JP3608541B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システムに係り、特に燃料極から排出される排出ガスの再循環特性を改良した燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素を燃料ガスとして燃料極に供給し、酸素を含んだ空気を空気極に供給することにより、水素と酸素を電気化学的に反応させて直接発電するものであり、小規模でも高い発電効率が得られると共に、環境性に優れている。
【0003】
また、近年、電解質として固体高分子イオン交換膜を使用することで、酸水溶液を不要とし、小型高出力化が可能な固体高分子型燃料電池が水素ガスを用いた燃料電池の方式として注目されている。
【0004】
この燃料電池において、原燃料ガスの消費量を低減するとともに、水素ガスの利用率を高めて出力特性を改善することを狙いとして、燃料電池の燃料極からの排出ガスを再循環して、外部から新たに供給される水素の濃い原燃料ガスと混合させ、燃料電池の燃料極へと供給する再循環方式のものが多く考案されている。
【0005】
燃料電池の発電効率は、再循環させる排出ガス量と、新たに外部から供給される原燃料ガス量を、ある一定の比率以上に保つことで良くなることが分かっている。二つガスの流れを混合させる循環装置としてエゼクタが良く知られているが、循環の原動力として原燃料ガスの流速による負圧と引きずり込みを利用しているため、原燃料ガス流量と循環される排出ガス流量との比を広い作動領域で一定以上に保つことが困難となっている。
【0006】
エゼクタ作動領域を広げるための可変容量エゼクタの例として、スライド機構を用いてエゼクタ全体の流路面積可変とした特開平7−185284号公報や、ノズルにニードル形状の調整ロッドを挿入し、調整ロッドの位置を変更することでノズル面積を可変とした特開平8−338398号公報などがあるが、ともにエゼクタ外部から可変機構を制御する構造としているため、摺動部にシール構造を付加する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら燃料電池の作動ガスである水素は分子の大きさが極めて小さいため、上記従来技術のエゼクタ可変機構では、摺動部にて水素ガスをシールしようとすると、シール部に高い加工精度が要求されるだけでなく、シール部の摩擦が増加して、制御性が損なわれるという問題点があった。
【0008】
以上の問題点に鑑み本発明の目的は、エゼクタ循環装置に可変機構を設けることなく、ガス流量の広い範囲で新たに供給される原燃料ガス流量に対する循環させられる排出ガス流量の比(循環比)を一定以上に保ち、高い水素ガス利用効率が得られる燃料電池システムを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記目的を達成するため、燃料極と空気極とを有する燃料電池本体と、前記燃料極から排出される排出ガスを再循環して、新たに水素濃度の高い原燃料ガスに混合させるエゼクタと、該エゼクタで混合された燃料ガスを前記燃料極へ供給する流路とを有する燃料電池システムにおいて、前記エゼクタは、原燃料ガスと排出ガスとが混合する1つのスロート部と、該スロート部入口にそれぞれ開口した2つのノズルとを有し、前記2つのノズルの上流には、それぞれのノズル毎に原燃料ガスの供給圧力を調整する圧力調整弁を備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、上記目的を達成するため、請求項1記載の燃料電池システムにおいて、前記2つのノズル径が異なり、径の小さなノズルの先端は、径の大きなノズルの先端よりも前記スロート部入口に近接して配置されたことを要旨とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、上記目的を達成するため、請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、前記2つのノズルが、径の大きなノズルが径の小さなノズルを内包するように、同軸状に配置されたことを要旨とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、上記目的を達成するため、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、前記ノズル上流に配した2つの圧力調整弁における原燃料ガス制御可能流量の比を、前記ノズル部の開口面積の比と略同等としたことを要旨とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、上記目的を達成するため、請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、燃料電池システムの出力が所定値より低い低負荷時には前記2つのノズルのうち小径のノズルから原燃料ガスを供給し、燃料電池システムの出力が所定値以上の時には前記小径のノズルに加え大径のノズルからも原燃料ガスを供給するように制御することを要旨とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、上記目的を達成するため、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、燃料電池システムの出力が増加する過渡時には前記2つのノズル両方から原燃料ガスを供給するように制御することを要旨とする。
【0017】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、燃料極と空気極とを有する燃料電池本体と、前記燃料極から排出される排出ガスを再循環して、新たに水素濃度の高い原燃料ガスに混合させるエゼクタと、該エゼクタで混合された燃料ガスを前記燃料極へ供給する流路とを有する燃料電池システムにおいて、前記エゼクタは、原燃料ガスと排出ガスとが混合する1つのスロート部と、該スロート部入口にそれぞれ開口した2つのノズルとを有し、前記2つのノズルの上流には、それぞれのノズル毎に原燃料ガスの供給圧力を調整する圧力調整弁を備えたことにより、エゼクタ内部に可動部をもたせることなく実質的なノズル径を可変とすることができるため、水素ガスの漏れを抑制しつつ簡単な構成でエゼクタの作動領域を拡大することができるという効果がある。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、前記2つのノズル径が異なり、径の小さなノズルの先端は、径の大きなノズルの先端よりも前記スロート部入口に近接して配置したことにより、供給水素量が少ない低負荷時には小径ノズルから噴射された原燃料ガスがスロート内での摩擦による減速が抑えられるため、原燃料ガスのもつ運動エネルギが有効に利用でき、かつ小径ノズルに加えて大径ノズルからも原燃料ガスを噴射する高負荷時には、排出ガスが流入するためのノズルとスロートとの間隔を確保することができ、原燃料ガスと排出ガスの混合距離が確保できるようになり、広い作動領域において一定以上の循環比を得ることができるという効果がある。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、前記2つのノズルが、径の大きなノズルが径の小さなノズルを内包するように、同軸状に配置したことにより、両ノズルから噴射された原燃料ガスが互いに干渉することなくエネルギを無理なくスロート部に導入することができるという効果がある。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし請求項3に記載の発明の効果に加えて、前記ノズル上流に配した2つの圧力調整弁における原燃料ガス制御可能流量の比を、前記ノズル部の開口面積の比と略同等としたことにより、ノズルを通過する原燃料ガスの流量制御性を損なうことがなく、広い運転領域において良好な原燃料ガスの供給量制御が可能となるという効果がある。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、請求項2ないし請求項4に記載の発明の効果に加えて、燃料電池システムの出力が所定値より低い低負荷時には前記2つのノズルのうち小径のノズルから原燃料ガスを供給し、燃料電池システムの出力が所定値以上の時には前記小径のノズルに加え大径のノズルからも原燃料ガスを供給するように制御するようにしたので、広い運転領域において排気ガスの循環量を確保しつつ、供給原燃料ガスの制御性を維持できるという効果がある。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、請求項1ないし請求項5に記載の発明の効果に加えて、燃料電池システムの出力が増加する過渡時には前記2つのノズル両方から原燃料ガスを供給するように制御するようにしたので、急激な出力要求の増加に応じて燃料極に供給する水素量を増加でき、急激に増加した発電量に見合うまで燃料極の圧力を速やかに増加させることができるという効果がある。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る燃料電池システムの第1実施形態の構成を示すシステム構成図であり、特に、アイドル時から高速走行時まで負荷変動の大きい電動車両用の電源として好適なものである。
【0025】
図1において、燃料電池本体(以下、スタックと呼ぶ)1は、燃料極2と空気極3を備える。実際には、スタック1に冷却系の配管、電力取出線、各種センサ等が組み込まれるが、本図ではガス系統のみを示す。
【0026】
燃料極2と空気極3とは、個体高分子による電解質膜を隔ててスタック1の内部で接合されており、燃料極2で水素が電離して水素イオンと電子とに別れる。水素イオンは水分を媒体として電解質膜中を燃料極2側から空気極3側に移動し、電子は燃料極2から外部負荷回路を通って空気極3に戻り、水素イオン、電子、及び酸素が空気極3で結合して水となる電気化学反応により直流発電が行われる。
【0027】
本実施形態では、燃料として水素を直接保有する方式を示している。水素貯蔵タンク4には、水素ガスが圧縮されて高圧状態で保有されている。水素貯蔵タンク4の充填圧力は、高ければ高いほど、1充填当たりの走行可能距離が伸びたり、タンク容積を小型化できるので、通常数10MPa 以上にも達する。このような水素貯蔵タンク4の高圧からスタック1への供給圧を一度に制御することは困難なため、水素貯蔵タンク4の下流には減圧弁5を介して下流圧を実質的に制御可能な一定値に低下させた後、並列に配された2つの圧力調整弁6aおよび6bに原燃料ガスである水素ガスを供給する構成としている。
【0028】
圧力調整弁6aおよび6bは、エゼクタ7に設けられた2つのノズル部にそれぞれ連通する第1供給口9aおよび第2供給口9bにそれぞれ接続され、2つのノズル部に供給する水素ガス圧を個別に制御して、水素ガスをスタック1を含む循環管路に送る。
【0029】
エゼクタ7では、水素貯蔵タンク4から供給される水素ガスと、スタック1の燃料極2を通過した後の圧力が低く水素割合が低下した排出ガスとを混合した燃料ガスを下流に流し、次いで燃料ガスは加湿器13を通過する際にスタック1内の電解膜での反応に必要な水蒸気を加湿され、かつ反応に適した温度まで加熱された後、スタック1の燃料極2に流入する。
【0030】
そしてスタック1の燃料極2で水素を消費し、余った残留水素を含む排出ガスはスタック1から排出され、エゼクタ7の第3供給口11へ送られ再度循環する。スタック1からエゼクタ7の第3供給口11までの配管の途中には、分岐部14があり、パージ弁15を介して外部へと開放されている。スタックの電力出力要求が急に小さくなったら、循環管路中の水素がスタックで消費しきれなくなるので、そのときはパージ弁15を開き余剰の水素ガスを外部へ放出する。
【0031】
一方、図では省略しているが、空気極へは、まず、大気を取り込んで圧縮して空気ラインに送り込む圧縮機がスタック上流に設置される。圧縮機で圧縮された空気についても水素と同様に加湿器を通過し略飽和状態まで加湿された後、スタック1の空気極3に流入する。そして、空気極3で空気中の酸素分を消費して余った空気ガスは、スタック1内で反応して出来た水分とともに、空気ラインの圧力制御バルブを通過して大気へ放出する。空気圧力は要求に応じてあらかじめ定められた圧力となるように圧力制御バルブにより制御される。
【0032】
空気極で生成した水は、空気ライン途中に設けられた図示しない水回収装置にて回収され、回収された水は加圧ポンプにより加湿器13に供給されたり、スタック1の冷却水として再利用される。
【0033】
また、圧力調整弁6aおよび6bは、スタック1への供給水素流量を制御する役目をもち、燃料極2の水素圧力が発電量に適した値となるように、スタック1の上流に配した圧力センサ20の出力値を測定しながら、要求負荷に応じてあらかじめ定めた所定値となるよう、水素ガス循環系に存在する水素量を調整するとともに、発電により消費した水素量を補充するように圧力調整弁6aおよび6bの下流にそれぞれ設けた圧力センサ19aおよび19bの出力値を測定しながら、発電量に応じて予め定めた所定値となるように圧力調整弁6aおよび6bの開制御を行う。
【0034】
圧力調整弁6aおよび6bにおける制御可能流量の比は、後述する小径ノズル21と大径ノズル31との開口面積の比と略同等としている。
【0035】
図2は、本実施形態におけるエゼクタ7の断面構造を示したものである。同図においてエゼクタ7は、原燃料ガスと排出ガスとが混合する1つのスロート29と、スロート29入口にそれぞれ開口したノズル径の異なる2つのノズル21,31とを有する。2つのノズル21,31のうち、小径ノズル21の先端は、大径ノズル31の先端よりもスロート29の入口に近接して配置されている。さらに、大径ノズル31が小径ノズル21を内包するように、同軸状に配置されている。
【0036】
そして、エゼクタ7は、小径ノズル21に連通する第1供給口9aと、大径ノズル31に連通する第2供給口9bと、サクション側接続口である第3供給口11とを備え、第1供給口9a及び第2供給口9bからは原燃料ガスである水素ガスが供給され、第3供給口11からは燃料極2(図1)からの排出循環ガスが吸引されるように配管が接続される。
【0037】
このエゼクタ7を構成する部品は、小径ノズル21と原燃料ガスを供給する第1供給口9aとが連通した第1吸気部22と、第1吸気部22をOリング23とともに組み付けることで、大径ノズル31と原燃料ガスを供給する第1供給口9aとが連通するように構成された第2吸気部26と、第2吸気部26をOリング27とともに組み付けることで、排気燃料ガスが循環してくる第3供給口11と排出口12を連通する空間を形成するボディ部28からなる。
【0038】
ボディ部28には原燃料ガスと排気燃料ガスが混合するスロート29および混合流の流速を低下させて圧力回復を図るディフューザ30を持っている。小径ノズル21、または小径ノズル21及び大径ノズル31から注入された原燃料ガス流は、スロート29の前で絞られることで流速が増し、この流速増加により第3供給口11に対して負圧を発生するとともに、第1供給口9a及び第2供給口9bからの流れによって、吸い込み側の第3供給口11から排出ガスを吸引し、スロート29の内部で混合流が発生する。
【0039】
図3は、スロート部及びボディ部の径が同一で、ノズル部の径が大小異なる場合のエゼクタの特性として、(a)供給ガス流量Qinと供給ガス圧力Pinとの関係、(b)供給ガス流量Qinに対する循環比R(循環ガス流量Qsuと供給ガス流量Qinの比)をそれぞれ示す。
【0040】
図3(b)は、エゼクタにおける供給ガス流量Qinに対する循環比Rの関係を示した図であるが、小径ノズルの場合を細線で、大径ノズルの場合を太線で示してある。循環が開始する供給ガス流量Qinは、ノズル径が細いほど低下し、供給ガス流量Qinが増加した場合の循環比Rの最大値も高くなる。
【0041】
しかし、図3(a)に示すように、水素ガス供給系の供給圧は減圧弁等のシステムにより規定されており、圧力調整弁でガス流量を確保しつつ、第1、第2供給口に供給できる最大圧力はPinmaxの制限を受けることになる。そのため循環比の観点からはノズル径が小さな方が良い特性を示すものの、供給可能ガス量は低下することとなる。
【0042】
よって、車両停止時のシステムアイドル状態で必要になる負荷時の水素ガス供給Qminから高速走行や加速時に必要となるシステムの最大負荷時の供給水素ガス量Qmaxまでの流量範囲が非常に広いため、スタックの良好な発電状態を維持するために必要な循環比Rminを維持することは1つのノズルでは困難となっている。
【0043】
図4には本実施形態で用いたエゼクタを使用した場合の特性を図3と同様に示している。まず、システムの作動最低負荷に当たるガス流量Qminからエゼクタ上流に付与できる最大圧力Pinmaxで小径ノズル21から循環系に供給できるガス流量Q1までの間は、圧力調整弁6aを開制御して原燃料ガスを供給する。その時は図4の細線で示した循環比Rとなり、スタックの最低要求値Rmin以上の循環比を得ることができる。
【0044】
発電要求量が増加し、原燃料ガスの必要供給量がQ1を超えると、小径ノズル21からの供給量Q1に加え、圧力調整弁6bを開制御して第2供給口9bのガス圧力を増加させ、不足する原燃料ガスを大径ノズル31より供給する。このとき、大径ノズル31は第1供給口9aおよび第2供給口9bの圧力がともにPinmaxとなった場合に、最大発電量の要求時に必要となる原燃料ガス量Qmaxを供給できる径としている。
【0045】
圧力調整弁6bを開制御したときの循環比Rは、細い破線で示された小径ノズル21から流れによる循環と、太い破線で示した大径ノズル31から流れによる循環との和である太線となるため、全てのスタック作動領域において必要となる循環比Rminを確保することができる。
【0046】
エゼクタ7の上流に配置した圧力調整弁6a,6bは、圧力制御の精度を向上させるために、全開となるように制御された時に、減圧弁5により一定圧に制御された圧力で必要となる原燃料ガス量となるように設定されていることが望まれる。また、エゼクタのノズル径は、供給ガス量が増加した場合に、ノズル部での流れが音速となるように設定することで、高い循環比を得ることができる。
【0047】
よって、エゼクタ7上流に配置した2つの圧力調整弁6a,6bにおける原燃料ガス制御可能流量の比を小径ノズル8aと大径ノズル8bの実開口面積の比と略同等とすることで、原燃料ガスの流量制御性を損なうことなく、高い循環比を得ることができる。
【0048】
次に、図5、図6を参照して、本実施形態における圧力調整弁6a,6bの制御内容を説明する。図5は諸々の車両条件から与えられた燃料電池の発電電力目標値tPWRを実現するために、どのように圧力調整弁6aの弁下流圧tPrsHeAおよび圧力調整弁6bの弁下流値tPrsHeBを演算して制御するかを示した制御フローチャートであり、図6は、制御フローチャート中で参照する各種テーブルの例をグラフで示すものである。
【0049】
まず、ステップS10において、要求負荷に基づいて別途算出された発電電力目標値tPWRを読み込み、圧力センサ20の測定値tPrsH0,圧力センサ19aの測定値tPrsHeA0,圧力センサ19bの測定値tPrsHeB0を読み込む。次いで、ステップS12では、燃料電池の発電電力目標値tPWRに基づいて燃料電池の燃料極における燃料ガス圧力目標値tPrsHを演算する。この演算は、図6(a)に示すような発電電力目標値tPWRに対する燃料ガス圧力目標値tPrsHがテーブルで与えられ、燃料電池の発電目標値すなわち負荷が大きくなればなるほど燃料極での燃料ガス圧力が大きくなるように設定している。
【0050】
次いでステップS14では、ステップS12で得られた燃料極2での燃料ガス圧力目標値tPrsHと圧力センサ20から得られた現在の燃料極2での燃料ガス圧力tPrsH0のと差圧tPrsHd=tPrsH−tPrsH0を算出し、圧力調整弁6a,6bの制御の基本的なパターンを判定する条件値とする。
【0051】
ステップS16は、燃料電池に対する負荷要求が急激増えたか否かを判定するステップであり、差圧tPrsHdが予め定めた値tPrsHdH以上の場合は急加速状態として、ステップS18へ進み、圧力調整弁6aおよび6bの目標開度tArVA、tArVBを、それぞれ設定可能な最大値tARVAmax、tArVBmaxに設定する。
【0052】
ステップS16でtPrsHd<tPrsHdLと判断された場合は、ステップS20へ進み、tPrsHdが予め定めた負の値であるtPrsHdLを超えているか、即ち負荷要求が減少し、パージ弁15を開制御する必要があるか否かを判定する。tPrsHdが予め定めた負の値であるtPrsHdL以下の場合はステップS22へ進み、圧力調整弁6aおよび6bの目標開度tArVa、tArVBを、それぞれ設定可能な最小値tArVamin、tArVBminに設定するとともに、パージ弁15の制御シーケンスに開制御の情報を発信する。
【0053】
ステップS20でtPrsHd>tPrsHdLと判断された場合は、通常制御状態と判断し、ステップS24へ進み、大径ノズル31から水素ガスを供給するか否かを判定する。ステップS24では、tPrsHが予め定めた切替え圧力tPrsH1より小さく、かつ圧力センサ30aで測定された第1供給口9aの圧力値tPrsHeA0が供給可能最高圧であるtPrsHemaxより小さな場合は、小径ノズル21からの水素ガス供給のみの範囲と判定し、ステップS26へ進む。
【0054】
ステップS26では、発電電力目標値tPWRを実現するために必要な燃料極2での圧力目標値tPrsHとなるように、第1供給口9aでの圧力目標値tPrsHeAを演算している。圧力目標値tPrsHeAは、圧力調整弁19aからスタック1の燃料極2までの燃料ガス流路中の圧力損失を流量に応じてあらかじめ計算しておき、その圧力損失を目標とする燃料極2のガス圧力に加えた値として演算する必要があり、図6(b)に示すようにあらかじめ計算してテーブル値として参照する形式のほうが良い。
【0055】
次いでステップS28にて、燃料負荷に応じた燃料ガス流量が得られるように基本となる圧力調整弁6aの絞り面積tArVamをtPrsHeAに応じて演算する。実施形態では図6(c)に示すようなテーブルで与えられ、圧力目標値tPrsHeAが増えるに従い絞り面積tArVAmも増加する。
【0056】
ステップS30では、圧力センサ19aで測定した実際の第1供給口9aの圧力tPrsHeA0と、燃料極2へ供給される燃料ガス圧力を示す圧力センサ20の測定値tPrsH0とステップS12で定めた目標値tPrsHとの乖離から定まる補正項αを加えて、第1供給口9aの圧力が目標値tPrsHeAとなるように最終的な絞り面積tArVAを算出し、かつ大径ノズル側の第2供給口9bの圧力を制御している圧力調整弁6bの絞り面積tArVBを最小値であるtArVBminにセットする。
【0057】
ステップS24で、tPrsHがtPrsH1以上、またはtPrsHeA0がtPrsHemax以上となっていると判断された場合は、小径ノズル21に加えて大径ノズル31からの水素ガス供給が必要と判断し、ステップS32へ進む。
【0058】
ステップS32,S34ではステップS26,S28と同様に、それぞれ図6(d)、図6(e)のテーブルを参照しながら、圧力調整弁8bの絞り面積tArVBmの演算を行う。
【0059】
次いでステップS36では、圧力センサ19bで測定した実際の第2供給口9bの圧力tPrsHeB0と、圧力センサ20の測定値tPrsH0とステップS12で定めた目標値tPrsHとの乖離から定まる補正項βを加えて、第2供給口9bの圧力が目標値tPrsHeBとなるように最終的な絞り面積tArVBを算出し、かつ小径ノズル側の圧力調整弁6aの絞り面積tArVAを最大値であるtAVAmaxにセットする。
【0060】
以上、ステップS18、ステップS22、ステップS30、ステップS36のいずれかにより、圧力調整弁6aおよび6bの絞り面積が決定され、ステップS38で情報を圧力調整機構制御装置に送信し、制御フローが終了する。
【0061】
以上説明してきた構成とすることで、広い負荷範囲に対応した供給ガス流量に対し必要な排気ガス循環量が確保でき、安定した燃料電池の運転が可能となる。
【0062】
尚、本実施形態で用いたエゼクタは、燃料電池システムに限らず、第1の流体(気体または液体)と第2の流体(気体または液体)とを混合するあらゆる用途において、エゼクタに可動部を設けることなく、広い動作範囲で高い混合比(第2の流体の流量/第1の流体の流量)を得ることができることは明らかである。この場合、エゼクタの2つのノズルの上流には、それぞれのノズル毎に第1の流体の圧力または流量を調整する調整弁を設けることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池システムの実施形態の構成を示すシステム構成図である。
【図2】実施形態におけるエゼクタの内部構造を示す断面図である。
【図3】(a)小径ノズルおよび大径ノズルの供給ガス流量に対する供給ガス圧力特性を説明する図である。(b)小径ノズルおよび大径ノズルの供給ガス流量に対する循環比特性を説明する図である。
【図4】(a)実施形態のエゼクタにおける供給ガス流量に対する供給ガス圧力特性を説明する図である。(b)実施形態のエゼクタにおける供給ガス流量に対する循環比特性を説明する図である。
【図5】実施形態における圧力調整弁制御を説明する制御フローチャートである。
【図6】図5の制御フローチャート中で参照する各種テーブルの例をグラフで示すものである。
【符号の説明】
1…燃料電池本体(スタック)
2…燃料極
3…空気極
4…水素貯蔵タンク
5…減圧弁
6a,6b…圧力調整弁
7…エゼクタ
8…分岐部
9a…第1供給口
9b…第2供給口
11…第3供給口
12…排出口
13…加湿器
14…分岐部
15…パージ弁
19a,19b…圧力センサ
20…圧力センサ

Claims (6)

  1. 燃料極と空気極とを有する燃料電池本体と、前記燃料極から排出される排出ガスを再循環して、新たに水素濃度の高い原燃料ガスに混合させるエゼクタと、該エゼクタで混合された燃料ガスを前記燃料極へ供給する流路とを有する燃料電池システムにおいて、
    前記エゼクタは、原燃料ガスと排出ガスとが混合する1つのスロート部と、該スロート部入口にそれぞれ開口した2つのノズルとを有し、
    前記2つのノズルの上流には、それぞれのノズル毎に原燃料ガスの供給圧力を調整する圧力調整弁を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記2つのノズル径が異なり、径の小さなノズルの先端は、径の大きなノズルの先端よりも前記スロート部入口に近接して配置されたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記2つのノズルが、径の大きなノズルが径の小さなノズルを内包するように、同軸状に配置されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記ノズル上流に配した2つの圧力調整弁における原燃料ガス制御可能流量の比を、前記ノズル部の開口面積の比と略同等としたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 燃料電池システムの出力が所定値より低い低負荷時には前記2つのノズルのうち小径のノズルから原燃料ガスを供給し、燃料電池システムの出力が所定値以上の時には前記小径のノズルに加え大径のノズルからも原燃料ガスを供給するように制御することを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 燃料電池システムの出力が増加する過渡時には前記2つのノズル両方から原燃料ガスを供給するように制御することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
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