JP4963329B2 - 発光素子の作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は一対の電極間に複数の層が挟まれた構成を有する発光素子に関し、特にその層
の構成に関する。
エレクトロルミネッセンス素子(発光素子)からの発光を利用した発光装置は、表示用
または照明用等の装置として注目されている。
発光装置に用いられる発光素子としては、一対の電極間に、発光性またはキャリア輸送
性等を有する物質からなる複数の層が挟まれた構成を有するものがよく知られている。
このような発光素子では、いずれか一方の電極は陽極として、他方の電極は陰極として
それぞれ機能し、陽極側から注入された正孔と、陰極側から注入された電子とが再結合し
て励起状態の分子を形成し、それが基底状態に戻るときに発光する。発光は、一対の電極
のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。
上記のような発光素子の作製工程は、一方の電極を形成した後、その上に複数の層を形
成し、さらにその上に他方の電極を形成するものが一般的である。
このような方法で発光素子を作製した場合、複数の層を形成した後の電極形成工程にお
いて、該層が損傷し、良好な素子特性を得ることができないことがある。このような現象
は、特にスパッタリング法を用いて前記電極を形成した場合に多くみられる。これは、ス
パッタリング法を用いた電極の形成過程では、高いエネルギーをもった原子が該層を損傷
するためと考えられている。
そのため、スパッタリング法を用いて前記電極を形成した場合でも損傷を受けにくい素
子構造を有する発光素子やその作製方法の開発が行われている。
例えば、特許文献1や特許文献2では、フタロシアニンからなる層を設けることでスパ
ッタリング法による成膜時に起こる有機層の損傷を抑制できることが示されている。また
、特許文献3においては、AgLiから成る膜を設けることによって、スパッタリング法
による成膜時に起こる有機層の損傷を抑制できることも報告されている。
しかし、特許文献1や特許文献2に示されたような方法では、電子輸送層と電子注入電
極との間にフタロシアニンを含む層を設けるための工程が増加することや、フタロシアニ
ンが長波長領域の光を吸収し易いことに起因し、赤色発光における発光効率が低下してし
まう等の問題が考えられる。また特許文献3に示されたような方法では、AgLiの膜厚
が厚くなると光の透過率が低くなり、発光の外部取り出し効率が悪くなるとの問題が考え
られる。
特開2002−75658号公報 特開2002−359086号公報 特開2003−249357号公報
本発明では、スパッタリング法による成膜時に有機物を含む層へ生じる損傷を抑制でき
る発光素子を提供することを課題とする。また、スパッタリング法による成膜時に有機物
を含む層へ生じる損傷を抑制できると共に、電極間のショート(短絡)等も抑制できる発
光素子を提供することを課題とする。
本発明の発光素子は、スパッタリング法による成膜時に生じ得る有機物を含む層への損
傷を抑制できるように、一対の電極間に金属酸化物を含む層を設けたものである。
本発明の発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に有機物を含む層を有し、前記第2の電極と前記有機物を含む層との間には、さらに金属酸化物を含む層を有し、これらの電極および層は、第1の電極よりも第2の電極の方が後に形成されるように積層されていることを特徴としている。金属酸化物を含む層は10nm〜200nmの厚さであることが好ましい。
前記有機物を含む層は、単層でも多層でもよく、好ましくは発光領域が第1の電極およ
び第2の電極から離れた部位に形成されるように、キャリア(電子・正孔)輸送性の高い
物質やキャリア注入性の高い物質などを組み合わせて構成されたものである。なお、有機
物を含む層は、一部にリチウムやマグネシウム等の金属元素、またはこの他の金属元素を
含んでいてもよい。
また、前記金属酸化物の具体例としては、モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム
酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)、マ
ンガン酸化物(MnOx)等が挙げられ、これらは蒸着法によって形成されることが好ま
しい。
このように、第2の電極と有機物を含む層との間に金属酸化物からなる層が設けられて
いる構成を有する本発明の発光素子では、第2の電極をスパッタリング法によって形成す
ることが可能である。
従って、第2の電極として、蒸着法よりもスパッタリング法によって成膜する方が容易
な物質、例えばインジウム錫酸化物(ITO)や珪素を含有したインジウム錫酸化物、酸
化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(Indium Zi
nc Oxide)等を用いることが用いることが容易となり、第2の電極を形成するた
めの物質の選択性が広がる。
また、第2の電極と金属酸化物とを含む層との間にスパッタリング法により形成された
膜を有する構成の発光素子であっても、上記と同様に、スパッタリング法による成膜に起
因した有機物を含む層への損傷を抑制できる。なお、この場合、第2の電極は必ずしもス
パッタリング法によって形成されている必要はない。有機物を含む層と金属酸化物を含む
層とスパッタリング法により形成された層とが順に積層されている構成を有する発光素子
であれば、本発明による効果を得ることができる。
本発明により、スパッタリング法による成膜に起因した不良が抑制された発光素子を得
ることができる。また、スパッタリング法による成膜に起因した不良が抑制されると共に
、電極間のショートが抑制された発光素子を得ることができる。
本発明の発光素子および比較例の発光素子の電圧−輝度特性を表す図。 本発明の発光素子の層構成について説明する図。 本発明の発光素子の層構成について説明する図。 本発明の発光素子および比較例の発光素子の電圧−電流特性を表す図。 本発明の発光素子の輝度−電流効率特性を表す図。 本発明の発光素子の電圧−輝度特性を表す図。 本発明の発光素子の電圧−電流特性を表す図。 本発明の発光素子の輝度−電流効率特性を表す図。 本発明を適用した発光装置の断面構造について説明する図。 本発明を適用した発光装置の断面構造について説明する図。 本発明を適用した発光装置の画素部における上面図。 本発明を適用した発光装置の画素部における上面図。 本発明を適用した発光装置の画素部の回路図。 本発明を適用した発光装置の断面構造について説明する図。 本発明を適用した発光装置の模式図。 本発明を適用した発光装置を実装した電子機器の図。
本発明の発光素子は、一対の電極間に有機物を含む層を有するものである。当該有機物
を含む層は、単層または複数の層で構成され、好ましくは電極から離れたところに発光領
域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリア(担体)の再結合が行われ
るように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わ
せて積層されたものである。
本発明の発光素子の一態様について図2を用いて以下に説明する。
本形態において、発光素子210は、これを支持するための基板200上に設けられて
おり、第1の電極201と、第1の電極201の上に順に積層した第1の層202、第2
の層203、第3の層204、第4の層205、第5の層206と、さらにその上に設け
られた第2の電極207とから構成されている。なお、本形態では第1の電極201は陰
極として機能し、第2の電極207は陽極として機能するように構成されている。
基板200としては、例えばガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。
なお、発光素子を作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のも
のでもよい。
第1の電極201は、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気
伝導性化合物、およびこれらの混合物などで構成されていることが好ましい。具体的には
、元素周期表の1族または2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(C
s)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチ
ウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含むアルミニウムや銀等の合金(M
g:Ag、Al:Li)が挙げられる。但し、第1の電極201と第2の電極207との
間に、電子注入を促す機能を有する層を当該第1の電極201と接して設けることにより
、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、インジウム錫酸化物(ITO)、または珪素
(Si)を含むITO等様々な導電性材料を第1の電極201として用いることができる
。但し、本形態で記載したものに限らず、この他のものを用いてもよい。
第1の層202は、電子注入性の高い物質、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化
セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカ
リ土類金属の化合物からなる層である。また、この他、電子輸送性の高い物質とアルカリ
金属又はアルカリ土類金属とを含む構成の層であってもよい。例えばAlq3とマグネシ
ウム(Mg)とを含む構成の層であってもよい。
第2の層203は、電子輸送性の高い物質、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミ
ニウム(略称:Alq3)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略
称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略
称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−
アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する
金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベ
ンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェ
ニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チ
アゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外に
も、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−
オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェ
ニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3
−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,
2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−
(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称
:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(
略称:BCP)なども用いることができる。但し、本形態で記載したものに限らず、この
他のものを用いてもよい。
第3の層204は、発光性の高い物質を含む層である。例えば、N,N’−ジメチルキ
ナクリドン(略称:DMQd)や2H−クロメン−2−オン(略称:クマリン)等の発光
性の高い物質とトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)や9,10
−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等のキャリア輸送性の高い物質とを
自由に組み合わせて構成される。但し、Alq3やDNAは発光性も高い物質であるため
、これらの物質を単独で用いた構成とし、第3の層204としても構わない。
第4の層205は、正孔輸送性の高い物質、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチ
ル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N
−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4
,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:
TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル
−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、
ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物からなる層である。但し、本形態で記載した
ものに限らず、この他の化合物を用いてもよい。
第5の層206は、モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ル
テニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnO
x)等の金属酸化物からなる層である。このように金属酸化物を含む層を設けることによ
り、第2の電極207の形成工程にスパッタリング法を用いた場合に生じる有機物を含む
層(本形態においては、第1の層から第4の層)の損傷を抑制することができる。なお、
本形態において、金属酸化物を含む層は蒸着法によって形成されることが好ましい。また
、金属酸化物を含む層は、10nm以上の膜厚であることが好ましい。スパッタリング法
に起因した損傷を抑制するには、このような膜厚で形成することが有効である。また、金
属酸化物としては、本形態で記載したものに限らず、この他のものを用いてもよい。第5
の層206は、例えば、金属酸化物と、正孔輸送性の高い物質とを含む層であってもよい
。正孔輸送性の高い物質としては先に記載したα−NPDやTPD等が挙げられる。この
ように、正孔輸送性の高い物質を含むことによって、より正孔を注入し易くなる。また、
第5の層206の膜厚を変え、発光性の高い物質を含む層(本形態では第3の層204)
から第2の電極207迄の距離を調節し、良好なスペクトル特性を示す発光を外部に取り
出すことが、正孔輸送性の高い物質を含むことによって容易となる。これは、第5の層2
06を厚くすることによって生じ得る駆動電圧の上昇を、正孔輸送性の高い物質を含むこ
とによって低減することができるためである。
さらに、金属酸化物を含む層を100nm以上の膜厚で形成した場合には、第1の電極
201または第2の電極207の膜面に形成された突起或いはこれらの電極間に混入した
異物等に起因して生じる、第1の電極201と第2の電極207とのショート(短絡)を
抑制することができる。なお、上記金属酸化物は光の透過性が高く、膜厚が厚くなっても
十分に発光を取り出すことができる。
第2の電極207は、仕事関数の大きい(仕事関数4.0eV以上)金属、合金、電気
伝導性化合物、およびこれらの混合物などで形成されていることが好ましい。具体的には
、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素を含有した
インジウム錫酸化物、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZ
O(Indium Zinc Oxide)の他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル
(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コ
バルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属の窒化物(TiN)等を
用いることができる。このように、第2の電極207はスパッタリング法により成膜可能
な導電性材料を用いて形成される。但し、本形態で記載したものに限らず、この他のもの
を用いてもよい。
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極201と第2の電極207
との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である第3の層20
4において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり第3の層204に発光
領域が形成されるような構成となっている。但し、第3の層204の全てが発光領域とし
て機能する必要はなく、例えば、第3の層204のうち第2の層203側または第4の層
205側にのみ発光領域が形成されるようなものであってもよい。
発光は、第1の電極201または第2の電極207のいずれか一方または両方を通って
外部に取り出される。従って、第1の電極201または第2の電極207のいずれか一方
または両方は、透光性のある物質で成る。
第1の電極201および第2の電極207がいずれも透光性を有する物質からなるもの
である場合、図2(A)に示すように、発光は第1の電極201および第2の電極207
を通って、基板側および基板と逆側の両方から取り出される。また、第2の電極207の
みが透光性を有する物質からなるものである場合、および第1の電極201および第2の
電極207が透光性を有する物質から成り第1の電極201側に反射膜が設けられている
場合は、図2(B)に示すように、発光は第2の電極207を通って基板と逆側から取り
出される。第1の電極201のみが透光性を有する物質からなるものである場合、および
第1の電極201および第2の電極207が透光性を有する物質から成り第2の電極20
7側に反射膜が設けられている場合は、図2(C)に示すように、発光は第1の電極20
1を通って基板側から取り出される。
なお第1の電極201と第2の電極207との間に設けられる層の構成は、上記のもの
には限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光が抑制されるよ
うに、第1の電極201および第2の電極207から離れた部位に正孔と電子とが再結合
する領域を設けた構成であり、且つ金属酸化物を含む層を有するものであれば、上記以外
のものでもよい。つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物
質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポ
ーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等から成る層を、金属酸化物を含む層
と自由に組み合わせて構成すればよい。また、例えば極薄の酸化珪素膜等からなる層を設
けることによってキャリアの再結合部位を制御したものであってもよい。
なお、上記発光素子は、基板200上に第1の電極201を形成した後、その上に第1
の層202、第2の層203、第3の層204、第4の層205、第5の層206を順に
積層し、さらにその上に第2の電極207を形成することによって作製される。また、各
層の形成方法について特に限定はないが、蒸着法、またはインクジェット法、またはスピ
ンコート法のいずれかで形成することが好ましい。
上記と異なる構成を有する本発明の発光素子の具体例を図3に示す。図3において、基
板300上には、第1の電極301が設けられており、第1の電極301の上には、第1
の層302、第2の層303、第3の層304、第4の層305、第5の層306が順に
積層して設けられている。さらに第5の層306の上には、第2の電極307が設けられ
ている。
ここで、第1の層302は正孔注入性の高い物質から成り、第2の層303は正孔輸送
性の高い物質から成り、第3の層304は発光体を含むキャリア輸送性の高い物質から成
り、第4の層305は電子輸送性の高い物質から成る。なお第5の層306は、金属酸化
物を含む層であり、この他、リチウムやマグネシウム等のアルカリ金属およびアルカリ土
類金属等の電子注入性の高い物質を含んでいてもよい。このような構成の発光素子におい
ても、上述のようなスパッタリング法による成膜に起因した有機化合物を含む層の損傷を
抑制することができる。このうような構成を有するとき、第1の電極301は陽極として
、第2の電極307は陰極としてそれぞれ機能する。なお、図3で表される発光素子も本
発明の発光素子の一態様であり、本発明の発光素子の構成はこれに限定されるものではな
い。
以上に述べた本発明の発光素子は、スパッタリング法に起因した有機物を含む層の損傷
を抑制できるものである。また、金属酸化物を含む層の膜厚を調整することによって電極
間のショートも抑制できるものである。さらに、本発明の発光素子を適用した発光装置は
、スパッタリング法や電極間のショートに起因した発光素子の不良が抑制されたものとな
り、例えば表示装置においては、良好な表示画像を得ることができる。
また、本形態では、電極をスパッタリング法により形成する場合について述べたが、例
えば、電極と金属酸化物を含む層との間にスパッタリング法により成膜された層を有する
構成の発光素子であっても、本形態と同様にスパッタリング法に起因した有機物を含む層
の損傷を抑制できる効果を得ることができる。いずれにしても、有機物を含む層と金属酸
化物を含む層とスパッタリング法により形成した層とが順に積層した構成であって、有機
物を含む層を先に、スパッタリング法により形成した層が後に形成される構成の発光素子
であれば金属酸化物を含む層を設けることによる効果を得ることができる。
本発明の発光素子の作製方法、並びにその発光素子の特性について説明する。なお、本
発明の発光素子の構成および作製方法は、本実施例のものに限定されるものではなく、膜
厚や物質等については適宜変更すればよい。
ガラス基板上にインジウム錫酸化物(ITO)をスパッタリング法によって成膜して第
1の電極を形成する。なお、成膜時のITOは非晶質成分を主成分とするものである。
次に、ITOをエッチングして素子分離した後、200℃、1時間加熱処理した。さらに
ポジ型のアクリルを塗布した後露光及び現像して隔壁層を形成した。その後、220℃、
1時間加熱処理をした。
次に湿式洗浄後、UVオゾン処理後、1×10-6Paの真空雰囲気中で150℃、30
分間、ITOが成膜されたガラス基板を処理する。
次に、4,4’−ビス(5−メチルベンズオキサゾル−2−イル)スチルベン(略称:
BzOs)とリチウム(Li)とを共蒸着し、第1の電極の上に、第1の層を形成した。
なお、BzOsとLiの重量比は、1:0.02となるようにした。また、膜厚は20n
mとなるようにした。
次に、Alq3を蒸着し、第1の層の上に第2の層を形成した。膜厚は20nmとなる
ようにした。
次に、Alq3とDMQDとを共蒸着し、第2の層の上に第3の層を形成した。なお、
Alq3とDMQDの重量比は、1:0.01となるようにした。また、膜厚は40nm
となるようにした。
次に、α−NPDを蒸着し、第3の層の上に第4の層を形成した。膜厚は40nmとな
るようにした。
以上のようにして、第1の電極の上に、有機物を含む層(第1の層〜第4の層)を形成
した。なお、各層を構成する物質については、本実施例に記載したものに限定されず、こ
の他のものを用いてもよい。
次に、金属酸化物であるモリブデン酸化物を蒸着し、第4の層の上に、第5の層を形成
した。膜厚は50nmとなるようにした。
次に、ITOをスパッタリング法により成膜し、第5の層の上に第2の電極を形成した
。成膜時(プラズマがたった時)の基板温度は40〜50℃である。成膜後のITOは非
晶質成分を主成分とするものである。膜厚は110nmとなるようにした。
以上のようにして作製した本発明の発光素子の素子特性を図1に●で示す。図1は電圧
−輝度特性を表し、横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m2)を表している。図1よ
り、駆動電圧(1cd/m2以上の発光が開始する電圧を駆動電圧とする。)は約5.5
Vであることが分かる。また、図4は電圧−電流特性を表し、横軸は電圧(V)、縦軸は
電流(mA)を表している。また、図5は輝度(cd/m2)−電流効率(cd/A)特
性を表し、横軸は輝度、縦軸は電流効率を表している。
(比較例1)
実施例1に示した本発明の発光素子に対する比較例について説明する。
本比較例の発光素子は、ITOから成る第1の電極上に、BzOsとLiとの混合層(
20nm)、Alq3から成る層(20nm)、DMQDとAlq3との混合層(40nm
)、α−NPDから成る層(40nm)、CuPCから成る層(20nm)が順に積層さ
れ、さらにその上にITOから成る第2の電極が積層された構成を有するものである。I
TOはいずれも上記と同様にスパッタリング法によって形成されたものである。またBz
OsとLiとの重量比は、1:0.02であり、Alq3とDMQDとの重量比は、1:
0.01である。
本比較例の発光素子の素子特性を図1に▲で示す。図1は電圧−輝度特性を表し、横軸
は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m2)を表している。図1より、駆動電圧(1cd/
2以上の発光が開始する電圧を駆動電圧とする。)は約13Vであることが分かる。ま
た、図4は電圧−電流特性を表し、横軸は電圧(V)、縦軸は電流(mA)を表している
。また、図5は輝度(cd/m2)−電流効率(cd/A)特性を表し、横軸は輝度、縦
軸は電流効率を表している。なお、素子特性は、第2の電極側から取り出した発光により
得られたものである。
以上に示した実施例1および比較例1の発光素子の素子特性から次のようなことが分か
る。CuPCを用いた比較例の発光素子では、スパッタリング法によるITOの成膜工程
における素子の一部(有機物を含む層)の損傷に起因し、発光素子の駆動電圧が高く(1
3V)なっているが、本発明の発光素子ではそのような傾向はみられない。つまり、本発
明の発光素子では、比較例の発光素子よりも、スパッタリング法に起因した発光素子の不
良を抑制できていることが分かる。
本実施例では、実施例1とモリブデン酸化物からなる第5の層の膜厚が異なる発光素子
であって、その他の構成は実施例1に示すものと同様のものについて説明する。なお、本
実施例に示す発光素子の作製方法についても、実施例1と同様である。従って、作製方法
についての説明は省略する。
本実施例の発光素子において、モリブデン酸化物からなる第5の層の膜厚は、それぞれ
10nm(実施例2−1)、100nm(実施例2−2)、200nm(実施例2−3)
である。
本実施例の発光素子の素子特性を図6に示す。図6は電圧−輝度特性を表し、横軸は電
圧(V)、縦軸は輝度(cd/m2)を表している。図6より、駆動電圧(1cd/m2
上の発光が開始する電圧を駆動電圧とする。)は、実施例2−1、2−2、2−3で表さ
れるいずれの発光素子においても約5Vであることが分かる。また、図7は電圧−電流特
性を表し、横軸は電圧(V)、縦軸は電流(mA)を表している。また、図8は輝度(c
d/m2)−電流効率(cd/A)特性を表し、横軸は輝度、縦軸は電流効率を表してい
る。図6〜8より、低電圧印加時は第5の層の膜厚によらず素子特性は同程度であり、ま
た高電圧印加時は膜厚の第5の層の膜厚が厚い発光素子の方が発光輝度が高い傾向を示す
ことが分かる。このことから、第5の層の膜厚が厚い発光素子の方が、スパッタリング法
に起因した損傷を抑制できていることが考えられる。なお、素子特性は、第2の電極側か
ら取り出した発光により得られたものである。
以上のように、本実施例に示す発光素子は、金属酸化物を含む層の膜厚を厚くしても、
良好な素子特性を得られるものであることが分かる。従って、金属酸化物を含む層の膜厚
を厚くすることで、電極間のショートを抑制することができる。さらに、本実施例に示す
発光素子は、金属酸化物を含む層の膜厚が厚くても、発光を十分に外部に取り出せるもの
であることが分かる。
本実施例では、本発明を適用した発光装置の構成について説明する。
図9において、点線で囲まれているのは、発光素子12を駆動するために設けられてい
るトランジスタ11である。発光素子12は第1の電極13と第2の電極14とこれらの
電極に挟まれた発光層15で構成されている。トランジスタ11のドレインと第1の電極
13とは、第1層間絶縁膜16(16a、16b、16c)を貫通している配線17によ
って電気的に接続されている。また、発光素子12は、隔壁層18によって、隣接して設
けられている別の発光素子と分離されている。このような構成を有する本発明の発光装置
は、本実施例において、基板10上に設けられている。
以上のような構成の発光装置において、発光素子12は本発明の発光素子であり、特に
発光層15は上述の金属酸化物を含む層を構成要素として含むものである。
なお、トランジスタ11はトップゲート型のものである。但し、トランジスタ11の構
造については、特に限定はなく、例えば図10(A)に示すような逆スタガ型のものでも
よい。また逆スタガ型の場合には、図10(B)のようにチャネルを形成する半導体層の
上に保護膜が形成されたもの(チャネル保護型)でもよいし、或いはチャネルを形成する
半導体層の一部が凹状になったもの(チャネルエッチ型)でもよい。なお、21はゲート
電極、22はゲート絶縁膜、23は半導体層、24はn型の半導体層、25は電極、26
は保護膜である。
また、トランジスタ11を構成する半導体層は、結晶性、非結晶性のいずれのものでも
よい。また、セミアモルファス等でもよい。
なお、セミアモルファスな半導体とは、次のようなものである。非晶質と結晶構造(単
結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有
する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいるもの
である。また少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶粒を含んでいる
。ラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトしている。X線回折ではSi
結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合
手(ダングリングボンド)を終端化するために水素またはハロゲンを少なくとも1原子%
またはそれ以上含ませている。所謂微結晶半導体(マイクロクリスタル半導体)とも言わ
れている。珪化物気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪化物気体と
しては、SiH4、その他にもSi26、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、Si
4などを用いることができる。この珪化物気体をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、
Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。希釈率は2〜100
0倍の範囲。圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120
MHz、好ましくは13MHz〜60MHz。基板加熱温度は300℃以下でよく、好ま
しくは100〜250℃。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の
不純物は1×1020/cm3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019
cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下とする。なお、セミアモルファスな半導体
を用いたTFT(薄膜トランジスタ)の移動度はおよそ1〜10m2/Vsecとなる。
また、半導体層が結晶性のも半導体の具体例としては、単結晶または多結晶性の珪素、
或いはシリコンゲルマニウム等から成るものが挙げられる。これらはレーザー結晶化によ
って形成されたものでもよいし、例えばニッケル等を用いた固相成長法による結晶化によ
って形成されたものでもよい。
なお、半導体層が非晶質の物質、例えばアモルファスシリコンで形成される場合には、
トランジスタ11およびその他のトランジスタ(発光素子を駆動するための回路を構成す
るトランジスタ)は全てNチャネル型トランジスタで構成された回路を有する発光装置で
あることが好ましい。それ以外については、Nチャネル型またはPチャネル型のいずれか
一のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよいし、両方のトランジスタで
構成された回路を有する発光装置でもよい。
さらに、第1層間絶縁膜16は、図9(A)、(C)に示すように多層でもよいし、ま
たは単層でもよい。なお、16aは酸化珪素や窒化珪素のような無機物から成り、16b
はアクリルやシロキサン(シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され
、置換基に少なくとも水素を含む物質)、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有す
る物質から成る。さらに、16cはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜から成る。なお、
各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いて
もよい。また、これら以外の物質から成る層をさらに組み合わせてもよい。このように、
第1層間絶縁膜16は、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、
または無機物と有機物のいずれか一で形成されたものでもよい。
隔壁層18は、エッジ部において、曲率半径が連続的に変化する形状であることが好ま
しい。また隔壁層18は、アクリルやシロキサン、レジスト、酸化珪素等を用いて形成さ
れる。なお隔壁層18は、無機物と有機物のいずれか一で形成されたものでもよいし、ま
たは両方を用いて形成されたものでもよい。
なお、図9(A)、(C)では、第1層間絶縁膜16のみがトランジスタ11と発光素
子12の間に設けられた構成であるが、図9(B)のように、第1絶縁膜16(16a、
16b)の他、第2層間絶縁膜19(19a、19b)が設けられた構成のものであって
もよい。図9(B)に示す発光装置においては、第1の電極13は第2層間絶縁膜19を
貫通し、配線17と接続している。
第2層間絶縁膜19は、第1層間絶縁膜16と同様に、多層でもよいし、または単層で
もよい。19aはアクリルやシロキサン(シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格
構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む物質)、塗布成膜可能な酸化珪素等の自
己平坦性を有する物質から成る。さらに、19bはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜か
ら成る。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外
のものを用いてもよい。また、これら以外の物質から成る層をさらに組み合わせてもよい
。このように、第2層間絶縁膜19は、無機物または有機物の両方を用いて形成されたも
のでもよいし、または無機物と有機物のいずれか一で形成されたものでもよい。
発光素子12において、第1の電極13および第2の電極14がいずれも透光性を有す
る物質で構成されている場合、図9(A)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極
13側と第2の電極14側の両方から発光を取り出すことができる。また、第2の電極1
4のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図9(B)の白抜きの矢印で表され
るように、第2の電極14側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第1の電
極13は反射率の高い材料で構成されているか、または反射率の高い材料から成る膜(反
射膜)が第1の電極13の下方に設けられていることが好ましい。また、第1の電極13
のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図9(C)の白抜きの矢印で表される
ように、第1の電極13側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第2の電極
14は反射率の高い材料で構成されているか、または反射膜が第2の電極14の上方に設
けられていることが好ましい。
また、発光素子12は、第1の電極13が陽極として機能し、第2の電極14が陰極と
して機能する構成であってもよいし、或いは第1の電極13が陰極として機能し、第2の
電極14が陽極として機能する構成であってもよい。但し、前者の場合、トランジスタ1
1はPチャネル型トランジスタであり、後者の場合、トランジスタ11はNチャネル型ト
ランジスタである。
なお、本実施例の発光装置において、発光素子は複数個設けられている(但し、図示し
ていない)。各発光素子の発光波長が発光素子12の発光波長と同一である場合、発光装
置は単色発光のものとなる。また、各発光素子の発光波長が異なる場合、赤(R)、緑(
G)、青(B)等複数色の発光が可能な発光装置となる。
上述の発光装置は、各発光素子と電気的に接続されたトランジスタによって、発光・非
発光状態を制御するものである。各発光素子の発光・非発光状態を制御することによって
、画像表示等が可能である。なお、当該発光装置においては、本発明を適用することによ
って、発光素子の作製工程において生じ得るスパッタリング法や電極間のショートに起因
した素子不良が抑制されており、良好な画像を表示できるものである。
本実施例では、本発明を適用した発光装置について、図11、12の上面図および図1
3の回路図を用いて説明する。
図11は、表示機能を有する発光装置の画素部の上面図である。画素部には、発光素子
と、映像信号によって前記発光素子の発光・非発光を決定する駆動用トランジスタ700
1と、前記映像信号の入力を制御するスイッチング用トランジスタ7002と、前記映像
信号に関わらず、前記発光素子を非発光状態にする消去用トランジスタ7003と、ソー
ス信号線7004と、第1の走査線7005と、第2の走査線7006と、電流供給線7
007とが設けられている。なお本発明の発光素子は7008において形成される。なお
、図13(A)は、図11のような画素構成を有する発光装置の画素部の駆動回路図であ
る。
書き込み期間において第1の走査線7005が選択されると、第1の走査線7005に
ゲートが接続されているスイッチング用トランジスタ7002がオンになる。そして、ソ
ース信号線7004に入力されたビデオ信号が、スイッチング用トランジスタ7002を
介して駆動用トランジスタ7001のゲートに入力さることによって電流供給線7007
から発光素子へ電流が流れ発光する。保持期間では、第1の走査線7005の電位を制御
することでスイッチング用トランジスタ7002をオフにし、書き込み期間において書き
込まれたビデオ信号の電位を保持する。消去期間では、第2の走査線7006が選択され
て消去用トランジスタ7003がオンになり、駆動用トランジスタ7001がオフになる
ため、発光素子に電流が供給されない状態を強制的に作り出すことができる。
図12は、表示機能を有する発光装置の画素部の上面図であり、図11とは異なる回路
構成を有するものである。画素部には、ゲート電位を固定された駆動用トランジスタ71
01と、前記映像信号の入力を制御するスイッチング用トランジスタ7102と、前記映
像信号に関わらず前記発光素子を非発光状態にする消去用トランジスタ7103と、発光
素子への電流の供給を制御する電流制御用トランジスタ7104と、ソース信号線710
5と、第1の走査線7106と、第2の走査線7107と、電流供給線7108と、電源
線7109とが設けられている。なお本発明の発光素子は7110において形成される。
図13(B)は、図12のような画素構成を有する発光装置の画素部の駆動回路図である
書き込み期間において第1の走査線7106が選択されると、第1の走査線7106に
ゲートが接続されているスイッチング用トランジスタ7102がオンになる。そして、ソ
ース信号線7105に入力されたビデオ信号が、スイッチング用トランジスタ7102を
介して電流制御用トランジスタ7104のゲートに入力さることによって、駆動用トラン
ジスタ7101を介し電流供給線7108から発光素子へ電流が流れ発光する。なお、駆
動用トランジスタ7101のゲート電極は電源線7109に接続している。保持期間では
、第1の走査線7106の電位を制御することでスイッチング用トランジスタ7102を
オフにし、書き込み期間において書き込まれたビデオ信号の電位を保持する。消去期間で
は、第2の走査線7107が選択されて消去用トランジスタ7103がオンになり、電流
制御用トランジスタ7104がオフになるため、発光素子に電流が供給されない状態を強
制的に作り出すことができる。
上述した発光装置において、各トランジスタの構造については特に限定はない。シング
ルゲート構造でもよいし、マルチゲート構造でもよい。またLDD構造でもよいし、LD
D部とゲート電極とがオーバーラップしたゲートオーバーラップ型LDD構造であっても
よい。
本実施例に示した発光装置は、本発明を適用することにより、スパッタリング法や電極
間のショート等に起因した発光素子の不良が抑制されることによって、良好な表示画像を
得ることができるようになったものである。
実施例3および実施例4で示したような、本発明を適用した発光装置は、外部入力端子
の装着および封止後、各種電子機器に実装される。
このような本発明を適用した電子機器は、発光素子の不良(損傷)に起因した表示不良
が抑制されたものであり、良好な表示画像を得ることができるものである。
本実施例では、本発明を適用した発光装置およびその発光装置を実装した電子機器につ
いて図14、15、16を用いて説明する。但し、図14、15、16に示したものは一
実施例であり、発光装置の構成はこれに限定されるものではない。
図14は封止後の発光装置の断面図である。トランジスタおよび本発明の発光素子とを
間に挟むように基板6500および封止基板6501とがシール剤6502によって貼り
合わされている。また基板6500の端部には外部入力端子となるFPC(フレキシブル
プリントサーキット)6503が装着されている。なお、基板6500と封止基板650
1とに挟まれた領域には、窒素などの不活性ガスまたは樹脂材料で充填された状態となっ
ている。
図15は本発明を適用した発光装置を上面からみた模式図である。図15において、点
線で示された6510は駆動回路部(ソース側駆動回路)、6511は画素部、6512
は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。画素部6511には本発明の発光素子が設け
られている。駆動回路部6510および6512は外部入力端子であるFPC6503と
基板6500上に形成された配線群を介して接続している。FPC(フレキシブルプリン
トサーキット)6503からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等
を受け取ることによってソース側駆動回路6510及びゲート側駆動回路6512に信号
が入力される。またFPC6503にはプリント配線基盤(PWB)6513が取り付け
られている。駆動回路部6510には、シフトレジスタ6515、スイッチ6516、メ
モリ(ラッチ)6517,6518が設けられており、駆動回路部6512にはシフトレ
ジスタ6519、バッファ6520が設けられている。なお、これら以外の機能を備えら
れていてもよい。
本発明を適用した発光装置を実装した電子機器の一実施例を図16に示す。
図16は、本発明を適用して作製したノート型のパーソナルコンピュータであり、本体
5521、筐体5522、表示部5523、キーボード5524などによって構成されて
いる。本発明の発光素子を有する発光装置をパーソナルコンピュータに組み込むことで表
示装置を完成できる。
なお、本実施例では、ノート型のパーソナルコンピュータについて述べているが、この
他に携帯電話やテレビ受像機、カーナビゲイション、或いは照明機器等に本発明の発光素
子を有する発光装置を実装しても構わない。
200 基板
201 第1の電極
202 第1の層
203 第2の層
204 第3の層
205 第4の層
206 第5の層
207 第2の電極
210 発光素子
300 基板
301 第1の電極
302 第1の層
303 第2の層
304 第3の層
305 第4の層
306 第5の層
307 第2の電極
10 基板
11 トランジスタ
12 発光素子
13 第1の電極
14 第2の電極
15 発光層
16 絶縁膜
17 配線
18 隔壁層
19 層間絶縁膜
7001 駆動用トランジスタ
7002 スイッチング用トランジスタ
7003 消去用トランジスタ
7004 ソース信号線
7005 走査線
7006 走査線
7007 電流供給線
7101 駆動用トランジスタ
7102 スイッチング用トランジスタ
7103 消去用トランジスタ
7104 電流制御用トランジスタ
7105 ソース信号線
7106 走査線
7107 走査線
7108 電流供給線
7109 電源線
6500 基板
6501 封止基板
6502 シール剤
6503 FPC
6511 画素部
6510 ソース側駆動回路
6512 ゲート側駆動回路
6513 プリント配線基盤(PWB)
6515 シフトレジスタ
6516 スイッチ
6517 メモリ(ラッチ)
6512 駆動回路部
6519 シフトレジスタ
6520 バッファ
5521 本体
5522 筐体
5523 表示部
5524 キーボード

Claims (6)

  1. 第1の電極を形成し、
    前記第1の電極の上に発光性の高い物質を含む第1の層を形成し、
    前記第1の層の上に有機物を含む第2の層を形成し、前記有機物は正孔輸送性の高い物質であり、
    前記第2の層の上にモリブデン酸化物を含む層を蒸着法により形成し、
    前記モリブデン酸化物を含む層の上に第2の電極を形成し、
    前記第2の電極はスパッタ法により形成し、
    前記モリブデン酸化物を含む層は100nm以上の厚さであることを特徴とする発光素子の作製方法。
  2. 請求項に記載の発光素子の作製方法において、
    前記モリブデン酸化物を含む層を、前記第2の層の上面を覆って形成することを特徴とする発光素子の作製方法。
  3. 請求項1又は請求項に記載の発光素子の作製方法において、
    前記第2の電極は、インジウム錫酸化物、珪素を含有したインジウム錫酸化物または酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛を混合したIZOであることを特徴とする発光素子の作製方法。
  4. 請求項1乃至請求項のいずれか一に記載の発光素子の作製方法において、
    前記有機物は芳香族アミン系の化合物であることを特徴とする発光素子の作製方法。
  5. 請求項1乃至請求項のいずれか一に記載の発光素子の作製方法において、
    前記有機物はベンゼン環−窒素の結合を有する化合物であることを特徴とする発光素子の作製方法。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれか一に記載の発光素子の作製方法において、
    前記有機物は、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、又は4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミンであることを特徴とする発光素子の作製方法。
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