JP5312130B2 - ミシンの上糸保持装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ミシンの上糸保持装置に関し、詳しくは、縫い始めに所定針数の針落ちまで上糸の糸端部を保持するミシンの上糸保持装置に関する。
従来、縫い始めの縫い目を確実に形成するなどの理由のために、縫い始めの1針目から所定針数の針落ちまで、上糸の糸端部を針板の裏側で保持するミシンの上糸保持装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この上糸保持装置201は、図19に示すように、主に、平面枠状の糸捕捉部203を有する第1挟持部材202と、糸捕捉部203の両側面にガイドされて当該糸捕捉部203内で前後方向へ移動可能な第2挟持部206を先端部に有する第2挟持部材205と、第2挟持部206が糸捕捉部203内の前方へ移動するように第1挟持部材202及び第2挟持部材205を付勢する付勢ばね207と、第1挟持部材202及び第2挟持部材205を前後方向にそれぞれ移動可能に支持する支持部材208と、図示しない駆動手段からの駆動力により第1挟持部材202及び第2挟持部材205を前後方向に移動させるカム部材209と、を備えている。第1挟持部材202の糸捕捉部203の内面のうち第2挟持部206に対向する前方の面は第1挟持部204となっており、第2挟持部206との間で上糸を挟持する。また、第2挟持部206は、上糸を挟持するときに第1挟持部204に倣えるよう揺動可能に設けられており、加工誤差や組立誤差により第1挟持部204と第2挟持部206との互いの当接面の平行度が不十分な場合でも、これらの当接面が密接し、上糸の細さや挟持位置によらず上糸を確実に挟持できるように構成されている。
上記の上糸保持装置201を備えるミシンにおいては、図20に示すように、まず、縫い始めの最初の針落ち(1針目)が行われると、縫い針Nは、その上下動経路NLに沿って移動する。このとき、縫い針Nは、その先端部近傍に設けられた糸通し穴Naに上糸Tが挿通された状態で、ミシンベッドMBに配設された針板P上に載置されている生地Cを突き通して針板Pの針穴Paの下方に下降する。この縫い針Nの下降は、第1挟持部材202の糸捕捉部203を通過して行われる。そして、縫い針Nが上昇すると、上糸ループが形成される。この上糸ループは、釜Kの剣先Kaですくい取られることにより、先端Taが垂れ下がった状態となり、糸捕捉部203の内部に上糸Tが捕捉される。上糸Tを捕捉した糸捕捉部203は、縫い針Nの上下動経路NLの側方に離間される。その後、糸捕捉部203の内面の一部を構成する第1挟持部204と、第2挟持部材205の第2挟持部206との間で上糸Tが挟持される。
この状態で、予め設定された針数だけ更に針落ちされると、上糸Tが図示しない下糸と結節し、針板P上に載置された生地Cに縫い目Sが形成される。そして、続く針落ちの前に、第1挟持部204と第2挟持部206との間で挟持している上糸Tが解放され、この状態で順次縫い目Sが形成されていく。また、上糸Tの先端Taは、縫製の進行に伴う生地Cの送りにより、糸捕捉部203から抜け出すようになっている。
特開2004−187858号公報
しかしながら、上記の上糸保持装置201では、挟持した上糸Tの糸端部が生地裏の縫い目Sに縫い込まれてループが形成されてしまった場合に、当該ループを糸捕捉部203から外すことができず、ついには生地ずれや糸切れ、装置の動作不良などを発生させてしまうという問題点がある。
具体的に説明すると、図21に示すように、まず、1針目で第1挟持部204と第2挟持部206との間に挟持した上糸Tのうち糸捕捉部203を通過した部分である糸端部TAが、2針目以降の上糸ループTLの引き上げ経路上、例えば、釜Kの剣先Kaの通過経路に掛かるように位置していると、2針目の上糸ループTLの内部に糸端部TAが入る。
このとき、図22に示すように、第1挟持部204と第2挟持部206との間で挟持した上糸Tの糸端部TAの長さ、詳しくは、上糸Tの挟持箇所から先端Taまでの長さが、上糸Tの挟持箇所から生地Cの針落ち点DPまでの距離より長い場合には、上糸Tの糸端部TAが上糸ループTLの中に入り込んだ状態となり、図示しない天秤による上糸Tの引き上げにより、上糸ループTLとともに上糸Tの糸端部TAが引き上げられる。
そして、上糸Tの引き上げが完了すると、図23に示すように、糸捕捉部203を通過した上糸Tの糸端部TAの先端Ta側が生地裏の縫い目Sに縫い込まれてしまい、糸捕捉部203を通るループWが形成されてしまう。
このループWは、第1挟持部204と第2挟持部206とを離間させて、挟持した上糸Tを解放しても、一体的に枠状に形成された糸捕捉部203からは外すことができず、縫製の進行に伴う生地Cの送りにより、生地ずれ(縫い形状ずれ)や糸切れ、装置の動作不良などを発生させてしまう。
上記の問題点は、例えば、第1挟持部材202に代えて、図24に示す第1挟持部材210を用いることで解決することができる。この第1挟持部材210は、前方に開口したコ字状部211を有する第1挟持部材本体212と、コ字状部211の開口を開閉可能な開閉体213と、コ字状部211の開口を閉状態にするよう開閉体213を付勢する付勢部材214とを備えている。このとき、糸捕捉部203は、コ字状部211と開閉体213とから構成される。また、コ字状部211の前方側の両先端部は、開閉体213の回動中心から遠い側(図中の左側)の一方のみで開閉体213と当接するよう、前後方向へ異なる長さに形成されており、開閉体213がコ字状部211の他方の先端部のみと当接して一方の先端部との間に隙間を生じることがないように構成されている。
このような第1挟持部材210を用いれば、糸捕捉部203を通るループWが形成された場合であっても、生地Cの送りによる上糸Tの張力が付勢部材214の付勢力に抗して開閉体213を回動させるため、糸捕捉部203から当該ループWを外すことができる。また、挟持した上糸Tを解放するときにも開閉体213を回動させることで、上糸Tを速やかに解放することができる。
ところが、この第1挟持部材210を用いた構成では、次のような別の問題点がある。
第1挟持部材210を用いた上糸保持装置201においては、開閉体213を回動させて上糸Tを糸捕捉部203から解放するときに当該上糸Tに一定以上の張力が作用していると、上糸Tが開閉体213を断続的に伝って外れる場合があり、このような場合には上糸Tの切断等が懸念される。そこで、これを回避するために、上糸Tに一定以上の張力が作用する前に上糸Tを解放する、つまり、糸捕捉部203が縫い針Nの上下動経路NLからあまり離間しないうちに開閉体213を回動させる必要がある。
しかし、第1挟持部204と第2挟持部206とで上糸Tを挟持していた状態から突然開閉体213を回動させると、付勢ばね207によって前方へ付勢されている第2挟持部材205が第1挟持部材210に対して相対的に前方へ移動してしまう。このとき、第2挟持部材205の第2挟持部206は、糸捕捉部203つまりコ字状部211の両側面にガイドされて前方へ移動するが、ついにはコ字状部211の先端を越える。すると、第2挟持部206は、揺動可能に構成されているために、図25に示すように、コ字状部211の両先端部のうち前方への長さが短い他方の先端部に乗り上げてしまう。このように、第2挟持部206の移動が拘束されてしまい、異常が検出されてミシンが非常停止することで縫製効率が低下したり、上糸保持装置201の構成部品が損傷して耐久性が低下したりする場合がある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、糸捕捉部を通る上糸のループを容易かつ確実に外すことができるとともに、縫製効率や耐久性を向上させることができるミシンの上糸保持装置の提供を目的とする。
前記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
上糸の糸端部を捕捉して挟持するための上糸挟持手段と、前記上糸挟持手段を駆動するための駆動手段とを備えており、縫い始めに、縫い針に挿通されている上糸の糸端部を針板の下方で捕捉して挟持するとともに、所定針数の針落ち後、挟持した前記上糸の糸端部を解放するミシンの上糸保持装置において、
前記上糸挟持手段は、
下降時の縫い針が遊挿され当該下降時の縫い針の周囲を取り囲むための枠状に形成された糸捕捉部を備え、前記糸捕捉部は前記縫い針の上下動経路に開口を向けたコ字状部及びこのコ字状部の開口を開閉可能な開閉体から構成すると共に、前記開閉体のうちの前記コ字状部の開口を閉塞する部位に第1挟持部が形成された第1挟持部材と、
前記開閉体が前記コ字状部の開口を閉じた前記糸捕捉部の閉状態における当該糸捕捉部の内部において前記コ字状部にガイドされ当該コ字状部の開口が向けられた方向に沿って前記第1挟持部に対し相対的に接離することで前記糸端部の挟持と解放とを可能とする第2挟持部を有すると共に、当該第2挟持部の当接面が前記第1挟持部の当接面に倣うように揺動可能に設けられた第2挟持部材と、
前記第1挟持部と前記第2挟持部とが接離する方向に沿って前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材をそれぞれ移動可能に支持する支持部材と、
前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の前記支持部材に対する位置に応じて、当該第1挟持部材と当該第2挟持部材とを相対的に移動させる第1関連動作手段と、
前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の前記支持部材に対する位置に応じて、前記コ字状部の開口が開くよう前記開閉体を動作させる第2関連動作手段と、
を有し、
前記駆動手段は、少なくとも前記糸捕捉部が前記縫い針の上下動経路上に位置する状態を初期位置として、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材を前記コ字状部の開口が後方へ向きつつ前記初期位置から離間する離間方向に挟持位置、解放位置へと順番に移動させ、
前記第1関連動作手段は、前記駆動手段による前記初期位置から前記挟持位置への離間移動に伴い、前記第1挟持部と前記第2挟持部とが近接して前記糸端部を挟持する相対移動動作の付与を行い、前記挟持位置から前記解放位置への離間移動に伴い、前記第1挟持部と前記第2挟持部とが離間して前記糸端部を解放する相対移動動作の付与を行い、
前記第2関連動作手段は、前記挟持位置から前記解放位置へ移動するときに、前記第2挟持部材が前記第1挟持部材に対し前記離間方向への相対的な移動を開始した後に、前記コ字状部の開口が開くよう前記開閉体を動作させることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンの上糸保持装置において、
前記第2関連動作手段は、前記開閉体と一体的に構成されると共に前記離間方向に向かって突出した突起部と、前記突起部に当接するストッパと、を有し、
前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材が前記挟持位置から前記解放位置へ移動するときに、前記突起部が前記ストッパに当接することにより、前記開閉体を前記離間方向とは逆方向に回動させて前記コ字状部の開口が開くよう構成され、
前記突起部は、前記開閉体が回動して前記コ字状部の開口が開くときに、前記開閉体の回動による前記第1挟持部の回動速度についての前記離間方向とは逆方向への速度成分が、前記第1挟持部材の前記解放位置への移動による前記第1挟持部の前記離間方向への移動速度以上となるように、前記開閉体の回動中心から所定の距離に形成されたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のミシンの上糸保持装置において、
前記突起部は、前記開閉体の回動中心からの距離が調整可能に構成されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、縫い針の上下動経路に開口を向けたコ字状部及びこのコ字状部の開口を開閉可能な開閉体から糸捕捉部を構成し、コ字状部の開口が後方へ向きつつ初期位置から離間する方向に上糸挟持手段が移動するので、糸捕捉部を通るループが形成された場合であっても、生地の送りと上糸挟持手段の移動とにより当該ループが開閉体を開く方向へ引っ張ることで糸捕捉部が開かれる。つまり、特別な操作等を必要とすることなく、自動的にループは糸捕捉部から外れる。したがって、糸捕捉部を通る上糸のループを容易かつ確実に外すことができる。
また、第1挟持部材及び第2挟持部材が挟持位置から解放位置へ移動するときに、第2挟持部材が第1挟持部材に対しコ字状部の開口から離間する方向への相対的な移動を開始した後に、コ字状部の開口が開かれるので、第2挟持部がコ字状部の先端部に乗り上げることを確実に防止することができる。したがって、ミシンの非常停止の発生や上糸保持装置の構成部品の損傷を抑制して、縫製効率や耐久性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、突起部は、開閉体が回動してコ字状部の開口が開くときに、開閉体の回動による第1挟持部の回動速度についての離間方向とは逆方向への速度成分が、第1挟持部材の解放位置への移動による第1挟持部の離間方向への移動速度以上となるように、開閉体の回動中心から所定の距離に形成されるので、上糸と接触している第1挟持部の箇所が、開閉体の回動時に縫い針の上下動経路から離間することを防止できる。すなわち、開閉体の第1挟持部が上糸を離間方向へ引っ張ることなく当該上糸が解放される。したがって、張りを防止しつつスムーズに上糸を第1挟持部から外すことができ、開閉板の損傷や縫いジワを防止することができる。
請求項3に記載の発明によれば、突起部は、開閉体の回動中心からの距離が調整可能に構成されているので、開閉体が開く速度を自由に変えることができる。
ミシンの概要を示す一部を切り欠いた全体側面図である。 釜機構をX軸方向から見た正面図である 上糸ガイド板を上方から見た平面図である。 上糸保持装置の主要構成を示す斜視図である。 上糸保持装置の主要構成のうち上糸挟持手段周辺を示す分解斜視図である。 第1挟持部材及び第2挟持部材が初期位置にある場合の上糸保持装置を右方から見た動作説明図である。 第1挟持部材及び第2挟持部材が初期位置にある場合の上糸保持装置を下方から見た動作説明図である。 第1挟持部材及び第2挟持部材が挟持位置にある場合の上糸保持装置を右方から見た動作説明図である。 第1挟持部材及び第2挟持部材が挟持位置にある場合の上糸保持装置を下方から見た動作説明図である。 解放位置手前で相対位置調節リンク体と第2の当接部材とが摺接した場合の上糸保持装置を右方から見た動作説明図である。 解放位置手前で相対位置調節リンク体と第2の当接部材とが摺接した場合の上糸保持装置を下方から見た動作説明図である。 解放位置手前で突起部と支持部材の前端部とが当接した場合の上糸保持装置を右方から見た動作説明図である。 解放位置手前で突起部と支持部材の前端部とが当接した場合の上糸保持装置を下方から見た動作説明図である。 第1挟持部材及び第2挟持部材が解放位置にある場合の上糸保持装置を右方から見た動作説明図である。 第1挟持部材及び第2挟持部材が解放位置にある場合の上糸保持装置を下方から見た動作説明図である。 開閉板の動作を説明するための上糸挟持手段を上方から見た平面図である。 ミシンの制御構成を示すブロック図である。 開閉板の別例を示す平面図である。 従来の上糸保持装置を示す分解斜視図である 従来の上糸保持装置における上糸を挟持した状態を示す図である。 従来の上糸保持装置における上糸ループの内部に糸端部が入る状態を示す図である。 図21に続く上糸ループとともに上糸が引き上げられる状態を示す図である。 図22に続く糸捕捉部を通るループが形成された状態を示す図である。 従来の第1挟持部材の別例を示す分解斜視図である。 第2挟持部がコ字状部の先端部に乗り上げた状態を示す平面図である。
以下、図面を参照して、本発明に係るミシンの上糸保持装置(以下、上糸保持装置と略す)の最良の実施形態について詳細に説明する。
<ミシンの全体的な概略構成>
図1は、本実施形態における上糸保持装置10を適用したミシン100の全体図である。この図に示すように、ミシン100は、その下部に位置するミシンベッド101と、ミシンベッド101の一端部から上方に立設されたミシン立胴部102と、ミシン立胴部102の上部からミシンベッド101に沿うように延設されたミシンアーム103とを有して全体として略コ字状に形成されている。このミシン100は、ミシンベッド101の先端部が略筒状に形成されると共に後述するX軸方向の幅が他の部位よりも狭く設定された、いわゆるシリンダベッドミシンに相当するものである。
なお、以下の説明では、後述する縫い針104の上下動方向をZ軸方向とし、これと直交する方向であってミシンベッド101及びミシンアーム103の長手方向をY軸方向とし、Z軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向をX軸方向とする。また、ミシン100を水平面上に設置した場合に、Z軸方向における+側が上,−側が下となり、X軸方向における+側を右,−側を左、Y軸方向における+側を前,−側を後として説明する。
ミシン100は、ミシンアーム103の先端部に設けられ、ミシンモータ105により上下方向に往復駆動される縫い針104と、ミシンアーム103の上部に設けられ、縫い針104に上糸Tを供給するための図示しない上糸供給源と、この上糸供給源と縫い針104との間で上糸Tを所定の荷重で挟持してその送り方向の移動に抵抗力を発生させる糸調子装置106と、この糸調子装置106と縫い針104との間で所定のタイミングで天秤107により上糸Tの引き上げを行う天秤装置と、ミシンベッド101の上面に設けられ、縫い針104の先端部を挿通させる針穴108a(図2参照)が設けられた針板108と、ミシンベッド101内であって針板108の下方に設けられ、下降した縫い針104から上糸ループをすくい取ると共に当該上糸ループに図示しない下糸を挿通させる釜機構120と、針板108と釜機構120の間において縫い針104の1針目の上昇時に上糸Tの糸端部を保持する上糸保持装置10と、ミシンベッド101内に設けられ、縫製後に上糸T及び下糸を切断する図示しない糸切り装置と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段80(図17参照)とを備えている。
縫い針104は、その先端部(下端部)より少し上方に糸通し穴104b(図2参照)が形成されており、この糸通し穴104bに上糸Tが挿通される。また、縫い針104は針棒104aの下端部に支持されており、この針棒104aは、図示しないクランク機構によりミシンモータ105からの回転駆動力が上下往復駆動力に変換されて付与され、所定周期で往復上下動を行う。ミシンモータ105にはその回転角度量を検出するためのエンコーダ109(図17参照)が併設されており、縫い針104が上死点位置にある時を0°として現在のミシンモータ105の出力軸が0〜360°のいずれの角度位置にあるかを動作制御手段80に出力する。
天秤107は、上糸Tが挿通される図示しない上糸挿通穴が設けられ、上糸Tが挿通された状態で上下動を行うことにより、その上昇時に縫い針104に挿通された上糸Tの引き上げを行う。また、天秤装置は、天秤107を縫い針104と同じ周期で上下動させるが、天秤107が上死点に位置するタイミングは、縫い針104が上死点に位置する時点よりも少し遅れるように設定されている。
図2に示すように、釜機構120は、往復半回転を行い、回転周方向に沿って突出した剣先121により上糸ループを捕捉する中釜122と、中釜122を回転自在に支持する大釜123と、大釜123の上部に設けられた上糸ガイド板124と、ミシン立胴部102側から大釜123に向かってミシンベッド101の長手方向に平行に延在され、図示しないドライバーを介して中釜122に回転駆動力を付与する釜軸125とを有している。
このうち、中釜122は、半回転を繰り返し行えるようにその外周に沿ってレール状の突出構造部126が形成され、その両側に大釜123の支持溝123aと摺接するレース面127,128を備えている。また、剣先121は上記レール状の突出構造部126の端部に形成されており、中釜122の一方の半回転動作により、上糸ガイド板124のガイド穴124aから侵入した縫い針104の糸通し穴104bのすぐ脇を通過することで上糸ループをすくい取ることができるように構成されている。このため、剣先121は、その先端部が、中釜122の回転中心線に沿った一方の方向Lに偏った形状に形成されると共に、剣先121及び突出構造部126は、縫い針104の上下動経路NL(Z軸方向に平行であって、上死点における縫い針104の先端位置から下死点における縫い針104の先端位置までを結ぶ経路)に対して回転中心線に沿った他方の方向R側に配置されている。
また、釜軸125は、中釜122に対してR側に位置しており、直接に中釜122と連結されてはいないが、中釜122に併設されて共に往復半回転を行うドライバーを介して中釜122に往復半回転の駆動力を伝達する。この釜軸125は、Y軸方向に平行に配設されており、中釜122に対してY軸方向−側に位置すると共に、この方向から中釜122を往復半回転させる駆動力の付与を行う。また、釜軸125は、ミシンモータ105から分岐された駆動力が回転駆動力に変換されて伝達される構成となっており、縫い針104の上下方向への往復動作と中釜122の往復半回転の動作とについて所定の位相差で同期が図られている。
上糸ガイド板124は、中釜122のレース面127,128に対する上糸Tの接触や巻き込みを防止するための板状の部材で、図2の上方(矢印U方向)から見ると図3に示すような形状のガイド穴124aが設けられ、このガイド穴124aのY軸方向略中央のX軸方向−側の部分には、中釜122の剣先121によってすくい取られた上糸ループを広げるための糸分け部124bが設けられている。回転する剣先121によってすくい取られた上糸ループは、この糸分け部124bによって剣先121を境に縫い針104側の糸TFと生地側の糸TBとに前後に大きく分離され、中釜122の両レース面127,128に対する接触や巻き込みが防止される。
<上糸保持装置の構成>
上糸保持装置10は、図1に示すように、縫い始めの縫い目を確実に形成するため、すなわち縫い始めの上糸Tの糸端部が生地から抜脱することを防止するために、縫い始めに縫い針104に挿通されている上糸Tの糸端部を針板108の下方で、且つ、縫い針104の上下動経路NLから離間した位置で捕捉して挟持すると共に、所定針数の針落ち後、挟持した上糸Tの糸端部を解放するものである。
この上糸保持装置10は、上糸Tの糸端部を捕捉して挟持するための第1挟持部材21及び第2挟持部材31(図4参照)を有する上糸挟持手段(以下、挟持手段と略す)20と、挟持手段20を駆動するための駆動手段40とを備えている。
このうち、駆動手段40は、第1挟持部材21及び第2挟持部材31が縫い針104の上下動経路NL上に位置する状態を初期位置として、当該第1挟持部材21及び当該第2挟持部材31をこの初期位置から後方(Y軸方向−側)へ離間する離間方向に挟持位置、解放位置へと順番に移動させることが可能となっている。
以下、本実施形態の上糸保持装置10について詳細に説明する。
<上糸保持装置の挟持手段>
図4は、上糸保持装置10の主要構成を示す斜視図であり、図5は、そのうちの挟持手段20周辺の分解斜視図である。
これらの図に示すように、挟持手段20は、第1挟持部材21と、第2挟持部材31と、支持部材51と、第1関連動作手段60と、第2関連動作手段70とを有している。このうち、第1関連動作手段60及び第2関連動作手段70については、後に詳細に説明する。
第1挟持部材21は、Y軸方向に延在するよう配設された長尺板状の部材であり、Y軸方向+側に位置する先端部に糸捕捉部22が設けられている。この糸捕捉部22は、先端において縫い針104の上下動経路NLに開口を向け前後方向に沿って長い平面矩形状に形成されたコ字状部21aと、このコ字状部21aの開口を開閉可能に配設された開閉体としての開閉板23とから構成されている。そして、糸捕捉部22は、開閉板23がコ字状部21aの開口を閉じた閉状態において、針板108の針穴108aを貫通した下降時の縫い針104が遊挿されて当該下降時の縫い針104の周囲を取り囲めるように枠状に形成されている。コ字状部21aの両側部は、X軸方向−側の一方が他方よりもY軸方向+側にやや長くなるよう形成されている。
また、糸捕捉部22を構成する開閉板23は、X軸方向−側に口が開いた略コ字状に形成されており、この開閉板23のうちのY軸方向+側の棒状部分が、コ字状部21aの開口を閉塞する閉塞部23aとなっている。より詳しくは、閉塞部23aのY軸方向−側の側面のうちコ字状部21aの内部空間と対向する部分が、コ字状部21aの開口を閉塞する部位とされており、当該部位に上糸Tの糸端部を挟持するための第1挟持部23bが形成されている。そのため、閉塞部23aの先端や、コ字状部21aに対向する側面の上端縁及び下端縁には、上糸Tの糸切れを防止できるように、R状の面取りを設けることが好ましい。
第1挟持部材21のX軸方向+側に位置する側面であってコ字状部21aの基端部には、開閉板取付部21bがX軸方向+側に向かって延設されている。開閉板取付部21bの上面には開閉板支持部材24の下端が取り付けられており、この開閉板支持部材24には、開閉板23のY軸方向−側の屈折部が回動自在に支持されている。このとき、開閉板23は、第1挟持部材21の下側にY軸方向−側の棒状部分23cを配置させて取り付けられる。
第1挟持部材21のX軸方向−側に位置する側面であってY軸方向中間部やや後寄りの位置には、ブラケット部21cがX軸方向−側に向かって延設されている。このブラケット部21cの先端部には付勢ばね25の一端が取り付けられており、当該付勢ばね25は、他端を開閉板23のY軸方向−側の棒状部分23cの先端部に取り付けられて、ほぼY軸方向に沿って延在配置されている。この付勢ばね25は、その付勢力(引張り力)により、開閉板23の閉塞部23aのY軸方向−側の側面をコ字状部21aの開口端に当接させている。これにより、糸捕捉部22は常態で閉状態に保持されるようになっている。このとき、開閉板23の閉塞部23aは、その先端部がコ字状部21aの両開口端のうちのX軸方向−側の一方のみと当接するようになっている。これにより、閉塞部23aがコ字状部21aの他方の開口端のみと当接してしまい、先端部とコ字状部21aの一方の開口端との間に隙間を生じることがないよう、ひいては、この隙間を通じて糸捕捉部22から上糸Tが外れてしまわないように構成されている。
また、第1挟持部材21のブラケット部21cには、その先端部に下方へ向かって延出された丸棒状の係合ピン26が固定装備されている。第1挟持部材21は、後述するように、この係合ピン26を介して第1関連動作手段60による前後方向への移動力が入力される。
第1挟持部材21のY軸方向−側に位置する後端には、前後方向に沿って長い平面矩形状の貫通穴21dが形成されている。この貫通穴21dは、後述する第1関連動作手段60の引張りばね62が配置され、その伸縮を行う動作領域を形成している。この引張りばね61は、その一端が貫通穴21dの前端部に連結されている。
第2挟持部材31は、前側部32と後側部33とに二分割されており、これらが連結体34により連結されることで一体の略長尺板形状を形成している。この第2挟持部材31は、前側部32を+側にしてY軸方向に延在するよう配設されると共に、第1挟持部材21に対して滑動可能なように当該第1挟持部材21の上側に重ねられている。前側部32の前端部には第2挟持部32aが形成されており、この第2挟持部32aは、閉状態における糸捕捉部22の内部において、コ字状部21aにガイドされて当該コ字状部21aの開口が向けられた方向、つまりY軸方向に沿って第1挟持部23bに対し相対的に接離可能な挟持面32bと、第1挟持部23bとの当接時に当該第1挟持部23bの下方を通過して開閉板23の先端面より前方に突出する屈曲部32cとを有している。
したがって、第1挟持部材21と第2挟持部材31との相対的な近接動作及び離間動作により、第1挟持部材21の糸捕捉部22に上方から挿通された上糸Tの糸端部を、第1挟持部23bと第2挟持部32aの挟持面32bとにより挟持及び解放することが可能である。また、挟持された上糸Tは、挟持面32bの下端部から前方に向かって延設された屈曲部32cにより、前方に向かって折り曲げられ、上糸Tを前方から下方へしなう状態となる。その結果、上糸Tの糸端部は、より前方に位置した状態で垂れ下がることとなるので、その下方に位置する釜機構120の中釜122よりも前方にずらされて、当該中釜122への接触や巻き込みが防止される。
また、第2挟持部材31の前側部32は、連結体34に対して回動可能に設けられている。すなわち、第2挟持部32aは、コ字状部21aとの隙間の範囲内においてX軸方向へ揺動可能となっており、その結果、第1挟持部23bと第2挟持部32aとが直接或いは上糸Tを介して当接するときに、第2挟持部32aの当接面である挟持面32bが第1挟持部23bの当接面に倣うようになっている。これにより、上糸TのX軸方向の挟持位置や上糸Tの細さ等によらず、上糸Tを確実に挟持することができる。
第2挟持部材31の後側部33には、前後方向に沿って貫通穴33aが形成されている。この貫通穴33aは、第1挟持部材21の貫通穴21dと重合し、これらの内側に第1関連動作手段60の引張りばね62が配置され、その伸縮を行う動作領域を形成している。この貫通穴33aの後端部に引張りばね61の他端が連結される。したがって、第2挟持部材31は引張りばね61を介して第1挟持部材21と連結された状態となり、第1挟持部材21の第1挟持部23bと第2挟持部材31の第2挟持部32aとは、互いに近接し当接する方向への付勢力が常時付与されるようになっている。
また、第2挟持部材31の後側部33には、Y軸方向の中間部にX軸方向+側に向かって延設されたブラケット部33bが設けられ、その先端部には下方に向かって延出された丸棒状の係合ピン35が固定装備されている。第2挟持部材31は、後述するように、この係合ピン35を介して第1関連動作手段60による前後方向への移動力が入力される。また、係合ピン35は、第1挟持部23bと第2挟持部32aとが当接している状態にあるときに、第1挟持部材21の係合ピン26とY軸方向についてほぼ同じ位置に並ぶように位置設定されている。
支持部材51は、第1挟持部23bと第2挟持部32aとが接離するY軸方向に沿って第1挟持部材21及び第2挟持部材31をそれぞれ移動可能に支持する板状部材である。この支持部材51は、ミシンベッド101の上部であって針板108の後方に固定装備されている。
支持部材51の上面には、そのX軸方向における中間位置に、Y軸方向に沿ったガイド溝52が設けられている。ガイド溝52には、挟持手段20の第1挟持部材21及び第2挟持部材31が長手方向を揃えて重ね合わされた状態で格納され、さらにその上からは、第1挟持部材21及び第2挟持部材31がガイド溝52から外れ落ちないように、押さえ板53が蓋をする。これにより、第1挟持部材21及び第2挟持部材31はガイド溝52に案内されて各々Y軸方向に沿って滑動することが可能となる。但し、第1挟持部材21と第2挟持部材31とは引張りばね61で付勢されているため、外力が加わらない限り、これら第1挟持部材21及び第2挟持部材31は、第1挟持部23bと第2挟持部32aとを当接させた状態を維持する。
支持部材51のガイド溝52を挟んでX軸方向の両側には、それぞれ貫通穴51a,51bが設けられている。X軸方向−側の一方の貫通穴51aには第1挟持部材21の係合ピン26が上方から挿通され、X軸方向+側の他方の貫通穴51bには第2挟持部材31の係合ピン35が挿通される。貫通穴51a,51bに挿通された係合ピン26,35は、先端部が支持部材51の下面から幾分突出し、後述する相対位置調節リンク体62に個別に係合する。貫通穴51a,51bは、第1挟持部材21及び第2挟持部材31の初期位置から解放位置までの移動と、これに伴う第1挟持部材21及び第2挟持部材31の相対的な移動とにおいて、その前端部及び後端部が係合ピン26,35に接触しないようにそのY軸方向の長さがそれぞれ設定されている。つまり、貫通穴51a,51bは係合ピン26,35の逃げ穴である。
<上糸保持装置の関連動作手段>
続いて、第1関連動作手段60及び第2関連動作手段70について説明する。
第1関連動作手段60は、第1挟持部材21及び第2挟持部材31の支持部材51に対する位置に応じて、当該第1挟持部材21と当該第2挟持部材31とを一体的又は相対的に移動させるものである。この第1関連動作手段60は、引張りばね61と、相対位置調節リンク体62と、第1の当接部材63と、第2の当接部材64とを有している。
引張りばね61は、前述のように第1挟持部材21と第2挟持部材31との間に介在され、第1挟持部23bと第2挟持部32aとが互いに近接する方向に当該第1挟持部材21と当該第2挟持部材31との間に付勢力(引張力)を常時付与している。また、引張りばね61による第1挟持部材21と第2挟持部材31との間の付勢力は、付勢ばね25による開閉板23とコ字状部21aの開口端との間の付勢力に対し、十分に小さな荷重に設定されている。
相対位置調節リンク体62は、自らの揺動による姿勢変化に応じて第2挟持部32aと第1挟持部23bとを接離させることを可能として第1挟持部材21及び第2挟持部材31それぞれに係合すると共に、駆動手段40による駆動力が入力されるものである。この相対位置調節リンク体62には、その長手方向に沿って並んだ配置で、第1挟持部材21との回動係合部62aと、第2挟持部材31との回動係合部62bと、これらの間に位置する駆動手段40との回動係合部62cとが設けられている。
このうち、第1挟持部材21との回動係合部62aは、相対位置調節リンク体62の長手方向に沿った長穴状の貫通穴であり、係合ピン26が挿通される。また、第2挟持部材31との回動係合部62bは、円形貫通穴であり、係合ピン35が挿通される。また、駆動手段40との回動係合部62cは、相対位置調節リンク体62の長手方向に沿った長穴状の貫通穴であり、後述する係合突起43aが挿通される。
第1の当接部材63は、図7,9に示すように、第1挟持部材21及び第2挟持部材31が初期位置にあるときに第1挟持部23bと第2挟持部32aとを離間状態とし、初期位置から挟持位置に移動する際に第1挟持部23bと第2挟持部32aとが互いに接近し合う方向に移動させ、挟持位置に到達するまでに当接するように相対位置調節リンク体62の揺動を操作する。
上記動作を実現するために、第1の当接部材63は、初期位置にある相対位置調節リンク体62に対して、駆動手段40の回動係合部62cと第2挟持部材31の回動係合部62bとの間において前方から当接するように配置されている。この配置により、第1挟持部材21及び第2挟持部材31を初期位置に位置決めするために駆動手段40により前方への移動力が相対位置調節リンク体62に付与された場合に、当該相対位置調節リンク体62は引張りばね61の張力に抗して第1の当接部材63との接点を支点として揺動する。その際、当接時よりも第2挟持部材31の回動係合部62bは後方に移動し、第1挟持部材21の回動係合部62aは前方に移動する。この移動に伴い、第1挟持部23bは前方に、第2挟持部32aは後方にそれぞれ移動するので、これらは互いに離間した状態となる(図7参照)。
そして、この初期位置から挟持位置に向かって第1挟持部材21及び第2挟持部材31が移動すると、第1の当接部材63による相対位置調節リンク体62への当接状態が徐々に解除されるので、相対位置調節リンク体62は引張りばね61の張力により時計方向に回動する。この相対位置調節リンク体62の回動に伴い、第1挟持部23bは後方に、第2挟持部32aは前方にそれぞれ移動し、ついには当接する状態となる(図9参照)。このため、第1挟持部23bと第2挟持部32aとによる上糸Tの挟持は、初期位置における第1挟持部23bよりも後方であって、初期位置における第2挟持部32aよりも前方となる位置で行われる。
第2の当接部材64は、図11に示すように、第1挟持部材21及び第2挟持部材31が挟持位置から解放位置に移動する際に挟持状態にある第1挟持部23bと第2挟持部32aとを再び離間する方向に移動させるように相対位置調節リンク体62の揺動を操作する。
上記動作を実現するために、第2の当接部材64は、第1挟持部材21及び第2挟持部材31が挟持位置から解放位置に移動する際に相対位置調節リンク体62が通過する領域に対してX軸方向−側から当該相対位置調節リンク体62に摺接するように配置されている。この配置により、ほぼX軸方向に沿った状態で解放位置に向かう相対位置調節リンク体62のX軸方向−側の端部に設けられた摺接部62dに対して、第2の当接部材64が摺接する(図11参照)。この相対位置調節リンク体62の摺接部62dは、前方に向かってX軸方向−側に徐々に延ばされたテーパー形状のため、摺接開始後さらに後方に相対位置調節リンク体62が移動することで、当該相対位置調節リンク体62は反時計方向に揺動し、この状態で第1挟持部材21及び第2挟持部材31は解放位置に到達する。この揺動に伴い、第2挟持部材31の回動係合部62bは第1挟持部材21の回動係合部62aよりも大きく後方に移動する。その結果、第1挟持部23bと第2挟持部32aとは互いに離間した状態となる。
上記構成を具備する第1関連動作手段60により、駆動手段40による初期位置から挟持位置への第1挟持部材21及び第2挟持部材31の移動に伴い、第1挟持部23bと第2挟持部32aとが近接して上糸Tの糸端部を挟持する相対移動動作が当該第1挟持部材21及び当該第2挟持部材31に対して付与されると共に、挟持位置から解放位置への第1挟持部材21及び第2挟持部材31の移動に伴い、第1挟持部23bと第2挟持部32aとが離間して上糸Tの糸端部を解放する相対移動動作が当該第1挟持部材21及び当該第2挟持部材31に対して付与される。
第2関連動作手段70は、図5,13,15に示すように、第1挟持部材21及び第2挟持部材31の支持部材51に対する位置に応じて、コ字状部21aの開口が開くよう開閉板23を動作させるものである。この第2関連動作手段70は、開閉板23の棒状部分23cにY軸方向−側へ向かって突出するように形成された突起部71と、当該突起部71に当接するストッパとしての支持部材51の前端面72とを有している。
突起部71は、第1挟持部材21及び第2挟持部材31が挟持位置から解放位置へ移動するときに、支持部材51の前端面72に当接するように構成されている。これら突起部71と支持部材51の前端面72とが当接すると(図13参照)、開閉板23は付勢ばね25の付勢力に抗して前方に向かって回動され、コ字状部21aの開口が開き始める。そして、第1挟持部材21及び第2挟持部材31が解放位置へ到達すると、コ字状部21aの開口が完全に開く(図15参照)。
また、突起部71は、第1挟持部材21及び第2挟持部材31が挟持位置から解放位置へ移動するときに、相対位置調節リンク体62の摺接部62dと第2の当接部材64とが摺接し始めた後に、支持部材51の前端面72と当接するように、Y軸方向−側への所定の高さに形成されている。突起部71のY軸方向−側への高さは、当該突起部71が支持部材51の前端面72と当接するタイミング、つまりは開閉板23の開口が開き始めるタイミングを決定する。したがって、突起部71を上記の高さに形成することにより、相対位置調節リンク体62が反時計方向に揺動して第2挟持部材31が第1挟持部材21に対しY軸方向−側への相対的な移動を開始した後に、コ字状部21aの開口が開くよう開閉板23が動作することとなる。
さらに、突起部71は、開閉板23が回動してコ字状部21aの開口が開くときに、開閉板23の回動による第1挟持部23bの回動速度についてのY軸方向+側への速度成分が、第1挟持部材21の解放位置への移動による第1挟持部23bのY軸方向−側への移動速度以上となるように、開閉板23の回動中心Bから所定の距離に形成されている。より詳しくは、図16に示すように、第1挟持部材21及び第2挟持部材31が挟持位置から解放位置へ移動するときに、第1挟持部材21及び第2挟持部材31のX軸方向の中心線Aと、開閉板23の第1挟持部23bとの交点が、Y軸方向+側へ移動するか或いは全く移動しないように構成されている。なお、図16は、分かり易さのために挟持位置から解放位置までの開閉板23の軌跡だけを示しており、また、中心線Aと第1挟持部23bとの交点が移動しない例を示している。
<上糸保持装置の駆動手段>
続いて、駆動手段40について説明する。
駆動手段40は、挟持手段20の第1挟持部23b及び第2挟持部32aに対して、少なくとも糸捕捉部22が縫い針104の上下動経路NL上に位置する初期位置に縫製開始前に予め移動させ、縫製開始後であって1針目の縫い針104が生地から引き抜かれたときに縫い針104の上下動経路NLに対して初期位置よりも後方となる挟持位置にコ字状部21aの開口を後ろ向きにして移動させ、予め設定された回数の針落ちが行われると(例えば2〜3針目)縫い針104の上下動経路NLに対して挟持位置よりも後方となる解放位置にさらに移動させるという3つの位置への移動を行うものである。
そのため、駆動手段40は、図4,7に示すように、第1関連動作手段60に支持された第1挟持部材21及び第2挟持部材31をY軸方向に沿って往復駆動するY軸移動機構41と、第1挟持部材21及び第2挟持部材31が初期位置,挟持位置及び解放位置のいずれの位置にあるか否かを検出する位置検出手段44とを備えている。
Y軸移動機構41は、図4,5に示すように、回転駆動力を出力する駆動モータ42と、駆動モータ42の出力軸を第1関連動作手段60の相対位置調節リンク体62に連結するリンク機構43とを有している。
このうち、駆動モータ42は、ステッピングモータであり、動作制御手段80の動作制御により正負方向について任意の回転角度量で駆動される。
一方、リンク機構43は、複数のリンク部材が連なって構成されており、一端が駆動モータ42の出力軸に連結されるとともに、他端に設けられた係合突起43aが相対位置調節リンク体62の回動係合部62cに挿通されて連結される。
これらの構成により、駆動モータ42が駆動されると、係合突起43aを介して第1関連動作手段60の相対位置調節リンク体62がY軸方向に沿って移動を行うようになっている。
位置検出手段44は、図6,8,14に示すように、発光素子と受光素子とを有しこれらの間の遮蔽物の存在の有無を検出する第1及び第2の状態センサ45,46と、Y軸移動機構41のリンク機構43に設けられ,第1及び第2の遮蔽領域47a,47bを有する遮蔽板47とを有している。なお、図4では位置検出手段44は図示を省略している。
第1及び第2の状態センサ45,46は、遮蔽板47の移動線上に沿って並んで配置されると共に第1の状態センサ45が後側に配置される。これにより、各状態センサ45,46はほぼY軸方向に沿って並んだ状態となる。各状態センサ45,46の受光素子は、遮蔽物有りの状態をON状態とし、遮蔽物なしの状態をOFF状態とし、各状態が識別可能な信号を動作制御手段80に出力する。
一方、遮蔽板47は、第1及び第2の状態センサ45,46の双方に対して発光素子−受光素子間を通過するようにリンク機構43に固定支持されている。そして、第1の遮蔽領域47aは、図6に示すように第1挟持部材21及び第2挟持部材31が初期位置にあるときには第1の状態センサ45と第2の状態センサ46との間に位置し、挟持位置にあるときには図8に示すように第1の状態センサ45を遮蔽する位置にあり、解放位置にあるときには図14に示すように依然として第1の状態センサ45を遮蔽する位置にあるように、そのY軸方向位置及びY軸方向長さが設定されている。
また、第2の遮蔽領域47bは、図6,8に示すように第1挟持部材21及び第2挟持部材31が初期位置又は挟持位置にあるときにはいずれの場合も第1の状態センサ45よりも前方に位置し、図14に示すように解放位置にあるときには初めて第1の状態センサ45を遮蔽する位置となるようにそのY軸方向位置さが設定されている。
したがって、動作制御手段80では、第1挟持部材21及び第2挟持部材31が初期位置にあることを第1及び第2の状態センサ45,46の双方がOFF状態であることから確認でき、挟持位置にあることを第1の状態センサ45がON状態且つ第2の状態センサ46がOFF状態であることから確認でき、解放位置にあることを第1及び第2の状態センサ45,46の双方がON状態であることから確認できる。そして、動作制御手段80は、確認された位置検出手段44の検出結果に基づいて、Y軸移動機構41の動作制御を行う。
<動作制御手段>
続いて、動作制御手段80について説明する。
図17はミシン100の制御構成を示すブロック図である。
この図に示すように、動作制御手段80は、各種演算処理を行うCPUと、制御,判断等の各種処理プログラムが記憶,格納されたROMと、ワークメモリとして使用されるRAMとで概略構成されている。そして、動作制御手段80には、システムバス及び駆動回路等を介して、ミシンモータ105,そのエンコーダ109,駆動モータ42,図示しない糸切り機構を駆動する糸切りモータ82,位置検出手段44の第1の状態センサ45,第2の状態センサ46及びミシン100のSS(スタートストップ)スイッチ81が接続されている。
動作制御手段80は、ミシンモータ105の出力軸に設けられているエンコーダ109から入力されるパルス信号に基づき、ミシンモータ105の回転角度を認識することができる。また、動作制御手段80は、位置検出手段44の第1及び第2の状態センサ45,46から入力される検出信号に基づき、第1挟持部材21及び第2挟持部材31の位置を確認することができる。さらに、動作制御手段80は、SSスイッチ81から縫製開始信号が入力されると、確認・認識したミシンモータ105の回転角度や位置検出手段44からの検出結果に応じて、駆動手段40の駆動モータ42の駆動を適宜制御する。
<上糸保持装置の動作>
続いて、上糸保持装置10の動作について、図6〜15を参照して説明する。
まず、ミシン100の図示しない主電源がONされると、SSスイッチ81からの縫製開始信号が動作制御手段80に入力され、位置検出手段44により初期位置の検出が行われる。この検出は、第1及び第2の状態センサ45,46がいずれもOFF状態である否かにより判断され、第1挟持部材21及び第2挟持部材31が初期位置にない場合は、動作制御手段80により初期位置への移動がなされる。
このとき、第1挟持部材21の第1挟持部23bは縫い針の上下動経路NLの前方に位置し、第2挟持部材31の第2挟持部32aは直線Mより後方に位置している(図6,7の状態)。
ここで、直線Mは、針穴108aの下端部における後方側縁部(下方から見た円形の針穴108aのY軸方向に沿った直径のY軸方向−側の端部となる位置)と、縫い針104の上下動経路NLの後方側に近接して配置された中釜122の後側となる一方のレース面128における上端部とを連結することで決定される線である。第2挟持部32aの先端部をこの直線Mよりも後方に位置させることで、1針目における上糸ループが中釜122の剣先121に捕捉されて糸分け部124bによって広げられる場合に、第2挟持部32aの先端部が上糸Tに接触して邪魔をすることが防止され、ひいては、上糸Tがレース面128に接触することを効果的に抑制することができる。
次に、ミシンモータ105の駆動が開始されると、縫い針104が針板108の針穴108aに挿入され、第1挟持部23bと第2挟持部32aとの間を上糸Tが通過する。さらに、その下方において、縫い針104の脇の上糸ループが釜機構120の剣先121に捕捉される。そして、中釜122の回転と上糸ガイド板124とにより上糸ループは広げられるが、その際、上記の通り、第2挟持部32aの先端部は直線Mより後方に位置するため、レース面128への上糸Tの接触は防止される。
次に、ミシンモータ105のエンコーダ109からの出力が、天秤107が上死点に達したことを示すと、動作制御手段80は、駆動手段40の駆動モータ42を動作制御して第1挟持部材21及び第2挟持部材31を挟持位置へ移動させる。
これにより、第1挟持部材21及び第2挟持部材31は、初期位置から挟持位置に向かって移動を開始する。すると、第1関連動作手段60の相対位置調節リンク体62は引張りばね61の張力によりX軸方向に沿うように揺動を開始するので、第1挟持部23bは後方に移動し、第2挟持部32aは前方に移動する。
なお、天秤107が上死点に達してから第1挟持部23bと第2挟持部32aとにより上糸Tの糸端部を挟持させるのは、天秤107の上死点では上糸Tに対する天秤の引き上げが完了していることから、針穴108aより下方にある上糸Tは最も短い状態にあるからであり、つまり、このときに上糸Tを挟持すると、挟持された部分から端部までの上糸Tの長さを最も短くすることができるからである。
そして、予め設定された回転角度量分の駆動モータ42の駆動が行われ停止されると、第1挟持部材21及び第2挟持部材31は挟持位置に到達し、第1挟持部23bと第2挟持部32aの挟持面32bとが当接する(図8,9の状態)。これにより、これらの間に挿通されていた上糸Tの糸端部が挟持される。
次に、この挟持位置において、位置検出手段44により各状態センサ45,46の出力が確認される。挟持位置では、第1の状態センサ45がON状態、第2の状態センサ46がOFF状態となるのが正常である。
各状態センサ45,46が適正な状態にあることを示すと、縫製が継続される。すなわち、ミシン100は、2針目以降の縫製を行う。なお、挟持位置への移動は、縫い針104の針先が針板108上にある間に完了される。
次に、予め設定された針数の針落ちが行われると、動作制御手段80は、駆動手段40の駆動モータ42を動作制御して第1挟持部材21及び第2挟持部材31を挟持位置から解放位置へ移動させる。
これにより、第1挟持部材21及び第2挟持部材31は、挟持位置から解放位置に向かって移動を開始する。すると、この移動の途中で、第1関連動作手段60の相対位置調節リンク体62の摺接部62dが第2の当接部材64に摺接する(図10,11の状態)。そして、さらに移動が継続されると、相対位置調節リンク体62は引張りばね61の張力に抗して揺動し、第2挟持部32aが第1挟持部23bよりも大きく後方に移動する。こうして、上糸Tの糸端部の挟持状態が解除され、当該糸端部は挟持手段20から解放される。
そして、解放位置への移動が継続されると、開閉板23の突起部71が支持部材51の前端面72に当接する(図12,13の状態)。すると、開閉板23は付勢ばね25の付勢力に抗して前方に向かって回動され、コ字状部21aの開口が開き始める。
このように、突起部71は、相対位置調節リンク体62の摺接部62dと第2の当接部材64とが摺接し始めた後に、支持部材51の前端面72と当接するため、第2挟持部材31が第1挟持部材21に対しY軸方向−側への相対的な移動を開始した後に、コ字状部21aの開口が開くこととなる。したがって、第2挟持部材31が第1挟持部材21に対して前方、つまりコ字状部21aの開口が形成されている方向へ移動しなくなってから当該開口が開かれるので、第2挟持部32aがコ字状部21aの開口端に乗り上げることを確実に防止することができる。
その後、予め設定された回転角度量分の駆動モータ42の駆動が行われ停止されると、第1挟持部材21及び第2挟持部材31が解放位置に到達する(図14,15の状態)。
このとき、第1挟持部材21及び第2挟持部材31のX軸方向の中心線Aと、挟持位置における開閉板23の第1挟持部23bとの交点は、挟持位置から解放位置へ至る過程において、開閉板23の回動動作によるY軸方向+側への移動量が第1挟持部材21のY軸方向−側への移動量を上回るか或いは等しくなることにより、Y軸方向+側へ移動するか或いは全く移動しないようになるため、開閉板23の第1挟持部23bが上糸Tを後方へ引っ張ることなく当該上糸Tが解放される。
第1挟持部材21及び第2挟持部材31が解放位置に到達した後、位置検出手段44により各状態センサ45,46の出力を確認される。解放位置では、第1及び第2の状態センサ45,46がいずれもON状態となるのが正常である。
各状態センサ45,46が適正な状態にあることを示すと、縫製が継続され、さらに縫製が終了すると、動作制御手段80は、糸切りモータ82を動作制御して糸切り機構による糸切りを行う。
そして、動作制御手段80は、駆動モータ42を動作制御して、第1挟持部材21及び第2挟持部材31を解放位置から初期位置へ復帰させる。
こうして、上糸保持装置10を備えるミシン100の縫製に係る1サイクルが終了する。なお、第1挟持部材21及び第2挟持部材31が初期位置,挟持位置又は解放位置にあるときに、各状態センサ45,46からの正常な出力が確認できなかった場合には、動作制御手段80は、エラー発生としてミシン100の動作を即座に中止する。
ところで、挟持手段20が挟持した上糸Tが一定以上に長い場合には、その糸端部が2針目以降の上糸ループの引き上げ経路上、例えば中釜122の剣先121の通過経路に掛かるように位置していると、上糸ループによって引き上げられ、生地裏に縫い込まれて糸捕捉部22を通るループが形成されてしまう。しかしながら、生地の送りにより当該ループが開閉板23を徐々に強く前方へ引張り、ついにその力が付勢ばね25の付勢力を超えると、開閉板23が回動して糸捕捉部22の前方が開くため、ループを糸捕捉部22から外すことができる。
<作用効果>
以上のように、本実施形態における上糸保持装置10によれば、糸捕捉部22を通るループが形成された場合であっても、生地の送りと挟持手段20の移動とにより当該ループが開閉板23を徐々に強く前方へ引張り、ついにその力が付勢ばね25の付勢力を超えると、開閉板23が回動して糸捕捉部22の前方が開くため、特別な操作等を必要とすることなく、自動的にループは糸捕捉部22から外れる。したがって、糸捕捉部22を通る上糸Tのループを容易かつ確実に外すことができる。
また、第2挟持部材31が第1挟持部材21に対しY軸方向−側への相対的な移動を開始した後にコ字状部21aの開口が開くことにより、第2挟持部材31が第1挟持部材21に対して前方、つまりコ字状部21aの開口が形成されている方向へ移動しなくなってから当該開口が開かれるので、第2挟持部32aがコ字状部21aの開口端に乗り上げることを確実に防止することができる。したがって、ミシン100の非常停止の発生や上糸保持装置10の構成部品の損傷を抑制して、縫製効率や耐久性を向上させることができる。
また、第1挟持部材21及び第2挟持部材31のX軸方向の中心線Aと、開閉板23の第1挟持部23bとの交点が、挟持位置から解放位置へ至る過程において、Y軸方向+側へ移動するか或いは全く移動しないように構成されているので、開閉板23の第1挟持部23bが上糸Tを後方へ引っ張ることなく当該上糸Tが解放される。したがって、張りを防止しつつスムーズに上糸Tを第1挟持部23bから外すことができ、開閉板23の損傷や縫いジワを防止することができる。
なお、上記実施形態においては、突起部71は開閉板23から突出するよう形成されたものとしたが、開閉板23と一体的に構成されていればよく、この場合において、例えば、図18に示すように、開閉板23の棒状部分23cに対して突起部71の位置をX軸方向へ変更可能に構成してもよい。こうして、開閉板23の回動中心Bから突起部71までの距離を調整可能に構成することで、開閉板23が開く速度を自由に変えることができる。また突起部71を開閉板23に構成しない場合、支持部材51に一体または開閉板23の回動中心Bから突起71までの距離を調整可能な構成として取付けても良い。
また、その他の点においても、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能であることは勿論である。
10 上糸保持装置
20 挟持手段(上糸挟持手段)
21 第1挟持部材
21a コ字状部
22 糸捕捉部
23 開閉板(開閉体)
23a 閉塞部
23b 第1挟持部
31 第2挟持部材
32a 第2挟持部
32b 挟持面
51 支持部材
60 第1関連動作手段
70 第2関連動作手段
71 突起部
72 前端面(ストッパ)
104 縫い針
108 針板
NL 上下動経路
T 上糸

Claims (3)

  1. 上糸の糸端部を捕捉して挟持するための上糸挟持手段と、前記上糸挟持手段を駆動するための駆動手段とを備えており、縫い始めに、縫い針に挿通されている上糸の糸端部を針板の下方で捕捉して挟持するとともに、所定針数の針落ち後、挟持した前記上糸の糸端部を解放するミシンの上糸保持装置において、
    前記上糸挟持手段は、
    下降時の縫い針が遊挿され当該下降時の縫い針の周囲を取り囲むための枠状に形成された糸捕捉部を備え、前記糸捕捉部は前記縫い針の上下動経路に開口を向けたコ字状部及びこのコ字状部の開口を開閉可能な開閉体から構成すると共に、前記開閉体のうちの前記コ字状部の開口を閉塞する部位に第1挟持部が形成された第1挟持部材と、
    前記開閉体が前記コ字状部の開口を閉じた前記糸捕捉部の閉状態における当該糸捕捉部の内部において前記コ字状部にガイドされ当該コ字状部の開口が向けられた方向に沿って前記第1挟持部に対し相対的に接離することで前記糸端部の挟持と解放とを可能とする第2挟持部を有すると共に、当該第2挟持部の当接面が前記第1挟持部の当接面に倣うように揺動可能に設けられた第2挟持部材と、
    前記第1挟持部と前記第2挟持部とが接離する方向に沿って前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材をそれぞれ移動可能に支持する支持部材と、
    前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の前記支持部材に対する位置に応じて、当該第1挟持部材と当該第2挟持部材とを相対的に移動させる第1関連動作手段と、
    前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の前記支持部材に対する位置に応じて、前記コ字状部の開口が開くよう前記開閉体を動作させる第2関連動作手段と、
    を有し、
    前記駆動手段は、少なくとも前記糸捕捉部が前記縫い針の上下動経路上に位置する状態を初期位置として、前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材を前記コ字状部の開口が後方へ向きつつ前記初期位置から離間する離間方向に挟持位置、解放位置へと順番に移動させ、
    前記第1関連動作手段は、前記駆動手段による前記初期位置から前記挟持位置への離間移動に伴い、前記第1挟持部と前記第2挟持部とが近接して前記糸端部を挟持する相対移動動作の付与を行い、前記挟持位置から前記解放位置への離間移動に伴い、前記第1挟持部と前記第2挟持部とが離間して前記糸端部を解放する相対移動動作の付与を行い、
    前記第2関連動作手段は、前記挟持位置から前記解放位置へ移動するときに、前記第2挟持部材が前記第1挟持部材に対し前記離間方向への相対的な移動を開始した後に、前記コ字状部の開口が開くよう前記開閉体を動作させることを特徴とするミシンの上糸保持装置。
  2. 前記第2関連動作手段は、
    前記開閉体と一体的に構成されると共に前記離間方向に向かって突出した突起部と、前記突起部に当接するストッパと、を有し、
    前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材が前記挟持位置から前記解放位置へ移動するときに、前記突起部が前記ストッパに当接することにより、前記開閉体を前記離間方向とは逆方向に回動させて前記コ字状部の開口が開くよう構成され、
    前記突起部は、前記開閉体が回動して前記コ字状部の開口が開くときに、前記開閉体の回動による前記第1挟持部の回動速度についての前記離間方向とは逆方向への速度成分が、前記第1挟持部材の前記解放位置への移動による前記第1挟持部の前記離間方向への移動速度以上となるように、前記開閉体の回動中心から所定の距離に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のミシンの上糸保持装置。
  3. 前記突起部は、前記開閉体の回動中心からの距離が調整可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載のミシンの上糸保持装置。
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