JP3572401B2 - 燃料電池システムの燃料循環装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等に好適な広範囲の運転領域で燃料循環性能を向上させた燃料電池システムの燃料循環装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムにおいて、特開平9−213353号公報等に開示されている燃料循環装置が知られている。この従来技術は、燃料ガス流路に排ガスを循環させるエゼクタを備え、新規燃料ガスを駆動源として、新規燃料ガスと燃料電池から排出された未反応燃料ガスを含む排ガスとを混合させて燃料電池に供給する燃料循環装置である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池システムを車両の動力源に適用する場合、アイドリング状態から高速時のスロットル全開状態まで広範囲に負荷が変動する。このため、車両用燃料電池システムにおいては、単位時間の燃料消費量が大幅に変動することになる。
【0004】
従って、上記燃料電池システムの燃料循環装置において、アイドリング状態から高負荷までの広い運転範囲に亘って高い発電効率を維持するためには、広範囲の燃料流量において、エゼクタの循環比をなるべく高くしておきたい。しかしエゼクタの特性上、高い効果が得られる流量域は限られてしまう。
【0005】
例えば、アイドルから高い循環性能を得るには、エゼクタのノズル径を小さくする必要がある。しかし、ノズル径が小さい場合には、圧損が大きく小さい流量でも圧力調整弁の2次圧の最大値に達してしまい、供給量を大きくすることに制限がある。
【0006】
これに対し供給量を大きくするべく、エゼクタのノズル径を拡大すれば、供給量は増大するものの循環比は低下する。
【0007】
このように、エゼクタに要求される供給量と循環比は、ノズル径に対して相反する関係にある。
【0008】
そこで燃料電池システムにおける燃料ガスの循環装置としては、図10に示すように、大小2つのエゼクタを配置し、各エゼクタにそれぞれ圧力調整弁を設けて燃料の必要量を確保しようとする燃料循環装置が考えられる。
【0009】
また、図11に示すように、大小2つのエゼクタの上流に圧力調整弁を並列に配置することで、燃料の必要量を確保し、圧力調整弁と各エゼクタとの間に流量制御弁を設け、燃料電池の負荷に応じてエゼクタへの燃料の供給を切り替える燃料循環装置が考えられる。
【0010】
しかしながら、このような燃料循環装置においては、アイドルから低負荷をカバーするノズル径が小さい第1エゼクタから、高負荷時に使用するノズル径が大きい第2エゼクタに切り替えた際に、循環比が大きく低下するという問題点があった。
【0011】
図10に示すような構成の燃料循環装置においては、その循環比(循環流量/供給流量)は、図12に示すようになり、また図11に示すような構成の燃料循環装置においては、循環比は、図13に示すようになる。
【0012】
いづれの燃料循環装置においても、大小のノズル径を有するエゼクタへの燃料ガスの供給を単に切替えただけでは、循環特性は、図12、図13に示すようにその流路の切替えとともに、大きく変動するという問題点がある。
【0013】
また、小ノズルの第1エゼクタは圧損が大きく、その上流に位置する圧力調整弁には流量としては供給余力があるにもかかわらず、圧力が上限に達するために流量上限が決まってしまうという問題点がある。
【0014】
一方、大ノズルの第2エゼクタでは供給できる流量が大きいため、その上流に位置する圧力調整弁は、流量上限値の高い大きな弁が必要になるという問題点がある。
【0015】
以上の問題点に鑑み本発明の目的は、広範囲の運転領域において、燃料ガスの高い循環比を得ることができる燃料電池システムの燃料循環装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明は、燃料電池に新規に供給する燃料ガスを駆動流として、燃料電池から排出されたガスを循環させる燃料電池システムの燃料循環装置において、第1エゼクタと、第1エゼクタの新規ガス供給口に供給する新規燃料ガスの圧力を調整する第1圧力調整弁と、第1エゼクタよりもノズル径の大きな第2エゼクタと、第2エゼクタの新規ガス供給口に供給する新規燃料ガスの圧力を調整する第2圧力調整弁と、第1及び第2圧力調整弁の下流部間の連通または遮断を燃料電池の運転状態によって切り替える流路切替弁と、を備え、第1エゼクタの下流と第2エゼクタの下流とを合流させる合流点を介して燃料ガスを燃料電池に供給する一方、燃料電池から排出されるガスを第1及び第2エゼクタに循環させることを要旨とする。
【0017】
上記目的を達成するため請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃料電池システムの燃料循環装置において、燃料電池へ供給する燃料ガスの供給流量が第1所定流量より小さい第1運転領域では、前記流路切替弁を遮断させて、第1圧力調整弁を介して第1エゼクタに新規燃料ガスを供給し、燃料電池へ供給する燃料ガスの供給流量が第1所定流量より大きい第2運転領域では、前記流路切替弁を連通させて、第1及び第2圧力調整弁を介して第2エゼクタに新規燃料ガスを供給することを要旨とする。
【0018】
上記目的を達成するため請求項3記載の発明は、請求項2記載の燃料電池システムの燃料循環装置において、前記第1所定流量は、第1エゼクタの供給流量上限未満に設定したことを要旨とする。
【0019】
上記目的を達成するため請求項4記載の発明は、請求項2または請求項3記載の燃料電池システムの燃料循環装置において、燃料電池へ供給する燃料ガスの供給流量が第1所定流量を超え第1所定流量より大きい第2所定流量未満の第3運転領域では、前記流路切替弁を遮断させて、第1エゼクタも使用することを要旨とする。
【0020】
上記目的を達成するため請求項5記載の発明は、請求項4記載の燃料電池システムの燃料循環装置において、第2所定流量は、第1エゼクタの供給流量上限値と第2圧力調整弁の流量上限値との合計値未満であることを要旨とする。
【0021】
上記目的を達成するため請求項6記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の燃料電池システムの燃料循環装置において、前記流路切替弁の下流及び第1圧力調整弁下流で、且つ第1エゼクタの新規ガス供給口上流に、開閉弁を設けたことを要旨とする。
【0022】
上記目的を達成するため請求項7記載の発明は、請求項6記載の燃料電池システムの燃料循環装置において、前記流路切替弁の連通時に前記開閉弁を閉じることを要旨とする。
【0023】
上記目的を達成するため請求項8記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の燃料電池システムの燃料循環装置において、燃料電池の発電を停止する際には、燃料電池上流の全ての弁を上流側から順に閉めることを要旨とする。
【0024】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、燃料電池に新規に供給する燃料ガスを駆動流として、燃料電池から排出されたガスを循環させる燃料電池システムの燃料循環装置において、第1エゼクタと、第1エゼクタの新規ガス供給口に供給する新規燃料ガスの圧力を調整する第1圧力調整弁と、第1エゼクタよりもノズル径の大きな第2エゼクタと、第2エゼクタの新規ガス供給口に供給する新規燃料ガスの圧力を調整する第2圧力調整弁と、第1及び第2圧力調整弁の下流部間の連通または遮断を燃料電池の運転状態によって切り替える流路切替弁と、を備え、第1エゼクタの下流と第2エゼクタの下流とを合流させる合流点を介して燃料ガスを燃料電池に供給する一方、燃料電池から排出されるガスを第1及び第2エゼクタに循環させるようにしたので、高負荷時に流路切替弁を連通させて第1及び第2圧力調整弁を介して大流量の新規ガスを第2エゼクタに供給できるようになり、広範囲の運転領域で燃料ガスの高い循環比を得ることができる燃料電池システムの燃料循環装置を提供するという効果がある。
【0025】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の燃料電池システムの燃料循環装置において、燃料電池へ供給する燃料ガスの供給流量が第1所定流量より小さい第1運転領域では、前記流路切替弁を遮断させて、第1圧力調整弁を介して第1エゼクタに新規燃料ガスを供給し、燃料電池へ供給する燃料ガスの供給流量が第1所定流量より大きい第2運転領域では、前記流路切替弁を連通させて、第1及び第2圧力調整弁を介して第2エゼクタに新規燃料ガスを供給するようにしたので、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1運転領域では第1エゼクタによる高い循環比が得られると共に、第2運転領域では、第2エゼクタに第1圧力調整弁及び第2圧力調整弁を介して大流量の新規燃料ガスを供給することができるという効果がある。
【0026】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の燃料電池システムの燃料循環装置において、前記第1所定流量は、第1エゼクタの供給流量上限未満に設定したことにより、請求項2記載の発明の効果に加えて、第1エゼクタの圧損による供給流量上限に達する前に第2エゼクタに切り替えて新規燃料ガスを供給することができるという効果がある。
【0027】
請求項4記載の発明によれば、請求項2または請求項3記載の燃料電池システムの燃料循環装置において、燃料電池へ供給する燃料ガスの供給流量が第1所定流量を超え第1所定流量より大きい第2所定流量未満の第3運転領域では、前記流路切替弁を遮断させて、第1エゼクタも使用するようにしたので、請求項2または請求項3記載の発明の効果に加えて、第3運転領域における循環比を高めることができるという効果がある。
【0028】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の燃料電池システムの燃料循環装置において、第2所定流量は、第1エゼクタの供給流量上限値と第2圧力調整弁の流量上限値との合計値未満であるようにしたので、請求項4記載の発明の効果に加えて、第3運転領域から第2運転領域へ円滑に運転領域の切替を行うことができるという効果がある。
【0029】
請求項6記載の発明によれば、請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の燃料電池システムの燃料循環装置において、前記流路切替弁の下流及び第1圧力調整弁下流で、且つ第1エゼクタの新規ガス供給口上流に、開閉弁を設けたことにより、請求項1ないし請求項5記載の発明の効果に加えて、運転領域に応じて第1エゼクタに駆動流が流入することを停止させることができるという効果がある。
【0030】
請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の燃料電池システムの燃料循環装置において、前記流路切替弁の連通時に前記開閉弁を閉じるようにしたので、高負荷時に、第1及び第2圧力調整弁からからの新規燃料ガス全てを第2エゼクタに流すことができ、エゼクタの循環性能を向上させることができるという効果がある。
【0031】
請求項8記載の発明によれば、請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の燃料電池システムの燃料循環装置において、燃料電池の発電を停止する際には、燃料電池上流の全ての弁を上流側から順に閉めるようにしたので、請求項1ないし請求項7記載の発明の効果に加えて、新規燃料ガスの元弁部から下流の容積内を大気で満たす、或いは、燃料ガスの濃度を安全上問題の範囲まで低下させることができるという効果がある。
【0032】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施形態〕
次に、本発明に係る燃料電池システムの燃料循環装置の第1の実施形態の構成を図1の燃料系構成図を参照して説明する。
【0033】
図1において、燃料電池システムは、燃料ガスである水素を高圧に圧縮した状態で貯蔵する水素ボンベ1と、水素ボンベ1の高圧水素を減圧して第1エゼクタ5に供給する第1圧力調整弁2と、水素ボンベ1の高圧水素を減圧して第2エゼクタ6に供給する第2圧力調整弁3と、水素と図示しない空気供給系から酸化剤ガスとしての空気が供給され、水素と酸素との電気化学反応により発電する燃料電池スタック4と、燃料電池スタック4からの排出燃料ガスを循環させる並列に接続された第1エゼクタ5及び第2エゼクタ6と、第1及び第2圧力調整弁の下流部間の連通または遮断を燃料電池の運転状態によって切り替える流路切替弁7と、第1エゼクタ5及び第2エゼクタ6のそれぞれの下流を開閉する第1開閉弁8及び第2開閉弁9と、燃料電池スタック4の電圧及び電流を検出することによりスタック出力を検出するスタック出力検出装置10と、スタック出力検出装置10が検出したスタック出力に基づいて第1圧力調整弁2、第2圧力調整弁3、流路切替弁7、第1開閉弁8及び第2開閉弁9の開度または開閉を制御する制御装置11と、排出燃料ガス、或いは、水、水蒸気、空気等を大気へと排出するためのパージ弁12とを備えている。
【0034】
第2エゼクタ6のノズル径は、第1エゼクタ5のノズル径より大きく設定されている。
【0035】
次に、図2のエゼクタ供給流量に対するエゼクタ圧損を示すグラフを参照して、本発明の作用を説明する。図2(a)は、アイドル状態から低負荷時までの第1運転領域における第1圧力調整弁2、第2圧力調整弁3、流路切替弁7、第1開閉弁8及び第2開閉弁9の開閉状態と、エゼクタ供給流量に対するエゼクタ圧損を示すグラフである。図2(b)は、中負荷時の第3運転領域における第1圧力調整弁2、第2圧力調整弁3、流路切替弁7、第1開閉弁8及び第2開閉弁9の開閉状態と、エゼクタ供給流量に対するエゼクタ圧損を示すグラフである。図2(c)は、高負荷時の第2運転領域における第1圧力調整弁2、第2圧力調整弁3、流路切替弁7、第1開閉弁8及び第2開閉弁9の開閉状態と、エゼクタ供給流量に対するエゼクタ圧損を示すグラフである。
【0036】
図2(a)に示すように、燃料電池が起動され、燃料電池がアイドルから低負荷の運転となると、ノズル径が小さい第1エゼクタ5の上流に位置する第1圧力調整弁2及び第1開閉弁8が開き、必要な燃料ガスを第1エゼクタ5を介し、燃料電池へと供給する。燃料電池の出力が負荷の増加に伴い増加すると、圧力調整弁2から燃料ガスの供給量が増加していき、いずれは第1圧力調整弁2の2次圧の最大圧に達する。
【0037】
さらに燃料電池の出力増加が必要となった場合は、第1エゼクタ5の流量はこれ以上増やせないので第1圧力調整弁2及び第1開閉弁8の状態はそのまま開状態を維持し、ノズル径が大きい第2エゼクタ6の上流に位置する第2圧力調整弁3を開くとともに第2開閉弁9を開き、図2(b)に示す第3運転領域へ移って、必要な燃料を燃料電池スタック4へ供給する。この第3運転領域では、スタック出力の増減に応じて第2圧力調整弁3の開度を調整する。
【0038】
さらに燃料電池の出力増加が必要となって、第2圧力調整弁3に流れる流量の上限に達した場合、即ち、供給流量が第1エゼクタの流量上限+第2圧力調整弁の供給流量上限に達した場合には、図2(c)に示すように流路切替弁7を開く第2運転領域として、第1圧力調整弁2からの燃料ガス供給を第2エゼクタ6にも流れるようにする。第2運転領域では、スタック出力の増減に応じて第1圧力調整弁2と第2圧力調整弁3を調整する。
【0039】
このように、出力の増加(つまり負荷の増加、供給流量の増加)とともに、第1エゼクタのみを使用する第1運転領域から、第1エゼクタと第2エゼクタを独立させながら並列に使用する第3運転領域を経て、流路切替弁7を開いて第1圧力調整弁2と第2圧力調整弁3との出力が合流した流量を第1エゼクタ5と第2エゼクタ6とに並列に供給する第2運転領域へと、スタック出力に応じて切替えることで、図3に示すような循環性能が得られる。
【0040】
本発明によれば、個々の圧力調整弁の流量上限が第2エゼクタ6の上限流量より低い小型の弁を使った場合でも、大流量必要時には第1圧力調整弁2と第2圧力調整弁3の両方から第2エゼクタ6へガスを供給するので、エゼクタ性能を最大限引き出すことができる。
【0041】
次に、図4のフローチャートを参照して、燃料循環装置の制御装置の動作を説明する。図4においては、第1運転領域を低負荷、第3運転領域を中負荷、第2運転領域を高負荷とし、スタック出力の判別値P1とP2とを用いて、
【数1】
低負荷<P1≦中負荷<P2≦高負荷 …(1)
式(1)により、各運転領域を判別している。
【0042】
これらの判別値は、燃料電池スタック4に供給する燃料ガスの流量が第1所定値、即ち第1エゼクタの圧損が第1圧力調整弁の2次圧の上限となる流量(第1エゼクタの供給流量上限)に対応するスタック出力を予め実験により求めた値をP1とし、燃料電池スタック4に供給する燃料ガスの流量が第2所定値、即ち第1エゼクタの供給流量上限と第2圧力調整弁の供給流量上限との和の流量に対応するスタック出力を予め実験により求めた値をP2としている。
【0043】
図4において、燃料電池が起動されたのち、燃料循環装置の制御装置がスタートし、まずステップS10で、スタック出力の検出値(或いは、負荷からのスタック出力指令値)と低負荷領域である第1運転領域のスタック出力上限値P1とを比較する。スタック出力の検出値がP1より小さい場合には、ステップS12で流路切替弁7を閉じ、ステップS14でスタック出力に応じた第1圧力調整弁2の2次圧、或いは、燃料ガス流量となるよう第1圧力調整弁2を調整する。
【0044】
ステップS10の判定で、スタック出力の検出値が出力上限値P1より大きい場合、ステップS16で中負荷領域のスタック出力上限値P2と比較する。スタック出力の検出値がP2より小さい場合には、ステップS18で流路切替弁7を閉じ、ステップS20でスタック出力に応じた第2圧力調整弁3の2次圧、或いは、燃料ガス流量となるよう第2圧力調整弁3を調整する。この時、第1圧力調整弁2は、低負荷領域のスタック出力上限値P1の状態を維持したままである。
【0045】
ステップS16の判定で、スタック出力の検出値が出力上限値P2より大きい場合、ステップS22で流路切替弁7を開け、ステップS24でスタック出力に応じた第1圧力調整弁2、第2圧力調整弁3の2次圧、或いは、燃料ガス流量となるよう第1圧力調整弁2、第2圧力調整弁3を調整する。
【0046】
なお、出力上限値P1は上述したように第1エゼクタへの供給流量の上限となるような出力に、出力上限値P2は第1エゼクタの供給流量の上限と第2圧力調整弁の流量上限との和となるような出力に設定する。
【0047】
〔第2実施形態〕
本発明に係る燃料電池システムの燃料循環装置の第1の実施形態の構成を図5の燃料系構成図を参照して説明する。
【0048】
第2実施形態と第1の実施形態の構成上の相違は、第1圧力調整弁2下流の第2エゼクタ6への接続流路との分岐点22から第1エゼクタ5の入口間に第3開閉弁13を設置していることである。これ以外の構成は、図1に示した第1実施形態の構成と同様であるので、同じ構成要素には同じ符号を付与して、重複する説明を省略する。
【0049】
第1実施形態との作用の違いは、図6(c)に示すように高負荷(第2運転領域)時に、流路切替え弁7を開くとともに第3開閉弁13を閉じ、第1圧力調整弁2からの燃料ガス供給が全て第2エゼクタ6に流れるようにすることである。アイドルないし中負荷(第1運転領域及び第3運転領域)では、第3開閉弁13は開いた状態となり、ガス流路の構成は、第1実施形態と同様である。
【0050】
このように、本実施形態では、燃料電池スタック4の出力の増加(つまり負荷の増加、供給流量の増加)とともに、図6(a)に示すように第1圧力調整弁2から第1エゼクタ5へ燃料ガスを供給する第1運転領域、図6(b)に示すように第1圧力調整弁2から第1エゼクタ5への燃料ガス供給を維持したまま、第2圧力調整弁3から第2エゼクタ6へ燃料ガスを供給する第3運転領域、図6(c)に示すように第1圧力調整弁2と第2圧力調整弁3から第2エゼクタ6へ燃料ガスを供給する第2運転領域へと、順次各弁の開閉状態を切り替えていく。
【0051】
第2実施形態における制御装置のフローチャートを図7に示す。図7において、第1運転領域を低負荷、第3運転領域を中負荷、第2運転領域を高負荷とし、スタック出力の判別値P1とP2とを用いて、上述の式(1)により、各運転領域を判別している。
【0052】
図7において、燃料電池が起動されたのち、燃料循環装置の制御装置がスタートし、まずステップS30で、スタック出力の検出値(或いは、負荷からのスタック出力指令値)と低負荷領域である第1運転領域のスタック出力上限値P1とを比較する。スタック出力の検出値がP1より小さい場合には、ステップS32で流路切替弁7を閉じ、第3開閉弁13を開く。ステップS34でスタック出力に応じた第1圧力調整弁2の2次圧、或いは、燃料ガス流量となるよう第1圧力調整弁2を調整する。
【0053】
ステップS30の判定で、スタック出力の検出値が出力上限値P1より大きい場合、ステップS36で中負荷領域のスタック出力上限値P2と比較する。スタック出力の検出値がP2より小さい場合には、ステップS38で流路切替弁7を閉じ、第3開閉弁13を開く。ステップS40でスタック出力に応じた第2圧力調整弁3の2次圧、或いは、燃料ガス流量となるよう第2圧力調整弁3を調整する。この時、第1圧力調整弁2は、低負荷時の状態を維持したままである。
【0054】
ステップS36の判定で、スタック出力の検出値が出力上限値P2より大きい場合、ステップS42で流路切替弁7を開け、第3開閉弁13を閉じる。ステップS44でスタック出力に応じた第1圧力調整弁2、第2圧力調整弁3の2次圧、或いは、燃料ガス流量となるよう第1圧力調整弁2、第2圧力調整弁3を調整する。
【0055】
第2実施形態の効果としては、第1エゼクタと第2エゼクタの循環路が共通となっているので、第1実施形態のように第1エゼクタと第2エゼクタの両方から燃料ガスが流出するより、本実施形態のようにノズルの大きい第2エゼクタのみから流出する方が、エゼクタの循環性能は向上する場合がある。
【0056】
〔第3実施形態〕
上記第1実施形態では、第1エゼクタと第2エゼクタが完全に別体のものを示したが、第3実施形態では、図8に示すような、大小異なる径のノズルを内包した一体型のエゼクタ14を使用する。また第3実施形態では、エゼクタ14の大小の出口に、2つの出口に対応した2連の逆止弁15を開閉弁8,9の替わりに用いている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。第3実施形態における制御装置11による制御も第1実施形態と同様である。またエゼクタは2つのみでなくとも更にエゼクタを追加しても良い。
【0057】
〔第4実施形態〕
本発明に係る燃料電池システムの燃料循環装置の第4の実施形態の構成を図9の燃料系構成図を参照して説明する。図9では、2つのエゼクタ5,6をまとめて簡略化して表記してある。水素ボンベ1から下流に向って、シャット弁20、圧力調整弁2,3、エゼクタ5,6、開閉弁8,9、燃料電池スタック4が配置され、燃料電池の排ガス出口とエゼクタ循環路入口がつながれ、その間に排出燃料ガス(水、水蒸気、残水素、窒素等を含む)を排出するためパージ弁12を設置している。
【0058】
本実施形態は、発電停止時の各バルブを閉じる順序に特徴がある。燃料電池システムを停止する場合、安全上、水素濃度が高い領域は可能な限り少ない方が好ましい。このため、停止時には、上流に位置するバルブから閉じることにより、水素を大気中に放出することができる。このとき、水素を放出する部位から下流は、天地の上側に位置し、下流にいくに従い下には下がらないようにする必要がある。
【0059】
燃料電池システムを停止する場合、まずシャット弁20を閉じる。その後、燃料ガスが大気との密度差で排出されるまでの時間が経過したのちに、圧力調整弁2,3、開閉弁8,9、パージ弁12の順に閉じる。このように、燃料ガスの上流から順に弁を閉じることにより、シャット弁20から下流の容積内を大気で満たす、或いは、燃料ガス濃度を安全上、問題のないレベルにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る燃料電池システムの燃料循環装置の第1実施形態の要部構成を示す燃料系構成図(燃料電池への燃料ガス供給部のみ記載)である。
【図2】第1実施形態の各運転領域における圧力調整弁の2次圧特性を示す図である。
【図3】第1実施形態の循環性能を示す図である。
【図4】第1実施形態における制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明に係る燃料電池システムの燃料循環装置の第2実施形態の要部構成を示す燃料系構成図(燃料電池への燃料ガス供給部のみ記載)である。
【図6】第2実施形態の各運転領域における圧力調整弁の2次圧特性を示す図である。
【図7】第2実施形態における制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明に係る燃料電池システムの燃料循環装置の第3実施形態の要部構成を示す燃料系構成図(燃料電池への燃料ガス供給部のみ記載)である。
【図9】本発明に係る燃料電池システムの燃料循環装置の第4実施形態の要部構成を示す燃料系構成図(燃料電池への燃料ガス供給部のみ記載)である。
【図10】比較例1の構成図(燃料電池への水素供給部のみ記載)である。
【図11】比較例2の構成図(燃料電池への水素供給部のみ記載)である。
【図12】比較例1の循環特性を示す図である。
【図13】比較例2の循環特性を示す図である。
【符号の説明】
1…水素ボンベ
2…第1圧力調整弁
3…第2圧力調整弁
4…燃料電池スタック
5…第1エゼクタ
6…第2エゼクタ
7…流路切替弁
8…第1開閉弁
9…第2開閉弁
10…スタック出力検出装置
11…制御装置
12…パージ弁
13…第3開閉弁
14…エゼクタ(ノズル2つを内包)
15…逆止弁
Claims (8)
- 燃料電池に新規に供給する燃料ガスを駆動流として、燃料電池から排出されたガスを循環させる燃料電池システムの燃料循環装置において、
第1エゼクタと、
第1エゼクタの新規ガス供給口に供給する新規燃料ガスの圧力を調整する第1圧力調整弁と、
第1エゼクタよりもノズル径の大きな第2エゼクタと、
第2エゼクタの新規ガス供給口に供給する新規燃料ガスの圧力を調整する第2圧力調整弁と、
第1及び第2圧力調整弁の下流部間の連通または遮断を燃料電池の運転状態によって切り替える流路切替弁と、
を備え、
第1エゼクタの下流と第2エゼクタの下流とを合流させる合流点を介して燃料ガスを燃料電池に供給する一方、燃料電池から排出されるガスを第1及び第2エゼクタに循環させることを特徴とする燃料電池システムの燃料循環装置。 - 燃料電池へ供給する燃料ガスの供給流量が第1所定流量より小さい第1運転領域では、前記流路切替弁を遮断させて、第1圧力調整弁を介して第1エゼクタに新規燃料ガスを供給し、
燃料電池へ供給する燃料ガスの供給流量が第1所定流量より大きい第2運転領域では、前記流路切替弁を連通させて、第1及び第2圧力調整弁を介して第2エゼクタに新規燃料ガスを供給することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システムの燃料循環装置。 - 前記第1所定流量は、第1エゼクタの供給流量上限未満に設定したことを特徴とする請求項2記載の燃料電池システムの燃料循環装置。
- 燃料電池へ供給する燃料ガスの供給流量が第1所定流量を超え第1所定流量より大きい第2所定流量未満の第3運転領域では、
前記流路切替弁を遮断させて、第1エゼクタも使用することを特徴とする請求項2または請求項3記載の燃料電池システムの燃料循環装置。 - 第2所定流量は、第1エゼクタの供給流量上限値と第2圧力調整弁の流量上限値との合計値未満であることを特徴とする請求項4記載の燃料電池システムの燃料循環装置。
- 前記流路切替弁の下流及び第1圧力調整弁下流で、且つ第1エゼクタの新規ガス供給口上流に、開閉弁を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の燃料電池システムの燃料循環装置。
- 前記流路切替弁の連通時に前記開閉弁を閉じることを特徴とする請求項6記載の燃料電池システムの燃料循環装置。
- 燃料電池の発電を停止する際には、燃料電池上流の全ての弁を上流側から順に閉めることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の燃料電池システムの燃料循環装置。
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