JP2006314423A - ミシンのスプレッダー機構 - Google Patents

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博志 松崎
Kunihiko Morimoto
邦彦 森本
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Abstract

【課題】 スプレッダーがルーパーに干渉することなく、意図する目飛ばしを確実にすると共に、意図しない目飛びの発生を防止できて適正な縫製を可能にするミシンのスプレッダー機構を提供する。
【解決手段】 縫針2の上下運動と同期して、生地送り方向とほぼ平行な前後方向にルーパー棒7回りに揺動して針糸に係合し得るように楕円運動することで縫い目を形成するルーパー5と、生地送り方向とほぼ直交する左右方向に往復駆動して前記ルーパーの下糸を引っ掛けて前記針糸に寄せるスプレッダー17とを備える。スプレッダー17は、生地送り方向とほぼ同じ方向Gへ進んで糸寄せを行う糸寄せ位置と、この糸寄せ位置から反生地送り方向へ退く後退位置とにわたって前後方向に進退動可能に設けられる。
【選択図】図4

Description

本発明は、二重環縫いミシン等のスプレッダー機構に係り、より詳しくは、意図的に目飛ばしを可能にするミシンのスプレッダー機構に関する。
たとえば、ジーパンやスラックスなどの縫製は、効率良く生産するために、次のような工程を経て行われる。すなわち、図8に示すように、断面略U字形状の長尺の腰帯生地片100の開口部に、身頃生地片101の端部を挿入し、この各身頃生地片101・・・と腰帯生地片100を、所定距離Aだけ縫着し、その後所定距離Bだけ縫着させない目飛ばし部分(非縫合部分)を作り、再び所定距離Aだけ縫着させて行く、所謂間欠的な縫製で連続的に縫着する。そして、この縫着された生地片100,101・・・から1着分のスラックス等の生地片を取出すべく前記腰帯生地片100の所定位置C,Cを切断し、この切断された腰帯生地片100の切断端面100aを図9に示すように矢印D方向に折り込み、この折り込んだ端部を図10に示すように縫着して端面処理を行うのである。このような工程を経ると、スラックス等の身頃生地片と腰帯生地片が迅速に且つ多量に縫着できるため、最終的にスラックス等の生産効率を著しく高めることができる。
ところで、このような身頃生地片101・・・と腰帯生地片100との間欠的な縫着は、腰帯生地片100の切断端面100aを端面処理するうえで極めて便利であり、この身頃生地片101・・・と腰帯生地片100を目飛ばし部分を作ることなく連続的に縫着させる場合に比べて、腰帯生地片100の切断端面100a付近の縫着を、再度解かなくてよいことから、作業能率を大幅に向上できるからである。
しかして、意図的に目飛ばし部分を作る上記のような間欠的な縫着手段として、例えば、図11〜図13に示すようなものが公知である(例えば、特許文献1参照。)これは、縫針40の上下運動と同期して、生地送り方向Eとほぼ平行な前後方向にルーパー棒回りに揺動して針糸に係合し得るように楕円運動することで縫い目を形成するルーパー41と、生地送り方向Eとほぼ直交する左右方向に往復駆動してルーパー41の下糸を引っ掛けて前記針糸に寄せるスプレッダー42とを備えたミシンのスプレッダー機構において、スプレッダー42の駆動軸部材43を被駆動軸側部材43aと駆動軸側部材43bとに分け、この分け間にこれら部材43a,43bを接続・離脱させる可変機構44を設ける。可変機構44は、被駆動軸側部材43aと駆動軸側部材43bとを接続状態にするコイルばね45と、このコイルばね45の力に抗し作動して被駆動軸側部材43aと駆動軸側部材43bとを離脱させるエアーシリンダー46とからなる。かくして図8に示す身頃生地片101の始端縁101aをセンサー(図示せず)が検出したときにエアーシリンダー46の作動によりコイルばね45を介して被駆動軸側部材43aと駆動軸側部材43bとを接続させ、身頃生地片101の終端縁101bをセンサーが検出したときにエアーシリンダー46の作動により被駆動軸側部材43aと駆動軸側部材43bを離脱させることによって、スプレッダー42が動作状態・不動作状態に切り替えられる。スプレッダー42を動作状態にすることによりスプレッダー42が左右方向に往復駆動しルーパー41の下糸を引っ掛けて針糸に寄せるため縫着が行われ、スプレッダー42を不動作状態とすることによりスプレッダー42の動きを停止させるとスプレッダー42がルーパー41の下糸を引っ掛けることができないから縫着されず、目飛ばしが行われる。
特公平2−47238号公報
一般に、目飛ばし部を意図的に作らない連続的な縫着に際しては、スプレッダーはルーパーの最外周軌道(図4中に示す最外周軌道Jを参照)より下側に位置させてルーパーにできる限り近づけることでルーパーの下糸を確実に引っ掛けて糸寄せを行う。
これに対し、上記構成のスプレッダー機構のように目飛ばし工程時にスプレッダー42を駆動軸方向すなわち左方向に逃がすことで目飛ばし部分を作る間欠的な縫着手段では、そのスプレッダー42の逃がし方向がルーパー41の前後揺動方向と交差する方向であるため、スプレッダー42をルーパー41の最外周軌道より下側に位置させると、ルーパー41の動くタイミングによってはスプレッダー42がルーパー41に干渉し、スプレッター42が破損するという問題が生じる。したがって、この問題を回避するために、上記構成のスプレッダー機構ではスプレッダー42はルーパー41の最外周軌道より上側に位置させて糸寄せを行うようにしてある。
しかしながら、スプレッダー42をルーパー41の最外周軌道より上側に位置させるとスプレッダー42の先端部をルーパー41に近づけることに限界が生じ、ルーパー41の下糸の引っ掛けや糸寄せが不安定になり、意図しない目飛びが生じ、適正な縫着ができない。
また、上記構成のスプレッダー機構ではコイルばね45で被駆動軸側部材43aと駆動軸側部材43bとを接続状態に戻すようにしてあり、このばね45の戻し時間を要するため、ミシンの高速運転に対応し難いという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、意図的な目飛ばし工程時にスプレッダーを逃がす方向に工夫を凝らすことによりスプレッダーがルーパーに干渉することなく、意図する目飛ばしを確実に行うことができ、また目飛ばし部を作らない縫着工程時には意図しない目飛びの発生を防止できて適正な縫着を可能にするミシンのスプレッダー機構を提供することにある。
また、本発明はミシンの高速運転に対応して目飛ばしを作る間欠的な縫着を可能にするミシンのスプレッダー機構を提供することにある。
本発明は、縫針の上下運動と同期して、生地送り方向とほぼ平行な前後方向にルーパー棒回りに揺動して針糸に係合し得るように楕円運動することで縫い目を形成するルーパーと、生地送り方向とほぼ直交する左右方向に往復駆動して前記ルーパーの下糸を引っ掛けて前記針糸に寄せるスプレッダーとを備えたミシンのスプレッダー機構において、前記スプレッダーが、生地送り方向とほぼ同じ後方向へ進んで糸寄せを行う糸寄せ位置と、この糸寄せ位置から反生地送り方向へ退く後退位置とにわたって前後方向に進退動可能に設けられていることに特徴を有するものである。
ひとつの好適な態様として、本発明によるミシンのスプレッダー機構は、前記スプレッダーが可動スプレッダー取付台に固定され、この可動スプレッダー取付台が、左右方向に往復運動可能なスプレッダー軸に固定されたエアシリンダーブロックのシリンダー部内にて前後方向に往復動可能な複動式ピストンのロッドに取付けられているものとすることができる。
本発明のミシンのスプレッダー機構によれば、スプレッダーは、生地送り方向とほぼ同じ後方向へ進んで糸寄せを行う糸寄せ位置と、この糸寄せ位置から前方へ退く後退位置とにわたって、ルーパーの動き方向と同じ前後方向に進退動可能に設けているので、ルーパーに干渉することなく意図する目飛ばしを確実に行え、またルーパーに干渉することなくできる限り近づけることができてルーパーの下糸を確実に引っ掛けて糸寄せを行うことができるため、意図しない目飛びの発生を防止できて常に適正な縫着が行える。また、かかる動きをするスプレッダーによれば、複数本の縫針で針間のピッチが小さい場合でも問題なく適用できる。
スプレッダーは可動スプレッダー取付台に固定し、この可動スプレッダー取付台は、左右方向に往復駆動するスプレッダー軸に固定されたエアシリンダーブロックのシリンダー部内にて前後方向に往復動可能な複動式ピストンのロッドに取付けていると、前述した従来のスプレッダー機構の可変機構や単動式ピストンのような復帰用ばねを不要とするのでミシンの高速運転に対応して目飛ばしを作る間欠的な縫着を可能にする。
本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施例のスプレッダー機構を備えたミシンベッド部の斜視図、図2は同スプレッダー機構を、スプレッダーを糸寄せ位置に移動させた状態で示す斜視図、図3は同スプレッダー機構を、スプレッダーを後退位置に移動させた状態で示す斜視図、図4はスプレッダー機構を、スプレッダーを糸寄せ位置に移動させた状態で示す側面図、図5は同スプレッダー機構を、スプレッダーを後退位置に移動させた状態で示す側面図、図6は同スプレッダー機構のスプレッダーの正面図、図7(a)は図6におけるX−X線断面図を、スプレッダーを糸寄せ位置に移動させた状態で示し、(b)は図6におけるX−X線断面図を、スプレッダーを後退位置に移動させた状態で示している。
図1、図4において、1は二重環縫いミシンのミシンベッド部、2は縫針、3は針板、4は送り歯である。5は下向きL字形のルーパーであって、縫針2の上下運動と同期して針糸に係合し得るように楕円運動することで縫い目を形成し、二重環縫いを可能にするように、図外の周知のルーパー駆動機構により軸線方向(生地送り方向Eと直交する左右方向)に往復運動可能に且つ軸線回りに前後方向に揺動可能なルーパー棒7の左端側に嵌挿されたルーパー台8の上面に左右方向に複数本並べて固定されている。10はスプレッダー機構である。
図2、図6、図7に示すように、スプレッダー機構10は、図外のスプレッダー駆動機構により生地送り方向Eと直交する左右方向(図2中の矢印F方向)に往復運動可能なスプレッダー軸11の左端部にエアシリンダーブロック12をボルト13等で固定し、このエアシリンダーブロック12に可動スプレッダー取付台14を取り付け、この可動スプレッダー取付台14にスプレッダー補助台15をボルト16等で固定し、そのスプレッダー補助台15に、糸引掛け用爪17aを有するスプレッダー17を止ねじ18等で固定している。
上記エアシリンダーブロック12には、図7に示すように、シリンダー部19と案内孔20とを左右に平行に並べて設けている。シリンダー部19には複動式のピストン21が前後方向に往復動可能に挿入され、シリンダー部19内の前方開放端側はロッドカバー22、ロッドプレート23及びパッキン24等で塞がれ、それらロッドカバー22、ロッドプレート23にピストンロッド25が貫通される。案内孔20には案内棒26がシリンダーブッシュ27を介して挿入される。
一方、上記可動スプレッダー取付台14は、左右方向に延びる基板部14aと、この基板部14aの左端から後方へ延びる腕部14bとを有する平面視においてL形状に形成されて、腕部14bに上記スプレッダー補助台15が固定される。この可動スプレッダー取付台14の基板部14aにはねじ孔28と挿通孔29とを左右に並べて設けており、そのねじ孔28に上記ピストンロッド25の前端のねじ部25aが螺合されてナット30で締付け固定され、挿通孔29に上記案内棒26の前端部がボルト31などで固定される。しかしてピストン21はこれの両側に交互に空気を吸い込んで前後方向に往復動し、後方向への往動によりスプレッダー17が生地送り方向Eとほぼ同じ後方向(矢印G方向)へ進んで糸寄せを行う糸寄せ位置に移動し(図2、図7(a)参照)、前方向への復動によりスプレッダー17が反生地送り方向、すなわち前方向(矢印H方向)へ退く後退位置に移動する(図3、図7(b)参照)。
したがって、いま、ピストン21を往動させてスプレッダー17を糸寄せ位置に移動させた状態下でスプレッダー軸11を左右方向に往復駆動させると、スプレッダー17が左右方向に往復駆動しルーパー5の下糸32(図4参照)を引っ掛けて針糸(図示せず)に寄せるため縫着が行われる。ピストン21を復動させるとスプレッダー17が反生地送り方向、すなわち矢印Hで示す前方向へ退く後退位置に移動するため、スプレッダー17はルーパー5の下糸を引っ掛けることができないため、生地片は送り方向Eへ進むだけで縫着は行われず、目飛ばしが行われることになる。なお、複動式ピストン21の往復動の制御は、前述した従来の間欠的な縫着手段における可変機構44のエアーシリンダー46の制御の場合と同様に、生地片の終端縁(図8中、101b)と始端縁(図8中、101a)を検出するセンサー(図示せず)の検出信号に基づく制御装置(図示せず)によって自動制御される。
このようにスプレッダー17はルーパー5の動き方向と同じ前後方向に進退動可能に設けているので、ルーパー5に干渉することなく意図する目飛ばしが確実に行える。またスプレッダー17の糸引掛用爪17aを図4に示すごとくルーパー5の最外周軌道Jより下側に位置するようルーパー5にできる限り近づけても該ルーパー5に干渉することがないため、ルーパー5の下糸32を確実に引っ掛けて糸寄せを行うことができ、意図しない目飛びの発生を防止できて常に適正な縫着が行える。また、ルーパー5の動き方向と同じ前後方向に動かすスプレッダー17によれば、複数本の縫針2・・・で針2,2間のピッチが小さい場合でも問題なく使える。複動式ピストン21を用いてスプレッダー17を前後方向に進退動させるので、ミシンの高速運転に対応できる。
上記実施例ではスプレッダー17をエアシリンダーブロック12及びピストン21で直線的に前後動させるが、これに代えてスプレッダー17をロータリシリンダーを用いて円弧動で前後動させることもできる。
本発明の一実施例のスプレッダー機構を備えたミシンベッド部の斜視図である。 同スプレッダー機構を、スプレッダーを糸寄せ位置に移動させた状態で示す斜視図である。 同スプレッダー機構を、スプレッダーを後退位置に移動させた状態で示す斜視図である。 スプレッダー機構を、スプレッダーを糸寄せ位置に移動させた状態で示す側面図である。 同スプレッダー機構を、スプレッダーを後退位置に移動させた状態で示す側面図である。 同スプレッダー機構のスプレッダーの正面図である。 (a)は図6におけるX−X線断面図を、スプレッダーを糸寄せ位置に移動させた状態で示し、(b)は図6におけるX−X線断面図を、スプレッダーを後退位置に移動させた状態で示している。 生地片に対して縫着及び目飛ばしする場合を示す概略図である。 腰帯生地片を切断した部分を拡大して示す概略図である。 腰帯生地片の切断した端部を内部に折り込んで該端部を縫着した状態を示す部分概略図である。 従来例の二重環縫いミシンのスプレッダー機構を示す概略図である。 図11のスプレッダー機構の被駆動軸側部材と駆動軸側部材とを接続させた状態を示す可変機構の断面図である。 図11のスプレッダー機構の被駆動軸側部材と駆動軸側部材とを離脱させた状態を示す可変機構の断面図である。
符号の説明
2 縫針
5 ルーパー
7 ルーパー棒
10 スプレッダー機構
11 スプレッダー軸
12 エアシリンダーブロック
14 可動スプレッダー取付台
17 スプレッダー
19 シリンダー部
21 複動式ピストン
25 ピストンロッド

Claims (3)

  1. 縫針の上下運動と同期して、生地送り方向とほぼ平行な前後方向にルーパー棒回りに揺動して針糸に係合し得るように楕円運動することで縫い目を形成するルーパーと、生地送り方向とほぼ直交する左右方向に往復駆動して前記ルーパーの下糸を引っ掛けて前記針糸に寄せるスプレッダーとを備えたミシンのスプレッダー機構において、
    前記スプレッダーが、生地送り方向とほぼ同じ後方向へ進んで糸寄せを行う糸寄せ位置と、この糸寄せ位置から反生地送り方向へ退く後退位置とにわたって前後方向に進退動可能に設けられていることを特徴とする、ミシンのスプレッダー機構。
  2. 前記スプレッダーが可動スプレッダー取付台に固定され、この可動スプレッダー取付台が、左右方向に往復運動可能なスプレッダー軸に固定されたエアシリンダーブロックのシリンダー部内にて前後方向に往復動可能な複動式ピストンのロッドに取付けられている、請求項1記載のミシンのスプレッダー機構。
  3. 請求項1又は2に記載のスプレッタ−機構を備えていることを特徴とするミシン。

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