JP6277869B2 - エジェクタ式冷凍サイクル - Google Patents

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Description

本発明は、異なる温度帯で冷媒を蒸発させる複数の蒸発器を備えるエジェクタ式冷凍サイクルに関する。
従来、エジェクタを備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置であるエジェクタ式冷凍サイクルが知られている。
この種のエジェクタ式冷凍サイクルでは、エジェクタのノズル部から噴射された高速度の噴射冷媒の吸引作用によって蒸発器から流出した冷媒をエジェクタの冷媒吸引口から吸引し、エジェクタのディフューザ部(昇圧部)にて噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒を昇圧させ、さらに、ディフューザ部にて昇圧された混合冷媒を圧縮機へ吸入させる。
これにより、エジェクタ式冷凍サイクルでは、蒸発器における冷媒蒸発圧力と圧縮機の吸入冷媒圧力が略同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも、圧縮機の消費動力を低減させ、サイクルの成績係数(COP)を向上させることができる。
さらに、特許文献1には、この種のエジェクタ式冷凍サイクルとして、2つの蒸発器を備え、一方の蒸発器(第1蒸発器)から流出した冷媒をエジェクタのノズル部へ流入させ、他方の蒸発器(第2蒸発器)から流出した冷媒を冷媒吸引口から吸引させるサイクル構成のものが開示されている。
この特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルでは、第1蒸発器における冷媒蒸発温度と第2蒸発器における冷媒蒸発温度が異なる温度帯となる。そこで、特許文献1では、このエジェクタ式冷凍サイクルを保冷装置に適用し、第1蒸発器および第2蒸発器を、それぞれ異なる保冷室(冷却対象空間)に配置して、それぞれの保冷室内を異なる温度帯で保冷できるようにしている。
特開2012−149790号公報
ところで、特許文献1の保冷装置のように、それぞれの蒸発器にて異なる冷却対象空間を冷却する構成では、それぞれの冷却対象空間の容積等に応じて、それぞれの蒸発器に要求される冷却能力が異なる。ここで、冷却能力とは、蒸発器の出口側冷媒のエンタルピから蒸発器の入口側冷媒のエンタルピを減算したエンタルピ差と蒸発器を流通する冷媒流量(質量流量)との積算値によって定義することができる。
また、一般的なエジェクタでは、噴射冷媒の吸引作用によって冷媒を吸引することで、ノズル部にて冷媒が減圧される際の速度エネルギの損失を回収している。そして、ディフューザ部にて噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換することによって、混合冷媒を昇圧させている。
従って、特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルにおいても、噴射冷媒流量Gnに対する吸引冷媒流量Geの流量比Ge/Gnを小さくするに伴って、噴射冷媒(混合冷媒)の流速を増加させて、ディフューザ部における昇圧量ΔPを増加させることができる。つまり、流量比Ge/Gnを小さくするに伴って、ディフューザ部にて混合冷媒を昇圧させることによるCOP向上効果を得やすくなる。
ところが、流量比Ge/Gnを小さくすると、第2蒸発器を流通する冷媒流量が減少してしまうので、第2蒸発器にて発揮される冷却能力が第1蒸発器にて発揮される冷却能力よりも低下してしまう。逆に、流量比Ge/Gnを大きくすると、第2蒸発器にて発揮される冷却能力と第1蒸発器にて発揮される冷却能力を近づけることはできるものの、昇圧量ΔPが減少してしまうので、COP向上効果を得にくくなってしまう。
つまり、特許文献1のように複数の蒸発器を備えるエジェクタ式冷凍サイクルでは、ディフューザ部にて混合冷媒を昇圧させることによるCOP向上効果を充分に得つつ、それぞれの蒸発器にて発揮される冷却能力を、用途に応じて要求される冷却能力となるように調整することが難しい。
特に、昇圧量ΔPを増加させるために流量比Ge/Gnを小さくしてしまうと、COP向上効果を充分に得つつ、それぞれの蒸発器にて発揮される冷却能力を同等となるように調整することは難しい。
本発明は、上記点に鑑み、異なる温度帯で冷媒を蒸発させる複数の蒸発器を備えるエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、それぞれの蒸発器にて発揮される冷却能力を調整可能とすることを第1の目的とする。
また、本発明は、異なる温度帯で冷媒を蒸発させる複数の蒸発器を備えるエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、それぞれの蒸発器にて発揮される冷却能力を近づけることを第2の目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたもので、請求項1に記載の発明では、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、圧縮機(11)から吐出された冷媒を放熱させる放熱器(12)と、放熱器(12)から流出した冷媒の流れを分岐する分岐部(13)と、放熱器(12)から流出した冷媒を減圧させる第1減圧手段(14)および第2減圧手段(17)と、第1減圧手段(14)にて減圧された冷媒を蒸発させて空気を冷却する第1蒸発器(15)と、第2減圧手段(17)にて減圧された冷媒を蒸発させて空気を冷却する第2蒸発器(18)と、第1蒸発器(15)から流出した冷媒を減圧させるノズル部(19a)から噴射される噴射冷媒の吸引作用によって冷媒吸引口(19c)から第2蒸発器(18)下流側冷媒を吸引し、噴射冷媒と冷媒吸引口(19c)から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させるエジェクタ(19)と、を備え、
分岐部(13)の一方の冷媒流出口には、第1減圧手段(14)の入口側が接続されており、分岐部(13)の他方の冷媒流出口には、第2減圧手段(17)の入口側が接続されており、
放熱器(12)の冷媒出口側から第1減圧手段(14)の入口側へ至る冷媒流路、および放熱器(12)の冷媒出口側から第2減圧手段(17)の入口側へ至る冷媒流路のうち、少なくとも一方の冷媒流路を流通する冷媒を高圧冷媒とし、第1蒸発器(15)の冷媒出口側からノズル部(19a)の入口側へ至る冷媒流路を流通する冷媒を高段側低圧冷媒とし、第2蒸発器(18)の冷媒出口側から冷媒吸引口(19c)へ至る冷媒流路を流通する冷媒を低段側低圧冷媒としたときに、
さらに、高段側低圧冷媒および低段側低圧冷媒のうちいずれか一方と高圧冷媒とを熱交換させる内部熱交換器(16)を備え
内部熱交換器(16)は、低段側低圧冷媒と、分岐部(13)の他方の冷媒流出口から第2減圧手段(17)の入口側へ至る冷媒流路を流通する高圧冷媒とを熱交換させるものであるエジェクタ式冷凍サイクルを特徴とする。
これによれば、第1蒸発器(15)から流出した冷媒をエジェクタ(19)のノズル部(19a)へ流入させ、第2蒸発器(18)から流出した冷媒をエジェクタ(19)の冷媒吸引口(19c)から吸引させるので、第2蒸発器(18)における冷媒蒸発温度を第1蒸発器(15)における冷媒蒸発温度よりも低い温度帯とすることができる。
さらに、高段側低圧冷媒および低段側低圧冷媒のうちいずれか一方と、高圧冷媒とを熱交換させる内部熱交換器(16)を備えている。
従って、各蒸発器(15、18)の出口側冷媒のエンタルピから各蒸発器(15、18)の入口側冷媒のエンタルピを減算したエンタルピ差(以下、単に、各蒸発器(15、18)における出入口エンタルピ差と記載する。)を調整することや、ノズル部(19a)へ流入させる冷媒のエンタルピを上昇させることが可能となり、それぞれの蒸発器(15、18)にて発揮される冷却能力を調整することができる。
具体的には、放熱器(12)から流出した冷媒の流れを分岐する分岐部(13)を備え、分岐部(13)の一方の冷媒流出口には、第1減圧手段(14)の入口側が接続されており、分岐部(13)の他方の冷媒流出口には、第2減圧手段(17)の入口側が接続されており、内部熱交換器(16)は、低段側低圧冷媒と、分岐部(13)の他方の冷媒流出口から第2減圧手段(17)の入口側へ至る冷媒流路を流通する高圧冷媒とを熱交換させている。
これによれば、内部熱交換器(16)にて、分岐部(13)の他方の冷媒流出口から第2減圧手段(17)の入口側へ至る冷媒流路を流通する高圧冷媒を冷却することができるので、第2蒸発器(18)における出入口エンタルピ差を拡大することができる。
従って、エジェクタ式冷凍サイクルの成績係数(COP)を向上させるために、前述した噴射冷媒流量Gnに対する吸引冷媒流量Geの流量比Ge/Gnを小さくしても、第1蒸発器(15)にて発揮される冷却能力と第2蒸発器(18)にて発揮される冷却能力とを近づけることができる。
また、請求項に記載の発明では、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、圧縮機(11)から吐出された冷媒を放熱させる放熱器(12)と、放熱器(12)から流出した冷媒の流れを分岐する分岐部(13)と、放熱器(12)から流出した冷媒を減圧させる第1減圧手段(14)および第2減圧手段(17)と、第1減圧手段(14)にて減圧された冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)と、第2減圧手段(17)にて減圧された冷媒を蒸発させる第2蒸発器(18)と、第1蒸発器(15)から流出した冷媒を減圧させるノズル部(19a)から噴射される噴射冷媒の吸引作用によって冷媒吸引口(19c)から第2蒸発器(18)下流側冷媒を吸引し、噴射冷媒と冷媒吸引口(19c)から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させるエジェクタ(19)と、を備え、
分岐部(13)の一方の冷媒流出口には、第1減圧手段(14)の入口側が接続されており、分岐部(13)の他方の冷媒流出口には、第2減圧手段(17)の入口側が接続されており、
放熱器(12)の冷媒出口側から第1減圧手段(14)の入口側へ至る冷媒流路、および放熱器(12)の冷媒出口側から第2減圧手段(17)の入口側へ至る冷媒流路のうち、少なくとも一方の冷媒流路を流通する冷媒を高圧冷媒とし、第1蒸発器(15)の冷媒出口側からノズル部(19a)の入口側へ至る冷媒流路を流通する冷媒を高段側低圧冷媒とし、第2蒸発器(18)の冷媒出口側から冷媒吸引口(19c)へ至る冷媒流路を流通する冷媒を低段側低圧冷媒としたときに、
さらに、高段側低圧冷媒および低段側低圧冷媒のうちいずれか一方と高圧冷媒とを熱交換させる内部熱交換器(16)を備え、
内部熱交換器(16)は、高段側低圧冷媒と、分岐部(13)の他方の冷媒流出口から第2減圧手段(17)の入口側へ至る冷媒流路を流通する高圧冷媒とを熱交換させるものであるエジェクタ式冷凍サイクルを特徴とする。
これによれば、請求項に記載の発明と同様に、第1蒸発器(15)にて発揮される冷却能力と第2蒸発器(18)にて発揮される冷却能力とを近づけることができる。さらに、内部熱交換器(16)にて、高段側低圧冷媒を加熱して、エジェクタ(19)のノズル部(19a)へ流入させる冷媒のエンタルピを上昇させることができる。
従って、後述する実施形態に説明するように、エジェクタ(19)の回収エネルギ量を増加させることができ、流量比Ge/Gnを小さくしなくても、エジェクタ(19)の昇圧量ΔPを上昇させることができる。その結果、第1蒸発器(15)にて発揮される冷却能力と第2蒸発器(18)にて発揮される冷却能力とを近づけることができる。
また、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルを作動させた際の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 第1実施形態のエジェクタの流量比Ge/Gnと昇圧量ΔPとの関係を示すグラフである。 第1実施形態のエジェクタ効率ηeと成績係数COPとの関係を示すグラフである。 第2実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第2実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルを作動させた際の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 第3実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第3実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルを作動させた際の冷媒の状態を示すモリエル線図である。 他の実施形態の内部熱交換器の熱交換態様を説明するための説明図である。 他の実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルにおける内部熱交換器の熱交換態様を説明するための説明図である。
(第1実施形態)
図1〜図4を用いて、第1実施形態について説明する。本実施形態では、本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクル10を、冷蔵車両に搭載される車両用冷凍サイクル装置に適用している。この車両用冷凍サイクル装置は、冷蔵車両において、車室内へ送風される室内用送風空気を冷却する機能、および車両の荷台に配置された冷蔵庫内へ送風される庫内用送風空気を冷却する機能を担っている。
従って、本実施形態では、車室内空間および冷蔵庫内空間の双方が、エジェクタ式冷凍サイクル10の冷却対象空間となる。さらに、本実施形態では、車室内と冷蔵庫内の容積が略同等となっており、それぞれの冷却対象空間を冷却するために必要な冷却能力も同等なっている。
なお、本実施形態における冷却能力は、エジェクタ式冷凍サイクル10が備える蒸発器の出口側冷媒のエンタルピから蒸発器の入口側冷媒のエンタルピを減算したエンタルピ差(出入口エンタルピ差)と、当該蒸発器を流通する冷媒流量(質量流量)との積算値で定義される。
図1の全体構成図に示すエジェクタ式冷凍サイクル10において、圧縮機11は、冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。具体的には、本実施形態の圧縮機11は、1つのハウジング内に固定容量型の圧縮機構、および圧縮機構を駆動する電動モータを収容して構成された電動圧縮機である。
この圧縮機構としては、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用できる。また、電動モータは、後述する制御装置から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式のものであってもよい。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、冷媒として自然冷媒(具体的には、R600a)を採用しており、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。さらに、冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
圧縮機11の吐出口には、放熱器12の冷媒入口側が接続されている。放熱器12は、圧縮機11から吐出された吐出冷媒と冷却ファン12aにより送風される車室外空気(外気)を熱交換させて、高圧冷媒を放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。冷却ファン12aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
放熱器12の冷媒出口側には、放熱器12から流出した冷媒の流れを分岐する分岐部13の冷媒流入口が接続されている。分岐部13は、3つの流入出口を有する三方継手で構成されており、3つの流入出口のうち1つを冷媒流入口とし、残りの2つを冷媒流出口としたものである。このような三方継手は、管径の異なる配管を接合して形成してもよいし、金属ブロックや樹脂ブロックに複数の冷媒通路を設けて形成してもよい。
分岐部13の一方の冷媒流出口には、第1減圧手段としての高段側絞り装置14の入口側が接続されている。高段側絞り装置14は、高段側蒸発器15出口側冷媒の温度および圧力に基づいて高段側蒸発器15出口側冷媒の過熱度を検出する感温部を有し、高段側蒸発器15出口側冷媒の過熱度が予め定めた基準範囲内となるように機械的機構によって絞り通路面積を調整する温度式膨張弁である。
高段側絞り装置14の出口側には、第1蒸発器としての高段側蒸発器15の冷媒入口側が接続されている。高段側蒸発器15は、高段側絞り装置14にて減圧された低圧冷媒と高段側送風ファン15aから車室内へ送風される室内用送風空気とを熱交換させて、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。
高段側送風ファン15aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動送風機である。高段側蒸発器15の冷媒出口側には、後述するエジェクタ19のノズル部19aの入口側が接続されている。
分岐部13の他方の冷媒流出口には、内部熱交換器16の高圧側冷媒通路16aの入口側が接続されている。本実施形態の内部熱交換器16は、分岐部13の他方の冷媒流出口から流出した高圧冷媒と、後述する低段側蒸発器18から流出した低段側低圧冷媒とを熱交換させる機能を果たす。
このような内部熱交換器16としては、分岐部13の他方の冷媒流出口から流出した冷媒を流通させる高圧側冷媒通路16aを形成する外側管の内側に、低段側蒸発器18から流出した低段側低圧冷媒を流通させる低圧側冷媒通路16bを形成する内側管を配置した二重管方式の熱交換器等を採用することができる。
内部熱交換器16の高圧側冷媒通路16aの出口側には、第2減圧手段としての低段側絞り装置17の入口側が接続されている。低段側絞り装置17は、絞り開度が固定された固定絞りであり、具体的には、ノズル、オリフィス、キャピラリチューブ等を採用することができる。
低段側絞り装置17の出口側には、第2蒸発器としての低段側蒸発器18の冷媒入口側が接続されている。低段側蒸発器18は、低段側絞り装置17にて減圧された低圧冷媒と低段側送風ファン18aから冷蔵庫内へ循環送風される庫内用送風空気とを熱交換させることによって、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。
低段側蒸発器18の基本的構成は、高段側蒸発器15と同等であり、低段側送風ファン18a基本的構成は、高段側送風ファン15aと同等である。低段側蒸発器18の冷媒出口側には、内部熱交換器16の低圧側冷媒通路16bの入口側が接続されている。さらに、低圧側冷媒通路16bの出口側には、後述するエジェクタ19の冷媒吸引口19c側が接続されている。
ここで、本実施形態の低段側絞り装置17の絞り開度は、サイクルの通常作動時における高段側絞り装置14の絞り開度よりも小さくなるように設定されている。従って、低段側蒸発器18における冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)は、高段側蒸発器15における冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)よりも低くなる。
さらに、本実施形態では、噴射冷媒流量Gnに対する吸引冷媒流量Geの流量比Ge/Gnが、1以下の予め定めた基準範囲内になるように、サイクルの通常作動時における高段側絞り装置14の絞り開度(流量特性)、低段側絞り装置17の絞り開度(流量特性)、分岐部13の各冷媒通路の通路断面積等が決定されている。
なお、噴射冷媒流量Gnとは、高段側絞り装置14および高段側蒸発器18を介してエジェクタ19のノズル部19aへ流入する冷媒流量(質量流量)である。また、吸引冷媒流量Geとは、内部熱交換器16の高圧側冷媒通路16a、低段側絞り装置17および低段側蒸発器18を介してエジェクタ19の冷媒吸引口19cから吸引される冷媒流量(質量流量)である。
つまり、噴射冷媒流量Gnは、高段側蒸発器15を流通する冷媒流量であり、吸引冷媒流量Geは、低段側蒸発器18を流通する冷媒流量である。
次に、エジェクタ19は、高段側蒸発器15から流出した冷媒を減圧させる減圧手段としての機能を果たすとともに、高速で噴射される噴射冷媒の吸引作用によって低段側蒸発器18から流出した冷媒を吸引(輸送)してサイクル内を循環させる冷媒循環手段(冷媒輸送手段)としての機能を果たすものである。
より具体的には、エジェクタ19、ノズル部19aおよびボデー部19bを有して構成されている。ノズル部19aは、冷媒の流れ方向に向かって徐々に先細る略円筒状の金属(例えば、ステンレス合金)等で形成されており、内部に形成された冷媒通路(絞り通路)にて冷媒を等エントロピ的に減圧膨張させるものである。
ノズル部19aの内部に形成された冷媒通路としては、通路断面積が最も縮小した喉部(最小通路面積部)が形成され、さらに、この喉部から冷媒を噴射する冷媒噴射口へ向かって冷媒通路面積が徐々に拡大する末広部が形成されている。つまり、ノズル部19aは、ラバールノズルとして構成されている。
さらに、本実施形態では、ノズル部19aとして、エジェクタ式冷凍サイクル10の通常作動時に、冷媒噴射口から噴射される噴射冷媒の流速が音速以上となるように設定されたものが採用されている。もちろん、ノズル部19aを先細ノズルで構成してもよい。
ボデー部19bは、略円筒状の金属(例えば、アルミニウム)で形成されており、内部にノズル部19aを支持固定する固定部材として機能するとともに、エジェクタ19の外殻を形成するものである。より具体的には、ノズル部19aは、ボデー部19bの長手方向一端側の内部に収容されるように圧入にて固定されている。従って、ノズル部19aとボデー部19bとの固定部(圧入部)から冷媒が漏れることはない。
また、ボデー部19bの外周面のうち、ノズル部19aの外周側に対応する部位には、その内外を貫通してノズル部19aの冷媒噴射口と連通するように設けられた冷媒吸引口19cが形成されている。この冷媒吸引口19cは、ノズル部19aから噴射される噴射冷媒の吸引作用によって、低段側蒸発器18から流出した冷媒をエジェクタ19の内部へ吸引する貫通穴である。
さらに、ボデー部19bの内部には、冷媒吸引口19cから吸引された吸引冷媒をノズル部19aの冷媒噴射口側へ導く吸引通路19e、および、冷媒吸引口19cから吸引通路19eを介してエジェクタ19の内部へ流入した吸引冷媒と噴射冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧部としてのディフューザ部19dが形成されている。
吸引通路19eは、ノズル部19aの先細り形状の先端部周辺の外周側とボデー部19bの内周側との間の空間に形成されており、吸引通路19eの冷媒通路面積は、冷媒流れ方向に向かって徐々に縮小している。これにより、吸引通路19eを流通する吸引冷媒の流速を徐々に増加させて、ディフューザ部19dにて吸引冷媒と噴射冷媒が混合する際のエネルギ損失(混合損失)を減少させている。
ディフューザ部19dは、吸引通路19eの出口に連続するように配置されて、冷媒通路面積が徐々に拡大するように形成されている。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させながら、その流速を減速させて噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の圧力を上昇させる機能、すなわち、混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換する機能を果たす。
より具体的には、本実施形態のディフューザ部19dを形成するボデー部19bの内周壁面の断面形状は、複数の曲線を組み合わせて形成されている。そして、ディフューザ部19dの冷媒通路断面積の広がり度合が冷媒流れ方向に向かって徐々に大きくなった後に再び小さくなっていることで、冷媒を等エントロピ的に昇圧させることができる。エジェクタ19のディフューザ部19dの出口側には、圧縮機11の吸入口が接続されている。
なお、上述したエジェクタ式冷凍サイクル10の構成機器のうち、圧縮機11、放熱器12、冷却ファン12a等は、一つの筐体内に収容されて、室外ユニットして一体的に構成されている。さらに、室外ユニットは冷蔵庫の上方の車両前方側に配置されている。
次に、本実施形態の電気制御部について説明する。図示しない制御装置は、CPU、ROM、RAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器(圧縮機11、冷却ファン12a、高段側送風ファン15a、低段側送風ファン18a等)の作動を制御する。
また、制御装置には、車室内温度を検出する内気温センサ、外気温を検出する外気温センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、高段側蒸発器15の吹出空気温度(高段側蒸発器温度)を検出する第1蒸発器温度センサ、低段側蒸発器18の吹出空気温度(低段側蒸発器温度)を検出する第2蒸発器温度センサ、放熱器12出口側冷媒の温度を検出する出口側温度センサ、放熱器12出口側冷媒の圧力を検出する出口側圧力センサ、冷蔵庫内の温度を検出する庫内温度センサ等のセンサ群が接続され、これらのセンサ群の検出値が入力される。
さらに、制御装置の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された図示しない操作パネルが接続され、この操作パネルに設けられた各種操作スイッチからの操作信号が制御装置へ入力される。操作パネルに設けられた各種操作スイッチとしては、車両用冷凍サイクル装置の作動あるいは停止を要求する作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ等が設けられている。
なお、本実施形態の制御装置は、その出力側に接続された各種の制御対象機器の作動を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、制御装置のうち、各制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が各制御対象機器の制御手段を構成している。例えば、本実施形態では、圧縮機11の作動を制御する構成が吐出能力制御手段を構成している。
次に、図2のモリエル線図を用いて、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10の作動について説明する。まず、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)されると、制御装置が圧縮機11の電動モータ、冷却ファン12a、高段側送風ファン15a、低段側送風ファン18a等を作動させる。これにより、圧縮機11が冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。
圧縮機11から吐出された高温高圧の吐出冷媒(図2のa2点)は、放熱器12へ流入して、冷却ファン12aから送風された送風空気(外気)と熱交換し、放熱して凝縮する(図2のa2点→b2点)。さらに、放熱器12から流出した冷媒の流れは、分岐部13にて分岐される。
分岐部13にて分岐された一方の冷媒は、高段側絞り装置14へ流入して等エンタルピ的に減圧される(図2のb2点→c2点)。この際、高段側絞り装置14の絞り開度は、高段側蒸発器15出口側冷媒(図2のd2点)の過熱度が予め定めた所定範囲内となるように調整される。
高段側絞り装置14にて減圧された冷媒は、高段側蒸発器15へ流入して、高段側送風ファン15aによって送風された室内用送風空気から吸熱して蒸発する(図2のc2点→d2点)。これにより、室内用送風空気が冷却される。
分岐部13にて分岐された他方の冷媒は、内部熱交換器16の高圧側冷媒通路16aへ流入し、内部熱交換器16の低圧側冷媒通路16bを流通する低段側蒸発器18流出冷媒と熱交換して、エンタルピを低下させる(図2のb2点→e2点)。
内部熱交換器16の高圧側冷媒通路16aから流出した冷媒は、低段側絞り装置17へ流入して等エンタルピ的に減圧される(図2のe2点→f2点)。この際、低段側絞り装置17にて減圧された冷媒の圧力は、高段側絞り装置14にて減圧された冷媒の圧力よりも低くなる。図2では、e2点の圧力がc2点の圧力より低くなる。
低段側絞り装置17にて減圧された冷媒は、低段側蒸発器18へ流入して、低段側送風ファン18aによって循環送風された庫内用送風空気から吸熱して蒸発する(図2のf2点→g2点)。これにより、庫内用送風空気が冷却される。
低段側蒸発器18から流出した低段側低圧冷媒は、内部熱交換器16の低圧側冷媒通路16bへ流入して、内部熱交換器16の高圧側冷媒通路16aを流通する分岐部13にて分岐された他方の冷媒と熱交換してエンタルピを上昇させる(図2のg2点→h2点)。
また、高段側蒸発器15から流出した冷媒は、エジェクタ19のノズル部19aへ流入して等エントロピ的に減圧されて噴射される(図2のd2点→i2点)。そして、この噴射冷媒の吸引作用によって、内部熱交換器16の低圧側冷媒通路16bから流出した低段側蒸発器18下流側冷媒(図2のh2点)が、エジェクタ19の冷媒吸引口19cから吸引される。
この際、冷媒吸引口19cから吸引された冷媒は、エジェクタ19の内部に形成された吸引通路19eを流通する際に、等エントロピ的に減圧されて僅かに圧力を低下させる(図2のh2点→j2点)。ノズル部19aから噴射された噴射冷媒および冷媒吸引口19cから吸引された吸引冷媒は、エジェクタ19のディフューザ部19dへ流入する(図2のi2→k2点、j2点→k2点)。
ディフューザ部19dでは、冷媒通路面積の拡大により、冷媒の速度エネルギが圧力エネルギに変換される。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の圧力が上昇する(図2のk2点→m2点)。ディフューザ部19dから流出した冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される(図2のm2点→a2点)。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10は、以上の如く作動して、車室内へ送風される室内用送風空気、および冷蔵庫内へ循環送風される庫内用送風空気を冷却することができる。この際、低段側蒸発器18の冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)が、高段側蒸発器15の冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)よりも低くなるので、車室内および冷蔵庫内を異なる温度帯で冷却することができる。
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、エジェクタ19のディフューザ部19dにて昇圧された冷媒(図2のm2点)を圧縮機11に吸入させるので、圧縮機11の消費動力を低減させて、サイクルの成績係数(COP)を向上させることができる。
ここで、本実施形態の車両用冷凍サイクル装置のように、高段側蒸発器15および低段側蒸発器18にて、異なる冷却対象空間(具体的には、車室内および冷蔵庫内)を冷却する構成では、それぞれの蒸発器15、18にて発揮される冷却能力を、それぞれの冷却対象空間の容積等に応じて適切に設定しておく必要がある。前述の如く、本実施形態では、それぞれの蒸発器15、18に要求される冷却能力が略同等となっている。
また、一般的なエジェクタでは、噴射冷媒の吸引作用によって冷媒を吸引することで、ノズル部にて冷媒が減圧される際の速度エネルギの損失を回収している。そして、ディフューザ部にて噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換することによって、混合冷媒を昇圧させている。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、図3に示すように、流量比Ge/Gnを小さくするに伴って、混合冷媒の流速を増加させて、ディフューザ部19dにおける昇圧量ΔPを増加させることができる。つまり、流量比Ge/Gnを小さくするに伴って、ディフューザ部19dにて混合冷媒を昇圧させることによるCOP向上効果を得やすくなる。
ところが、流量比Ge/Gnを小さくすると、低段側蒸発器18を流通する冷媒流量が減少してしまうことになるので、低段側蒸発器18にて発揮される冷却能力が高段側蒸発器15にて発揮される冷却能力よりも低下してしまいやすい。
つまり、本実施形態のように複数の蒸発器を備えるエジェクタ式冷凍サイクルでは、エジェクタのディフューザ部にて混合冷媒を昇圧させることによるCOP向上効果を充分に得つつ、それぞれの蒸発器にて発揮される冷却能力を、用途に応じて要求される適切な能力となるように調整することが難しい。
これに対して、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、低段側蒸発器18の冷媒出口からエジェクタ19の冷媒吸引口19cへ至る冷媒流路を流通する低段側低圧冷媒と、分岐部13の他方の冷媒流出口から低段側絞り装置17の入口側へ至る冷媒流路を流通する高圧冷媒とを熱交換させる内部熱交換器16を備えている。
従って、内部熱交換器16を備えていないエジェクタ式冷凍サイクル(以下、比較用サイクルと記載する。)に対して、低段側蒸発器18における出入口エンタルピ差を拡大することができる。
より具体的には、比較用サイクルでは、図2に示すように、低段側蒸発器18における出入口エンタルピ差がΔh_leとなる。これに対して、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、低段側蒸発器18における出入口エンタルピ差がΔh_le+Δh_ihehに拡大する。
これにより、流量比Ge/Gnを小さな値に設定して(すなわち、吸引冷媒流量Geを噴射冷媒流量Gnよりも少なくして)、ディフューザ部19dにて混合冷媒を昇圧させることによるCOP向上効果を充分に得るようにしても、低段側蒸発器18にて発揮される冷却能力の低下を抑制することができる。
つまり、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、以下数式F1を満たすように、高段側蒸発器15にて発揮される冷却能力と低段側蒸発器18にて発揮される冷却能力とを近づけることができる。
Gn×Δh_he≒Ge(Δh_le+Δh_iheh)…(F1)
ここで、Δh_heは、高段側蒸発器18における出入口エンタルピ差である。
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、ディフューザ部19dにて混合冷媒を昇圧させることによるCOP向上効果を得ることができることに加えて、比較用サイクルよりも低段側蒸発器18における出入口エンタルピ差を拡大させたことによるCOP向上効果を得ることができる。
本発明者らの検討によれば、図4に示すように、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、比較用サイクルよりも6〜8%程度COPを向上させることができる。なお、図4の横軸は、エジェクタのエネルギ変換効率であるエジェクタ効率を示しており、エジェクタ式冷凍サイクル10の運転条件やエジェクタ19の寸法諸元等によって変化する値である。
図4から明らかなように、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によるCOP向上効果は、エジェクタ式冷凍サイクル10の幅広い運転条件において得ることができるとともに、エジェクタ式冷凍サイクル10に、幅広い寸法諸元のエジェクタ19を採用しても得ることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図5に示すように、内部熱交換器16の接続態様を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態では、高段側蒸発器15の冷媒出口側に、内部熱交換器16の低圧側冷媒通路16bの入口側を接続している。さらに、低圧側冷媒通路16bの出口側には、エジェクタ19のノズル部19aの入口側が接続されている。
従って、本実施形態の内部熱交換器16は、高段側蒸発器15の冷媒出口側からエジェクタ19のノズル部19aの入口側へ至る冷媒流路を流通する高段側低圧冷媒と、分岐部13の他方の冷媒流出口から低段側絞り装置17の入口側へ至る冷媒流路を流通する高圧冷媒とを熱交換させる機能を果たす。
また、本実施形態では、低段側蒸発器18の冷媒出口とエジェクタ19の冷媒吸引口19cが、冷媒配管を介して直接的に接続されている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、図6のモリエル線図を用いて、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10の作動について説明する。なお、図6のモリエル線図における各符号は、第1実施形態で説明した図2のモリエル線図に対して、サイクル構成状同等あるいは対応する箇所の冷媒の状態を示すものについては、同一のアルファベットを用い、添字(数字)を変更して示している。このことは、以下のモリエル線図についても同様である。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10を作動させると、第1実施形態と同様に、圧縮機11から吐出された高温高圧の吐出冷媒(図6のa6点)が、放熱器12にて冷却されて(図6のa6点→b6点)、分岐部13にて分岐される。
分岐部13にて分岐された一方の冷媒は、高段側絞り装置14にて減圧された後に、高段側蒸発器15へ流入し、室内用送風空気から吸熱して蒸発する(図6のb6点→c6点→d6点)。これにより、室内用送風空気が冷却される。
さらに、本実施形態では、高段側蒸発器15から流出した高段側低圧冷媒が、内部熱交換器16の低圧側冷媒通路16bへ流入し、内部熱交換器16の高圧側冷媒通路16aを流通する分岐部13にて分岐された他方の冷媒と熱交換して、エンタルピを上昇させる(図6のd6点→h6点)。
分岐部13にて分岐された他方の冷媒は、内部熱交換器16の高圧側冷媒通路16aへ流入して、内部熱交換器16の低圧側冷媒通路16bを流通する高段側蒸発器15流出冷媒と熱交換して、エンタルピを低下させる(図6のb6点→e6点)。
内部熱交換器16の高圧側冷媒通路16aから流出した冷媒は、低段側絞り装置17にて減圧された後に、低段側蒸発器18へ流入し、庫内用送風空気から吸熱して蒸発する(図6のe6点→f6点→g6点)。これにより、庫内用送風空気が冷却される。
また、本実施形態では、内部熱交換器16の低圧側冷媒通路16bから流出した冷媒が、エジェクタ19のノズル部19aへ流入して等エントロピ的に減圧されて噴射される(図6のh6点→i6点)。そして、この噴射冷媒の吸引作用によって、低段側蒸発器18下流側冷媒(図6のg6点)が、エジェクタ19の冷媒吸引口19cから吸引される。
そして、ノズル部19aから噴射された噴射冷媒および冷媒吸引口19cから吸引された吸引冷媒は、エジェクタ19のディフューザ部19dへ流入する(図6のi6→k6点、g6点→j6点→k6点)。ディフューザ部19dでは、冷媒の速度エネルギが圧力エネルギに変換され、混合冷媒の圧力が上昇する(図6のk6点→m6点)。以降の作動は、第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10においても、第1実施形態と同様に、車室内および冷蔵庫内を異なる温度帯で冷却することができるとともに、内部熱交換器16の作用によって、高段側蒸発器15にて発揮される冷却能力と低段側蒸発器18にて発揮される冷却能力とを近づけることができる。
さらに、本実施形態では、内部熱交換器16の作用によって、エジェクタ19のノズル部19aへ流入させる冷媒のエンタルピを、図2のΔh_ihelに示す分上昇させることができるので、ディフューザ部19dにて混合冷媒を効率的に昇圧させることができる。
このことをより詳細に説明すると、前述の如く、エジェクタ19では、噴射冷媒の吸引作用によって冷媒を吸引することで、ノズル部19aにて冷媒が減圧される際の速度エネルギの損失を回収し、ディフューザ部19dにて混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換している。従って、回収する速度エネルギの量(回収エネルギ量)を増加させることによって、ディフューザ部19dにおける昇圧量ΔPを増加させることができる。
さらに、ノズル部19aにて回収される回収エネルギ量は、ノズル部19a入口側冷媒(図6のh6点)のエンタルピとノズル部19a出口側冷媒(図6のi6点)のエンタルピとのエンタルピ差で表される(図6のΔH6)。
そして、本実施形態のように、ノズル部19aへ流入させる冷媒のエンタルピを上昇させるに伴って、ノズル部19aにて冷媒を等エントロピ的に減圧させる際のモリエル線図上の等エントロピ線の傾きが緩やかに(小さく)なるので、ノズル部19aにて、冷媒を所定の圧力分だけ等エントロピ膨張させた場合の回収エネルギ量を増加させることができる。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、ディフューザ部19dにて混合冷媒を効率的に昇圧させることができる。換言すると、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、流量比Ge/Gnを小さくしなくても、ディフューザ部19dにおける昇圧量ΔPを上昇させて、ディフューザ部19dにて混合冷媒を昇圧させることによるCOP向上効果を充分に得ることができる。
つまり、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、流量比Ge/Gnの調整可能範囲を拡大させることができるので、それぞれの蒸発器15、18にて発揮される冷却能力を適切に調整することができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、第2実施形態に対して、図7に示すように、内部熱交換器16の接続態様を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態では、放熱器12の冷媒出口側に、内部熱交換器16の高圧側冷媒通路16aの入口側を接続している。さらに、内部熱交換器16の高圧側冷媒通路16aの出口側には、分岐部13の冷媒流入口が接続されている。
従って、本実施形態の内部熱交換器16は、高段側蒸発器15の冷媒出口側からエジェクタ19のノズル部19aの入口側へ至る冷媒流路を流通する高段側低圧冷媒と、放熱器12の冷媒出口側から分岐部13の入口側へ至る冷媒流路を流通する高圧冷媒とを熱交換させる機能を果たす。
また、本実施形態では、分岐部13の一方の冷媒流出口に、高段側絞り装置14の入口側が接続され、分岐部13の他方の冷媒流出口に、低段側絞り装置17の入口側が接続されている。その他の構成は、第2実施形態と同様である。
次に、図8のモリエル線図を用いて、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10の作動について説明する。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10を作動させると、第1実施形態と同様に、圧縮機11から吐出された高温高圧の吐出冷媒(図8のa8点)が、放熱器12にて冷却される(図8のa8点→b8点)。
さらに、本実施形態では、放熱器12から流出した高圧冷媒が、内部熱交換器16の高圧側冷媒通路16aへ流入し、内部熱交換器16の低圧側冷媒通路16bを流通する高段側蒸発器15流出冷媒と熱交換して、エンタルピを低下させる(図8のb8点→e8点)。高圧側冷媒通路16aから流出した冷媒の流れは、分岐部13にて分岐される。
分岐部13にて分岐された一方の冷媒は、第1実施形態と同様に、高段側絞り装置14にて減圧された後に、高段側蒸発器15へ流入し、室内用送風空気から吸熱して蒸発する(図8のe8点→c8点→d8点)。これにより、室内用送風空気が冷却される。
さらに、本実施形態では、高段側蒸発器15から流出した高段側低圧冷媒が、内部熱交換器16の低圧側冷媒通路16bへ流入し、内部熱交換器16の高圧側冷媒通路16aを流通する分岐部13にて分岐された他方の冷媒と熱交換して、エンタルピを上昇させる(図8のd8点→h8点)。
分岐部13にて分岐された他方の冷媒は、低段側絞り装置17にて減圧された後に、低段側蒸発器18へ流入し、庫内用送風空気から吸熱して蒸発する(図8のe8点→f8点→g8点)。これにより、庫内用送風空気が冷却される。
また、本実施形態では、第2実施形態と同様に、内部熱交換器16の低圧側冷媒通路16bから流出した冷媒が、エジェクタ19のノズル部19aへ流入して等エントロピ的に減圧されて噴射される(図8のh8点→i8点)。そして、この噴射冷媒の吸引作用によって、低段側蒸発器18下流側冷媒(図8のg8点)が、エジェクタ19の冷媒吸引口19cから吸引される。以降の作動は、第2実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10においても、第1実施形態と同様に、車室内および冷蔵庫内を異なる温度帯で冷却することができる。さらに、第2実施形態と同様に、ノズル部19aにおける回収エネルギ量(図8のΔH8に対応)を増加させて、ディフューザ部19dにて混合冷媒を効率的に昇圧させることができるので、それぞれの蒸発器15、18にて発揮される冷却能力を適切に調整することができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の各実施形態では、高段側蒸発器15にて発揮される冷却能力と低段側蒸発器18にて発揮される冷却能力が近づくように内部熱交換器16を接続した例を説明したが、内部熱交換器16の接続態様はこれに限定されない。つまり、各蒸発器15、18にて発揮される冷却能力を調整可能であれば、内部熱交換器16にて、上述の各実施形態に開示された組み合わせとは異なる低圧冷媒と高圧冷媒とを熱交換させてもよい。
具体的には、図9に示す、領域Xの高圧冷媒(放熱器12の冷媒出口側から分岐部13の入口側へ至る冷媒流路を流通する高圧冷媒)、領域Yの高圧冷媒(分岐部13の一方の冷媒流出口から高段側絞り装置14の入口側へ至る冷媒流路を流通する高圧冷媒)、および領域Zの高圧冷媒(分岐部13の他方の冷媒流出口から低段側絞り装置17の入口側へ至る冷媒流路を流通する高圧冷媒)のいずれか1つと、領域αの低圧冷媒(高段側低圧冷媒)および領域βの低圧冷媒(低段側低圧冷媒)のいずれか1つとを、内部熱交換器16にて熱交換させるようにすればよい。
例えば、領域Yの高圧冷媒と領域α、βの低圧冷媒のいずれか一方とを熱交換させることで、高段側蒸発器15にて発揮される冷却能力を、低段側蒸発器18にて発揮される冷却能力よりも大きくなるように調整することができる。また、領域Xの高圧冷媒と領域βの低圧冷媒とを熱交換させてもよい。
(2)上述の各実施形態では、分岐部13の一方の冷媒流出口に高段側絞り装置14の入口側が接続され、分岐部13の他方の冷媒流出口に低段側絞り装置14の入口側が接続されたエジェクタ式冷凍サイクル10について説明したが、本発明のエジェクタ式冷凍サイクルのサイクル構成は、これに限定されない。
例えば、図10に示すように、放熱器12の冷媒出口側に高段側絞り装置14の入口側が接続され、高段側絞り装置14の出口側に分岐部13の入口側が接続され、分岐部13の一方の冷媒流出口に高段側蒸発器15の冷媒入口側が接続され、さらに、分岐部13の他方の冷媒流出口に低段側絞り装置17を介して低段側蒸発器18の冷媒入口側が接続されたサイクル構成であってもよい。
そして、このようなサイクル構成においては、内部熱交換器16にて、図10の領域Sの高圧冷媒(放熱器12の冷媒出口側から高段側絞り装置14の入口側へ至る冷媒流路を流通する高圧冷媒)と、領域α、βの低圧冷媒のいずれか一方とを熱交換させるようにすればよい。
さらに、上述の各実施形態では、互いに異なる温度帯で冷媒を蒸発させる2つの蒸発器15、18を備えるエジェクタ式冷凍サイクル10について説明したが、さらに、別の蒸発器を備えていてもよい。この別の蒸発器は、高段側蒸発器15あるいは低段側蒸発器18に対して並列的に接続されたものであってもよいし、高段側蒸発器15あるいは低段側蒸発器18に対して直列的に接続されたものであってもよい。
(3)上述の各実施形態では、本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクル10を冷蔵車両用の冷凍サイクル装置に適用した例を説明したが、本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクル10の適用はこれに限定されない。
例えば、車両用に適用する場合は、高段側蒸発器15にて車両前席側へ送風される前席用送風空気を冷却し、低段側蒸発器18にて車両後席側へ送風される後席用送風空気を冷却する、いわゆるデュアルエアコンシステムに適用してもよい。
さらに、車両用に限定されることなく、据え置き型の冷蔵冷凍装置、ショーケース、空調装置等に適用してもよい。この際、複数の冷却対象空間のうち、最も温度を低くしたい低温側の冷却対象空間を低段側蒸発器18にて冷却し、低温側の冷却対象空間よりも高い温度帯で冷却される冷却対象空間を高段側蒸発器15にて冷却するようにしてもよい。
(4)エジェクタ式冷凍サイクル10を構成する構成機器は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、圧縮機11として、プーリ、ベルト等を介してエンジン(内燃機関)から伝達された回転駆動力によって駆動されるエンジン駆動式の圧縮機を採用してもよい。この種のエンジン駆動式の圧縮機としては、吐出容量の変化により冷媒吐出能力を調整できる可変容量型圧縮機、電磁クラッチの断続により圧縮機の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機等を採用することができる。
また、放熱器12として、圧縮機11吐出冷媒と外気とを熱交換させて圧縮機11吐出冷媒を凝縮させる凝縮部、この凝縮部から流出した冷媒の気液を分離するモジュレータ部、およびモジュレータ部から流出した液相冷媒と外気とを熱交換させて液相冷媒を過冷却する過冷却部を有して構成される、いわゆるサブクール型の凝縮器を採用してもよい。
また、高段側絞り装置14、低段側絞り装置17として、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させるステッピングモータからなる電動アクチュエータとを有して構成された電気式の可変絞り機構を採用してもよい。
また、内部熱交換器16として、高圧側冷媒通路16aを形成する冷媒配管と低圧側冷媒通路16bを形成する冷媒配管とをろう付け接合することによって、高圧冷媒と低圧冷媒とを熱交換可能とした構成を採用してもよい。また、内部熱交換器16として、高圧側冷媒通路16aを形成する複数本のチューブを有し、隣り合うチューブ間に低圧側冷媒通路16bを形成した構成を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、エジェクタ19としてノズル部19aの喉部(最小通路面積部)の通路断面積が変化しない固定エジェクタを採用した例を説明したが、エジェクタ19として、喉部の通路断面積を調整可能な可変ノズル部を有する可変エジェクタを用いてもよい。また、上述の実施形態では、エジェクタ19のボデー部19b等の構成部材を金属で形成した例を説明したが、それぞれの構成部材の機能を発揮可能であれば材質は限定されない。つまり、これらの構成部材を樹脂にて形成してもよい。
(5)上述の実施形態では、冷媒としてR600aを採用した例を説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、R134a、R1234yf、R410A、R404A、R32、R1234yfxf、R407C等を採用することができる。または、これらの冷媒のうち複数種を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。
10 エジェクタ式冷凍サイクル
11 圧縮機
12 放熱器
13 分岐部
14 高段側絞り装置(第1減圧手段)
15 高段側蒸発器(第1蒸発器)
16 内部熱交換器
17 低段側絞り装置(第2減圧手段)
18 低段側蒸発器(第2蒸発器)
19 エジェクタ

Claims (2)

  1. 冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
    前記圧縮機(11)から吐出された冷媒を放熱させる放熱器(12)と、
    前記放熱器(12)から流出した冷媒の流れを分岐する分岐部(13)と、
    前記放熱器(12)から流出した冷媒を減圧させる第1減圧手段(14)および第2減圧手段(17)と、
    前記第1減圧手段(14)にて減圧された冷媒を蒸発させて空気を冷却する第1蒸発器(15)と、
    前記第2減圧手段(17)にて減圧された冷媒を蒸発させて空気を冷却する第2蒸発器(18)と、
    前記第1蒸発器(15)から流出した冷媒を減圧させるノズル部(19a)から噴射される噴射冷媒の吸引作用によって冷媒吸引口(19c)から前記第2蒸発器(18)下流側冷媒を吸引し、前記噴射冷媒と前記冷媒吸引口(19c)から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させるエジェクタ(19)と、を備え、
    前記分岐部(13)の一方の冷媒流出口には、前記第1減圧手段(14)の入口側が接続されており、
    前記分岐部(13)の他方の冷媒流出口には、前記第2減圧手段(17)の入口側が接続されており、
    前記放熱器(12)の冷媒出口側から前記第1減圧手段(14)の入口側へ至る冷媒流路、および前記放熱器(12)の冷媒出口側から前記第2減圧手段(17)の入口側へ至る冷媒流路のうち、少なくとも一方の冷媒流路を流通する冷媒を高圧冷媒とし、
    前記第1蒸発器(15)の冷媒出口側から前記ノズル部(19a)の入口側へ至る冷媒流路を流通する冷媒を高段側低圧冷媒とし、
    前記第2蒸発器(18)の冷媒出口側から前記冷媒吸引口(19c)へ至る冷媒流路を流通する冷媒を低段側低圧冷媒としたときに、
    さらに、前記高段側低圧冷媒および前記低段側低圧冷媒のうちいずれか一方と前記高圧冷媒とを熱交換させる内部熱交換器(16)を備え
    前記内部熱交換器(16)は、前記低段側低圧冷媒と、前記分岐部(13)の他方の冷媒流出口から前記第2減圧手段(17)の入口側へ至る冷媒流路を流通する高圧冷媒とを熱交換させるものであることを特徴とするエジェクタ式冷凍サイクル。
  2. 冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
    前記圧縮機(11)から吐出された冷媒を放熱させる放熱器(12)と、
    前記放熱器(12)から流出した冷媒の流れを分岐する分岐部(13)と、
    前記放熱器(12)から流出した冷媒を減圧させる第1減圧手段(14)および第2減圧手段(17)と、
    前記第1減圧手段(14)にて減圧された冷媒を蒸発させる第1蒸発器(15)と、
    前記第2減圧手段(17)にて減圧された冷媒を蒸発させる第2蒸発器(18)と、
    前記第1蒸発器(15)から流出した冷媒を減圧させるノズル部(19a)から噴射される噴射冷媒の吸引作用によって冷媒吸引口(19c)から前記第2蒸発器(18)下流側冷媒を吸引し、前記噴射冷媒と前記冷媒吸引口(19c)から吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させるエジェクタ(19)と、を備え、
    前記分岐部(13)の一方の冷媒流出口には、前記第1減圧手段(14)の入口側が接続されており、
    前記分岐部(13)の他方の冷媒流出口には、前記第2減圧手段(17)の入口側が接続されており、
    前記放熱器(12)の冷媒出口側から前記第1減圧手段(14)の入口側へ至る冷媒流路、および前記放熱器(12)の冷媒出口側から前記第2減圧手段(17)の入口側へ至る冷媒流路のうち、少なくとも一方の冷媒流路を流通する冷媒を高圧冷媒とし、
    前記第1蒸発器(15)の冷媒出口側から前記ノズル部(19a)の入口側へ至る冷媒流路を流通する冷媒を高段側低圧冷媒とし、
    前記第2蒸発器(18)の冷媒出口側から前記冷媒吸引口(19c)へ至る冷媒流路を流通する冷媒を低段側低圧冷媒としたときに、
    さらに、前記高段側低圧冷媒および前記低段側低圧冷媒のうちいずれか一方と前記高圧冷媒とを熱交換させる内部熱交換器(16)を備え
    前記内部熱交換器(16)は、前記高段側低圧冷媒と、前記分岐部(13)の他方の冷媒流出口から前記第2減圧手段(17)の入口側へ至る冷媒流路を流通する高圧冷媒とを熱交換させるものであることを特徴とするエジェクタ式冷凍サイクル。
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