JP2016133084A - エジェクタ - Google Patents

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大介 中島
陽一郎 河本
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陽一郎 河本
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【課題】通路形成部材を変位させるエジェクタの昇圧性能の低下を充分に抑制する。【解決手段】エジェクタ13のボデー30の内部に通路形成部材35を配置して、ボデー30と通路形成部材35との間にノズル通路13aおよびディフューザ通路13cを形成する。さらに、通路形成部材35に、ディフューザ通路13cを流通する冷媒流れを促進する複数の整流板38を固定し、複数の整流板38の軸方向端部同士を接続する接続用部材39に、駆動機構37から出力された駆動力を通路形成部材35へ伝達する作動棒37eを連結する。これにより、作動棒37eが整流板間に形成される冷媒通路を流通する冷媒の流れを阻害してしまうことを抑制する。【選択図】図3

Description

本発明は、高速度で噴射される噴射流体の吸引作用によって流体を吸引するエジェクタに関する。
従来、特許文献1に、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置に適用されて、高速度で噴射される噴射冷媒の吸引作用によって冷媒吸引口から冷媒を吸引し、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させて昇圧させるエジェクタが開示されている。
この特許文献1のエジェクタでは、ボデーの内部に略円錐形状の通路形成部材を配置し、ボデーと通路形成部材の円錐状側面との隙間に断面円環状の冷媒通路を形成している。そして、この冷媒通路のうち、冷媒流れ最上流側の部位を、高圧冷媒を減圧させて噴射するノズル通路として利用し、ノズル通路の冷媒流れ下流側の部位を、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させて混合冷媒を昇圧させるディフューザ通路として利用している。
さらに、特許文献1のエジェクタでは、ディフューザ通路の内部に、ディフューザ通路を流通する冷媒の軸周りの流れ(以下、旋回流れという。)を促進する整流板を配置している。これにより、サイクルの負荷変動によらずディフューザ通路内に螺旋状の冷媒流路を形成し、この螺旋状の冷媒流路が短くなってエジェクタの昇圧性能が低下してしまうことを抑制しようとしている。
特開2014−122779号公報
ところで、特許文献1のエジェクタでは、サイクルの負荷変動に応じて通路形成部材を変位させるための駆動力を出力する駆動手段、および駆動手段から通路形成部材へ駆動力を伝達する作動棒を備えている。さらに、作動棒は、ディフューザ通路を横切るように配置されて、駆動手段および通路形成部材に連結されている。
このため、作動棒がディフューザ通路を横切るように配置された箇所では、作動棒がディフューザ通路を流通する冷媒の流れを阻害してしまい、上述した整流板を設けたことによる旋回流れの促進効果を充分に得ることができなくなってしまう。その結果、特許文献1のエジェクタでは、エジェクタの昇圧性能の低下を充分に抑制することができなくなってしまうおそれがある。
本発明は、上記点に鑑み、通路形成部材を変位させるエジェクタの昇圧性能の低下を充分に抑制することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたもので、請求項1に記載の発明では、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10)に適用されるエジェクタであって、
冷媒流入口(31a)から流入した冷媒を減圧させる減圧用空間(30b)、減圧用空間(30b)の冷媒流れ下流側に連通して外部から吸引された冷媒を流通させる吸引用通路(13b)、減圧用空間(30b)から噴射された噴射冷媒と吸引用通路(13b)から吸引された吸引冷媒とを混合させる昇圧用空間(30e)が形成されたボデー(30)と、少なくとも一部が減圧用空間(30b)の内部、および昇圧用空間(30e)の内部に配置されるとともに、減圧用空間(30b)側から離れるに伴って断面積が拡大する円錐状に形成された通路形成部材(35)と、通路形成部材(35)を変位させる駆動力を出力する駆動手段(37)と、駆動手段(37)から通路形成部材(35)へ駆動力を伝達する作動棒(37e)と、を備え、
ボデー(30)のうち減圧用空間(30b)を形成する部位の内周面と通路形成部材(35)の外周面との間に形成される冷媒通路は、冷媒流入口(31a)から流入した冷媒を減圧させて噴射するノズルとして機能するノズル通路(13a)であり、ボデー(30)のうち昇圧用空間(30e)を形成する部位の内周面と通路形成部材(35)の外周面との間に形成される冷媒通路は、噴射冷媒および吸引冷媒を混合して昇圧させる昇圧部として機能するディフューザ通路(13c)であり、
さらに、ディフューザ通路(13c)を流通する冷媒の旋回流れを促進する複数の整流板(38)を備え、
作動棒(37e)は、隣り合う整流板(38)間に形成される整流板間冷媒通路(38a)の外部に配置されていることを特徴とする。
これによれば、作動棒(37e)が隣り合う整流板(38)間に形成される整流板間冷媒通路(38a)の外部に配置されているので、作動棒(37e)が整流板間冷媒通路(38a)を流通する冷媒の流れを阻害してしまうことを回避するように、作動棒(37e)を配置することができる。
従って、複数の整流板(38)を備えることによる旋回流れの促進効果を充分に得ることができ、エジェクタ(13)の昇圧性能の低下を充分に抑制することができる。
具体的には、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載のエジェクタにおいて、少なくとも2つ以上の整流板(38)の通路形成部材(35)の反対側の端部同士を接続する接続用部材(39、39a)を備え、複数の整流板(38)の通路形成部材(35)側の端部は、通路形成部材(35)に固定されており、作動棒(37e)は、接続用部材(39、39a)に接触するように配置されていてもよい。
また、請求項3に記載の発明のように、請求項1に記載のエジェクタにおいて、作動棒(37e)は、整流板(38)の内部を貫通するように配置されて通路形成部材(35)に接触するように配置されていてもよい。
ここで、請求項に記載された「接触するように配置されている」とは、作動棒(37e)が接続用部材(39、39a)および通路形成部材(35)に接合されて連結されているという意味に限定されない。作動棒(37e)が駆動手段(37)から出力された駆動力を通路形成部材(35)へ伝達可能であれば、作動棒(37e)が接続用部材(39、39a)および通路形成部材(35)に接合されることなく当接しているという意味も含む意味である。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第1実施形態のエジェクタの軸方向断面図である。 第1実施形態のエジェクタの各冷媒通路の機能を説明するための模式的な断面図である。 図2のIV−IV断面の模式的な拡大断面図である。 図2のV−V断面の模式的な拡大断面図である。 第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルにおける冷媒の状態の変化を示すモリエル線図である。 第1実施形態のエジェクタの変形例の模式的な拡大断面図である。 第2実施形態のエジェクタの図5に対応する模式的な拡大断面図である。 第2実施形態のエジェクタの図3に対応する模式的な断面図である。 第3実施形態のエジェクタの図3に対応する模式的な断面図である。
(第1実施形態)
図1〜図6を用いて、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態のエジェクタ13は、図1に示すように、冷媒減圧手段としてエジェクタを備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置、すなわちエジェクタ式冷凍サイクル10に適用されている。さらに、このエジェクタ式冷凍サイクル10は、車両用空調装置に適用されており、空調対象空間である車室内へ送風される送風空気を冷却する機能を果たす。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10の冷却対象流体は、送風空気である。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。もちろん、冷媒としてHFO系冷媒(具体的には、R1234yf)等を採用してもよい。さらに、冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
圧縮機11は、エジェクタ式冷凍サイクル10において、冷媒を吸入して高圧冷媒となるまで昇圧して吐出するものである。具体的には、本実施形態の圧縮機11は、1つのハウジング内に固定容量型の圧縮機構、および圧縮機構を駆動する電動モータを収容して構成された電動圧縮機である。
この圧縮機構としては、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用できる。また、電動モータは、後述する制御装置から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式を採用してもよい。
圧縮機11の吐出口には、放熱器12の凝縮部12aの冷媒入口側が接続されている。放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と冷却ファン12dにより送風される車室外空気(外気)を熱交換させることによって、高圧冷媒を放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。
より具体的には、放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧気相冷媒と冷却ファン12dから送風された外気とを熱交換させ、高圧気相冷媒を放熱させて凝縮させる凝縮部12a、凝縮部12aから流出した冷媒の気液を分離して余剰液相冷媒を蓄えるレシーバ部12b、およびレシーバ部12bから流出した液相冷媒と冷却ファン12dから送風される外気とを熱交換させ、液相冷媒を過冷却する過冷却部12cを有して構成される、いわゆるサブクール型の凝縮器である。
冷却ファン12dは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。放熱器12の過冷却部12cの冷媒出口側には、エジェクタ13の冷媒流入口31aが接続されている。
エジェクタ13は、放熱器12から流出した過冷却状態の高圧液相冷媒を減圧させて下流側へ流出させる冷媒減圧手段としての機能を果たすとともに、高速度で噴射される冷媒流の吸引作用によって後述する蒸発器14から流出した冷媒を吸引(輸送)して循環させる冷媒循環手段(冷媒輸送手段)としての機能も果たす。
さらに、本実施形態のエジェクタ13は、減圧させた冷媒の気液を分離する気液分離手段としての機能も果たす。つまり、本実施形態のエジェクタ13は、気液分離機能付きエジェクタ(エジェクタモジュール)として構成されている。
エジェクタ13の具体的構成については、図2〜図5を用いて説明する。なお、図2における上下の各矢印は、エジェクタ式冷凍サイクル10を車両用空調装置に搭載した状態における上下の各方向を示している。また、図3は、エジェクタ13の各冷媒通路の機能を説明するための模式的な断面図であって、図2と同一の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
まず、本実施形態のエジェクタ13は、図2に示すように、複数の構成部材を組み合わせることによって構成されたボデー30を備えている。具体的には、ボデー30は、角柱状あるいは円柱状の金属もしくは樹脂にて形成されてエジェクタ13の外殻を形成するハウジングボデー31を有している。さらに、ハウジングボデー31の内部には、ノズルボデー32、ミドルボデー33、ロワーボデー34が固定されている。
ハウジングボデー31には、放熱器12から流出した冷媒を内部へ流入させる冷媒流入口31a、蒸発器14から流出した冷媒を吸引する冷媒吸引口31b、ボデー30の内部に形成された気液分離空間30fにて分離された液相冷媒を蒸発器14の冷媒入口側へ流出させる液相冷媒流出口31c、および気液分離空間30fにて分離された気相冷媒を圧縮機11の吸入口側へ流出させる気相冷媒流出口31d等が形成されている。
さらに、本実施形態では、気液分離空間30fと液相冷媒流出口31cとを接続する液相冷媒通路に、蒸発器14へ流入させる冷媒を減圧させる減圧手段としてのオリフィス30iを配置している。
ノズルボデー32は、冷媒流れ方向に先細る略円錐形状の金属部材で形成されている。さらに、ノズルボデー32は、軸方向が鉛直方向(図2の上下方向)となるように、ハウジングボデー31の内部に圧入等の手段によって固定されている。ノズルボデー32の上方側とハウジングボデー31との間には、冷媒流入口31aから流入した冷媒を旋回させる旋回空間30aが形成されている。
旋回空間30aは、回転体形状に形成され、図2の一点鎖線で示す中心軸が鉛直方向に延びている。なお、回転体形状とは、平面図形を同一平面上の1つの直線(中心軸)の周りに回転させた際に形成される立体形状である。より具体的には、本実施形態の旋回空間30aは、略円柱状に形成されている。もちろん、円錐あるいは円錐台と円柱とを結合させた形状等に形成されていてもよい。
冷媒流入口31aと旋回空間30aとを接続する冷媒流入通路31eは、旋回空間30aの中心軸方向から見たときに旋回空間30aの内壁面の接線方向に延びている。これにより、冷媒流入通路31eから旋回空間30aへ流入した冷媒は、旋回空間30aの内壁面に沿って流れ、旋回空間30aの中心軸周りに旋回する。
ここで、旋回空間30a内で旋回する冷媒には遠心力が作用するので、旋回空間30a内では中心軸側の冷媒圧力が外周側の冷媒圧力よりも低下する。そこで、本実施形態では、エジェクタ式冷凍サイクル10の通常運転時に、旋回空間30a内の中心軸側の冷媒圧力を、飽和液相冷媒となる圧力、あるいは、冷媒が減圧沸騰する(キャビテーションを生じる)圧力となるまで低下させるようにしている。
このような旋回空間30a内の中心軸側の冷媒圧力の調整は、旋回空間30a内で旋回する冷媒の旋回流速を調整することによって実現することができる。さらに、旋回流速の調整は、例えば、冷媒流入通路31eの通路断面積と旋回空間30aの軸方向垂直断面積との面積比を調整すること等によって行うことができる。なお、本実施形態の旋回流速とは、旋回空間30aの最外周部近傍における冷媒の旋回方向の流速を意味している。
また、ノズルボデー32の内部には、旋回空間30aから流出した冷媒を減圧させて下流側へ流出させる減圧用空間30bが形成されている。この減圧用空間30bは、円柱状空間とこの円柱状空間の下方側から連続して冷媒流れ方向に向かって徐々に広がる円錐台形状空間とを結合させた回転体形状に形成されており、減圧用空間30bの中心軸は旋回空間30aの中心軸と同軸上に配置されている。
さらに、減圧用空間30bの内部には、減圧用空間30b内に冷媒通路の通路断面積が最も縮小した最小通路面積部30mを形成するとともに、最小通路面積部30mの通路断面積を変化させる通路形成部材35が配置されている。通路形成部材35は、冷媒流れ下流側に向かって徐々に広がる略円錐形状に形成されており、その中心軸が減圧用空間30bの中心軸と同軸上に配置されている。つまり、通路形成部材35は、減圧用空間30bから離れるに伴って断面積が拡大する円錐状に形成されている。
従って、ノズルボデー32の減圧用空間30bを形成する部位の内周面と通路形成部材35の上方側の外周面との間に形成される冷媒通路としては、図3に示すように、先細部131および末広部132が形成される。先細部131は、最小通路面積部30mよりも冷媒流れ上流側に形成されて、最小通路面積部30mに至るまでの通路断面積が徐々に縮小する冷媒通路である。末広部132は、最小通路面積部30mから冷媒流れ下流側に形成されて、通路断面積が徐々に拡大する冷媒通路である。
この末広部132では、径方向から見たときに減圧用空間30bと通路形成部材35が重合(オーバーラップ)しているので、冷媒通路の軸方向垂直断面の形状が円環状(円形状から同軸上に配置された小径の円形状を除いたドーナツ形状)となる。さらに、末広部132における通路断面積は、冷媒流れ下流側に向かって徐々に拡大している。
本実施形態では、このような通路形状によって減圧用空間30bの内周面と通路形成部材35の頂部側の外周面との間に形成される冷媒通路をラバールノズルとして機能するノズル通路13aとし、冷媒を減圧させるとともに、冷媒の流速を超音速となるように増速させて噴射している。
次に、ミドルボデー33は、図2に示すように、その中心部に表裏(上下)を貫通する貫通穴が設けられている。さらに、ミドルボデー33は、この貫通穴の外周側に通路形成部材35を変位させる駆動機構37を収容した金属製円板状部材で形成されている。なお、ミドルボデー33の貫通穴の中心軸は旋回空間30aおよび減圧用空間30bの中心軸と同軸上に配置されている。また、ミドルボデー33は、ハウジングボデー31の内部であって、かつ、ノズルボデー32の下方側に圧入等の手段によって固定されている。
さらに、ミドルボデー33の上面とこれに対向するハウジングボデー31の内壁面との間には、冷媒吸引口31bから流入した冷媒を滞留させる流入空間30cが形成されている。本実施形態では、ノズルボデー32の下方側の先細先端部がミドルボデー33の貫通穴の内部に位置付けられるため、流入空間30cは、旋回空間30aおよび減圧用空間30bの中心軸方向からみたときに、断面円環状に形成される。
また、ミドルボデー33の貫通穴のうち、ノズルボデー32の下方側が挿入される範囲、すなわち軸線に垂直な径方向から見たときにミドルボデー33とノズルボデー32が重合する範囲では、ノズルボデー32の先細先端部の外周形状に適合するように冷媒通路断面積が冷媒流れ方向に向かって徐々に縮小している。
これにより、貫通穴の内周面とノズルボデー32の下方側の外周面との間には、流入空間30cと減圧用空間30bの冷媒流れ下流側とを連通させる吸引通路30dが形成される。つまり、本実施形態では、流入空間30cおよび吸引通路30dによって、中心軸の外周側から内周側へ向かって吸引冷媒が流れる吸引用通路13bが形成されることになる。この吸引用通路13bの中心軸垂直断面も断面円環状に形成される。
また、ミドルボデー33の貫通穴のうち、吸引通路30dの冷媒流れ下流側には、冷媒流れ方向に向かって徐々に広がる略円錐台形状に形成された昇圧用空間30eが形成されている。昇圧用空間30eは、上述したノズル通路13aから噴射された噴射冷媒と吸引通路30dから吸引された吸引冷媒とを混合させる空間である。昇圧用空間30eの中心軸は旋回空間30aおよび減圧用空間30bの中心軸と同軸上に配置されている。
昇圧用空間30eの内部には、通路形成部材35の下方側が配置されている。さらに、ミドルボデー33の昇圧用空間30eを形成する部位の内周面と通路形成部材35の下方側の外周面との間に形成される冷媒通路は、冷媒流れ下流側に向かって通路断面積を徐々に拡大させる形状に形成されている。これにより、この冷媒通路では、噴射冷媒および吸引冷媒の混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換させることができる。
従って、昇圧用空間30eを形成するミドルボデー33の内周面と通路形成部材35の下方側の外周面との間に形成される冷媒通路は、図3に示すように、噴射冷媒および吸引冷媒を混合して昇圧させるディフューザ(昇圧部)として機能するディフューザ通路13cを構成している。このディフューザ通路13cの中心軸垂直断面形状も円環状に形成されている。
ディフューザ通路13cの内部には、ディフューザ通路13cを流れる冷媒の旋回流れを促進する旋回促進手段としての複数の整流板38が配置されている。複数の整流板38は、それぞれ通路形成部材35の軸方向に広がる板状部材である。さらに、複数の整流板38は、図4に示すように、それぞれ旋回流れ方向に沿って湾曲した形状に形成されており、中心軸周りに等角度間隔で円環状に配置されている。
また、複数の整流板38の通路形成部材35の反対側(上方側)の端部同士は、図5に示すように、円環状かつ板状の接続用部材39を介して接続されている。一方、複数の整流板38の通路形成部材35側(下方側)の端部は、通路形成部材35に固定されている。従って、隣り合う整流板38間に形成される整流板間冷媒通路38aは、隣り合う整流板38、通路形成部材35および接続用部材39に囲まれた冷媒通路となる。
次に、ミドルボデー33の内部に配置されて、通路形成部材35を変位させる駆動手段である駆動機構37について説明する。この駆動機構37は、圧力応動部材である円形薄板状のダイヤフラム37aを有して構成されている。より具体的には、図2に示すように、ダイヤフラム37aはミドルボデー33の外周側に形成された円柱状の空間を上下の2つの空間に仕切るように、溶接等の手段によって固定されている。
ダイヤフラム37aによって仕切られた2つの空間のうち上方側(流入空間30c側)の空間は、蒸発器14出口側冷媒(具体的には、蒸発器14から流出した冷媒)の温度に応じて圧力変化する感温媒体が封入される封入空間37bを構成している。この封入空間37bには、エジェクタ式冷凍サイクル10を循環する冷媒と同等の組成の感温媒体が予め定めた密度となるように封入されている。従って、本実施形態における感温媒体は、R134aを主成分とする媒体である。
一方、ダイヤフラム37aによって仕切られた2つの空間のうち下方側の空間は、図示しない連通路を介して、蒸発器14出口側冷媒を導入させる導入空間37cを構成している。従って、封入空間37bに封入された感温媒体には、流入空間30cと封入空間37bとを仕切る蓋部材37dおよびダイヤフラム37aを介して、蒸発器14出口側冷媒の温度が伝達される。
さらに、ダイヤフラム37aは、封入空間37bの内圧と導入空間37cへ流入した蒸発器14出口側冷媒の圧力との差圧に応じて変形する。このため、ダイヤフラム37aは弾性に富み、かつ熱伝導が良好で、強靱な材質にて形成することが好ましい。従って、ダイヤフラム37aとして、ステンレス(SUS304)等の金属薄板を採用してもよいし、耐圧性およびシール性に優れる基布入りEPDM(エチレンプロピレンジエン共重合ゴム)等のゴム製のものを採用してもよい。
ダイヤフラム37aの中心部には、円柱状の作動棒37eの一端側端部(上方側端部)が接合されている。作動棒37eは、駆動機構37から通路形成部材35へ、通路形成部材35を変位させるための駆動力を伝達するものである。さらに、作動棒37eの他端側端部(下方側端部)は、整流板38同士を接続する接続用部材39に接触するように配置されている。
また、図2に示すように、通路形成部材35の底面は、コイルバネ40の荷重を受けている。コイルバネ40は、通路形成部材35に対して、上方側(通路形成部材35が最小通路面積部30mにおける通路断面積を縮小する側)に付勢する荷重を加える弾性部材である。従って、通路形成部材35は、作動棒37eから受ける荷重とコイルバネ40から受ける荷重が釣り合うように変位する。
より具体的には、蒸発器14出口側冷媒の温度(過熱度)が上昇すると、封入空間37bに封入された感温媒体の飽和圧力が上昇し、封入空間37bの内圧から導入空間37cの圧力を差し引いた差圧が大きくなる。これにより、ダイヤフラム37aが導入空間37c側へ変位して、通路形成部材35が作動棒37eから受ける荷重が増加する。このため、蒸発器14出口側冷媒の温度が上昇すると、通路形成部材35は、最小通路面積部30mにおける通路断面積を拡大させる方向(鉛直方向下方側)に変位する。
一方、蒸発器14出口側冷媒の温度(過熱度)が低下すると、封入空間37bに封入された感温媒体の飽和圧力が低下して、封入空間37bの内圧から導入空間37cの圧力を差し引いた差圧が小さくなる。これにより、ダイヤフラム37aが封入空間37b側へ変位して、通路形成部材35が作動棒37eから受ける荷重が減少する。このため、蒸発器14出口側冷媒の温度が低下すると、通路形成部材35は、最小通路面積部30mにおける通路断面積を縮小させる方向(鉛直方向上方側)に変位する。
本実施形態の駆動機構37では、このように蒸発器14出口側冷媒の過熱度に応じてダイヤフラム37aが通路形成部材35を変位させることによって、蒸発器14出口側冷媒の過熱度が予め定めた基準過熱度KSHに近づくように、最小通路面積部30mにおける通路断面積を調整している。この基準過熱度KSHは、コイルバネ40の荷重を調整することによって変更することもできる。
さらに、本実施形態では、コイルバネ40が最小通路面積部30mの通路断面積を縮小する側に付勢する荷重を加えているので、作動棒37eを接続用部材39に接合しなくても、作動棒37eを接続用部材39に当接させることができる。なお、作動棒37eとミドルボデー33との隙間は、図示しないO−リング等のシール部材によってシールされており、作動棒37eが変位してもこの隙間から冷媒が漏れることはない。
また、本実施形態では、ミドルボデー33に複数(本実施形態では、3つ)の円柱状の空間を設け、この空間の内部にそれぞれ円形薄板状のダイヤフラム37aを固定して複数の駆動機構37を構成している。さらに、複数の駆動機構37は、通路形成部材35に均等に駆動力を伝達するために、中心軸周りに等角度間隔で配置されている。
このため、それぞれの駆動機構37のダイヤフラム37aに接合された作動棒37eと接続用部材39との接触部位CPも、図5に示すように、中心軸周りに等角度間隔で配置される。
次に、ロワーボデー34は、円柱状の金属部材で形成されており、ハウジングボデー31の底面を閉塞するように、ハウジングボデー31内にネジ止め等の手段によって固定されている。ロワーボデー34の上方側とミドルボデー33との間には、昇圧用空間30e内に形成されたディフューザ通路13cから流出した冷媒の気液を分離する気液分離空間30fが形成されている。
この気液分離空間30fは、略円柱状の回転体形状の空間として形成されており、気液分離空間30fの中心軸も、旋回空間30a、減圧用空間30b、昇圧用空間30e等の中心軸と同軸上に配置されている。
また、本実施形態では、ディフューザ通路13c内に整流板38が配置されているので、ディフューザ通路13cから気液分離空間30fへ流出する冷媒は、中心軸周りに旋回する旋回方向の速度成分を有している。従って、気液分離空間30f内では遠心力の作用によって冷媒の気液が分離される。
さらに、この気液分離空間30fの内容積は、サイクルに負荷変動が生じてサイクルを循環する冷媒循環流量が変動しても、実質的に余剰冷媒を溜めることができない程度の容積になっている。
ロワーボデー34の中心部には、気液分離空間30fに対して同軸上に配置されて、上方側へ向かって延びる円筒状のパイプ34aが設けられている。そして、気液分離空間30fにて分離された液相冷媒は、パイプ34aの外周側に一時的に滞留して、液相冷媒流出口31cから流出する。パイプ34aの内部には、気液分離空間30fにて分離された気相冷媒をハウジングボデー31の気相冷媒流出口31dへ導く気相冷媒流出通路34bが形成されている。
パイプ34aの上端部には、前述したコイルバネ40固定されている。このコイルバネ40は、冷媒が減圧される際の圧力脈動に起因する通路形成部材35の振動を減衰させる振動緩衝部材としての機能も果たしている。また、パイプ34aの根本部(最下方部)には、液相冷媒中の冷凍機油を気相冷媒流出通路34bを介して圧縮機11内へ戻すオイル戻し穴34cが形成されている。
また、エジェクタ13の液相冷媒流出口31cには、図1に示すように、蒸発器14の冷媒入口側が接続されている。蒸発器14は、エジェクタ13にて減圧された低圧冷媒と送風ファン14aから車室内へ送風される送風空気とを熱交換させることによって、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。
送風ファン14aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。蒸発器14の出口側には、エジェクタ13の冷媒吸引口31bが接続されている。さらに、エジェクタ13の気相冷媒流出口31dには圧縮機11の吸入側が接続されている。
次に、図示しない制御装置は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この制御装置は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行って、上述の各種電気式のアクチュエータ11、12d、14a等の作動を制御する。
また、制御装置には、車室内温度を検出する内気温センサ、外気温を検出する外気温センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、蒸発器14の吹出空気温度(蒸発器温度)を検出する蒸発器温度センサ、放熱器12出口側冷媒の温度を検出する出口側温度センサおよび放熱器12出口側冷媒の圧力を検出する出口側圧力センサ等の空調制御用のセンサ群が接続され、これらのセンサ群の検出値が入力される。
さらに、制御装置の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された図示しない操作パネルが接続され、この操作パネルに設けられた各種操作スイッチからの操作信号が制御装置へ入力される。操作パネルに設けられた各種操作スイッチとしては、車室内空調を行うことを要求する空調作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ等が設けられている。
なお、本実施形態の制御装置は、その出力側に接続された各種の制御対象機器の作動を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、制御装置のうち、各制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が各制御対象機器の制御手段を構成している。例えば、本実施形態では、圧縮機11の電動モータの作動を制御する構成が吐出能力制御手段を構成している。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図6のモリエル線図を用いて説明する。図5のモリエル線図の縦軸には、図3のP0、P1、P2に対応する圧力が示されている。まず、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)されると、制御装置が圧縮機11の電動モータ、冷却ファン12d、送風ファン14a等を作動させる。これにより、圧縮機11が冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。
圧縮機11から吐出された高温高圧冷媒(図6のa6点)は、放熱器12の凝縮部12aへ流入し、冷却ファン12dから送風された外気と熱交換し、放熱して凝縮する。凝縮部12aにて凝縮した冷媒は、レシーバ部12bにて気液分離される。レシーバ部12bにて気液分離された液相冷媒は、過冷却部12cにて冷却ファン12dから送風された外気と熱交換し、さらに放熱して過冷却液相冷媒となる(図6のa6点→b6点)。
放熱器12の過冷却部12cから流出した過冷却液相冷媒は、エジェクタ13の減圧用空間30bの内周面と通路形成部材35の外周面との間に形成されるノズル通路13aにて等エントロピ的に減圧されて噴射される(図6のb6点→c6点)。この際、減圧用空間30bの最小通路面積部30mにおける通路断面積は、蒸発器14出口側冷媒(図6のh6点)の過熱度が予め定めた所定値に近づくように調整される。
そして、ノズル通路13aから噴射された噴射冷媒の吸引作用によって、蒸発器14から流出した冷媒(図6のh6点)が、冷媒吸引口31bおよび吸引用通路13b(より詳細には、流入空間30cおよび吸引通路30d)を介して吸引される。ノズル通路13aから噴射された噴射冷媒および吸引通路13d等を介して吸引された吸引冷媒は、ディフューザ通路13cへ流入して合流する(図6のc6点→d6点、h’6点→d6点)。
ここで、吸引通路30dは、通路断面積が徐々に縮小する形状に形成されている。このため、吸引通路30dを通過する吸引冷媒は、その圧力を低下させながら(図6のh6点→h’6点)、流速を増加させる。これにより、吸引冷媒と噴射冷媒との速度差を縮小し、ディフューザ通路13cにて吸引冷媒と噴射冷媒が混合する際のエネルギ損失(混合損失)を減少させることができる。
ディフューザ通路13cでは冷媒通路断面積の拡大により、冷媒の運動エネルギが圧力エネルギに変換される。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒が混合されながら混合冷媒の圧力が上昇する(図6のd6点→e6点)。ディフューザ通路13cから流出した冷媒は気液分離空間30fにて気液分離される(図6のe6点→f6点、e6点→g6点)。
気液分離空間30fにて分離された液相冷媒は、オリフィス30iにて減圧されて(図6のg6点→g’6点)、蒸発器14へ流入する。蒸発器14へ流入した冷媒は、送風ファン14aによって送風された送風空気から吸熱して蒸発する(図6のg’6点→h6点)。これにより、送風空気が冷却される。
一方、気液分離空間30fにて分離された気相冷媒は気相冷媒流出口31dから流出して、圧縮機11へ吸入され再び圧縮される(図6のf6点→a6点)。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10は、以上の如く作動して、車室内へ送風される送風空気を冷却することができる。
この際、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、ディフューザ通路13cにて昇圧された冷媒を圧縮機11へ吸入させている。従って、エジェクタ式冷凍サイクル10によれば、蒸発器における冷媒蒸発圧力と圧縮機吸入冷媒の圧力が略同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも、圧縮機11の消費動力を低減させて、サイクルの成績係数(COP)を向上させることができる。
また、本実施形態のエジェクタ13によれば、旋回空間30aにて冷媒を旋回させることで、旋回空間30a内の旋回中心側の冷媒圧力を、飽和液相冷媒となる圧力、あるいは、冷媒が減圧沸騰する(キャビテーションを生じる)圧力まで低下させることができる。これにより、旋回中心軸の外周側よりも内周側に気相冷媒が多く存在するようにして、旋回空間30a内の旋回中心線近傍はガス単相、その周りは液単相の二相分離状態とすることができる。
このように二相分離状態となった冷媒がノズル通路13aへ流入することで、ノズル通路13aの先細部131では、円環状の冷媒通路の外周側壁面から冷媒が剥離する際に生じる壁面沸騰および円環状の冷媒通路の中心軸側の冷媒のキャビテーションによって生じた沸騰核による界面沸騰によって冷媒の沸騰が促進される。これにより、ノズル通路13aの最小通路面積部30mへ流入する冷媒が、気相と液相が均質に混合した気液混合状態となる。
そして、最小通路面積部30mの近傍で気液混合状態の冷媒の流れに閉塞(チョーキング)が生じ、このチョーキングによって音速に到達した気液混合状態の冷媒が末広部132にて加速されて噴射される。このように、壁面沸騰および界面沸騰の双方による沸騰促進によって、気液混合状態の冷媒を音速となるまで効率よく加速できることで、ノズル通路13aにおけるエネルギ変換効率を向上させることができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、駆動機構37を備えているので、エジェクタ式冷凍サイクル10の負荷変動に応じて通路形成部材35を変位させて、ノズル通路13aの通路断面積(最小通路面積部30mにおける通路断面積)を調整することができる。これにより、サイクルを循環する冷媒の循環流量に応じて、最小通路面積部30mにおける通路断面積を適切に変化させて、エジェクタ13を適切に作動させることができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、複数の整流板38を備えているので、サイクルの負荷変動によらず、ディフューザ通路13cを流通する冷媒を旋回させることができる。さらに、本実施形態では、作動棒37eが、整流板間冷媒通路38aを流通する冷媒の流れを阻害してしまうことを回避するように、整流板間冷媒通路38aの外部に配置されている。
従って、複数の整流板38を備えることによるディフューザ通路13cにおける旋回流れの促進効果を充分に得ることができる。つまり、本実施形態のエジェクタ13では、サイクルの負荷変動によらず、ディフューザ通路13c内に螺旋状の冷媒流路を確実に形成し、ディフューザ通路13c内の冷媒流路が短くなってエジェクタ13の昇圧性能が低下してしまうことを充分に抑制することができる。
さらに、本実施形態では、作動棒37eが、接続用部材39に接触するように配置されている。従って、作動棒37eが、整流板間冷媒通路38aを流通する冷媒の流れを阻害してしまうことを回避するように、整流板間冷媒通路38aの外部に配置される構成を容易に実現できる。
なお、「作動棒37eが、整流板間冷媒通路38aを流通する冷媒の流れを阻害してしまうことを回避するように、整流板間冷媒通路38aの外部に配置されている」とは、整流板間冷媒通路38aの外部であっても、整流板間冷媒通路38aの流入口周辺や流出口周辺のように、整流板間冷媒通路38aを流通する冷媒の通路抵抗となり得る箇所を回避するように配置されていることを意味している。
また、本実施形態のエジェクタ13のボデー30には、ディフューザ通路13cから流出した冷媒の気液を遠心力の作用で分離する気液分離空間30fが形成されている。このため、本実施形態のように、作動棒37eが整流板間冷媒通路38aを流通する冷媒の流れを阻害しないように配置されていることは、気液分離空間30fへ流入する冷媒の旋回流れを促進させて、気液分離空間30fにおける気液分離性能を向上させることができる点で有効である。
ここで、本実施形態では、全ての整流板38の上方側の端部を接続する円環状の接続用部材39を採用した例を説明したが、接続用部材はこれに限定されない。例えば、図7の変形例に示すように、少なくとも2つ以上の整流板38の上方側の端部を接続する平板状の接続用部材39aに、作動棒37eを接触させるように配置してもよい。これによれば、接続用部材の軽量化を図ることができる。なお、図7は、図5に対応する図面である。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態で説明した接続用部材39、39aを廃止し、作動棒37eが整流板38の内部を貫通するように配置された例を説明する。
より具体的には、本実施形態の整流板38には、軸方向から見たときに作動棒37eと重合する位置に軸方向へ延びる挿入穴38bが形成されている。そして、図8に示すように、この挿入穴38bに作動棒37eが挿入されていることによって、作動棒37eが整流板38の内部を貫通するように配置されている。
さらに、図9に示すように、整流板38および作動棒37eの通路形成部材35側(下方側)の端部は、いずれも通路形成部材35に固定されている。従って、本実施形態では、ダイヤフラム37aと通路形成部材35が、作動棒37eを介して連結されている。なお、図8、図9は、それぞれ第1実施形態で説明した図5、図3に対応する図面である。また、図8、図9では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面でも同様である。
その他のエジェクタ13の構成、およびエジェクタ式冷凍サイクル10の作動は第1実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ13のように作動棒37eを配置しても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
つまり、作動棒37eが整流板間冷媒通路38aを流通する冷媒の流れを阻害してしまうことがなく、複数の整流板38を備えることによるディフューザ通路13cにおける旋回流れの促進効果を充分に得ることができ、エジェクタ13の昇圧性能が低下してしまうことを充分に抑制することができる。
さらに、本実施形態では、作動棒37eが整流板38の内部を貫通するように配置されている。従って、作動棒37eが、整流板間冷媒通路38aを流通する冷媒の流れを阻害してしまうことを回避するように、整流板間冷媒通路38aの外部に配置される構成を容易に実現できる。
ここで、本実施形態では、作動棒37eと整流板38とを別部材で形成し、作動棒37eを整流板38の挿入穴38bへ挿入した例を説明したが、作動棒37eと整流板38とを同一の部材で一体的に形成することによって、作動棒37eが整流板38の内部を貫通するように配置される構成を実現してもよい。
(第3実施形態)
本実施形態では、第2実施形態と同様に、作動棒37eが整流板38の内部を貫通するように配置された例を説明する。
より具体的には、本実施形態の整流板38には、第2実施形態と同様に、軸方向から見たときに、作動棒37eと重合する位置に軸方向へ延びる挿入穴38bが形成されている。本実施形態の挿入穴38bの内径は、作動棒37eの外径よりも大きく形成されている。このため、本実施形態では、作動棒37eが挿入穴38bに摺動可能に挿入されている。
さらに、図10に示すように、整流板38の通路形成部材35の反対側(上方側)の端部は、ボデー30に固定されており、作動棒37eの通路形成部材35側(下方側)の端部が、通路形成部材35に接触するように配置されている。
その他のエジェクタ13の構成、およびエジェクタ式冷凍サイクル10の作動は第1実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ13のように作動棒37eを配置しても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、通路形成部材35の軸方向からみたときに旋回流れ方向に沿って湾曲した形状の整流板38を採用した例を説明したが、整流板38の形状はこれに限定されない。例えば、平板状に形成されたものであってもよい。
また、上述実施形態では、複数の整流板38の配置態様について説明していないが、図4等に示すように、複数の整流板38は、整流板間冷媒通路38aの出口側の通路幅が入口側の通路幅よりも狭くなる、増速翼列配置(加速翼列配置)されていてもよい。これによれば、整流板間冷媒通路38aの通路断面積を徐々に縮小させて、冷媒の旋回方向の流速を増速させることができるので、効果的に旋回流れを促進することができる。
逆に、整流板間冷媒通路38aの入口側の通路幅が出口側の通路幅よりも狭くなる減速翼列配置されていてもよい。これによれば、整流板間冷媒通路38aの通路断面積を徐々に拡大させて、冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換させるディフューザとして機能させることができる。
(2)上述の実施形態では、通路形成部材35を変位させる駆動手段として、温度変化に伴って圧力変化する感温媒体が封入された封入空間37bおよび封入空間37b内の感温媒体の圧力に応じて変位するダイヤフラム37aを有して構成された駆動機構37を採用した例を説明したが、駆動手段はこれに限定されない。
例えば、ミドルボデー33に、軸方向からみたときに円環状に形成される空間を形成し、この空間内に円環状の薄板で形成されたダイヤフラムを固定し、このダイヤフラムと接続用部材39とを複数の作動棒で連結してもよい。この場合も、複数の作動棒が中心軸周りに等角度間隔で配置されていることが望ましい。
さらに、感温媒体として温度によって体積変化するサーモワックスを採用してもよいし、駆動手段として形状記憶合金性の弾性部材を有して構成されたものを採用してもよいし、さらに、駆動手段として電動モータやソレノイド等の電気的機構によって通路形成部材35を変位させるものを採用してもよい。
また、上述の実施形態では、図5、図7、図8等に示すように、整流板38が9枚設けられ、作動棒37eが3本設けられたエジェクタ13について説明したが、整流板38の数量および作動棒37eの数量はこれに限定されない。さらに、第2、第3実施形態では、作動棒37eを中心軸周りに等角度間隔で配置するために、整流板38の数量が作動棒37eの数量の整数倍になっていることが望ましい。
また、上述の第1、第3実施形態では、作動棒37eの下方側端部が接続用部材39あるいは通路形成部材35に接合されることなく、当接するように配置された例を説明したが、もちろん、作動棒37eの下方側端部が接続用部材39あるいは通路形成部材35に接続されて、連結されていてもよい。
(3)エジェクタ式冷凍サイクル10を構成する各構成機器は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、上述の実施形態では、圧縮機11として、電動圧縮機を採用した例を説明したが、圧縮機11として、プーリ、ベルト等を介して車両走行用エンジンから伝達される回転駆動力によって駆動されるエンジン駆動式の圧縮機を採用してもよい。さらに、エンジン駆動式の圧縮機としては、吐出容量の変化により冷媒吐出能力を調整することのできる可変容量型圧縮機、あるいは電磁クラッチの断続により圧縮機の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機を採用することができる。
また、上述の実施形態では、放熱器12として、サブクール型の熱交換器を採用した例を説明したが、凝縮部12aのみからなる通常の放熱器を採用してもよい。さらに、通常の放熱器とともに、この放熱器にて放熱した冷媒の気液を分離して余剰液相冷媒を蓄える受液器(レシーバ)を一体化させたレシーバ一体型の凝縮器を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、冷媒としてR134aあるいはR1234yf等を採用可能であることを説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、R600a、R410A、R404A、R32、R1234yfxf、R407C等を採用することができる。または、これらの冷媒のうち複数種を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。
(4)上述の実施形態では、本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクル10を、車両用空調装置に適用した例を説明したが、エジェクタ式冷凍サイクル10の適用はこれに限定されない。例えば、据置型空調装置、冷温保存庫、自動販売機用冷却加熱装置等に適用してもよい。
また、上述の実施形態では、本発明に係るエジェクタ13を備えるエジェクタ式冷凍サイクル10の放熱器12を冷媒と外気とを熱交換させる室外側熱交換器とし、蒸発器14を送風空気を冷却する利用側熱交換器としている。これに対して、蒸発器14を外気等の熱源から吸熱する室外側熱交換器として用い、放熱器12を空気あるいは水等の被加熱流体を加熱する利用側熱交換器として用いてもよい。
13 エジェクタ
13a ノズル通路
13b 吸引用通路
13c ディフューザ通路
30 ボデー
35 通路形成部材
37 駆動機構(駆動手段)
37e 作動棒
38 整流板
38a 整流板間冷媒通路

Claims (7)

  1. 蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10)に適用されるエジェクタであって、
    冷媒流入口(31a)から流入した冷媒を減圧させる減圧用空間(30b)、前記減圧用空間(30b)の冷媒流れ下流側に連通して外部から吸引された冷媒を流通させる吸引用通路(13b)、前記減圧用空間(30b)から噴射された噴射冷媒と前記吸引用通路(13b)から吸引された吸引冷媒とを混合させる昇圧用空間(30e)が形成されたボデー(30)と、
    少なくとも一部が前記減圧用空間(30b)の内部、および前記昇圧用空間(30e)の内部に配置されるとともに、前記減圧用空間(30b)側から離れるに伴って断面積が拡大する円錐状に形成された通路形成部材(35)と、
    前記通路形成部材(35)を変位させる駆動力を出力する駆動手段(37)と、
    前記駆動手段(37)から前記通路形成部材(35)へ前記駆動力を伝達する作動棒(37e)と、を備え、
    前記ボデー(30)のうち前記減圧用空間(30b)を形成する部位の内周面と前記通路形成部材(35)の外周面との間に形成される冷媒通路は、前記冷媒流入口(31a)から流入した冷媒を減圧させて噴射するノズルとして機能するノズル通路(13a)であり、
    前記ボデー(30)のうち前記昇圧用空間(30e)を形成する部位の内周面と前記通路形成部材(35)の外周面との間に形成される冷媒通路は、前記噴射冷媒および前記吸引冷媒を混合して昇圧させる昇圧部として機能するディフューザ通路(13c)であり、
    さらに、前記ディフューザ通路(13c)を流通する冷媒の旋回流れを促進する複数の整流板(38)を備え、
    前記作動棒(37e)は、隣り合う前記整流板(38)間に形成される整流板間冷媒通路(38a)の外部に配置されていることを特徴とするエジェクタ。
  2. 少なくとも2つ以上の前記整流板(38)の前記通路形成部材(35)の反対側の端部同士を接続する接続用部材(39、39a)を備え、
    前記複数の整流板(38)の前記通路形成部材(35)側の端部は、前記通路形成部材(35)に固定されており、
    前記作動棒(37e)は、前記接続用部材(39、39a)に接触するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ。
  3. 前記作動棒(37e)は、前記整流板(38)の内部を貫通するように配置されて、前記通路形成部材(35)に接触するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ。
  4. 前記整流板(38)には、前記作動棒(37e)が摺動可能に挿入される挿入穴(38b)が形成されており、
    前記複数の整流板(38)の少なくとも一部は、前記ボデー(30)に固定されていることを特徴とする請求項3に記載のエジェクタ。
  5. 前記作動棒(37e)および前記整流板(38)は、一体的に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のエジェクタ。
  6. 前記ボデー(30)には、前記冷媒流入口(31a)から流入した冷媒を旋回させて前記減圧用空間(30b)側へ流出させる旋回空間(30a)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のエジェクタ。
  7. 前記ボデー(30)には、前記昇圧用空間(30e)から流出した冷媒の気液を分離する気液分離空間(30f)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のエジェクタ。
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