以下に、本発明に係る画像圧縮装置、画像出力装置、画像読取装置、画像圧縮方法、コンピュータプログラム及び記録媒体について、その実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
以下に、実施形態1の画像形成装置について説明する。実施形態1では、本発明の画像出力装置を、カラーコピー機能、カラースキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ通信機能、scan to e-mail機能等を備えるデジタルカラー複合機(画像形成装置)に適用した形態について説明する。なお、本発明は、デジタルカラー複合機だけでなく、デジタルカラー複写機、モノクロの画像を扱う複合機等にも適用できる。本実施形態1では、本発明の画像圧縮装置が、カラー画像を形成する画像形成装置の一部をなす形態を例示する。
図1は実施形態1の画像形成装置1の機能を示すブロック図である。本実施形態1の画像形成装置1は、原稿からカラー画像を光学的に読み取るカラー画像入力装置11を備えている。カラー画像入力装置11には、読み取ったカラー画像に応じた画像データ、及び圧縮画像データ(圧縮ファイル)を生成するカラー画像処理装置2が接続されている。カラー画像処理装置2には、カラー画像処理装置2が生成した画像データに基づいてカラー画像を出力するカラー画像出力装置13、及びカラー画像処理装置2が生成した圧縮ファイルを外部へ送信する送信装置14が接続されている。カラー画像入力装置11、カラー画像処理装置2、カラー画像出力装置13及び送信装置14には、ユーザからの操作を受け付ける操作パネル12が接続されている。
画像形成装置1で実行される各種処理は、図示しないCPU(Central Processing Unit)が制御する。画像形成装置1のCPUは、図示しないネットワークカード及びLANケーブルを介して、ネットワークに接続されたコンピュータ及び他のデジタル複合機等とデータ通信を行なう。
次に、画像形成装置1の各部の構成について説明する。操作パネル12は、ユーザが画像形成装置1の動作モードを設定するための設定ボタン及びテンキー等の操作部と、液晶ディスプレイ等の表示部とを備える。画像形成装置1の各部の動作は、操作パネル12より入力された情報に基づいて制御される。
カラー画像入力装置11は、例えばCCD(Charge Coupled Device )を有するカラースキャナを用いて構成されており、原稿からの反射光像を、CCDを用いてRGB(R:赤,G:緑,B:青)のアナログ信号として読み取って、カラー画像処理装置2へ出力する。
カラー画像処理装置2は、カラー画像入力装置11から入力されたRGBのアナログ信号に対して、A/D変換部20、シェーディング補正部21、原稿種別判別部22、入力階調補正部23、及び領域分離処理部24にて後述する画像処理を実行することによって、RGBのデジタル信号(以下、RGB信号という)からなる画像データを生成する。以下では、RGB信号の強度をそれぞれR,G,Bと表わす。
また、カラー画像処理装置2は、領域分離処理部24が出力したRGB信号に対して、色補正部25、黒生成下地除去部26、空間フィルタ処理部27、出力階調補正部28、及び階調再現処理部29にて後述する画像処理を実行することによって、CMYK(C:シアン,M:マゼンタ,Y:イエロー,K:ブラック)のデジタル信号からなる画像データを生成して、ストリームとしてカラー画像出力装置13へ出力する。なお、カラー画像処理装置2は、画像データをカラー画像出力装置13へ出力する前に、ハードディスク等の不揮発性の記憶装置である記憶部30に画像データを一旦記憶する構成であってもよい。
カラー画像出力装置13は、カラー画像処理装置2から入力された画像データに基づいて、熱転写、電子写真、又はインクジェット等の方式により、記録シート(例えば記録用紙等)上にカラー画像を形成して出力する。なお、画像形成装置1は、カラー画像出力装置13の代わりに、記録シート上にモノクローム画像を形成して出力するモノクロ画像出力装置を備えていてもよい。この場合、カラー画像処理装置2は、カラー画像の画像データをモノクローム画像の画像データに変換した上で、画像データをモノクロ画像出力装置へ出力する。
更に、カラー画像処理装置2は、領域分離処理部24が出力したRGB信号に対して圧縮処理部3にて後述する画像圧縮処理を実行することによって、圧縮されたカラー画像の画像データを有する圧縮ファイルを生成し、送信装置14へ出力する。圧縮処理部3は、本発明の画像圧縮装置として機能する。なお、カラー画像処理装置2は、圧縮ファイルを送信装置14へ出力する前に、記憶部30に一旦記憶する構成であってもよい。
送信装置14は、ネットワークカード又はモデム等を用いて構成されている。送信装置14は、公衆回線網、LAN(Local Area Network)又はインターネット等の通信ネットワーク(図示せず)に接続可能であり、ファクシミリ又は電子メール等の通信方法により、通信ネットワークを介して外部へ圧縮ファイルを送信する。例えば、操作パネル12においてscan to e-mailモードが選択されている場合、送信装置14は、圧縮ファイルを電子メールに添付した上で、設定された送信先へ送信する。
なお、送信装置14でファクシミリの送信を行なう場合は、画像形成装置1のCPUが、送信装置14にて相手先との通信手続きを行ない、送信可能な状態が確保されたときに、圧縮ファイルに対して圧縮形式の変更等の必要な処理を施してから、相手先に通信回線を介して順次送信する。
また、送信装置14でファクシミリの受信を行なう場合は、画像形成装置1のCPUは、送信装置14にて通信手続きを行ないながら、相手先から送信されてくる圧縮ファイルを受信して、カラー画像処理装置2に入力する。カラー画像処理装置2は、受信した圧縮ファイルに対し、不図示の伸張処理部で伸張処理を行なう。カラー画像処理装置2は、圧縮ファイルを伸張することによって得られたカラー画像の画像データに対して、必要に応じて、不図示の処理部で回転処理及び/又は解像度変換処理等を行ない、また、出力階調補正部28で出力階調補正を行ない、階調再現処理部29で階調再現処理を行なう。更にカラー画像処理装置2は、各種の画像処理が施された画像データを、カラー画像出力装置13へ出力し、カラー画像出力装置13は、画像データに基づいて記録シート上にカラー画像を形成する。
次に、カラー画像処理装置2における画像処理及び圧縮処理について説明する。A/D変換部20は、カラー画像入力装置11からカラー画像処理装置2へ入力されたRGBのアナログ信号を受け付け、RGBのアナログ信号をRGBのデジタル信号(即ちRGB信号)へ変換し、変換したRGB信号をシェーディング補正部21へ出力する。
シェーディング補正部21は、A/D変換部20から入力されたRGB信号に対して、カラー画像入力装置11の照明系、結像系及び撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を行なう。シェーディング補正部21は、歪みを取り除いたRGB信号を原稿種別判別部22へ出力する。
原稿種別判別部22は、シェーディング補正部21から入力されたRGBの反射率信号をRGB各色の濃度を示す濃度信号に変換し、文字、写真、又は印画紙等の原稿のモードを判別する原稿種別判別処理を実行する。原稿種別判別部22は、原稿種別判別処理の処理結果を、シェーディング補正部21から入力されたRGB信号と共に入力階調補正部23へ出力し、これにより、原稿種別判別処理の処理結果が後段の画像処理に反映される。なお、原稿種別判別処理をユーザが操作パネル12を用いてマニュアル設定する場合、原稿種別判別部22は、シェーディング補正部21から入力されたRGB信号のみをそのまま後段の入力階調補正部23に出力する。
入力階調補正部23は、RGB信号に対して、原稿種別判別処理結果に応じて、カラーバランスの調整、下地濃度の除去、及びコントラストの調整等の画質調整処理を行なう。入力階調補正部23は、処理を行なったRGB信号を領域分離処理部24へ出力する。
領域分離処理部24は、入力階調補正部23から入力されたRGB信号が表す画像中の各画素を、文字領域(黒文字領域、色文字領域)、網点領域、又は写真領域のいずれかに分離する。また、領域分離処理部24は、分離結果に基づき、各画素がいずれの領域に属しているかを示す領域識別信号(領域分離信号)を、黒生成下地除去部26、空間フィルタ処理部27、階調再現処理部29、及び圧縮処理部3へ出力する。更に、領域分離処理部24は、入力階調補正部23から入力されたRGB信号を、そのまま後段の色補正部25及び圧縮処理部3へ出力する。
色補正部25は、領域分離処理部24から入力されたRGB信号をCMYのデジタル信号(以下、CMY信号という)へ変換し、色再現の忠実化実現のために、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りをCMY信号から取り除く処理を行なう。色補正部25は、色補正後のCMY信号を黒生成下地除去部26へ出力する。
黒生成下地除去部26は、領域分離処理部24から入力された領域識別信号が示す各領域に応じて、色補正部25から入力されたCMY信号に基づき、CMY信号から黒色(K)信号を生成する黒生成処理と、元のCMY信号から黒生成で得たK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理とを行なう。この結果、CMY3色のデジタル信号は、CMYK4色のデジタル信号(以下、CMYK信号という)に変換される。黒生成下地除去部26は、CMY信号を変換したCMYK信号を空間フィルタ処理部27へ出力する。
黒生成下地除去部26が行なう黒生成処理の一例として、スケルトン・ブラックによる黒生成を行なう方法が用いられる。この方法では、スケルトン・カーブの入出力特性をy=f(x)、入力されるデータをC,M,Y、出力されるデータをC´,M´,Y´,K´、UCR(Under Color Removal )率をα(0<α<1)とすると、黒生成下地除去処理により出力されるデータはそれぞれ、下記の式(1)〜式(4)で表される。
K´=f(min(C,M,Y))…(1)
C´=C−αK´…(2)
M´=M−αK´…(3)
Y´=Y−αK´…(4)
ここで、UCR率α(0<α<1)とは、CMYが重なっている部分をKに置き換えてCMYをどの程度削減するかを示すものである。式(1)は、CMYの各信号強度の内の最も小さい信号強度に応じてK信号が生成されることを示している。
空間フィルタ処理部27は、黒生成下地除去部26から入力されたCMYK信号の画像データに対して、領域分離処理部24から入力された領域識別信号に基づいてデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行なう。これにより、画像データの空間周波数特性が補正され、カラー画像出力装置13における出力画像のぼやけ又は粒状性劣化が改善される。例えば、領域分離処理部24にて文字に分離された領域に対しては、空間フィルタ処理部27は、文字の再現性を高めるために、高周波成分の強調量が大きいフィルタを用いて空間フィルタ処理を行なう。また、領域分離処理部24にて網点に分離された領域に対しては、空間フィルタ処理部27は、入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理を行なう。空間フィルタ処理部27は、処理後のCMYK信号を出力階調補正部28へ出力する。
出力階調補正部28は、空間フィルタ処理部27から入力されたCMYK信号に対して、カラー画像出力装置13の特性に合わせて網点面積率に基づく出力階調補正処理を行ない、出力階調補正処理後のCMYK信号を階調再現処理部29へ出力する。
階調再現処理部29は、出力階調補正部28から入力されたCMYK信号に対して、領域分離処理部24から入力された領域識別信号に基づいて、領域に応じた中間調処理を行なう。例えば、領域分離処理部24にて文字に分離された領域に対しては、階調再現処理部29は、高周波成分の再現に適した高解像度のスクリーンによる二値化又は多値化の処理を行なう。また、領域分離処理部24にて網点に分離された領域に対しては、階調再現処理部29は、階調再現性を重視したスクリーンでの二値化又は多値化の処理を行なう。階調再現処理部29は、処理後の画像データをカラー画像出力装置13へ出力する。
カラー画像処理装置2は、階調再現処理部29で処理された画像データ(CMYK信号)を記憶部(例えば記憶部30)に一旦記憶し、画像形成をする所定のタイミングで記憶部に記憶した画像データを読み出し、読み出した画像データをカラー画像出力装置13へ出力する。これらの制御は、例えば、CPU(不図示)により行なわれる。
圧縮処理部3は、領域分離処理部24から入力された領域識別信号とRGB信号からなる画像データとに基づき、本発明の画像圧縮方法を用いて圧縮ファイルを生成する。以下に、圧縮処理部3の構成及び圧縮処理部3が行なう処理について詳述する。
圧縮処理部3に入力されるカラー画像(画像データ)は、マトリクス状に配置されている複数の画素で構成されている。圧縮処理部3は、入力された画像データを前景レイヤと背景レイヤとに分離し、前景レイヤを2値画像に変換した後、例えばMMRで可逆圧縮し、背景レイヤを例えばJPEGで非可逆圧縮する。また、圧縮処理部3は、可逆圧縮された前景レイヤ(2値画像)及び非可逆圧縮された背景レイヤと、これらを伸張してカラー画像の画像データとなすための伸張情報とを一つのファイルにまとめる。このファイルが圧縮ファイルである。また、伸張情報としては、圧縮形式を示す情報、及びインデックス・カラー・テーブル(以下、ICテーブルという)等が用いられる。このような圧縮ファイルは、カラー画像の画像データが直接的に圧縮される場合、又は、前景レイヤと背景レイヤとが圧縮される場合等に比べて、ファイルサイズが小さくなり、且つ、画質の劣化が抑制される。しかも、2値画像に対する可逆圧縮手段と背景レイヤに対する非可逆圧縮手段とをそれぞれ1種類ずつ備えていればよいので、3種類以上の圧縮手段を備えておく必要がない。
図2及び図3は圧縮処理部3の内部構成を示すブロック図である。なお、図2(a)は本実施形態1の圧縮処理部3の構成を示し、図2(b),図3(a)及び図3(b)は圧縮処理部3の他の構成例を示す。図2(a)に示すように、圧縮処理部3は、2値データ生成部31、可逆圧縮部32、補正処理部33及び非可逆圧縮部34を備える。領域分離処理部24からのRGB信号(画像データ)及び領域識別信号は、2値データ生成部31及び補正処理部33へ入力される。
また、ユーザが操作パネル12を介して設定した圧縮処理に関する設定情報を示す処理信号が、2値データ生成部31に入力される。なお、設定情報としては、例えば、圧縮処理部3によって生成される圧縮ファイルのファイルフォーマットの種類、画質を優先した圧縮処理の実行を指示する高精細モードが選択されたか否か、高圧縮率での圧縮処理の実行を指示する高圧縮モードが選択されたか否か、等がある。また、設定情報としては、黒文字の視認性を重視した圧縮処理の実行を指示する黒文字重視モードが選択されたか否か、黒文字を含む2色の文字の視認性を重視した圧縮処理の実行を指示する2色文字モードが選択されたか否か、等がある。
2値データ生成部31は、領域識別信号及び処理信号に基づいて、入力された画像データから、文字を表す前景レイヤを生成する。例えば、黒文字重視モードが選択されていることを示す処理信号が入力されている場合、2値データ生成部31は、領域識別信号から黒文字領域信号を抽出し、黒文字のエッジに対応する画素を2値で表した2値画像(2値データ)を生成することにより、前景レイヤを生成する。また、2色文字モードが選択されていることを示す処理信号が入力されている場合、2値データ生成部31は、領域識別信号から黒文字領域信号と、ユーザが指定した1色の色文字領域信号とを抽出し、黒文字及び色文字のそれぞれについて、それぞれのエッジに対応する画素を2値で表した2値画像(前景レイヤ)を生成する。2値データ生成部31は、生成した前景レイヤを可逆圧縮部32へ出力する。
可逆圧縮部32は、2値データ生成部31から入力された前景レイヤに対して可逆圧縮を行なう。なお、2値データ生成部31が黒文字及び色文字に対する前景レイヤをそれぞれ生成した場合、可逆圧縮部32は、それぞれの前景レイヤに対して可逆圧縮を行なう。
黒文字領域又は色文字領域を検出した2値データ生成部31は、黒文字領域又は色文字領域を示す信号を補正処理部33へ出力し、補正処理部33は、2値データ生成部31から入力された黒文字領域又は色文字領域を示す信号に基づいて黒文字領域又は色文字領域に含まれる画素を特定する処理を行なう。
補正処理部33は、2値データ生成部31から入力される黒文字領域を示す信号(2色文字モードが選択されている場合には色文字領域を示す信号も含む)に基づいて、可逆圧縮される領域、即ち前景レイヤに対応する画素と、その周辺画素との濃度勾配を弱めるようなフィルタ補正を行ない、背景レイヤを生成する。具体的には、補正処理部33は、2値データ生成部31から入力される黒文字領域を示す信号に基づいて、画像から黒文字領域に含まれる各画素を特定し、黒文字領域中の画素とその他の画素との濃度差を縮小する処理を行なう。即ち、黒文字エッジ上の画素に対して、エッジ近傍にある画素との間における濃度差が小さくなるようなフィルタ処理が行なわれる。
なお、2色文字モードが選択されている場合、補正処理部33は、2値データ生成部31から入力される黒文字領域を示す信号及び色文字領域を示す信号に基づいて、画像から黒文字領域及び色文字領域のいずれかに含まれる各画素を特定し、黒文字領域及び色文字領域中の画素とその他の画素との濃度差を縮小する処理を行なう。即ち、黒文字エッジ及び色文字エッジ上の画素に対して、エッジ近傍にある画素との間における濃度差が小さくなるようなフィルタ処理が行なわれる。更に、補正処理部33は、可逆圧縮される領域(前景レイヤ)に対応する画素以外の画素に対して濃度の平滑化処理を行なう。補正処理部33は、このようなフィルタ処理及び平滑化処理を行なうことにより、背景レイヤを生成し、非可逆圧縮部34へ出力する。
なお、黒文字領域を示す信号及び色文字領域を示す信号が2値データ生成部31から入力されない形態の場合、補正処理部33は、2値データ生成部31と同様の処理を行なうことにより、各画素が黒文字のエッジに含まれる画素であるか、色文字のエッジに含まれる画素であるかを判定する。具体的には、補正処理部33は、領域識別信号に基づいて、黒文字のエッジに対応する画素、及び色文字のエッジに対応する画素を特定する。
非可逆圧縮部34は、補正処理部33から入力された背景レイヤに対して、可逆圧縮部32よりも高い圧縮率での非可逆圧縮を行なう。
圧縮処理部3は、可逆圧縮部32で可逆圧縮された前景レイヤ(可逆圧縮データ)と、非可逆圧縮部34で非可逆圧縮された背景レイヤ(非可逆圧縮データ)と、ICテーブル等の伸張情報とを一つのファイルにまとめ、圧縮ファイルを生成する。
カラー画像処理装置2は、圧縮処理部3で生成された圧縮ファイルを記憶部30に一旦記憶し、画像送信をする所定のタイミングで記憶部30に記憶した圧縮ファイルを読み出し、読み出した圧縮ファイルを送信装置14へ出力する。なお、ここでの各部の制御は、例えば、CPUにより行なわれる。
なお、例えば、領域分離回路(領域分離処理部24)を使用しない設定でカラー画像処理装置2を動作させた場合、領域分離回路を有しないカラー画像処理装置2の場合等では、各画素が黒文字(エッジ)又は色文字(エッジ)であると判定するための領域識別信号が圧縮処理部3に入力されない。従って、この場合、2値データ生成部31は、文字のエッジを検出する処理と黒画素を判定する処理(色画素を判定する処理)とを行ない、黒文字(及び色文字)の2値マスク(前景レイヤ)を生成する。
エッジを検出する処理としては、ソベルのエッジ検出フィルタなど、一般的なエッジ検出フィルタ処理を利用できる。また、黒画素を判定する処理としては、画像中の各画素について、R=G=B≦TH1であるか否かを判定し、R=G=B≦TH1である場合に、この画素が黒画素であると判定する処理を用いることができる。ここで、TH1は、各画素の色が黒であると判定するためのRGB信号強度の閾値であり、予め2値データ生成部31に記憶されている値である。また、黒画素を判定する処理として、|R−G|,|G−B|,|B−R|がそれぞれ所定閾値(TH2)以下であり、且つ、R,G,BがいずれもTH1以下である場合に、各画素が黒画素であると判定する処理を用いてもよい。ここで、TH2は、TH1よりも小さい値であり、予め2値データ生成部31に記憶されている。なお、各閾値については、種々の画像サンプルを用いて黒画素を適切に判定できる値を算出して設定すれば良い。例えば、輝度40%程度までを黒文字とした場合、TH1=94と設定し、色差5程度までを許容するとした場合、TH2=14と設定することができる。
また、色画素を判定する処理としては、例えば、ユーザが選択した代表色(赤色、緑色、青色、水色、赤紫色、黄色の何れか1つ)のRGB値をそれぞれRt,Gt,Btとした場合に、代表色に対して、|R−Rt|,|G−Gt|,|B−Bt|がそれぞれ所定閾値(TH2)以下である場合に、各画素が代表色の色画素であると判定する処理を用いることができる。ここでは、例えば、色差5程度までを許容するとした場合、TH2=14と設定することができる。
以下に、圧縮処理部3の変形例について説明する。図2(b)には、背景レイヤを低解像度化する構成の圧縮処理部3を示す。図2(b)に示した圧縮処理部3は、2値データ生成部31、可逆圧縮部32、補正処理部33及び非可逆圧縮部34に加えて、背景レイヤを低解像度化する低解像度化部35を備える。補正処理部33は、背景レイヤを低解像度化部35へ出力し、低解像度化部35は、補正処理部33から入力された背景レイヤを低解像度画像へ変換し、低解像度化した背景レイヤを非可逆圧縮部34へ出力する。非可逆圧縮部34は、低解像度化部35から入力された背景レイヤに対して非可逆圧縮を行なう。2値データ生成部31及び可逆圧縮部32は、前述と同様の処理を行なう。
なお、低解像度化部35には、ユーザが操作パネル12を介して設定した圧縮処理に関する設定情報を示す処理信号が入力されており、高圧縮モードが選択されていることを示す処理信号が入力されている場合、低解像度化部35は、上述したように背景レイヤを低解像度化する。このように背景レイヤの低解像度化を行なうことにより、圧縮ファイルのデータサイズをより小さくすることができる。
一方、高精細モードが選択されていることを示す処理信号が入力されている場合、低解像度化部35は、背景レイヤを低解像度化せずに、そのまま非可逆圧縮部34へ出力する。このように背景レイヤの低解像度化を行なわない場合には、背景レイヤの画質の劣化を回避できる。低解像度化処理としては、単純間引き、二アレストネイバー、バイリニア、バイキュービック等、どのような解像度変換(変倍)処理を用いても構わない。
図3(a)には、背景レイヤの濃度補正を行なう構成の圧縮処理部3を示す。図3(a)に示した圧縮処理部3は、2値データ生成部31、可逆圧縮部32、補正処理部33及び非可逆圧縮部34に加えて、背景レイヤの濃度補正を行なう濃度補正処理部36及び37を備える。領域分離処理部24からの画像データ及び領域識別信号は濃度補正処理部36へ入力される。濃度補正処理部36は、画像に含まれる画素の濃度をより高濃度化する濃度補正の処理を行なう。濃度補正処理部36は、濃度補正を行なった画像データを補正処理部33へ出力し、補正処理部33は、濃度補正処理部36から入力された画像データから背景レイヤを生成して濃度補正処理部37へ出力する。濃度補正処理部37は、補正処理部33から入力された背景レイヤに含まれる画素の濃度をより高濃度化する濃度補正の処理を行ない、濃度補正を行なった背景レイヤを非可逆圧縮部34へ出力する。非可逆圧縮部34は、濃度補正処理部37から入力された背景レイヤに対して非可逆圧縮を行なう。2値データ生成部31及び可逆圧縮部32は、前述と同様の処理を行なう。
図3(b)には、背景レイヤの低解像度化及び濃度補正を行なう構成の圧縮処理部3を示す。図3(b)に示した圧縮処理部3は、2値データ生成部31、可逆圧縮部32、補正処理部33及び非可逆圧縮部34に加えて、低解像度化部35、濃度補正処理部36及び37を備える。濃度補正処理部36は、濃度補正を行なった画像データを補正処理部33へ出力し、補正処理部33は、濃度補正処理部36から入力された画像データから背景レイヤを生成して低解像度化部35へ出力する。低解像度化部35は、補正処理部33から入力された背景レイヤを低解像度画像へ変換し、低解像度化した背景レイヤを濃度補正処理部37へ出力する。濃度補正処理部37は、低解像度化部35から入力された背景レイヤに対して濃度補正の処理を行ない、濃度補正を行なった背景レイヤを非可逆圧縮部34へ出力する。非可逆圧縮部34は、濃度補正処理部37から入力された背景レイヤに対して非可逆圧縮を行なう。2値データ生成部31及び可逆圧縮部32は、前述と同様の処理を行なう。
次に、2値データ生成部31による処理について説明する。図4は2値データ生成部31が行なう処理の手順を示すフローチャートである。2値データ生成部31は、操作パネル12を介したユーザによる設定に基づいて、黒文字重視モードが設定されているか、2色文字モードが設定されているかを判断する(S1)。黒文字重視モードが設定されていると判断した場合(S1:YES)、2値データ生成部31は、領域分離処理部24から入力された領域識別信号の内、画素が黒文字領域に含まれることを示す文字領域信号に基づき、領域分離処理部24から入力された画像データに基づく画像に含まれる黒文字のエッジを検出する(S2)。
図5は黒文字又は色文字のエッジの検出例を示す概念図である。図5(a)は領域識別信号のフォーマット例を示す。図5(a)に示す例では、領域識別信号は4ビットの信号であり、左端のビットが色文字の領域を示し、左端から2番目のビットが黒文字の領域を示し、左端から3番目のビットが網点領域を示し、右端のビットが写真領域を示すビットであるとする。各ビットが1であれば、画素はそのビットが示す領域に含まれており、ビットが0であれば画素はそのビットが示す領域には含まれていない。図5(b)は画像中の各画素に領域識別信号を対応させた例を示す。画像に含まれる画素の内、黒文字領域を示すビットが1となっている画素を抽出することにより、画像中の黒文字領域が検出される。更に、抽出した画素の内、両隣、四近傍、又は八近傍が黒文字領域となっている画素を除外することにより、残った画素は黒文字のエッジに対応する画素となり、黒文字のエッジが検出される。図5(c)は、図5(b)に示した各画素の内、黒文字のエッジに対応する画素を1で示し、他の画素を0で示した状態を示す。ステップS2により、図5(c)に示すような、黒文字のエッジを表す2値マスクが得られる。
なお、領域分離処理部24から領域識別信号が入力されない形態の場合は、2値データ生成部31は、ステップS1で、文字のエッジを検出する処理及び黒画素を判定する処理を行なうことにより、黒文字のエッジを検出する。図6〜図8はフィルタ処理及び黒画素を判定する処理により、黒文字のエッジを検出した例を示す概念図である。図6(a)は、各画素の濃度を0〜255の値で示した画像を示す。図6(b)は、縦横2種類の3×3のソベルのエッジ検出フィルタを示す。図7(a)は、図6(a)に示す画像に対して、図6(b)に示す2種類のソベルのエッジ検出フィルタを適用したフィルタ結果を加算してから絶対値を取った結果を示す。文字エッジ以外の部分に対応する画素に対応する値は0となり、より大きい値に対応する画素が文字エッジとして検出される。
2値データ生成部31は、次に、所定の閾値より大きい値を1、閾値以下の値を0とすることにより、エッジの検出結果の2値化を行なう。図7(b)は、閾値を500として2値化を行なった結果を示す。2値化の結果、1に対応する画素が文字エッジとして検出される。2値データ生成部31は、次に、2値化の結果1の値に対応する画素に対して、黒画素であるか否かを判定し、黒画素である場合に画素に対応する値を1とし、黒画素でない場合に画素に対応する値を0とする処理を行なう。黒画素を判定する処理としては、前述したように、R=G=B≦TH1であるか、又は、|R−G|,|G−B|,|B−R|がそれぞれTH2以下であってしかもR,G,BがいずれもTH1以下であるかを判定する処理を行なう。図8は、図6(a)に示す画像の各画素のRGB値がR=G=Bであり、TH1=60及びTH2=10とした場合に、黒画素を判定した結果を示す。図8中で1の値に対応する画素が、最終的に黒文字のエッジとして検出された画素である。
2値データ生成部31は、ステップS1が終了した後、黒文字のエッジとして検出した画素での濃度値の総和を計算し、黒文字のエッジの画素数をカウントし、濃度値の総和を画素数で除することにより、黒文字のエッジでの黒濃度の平均値を計算する(S3)。画素の濃度値としては、例えば、R、G及びBの値の平均値を用いる。圧縮処理部3では、計算した黒濃度の平均値を、黒文字の黒濃度を示す黒文字情報として使用する。これにより、圧縮する前の画像の黒濃度となるべく近い濃度で黒文字エッジを置き換えることが可能となる。なお、処理を簡略化するために、黒濃度を固定値として予め定めておき、ステップS2を省略する形態であってもよい。
2値データ生成部31は、次に、検出した黒文字のエッジに対応する画素の濃度値を1とし、他の画素の濃度値を0とする等の方法で、入力された画像から2値画像を生成することにより、前景レイヤを生成する(S4)。前景レイヤを生成した2値データ生成部31は、前景レイヤ及び黒文字情報を可逆圧縮部32へ出力し、処理を終了する。
ステップS1で2色文字モードが設定されていると判断した場合(S1:NO)、2値データ生成部31は、領域分離処理部24から入力された領域識別信号の内、画素が黒文字領域に含まれることを示す文字領域信号及び画素が色文字領域に含まれることを示す文字領域信号に基づき、領域分離処理部24から入力された画像データに基づく画像に含まれる黒文字のエッジ及び色文字のエッジをそれぞれ検出する(S5)。
ここでは、2値データ生成部31は、画像に含まれる画素の内、黒文字領域を示すビットが1となっている画素と、色文字領域を示すビットが1となっている画素とをそれぞれ抽出することにより、画像中の黒文字領域及び色文字領域を検出する。更に、2値データ生成部31は、抽出した画素の内、両隣、四近傍、又は八近傍が黒文字領域又は色文字領域となっている画素を除外することにより、残った画素は黒文字又は色文字のエッジに対応する画素となり、黒文字及び色文字のエッジが検出される。図5(d)は、図5(b)に示した各画素の内、色文字のエッジに対応する画素を1で示し、他の画素を0で示した状態を示す。ステップS5により、図5(c)に示す黒文字のエッジを表す2値マスクと、図5(d)に示す色文字のエッジを表す2値マスクとが得られる。
なお、領域分離処理部24から領域識別信号が入力されない形態の場合は、2値データ生成部31は、ステップS5で、上述したような文字のエッジを検出する処理及び黒画素を判定する処理を行なうことにより、黒文字のエッジを検出する。また、2値データ生成部31は、文字のエッジを検出する処理によって得られたエッジの検出結果を2値化し、2値化の結果1の値に対応する画素に対して、色画素であるか否かを判定し、色画素である場合に画素に対応する値を1とし、色画素でない場合に画素に対応する値を0とする処理を行なう。
色画素を判定する処理としては、前述したように、ユーザが選択した代表色(赤色、緑色、青色、水色、赤紫色、黄色の何れか1つ)のRGB値をRt,Gt,Btとした場合に、|R−Rt|,|G−Gt|,|B−Bt|がそれぞれTH2以下であるかを判定する処理を行なう。図7(b)において1に対応する画素の近傍の画素のRGB値が|R−Rt|≦TH2,|G−Gt|≦TH2,|B−Bt|≦TH2であり、TH2=10とした場合、図8に示すような色画素の判定結果が得られる。図8中で1の値に対応する画素が、最終的に色文字のエッジとして検出された画素である。
2値データ生成部31は、ステップS5が終了した後、ステップS3と同様の処理により、黒文字のエッジでの黒濃度の平均値と、色文字のエッジでの色濃度の平均値とを計算する(S6)。画素の濃度値としては、例えば、R、G及びBの値の平均値を用いる。圧縮処理部3では、計算した黒濃度の平均値を、黒文字の黒濃度を示す黒文字情報として使用し、色濃度の平均値を、色文字の色濃度を示す色文字情報として使用する。これにより、圧縮する前の画像の黒濃度及び色濃度となるべく近い濃度で黒文字エッジ及び色文字エッジを置き換えることが可能となる。なお、処理を簡略化するために、黒濃度及び色濃度を固定値として予め定めておき、ステップS6を省略する形態であってもよい。
2値データ生成部31は、次に、検出した黒文字又は色文字のエッジに対応する画素の濃度値を1とし、他の画素の濃度値を0とする等の方法で、入力された画像から黒文字及び色文字のそれぞれに対応する2値画像を生成することにより、前景レイヤを生成する(S7)。前景レイヤを生成した2値データ生成部31は、前景レイヤ、黒文字情報及び色文字情報を可逆圧縮部32へ出力し、処理を終了する。
次に、2値データ生成部31が画像データから2値画像(前景レイヤ)を生成する処理について具体的に説明する。図9は入力された画像の例を示す模式図である。図9に示す画像に含まれる5段の「TEST」という文字の内、1段目、3段目及び5段目の文字は黒文字であり、2段目及び4段目の文字は色文字(有彩色で形成された文字)である。また、1段目、2段目及び3段目の文字の背景は白色であり、4段目及び5段目の文字の背景は有彩色である。
図10は、黒文字を含む前景レイヤの例を示す模式図であり、図9に示す画像から黒文字のエッジを検出して2値画像を生成した例を示す。図中の黒い部分は画素の濃度値が1となった部分であり、図中の白い部分は画素の濃度値が0となった部分である。なお、濃度値0は、透明であることを示す。図9中に含まれる文字の内、黒文字エッジのみが検出された場合、図10に示すような2値画像、即ち前景レイヤが生成される。
図11は、画像に対してエッジ検出のみを行なった結果を示す模式図であり、図9に示す画像から文字のエッジを検出した結果を示す。領域分離処理部24から領域識別信号が入力されない形態の場合、2値データ生成部31は、文字のエッジを検出することにより、図11に示すような結果を得る。この段階では、図11に示すように、黒文字のエッジと、色文字のエッジとが検出される。2値データ生成部31は、図11に示すようなエッジ検出の結果に対して、黒画素を判定する処理を行なうことにより、図10に示すような2値画像を得る。
図12は、色文字を含む前景レイヤの例を示す模式図であり、図9に示す画像から、ユーザによって指定された1色の色文字のエッジを検出して2値画像を生成した例を示す。図中の黒い部分は画素の濃度値が1となった部分であり、図中の白い部分は画素の濃度値が0となった部分である。なお、濃度値0は、透明であることを示す。図9中に含まれる文字の内、黒文字エッジ及び色文字エッジが検出された場合、図10に示すような2値画像(黒文字の前景レイヤ)と、図12に示すような2値画像(色文字の前景レイヤ)とが生成される。領域分離処理部24から領域識別信号が入力されない形態の場合、2値データ生成部31は、文字のエッジを検出し、図11に示すような結果を得、得られたエッジ検出の結果に対して、色画素を判定する処理を行なうことにより、図12に示すような2値画像を得る。
また、図10に示した2値画像において、2値データ生成部31は、1に対応する画素(黒文字のエッジ)の黒濃度(例えば、R,G,B値の平均値)の総和と画素数を計算しておき、黒濃度の代表値(平均値)を算出する。仮に、黒濃度の総和が72000で画素数が3600画素だったとすると、黒濃度の代表値は72000/3600=20となる。同様に、図12に示した2値画像において、2値データ生成部31は、1に対応する画素(色文字のエッジ)の色濃度(例えば、R,G,B値)の総和と画素数を計算しておき、色濃度の代表値(平均値)を算出する。仮に、色濃度の総和がR=720000、G=3600、B=3600で、画素数が3600画素だったとすると、色濃度の代表値はR=720000/3600=200、G=3600/3600=1、B=3600/3600=1となり、(R,G,B)=(200,1,1)となる。
次に、補正処理部33が画像データから背景レイヤを生成する処理について具体的に説明する。補正処理部33は、画像に含まれる画素を順次選択し、2値データ生成部31から入力される黒文字領域を示す信号に基づいて、各画素(注目画素)が黒文字のエッジに含まれる画素であるか否かを判定する。なお、黒文字領域を示す信号が2値データ生成部31から入力されない形態の場合、補正処理部33は、2値データ生成部31と同様の処理を行なうことにより、各画素(注目画素)が黒文字のエッジに含まれる画素であるか否かを判定する。具体的には、補正処理部33は、注目画素が、領域識別信号の黒文字領域を示すビットが1となっている画素であるか否かを判定する。なお、2色文字モードが設定されている場合、補正処理部33は、注目画素が黒文字のエッジに含まれる画素、又は色文字のエッジに含まれる画素であるか否かを判定する。
注目画素が黒文字又は色文字のエッジに含まれる画素である場合、補正処理部33は、注目画素の8近傍の画素の更に周囲に位置する画素の濃度値の加重平均を取るフィルタ処理を行なう。図13は加重平均を算出するためのフィルタの例を示す図である。このフィルタを用いることにより、注目画素とその8近傍を含まない周辺画素の濃度値の加重平均が得られ、黒文字領域中の画素とその周囲の画素との間で濃度差を小さくすることができる。
注目画素が黒文字及び色文字のいずれのエッジにも含まれない画素である場合、補正処理部33は、平滑化フィルタを用いて平滑化処理を行なう。ここで行なう平滑化処理は、網点のモアレが発生しない程度に弱い平滑化処理とする。図14は平滑化フィルタの例を示す図である。この平滑化フィルタを用いることにより、注目画素及びその8近傍の画素の間で平滑化が行なわれる。なお、図13及び図14に示したフィルタ係数は一例であり、上述の考え方に基づいて設定されたフィルタ係数であれば、これに限定されるものではない。
図15及び図16は、補正処理部33によるフィルタ処理結果の例を示す図である。図15(a)は画像の例を示し、図15(b)は、図15(a)に示す画像から黒文字のエッジを検出した結果を示す。図16は、図15(a)に示す画像に対して、図13及び図14に示したフィルタを用いたフィルタ処理及び平滑化処理を行なった結果を示す。なお、この例では、画像の図示されない外側の領域はすべてR=G=B=255として計算を行なっている。なお、図示しないが、色文字のエッジに対しても同様の処理が行なわれる。
このようなフィルタ処理を行なうことにより、文字(黒文字及び色文字)のエッジの周囲での濃度差を小さくし、非可逆圧縮によって発生するリンギングノイズ等のアーティファクトを抑制することができる。また平滑化処理により、エッジ近傍以外の領域で、同様のアーティファクト及び網点のモアレの発生を抑制することができ、更に圧縮率の向上にも寄与する。図16に示す処理結果は、背景レイヤに相当する。補正処理部33は、図16に示すような処理結果を得ることにより、背景レイヤを生成し、生成した背景レイヤを出力する。
次に、低解像度化部35による処理について説明する。なお、低解像度化部35による低解像度化処理は、カラー画像処理装置2が図2(b)又は図3(b)に示した圧縮処理部3を備える場合に実行可能である。また、低解像度化処理は、圧縮ファイルのデータ量をさらに低減するために高圧縮モードが選択されている場合に行なわれる。即ち、高精細モードが選択された場合、低解像度化部35は、低解像度化処理は行なわない。低解像度化部35は、補正処理部33が生成した背景レイヤに対して、単純間引き、ニアレストネイバー、バイリニア、バイキュービック等の補間処理を行なうことにより、背景レイヤの低解像度化を行なう。
図17は低解像度化処理の結果の例を示す図である。図17に示す画像は、図16に示す背景レイヤをバイリニアで1/2の解像度に低解像度化した結果である。ここでは、バイリニアの始点として、2×2画素の中心を始点としているため、2×2画素の平均値(小数点以下四捨五入)がバイリニアの結果となる。図17に示すように、低解像度化により背景レイヤの画素数が減少し、データ量が削減される。画像に含まれる文字の細かい形状は、前景レイヤで再現することができるので、背景レイヤを低解像度化したとしても画像の再現性に与える影響は小さい。従って、画像の再現性を劣化させることなく、圧縮ファイルのサイズを低減させることができる。
次に、濃度補正処理部36,37による処理について説明する。なお、濃度補正処理部36,37による濃度補正は、カラー画像処理装置2が図3(a)又は図3(b)に示した圧縮処理部3を備える場合に実行可能である。補正処理部33によるフィルタ処理、低解像度化部35による低解像度化処理、非可逆圧縮部34による非可逆圧縮処理によって、背景レイヤの画像全体の濃度は均一化する方向に補正されるので、背景レイヤでのコントラストが弱くなる。そこで、補正処理部33によるフィルタ処理の前と、非可逆圧縮部34による非可逆圧縮処理の前とで、背景レイヤの画素の濃度を高濃度化する濃度補正を行なう。
濃度補正処理部36,37は、それぞれ1次元のルックアップテーブルを記憶しており、背景レイヤ中の各画素の濃度値をルックアップテーブルを用いて変換する処理を行なう。図18はルックアップテーブルの例を示す特性図である。図18(a)は濃度補正処理部36が使用するルックアップテーブルを示し、図18(b)は濃度補正処理部37が使用するルックアップテーブルを示す。図中の横軸は入力の濃度値を示し、縦軸は出力の濃度値を示す。
背景レイヤの各画素での濃度値は、図18に示すように、入力の濃度値に対応する出力の濃度値へ変換される。図18に示すように、入力の濃度値は、現在の濃度値以下の値に変換されるようにルックアップテーブルが設定されている。濃度値の値が小さいほど画素の色は濃くなるので、背景レイヤの画素の濃度は高濃度化される。図18(a)に示す例では、入力の濃度値0〜30を濃度値0に変換し、入力の濃度値30〜64を入力から30を減算した濃度値に変換する。また、入力の濃度値が64〜100の間は、入力の濃度値=100で出力の濃度値=100となるように、線形に入力と出力との関係を変動させる。また入力の濃度値100〜255は入力=出力となるように変換する。
図18(b)に示す例では、入力の濃度値0〜20を濃度値0に変換し、入力の濃度値が20〜128の間は、入力の濃度値=128で出力の濃度値=128となるように、線形に入力と出力との関係を変動させる。また入力の濃度値128〜255は入力=出力となるように変換する。濃度補正処理部37での濃度補正は、濃度補正処理部36で既に濃度補正を行なっている背景レイヤに対して、非可逆圧縮の前に再度行なうものであるので、図18に示すように、高濃度化の程度は、濃度補正処理部36での濃度補正に比べて軽度でよい。
図18に示したルックアップテーブルは一例であり、これに限るものではない。また濃度補正処理部36及び37が使用するルックアップテーブルは、図18に示すように互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。ルックアップテーブルが同一である場合は、圧縮処理部3で必要なメモリ容量を削減することができる。ルックアップテーブルが異なる場合は、圧縮処理部3における各処理での濃度低下に合わせた、より細かい濃度調整が可能となる。
図19及び図20は、濃度補正処理部36,37による濃度補正の処理結果の例を示す図であり、図3(b)に示した構成の圧縮処理部3による処理結果を示す。図19(a)は、図15(a)に示す画像に対して濃度補正処理部36で濃度補正の処理を行なった処理結果を示す。図19(a)に示すように、図15(a)に示す画像に比べ、濃度補正処理部36による濃度補正によって、各画素の濃度値がより色の濃い値(より小さい値)に変換されている。図19(b)は、図19(a)に示す処理結果に基づいて補正処理部33が生成した背景レイヤを示す。図19(b)に示すように、図16に示す背景レイヤに比べ、背景レイヤがより高濃度化されている。
図20(a)は、図19(b)に示す背景レイヤに対して低解像度化部36で低解像度化の処理を行なった結果を示す。また図20(b)は、図20(a)に示す背景レイヤに対して濃度補正処理部37で濃度補正の処理を行なった処理結果を示す。図17に示す背景レイヤに比べて、図20(b)に示す濃度補正を行なった背景レイヤの方が、より各画素の濃度値が小さく、高濃度化されている。このため、この後、非可逆圧縮部34により非可逆圧縮を行なったとしても、コントラストを高く保つことができる。なお、2色文字モードが選択された場合の背景レイヤについても同様の処理が行なわれ、同様の効果が得られる。
以上のような圧縮処理部3の各部での処理により、画像から黒文字の前景レイヤと背景レイヤとが生成される。よって、圧縮処理部3は、可逆圧縮された黒文字の前景レイヤと、非可逆圧縮された背景レイヤと、黒文字情報が示す黒文字の黒濃度を前景レイヤに含まれる黒画素の色として定めた情報を含む伸張情報とを一つのファイルにまとめ、圧縮ファイルを生成する。これにより、圧縮ファイルを伸張した画像における黒文字の色を、背景レイヤにおける黒色に近い色とすることができ、背景レイヤと黒文字の輪郭との間で黒の濃度のギャップを抑制することが可能となる。
また、2色文字モードが選択された場合には、黒文字の前景レイヤ及び背景レイヤに加えて色文字の前景レイヤが生成される。この場合、圧縮処理部3は、可逆圧縮された黒文字の前景レイヤ及び色文字の前景レイヤと、非可逆圧縮された背景レイヤと、伸張情報とを一つのファイルにまとめ、圧縮ファイルを生成する。これにより、圧縮ファイルを伸張した画像において、黒文字だけでなくユーザが指定した所定色の色文字の色を、背景レイヤにおける色に近い色とすることができ、背景レイヤと各文字(黒文字及び色文字)の輪郭との間で濃度のギャップを抑制することが可能となる。
図21は、圧縮処理部3による処理結果の例を示す模式図であり、図9に示す画像に対して行なった画像処理の結果を示す。図21(a)は背景レイヤを示し、図21(b)は前景レイヤ(黒文字を含む前景レイヤ)を示す。背景レイヤは元の画像とほぼ同じ画像であり、前景レイヤは黒文字のエッジを示す2値画像である。図21(c)は、圧縮ファイルを伸張した画像を示し、前景レイヤと背景レイヤとをレイヤ合成した画像となっている。図21(c)では、黒文字のエッジを強調して描いているものの、実際には、背景レイヤの黒文字の色に近い濃度の黒で表現されており、ギャップが目立たなくなっている。黒文字の輪郭は、可逆圧縮された前景レイヤで表現されているので、明確に表現され、黒文字の視認性は高い。また黒文字とその他の部分との濃度差がより小さくなっているので、背景レイヤの非可逆圧縮の際に発生するノイズが抑制され、黒文字の視認性の悪化が抑制される。背景レイヤに含まれる色文字については、フィルタ処理及び非可逆圧縮処理によって滲みが発生し、ぼやけ気味になるが、濃度補正処理部36,37での濃度補正処理を行なうことにより、黒文字ほどではないものの、視認性を向上させることが可能である。
図22は、2色文字モードが選択されている場合の圧縮処理部3による処理結果の例を示す模式図であり、図9に示す画像に対して行なった画像処理の結果を示す。図22(a)は背景レイヤを示し、図22(b)は黒文字を含む前景レイヤを示し、図22(c)は色文字を含む前景レイヤを示し、図22(d)は、圧縮ファイルを伸張し、前景レイヤと背景レイヤとをレイヤ合成した画像を示す。2色文字モードが選択されている場合、圧縮処理部3は、図22(a)に示すような背景レイヤと、図22(b)及び(c)にそれぞれ示すような前景レイヤとを生成する。また、これらをレイヤ合成することにより、図22(d)に示すような画像が得られる。なお、図22(d)でも、黒文字及び色文字のエッジを強調して描いているものの、実際には、背景レイヤの色に近い濃度の色で表現されており、ギャップが目立たなくなっている。
本実施形態1の画像形成装置1は、圧縮処理部3で生成した圧縮ファイルに基づいた画像をカラー画像出力装置13で画像形成させることができる形態であってもよい。この場合、カラー画像処理装置2は、圧縮処理部3で生成した圧縮ファイル又は記憶部30で記憶している圧縮ファイルに対し、図示しない伸張処理部で伸張処理を行なうことにより、前景レイヤ及び背景レイヤを伸張し、前景レイヤ及び背景レイヤをレイヤ合成する。カラー画像処理装置2は、前景レイヤ及び背景レイヤをレイヤ合成して得られた画像データに対して必要な画像処理を行ない、カラー画像出力装置13へ出力する。カラー画像出力装置13は、画像データに基づいてカラー画像を形成する。
上述したように、本発明においては、黒文字を含む画像を圧縮する際に、画像中の黒文字のエッジを検出し、検出したエッジを2値画像で表した前景レイヤを生成し、前景レイヤを可逆圧縮し、画像中の黒文字のエッジと他の部分との濃度差を縮小した背景レイヤを生成し、背景レイヤを非可逆圧縮する。文字全体ではなく黒文字のエッジを検出して前景レイヤとすることにより、黒文字が背景レイヤに組み込まれて非可逆圧縮により文字が潰れることが無くなり、背景から文字を分離し易くなる。黒文字の輪郭は、可逆圧縮された前景レイヤで表現されているので、明確に表現され、圧縮ファイルを伸張した画像における黒文字の視認性が高くなる。各種の文書で利用されることが最も多い黒文字の視認性が向上するので、文書を圧縮した画像においても、文字の視認性が高く、文書を容易に再利用することが可能となる。
また、本発明においては、黒文字のほかに1色の色文字の視認性を重視するモード(2色文字モード)がユーザによって選択された場合に、上述した黒文字に対する処理を、指定された1色の色文字に対しても行なう。具体的には、黒文字だけでなく所定色の色文字のエッジを検出して前景レイヤとすることにより、黒文字だけでなく所定色の色文字が背景レイヤに組み込まれて非可逆圧縮により文字が潰れることが無くなり、背景から文字を分離し易くなる。また、黒文字及び所定色の色文字の輪郭は、可逆圧縮された前景レイヤで表現されているので、明確に表現され、圧縮ファイルを伸張した画像における黒文字及び所定色の色文字の視認性が高くなる。よって、黒文字だけでなく所定色の色文字が多く使用された文書において、黒文字だけでなく所定色の色文字の視認性も向上するので、文書を圧縮した画像においても、各文字の視認性を高めることが可能となる。
また本発明においては、高圧縮モードと高精細モードとを設け、ユーザが高圧縮モードを選択した場合、背景レイヤを非可逆圧縮する前に低解像度化してデータサイズを小さくする。また、ユーザが高精細モードを選択した場合、背景レイヤを低解像度化しないことで、前景レイヤと同一の解像度とすることにより、背景レイヤに残った文字の視認性を向上させる。よって、簡易な方法でありながら、背景レイヤに含まれる文字の可読性と圧縮ファイルのファイルサイズとのどちらを優先するかに応じた圧縮処理の実行をユーザが選択できる。
更に本発明においては、画像中の濃度差を縮小するために、文字(黒文字及び1色の色文字)のエッジに含まれる画素については、周囲の画素の濃度値の加重平均をとるフィルタ処理を行なうことにより、文字の周辺で文字のエッジがなまり、文字と背景との間の濃度差が縮小される。また文字のエッジ以外の画素については、濃度の平滑化処理を行なうことにより、文字の周辺以外の領域で濃度の変動を縮小する。文字の周辺で文字と背景との濃度差が縮小することにより、背景レイヤの非可逆圧縮時に発生するアーティファクトを抑制することができる。また文字の周辺以外の領域で濃度の変動が縮小することにより、背景レイヤの非可逆圧縮時に、文字の周辺以外の領域で、アーティファクト及びモアレの発生を抑制することができる。このように、画像の圧縮に起因するノイズの発生を抑制することができるので、圧縮ファイルを伸張した画像における文字の悪化を抑制することができる。
(実施形態2)
以下に、本発明の画像読取装置を示す実施形態2について説明する。上述した実施形態1では、本発明の画像圧縮装置が画像形成装置1の一部をなす形態について説明したが、本実施形態2では、本発明の画像圧縮装置が画像読取装置の一部をなす形態について説明する。本実施形態2の画像読取装置は、例えばフラットベッドスキャナである。
図23は実施形態2の画像読取装置の機能を示すブロック図である。画像読取装置は、カラー画像を光学的に読み取るカラー画像入力装置11を備えており、カラー画像入力装置11には、カラー画像処理装置4が接続されている。カラー画像処理装置4には、通信ケーブル又は通信ネットワークを介してパーソナルコンピュータ(PC)等の図示しないホスト装置が接続されている。カラー画像入力装置11及びカラー画像処理装置4には、操作パネル12が接続されている。カラー画像入力装置11は、実施形態1と同様の処理を行ない、カラー画像を読み取ったRGBのアナログ信号をカラー画像処理装置4へ出力する。
カラー画像処理装置4は、A/D変換部20、シェーディング補正部21、原稿種別判別部22、入力階調補正部23、領域分離処理部24、圧縮処理部3を備える。カラー画像処理装置4は、カラー画像入力装置11から入力されたアナログ信号をA/D変換部20でデジタル信号に変換し、シェーディング補正部21、原稿種別判別部22、入力階調補正部23、領域分離処理部24、圧縮処理部3の順に送る構成となっている。圧縮処理部3は、本発明に係る画像圧縮装置に対応する。A/D変換部20、シェーディング補正部21、原稿種別判別部22、及び入力階調補正部23の構成は、実施形態1と同様である。領域分離処理部24は、入力階調補正部23から入力されたRGB信号を圧縮処理部3へ出力する。
圧縮処理部3の構成は実施形態1と同様であり、圧縮処理部3は、領域分離処理部24からRGB信号(画像データ)を取得し、実施形態1と同様に本発明の画像圧縮方法を実行することにより、入力された画像データを圧縮した圧縮ファイルを生成する。また圧縮処理部3は、生成した圧縮ファイルを図示しないホスト装置へ出力する。ホスト装置は、カラー画像処理装置4が出力した圧縮ファイルを受け付け、圧縮ファイルの記憶、圧縮ファイルの外部への送信、又は圧縮ファイルに基づいた画像出力等の処理を実行する。なお、本発明の画像読取装置は、スキャナだけでなく、デジタルカメラに適用することもできる。
上述した実施形態2においても、実施形態1と同様に、黒文字を含む画像を圧縮する際に、黒文字のエッジを検出して前景レイヤとし、画像中の黒文字のエッジと他の部分との濃度差を縮小して背景レイヤとすることにより、圧縮ファイルを伸張した画像における黒文字の視認性を向上させることができる。また、2色文字モードが選択された場合には、黒文字及び指定された1色の色文字のエッジをそれぞれ検出して前景レイヤとし、画像中の黒文字及び所定色の色文字のエッジと他の部分との濃度差を縮小して背景レイヤとすることにより、圧縮ファイルを伸張した画像における黒文字及び所定色の色文字の視認性を向上させることができる。従って、本実施形態2の画像読取装置は、圧縮ファイルのサイズを低減させながら、画像を再現したときの文字の視認性を向上させた圧縮ファイルを生成することが可能となる。
(実施形態3)
本発明の画像圧縮装置が適用される各種装置は、画像圧縮装置が行なう圧縮処理における各種条件をユーザが選択できるように構成することが可能である。例えば、黒文字の視認性を向上させた圧縮ファイルを生成する処理(黒文字重視モード)、黒文字及び所定色の色文字の視認性を向上させた圧縮ファイルを生成する処理(2色文字モード)、通常の高圧縮方法で圧縮ファイルを生成する処理(高圧縮モード)、背景レイヤに含まれる文字の視認性も維持した圧縮ファイルを生成する処理(高精細モード)等の選択を可能とすることができる。本実施形態3では、上述した実施形態1の画像形成装置1及び実施形態2の画像読取装置が備える操作パネル12について詳述する。本発明の画像圧縮装置が適用される各種装置は、操作パネル12を介してユーザからの選択指示を受け付けることにより、圧縮ファイルを生成する際の各種条件を設定する。
図24及び図25は操作パネル12の表示例を示す模式図である。図24及び図25には、圧縮ファイルを生成する際の各種条件を設定するための表示例を示している。実施形態1の画像形成装置1及び実施形態2の画像読取装置(以下では、代表した画像形成装置1についてのみ説明する)が原稿の読取処理の実行指示待ち状態である場合、操作パネル12は、図24(a)に示すような設定画面を表示部に表示し、操作部にてユーザからの操作を受け付ける。
図24(a)に示すように、操作パネル24は、例えば、生成される圧縮ファイルのファイル形式を、PDF,XPS,TIFF(Tagged Image File Format),JPEGの4種類のうちから選択できる構成となっている。なお、ファイル形式はこれらに限らず、画像データを、透明な情報を有する複数のレイヤに分離してレイヤ毎の適切な方法で圧縮を行い、圧縮された画像データを合成して一つのファイルにできるファイル形式なら適用可能であり、また、選択できる種類の数も4つに限らない。図24(a)には、PDFが選択されている状態を示す。また、図24(a)に示すように、操作パネル24は、圧縮ファイルを生成する際の圧縮率を、低圧縮、中圧縮、高圧縮の3種類のうちから選択できる構成となっている。図24(a)には、低圧縮が選択されている状態を示す。
ユーザは、本発明の画像圧縮方法によって圧縮ファイルを生成したい場合、操作パネル12に表示された設定画面において、ファイル形式として「PDF」又は「XPS」を選択する。このとき、処理対象の原稿が、写真等のように文字の少ない原稿であれば、ユーザは、圧縮率として「高圧縮(高圧縮モード)」を選択する。高圧縮モードが選択された場合、通常の高圧縮処理の実行が設定される。これにより、画像形成装置1は、原稿から読み取った画像データに対して通常の高圧縮処理を行ない、ファイルサイズが小さい圧縮ファイルを生成する。
図24(b)には、圧縮率として「高圧縮」が選択されている状態を示し、「高圧縮」が選択された場合、操作パネル12は、更に、「自動」,「手動」のチェックボックスが指定可能となる。なお、TIFF又はJPEGの圧縮ファイルを生成する場合、本発明の画像圧縮方法は使用できないので、ファイル形式として「TIFF」又は「JPEG」が選択された場合、圧縮率として「低圧縮」,「中圧縮」又は「高圧縮」の選択は可能であるが、「自動」及び「手動」は選択できないように構成されている。
図24(b)には、「自動」のチェックボックスが選択されている状態を示す。「自動」が選択された場合、画像形成装置1(カラー画像処理装置2)は、原稿から読み取った画像データに基づいて、原稿中の黒文字又は色文字の画素数を計算し、その結果に基づいて、自動的に黒文字重視モード、2色文字モード、黒文字重視・高精細モード、2色文字・高精細モードのいずれかに切り替える。これにより、原稿中の黒文字・色文字の量に応じて最適な圧縮処理が実行され、最適な圧縮ファイルが生成される。
図25(a)には、「手動」のチェックボックスが選択されている状態を示し、「手動」が選択された場合、操作パネル12は、更に、「黒文字重視(黒文字重視モード)」のチェックボックスが指定可能となる。なお、「手動」のチェックボックスが選択された場合、自動的に「黒文字重視」のチェックボックスにもチェックが入る。黒文字重視モードが選択された場合、黒文字の視認性を向上させつつファイルサイズが小さい圧縮ファイルを生成する処理の実行が設定される。即ち、画像形成装置1は、本発明の画像圧縮方法に従った圧縮処理を実行する。
図25(a)に示す状態の設定画面では、更に、「高精細(高精細モード)」,「2色文字(2色文字モード)」のチェックボックスが指定可能である。黒文字だけでなく色文字(黒以外の色の文字)の視認性も向上させたい場合、ユーザは、高精細モードを選択する。高精細モードが選択された場合、多少ファイルサイズは大きくなってしまうが、色文字の視認性も向上させた圧縮ファイルを生成する処理の実行が設定される。なお、高精細モードは、黒文字重視モードが選択された場合にのみ選択可能となるものである。図25(a)において、(1)黒文字重視モード、(2)2色文字モード(黒文字重視と2色文字のチックボックスにチェックが入る)、(3)黒文字重視・高精細モード、(4)2色文字・高精細モードの選択が可能になる。以上では、2色文字モードを選択するときに、黒文字重視のチェックボックスにチェックが入るようにしているが、2色文字のみにチェックを入れるようにしてもよい。例えば、2色文字・高精細モードの場合、高精細と2色文字にチェックが入る。
なお、事前に原稿をスキャンした後に設定画面を介した設定操作が可能な場合には、読み取った画像データに基づいて、原稿中の色文字の画素数を事前に計算しておき、色文字の画素数が所定数以上(例えば、30,000画素以上、原稿サイズに対して0.5%以上の画素数等)であった場合にのみ、「高精細」のチェックボックスを有効にする(高精細モードの選択が可能となる)ようにしてもよい。
図25(b)には、「2色文字」のチェックボックスが選択されている状態を示し、「2色文字」が選択された場合、操作パネル12は、更に、黒色のほかにもう1色(代表色)を、赤色,緑色,青色,水色,赤紫色,黄色の6色のうちから選択できる構成となる。黒文字以外に色文字も1色だけの表現に限定されるが、視認性を向上させつつファイルサイズは大きくしたくない場合には、ユーザは、2色文字モードを選択する。具体的には、ユーザは、圧縮率として「高圧縮」を選択し、「手動」のチェックボックスを選択した後、「2色文字」のチェックボックスを選択する。
更にユーザは、6色から1つの代表色を選択する。図25(b)には、代表色として赤色が選択されている状態を示す。これにより、黒文字と選択された代表色の色文字とで表現された黒文字・色文字の視認性を向上させつつファイルサイズの小さい圧縮ファイルを生成する処理の実行が設定される。なお、2色文字モードは、黒文字重視モードが選択された場合にのみ選択可能となるものであり、また、高精細モードとの併用も可能である。
なお、事前に原稿をスキャンした後に設定画面を介した設定操作が可能な場合には、読み取った画像データに基づいて、原稿中の色文字の色数を事前に計数しておき、色数が所定数以下(例えば、2色以下等)であった場合に、2色文字モードの選択を可能とするようにしてもよい。また、画像データに基づいて、原稿中の色文字の色毎に画素数を事前に計数しておき、各画素数が所定数以下(例えば、24,000画素以下、原稿サイズに対して0.4%以下等)であった場合に、2色文字モードの選択を可能とするようにしてもよい。
また、図示しないユーザーインターフェースを用いて、原稿読取の際の解像度として300×300DPI以下の解像度が指定されていた場合、ユーザはなるべくファイルサイズを小さくした圧縮ファイルを取得したいと考えていると予測できる。また、原稿読取の際の解像度として400×400DPI,600×600DPI等の解像度が指定されていた場合、ユーザは原稿になるべく忠実な圧縮ファイルを取得したいと考えていると予測できる。従って、300×300DPI以下の解像度が指定されていた場合に、図24に示す設定画面を介して「高圧縮」の圧縮率が選択されれば、「高圧縮」の下に表示される「自動」及び「手動」のチェックボックスを有効にし、400×400DPI,600×600DPI等の解像度が指定されていた場合に、「高圧縮」の圧縮率が選択されても、「高圧縮」の下に表示される「自動」及び「手動」のチェックボックスを無効にする(選択不可能とする)ようにしてもよい。
以下に、上述したような設定画面を表示させる操作パネル12を備える画像形成装置1(カラー画像処理装置2)による処理について説明する。図26はカラー画像処理装置2が行なう処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下では、カラー画像処理装置2を「処理部」という。
処理部は、カラー画像入力装置11が原稿から読み取った画像データを圧縮する際の各種条件を、図24,25に示したような設定画面(操作パネル12)を介して受け付ける。処理部は、圧縮処理を行なう場合、生成すべき圧縮ファイルのファイルフォーマットとしてPDF又はXPSが選択されたか否かを判断する(S11)。PDF及びXPSのいずれも選択されていないと判断した場合(S11:NO)、例えばTIFF又はJPEGが選択されている場合、処理部は、設定画面を介して受け付けた圧縮率を設定する(S12)。図24,25に示した設定画面は、圧縮率として「低圧縮」、「中圧縮」及び「高圧縮」のいずれかの項目が選択される構成であり、処理部は、選択された項目に予め対応付けられている圧縮率を設定することになる。
処理部は、設定した圧縮率での圧縮処理を実行し(S13)、処理を終了する。具体的には、処理部は、圧縮処理部3の可逆圧縮部32又は非可逆圧縮部34にて圧縮処理を行ない、TIFFファイル又はJPEGファイルを生成する。これにより、ユーザが所望する圧縮率で圧縮され、ユーザが所望するファイル形式の圧縮ファイルが生成できる。
PDF又はXPSが選択されたと判断した場合(S11:YES)、処理部は、設定画面を介して受け付けた圧縮率を設定する(S14)。処理部は、設定した圧縮率が「高圧縮」に対応する圧縮率であるか否かを判断し(S15)、「高圧縮」に対応する圧縮率ではないと判断した場合(S15:NO)、ステップS14で設定した圧縮率での圧縮処理を実行し(S13)、処理を終了する。ここでも処理部は、圧縮処理部3の可逆圧縮部32又は非可逆圧縮部34にて圧縮処理を行ない、PDFファイル又はXPSファイルを生成する。
「高圧縮」に対応する圧縮率であると判断した場合(S15:YES)、処理部は、設定画面を介して黒文字重視モードが選択されたか否かを判断する(S16)。黒文字重視モードが選択されていないと判断した場合(S16:NO)、例えば、設定画面において「高圧縮」が選択されたときに選択可能となる「自動」又は「手動」の選択ができない場合、処理部は、通常の高圧縮処理を実行し(S17)、本処理を終了する。なお、通常の高圧縮処理の詳細については後述する。
黒文字重視モードが選択されたと判断した場合(S16:YES)、処理部は、高精細モードが選択されたか否かを判断し(S18)、高精細モードが選択されていないと判断した場合(S18:NO)、2色文字モードが選択されたか否かを判断する(S19)。2色文字モードが選択されていないと判断した場合(S19:NO)、処理部は、通常の黒文字モードが設定されていると判断し、黒文字の視認性を重視した圧縮処理(以下、黒重視処理という)を実行し(S20)、本処理を終了する。なお、黒重視処理の詳細については後述する。
2色文字モードが選択されたと判断した場合(S19:YES)、処理部は、黒を含む2色の文字の視認性を重視した圧縮処理(以下、2色文字処理という)を実行し(S21)、本処理を終了する。なお、2色文字処理の詳細については後述する。
高精細モードが選択されたと判断した場合(S18:YES)、処理部は、2色文字モードが選択されたか否かを判断する(S22)。2色文字モードが選択されていないと判断した場合(S22:NO)、処理部は、黒文字の視認性を重視しつつ、黒文字以外の領域(背景レイヤ)に含まれる文字の視認性も維持した圧縮処理(以下、黒重視・高精細処理という)を実行し(S23)、本処理を終了する。なお、黒重視・高精細処理の詳細については後述する。2色文字モードが選択されたと判断した場合(S22:YES)、処理部は、黒を含む2色の文字の視認性を重視しつつ、2色の文字以外の領域(背景レイヤ)に含まれる文字の視認性も維持した圧縮処理(以下、2色文字・高精細処理という)を実行し(S24)、本処理を終了する。なお、2色文字・高精細処理の詳細については後述する。
上述したように、本実施形態3のカラー画像処理装置2は、黒文字の視認性を重視するか、2色の文字の視認性を重視するか、黒文字又は2色の文字以外の領域に含まれる文字の視認性も重視するか等に応じて複数のモード(圧縮処理)を切り替えることができる。よって、本願の画像圧縮方法を用いることにより、高圧縮された圧縮ファイルを生成する際に、ユーザの選択肢を広げることができる。
なお、図26に示した処理は、ユーザが設定画面を介して所望のモードを手動で選択した場合の例であり、ユーザが設定画面を介して圧縮率として「高圧縮」を選択し、更に「自動(自動モード)」を選択した場合の処理について以下に説明する。自動モードが選択された場合、処理部は、カラー画像入力装置11が原稿から読み取った画像データに基づいて、画像中の黒文字及び色文字の画素数を計数し、その結果に応じて自動的に、黒文字重視モード、2色文字モード、黒文字重視・高精細モード、2色文字・高精細モードを切り替える。これにより、原稿中の黒文字・色文字の量に応じて最適なモードでの圧縮処理が可能となり、最適な圧縮ファイルを提供することができる。
具体的には、処理部(圧縮処理部3の2値データ生成部31)は、領域分離処理部24から出力される領域識別信号に基づいて、原稿中の各画素が黒文字領域に含まれる画素であるか、色文字領域に含まれる画素であるかを判定し、黒文字領域に含まれる画素(黒画素)の画素数及び色文字領域に含まれる画素(色画素)の画素数を計数する。なお、領域分離回路(領域分離処理部24)を使用しない設定でカラー画像処理装置2を動作させた場合、領域分離回路を有しないカラー画像処理装置2の場合等では、処理部は、文字のエッジを検出する処理と、黒画素又は色画素を判定する処理とを行ない、黒画素の画素数及び色画素の画素数を計数する。
また、色文字の画素について、処理部は、色を6色(赤色:Rだけが大きい値、緑色:Gだけが大きい値、青色:Bだけが大きい値、水色:G及びBが大きい値、赤紫色:R及びBが大きい値、黄色:R及びGが大きい値)に分類し、原稿中にいくつの色が存在するかを計数する。なお、色の分類方法としては、例えば、各画素のRGB値(R値,G値,B値)において最大値及び最小値を特定し、残りの1色が最大値及び最小値のどちらに近い値であるかを判定し、その結果に基づいて分類する方法が利用できる。例えば、R=30,G=100,B=120の画素については、最大値がB値の120であり、最小値がR値の30であり、残りのG値(120)がB値に近いので、G値及びB値がR値よりも大きい値であることから、この画素は水色であると判定できる。
そして、例えば、計数した黒画素の画素数が所定の閾値以上であれば、処理部は、黒文字重視モードを選択する。一方、計数した黒画素の画素数が所定の閾値よりも少なければ、処理部は、高圧縮モード(通常の高圧縮処理を行なうモード)を選択する。また、計数した黒画素の画素数及び色画素の画素数がそれぞれ所定の閾値以上であり、計数した色数が所定の閾値よりも多ければ、処理部は、黒文字重視・高精細モードを選択する。また、計数した黒画素の画素数及び色画素の画素数がそれぞれ所定の閾値以上であり、計数した色数が所定の閾値以下であれば、処理部は、2色文字モードを選択する。また、計数した黒画素の画素数及び色画素の画素数がそれぞれ所定の閾値以上であり、計数した色数が所定の閾値よりも多く、更に、ある1色に偏っている場合には、処理部は、2色文字・高精細モードを選択する。なお、計数した黒画素の画素数が所定の閾値以上であり、計数した色画素の画素数が所定の閾値よりも少なければ、処理部は、計数した色数に関係なく、黒文字重視モードを選択する。
上述した処理により、例えば、黒文字用の画素(黒画素)に対する閾値をTH3=100とし、色文字用の画素(色画素)に対する閾値をTH4=500とし、色数に対する閾値をTH5=2とした場合に、黒画素数が5000画素、色画素値が1000画素、色数が2色であれば、黒画素数がTH3以上であり、色画素数がTH4以上であり、色数がTH5以下であるので、処理部は、黒文字画素(黒画素)及び色文字画素(色画素)が共に多く、色数が少ないと判定し、2色文字モードを選択する。
また、黒画素数が5000画素、色画素数が2000画素、色数が5色でほぼ均等な画素数配分であった場合、黒画素数がTH3以上であり、色画素数がTH4以上であるが、色数がTH5よりも多く各色の画素配分もほぼ均等なので、処理部は、黒文字画素及び色文字画素が共に多く、色数も多いと判定し、黒文字重視・高精細モードを選択する。更に、黒画素数が5000画素、色画素数が100画素、色数が5色であった場合、黒画素数がTH3以上であるが、色画素数はTH4未満であり、色数はTH5よりも多いので、処理部は、黒文字画素は多いが色文字画素が少ないので、色数には関係なく、黒文字重視モードを選択する。なお、各モードを選択する際の基準及び閾値は、これらの例に限らない。
処理部は、選択したモードに応じて圧縮処理を切り替える。具体的には、処理部は、黒文字重視モードを選択した場合、黒重視処理を実行し、2色文字モードを選択した場合、2色文字処理を実行し、黒文字重視・高精細モードを選択した場合、黒重視・高精細処理を実行し、2色文字・高精細モードを選択した場合、2色文字・高精細処理を実行し、高圧縮モードを選択した場合、通常の高圧縮処理を実行する。
次に、通常の高圧縮処理について説明する。図27は通常の高圧縮処理の手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、処理部は、図2(b)に示した圧縮処理部3を備える構成であるとする。通常の高圧縮処理を行なう場合、処理部は、圧縮処理部3の補正処理部33により、領域分離処理部24から出力された画像データ(RGB信号)に対して所定のフィルタ処理(例えば平滑化処理)を行ない(S31)、低解像度化部35により低解像度画像への解像度変換を行なう(S32)。また、処理部は、低解像度化された画像データに対して、非可逆圧縮部34により非可逆圧縮処理を行ない(S33)、圧縮ファイルを生成し(S34)、図26に示した処理に戻る。これにより、高圧縮率で圧縮されたファイルサイズが小さい圧縮ファイルが生成される。
次に、黒重視処理について説明する。図28は黒重視処理の手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、処理部は、図2(b)に示した圧縮処理部3を備える構成であるとする。黒重視処理を行なう場合、処理部は、圧縮処理部3の2値データ生成部31により、領域分離処理部24から出力された画像データに基づく画像に含まれる黒文字のエッジを検出する(S41)。なお、黒文字のエッジを検出する際の処理は、実施形態1で説明した処理と同様であるので、説明を省略する。
黒文字のエッジを検出した後、処理部は、ステップS42〜S44の処理と、ステップS45〜S47の処理とを並列に実行する。ステップS42では、処理部は、2値データ生成部31により、黒文字のエッジとして検出した画素における黒濃度の平均値を算出する(S42)。具体的には、処理部は、黒文字のエッジとして検出した画素での濃度値の総和を計算し、黒文字のエッジの画素数をカウントし、濃度値の総和を画素数で除する。また、処理部は、2値データ生成部31により、検出した黒文字のエッジに対応する画素の濃度値を1、他の画素の濃度値を0とする等の方法による2値化処理を行ない(S43)、前景レイヤを生成する。そして、処理部は、生成された前景レイヤに対して、可逆圧縮部32により可逆圧縮処理を行なう(S44)。
一方、ステップS45では、処理部は、圧縮処理部3の補正処理部33により、黒文字のエッジとして検出した画素(前景レイヤ)に対して、エッジ近傍にある画素との間における濃度差が小さくなるようなフィルタ処理を行なうと共に、前景レイヤに対応する画素以外の画素に対して濃度の平滑化処理を行なう(S45)。また処理部は、処理後の画像データに対して、低解像度化部35により低解像度画像への解像度変換を行ない(S46)、背景レイヤを生成する。そして処理部は、低解像度化された画像データに対して、非可逆圧縮部34により非可逆圧縮処理を行なう(S47)。処理部は、可逆圧縮された前景レイヤと、非可逆圧縮された背景レイヤと、ICテーブル等の伸張情報とを一つのファイルにまとめ、圧縮ファイルを生成し(S48)、図26に示した処理に戻る。これにより、黒文字の視認性を維持しつつファイルサイズが小さい圧縮ファイルが生成される。
次に、2色文字処理について説明する。図29は2色文字処理の手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、処理部は、図2(b)に示した圧縮処理部3を備える構成であるとする。2色文字処理を行なう場合、処理部は、圧縮処理部3の2値データ生成部31により、領域分離処理部24から出力された画像データに基づく画像に含まれる黒文字のエッジ及びユーザが指定した1色の色文字のエッジを検出する(S51)。なお、黒文字及び所定色の色文字のエッジを検出する際の処理は、実施形態1で説明した処理と同様であるので、説明を省略する。
黒文字及び所定色の色文字のエッジを検出した後、処理部は、ステップS52〜S54の処理と、ステップS55〜S57の処理とを並列に実行する。ステップS52では、処理部は、2値データ生成部31により、黒文字のエッジとして検出した画素における黒濃度の平均値と、所定色の色文字のエッジとして検出した画素における色濃度の平均値とを算出する(S52)。具体的には、処理部は、黒文字及び所定色の色文字のそれぞれについて、文字のエッジとして検出した画素での濃度値の総和を計算し、各文字のエッジの画素数をカウントし、濃度値の総和を画素数で除する。また、処理部は、2値データ生成部31により、検出した各文字のエッジに対応する画素の濃度値を1、他の画素の濃度値を0とする等の方法による2値化処理を行ない(S53)、黒文字及び所定色の色文字のそれぞれについて前景レイヤを生成する。そして、処理部は、生成されたそれぞれの前景レイヤに対して、可逆圧縮部32により可逆圧縮処理を行なう(S54)。
一方、ステップS55では、処理部は、圧縮処理部3の補正処理部33により、黒文字又は所定色の色文字のエッジとして検出した画素(前景レイヤ)に対して、エッジ近傍にある画素との間における濃度差が小さくなるようなフィルタ処理を行なうと共に、前景レイヤに対応する画素以外の画素に対して濃度の平滑化処理を行なう(S55)。また処理部は、処理後の画像データに対して、低解像度化部35により低解像度画像への解像度変換を行ない(S56)、背景レイヤを生成する。そして処理部は、低解像度化された画像データに対して、非可逆圧縮部34により非可逆圧縮処理を行なう(S57)。処理部は、可逆圧縮された前景レイヤと、非可逆圧縮された背景レイヤと、ICテーブル等の伸張情報とを一つのファイルにまとめ、圧縮ファイルを生成し(S58)、図26に示した処理に戻る。これにより、黒文字だけでなくユーザが指定した1色の色文字の視認性を維持しつつファイルサイズが小さい圧縮ファイルが生成される。
次に、黒重視・高精細処理について説明する。図30は黒重視・高精細処理の手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、処理部は、図2(a)又は図2(b)に示した圧縮処理部3を備える構成であるとする。黒重視・高精細処理を行なう場合、処理部は、圧縮処理部3の2値データ生成部31により、領域分離処理部24から出力された画像データに基づく画像に含まれる黒文字のエッジを検出する(S61)。なお、黒文字のエッジを検出する際の処理は、実施形態1で説明した処理と同様であるので、説明を省略する。
黒文字のエッジを検出した後、処理部は、ステップS62〜S64の処理と、ステップS65,S66の処理とを並列に実行する。ステップS62では、処理部は、2値データ生成部31により、黒文字のエッジとして検出した画素における黒濃度の平均値を算出する(S62)。また、処理部は、2値データ生成部31により、検出した黒文字のエッジに対応する画素の濃度値を1、他の画素の濃度値を0とする等の方法による2値化処理を行ない(S63)、前景レイヤを生成する。そして、処理部は、生成された前景レイヤに対して、可逆圧縮部32により可逆圧縮処理を行なう(S64)。
一方、ステップS65では、処理部は、圧縮処理部3の補正処理部33により、黒文字のエッジとして検出した画素(前景レイヤ)に対して、エッジ近傍にある画素との間における濃度差が小さくなるようなフィルタ処理を行なうと共に、前景レイヤに対応する画素以外の画素に対して濃度の平滑化処理を行ない(S65)、背景レイヤを生成する。そして処理部は、処理後の画像データに対して、非可逆圧縮部34により非可逆圧縮処理を行なう(S66)。処理部は、可逆圧縮された前景レイヤと、非可逆圧縮された背景レイヤと、ICテーブル等の伸張情報とを一つのファイルにまとめ、圧縮ファイルを生成し(S67)、図26に示した処理に戻る。これにより、黒文字の視認性を維持しつつ、背景レイヤに含まれる文字の視認性も維持した圧縮ファイルが生成される。
なお、処理部が、図2(b)に示した圧縮処理部3を備える場合、圧縮処理部3の低解像度化部35は、高精細モードが選択されていることを示す処理信号に従って、低解像度化処理を行なわない。これにより、背景レイヤが低解像度化されないので、前景レイヤに含まれる黒文字だけでなく、背景レイヤに含まれる文字の視認性も向上させることができる。
次に、2色文字・高精細処理について説明する。図31は2色文字・高精細処理の手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、処理部は、図2(a)又は図2(b)に示した圧縮処理部3を備える構成であるとする。2色文字・高精細処理を行なう場合、処理部は、圧縮処理部3の2値データ生成部31により、領域分離処理部24から出力された画像データに基づく画像に含まれる黒文字のエッジ及びユーザが指定した1色の色文字のエッジを検出する(S71)。なお、黒文字及び所定色の色文字のエッジを検出する際の処理は、実施形態1で説明した処理と同様であるので、説明を省略する。
黒文字及び所定色の色文字のエッジを検出した後、処理部は、ステップS72〜S74の処理と、ステップS75,S76の処理とを並列に実行する。ステップS72では、処理部は、2値データ生成部31により、黒文字のエッジとして検出した画素における黒濃度の平均値と、所定色の色文字のエッジとして検出した画素における色濃度の平均値とを算出する(S72)。また、処理部は、2値データ生成部31により、検出した各文字のエッジに対応する画素の濃度値を1、他の画素の濃度値を0とする等の方法による2値化処理を行ない(S73)、黒文字及び所定色の色文字のそれぞれについて前景レイヤを生成する。そして、処理部は、生成されたそれぞれの前景レイヤに対して、可逆圧縮部32により可逆圧縮処理を行なう(S74)。
一方、ステップS75では、処理部は、圧縮処理部3の補正処理部33により、黒文字又は所定色の色文字のエッジとして検出した画素(前景レイヤ)に対して、エッジ近傍にある画素との間における濃度差が小さくなるようなフィルタ処理を行なうと共に、前景レイヤに対応する画素以外の画素に対して濃度の平滑化処理を行ない(S75)、背景レイヤを生成する。また処理部は、処理後の画像データに対して、非可逆圧縮部34により非可逆圧縮処理を行なう(S76)。処理部は、可逆圧縮された前景レイヤと、非可逆圧縮された背景レイヤと、ICテーブル等の伸張情報とを一つのファイルにまとめ、圧縮ファイルを生成し(S77)、図26に示した処理に戻る。これにより、黒文字だけでなくユーザが指定した1色の色文字の視認性を維持しつつ、背景レイヤに含まれる文字の視認性も維持した圧縮ファイルが生成される。
なお、処理部が、図2(b)に示した圧縮処理部3を備える場合、圧縮処理部3の低解像度化部35は、高精細モードが選択されていることを示す処理信号に従って、低解像度化処理を行なわない。これにより、背景レイヤが低解像度化されないので、前景レイヤに含まれる黒文字だけでなく、背景レイヤに含まれる文字の視認性も向上させることができる。
図27〜図31には、処理部が図2(a)又は図2(b)に示した圧縮処理部3を備える場合に行なう処理の例を示した。図3(a)又は図3(b)に示した圧縮処理部3を備える場合、処理部は、上述した処理に加えて、濃度補正処理部36,37による濃度補正処理も行なう。
(実施形態4)
実施形態4では、汎用のコンピュータを用いて本発明の画像圧縮装置を実現した形態を示す。本発明は、実施形態1〜3で説明したような画像圧縮処理を含む画像処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして構成し、このコンピュータプログラムをコンピュータによる読み取りが可能な記録媒体に記録した構成とすることもできる。この結果、カラー画像処理装置2が行なうべき各種の処理を実現するためのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)を記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
図32は実施形態4の画像圧縮装置5の内部構成を示すブロック図である。本実施形態4の画像圧縮装置5は、PC又はサーバ装置等の汎用コンピュータであり、演算を行なうCPU51、演算に伴って発生する一時的な情報を記憶するRAM52、光ディスク等の本発明の記録媒体6から情報を読み取るCD−ROMドライブ等のドライブ部53、ハードディスク等の記憶部54等を備える。CPU51は、本発明の記録媒体6から本発明のコンピュータプログラム61をドライブ部53に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム61を記憶部54に記憶させる。コンピュータプログラム61は必要に応じて記憶部54からRAM52へロードされ、ロードされたコンピュータプログラム61に基づいてCPU51は画像圧縮装置5に必要な処理を実行する。
また、画像圧縮装置5は、ユーザが操作することによる各種の処理指示等の情報が入力されるキーボード又はポインティングデバイス等の入力部55、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ等の表示部56を備える。なお、入力部55及び表示部56は、図1で説明した操作パネル12に相当する。更に画像圧縮装置5は、図示しない外部の通信ネットワークに接続可能な送信部57(図1中の送信装置14に相当)、画像データを入力する外部の入力装置62(図1中のカラー画像入力装置11に相当)に接続された受信部58を備える。
送信部57は、ネットワークカード又はモデム等であり、入力装置62は、フラットベッドスキャナ、フィルムスキャナ又はデジタルカメラ等である。入力装置62は、画像を光学的に読み取って画像データを生成し、生成した画像データを画像圧縮装置5へ送信し、受信部58は、入力装置62から送信された画像データを受信する。また送信部57は、図示しない通信ネットワークを介して、ファクシミリ又は電子メール等の通信方法により外部へデータを送信することができる。
CPU51は、本発明のコンピュータプログラム61をRAM52にロードし、ロードしたコンピュータプログラム61に従って、本発明の画像圧縮方法に係る処理を実行する。即ち、受信部58で入力装置62から画像データが入力された場合に、CPU51は、実施形態1における2値データ生成部31、可逆圧縮部32、補正処理部33、非可逆圧縮部34が行なう処理と同様の、2値データ生成処理、可逆圧縮処理、補正処理、非可逆圧縮処理を実行する。これにより、CPU51は、受け付けた画像データを圧縮した圧縮ファイルを生成する処理を行なう。CPU51は、生成した圧縮ファイルを記憶部54に記憶させる。またCPU51は、ロードしたコンピュータプログラム61に従って、生成した圧縮ファイル、又は記憶部54から読み出した圧縮ファイルを外部へ送信させる処理を送信部57に行なわせる。
記録媒体6としては、画像圧縮装置5に対して着脱可能な外部記憶装置であり、画像圧縮装置5に設けられたドライブ部53に挿入することで、記録されているプログラムの読み取りが可能となるプログラムメディアであってもよい。また、記録されているプログラムがマイクロコンピュータで処理されるため、記録媒体6としては、例えばROMのようなプログラムメディアであってもよい。
いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であっても良いし、あるいは、いずれの場合もプログラムコードを読み出し、読み出されたプログラムコードは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
ここで、前記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。
また、本実施の形態においては、インターネットを含む通信ネットワークに接続可能なシステム構成であることから、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするように流動的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
以上のように、本実施形態4においても、実施形態1〜3と同様に、黒文字及びユーザによって指定された色の色文字を含む画像を圧縮する際に、黒文字及び所定色の色文字のエッジを検出して前景レイヤとし、画像中の黒文字及び所定色の色文字のエッジと他の部分との濃度差を縮小して背景レイヤとすることにより、圧縮ファイルを伸張した画像における黒文字及び所定色の色文字の視認性を向上させることができる。従って、本実施形態4に係る画像圧縮装置は、圧縮ファイルのサイズを低減させながら、画像を再現したときの文字の視認性を向上させた圧縮ファイルを生成することが可能となる。
以上の実施形態1〜4においては、前景レイヤに含まれる画素として黒文字(及び所定色の色文字)のエッジに対応する画素を抽出する処理を行なう形態を示したが、これに限るものではない。本発明は、前景レイヤに含まれる画素として、画素の色が黒(及びユーザが指定した色)である線画に対応する画素を抽出する処理を行なう形態であってもよい。また本発明は、前景レイヤに含まれる画素として、黒文字及び黒の線画(及び所定色の色文字及び線画)に対応する画素を抽出する処理を行なう形態であってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について具体的に説明したが、各構成及び動作等は適宜変更可能であって、上述の実施形態に限定されることはない。