JP2007029629A - 玉縁縫いミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】コーナーメスのメンテナンスや針板上の清掃を行う際に、ローラスタッカが作業の邪魔にならないようにする。
【解決手段】玉縁縫いミシン1において、ローラスタッカ装置7は、大押さえ装置4上方に支持される土台部71と、上端部が土台部71に連結され、下端部がローラ74,74を回転可能に軸支するとともにローラ74,74上方の中間部にモータ76を保持するモータ土台72とを有し、土台部71とモータ土台72とは、布送り方向Fに沿う回転軸73により連結され、モータ土台72は、ローラ74,74がローラスタッカ装置7の手前側となる下降位置からモータ土台72、モータ76及びローラ74,74の重心が回動軸73の軸心を通る垂線を横切った奥側となる退避位置に位置するまで土台部71に対して回動するように回動軸73により軸支されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ローラスタッカ装置を備える玉縁縫いミシンに関する。
玉縁縫いミシンは、例えば、衣服の身生地に玉縁布を縫着すると共に身生地と玉縁布に所定の切れ目を形成して、ポケットを形成するのに好適なミシンである。
すなわち、玉縁縫いミシンにおける縫製では、ミシンテーブル上面において、身生地とその上に玉縁布とを重ねて配置し、その上から底板部とその上面に垂直に立設された立板部とからなる断面逆T字状であるバインダーを載置する。さらに、玉縁布の両端部をそれぞれバインダーの底板部の上面から立板部の各平面に沿わせるように折り返した状態で保持し、送り機構で所定方向に各布地を送りつつ、バインダーの立板部の両側で二本針により縫製を行う。そして、かかる縫製時には、縫い針の上下動に同期してセンターメスを上下動させてポケットの開口部を形成するための直線状のセンター切れ目を形成し、その後、ミシンテーブルの下方でV字状に配置されたコーナーメスの上下動により当該センター切れ目の両端部側に連続するように二又に枝分かれする略V字状のコーナー切れ目を形成して縫製が行われていた。そして、縫製終了後に玉縁布をセンター切れ目内に通すようにして1回転返すことにより、ポケットが形成される。
各切れ目が形成され、縫製が終了した身生地と玉縁布(以下、縫製物という)は、ミシン本体の近傍に設けられたスタッカ装置により、例えば、縫製物の送り方向に対して直角方向に搬送され、載置台に積み重ねられ、次の縫製物がミシンテーブル上に搬送されてくる(例えば、特許文献1参照。)。
スタッカ装置における載置台への縫製物の搬送方式は複数あり、例えば、ミシンテーブル上の縫製物をミシンテーブルとローラで挟み込み、ローラを回転させることによって搬送するローラスタッカがある。ローラスタッカは、一端がミシンテーブル上に設けられた支持梁に取り付けられ、他端が下方のミシンテーブル上に接近するように延びて配置され、先端にローラが設けられている。また、ローラスタッカの所定位置を回動支点として回動させることにより、ローラがミシンテーブルとで縫製物を挟む位置と開放する位置との間で移動するようになっている。
特開2001−327778号公報
ところで、縫製を行っていないときには、ローラスタッカはミシンテーブルから離れた位置に退避させる。この場合、ローラスタッカはミシンテーブルに接触しない位置に退避させればよいので、ローラスタッカはそれ程上方に退避させる必要はない。
しかし、ミシンテーブルの下方にはコーナーメスがあるため、コーナーメスのメンテナンスやミシンテーブル上の清掃を行う際に、ローラスタッカが作業の邪魔になるという問題があった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、コーナーメスのメンテナンスやミシンテーブル上の清掃を行う際に、ローラスタッカが作業の邪魔にならないようにすることができる玉縁縫いミシンを提供することを目的とする。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、下端に2本の縫い針を保持して上下動される針棒を有するミシン本体と、ミシンテーブル上に載置される身生地の上に重ねて配置される玉縁布を逆T字状に保持して前記縫い針の近傍に案内するバインダーと、前記身生地及び玉縁布を押圧保持する大押さえを有し、前記2本の縫い針の上下動により平行な2本の縫い目が形成される布送り方向に前記身生地及び前記玉縁布を前記ミシンテーブル上で移送する大押さえ装置と、前記針棒の近傍に配置され、縫製された被縫製物が前記大押さえ装置により送られる際に前記2本の縫い目の間に直線状の直線切れ目を形成するセンターメス機構と、前記直線切れ目の長手方向外側に前記直線切れ目に連続する略V字状のV字切れ目を形成するコーナーメス機構と、前記ミシン本体、前記センターメス機構及び前記コーナーメス機構による縫製処理中は上昇位置にあり、縫製処理終了後に下降位置に下降して縫製処理後の被縫製物を前記ミシンテーブル上に沿って布送り方向との直交方向に搬送して前記ミシンテーブルより排出するローラと、該ローラを回転駆動させるモータと、前記ローラを縫製処理前後で上昇下降させる上下動手段と、を有するローラスタッカ装置と、を備える玉縁縫いミシンにおいて、前記ローラスタッカ装置は、前記大押さえ装置上方に支持される土台部と、上端部が前記土台部に連結され、下端部が前記ローラを回転可能に軸支するとともに前記ローラ上方の中間部に前記モータを保持するモータ土台とを有し、前記土台部と前記モータ土台とは、前記布送り方向に沿う回転軸により連結され、前記モータ土台は、前記ローラが前記ローラスタッカ装置の手前側となる前記下降位置から前記モータ土台、前記モータ及び前記ローラの重心が前記回動軸の軸心を通る垂線を横切った奥側となる退避位置に位置するまで前記土台に対して回動するように前記回動軸により軸支されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、ローラスタッカ装置は、縫製処理中においては、上下動手段がローラを下降させ、モータがローラを回転駆動させることにより縫製処理後の被縫製物をミシンテーブルより排出する。一方、ローラスタッカ装置は、縫製処理後においては、上下動手段がローラを上昇させ、モータを停止することでローラの回転駆動を停止させる。
ここで、モータ土台は、ローラがローラスタッカ装置の手前側となる下降位置からモータ土台、モータ及びローラの重心が回動軸の軸心を通る垂線を横切った奥側となる退避位置に位置するまで土台に対して回動するように回動軸により軸支されているので、モータ土台を退避位置まで移動させると、モータ土台が占めていた空間が開放され、縫製後のメンテナンス等の作業スペースが増大する。
よって、コーナーメスのメンテナンスやミシンテーブル上の清掃を行う際に、ローラスタッカが作業の邪魔にならないようにすることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の玉縁縫いミシンにおいて、前記上下動手段は、前記土台部に支持される駆動手段と、前記駆動手段により駆動される被駆動部材と、前記モータ土台上端部近傍に設けられ、前記被駆動部材と係合して前記モータ土台を前記回動軸を中心に回動させることにより前記ローラを上昇下降させることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、駆動手段を駆動させることにより、駆動手段が被駆動部材と係合してモータ土台を回動軸を中心に回動させることができる。そして、モータ土台が回動軸を中心に回動することにより、ローラを上昇下降させることができる。
よって、駆動手段を駆動させるだけの簡単な構造でローラの昇降下降を行うことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の玉縁縫いミシンにおいて、前記土台部は、前記退避位置まで回動した前記モータ土台を保持する弾性保持部材を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、土台部に設けられた弾性保持部材は、退避位置まで回動したモータ土台をその弾性力で保持することができる。
よって、振動等の外的要因によりモータ土台が元の位置に戻ろうとしても弾性保持部材により保持することができるので、モータ土台を退避位置で保持させておくことができ、ユーザはミシンテーブル付近の作業に集中することができる。
請求項1に記載の発明によれば、モータ土台は、ローラがローラスタッカ装置の手前側となる下降位置からモータ土台、モータ及びローラの重心が回動軸の軸心を通る垂線を横切った奥側となる退避位置に位置するまで土台に対して回動するように回動軸により軸支されているので、モータ土台を退避位置まで移動させると、モータ土台が占めていた空間が開放され、縫製後のメンテナンス等の作業スペースが増大する。
よって、コーナーメスのメンテナンスやミシンテーブル上の清掃を行う際に、ローラスタッカが作業の邪魔にならないようにすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、駆動手段を駆動させるだけの簡単な構造でローラの昇降下降を行うことができる。
請求項3に記載の発明によれば、振動等の外的要因によりモータ土台が元の位置に戻ろうとしても弾性保持部材により保持することができるので、モータ土台を退避位置で保持させておくことができ、ユーザはミシンテーブル付近の作業に集中することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る玉縁縫いミシンの最良の形態について詳細に説明する。
<玉縁縫いミシンの構成>
図1又は図2に示すように、玉縁縫いミシン1(以下、ミシン1という)は、下端に2本の縫い針21,21を保持して上下動される針棒を有し、身生地及び玉縁布に縫製を施すミシンであり、ミシン本体2と、縫製の作業台となるミシンテーブル23上に載置される身生地の上に重ねて配置される玉縁布を逆T字状に保持して縫い針の近傍に案内するバインダー3と、身生地及び玉縁布を押圧保持する大押さえ41,41を有し、2本の縫い針21,21の上下動により平行な2本の縫い目が形成される布送り方向Fに身生地及び玉縁布をミシンテーブル23上で移送する大押さえ装置4と、針棒の近傍に配置され、縫製された被縫製物が大押さえ装置4により送られる際に2本の縫い目の間に直線状の直線切れ目を形成するセンターメス機構5と、直線切れ目の長手方向外側に直線切れ目に連続する略V字状のV字切れ目を形成するコーナーメス機構6と、縫製終了後の身生地及び玉縁布を布排出方向Gに搬送するローラスタッカ装置7と、を備えている。
(ミシンテーブル及びミシンフレーム)
図2に示すように、ミシンテーブル23はその上面がX−Y平面に平行であって、水平な状態で使用される。このミシンテーブル23の上面は布送り方向F(X軸方向)に沿って長い長方形状に形成されている。このミシンテーブル23上にバインダー3と大押さえ装置4が配置され、ミシンテーブル23の下側にコーナーメス機構6が配置されている。
また、ミシンテーブル23における二つの縫い針21,21の下方には針板24が設けられている。この針板24には縫い針21,21の各々に対応する針穴が形成されており、各針穴の下側には図示しない水平釜がそれぞれ設けられている。つまり、各縫い針21,21のそれぞれに挿通された縫い糸は、それぞれ針板24の下側で対応する各水平釜に捕捉され、水平釜から繰り出される下糸に絡げられて縫製が行われるようになっている。
さらに、針板24の二つの針穴のほぼ中間であって布送り方向Fの下流側にはセンターメス51が挿入されるスリットが形成され、センターメス51との協働により布地を切断する図示しない固定メスが配置されている。
ミシン本体2は、ミシンテーブル23の長手方向中間位置のすぐ脇に配置されたベッド部26と、ベッド部26から立設された縦胴部27と縦胴部27の上端部からY軸方向に沿って延設されたアーム部28とからなり、アーム部28内に縫い針21,21の上下駆動機構とセンターメス機構5の主要構成が格納されている。また、アーム部28の先端側の下端部から縫い針21,21とセンターメス51とが垂下支持されている。
(バインダー)
図2に示すように、バインダー3は、長尺状平板である底板部31と、底板部31の長手方向に沿ってその上面に垂直に立設された立板部32と、立板部32の布送り方向Fの下流側端部に、センターメス51を回避して玉縁布を案内する案内部材33と、を備えている。
また、バインダー3は、エアシリンダを備える図示しない支持機構に支持されており、非使用時には図1に示すように縫い針21,21の針下の位置から離れて待避されている。そして、使用時には、エアシリンダの駆動により針板位置にセットされるようになっている。
底板部31は、長方形状に形成され、使用時において、その長手方向がX軸方向に平行になるように且つ、その底面がミシンテーブル23の上面に正対して載置されるように支持されている。
立板部32は、案内部材33の近傍の部分を除いてその全体が長方形状の平板であり、底板部31の上面において、当該底板部31の幅方向(Y軸方向)の中間位置に、底板部31と長手方向を揃えた状態で、垂直に立設されている。すなわち、バインダー3は、底板部31と立板部32とがその長手方向から見て逆さのT字状となるように一体形成されている。
そして、玉縁布は、針板24上において身生地の上側に重ねてセットされると、上方からバインダー3が載置され、玉縁布の幅方向の両端部を折り返して底板部31の幅方向両端部から上方に立ち上げ、さらに、玉縁布の幅方向両端部をそれぞれ立板部32の両側の側面にそれぞれ沿わせるようにして、後述する大押さえ41,41により保持する。すなわち、立板部32の一方の側面から底板部31を介して立板部32の他方の側面まで玉縁布を沿わせた状態とする。このように、バインダー3に玉縁布を巻き付けるようにセットした状態で、玉縁布及び身生地を送りつつ、立板部32の両側で縫い針21,21により縫製を行う。
また、バインダー3の布送り方向Fのすぐ下流側には、立板部32の延長線上にセンターメス51が配置されている。玉縁布の幅方向両端部は、それぞれ立板部32に沿って布送り方向Fの下流側に移動するため、センターメス51により切り裂かれてしまわないように、案内部材33が設けられている。案内部材33は、当該立板部32の布送り方向Fの下流側端部から一体的に形成されると共に、布送り方向Fに向かって二又に分岐して平面視形状が略V字状となるように形成されている。そして、案内部材33は、玉縁布をセンターメス51からより有効にガードするために、センターメス51に対してなるべく近接させて当該センターメス51を両側から覆うように配置されている。かかる形状により、布送りの際に玉縁布の幅方向両端部はそれぞれ立板部32から離間する方向に誘導されて、センターメス51を回避する方向に案内される。
(大押さえ装置)
図2に示すように、大押さえ装置4は、バインダー3にセットされた玉縁布の幅方向両端部のそれぞれを上方から押さえる大押さえ41,41と、これらの大押さえ41,41を支持する支持体42と、支持体42を介して大押さえ41,41を上下に移動させる図示しないエアシリンダと、大押さえ41,41により押さえた玉縁布及び身生地を支持体42を介して布送り方向Fに移動させる図示しない押さえモータとを備えている。
各大押さえ41,41は、それぞれ長方形状の平板であり、それぞれが長手方向をX軸方向に沿わせた状態で支持体42に支持されている。また、各大押さえ41,41はその平板面がX−Y平面に平行となるように支持されている。そして、エアシリンダの駆動により上下の二位置に切替可能であり、上位置の時にはミシンテーブル23の上面から離間し、下位置でミシンテーブル23の上面高さとなる。また、二つの大押さえ41,41は、その間に、少なくともバインダー3の立板部32を通すことができるように離間した状態で支持されている。
支持体42は、ミシンテーブル23上においてX軸方向に沿って移動可能に支持されており、支持する2つの大押さえ41,41が縫い針21,21の上下動経路の両側を通過するように配置されている。また、支持体42は、図示しないボールネジ機構を介して押さえモータに駆動されるようになっている。
(センターメス機構)
図2に示すように、センターメス機構5は、アーム部28内に収容された図示しない駆動機構と、この駆動機構により上下動してミシンテーブル23上の布に直線状の切れ目を入れるセンターメス51と、を備えている。
駆動機構は、駆動源となるメス駆動モータや複数のリンク部材で構成され、メス駆動モータの駆動によりリンク部材を介してセンターメス51を上下動させる。センターメス51は、縫い針21,21の布送り方向Fの下流側に設けられ、その上下動により布に直線状の切れ目を入れることができるようになっている。
(コーナーメス機構)
図2に示すように、コーナーメス機構6は、布送り方向Fに一定の間隔をあけて配置されたコーナーメス61,61と、コーナーメス61,61を上方に向けて駆動させる図示しない駆動機構と、を備えている。
コーナーメス61,61は、その先端側から見た形状が略V字状となるように並べられた一対の三角形状のメスからなり、当該先端部を上方に向けた状態で支持されている。
コーナーメス機構6は、2本の縫い目と、センター切れ目が形成された布が、大押さえ装置4により当該コーナーメス機構6の真上となる位置まで搬送されると、2つのコーナーメス61,61をセンター切れ目の両端部若しくはコーナーメス用切れ目の外側の端部で上下動させることで、2つのV字状のコーナー切れ目を布に形成する。
(ローラスタッカ装置)
図1に示すように、ローラスタッカ装置7は、ミシンテーブル23上に立設された図示しない支持柱に取り付けられており、大押さえ装置4の上方を覆うカバー8上に配置されている。
支持柱には、ローラスタッカ装置7の土台となる土台部71がボルト等により取り付けられている。土台部71は、縫製後の布排出方向G(Y軸方向)に沿って延びるように形成されており、その先端にはローラ74,74を駆動させるモータ76が取り付けられるモータ土台72が当該モータ土台72の回動軸となるピン部材73によって連結されている。ここで、モータ土台72は、ローラ74,74がローラスタッカ装置7の手前側となる下降位置からモータ土台72、モータ76及びローラ74,74の全体の重心がピン部材73の軸心を通る垂線を横切った奥側となる退避位置に位置するまで土台部71に対して回動するようにピン部材73により軸支されている。
モータ土台72は、カバー8に沿って上方から下方に向けて延びるように湾曲形成され、上端はピン部材73によって土台部71に連結され、下端には2つのローラ74,74がローラ保持部75を介して回転自在に設けられている。また、モータ土台72の中間部には、ローラ74,74を回転駆動させるモータ76が取り付けられている。
また、土台部71の下面側には、当該土台部71に支持された駆動手段としてのシリンダ装置77が設けられており、シリンダ装置77内のピストン78がモータ土台72側、換言すれば、縫製終了後の布排出方向Gに出入するようになっている。そして、モータ土台72の上端部近傍には、ピストン78の出入経路上に突出するとともに布送り方向Fに延びる被駆動部材としてのピン部材79が固着されている。
すなわち、ピストン78が布排出方向Gに進出することにより、その移動経路上にあるピン部材79はピストン78に押されて布排出方向Gに移動し、モータ土台72が回転軸部材73を中心に回動するようになっている。この動作により、モータ土台72に取り付けられたローラ74,74はミシンテーブル23に対して上昇することができる。一方、ローラ74,74を下降させる際には、ピストン79を後退させることにより、モータ土台72等を自重で回動させる。従って、シリンダ装置77とピン部材79とによって上下動手段を構成している。
また、土台部71の上面側には、モータ土台72をピン部材73を中心に退避位置(図3参照)まで回動させた際にピン部材79を自身の弾性力で保持し、モータ土台72の回動を阻止する弾性保持部材としてのロックばね70が取り付けられている。
<ローラスタッカ装置の動作>
次に、ローラスタッカ装置7の動作について説明する。
縫製が終了した布を排出する際には、図4に示すように、シリンダ装置77のピストン78を後退させる。ピストン78が後退すると、ピン部材79を支持するものがなくなるため、モータ土台72は自重によりピン部材73を中心に下方(図4における反時計回り方向)に向けて回動し、ローラ74,74は、ミシンテーブル23の上方で布を挟持できる状態となる。この位置をローラスタッカ装置7の下降位置とする。
縫製及び布の排出が終了した際には、図5に示すように、シリンダ装置77のピストン78を進出させる。ピストン78が進出すると、ピン部材79はピストン78に押され、モータ土台72はピン部材73を中心に上方(図4における時計回り方向)に向けて回動する。やがて、ピストン78が所定の量だけ進出すると、ローラ74,74は、ミシンテーブル23の上方から外れ、ミシンテーブル23上にスペースができる。この位置をローラスタッカ装置7の待機位置とする。
縫製及び布の排出が終了し、コーナーメス61等のメンテナンスを行う際には、図6に示すように、ユーザがモータ土台72を上方に持ち上げて下降位置からモータ土台72、モータ76及びローラ74,74の全体の重心がピン部材73の軸心を通る垂線Lを横切った奥側(図6においては破線Lより右側)となる退避位置に位置するまで回動させる。モータ土台72が退避位置まで回動すると、ピン部材79はロックばね70に係合し、ロックばね70の弾性力により保持される。これにより、ローラスタッカ装置7を退避位置まで回動させることで、ミシンテーブル23の上面にはローラスタッカ装置7が待機位置にある場合よりも広大な作業スペースができる。
<作用効果>
実施形態によるミシン1によれば、ローラスタッカ装置7は、縫製処理中においては、シリンダ装置77を開放してローラ74,74を下降させ、モータ76がローラ74,74を回転駆動させることにより縫製処理後の被縫製物をミシンテーブル23より排出する。一方、ローラスタッカ装置7は、縫製処理後においては、シリンダ装置77を駆動させることにより、ローラ74,74を上昇させて待機位置に上昇させ、モータ76を停止することでローラ74,74の回転駆動を停止させる。
ここで、モータ土台72は、ローラ74,74がローラスタッカ装置7の手前側となる下降位置からモータ土台72、モータ76及びローラ74,74の重心がピン部材73の軸心を通る垂線を横切った奥側となる退避位置に位置するまで土台部71に対して回動するようにピン部材73により軸支されているので、モータ土台72を退避位置まで移動させると、モータ土台72が占めていた空間が開放され、縫製後のメンテナンス等の作業スペースが増大する。
よって、コーナーメス61のメンテナンスやミシンテーブル23上の清掃を行う際に、ローラスタッカ装置7が作業の邪魔にならないようにすることができる。
また、シリンダ装置77を駆動させることにより、ピストン78がピン部材79と係合してモータ土台72をピン部材73を中心に回動させることができる。そして、モータ土台72がピン部材73を中心に回動することにより、ローラ74,74を上昇下降させることができる。
よって、シリンダ装置77を駆動させるだけの簡単な構造でローラ74,74の昇降下降を行うことができる。
また、土台部71に設けられたロックばね70は、退避位置まで回動したモータ土台72に固着されたピン部材79をその弾性力で保持することができる。
よって、振動等の外的要因によりモータ土台72が元の位置に戻ろうとしてもロックばね70によりピン部材79を保持することができるので、モータ土台72を退避位置で保持させておくことができ、ユーザはミシンテーブル23付近の作業に集中することができる。
<その他>
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、モータ土台はシリンダ装置により上下動させるものに限らず、モータにより行ってもよい。その他、発明の範囲内で自由に置換、変更等が可能である。
玉縁縫いミシンの外観斜視図である。 ミシン本体、バインダー及び大押さえ装置の概略斜視図である。 モータ土台を退避位置まで上昇させたときの斜視図である。 ローラスタッカ装置の排出位置における姿勢を示す概略側面図である。 ローラスタッカ装置の待機位置における姿勢を示す概略側面図である。 ローラスタッカ装置を退避位置における姿勢を示す概略側面図である。
符号の説明
1 ミシン(玉縁縫いミシン)
2 ミシン本体
3 バインダー
4 大押さえ装置
5 センターメス機構
6 コーナーメス機構
7 ローラスタッカ装置
21 縫い針
23 ミシンテーブル
41 大押さえ
70 ロックばね(弾性保持部材)
71 土台部)
72 モータ土台
73 回転軸部材(回転軸)
74 ローラ
77 シリンダ装置(駆動手段、上下動手段)
79 ピン部材(被駆動部材、上下動手段)
F 布送り方向
G 布排出方向

Claims (3)

  1. 下端に2本の縫い針を保持して上下動される針棒を有するミシン本体と、
    ミシンテーブル上に載置される身生地の上に重ねて配置される玉縁布を逆T字状に保持して前記縫い針の近傍に案内するバインダーと、
    前記身生地及び玉縁布を押圧保持する大押さえを有し、前記2本の縫い針の上下動により平行な2本の縫い目が形成される布送り方向に前記身生地及び前記玉縁布を前記ミシンテーブル上で移送する大押さえ装置と、
    前記針棒の近傍に配置され、縫製された被縫製物が前記大押さえ装置により送られる際に前記2本の縫い目の間に直線状の直線切れ目を形成するセンターメス機構と、
    前記直線切れ目の長手方向外側に前記直線切れ目に連続する略V字状のV字切れ目を形成するコーナーメス機構と、
    前記ミシン本体、前記センターメス機構及び前記コーナーメス機構による縫製処理中は上昇位置にあり、縫製処理終了後に下降位置に下降して縫製処理後の被縫製物を前記ミシンテーブル上に沿って布送り方向との直交方向に搬送して前記ミシンテーブルより排出するローラと、該ローラを回転駆動させるモータと、前記ローラを縫製処理前後で上昇下降させる上下動手段と、を有するローラスタッカ装置と、
    を備える玉縁縫いミシンにおいて、
    前記ローラスタッカ装置は、前記大押さえ装置上方に支持される土台部と、上端部が前記土台部に連結され、下端部が前記ローラを回転可能に軸支するとともに前記ローラ上方の中間部に前記モータを保持するモータ土台とを有し、
    前記土台部と前記モータ土台とは、前記布送り方向に沿う回転軸により連結され、
    前記モータ土台は、前記ローラが前記ローラスタッカ装置の手前側となる前記下降位置から前記モータ土台、前記モータ及び前記ローラの重心が前記回動軸の軸心を通る垂線を横切った奥側となる退避位置に位置するまで前記土台に対して回動するように前記回動軸により軸支されていることを特徴とする玉縁縫いミシン。
  2. 前記上下動手段は、前記土台部に支持される駆動手段と、前記駆動手段により駆動される被駆動部材と、前記モータ土台上端部近傍に設けられ、前記被駆動部材と係合して前記モータ土台を前記回動軸を中心に回動させることにより前記ローラを上昇下降させることを特徴とする請求項1に記載の玉縁縫いミシン。
  3. 前記土台部は、前記退避位置まで回動した前記モータ土台を保持する弾性保持部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の玉縁縫いミシン。
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