JP4901184B2 - 研磨材及び該研磨材の製造方法,並びに前記研磨材を用いたブラスト加工方法 - Google Patents

研磨材及び該研磨材の製造方法,並びに前記研磨材を用いたブラスト加工方法 Download PDF

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Description

本発明は,研磨材及び該研磨材の製造方法,並びに前記研磨材を用いたブラスト加工方法に関し,より詳細には,被加工物の加工表面を光沢面化,艶出し,鏡面化,平滑化,ヘアライン加工等する研磨や,前記被加工物の加工表面の切削,クリーニング,バリ取り等,各種加工を行うために用いられる研磨材,及び,前記研磨材の製造方法,さらに,前記研磨材を被加工物の加工表面に噴射あるいは投射して,被加工物に上述するような所望の加工を施すブラスト加工方法に関する。
なお,本願における「ブラスト加工方法」は,圧縮空気等の圧縮流体を利用して研磨材を噴射する乾式ブラストや湿式ブラスト等のエア式のブラスト加工方法のいずれも含む。
被加工物の加工表面の面粗度を向上させ,該加工表面を鏡面化,光沢面化等する研磨加工としては,一般に,研磨紙・研磨布による研磨や,バフによる研磨,ラッピング,回転する砥粒との接触による研磨,超音波振動を与えられた砥粒との接触による研磨等が用いられているが,ブラスト加工は使用されていない。これは,前記ブラスト加工が,研磨材を被加工物に対して噴射あるいは投射し,該被加工物の加工表面に前記研磨材を衝突させるものであることから,前記加工表面には梨地状の凹凸が形成されてしまうためである。
梨地状の凹凸の形成を抑制し,高精度に被加工物の表面を切削等するためには,番手#3000(4μm)程度の微細な研磨材(砥粒)を使用してブラスト加工を行うことも考えられる。
しかし,このような微細な研磨材を使用すると,個々の研磨材粒の質量が小さいためにブラスト装置のキャビネット内に形成された噴射室内でこの研磨材粒が空気中を浮遊し,視界が遮られて加工部位の監視ができず,正確な加工を行うことができない。
またこのような微細な研磨材を使用する場合,研磨材が静電気を帯びるとキャビネット内面,および被加工物に大量に付着し,これを除去するためにはイオンエアの送風,湿式洗浄が必要で,ブラスト装置にこれを行うための装置構成を設ける必要があると共に,除去作業中,ブラスト加工が中断されて作業性が低下する。
そのため,このように噴射室内で浮遊せず,かつ,静電気によるキャビネット内面や被加工物に対する付着が生じないものでありながら,前述のような微細な研磨材(砥粒)を使用したと同様の加工を行うことのできる研磨材の開発が要望されている。
このように,通常であれば,ブラスト加工によって被加工物の加工表面を鏡面等の光沢面に加工することはできないが,被加工物の加工表面への梨地の形成を抑制し,被加工物の加工表面の研磨を可能とするブラスト加工方法が提案されている。
例えば,弾力性のある多孔質の植物繊維からなる担体に,この植物繊維に含まれる脂肪分または糖分を粘着剤として研削粉を付着させてなる研磨材を,研削液を混合した上で被加工物の表面に斜めから多数噴射して衝突させ,前記担体を塑性変形させながら前記研磨材を被加工物の加工表面で滑走させて,上記研削粉により被加工物の加工表面を仕上げる研削方法(特許文献1参照)や,
水を含有することにより所望の弾力性と粘着性を有する核体と,この核体の表面に前記粘着性により粘着された複数の砥粒とから成る研磨材を用い,前記研磨材を該研磨材の核体に水を保持した状態にて被加工物に噴射して衝突させ,被加工物の加工表面を研磨する研磨方法がある(特許文献2参照)。
このほか,上述するような研削加工を可能とする研磨材として,1個または複数の砥粒と,この砥粒と一体的に結合されかつ上記砥粒より反発係数が大きい弾性物質とを具備する粒状研磨材が提案されている(特許文献3参照)。
この発明の先行技術文献情報としては次のものがある。
特許2957492号公報 特開2001-207160号公報 実開昭55-98565号公報
前掲の特許文献1〜3記載の研削・研磨方法や研磨材によれば,前記研磨布,研磨紙,バフ,回転する砥石等を用いた従来の研磨方法によることなく,ブラスト加工方法によって被加工物の加工表面を研削・研磨することができる。
しかし,上記特許文献1記載の方法にあっては,使用する研磨材の担体を植物繊維から生成していることから,例えばエア式のブラスト加工の際に通常用いられる噴射圧力で噴射すると該研磨材が破砕,破損し,研磨材としての機能を果たさなくなってしまうため,低速の噴射速度にて噴射する必要があり,その結果,研磨効率が低いものとなる。
このほか,前記研磨材は,前記担体となる植物繊維に含まれる脂肪分または糖分を粘着剤として研磨粉を付着させて成るものであることから,被加工物との衝突時に発生した摩擦熱等の加工熱や機械的エネルギーによって,担体に付着していた研磨粉が時間の経過と共に剥離,脱落等し,研磨材の研磨力が低下する。このため,一定の加工時間の経過後,研磨粉を担体に新たに付着させるべく,粘着剤や研磨粉を補給する研磨材再生工程が必要となる。
さらに,前記加工熱によって前記担体内の水分が蒸発すると,該担体の粘着性のみならず弾力性も低下し,また硬化する等して,被加工物の加工表面が梨地に形成されたり,研磨効率が低下するという問題もある。
また,特許文献2記載の方法においては,使用する研磨材の核体が,水を含有することによって所望の弾性力と粘着性を有するものであるため,特許文献1記載の方法と同様,前記研磨材が被加工物との衝突する際に発生した加工熱等によって核体の水分が蒸発すると,砥粒の保持能力が低下して該砥粒が剥離,脱落し,研磨効率が低下してしまうほか,上述する問題のように,前記核体の弾性力が低下したり硬化することによって被加工物の表面が梨地化する等,所望の加工状態にならなくなるといった問題が生じる。このため一定の加工時間の経過後,核体に水分を新たに付与,補給する研磨材再生工程が必要となるか,核体に予め蒸発防止剤を添加しておく等の特殊な加工が必要となる。
なお,前記特許文献1及び2に記載の研磨材にあっては,前述のように乾式でのブラスト加工に使用する場合には,砥粒が剥離,脱落し易く,ブラスト加工を連続的に長時間行う事は,出来ず,長時間の自動運転装置での使用に問題が生じる。またこのような砥粒として微小な研磨材を使用すると,前述のように微小な研磨材を単体で使用した場合と同様,キャビネット内での砥粒の浮遊や,静電気によるキャビネット内壁,被加工物に対する付着等の問題が生じる。
一方,特許文献3記載の研磨材は,前記特許文献1,2における研磨材のように担体が水分を含んでおらず,被加工物との衝突時に発生する加工熱によって該担体の水分が蒸発するといった問題が生じないことから,砥粒を保持する担体の弾性力や砥粒の保持力等が変化して研磨効率が低下することはない。
しかし,前記特許文献3記載の研磨材を用いた場合であっても,被加工物を加工するとその加工表面には未だ梨地状の凹凸が形成されてしまい,鏡面仕上げ等の研磨に適さないという問題があった。
研磨材の投射によって被加工物の表面を鏡面等に加工する場合,投射された研磨材を被加工物の表面に沿って滑らせることが必要となるが,前記特許文献3記載の研磨材にあっては,担体として「反発係数が大きい弾性物質」を使用することを必須の構成とするために,この担体の持つ弾性力によって,被加工物に衝突した研磨材が該被加工物の加工表面を滑ることなく反跳するか,前記加工表面を滑る場合でもその距離が短くなってしまい,鏡面仕上げ等の研磨に適さないものとなっていると考えられる。
以上のことから,本発明は,比較的簡易な構造から成ると共に,被加工物の加工表面の面粗度を向上させて鏡面等の光沢面とする研磨や切削,その他,被加工物の表面粗さの調整や平滑化等の加工を既存のブラスト加工装置を使用して高効率に行なうことができ,噴射室内における研磨材の浮遊や静電気による付着を生じさせることなく,長時間又は複数回にわたっての使用に耐え得る研磨材及び該研磨材の製造方法,並びに前記研磨材を用いたブラスト加工方法を提供することを目的とする。
又,装置内に装填されている研磨材の砥粒の材質は勿論,粒度測定器(レーザー法,電気抵抗法,篩等)によらず,その粒子径等(粒子形状を含む)を目視により所望の材質,粒径であるか否かを判断することは困難である。
さらに,目視で研磨材の砥粒の粒径等を判断する事ができないと,所望の砥粒の研磨材を使用することなく部品をブラスト加工してしまう場合がある。この場合,加工物に不必要な研削すなわち,大きなキズを発生させることとなる。加工物が高価な場合は,その損害は大きいものとなる。
砥粒の大きさ,材質を確認するために,光学顕微鏡で砥粒の粒径等を確認することは出来るが,粒径#240以上(50μm以下)になると電子顕微鏡による粒径の確認が必要である。この場合は,測定等のコスト高となる。
上記目的を達成すべく,本発明の研磨材は,
圧縮流体と共に噴射して使用されるブラスト加工用の研磨材であって,低反発弾性の弾性体である母材内に砥粒が分散されて成り,研磨材を100mass%とした場合の該研磨材における前記砥粒の配合割合(含有率)が60〜90mass%となるよう,前記母材10〜40mass%に対して前記砥粒60〜90mass%を配合分散して加工表面に対する衝突時における反跳を防止し得る反発弾性率抑えることにより,加工表面に衝突後,該加工表面を滑走可能として成ることを特徴とする(請求項1)。
前記研磨材における前記砥粒の配合は,研磨材100mass%に対して好ましくは,前記砥粒を70mass%以上配合することができる(請求項2)。
さらに,前述,目視で研磨材の砥粒の粒径等を判断するため,本発明に於いては,例えば酸化チタン,酸化亜鉛,カーボンブラック,ホワイトカーボン,シリカ,マイカ,アルミ粉末,金属フレーク,酸化鉄,アゾ系染料,アントラキノン系染料,インジゴ染料,硫化染料,フタロシアニン染料等,無機顔料,有機顔料の着色材を使用することができる(請求項3)。またこれらの蛍光着色剤を研磨材に添加配合し,さらに芳香剤,抗菌剤をしても良い。
また,前記本発明の研磨材の製造方法は,
低反発弾性の弾性体である母材を成すポリマー原料及び配合剤10〜40mass%と,砥粒60〜90mass%とを混練した後,粒状体へと成形することにより,加工表面に対する衝突時における反跳を防止し得る反発弾性率抑えられ,加工表面に衝突後,該加工表面を滑走可能と成す,圧縮流体と共に噴射して使用されるブラスト加工用の研磨材を得ることを特徴とし(請求項4),これにより研磨材100mass%に対して砥粒を60〜90mass%の配合割合とする。
さらに,前記本発明のブラスト加工方法は,
前記本発明の研磨材を,圧縮流体と共に被加工物の加工表面に対して0〜90°の入射角で噴射することを特徴とする(請求項5)。前記入射角は好ましくは0〜70°,より好ましくは0〜60°,一例としては45°とすることができる(請求項6)。
本発明の研磨材は,弾性体である母材内に砥粒を分散して成ると共に,前記研磨材における前記砥粒の配合割合(含有率)を所定範囲内とすることにより,前記研磨材における前記砥粒と前記母材との結合を保ちつつ,該研磨材の反発弾性率を抑え,良好な研磨加工や切削加工を行なうことができる。
すなわち,弾性体である母材90〜10mass%に対して砥粒10〜90mass%を配合分散して研磨材成すことにより,研磨材を被加工物の加工表面へと噴射あるいは投射して前記研磨材が被加工物の加工表面に衝突した際,衝突により生じた衝撃を前記母材の弾性力によって吸収・緩和して打痕の形成を防止することができると共に,前記母材の弾性力によって前記加工表面との衝突後に前記研磨材が前記加工表面を滑走することなく又は滑走距離が少ないまま反跳してしまうことのないように,研磨材の反発弾性率を調整することができるため,該加工表面に梨地状の凹凸が形成されることを防止することができ,前記被加工物の加工表面に沿って研磨材を好適に滑走させることが可能となる。
また,前記研磨材100mass%における前記砥粒の配合割合(含有率)を10mass%以上とすることにより,研磨材の表面に存在する砥粒の密度が小さくなりすぎて研削力が低下し,加工能力が低下することを防止することができ,加工効率を高い状態で維持することができる。
さらに,研磨材100mass%における前記砥粒の配合割合を90mass%以下とすることにより,砥粒と母材の結合状態を維持することができ,前記研磨材が被加工物の加工表面に衝突する際,衝突エネルギーによって該研磨材が著しく破砕してしまったり,破砕した前記研磨材によって加工表面が梨地状となってしまうことを防ぐことができ,前記被加工物の加工表面に沿って研磨材を好適に滑走させることが可能となる。
このほか,前記母材が粉塵爆発を起すおそれのある材質である場合であっても,研磨材100mass%に対し,粉塵爆発を起さない材質から成る前記砥粒の含有率を70mass%以上とすることにより,前記研磨材が微粒子化することによって生じる粉塵爆発を防止することができる。
さらに,本発明の研磨材にあっては,砥粒が母材表面に付着されているのではなく,母材内にも分散されていることから,被加工物への噴射,該被加工物の加工表面の研磨や切削,前記研磨材の回収や分流等,ブラスト加工工程において生じる種々の衝撃や摩擦等により前記研磨材の前記母材表面に存在する砥粒が抜脱,剥離したり,破砕,摩耗等した場合であっても,前述するブラスト加工工程内の衝撃や摩擦によって前記母材も摩耗,破砕することによって該母材内の新たな砥粒が表面へと出現するため,研磨材の研削能力を保持することができる。
したがって,本発明の研磨材は耐久性に優れると共に研磨材再生工程が必要なく,長時間,複数回にわたって使用することができ,研磨材循環型の加工ラインにも好適に使用可能である。
また,本発明の研磨材は,前述のように母材中に砥粒を分散したものであり,研削,切削等の作用を生じさせる砥粒を母材中に分散させて比較的大きな粒径の研磨材として噴射することができる。その結果,これをブラスト装置等によって噴射したとしても,研磨材自体が空気中を浮遊したり,または静電気によってキャビネット内壁や被加工物に付着し難いものである。しかも,前述のように砥粒と母材との結合が保たれていることから,砥粒として番手#3000(4μm)程度の微細な研磨材(砥粒)を分散したものであっても,砥粒が母材より剥離乃至脱落して,噴射室内の視界を遮る程に浮遊したり,静電気によりキャビネット内面,被加工物に多量に付着することがない。
その一方,本発明の研磨材を構成する母材は,前述のように弾性体によって構成されており,被加工物に対する衝突時,この母材部分は切削等の作用を被加工物に及ぼすものではなく,このような切削等の作用は母材中に分散された砥粒によって発揮される。そのため,分散する砥粒を微細なものとすることで,微細な研磨材(砥粒)を直接噴射して加工を行うと同様の高精度の加工が可能である。
さらに,本発明のブラスト加工方法によれば,前述する本発明の研磨材を被加工物の加工表面に所定の入射角で噴射あるいは投射するという簡易な方法によって,該加工表面に所望の研磨加工,切削加工等を施すことができる。
特に,前記入射角を0〜70°の範囲とすることにより,前記加工表面に衝突した前記研磨材が反跳することを防止して,該加工表面上を良好に滑走させることができるため,前記加工表面に梨地状の凹凸が形成されるのを抑制しつつ,前記加工表面を研磨,切削するといった所望のブラスト加工をより一層好適に行なうことができる。
また,研磨材に添加した染料,顔料などにより,砥粒の材質,粒子径を目視により判断することができる。
以下,本発明の実施形態につき説明する。
研磨材
本発明の研磨材は,母材となる弾性体に研削能力を有する砥粒を分散して成り,前記母材の弾性力を利用して,前記研磨材が被加工物の加工表面に衝突した際に該加工表面に打痕が形成されるのを好適に防止することを可能とするほか,前記研磨材における砥粒の含有率を所定範囲内として該研磨材の反発弾性率を抑えることにより,前記加工表面に衝突した前記研磨材が前述する母材の弾性力によって反跳するのを防止できるものであり,前記加工表面との衝突時に発生する衝撃を吸収しつつ該加工表面を滑走させて,前記加工表面に梨地状の凹凸が形成されることを防ぎつつ研磨や切削等のブラスト加工を施すことを可能とするものである。
また,本発明の研磨材と被加工物との衝突部分を見た場合,研磨材との衝突部分における被加工物の表面のうち,母材と衝突した部分には,母材の持つ前述の弾性力によって衝突の影響は与えられず,切削等の作用はこの母材中に分散された砥粒との衝突部分によって発揮される。これにより母材中に分散された砥粒を単体で噴射した場合と同様のブラスト加工を,全体として比較的粒径が大きく,取り扱い等に便利な本発明の研磨材によって可能とするものである。
また,前記研磨材の粒度は特に限定されるものではなく,研磨材や加工対象となる被処理物の材質,加工目的等に応じて適宜変更可能であるが,一例として粒径を3mmから0.02mmとすることができる。特に,微小領域の切削,研磨においては,粒径の小さい微細な研磨材を使用することが有効である。
また,前記研磨材に含まれる砥粒として平均粒径1μm(#8000)以下の微粒子を使用する場合には,研磨材の粒径も小さくすることによって,該研磨材表面の単位面積あたりの前記砥粒の密度を高めることができるため,砥粒を有効に利用することができるという利点がある。
以下,研磨材を構成する母材及び砥粒,これらの配合割合,及び前記研磨材の製造方法について説明する。
〔母材〕
母材は,本発明の研磨材において研削能力を有する砥粒をその内部及び表面に担持する担体となるものであり,前記研磨材が被加工物の加工表面に対して噴射され前記加工表面に衝突した際,該加工表面に食い込む等の影響を与えることを防止する観点から,弾性体から成るものとし,後述するような原料ポリマーに各種配合剤を配合して構成される。
原料ポリマー
主原料となる原料ポリマーは後述する各種添加剤を加えることによりゴム,熱可塑性エラストマー等の弾性体を成すもので,固体のほか,液状ゴムやエマルジョン等のラテックスの形態のものが使用できる。また,前記母材並びに該母材を含む前記研磨材の反発弾性率を抑える観点から,その特性上,低反発弾性であるものが好ましい。
前記ゴムとしては,天然ゴムのほか,各種合成ゴムも使用でき,例えば,イソプレンゴム,スチレンブタジエンゴム,ブタジエンゴム,アクリロニトリルブタジエンゴム,クロロプレンゴム,エチレンプロピレンゴム,クロロスルフォン化ポリエチレン,塩素化ポリエチレン,ウレタンゴム,シリコンゴム,エピクロルヒドリンゴム,ブチルゴム等を挙げることができる。
また,前記熱可塑性エラストマーとしては,スチレンブロックコポリマー,塩素化ポリエチレン系エラストマー,ポリエステル系エラストマー,ニトリル系エラストマー,フッ素系エラストマー,シリコン系エラストマー,エステルハロゲン系ポリマーアロイ,オレフィン系エラストマー,塩ビ系エラストマー,ウレタン系エラストマー,ポリアミド系エラストマー,エステルハロゲン系ポリマーアロイ等がある。
これらの原料ポリマーであるゴム,熱可塑性エラストマーは,単独で用いるほか,複数種を混合(併用)して用いても良い。
また,回収廃棄製品や製造工程において排出される廃棄物をリサイクルして得られたゴムや熱可塑性エラストマーを使用しても良い。
配合剤
前記原料ポリマーは,各種の配合剤と混合された上で母材を成す弾性体として加工される。
なお,以下,原料ポリマーとしてゴムを使用する場合について説明すると,ゴムポリマーに混合される前記配合剤としては,ゴム分子間を架橋するための加硫剤,前記加硫剤による架橋反応を促進するための加硫促進剤のほか,ゴムに可塑性を与えて配合剤の混合・分散を助け,圧延や押出等の加工性をよくするための可塑剤,ゴム製造時に要求される粘着性を与えて加工性を良くするための粘着付与剤,増量によって製品コストを低下させるほか,ゴムの物性(引っ張り強さや弾性等の機械的特性等)や加工性を向上させるための充填剤,また,安定剤,分散剤等,一般にゴム成形に用いられている各種の配合剤が挙げられる。
前記充填剤としては,研磨材に重量を付与する目的から,例えば,砥粒の硬度より低い金属,セラミックス,無機物樹脂等を使用することができ,これらを配合することによってブラスト加工に適した研磨材密度となるように調整することができる。また,静電防止のため,カーボンブラックや金属粒子等の導電性を有する物質を使用することもできる。
上記実施形態にあっては,原料ポリマーをゴムポリマーとしたが,上述するように原料ポリマーとして熱可塑性エラストマーを用いてもよく,この場合には熱可塑性エラストマーの成形に一般に用いられる各種の配合剤が使用可能である。
〔砥粒〕
砥粒は,被加工物に施す加工の目的に応じて,被加工物との接触により研削,表面の平滑化,表面粗さの調整等の一又は複数の作用を及ぼす能力を有し,本発明の研磨材において被加工物を研磨,切削,クリーニング,摩擦抵抗の減少,疲労強度の向上等をもたらす役割を担うもので,前述した原料ポリマー及び配合剤から成る母材に分散される。
前記砥粒としては,前記母材に分散することができると共に,ブラスト加工によって被加工物を所望状態に加工することが可能な材質であれば特に限定はなく,一般に研磨材として使用される各種の材質を使用可能であり,ホワイトアランダム(WA)やアランダム(A)等のアルミナ,グリーンカーボランダム,ダイヤモンド等,一例として下記の表1に示すようなものを使用することができる。また,これらを1種以上混合したものを使用してもよい。
前記砥粒の粒度についても限定はなく,母材と共に製造される最終的な研磨材の粒径等に応じて適宜選択可能であるが,例えば1mmから0.1μmの範囲のものを使用できる。なお,被加工物の加工表面を光沢化する鏡面加工等を行なう場合には,6μm以下(#2000以上)の細砥粒を使用することが好ましい。本発明の研磨材にあっては,平均粒径が1μm以下(#8000以上)の細砥粒を用いることも可能である。
また,被加工物の加工表面を所望の形状に切削加工する場合には,30μm以上(#400以下)の粗砥粒を使用することが好ましい。本発明においては1mmの砥粒の使用もできる。
切削加工に使用する研磨材に分散する砥粒の粒度は,切削後の表面の粗さ,切削速度により適宜選定すればよい。一般的なブラスト加工では加工工具による切削痕を消失させる事はできず,その切削痕の段差を概略保持しながらその表面は砥粒の粒度による表面粗さとなるが,本加工法を用いればその加工痕を消失させることも可能である。
前記砥粒の形状についても,被加工物の材質や,ブラスト加工を行う目的(例えば,被加工物の加工表面にどの程度の光沢,表面粗さを与える研磨を行なうか)やブラスト加工条件等によって適宜変更可能であり,球形のみならず,多角形,円柱状,薄片状,針状及びこれらが混在した状態等,各種形状を広く使用することができる。
〔配合割合〕
前記研磨材における前記砥粒の配合割合(含有率)は,研磨材を100mass%とした場合,10〜90mass%の範囲とすることが好ましい。
これは,研磨材の質量を100mass%とした場合,該研磨材に占める前記砥粒の含有率が10mass%以下であると,弾性体である母材の影響により研磨材の反発弾性率が大きくなり,被加工物の加工表面へと噴射された研磨材は,加工表面に衝突後,該加工表面を滑走することなく反跳するか,あるいは前記加工表面を滑る距離が少なくなってしまうという問題があり,また,研磨材の表面に存在する砥粒の密度が小さくなりすぎることから,研削力が低下し,加工能力が低下するという問題も生じるためである。
一方,前記砥粒の含有率が90mass%を超えると,砥粒が支配的となり,砥粒と母材の結合度が弱くなるため,噴射により被加工物の加工表面に衝突した際,衝突エネルギーによって研磨材が著しく破砕してしまうほか,破砕した前記研磨材によって前記被加工物の切削面,研磨面(加工表面)は梨地状となってしまうという問題が生じるためである。
なお,研磨材中の前記砥粒の配合割合は,好ましくは,研磨材を100mass%として砥粒を60〜90mass%とすることができ,これによって前記反発弾性率及び研削力を維持しつつ,研磨材が破砕することをさらに好適に防止することができる。
特に,研磨材中の砥粒含有率が70mass%を超える場合には,母材が粉塵爆発を起すおそれのある材質であっても,砥粒に粉塵爆発を起さない材質を用いることにより,研磨材が微粒子化しても粉塵爆発を防止することが可能である。
さらに,本発明の研磨材にあっては,砥粒が母材表面に付着されているのではなく,母材内にも分散されていることから,被加工物への噴射,該被加工物の加工表面の研磨や切削,前記研磨材の回収や分流等,ブラスト加工工程において生じる種々の衝撃や摩擦等により前記研磨材の前記母材表面に存在する砥粒が抜脱,剥離したり,破砕,摩耗等した場合であっても,前述するブラスト加工工程内の衝撃や摩擦によって前記母材も摩耗,破砕することによって該母材内の新たな砥粒が表面へと出現するため,研磨材の研削能力を保持することができる。
したがって,本発明の研磨材は耐久性に優れると共に研磨材再生工程が必要なく,長時間,複数回にわたって使用することができ,研磨材循環型の加工ラインにも好適に使用可能である。なお,前述するような新たな砥粒の出現は,前記母材の材質や,研磨材における砥粒の配合割合(含有量),生産プロセス等を適宜変更して,前記母材の摩耗,破砕割合,研磨材の脆さ等を調整することにより,好適に実現することができる。
なお,目視で研磨材の砥粒の粒径等を判断するため,例えば酸化チタン,酸化亜鉛,カーボンブラック,ホワイトカーボン,シリカ,マイカ,アルミ粉末,金属フレーク,酸化鉄,アゾ系染料,アントラキノン系染料,インジゴ染料,硫化染料,フタロシアニン染料等,無機顔料,有機顔料の着色材を添加配合して使用する。また,これらの蛍光着色剤を研磨材に添加配合し,さらに芳香剤,抗菌剤を添加配合しても良い。
〔製造方法〕
本発明の研磨材は,原料ポリマーとして上述のゴム(原料ゴム)を用いる場合,既知のゴム製造の加工工程を経ることにより製造することができる。
一般にゴム製品は,混練工程,圧延・押出工程,成形工程,加硫工程の4工程を経て製造されるため,以下,上記4工程に沿って本発明の研磨材を製造する方法について述べる。
まず,混練工程において,原料ゴムの素練り(原料ゴムに機械的剪断力を加え,分子の凝集をほぐしたり分子鎖を切断する等して,配合剤の混合や成形加工をしやすいレベルまでゴムの可塑性,流動性を調整する)を行なった後,混練り(素練りした原料ゴムと配合剤(軟化剤,充填剤,分散剤,安定剤,活性剤,補強剤,粘着剤,酸化防止剤,オゾン劣化防止剤,難燃剤,発泡剤,着色剤,紫外線吸収剤,滑剤,加硫剤,加硫促進剤,加硫促進助剤等)とを混合し,機械的な剪断力を加えてゴムに可塑性を付与すると共に,配合剤をゴム中に分散させる)を行なう。本発明では,母材中に砥粒を分散して研磨材を構成することから,前記混練り工程において,配合剤のほか,前記砥粒も加えて混練りを行なう。
前記混練工程の素練り,混練りには,公知の各種混練機を使用することができ,例えば,バンバリーミキサーに代表される密閉型混練機や,オープンロール,ニーダー,剪断力を利用しつつ混練を行なうことが可能な攪拌機等を挙げることができる。
次に,圧延・押出工程へと進み,前記配合剤や砥粒と共に混練され可塑性の調整された前記原料を,平板状やシート状,塊状等に加工し,後続する成形工程において成形可能な状態にする。
この工程において使用する装置としては,複数個のロールを配列して成るカレンダーや,スクリューを備えた押出機等を挙げることができる。
前述のように圧延・押出工程において適当な形状に加工された原料は,成形工程において,所定の大きさ,形状に成形される。本発明にあっては,研磨材を製造することから,平板状やシート状,塊状となっている前記原料を細粒化するため,ペレット状に粉砕し,規定の粒度となるように篩い分ける。粉砕には公知の各種粉砕機を使用することができる。
その後,前記成形工程で得られた粒状体は,加硫工程にて加熱され,該粒状体内に含まれる加硫剤によって架橋反応を起こして,砥粒を除く母材が弾性体に加工される。前記加硫工程においても既知の各種装置を使用することができ,例えば,プレス,加硫缶,押出型の連続加硫機等を挙げることができる。
なお,前記粒状体への成形(成形工程)と加硫による架橋(加硫工程)は,順番を逆にすることもでき,例えば圧延・押出工程において適当な形状に加工された原料をそのまま加硫工程へと移行して弾性体へと加工した後,これを成形工程において粉砕して粒状体とすることとしてもよい。
また,前記原料ポリマーとして熱可塑性エラストマーを用いた場合には,既知の熱可塑性エラストマーの加工工程を経ることにより製造することができ,原料ポリマーの素練りと,配合剤及び砥粒を添加した上での混練を行なう混練工程,混練した原料を融点以上に加熱し,溶融した原料を押出・射出等する成形工程,このように成形された弾性体を粉砕し,規定の粒度となるように篩い分ける粉砕工程を経て所望の粒度の研磨材を製造することができる。なお,前記混練工程においては,ロール,加圧ニーダー,インターナルミキサー等を一例として使用することができる。
ブラスト加工方法
本発明のブラスト加工方法は,前述する本発明の研磨材を被加工物の加工表面に噴射あるいは投射することによって該加工表面を研磨,切削等して,鏡面化,平滑化,バリ取り,クリーニング,模様形成,摺動抵抗の減少,疲労強度の向上等,所望状態に加工,乃至は所望の性質を付与するものである。
本発明の前記ブラスト加工方法は,既知の各種ブラスト加工装置を用いて実施することができ,本実施形態にあっては,圧縮流体によって研磨材を噴射するエア式のブラスト加工装置を用いる場合について説明するが,このほかにも遠心式や平打式等の機械式のブラスト加工装置によって研磨材を投射することとしてもよい。
〔研磨材の噴射〕
前記研磨材の噴射は,圧縮流体により加速して噴射する既知の各種のブラスト加工装置を用いて行なうことができる。前記ブラスト加工装置としてエア式の加工装置を用いる場合,噴射ガンから圧縮流体と共に研磨材を噴射することが可能なものであれば,その形式は,直圧式やサイホン式,重力式等の乾式,液体ホーニング等の湿式のいずれを使用しても良く,特に限定されない。なお,省エネルギーの観点からは,使用電力に対する出力の効率がよく,入力エネルギーが有効に利用できる直圧式が好ましい。
研磨材を加速する圧縮流体についても,気体,液体及びこれらの混合体等のいずれを使用してもよく,一例として,圧縮空気,その他の圧縮ガス,例えば,窒素ガス,アルゴンガス,炭酸ガス等を使用することができる。これらの圧縮気体は,それぞれ単体での使用,あるいは,複数種類を混合して使用しても良い。
圧縮流体の噴射圧力は,研磨材を噴射ガンより噴射したときに研磨材に所望の速度エネルギーを付与できれば良く,加工目的(研磨か切削か等),使用する研磨材,被加工物の材質,加工条件,その他各種の条件に応じて種々の範囲より選択可能であり,大気圧以上で噴射エネルギーを制御できる範囲であれば特に限定されない。一例として,0.01MPa〜1.0MPaとすることができる。
〔被加工物に対する研磨材の入射角の調整〕
前述のように,本発明のブラスト加工方法にあっては,弾性体を母材とした前記本発明の研磨材を被加工物の加工表面に対して噴射し,該加工表面を研磨,切削等することによる鏡面化,バリ取り,クリーニング,模様形成,摺動抵抗の減少,疲労強度の向上等,所望状態に加工,乃至は所望の性質を付与するものであり,各種の加工目的に応じて,被加工物の表面に対する入射角を0〜90°の範囲で適宜調整可能である。
もっとも,加工の目的が例えば切削工具によって生じた切削痕の除去や鏡面化等の表面粗さの調整等,被加工物の表面で研磨材を滑走させることが有効である場合には,該加工表面に衝突した前記研磨材が反跳することなく前記加工表面上を滑走するのを可能とすることにより,該加工表面に梨地状の凹凸が形成されることを防ぎつつ該加工表面を研磨加工,切削加工等することができる入射角に調整するものである。
したがって,前記加工表面に噴射された研磨材が被加工物の加工表面上を良好に滑走することができるのであれば,前記研磨材の前記加工表面に対する入射角θ(前記研磨材の噴射方向と前記加工表面とが成す角度)は任意に選択可能であるが,具体的には0〜70°,さらには60°以下とすることが好ましく,一例としては45°とすることができる。
鏡面仕上げのための研磨加工等,前記研磨材が前記被加工物の加工表面を滑る距離を長くすることが必要な加工においては,前記入射角をさらに小さくすることが好ましい。前記入射角が小さいほど,研磨材が被加工物の加工表面を滑る距離を長くすることができる。
〔被加工物〕
本発明のブラスト加工方法は,研磨加工や切削加工の対象となる各種材質の製品を被加工物とすることができ,具体例を挙げると,炭素鋼,工具鋼,高速度鋼,軸受鋼,ステンレス鋼,超硬合金,アルミおよびその合金,銅およびその合金,マグネシウム合金,チタンおよびその合金,ガラス,石英,セラミックス,プラスチックおよび木材,塗装面等の有機物等から成る被加工物に対して使用することができる。
研磨材における砥粒の存在状況試験
製造直後
製造直後における本発明の研磨材の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると共に,SEM装置に併設したエネルギー分散型X線分析装置により,SEM像に対応した部位の元素分析(面分析)を実施し,その組成分析を行った。装置としては堀場製作所製HORIBA EMAXを使用した。その結果を図1に示す。
なお,該研磨材の母材はブタジエン・アクリロニトリル共重合体(NBR),砥粒はホワイトアランダム(アルミナ)であった。
SEM像(図1(A))より,研磨材表面に砥粒が高密度で出現していることを確認した。また,組成分析結果であるアルミニウムの検出信号(図1(B))は,図1(A)のSEM像の個々の表面形状にほぼ一致しており,酸素の検出信号(図示省略)についても同様の像を得たことから,該砥粒がアルミニウム及び酸素から成るアルミナ(ホワイトアランダム)であることが確認できた。
使用後
また,本発明の研磨材の耐久性を確認すべく,該研磨材をブラスト加工に使用し,ブラスト加工後の前記研磨材表面における前記砥粒の存在状況を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。なお,前記研磨材の母材はブタジエン・アクリロニトリル共重合体(NBR),砥粒は粒度#10000のグリーンカーボランダムである。
前記ブラスト加工は,ノズル径を5mm,研磨材タンク内量を500gとしたエア式のブラスト加工装置FDQ3(株式会社不二製作所製)を用いて,SUJ-2から成る被加工物の加工表面に対し,該研磨材を噴射圧力0.5MPa,噴射距離(ノズル20先端から被加工物の加工表面10に至る噴射方向上の距離x)50mm,噴射角度(入射角θ)45°,噴射量1kg/1minで28時間噴射するものとし,これによって約3000ショット後の研磨材の状態を観察可能とした。
その結果,SEM像(図2)により,前記研磨材表面から砥粒が脱落している等,研磨材表面における前記砥粒の存在割合が低下している様子は見受けられず,ブラスト加工へ使用する前の該研磨材とほぼ同状態であることが確認できた。
切削加工試験
本発明の研磨材の切削能力を確認すべく,被加工物として軸受鋼SUJ-2を鏡面加工したものを用い,これに前記研磨材によりブラスト加工を施して,前記被加工物の加工表面の切削痕を観察した(図3)。研磨材は,母材をブタジエン・アクリロニトリル共重合体(NBR),砥粒をホワイトアランダム(アルミナ)とし,平均粒径0.8mm(砥粒の粒度#3000)とした。ブラスト加工装置は,ノズル径5mmのエア式のブラスト加工装置FDQ3(株式会社不二製作所製)とし,被加工物の加工表面に対し,該研磨材を噴射圧力0.5MPa,噴射距離50mm,噴射角度45°にて噴射した。
その結果,図3によれば,被加工物の加工表面には前記研磨材の噴射方向に沿って伸びた直線的な多数の切削痕が形成されていた。したがって,本発明の研磨材によれば,被加工物の加工表面に梨地状の凹凸が形成されることを好適に防止することができ,かつ,前記研磨材が前記加工表面上を滑走することにより該加工表面を略平行に切削することができることが確認された。
研磨試験
各種材質から成る被加工物に対して本発明の研磨材を用いてブラスト加工を施し,研磨状態を確認した。
研磨状態の確認は,表面粗さ形状測定器サーフコム130A(株式会社東京精密製)にて各実施例,比較例の加工表面の表面粗さRa,Ry,Rzを求めるほか,該加工表面の粗さ曲線を求め,グラフ化した。
研磨試験1
被加工物としてソーダーガラスを用い,これにアランダムから成る粒度#600の研磨材(株式会社不二製作所製フジランダム)を噴射角度90°でブラスト加工したものを比較例1,前記比較例1に対し,粒度#4000のホワイトアランダムを砥粒とし,ブタジエン・アクリロニトリル共重合体を母材とした平均粒径0.8mmの本発明の研磨材(以下,「研磨材A」という。)を噴射角度45°でブラスト加工したものを実施例1,前記実施例1に対し,粒度#8000のホワイトアランダムを砥粒とし,ブタジエン・アクリロニトリル共重合体を母材とした平均粒径0.8mmの本発明の研磨材(以下,「研磨材B」という。)にて噴射角度45°でさらにブラスト加工を施したものを実施例2とし,これらの加工表面の状態を確認した。なお,前記研磨材A,Bは,ガン(ノズル)3型を備えたエア式のブラスト加工装置SFK−2(不二製作所製)を用いて,噴射圧力0.5MPa,噴射距離50mm,噴射時間30秒,噴射量500g/minで噴射した。
その結果,表面粗さは下記表2のように,また,粗さ曲線は図4〜6のようになった。
上記表面粗さ及び粗さ曲線の結果によれば,研削能力を有する材質のみから構成された研磨材を加工表面に対して90°の噴射角度で噴射して梨地状の凹凸が形成された比較例1と比較して,実施例1,2では,該比較例1に対してさらに本発明の研磨材を用いたブラスト加工が施されていることから,加工表面の表面粗さが低減されている。特に,実施例2は,実施例1をさらに粒度の小さい砥粒を備えた研磨材でブラスト加工していることから,比較例1と比べて大幅に表面粗さの低減が図られている。
また,図4〜6に示す粗さ曲線によれば,前記比較例1(図4)ではその凹凸が鋭角であるのに対し,前記実施例1(図5)及び実施例2(図6)では,凹凸(特に凸部)が丸みを帯びていることから,表面が滑らかとなっている。
したがって,本発明の研磨材を用いれば,良好に研磨加工を行なえることが確認できた。
研磨試験2
被加工物としてSKD11を用い,これに研磨材として#300のスチールショット(株式会社不二製作所製スチールビーズ)を噴射角度90°でブラスト加工したものを比較例2,前記比較例2に対して,前述の本発明の研磨材Bを噴射角度45°でブラスト加工したものを実施例3とし,これらの加工表面の状態を確認した。なお,前記研磨材は,ノズル径を5mmとしたエア式のブラスト加工装置FDQ3(不二製作所製)を用いて,噴射圧力0.5MPa,噴射距離50mmで噴射した。
その結果,表面粗さは下記表3のように,また,粗さ曲線は図7,8のようになった。
このことから,本発明の研磨材を用いれば,表面が粗く,梨地状となった被加工物の加工表面を好適に平滑化することができ,所望の研磨加工を施すことができることがわかった。
研磨試験3
被加工物としてSUP3を用い,これに研磨材として、これにアランダムから成る粒度#600の研磨材(株式会社不二製作所製フジランダム)を噴射角度90°でブラスト加工したものを比較例3,前記比較例3に前述の本発明の研磨材Aを噴射角度45°でブラスト加工したものを実施例4,前記実施例4に前述の本発明の研磨材Bを噴射角度45°でさらにブラスト加工したものを実施例5とし,これらの加工表面の状態を確認した。なお,前記研磨材は,ノズル径を5mmとしたエア式のブラスト加工装置FDQ3(不二製作所製)を用いて,噴射圧力0.5MPa,噴射距離50mmで噴射した。
その結果,表面粗さは下記表4のように,また,粗さ曲線は図9〜11のようになった。
このことから,本発明の研磨材を用いれば,表面が粗く,梨地状となった被加工物の加工表面を好適に平滑化することができ,所望の研磨加工を施すことができることがわかった。特に,砥粒の粒度の小さい研磨材を用いることで,前記研磨加工をより一層効果的に行なうことができるといえる。
その他の実施例(本発明の研磨材の使用例)
金型の研磨・クリーニング・鏡面化
樹脂金型,ゴム金型,ガラス金型,粉末冶金金型,プレス金型,鍛造金型等に対し,いずれともにブラスト加工の利点である噴射ガンを自由に角度変化できる利点を利用し,本発明の研磨材を使用したブラスト加工を異形状の金型の研磨,鏡面化に利用した。
金型は成型のショット回数が増加すると,成型材料である樹脂,ゴム,ガラス等が焼き付き,定期的にクリーニングする必要がある。従来このクリーニングには金型材料より硬度が低い研磨材の噴射により除去する事が一般的に行われている。
一例として,樹脂成型用金型に対し,樹脂製の研磨材(ポリプラスPP#60-80,株式会社ユー.エス.テクノロジー,ファーイースト製)をサンドブラスト装置「SGF-3」(株式会社不二製作所製)を使用して,噴射圧力0.3MPaにて噴射し,クリーニングを実施した。その結果焼きついていた樹脂は除去されたが,金型の表面がやや曇り,鏡面を得ることはできなかった。
これに対し,本発明の研磨材(砥粒の平均粒子径0.5μm,砥粒含有量50mass%,研磨材の平均粒径0.1mm)を使用しブロワー方式のブラスト装置「LDQ-C」(株式会社不二製作所製)を使用して,ブロワーの吐出空気圧力を0.06MPaとして同様の樹脂金型に対してクリーニングを実施した。その結果,焼き付いた樹脂が除去されただけでなく,金型の表面を本来の鏡面状態に再生することができた。
バリ,カエリの除去と表面の平滑化
繰り返し荷重がかかる,例えば軸,歯車,スピンドル等の部品,ドリル,エンドミル,ホブ,ブローチ等の工具に生じたバリ,カエリの除去と表面の平滑化処理を本発明の研磨材を使用したブラスト加工によって行った。これによりこれらの部品や工具の耐久性を向上させることができる。
ドリル,エンドミル,ホブ,ブローチ等の繰り返し荷重が掛かる工具を使って部品を加工する場合,これらの工具にはバリ,カエリが発生する。その結果,このバリ,カエリを起点とした応力集中が発生し,工具が破損する等,その耐久性が低下する。
このようなバリやカエリについては,従来,人がヤスリを使いその切刃ごとに除去を実施していたが,例えば3mm以下のエンドミル等,径が小さなものはその扱いが困難であった。
そこで,本発明の研磨材をこれらの工具に対して噴射する事により,このバリ,カエリを除去し,刃面の先端を平滑化処理する。
上記の処理において,研磨材の噴射方向をバリ,カエリ面に衝突するよう噴射する事により,研磨材の運動量によりバリ,カエリが除去されるとともに,研磨材の砥粒によりその表面粗さを制御できる。またこの原理のため面ダレ(面の稜の半径が大きくなる事)を制御することができる。
これにより応力集中の起点となる部分が除去され,工具が破損をすることを防ぐことができ,耐久性を向上させることができる。特に3mm以下のエンドミルに対して上記方法によるバリ取を実施することは,その確実性と再現性,コスト面より極めて有効である。
また大きなバリ,カエリの除去は,そのバリ等の大きさ及び,要求する部材の表面粗さの状態に応じ,研磨材の粒径および,砥粒の粒径,砥粒の種類を選定する事で,好適に除去することができる。
一例として研削仕上をした鉄鋼製のピストンであって,その先端に旋盤加工,研削加工を経て発生した0.2mmのバリがあるものに対し,研磨材の平均粒径0.2mm,砥粒WAホワイトアランダム#3000(平均粒子径4μm),砥粒含有量50mass%の研磨材を用い,ブラスト装置として「FDQ-2」(株式会社不二製作所製)を用い,噴射圧力0.2MPaでブラスト加工を施した。
その結果バリは消失し,かつ,この部品の加工面の表面状態を研削仕上げを行った部分と同等の状態にすることができた。この例によれば,大きなバリ,カエリは運動量の大きな研磨材を使用することにより,効果的に除去でき,また,部品の表面状態は,適切な砥粒の選定により良好な状態とすることができる。
また,剛性の低い0.1mm以下のアルミニウム,銅,亜鉛,錫,及びそれらの合金などの,鉄より硬度が低い金属製シートをプレス加工等することにより生じたバリは,本発明の粒径0.5mm以下の研磨材,好ましくは0.3mm以下を使用することにより微小なバリについても好適に除去することができた。これに対し,通常のブラスト加工を施した場合には,金属製シートが破損した。
弾性材料の粗面化
本発明の研磨材を使用して,塗装,接着の前処理として行われるゴム成型物の表面の粗面化を行った。
ゴム板,機械のシールに使われるOリングなどのゴム成型物は,ゴム素材を型に入れ加熱成型・キュアリング工程により得られるが,ゴム成型物の表面には型の表面が転写されるため,型が鏡面に仕上げられている場合には,得られたゴム成型物の表面も光沢面となる。
このようなゴム成型物に対する塗装の付着性を向上させ,あるいは接着性を向上させるために,表面を粗面化することが行われている。このような粗面化の方法としては,ゴム成型物を有機溶剤に浸漬し,あるいはゴム成型物に有機用溶剤を噴霧して溶解により表面粗さを増大させる方法,研磨紙や研磨布によって擦る方法,サンドブラストにより研磨材を表面に噴射する方法がある。
このうち,有機溶剤を使用した方法では,環境への負荷があり,研磨紙や研磨布による加工では複雑な形状に対応し得ない。さらに,サンドブラストによる方法では,研磨材をゴムなどの弾性体に噴射すると,研磨材の運動エネルギーは弾性体であるゴム成型品の表面で吸収され,また,加工が施されるのは衝突点付近に限定されるため加工効率が悪い。
これに対し,本発明の研磨材を被加工物(ゴム成型品)の表面に対し,70度(被加工物の表面に対し垂直となる状態を90度とする)以下の入射角で噴射する。本発明の研磨材の物性により,研磨材は被加工物であるゴム成型品の表面を滑走し,これにより被加工物の表面を切削・研磨して所望の表面粗さを得る事ができた。
シール,テープ,ラベル類の除去
上記弾性材料の粗面化と同様の方法により,各種成型品の表面に付着しているシール,テープ,ラベル等の粘着物質の除去を行った。
リサイクル目的で行われるペットボトルやガラス瓶等の表面に貼着されたシール,テープ,ラベル等の粘着物質の除去は,通常のサンドブラストによる研磨材の噴射によって行うことはできず,従来は人手に頼っていたが,前述のように,本発明の研磨材を使用したブラスト加工によれば,噴射された研磨材に被加工物の表面を滑走させることができるため,このような粘着物質の除去が可能であった。
表面反射率の調整
被加工物の表面に対し,本発明の研磨材を使用したブラスト加工を行うことによって表面粗さを変化させ,反射率,光沢度の調整を行った。
被加工物表面の反射率,および光沢度は,被加工物の表面粗さ,材質および光の波長により変化する。同一の加工方法により作成した被加工物表面の反射率を変化させるには,表面粗さを変化させてやることが効果的であり,このような表面粗さの調整に本発明の研磨材を使用することができる。
特に,前述した弾性材料の粗面化同様,弾性材料は通常のブラスト加工によっては表面粗さを調整することが難しく,弾性材料から成る被加工物の反射率を調整するには本発明はの研磨材を使用したブラスト加工が効果的である。
表面層の除去による下層の機能・特性の発現
本発明の研磨材を使用したブラスト加工を,被加工物の表面を少量切削除去する切削加工に使用した。これにより,一例として以下のように切削された表層の下層にある機能・特性を発現させるための表面層の除去処理を行った。
(a) 母材中に分散されている触媒物質の露出
特定の物資,例えば触媒に使われる白金-プラチナの粒子を母材であるカーボンに結合剤と共にしたものを成型型に入れて熱処理し,所望の形状に形成した容器にあっては,触媒機能を持つ白金-プラチナ粒子は先端が母材の表面に露出しているものの,その殆どが母材であるカーボン中に埋まっている。そのため,触媒としての機能を十分に発揮させるためには,この白金-プラチナ粒子を更に表面に露出させる必要がある。
このような白金-プラチナ粒子の露出に際し,本発明の研磨材を使用したブラスト加工を行うと,カーボンと白金-プラチナの硬度差により母材のカーボンのみが選択的に切削,研磨され,白金-プラチナ粒子が表面に露出する体積が大きくなり,触媒性能の向上を図ることができる。
(b) 抵抗膜の厚さ調整
膜厚により電気抵抗値を制御する方法において,抵抗膜を蒸着によって製作する場合,蒸着後の膜厚が厚いために所望の抵抗値が得られない場合,または,その蒸着膜の一部を高抵抗値にしたい場合は,膜厚を減ずる必要がある。しかし,このようにして成形された蒸着膜の膜厚を,抵抗値の調整を行い得る程度に微小に減じることは困難であり,形成した蒸着膜を一旦エッチングなどの方法によって剥離・除去し,その後に再蒸着が行われている。
本発明の研磨材を使用したブラスト加工によれば,被加工物表面の蒸着膜を微少量切削することが可能であり,これにより所望の抵抗値に調整することができる。また膜の一部の抵抗値を高めるため膜厚を減ずるには,ウレタン等の樹脂及び薄い金属シートを用いて膜厚を減ずる部分以外をマスクすると共に,本発明の研磨材を噴射することで,部分的な抵抗値の調整にも容易に対応することができる。
熱可塑性樹脂の艶出し
熱可塑性樹脂の成形品を被加工物とし,これに対して本発明の研磨材を使用したブラスト加工を行うことで,熱可塑性樹脂成形品の表面艶出しを行った。
このような熱可塑性樹脂製品の一例として,入れ歯は,部分入れ歯,総入れ歯共に患者の歯型を取って石膏模型を作り,その型にアクリル樹脂を塗布して乾燥させた後,更に形を整えるため,紙コーンによる荒削りを行い,さらに実際の歯茎と同等の艶を出すために研磨材で研磨することが行われている。
このような荒削り及び研磨に代え,一例として砥粒としてGC(グリーンカーボランダム)#8000を分散した本発明の研磨材を使用し,ブラスト装置「LDQ-C」(株式会社不二製作所製)を用い,噴射圧力を0.06MPaとした処理を行った。
その結果,従来の方法と同等の艶出しを行うことができた。しかも,従来は荒削りと艶出し研磨という二工程によって行っていた作業を,本発明の研磨材を使用したブラスト加工では一工程で実現することができたと共に,処理に要する時間も1/2程度に短縮できた。
ステンレスの酸洗の代替処理
ステンレス製品の溶接焼け,さび,酸化スケールの除去等の処理として行っていた酸洗いの代替処理として,本発明の研磨材を使用したブラスト加工によりこれらの除去を行った。
前述のステンレス製品の溶接焼け,さび,酸化スケールの除去等の処理としては,電解研磨,バフ研磨に比べてコスト面で有利である酸洗いが一般的に行われている。しかし酸洗いを行ったステンレス製品は,光沢の無い灰色の梨地面の様な仕上がりとなり,光沢面や鏡面を得ることはできない。
また,酸洗いに使用する薬品が,ステンレスを構成しているニッケル,チタン等の成分と反応して島状の斑点が表面にできることがあり,外観・品質上の問題を生じることがある。
さらに,溶接により接合した部品間の間隙に,酸洗いで使用した薬品が一旦浸入すると,毛細管現象によって薬品がこの部分に留まるためにこれを除去することは非常に困難である。しかも,一旦浸入した薬品は,乾燥後,時間の経過と共に染み出し,事故の原因になる場合がある。
加えて,ステンレスの酸洗工程では,フッ酸と硝酸の酸洗剤,例えば酸濃度〔(mol/l)1.2:0.3〕が使用されているため,酸洗いに使用した後の廃液より,フッ酸,硝酸を回収しなければならず,そのための回収装置が必要となる。小規模の場合は消石灰等により中和を行い得るが,排水処理の規制を受けることがあり,また中和処理に際して水素の発生があり,安全配慮が必要である。
溶接焼けを除去して光沢面を得るためには,前述したようにバフ,電解研磨の方法もあるが,内部が仕切られている構造の製品や,複雑な形状の製品の処理には適していない。さらに,電解研磨の場合には薬品を使用するため上記の酸洗いと同様な処理が必要でありコストアップの要因となる。
これに対し,前述の酸洗いに代えて本発明の研磨材を使用したブラスト加工を行う場合には,薬品を使わず,研磨材を噴射して加工部位に投射することによって,溶接焼け,さび,酸化スケールの除去を行うことができると共に,研磨材に分散されている砥粒の粒度等を適当に選択することにより,光沢面,鏡面等の所望の表面を容易に得ることができる。
一例として,本発明の研磨材を使用したブラスト加工により,ステンレス製品の溶接焼けの除去と表面の鏡面に仕上げを行った実施例を,比較例と共に示せば下記の通りである。
〔実施例〕
使用したブラスト装置:「LDQ−C」(株式会社不二製作所製)
使用した研磨材:砥粒としてグリーンカーボランダム(GC)#8000(株式会社フジミインコーポレーテッド製)を分散し,砥粒の固形分が70mass%,研磨材の粒子径として20メッシュの篩を96%通過,30メッシュの篩を42%通過したものを使用した。
噴射圧力:0.05MPa
処理対象:SUS304(100mm×100mm×3mm)の鏡面板に溶接ビードを作ったもの使用。
〔比較例〕
同様のステンレス製品を処理対象とし,フッ酸と硝酸を酸濃度〔(mol/l)1.2:0.3〕)とした酸洗剤を使用し,溶接スケール部位とその周辺部位にこれを刷毛塗りし,その後消石灰水溶液で中和,水洗した。
〔結果〕
本発明の研磨材を使用したブラスト加工を行ったステンレス製品(実施例)では,ビード状の焼けが除去されていると共に,仕上がりの外観状態は光沢を呈していた。ビード周辺部は加工をしない部位に比較し,やや曇りが見られるものの,顔が映る程度の良好な鏡面となっていた。
一方,酸洗いによって処理したステンレス製品(比較例)にあっては,洗浄後に乾燥させた表面は灰色化しており,鏡面は得られず,酸洗いをしない周辺部の鏡面とは外観面で著しい差異となった。
ショットピーニング等の表面改質処理後の表面平滑化
ショットピーニングや微粒子衝突法等による処理後の処理対象表面に対し,本発明の研磨材を使用したブラスト加工を行った。これにより,前記処理後の表面の摺動性の向上(摺動抵抗の低減),及び疲労強度の向上を得ることができた。
被加工物の表面処理として,被加工物の表面にショットを投射して表面性状(表面形状,粗さ,表面物性等)を変化させるショットピーニングや,微小な研磨材を投射して,衝突時の瞬間的な発熱による熱処理,圧縮応力の増加,表面硬度の向上,表面結晶構造の微細化等の処理を施す微粒子衝突法が行われており,一例として歯車,ピストン,ピストンリング,シリンダーライナー,クランクシャフト,カムシャフト,スピンドル,平軸受,バルブ等の摺動部を有する部品(摺動部品)にこのような処理を施すことで,寿命の延長等が図られている。
ところで,このような処理を前述の摺動部品に施すと,ショットや微粒子の衝突により被加工物の表面が変形し,微小なささくれが発生する等して摺動性が低下する。このような表面処理が行われた後の被加工物の表面に対し,本発明の研磨材を使用したブラスト加工を行うことにより,摺動部の摺動性の向上(摺動抵抗の低減),及び疲労強度の向上を得ることができる。
前述のような表面改質処理の一例として,ショットピーニングを行った処理対象の表面に対し,本発明の研磨材を使用したブラスト加工を行った例を以下に示す。
(a) ショットピーニング処理後の表面状態
処理対象であるSKDの金属表面に,鋼製の#150(平均粒径70μm)のショット(球状)を噴射速度100m/secで噴射してショットピーニングを行った。このショットピーニング後の処理対象の表面電子顕微鏡写真(SEM像)を図13に示す。
図13より明らかなように,ショットピーニングを施した後の処理対象の表面は,ショットとの衝突によって表面が変形し,木の葉状のささくれが形成されており,指の腹で処理面の表面を撫でるとざらざらとした感触が得られると共に,ウエス(家庭用のティッシュペーパーを使用)で表面を拭き取ると,引っ掛かりによる抵抗が感じられた。
(b) 本願発明の研磨材を使用したブラスト加工後の表面状態
以上の通りであるショットピーニング後の処理対象表面に対し,本発明の研磨材を使用したブラスト処理を行った。
使用した研磨材は,砥粒としてGC(グリーンカーボランダム)#8000(平均粒径1.2μm)を分散させたもので,研磨材の平均粒径は1.5mmである。この研磨材を,ブラスト装置「LDQ-C」(株式会社不二製作所製)によって,噴射圧力0.06MPaで噴射した。このようにして,本発明の研磨材を使用したブラスト加工後に撮影した処理対象の表面電子顕微鏡写真(SEM像)を図14に示す。
図14からも明らかなように,処理対象の表面から木の葉状のささくれは消失しており,波状の凹凸はあるものの表面は滑らかになっている。
また,処理対象の表面を指の腹で撫でてみても,ざらざらとして感触は無く,ウエス(家庭用のティッシュペーパー)で拭き取った際にも引っ掛かりによる抵抗は感じられず,摺動性が向上(摺動抵抗が低減)していることが確認された。
(c) 軟質材との摺り合わせ試験
更に,透明なPMMA〔Poly Methyl Methacrylate :ポリメタクリル酸メチル(メタクリル樹脂)〕の丸棒をショットピーニング後の処理対象表面(図13)と,本発明の研磨材によるブラスト加工後の表面(図14)のそれぞれの表面に擦り付けて,その滑り具合と,PMMA製の棒に対する傷つき具合を確認したところ,ショットピーニング後の表面(図13)に対する擦り付けでは,PMMA製の棒の滑りが悪く,また,擦り付け後にPMMA製の棒の表面に擦り傷が出来ていることが確認された。
一方,前記ショットピーニング後の処理対象表面に対し,さらに本発明の研磨材を使用したブラスト加工を行った処理対象表面(図14)に対するPMMA製の棒の擦り付けでは,PMMA製の棒は,処理対象の表面を円滑に摺動し,かつ,擦り付け後のPMMA製の棒の表面に対する傷の発生も確認できなかった。従って,この点からも,本発明の研磨材を使用したブラスト加工により,ショットピーニング加工後の処理対象の表面の摺動性が向上(摺動抵抗が低減)していることが確認できた。
(d) 上記方法による表面平滑化の効果等
このように,ショットピーニング後の処理対象表面に生じた木の葉状のささくれは,このような表面を有する摺動部品を各種の装置類に組み込んだ際,この部分と接触する相手部材に引っかかり,摺動に対する抵抗を生じる。
また,このような摺動部品に比較して低硬度の材質によって形成された相手部材と接触すると,木の葉状のささくれが相手部材の表面を引っ掻いてキズを発生させる。
一方,このようなショットピーニング後の表面に対し,さらに本発明の研磨材を使用したブラスト加工を行った処理対象の表面からは,前述のように木の葉状のささくれは消失し,波状の凹凸はあるものの表面は滑らかになっているため,ささくれの引っ掛かりによる抵抗や,ささくれが引っ掻くことにより相手部材を傷付けることもない。
また,このような波状の凹凸は,摺動部に対して給油が行われた際に空気留りとして機能するもので,このため円滑な滑り性と耐傷つき性が良好となり摺動抵抗が低減する。
このように,摺動性を向上(摺動抵抗を低減)するための,本発明の研磨材を使用したブラスト加工は,金属製品に限らず,セラミックス製,プラスチック製の部品に対しても適用することができ,また,これらの材質のうち,同種または異種の材質から成る摺動部品及び相手部材を組合せて使用する場合にも同様な効果が得られる。また被加工物の表面処理として,DLC,CrN,TiC,TiN,TiAlN,WC等の膜をPVD,CVDによりコーティングする場合,その前処理として,被加工物の表面にショットを投射して表面性状(表面形状,粗さ,表面物性等)を変化させるショットピーニングや,微小な研磨材を投射して,衝突時の瞬間的な発熱による熱処理,圧縮応力の増加,表面硬度の向上,表面結晶構造の微細化等の処理を施す微粒子衝突法の加工し,さらに本発明の研磨材を使用したブラスト加工後,これらの膜をコーティングする事により良好な摺動性と高耐久性が得られる。更にこのコーティング膜に本発明の研磨材を使用したブラスト加工をすることにより,より良好な摺動性と高耐久性が得られる。これは本発明によるブラスト法によりコーティング前の表面より木の葉状のささくれを除去する事により波状の平滑面が得られるため,膜の摺動性,接着性が強化される。さらにコーティング膜の表面にできた凹凸を本発明による研磨材のブラストにより除去できるため,摺動性と膜の耐久性が向上するものである。また潤滑油などの液体を摺動部材の間に介在させてもその効果が発揮できる。この場合波状の凹部は,油留りの役目を果たし,良好な摺動性が得られる。
このような処理を行った後の処理対象の表面状態の制御は,被加工物の材質,投射するショットの材質,粒径,ショットの噴射速度,加工時間,とその後に実施する本加工法の研磨材の粒径,投射速度,吐出空気圧力,砥粒粒度,砥粒の含有量により制御できる。
本発明の研磨材を使用したブラスト加工後の摺動部材を用いることにより,ショットピーニングによるショット材の投射でできた木の葉状のささくれを除去できるため,摺動部材を機械,器具,装置等に組み込んで使用した際に木の葉状のささくれが脱落して摺動部にかじりが生じることを防止でき,また,摺動部材のキズ発生による摺動性の低下,潤滑油の汚れの低減などの性能を低コストで付与することができる点で極めて有利である。
またショット材の投射でできた木の葉状のささくれを基点とする切り欠きによる応力集中のために,摺動部材や相手部材の疲労強度が減少するが,本発明の研磨材を使用したブラスト加工により予めこのようなささくれを除去しておくことで,摺動部材の疲労強度を向上させることができ,部品の耐久性を向上できる。
このような処理は,一例として歯車,ピストン,ピストンリング,シリンダーライナー,クランクシャフト,カムシャフト,スピンドル,平軸受,バルブ等に適用するに好適である。
同様に,本発明の研磨材を使用したブラスト加工は,液体,溶融金属,溶融樹脂の流路に対してこれを施すことにより,これらの流体の良好な流動性を確保することができる。
一例として,金型の湯口や湯道,金型内面に対して本発明の研磨材を使用したブラスト加工を行うことにより表面を滑らかにすることで,金型内及び金型に送り込む湯(溶融金属,溶融樹脂)の流れを良好にすることかできる。
また,液体が流れる流路内面に対して本発明の研磨材を使用したブラスト加工を行うことにより,同様にこのような液体の流れを良好にすることができる。
さらに,例えばステンレス製のローラを備えたローラコンベアによってプラスチック製品を搬送する場合のように,搬送用機械器具の被搬送物との接触部分が,被搬送物よりも高硬度の材質によって形成されている場合,この接触部分に対して本発明の研磨材を使用したブラスト加工を施すことができる。
このように被搬送物との接触部分に,本発明の研磨材を使用したブラスト加工を施すことで,接触部分の表面を滑らかにすることができ,被搬送物を傷付けることなく搬送等することができる。
本発明の研磨材は,上述のように,被加工物の加工表面を鏡面化や光沢面化等する研磨加工や切削加工を施す場合に好適に使用することができるが,このほか,バリ取りやクリーニング,また,コーティング層の密着性の向上等,各種ブラスト加工に使用することができる。
本発明の研磨材の製造時(ブラスト加工使用前)の表面観察結果。(A)は走査型電子顕微鏡(SEM)像,(B)はエネルギー分散型X線分析装置により元素分析して得られた画像。 本発明の研磨材のブラスト加工使用後の表面観察結果である走査型電子顕微鏡(SEM)像。 本発明の研磨材による切削加工試験の結果。被加工物の加工表面のうち,切削痕の密集した部分を拡大したもの。(A)は×500,(B)は×1000。 比較例1の粗さ曲線を示すグラフ。 実施例1の粗さ曲線を示すグラフ。 実施例2の粗さ曲線を示すグラフ。 比較例2の粗さ曲線を示すグラフ。 実施例3の粗さ曲線を示すグラフ。 比較例3の粗さ曲線を示すグラフ。 実施例4の粗さ曲線を示すグラフ。 実施例5の粗さ曲線を示すグラフ。 本実施例におけるブラスト加工の様子を示した図。 ショットピーニング後の被加工物の表面走査型電子顕微鏡(SEM)像。 ショットピーニング後,更に本発明の研磨材を噴射した後の被加工物の表面走査型電子顕微鏡(SEM)像。
符号の説明
10 加工表面(被加工物の)
20 ノズル(ブラスト加工装置の)

Claims (6)

  1. 圧縮流体と共に噴射して使用されるブラスト加工用の研磨材であって,
    低反発弾性の弾性体である母材10〜40mass%に対して砥粒60〜90mass%を配合分散して,加工表面に対する衝突時における反跳を防止し得る反発弾性率抑えることにより,加工表面に衝突後,該加工表面を滑走可能として成ることを特徴とする研磨材。
  2. 前記砥粒を70mass%以上配合して成ることを特徴とする請求項1記載の研磨材。
  3. 染料,顔料等の着色材又はこれらに加え,蛍光着色剤及び又は芳香剤,抗菌剤を添加配合してなる請求項1又は2記載の研磨材。
  4. 砥粒60〜90mass%を,低反発弾性の弾性体である母材を成すポリマー原料及び配合剤10〜40mass%と混練した後,粒状体に成形することにより,加工表面に対する衝突時における反跳を防止し得る反発弾性率抑えられ,加工表面に衝突後,該加工表面を滑走可能と成す研磨材を得ることを特徴とする,圧縮流体と共に噴射して使用されるブラスト加工用の研磨材の製造方法。
  5. 請求項1〜3いずれか1項記載の研磨材を,圧縮流体と共に被加工物の加工表面に対して0〜90°の入射角で噴射することを特徴とするブラスト加工方法。
  6. 前記入射角が0〜70°であることを特徴とする請求項5記載のブラスト加工方法。
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