JP2002056868A - 燃料電池の流体供給装置 - Google Patents

燃料電池の流体供給装置

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JP2002056868A JP2000243368A JP2000243368A JP2002056868A JP 2002056868 A JP2002056868 A JP 2002056868A JP 2000243368 A JP2000243368 A JP 2000243368A JP 2000243368 A JP2000243368 A JP 2000243368A JP 2002056868 A JP2002056868 A JP 2002056868A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小流量から大流量まで要求ストイキ値を満足
できるようにする。 【解決手段】 エゼクタ30は、ディフューザ31と、
ノズル32と、ニードル33と、駆動部34とを備え
る。ディフューザ31の第3通路40にスロート部41
と拡径部43を設け、第3通路40と軸線を同一にして
ノズル32とニードル33を配置する。ノズル32の開
口部44にニードル33の第1テーパ部51を挿入し、
第2テーパ部52を拡径部43に収容する。開口部44
と第1テーパ部51との間隙が第1流体通路53を形成
し、拡径部43と第2テーパ部52との間隙が第2流体
通路54を形成する。ニードル33を駆動部43により
軸線方向へ移動可能に設け、ニードル33の軸線方向移
動により、第1流体通路53と第2流体通路54を両方
同時に変えることができるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、燃料電池の燃料
等供給系に使用される流体供給装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、固体高分子膜型燃料電池は、固体
高分子電解質膜をアノードとカソードとで両側から挟み
込んで形成されたセルに対し、複数のセルを積層して構
成されたスタック(以下において燃料電池と呼ぶ)を備
えており、アノードに燃料として水素が供給され、カソ
ードに酸化剤として空気が供給されて、アノードで触媒
反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜
を通過してカソードまで移動して、カソードで酸素と電
気化学反応を起こして発電するようになっている。
【0003】ここで、固体分子電解質膜のイオン導電性
を保つために、燃料電池に供給される水素には加湿装置
等によって過剰の水が混合されている。このため、燃料
電池の電極内のガス流路に水が溜まって、このガス流路
が塞がれることがないように、排出燃料には所定の排出
流量が設定されている。
【0004】この際、排出燃料(以下、水素復流という
こともある)を、新たに燃料電池に導入される燃料(す
なわち水素)に混合して再循環させることで、燃料を有
効に活用することができ、固体高分子膜型燃料電池のエ
ネルギー効率を向上させることができる。従来、上述し
たような燃料電池装置として、例えば特開平9−213
353号公報に開示された燃料電池装置のように、エゼ
クタによって燃料を再循環させる燃料電池装置が知られ
ている。
【0005】ここで、エゼクタについて説明すると、従
来の一般的なエゼクタは、図9に示すように、ラッパ状
をなすディフューザ1の基端開口に復流室2を連設し、
この復流室2に復流通路3を連通し、ディフューザ1と
軸線を同一にして配置したノズル4を復流室2内に突き
出してその先端をディフューザ1の基端開口に臨ませて
構成されている。このエゼクタでは、燃料電池に新たに
導入される水素をノズル4からディフューザ1に向けて
噴射すると、ディフューザ1のスロート部5に負圧が発
生し、この負圧により復流室2に導入された水素復流が
ディフューザ1内に吸引され、ノズル4から噴射された
水素と水素復流とが混合されてディフューザ1の出口か
ら送出される。図10は、この従来のエゼクタにおける
圧力分布の概略を示している。
【0006】このエゼクタの吸引効率を示す指標にスト
イキがある。ここで、ストイキとは、前記例で言えば、
ノズルから噴出される水素流量(すなわち、水素消費流
量)Qaに対するディフューザから流出する水素流量
(すなわち、燃料電池に供給される水素供給全流量)Q
tの比(Qt/Qa)として定義される。また、復流室
からディフューザに吸引される水素復流流量をQbとす
ると、Qt=Qa+Qbであるから、ストイキは(Qa
+Qb)/Qaと定義される。このようにストイキを定
義すると、ストイキ値が大きいほど吸引効率が大きいと
いうことができる。
【0007】ところで、従来のエゼクタでは、一つのエ
ゼクタにおいてディフューザ径およびノズル径が固定さ
れているため、使用流体の流量範囲内で各々最適な径を
選定し使用するのが一般的である。この場合、エゼクタ
のストイキ値が最大になる流体流量(前記例で言えば水
素消費流量Qa)は一定の値に決定される。図11は、
燃料電池の燃料供給用エゼクタにおいて、ストイキ値と
水素消費流量Qaとの関係をノズル径をパラメータとし
て求めた実験結果の一例を示しており、ノズル径が小さ
くなるとストイキ値は上昇するが、水素消費流量Qaが
少なくなり、一方、ノズル径が大きくなると水素消費流
量Qaは大きくなるがストイキ値は小さくなる。
【0008】ここで、燃料電池の場合には、図11にお
いて太い実線で示すように、燃料電池の運転状態によっ
て要求されるストイキ値(以下、要求ストイキ値とい
う)が決まっている上、燃料電池自動車の場合には、ア
イドリングから全開出力まで水素流量が10〜20倍も
変化するため、一つのエゼクタで水素流量の全域に亘っ
て要求ストイキ値を満足させることは困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この問題を回避するた
めに、小径ノズルと小径ディフューザを組み合わせた小
流量用のエゼクタと、大径ノズルと大径ディフューザを
組み合わせた大流量用のエゼクタを切り替えて使用す
る、バイパス通路付きの2連切り替えエゼクタシステム
が本出願人により提案されている(特願2000−85
291号)。この方式では、小流量から大流量まで比較
的に広い範囲に亘って満足できるストイキ性能を確保す
ることができるが、2本のエゼクタと流路切替手段が必
要になる上、更なるストイキ性能向上のためには3本、
4本とエゼクタの数を増やし、この多数のエゼクタを切
り替えることが必要になり、装置の大型化、重量増を招
き、不利であった。
【0010】また、燃料電池における燃料供給用エゼク
タではないが、特開平8−338398号公報や特開平
9−236013号公報において可変流量エゼクタが提
案されている。特開平8−338398号公報に開示さ
れた可変流量エゼクタは、ノズル内部に軸線方向に移動
可能なロッドが内蔵されていて、このロッドを軸線方向
に移動させることによりノズル先端の開口面積を変更で
きるようにしたものである。この可変流量エゼクタで
は、ノズル先端の開口面積を変えることによりストイキ
値を変えることはできる一方で、ディフューザ径が固定
であるため、ストイキ値と流量の対応関係が規制されて
いる。この場合、燃料電池において要求される対応関係
(図11において太い実線で示す対応関係)をより詳細
に設定し、ストイキ値の最適化を進めることが望まれ
る。
【0011】一方、特開平9−236013号公報に開
示された可変流量エゼクタは、ノズルをディフューザに
対して軸線方向に移動可能にしたり、径の異なるノズル
を複数用意しノズルを交換可能にしたものである。この
可変流量エゼクタでは、ノズルを交換しなければノズル
径を変更することができないため、ストイキ値が連続的
且つ短時間に変化する燃料電池自動車に搭載するエゼク
タとしては適さない。そこで、この発明は、広範囲の流
量域において所望のストイキ性能を設定することができ
る燃料電池の流体供給装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載した発明に係る燃料電池(例えば、
後述する実施の形態における燃料電池11)の流体供給
装置(例えば、実施の形態におけるエゼクタ30)は、
先端部(例えば、実施の形態におけるストレート部5
0)および該先端部から伸長したテーパ部(例えば、実
施の形態における第1テーパ部51,第2テーパ部5
2)を有するニードル(例えば、実施の形態における3
3)と、先端に開口部(例えば、実施の形態における開
口部44)を有し該開口部に前記ニードルの先端部が軸
線を同一にして挿入され内部に第1流体(例えば、実施
の形態における水素)を供給されて前記開口部から噴射
するノズル(例えば、実施の形態におけるノズル32)
と、前記ニードルおよび前記ノズルと軸線を同一にして
設けられ前記第1流体の噴射により発生する負圧によっ
て第2流体(例えば、実施の形態における水素復流)を
吸引し前記第1流体に合流させて送出するディフューザ
(例えば、実施の形態におけるディフューザ31)と、
前記ニードルを前記軸線方向に移動させて位置変更可能
にするニードル位置調整手段(例えば、実施の形態にお
ける駆動部34)とを備え、前記第1流体は前記ニード
ルと前記ノズルの開口部との間隙により形成される第1
流体通路(例えば、実施の形態における第1流体通路5
3)を通り第2流体と合流したのち前記テーパ部と前記
ディフューザとの間隙により形成される第2流体通路
(例えば、実施の形態における第2流体通路54)を通
じて送出されることを特徴とする。
【0013】このように構成することで、ニードル位置
調整手段によりニードルを軸線方向に移動すると、第1
流体通路の開口面積と第2流体通路の開口面積の両方が
同時に連続的に変化する。その結果、ニードルを軸線方
向に移動するだけで、第1流体と第2流体の流量比を連
続的に変化させることができる。
【0014】請求項2に記載した発明は、前記請求項1
に記載の燃料電池の流体供給装置において、前記ニード
ルは、流量に応じて設定されたストイキ値を満たす前記
第1流体通路および前記第2流体通路を形成する所定の
形状を備えることを特徴とする。ここで、ストイキ値と
は、第1流体の流量に対する第1流体および第2流体の
流量の和(すなわち、全流量)の比をいう。このように
構成することで、第1流体と第2流体の流量比を所望す
る流量比に連続的に変化させることができ、したがっ
て、ニードルの位置変更により所望するストイキ値を得
ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る燃料電池の
流体供給装置の実施の形態を図1から図8の図面を参照
して説明する。図1は本発明に係る流体供給装置を備え
た燃料電池の燃料供給系のシステム構成図である。この
燃料電池の燃料供給系システムは、例えば電気自動車等
の車両に搭載されており、燃料電池11と、加湿部13
と、酸化剤供給部14と、熱交換部15と、水分離部1
6と、エゼクタ(流体供給装置)30と、燃料供給側圧
力制御部18とを備えて構成されている。
【0016】燃料電池11は、例えば固体ポリマーイオ
ン交換膜等からなる固体高分子電解質膜をアノードとカ
ソードとで両側から挟み込んで形成されたセルに対し、
複数のセルを積層して構成されたスタックからなり、燃
料として例えば水素が供給される燃料極と、酸化剤とし
て例えば酸素を含む空気が供給される空気極とを備えて
いる。
【0017】空気極には、酸化剤供給部14から空気が
供給される空気供給口20aと、空気極内の空気等を外
部に排出するための空気排出弁21が設けられた空気排
出口20bが設けられている。一方、燃料極には、水素
が供給される燃料供給口20cと、燃料極内の水素等を
外部に排出するための燃料排出口20dが設けられてい
る。
【0018】酸化剤供給部14は、例えばエアーコンプ
レッサーからなり、燃料電池11の負荷やアクセルペダ
ル(図示略)からの入力信号等に応じて制御されてお
り、熱交換部15を介して、燃料電池11の空気極に空
気を供給するとともに、燃料供給側圧力制御部18に空
気を供給している。熱交換部15は、酸化剤供給部14
からの空気を所定の温度に加温して、燃料電池11へと
供給している。
【0019】燃料としての水素は、燃料供給側圧力制御
部18、エゼクタ30,加湿部13を介して燃料供給口
20cから燃料電池11の燃料極に供給される。加湿部
13は、供給される水素に水蒸気を混合して水素を加湿
してから燃料電池11へと供給し、固体分子電解質膜の
イオン導電性を確保している。エゼクタ30は燃料供給
側圧力制御部18と加湿部13とを接続する流路に設け
られている。エゼクタ30の構成については後で詳述す
るが、図1および図2に示すように、燃料供給側圧力制
御部18はエゼクタ30のノズル32に接続され、加湿
部13はエゼクタ30の水素出口37に接続されてい
る。そして、エゼクタ30の水素復流入口36に、燃料
電池11の燃料排出口20dから排出された排出燃料
が、水分離部16で水分を除去され、逆止弁23を通じ
て供給される。エゼクタ30は、燃料供給側圧力制御部
18から供給された燃料と燃料電池11から排出された
排出燃料を混合して燃料電池11に供給するものであ
る。
【0020】燃料供給側圧力制御部18は、例えば空気
式の比例圧力制御弁からなり、酸化剤供給部14から供
給される空気の圧力を信号圧として、燃料供給側圧力制
御部18を通過した燃料が燃料供給側圧力制御部18の
出口で有する圧力、つまり供給圧を所定値に設定してい
る。
【0021】次に、エゼクタ30について図2を参照し
て説明する。エゼクタ30は、ディフューザ31と、ノ
ズル32と、ニードル33と、駆動部34とを主要構成
としている。ディフューザ31の内部には略コ字状に屈
曲する流体通路35が設けられており、この流体通路3
5の一端は水素復流入口36としてディフューザ31の
外面で開口し、他端は水素出口37としてディフューザ
31の外面で開口している。水素復流入口36に連なる
第1通路38と水素出口37に連なる第2通路39は互
いに平行に配置されており、両通路38,39はこれら
と直交する第3通路40によって接続されている。
【0022】第3通路40は、その途中に内径が最小と
なるスロート部41を有し、このスロート部41よりも
上流側には下流に進むにしたがって漸次連続的に縮径す
る絞り部42が設けられ、スロート部41よりも下流側
には下流に進むにしたがって漸次連続的に拡径する拡径
部43が設けられている。なお、拡径部43の広がり角
度は上流側の絞り部42の広がり角度よりも小さい。
【0023】ノズル32は両端を開口させた筒状をな
し、ディフューザ31の第3通路40と軸線を同一にし
て配置されて、ディフューザ31に貫通固定されてお
り、ノズル32の先端側の開口部44を第3通路40に
おけるスロート部41よりも所定寸法だけ上流側に位置
させている。
【0024】ニードル33は、その軸線をディフューザ
31の第3通路40およびノズル32と軸線を同一にし
て配置されており、駆動部34によって軸線方向へ移動
可能に支持されている。駆動部34はリニア駆動型ステ
ップモータからなり、ディフューザ31において第2通
路39に近い側の外端面に固定されており、駆動部34
の可動シャフト45がディフューザ31の前記外端面に
固定された取付フランジ46のシャフト軸受部47を遊
挿し、先端を第3通路40内に突き出している。この可
動シャフト45の先端にニードル33の基端が固定され
ている。なお、ディフューザ31と取付フランジ46と
の間はシール材48によってシールされ、取付フランジ
46のシャフト軸受部47は駆動部34に内蔵されたダ
イヤフラム49によって閉塞されシールされている。
【0025】ニードル33は、先端部分がストレート部
50になっていて、ストレート部50の基端側に第1テ
ーパ部51が連設され、第1テーパ部51の基端側に第
2テーパ部52が連設されている。ストレート部50で
は外径が一定であり、第1テーパ部51および第2テー
パ部52ではいずれも、基端側に進むにしたがって漸次
連続的に拡径している。このニードル33のストレート
部50はノズル32の開口部44からノズル32内に挿
入されており、ノズル32とストレート部50との間に
介装されたニードル軸受60によって摺動可能に支持さ
れている。図3の断面図に示すように、ニードル軸受6
0はその外周に凸部61と凹部62を交互に有してお
り、凹部62を水素が流通できるようになっている。そ
して、ニードル33は、第1テーパ部51をディフュー
ザ31の絞り部42内に位置させるとともにノズル32
の開口部44との間に隙間を有して位置させ、第2テー
パ部52をディフューザ31の拡径部43内に位置させ
ている。そして、ニードル33と開口部44との間隙に
より第1流体通路53が形成され、ニードル33とディ
フューザ31の拡径部43との間隙により第2流体通路
54が形成されている。
【0026】そして、ノズル32に燃料供給側圧力制御
部18を介して燃料としての水素が供給され、ディフュ
ーザ31の第1通路38に燃料電池11から排出された
排出燃料である水素復流が供給される。このように構成
されたエゼクタ30では、ノズル32に水素を供給し、
ディフューザ31の第1通路38に水素復流を供給する
と、第1流体通路53から噴射された水素が第2流体通
路54を通って第2通路39へと流れ、この時にスロー
ト部41およびそれよりも若干下流側の第2流体通路5
4において負圧が発生し、この負圧によって第1通路3
8内の水素復流が第2流体通路54に吸い込まれて、第
1流体通路53から噴射された水素と混合して第2通路
39に流れる。図4はこの時の圧力分布の概略を示して
おり、スロート部41およびそれよりも若干下流側にお
いて負圧が発生しているのを確認することができる。な
お、混合された水素と水素復流はディフューザ31の水
素出口37から送出され、加湿部13を介して燃料電池
11に供給される。
【0027】また、このように構成されたエゼクタ30
では、ニードル33の第1テーパ部51と第2テーパ部
52とディフューザ31の拡径部43とを予め所定の形
状に形成しておくと、ニードル33を初期位置から下流
方向(図2において右方向)に移動させることにより、
第1流体通路53の開口面積と第2流体通路54の開口
面積を連続的に変化させることができる。そこで、この
実施の形態のエゼクタ30では、次のようにして、ディ
フューザ31の拡径部43、ニードル33の第1テーパ
部51および第2テーパ部52の形状を所定形状に決定
した。
【0028】まず、電気自動車に搭載される燃料電池の
場合には、前述したように、燃料電池の運転状態によっ
て要求されるストイキ値(要求ストイキ値)が図11に
おいて太い実線で示すように決まっているので、各流量
に応じた要求ストイキ値をほぼ満足できる第1流体通路
53の開口面積が得られるように第1テーパ部51の形
状を決定する必要がある。ここで、ストイキとは、第1
流体通路53から噴出される水素流量(すなわち、水素
消費流量)Qaに対するディフューザ31の水素出口3
7から流出する水素流量(すなわち、燃料電池に供給さ
れる水素供給全流量)Qtの比(Qt/Qa)として定
義される。また、第1通路38から第2流体通路54に
吸引される水素復流流量をQbとすると、Qt=Qa+
Qbであるから、ストイキは(Qa+Qb)/Qaと定
義される。
【0029】また、本発明の発明者は、図11の太線で
示す要求ストイキ値と流量との特性に近付けるために
は、図5に示すように、第1流体通路53の開口面積を
大きくするにしたがって第2流体通路54の開口面積も
大きくするのが好ましいことを実験により確認した。そ
こで、この実験結果に基づき、ニードル33の軸線方向
移動により、第1流体通路53の開口面積の変化が図5
に示す最適ノズル径に対応して変化し、第2流体通路5
4の開口面積の変化が図5に示す最適ディフューザ径に
対応して変化するように、ディフューザ31の拡径部4
3およびニードル33の第2テーパ部52の形状を決定
した。
【0030】なお、第2流体通路54の開口面積の変化
のし方は、ディフューザ径およびノズル径が固定されて
いるタイプのエゼクタ(すなわち、図9に対応するエゼ
クタ)におけるディフューザの最適広がり角度(8〜1
0゜)の開口面積の変化のし方と同程度か、あるいは、
壁面抵抗の増大分を考慮した分大きくするのが好まし
い。
【0031】このように構成されたエゼクタ30を有す
る燃料電池の燃料供給システムによれば、駆動部34に
よりニードル33を軸線方向に沿ってノズル32に接近
あるいは離間することにより、第1流体通路53と第2
流体通路54を両方同時に連続的に変化させることがで
き、しかも、燃料流量が小流量の時には第1流体通路5
3と第2流体通路54の両方の開口面積を小さくでき、
燃料流量が大流量の時には第1流体通路53と第2流体
通路54の両方の開口面積を大きくできる。
【0032】そして、駆動部34を燃料電池1の運転状
態に応じて制御することにより、燃料流量の小流量から
大流量の広範囲に亘って所定のストイキ特性を確保しつ
つ、必要な燃料流量を燃料電池1に送出することができ
る。図6は、縦軸にストイキ値、横軸に水素流量をとっ
て示すストイキ特性図であり、このエゼクタ30のスト
イキ特性が要求ストイキに近似して変化することを確認
することができる。また、ニードル33を軸線方向に移
動するだけで上記効果を得ることができるので、エゼク
タの構造簡素化、小型化、軽量化を図ることができる。
【0033】なお、前述した実施の形態では、ノズル3
2をディフューザ31に固定しているが、ノズル32と
ディフューザ31とを螺合結合にして、ノズル32をそ
の軸線方向に沿って位置調整可能にすることができる。
このようにすると、ノズル32の位置調整を行うことに
より、ノズル32の開口部44とディフューザ31のス
ロート部41との離間寸法の加工精度のばらつきを吸収
させたり、実車毎の必要流量特性のばらつきを吸収させ
ることができる。また、ノズル32をその軸線方向に沿
って位置調整することにより、第2流体通路54の初期
開口面積を調整することができる。したがって、図7の
開口面積比変化の図に示すように、第1流体通路53の
開口面積(ノズル32の開口面積)と第2流体通路54
の開口面積(ディフューザ31の開口面積)の開口面積
比を微調整することができる。
【0034】図8は、前記エゼクタ30の変形例を示す
図である。前記実施の形態のエゼクタ30では、ディフ
ューザ31の第1通路38および第2通路39を第3通
路40に直交するように設けているが、このように流体
通路35を構成すると流体の流れ方向が急変するため流
路抵抗が大きくなってしまう。そこで、この変形例で
は、第1通路38および第2通路39をいずれも第3通
路に対して斜めに接続するとともに、第2通路39を2
つ設けることにより、流路抵抗を減少させている。その
他の構成については前記実施の形態のエゼクタ30と同
様であるので、同一態様部分に同一符号を付して説明を
省略する。尚、この発明は前述した実施の形態に限られ
るものではない。例えば、駆動部34はリニア駆動型ス
テップモータに限られるものではなく、ニードル33を
軸線方向に位置調整することができるものであれば、他
の駆動手段を用いることも可能である。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載し
た発明によれば、第1流体と第2流体の流量比を連続的
に変化させることができるので、小流量から大流量の広
範囲に亘って所望のストイキ値を確保しつつ所望する全
流量も確保できるという優れた効果が奏される。また、
ニードルを軸線方向に移動するだけで、第1流体と第2
流体の流量比を連続的に変化させることができるので、
装置の簡素化、小型化、軽量化を達成することができ
る。また、ノズルを交換することがないので、要求され
るストイキ値が連続的且つ短時間に変化する燃料電池自
動車にも適用可能である。
【0036】請求項2に記載した発明によれば、第1流
体と第2流体の流量比を所望する流量比に連続的に変化
させることができ、ニードルの位置変更により所望する
ストイキ値を得ることができるので、要求されるストイ
キ値を確保することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る流体供給装置を備えた燃料電
池の燃料供給系システム構成図である。
【図2】 この発明に係る燃料電池の流体供給装置であ
るエゼクタの断面図である。
【図3】 前記エゼクタのノズルとニードルとニードル
軸受の縦断面図である。
【図4】 前記エゼクタにおいて負圧発生部を示す図で
ある。
【図5】 前記エゼクタにおいて水素流量に対する最適
ノズル径および最適ディフューザ径の関係を示す示す図
である。
【図6】 前記エゼクタのストイキ特性図である。
【図7】 前記エゼクタにおいてノズルの位置調整によ
る第1流体通路53と第2流体通路54の開口面積比の
変化を示す図である。
【図8】 前記エゼクタの変形例の断面図である。
【図9】 従来の一般的なエゼクタの断面図である。
【図10】 従来のエゼクタにおいて負圧発生部を示す
図である。
【図11】 従来のエゼクタのノズル径をパラメータと
してストイキ値と水素消費流量との関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
11・・・燃料電池 30・・・エゼクタ(流体供給装置) 31・・・ディフューザ 32・・・ノズル 33・・・ニードル 34・・・駆動部(ニードル位置調整手段) 44・・・開口部 50・・・ストレート部 51・・・第1テーパ部(テーパ部) 52・・・第2テーパ部(テーパ部) 53・・・第1流体通路 54・・・第2流体通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 糟谷 丘里 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 4F033 QA10 QB02X QB02Y QB14X QB14Y QD04 QD15 5H026 AA06 5H027 AA06 BA19 KK02 MM09

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端部および該先端部から伸長したテー
    パ部を有するニードルと、 先端に開口部を有し該開口部に前記ニードルの先端部が
    軸線を同一にして挿入され内部に第1流体を供給されて
    前記開口部から噴射するノズルと、 前記ニードルおよび前記ノズルと軸線を同一にして設け
    られ前記第1流体の噴射により発生する負圧によって第
    2流体を吸引し前記第1流体に合流させて送出するディ
    フューザと、 前記ニードルを前記軸線方向に移動させて位置変更可能
    にするニードル位置調整手段とを備え、 前記第1流体は前記ニードルと前記ノズルの開口部との
    間隙により形成される第1流体通路を通り第2流体と合
    流したのち前記テーパ部と前記ディフューザとの間隙に
    より形成される第2流体通路を通じて送出されることを
    特徴とする燃料電池の流体供給装置。
  2. 【請求項2】 前記ニードルは、流量に応じて設定され
    たストイキ値を満たす前記第1流体通路および前記第2
    流体通路を形成する所定の形状を備えることを特徴とす
    る請求項1に記載の燃料電池の流体供給装置。
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