JP2004263005A - 樹脂複合研掃材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好にペレットを作製することができて収率も高く、更にはブラスト洗浄、バリ取り、塗膜剥離等の使用に際しても優れた洗浄効果を有するとともに被洗浄物の表面を疵付けることなく、かつ繰り返し使用頻度が高く寿命の長い樹脂複合研掃材の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】熱可塑性樹脂中に無機質充填材を分散してペレット状の樹脂複合研掃材を製造する方法であり、熱可塑性樹脂と、一次平均粒子径10〜500μmの無機質充填材10〜60体積%を混練して押出した後、直ちに水中で冷却しながら切断してペレットを作製する。
【選択図】 なし
【解決手段】熱可塑性樹脂中に無機質充填材を分散してペレット状の樹脂複合研掃材を製造する方法であり、熱可塑性樹脂と、一次平均粒子径10〜500μmの無機質充填材10〜60体積%を混練して押出した後、直ちに水中で冷却しながら切断してペレットを作製する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂複合研掃材の製造方法に係り、詳しくは機械、電気、光学部品等の洗浄やバリ取り、金属部品や樹脂部品等の強固な塗膜剥離に使用されるものであり、優れた洗浄効果を有するとともに被洗浄物の表面を疵付けることなく、かつ繰り返し使用頻度が高く寿命が長い樹脂複合研掃材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、諸部品に対する高機能、高精密、高品質化の要求が高くなっており、ブラスト洗浄やバリ取り分野においても部品の表面を疵付けることなく洗浄やバリ取りが可能な研掃材や研磨材が必要とされている。これらの要求を満たす製品として、軟質な樹脂中に金属、ガラス、セラミックス等の無機質粉末を分散させた、粒径が0.3〜3mm程度の研掃材や研磨材が提案されている。これらの樹脂複合粒子は、軟質な樹脂が被ブラスト材に衝突した際に弾性変形して衝突時の衝撃を緩和することによって表面を疵付けることがなく、粒子表面に分散した無機質粉末が研掃や研磨を行うという複合効果を有する。
【0003】
これら樹脂複合粒子は,例えば特許文献1で提案されているように、バリ取りを目的としたサンドブラスト材として、金属又は金属酸化物粒子を樹脂100重量部に対して10〜200重量部含有した投射材を開示している。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−127045号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
研掃性能や研磨性能を高めるためには、粉末状の無機質充填材の配合量を可能な限り多くする必要がある。このため、従来のスクリュー式押出機による押出成形法では、材料を混練して押出しした後に引き延ばしながら水冷して糸状成形体にし、これを切断して研掃材粒子を得ていた。そのため、無機質充填材の配合量が多くなり、また糸状成形体の直径が小さくなると、糸状成形体を引き延ばす際に切断することがあった。このため、従来方法では無機質充填材の配合量は40〜50体積%が限界であり、無機質充填材の配合量が50体積%程度を越えると、連続して糸状成形体を得ることが困難となって製造コストが増大した。また、糸状成形体の直径も1mmが限界であった。
【0006】
一方,一般に使用される研掃材粒子の直径は、0.3〜3mm程度であるので1mm以下の研掃材を得るためには、切断した糸状成形体を粉砕して分級する必要があった。粉砕して分級するために、コスト高になり、加えて所定粒径の収率も100%にならないために、コストアップの要因になる。更に、粉砕品の切断面には材料によっては小さな亀裂が残り、これがブラスト時衝撃によりに広がり2次粉砕が発生して研掃材の寿命が短くなるという欠点もあった。
【0007】
特許文献1では、混練して押出し後、引き延ばしつつ冷却して糸状成形体を作製しそれを切断しているために、上述したように研掃材の粒径や配合量には限界があった。更に、軟質な樹脂からなる複合研掃材を粉砕した場合には、切断面は必ずしも滑らかではないため流動性が低下するという問題も生じた。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、良好にペレットを作製することができて収率も高く、更にはブラスト洗浄、バリ取り、塗膜剥離等の使用に際しても優れた洗浄効果を有するとともに被洗浄物の表面を疵付けることなく、かつ繰り返し使用頻度が高く寿命の長い樹脂複合研掃材の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本願は請求項1の発明では、熱可塑性樹脂中に無機質充填材を分散してペレット状の樹脂複合研掃材を製造する方法において、熱可塑性樹脂と、一次平均粒子径10〜500μmの無機質充填材10〜60体積%を混練して押出した後、直ちに水中で冷却しながら切断してペレットを作製する樹脂複合研掃材の製造方法にある。
【0010】
本発明の製造方法では、押出した後、直ちに水中で冷却しながら切断してペレットを得ることが出来るので、良好にペレットを作製することができて収率も高く、更にはブラスト洗浄、バリ取り、塗膜剥離等の使用に際しても優れた洗浄効果を有するとともに被洗浄物の表面を疵付けることなく、かつ繰り返し使用頻度が高く寿命の長い樹脂複合研掃材を製造することができる。
【0011】
本願請求項2の発明は、熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、そしてポリカーボネート樹脂から選ばれた少なくとも一種である樹脂複合研掃材の製造方法にある。
【0012】
本願請求項3の発明は、無機質充填材がアトマイズ鉄粉、還元鉄、電解鉄、酸化鉄、酸化銅、鉛、錫、鋼、亜鉛、ガラス、酸化アルミニウム、炭化珪素、硫酸バリウムそして炭酸カルシウムから選ばれた少なくとも一種である樹脂複合研掃材の製造方法にある。
【0013】
本願請求項4の発明は、ペレットの粒径が、0.3〜3mmである樹脂複合研掃材の製造方法にある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する熱可塑性樹脂は、軟質であって常温粉砕が可能となり、また被研掃物表面を疵付けることがなく、被洗浄物の表面へ投射しても粉砕が起こり難いものであり、具体的にはポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、そしてポリカーボネート樹脂から選ばれた少なくとも一種であり、より好ましくはポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂がよい。
【0015】
上記熱可塑性樹脂に配合する無機質充填材は、一次平均粒子径10〜500μmのものであり、具体的にはアトマイズ鉄粉、還元鉄、電解鉄、酸化鉄、酸化銅、鉛、ビスマス、錫、鉄、銅、亜鉛、ガラス、シリカ、そして炭酸カルシウムから選ばれた少なくとも一種を挙げることができる。この添加量は10〜60体積%であり、10体積%未満の場合には被研掃物の洗浄やばり取りの機能が低下し、また硬度が高くならないために常温粉砕ができなくなる。一方、60体積%をえると、樹脂中への充填が困難になり、成形が不可能になる。
【0016】
無機質充填材中のアトマイズ鉄粉は、一般に溶融鉄の流れに高圧の水ジェットを噴霧して得た鉄粉を還元性雰囲気中で焼純して軟質化を行うことによって作製され、多くは粉末冶金分野に供されている。このうち内部組織がマルテンサイト相という極めて硬質な組織を有するアトマイズ鉄粉は、合金鉄を溶解した後、細孔から落下させ、この流れに対して高圧の水ジェットを噴射して得た鉄粉を使用する。この鉄粉は合金鉄が急冷されて内部組織がマルテンサイト相という極めて硬質な組織を有しているために、研掃能力に優れ、また噴射後の硬質な鉄粉を使用するために、後工程、即ち乾燥し分級を経て還元炉で焼鈍される軟質化工程が不必要であり、より一層安価な材料確保が可能となる。
【0017】
また、無機質充填材の一次平均粒子径が10μm未満の場合には、微細加工しなければならないために、コストが上昇し、また飛び散りによる作業者への環境衛生も悪くなる。また、500μmを超えると、無機質充填材が大きくなって自己破砕が多くなる。
【0018】
本発明に係る樹脂複合研掃材の製造方法では、上記熱可塑性樹脂中に無機質充填材10〜60体積%をスクリュー押出機で混練して細孔を有するダイプレートから押出した後、水流下でダイプレートにほぼ密着して高速回転する刃により切断され、粒径が0.3〜3mmのペレットを得ることによって製造される。回転刃の回転数、押出し時の樹脂温度や水温等は、使用する熱可塑性樹脂および無機質充填材の材質や配合量、粒子径によりことなる。この方法で製造した樹脂複合研掃材は、ペレットの粉砕、文級工程を省けるために製造コストを低くすることが出来る。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0020】
実施例1〜4、比較例1〜3
表1に各実施例と各比較例について研掃材の配合、粒子作製方法、粒径および比重を示す。ここで使用するポリプロピレン樹脂としてチッソ社製K7730Rを、鉄粉として同和鉄粉工業社製NC−200(粒度 #200)のものを実施例1〜3で用い、実施例4ではマルテンサイト相を有するアトマイズ鉄粉として神戸製鋼所社製アトマイズ鉄粉4100 PO−434を用いた。各実施例では鉄粉配合量を20、50、60体積%とし、これらの材料に鉄粉とポリプロピレン樹脂の接着促進のために酸変性ポリプロピレン樹脂(三洋化成社製ユーメックス1010)および帯電防止剤(花王社製エレストマスター320)を加えてスクリュー式押出機にて混練して押出しした後、水中カット方式によりそれぞれ粒径が0.4、2、1mmの鉄分散ポリプロピレン樹脂ペレットを作製した。
尚、切断刃の回転数は3,565rpm、押出し時の樹脂温度は228℃、水温は47℃であった。
【0021】
比較例1〜3では、同材料をスクリュー式押出機にて混練して押出しした後、引き延ばしながら冷却してそれぞれ同一径の糸状成形体を作製し、切断機により切断してペレットを作製した。また、比較例4では実施例1と同じ材料をスクリュー式押出機にて混練して押出しした後、引き延ばしながら冷却して直径2mmの糸状成形体を作製し、切断機によりペレットを作製した。次に、このペレットをカッターミルにて常温粉砕して分級し、粒径が0.4〜1mmの研掃材を作製した。
【0022】
【表1】
【0023】
表2に表1に示す研掃材を用いて実施した試験結果を示す。評価の内容は、(1)押出しした後にペレットや粉砕粒子が効率良く得られたかどうかを示す成形状態、(2)所定粒径のペレットや粉砕粒子の収率、(3)ゴム用金型に対する研掃能力、(4)研掃時衝撃により粉砕されて所定粒径より小さくなったものの粉砕率、そして(5)装置内の流動状態を示す流動性である。
【0024】
【表2】
【0025】
(1)成形状態について
実施例1〜4では、全て所定の粒径のものを得ることができ、また粒径の範囲も狙いの粒径に対してほとんど差はなかった。しかし、比較例1および3では押出しした後の引き延ばし中に糸状成形体が切断し、生産効率が低下した。また、比較例2では所定の粒径のものを得ることが出来た。比較例4では2mmのペレットが効率良く得られた。
【0026】
(2)収率
実施例1〜4では、95%以上の収率が得られた。比較例1および3では、上述したように糸状成形体が切断し生産効率が低下してロスが多く発生したために収率は悪かった。比較例2では実施例1〜3と同等の収率が得られた。比較例4では、粉砕後の収率が77%と低い結果になった。
【0027】
(3)研掃能力
金型洗浄用ブラスト設備を用いてゴム用金型(1,280mm×600mm)ともう一つのゴム用金型(1,670mm×600mm)の連続洗浄を実施した。ブラスト条件は直圧式エアブラストで投射圧力0.4MPa、投射距離15cmで金型1面当たりの洗浄時間は平均10分間としそれぞれ40面の金型を洗浄した。実施例1〜4では、全て良好な洗浄状態が得られたが、特に鉄の配合量が高い実施例2および3では、硬質なアトマイズ鉄粉を用いた実施例4では、洗浄状態が優れていることが判る。比較例4では、実施例1と同等の洗浄状態が得られた。
【0028】
(4)粉砕率
上記ブラスト試験後の粉砕率は、実施例1〜3では10%以下に対して比較例4では16%と高くなっていることが判る。
【0029】
(5)流動性
実施例1〜4は、研掃材が装置内に滞留することがなく、流動性は優れていることが判る。比較例4は研掃材が装置内に滞留し、流動性は実施例と比較して悪かった。
【0030】
【発明の効果】
以上のように本願の各請求項記載の発明によれば、熱可塑性樹脂と、一次平均粒子径10〜500μmの無機質充填材10〜60体積%を混練して押出した後、直ちに水中で冷却しながら切断してペレットを作製する樹脂複合研掃材の製造方法にあり、押出した後、直ちに水中で冷却しながら切断してペレットを得ることが出来るので、良好にペレットを作製することができて収率も高く、更にはブラスト洗浄、バリ取り、塗膜剥離等の使用に際しても優れた洗浄効果を有するとともに被洗浄物の表面を疵付けることなく、更に繰り返し使用頻度が高く寿命の長い樹脂複合研掃材の製造することができる効果がある。
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂複合研掃材の製造方法に係り、詳しくは機械、電気、光学部品等の洗浄やバリ取り、金属部品や樹脂部品等の強固な塗膜剥離に使用されるものであり、優れた洗浄効果を有するとともに被洗浄物の表面を疵付けることなく、かつ繰り返し使用頻度が高く寿命が長い樹脂複合研掃材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、諸部品に対する高機能、高精密、高品質化の要求が高くなっており、ブラスト洗浄やバリ取り分野においても部品の表面を疵付けることなく洗浄やバリ取りが可能な研掃材や研磨材が必要とされている。これらの要求を満たす製品として、軟質な樹脂中に金属、ガラス、セラミックス等の無機質粉末を分散させた、粒径が0.3〜3mm程度の研掃材や研磨材が提案されている。これらの樹脂複合粒子は、軟質な樹脂が被ブラスト材に衝突した際に弾性変形して衝突時の衝撃を緩和することによって表面を疵付けることがなく、粒子表面に分散した無機質粉末が研掃や研磨を行うという複合効果を有する。
【0003】
これら樹脂複合粒子は,例えば特許文献1で提案されているように、バリ取りを目的としたサンドブラスト材として、金属又は金属酸化物粒子を樹脂100重量部に対して10〜200重量部含有した投射材を開示している。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−127045号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
研掃性能や研磨性能を高めるためには、粉末状の無機質充填材の配合量を可能な限り多くする必要がある。このため、従来のスクリュー式押出機による押出成形法では、材料を混練して押出しした後に引き延ばしながら水冷して糸状成形体にし、これを切断して研掃材粒子を得ていた。そのため、無機質充填材の配合量が多くなり、また糸状成形体の直径が小さくなると、糸状成形体を引き延ばす際に切断することがあった。このため、従来方法では無機質充填材の配合量は40〜50体積%が限界であり、無機質充填材の配合量が50体積%程度を越えると、連続して糸状成形体を得ることが困難となって製造コストが増大した。また、糸状成形体の直径も1mmが限界であった。
【0006】
一方,一般に使用される研掃材粒子の直径は、0.3〜3mm程度であるので1mm以下の研掃材を得るためには、切断した糸状成形体を粉砕して分級する必要があった。粉砕して分級するために、コスト高になり、加えて所定粒径の収率も100%にならないために、コストアップの要因になる。更に、粉砕品の切断面には材料によっては小さな亀裂が残り、これがブラスト時衝撃によりに広がり2次粉砕が発生して研掃材の寿命が短くなるという欠点もあった。
【0007】
特許文献1では、混練して押出し後、引き延ばしつつ冷却して糸状成形体を作製しそれを切断しているために、上述したように研掃材の粒径や配合量には限界があった。更に、軟質な樹脂からなる複合研掃材を粉砕した場合には、切断面は必ずしも滑らかではないため流動性が低下するという問題も生じた。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、良好にペレットを作製することができて収率も高く、更にはブラスト洗浄、バリ取り、塗膜剥離等の使用に際しても優れた洗浄効果を有するとともに被洗浄物の表面を疵付けることなく、かつ繰り返し使用頻度が高く寿命の長い樹脂複合研掃材の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本願は請求項1の発明では、熱可塑性樹脂中に無機質充填材を分散してペレット状の樹脂複合研掃材を製造する方法において、熱可塑性樹脂と、一次平均粒子径10〜500μmの無機質充填材10〜60体積%を混練して押出した後、直ちに水中で冷却しながら切断してペレットを作製する樹脂複合研掃材の製造方法にある。
【0010】
本発明の製造方法では、押出した後、直ちに水中で冷却しながら切断してペレットを得ることが出来るので、良好にペレットを作製することができて収率も高く、更にはブラスト洗浄、バリ取り、塗膜剥離等の使用に際しても優れた洗浄効果を有するとともに被洗浄物の表面を疵付けることなく、かつ繰り返し使用頻度が高く寿命の長い樹脂複合研掃材を製造することができる。
【0011】
本願請求項2の発明は、熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、そしてポリカーボネート樹脂から選ばれた少なくとも一種である樹脂複合研掃材の製造方法にある。
【0012】
本願請求項3の発明は、無機質充填材がアトマイズ鉄粉、還元鉄、電解鉄、酸化鉄、酸化銅、鉛、錫、鋼、亜鉛、ガラス、酸化アルミニウム、炭化珪素、硫酸バリウムそして炭酸カルシウムから選ばれた少なくとも一種である樹脂複合研掃材の製造方法にある。
【0013】
本願請求項4の発明は、ペレットの粒径が、0.3〜3mmである樹脂複合研掃材の製造方法にある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する熱可塑性樹脂は、軟質であって常温粉砕が可能となり、また被研掃物表面を疵付けることがなく、被洗浄物の表面へ投射しても粉砕が起こり難いものであり、具体的にはポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、そしてポリカーボネート樹脂から選ばれた少なくとも一種であり、より好ましくはポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂がよい。
【0015】
上記熱可塑性樹脂に配合する無機質充填材は、一次平均粒子径10〜500μmのものであり、具体的にはアトマイズ鉄粉、還元鉄、電解鉄、酸化鉄、酸化銅、鉛、ビスマス、錫、鉄、銅、亜鉛、ガラス、シリカ、そして炭酸カルシウムから選ばれた少なくとも一種を挙げることができる。この添加量は10〜60体積%であり、10体積%未満の場合には被研掃物の洗浄やばり取りの機能が低下し、また硬度が高くならないために常温粉砕ができなくなる。一方、60体積%をえると、樹脂中への充填が困難になり、成形が不可能になる。
【0016】
無機質充填材中のアトマイズ鉄粉は、一般に溶融鉄の流れに高圧の水ジェットを噴霧して得た鉄粉を還元性雰囲気中で焼純して軟質化を行うことによって作製され、多くは粉末冶金分野に供されている。このうち内部組織がマルテンサイト相という極めて硬質な組織を有するアトマイズ鉄粉は、合金鉄を溶解した後、細孔から落下させ、この流れに対して高圧の水ジェットを噴射して得た鉄粉を使用する。この鉄粉は合金鉄が急冷されて内部組織がマルテンサイト相という極めて硬質な組織を有しているために、研掃能力に優れ、また噴射後の硬質な鉄粉を使用するために、後工程、即ち乾燥し分級を経て還元炉で焼鈍される軟質化工程が不必要であり、より一層安価な材料確保が可能となる。
【0017】
また、無機質充填材の一次平均粒子径が10μm未満の場合には、微細加工しなければならないために、コストが上昇し、また飛び散りによる作業者への環境衛生も悪くなる。また、500μmを超えると、無機質充填材が大きくなって自己破砕が多くなる。
【0018】
本発明に係る樹脂複合研掃材の製造方法では、上記熱可塑性樹脂中に無機質充填材10〜60体積%をスクリュー押出機で混練して細孔を有するダイプレートから押出した後、水流下でダイプレートにほぼ密着して高速回転する刃により切断され、粒径が0.3〜3mmのペレットを得ることによって製造される。回転刃の回転数、押出し時の樹脂温度や水温等は、使用する熱可塑性樹脂および無機質充填材の材質や配合量、粒子径によりことなる。この方法で製造した樹脂複合研掃材は、ペレットの粉砕、文級工程を省けるために製造コストを低くすることが出来る。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0020】
実施例1〜4、比較例1〜3
表1に各実施例と各比較例について研掃材の配合、粒子作製方法、粒径および比重を示す。ここで使用するポリプロピレン樹脂としてチッソ社製K7730Rを、鉄粉として同和鉄粉工業社製NC−200(粒度 #200)のものを実施例1〜3で用い、実施例4ではマルテンサイト相を有するアトマイズ鉄粉として神戸製鋼所社製アトマイズ鉄粉4100 PO−434を用いた。各実施例では鉄粉配合量を20、50、60体積%とし、これらの材料に鉄粉とポリプロピレン樹脂の接着促進のために酸変性ポリプロピレン樹脂(三洋化成社製ユーメックス1010)および帯電防止剤(花王社製エレストマスター320)を加えてスクリュー式押出機にて混練して押出しした後、水中カット方式によりそれぞれ粒径が0.4、2、1mmの鉄分散ポリプロピレン樹脂ペレットを作製した。
尚、切断刃の回転数は3,565rpm、押出し時の樹脂温度は228℃、水温は47℃であった。
【0021】
比較例1〜3では、同材料をスクリュー式押出機にて混練して押出しした後、引き延ばしながら冷却してそれぞれ同一径の糸状成形体を作製し、切断機により切断してペレットを作製した。また、比較例4では実施例1と同じ材料をスクリュー式押出機にて混練して押出しした後、引き延ばしながら冷却して直径2mmの糸状成形体を作製し、切断機によりペレットを作製した。次に、このペレットをカッターミルにて常温粉砕して分級し、粒径が0.4〜1mmの研掃材を作製した。
【0022】
【表1】
【0023】
表2に表1に示す研掃材を用いて実施した試験結果を示す。評価の内容は、(1)押出しした後にペレットや粉砕粒子が効率良く得られたかどうかを示す成形状態、(2)所定粒径のペレットや粉砕粒子の収率、(3)ゴム用金型に対する研掃能力、(4)研掃時衝撃により粉砕されて所定粒径より小さくなったものの粉砕率、そして(5)装置内の流動状態を示す流動性である。
【0024】
【表2】
【0025】
(1)成形状態について
実施例1〜4では、全て所定の粒径のものを得ることができ、また粒径の範囲も狙いの粒径に対してほとんど差はなかった。しかし、比較例1および3では押出しした後の引き延ばし中に糸状成形体が切断し、生産効率が低下した。また、比較例2では所定の粒径のものを得ることが出来た。比較例4では2mmのペレットが効率良く得られた。
【0026】
(2)収率
実施例1〜4では、95%以上の収率が得られた。比較例1および3では、上述したように糸状成形体が切断し生産効率が低下してロスが多く発生したために収率は悪かった。比較例2では実施例1〜3と同等の収率が得られた。比較例4では、粉砕後の収率が77%と低い結果になった。
【0027】
(3)研掃能力
金型洗浄用ブラスト設備を用いてゴム用金型(1,280mm×600mm)ともう一つのゴム用金型(1,670mm×600mm)の連続洗浄を実施した。ブラスト条件は直圧式エアブラストで投射圧力0.4MPa、投射距離15cmで金型1面当たりの洗浄時間は平均10分間としそれぞれ40面の金型を洗浄した。実施例1〜4では、全て良好な洗浄状態が得られたが、特に鉄の配合量が高い実施例2および3では、硬質なアトマイズ鉄粉を用いた実施例4では、洗浄状態が優れていることが判る。比較例4では、実施例1と同等の洗浄状態が得られた。
【0028】
(4)粉砕率
上記ブラスト試験後の粉砕率は、実施例1〜3では10%以下に対して比較例4では16%と高くなっていることが判る。
【0029】
(5)流動性
実施例1〜4は、研掃材が装置内に滞留することがなく、流動性は優れていることが判る。比較例4は研掃材が装置内に滞留し、流動性は実施例と比較して悪かった。
【0030】
【発明の効果】
以上のように本願の各請求項記載の発明によれば、熱可塑性樹脂と、一次平均粒子径10〜500μmの無機質充填材10〜60体積%を混練して押出した後、直ちに水中で冷却しながら切断してペレットを作製する樹脂複合研掃材の製造方法にあり、押出した後、直ちに水中で冷却しながら切断してペレットを得ることが出来るので、良好にペレットを作製することができて収率も高く、更にはブラスト洗浄、バリ取り、塗膜剥離等の使用に際しても優れた洗浄効果を有するとともに被洗浄物の表面を疵付けることなく、更に繰り返し使用頻度が高く寿命の長い樹脂複合研掃材の製造することができる効果がある。
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂中に無機質充填材を分散してペレット状の樹脂複合研掃材を製造する方法において、熱可塑性樹脂と、一次平均粒子径10〜500μmの無機質充填材10〜60体積%を混練して押出した後、直ちに水中で冷却しながら切断してペレットを作製することを特徴とする樹脂複合研掃材の製造方法。
- 熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、そしてポリカーボネート樹脂から選ばれた少なくとも一種である請求項1記載の樹脂複合研掃材の製造方法。
- 無機質充填材がアトマイズ鉄粉、還元鉄、電解鉄、酸化鉄、酸化銅、鉛、錫、鋼、亜鉛、ガラス、酸化アルミニウム、炭化珪素、硫酸バリウムそして炭酸カルシウムから選ばれた少なくとも一種である請求項1記載の樹脂複合研掃材の製造方法。
- ペレットの粒径が、0.3〜3mmである請求項記載1〜3の何れかに記載の樹脂複合研掃材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003052791A JP2004263005A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 樹脂複合研掃材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003052791A JP2004263005A (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 樹脂複合研掃材の製造方法 |
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Cited By (6)
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JP2005179604A (ja) * | 2003-12-22 | 2005-07-07 | Polyplastics Co | 研磨材及び成形機金属部品の再生方法 |
JP2006159402A (ja) * | 2004-11-11 | 2006-06-22 | Fuji Seisakusho:Kk | 研磨材及び該研磨材の製造方法,並びに前記研磨材を用いたブラスト加工方法 |
JP2011093046A (ja) * | 2009-10-30 | 2011-05-12 | Sintokogio Ltd | ブラスト加工用投射材およびブラスト加工方法 |
JP2012058366A (ja) * | 2010-09-07 | 2012-03-22 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 電子写真感光体の製造方法 |
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CN109824340A (zh) * | 2019-02-28 | 2019-05-31 | 宁国慧宏耐磨材料有限公司 | 一种研磨介质的加工工艺 |
-
2003
- 2003-02-28 JP JP2003052791A patent/JP2004263005A/ja active Pending
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