JP6631037B2 - 画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像形成装置用プログラム、および、画像形成装置用プログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像形成装置用プログラム、および、画像形成装置用プログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像形成装置用プログラム、および、画像形成装置用プログラムを記録した記録媒体に関する。
オフィスやPOD(Print On Demand)などで利用されるMFP(Multi−Function Peripheral)は、一般的に複数の機能を有する。すなわち、MFPは、紙原稿の複写機能(コピー機能)、コンピュータ上で作成された電子文書の印刷機能(プリント機能)、および、紙原稿をコンピュータ上で閲覧・保存可能な電子データに変換するスキャン機能を有する。
スキャン機能は、紙原稿から光学的に読み取ったビットマップ形式の画像データを、ユーザーの指定にしたがい、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、TIFF(Tagged Image File Format)、およびPDF(Portable Document Format)などコンピュータ上で閲覧可能なファイル形式に変換する。変換後の画像データは、MFPによりユーザーに指定された送信先に送信される。
スキャン機能において重要視されるのは、変換後の画像データの画質とファイルサイズである。変換後の画像データは、画質が原稿に近いことが望まれるが、同時に、例えば、記憶装置の容量を圧迫せず、電子メールに添付可能な程度の、ユーザーに許容可能なファイルサイズであることが望まれる。
読み取った画像データは、JPEGなどに変換される際に所定の圧縮率で圧縮されることにより、原稿に近い画質のまま圧縮されることができる。しかし、原稿のサイズ、変換前の画像データの解像度(画素の密度)やRGBの階調(色の濃淡の段階)によっては、変換後の画像データがユーザーに許容可能なファイルサイズを超えることがある。この場合、変換の際の圧縮率を上げることで変換後の画像データのファイルサイズをさらに小さくすることができるが、ファイルサイズが小さくなるにしたがいブロックノイズなどのノイズやグラデーション部分のトーンジャンプが発生し、画質が劣化する。
圧縮率を上げることによる画質の劣化を解決するための技術として、次の技術が知られている。すなわち、読み取った画像データを、画素ごとに属性を判断して生成した属性データに基づいて文字領域と画像領域に分離し、領域ごとに最適な圧縮処理を施した後、PDFなどの文書フォーマット上で合成する(以下、この技術をCPDF(Compact PDF)と称する)。これにより、圧縮による画像データの画質の低下を最小限にしつつファイルサイズを削減することができる。
上記CPDFに関連する技術として、下記特許文献1には、次の従来技術が記載されている。すなわち、原稿をスキャナーで読み取ることで得られた画像データを、文字以外の画像である背景画像と、文字のみの二値画像と、二値画像の色を示す前景画像とに分離する。そして、背景画像および前景画像をJPEGで圧縮し、二値画像をMMR(Modified Modified Read)で圧縮した後にこれらを合成する。これにより、圧縮による画像データの劣化を抑制するとともに高い圧縮率を実現するという。
特開2007−60619号公報
しかし、地図画像のような微細な線画を多く含む原稿から読み取られた画像データをCPDFなどの圧縮技術で圧縮すると、画像データの画像領域にノイズが発生し、著しく画質が低下する可能性がある。そして、上記従来技術は、圧縮された画像を確認するまで、当該画像の劣化に対する対応をとることができないという問題がある。当該ノイズは、原稿から読み取った画像データから属性データが生成される際、画像の属性を有する画素を文字の属性を有する画素と誤判断され、本来画像の画素が文字の画素であるとして二値化された階調で圧縮されることで発生する。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものである。すなわち、CPDFなどによる圧縮により生じ得るユーザーが意図しない画質低下の有無を画像データの圧縮前に認識可能とすることで、圧縮処理のやり直しを防止するための事前対応の機会を容易に確保することが可能な画像処理装置を提供する。
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)原稿を画像データとして読み込むとともに、前記画像データの画素ごとに属性を判断することにより画素ごとの属性を示す属性データを生成する読取手段と、前記属性データに基づいて、前記画像データに対し、文字の属性を有する文字領域と、画像の属性を有する画像領域とを分離して、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理がなされる前に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを、前記画像データのページ全体における前記文字領域が所定の条件を満たすかどうかによって判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を通知する通知手段と、を有する画像処理装置。
(2)前記判定手段は、前記画像データの前記文字領域がページ内において一様に分布していると判断する場合に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生すると判定する、上記(1)に記載の画像処理装置。
(3)前記判定手段は、前記画像データのページ内における前記文字領域の割合が所定値を超える場合に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生すると判定する、上記(1)に記載の画像処理装置。
(4)前記判定手段は、前記画像データのページの幅方向および長さ方向の任意のライン上に存在する文字の属性を有する画素の数のヒストグラムにおいてそれぞれ出現した複数のピークの裾野の分離がないと判断する場合に、前記画像データの前記文字領域がページ内において一様に分布していると判断する、上記(2)に記載の画像処理装置。
(5)前記判定手段は、前記画像データのページを分割し、分割後のすべての領域が前記特定圧縮処理により画質の低下が発生する場合に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生すると判定する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の画像処理装置。
(6)前記判定手段は、ページごとに前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを判定する、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
(7)上記(1)〜()のいずれかに記載の画像処理装置と、前記通知手段から通知された前記判定結果において前記画像データの画質の低下が発生すると判定されている場合は、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で前記読取手段により読み込まれた前記画像データを圧縮し、画質の低下が発生しないと判定されている場合は、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する圧縮処理手段と、を有する画像形成装置。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の画像処理装置と、前記通知手段から通知された前記判定結果において前記画像データの画質の低下が発生すると判定されている場合は、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で前記読取手段により読み込まれた前記画像データを圧縮し、またはユーザーによる指示に従って前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮し、画質の低下が発生しないと判定されている場合は、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する圧縮処理手段と、前記圧縮処理手段により圧縮された画像データを送信する送信手段と、前記通知手段から通知された前記判定結果において前記画像データの画質の低下が発生すると判定され、かつ前記ユーザーによる指示に従い前記特定圧縮処理で前記画像データが圧縮された場合に、前記圧縮処理手段により圧縮される前の前記画像データを記憶するとともに、前記送信手段により前記圧縮された画像データが送信された後も前記圧縮される前の画像データの記憶を維持する記憶手段と、を有する画像形成装置。
(9)原稿を画像データとして読み込むとともに、前記画像データの画素ごとに属性を判断することにより画素ごとの属性を示す属性データを生成する読取手段と、前記画像データのページを分割し、分割後の前記ページの領域ごとに、前記属性データに基づいて、文字の属性を有する文字領域と、画像の属性を有する画像領域とを分離して、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理がなされる前に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを、前記画像データのページ全体における前記文字領域が所定の条件を満たすかどうかによって判定する判定手段と、前記判定手段により前記画像データの画質の低下が発生すると判定された前記領域を、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で圧縮し、画質の低下が発生しないと判定された前記領域を、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する圧縮処理手段と、を有する画像形成装置。
(10)原稿を画像データとして読み込むとともに、前記画像データの画素ごとに属性を判断することにより画素ごとの属性を示す属性データを生成する画像処理装置から前記画像データと前記属性データとを受信する受信手段と、前記属性データに基づいて、前記画像データに対し、文字の属性を有する文字領域と、画像の属性を有する画像領域とを分離して、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理がなされる前に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを、前記画像データのページ全体における前記文字領域が所定の条件を満たすかどうかによって判定する判定手段と、前記判定手段により前記画像データの画質の低下が発生すると判定された場合は、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で前記画像データを圧縮し、画質の低下が発生しないと判定された場合は、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する圧縮処理手段と、を有する、画像形成装置。
(11)原稿を画像データとして読み込むとともに、前記画像データの画素ごとに属性を判断することにより画素ごとの属性を示す属性データを生成する段階(a)と、前記属性データに基づいて、前記画像データに対し、文字の属性を有する文字領域と、画像の属性を有する画像領域とを分離して、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理がなされる前に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを、前記画像データのページ全体における前記文字領域が所定の条件を満たすかどうかによって判定する段階(b)と、前記画像データの画質の低下が発生すると判定された場合は、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で前記画像データを圧縮し、画質の低下が発生しないと判定された場合は、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する段階(c)と、を有する、画像処理方法。
(12)原稿を画像データとして読み込むとともに、前記画像データの画素ごとに属性を判断することにより画素ごとの属性を示す属性データを生成する画像処理装置から前記画像データと前記属性データとを受信する段階(d)と、前記属性データに基づいて、前記画像データに対し、文字の属性を有する文字領域と、画像の属性を有する画像領域とを分離して、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理がなされる前に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを、前記画像データのページ全体における前記文字領域が所定の条件を満たすかどうかによって判定する段階(e)と、前記画像データの画質の低下が発生すると判定された場合は、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で前記画像データを圧縮し、画質の低下が発生しないと判定された場合は、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する段階(f)と、を有する、画像処理方法。
(13)原稿を画像データとして読み込むとともに、前記画像データの画素ごとに属性を判断することにより画素ごとの属性を示す属性データを生成する手順(a)と、前記属性データに基づいて、前記画像データに対し、文字の属性を有する文字領域と、画像の属性を有する画像領域とを分離して、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理がなされる前に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを、前記画像データのページ全体における前記文字領域が所定の条件を満たすかどうかによって判定する手順(b)と、前記画像データの画質の低下が発生すると判定された場合は、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で前記画像データを圧縮し、画質の低下が発生しないと判定された場合は、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する手順(c)と、を有する手順を画像形成装置に実行させるプログラム。
(14)原稿を画像データとして読み込むとともに、前記画像データの画素ごとに属性を判断することにより画素ごとの属性を示す属性データを生成する画像処理装置から前記画像データと前記属性データとを受信する手順(d)と、前記属性データに基づいて、前記画像データに対し、文字の属性を有する文字領域と、画像の属性を有する画像領域とを分離して、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理がなされる前に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを、前記画像データのページ全体における前記文字領域が所定の条件を満たすかどうかによって判定する手順(e)と、前記画像データの画質の低下が発生すると判定された場合は、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で前記画像データを圧縮し、画質の低下が発生しないと判定された場合は、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する手順(f)と、を有する手順を画像形成装置に実行させるプログラム。
(15)上記(13)または(14)に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
画像データを、画素ごとに属性が判断された属性データに基づいて文字領域と画像領域とに分離し、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する圧縮処理により画像データの画質の劣化が発生するかどうか判定し、判定結果を通知する。これにより、CPDFなどによる圧縮により生じ得るユーザーが意図しない画質低下の有無を画像データの圧縮前に認識可能とすることで、圧縮処理のやり直しを防止するための事前対応の機会を容易に確保することができる。
画像形成システムのブロック図である。 画像形成装置のブロック図である。 RAWデータとRAWデータに基づいて生成されたTAGデータを示す説明図である。 TAGデータを生成する際に抽出された文字領域の例を示す図である。 RAWデータがCPDFで圧縮された後のCPDFの画像と、通常のPDF化の処理により圧縮された後のPDFの画像とを比較して示す図である。 RAWデータのページの画像と、ページの幅方向および長さ方向のライン上に存在する文字の属性を有する画素の数のヒストグラムとの例を示す図である。 文字の属性を有する画素の数のヒストグラムにおけるピークを示す説明図である。 CPDFによる圧縮により画質の低下が発生すると判断されるRAWデータのページから抽出された文字領域の図と、ページの幅方向および長さ方向のライン上に存在する文字の属性を有する画素の数のヒストグラムとの例を示す図である。 CPDFによる圧縮により画質の低下が発生しないと判断されるRAWデータのページから抽出された文字領域の図と、ページの幅方向および長さ方向のライン上に存在する文字の属性を有する画素の数のヒストグラムの例を示す図である。 MFPの動作を説明するための説明図である。 情報処理装置のブロック図である。 第1実施形態に係るMFPの動作のフローチャートである。 RAWデータのページにおいて、文字、写真、および地図が混在している場合を示す説明図である。 RAWデータの分割回数と分割数を説明するための説明図である。 第2実施形態に係るMFPの動作のフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る、画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像形成装置用プログラム、および、画像形成装置用プログラムを記録した記録媒体について詳細に説明する。
本明細書において、CPDFとは、画像データを、文字領域と画像領域ごとに適当な圧縮処理を施した後、PDFの文書フォーマット上で合成する技術を意味するとともに、当該技術によりPDFの文書フォーマットに変換されたファイルをも意味するものとする。また、CPDFにより画像データが変換されることで生成されるデータおよびファイルを、便宜上、それぞれCPDFデータおよびCPDFファイルと記載して説明するが、CPDFデータおよびCPDFファイルはそれぞれPDFデータおよびPDFファイルと同じ文書フォーマットのファイルである。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置が含まれる画像形成システムのブロック図である。
画像形成システム100は、画像形成装置を構成するMFP110と、情報処理装置120とを有する。MFP110および情報処理装置120の数は1つであっても複数であってもよい。
情報処理装置120は、例えば、PC(Personal Computer)またはスマートフォンにより構成されることができる。
MFP110および情報処理装置120は、ネットワーク130を介して相互に通信可能に接続される。ネットワーク130は、イーサネット(登録商標)、TCP/IP等の規格によりコンピュータやネットワーク機器同士を接続したLAN(Local Area Network)、あるいは、LAN同士を専用線で接続したWAN(Wide Area Network)により構成されることができる。
ユーザー150によりMFP110の原稿台の所定の読み取り位置にセットされた原稿140は、MFP110によりRAWデータとして読み取られ、PDF、JPG、またはTIFFなどのコンピュータ上で閲覧可能なファイル141に変換される。RAWデータとは、画素ごとの、R(Red)、G(Green)、およびB(Blue)の階調からなるビットマップ形式の画像データである。PDFなどに変換されたRAWデータのファイル141は、ユーザー150により指定された送信先の情報処理装置120に送信され、または原稿140を読み取ったMFP110の内部の記憶装置に保存されることができる。
図2は、画像形成装置のブロック図である。
画像形成装置110は、制御部111、記憶部112、通信インターフェース113、操作部114、表示部115、読取部116、画像制御部117、および画像形成部118を有する。これらの構成要素は信号をやり取りするためのバス119を介して相互に接続される。
読取部116は制御部111とともに、読込手段、判定手段、および通知手段を構成するとともに、画像処理装置を構成する。記憶部112は、記憶手段を構成する。通信インターフェース113は、送信手段を構成する。
制御部111は、CPU(Central Processing Unit)により構成されることができ、プログラムに従って上記各構成要素の制御や各種の演算処理などを行う。すなわち、制御部111は、画像形成装置110を構成する各構成要素と連携をとりながら、各種処理に関する制御全般および各種演算処理を行なう。
記憶部112は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびHDD(Hard Disk Drive)により構成されることができる。制御部111により実行されるプログラムや、制御部111により処理されるデータはRAMにより一時的に記憶される。ROMにより、各種プログラムや各種データが記憶される。HDDにより、制御部111が画像形成装置110の各構成要素を制御するためのプログラムを含む各種プログラムが記憶される。また、HDDにより、読取部116により原稿が読み取られることにより生成されるRAWデータ、RAWデータの画素ごとの属性が判断されることで生成される、画素ごとの属性を示すTAGデータ、およびその他の各種データが保存される。
通信インターフェース113は、画像形成装置110と外部機器との間で通信を行うためのインターフェースであり、イーサネット(登録商標)、SATA、PCI Express、USB、IEEE1394の規格によるネットワークインターフェース、および、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11の規格による無線通信インターフェースなどの各種ローカル接続インターフェースが用いられる。
操作部114は、各種設定を行うタッチパネル、コピー枚数などを設定するテンキー、動作の開始を指示するスタートキー、動作の停止を指示するストップキー、および各種設定条件を初期化するリセットキーなどからなる。
表示部115は、各種情報を表示し各種設定入力を行うタッチパネル、および表示ランプなどからなる。なお、操作部114と表示部115の重複する機能は、操作部114および表示部115のいずれかが有するようにしてもよい。
読取部116は、原稿台の所定の読み取り位置にセットされた原稿に蛍光ランプ等の光源で光を当て、その反射光をCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどの撮像装置で光電変換して、その電気信号からRAWデータを生成する。
読取部116は、例えば、600dpiの解像度で、8bit(256)のRGBの階調のRAWデータとして原稿を読み取ることができる。
読取部116は、生成したRAWデータにおいて、文字領域と画像領域とを分離し、画素ごとに文字または画像のいずれかの属性を有するかを示す属性データであるTAGデータを生成する。文字領域とは、文字(例えば、テキスト)の属性を有する画素の領域である。画像領域とは、画像(例えば、イメージ)の属性を有する画素の領域である。
RAWデータにおける文字領域と画像領域の分離は、文字および画像のいずれか、または双方の特徴に基づいてRAWデータを解析することにより行うことができる。例えば、エッジ検出により文字領域を認識して抽出することにより、文字領域と画像領域とを分離することができる。
図3は、RAWデータとRAWデータに基づいて生成されたTAGデータを示す説明図である。
図3においては、例として、RAWデータにおける文字領域にはテキストデータであるアルファベットの文字がビットマップデータとして存在し、画像領域にはイメージデータである蓮の写真がビットマップデータとして存在している。
RAWデータにおいて文字を構成すると判断された画素の領域は、TAGデータにおいて文字の属性を有する文字領域として示され、画像を構成すると判断された画素の領域は、TAGデータにおいて画像の属性を有する画像領域として示される。
図4は、TAGデータを生成する際に抽出された文字領域の例を示す図である。
図4のAは、微細な線画を多く含む地図の画像のRAWデータから抽出された文字領域を示す図であり、図4のBは、文字を含み、線図を含まない画像のRAWデータから抽出された文字領域を示す図である。
図4のAに示すように、微細な線画を多く含む地図のRAWデータから文字領域を抽出すると、文字が存在しない地図の部分においても、文字領域が一様に分布している。これは、地図上の道路や家屋の境界などが文字として誤認識されたことが原因と考えられる。
RAWデータは、特定圧縮処理であるCPDFに変換される際、TAGデータに基づいて文字領域と画像領域に分離され、文字領域は二値化された階調で圧縮され、画像領域は解像度が低下されてJPEGにより圧縮される。このため、圧縮効率が向上される一方、CPDFの画像データにおいて、地図上に誤認識された文字領域が階調が二値化されて圧縮されることでノイズとして存在することとなり、画質が低下する。
図4のBに示すように、文字を含み、線図を含まない画像のRAWデータから文字領域を抽出すると、文字が存在しない部分は文字領域として抽出されていない。このことは、文字を含み、線図を含まない画像のRAWデータから文字領域を抽出する場合は、文字が存在しない部分が文字領域として誤認識されにくいことを示している。
画像制御部116は、読取部116により生成されたRAWデータを、TAGデータに基づいて、CPDFにより変換することで圧縮し、CPDFファイルを生成する。
図5は、RAWデータがCPDFで圧縮された後のCPDFの画像と、通常のPDF化の処理により圧縮された後のPDFの画像とを比較して示す図である。
図5のAは、微細な線画を多く含む地図のRAWデータをCPDFにより圧縮された後のCPDFの画像を示している。図5のBは、同じRAWデータを通常のPDF化の処理により圧縮された後のPDFの画像を示している。なお、RAWデータは図4のAにおいて使用されたRAWデータと同じデータである。
図5のAのCPDFの画像においては、文字が存在しない地図の部分においてノイズが発生している。これは、上述したように、地図上の道路や家屋の境界などが文字として誤認識され、地図上に誤認識された文字領域が階調が二値化されて圧縮されることでノイズとして存在することによるものである。
図5のBのPDFの画像においては、比較的ノイズが発生していない。これは、通常のPDF化の処理においては、RAWデータを文字領域と画像領域とに分離せず、ページ全体をJPEGなどの一般的な画像圧縮方法により圧縮するためである。
読取部116は、CPDFによりRAWデータが変換される際の圧縮により画質の低下が発生するかどうかを判定する。すなわち、読取部116は、TAGデータに基づいて、RAWデータを文字領域および画像領域に分離し、文字領域を階調を二値化して圧縮し、画像領域を解像度を低下させてJPEGにより圧縮した後、合成することで画質の低下が発生するかどうかを判定する。
読取部116は、TAGデータに基づいて、RAWデータのページの総画素数NALLに対する、文字領域の画素数NCHARの割合が所定の閾値RTHを超える場合に、CPDFにより画質の低下が発生すると判断することができる。これは、文字領域の画素数NCHARの割合が比較的大きく増大することは、TAGデータが生成される際に文字領域と誤認識された画素が比較的高い割合で存在すると考えられるからである。なお、閾値RTHは、事前の実験などにより適当な値に設定されることができる。
読取部116は、TAGデータに基づいて、RAWデータの文字領域がページ内において一様に分布していると判断する場合に、CPDFにより画質の低下が発生すると判断してもよい。すなわち、読取部116は、例えば、RAWデータのページの幅方向および長さ方向の任意のライン上に存在する文字の属性を有する画素の数のヒストグラムを算出する。そして、当該ヒストグラムにおいて出現した複数のピークの裾野の分離がないと判断する場合に、RAWデータの文字領域がページ内において一様に分布しているとして、CPDFにより画質の低下が発生すると判断することができる。このように、TAGデータに基づいて、RAWデータの文字領域がページ内において一様に分布していると判断する場合に、CPDFにより画質の低下が発生すると判断できるのは次の理由による。すなわち、CPDFにより画質の低下が発生するのは、図4のAに示すように、微細な線画を多く含むことで当該線画が文字として誤認識された結果、TAGデータにおいて文字領域が一様に分布している場合であるからである。
なお、CPDFにより画質の低下が発生するかどうかは、RAWデータのページごとに判断されてもよい。
図6は、RAWデータのページの画像と、ページの幅方向および長さ方向のライン上に存在する文字の属性を有する画素の数のヒストグラムとの例を示す図である。図7は、文字の属性を有する画素の数のヒストグラムにおけるピークを示す説明図である。
図6の各ヒストグラムにおいて、横軸はページの幅方向または長さ方向の各ラインの番号を示している。当該番号の数(ライン数)は、ページの幅方向のラインについてはページの長さ方向のライン上の総画素数が相当し、ページの長さ方向のラインについてはページの幅方向のライン上の総画素数が相当する。ヒストグラムの縦軸は、各ライン上に存在する文字の属性を有する画素の数を、各ライン上の総画素数に対する割合として示されている。
上記ヒストグラムにおいてピークの裾野の分離があるかどうかは、次のように判断されることができる。すなわち、図7において、次のすべての条件を満たす場合に、ピークの裾野の分離があると判断されることができる。
(1)文字の属性を有する画素の数が0の区間に囲まれた孤立領域があること。
(2)当該孤立領域内の最高点における文字の属性を有する画素の数(高さH)が、所定の最小値(HTHL)より大きく、所定の最大値(HTHH)より小さいこと。
(3)当該孤立領域であるピークの裾野の幅(ピーク幅W)が所定の最小値(WTHL)より大きく所定の最大値(WTHH)より小さいこと。
なお、図7の例においては、ヒストグラムにおいて最も左に存在する孤立点Aはノイズである可能性が高く、これを除去することで判断の精度を高めることができる。上記の条件(2)、(3)における高さHの最小値(HTHL)、最大値(HTHH)、およびピーク幅Wの最小値(WTHL)、最大値(WTHH)は、ノイズの除去をどの程度実施するかの観点から適当に定められることができる。
図8は、CPDFによる圧縮により画質の低下が発生すると判断されるRAWデータのページから抽出された文字領域の図と、ページの幅方向(水平方向)および長さ方向(垂直方向)のライン上に存在する文字の属性を有する画素の数のヒストグラムとの例を示す図である。
図8の各ヒストグラムにおいて丸で囲んで示すように、画質の低下が発生すると判断される例では、ページの幅方向においても長さ方向においてもピークの裾野の分離が見られていない。このため、RAWデータは、CPDFによる圧縮により画質の低下が発生すると判断される。
図9は、CPDFによる圧縮により画質の低下が発生しないと判断されるRAWデータのページから抽出された文字領域の図と、ページの幅方向(水平方向)および長さ方向(垂直方向)のライン上に存在する文字の属性を有する画素の数のヒストグラムの例を示す図である。
図9のページの長さ方向(垂直方向)のヒストグラムにおいて丸で囲んで示すように、画質の低下が発生しないと判断される例では、ピークの裾野の分離が明確に見られる。なお、ページの長さ方向(垂直方向)のヒストグラムにおいてピークの裾野の分離が見られないのは、ページが横書きの文書であることが影響していると考えられる。
読取部116は、CPDFによる圧縮により画質の劣化が発生するかどうかの判定結果を画像制御部117に通知する。なお、読取部116は、CPDFによる圧縮により画質の劣化が発生するかどうかがRAWデータのページごとに判断された場合は、ページごとの判断結果を画像制御部117に通知する。
画像制御部117は、RAWデータを、CPDFまたは通常のPDF化の処理により、CPDFまたはPDFのファイルに変換する。画像制御部117は、CPDFによる圧縮により画質の劣化が発生しないという通知を受けた場合は、RAWデータをCPDFによりCPDFファイルに変換し、画質の劣化が発生するという通知を受けた場合は、RAWデータを通常のPDF化の処理によりPDFファイルに変換する。RAWデータはCPDFによりCPDFファイルに変換される際、TAGデータに基づいて文字領域と画像領域に分離され、文字領域は二値化された階調で圧縮され、画像領域は解像度を低下させてJPEGにより圧縮される。RAWデータは通常のPDF化の処理によりPDFのファイルに変換される際、CPDFにおいて画像領域が圧縮される圧縮方式であるJPEGによりRAWデータ全体が圧縮される。なお、画像制御部117は、CPDFにより画質の劣化が発生するかどうかについて、ページごとの判断結果が通知された場合は、当該判断結果にしたがい、RAWデータをページごとにCPDFまたは通常のPDF化の処理により、CPDFデータまたはPDFデータに変換する。
画像制御部117によりRAWデータが変換されたCPDFまたはPDFのファイルは、制御部111により通信インターフェース113を介してユーザーに指定された情報処理装置120に送信され、または記憶部112に保存される。
画像制御部117は、通信インターフェース113により受信された印刷ジョブに含まれる印刷データのレイアウト処理およびラスタライズ処理を行い、ビットマップ形式の画像データを生成する。印刷ジョブとは、MFP110に対する印刷命令の総称であり、印刷データおよび印刷設定が含まれる。印刷データとは、印刷の対象である文書のデータであり、印刷データには、例えば、イメージデータ、ベクタデータ、テキストデータといった各種データが含まれ得る。印刷設定とは、用紙への画像形成に関する設定および印刷物の後処理に関する設定であり、例えば、両面印刷、用紙の種類、画像のレイアウト、グレースケールまたはフルカラー、およびステープルなどの各種設定が含まれる。
画像形成部118は、電子写真方式により帯電、露光、現像、転写および定着の各工程を経て、長尺状の用紙を含む各種用紙に画像データに基づく画像形成を行い出力する。
MFP110の動作について説明する。
図10は、MFPの動作を説明するための説明図である。なお、図10においては、MFP110の機能である、コピー機能、プリント機能、およびスキャン機能のうちスキャン機能による動作について示されており、コピー機能およびプリント機能による動作については省略されている。
ユーザー150が原稿140をMFP110の原稿台にセットし、MFP110にスキャンの実行を指示すると、原稿140が読取部116によりRAWデータとして読み取られる。このとき、生成したRAWデータにおいて文字領域と画像領域とが分離され、画素ごとに文字または画像のいずれかの属性を有するかを示すTAGデータも生成される。また、TAGデータに基づいてRAWデータがCPDFにより圧縮されることで画質の低下が発生するかどうか判定される。RAWデータおよびTAGデータは、記憶部112のHDDに一旦保存される。RAWデータは、画像制御部117が読取部116から、CPDFにより画質の劣化が発生しないという通知を受けた場合は、TAGデータに基づいて、文字領域が階調が二値化されて圧縮され、画像領域がJPEGにより圧縮された後合成されることでCPDFファイルに変換される。画像制御部117が読取部116から、CPDFにより画質の劣化が発生するという通知を受けた場合は、RAWデータは通常のPDF化の処理によりPDFファイルに変換される。当該変換により生成されたCPDFまたはPDFのファイルは、記憶部112のHDDに一旦保存された後、ジョブの実行状況や、ユーザー150の指示に応じて、送信条件が成立した段階で、ユーザー150による指定の宛先に、ユーザー150指定の方法で送信される。ユーザー150による指定の宛先には情報処理装置120の記憶部が含まれる。送信方法としては、Email、SMB(Server Message Block)、FTP(File Transfer Protocol)、WebDAV(Web−based Distributed Authoring and Versioning)などのネットワーク上の装置間のファイル交換方式が用いられることができる。
図11は、情報処理装置のブロック図である。
情報処理装置120は、制御部121、記憶部122、操作部123、表示部124、および通信インターフェース125を有し、これらは信号をやり取りするためのバス126を介して相互に接続される。
制御部121は、CPUにより構成されることができ、プログラムに従って上記各部の制御や各種の演算処理を行う。
記憶部122は、RAM、ROM、およびHDDにより構成されることができる。制御部121により実行されるプログラムや、制御部121により処理されるデータはRAMにより一時的に記憶される。ROMにより、各種プログラムや各種データが記憶される。HDDにより、制御部121が各構成要素を制御するためのプログラムを含む各種プログラム、および各種データが記憶される。
操作部123は、例えばマウスといったポインティングデバイスやキーボード、タッチパネルを含み、各種の操作、入力を行うために使用される。
表示部124は、例えば液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。
通信インターフェース125は、外部機器と通信するためのインターフェースであり、イーサネット(登録商標)、SATA、PCI Express、USB、IEEE1394等の規格によるネットワークインターフェースや、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11等の無線通信インターフェース等の各種ローカル接続インターフェース等が用いられる。
図12は、MFPの動作のフローチャートである。本フローチャートは、MFP110によりプログラムにしたがい実行されることができる。
MFP110の制御部111は、ユーザーによるスキャン実行の指示にしたがい原稿のスキャンを開始する(S101)。
制御部111は、原稿のページごとに、ステップS103〜S108を、最終ページが終了するまで繰り返す(S102)。
読取部116は、原稿を読み取り、RAWデータを生成するとともに、生成したRAWデータの文字領域と画像領域とを分離し、画素ごとに文字または画像のいずれかの属性を有するかを示すTAGデータを生成する(S103)。
読取部116は、CPDFによりRAWデータが変換される際の圧縮により、画質の低下が発生するかどうかを判定する(S104)。
読取部116は、CPDFによる圧縮により画質の低下が発生すると判断したときは(S105:YES)、その旨を画像制御部117に通知し、画像制御部117は、RAWデータを通常のPDF化の処理によりPDFデータに変換する(S107)。
読取部116は、CPDFによる圧縮により画質の低下が発生しないと判断したときは(S105:NO)、その旨を画像制御部117に通知し、画像制御部117は、RAWデータをCPDFによりCPDFデータに変換する(S106)。
画像制御部117は、RAWデータが変換されることで生成されたCPDFまたはPDFのページのデータをファイルのページとして追記する(S108)。
制御部111は、原稿のすべてのページについてステップS103〜S108が実行されることで、すべてのページのデータについてのファイルが生成されると、生成されたファイルをユーザーによる指定先に送信する(S109)。
なお、読取部116によりCPDFによる圧縮により画質の低下が発生すると判断される場合であっても、ユーザーの指示にしたがい、RAWデータをCPDFにより変換することで圧縮してもよい。その際、CPDFにより圧縮される前のRAWデータを記憶部112に記憶させ、CPDFファイルが送信された後も記憶部112によるRAWデータの記憶を維持させてもよい。これにより、CPDFファイルの画像に満足できない場合に、再度原稿を読み取ることでRAWデータを生成するという手間を排除することができる。
本実施形態は以下の効果を奏する。
画像データを、画素ごとに属性が判断された属性データに基づいて文字領域と画像領域とに分離し、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理により画像データの画質の劣化が発生するかどうか判定し、判定結果を通知する。これにより、CPDFなどによる圧縮により生じ得るユーザーが意図しない画質低下の有無を画像データの圧縮前に認識可能とすることで、圧縮処理のやり直しを防止するための事前対応の機会を、従来のデータフローや処理を変更することなく簡単な処理の追加により確保できる。
さらに、特定圧縮処理により画像データの画質の劣化が発生することを、属性データに基づいて画像データの文字領域がページ内において一様に分布していると判断することにより判定する。これにより、より適当に特定圧縮処理による画質の劣化を判断することができる。
さらに、特定圧縮処理により画像データの画質の劣化が発生することを、画像データのページ内における文字領域の割合が所定値を超えたことにより判定する。これにより、より簡単かつ適当に特定圧縮処理による画質の劣化を判断することができる。
さらに、画像データのページの幅方向および長さ方向の任意のライン上に存在する文字の属性を有する画素の数のヒストグラムにおいてそれぞれ出現した複数のピークの裾野の分離がないと判断できる場合に、特定圧縮処理による画質の劣化が発生すると判断する。これにより、より正確かつ適当に特定圧縮処理による画質の劣化を判断することができる。
さらに、ページごとに特定圧縮処理による画像データの画質の低下が発生するかどうかを判定する。これにより、複数のページを有する画像データの圧縮による画質の劣化防止とデータサイズ削減とをより的確に両立することができる。
さらに、特定圧縮処理により画像データの画質の劣化が発生することが通知された場合、特定圧縮処理において画像領域が圧縮される圧縮方式で画像データを圧縮し、画質の劣化が発生しないことが通知された場合は、特定圧縮処理で画像データを圧縮する。これにより、画像データの圧縮前により適当な圧縮方式が判断されることで、圧縮処理のやり直しを防止することができる。
さらに、特定圧縮処理により画像データの画質の劣化が発生することが通知された場合に、圧縮される前の画像データを記憶するとともに、ユーザーの指示により特定圧縮処理で前記画像データを圧縮し、圧縮された画像データが送信された後も当該圧縮される前の画像データの記憶を維持する。これにより、圧縮された画像データの画像に満足できない場合に、再度原稿を読み取ることで画像データを生成するという手間を排除することができる。また、特定圧縮処理により画像データの画質の劣化が発生する場合のみ圧縮前の画像データを記憶することで、一律に圧縮前の画像データを記憶する場合と比較して記憶領域の使用効率を向上できる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、画像形成装置用プログラム、および、画像形成装置用プログラムを記録した記録媒体について説明する。
本実施形態が第1実施形態と異なる点は次の点である。すなわち、第1実施形態においては、RAWデータのデータ単位またはページ単位でCPDFへの変換による圧縮により画質の低下が発生するかどうかを判断する。一方、本実施形態においては、RAWデータのページを分割し、分割された領域ごとにCPDFへの変換による圧縮により画質の低下が発生するかどうかを判断する。その他の点については、本実施形態は第1実施形態と同様であるため、重複する説明は省略または簡略化する。
図13は、RAWデータのページにおいて、文字、写真、および地図が混在している場合を示す説明図である。
RAWデータのページにおいて、文字、写真、および地図が混在している場合は、ページの幅およびページの長さ方向のライン上の文字の属性を有する画素の数のヒストグラムにおいてピークの裾野の分離の有無でCPDFによる画質の低下の有無を判断する方法(図6参照)は適切でない場合がある。すなわち、文字領域が画像領域(写真および地図の領域)に埋もれてヒストグラムが生成されるため、ピークの裾野の分離が無いと判断され、通常のPDF化の処理によりページ全体がJPEGなどの一般的な画像圧縮方法により圧縮されることが多くなる。しかし、文字領域が、解像度を下げてJPEGにより圧縮されず、解像度を下げずに階調を二値化することで圧縮されることを優先した方が適切な場合がある。すなわち、例えば、文字領域がワープロなどで生成されるように整然と文字が並んでいるような場合は、ページがCPDFにより圧縮される方が適切な場合がある。
図14は、RAWデータの分割回数と分割数を説明するための説明図である。
分割回数が1回目のときは、RAWデータのページが4つの領域に分割され、分割回数が2回目のときは、RAWデータのページが16の領域に分割される。すなわち、分割数は、4に対し分割回数だけ累乗された数になる。
本実施形態においては、このようにRAWデータのページを分割する。そして、分割された領域ごとにCPDFへの変換による圧縮により画質の低下が発生するかどうかを判断し、すべての領域がCPDFで変換されることによる圧縮により画質の低下が発生する場合にのみページ全体を通常のPDF化により圧縮する。一方、一つの領域でもCPDFへの変換による圧縮により画質の低下が発生しないと判断する場合は、ページ全体をCPDFにより圧縮する。これにより、分割された領域のいずれかが、整然と並んだ文字のみからなる文字領域であると推定される場合は、当該領域が解像度を下げずに階調を二値化することで圧縮されることを優先して、ページ全体をCPDFにより圧縮する。
図15は、MFPの動作のフローチャートである。なお、図15は、第1実施形態における図12のステップS104〜S106に対応する。
読取部116は、分割回数をカウントする変数(以下、「分割回数」と称する)Nを0で初期化する(S201)。
読取部116は、分割回数Nをインクリメントする(S202)。
読取部116は、分割回数Nが上限値を超えるまで、ステップS204〜S208を繰り返す(S203)。
分割回数Nが上限値を超えたと判断された場合は(S203:NO)、RAWデータの分割後のすべての領域についてCPDFに変換されることによる圧縮により画質の低下が発生すると判断されたことになる。したがって、この場合は、読取部116は、ページ全体を通常のPDF化の処理によりPDFデータに変換し(S209)、処理を終了する。
読取部116は、分割回数Nが上限値を超えていないと判断した場合は(S203:YES)、4を分割回数Nで累乗することにより分割数NNを算出する(S204)。
読取部116は、内部変数ANを1とし、変数ANが分割数NNに達するまでステップS206〜S208を繰り返す(S205)。
読取部116は、RAWデータのページの分割された領域のうち変数ANに対応する領域に対し、CPDFに変換されることによる圧縮により画質の低下が発生するかどうかを判断する(S207)。
読取部116は、変数ANに対応する領域について、CPDFで変換されることによる圧縮により画質が低下しないと判断したときは(S207:NO)、画像制御部117により、ページ全体をCPDFに変換することで圧縮させ(S208)、処理を終了する。
読取部116は、変数ANに対応する領域について、CPDFで変換されることによる圧縮により画質が低下すると判断したときは(S207:YES)、変数ANをインクリメントし、ステップS202に戻る。
なお、読取部116は、ステップS207において、一の領域がCPDFで変換されることによる圧縮により画質が低下しないと判断した場合であっても、さらに他の領域について、CPDFで変換されることによる圧縮により画質が低下するかどうかの判断を継続してもよい。そして、ページ内において、CPDFで変換されることによる圧縮により画質が低下しないと判断した領域は、CPDFにより圧縮し、CPDFで変換されることによる圧縮により画質が低下すると判断した領域は、通常のPDF化による処理により圧縮してもよい。その際、CPDFで変換されることによる圧縮により画質が低下しないと判断した領域のTAGデータにおける属性をすべて文字領域の属性に補正し、当該領域全体に対し階調を二値化する圧縮をしてもよい。
本実施形態は以下の効果を奏する。
読み取られた画像データのページを分割し、分割後のすべての領域が特定圧縮処理により画質の低下が発生する場合に、特定圧縮処理により画像データの画質の低下が発生すると判定し、当該ページを特定圧縮処理において画像領域が圧縮される圧縮方式で圧縮する。上記の場合以外の場合は、当該ページを特定圧縮処理により圧縮する。これにより、画像データのページにおいて、文字、写真、および地図が混在しているような場合に、文字領域が解像度を下げずに階調を二値化されることで圧縮されることを優先するといった、所望の圧縮を行うことができる。
また、ページの分割後の領域のうち、特定圧縮処理により画像データの画質の低下が発生すると判断する領域については特定圧縮処理において画像領域が圧縮される圧縮方式で圧縮し、画質の低下が発生しないと判断する領域については特定圧縮処理で圧縮する。これにより、文字領域および画像領域をそれぞれより適切な圧縮方式により圧縮することができる。
以上、本発明を実施形態により詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。
例えば、上述した実施形態において読取部が実施する動作の一部は制御部により実施されてもよい。
また、MFPの構成要素である読取部は、MFPの構成要素として構成されずに、MFPに接続される外部装置としての画像処理装置であるスキャナーにより構成されてもよい。この場合、スキャナーはRAWデータとTAGデータをMFPに送信するとともに、RAWデータがCPDFにより圧縮されることで画質の低下が発生するかどうか判定し、判定結果をMFPに通知する。このとき、MFPの通信インターフェースは、受信手段を構成し、スキャナーからRAWデータ、TAGデータ、および当該判定結果の通知を受信する。
また、RAWデータをCPDFにより圧縮することで画質の低下が発生すると判定した場合に、ユーザーに対し事前警告を送り、圧縮前のRAWデータを保存し、または画質低下が生じない別の圧縮方法によるファイル作成といった対処がなされてもよい。これによりユーザーの利便性が向上される。
また、上述した実施形態においてプログラムにより実行される機能の一部または全部が、回路などのハードウェアに置き換えて実施されてもよい。
100 画像形成システム、
110 MFP、
120 情報処理装置
140 原稿、
150 ユーザー。

Claims (15)

  1. 原稿を画像データとして読み込むとともに、前記画像データの画素ごとに属性を判断することにより画素ごとの属性を示す属性データを生成する読取手段と、
    前記属性データに基づいて、前記画像データに対し、文字の属性を有する文字領域と、画像の属性を有する画像領域とを分離して、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理がなされる前に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを、前記画像データのページ全体における前記文字領域が所定の条件を満たすかどうかによって判定する判定手段と、
    前記判定手段による判定結果を通知する通知手段と、
    を有する画像処理装置。
  2. 前記判定手段は、前記画像データの前記文字領域がページ内において一様に分布していると判断する場合に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生すると判定する、請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記判定手段は、前記画像データのページ内における前記文字領域の割合が所定値を超える場合に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生すると判定する、請求項1に記載の画像処理装置。
  4. 前記判定手段は、前記画像データのページの幅方向および長さ方向の任意のライン上に存在する文字の属性を有する画素の数のヒストグラムにおいてそれぞれ出現した複数のピークの裾野の分離がないと判断する場合に、前記画像データの前記文字領域がページ内において一様に分布していると判断する、請求項2に記載の画像処理装置。
  5. 前記判定手段は、前記画像データのページを分割し、分割後のすべての領域が前記特定圧縮処理により画質の低下が発生する場合に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生すると判定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  6. 前記判定手段は、ページごとに前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを判定する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
    前記通知手段から通知された前記判定結果において前記画像データの画質の低下が発生すると判定されている場合は、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で前記読取手段により読み込まれた前記画像データを圧縮し、画質の低下が発生しないと判定されている場合は、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する圧縮処理手段と、を有する画像形成装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
    前記通知手段から通知された前記判定結果において前記画像データの画質の低下が発生すると判定されている場合は、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で前記読取手段により読み込まれた前記画像データを圧縮し、またはユーザーによる指示に従って前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮し、画質の低下が発生しないと判定されている場合は、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する圧縮処理手段と、
    前記圧縮処理手段により圧縮された画像データを送信する送信手段と、
    前記通知手段から通知された前記判定結果において前記画像データの画質の低下が発生すると判定され、かつ前記ユーザーによる指示に従い前記特定圧縮処理で前記画像データが圧縮された場合に、前記圧縮処理手段により圧縮される前の前記画像データを記憶するとともに、前記送信手段により前記圧縮された画像データが送信された後も前記圧縮される前の画像データの記憶を維持する記憶手段と、を有する画像形成装置。
  9. 原稿を画像データとして読み込むとともに、前記画像データの画素ごとに属性を判断することにより画素ごとの属性を示す属性データを生成する読取手段と、
    前記画像データのページを分割し、分割後の前記ページの領域ごとに、前記属性データに基づいて、文字の属性を有する文字領域と、画像の属性を有する画像領域とを分離して、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理がなされる前に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを、前記画像データのページ全体における前記文字領域が所定の条件を満たすかどうかによって判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記画像データの画質の低下が発生すると判定された前記領域を、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で圧縮し、画質の低下が発生しないと判定された前記領域を、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する圧縮処理手段と、を有する画像形成装置。
  10. 原稿を画像データとして読み込むとともに、前記画像データの画素ごとに属性を判断することにより画素ごとの属性を示す属性データを生成する画像処理装置から前記画像データと前記属性データとを受信する受信手段と、
    前記属性データに基づいて、前記画像データに対し、文字の属性を有する文字領域と、画像の属性を有する画像領域とを分離して、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理がなされる前に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを、前記画像データのページ全体における前記文字領域が所定の条件を満たすかどうかによって判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記画像データの画質の低下が発生すると判定された場合は、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で前記画像データを圧縮し、画質の低下が発生しないと判定された場合は、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する圧縮処理手段と、
    を有する、画像形成装置。
  11. 原稿を画像データとして読み込むとともに、前記画像データの画素ごとに属性を判断することにより画素ごとの属性を示す属性データを生成する段階(a)と、
    前記属性データに基づいて、前記画像データに対し、文字の属性を有する文字領域と、画像の属性を有する画像領域とを分離して、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理がなされる前に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを、前記画像データのページ全体における前記文字領域が所定の条件を満たすかどうかによって判定する段階(b)と、
    前記画像データの画質の低下が発生すると判定された場合は、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で前記画像データを圧縮し、画質の低下が発生しないと判定された場合は、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する段階(c)と、
    を有する、画像処理方法。
  12. 原稿を画像データとして読み込むとともに、前記画像データの画素ごとに属性を判断することにより画素ごとの属性を示す属性データを生成する画像処理装置から前記画像データと前記属性データとを受信する段階(d)と、
    前記属性データに基づいて、前記画像データに対し、文字の属性を有する文字領域と、画像の属性を有する画像領域とを分離して、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理がなされる前に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを、前記画像データのページ全体における前記文字領域が所定の条件を満たすかどうかによって判定する段階(e)と、
    前記画像データの画質の低下が発生すると判定された場合は、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で前記画像データを圧縮し、画質の低下が発生しないと判定された場合は、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する段階(f)と、
    を有する、画像処理方法。
  13. 原稿を画像データとして読み込むとともに、前記画像データの画素ごとに属性を判断することにより画素ごとの属性を示す属性データを生成する手順(a)と、
    前記属性データに基づいて、前記画像データに対し、文字の属性を有する文字領域と、画像の属性を有する画像領域とを分離して、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理がなされる前に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを、前記画像データのページ全体における前記文字領域が所定の条件を満たすかどうかによって判定する手順(b)と、
    前記画像データの画質の低下が発生すると判定された場合は、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で前記画像データを圧縮し、画質の低下が発生しないと判定された場合は、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する手順(c)と、
    を有する手順を画像形成装置に実行させるプログラム。
  14. 原稿を画像データとして読み込むとともに、前記画像データの画素ごとに属性を判断することにより画素ごとの属性を示す属性データを生成する画像処理装置から前記画像データと前記属性データとを受信する手順(d)と、
    前記属性データに基づいて、前記画像データに対し、文字の属性を有する文字領域と、画像の属性を有する画像領域とを分離して、それぞれ異なる所定の圧縮方式で圧縮した後に合成する特定圧縮処理がなされる前に、前記特定圧縮処理により前記画像データの画質の低下が発生するかどうかを、前記画像データのページ全体における前記文字領域が所定の条件を満たすかどうかによって判定する手順(e)と、
    前記画像データの画質の低下が発生すると判定された場合は、前記特定圧縮処理において前記画像領域が圧縮される圧縮方式で前記画像データを圧縮し、画質の低下が発生しないと判定された場合は、前記特定圧縮処理で前記画像データを圧縮する手順(f)と、
    を有する手順を画像形成装置に実行させるプログラム。
  15. 請求項13または14に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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