地Cの上昇による下糸の過剰な繰り出しを防止することが可能である。
また、中押さえ110の挿通部113の拡径部116が下方に広がるすり鉢状であるため、内側角部116aが鈍角となり、縫い針11から布地Cに渡る上糸が内側角部116aに接触した場合でも、上糸Uの引き上げに対する抵抗を低減することができ、良好な糸締まりを実現できる。
また、挿通部113の下端部側、即ち、拡径部116を下方に広がるすり鉢状としたので拡径部116の下端部の内部半径rを拡大することができ、当該内部半径rよりも布地Cの移動量が小さければ、内側角部116aに対する上糸Uの接触を回避することができ、上糸の引き上げに対する抵抗のさらなる低減が可能である。
従って、これらにより、下糸Dの過剰な繰り出しも上糸Uの引き上げの際の抵抗も抑えることが可能となり、適切な糸締まりで縫い目を形成することができ、縫い品質の公報を図ることが可能となる。
[中押さえの他の例(1)]
図28に中押さえの他の例を示す。この中押さえ110Aは、中押さえ110と同様に装着部111と屈曲部112とを備え、屈曲部112の下部に縫い針11を挿通する挿通部113Aを備えている。
そして、挿通部113Aは、縫い針11の中心線に同心となる正円の円筒状に形成され、その内部には半径rが上下方向全長に渡って一定となる円形貫通穴が形成されている。
また、内部半径rは、布移動機構80に対して設定可能な最大の布送り量P以上「布送り量P+1mm」以下の大きさに設定されている。
中押さえ110Aを上記構造とした場合、挿通部113Aの下端部の内側角部は直角となるが、その内部半径rは布移動機構80の設定可能な最大の布送り量P以上の大きさなので、縫い針11から布地Cに渡る上糸Uと接触することがなく、これにより、布地Cの引き上げと上糸Uが挿通部113Aの下端角部に接触することによる引き上げの抵抗の発生とを防止することができ、中押さえ110と同様に縫い品質の向上を図ることが可能である。
また、中押さえ110Aの場合も、挿通部113Aの下端部の内部半径rを3[mm]以上13[mm]以下とすると良い。この数値設定の上限値は、通常の布移動量2[mm]に対応する数値であり、下限値は、ミシンの設定できる最大の布送り量Pである12.5[mm]に対応する数値である。これにより、縫い品質の向上を図ることが可能である。
また、この中押さえ110Aは、構造が中押さえ110よりも簡単であるため製造が容易であるため製造コストの低減図ることができるという利点がある。
ただし、この中押さえ110Aと比較すると前述の中押さえ110の方が針棒回動機構を備えるミシンには好適である。
図29において、中押さえ110Aの挿通部113Aを実線で表し、中押さえ110の挿通部113を二点差線で示す。ここに図示した挿通部113はその下端部の内径が挿通部113Aと等しいものとする。
図示のように、縫い針11から布地Cに渡る上糸Uは、中押さえ110Aの場合には縫い針11から布地Cに向かって挿通部113Aの内側に接触することなく、その場合の縫い針11の中心線に対する上糸Uの傾斜角度をα1とする。
一方、二点差線で図示した中押さえ110の挿通部113の場合には、その拡径部116の上端部が下端部より小径なので、縫い針11から下ろされた上糸Uは拡径部116の上端部に接触してから布地Cに至る経路を通る。従って、中押さえ110の場合の縫い針11に対する上糸Uの傾斜角度α2は中押さえ110Aの傾斜角度α1よりも小さくなる(α2>α1)。
前述したように、針棒回動機構30は、ヒッチステッチの発生を防ぎ、パーフェクトステッチで縫い目を形成するために、縫い針11から布地Cに至る上糸Uが縫い針11に対して左巻き(又は右巻き)の状態から右巻き(又は左巻き)の状態に切り替えるために針棒12を回動させるものである。
このため、例えば、図30に示すように、縫い針11に対して上糸が例えば左巻きの状態にある場合、針棒12を右回転させて上糸Uを右巻きに変える動作が行われるが、上糸Uが左巻きから右巻きに変化する際には、矢印kに示すように、縫い針11から垂れる上糸Uが縫い針11の下端部を超えて移動させる必要がある。
その場合、縫い針11に対する上糸Uの傾斜角度αが大きいと、上糸Uが縫い針11の先端を通過することができず、ヒッチステッチを解消することができない場合が生じる。従って、縫い針11に対する上糸Uの傾斜角度αが小さくなる中押さえ110の方が中押さえ110Aよりも好適といえる。
従って、この中押さえ110Aは針棒回動を行わないミシンに搭載することが望ましい。
[中押さえの他の例(2)]
図31に中押さえのさらに他の例を示す。この中押さえ110Bは、中押さえ110と同様に、装着部111と屈曲部112とを備え、屈曲部112の下部に縫い針11を挿通する挿通部113Bを備えている。
そして、この挿通部113Aは、中押さえ110と同様に、面取り部114及び等径部115を備え、等径部115の下側には、金属ワイヤを螺旋状に巻いて略すり鉢状に形成した拡径部116Bが設けられている。このように、拡径部116Bは、金属その他の固形のブロックに貫通穴を形成することにより製造することに限られず、内部がすり鉢状となる線材を骨子として形成してもよい。
また、前述した中押さえ110Aのように全体に内径が等しい挿通部113Aについても、この中押さえ110Bの拡径部116Bのように、線材を骨子として形成してもよい。
かかる構造とした中押さえ110Bも、中押さえ110とほぼ同様に機能し、同等の効果を得ることが可能である。
[その他]
なお、上記ミシン100の中押さえ上下動機構120を除去し、中押さえ110を上下動しないように固定支持する構造としても良い。その場合、中押さえ110の下端部が保持枠81の保持された布地Cの上面に最近接する高さに固定することが望ましい。
すなわち、中押さえは、布保持部が保持する被縫製物の直上位置で固定保持されている。
また、前述した他の中押さえ110A,110Bも同様に固定装備してもよい。
また、これら中押さえ110,110A,110Bは、いずれも針棒回動機構30及び糸寄せ機構40を搭載しないミシンにも適用可能である。
11 縫い針
12 針棒
13 釜
20 針上下動機構
21 ミシンモータ
22 上軸
30 針棒回動機構
50 糸寄せ機構
52 糸寄せ用モータ
80 布移動機構(移動機構)
81 保持枠(布保持部)
90 制御装置
100 ミシン
110 中押さえ
113,113A,113B 挿通部
116,116B 拡径部
116a 内側角部
120 中押さえ上下動機構
123 駆動腕
123a 腕部
123b 長穴
124a 締結ボルト
127 第一の伝達リンク
128 第二の伝達リンク
129 角コマ
130 ガイド板
130a ガイド溝
131 高さ調節モータ
132 出力腕
133 連結リンク
C 布地
D 下糸
U 上糸
r 内部半径

Claims (8)

  1. 縫い針を保持して上下動を行う針棒と、
    回動動作により上糸を下糸に絡める釜と、
    前記針棒の上下動と前記釜の回動動作の駆動源となるミシンモータと、
    布保持部により被縫製物を水平面に沿って任意の移動方向に移動させて任意の位置に針落ちを行わせる移動機構と、
    所定の縫製パターンを形成するための一針ごとの針落ち位置又は前記被縫製物の移動量を定めた縫製データに基づいて前記移動機構を制御する制御部と、
    前記縫い針を挿通する挿通部を備えると共に前記布保持部に保持された被縫製物の浮き上がりを防止する中押さえとを備えるミシンにおいて、
    前記中押さえは、前記布保持部が保持する被縫製物の直上位置で固定保持又は停止可能であって、前記挿通部の少なくとも下端部については下方に向かって広がる開口形状としたことを特徴とするミシン。
  2. 前記挿通部は、
    縫い針の上下動を許容し、内径が一定の等径部と、
    前記等径部に連続して形成され、下方に向かって広がる開口形状の拡径部と、を有することを特徴とする請求項1記載のミシン。
  3. 前記挿通部の下端部の内径が前記縫い針の中心線から前記移動機構における一針での最大送り量以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のミシン。
  4. 前記挿通部の下端部の内部半径が前記縫い針の中心線から3[mm]以上13[mm]以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のミシン。
  5. 縫い針を保持して上下動を行う針棒と、
    回動動作により上糸を下糸に絡める釜と、
    前記針棒の上下動と前記釜の回動動作の駆動源となるミシンモータと、
    布保持部により被縫製物を水平面に沿って任意の移動方向に移動させて任意の位置に針落ちを行わせる移動機構と、
    所定の縫製パターンを形成するための一針ごとの針落ち位置又は前記被縫製物の移動量を定めた縫製データに基づいて前記移動機構を制御する制御部と、
    前記縫い針を挿通する挿通穴を備えると共に前記布保持部に保持された被縫製物の浮き上がりを防止する中押さえとを備えるミシンにおいて、
    前記中押さえは、前記布保持部が保持する被縫製物の直上位置で固定保持又は停止可能であって、
    前記挿通部は、前記縫い針の中心線からの内部半径が上下方向に沿って一定である貫通穴を有し、当該内部半径は前記移動機構における一針での最大送り量以上であることを特徴とするミシン。
  6. 縫い針を保持して上下動を行う針棒と、
    回動動作により上糸を下糸に絡める釜と、
    前記針棒の上下動の駆動源となるミシンモータと、
    布保持部により被縫製物を水平面に沿って任意の移動方向に移動させて任意の位置に針落ちを行わせる移動機構と、
    所定の縫製パターンを形成するための一針ごとの針落ち位置又は前記被縫製物の移動量を定めた縫製データに基づいて前記移動機構を制御する制御部と、
    前記縫い針を挿通する挿通穴を備えると共に前記布保持部に保持された被縫製物の浮き上がりを防止する中押さえとを備えるミシンにおいて、
    前記中押さえは、前記布保持部が保持する被縫製物の直上位置で固定保持又は停止可能であって、
    前記挿通部は、前記縫い針の中心線からの内部半径が上下方向に沿って一定である貫通穴を有し、当該内部半径が3[mm]以上13[mm]以下であることを特徴とするミシン。
  7. 前記中押さえを前記針棒と同周期で上下動させる中押さえ上下動機構を備え、
    前記中押さえ上下動機構は、前記中押さえの高さを調節する高さ調節部と上下動の振幅を調節する振幅調節部とを有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のミシン。
  8. 前記針棒を上下動軸心周りに回動させる針棒回動機構と、
    針板の下側で糸寄せ部材により下糸の糸寄せを行う糸寄せ機構とを備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のミシン。
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