次に、上記した本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るグリルを備えたガスコンロ1の概略断面図であり、図2は、そのガスコンロ1の概略構成図である。
図1に示すように、上記ガスコンロ1は、システムキッチンのカウンタKに開設された取付口K1へ落とし込み状態で装着されるビルトイン式のコンロであり、上記取付口K1の上方へ開放する本体ケース10と、その本体ケース10上面の開放部をカウンタKの上面側から覆う天板11とを備えている。
天板11の上面には、五徳12が載置されており、この五徳12の下方に開設された天板11上面のバーナ用開口部(図示しない)には、五徳12上に載置された鍋やフライパン等をガスの燃焼熱によって加熱するコンロバーナ13が臨んでいる。また、天板11の上面には、後述する排気通路21の上端開放部210が臨む排気口110が開設されている。
本発明の第1の実施形態に係るグリル2は、上記本体ケース10と一体的に構成されており、魚や鶏肉等の食材Fを収容するグリル庫20と、上記食材Fから発生した油煙や臭気成分をガスコンロ1の外部へ導く排気通路21とを備えている。
グリル庫20の奥部には、排気通路21に繋がる排気用開口部200が形成されており、排気通路21は、この排気用開口部200から天板11の排気口110に向かって上方へ延びている。従って、食材Fから発生した油煙や臭気成分は、後述するグリルバーナ24,24から放出されたガスの燃焼排気とともに、上記排気用開口部200から排気通路21を通って排気口110へ導かれ、器外へ送り出される。
グリル庫20の正面部には、食材Fを出し入れするための取出口201が形成されており、この取出口201は、本体ケース10の正面側からグリル扉22で被蓋されている。
グリル扉22の裏面に連結された皿受け枠220には、食材Fから滴下する油分や水分を受けるグリル皿23が収容されており、このグリル皿23上面の焼き網230上に食材Fを載置して加熱調理が行われる。
グリル庫20の上部および側面下部には、ガス元管から送り込まれたガスの燃焼熱を生成するグリルバーナ24,24が設けられており、このグリルバーナ24,24から放出されるガスの燃焼熱によって食材Fが加熱される。
排気通路21内の底部且つ上記排気用開口部200近傍には、ガス元管から送り込まれたガスの燃焼熱を生成するアフターバーナ25が設けられており、このアフターバーナ25から放出されるガスの燃焼熱によって、食材Fから発生した油煙や臭気成分を加熱消失させる。
排気通路21の上端開放部210近傍には、上記油煙や臭気成分を酸化反応によって分解し、無煙無臭化する触媒フィルタ26が設けられており、上記アフターバーナ25から放出されたガスの燃焼熱によって加熱活性化される。
尚、上記触媒フィルタ26は、多数の貫通孔が形成された耐熱性のセラミック体に白金などの酸化触媒を担持させたものであり、所定の温度以上に加熱されることで活性化し、その貫通孔の表面を通過する油煙や臭気成分、表面に付着した油分や有機物を酸化分解する。
排気通路21の上記触媒フィルタ26より下流側の側壁には、触媒フィルタ26の表面温度(実質的には、触媒フィルタ26を通過した直後の器外への排気温度)を検知する温度センサ27が設けられている。
本体ケース10の正面部には、ガスコンロ1の電源スイッチC1と、グリルバーナ24,24を点火および消火させるための操作スイッチC2と、後述する省エネモードのオンオフを切り替えるための省エネスイッチC3と、触媒フィルタ26の目詰まりを点灯によって報知する目詰まりランプD1と、グリル2の動作エラーを点灯によって報知するエラーランプD2とが設けられている。
尚、上記操作スイッチC2は、グリルバーナ24,24の火力を調整する機能を兼備しており、回動させることによって後述するガス調整弁V1,V1の開度が調整される。
本体ケース10には、上述の目詰まりや動作エラーを音声によって報知するスピーカD3や、上記グリルバーナ24,24およびアフターバーナ25の燃焼動作を制御する燃焼制御回路CUの他、図2に示すように、グリルバーナ24,24へのガスの供給量を調整可能なガス調整弁V1,V1、アフターバーナ25へのガスの供給を遮断可能なガス調整弁V3、イグナイタIGから高電圧を印加させることによってグリルバーナ24,24およびアフターバーナ25へ火花放電する点火電極E、グリルバーナ24,24およびアフターバーナ25の炎孔で形成された炎を検知する炎センサTが設けられている。
燃焼制御回路CUは、図示しないマイクロコンピュータやメモリ、タイマ等で構成されており、上記温度センサ27、電源スイッチC1、操作スイッチC2、省エネスイッチC3、目詰まりランプD1、エラーランプD2、スピーカD3、ガス調整弁V1,V1,V3、点火電極Eおよび炎センサTは、この燃焼制御回路CUへ電気配線を介して接続されている。
また、燃焼制御回路CUの図示しないマイクロコンピュータには、後述する消煙消臭モードや省エネモードの燃焼モードを実行する制御プログラムが組み込まれており、この制御プログラムによって、上記グリルバーナ24,24やアフターバーナ25の燃焼動作が制御される。
具体的には、図3から図6の作動フローチャートに示すように、まず、電源スイッチC1が押されてオンになると、図示しないタイマによって操作スイッチC2や省エネスイッチC3の操作されない時間(以下、「無操作時間」という)の監視を開始し、その無操作時間が所定時間(ここでは、5分)に達すれば、電源スイッチC1をオフにして燃焼動作の制御を中止する(ST1〜2)。
一方、無操作時間が上記所定時間に到達する前に、操作スイッチC2がオンにされた場合は、省エネスイッチC3がオンになっているか否か、即ち、省エネモードが選択されているか否かを確認する(ST3)。
そして、上記ステップST3にて、省エネモードが選択されていない場合(省エネスイッチC3がオフの状態)には、グリルバーナ24,24およびアフターバーナ25を共に燃焼させる消煙消臭モードによる燃焼動作を実行させる。
消煙消臭モードによる燃焼動作は、まず、イグナイタIGから点火電極Eへ高電圧を印加させた上で、グリルバーナ24,24側のガス調整弁V1,V1およびアフターバーナ25側のガス調整弁V3を開放する。その結果、グリルバーナ24,24およびアフターバーナ25が共に点火され、このグリルバーナ24,24から放出されるガスの燃焼熱によって、グリル庫20内に収容された食材Fの加熱が開始される(ST4〜5)。
加熱された食材Fから油煙や臭気成分が発生し始めると、その油煙や臭気成分は、グリルバーナ24,24から放出されるガスの燃焼熱とともに、グリル庫20から排気用開口部200を通って排気通路21へ導かれるが、その際、アフターバーナ25から放出されるガスの燃焼熱によって加熱消失される。また、アフターバーナ25によって加熱消失しきれなかった油煙や臭気成分は、アフターバーナ25によって加熱活性化された触媒フィルタ26の表面を通過する際に酸化分解されて無煙無臭化する。
また、アフターバーナ25の点火が炎センサTによって検知されると、アフターバーナ25の燃焼時間が所定の基準加熱時間(ここでは、5分)に到達したか否かを図示しないタイマによって監視し、その燃焼時間が基準加熱時間に到達する前に操作スイッチC2が再度押されてオフになれば、グリルバーナ24,24側のガス調整弁V1,V1およびアフターバーナ25側のガス調整弁V3を閉塞し、グリルバーナ24,24およびアフターバーナ25を共に消火させた後、再び、上記ステップST1以降の動作を実行する(ST6〜9)。
上記ステップST6にて、操作スイッチC2がオフになる前にアフターバーナ25の燃焼時間が基準加熱時間に到達した場合は、後述する目詰まり報知動作が実行されていればその目詰まり報知動作を停止した上で、後述するリセット動作を実行する(ST10〜12)。
一方、上記ステップST3にて、省エネモードが選択されている場合(省エネスイッチC3がオンの状態)には、アフターバーナ25を燃焼させないでグリルバーナ24,24を燃焼させる省エネモードによる燃焼動作を実行させる。
省エネモードによる燃焼動作は、まず、イグナイタIGから点火電極Eへ高電圧を印加させた上で、グリルバーナ24,24側のガス調整弁V1,V1を開放する。その結果、グリルバーナ24,24のみが点火され、このグリルバーナ24,24から放出されるガスの燃焼熱によって、グリル庫20内に収容された食材Fの加熱が開始される(ST13)。
そして、操作スイッチC2が再度押されてオフになるまでに、グリルバーナ24,24の燃焼時間が予め設定された判定開始時間(ここでは、1分)に到達したか否かを図示しないタイマによって監視し、その燃焼時間が上記判定開始時間に到達する前に操作スイッチC2がオフになれば、上述のグリルバーナ24,24の消火動作を実行した後、再び、上記ステップST1以降の動作を実行する(ST14〜15,ST9)。
上記ステップST14にて、グリルバーナ24,24の燃焼時間が上記判定開始時間に到達した場合には、温度センサ27の検知温度THが予め設定された第1基準温度H1(ここでは、250℃)より低いか否かを判定する(ST16)。
上記第1基準温度H1は、触媒フィルタ26が最低限の酸化分解性能を発揮し得る活性化温度に設定されており、上記ステップST16にて、温度センサ27の検知温度THがこの第1基準温度H1より低い場合、即ち、触媒フィルタ26が低活性状態であると判定された場合には、その低活性状態である時間を第1の未使用時間A1として所定時間(ここでは、1分)単位で図示しないメモリへ累積記憶する(ST17)。
そして、この第1の未使用時間A1が予め設定された第1基準時間S1(ここでは、30時間)に到達したか否かを判定し、未だ第1基準時間S1に達していない場合、操作スイッチC2がオンの状態で維持されていれば、再び上記ステップST16以降の動作を繰り返す。一方、操作スイッチC2がオフになれば上述のステップST8以降の動作を実行する(ST18〜19)。
上記第1基準時間S1は、温度センサ27の検知温度THが第1基準温度H1より低い状態が続いた際に、触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物の蓄積量が増加し始める時期として設定された値であり、第1の未使用時間A1がこの第1基準時間S1に到達した場合には、目詰まりランプD1を点灯させ、使用者へ消煙消臭モードでの使用を促す(ST20)。
さらに、目詰まりランプD1を点灯させた後、上記第1の未使用時間A1が予め設定された第2基準時間S2(ここでは、50時間)に到達したか否かを判定し、未だ第2基準時間S2に達していない場合には、上述のステップST19以降の動作を実行する(ST21,ST19)。
上記第2基準時間S2は、温度センサ27の検知温度THが上記第1基準温度H1より低い状態が続いた際に、触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物の蓄積量が一層増加し、目詰まりを生じ易い時期として設定された値であり、第1の未使用時間A1がこの第2基準時間S2に到達した場合は、その第1の未使用時間A1が後述する第3基準時間S3に到達していない条件下において、アフターバーナ25を強制的に燃焼させる(ST22〜23)。
その結果、グリル庫20内から排気通路21へ導かれた油煙や臭気成分が、アフターバーナ25の燃焼熱によって加熱消失されると同時に、目詰まりの原因となる触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物も加熱消失される。
しかしながら、アフターバーナ25の強制燃焼を実行したにもかかわらず、温度センサ27の検知温度THが第1基準温度H1より低い状態が続き、第1の未使用時間A1が予め設定された第3基準時間S3(ここでは、51時間)を超えた場合には、目詰まり状態が解消しておらず、グリルバーナ24,24やアフターバーナ25から放出されたガスの燃焼排気が排気通路21を通って器外へ排出されていない状態、所謂、排気不良を引き起こしている可能性が高いから、この場合は、グリルバーナ24,24およびアフターバーナ25を共に消火させ、さらに、エラーランプD2を点灯させるとともにスピーカD3からグリル2の動作エラーを音声出力し、燃焼動作を強制終了させる(ST24〜25)。
これにより、上記排気不良を生じているにもかかわらず、グリル2が継続的に使用されるのを防止できる。
一方、上記ステップST16にて、温度センサ27の検知温度THが第1基準温度H1以上である場合は、さらに、その検知温度THが予め設定された第2基準温度H2(ここでは、350℃)より低いか否かを判定する(ST26)。
上記第2基準温度H2は、触媒フィルタ26が十分な酸化分解性能を発揮して目詰まりを引き起こし難い活性化温度に設定されており、上記ステップST26にて、温度センサ27の検知温度THがこの第2基準温度H2より低い場合、即ち、触媒フィルタ26が低活性状態ではないが高活性状態でもないと判定された場合には、その高活性状態でない時間(以下、「第2の未使用時間」という)A2を触媒フィルタ26の目詰まり度合いとして所定時間(ここでは、1分)単位で図示しないメモリへ累積記憶する(ST27)。
そして、この第2の未使用時間A2が予め設定された第4基準時間S4(ここでは、100時間)に到達したか否かを判定し、未だ第4基準時間S4に達していない場合、操作スイッチC2がオンの状態で維持されていれば、再び上記ステップST26以降の動作を繰り返す。一方、操作スイッチC2がオフになれば上述のステップST8以降の動作を実行する(ST28〜29)。
上記第4基準時間S4は、温度センサ27の検知温度THが第2基準温度H2より低い状態が続いた際に、触媒フィルタ26の目詰まりを生じる可能性が高くなる時間として設定された値であり、第2の未使用時間A2がこの第4基準時間S4に到達した場合には、目詰まりランプD1を点灯させる(ST30)。
さらに、目詰まりランプD1を点灯させた後、上記第2の未使用時間A2が予め設定された第5基準時間S5(ここでは、150時間)に到達したか否かを判定し、未だ第5基準時間S5に達していない場合には、上述のステップST29以降の動作を実行する(ST31,ST29)。
上記第5基準時間S5は、温度センサ27の検知温度THが上記第2基準温度H2より低い状態が続いた際に、触媒フィルタ26の目詰まりを生じる可能性が一層高くなる時間として設定された値であり、上記ステップST26からST31の動作が繰り返された結果、第2の未使用時間A2が第5基準時間S5に到達した場合は、その第2の未使用時間A2が後述する第6基準時間S6に到達していない条件下において、アフターバーナ25を強制的に燃焼させる(ST32〜33)。
その結果、グリル庫20内から排気通路21へ導かれた油煙や臭気成分が、アフターバーナ25の燃焼熱によって加熱消失されると同時に、目詰まりの原因となる触媒フィルタ26表面の油分や有機物も加熱消失される。
上記ステップST33にてアフターバーナ25の強制燃焼を実行したにもかかわらず、温度センサ27の検知温度THが第2基準温度H2より低い状態が続き、第2の未使用時間A2が予め設定された第6基準時間S6(ここでは、151時間)を超えた場合には、上述の排気不良を引き起こしている可能性が高いから、この場合は、上述のステップST24からST25の動作を実行して燃焼動作を強制終了させる。
一方、上記ステップST26にて、温度センサ27の検知温度THが第2基準温度H2以上である場合は、さらに、その検知温度THが予め設定された第3の基準温度H3(ここでは、500℃)より低いか否かを判定する(ST34)。
上記第3の基準温度H3は、触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物が加熱消失し得る温度に設定されており、上記ステップST34にて、温度センサ27の検知温度THがこの第3の基準温度H3より低い場合、操作スイッチC2がオンの状態で維持されていれば、再び上述のステップST16以降の動作を実行する。一方、操作スイッチC2がオフになれば上述のステップST8以降の動作を実行する(ST35)。
即ち、触媒フィルタ26が高温状態ではないが、高活性状態であると判定された場合には、その触媒フィルタ26の表面へ新たに付着した油分や有機物が酸化反応によって分解されるものと認められるから、この高活性状態である時間は、第1の未使用時間A1や第2の未使用時間A2として累積記憶しない。
これにより、上記未使用時間A1,A2の累積値と、実際の触媒フィルタ26の目詰まり度合いとの誤差が少なくなるから、最適な時期に目詰まりランプD1の点灯動作やアフターバーナ25の強制燃焼動作を実行させることが可能である。これにより、ガス使用量の節減効果が向上する。
一方、上記ステップST34にて、温度センサ27の検知温度THが第3基準温度H3以上である場合、即ち、触媒フィルタ26が高温状態であると判定された場合には、その高温状態が所定の基準加熱時間(5分)以上継続したか否かを図示しないタイマによって監視する(ST36)。
そして、ステップST36にて、上記高温状態が所定の基準加熱時間未満である場合には、上記ステップST35以降の動作を実行する一方、高温状態が基準加熱時間以上継続した場合は、アフターバーナ25を強制的に燃焼させる上記ステップST23の強制燃焼動作が実行されていればその強制燃焼動作を停止し、目詰まりランプD1を点灯させる上記ステップST20もしくはST30の目詰まり報知動作が実行されていればその目詰まり報知動作を停止する。さらに、図示しないメモリに記憶された上記第1の未使用時間A1および第2の未使用時間A2を0にリセットするリセット動作を実行した後、上述のステップST14以降の動作を実行する(ST37〜41)。
即ち、触媒フィルタ26の高温状態が基準加熱時間以上継続した場合、その触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物が、グリルバーナ24,24からの燃焼排気によって加熱消失されるものと認められるから、この場合は、強制燃焼動作および目詰まり報知動作が実行されていれば、それらの動作を停止させた上で、メモリに累積記憶された未使用時間A1,B1をリセットする。
このものでは、省エネモードによる燃焼動作を実行した際に、温度センサ27の検知温度が所定の基準温度より低い状態である時間を触媒フィルタ26の目詰まり度合いとして累積記憶し、その累積値(未使用時間A1,A2)が所定の基準時間に達すれば、強制的にアフターバーナ24,24を燃焼させて触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物を加熱消失させるから、省エネモードで加熱調理を行う頻度が増しても、触媒フィルタ26の目詰まりを生じ難く、排気通路21からの円滑な排気を長期的に維持することが可能である。これにより、触媒フィルタ26の消煙消臭性能を長期的に維持できるし、触媒フィルタ26の目詰まりに起因するグリルバーナ24,24の燃焼不良の発生も防止できる。
さらに、アフターバーナ24,24の強制燃焼動作の実行時間が基準加熱時間に達すれば、その強制燃焼動作を停止させるとともに、上記累積値(未使用時間A1,A2)をリセットするから、必要以上に強制燃焼動作が行われない。これにより、ガス使用量の節減効果が向上する。
また、触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物の蓄積量を触媒フィルタ26の表面温度に基づいて判定することによって、その判定された上記蓄積量と実際の蓄積量との誤差を少なくできるから、最適な時期に強制燃焼動作を実行させることが可能である。これにより、ガス使用量の節減効果が一層向上する。
[第2の実施形態]
尚、上記第1の実施形態では、排気通路21の側壁に温度センサ27を設け、この温度センサ27の検知温度に基づいて触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物の蓄積量を判定するものを説明したが、省エネモードによる燃焼動作の実行回数を累積記憶するカウント手段を燃焼制御回路CUに組み込み、このカウント手段に記憶された上記実行回数の累積値に基づいて、触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物の蓄積量を判定するものであっても良い。
図7は、本発明の第2の実施形態に係るグリルを備えたガスコンロ1の概略構成図であり、第1の実施形態として説明した上記ガスコンロ1と同様、本体ケース10には、電源スイッチC1、操作スイッチC2、省エネスイッチC3、目詰まりランプD1、エラーランプD2、スピーカD3、ガス調整弁V1,V1,V3、点火電極E、炎センサTおよび燃焼制御回路CUが設けられている。
また、本体ケース10には、後述するオートモードやグルメモード、オーブンモード等の調理モードを択一的に切り替えるためのモード切替スイッチC4が設けられており、このモード切替スイッチC4も上記燃焼制御回路CUに電気配線を介して接続されている。
燃焼制御回路CUには、上記第1の実施形態で説明した消煙消臭モードや省エネモードの燃焼モードを実行する制御プログラムの他、魚や干物等の調理に適したルーチンでグリルバーナ24,24の自動火力調整を行うオートモードの制御プログラム、ピザやグラタン等の調理に適したルーチンでグリルバーナ24,24の自動火力調整を行うグルメモードの制御プログラム、ダッチオーブン容器を使用した調理に適したルーチンでグリルバーナ24,24の自動火力調整を行うオーブンモードの制御プログラムが組み込まれており、上記オートモード、グルメモードおよびオーブンモードの各調理モードの制御プログラムは、モード切替スイッチC4が一回押される毎に「オートモード」、「グルメモード」、「オーブンモード」、「マニュアルモード(調理モードオフ)」の順で循環的に切り替わるように設定されている。尚、消煙消臭モードおよび省エネモードは、上記マニュアルモードが選択された状態で切り替えることができるように設定されている。
さらに、燃焼制御回路CUには、省エネモードによる燃焼動作の実行回数を累積記憶するカウント手段としてのカウントメモリ28が設けられており、このカウントメモリ28によって後述する未使用回数A3が計測される。
具体的には、図8および図9の作動フローチャートに示すように、まず、電源スイッチC1が押されてオンになると、上記第1の実施形態と同様、無操作時間の監視を開始し、その無操作時間が所定時間(ここでは、5分)に達すれば、電源スイッチC1をオフにして燃焼動作の制御を中止する(ST101〜102)。
尚、電源スイッチC1が押されてオンになった初期状態では、上記調理モードは「マニュアルモード」が選択されているものとする。
一方、無操作時間が上記所定時間に到達する前に、操作スイッチC2がオンにされた場合は、上記第1の実施形態と同様、省エネモードが選択されているか否かを確認し、省エネモードが選択されていなければ、消煙消臭モードでの燃焼動作を実行させる(ST103〜109)。
上記消煙消臭モードでの燃焼動作の実行中、操作スイッチC2がオフになる前にアフターバーナ25の燃焼時間が所定の基準加熱時間(ここでは、5分)に到達した場合は、後述する目詰まり報知動作が実行されていればその目詰まり報知動作を停止した上で、後述するリセット動作を実行する(ST110〜112)。
一方、上記ステップST103にて、省エネモードが選択されている場合には、上記第1の実施形態と同様、省エネモードでの燃焼動作を実行させる(ST113)。
このとき、モード切替スイッチC4が二回押されて「グルメモード」の調理モードが選択されている場合には、操作スイッチC2が再度押されてオフになるか、モード切替スイッチC4が再度押されてグルメモードから他の調理モードに切り替わったかを監視する(ST114〜115)。
尚、上記グルメモードの実行プログラムは、高温で食材の加熱調理を行うべく、グリルバーナ24,24の火力が比較的大きくなるようガス調整弁V1,V1の開度を調整する設定になっており、このグルメモードによって燃焼動作が実行された場合、触媒フィルタ26は、十分な酸化分解性能を発揮して目詰まりを引き起こし難い活性化温度(ここでは、350℃)以上に加熱される。従って、この場合は、後述する未使用回数A3を累積記憶しないで、操作スイッチC2がオフになるまでグリルバーナ24,24の燃焼動作を続ける。そして、操作スイッチC2がオフになれば、グリルバーナ24,24の消火動作を実行した後、再び、上記ステップST101以降の動作を実行する。
これにより、カウントメモリ28に記憶された未使用回数A3(後述する)の累積値と、実際の触媒フィルタ26の目詰まり度合いとの誤差が少なくなるから、最適な時期に後述する目詰まりランプD1の点灯動作やアフターバーナ25の強制燃焼動作を実行させることが可能である。これにより、ガス使用量の節減効果が向上する。
上記ステップST114にて、グルメモードが選択されていない場合は、カウントメモリ28によって、省エネモードによる燃焼動作の実行回数を未使用回数A3として累積記憶する(ST116)。
そして、この未使用回数A3が予め設定された第1基準回数N1(ここでは、300回)に到達したか否かを判定し、未だ第1基準回数N1に達していない場合は、操作スイッチC2がオフになるのを待って、上述のステップST108以降の動作を実行する(ST117〜118)。
上記第1基準回数N1は、触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物の蓄積量が増加し始める時期として設定された値であり、未使用回数A3がこの第1基準回数N1に到達した場合には、目詰まりランプD1を点灯させる(ST119)。
さらに、目詰まりランプD1を点灯させた後、上記未使用回数A3が予め設定された第2基準回数N2(ここでは、500回)に到達したか否かを判定し、未だ第2基準回数N2に達していない場合には、操作スイッチC2がオフになるのを待って、上述のステップST108以降の動作を実行する(ST120,ST118)。
上記第2基準回数N2は、触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物の蓄積量が一層増加し、目詰まりを生じ易い時期として設定された値であり、未使用回数A3がこの第2基準回数N2に到達した場合は、その未使用回数A3が後述する第3基準回数N3に到達していない条件下において、アフターバーナ25を強制的に燃焼させる(ST121〜122)。
その結果、グリル庫20内から排気通路21へ導かれた油煙や臭気成分が、アフターバーナ25の燃焼熱によって加熱消失されると同時に、目詰まりの原因となる触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物も加熱消失される。
また、アフターバーナ25の点火が炎センサTによって検知されると、アフターバーナ25の燃焼時間が所定の基準加熱時間(5分)に到達するまでの間に、操作スイッチC2がオフになるか否かを図示しないタイマによって監視し、その燃焼時間が基準加熱時間に到達する前に操作スイッチC2がオフになれば、上述のステップST108以降の動作を実行する(ST118,ST123〜124)。
上記ステップST124にて、操作スイッチC2がオフになる前にアフターバーナ25の燃焼時間が基準加熱時間に到達した場合は、アフターバーナ25の強制燃焼動作を停止するとともに目詰まりランプD1を消灯させ、さらに、上記カウントメモリ28に記憶された未使用回数A3を0にリセットするリセット動作を実行した後、上述のステップST118以降の動作を実行する(ST125〜127)。
一方、アフターバーナ25の強制燃焼動作を実行したにもかかわらず、その燃焼時間が基準加熱時間より短く、上記未使用回数A3がさらに予め設定された第3基準回数N3(ここでは、510回)を超えた場合には、目詰まり状態が解消していない可能性が高いから、この場合は、グリルバーナ24,24およびアフターバーナ25を共に消火させ、さらに、エラーランプD2を点灯させるとともにスピーカD3からグリル2の動作エラーを音声出力し、燃焼動作を強制終了させる(ST128〜129)。
これにより、上述の排気不良を生じているにもかかわらず、グリル2が継続的に使用されるのを防止できる。
このものでは、省エネモードによる燃焼動作を実行した際に、その実行回数をカウントし、その累積値(未使用回数A3)が所定の基準回数に達すれば、強制的にアフターバーナ24,24を燃焼させて触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物を加熱消失させるから、上記第1の実施形態と同様、触媒フィルタ26の消煙消臭性能を長期的に維持できるし、触媒フィルタ26の目詰まりに起因するグリルバーナ24,24の燃焼不良の発生も防止できる。
さらに、アフターバーナ24,24の強制燃焼動作の実行時間が基準加熱時間に達すれば、その強制燃焼動作を停止させるとともに、上記累積値(未使用回数A3)をリセットするから、上記第1の実施形態と同様、ガス使用量の節減効果が向上する。
また、燃焼制御回路CUに設けられたカウントメモリ28によって省エネモードによる燃焼動作の実行回数をカウントし、このカウント数に基づいて触媒フィルタ26の目詰まり度合いを判定する構成であるから、上記第1の実施形態で説明した温度センサ27のように、触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物の蓄積量を判定するための特別な部品や電気配線をガスコンロ1内へ配設する必要がない。これにより、ガスコンロ1全体の構造が複雑化しない。
[第3の実施形態]
尚、上記第2の実施形態では、省エネモードによる燃焼動作の実行回数を累積記憶するカウント手段を燃焼制御回路CUに組み込み、このカウント手段に記憶された上記実行回数の累積値に基づいて、触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物の蓄積量を判定するものを説明したが、上記カウント手段に代えて、省エネモードによる燃焼動作の実行時間を累積記憶する記憶手段を燃焼制御回路CUに組み込み、この記憶手段に記憶された上記実行時間の累積値に基づいて、触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物の蓄積量を判定するものであっても良い。
本発明の第3の実施形態に係るグリルを備えたガスコンロは、第2の実施形態で説明した上記ガスコンロ1の燃焼制御回路CUに設けられたカウントメモリ28に代えて、省エネモードによる燃焼動作の実行時間を計測するタイマと、その実行時間を累積記憶する記憶手段としてのメモリが設けられており、このメモリによって後述する未使用時間A4が計測される。
具体的には、図10および図11の作動フローチャートに示すように、上記第2の実施形態と同様、電源スイッチC1が押されてオンになると、無操作時間の監視を開始し、その無操作時間が所定時間(ここでは、5分)に達すれば、電源スイッチC1をオフにして燃焼動作の制御を中止する。一方、無操作時間が上記所定時間に到達する前に、操作スイッチC2がオンにされた場合、省エネモードが選択されていなければ、消煙消臭モードでの燃焼動作を実行させる。そして、消煙消臭モードでの燃焼動作の実行中、操作スイッチC2がオフになる前にアフターバーナ25の燃焼時間が所定の基準加熱時間(ここでは、5分)に到達した場合は、後述する目詰まり報知動作が実行されていればその目詰まり報知動作を停止した上で、後述するリセット動作を実行する(ST201〜212)。
一方、ステップST203にて、省エネモードが選択されている場合には、上記第2の実施形態と同様、省エネモードでの燃焼動作を実行させる。このとき、モード切替スイッチC4が二回押されて「グルメモード」の調理モードが選択されている場合には、後述する未使用時間A4を累積記憶しないで、操作スイッチC2がオフになるまでグリルバーナ24,24の燃焼動作を続ける。そして、操作スイッチC2がオフになれば、グリルバーナ24,24の消火動作を実行した後、再び、上記ステップST201以降の動作を実行する(ST213〜215)。
これにより、メモリに記憶された未使用時間A4(後述する)の累積値と、実際の触媒フィルタ26の目詰まり度合いとの誤差が少なくなるから、最適な時期に後述する目詰まりランプD1の点灯動作やアフターバーナ25の強制燃焼動作を実行させることが可能である。これにより、ガス使用量の節減効果が向上する。
上記ステップST214にて、グルメモードが選択されていない場合は、省エネモードによる燃焼動作の実行時間の計測を開始し、その実行時間を未使用時間A4としてメモリへ累積記憶する(ST216)。
そして、この未使用時間A4が予め設定された第7基準時間S7(ここでは、30時間)に到達したか否かを判定し、未だ第7基準時間S7に達していない場合は、操作スイッチC2がオフになるのを待って、上述のステップST208以降の動作を実行する(ST217〜218)。
上記第7基準回数S7は、触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物の蓄積量が増加し始める時期として設定された値であり、未使用時間A4がこの第7基準回数S7に到達した場合には、目詰まりランプD1を点灯させる(ST219)。
さらに、目詰まりランプD1を点灯させた後、上記未使用時間A4が予め設定された第8基準時間S8(ここでは、50時間)に到達したか否かを判定し、未だ第8基準時間S8に達していない場合には、操作スイッチC2がオフになるのを待って、上述のステップST208以降の動作を実行する(ST220,ST218)。
上記第8基準時間S8は、触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物の蓄積量が一層増加し、目詰まりを生じ易い時期として設定された値であり、未使用時間A4がこの第8基準時間S8に到達した場合は、その未使用時間A4が後述する第9基準時間S9に到達していない条件下において、アフターバーナ25を強制的に燃焼させ、省エネモードによる燃焼動作の実行時間の計測を停止する(ST221〜222)。
その結果、グリル庫20内から排気通路21へ導かれた油煙や臭気成分が、アフターバーナ25の燃焼熱によって加熱消失されると同時に、目詰まりの原因となる触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物も加熱消失される。
また、上記第2の実施形態と同様、アフターバーナ25が点火された後、その燃焼時間が所定の基準加熱時間(5分)に到達する前に操作スイッチC2がオフになれば、上述のステップST208以降の動作を実行する一方、操作スイッチC2がオフになる前にアフターバーナ25の燃焼時間が基準加熱時間に到達すれば、アフターバーナ25の強制燃焼動作を停止するとともに目詰まりランプD1を消灯させ、さらに、メモリに記憶された未使用時間A4を0にリセットした後、上述のステップST218以降の動作を実行する(ST223〜227)。
一方、アフターバーナ25の強制燃焼動作を実行したにもかかわらず、その燃焼時間が基準加熱時間より短く、上記未使用時間A4がさらに予め設定された第8基準時間S9(ここでは、51時間)を超えた場合には、目詰まり状態が解消していない可能性が高いから、この場合は、グリルバーナ24,24およびアフターバーナ25を共に消火させ、さらに、エラーランプD2を点灯させるとともにスピーカD3からグリル2の動作エラーを音声出力し、燃焼動作を強制終了させる(ST228〜229)。
これにより、上述の排気不良を生じているにもかかわらず、グリル2が継続的に使用されるのを防止できる。
このものでは、省エネモードによる燃焼動作を実行した際に、その実行時間をカウントし、その累積値(未使用時間A4)が所定の基準時間に達すれば、強制的にアフターバーナ24,24を燃焼させて触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物を加熱消失させるから、上記第1の実施形態と同様、触媒フィルタ26の消煙消臭性能を長期的に維持できるし、触媒フィルタ26の目詰まりに起因するグリルバーナ24,24の燃焼不良の発生も防止できる。
さらに、アフターバーナ24,24の強制燃焼動作の実行時間が基準加熱時間に達すれば、その強制燃焼動作を停止させるとともに、上記累積値(未使用時間A4)をリセットするから、上記第1の実施形態と同様、ガス使用量の節減効果が向上する。
また、燃焼制御回路CUに設けられたタイマによって省エネモードによる燃焼動作の実行時間を計測し、この計測時間に基づいて触媒フィルタ26の目詰まり度合いを判定する構成であるから、上記第1の実施形態で説明した温度センサ27のように、触媒フィルタ26の表面に付着した油分や有機物の蓄積量を判定するための特別な部品や電気配線をガスコンロ1内へ配設する必要がない。これにより、ガスコンロ1全体の構造が複雑化しない。
[その他]
尚、上記第1、第2および第3の実施形態では、グリルバーナ24,24が点火される前に選択された燃焼モードで燃焼動作を実行しているが、グリルバーナ24,24が点火された後に省エネスイッチC3が操作された場合は、実行中の燃焼モードから他方の燃焼モードに切り替えて燃焼動作を行う制御構成にしても良い。
また、上記第2および第3の実施形態では、グルメモードによって燃焼動作が実行された場合に未使用回数A3(未使用時間A4)を累積記憶しないで、グリルバーナ24,24の燃焼動作を続けるものを説明したが、グルメモード以外に、オーブンモードによって燃焼動作が実行された場合にも未使用回数A3(未使用時間A4)を累積記憶しないで、グリルバーナ24,24の燃焼動作を続ける制御構成にしても良い。
具体的には、グルメモードと同様、オーブンモードの実行プログラムは、高温でダッチオーブン容器を加熱すべく、グリルバーナ24,24の火力が比較的大きくなるようガス調整弁V1,V1の開度を調整する設定になっており、このオーブンモードによって燃焼動作が実行された場合、触媒フィルタ26は、十分な酸化分解性能を発揮して目詰まりを引き起こし難い活性化温度(350℃)以上に加熱される。従って、この場合は、未使用回数A3(未使用時間A4)を累積記憶しないで、操作スイッチC2がオフになるまでグリルバーナ24,24の燃焼動作を続ける。
この制御構成を採用することにより、カウントメモリ28に記憶された未使用回数A3(メモリに記憶された未使用時間A4)の累積値と、実際の触媒フィルタ26の目詰まり度合いとの誤差が少なくなるから、最適な時期に目詰まりランプD1の点灯動作やアフターバーナ25の強制燃焼動作を実行させることが可能である。これにより、ガス使用量の節減効果が向上する。