(第1実施形態)
図1、2により、本発明のエジェクタ式冷凍サイクル100を、庫内温度を低温または高温に保つ冷温保存庫に適用した例を説明する。図1は、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100の全体構成図である。
このエジェクタ式冷凍サイクル100は、熱交換対象流体である庫内空気を冷却する冷却運転モードと、庫内空気を加熱する加熱運転モードを切替可能に構成されている。なお、図1における実線矢印は、冷却運転モード時における冷媒の流れを示し、破線矢印は、加熱運転モードにおける冷媒の流れを示している。
エジェクタ式冷凍サイクル100において、第1圧縮機11は、冷媒を吸入し、圧縮して吐出するもので、吐出容量が固定された第1圧縮機構11aを第1電動モータ11bにて駆動する電動圧縮機である。第1圧縮機構11aとしては、具体的に、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用できる。
第1電動モータ11bは、後述する制御装置から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式を採用してもよい。そして、この回転数制御によって、第1圧縮機構11aの冷媒吐出能力が変更される。従って、本実施形態の第1電動モータ11bは、第1圧縮機構11aの冷媒吐出能力を変更する第1吐出能力変更手段を構成している。
第1圧縮機11(第1圧縮機構11a)の吐出口側には、第1電気式四方弁31が接続されている。第1電気式四方弁31は、上述の冷却運転モードにおける冷媒流路と加熱運転モードにおける冷媒流路とを切り替えるもので、制御装置から出力される制御信号によって、その作動が制御される冷媒流路切替手段である。
より具体的には、第1電気式四方弁31は、第1圧縮機11吐出口側と室外熱交換器41との間および後述するエジェクタ13のディフューザ部13d出口側と後述するアキュムレータ14入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図1の実線矢印で示す回路)と、第1圧縮機11吐出口側とディフューザ部13d出口側との間および室外熱交換器41とアキュムレータ14入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図1の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
図1の実線矢印で示す冷媒流路のように、冷却運転モードにおける第1圧縮機11吐出口側には、第1電気式四方弁31を介して、室外熱交換器41が接続されている。室外熱交換器41は、その内部を通過する冷媒と送風ファン41aにより送風される室外空気とを熱交換させる熱交換器である。送風ファン41aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
従って、室外熱交換器41は、室外熱交換器41内に外気温よりも高温の第1圧縮機11吐出冷媒が流通する場合には、冷媒を放熱させる放熱器として機能する。また、室外熱交換器41内に外気温よりも低温の固定絞り18流出冷媒が流通する場合には、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。
なお、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、冷媒として通常のフロン系冷媒を採用し、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。このため、放熱器として機能する熱交換器は、冷媒を凝縮させる凝縮器として作用する。
また、この冷媒には第1圧縮機構11aおよび後述する第2圧縮機構21aを潤滑するための冷凍機油が混入されている。この冷凍機油は液相冷媒に対して溶解性を有し、冷媒とともにサイクルを循環している。
さらに、冷却運転モードにおける室外熱交換器41の出口側には、電気式三方弁33の1つの冷媒流入出口が接続されている。電気式三方弁33は、上述の冷却運転モードにおける冷媒流路と加熱運転モードにおける冷媒流路とを切り替えるもので、第1電気式四方弁31等とともに冷媒流路切替手段を構成している。また、電気式三方弁33は、制御装置から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
具体的には、電気式三方弁33は、室外熱交換器41とエジェクタ13のノズル部13a入口側との間を接続する冷媒流路(図1の実線矢印で示す回路)、および、後述する固定絞り18の出口側と室外熱交換器41との間を接続する冷媒流路(図1の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
また、電気式三方弁33では、一方の冷媒流路に切り替えられると他方の冷媒流路は閉塞された状態となる。従って、冷媒が他方の冷媒流路を流通することも、冷媒がサイクル内部から外部へ漏れ出ることもない。
エジェクタ13は、冷媒を減圧膨張させる冷媒減圧手段であるとともに、高速で噴出する冷媒流の吸引作用によって冷媒の循環を行う冷媒循環手段でもある。
より具体的には、エジェクタ13は、冷却運転モード時に室外熱交換器41から流出した高圧冷媒の通路面積を小さく絞って、高圧冷媒を等エントロピ的に減圧膨張させるノズル部13a、ノズル部13aの冷媒噴射口と連通するように配置されて後述する第2圧縮機21から吐出された冷媒を吸引する冷媒吸引口13b等を有して構成される。
さらに、ノズル部13aおよび冷媒吸引口13bの冷媒流れ下流側部位には、ノズル部13aから噴射する高速度の冷媒流と冷媒吸引口13bからの吸引冷媒とを混合する混合部13cが設けられ、混合部13cの冷媒流れ下流側には昇圧部をなすディフューザ部13dが設けられている。
ディフューザ部13dは冷媒通路面積を徐々に大きくする形状に形成されており、冷媒流れを減速して冷媒圧力を上昇させる作用、つまり、冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換する作用を果たす。さらに、ディフューザ部13dの出口側には、前述の如く、第1電気式四方弁31の1つの冷媒流入出口が接続されている。
アキュムレータ14は、その内部に流入した冷媒の気液を分離して、サイクル内の余剰液相冷媒を溜める気液分離器である。従って、本実施形態のアキュムレータ14は、冷却運転モード時には、ディフューザ部13dから流出した冷媒の気液を分離し、加熱運転モード時には、室外熱交換器41から流出した冷媒の気液を分離する。
また、アキュムレータ14の気相冷媒流出口には、第1圧縮機11の吸入口が接続され、液相冷媒流出口には、分離冷媒固定絞り15および逆止弁16aを介して、三方継手17aの1つの冷媒流入出口が接続されている。
分離冷媒固定絞り15は、アキュムレータ14から流出した冷媒をさらに減圧膨張させる分離冷媒減圧手段である。この分離冷媒固定絞り15としては、具体的に、オリフィスやキャピラリチューブを採用できる。また、逆止弁16aは、アキュムレータ14の液相冷媒流出口側から三方継手17a側へ冷媒が流れることのみを許容している。
三方継手17aは、互いに連通する3つの冷媒流入出口を有する冷媒配管継手部材である。また、三方継手17aの別の冷媒流入出口には、それぞれ利用側熱交換器51および冷媒減圧手段としての固定絞り18の入口側が接続されている。固定絞り18の基本的構成は、分離冷媒固定絞り15と同様である。また、固定絞り18の出口側には、前述の如く、電気式三方弁33の1つの冷媒流入出口が接続されている。
利用側熱交換器51は、その内部を通過する冷媒と送風ファン51aにより循環送風される熱交換対象流体である庫内空気とを熱交換させる熱交換器である。送風ファン51aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
従って、利用側熱交換器51は、利用側熱交換器51内に庫内空気よりも分岐冷媒固定絞り15流出冷媒が流通する場合には、冷媒を蒸発させる蒸発器として機能し、利用側熱交換器51内に庫内空気よりも高温の第1圧縮機11吐出冷媒が流通する場合には、冷媒を放熱させる放熱器として機能する。
利用側熱交換器51の他方の冷媒流入出口には、第2電気式四方弁32の1つの冷媒流入出口が接続されている。第2電気式四方弁32は、冷却運転モードにおける冷媒流路と加熱運転モードにおける冷媒流路とを切り替えるもので、第1電気式四方弁31等とともに冷媒流路切替手段を構成している。また、第2電気式四方弁32の基本的構成は、第1電気式四方弁31と同様である。
より具体的には、第2電気式四方弁32は、利用側熱交換器51と第2圧縮機21吸入口側との間および第2圧縮機21吐出口側とエジェクタ13の冷媒吸引口13b側とを同時に接続する冷媒流路(図1の実線矢印で示す回路)と、冷媒吸引口13b側と利用側熱交換器51との間および第2圧縮機21吐出口と吸入口との間を同時に接続する冷媒流路(図1の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
第2圧縮機21は、冷媒を吸入して圧縮して、吐出するもので、その基本的構成は第1圧縮機11と同様である。従って、第2圧縮機21は、固定容量型の第2圧縮機構21aを第2電動モータ21bにて駆動する電動圧縮機である。さらに、本実施形態の第2電動モータ21bは、第2圧縮機構21aの冷媒吐出能力を変更する第2吐出能力変更手段を構成している。
図示しない制御装置は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この制御装置は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行って、上述の各種電気式のアクチュエータ11b、21b、31、32、33、41a、51a等の作動を制御する。
従って、この制御装置は、第1吐出能力変更手段である第1電動モータ11bの作動を制御する第1吐出能力制御手段としての機能、第2吐出能力変更手段である第2電動モータ21bの作動を制御する第2吐出能力制御手段としての機能、および、流路切替手段である第1、第2電気式四方弁31、32、電気式三方弁33の作動を制御する冷媒流路切替制御手段を兼ね備えている。もちろん、第1吐出能力制御手段、第2吐出能力制御手段、および、冷媒流路切替制御手段を異なる制御装置で構成してもよい。
また、制御装置には、外気温を検出する外気センサ、庫内温度を検出する庫内温度センサ等の図示しないセンサ群の検出値や、冷温保存庫を作動させる作動スイッチ、庫内空気を冷却する冷却運転モードと庫内空気を加熱する加熱運転モードとのモード切替スイッチ等が設けられた図示しない操作パネルの各種操作信号が入力される。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図2のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図2(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図2(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、冷却運転モードについて説明する。冷却運転モードは、操作パネルの作動スイッチが投入された状態で、モード切替スイッチにより冷却運転モードが選択されると実行される。冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51aを作動させるとともに、第1、第2電気式四方弁31、32、電気式三方弁33を実線矢印で示す回路に切り替える。
これにより、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41(→電気式三方弁33)→エジェクタ13のノズル部13a(→第1電気式四方弁31)→アキュムレータ14→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、アキュムレータ14→分離冷媒固定絞り15(→逆止弁16a→三方継手17a)→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b(→第1電気式四方弁31)→アキュムレータ14の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11(第1圧縮機構11a)にて圧縮された冷媒(図2(a)のa2点)は、第1電気式四方弁31を介して、室外熱交換器41へ流入し、送風ファン41aから送風された庫外空気(外気)と熱交換して放熱して凝縮する(a2点→b2点)。つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、室外熱交換器41が放熱器として機能する。
室外熱交換器41にて放熱した冷媒は、電気式三方弁33を介して、エジェクタ13のノズル部13aへ流入して等エントロピ的に減圧膨張される(b2点→c2点)。そして、この減圧膨張時に冷媒の圧力エネルギが速度エネルギに変換されて、冷媒がノズル部13aの冷媒噴射口から高速度となって噴射される。
この噴射冷媒の冷媒吸引作用により、第2圧縮機21(第2圧縮機構21a)吐出冷媒(j2点)が、第2電気式四方弁32を介して、冷媒吸引口13bからエジェクタ13内部へ吸引される。さらに、ノズル部13aから噴射された噴射冷媒と冷媒吸引口13bから吸引された吸引冷媒がエジェクタ13の混合部13cにて混合され、ディフューザ部13dへ流入する(c2点→d2点およびj2点→d2点)。
ディフューザ部13dでは通路面積の拡大により、冷媒の速度エネルギが圧力エネルギに変換されるため、冷媒の圧力が上昇する(d2点→e2点)。ディフューザ部13dから流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、アキュムレータ14へ流入して気相冷媒および液相冷媒に分離される(e2点→f2点およびe2点→g2点)。
アキュムレータ14の気相冷媒出口から流出した気相冷媒は、第1圧縮機11に吸入されて圧縮される(f2点→a2点)。一方、アキュムレータ14の液相冷媒出口から流出した液相冷媒は、分離冷媒固定絞り15にて、さらに等エンタルピ的に減圧膨張されて、その圧力を低下させる(g2点→h2点)。
分離冷媒固定絞り15にて減圧膨張された冷媒は、逆止弁16aおよび三方継手17aを介して、利用側熱交換器51へ流入し、送風ファン51aにより循環送風された庫内空気から吸熱して蒸発する(h2点→i2点)。これにより、熱交換対象流体である庫内空気が冷却される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、利用側熱交換器51が蒸発器として機能する。さらに、本実施形態の冷却運転モードでは、電気式三方弁33が室外熱交換器41とエジェクタ13のノズル部13a入口側との間を接続する冷媒流路に切り替えられているので、三方継手17aへ流入した冷媒が固定絞り18側へ流出することはない。
利用側熱交換器51から流出した冷媒は、第2電気式四方弁32を介して、第2圧縮機21に吸入され圧縮される(i2点→j2点)。この際、制御装置は、エジェクタ式冷凍サイクル全体としてのCOPが略最大に近づくように、第1、第2電動モータ11b、21bの作動を制御する。
具体的には、第1、第2圧縮機構11a、21aの機械効率を向上させるために、第1、第2圧縮機構11a、21aの昇圧量が略同等となるように制御する。なお、圧縮効率とは、第1、第2圧縮機11、21にて冷媒が等エントロピ圧縮された際の冷媒のエンタルピの増加量をΔH1としたときに、この増加量ΔH1を、実際に第1、第2圧縮機11、21にて冷媒が昇圧された際の冷媒のエンタルピ増加分ΔH2で除した値である。
例えば、第1、第2圧縮機11、21の回転数や昇圧量(吐出圧力と吸入圧力との圧力差)が増加すると、その摩擦熱によって冷媒の温度が上昇して実際のエンタルピ増加分ΔH2が増加するため、圧縮効率も低下することになる。
さらに、第2圧縮機21から吐出された冷媒は、前述の如く、第2電気式四方弁32を介して、冷媒吸引口13bからエジェクタ13内へ吸引される(j2点→d2点)。
次に、加熱運転モードについて説明する。加熱運転モードは、操作パネルの作動スイッチが投入された状態で、モード切替スイッチにより加熱運転モードが選択されると実行される。加熱運転モードでは、制御装置が、第1電動モータ11b、送風ファン41a、51aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32、電気式三方弁33を破線矢印で示す回路に切り替えるとともに、第2電動モータ21bを停止させる。
つまり、本実施形態では、第2電動モータ21bによって第2圧縮機構21aが駆動されないので、第2圧縮機21は冷媒を吸入し、圧縮して吐出することはなく、第1圧縮機11のみが冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。従って、本実施形態では、第1圧縮機構11aが、特許請求の範囲に記載された一方の圧縮機構に対応する。
これにより、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31→エジェクタ13のディフューザ部13d→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18(→電気式三方弁33)→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→アキュムレータ14→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒(図2(b)のk2点)は、第1電気式四方弁31を介して、エジェクタ13のディフューザ部13dからエジェクタ13内へ流入する。さらに、加熱運転モードでは、電気式三方弁33が固定絞り18出口側と室外熱交換器41との間を接続する冷媒流路に切り替えられているので、エジェクタ13内へ流入した冷媒はノズル部13a側へは流入せず、その全流量が冷媒吸引口13bから流出する。
つまり、加熱運転モードでは、エジェクタ13内における冷媒流れが、冷却運転モードに対して逆流する。さらに、エジェクタ13内を流通する冷媒は、ディフューザ部13d→冷媒吸引口13bを通過する際の圧力損失によって僅かに減圧される(k2点→m2点)。エジェクタ13の冷媒吸引口13bから流出した冷媒は、第2電気式四方弁32を介して、利用側熱交換器51へ流入する。
利用側熱交換器51へ流入した冷媒は、送風ファン51aから循環送風された庫内空気と熱交換して放熱して凝縮する(m2点→n2点)。これにより、庫内空気が加熱される。つまり、加熱運転モードでは、利用側熱交換器51が放熱器として機能する。利用側熱交換器51にて放熱した冷媒は、三方継手17aを介して、固定絞り18へ流入して等エンタルピ的に減圧膨張される(n2点→o2点)。
なお、本実施形態では、逆止弁16aの作用によって、三方継手17aへ流入した冷媒は、分離冷媒減圧手段15側へ流出することはなく、その全流量が固定絞り18にて減圧膨張される。
固定絞り18にて減圧膨張された冷媒は、電気式三方弁33を介して、室外熱交換器41へ流入し、送風ファン41aにより送風された庫外空気(外気)から吸熱して蒸発する。つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、室外熱交換器41が蒸発器として機能する。さらに、室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、アキュムレータ14へ流入して気液分離される(o2点→p2点)。
アキュムレータ14の気相冷媒出口から流出した気相冷媒は、第1圧縮機11に吸入されて圧縮される(p2点→k2点)。なお、加熱運転モードでは、逆止弁16aの弁体部に作用する冷媒圧力のうち、分離冷媒固定絞り15側の冷媒圧力が三方継手17a側の冷媒圧力よりも低くなる。
そのため、逆止弁16aが閉弁状態となり、アキュムレータ14内の液相冷媒は、分離冷媒固定絞り15側へ液相冷媒は流出することはない。その他の作動は、冷却運転モードと同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100を作動させると、冷却運転モードでは、室外熱交換器41を放熱器として機能させ、利用側熱交換器51を蒸発器として機能させるエジェクタ式冷凍サイクルが構成される。これにより、利用側熱交換器51にて庫内空気を冷却できる。
また、加熱運転モードでは、第1圧縮機11(第1圧縮機構11a)吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18にて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第1圧縮機11(第1圧縮機構11a)にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。これにより、利用側熱交換器51にて庫内空気を加熱できる。
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100では、以下のような優れた効果を得ることができる。
(A)冷却運転モード時に、エジェクタ13の駆動流が流量低下するような運転条件となっても、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
つまり、第2圧縮機21(第2圧縮機構21a)を備えているので、例えば、低外気温時等のように、高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が低下して、エジェクタ13の駆動流が流量低下するような運転条件、すなわち、エジェクタ13の吸引能力が低下するような運転条件となっても、エジェクタ13の吸引能力を、第2圧縮機構21aの吸入吐出作用によって補助することができる。
さらに、本実施形態のサイクル構成では、第2圧縮機構21aの吸引作用によって、アキュムレータ14から利用側熱交換器51へ確実に液相冷媒を供給することができる。その結果、冷却運転モード時に、エジェクタ13の吸引能力が低下するような運転条件となっても、エジェクタ式冷凍サイクルを安定して作動させることができる。
(B)冷却運転モード時に、2つの第1、第2圧縮機構11a、21aおよびエジェクタ13のディフューザ部13dの昇圧作用によって冷媒を昇圧できるので、1つの圧縮機構にて冷媒を昇圧する場合に対して、第1、第2圧縮機構11a、21aの駆動動力を低減させてCOPを向上できる。
つまり、ディフューザ部13dの昇圧作用によって、第1圧縮機構11aの吸入圧力を上昇させることで、第1圧縮機構11aの駆動動力を低減できる。さらに、それぞれの第1、第2圧縮機構11a、21aにおける吸入圧力と吐出圧力との圧力差を縮小できるので、それぞれの第1、第2圧縮機構11a、21aの圧縮効率を向上できる。
この際、第1、第2圧縮機構11a、21aの冷媒吐出能力を第1、第2電動モータ11b、21bが独立に変化させることができるので、エジェクタ式冷凍サイクル100全体としてCOPを効果的に向上させることができる。
本実施形態のように、エジェクタ式冷凍サイクルが構成される冷却運転モード時に、高いCOPを発揮させながら、サイクルを安定して作動できることは、高圧冷媒と低圧冷媒との圧力差が大きい冷凍サイクル装置、例えば、冷却運転モード時に庫内温度を極低温(例えば、−30℃〜−10程度)まで低下させる際に、極めて有効である。
(C)加熱運転モード時に、エジェクタ13を冷媒減圧手段として用いない蒸気圧縮式の冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)を構成できるので、エジェクタ13の吸引能力の低下によって、サイクルの作動が不安定になってしまうことがない。従って、加熱運転モード時にもサイクルを安定して作動させることができる。
(D)加熱運転モード時に、第2電動モータ21bを停止させるので、第2圧縮機構21aを駆動するための不必要な駆動動力を低減できる。また、(E)いずれの運転モードにおいても、第1圧縮機11に、アキュムレータ14にて分離された気相冷媒を吸入させることができるので、第1圧縮機11の液圧縮の問題を回避できる。
(第2実施形態)
本実施形態では、図3の全体構成図に示すように、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、電気式三方弁33を廃止して、第2三方継手17bおよび第2、第3逆止弁16b、16cを設けた例を説明する。なお、図3では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面においても同様である。
第2三方継手17bの基本的構成は、第1実施形態の三方継手17aと同様である。そして、第2三方継手17bの3つの冷媒流入出口には、第1実施形態の電気式三方弁33と同様に、それぞれ室外熱交換器41、エジェクタ13のノズル部13a入口側および固定絞り18出口側が接続されている。
第2逆止弁16bは、第2三方継手17bとエジェクタ13のノズル部13a入口側との間に配置され、第2三方継手17b側からノズル部13a入口側へ冷媒が流れることのみを許容している。また、第3逆止弁16cは、第2三方継手17bと固定絞り18出口側との間に配置され、固定絞り18出口側から第2三方継手17bへ冷媒が流れることのみを許容している。
なお、以下の説明では、三方継手17aと第2三方継手17bとの相違を明確化するために、三方継手17aを第1三方継手17aと記載し、逆止弁16aと第2、第3逆止弁16b、16cとの相違を明確化するために、逆止弁16aを第1逆止弁16aと記載する。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を説明する。本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51aを作動させるとともに、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替える。
これにより、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41(→第2三方継手17b→第2逆止弁16b)→エジェクタ13のノズル部13a(→第1電気式四方弁31)→アキュムレータ14→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、アキュムレータ14→分離冷媒固定絞り15(→第1逆止弁16a→三方継手17a)→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b(→第1電気式四方弁31)→アキュムレータ14の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11から吐出された冷媒は、第1実施形態の冷却運転モードと全く同様に流れて、室外熱交換器41へ流入して放熱する。室外熱交換器41から流出した冷媒は、第2三方継手17bへ流入し、第2逆止弁16bを介して、エジェクタ13のノズル部13aへ流入する。
この際、第2三方継手17bへ流入した冷媒は、第3逆止弁16cの作用によって、固定絞り18出口側へ流出することはなく、その全流量がエジェクタ13のノズル部13aへ流入する。その他の作動は、第1実施形態の冷媒運転モードと同様である。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第1実施形態の冷却運転モード時と同様のサイクルが構成され、第1実施形態の図2(a)のモリエル線図に示すように作動する。その結果、本実施形態の冷却運転モードでは、第1実施形態の冷却運転モードと全く同様の効果を得ることができる。
一方、加熱運転モードでは、制御装置が、第1電動モータ11b、送風ファン41a、51aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替えるとともに、第2電動モータ21bを停止させる。
これにより、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31→エジェクタ13のディフューザ部13d→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18(→第3逆止弁16c→第2三方継手17b)→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→アキュムレータ14→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11から吐出された冷媒は、第1実施形態の加熱運転モードと同様に流れて、固定絞り18へ流入して減圧膨張される。固定絞り18から流出した冷媒は、第3逆止弁16cおよび第2三方継手17bを介して、室外熱交換器41へ流入する。
なお、加熱運転モードでは、第2逆止弁16bの弁体部に作用する冷媒圧力のうち、第2三方継手17b側の冷媒圧力がエジェクタ13のノズル部13a側の冷媒圧力よりも低くなる。そのため、第2逆止弁16bが閉弁状態となり、第2三方継手17bへ流入した冷媒は、ノズル部13a側へ流出することはなく、その全流量が室外熱交換器41側へ流出する。その他の作動は、第1実施形態の加熱運転モードと同様である。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、第1実施形態の加熱運転モード時と同様のサイクルが構成され、第1実施形態の図2(b)のモリエル線図に示すように作動する。その結果、本実施形態の加熱運転モードでは、第1実施形態の加熱運転モードと全く同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態では、電気式三方弁33を廃止し、純機械的機構で構成される第2、第3逆止弁16b、16cを採用して、冷却運転モードと加熱運転モードとを切替可能なサイクルを構成しているので、簡素なサイクル構成で第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、図4の全体構成図に示すように、第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、各構成機器の接続態様を変更して、加熱運転モード時に、第2圧縮機21(第2圧縮機構21a)によって冷媒を圧縮して吐出するサイクルに切り替えるように構成した例を説明する。
具体的には、本実施形態の第1電気式四方弁31は、第1圧縮機11吐出口側と室外熱交換器41との間およびエジェクタ13のディフューザ部13d出口側とアキュムレータ14入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図4の実線矢印で示す回路)と、第1圧縮機11吐出口側とアキュムレータ14入口側との間および室外熱交換器41とエジェクタ13のディフューザ部13d出口側との間を同時に接続する冷媒流路(図4の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
また、第2電気式四方弁32は、利用側熱交換器51と第2圧縮機21吸入口側との間および第2圧縮機21吐出口側とエジェクタ13の冷媒吸引口13b側とを同時に接続する冷媒流路(図4の実線矢印で示す回路)と、第2圧縮機21吐出口側と利用側熱交換器51との間および冷媒吸引口13b側と第2圧縮機21吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図4の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図5のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図5(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図5(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
また、図5における冷媒の状態を示す符号は、図2における同様の冷媒の状態を示す符号と同一の符号を用いるとともに、添字のみを変更している。このことは、以下の実施形態におけるモリエル線図においても同様である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51aを作動させるとともに、第1、第2電気式四方弁31、32、電気式三方弁33を実線矢印で示す回路に切り替える。
これにより、図4の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41(→電気式三方弁33)→エジェクタ13のノズル部13a(→第1電気式四方弁31)→アキュムレータ14→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、アキュムレータ14→分離冷媒固定絞り15(→逆止弁16a→三方継手17a)→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b(→第1電気式四方弁31)→アキュムレータ14の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第1実施形態の冷却運転モードと同様のサイクルが構成され、図5(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第1実施形態の冷却運転モード時の作動(図5(b))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第1実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第2電動モータ21b、送風ファン41a、51aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32、電気式三方弁33を破線矢印で示す回路に切り替えるとともに、第1電動モータ11bを停止させる。
つまり、本実施形態では、第1電動モータ11bによって第1圧縮機構21aが駆動されないので、第1圧縮機11は冷媒を吸入し、圧縮して吐出することはなく、第2圧縮機21のみが冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。従って、本実施形態では、第2圧縮機構21aが、特許請求の範囲に記載された一方の圧縮機構に対応する。
これにより、第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18(→電気式三方弁33)→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→エジェクタ13のディフューザ部13d(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第2圧縮機21にて圧縮された冷媒(図5(b)のl5点)は、第2電気式四方弁32を介して、利用側熱交換器51へ流入する。利用側熱交換器51へ流入した冷媒は、送風ファン51aから循環送風された庫内空気と熱交換して放熱して凝縮する(l5点→n5点)。これにより、庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器51にて放熱した冷媒は、第1実施形態の加熱運転モードと同様に、第1三方継手17aを介して、固定絞り18へ流入して等エンタルピ的に減圧膨張される(n5点→o5点)。さらに、固定絞り18にて減圧膨張された冷媒は、電気式三方弁32を介して、室外熱交換器41へ流入して蒸発する(o5点→p5点)。
そして、室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、エジェクタ13のディフューザ部13dからエジェクタ13内へ流入し、エジェクタ13内を逆流する際の圧力損失によって僅かに減圧されて(p5点→m5点)、エジェクタ13の冷媒吸引口13bから流出する。冷媒吸引口13bから流出した冷媒は、第2電気式四方弁32を介して、第2圧縮機11に吸入されて圧縮される(m5点→l5点)。
従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第2圧縮機21(第2圧縮機構21a)吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18にて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第2圧縮機11(第2圧縮機構21a)にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、第1実施形態における第1圧縮機11の機能を、第2圧縮機21が果たすことによって、実質的に第1実施形態の加熱運転モードと同様のサイクルを構成できる。その結果、利用側熱交換器51にて庫内空気を加熱でき、第1実施形態の加熱運転モードと同様の効果を得ることができる。
(第4実施形態)
図6、7により、本発明のエジェクタ式冷凍サイクル200を、庫内温度を低温または高温に保つ冷温保存庫に適用した例を説明する。本実施形態の冷温保存庫は、冷温保存切替可能な第1保存庫と低温保存のみが可能な第2保存庫(冷蔵庫)を有している。図6は、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200の全体構成図である。
なお、このエジェクタ式冷凍サイクル200は、その前提となる第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、構成機器の変更およびその接続態様の変更、すなわちサイクル構成を変更したものである。
図6に示すように、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200では、第1実施形態に対して、アキュムレータ14、分離冷媒固定絞り15、第1逆止弁16aおよび第1三方継手17aを廃止している。そして、第1電気式四方弁31の1つの冷媒流入出口と第1圧縮機11吸入口側との間に流出側熱交換器52を設けている。
流出側熱交換器52は、その内部を通過する冷媒を、送風ファン52aにより循環送風される第2保存庫内空気と熱交換させて蒸発させ、吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。送風ファン52aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
本実施形態では、流出側熱交換器52を設けているので、第1電気式四方弁31は、第1圧縮機11吐出口側と室外熱交換器41との間およびエジェクタ13のディフューザ部13d出口側と流出側熱交換器52入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図6の実線矢印で示す回路)と、第1圧縮機11吐出口側とディフューザ部13d出口側との間および室外熱交換器41と流出側熱交換器52入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図6の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
さらに、本実施形態では、電気式三方弁33を廃止しており、冷却運転モードにおける室外熱交換器41の出口側には、高圧側電気式膨張弁19aが接続されている。高圧側電気式膨張弁19aは、冷却運転モード時にエジェクタ13のノズル部13aへ流入する冷媒を気液二相状態となるまで減圧させる高圧側減圧手段である。
具体的には、高圧側電気式膨張弁19aは、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータからなる電動アクチュエータとを有して構成される可変絞り機構である。さらに、高圧側電気式膨張弁19aの弁開度は、制御装置の制御信号によって、第1圧縮機11吸入冷媒の過熱度が予め定めた所定値となるように制御される。
冷却運転モードにおける高圧側電気式膨張弁19aの出口側には、高圧側電気式膨張弁19aから流出した冷媒の流れを分岐して、分岐された一方の冷媒をエジェクタ13のノズル部13a側へ流出させ、他方の冷媒を固定絞り18側へ流出させる上流側分岐部22が接続されている。
上流側分岐部22は三方継手と同様の構造からなるもので、管径の異なる配管を接合して構成してもよいし、金属ブロックや樹脂ブロックに通路径の異なる複数の冷媒通路を設けて構成してもよい。さらに、上流側分岐部22とノズル部13a側との間には、第2実施形態と同様の第2逆止弁16bが配置されている。
また、本実施形態では、第1三方継手17aを廃止しているので、冷却運転モードにおける固定絞り18出口側(加熱運転モードにおける固定絞り18入口側)および冷却運転モードにおける利用側熱交換器52入口側(加熱運転モードにおける利用側熱交換器52入口側)が接続されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図7のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図7(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図7(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替え、さらに、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態とする。
これにより、図6の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→高圧側電気式膨張弁19a→上流側分岐部22(→第2逆止弁16b)→エジェクタ13のノズル部13a(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、上流側分岐部22→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒(図7(a)のa7点)は、第1電気式四方弁31を介して室外熱交換器41へ流入し、送風ファン41aから送風された庫外空気(外気)と熱交換して放熱して凝縮する(a7点→b7点)。室外熱交換器41から流出した冷媒は、高圧側電気式膨張弁19aへ流入して中間圧となるまで等エンタルピ的に減圧膨張され、気液二相状態となる(b7点→b’7点)。
この際、高圧側電気式膨張弁19aの弁開度は、第1圧縮機11吸入側冷媒の過熱度(f7点)が予め定めた所定値となるように調整される。高圧側電気式膨張弁19aから流出した中間圧冷媒は、上流側分岐部22へ流入し、エジェクタ13のノズル部13a側へ流入する冷媒流れと固定絞り18側へエジェクタ13の冷媒吸引口13b側へ流入する冷媒流れとに分流される。
ここで、本実施形態では、ノズル部13a側へ流入する冷媒流量Gnozと冷媒吸引口13b側へ流入する冷媒流量Geとの流量比Ge/Gnozが、サイクル全体として高いCOPを発揮できる最適流量比となるように、ノズル部13aおよび固定絞り18の流量特性(圧力損失特性)、並びに、上流側分岐部22内の冷媒通路面積等が決定されている。
上流側分岐部22からノズル部13a側へ流出した中間圧冷媒は、ノズル部13aで等エントロピ的に減圧膨張して噴射される(b’7点→c7点)。そして、第1実施形態と同様に、噴射冷媒の冷媒吸引作用により、冷媒吸引口13bから第2圧縮機21吐出冷媒が吸引され、混合部13cにて噴射冷媒と吸引冷媒が混合される(c7点→d7点、j7点→d7点)。
混合された冷媒は、ディフューザ部13dにて昇圧されて(d7点→e7点)、流出側熱交換器52へ流入する。流出側熱交換器52へ流入した冷媒は、送風ファン52aによって循環送風された第2保存庫内空気から吸熱して蒸発する(e7点→f7点)。これにより、第2保存庫内空気が冷却される。流出側熱交換器52から流出した冷媒は、第1圧縮機11に吸入され、再び圧縮される(f7点→a7点)。
一方、上流側分岐部22から固定絞り18側へ流出した中間圧冷媒は、固定絞り18にて、さらに等エンタルピ的に減圧膨張されて、その圧力を低下させる(b’7点→h7点)。固定絞り18にて減圧膨張された冷媒は、利用側熱交換器51へ流入し、送風ファン51aにより循環送風された第1保存庫内空気から吸熱して蒸発する(h7点→i7点)。これにより、第1保存庫内空気が冷却される。
利用側熱交換器51から流出した冷媒は、第2電気式四方弁32を介して、第2圧縮機21に吸入されて圧縮される(i7点→j7点)。さらに、第2圧縮機21から吐出された冷媒は、冷媒吸引口13bからエジェクタ13内へ吸引される(j7点→d7点)。その他の作動は、第1実施形態と同様である。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第1電動モータ11b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態にするとともに、第2電動モータ21bを停止させる。
これにより、図6の破線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18(→上流側分岐部22)→高圧側電気式膨張弁19a→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒(図7(b)のk7点)は、第1実施形態と同様に、エジェクタ13内を逆流する際に僅かに減圧され(k7点→m7点)、第2電気式四方弁32を介して、利用側熱交換器51へ流入する。
利用側熱交換器51へ流入した冷媒は、送風ファン51aから循環送風された庫内空気と熱交換して放熱して凝縮する(m7点→n7点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。利用側熱交換器51にて放熱した冷媒は、固定絞り18へ流入して等エンタルピ的に減圧膨張される(n7点→n’7点)。固定絞り18にて減圧膨張された冷媒は、上流側分岐部22を介して、高圧側電気式膨張弁19aへ流入する。
この際、第2逆止弁16bの弁体部に作用する冷媒圧力のうち、上流側分岐部22側の冷媒圧力は、ノズル部13a側の冷媒圧力よりも低くなるので、第2逆止弁16bが閉弁状態となる。従って、上流側分岐部22へ流入した冷媒は、ノズル部13a側へ流出することなく、その全流量が高圧側電気式膨張弁19a側へ流出する。
高圧側電気式膨張弁19aへ流入した冷媒は、さらに等エンタルピ的に減圧膨張されて(n’7点→o7点)、室外熱交換器41へ流入する。この際、高圧側電気式膨張弁19aの弁開度は、第1圧縮機11吸入側冷媒の過熱度(p7点)が予め定めた所定値となるように調整される。
室外熱交換器41へ流入した冷媒は、室外熱交換器41へ流入し、送風ファン41aにより送風された庫外空気(外気)から吸熱する(o7点→o’7点)。室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、流出側熱交換器52へ流入し、送風ファン52aによって循環送風された第2保存庫内空気から、さらに吸熱して蒸発する(o’7点→p7点)。
これにより、第2保存庫内空気が冷却される。流出側熱交換器52から流出した冷媒は、第1圧縮機11に吸入されて圧縮される(p7点→k7点)。その他の作動は、冷却運転モードと同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200を作動させると、冷却運転モードでは、室外熱交換器41を放熱器として機能させ、利用側熱交換器51および流出側熱交換器52を蒸発器として機能させるエジェクタ式冷凍サイクルが構成される。これにより、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を冷却でき、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を冷却できる。
この際、流出側熱交換器52の冷媒蒸発圧力は、第2圧縮機21およびディフューザ部13dで昇圧した後の圧力となり、一方、利用側熱交換器51の冷媒蒸発圧力は固定絞り18での減圧直後の圧力となる。
従って、流出側熱交換器52の冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)よりも利用側熱交換器51の冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)を十分に低くすることができる。その結果、冷却運転モード時に、例えば、第2保存庫を、庫内温度を0℃〜10℃程度とする冷蔵庫として用い、第1保存庫を、庫内温度を−30℃〜−10℃程度まで冷却する冷凍庫として用いることができる。
また、加熱運転モードでは、第1圧縮機11吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18および高圧側電気式膨張弁19aにて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41および流出側熱交換器52で蒸発させ、蒸発した冷媒を第1圧縮機11にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
これにより、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を加熱でき、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を冷却できる。さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200では、第1実施形態の(A)〜(D)と同様の効果を得ることができるだけでなく、以下のような優れた効果を得ることもできる。
(F)冷却運転モード時に、高圧側電気式膨張弁19aにて減圧膨張された冷媒(図7(a)のb’7点)が気液二相状態となるので、エジェクタ13のノズル部13aへ気液二相状態の冷媒を流入させることができる。従って、ノズル部13aへ液相冷媒を流入させる場合に対して、ノズル部13aにおける冷媒の沸騰を促進させることができ、ノズル効率を向上させることができる。
これにより、回収エネルギ量を増加させて、ディフューザ部13dにおける昇圧量を増加させることができるので、より一層、COPを向上できる。さらに、ノズル部13aへ液相冷媒を流入させる場合に対して、ノズル部13aの冷媒通路面積を拡大することができるので、ノズル部13aの加工も容易となる。その結果、エジェクタ13の製造コストを低減して、エジェクタ式冷凍サイクル200全体としての製造コストを低減できる。
(G)冷却運転モード時に、上流側分岐部22において、流量比Ge/Gnozが最適流量比となるように冷媒の流れを分流しているので、蒸発器として機能する流出側熱交換器52および利用側熱交換器51の双方へ適切な流量の冷媒を供給して、高いCOPを発揮させながらサイクルを運転することができる。
(H)冷却運転モード時に、蒸発器として機能する利用側熱交換器51および流出側熱交換器52を通過する冷媒の流れが、第1圧縮機11を起点および終点とする環状となるので、冷媒に第1、第2圧縮機11、21の潤滑用のオイル(冷凍機油)を混入させても、このオイルが室外熱交換器41、利用側熱交換器51および流出側熱交換器52内等に滞留してしまうことを回避できる。
(第5実施形態)
本実施形態では、第4実施形態に対して、流出側熱交換器52の配置を変更して、第1、第2保存庫の双方を冷温保存切替可能とした冷温保存庫に、エジェクタ式冷凍サイクル200を適用した例を説明する。具体的には、図8の全体構成図に示すように、本実施形態の流出側熱交換器52は、エジェクタ13のディフューザ部13d出口と第1電気式四方弁31の1つの冷媒流入出口との間に配置されている。
従って、本実施形態の第1電気式四方弁31は、第1圧縮機11吐出口側と室外熱交換器41との間および流出側熱交換器52と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図8の実線矢印で示す回路)と、第1圧縮機11吐出口側と流出側熱交換器52との間および室外熱交換器41と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図8の破線矢印で示す回路)とを切り替える。その他の構成は、第4実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図9のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図9(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図9(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態とする。
これにより、図8の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→高圧側電気式膨張弁19a→上流側分岐部22(→第2逆止弁16b)→エジェクタ13のノズル部13a→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、上流側分岐部22→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第4実施形態の冷却運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図9(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第4実施形態の冷却運転モード時の作動(図7(a))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第4実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第1電動モータ11b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態にするとともに、第2電動モータ21bを停止させる。
これにより、図8の破線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52(→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→上流側分岐部22→高圧側電気式膨張弁19a→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒(図9(b)のk9点)は、第1電気式四方弁31を介して流出側熱交換器52へ流入し、送風ファン52aによって循環送風された第2保存庫内空気と熱交換して放熱する(k9点→k’9点)。これにより、第2保存庫内空気が加熱される。
流出側熱交換器52にて放熱した冷媒は、エジェクタ13内を逆流する際に僅かに減圧され(k’9点→m9点)、第2電気式四方弁32を介して、利用側熱交換器51へ流入する。利用側熱交換器51へ流入した冷媒は、送風ファン51aによって循環送風された第1保存庫内空気と熱交換し、放熱して凝縮する(m9点→n9点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器51から流出した冷媒は、第4実施形態と同様に、固定絞り18→高圧側電気式膨張弁19aの順で等エンタルピ的に減圧膨張され(n9点→n’9点→o9点)、室外熱交換機41へ流入する。室外熱交換器41へ流入した冷媒は、送風ファン41aから送風された外気から吸熱する(o9点→p9点)。室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、第1圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
その他の作動は、第4実施形態の加熱運転モードと同様である。従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第1圧縮機11吐出冷媒を流出側熱交換器52および利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18および高圧側電気式膨張弁19aにて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第1圧縮機11にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
これにより、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を加熱でき、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を加熱できる。さらに、第1実施形態の(C)、(D)と同様の効果を得ることもできる。
(第6実施形態)
本実施形態では、図10の全体構成図に示すように、第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、各構成機器の接続態様を変更し、加熱運転モード時に、第2圧縮機21(第2圧縮機構21a)によって冷媒を圧縮して吐出するサイクルに切り替えるように構成した例を説明する。
具体的には、本実施形態の流出側熱交換器52は、第5実施形態と同様に、エジェクタ13のディフューザ部13d出口と第1電気式四方弁31の1つの冷媒流入出口との間に配置されている。
また、第1電気式四方弁31は、第1圧縮機11吐出口側と室外熱交換器41との間および流出側熱交換器52と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図10の実線矢印で示す回路)と、室外熱交換器41と流出側熱交換器52との間および第1圧縮機11吐出口側と吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図10の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
さらに、第2電気式四方弁32は、利用側熱交換器51と第2圧縮機21吸入口側との間および第2圧縮機21吐出口側とエジェクタ13の冷媒吸引口13b側とを同時に接続する冷媒流路(図10の実線矢印で示す回路)と、第2圧縮機21吐出口側と利用側熱交換器51との間および冷媒吸引口13b側と第2圧縮機21吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図10の破線矢印で示す回路)とを切り替える。その他の構成は、第4実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図11のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図11(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図11(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態とする。
これにより、図10の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→高圧側電気式膨張弁19a→上流側分岐部22(→第2逆止弁16b)→エジェクタ13のノズル部13a→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、上流側分岐部22→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第4実施形態の冷却運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図11(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第4実施形態の冷却運転モード時の作動(図7(a))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第4実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第2電動モータ21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態にするとともに、第1電動モータ11bを停止させる。
これにより、図10の破線矢印に示すように、第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→上流側分岐部22→高圧側電気式膨張弁19a→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52(→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第2圧縮機21にて圧縮された冷媒(図11(b)のl11点)は、第2電気式四方弁32を介して利用側熱交換器51へ流入し、送風ファン51aによって循環送風された第1保存庫内空気と熱交換して放熱する(l11点→n11点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器51から流出した冷媒は、第4実施形態と同様に、固定絞り18→高圧側電気式膨張弁19aの順で等エンタルピ的に減圧膨張され(n11点→n’11点→o11点)、室外熱交換機41へ流入する。室外熱交換器41へ流入した冷媒は、送風ファン41aから送風された外気から吸熱する(o11点→o’11点)。
室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、流出側熱交換器52へ流入し、送風ファン52aによって循環送風された第2保存庫内空気から吸熱して蒸発する(o’11点→p11点)。これにより、第2保存庫内空気が冷却される。
流出側熱交換器52から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介してエジェクタ13内へ流入し、エジェクタ13内を逆流する際に僅かに減圧される(p11点→m11点)。さらに、第2電気式四方弁32を介して第2圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。その他の作動は第4実施形態と同様である。
従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第2圧縮機21吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18および高圧側電気式膨張弁19aにて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41および流出側熱交換器52にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第2圧縮機21にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、第4実施形態における第1圧縮機11の機能を、第2圧縮機21が果たすことによって、実質的に第4実施形態の加熱運転モードと同様のサイクルを構成できる。その結果、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を加熱できるとともに、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を冷却でき、第4実施形態の加熱運転モードと同様の効果を得ることができる。
(第7実施形態)
本実施形態では、図12の全体構成図に示すように、第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、各構成機器の接続態様を変更し、加熱運転モード時に、第2圧縮機21(第2圧縮機構21a)によって冷媒を圧縮して吐出するサイクルに切り替えるようにしたものである。なお、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200では、加熱運転モード時に、第2保存庫内空気は加熱も冷却もされない。
具体的には、本実施形態の流出側熱交換器52は、第1電気式四方弁31の1つの冷媒流入出口と第1圧縮機11の吸入口との間に配置されている。
また、第1電気式四方弁31は、第1圧縮機11吐出口側と室外熱交換器41との間およびエジェクタ13のディフューザ部出口側と流出側熱交換器52との間を同時に接続する冷媒流路(図12の実線矢印で示す回路)と、室外熱交換器41とエジェクタ13のディフューザ部出口側との間および流出側熱交換器52と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図12の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
さらに、第2電気式四方弁32は、利用側熱交換器51と第2圧縮機21吸入口側との間および第2圧縮機21吐出口側とエジェクタ13の冷媒吸引口13b側とを同時に接続する冷媒流路(図12の実線矢印で示す回路)と、第2圧縮機21吐出口側と利用側熱交換器51との間および冷媒吸引口13b側と第2圧縮機21吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図12の破線矢印で示す回路)とを切り替える。その他の構成は、第4実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図13のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図13(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図13(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態とする。
これにより、図12の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→高圧側電気式膨張弁19a→上流側分岐部22(→第2逆止弁16b)→エジェクタ13のノズル部13a(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、上流側分岐部22→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第4実施形態の冷却運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図13(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第4実施形態の冷却運転モード時の作動(図7(a))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第4実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第2電動モータ21b、送風ファン41a、51aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態にするとともに、第1電動モータ11bおよび送風ファン52aを停止させる。
これにより、図12の破線矢印に示すように、第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→上流側分岐部22→高圧側電気式膨張弁19a→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第2圧縮機21にて圧縮された冷媒(図13(b)のl13点)は、第2電気式四方弁32を介して利用側熱交換器51へ流入し、送風ファン51aによって循環送風された第1保存庫内空気と熱交換して放熱する(l13点→n13点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器51から流出した冷媒は、第4実施形態と同様に、固定絞り18→高圧側電気式膨張弁19aの順で等エンタルピ的に減圧膨張され(n13点→n’13点→o13点)、室外熱交換機41へ流入する。室外熱交換器41へ流入した冷媒は、送風ファン41aから送風された外気から吸熱する(o13点→p13点)。
室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介してエジェクタ13内へ流入し、エジェクタ13内を逆流する際に僅かに減圧されて(p13点→m13点)、第2電気式四方弁32を介して第2圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。その他の作動は第4実施形態と同様である。
従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第2圧縮機21吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18および高圧側電気式膨張弁19aにて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第2圧縮機21にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
これにより、本実施形態の加熱運転モードでは、第2保存庫内空気を冷却または加熱することができないものの、第4実施形態における第1圧縮機11の機能を、第2圧縮機21が果たすことによって利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を加熱することができる。
(第8実施形態)
図14、15により、本発明のエジェクタ式冷凍サイクル300を、第1実施形態と同様の冷温保存庫に適用した例を説明する。図14は、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300の全体構成図である。なお、このエジェクタ式冷凍サイクル300は、その前提となる第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、サイクル構成を変更したものである。
図14に示すように、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300では、第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、流出側熱交換器52を廃止して、内部熱交換器35を追加している。
内部熱交換器35は、冷却運転モード時に、高圧側冷媒流路35aを通過する上流側分岐部22にて分岐されて固定絞り18側へ流出した冷媒と、低圧側冷媒流路35bを通過する第2圧縮機21吸入冷媒との間で熱交換を行うものである。
この内部熱交換器35の具体的構成としては、高圧側冷媒流路35aを形成する外側管の内側に低圧側冷媒流路35bを形成する内側管を配置する二重管方式の熱交換器構成を採用している。もちろん、高圧側冷媒流路35aを内側管として、低圧側冷媒流路35bを外側管としてもよい。さらに、高圧側冷媒流路35aと低圧側冷媒流路35bとを形成する冷媒配管同士をろう付け接合して熱交換させる構成等を採用してもよい。
本実施形態では、上述の如く、流出側熱交換器52を廃止して内部熱交換器35を追加している。このため、第1電気式四方弁31は、第1圧縮機11吐出口側と室外熱交換器41との間およびエジェクタ13のディフューザ部13d出口側と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図14の実線矢印で示す回路)と、第1圧縮機11吐出口側とエジェクタ13のディフューザ部13d出口側との間および室外熱交換器41と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図14の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
また、第2電気式四方弁32は、内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35bと第2圧縮機21吸入口側との間および第2圧縮機21吐出口側とエジェクタ13の冷媒吸引口13b側とを同時に接続する冷媒流路(図14の実線矢印で示す回路)と、冷媒吸引口13b側と内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35bとの間および第2圧縮機21吸入口側と吐出口側とを同時に接続する冷媒流路(図14の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
さらに、本実施形態では、上流側分岐部22とエジェクタ13のノズル部13a入口側との間に第4実施形態と同様の高圧側電気式膨張弁19aを配置している。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図15のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図15(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図15(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51aを作動させ、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態とし、さらに、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替える。
これにより、図14の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→上流側分岐部22→高圧側電気式膨張弁19a→エジェクタ13のノズル部13a(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、上流側分岐部22→内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35a→固定絞り18→利用側熱交換器51→内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35b(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒(図15(a)のa15)は、第4実施形態と同様に、室外熱交換器41にて送風ファン41aから送風された庫外空気(外気)と熱交換して放熱して凝縮する(a15点→b15点)。室外熱交換器41から流出した冷媒は、上流側分岐部22へ流入して、高圧側電気式膨張弁19a側へ流入する冷媒流れと内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35a側へ流入する冷媒流れとに分流される。
上流側分岐部22から高圧側電気式膨張弁19a側へ流入した冷媒は、高圧側電気式膨張弁19aにて等エンタルピ的に減圧膨張して気液二相状態の中間圧冷媒となる(b15点→b’15点)。この際、高圧側電気式膨張弁19aの弁開度は、第1圧縮機11吸入口側の冷媒の過熱度(f15点)が予め定めた所定値となるように調整される。
高圧側電気式膨張弁19aから流出した中間圧冷媒は、第4実施形態と同様に、エジェクタ13のノズル部13aにて等エントロピ的に減圧膨張して噴射され(b’15点→c15点)、第2圧縮機21吐出冷媒と混合され(c15点→d15点、j15点→d15点)、ディフューザ部13dにて昇圧される(d15点→e15点)。
ディフューザ部13dから流出した冷媒は、第1圧縮機11吸入口へ至る冷媒配管にて周辺空気等から吸熱してエンタルピを増加させ(e15点→f15点)、第1圧縮機11に吸入されて圧縮される(f15点→a15点)。
一方、上流側分岐部22から内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35aへ流入した高圧冷媒は、低圧側冷媒流路35bを流通する第2圧縮機21吸入冷媒と熱交換して、そのエンタルピを低下させる(b15点→b”15点)。これに伴って、第2圧縮機21吸入冷媒のエンタルピが増加する(i15点→i’15点)。
内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35aから流出した冷媒は、固定絞り18にて、さらに等エンタルピ的に減圧膨張されて、その圧力を低下させる(b”15点→h15点)。以降の作動は、第4実施形態と同様である。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第1電動モータ11b、送風ファン41a、51aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを全閉状態にするとともに、第2電動モータ21bを停止させる。
これにより、図14の破線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35b→利用側熱交換器51→固定絞り18→内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35a→上流側分岐部22→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒(図11(b)のk15点)は、第4実施形態と同様に、エジェクタ13内へ流入し、エジェクタ13内を逆流する際に僅かに減圧され(k15点→m15点)、第2電気式四方弁32を介して、内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35bへ流入する。
そして、内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35bへ流入した冷媒は、高圧側冷媒流路35aを流通する固定絞り18流出冷媒と熱交換して、そのエンタルピをさらに低下させる(m15点→m’15点)。これに伴って、固定絞り18流出冷媒のエンタルピが増加する(o15点→o’15点)。
内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35bから流出した冷媒は、利用側熱交換器51へ流入し、送風ファン51aから循環送風された庫内空気と熱交換して放熱する(m’15点→n15点)。これにより、庫内空気が加熱される。利用側熱交換器51から流出した冷媒は、固定絞り18にて減圧膨張され(n15点→o15点)、内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35aおよび上流側分岐部22を介して室外熱交換器41へ流入する。
ここで、内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35aから流出した冷媒は、高圧側電気式膨張弁19aが全閉状態となっているので、その全流量が室外熱交換器41へ流入し、送風ファン41aから送風された外気と熱交換して吸熱する(o’15点→p15点)。室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1圧縮機11に吸入されて圧縮される(p15点→k15点)。その他の作動は、第4実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300を作動させると、冷却運転モードでは、室外熱交換器41を放熱器として機能させ、利用側熱交換器51を蒸発器として機能させるエジェクタ式冷凍サイクルが構成される。これにより、利用側熱交換器51にて庫内空気を冷却できる。
また、加熱運転モードでは、第1圧縮機11吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18にて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41で蒸発させ、蒸発した冷媒を第1圧縮機11にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。これにより、利用側熱交換器51にて庫内空気を加熱できる。
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300では、第1実施形態の(A)〜(D)と同様の効果、および、第4実施形態の(F)、(H)と同様の効果を得ることができるだけでなく、以下のような優れた効果を得ることもできる。
(I)冷却運転モード時に、内部熱交換器35の作用によって、蒸発器として作用する利用側熱交換器51の入口側冷媒のエンタルピと出口側冷媒のエンタルピとのエンタルピ差を拡大させて冷凍能力を増大させることができる。これにより、より一層、COPを向上できる。
(J)冷却運転モード時に、内部熱交換器35において、上流側分岐部22から固定絞り18入口側へ至る冷媒通路を流通する高圧冷媒と第2圧縮機構21aへ吸入される低圧冷媒とを熱交換させているので、上流側分岐部22からノズル部13aへ流入する冷媒のエンタルピを不必要に低下させない。
これにより、更なるCOP向上効果を得ることができる。その理由は、ノズル部13aへ流入する冷媒のエンタルピを不必要に低下させないことで、ノズル部13aにおける回収エネルギ量を増大できるからである。
このことをより詳細に説明すると、ノズル部13aへ流入する冷媒のエンタルピが増加するに伴って、等エントロピ線の傾きが緩やかになる。そのため、ノズル部13aにて、同じ圧力分だけ等エントロピ膨張させた場合、ノズル部13a入口側冷媒のエンタルピが高いほど、ノズル部13a入口側冷媒のエンタルピとノズル部13a出口側冷媒のエンタルピとの差(回収エネルギ量)が大きくなる。
従って、ノズル部13aへ流入する冷媒のエンタルピが増加するに伴って、ノズル部13aにおける回収エネルギ量が増大する。そして、この回収エネルギ量の増大に伴って、ディフューザ部13dにおける昇圧量を増大させることができ、更なるCOP向上効果を得ることができる。
また、本実施形態の加熱運転モードでは、内部熱交換器35を設けない場合に対して、室外熱交換器41にて冷媒が外気から吸熱する吸熱量および利用側熱交換器52にて冷媒が放熱できる放熱量が若干低減してしまうものの、第1実施形態の(c)と同様に、サイクルを安定して作動させることができる。
さらに、本実施形態のサイクルに対して、加熱運転モード時に、内部熱交換器35の少なくとも一方の冷媒流路を迂回させるように冷媒を流すバイパス通路を追加してもよい。これにより、加熱運転モード時に、内部熱交換器35の機能を抑制して、利用側熱交換器52における冷媒の放熱量の低減を抑制できる。
(第9実施形態)
本実施形態では、図16の全体構成図に示すように、第8実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル300に対して、各構成機器の接続態様を変更し、加熱運転モード時に、第2圧縮機21(第2圧縮機構21a)によって冷媒を圧縮して吐出するサイクルに切り替えるように構成した例を説明する。
具体的には、本実施形態の第1電気式四方弁31は、第1圧縮機11吐出口側と室外熱交換器41との間およびエジェクタ13のディフューザ部13d出口側と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図16の実線矢印で示す回路)と、室外熱交換器41とエジェクタ13のディフューザ部13d出口側との間および第1圧縮機11吐出口側と吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図16の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
また、第2電気式四方弁32は、内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35bと第2圧縮機21吸入口側との間および第2圧縮機21吐出口側とエジェクタ13の冷媒吸引口13b側とを同時に接続する冷媒流路(図16の実線矢印で示す回路)と、第2圧縮機21吐出口側と内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35bとの間およびエジェクタ13の冷媒吸引口13b側と第2圧縮機21吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図16の破線矢印で示す回路)とを切り替える。その他の構成は、第4実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図17のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図17(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図17(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態とする。
これにより、図16の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→上流側分岐部22→高圧側電気式膨張弁19a→エジェクタ13のノズル部13a(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、上流側分岐部22→内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35a→固定絞り18→利用側熱交換器51→内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35b(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第8実施形態の冷却運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図17(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第8実施形態の冷却運転モード時の作動(図15(a))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第8実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、第2電動モータ21b、送風ファン41a、51aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを全閉状態にするとともに、第1電動モータ11bを停止させる。
これにより、図16の破線矢印に示すように、第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35b→利用側熱交換器51→固定絞り18→内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35a→上流側分岐部22→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第2圧縮機21にて圧縮された冷媒(図17(b)のl17点)は、第2電気式四方弁32を介して、内部熱交換器35の低圧側冷媒流路35bへ流入し、高圧側冷媒流路35aを流通する固定絞り18流出冷媒と熱交換して、そのエンタルピをさらに低下させる(l17点→l’17点)。これに伴って、固定絞り18流出冷媒のエンタルピが増加する(o17点→o’17点)。
内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35aから流出した冷媒は、室外熱交換器41へ流入し、送風ファン41aから送風された外気から吸熱する(o17点→p17点)。室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介してエジェクタ13内へ流入し、エジェクタ13内を逆流する際に僅かに減圧されて(p13点→m13点)、第2電気式四方弁32を介して第2圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。その他の作動は第7実施形態と同様である。
従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第2圧縮機21吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18にて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第2圧縮機21にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、第8実施形態における第1圧縮機11の機能を、第2圧縮機21が果たすことによって、実質的に第8実施形態の加熱運転モードと同様のサイクルを構成できる。その結果、利用側熱交換器51にて庫内空気を加熱でき、第4実施形態の加熱運転モードと同様の効果を得ることができる。
(第10実施形態)
図18、19により、本発明のエジェクタ式冷凍サイクル400を、第5実施形態と同様の冷温保存切替可能な2つの保存庫を有する冷温保存庫に適用した例を説明する。図18は、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル400の全体構成図である。なお、このエジェクタ式冷凍サイクル400は、その前提となる第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル100に対して、サイクル構成を変更したものである。
図18に示すように、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル400では、第1実施形態に対して、アキュムレータ14、分離冷媒固定絞り15および第1逆止弁16a廃止している。そして、エジェクタ13のディフューザ部13d出口側に、ディフューザ部13dから流出した冷媒の流れを分岐する下流側分岐部23を設けるとともに、第4実施形態と同様の流出側熱交換器52を設けている。
下流側分岐部23の基本的構成は、第4実施形態の上流側分岐部22と同様である。この下流側分岐部23の一方の冷媒流出口23bには、流出側熱交換器52が接続され、他方の冷媒流出口23cには、低圧側減圧手段である低圧側電気式膨張弁19bを介して、第1三方継手17aの一つの冷媒流入出口側が接続されている。
さらに、下流側分岐部23は、一方の冷媒流出口23bから流出側熱交換器52側へ流出する冷媒の流れ方向、および、他方の冷媒流出口23cから低圧側電気式膨張弁19b側へ流出する冷媒の流れ方向が、ディフューザ部13d出口側から冷媒流入口23aへ流入する冷媒の流れ方向に対して、対象方向に向くとともに鋭角に交わるように略Y字型に形成されている。
従って、下流側分岐部23へ流入した冷媒は、その流れが分岐される際に、不必要に流速を低下させることなく下流側分岐部23から流出していく。これにより、下流側分岐部23においてエジェクタ13から流出した冷媒の流速(動圧)が維持される。もちろん、下流側分岐部23はこれに限定されることなく、略T字型等に形成してもよい。
また、本実施形態の流出側熱交換器52の他方の冷媒流入出口には、第1電気式四方弁31の1つの冷媒流入出口が接続されている。低圧側電気式膨張弁19bの基本的構成は、高圧側電気式膨張弁19aと同様である。さらに、本実施形態の高圧側電気式膨張弁19aは、電気式三方弁33からノズル部13a入口側へ至る冷媒通路に配置されて、第1圧縮機11吸入冷媒の過熱度が予め設定された所定値となるように弁開度を調整する。
従って、本実施形態の第1電気式四方弁31は、第1圧縮機11吐出口側と室外熱交換器41との間および流出側熱交換器52と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図18の実線矢印で示す回路)と、第1圧縮機11吐出口側と流出側熱交換器52との間および室外熱交換器41と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図18の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図19のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図19(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図19(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、高圧側電気式膨張弁19aおよび低圧側電気式膨張弁19bを絞り状態にするとともに、第1、第2電気式四方弁31、32および電気式三方弁33を実線矢印で示す回路に切り替える。
これにより、図18の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41(→電気式三方弁33)→高圧側電気式膨張弁19a→エジェクタ13のノズル部13a→下流側分岐部23→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、下流側分岐部23→低圧側電気式膨張弁19b→第1三方継手17a→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b→下流側分岐部23の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒(図19(a)のa19点)は、第1実施形態と同様に室外熱交換器41へ流入し、送風ファン41aから送風された庫外空気(外気)と熱交換して放熱して凝縮する(a19点→b19点)。室外熱交換器41から流出した冷媒は、電気式三方弁33を介して、高圧側電気式膨張弁19aへ流入する。
高圧側電気式膨張弁19aへ流入した冷媒は、等エンタルピ的に減圧膨張して気液二相状態の中間圧冷媒となる(b19点→b’19点)。この際、高圧側電気式膨張弁19aの弁開度は、第1圧縮機11吸入口側冷媒の過熱度(f19点)が予め定めた所定値となるように調整される。
高圧側電気式膨張弁19aから流出した中間圧冷媒は、第1実施形態と同様に、エジェクタ13のノズル部13aにて等エントロピ的に減圧膨張して噴射され(b’19点→c19点)。第2圧縮機21吐出冷媒と混合され(c19点→d19点、j19点→d19点)、ディフューザ部13dにて昇圧される(d19点→e19点)。
ディフューザ部13dから流出した冷媒は、下流側分岐部23へ流入する。下流側分岐部23へ流入した冷媒は、流出側熱交換器52側へ流入する冷媒流れと、低圧側電気式膨張弁19b側へ流入する冷媒流れとに分流される。
ここで、本実施形態では、下流側分岐部23の冷媒流出口23b側の冷媒通路面積を、冷媒流出口23c側の冷媒通路面積よりも大きく設定することにより、流出側熱交換器52側へ流入する冷媒流量G1が低圧側電気式膨張弁19b側へ流入する冷媒流量G2よりも多くなるようにしている。
下流側分岐部23から流出側熱交換器52へ流入した冷媒は、送風ファン52aによって循環送風された第2保存庫内空気から吸熱して蒸発する(e19点→f19点)。これにより、第2保存庫内空気が冷却される。そして、流出側熱交換器52から流出した冷媒は、第1圧縮機11に吸入され、再び圧縮される(f19点→a19点)。
一方、下流側分岐部23から低圧側電気式膨張弁19bへ流入した冷媒は、さらに等エンタルピ的に減圧膨張されて、その圧力を低下させる(e19点→h19点)。低圧側電気式膨張弁19bにて減圧膨張された冷媒は、第1三方継手17aを介して、利用側熱交換器51へ流入し、送風ファン51aにより循環送風される第1保存庫内空気から吸熱して蒸発する(h19点→i19点)。これにより、第1保存庫内空気が冷却される。
また、本実施形態の冷却運転モードでは、電気式三方弁33が、室外熱交換器41と高圧側電気式膨張弁19a入口側とを接続する冷媒流路に切り替えられているので、第1三方継手17aへ流入した冷媒は、固定絞り18側へ流入することなく、その全流量が利用側熱交換器51へ流入する。以降の作動は、第1実施形態と同様である。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第1電動モータ11b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、高圧側電気式膨張弁19aおよび低圧側電気式膨張弁19bを全閉状態にし、第1、第2電気式四方弁31、32および電気式三方弁33を破線矢印で示す回路に切り替え、第2電動モータ21bを停止させる。
これにより、図18の破線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52(→下流側分岐部23→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51(→第1三方継手17a)→固定絞り18(→電気式三方弁33)→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒(図19(b)のk19点)は、第1電気式四方弁31を介して流出側熱交換器52へ流入し、送風ファン52aによって循環送風された第2保存庫内空気と熱交換して放熱する(k19点→k’19点)。これにより、第2保存庫内空気が加熱される。
流出側熱交換器52から流出した冷媒は、下流側分岐部23を介して、エジェクタ13のディフューザ部13dからエジェクタ13内へ流入する。加熱運転モードでは、低圧側電気式膨張弁19bが全閉状態となっているので、下流側分岐部23へ流入した冷媒は、低圧側電気式膨張弁19b側へ流出することなく、その全流量がディフューザ部13d側へ流出する。
エジェクタ13内へ流入した冷媒は、ディフューザ部13d→冷媒吸引口13bを通過する際の圧力損失によって僅かに減圧される(k’19点→m19点)。エジェクタ13の冷媒吸引口13bから流出した冷媒は、第2電気式四方弁32を介して、利用側熱交換器51へ流入する。利用側熱交換器51へ流入した冷媒は、送風ファン51aによって循環送風された第保存庫内空気と熱交換し、放熱して凝縮する(m19点→n19点)。その他の作動は、第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル400を作動させると、冷却運転モードでは、室外熱交換器41を放熱器として機能させ、利用側熱交換器51および流出側熱交換器52を蒸発器として機能させるエジェクタ式冷凍サイクルが構成される。これにより、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を冷却でき、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を冷却できる。
また、加熱運転モードでは、第1圧縮機11吐出冷媒を流出側熱交換器52および利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18にて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第1圧縮機11にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。これにより、利用側熱交換器51にて庫内空気を加熱できる。
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル400では、第1実施形態の(A)〜(D)および第4実施形態の(F)と同様の効果を得ることができるだけでなく、以下のような効果を得ることもできる。
すなわち、冷却運転モード時に、下流側分岐部23にて、下流側分岐部23から流出側熱交換器52側へ流入する冷媒流量G1が、下流側分岐部23から固定絞り18側へ流入する冷媒流量G2よりも多くなるようにしている。
これにより、室外熱交換器41および利用側熱交換器51のうち放熱器として機能する熱交換器にてより多くの冷媒を放熱させることができるので、サイクル全体として冷媒の吸熱量、すなわちサイクルの冷凍能力を拡大することができる。
(第11実施形態)
本実施形態では、図20の全体構成図に示すように、第10実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル400に対して、電気式三方弁33を廃止して、第2実施形態と同様の、第2三方継手17bおよび第3逆止弁16cを設けた例を説明する。その他の構成は、第10実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を説明する。本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、高圧側電気式膨張弁19aおよび低圧側電気式膨張弁19bを絞り状態にするとともに、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替える。
これにより、図20の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41(→第2三方継手17b)→高圧側電気式膨張弁19a→エジェクタ13のノズル部13a→下流側分岐部23→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、下流側分岐部23→低圧側電気式膨張弁19b→第1三方継手17a→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b→下流側分岐部23の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11から吐出された冷媒は、第10実施形態の冷却運転モードと全く同様に流れて、室外熱交換器41へ流入して放熱する。室外熱交換器41から流出した冷媒は、第2三方継手17bへ流入し、高圧側電気式膨張弁19aを介して、エジェクタ13のノズル部13aへ流入する。
この際、第2三方継手17bへ流入した冷媒は、第3逆止弁16cの作用によって、固定絞り18出口側へ流出することはなく、その全流量がエジェクタ13のノズル部13aへ流入する。その他の作動は、第10実施形態の冷媒運転モードと同様である。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第10実施形態の冷却運転モード時と同様のサイクルが構成され、第10実施形態の図19(a)のモリエル線図に示すように作動する。その結果、本実施形態の冷却運転モードでは、第10実施形態の冷却運転モードと全く同様の効果を得ることができる。
一方、加熱運転モードでは、制御装置が、第1電動モータ11b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、高圧側電気式膨張弁19aおよび低圧側電気式膨張弁19bを全閉状態にし、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替えるとともに、第2電動モータ21bを停止させる。
これにより、図20の破線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52(→下流側分岐部23→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51(→第1三方継手17a)→固定絞り18(→第3逆止弁16c→第2三方継手17b)→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、第10実施形態の加熱運転モード時と同様のサイクルが構成され、第10実施形態の図19(b)のモリエル線図に示すように作動する。その結果、本実施形態の加熱運転モードでは、第10実施形態の加熱運転モードと全く同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態では、電気式三方弁33を廃止し、純機械的機構で構成される第3逆止弁16b、16cを採用して、冷却運転モードと加熱運転モードとを切替可能なサイクルを構成しているので、簡素なサイクル構成で第10実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第12実施形態)
本実施形態では、図21の全体構成図に示すように、第10実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル400に対して、各構成機器の接続態様を変更して、加熱運転モード時に、第2圧縮機21(第2圧縮機構21a)によって冷媒を圧縮して吐出するサイクルに切り替えるように構成した例を説明する。
具体的には、本実施形態の第1電気式四方弁31は、第1圧縮機11吐出口側と室外熱交換器41との間および流出側熱交換器52と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図21の実線矢印で示す回路)と、室外熱交換器41と流出側熱交換器52との間および第1圧縮機11吐出口側と吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図21の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
また、第2電気式四方弁32は、利用側熱交換器51と第2圧縮機21吸入口側との間および第2圧縮機21吐出口側とエジェクタ13の冷媒吸引口13b側とを同時に接続する冷媒流路(図21の実線矢印で示す回路)と、第2圧縮機21吐出口側と利用側熱交換器51との間および冷媒吸引口13b側と第2圧縮機21吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図21の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図22のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図22(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図22(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、高圧側電気式膨張弁19aおよび低圧側電気式膨張弁19bを絞り状態にするとともに、第1、第2電気式四方弁31、32および電気式三方弁33を実線矢印で示す回路に切り替える。
これにより、図21の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41(→電気式三方弁33)→高圧側電気式膨張弁19a→エジェクタ13のノズル部13a→下流側分岐部23→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、下流側分岐部23→低圧側電気式膨張弁19b(→第1三方継手17a)→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b→下流側分岐部23の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第10実施形態の冷却運転モードと同様のサイクルが構成され、図22(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第10施形態の冷却運転モード時の作動(図19(b))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第10施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第2電動モータ21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、高圧側電気式膨張弁19aおよび低圧側電気式膨張弁19bを全閉状態にし、第1、第2電気式四方弁31、32、電気式三方弁33を破線矢印で示す回路に切り替えるとともに、第1電動モータ11bを停止させる。
これにより、図21の破線矢印に示すように、第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51(→第1三方継手17a)→固定絞り18(→電気式三方弁33)→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52(→下流側分岐部23→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第2圧縮機21にて圧縮された冷媒(図22(b)のl22点)は、第2電気式四方弁32を介して、利用側熱交換器51へ流入する。利用側熱交換器51へ流入した冷媒は、送風ファン51aから循環送風された第1保存庫内空気と熱交換して放熱して凝縮する(l22点→n22点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器51にて放熱した冷媒は、第10実施形態の加熱運転モードと同様に、第1三方継手17aを介して、固定絞り18へ流入して等エンタルピ的に減圧膨張される(n22点→o22点)。さらに、固定絞り18にて減圧膨張された冷媒は、電気式三方弁32を介して、室外熱交換器41へ流入して吸熱する(o22点→p22点)。
室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、流出側熱交換器52へ流入し、送風ファン52aによって循環送風された第2保存庫内空気から吸熱して蒸発する(o’22点→p22点)。これにより、第2保存庫内空気が冷却される。
流出側熱交換器52から流出した冷媒は、下流側分岐部23を介して、エジェクタ13のディフューザ部13dからエジェクタ13内へ流入し、エジェクタ13内を逆流する際の圧力損失によって僅かに減圧されて(p22点→m22点)、エジェクタ13の冷媒吸引口13bから流出する。冷媒吸引口13bから流出した冷媒は、第2電気式四方弁32を介して、第2圧縮機11に吸入されて圧縮される(m22点→l22点)。
従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第2圧縮機21吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18にて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41および流出側熱交換器52にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第2圧縮機11にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、第10実施形態における第1圧縮機11の機能を、第2圧縮機21が果たすことによって、実質的に第10実施形態の加熱運転モードと同様のサイクルを構成できる。その結果、利用側熱交換器51にて庫内空気を加熱でき、第10実施形態の加熱運転モードと同様の効果を得ることができる。
(第13実施形態)
本実施形態では、図23の全体構成図に示すように、第12実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル400に対して、電気式三方弁33を廃止して、第2実施形態と同様の、第2三方継手17bおよび第3逆止弁16cを設けた例を説明する。その他の構成は、第12実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を説明する。本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、高圧側電気式膨張弁19aおよび低圧側電気式膨張弁19bを絞り状態にするとともに、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替える。
これにより、図23の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41(→第2三方継手17b)→高圧側電気式膨張弁19a→エジェクタ13のノズル部13a→下流側分岐部23→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、下流側分岐部23→低圧側電気式膨張弁19b(→第1三方継手17a)→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b→下流側分岐部23の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第12実施形態の冷却運転モード時と同様のサイクルが構成され、第12実施形態の図22(a)のモリエル線図に示すように作動する。その結果、本実施形態の冷却運転モードでは、第12実施形態の冷却運転モードと全く同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第2電動モータ21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、高圧側電気式膨張弁19aおよび低圧側電気式膨張弁19bを全閉状態にし、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替えるとともに、第1電動モータ11bを停止させる。
これにより、図23の破線矢印に示すように、第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51(→第1三方継手17a)→固定絞り18(→第3逆止弁16c→第2三方継手17b)→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52(→下流側分岐部23→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、第12実施形態の加熱運転モード時と同様のサイクルが構成され、第12実施形態の図22(b)のモリエル線図に示すように作動する。その結果、本実施形態の加熱運転モードでは、第12実施形態の加熱運転モードと全く同様の効果を得ることができる。
(第14実施形態)
図24、25により、本発明のエジェクタ式冷凍サイクル600を、庫内温度を低温または高温に保つ冷温保存庫に適用した例を説明する。本実施形態の冷温保存庫は、冷温保存切替可能な第1、3保存庫と低温保存のみが可能な第2保存庫を有している。図24は、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600の全体構成図である。
図24に示すように、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600では、第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、高圧側温度式膨張弁19aを廃止するとともに、上流側分岐部22と冷媒減圧手段である固定絞り18との間に補助熱交換器53を設けている。
補助熱交換器53は、その内部を通過する冷媒を、送風ファン53aにより循環送風される第3保存庫内空気と熱交換させるものである。送風ファン53aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。また、本実施形態では、上述の実施形態に対して、室外熱交換器41の熱交換性能を低下させている。その他の構成は、第4実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図25のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図25(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図25(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a〜53aを作動させるとともに、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替える。
これにより、図24の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→上流側分岐部22→第2逆止弁16b→エジェクタ13のノズル部13a(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、上流側分岐部22→補助熱交換器53→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒(図25(a)のa25点)は、第1電気式四方弁31を介して、室外熱交換器41へ流入し、送風ファン41aから送風された庫外空気(外気)と熱交換して放熱する(a25点→b16点)。
室外熱交換器41から流出した冷媒は、上流側分岐部22へ流入して、逆止弁17cを介してエジェクタ13のノズル部13a側へ流入する冷媒流れと補助熱交換器53側へ流入する冷媒流れとに分流される。なお、本実施形態においても、第4実施形態と同様に、流量比Ge/Gnozが、最適流量比となるように、ノズル部13aおよび固定絞り18の流量特性(圧力損失特性)等が決定されている。
上流側分岐部22から第2逆止弁16bを介してエジェクタ13のノズル部13a側へ流入した冷媒は、第4実施形態と同様に、エジェクタ13のノズル部13aにて等エントロピ的に減圧膨張して噴射され(b25点→c25点)、第2圧縮機21吐出冷媒と混合され(c25点→d25点、j25点→d25点)、さらに、ディフューザ部13dにて昇圧される(d25点→e25点)。
ディフューザ部13dから流出した冷媒は、流出側熱交換器52へ流入して、送風ファン52aによって循環送風された第2保存庫内空気から吸熱して蒸発する(e25点→f25点)。これにより、第2保存庫内空気が冷却される。流出側熱交換器52から流出した冷媒は、第1圧縮機11に吸入され、再び圧縮される(f25点→a25点)。
一方、上流側分岐部22から補助熱交換器53側へ流出した冷媒は、送風ファン53aから循環送風された第3保存庫内空気と熱交換して放熱し、そのエンタルピをさらに低下させる(b25点→b’25点)。これにより、第3保存庫内空気が加熱される。補助熱交換器53から流出した冷媒は、固定絞り18にて等エンタルピ的に減圧膨張されて、その圧力を低下させる(b’25点→h25点)。以降の作動は、第4実施形態と同様である。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第1電動モータ11b、送風ファン41a、51a〜53aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替えるとともに、第2電動モータ21bを停止させる。
これにより、図24の破線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→補助熱交換器53→上流側分岐部22→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒(図25(b)のk25点)は、第4実施形態の加熱運転モードと同様に、エジェクタ13内を逆流する際に僅かに減圧され(k25点→m25点)、第2電気式四方弁32を介して、利用側熱交換器51へ流入する。
利用側熱交換器51へ流入した冷媒は、送風ファン51aから循環送風された第1保存庫内空気と熱交換して放熱して凝縮する(m25点→n25点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。利用側熱交換器51にて放熱した冷媒は、固定絞り18へ流入して等エンタルピ的に減圧膨張されて(n25点→o25点)、補助熱交換器53へ流入する。
補助熱交換器53へ流入した冷媒は、送風ファン53aから循環送風された第3保存庫内空気から吸熱して、そのエンタルピを増加させる(o25点→o’25点)。これにより、第3保存庫内空気が冷却される。補助熱交換器53から流出した冷媒は、上流側分岐部22を介して、室外熱交換器41へ流入する。
この際、上流側分岐部22へ流入した冷媒は、上流側分岐部22→第2逆止弁16b→エジェクタ13のノズル部13a→冷媒吸引口13bへ至る冷媒流路の圧力損失が、上流側分岐部22→室外熱交換器41→第1電気式四方弁31→流出側熱交換器52→エジェクタ13のディフューザ部13d→冷媒吸引口13bへ至る冷媒流路の圧力損失よりも大きいため、その略全流量が室外熱交換器41側へ流出する。
室外熱交換器41へ流入した冷媒は、送風ファン41aにより送風された庫外空気(外気)から吸熱して、エンタルピを増加させる(o’25点→o”25点)。室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、流出側熱交換器52へ流入し、送風ファン52aによって循環送風された第2保存庫内空気から吸熱して、さらにエンタルピを増加させる(o”25点→p25点)。これにより、第2保存庫内空気が冷却される。
その他の作動は、第4実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600を作動させると、冷却運転モードでは、室外熱交換器41および補助熱交換器53を放熱器として機能させ、第1利用側熱交換器51および流出側熱交換器52を蒸発器として機能させるエジェクタ式冷凍サイクルが構成される。
これにより、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を冷却でき、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を冷却でき、さらに、補助熱交換器53にて第3保存庫内空気を加熱できる。
また、加熱運転モードでは、第1圧縮機11吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18にて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を補助熱交換器53、室外熱交換器41および流出側熱交換器52で蒸発させ、蒸発した冷媒を第1圧縮機11にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
これにより、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を加熱でき、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を冷却でき、さらに、補助熱交換器53にて第3保存庫内空気を冷却できる。
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600では、第1実施形態の(A)〜(D)および第4実施形態の(G)、(H)と同様の効果を得ることができるだけでなく、以下のような優れた効果を得ることもできる。
すなわち、冷却運転モード時に、補助熱交換器53の作用によって、固定絞り18へ流入する冷媒のエンタルピを低下させることができるので、蒸発器として作用する利用側熱交換器51の入口側冷媒のエンタルピと出口側冷媒のエンタルピとのエンタルピ差を拡大させて冷凍能力を増大させることができる。
さらに、補助熱交換器53では、上流側分岐部22からエジェクタ13のノズル部13a側へ流出した冷媒を放熱させない。従って、本実施形態の如く、室外熱交換器41の熱交換性能を低下させることで、ノズル部13aへ流入する冷媒のエンタルピを不必要に低下させない。従って、本実施形態においても第8実施形態の(I)、(J)と同様に、更なるCOP向上効果を得ることができる。
(第15実施形態)
本実施形態では、第14実施形態に対して、流出側熱交換器52の配置を変更して、第1〜第3保存庫の全てを冷温保存切替可能とした冷温保存庫に、エジェクタ式冷凍サイクル600を適用した例を説明する。具体的には、図26の全体構成図に示すように、本実施形態の流出側熱交換器52は、エジェクタ13のディフューザ部13d出口と第1電気式四方弁31の1つの冷媒流入出口との間に配置されている。
従って、本実施形態の第1電気式四方弁31は、第5実施形態と同様に、第1圧縮機11吐出口側と室外熱交換器41との間および流出側熱交換器52と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図26の実線矢印で示す回路)と、第1圧縮機11吐出口側と流出側熱交換器52との間および室外熱交換器41と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図26の破線矢印で示す回路)とを切り替える。その他の構成は、第14実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図27のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図27(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図27(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a〜53aを作動させるとともに、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替える。
これにより、図26の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→上流側分岐部22(→第2逆止弁16b)→エジェクタ13のノズル部13a→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、上流側分岐部22→補助熱交換器53→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第14実施形態の冷却運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図27(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第14実施形態の冷却運転モード時の作動(図25(a))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第14実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第1電動モータ11b、送風ファン41a、51a〜53aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替えるとともに、第2電動モータ21bを停止させる。
これにより、図26の破線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52(→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→補助熱交換器53(→上流側分岐部22)→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒(図27(b)のk27点)は、第1電気式四方弁31を介して流出側熱交換器52へ流入し、送風ファン52aによって循環送風された第2保存庫内空気と熱交換して放熱する(k27点→k’27点)。これにより、第2保存庫内空気が加熱される。
流出側熱交換器52にて放熱した冷媒は、エジェクタ13内を逆流する際に僅かに減圧され(k’27点→m27点)、第2電気式四方弁32を介して、利用側熱交換器51へ流入する。利用側熱交換器51へ流入した冷媒は、送風ファン51aによって循環送風された第1保存庫内空気と熱交換し、放熱して凝縮する(m27点→n27点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器51から流出した冷媒は、第14実施形態と同様に、固定絞り18にて等エンタルピ的に減圧膨張され(n27点→o27点)、補助熱交換器53にて第3保存庫内空気から吸熱し(o27点→o’27点)、室外熱交換器41にて外気から吸熱する(o’27点→p27点)。さらに、室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、第1圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
その他の作動は、第14実施形態の加熱運転モードと同様である。従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第1圧縮機11吐出冷媒を流出側熱交換器52および利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18にて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を補助熱交換器53および室外熱交換器41にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第1圧縮機11にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
これにより、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を加熱でき、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を加熱でき、補助熱交換器53にて第3保存庫内空気を冷却できるとともに、第14実施形態の加熱運転モードと同様の効果を得ることができる。
(第16実施形態)
本実施形態では、図28の全体構成図に示すように、第14実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600に対して、各構成機器の接続態様を変更し、加熱運転モード時に、第2圧縮機21(第2圧縮機構21a)によって冷媒を圧縮して吐出するサイクルに切り替えるように構成した例を説明する。
具体的には、本実施形態の流出側熱交換器52は、第15実施形態と同様に、エジェクタ13のディフューザ部13d出口と第1電気式四方弁31の1つの冷媒流入出口との間に配置されている。
また、第1電気式四方弁31は、第1圧縮機11吐出口側と室外熱交換器41との間および流出側熱交換器52と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図28の実線矢印で示す回路)と、室外熱交換器41と流出側熱交換器52との間および第1圧縮機11吐出口側と吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図28の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
さらに、第2電気式四方弁32は、利用側熱交換器51と第2圧縮機21吸入口側との間および第2圧縮機21吐出口側とエジェクタ13の冷媒吸引口13b側とを同時に接続する冷媒流路(図28の実線矢印で示す回路)と、第2圧縮機21吐出口側と利用側熱交換器51との間および冷媒吸引口13b側と第2圧縮機21吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図28の破線矢印で示す回路)とを切り替える。その他の構成は、第144実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図29のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図29(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図29(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a〜53aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替える。
これにより、図28の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→上流側分岐部22(→第2逆止弁16b)→エジェクタ13のノズル部13a→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、上流側分岐部22→補助熱交換器53→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第14実施形態の冷却運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図29(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第14実施形態の冷却運転モード時の作動(図25(a))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第14実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第2電動モータ21b、送風ファン41a、51a〜53aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替えるとともに、第1電動モータ11bを停止させる。
これにより、図28の破線矢印に示すように、第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→補助熱交換器53→上流側分岐部22→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52(→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第2圧縮機21にて圧縮された冷媒(図29(b)のl29点)は、第2電気式四方弁32を介して利用側熱交換器51へ流入し、送風ファン51aによって循環送風された第1保存庫内空気と熱交換して放熱する(l29点→n29点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器51から流出した冷媒は、第14実施形態と同様に、固定絞り18にて等エンタルピ的に減圧膨張され(n29点→o29点)、補助熱交換器53へ流入する。補助熱交換器53へ流入した冷媒は、送風ファン53aから循環送風された第3保存庫内空気から吸熱する(o29点→o’29点)。これにより、第3保存庫内空気が冷却される。
補助熱交換器53から流出した冷媒は、第14実施形態と同様に、上流側分岐部22を介して、室外熱交換器41へ流入する。室外熱交換器41へ流入した冷媒は、送風ファン41aから送風された庫外空気(外気)と熱交換して吸熱する(o’29点→o”29点)。
さらに、室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、流出側熱交換器52へ流入し、送風ファン52aから循環送風された第2保存庫内空気から吸熱する(o”29点→p29点)。これにより、第2保存庫内空気が冷却される。
流出側熱交換器52から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介してエジェクタ13内へ流入し、エジェクタ13内を逆流する際に僅かに減圧される(p11点→m11点)。さらに、第2電気式四方弁32を介して第2圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。その他の作動は第14実施形態と同様である。
従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第2圧縮機21吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18にて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を補助熱交換器53、室外熱交換器41および流出側熱交換器52にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第2圧縮機21にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、第14実施形態における第1圧縮機11の機能を、第2圧縮機21が果たすことによって、実質的に第14実施形態の加熱運転モードと同様のサイクルを構成できる。
その結果、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を加熱でき、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を冷却でき、補助熱交換器53にて第3保存庫内空気を冷却できるとともに、第14実施形態の加熱運転モードと同様の効果を得ることができる。
(第17実施形態)
本実施形態では、図30の全体構成図に示すように、第14実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600に対して、各構成機器の接続態様を変更し、加熱運転モード時に、第2圧縮機21(第2圧縮機構21a)によって冷媒を圧縮して吐出するサイクルに切り替えるようにしたものである。なお、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル600では、加熱運転モード時に、第2保存庫内空気は加熱も冷却もされない。
具体的には、本実施形態の流出側熱交換器52は、第1電気式四方弁31の1つの冷媒流入出口と第1圧縮機11の吸入口との間に配置されている。
また、第1電気式四方弁31は、第1圧縮機11吐出口側と室外熱交換器41との間およびエジェクタ13のディフューザ部出口側と流出側熱交換器52との間を同時に接続する冷媒流路(図30の実線矢印で示す回路)と、室外熱交換器41とエジェクタ13のディフューザ部出口側との間および流出側熱交換器52と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図30の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
さらに、第2電気式四方弁32は、利用側熱交換器51と第2圧縮機21吸入口側との間および第2圧縮機21吐出口側とエジェクタ13の冷媒吸引口13b側とを同時に接続する冷媒流路(図30の実線矢印で示す回路)と、第2圧縮機21吐出口側と利用側熱交換器51との間および冷媒吸引口13b側と第2圧縮機21吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図30の破線矢印で示す回路)とを切り替える。その他の構成は、第14実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図31のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図31(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図31(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a〜53aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替える。
これにより、図30の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→高圧側電気式膨張弁19a→上流側分岐部22(→第2逆止弁16b)→エジェクタ13のノズル部13a(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、上流側分岐部22→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第14実施形態の冷却運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図31(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第14実施形態の冷却運転モード時の作動(図25(a))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第14実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第2電動モータ21b、送風ファン41a、51a、53aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態にするとともに、第1電動モータ11bおよび送風ファン52aを停止させる。
これにより、図30の破線矢印に示すように、第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→補助熱交換器53→上流側分岐部22→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第2圧縮機21にて圧縮された冷媒(図31(b)のl31点)は、第2電気式四方弁32を介して利用側熱交換器51へ流入し、送風ファン51aによって循環送風された第1保存庫内空気と熱交換して放熱する(l31点→n31点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器51から流出した冷媒は、第14実施形態と同様に、固定絞り18にて等エンタルピ的に減圧膨張され(n31点→o31点)、補助熱交換器53へ流入する。補助熱交換器53へ流入した冷媒は、送風ファン53aから送風された第3保存庫内空気から吸熱する(o31点→o’31点)。これにより、第3保存庫内空気が冷却される。
補助熱交換器53から流出した冷媒は、第14実施形態と同様に、上流側分岐部22を介して、室外熱交換器41へ流入する。室外熱交換器41へ流入した冷媒は、送風ファン41aから送風された庫外空気(外気)と熱交換して吸熱する(o’31点→p31点)。
室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、エジェクタ13内へ流入し、エジェクタ13内を逆流する際に僅かに減圧され(p31点→m31点)、第2電気式四方弁32を介して、第2圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。その他の作動は第14実施形態と同様である。
従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第2圧縮機21吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18にて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を補助熱交換器53および室外熱交換器41にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第2圧縮機21にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
これにより、本実施形態の加熱運転モードでは、第2保存庫内空気を冷却または加熱することができないものの、第14実施形態における第1圧縮機11の機能を、第2圧縮機21が果たすことによって利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を加熱することができ、補助熱交換器53にて第3保存庫内空気を冷却することができる。
(第18実施形態)
本実施形態では、図32の全体構成図に示すように、第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、内部熱交換器36を追加したエジェクタ式冷凍サイクル700について説明する。内部熱交換器36は、冷却運転モード時に、高圧側冷媒流路としての固定絞り18を通過する減圧膨張過程の冷媒と、低圧側冷媒流路36bを通過する第2圧縮機構21a吸入冷媒との間で熱交換を行うものである。
この内部熱交換器36の具体的構成としては、低圧側冷媒流路36bを形成する外側管の内側に、キャピラリチューブ等で構成される固定絞り18を配置する二重管方式の熱交換器構成を採用している。もちろん、固定絞り18と低圧側冷媒流路36bを形成する冷媒配管とをろう付け接合して熱交換させる構成等を採用してもよい。
従って、本実施形態の第2電気式四方弁32は、利用側熱交換器51と内部熱交換器36の低圧側冷媒流路36bとの間および第2圧縮機21吐出口側とエジェクタ13の冷媒吸引口13bとの間を同時に接続する冷媒流路(図32の実線矢印で示す回路)と、冷媒吸引口13bと利用側熱交換器51との間および第2圧縮機21吐出口側と低圧側冷媒流路36bとの間を同時に接続する冷媒流路(図32の破線矢印で示す回路)とを切り替える。その他の構成は、第4実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図33のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図33(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図33(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替え、さらに、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態とする。
これにより、図32の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→高圧側電気式膨張弁19a→上流側分岐部22(→第2逆止弁16b)→エジェクタ13のノズル部13a(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、上流側分岐部22→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→内部熱交換器36の低圧側冷媒流路36b→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒(図33(a)のa33点)は、第4実施形態と同様に上流側分岐部22にて、エジェクタ13のノズル部側13aへ流出する流れと、内部熱交換器36(固定絞り18)側へ流出する流れとに分流される。
上流側分岐部22から内部熱交換器36(固定絞り18)へ流入した高圧冷媒は、低圧側冷媒流路35bを流通する第2圧縮機21吸入冷媒と熱交換して、そのエンタルピを低下させる(b33点→h33点)。これに伴って、第2圧縮機21吸入冷媒のエンタルピが増加する(i33点→i’33点)。
換言すると、固定絞り18を通過する冷媒は、減圧膨張しながら第2圧縮機構21a吸入冷媒の温度と同等となるまで冷却されて、そのエンタルピを減少させる。これにより、第4実施形態に対して、蒸発器として機能する利用側熱交換器51へ流入する冷媒のエンタルピを減少させることができる。その他の作動は、第4実施形態と同様である。
従って、本実施形態の冷却運転モードでは、室外熱交換器41を放熱器として機能させ、利用側熱交換器51および流出側熱交換器52を蒸発器として機能させるエジェクタ式冷凍サイクルが構成される。これにより、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を冷却でき、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を冷却できる。
さらに、本実施形態の冷却運転モードでは、第4実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができるだけでなく、内部熱交換器36の作用によって、第8実施形態の(I)、(J)と同等のCOP向上効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第1電動モータ11b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態にするとともに、第2電動モータ21bを停止させる。
これにより、図32の破線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→上流側分岐部22→高圧側電気式膨張弁19a→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
ここで、本実施形態の加熱運転モードでは、第2電動モータ21bが停止し、第2圧縮機21が冷媒吐出能力を発揮していないので、第2圧縮機21吐出冷媒が内部熱交換器36の低圧側冷媒流路36bを流通することはない。従って、固定絞り18にて減圧膨張過程の冷媒のエンタルピは増減しない。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、第4実施形態の加熱運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図33(b)のモリエル線図に示すように作動する。この加熱運転モード時の作動は、第4実施形態の加熱運転モード時の作動(図7(b))と同様である。従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第4実施形態の加熱運転モードと同様の効果を得ることができる。
(第19実施形態)
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル700は、図34の全体構成図に示すように、第5実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、第18実施形態と同様の内部熱交換器36を追加したものである。従って、本実施形態では、第1、第2保存庫の双方を冷温保存切替可能としている。また、本実施形態の第2電気式四方弁32も、第18実施形態と同様に冷媒流路を切り替える。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図35のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図35(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図35(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替えるとともに、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態とする。
これにより、図34の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→高圧側電気式膨張弁19a→上流側分岐部22(→第2逆止弁16b)→エジェクタ13のノズル部13a→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、上流側分岐部22→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→内部熱交換器36の低圧側冷媒流路36b→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第18実施形態の冷却運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図35(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第18実施形態の冷却運転モード時の作動(図33(a))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第18実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第1電動モータ11b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態にするとともに、第2電動モータ21bを停止させる。
これにより、図34の破線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52(→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→上流側分岐部22→高圧側電気式膨張弁19a→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
ここで、本実施形態の加熱運転モードでは、第2電動モータ21bが停止し、第2圧縮機21が冷媒吐出能力を発揮していないので、第2圧縮機21吐出冷媒が内部熱交換器36の低圧側冷媒流路36bを流通することはない。従って、固定絞り18にて減圧膨張過程の冷媒のエンタルピは増減しない。
つまり、本実施形態の加熱運転モードでは、第5実施形態の加熱運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図35(b)のモリエル線図に示すように作動する。この加熱運転モード時の作動は、第5実施形態の加熱運転モード時の作動(図9(b))と同様である。従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第5実施形態の加熱運転モードと同様の効果を得ることができる。
(第20実施形態)
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル700は、図36の全体構成図に示すように、第6実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、第18実施形態と同様の内部熱交換器36を追加したものである。従って、本実施形態では、加熱運転モード時に、第2圧縮機21(第2圧縮機構21a)によって冷媒を圧縮して吐出するサイクルに切り替える。その他の構成は、第6実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図37のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図37(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図37(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替えるとともに、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態とする。
これにより、図37の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→高圧側電気式膨張弁19a→上流側分岐部22(→第2逆止弁16b)→エジェクタ13のノズル部13a→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、上流側分岐部22→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→内部熱交換器36の低圧側冷媒流路36b→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第18実施形態の冷却運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図37(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第18実施形態の冷却運転モード時の作動(図33(a))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第18実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第2電動モータ21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態にするとともに、第1電動モータ11bを停止させる。
これにより、図36の破線矢印に示すように、第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→上流側分岐部22→高圧側電気式膨張弁19a→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52(→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→内部熱交換器36の低圧側冷媒流路36b→第2圧縮機21の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第2圧縮機21にて圧縮された冷媒(図37(b)のl37点)は、第2電気式四方弁32を介して、利用側熱交換器51へ流入し、送風ファン51aから送風された第1保存庫内空気と熱交換して放熱する(l37点→n37点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器51から流出した冷媒は、内部熱交換器36(固定絞り18)へ流入し、低圧側冷媒流路36bを流通する第2圧縮機21吸入冷媒と熱交換して、そのエンタルピを低下させる(n37点→n’37点)。これに伴って、第2圧縮機21吸入冷媒のエンタルピが増加する(m37点→m’37点)。その他の作動は、第6実施形態と同様である。
従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第2圧縮機21吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18および高圧側電気式膨張弁19aにて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41および流出側熱交換器52にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第2圧縮機21にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
これにより、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を加熱でき、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を冷却できる。さらに、本実施形態の加熱運転モードでは、第6実施形態の加熱運転モードと同様の効果を得ることができるだけでなく、内部熱交換器36の作用によって、加熱運転モードにおいても、第8実施形態の(I)と同等のCOP向上効果を得ることができる。
(第21実施形態)
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル700は、図38の全体構成図に示すように、第7実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、第18実施形態と同様の内部熱交換器36を追加したものである。
従って、本実施形態では、加熱運転モード時に、第2圧縮機21(第2圧縮機構21a)によって冷媒を圧縮して吐出するサイクルに切り替える。さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル700では、加熱運転モード時に、第2保存庫内空気は加熱も冷却もされない。その他の構成は、第7実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図39のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図39(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図39(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替えるとともに、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態とする。
これにより、図38の実線矢印に示すように、第1圧縮機11(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→高圧側電気式膨張弁19a→上流側分岐部22(→第2逆止弁16b)→エジェクタ13のノズル部13a(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、上流側分岐部22→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→内部熱交換器36の低圧側冷媒流路36b→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第18実施形態の冷却運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図39(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第18実施形態の冷却運転モード時の作動(図33(a))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第18実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第2電動モータ21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態にするとともに、第1電動モータ11bを停止させる。
これにより、図38の破線矢印に示すように、第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→上流側分岐部22→高圧側電気式膨張弁19a→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→内部熱交換器36の低圧側冷媒流路36b→第2圧縮機21の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第2圧縮機21にて圧縮された冷媒(図39(b)のl39点)は、第2電気式四方弁32を介して、利用側熱交換器51へ流入し、送風ファン51aから送風された第1保存庫内空気と熱交換して放熱する(l39点→n39点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器51から流出した冷媒は、内部熱交換器36(固定絞り18)へ流入し、低圧側冷媒流路36bを流通する第2圧縮機21吸入冷媒と熱交換して、そのエンタルピを低下させる(n39点→n’39点)。これに伴って、第2圧縮機21吸入冷媒のエンタルピが増加する(m39点→m’39点)。その他の作動は、第7実施形態と同様である。
従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第2圧縮機21吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18および高圧側電気式膨張弁19aにて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第2圧縮機21にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
これにより、本実施形態の加熱運転モードでは、第2保存庫内空気を冷却または加熱することができないものの、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を加熱できる。さらに、本実施形態の加熱運転モードでは、第7実施形態の加熱運転モードと同様の効果を得ることができるだけでなく、内部熱交換器36の作用によって、加熱運転モードにおいても、第8実施形態の(I)と同等のCOP向上効果を得ることができる。
(第22実施形態)
図40、41により、本発明のエジェクタ式冷凍サイクル800を、冷温保存切替可能な第1保存庫、低温保存のみが可能な第2保存庫および高温保存のみが可能な第3保存庫を有する冷温保存庫に適用した例を説明する。図40は、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル800の全体構成図である。
図40に示すように、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル800では、第4実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル200に対して、上流側分岐部22を廃止して、第1圧縮機11の吐出冷媒の流れを分岐する吐出側分岐部24、および、吐出側分岐部24にて分岐された一方の冷媒を放熱させる放熱用熱交換器54を追加して、各構成要素の接続態様を変更している。
吐出側分岐部24の基本的構成は、上流側分岐部22と同様である。吐出側分岐部24の一方の冷媒流入出口には、放熱用熱交換器54入口側が接続され、吐出側分岐部24の他方の冷媒流入出口には、第1電気式四方弁31の1つの冷媒流入出口が接続されている。さらに、本実施形態では、室外熱交換器41の一方の冷媒流入出口に、固定絞り18が接続されている。
放熱用熱交換器54は、その内部を通過する冷媒を、送風ファン54aにより循環送風される第3保存庫内空気と熱交換させるものである。送風ファン54aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。また、放熱用熱交換器54の出口側には、高圧側減圧手段としての高圧側電気式膨張弁19aを介して、エジェクタ13のノズル部13a入口側が接続されている。
従って、本実施形態の第1電気式四方弁31は、吐出側分岐部24の1つの冷媒流出口と室外熱交換器41との間およびエジェクタ13のディフューザ部13d出口側と流出側熱交換器52入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図40の実線矢印で示す回路)と、吐出側分岐部24の1つの冷媒流出口とディフューザ部13d出口側との間および室外熱交換器41と流出側熱交換器52入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図40の破線矢印で示す回路)とを切り替える。その他の構成は、第4実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図41のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図41(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図41(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52a、54aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替え、さらに、高圧側温度式膨張弁19aを絞り状態とする。
これにより、図40の実線矢印に示すように、第1圧縮機11→吐出側分岐部24→放熱用熱交換器54→高圧側電気式膨張弁19a→エジェクタ13のノズル部13a(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機の順に冷媒が循環するとともに、吐出側分岐部24(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b→流出側熱交換器52→第1圧縮機の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11(第1圧縮機構11a)にて圧縮された冷媒(図41(a)のa41点)は、吐出側分岐部24へ流入し、放熱用熱交換器54側へ流出する冷媒流れと、第1電気式四方弁31を介して室外熱交換器41側へ流出する冷媒流れとに分流される。
ここで、本実施形態では、放熱用熱交換器54側へ流入する冷媒流量Gr1と室外熱交換器41側へ流入する冷媒流量Gr2との流量比Gr1/Gr2が、サイクル全体として高いCOPを発揮できる最適流量比となるように、吐出側分岐部24内の各冷媒通路の通路面積(圧力損失特性)が決定されている。
放熱用熱交換器54へ流入した冷媒は、送風ファン54aから循環送風された第3保存庫内空気と熱交換して放熱する(a41点→b141点)。これにより、第3保存庫内空気が加熱される。放熱用熱交換器54から流出した冷媒は、高圧側電気式膨張弁19aへ流入して、等エンタルピ的に減圧膨張されて気液二相状態の中間圧冷媒となる(b141点→b1’41点)。
この際、高圧側電気式膨張弁19aの弁開度は、第1圧縮機11吸入冷媒の過熱度(f41点)が予め定めた所定値となるように調整される。高圧側電気式膨張弁19aから流出した中間圧冷媒は、ノズル部13aで等エントロピ的に減圧膨張する(b1’41点→c41点)。
そして、ノズル部13aから噴射された噴射冷媒および冷媒吸引口13bから吸引された吸引冷媒が、エジェクタ13の混合部13cにて混合されて(c41点→d41点、j41点→d41点)、ディフューザ部13dにて昇圧される(d41点→e41点)。
ディフューザ部13dから流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、流出側熱交換器52へ流入して、送風ファン52aによって循環送風された第2保存庫内空気から吸熱して蒸発する(e41点→f41点)。これにより、第2保存庫内空気が冷却される。流出側熱交換器52から流出した冷媒は、第1圧縮機11に吸入され、再び圧縮される(f41点→a41点)。
一方、吐出側分岐部24から室外熱交換器41側へ流入した冷媒は、送風ファン41aから送風された庫外空気(外気)と熱交換して放熱して凝縮する(a41点→b241点)。室外熱交換器41から流出した冷媒は、固定絞り18にてさらに等エンタルピ的に減圧膨張されて、その圧力を低下させる(b241点→h41点)。
固定絞り18にて減圧膨張された冷媒は、利用側熱交換器51へ流入して、送風ファン51aにより循環送風される第1保存庫内空気から吸熱して蒸発する(h41点→i41点)。これにより、第1保存庫内空気が冷却される。その他の作動は、第4実施形態と同様である。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第1電動モータ11b、送風ファン41a、51a、52a、54aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側温度式膨張弁19aを全開状態にするとともに、第2電動モータ21bを停止させる。
これにより、図40の破線矢印に示すように、第1圧縮機11→吐出側分岐部24→放熱用熱交換器54→高圧側電気式膨張弁19a→エジェクタ13(→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、吐出側分岐部24→第1電気式四方弁31→ディフューザ部13d→エジェクタ13の順に冷媒が流れるサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒(図41(b)のk41点)は、吐出側分岐部24を介して、放熱用熱交換器54にて放熱する(k41点→k141点)。これにより、第3保存庫内空気が加熱される。
放熱用熱交換器54にて放熱した冷媒は、高圧側電気式膨張弁19aを介して、エジェクタ13のノズル部13aへ流入する。加熱運転モードでは、高圧側電気式膨張弁19aが全開状態となっているので、高圧側電気式膨張弁19aを流通する冷媒は、高圧側電気式膨張弁19aにて減圧膨張されることなく、エジェクタ13内へ流入する。
ここで、加熱運転モードでは、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒が、吐出側分岐部24および第1電気式四方弁31を介して、エジェクタ13のディフューザ部13dからもエジェクタ13内へ流入する。さらに、ノズル部13aからエジェクタ13内へ流入した冷媒の圧力とディフューザ部13dからエジェクタ13内へ流入した冷媒の圧力との間には、殆ど圧力差がない。
このため、ノズル部13aからエジェクタ13内へ流入した冷媒は、ノズル部13aにて減圧膨張されることなく、ディフューザ部13dからエジェクタ13内へ流入した冷媒と合流する(k141点→k’41点、k41点→k’41点)。エジェクタ13内で合流した冷媒は、エジェクタ13内を通過する際に僅かに減圧されて(k’41点→m41点)、第2電気式四方弁32を介して、利用側熱交換器51へ流入する。
利用側熱交換器51へ流入した冷媒は、送風ファン51aから循環送風された第1保存庫内空気と熱交換して放熱して凝縮する(m41点→n41点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。利用側熱交換器51にて放熱した冷媒は、固定絞り18へ流入して等エンタルピ的に減圧膨張されて(n41点→o41点)、室外熱交換器41へ流入し、送風ファン41aから送風された庫外空気(外気)から吸熱する(o41点→o’41点)。
室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、流出側熱交換器52へ流入し、送風ファン52aによって循環送風された第2保存庫内空気から、さらに吸熱して蒸発する(o’41点→p41点)。これにより、第2保存庫内空気が冷却される。流出側熱交換器52から流出した冷媒は、第1圧縮機11に吸入されて、再び圧縮される(p41点→k41点)。その他の作動は、第4実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル800を作動させると、冷却運転モードでは、放熱用熱交換器54および室外熱交換器41を放熱器として機能させ、利用側熱交換器51および流出側熱交換器52を蒸発器として機能させるエジェクタ式冷凍サイクルが構成される。
これにより、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を冷却でき、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を冷却でき、さらに、放熱用熱交換器54にて第3保存庫内空気を加熱できる。
また、加熱運転モードでは、第1圧縮機11吐出冷媒を放熱用熱交換器54および利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18にて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41および流出側熱交換器52で蒸発させ、蒸発した冷媒を第1圧縮機11にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
これにより、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を加熱でき、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を冷却でき、さらに、放熱用熱交換器54にて第3保存庫内空気を加熱できる。
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル800では、それぞれの運転モードにおいて、第4実施形態と同様の効果を得ることができるだけでなく、室外熱交換器41、利用側熱交換器51、流出側熱交換器52および放熱用熱交換器54の熱交換性能を独立に変化させることができる。従って、例えば、室外熱交換器41の放熱性能と利用側熱交換器51の吸熱性能とを容易に適合させることができるので、サイクルの作動を、より一層、安定化させやすい。
(第23実施形態)
本実施形態では、第22実施形態に対して、流出側熱交換器52の配置を変更して、第1、第2保存庫の双方を冷温保存切替可能とした冷温保存庫に、エジェクタ式冷凍サイクル800を適用した例を説明する。具体的には、図42の全体構成図に示すように、本実施形態の流出側熱交換器52は、エジェクタ13のディフューザ部13d出口と第1電気式四方弁31の1つの冷媒流入出口との間に配置されている。
従って、本実施形態の第1電気式四方弁31は、吐出側分岐部24の1つの冷媒流出口と室外熱交換器41との間および流出側熱交換器52と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図42の実線矢印で示す回路)と、吐出側分岐部24の1つの冷媒流出口と流出側熱交換器52との間および室外熱交換器41と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図42の破線矢印で示す回路)とを切り替える。その他の構成は、第22実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図43のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図43(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図43(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52a、54aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態とする。
これにより、図42の実線矢印に示すように、第1圧縮機11→吐出側分岐部24→放熱用熱交換器54→高圧側電気式膨張弁19a→エジェクタ13のノズル部13a→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機の順に冷媒が循環するとともに、吐出側分岐部24(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b→流出側熱交換器52→第1圧縮機の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第22実施形態の冷却運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図43(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第22実施形態の冷却運転モード時の作動(図41(a))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第22実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第1電動モータ11b、送風ファン41a、51a、52a、54aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側温度式膨張弁19aを全開状態にするとともに、第2電動モータ21bを停止させる。
これにより、図42の破線矢印に示すように、第1圧縮機11→吐出側分岐部24→放熱用熱交換器54(→高圧側電気式膨張弁19a→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機の順に冷媒が循環するサイクルが構成されるとともに、吐出側分岐部24(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→エジェクタ13→順に冷媒が流れるサイクルが構成される。
従って、第1圧縮機11にて圧縮された冷媒(図43(b)のk43点)のうち、吐出側分岐部24から放熱用熱交換器54側へ流入した冷媒は、放熱用熱交換器54にて放熱する(k43点→k143点)。これにより、第3保存庫内空気が加熱される。放熱用熱交換器54にて放熱した冷媒は、高圧側電気式膨張弁19aを介して、エジェクタ13のノズル部13aへ流入する。
また、吐出側分岐部24から第1電気式四方弁31を介して、流出側熱交換器52側へ流入した冷媒は、流出側熱交換器52にて放熱する(k43点→k243点)。これにより、第2保存庫内空気が加熱される。流出側熱交換器52にて放熱した冷媒は、エジェクタ13のディフューザ部13dへ流入する。
そして、ノズル部13aからエジェクタ13内へ流入した冷媒およびディフューザ部13dからエジェクタ13内へ流入した冷媒が、第22実施形態と同様にエジェクタ13内にて合流する(k143点→k’43点、k243点→k’43点)。
エジェクタ13内で合流した冷媒は、エジェクタ13内を通過する際に僅かに減圧されて(k’43点→m43点)、利用側熱交換器51へ流入する。利用側熱交換器51へ流入して冷媒は、利用側熱交換器51へ流入した冷媒は、送風ファン51aから循環送風された庫内空気と熱交換して放熱して凝縮する(m43点→n43点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器51にて放熱した冷媒は、固定絞り18へ流入して等エンタルピ的に減圧膨張されて(n43点→o43点)、室外熱交換器41へ流入し、送風ファン41aから送風された庫外空気(外気)から吸熱する(o43点→p43点)。室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、第1圧縮機11へ吸入される。その他の作動は、第22実施形態と同様である。
従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第1圧縮機11吐出冷媒を利用側熱交換器51、流出側熱交換器52および放熱用熱交換器54にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18にて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第1圧縮機11にて再び昇圧するサイクルが構成される。
これにより、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を加熱でき、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を加熱でき、さらに、放熱用熱交換器54にて第3保存庫内空気を加熱できる。さらに、第1実施形態の(C)と同様に、サイクルを安定して作動させることができる。
(第24実施形態)
本実施形態では、図44の全体構成図に示すように、第22実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル800に対して、各構成機器の接続態様を変更し、加熱運転モード時に、第2圧縮機21(第2圧縮機構21a)によって冷媒を圧縮して吐出するサイクルに切り替えるように構成した例を説明する。なお、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル800では、加熱運転モード時に、第3保存庫内空気は加熱も冷却もされない。
具体的には、本実施形態の流出側熱交換器52は、エジェクタ13のディフューザ部13d出口と第1電気式四方弁31の1つの冷媒流入出口との間に配置されている。
また、第1電気式四方弁31は、吐出側分岐部24の1つの冷媒流出口と室外熱交換器41との間および流出側熱交換器52と第1圧縮機11吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図44の実線矢印で示す回路)と、室外熱交換器41と流出側熱交換器52との間および第1圧縮機11吐出口側と吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図44の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
さらに、第2電気式四方弁32は、利用側熱交換器51と第2圧縮機21吸入口側との間および第2圧縮機21吐出口側とエジェクタ13の冷媒吸引口13b側とを同時に接続する冷媒流路(図44の実線矢印で示す回路)と、第2圧縮機21吐出口側と利用側熱交換器51との間および冷媒吸引口13b側と第2圧縮機21吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図44の破線矢印で示す回路)とを切り替える。その他の構成は、第22実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図45のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図45(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図45(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52a、54aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態とする。
これにより、図44の実線矢印に示すように、第1圧縮機11→吐出側分岐部24→放熱用熱交換器54→高圧側電気式膨張弁19a→エジェクタ13のノズル部13a→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機の順に冷媒が循環するとともに、吐出側分岐部24(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b→流出側熱交換器52(→第1電気式四方弁31)→第1圧縮機の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第22実施形態の冷却運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図45(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第22実施形態の冷却運転モード時の作動(図41(a))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第22実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第2電動モータ21b、送風ファン41a、51a、52aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側温度式膨張弁19aを全閉状態にするとともに、第1電動モータ21b、送風ファン54aを停止させる。
これにより、図44の破線矢印に示すように、第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→室外熱交換器41(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52(→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第2圧縮機21にて圧縮された冷媒(図45(b)のl45点)は、第2電気式四方弁32を介して利用側熱交換器51へ流入し、送風ファン51aによって循環送風された第1保存庫内空気と熱交換して放熱する(l45点→n45点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器51から流出した冷媒は、第22実施形態と同様に、固定絞り18にて等エンタルピ的に減圧膨張され(n45点→o45点)、室外熱交換機41へ流入する。室外熱交換器41へ流入した冷媒は、送風ファン41aから送風された外気から吸熱する(o45点→o’45点)。
室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、流出側熱交換器52へ流入し、送風ファン52aによって循環送風された第2保存庫内空気から吸熱して蒸発する(o’45点→p45点)。これにより、第2保存庫内空気が冷却される。
流出側熱交換器52から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介してエジェクタ13内へ流入し、エジェクタ13内を逆流する際に僅かに減圧される(p45点→m45点)。この際、加熱運転モードでは、高圧側温度式膨張弁19aが全閉状態となっているので、エジェクタ13内へ流入した冷媒は、その全流量がエジェクタ13の冷媒吸引口13bから流出する。
エジェクタ13の冷媒吸引口13bから流出した冷媒は、第2電気式四方弁32を介して第2圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。その他の作動は第22実施形態と同様である。
従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第2圧縮機21吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18にて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41および流出側熱交換器52にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第2圧縮機21にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
これにより、本実施形態の加熱運転モードでは、第3保存庫内空気を冷却または加熱することができないものの、第22実施形態における第1圧縮機11の機能を、第2圧縮機21が果たすことによって、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を加熱できるとともに、流出側熱交換器52にて第2保存庫内空気を冷却できる。
(第25実施形態)
本実施形態では、図46全体構成図に示すように、第22実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル800に対して、各構成機器の接続態様を変更し、加熱運転モード時に、第2圧縮機21(第2圧縮機構21a)によって冷媒を圧縮して吐出するサイクルに切り替えるように構成した例を説明する。なお、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル800では、加熱運転モード時に、第2、第3保存庫内空気は加熱も冷却もされない。
具体的には、本実施形態の第1電気式四方弁31は、吐出側分岐部24の1つの冷媒流出口と室外熱交換器41との間およびエジェクタ13のディフューザ部13d出口側と流出側熱交換器52との間を同時に接続する冷媒流路(図46の実線矢印で示す回路)と、室外熱交換器41とエジェクタ13のディフューザ部13d出口側との間および第1圧縮機11吐出口側と吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図46の破線矢印で示す回路)とを切り替える。
さらに、第2電気式四方弁32は、利用側熱交換器51と第2圧縮機21吸入口側との間および第2圧縮機21吐出口側とエジェクタ13の冷媒吸引口13b側とを同時に接続する冷媒流路(図46の実線矢印で示す回路)と、第2圧縮機21吐出口側と利用側熱交換器51との間および冷媒吸引口13b側と第2圧縮機21吸入口側との間を同時に接続する冷媒流路(図46の破線矢印で示す回路)とを切り替える。その他の構成は、第22実施形態と同様である。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図47のモリエル線図に基づいて説明する。なお、図47(a)は、冷却運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図であり、図47(b)は、加熱運転モードにおける冷媒の状態を示すモリエル線図である。
まず、本実施形態の冷却運転モードでは、制御装置が、第1、第2電動モータ11b、21b、送風ファン41a、51a、52a、54aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を実線矢印で示す回路に切り替え、高圧側電気式膨張弁19aを絞り状態とする。
これにより、図46の実線矢印に示すように、第1圧縮機11→吐出側分岐部24→放熱用熱交換器54→高圧側電気式膨張弁19a→エジェクタ13のノズル部13a(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機の順に冷媒が循環するとともに、吐出側分岐部24(→第1電気式四方弁31)→室外熱交換器41→固定絞り18→利用側熱交換器51(→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→エジェクタ13の冷媒吸引口13b(→第1電気式四方弁31)→流出側熱交換器52→第1圧縮機の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
つまり、本実施形態の冷却運転モードでは、第22実施形態の冷却運転モードと全く同様のサイクルが構成され、図47(a)のモリエル線図に示すように作動する。この冷却運転モード時の作動は、第22実施形態の冷却運転モード時の作動(図41(a))と同様である。従って、本実施形態の冷却運転モードでは、第22実施形態の冷却運転モードと同様の効果を得ることができる。
次に、加熱運転モードでは、制御装置が、第2電動モータ21b、送風ファン41a、51aを作動させ、第1、第2電気式四方弁31、32を破線矢印で示す回路に切り替え、高圧側温度式膨張弁19aを全閉状態にするとともに、第1電動モータ21b、送風ファン、52a、54aを停止させる。
これにより、図46の破線矢印に示すように、第2圧縮機21(→第2電気式四方弁32)→利用側熱交換器51→固定絞り18→室外熱交換器41(第1電気式四方弁31→エジェクタ13→第2電気式四方弁32)→第2圧縮機21の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
従って、第2圧縮機21にて圧縮された冷媒(図47(b)のl47点)は、第2電気式四方弁32を介して利用側熱交換器51へ流入し、送風ファン51aによって循環送風された第1保存庫内空気と熱交換して放熱する(l47点→n47点)。これにより、第1保存庫内空気が加熱される。
利用側熱交換器51から流出した冷媒は、第22実施形態と同様に、固定絞り18にて等エンタルピ的に減圧膨張され(n47点→o47点)、室外熱交換機41へ流入する。室外熱交換器41へ流入した冷媒は、送風ファン41aから送風された外気から吸熱する(o47点→p47点)。
室外熱交換器41から流出した冷媒は、第1電気式四方弁31を介して、エジェクタ13内へ流入し、エジェクタ13内を逆流する際に僅かに減圧される(p47点→m47点)。その他の作動は第22実施形態と同様である。
従って、本実施形態の加熱運転モードでは、第2圧縮機21吐出冷媒を利用側熱交換器51にて放熱させ、放熱した冷媒を固定絞り18にて減圧膨張させ、減圧膨張した冷媒を室外熱交換器41にて蒸発させ、蒸発した冷媒を第2圧縮機21にて再び昇圧する冷凍サイクルが構成される。
これにより、本実施形態の加熱運転モードでは、第2、第3保存庫内空気を冷却または加熱することができないものの、第22実施形態における第1圧縮機11の機能を、第2圧縮機21が果たすことによって、利用側熱交換器51にて第1保存庫内空気を加熱できる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、冷却運転モード時に、エジェクタ式冷凍サイクルを構成する冷媒流路に切り替え、加熱運転モード時に、冷媒を多段階に昇圧させる蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成する冷媒流路に切り替える例、すなわち、冷却運転モードが特許請求の範囲に記載した一方の運転モードに対応し、加熱運転モードが特許請求の範囲に記載した他方の運転モードに対応する例を説明したが、逆の構成に切り替えるようにしてもよい。
つまり、冷却運転モード時に、冷媒を多段階に昇圧させる冷凍サイクルを構成する冷媒流路に切り替え、加熱運転モード時に、エジェクタ式冷凍サイクルを構成する冷媒流路に切り替える、すなわち、加熱運転モードが特許請求の範囲に記載した一方の運転モードに対応し、冷却運転モードが特許請求の範囲に記載した他方の運転モードに対応する構成にしてもよい。
これにより、加熱運転モード時に、高いCOPを発揮させながら、サイクルを安定して作動できるので、本発明のエジェクタ式冷凍サイクルを吸熱源としての外気が極低温となる環境で使用される冷温保存庫等に適用すれば、極めて有効である。
(2)上述の実施形態では、第1、第2圧縮機11、21として、それぞれ別体で構成された圧縮機を採用した例を説明したが、第1、第2圧縮機構11a、21aおよび第1、第2電動モータ11b、21bを一体的に構成してもよい。
例えば、第1、第2圧縮機構11a、21aおよび第1、第2電動モータ11b、21bを同一のハウジング内に収容して一体的に構成してもよい。この場合には、第1、第2圧縮機構11a、21aの回転軸を共通化して、共通する駆動源から供給される駆動力によって双方の圧縮機構を駆動するようにしてもよい。
これにより、第1、第2圧縮機構11a、21aを小型化して、エジェクタ式冷凍サイクル全体としての小型化を図ることができる。
(3)上述の実施形態では、第1、第2圧縮機11、21として、電動圧縮機を採用した例を説明したが、第1、第2圧縮機11、21の形式はこれに限定されない。
例えば、エンジン等を駆動源として、吐出容量の変化により冷媒吐出能力を調整できる可変容量型圧縮機を採用してもよい。この場合は、吐出容量変更手段が、吐出能力変更手段となる。また、電磁クラッチの断続により駆動源との接続を断続的に変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機を使用してもよい。この場合は、電磁クラッチが、吐出能力変更手段となる。
さらに、第1、第2圧縮機11、21に、同一の形式の圧縮機構を採用してもよいし、異なる形式の圧縮機構を採用してもよい。
(4)上述の実施形態では、エジェクタ13としてノズル部13aの絞り通路面積が固定された固定式のエジェクタ13を採用しているが、ノズル部の絞り通路面積を変更可能に構成された可変エジェクタを採用してもよい。
また、上述の実施形態では、高圧側減圧手段および低圧側減圧手段として電気式膨張弁を採用した例を説明したが、これらの減圧手段は、電気式膨張弁に限定されない。例えば、固定絞りと電磁弁(開閉弁)を組み合わせた構成等を採用してもよい。さらに、冷媒減圧手段として固定絞りを採用した例を説明したが、冷媒減圧手段として可変絞り機構を採用してもよい。
また、第1〜第3実施形態の分離冷媒減圧手段として、電気式膨張弁あるいは固定絞りと電磁弁(開閉弁)を組み合わせた構成等を採用して、第1逆止弁16aを廃止してもよい。この場合は、加熱運転モード時にアキュムレータ14から第1三方継手17aへ至る冷媒通路を遮断するように電気式膨張弁あるいは電磁弁(開閉弁)の作動を制御すればよい。
さらに、冷媒減圧手段、高圧側減圧手段、低圧側減圧手段および分離冷媒減圧手段として、冷媒を体積膨張させて減圧させるとともに、冷媒の圧力エネルギを機械的エネルギに変換して出力する膨張機を採用してもよい。
このような膨張機としては、具体的に、スクロール型、ベーン型、ローリングピストン型といった容積型圧縮手段を採用できる。そして、容積型圧縮手段を圧縮手段として用いる場合の冷媒流れに対して逆流させるように冷媒を流すことで、冷媒を体積膨張させて減圧させながら、機械的エネルギを出力させることができる。
(5)上述の実施形態では、冷媒として通常のフロン系冷媒を採用した例を説明したが、冷媒の種類はこれに限定されない。例えば、炭化水素系冷媒、二酸化炭素等を用いてもよい。さらに、本発明のエジェクタ式冷凍サイクルを、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超える超臨界冷凍サイクルとして構成してもよい。
さらに、エジェクタ式冷凍サイクル100〜800を超臨界冷凍サイクルとする場合には、高圧側減圧手段を廃止してもよい。これにより、エジェクタ13のノズル部13aにおける減圧量を増加させることができるので、ノズル部19a入口側冷媒のエンタルピとノズル部19a出口側冷媒のエンタルピとの差(回収エネルギ量)も増加させて、より一層、COPを向上できる。
さらに、超臨界冷凍サイクルを構成する場合、高圧側減圧手段として、放熱器として機能する熱交換器の出口側冷媒温度に基づいてCOPが略最大となるように決定される目標高圧に調整する圧力制御弁を採用してもよい。
このような圧力制御弁としては、具体的に、放熱器として機能する熱交換器出口側に設けられた感温部を有し、この感温部の内部に放熱器として機能する熱交換器出口側冷媒の温度に対応した圧力を発生させ、感温部の内圧と放熱器として機能する熱交換器出口側の冷媒圧力とのバランスで弁開度を機械的機構により調整する構成を採用できる。
(6)上述の各実施形態では、冷媒流路切替手段として、第1、第2電気式四方弁31、32、電気式三方弁33等を採用した例を説明したが、冷媒流路切替手段は、これに限定されない。
例えば、図48(a)に示すように、第1電気式四方弁31の代わりに、2つの電気式三方弁31aを組み合わせて構成してもよいし、図48(b)に示すように、4つの開閉弁(電磁弁)31bを組み合わせて構成してもよい。また、図49に示すように、電気式三方弁33の代わりに、3つの開閉弁(電磁弁)33bを組み合わせて構成してもよい。
(7)上述の実施形態では、内部熱交換器35の高圧側冷媒流路35aにおける冷媒流れ方向と低圧側冷媒流路35bにおける冷媒流れ方向について言及していないが、高圧側冷媒流路における冷媒流れ方向と低圧側冷媒流路における冷媒流れ方向が同一方向となる並向流としてもよいし、高圧側冷媒流路における冷媒流れ方向と低圧側冷媒流路における冷媒流れ方向が異なる方向となる対向流としてもよい。
さらに、第14〜第17、第22〜第25実施形態の冷却運転モードについては、流出側熱交換器52および送風ファン52aを廃止して、補助熱交換器53あるいは室外熱交換器41から流出して固定絞り18へ流入する高圧側冷媒と、エジェクタ13のディフューザ部13dから流出した低圧側冷媒、すなわち第1圧縮手段11aへ吸入される低圧側冷媒とを熱交換させる内部熱交換器を採用してもよい。
(8)上述の各実施形態では、本発明のエジェクタ式冷凍サイクル100〜800を冷温保存庫に適用した例を説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。例えば、エジェクタ式冷凍サイクルを、空調装置、その他の定置型の冷凍サイクル装置、車両用冷凍サイクル装置等に適用してもよい。