以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の第1の実施の形態に係る画像検査装置が搭載された画像形成装置について説明する。
本実施の形態に係る画像検査装置は、記録媒体の種類を操作部もしくはプリンタドライバによって指定し、この指定内容に基づいて上記記録媒体に対する画像欠陥の検査が難しいか否かを判別する。検査が難しい記録媒体であると判別された場合には、画像欠陥の検査における検査条件の何の条件の検査が難しいかをさらに判別し、この結果に基づいて、最適な方法によって画像欠陥の検査を行うことを特徴としている。すなわち、記録媒体の種類に応じて画像欠陥の検査の検査内容、検査対象、検査レベル、及び検査処理演算内容等の少なくとも1つを変更するものである。
まず、画像形成装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像検査装置が搭載された画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
本実施の形態に係る画像形成装置としてのマルチファンクション周辺機器100(以下、MFP(Multi Function Peripheral)100と称する)は、電子写真方式を採用する画像形成装置であり、4Dカラー系の画像形成装置である。
MFP100は、図1に示すように、スキャナ部110、レーザ露光部120、各色に対応した4つの感光ドラム131〜134を備える作像部130、定着部140、給紙/搬送部150、及び各構成要素を制御するプリンタ制御部160を備える。
スキャナ部110は、原稿台に置かれた原稿に対して、照明を当てることにより原稿画像を光学的に読み取り、読み取った像を電気信号に変換して画像データを作成する。
レーザ露光部120は、スキャナ部110において作成された画像データに応じて変調されたレーザ光等の光線を、等角速度で回転する回転多面鏡(ポリゴンミラー)121に入射させ、反射走査光として光学系を介して感光ドラム131〜134に照射する。
作像部130は、感光ドラム131〜134を回転駆動し、帯電器によって帯電させ、レーザ露光部120によって感光ドラム131〜134上に形成された潜像をトナーによって現像する。そして、この現像されたトナー像を用紙に転写し、この際に転写されずに感光ドラム131〜134上に残った微小トナーを回収する。作像部130は、現像ユニット(現像ステーション)を4連持つことで、上述のような一連の電子写真プロセスを実現している。4連の現像ユニットは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の順に並べられており、シアンステーション(現像ステーション)の作像開始から所定時間経過後に、マゼンタステーション、イエローステーション、及びブラックステーションの作像動作を順次実行していく。このタイミング制御によって、用紙上に色ずれのない、フルカラートナー像が転写される。
定着部140は、ローラやベルトの組み合わせによって構成され、ハロゲンヒータ等の熱源を内蔵し、前記作像部130によってトナー像が転写された用紙上のトナーを、熱と圧力によって溶解、定着させる。
給紙/搬送部150は、用紙カセットやペーパーデッキに代表される用紙収納庫151を1つ以上持っており、本実施の形態においては2つ備える。給紙/搬送部150は、プリンタ制御部160の指示に応じて用紙収納庫151に収納された複数の用紙の中から1枚分離し、作像部130、定着部140へ搬送する。
作像部130に用紙が搬送されると、前述の各現像ステーションにおいて、各色のトナー像が転写され、最終的にフルカラートナー像が用紙上に形成される。また、用紙の両面に画像形成する場合には、給紙/搬送部150は、定着部140を通過した用紙を両面反転部152に搬送し、反転後再度作像部130へ用紙を搬送する両面搬送経路153及び両面待機収納庫154を通るように各部を制御する。
プリンタ制御部160は、MFP100全体を制御する図2で後述するMFP制御部210と通信して、その指示に応じて各種の制御を実行すると共に、スキャナ部110、レーザ露光部120、作像部130、定着部140、給紙/搬送部150の各部の状態を管理しながら、全体が調和を保って円滑に動作できるよう指示を行う。
また、MFP100は、図1に示すように、定着部140と給紙/搬送部150の両面反転部152との間に、記録媒体である用紙に形成された画像(以下、出力画像と称する)を検知する検知部170を備えている。検知部170は、図8で後述するCIS装置50を備え、ユーザからの指示により出力画像の検知を行い、MFP制御部210に検知画像を送信する。検知部170の詳細は後述する。
次に、プリンタ制御部160について説明する。
MFP100が、電源OFF状態から電源が投入されて電源ON状態になると、プリンタ制御部160は、まず、スキャナ部110、レーザ露光部120、作像部130、定着部140、給紙/搬送部150に対して準備動作の開始を指示すると共に、MFP100全体を管理するMFP制御部210との通信開始を待つ。MFP制御部210との通信が確立すると、プリンタ制御部160は、MFP制御部210との間で互いに機器仕様情報のやりとりを行う。その後、MFP100各部の準備動作が終了し、画像形成動作が可能になると、プリンタ制御部160は、動作可能状態であることをMFP制御部210に通知する。プリンタ制御部160は、MFP制御部210に対し、MFP100各部の機器状態を通知する。
次に、MFP100の動作開始可能状態において、各構成の動作指示がMFP制御部210からプリンタ制御部160に通知されてから、一連のプリント動作の終了までの各部の動作について説明する。
まず、MFP制御部210は、動作開始コマンドをプリンタ制御部160へ通知する。プリンタ制御部160は、動作開始コマンドを受信すると、レーザ露光部120、作像部130、給紙/搬送部150、及び定着部140へプリント動作の開始を指示する。レーザ露光部120は、ポリゴンミラー121を駆動するモータ(ポリゴンモータ)の回転を開始する。作像部130は感光ドラム131〜134を回転駆動し、感光ドラム131〜134を帯電する。定着部140は定着ヒータをON状態にし、用紙上のトナーが用紙に定着可能な温度に上昇させる。給紙/搬送部150は、駆動手段(モータ)を起動可能な状態とする。MFP100の装置各部の動作準備が整うと、プリンタ制御部160は、MFP制御部210に対し、準備完了を通知する。MFP制御部210は、プリンタ制御部160からの準備完了通知を受信すると、次にページ単位でのプリント動作をプリンタ制御部160に指示する。MFP制御部210は、例えば10ページ、20部のプリントジョブであれば、200ページのプリント動作指示を出す。プリンタ制御部160は、プリント動作指示を受信すると、給紙/搬送部150へ、給紙指示を出す。給紙/搬送部150は、用紙が給紙可能であれば、用紙を1枚給紙、及び搬送し、用紙が所定の位置に到達した時にプリンタ制御部160に所定位置への到達を通知する。用紙収納庫150に用紙がない場合など、給紙不可能な状態であれば、給紙/搬送部150は給紙不可をプリンタ制御部160へ通知する。
また、給紙/搬送部150は、搬送経路上に用紙が重なった状態(重送状態)で搬送されていることを検知する、重送検知センサや、用紙の厚みを検知する厚さ検知センサなどを有していてもよい。この場合、これらのセンサが重送や異常状態を検知すると、給紙/搬送手段150は、給紙動作、及び搬送動作を中断し、プリンタ制御部160へ異常を通知する。プリンタ制御部160は、異常の通知を受けると、MFP制御部210へ動作中断の理由や、装置内に残留している用紙の位置などを通知する。
用紙が正常に搬送され、所定位置に到達した場合には、プリンタ制御部160は、給紙/搬送部150から用紙の所定位置到達通知に応じて作像部130へ作像開始を指示する。このタイミング制御によって、用紙上にトナー像が転写される。定着部140は定着部140の温度を監視し、適切な定着温度になるよう制御している。このように定着部140は温度制御を行っているが、用紙が定着部140より奪う熱量が大きい場合、定着部140の温度が低下するときがある。この場合には、定着部140はプリンタ制御部160へ定着部140の温度低下を通知する。この通知を受けて、プリンタ制御部160は用紙の搬送間隔を空け、定着部140がこれ以上温度低下しないようにする。それでも定着部140の温度が復帰しない場合には、一旦プリント動作を中断し、定着部140温度が復帰後、動作を再開する制御を行う。プリンタ制御部160は、全ての用紙の排出が完了すると、動作停止を各部へ指示し、各部からの動作停止通知を受け、MFP制御部210へ動作終了を通知する。
また、MFP100は、上記基本動作とは別に、検知部170を用いて出力画像の画像検査を実施できる構成になっている。検知部170を用いた出力画像の画像検査は、プリンタ制御部160が出力画像を検出する検出処理を行い、検出画像をMFP制御部210に送信することによって行われる。出力画像の画像検査方法については後述する。
次いで、MFP100のハードウエア構成について図2を参照して説明する。
図2は、MFP100のハードウエア構成を示すブロック図である。
図2に示すように、MFP100は、MFP制御部210と、入力画像処理部220と、NIC部231、RIP部232と、メモリ部240と、操作部250と、出力画像処理部260と、プリンタ部270と、後処理部271と、検知部170と、検査部290とを備える。
入力画像処理部220は、紙原稿などの原稿をスキャナ等の画像読み取り装置で読み取り、読み取った画像データを画像処理する。NIC(Network Interface Card)部231は、ネットワークを利用して入力された画像データ(主に、PDLデータ)をRIP部232に渡したり、MFP100内部の画像データや装置情報をネットワーク経由で外部に送信したりする。RIP(Raster Image Processor)部232は、入力されたPDL(Page Description Language)データを解読し、RIP処理をしてビットマップデータに展開する部分である。
MFP制御部210は、入力画像処理部220又はNIC部231を介して入力された画像データを受信する。MFP制御部210は、入力されるデータや出力するデータを制御する交通整理の役割を果たしている。また、MFP制御部210は、入力された画像データを一旦メモリ部240に格納する。メモリ部240は、画像データが一時的に格納されたり、格納された画像データが必要に応じて呼び出されたりする。
出力画像処理部260は、画像を出力するために画像データに画像処理を行い、これをプリンタ部270に送る。
プリンタ部270は、出力画像処理部260において生成された画像データに基づいて画像を用紙上に順次形成していく。プリンタ部270は、図1の作像部130、定着部140、給紙部150、プリンタ制御部160等を備える。プリンタ部270において画像が形成された用紙は後処理部271へ送り込まれる。後処理部271は、用紙の仕分け処理や用紙の仕上げ処理等を行う。
次いで、図3を参照してMFP100のRIP部232について説明する。図3は、MFP100のRIP部232の構成を示すブロック図である。
RIPとは、PDL(Page Description Language)で記述された文字、線画、図形などのベクトル情報、あるいは、色、パターン、写真などの画像走査線情報などを同時にページ上に再現するために、これらの情報それぞれのオブジェクト情報をメモリ上にビットマップ(ラスタイメージ)展開するプロセッサである。元来、ハードウエアとして出力装置側に搭載されていたが、現在では、CPUの高速化によりソフトウエアで実現されている。
RIP部232は、一般に、インタプリタ部310とレンダリング部320の2つの部分から構成されている。インタプリタ部310は、PDLの翻訳を行うPDL解釈部311と、解釈したPDLデータからディスプレイリストと呼ばれる中間ファイルを生成するDL(Display List)生成部312とから構成されている。レンダリング部320は、ディスプレイリストに対してカラーマッチングを行うCMM(Color Matching Module)部321と、ディスプレイリストをビットマップ(ラスタイメージ)に展開するDL展開部322とから構成されている。
PDL解釈部311は、入力されてきた様々な種類のPDLデータを解析する部分であり、入力データの入力フォーマットとしては、Adobe Systems社のPostScript(登録商標)言語やHP(Hewlett-Packard)社のPCL(Printer Control Language)言語などが有名である。これらは、ページ単位の画像を作成するためのプリンタ制御コードで記載されており、単純な文字コードのほか、図形描画のコードや写真画像のコードなども含まれている。また、PDF(Portable Document Format)というAdobe Systems社の開発した文書表示用ファイル形式も様々な業界で多用されており、PDL解析部311はドライバを使用せず直接MFP100に入力されたこのフォーマットのデータも解析対象としている。その他、PDL解釈部311は、PPML(Personalized Print Markup Language)と呼ばれるVDP(Variable Data Print)向けフォーマット、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やTIFF(Tagged Image File Format)と呼ばれるカラー画像の圧縮フォーマットなどにも対応している。
CMM部321は、グレースケール、RGB、CMYKなど様々な色表現方式を用いた画像データの入力が可能であり、その他の色表現方式の場合には、一度CRD(Color Rendering Dictionary)によってCMYK表現方式に変換した後、カラーマッチングを施す。CMM部321においては、ICCプロファイルによるカラーマッチングが行われる。ICCプロファイルには、ソースプロファイルとプリンタプロファイルとがある。ソースプロファイルは、RGB又はCMYK表現方式の画像データ(RGB系画像データ又はCMYK系画像データ)を一度、規格化された色表現方式であるL*a*b*表現方式の画像データ(L*a*b*系画像データ)に変換し、このL*a*b*系画像データを再度、出力先となる画像形成装置に適したCMYK系画像データに変換する。ソースプロファイルは、RGBプロファイルとCMYKプロファイルとから構成されている。ソースプロファイルにおいては、入力画像がRGB系画像の場合にはRGBプロファイルが選択され、入力画像がCMYK系画像の場合にはCMYKプロファイルが選択される。プリンタプロファイルは、出力先画像形成装置の色特性に合わせて作られており、RGB系画像の場合は、色味優先や鮮やかさ優先の色特性を選択するのが好ましく、CMYK系画像の場合は、色差最小の色特性を選んで最適画像を出力することが多い。
また、ICCプロファイルは、一般に、ルックアップテーブル形式によって作成されている。ソースプロファイルにおいては、RGB又はCMYK系画像データが入力されると、入力されたRGB又はCMYK系画像データは、一意にL*a*b*系画像データに変換される。これに対して、プリンタプロファイルにおいては、L*a*b*系画像データが出力先のプリンタに適合したCMYK系画像データに変換される。尚、プリンタプロファイルにおいて、カラーマッチングを必要としないRGB系画像データは、デフォルト設定の色変換によりCMYK系画像データに変換されて出力され、カラーマッチングを必要としないCMYK系画像データは、そのまま出力される。
次いで、MFP100の操作部250について図4を参照して説明する。図4は、MFP100の操作部250の備えるタッチパネル部の概略構成を示す図である。
図4に示すように、MFP100の操作部250はタッチパネル部400を備える。以下の説明において、スタートキー、数字入力部などの基本ボタンについては説明を省略する。
タッチパネル部400は、液晶表示部(LCD(Liquid Crystal Display)とその上に貼られた各キーに対応する透明電極とから構成されるタッチパネルディスプレイである。操作部250においては、タッチパネル部400のLCDに表示される各種キーに対応する透明電極に指が触れると、それを検知して別の操作画面を表示するなどの処理が予めプログラムされている。図4は、スタンバイモード時にタッチパネル部400に表示させる初期画面を示しており、操作部250はユーザの設定操作に応じて様々な操作画面をタッチパネル部400に表示することができる。
図4において、コピータブ401は、表示画面をコピー動作の操作画面に切り換えるためのタブキーであり、送信タブ402は、ファックスやE−mail送信など送信動作を指示する操作画面に遷移するためのタブキーである。ボックスタブ403は、ユーザ毎にジョブを格納する記憶手段であるボックスにジョブを入出力するための操作画面に切り換えるためのタブキーである。オプションタブ404は、スキャナ設定など拡張機能を設定するためのタブキーである。システムモニタキー405は、MFP100の状態や状況を表示するためのキーである。ユーザはタッチパネル部400において上記各タブを選択することにより、MFP100の操作モードを夫々の操作モードに切り換えることができる。
また、色選択設定キー406は、カラーコピー、白黒コピー、あるいは自動選択かを予め選択するためのキーであり、倍率設定キー407は、等倍、拡大、縮小などの倍率設定を行う画面に切り換えるキーである。後処理設定キー408はステープルやパンチなどのの有無、個数、位置などの後処理の各種設定を行うための画面に切り換えるためのキーである。両面設定キー409は、片面印刷か両面印刷かを選択するための画面に切り換えるキーであり、用紙設定キー410は、給紙段や用紙サイズ、用紙タイプを選択するための画面に切り換えるためのキーである。画像モード設定キー411は、文字モードや写真モードなど原稿画像に適した画像モードを選択するためのキーであり、濃度設定キー412は、出力画像を濃くしたり薄くしたり調整するためのキーである。
ステータス表示部413は、スタンバイ状態、ウォームアップ中、ジャム発生、エラー発生等のMFP100の状態表示を簡易的に行う表示部であり、倍率表示部414は、倍率設定キー407によって設定された倍率を表示する。
用紙表示部415は、用紙設定キー410で設定された用紙サイズや用紙タイプを表示し、枚数表示部416は、操作部250の備える図示しないテンキーで指定されたコピー枚数を表示したり、コピー動作中に何枚目を印刷中かを表示したりする。
割り込みキー417は、コピー動作中に別のジョブを割り込ませるためのキーであり、応用モードキー418は、ページ連写、表紙・合紙設定、縮小レイアウト、画像移動など様々な画像処理やレイアウトなどの設定を行うための画面に切り換えるためのキーである。また、応用モードキー418によって選択可能な応用モード内には、後述する出力画像の画像検査を実行させるためのキーが存在する。
また、後述する本実施の形態における出力画像の画像検査処理における用紙タイプの指定は、後述するプリンタドライバによっても可能であるが、MFP100の操作部250の用紙設定キー410を介して行うこともできる。
ついで、プリンタドライバについて説明する。印刷アプリケーションからMFP等のプリントデバイスにプルーフ出力したり、最終的な画像データを出力したりするための一手段として使用される。プリンタドライバは、例えば、MFP制御部210に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)等に搭載されている。
プリンタドライバの設定画面は、ユーザがMFP等のプリントデバイスによって画像を印刷する場合に、一般的に印刷アプリケーションの印刷メニューを選択することによりPCの表示部に表示される。図5は、PCの表示部に表示されるプリンタドライバの設定画面の一例を示す図である。
図5に示す設定画面において、ユーザはプロパティボタン501を押することにより、表示画面を図6で後述するプロパティ設定画面に切り換えることができ、ユーザはこのプロパティ画面においてさらに詳細な印刷属性を設定することができる。また、ユーザはプリンタドライバの設定画面において所望の設定を終了した場合、OKボタン502を押すことにより、印刷対象の画像データをMFP100によって印刷したり、所望のファイルに出力したりすることができる。また、キャンセルボタン503を押すことにより印刷やファイル出力を止めることができる。
図6は、プリンタドライバの設定画面におけるプロパティ設定画面の一例を示す図である。図6に示すプロパティ設定画面は、プリンタドライバの仕上げ処理に関連した特性を設定するためのプロパティ設定画面の一例である。このプロパティ設定画面には、図6に示すように、左下部に検査内容設定キー601が配置されている。後述する出力画像の画像検査を実行する場合には、この検査内容設定キー601を押下し、詳細設定項目を選択/修正/変更することにより、所望の検査を実行することができる。検査内容設定キー601が押されると後述する図7に示す検査内容設定画面が表示される。
図7は、図6のプロパティ設定画面において検査内容設定キー601が押された場合にPCの表示部に表示される検査内容設定画面を示す図である。図7において、後述する画像検査処理において、用紙の種類を選択するための用紙種類指定ダイアログ701と、出力画像の検査のレベルを選択するための検査レベル指定ダイアログ702が配置されている。
図7に示すように、検査内容設定画面には、上部中央に検査レベル自動変更チェックボックス703が、また、その下方に検査対象・内容自動変更チェックボックス704が配置されている。検査レベル自動変更チェックボックス703は、用紙の種類に応じて画像検査の検査レベルを予め設定されている所定の検査レベルに自動的に変更するように設定するためのチェックボックスである。また、検査対象・内容自動変更チェックボックス704は、用紙の種類に応じて画像検査の検査対象及び検査内容を予め設定されている所定の検査対象及び検査内容に夫々自動的に変更するように設定するためのチェックボックスである。尚、図7においては、検査対象・内容自動変更チェックボックス704が選択されている場合が示されている。
また、検査内容設定画面には、図7に示すように、左下部に検査対象指定領域705が配置されている。検査対象指定領域705は、画像検査における検査対象を指定するための操作領域であり、各種の検査対象を指定するためのチェックボックス706〜712と、印刷画像における検査範囲を指定するための検査範囲指定ボタン713とが配置されている。本実施の形態においては、画像検査での出力画像における検査対象としてライン、テキスト、グラフィック、及びイメージ画像(以下単に、イメージと称する)や、用紙(下地)の汚れ等の下地の状態(以下単に、下地と称する。)が設定されている。
検査内容設定画面の検査対象設定領域705において、チェックボックス707〜710,712を選択することにより、検査対象としてライン、テキスト、グラフィック、イメージ、下地を夫々任意に指定することができる。また、チェックボックス706を選択することにより、用紙の種類に応じて予め設定されている所定の検査対象を自動的に選択するように設定することができる。また、チェックボックス711を選択することにより、ライン、テキスト、グラフィック、イメージ、下地の全てを検査対象として選択することができる。
検査範囲指定ボタン713は、検査対象をオブジェクト(出力画像)毎に指定可能にするものではなく、検査対象の出力画像におけるエリアを指定可能にするものである。具体的には、検査範囲指定ボタン713によって、1つの出力画像において、チェックボックス706〜712の内選択した検査対象を対象とする画像検査を行いたい範囲を指定することができる。また、検査範囲指定ボタン713は、1つの出力画像において複数の範囲を指定することができるように構成されている。検査範囲指定ボタン713を押下すると、設定画面は、出力画像のどの位置を検査するかを指定するための指定画面(不図示)に写る。
また、検査内容設定画面には、図7に示すように、右下部に検査内容指定領域714が配置されている。検査内容指定領域714には、検査内容を指定するためのチェックボックス715〜724が配置されている。本実施の形態においては、検査内容として、「欠け」、「汚れ」、「乱れ」、「色再現」、「面内ムラ」、「粒状性」、「位置ずれ」、及び「折れ」が設定されている。
上述の検査内容について具体的に説明する。「欠け」は、出力画像に欠けがあるか否かの検査である。「汚れ」は、情報(画像)が無い部分に印字やゴミ等の汚れが付着してしまった部分があるか否かの検査である。「乱れ」は、トナーの飛び散りによるラインのがたつきがあるか否かの検査である。「色再現」は、入力画像データと出力画像との色の差分を検査するものである。「面内ムラ」は、出力画像の色ムラの検査である。具体的には、「面内ムラ」は、グラフィック画像においてある程度面積のあるロゴやマークを複数箇所、同じ色で出力している場合にこれらのロゴやマークの間の色ムラを検査するものであり、これらのロゴやマークの間での色差を検出して判断する。「粒状性」は、FFTと視感度特性(VTF)を使って粒状性を演算する検査であり、出力画像がイメージ画像やグラフィック画像である場合にこれらを検査対象とする。「位置ずれ」は印字位置ずれの検査であり、「折れ」は画像が形成された用紙(以下、印刷用紙と称する。)の折れを検査する。
検査内容設定画面の検査対象設定領域714において、チェックボックス716〜719,721〜724を選択することにより、検査内容として「欠け」、「汚れ」、「乱れ」、「色再現」、「面内ムラ」、「粒状性」、「位置ずれ」、及び「折れ」を夫々任意に指定することができる。また、チェックボックス715を選択することにより、用紙の種類に応じて予め設定されている所定の検査内容を自動的に選択するように設定することができる。また、チェックボックス720を選択することにより、「欠け」、「汚れ」、「乱れ」、「色再現」、「面内ムラ」、「粒状性」、「位置ずれ」、及び「折れ」の全てを検査内容として選択することができる。
ここで、後述するように、本実施の形態に係る画像検査装置の用紙毎に画像検査の検査条件を最適化する動作モードである検査最適化モードは、検査レベル自動変更チェックボックス703及び検査対象・内容自動変更チェックボックス704をチェック(選択)することで有効になる。検査最適化モードにより、画像欠陥の誤検知など、MFP100の生産性の低下の要因の発生を回避した画像検査が可能になる。検査最適化モードにおいては、画像が形成される用紙の種類毎に、MFP100の画像形成の生産性も加味して検査条件を変更する。また、検査最適化モードにおいては、検査内容も画像が形成される用紙の種類に応じて検出可能な項目を自動的に選択する。画像検査において異常(画像欠陥)が検出された場合の制御は、MFP制御部210が実行する。プリンタ制御部160、及び検知部170は出力画像の検出のみを実行し、MFP制御部210に検出した出力画像の画像データを送信する。
また、上述の図7の検査内容設定画面は、MFP100の操作部250のタッチパネル部400の応用モードキー418(図5参照)を操作することにより、操作部250のタッチパネル部400に表示される。これにより、ユーザは、上述のプリンタドライバの操作と同様に、画像検査条件の設定を行うことができる。
次いで、検知部170について図8及び図9を参照して説明する。図8は、検知部170の概略構成を示す正面視の断面図であり、図9は、検知部170を左側面側から見た図である。
図8,9に示すように、検知部170は、水平に配設された搬送ローラ対37と、搬送ローラ対37の下方において水平に配設された搬送ローラ対38と、搬送ローラ対37,38との間に配設されたCIS装置50とを備える。
搬送ローラ対37と搬送ローラ対38とは、鉛直方向においてニップ部が互いに対向するように配置されており、画像が形成された印刷用紙Pを通紙方向(図8の矢印K方向)に搬送する。CIS装置50は、搬送ローラ対37の下方且つ搬送ローラ対38の上方であって、通紙方向に沿って配置されている。
また、検知部170において、CIS装置50の右方には、印刷用紙Pの通紙路を介してCIS装置50の右側面に対向するように、対向板51が配設されている。具体的には、図9に示すように、CIS装置50において、搬送ローラ対37,38に囲まれた領域には、CIS装置50が対向板51に対抗するように配置されている。CIS装置50と対向板51との間には、一定の間隔のギャップGが形成されている。このギャップGを定着部140の定着ローラから排出された印刷用紙Pが通過する際に、印刷用紙P上の出力画像をCIS装置50が検出するようになっている。
CIS装置50の内部には、印刷用紙P上の出力画像に光を照射するLEDアレイ60と、印刷用紙Pの摺擦や紙紛などからCIS装置50内部を保護するコンタクトガラス61と、印刷用紙Pからの投影光束を導くセルフォックガラス62と、この投影光束を投影画像として読み取るフォトダイオード63とが組み込まれている。フォトダイオード63は、主走査方向に対し1800dpiの解像度を持ち、副走査方向に対して1800dpiの解像度を持つように構成されている。また、フォトダイオード63の受光面上方にはRGBフィルタが順番に並べてある。このため、フォトダイオード63は、実際にはフルカラー600dpiの読み取り解像度となっている。フォトダイオード63は、出力画像をトナー1粒単位まで分解することはできないが、RIP部232の解像度が600dpiであるので、出力画像の検査時の解像度変換作業がいらず出力画像と入力画像の比較がしやすく構成されている。またCIS装置50は、フォトダイオード63により、出力画像の情報を8ビット256階調の輝度信号情報として得ることができるため、階調性についても緻密な判定を行うことが可能である。
以下、MFP100における出力画像の画像検査方法について説明する。
本実施の形態に係る画像検査装置は、予め用紙の種類が入力され、この用紙の種類に最適な出力画像の画像検査条件を選択して誤検知やエラーによるMFP100の生産性の降下を抑制するものである。
本画像検査方法の画像検査処理においては、まず、検査内容設定画面(図7)におけるユーザの操作により、記録媒体としての用紙の種類の選択が行われる。
図7の検査内容設定画面において、ユーザはまず、用紙種類指定ダイアグラム701を操作して、記録媒体として使用する用紙の種類を選択する。用紙の種類としては、例えば、再生紙、普通紙、コート紙(マットコート紙やアートコート紙を含む)、光沢紙、色紙、レザック紙、ラベル紙、プレプリント紙等が選択可能である。上述の用紙種類指定ダイアグラム701において選択可能な用紙の種類は、一例を示すものであり、用紙の種類を増やしても減らしてもよい。
尚、用紙(記録媒体)の種類情報として、上記用紙の紙種名称以外に、坪量、及び表面特性を入力する。また、用紙の種類情報として、用紙の紙種名称、坪量、及び表面特性の少なくとも1つを入力してもよい。
図10は、用紙の種類と、各用紙に対応する画像検査における特性(課題)との関係を示す図である。
図10に示すように、再生紙は、「ムラが多い」、「不純物が多い」、「白色度が低い」などの理由で画像検査しにくい面がある。画像検査において、再生紙のムラや不純物を検知してしまうことや、白色度が低く発色性が悪いために、色再現性の検査において誤検知やエラーを発生させていた。
普通紙、コート紙、及び光沢紙については、画像検査における問題は特にない。
色紙については、検査対象である出力画像を認識するために、色紙の色(下地のオリジナルの色)を登録する必要がある。また、色紙には、イエローやグリーン、蛍光色など多くの色の色紙があり、色紙の色を登録したとしても、CIS装置50のフォトセンサ63(RGBセンサ)によって全ての色を感知できるわけではない。更には、出力画像と下地とのコントラストが足りなくなり、誤検知やエラーが発生していた。
レザック紙は、表面に凹凸があるため、画像検査が最も難しい用紙の1つである。レザック紙においてはその表面凹凸が影になり、画像検査において「下地に色(汚れ)を持つ」と判断されてしまう。プレプリント紙のように、その模様が一定であればその模様を1度登録して検査すればよい。しかしレザック紙の場合には、模様は1枚1枚異なるため正確に検査できない。さらに、レザック紙はその表面形状からラインやテキストなどのドット情報が欠けやすい。このようなレザック紙を使用している時、コート紙などと同じ検査条件で画像検査を行ったのでは誤検知やエラーが発生していた。
ラベル紙には切り込みが入っているものがある。単純にオリジナル画像(入力画像)と出力画像とを比較するだけの検査では、出力画像の読み取りにおいて印刷用紙の切り込み部分をスジと認識して、全てが欠陥と判断されてしまう。この問題を解決するためには読み取りもしくは読み取り情報の演算上の工夫が必要である。また、ラベル紙自体は基層、接着層、台紙から構成されており、台紙、すなわちラベル紙の裏面にはロゴなどの模様が入れられている場合が多い。このため、ラベル紙によっては下地の部分が透けてしまい、誤検知が生ずる場合があった。
プレプリント紙の場合は、下地の模様を欠陥として誤検知してしまうことが多い。読み取られた出力画像の画像データには、オリジナルの画像データには存在しない情報が含まれているので、誤検知やエラーが発生してしまう。
次いで、画像検査処理において、用紙の種類が選択されると、画像検査の検査レベルの設定が行われる。
画像検査の検査レベルの設定は、図7の検査内容設定画面においてユーザが検査レベル設定ダイアログ702又は検査レベル自動変更チェックボックス703を操作することにより行われる。検査レベルとしては、「普通」、「高精度」、及び「簡易」の3種類のレベルが設定されている。
図11は、用紙の種類と検査レベルとの関係を示す図である。図11に示すように、用紙の種類に応じて、画像検査の検査レベルが夫々設定されている。図11の用紙の種類と検査レベルの関係を用いて、後述するように、検査レベル自動変更チェックボックス703が選択された場合に、検査レベルが自動設定される。
「高精度」の検査レベルの場合は、出力画像の欠陥の検査として最も信頼のおける検査が実行される。しかしながら、「高精度」の検査レベルでの画像検査は、高精度に画像の欠陥を判定するため、検査の効率が悪く、MFP100の生産性が悪い。「簡易」の検査レベルでの画像検査においては、検査の効率は向上し、MFP100の生産性は向上する。しかしながら、「簡易」の検査レベルでの画像検査においては、細かい画像の欠けや汚れ等は画像欠陥と認識されない。このため、出力画像の欠陥の検査としての信頼性は低い。「普通」の検査レベルでの画像検査は、「簡易」の検査レベルと「高精度」の検査レベルとの間の検査レベルである。尚、以下の説明において、「高精度」、「普通」、及び「簡易」の検査レベルでの画像検査は、高精度モード、普通モード、及び簡易モードと夫々称する。また、各モードの詳細は後述する。
次いで、画像検査処理において、画像検査の検査レベルが設定されると、検査対象の設定が行われる。
画像検査の検査対象の設定は、図7の検査内容設定画面においてユーザが検査対象指定領域705又は検査対象・内容自動変更チェックボックス704を操作することにより行われる。
図12は、用紙の種類と検査対象との関係を示す図である。図12には、各用紙の画像検査において、問題のない、つまり画像検査が困難ではない検査対象が、○で表されている。また、図12には、各用紙の画像検査において、課題がある、つまり画像検査しにくい検査対象が、×で表されている。図12の用紙の種類と検査対象の関係を用いて、後述するように、検査対象・内容自動変更チェックボックス704が選択された場合に、検査対象が自動設定される。この場合でも、高精度の画像検査のために検査対象指定領705のチェックボックスの選択により、任意の検査対象を選択可能に構成してもよい。また、生産性の向上を図るために検査対象指定領705のチェックボックスの選択を外すことにより検査対象から除外可能に構成してもよい。
本実施の形態においては、上記検査対象であるライン、テキスト、グラフィック、イメージ、及び下地という出力画像の部分判別は、RIP部232において判断して付与されるタグビット情報と、RIP処理後のビットマップ情報とを利用して像域を分離処理する手段(像域分離部)を使って行われる。
次いで、画像検査処理において、画像検査の検査対象が設定されると、検査内容の設定が行われる。
画像検査の検査内容の設定は、図7の検査内容設定画面においてユーザが検査内容指定領域714又は検査対象・内容自動変更チェックボックス704を操作することにより行われる。
図13は、用紙の種類と検査内容との関係を示す図である。図13には、各用紙の画像検査において、画像検査が困難ではない検査内容が、○で表されている。また、図13には、各用紙の画像検査において、画像検査しにくい検査内容が、×で表されている。図13の用紙の種類と検査内容の関係を用いて、後述するように、検査対象・内容自動変更チェックボックス704が選択された場合に、検査内容が自動設定される。この場合でも、高精度の画像検査のために検査内容指定領714のチェックボックスの選択により、任意の検査対象を選択可能に構成してもよい。また、生産性の向上を図るために検査内容指定領714のチェックボックスの選択を外すことにより検査内容から除外可能に構成してもよい。
上述のように画像検査条件が設定され、この設定された検査条件に基づいて出力画像の画像検査が行われる。画像検査処理において、各検査レベル及び各検査内容における画像欠陥の判断は、図14に示す、欠陥判断条件に基づいて行われる。
次いで、以下に、画像検査方法について詳細に説明する。
まず、欠け(情報の欠落)の検査方法について説明する。
欠けは、従来から行われている検査内容であり、バーコードのラインが欠けていないかなどを検査する場合が多かった。検査方法としては、ライン情報をRIP処理前のデータから入手する。ライン情報とはラインの幅、基点と終点の結び方などが記載されたPDL(Page Description language)記述情報である。実際のライン幅やドットの大きさなどの情報はRIP処理後のビットマップデータから入手する。
本実施の形態に係る画像検査装置は、像域分離部でラインやドットと判断された出力画像の領域に対しても欠け検査が可能な構成になっている。像域分離部では、5mm以上のラインやテキストの場合、グラフィック情報と判別する。5mm以上のラインやテキストは、10mm程度の太いラインからなり、且つ中間の濃度であるロゴや見出しが多いため、グラフィックス処理の方が好ましい場合が多いからである。このため、図12に示すライン、テキストとは、5mm未満の太さのライン、テキストである。
一方、ビットマップデータで入力された画像においても像域分離部はライン、テキスト判別を行っている。バーコード生成ソフトがビットマップデータでバーコードを生成することが多いため、像域分離部がビットマップデータに対してライン、テキスト判別を行うことができるものとなっている。また、本実施の形態に係る画像検査装置においては、ラインだけではなくドットの欠けも検査可能である。ドット画像として重要なのものは、QRコードなど2次元シンボルと呼ばれるものがある。この2次元シンボルは、識別情報として使用されている。QRコードなどはプリンタの再現能力や読取り機器の性能を考慮して最大30%までの訂正機能があるが、画像形成装置の印字目標としては、ドット1つ1つを再現することが求められる。
欠け検査の実際の検査フローは、検知部170におけるCIS装置50のフォトダイオード63によって出力画像のRGBデータを検出し、この検出したRGBデータをCMYK単色データに変換し、このCMYK単色データを2値化してこれとオリジナル画像データとを比較して行う。この比較において、情報欠落部を検索し、欠落部の面積(大きさ)、具体的には、欠落部の画素数を検出して欠けか否かを判別する。高精度モードにおいては、欠落部の面積が1画素以上である場合に出力画像に欠けがあると判断する。普通モードにおいては、欠落部の面積が4画素以上の場合に、簡易モードにおいては、欠落部の面積が9画素以上の場合に、夫々出力画像に欠けがあると判断する。
また、欠けの検査は、検査対象としてテキスト、ライン、グラフィック、及び/又はイメージを選択された場合に実行される。
次いで、汚れ(情報の付加)の検査方法について説明する。
基本検査フローは上述の欠けの検査の場合と同じであるが、汚れの検査は、オリジナル画像において情報が無い部分を対象にする検査である。印刷用紙において、オリジナル画像には無い画像(つまり、オリジナル画像データにおいて情報が無い部分)に読み取り情報(付加画像)が存在する場合には、この付加情報の大きさ(面積)を検出することにより汚れであるか否かを判別する。汚れは、欠けと同じ条件の画素単位で判断する。即ち、高精度モードにおいては付加情報が1画素以上、普通モードにおいては4画素以上、及び簡易モードにおいては9画素以上の場合に、汚れがあると判断する。
また、汚れの検査は、検査対象として下地が選択された場合に実行される。
色紙、プレプリント紙においては通常汚れを検知することはできない。色紙の場合はそれ自体の色が汚れであると判断されたり、プレプリント紙の場合はその予め印刷されている画像が汚れと判断されたりしてしまうからである。ただし、色紙・プレプリント紙の色又は画像を予め登録すれば検査は可能である。本実施の形態に係る画像検査装置は、予め色紙自体の色又はプレプリント紙自体の画像を登録する機能を有しており、この機能を利用して色紙又はプレプリント紙を用紙として用いた場合にも出力画像の検査を実行することができる。
次いで、乱れの検査方法について説明する。
欠けまでは至っていないが、所望のラインやドットよりも大きかったり小さかったりする場合を乱れとする。乱れはバーコード等には致命的な欠陥である。理想とのずれ量を「乱れパラメータ」として検査を実行する。
図15(A)及び(B)にオリジナル画像と出力画像とを比較した例を示す。出力画像には、オリジナル画像よりも大きくなる部分と、オリジナル画像よりも小さくなる部分とがある。乱れの検査においては、この出力画像におけるオリジナル画像よりも大きくなる部分又は小さくなる部分を評価する。乱れの判断は、互いに隣接している1対の画素を1グループとして考え、オリジナル画像に対する出力画像の1グループ画素毎のズレ量の比率を算出して行う。具体的には、オリジナル画像の面積(基準画素数)に対する出力画像の面積(出力画素数)の比をズレ量比率として算出し、このズレ量比率を所定の閾値と比較して乱れであるか否かを判別する。乱れ量(ズレ量比率)は、下記の単純な計算式(数式1)を用いて算出する。
乱れ量=|(出力画素数/基準画素数)×100(%)−100(%)|・・・(1)
数式(1)において、−100%は、表示の都合上計算しているだけであって、マイナスしなくてもよい。||は絶対値を表す。なお、図15(A),(B)の場合、出力画像がオリジナル画像より太いとき(図15(A))が乱れ量48%、出力画像がオリジナル画像より細いとき(図15(B))が乱れ量32%である。
このように乱れ量を計算して乱れが発生しているか否かを判断する。本実施の形態では、高精度モードにおいては乱れ量が30%以上の場合、普通モードにおいては乱れ量が50%以上の場合、簡易モードにおいては乱れ量が70%異常の場合に、乱れが発生していると判断する。
上述の各モードでの乱れが発生しているか否かの閾値(乱れ量30,50,70%)は、画像検査対象として小さい文字やラインを意識した場合の値である。画像形成装置の出力画像においては色材(トナー)と用紙(記録媒体)との境界部での乱れの発生が多い。すなわち基準面積(オリジナル画像)が大きいものや太いものに関しては、乱れ量は少なくなる傾向がある。このため、基準面積に応じて乱れが発生しているか否かの閾値を変更する構成にしてもよい。
図14に示すように、本画像検査方法においては、欠け、汚れ、及び乱れ、と判断される箇所が1つ以上ある場合には、欠け、汚れ、及び乱れが生じていると夫々判断する。
次いで、色再現の検査方法について説明する。
色再現の検査とは、カラーマッチングの精度ではなく、画像形成装置の安定性を検査するものである。RIPにおいてソースプロファイルとプリンタプロファイルとを使ってカラーマッチングが行われるが、単純にソースの色情報を基準状態(オリジナル画像)にしてしまうと、ガマットの問題上、出力先の画像形成装置において再現できない色まで検査して、欠陥が生じていると判断してしまいかねない。従って、色再現検査時には、オリジナル画像データとして、入力された画像データがソースプロファイルとプリンタプロファイルを介してCMYK系画像データに変換された後、再度プリンタプロファイルを参照してL*a*b*系画像データに変換された情報を使用する。
上述のように、オリジナル画像はCMYK系画像データからL*a*b*系画像データに変換される。また、検知部170において検知された出力画像の画像データも同様にRGB系画像データからL*a*b*系画像データに変換される。検査部290は、検知部170のRGBデータ検出特性をICCプロファイルのような多次元LUT(3次元→3次元)の形で保存している。このICCプロファイルを用いて検査部290は、RGB系画像データをL*a*b*系画像データに変換する。
オリジナル画像、ならびに検知部170の検出した出力画像をL*a*b*系画像データに変換した検査部290は、解像度変換を行う。解像度変換を行う理由は、比較検査工程での情報量を減らし検査効率を上げるためである。入力画像データならびに検出画像データの解像度は600dpiであり、検査部290はこれらを比較するときには両者を50dpiに解像度変換する解像度変換部を備える。解像度変換方法は、バイキュービック法と呼ばれる多次補間方法を用いる。なお、解像度変換部はMFP制御部210に接続された検査部290が備える。
本実施の形態の色再現性の検査においては、イラストなどのグラフィック部、写真などのイメージ部、更には下地を登録された場合に限り下地の色再現性を検査する。下地の色再現性の検査では、登録時に保存しておいたRGB系画像データをL*a*b*系画像データに変換した色度データを用いる。
色再現検査における評価方法としては、CIE(国際照明委員会)が開示している1976年色差式(数式(2))を用いる。また、視覚感度を加味した1994年色差式、又は2000年色差式を用いてもよい。
色差(ΔE)=((Lt−Ls)2+(at−as)2+(bt−bs)2)0.5・・・(2)
Lt:オリジナル画像の明度(基準明度)
Ls:出力画像の明度(出力明度)
at:オリジナル画像のa*(基準a*)
as:出力画像のa*(出力a*)
bt:オリジナル画像のb*(基準b*)
bs:出力画像のb*(出力b*)
色再現検査においては、上記数式(2)により算出した色差(ΔE)が所定範囲内であるか否かを判断して、色再現性に欠陥があるか否かを判断する。具体的には、高精度モードにおいてはΔE>4となる色が1つ以上の場合に、色再現性に欠陥があると判断する。普通モードの場合においてはΔE>5となる色が1つ以上の場合に、簡易モードの場合においてはΔE>6となる色が1つ以上の場合に、夫々色再現性に欠陥があると判断する。上述の各モードの色差の閾値(ΔE>4,5,6)は、出力画像に対する値であり、プレプリント紙などの下地に対しては閾値を下げて、色再現性の検査精度を厳しくしてもよい。
次いで、面内ムラの検査方法について説明する。
面内ムラの検査には、色再現検査時に変換したL*a*b*系画像データを用いる。オリジナル画像及び出力画像のL*a*b*系画像データを算出した検査部290は、面内評価を実行する。まず、オリジナル画像の画像データを検索し、CMYKの比率が同じである場所を検索してその場所のアドレスを記憶する。そして、このアドレスにおける出力画像(L*a*b*系画像)データの画像情報を検索する。理想的には、同じ信号を入力しているため出力画像においても同じ色が検出されるべきであるが、画像形成装置における画像形成時に生じるムラなどが影響してオリジナル画像と同じ色が再現されない場合がある。面内ムラの検査においては、このオリジナル画像と同じ色が再現されない部分を検査する。
面内ムラは、オリジナル画像データには存在しない。面内ムラの検査は、出力画像内での色の差を検出して行う。まず、出力画像データにおいてオリジナル画像データと同じ信号値(画素)があるかを検索する。出力画像データにおいてオリジナル画像データと同じ画素がある場合にはその隣接した画素数を調べる。隣接画素数が144画素以上あり、出力画像においてこのような画素グループが複数ある場合には面内ムラ検査を実行することができる。144画素を境界とした理由は、上記色再現検査での評価範囲が500μm程度となるため、面内ムラ検査においてもこれに統一するためである(12画素幅とは約500μm、その正方形で12×12=144画素)。面内ムラは、表題、ロゴなどのイラストデータに多く存在する。写真画像はGradationのある階調画像が多いため、面内ムラは検査されない場合が多い。写真画像における面内ムラは色再現検査にて検出されるべきである。
面内ムラ検査における面内ムラが生じているか否かの判断は、上記色再現検査と同様に色差を求めてこれに基づいて行う。高精度モードの場合には、ΔE>1となる上記画像群が1回でもある場合に、面内ムラが発生していると判断する。普通モードにおいてはΔE>3となる画素グループが1回でもある場合に、簡易モードにおいてはΔE>5となる画素グループが1回でもある場合に、面内ムラが生じていると判断する。
次いで、粒状性(G)の検査方法について説明する。
粒状性の評価は、FFT(高速フーリエ変換)及びVTFフィルタを用いて行う。また検査データは、色再現検査時に変換したL*a*b*系画像データを用いる。解像度は検知部170で検知した出力画像のそのままの解像度である600dpiを用いて演算する。出力画像において粒状感を与えるのは明度成分であるから、出力画像からL*成分を抽出して、FFTにより周波数成分に変換する。そして得られた周波数成分に対してVTFフィルタ処理を行い、視覚的に認識されない高周波成分をカットする。高周波成分をカットした周波数成分にIFFT(高速逆フーリエ変換)を施して、実空間の画像に戻し、その画像における明度の標準偏差から粒状度を算出する。これにより、画像に対する粒状感を数値(粒状度)として求めることができる。粒状感の強い画像は、明度にばらつきがある画像であり、標準偏差値が大きい。
本実施の形態において使用するVTFフィルタとしては、視認距離30cmのものを用いる。上記一連の処理を式で示すと下記数式(3)のようになる。
G =√[{Σ(P'ij−Pa)2}/(N2−1)]・・・(3)
Pa =(ΣP'ij)/N2
P'ij =IFFT{FFT(Pij)ΣV(f)}
V(f)=5.05×exp(-0.138f)×{1 - exp(-0.1f)} ・・・( f≧5のとき)
= 1 ・・・(f<5のとき)
ここで上記数式(3)において、Gは粒状度、PaはFFT後の画像データのパワースペクトル平均値、P'ijはIFFT後の画像データの明度成分、V(f)はVTFフィルタ関数、Nは出力画像の縦横の画素数である。また、Σ演算はi,j=1からNまでである。
粒状性Gは、中間調をピークに図16に示すようなカーブを描く。面積階調を行っているため、中間調において最も粒状性Gが高い。このように明度によってそもそもの粒状性Gの値が変化してしまう。このため、明度毎に基準となる粒状性(ターゲットカーブ)を図16に示すように予め規定している。本実施の形態における粒状性の検査は、この基準となる粒状性(ターゲットG)と、実際の出力画像の粒状性(出力画像G)から下記数式(4)により演算したターゲットGと出力画像Gとの比であるG’の大きさによって、粒状性に欠陥があるか否かを判断する。
G’=(出力画像G/ターゲットG)×100%・・・(4)
なお、G’が100%以下である場合は、ドット再現が標準の画像形成装置よりも向上していることを示し、粒状性に問題はない。
画像形成装置は、記録媒体に画像を出力する前に各種安定化制御を行っている。つまり、色や濃度に関しては、ある程度の範囲内には収まる場合が多い。これは、ドットの形状には関係なく、あくまでもマクロ的に色や濃度をあわせこむからである。すなわち粒状性が悪くなっても濃度は合わせるという制御を行っている。粒状性が悪くなると、人物の肌、海のグラデーションなど薄い色の品位が落ちてしまう。この品位を検査することが粒状性検査の役目である。
粒状性の評価は、所定の画像信号部分で実施され、面内ムラの画像データ抽出方法に近い。まず、画像データ中に隣り合う画素信号の色差が互いに1以下となっている画素グループを抽出する。そして、この画素グループ内の画素数が、主走査方向128画素、副走査方向128画素、すなわち、16384画素存在する画素グループをピックアップする。このとき、複数の画素グループをピックアップしてもよい。次いで、これらピックアップされた画素グループの内、単色最大信号値と最小信号値との差が5%以下である画素グループをさらに抽出する。そして、この抽出された画素グループについて、粒状性検査を行う。
上述の条件に合致するデータとしては、イラスト系であるグラフィック画像が多いが、中には砂浜、ウエディングドレス、光、肌などハイライトの多い写真についても検査対象の画像になりうる。
粒状性検査では、高精度モードにおいてはG’<110、普通モードにおいてはG’<120、簡易モードにおいてはG’<130となる色が1つ以上存在する場合に、粒状性欠陥があると判断される。
次いで、位置ずれの検査方法について説明する。
位置ずれとは、用紙に対する所望の印字位置(基準位置)と、実際に印字された位置(出力位置)がずれていることを示す。位置ずれは、基準位置からの出力位置のずれ量を検出して判断すればよい。より具体的に述べると、出力画像においてエッジがはっきりしている部分の基準位置からのずれ量を検出して判別している。出力画像において、エッジ抽出技術を用いてエッジを抽出し、この抽出したエッジと基準位置との関係を比較して、位置ずれを判断する。尚、像域分離も同様の方法によって像域分離を行っている。
位置ずれ検査では、高精度モードにおいては1mm以上の位置ずれが、普通モードにおいては1.5mm以上の位置ずれが、簡易モードにおいては2mm以上の位置ずれが1つ以上存在する場合に、位置ずれ欠陥が発生していると判断される。
次いで、折れの検査方法について説明する。
折れに関しては、余白部がないため判断は容易である。折れによって通常現れるはずの余白部が無いことを検知して判断すればよいからである。例えば白色部が囲んでいるか否かを判断するなどの方法がある。インクジェット紙のような余白部の無い用紙でも、このインクジェット紙の通紙サイズとの大きさの比較により折れの検知は容易である。折れ検査は、印刷用紙と出力前の用紙との大きさを比較することにより行い、印刷用紙が出力前の用紙より小さいと判断された場合に、折れが発生していると判断される。
折れ検査では、高精度モードにおいては印刷用紙の全面をチェックし、普通モードにおいては印刷用紙の端部のみをチェックし、簡易モードにおいては4つの角部のみをチェックする。折れ検査において、1つでも折れが発生していると判断された場合には、欠陥と判断される。
本実施の形態に係る画像検査装置の画像検査において、出力画像に欠陥があるか否を判別する基準である欠陥条件(図14参照)は、上述の条件(図14)に限るものではない。また、画像検査装置において、欠陥条件は、ユーザが任意に変更可能に構成されている。
次いで、本実施の形態に係る画像検査方法について図17を参照して説明する。
図17は、本実施の形態に係る画像検査処理のフローチャートである。
本画像検査処理は、画像形成の実行(以下、JOBと称する。)が指示された場合に実行される。図17に示すように、本画像検査処理において、まず、図7の検査内容設定画面におけるユーザの操作に応じて操作部250又はプリンタドライバから画像検査処理の実行の命令を受けたか否かを判別する(ステップS1701)。画像検査処理の実行命令を受けると、本JOBにおける用紙の種類を確認する(ステップS1702)。具体的には、ステップS1702において、検査内容設定画面(図7)において設定された記録媒体としての用紙の種類(図10参照)を確認する。
次いで、検査レベルの設定がオート設定になっているか否かを、即ち、検査内容設定画面(図7)において検査レベル自動変更チェックボックス703が選択されているか否かを確認する(ステップS1703)。検査レベルの設定がオート設定の場合は、設定された用紙の種類に応じて、検査レベルとして「普通」又は「簡易」を選択する(ステップS1704)。具体的には、図11に示す通り、用紙として、普通紙、コート紙、光沢紙、及びラベル紙が選択されている場合は、検査レベルとして「普通」を選択して動作モードを普通モードに設定する。一方、用紙として、再生紙、色紙、レザック紙、及びプレプリント紙が選択されていた場合は、検査レベルとして「簡易」を選択して動作モードを簡易モードに設定する。
ステップS1703において、検査レベルの設定がオート設定でない場合は、検査レベル指定ダイアログ702によって直接選択されたレベルを検査レベルとして設定する(ステップS1705〜S1709)。
次いで、画像検査の検査対象及び検査内容の設定を行う。まず、検査対象及び検査内容の設定がオート設定であるか否かを判別する。具体的には、検査内容設定画面(図7)において検査対象・内容自動変更チェックボックス704が選択されているか否かを判別する(ステップS1710)。検査対象及び検査内容の設定がオート設定である場合は、設定された用紙の種類に応じて自動で検査対象及び検査内容を設定する(ステップS1711)。ステップS1711においては、まず、設定された用紙の種類を確認し、図12の条件を確認する。図12において、設定された用紙の検査対象の内×が表されている検査対象、つまり、この用紙に対して画像検査がしにくい検査対象については検査しない。つまり、図12において、設定された用紙の検査対象の内○が表されている検査対象、つまり、この用紙に対して画像検査が困難でない検査対象のみを検査対象に設定する。次いで、同様に、検査内容に対しても、設定された用紙の種類を確認して図13の条件を確認し、図13において、設定された用紙の検査内容の内○が表されている検査内容のみを検査内容に設定する。
一方、ステップS1710において、検査対象・内容の設定がオート設定ではない場合は、検査内容設定画面(図7)の検査対象指定領域705及び検査内容指定領域714において選択されたチャックボックスの検査対象及び検査内容を、画像検査の検査対象及び検査内容に設定する(ステップS1712)。つまり、ステップS1712において、検査対象・検査内容のマニュアル設定を受け付ける。
上述のように、本画像検査処理においては、検査レベル、検査対処、及び検査内容を、設定された用紙の種類に応じて、自動的に設定することができると共に、ユーザが任意に手動で選択することができる。このため、ユーザは、画像検査処理の処理時間を短縮させてMFP100の生産性を向上させたい場合に、例えば、高精度レベルでラインのみを検査するように検査条件を設定することができる。
ここで、例えば、用紙としてレザック紙が選択されており、検査対象・内容の設定がオート設定である場合は、ステップS1702,S1703,S1704,S1710,1711において、以下のように検査レベル、検査対象、及び検査内容が設定される。
検査レベル:簡易
検査対象:ライン,テキスト,グラフィック
検査内容:欠け,乱れ,位置ずれ,折れ
上述のように、検査条件の各設定が完了すると、オリジナル画像データや、上述ように各検査において算出される閾値等の基準データ等を参照して、出力画像データに対応するオリジナル画像データを解析する(ステップS1713)。次いで、設定された検査条件に基づいて、オリジナル画像データの内画像検査において必要でない対象や内容を削除して画像検査の準備を行う(ステップS1714)。
次いで、オリジナル画像を用紙に出力する(ステップS1715)。出力された画像の定着が完了すると、検知部170において出力画像の検出を行い(ステップS1716)、検出した出力画像をMFP制御部210に送信し、検査部290において上述のように設定された検査条件に基づいて各種の検査を実行する(ステップS1717)。
検査部290は、ステップS1717の判定結果をMFP制御部210に通知し、判定がOKである場合、つまり、出力画像に欠陥がないと判断された場合には、JOBを完了し(ステップS1718)、次JOBに備える(ステップS1719)。次のジョブがない場合は、本処理を終了する。一方、判定がNGである場合、つまり、出力画像に欠陥があると判断された場合には、この出力画像が形成された印刷用紙を予め設定されている所定のトレイに移動して欠陥のある出力画像を欠陥の無い出力画像とは別の場所に排出するようにプリンタ制御部160に指示を送る(ステップS1720)。
次いで、出力画像に欠陥があった場合に再度この画像の出力を行う再出力設定がなされているか否かを判別する(ステップS1721)。再出力設定は操作部250又はプリンタドライバを介して行うことができる。再出力設定がされていない場合は、ステップS1719に移行する。一方、再出力設定がなされている場合は、MFP制御部210の備える再出力カウンタのカウント値iを1インクリメントして(ステップS1722)、再出力の回数が、再出力回数の上限、本実施の形態においては3回を超えているか否かを判別する(ステップS1723)。具体的には、カウント値iが4であるか否かを判別する。再出力回数が上限回数を超えていない場合は、ステップS1715を以降の処理を実行して再出力を行い、再出力回数が上限回数を超えた場合は、ステップS1719の処理に移行する。
上述のように、本実施の形態に係る画像検査処理においては、出力画像の画像検査を実際に用紙に出力される画像を用いて行っている。また、従来の画像形成装置における画像検査では、レジストレーション、カラーバーなどの濃度、色度測定などにおいては切り取り部であるトンボの外側を用いて評価していた。本実施の形態の係る画像検査処理においても、従来の画像検査方法と同様に、各種評価パターンをトンボの外側に配置し、粒状性などの検査を行ってもよい。通常、トンボの外側は断裁されるため各種テストパターンを埋め込みやすい。
上述のように、本発明の実施の形態に係る画像検査装置によれば、記録媒体としての用紙の種類に応じて検査レベル、検査内容、及び検査対象等の検査条件を任意に設定することができる。これにより、用紙の種類に応じて画像検査の検査条件を最適なものにすることができる。このため、用紙の種類に応じて検査が困難な検査条件を除外して最適な検査条件で画像検査を行うことができ、無駄な検査等をすることなく画像検査を行うことができる。従って、MFP100の画像形成の生産性を向上させることができる。また、画像品質のバランスの取れた画像を形成することができる。
次いで、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置は、上述の第1の実施の形態に係る画像形成装置と同じ構成を有しており、その画像検査方法のみが異なる。本実施の形態に係る画像検査方法は、MFP制御部210及び検査部290が実行する演算の演算量を少なくするように構成されている。以下、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置に対して、同じ構成部材には同一の符号を付して重複した説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
ここで、第1の実施の形態においては、画像検査処理はMFP制御部210及び検査部290において実行されるものとした。図14に示すように第1の実施の形態における検査条件において、簡易モード時には、情報の欠落(欠け)が9画素以上、付加情報(汚れが)9画素以上、基準位置からのズレが2mm以上等の欠陥条件を満たす場合いに夫々出力画像に欠陥があると判断するものとした。これらの欠陥条件の判断においては、検知部170の出力画像の読み取り解像度を落としても問題ない。また、色再現、面内ムラ、粒状性などの検査内容に対しては、RGBセンサの全てを用いて出力画像を検出しなくても、Gフィルタのみを用いてこのGフィルタのフィルタ特性を用いて出力画像を検出することでだけで十分に判断可能である。さらに、再生紙、色紙、レザック紙などの下地に色や表面凹凸がある用紙においては、検知部170の読み取り光量を強くすることで画像検出の精度を向上させることができる場合がある。これは、用紙の下地と出力画像とのコントラスト比が増すこと、さらにはある程度のハイライトの乱れを検知部170が読み取れない状態になることが理由である。検知部170の読み取り光量を強くする場合、検知部170によるトナーのついた部分(出力画像)の検出は可能である。
このような理由から、本実施の形態においては、画像検査の検査条件が出力画像の読み取り解像度を落としても問題のものであるか、検査条件が出力画像をフルカラー検出しなくても問題のないものであるか、及び検知部170の読み取り光量を上げた方が検出精度が上がる検査であるかに着目したものである。具体的には、本実施の形態に係る画像検査装置は、これらの条件を満たす場合に、読み取り解像度、通知カラー情報、及び読み取り光量を変更することを特徴とする。
以下、図18を参照して具体的に説明する。図18は本発明の実施の形態に係る画像検査処理のフローチャートである。本実施の形態に係る画像検査処理は、上記第1の実施の形態に係る画像検査処理(図17)に対して、画像検査条件に応じて読み取り解像度変更処理、通知カラー情報変更処理、及び光量変更処理を設けた点で異なる。以下、図17の画像検査処理と異なる部分のみ説明する。
図18に示すように、まず、図17のステップS1701〜ステップS1712を実行する。次いで、設定された画像検査条件が出力画像の読み取り解像度を変更することができる条件であるか否かを判別する(ステップS1801)。具体的には、検査レベルが「簡易」であって、検査内容が欠け、汚れ、及び/又は位置ずれであるか否かを判別する。画像検査条件が出力画像の読み取り解像度を変更することができる条件である場合には、読み取り解像度を任意に設定された所定の解像度に変更する(ステップS1802)。即ち、ステップS1802において、読み取り解像度を所定の解像度に低下させる。
画像検査条件が出力画像の読み取り解像度を変更することができる条件でない場合には、又はステップS1802の処理を実行した場合には、ステップS1803の処理に移行する。ステップS1803において、設定された画像検査条件が、MFP制御部210へ通知する出力画像をRGB情報からグレイスケール情報に変更することができる条件であるか否かを判別する。具体的には、検査内容が、色再現、面内ムラ、及び粒状性であるか否かを判別する。画像検査条件が出力画像をグレイスケール情報に変更することができる条件である場合には、検知部170において検出した出力画像の情報の内、Gフィルタを介して検出された情報のみをMFP制御部210に送信するように設定する(ステップS1804)。
次いで、画像検査条件が出力画像をグレイスケール情報に変更することができる条件でない場合には、又はステップS1804の処理を実行した場合には、ステップS1805の処理に移行する。ステップS1805においては、画像検査条件が検知部170の出力画像への照射光の光量を変更した方がよいものであるか否か判別する。具体的には、記録媒体として再生紙、色紙、及びレザック紙が設定されているか否かを判別する。画像検査条件が検知部170の出力画像への照射光の光量を変更した方がよいものであると判別された場合には、読み取り光量を予め任意に設定された所定の光量に変更する(ステップS1806)。つまり、読み取り光量を所定の光量に上げる。
画像検査条件が検知部170の出力画像への照射光の光量を変更した方がよいものでないと判別された場合には、又はステップS1806の処理を実行した場合には、図17のステップS1713に移行してステップS1713〜S1723の処理を実行し、本処理を終了する。
上述のように、読み取り解像度を低くすることによってMFP制御部210等における演算量が減少して演算速度が速くなり、出力画像の検査時間や排紙時間を短縮することができ、MFP100の生産性を向上させることができる。また、出力画像の検出情報の内グレイスケール情報のみをMFP制御部210に通知することにより、情報量は1/3になるためMFP制御部210における演算量が減少して演算速度が速くなり、同様にMFP100の生産性を向上させることができる。また、照射光量を上げることにより、出力画像の検出精度を高精度にすることができる。
上述のように、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置によれば、用紙の種類や検査内容等の検査条件に応じて、検知部170の読み取りデバイスであるCIS装置50の仕様を低下させるか又は、検知部170における処理を変更する。これにより、画像検査処理における計算量や通信量を大幅に低減させることができ、画像検査の効率を向上させることができる。加えて、検査精度を向上させることができる。また、第1の実施の形態と同様に、記録媒体としての用紙の種類に応じて検査レベル、検査内容、及び検査対象等の検査条件を任意に設定することができる。これにより、用紙の種類に応じて検査が困難な検査条件を除外して最適な検査条件で画像検査を行うことができ、無駄な検査等をすることなく画像検査を行うことができる。従って、MFP100の画像形成の生産性を向上させることができる。また、画像品質のバランスの取れた画像を形成することができる。
次いで、本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置は、上記第1及び第2の実施の形態に係る画像形成装置とは異なり、検知部が定着部の下流側ではなく作像部の上流側に配設されており、画像の出力前の用紙の状態を検査することを特徴とする。画像出力前の用紙にはさまざまな付着物や汚れなどがある場合が多い。既に付着物や汚れが付いた用紙に画像を形成した場合には、出力画像に欠陥が生ずることが多い。このため、既に付着物や汚れが付いた用紙に画像を形成することは、色材や用紙の無駄であり、コストの観点においてMFP100の効率性を低下させる。
本実施の形態は、上述の問題を改善するため、検知部170の読取部50及び対向板51を、例えばレジ待機位置と作像部130の最初の画像形成部(感光ドラム131)との間の搬送パス上に設け、画像出力前の用紙の状態を検査可能に構成されている。そして、出力前の用紙の状態の検査に応じて、この用紙に汚れ等が付着している場合にはその用紙に画像を形成しない。
本実施の形態に係るMFPは、上記第1の実施の形態に係るMFP100(図1)に対して、検知部170を備えず、上述のように、読取部50及び対向板51を、作像部130の最初の画像形成部(感光ドラム131)への搬送パス上に備える点が異なる。従って、本実施の形態に係るMFPの構成の説明は省略する。以下、第1の実施の形態に係る画像検査装置と同じ構成部材には同一の符号を付して重複した説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
次いで、本実施の形態に係る画像検査装置の実行する画像検査処理について図19を参照して説明する。図19は、本実施の形態に係る画像検査装置の実行する画像検査処理のフローチャートである。
本画像検査処理においては、まず、プリンタドライバもしくはMFPの操作部250において、出力前の用紙を検査する出力前用紙検査モードの設定がされたか否かを確認する(ステップS1901)。
本実施の形態においては、例えば図7の検査内容設定画面には図示していないが、出力前用紙検査モードを設定可能にする設定ボタンが設けられており、出力前用紙検査モードの設定ボタンが押下されると、自動的に検査対象が下地に、検査内容が汚れ及び折れに設定されるように構成されている。即ち、これらのチェックボックス(チェックボックス712,717,724)に自動的にチェックが付く。また、この状態において、ユーザが汚れ又は折れのどちらか一方の検査をしたい場合には、汚れ又は折れのうち検査を望まないどちらか一方のチェックボックス717又は724の箇所のチェックを解除すればよい。但し、本実施の形態においては、汚れ及び折れの両方の解除はできないように構成されているものとする。
次いで、出力前検査モードの設定が確認された場合には、記録媒体として設定されている用紙の種類を確認する(ステップS1902)。ここで、記録媒体としてプレプリント紙又は色紙を設定する場合には、出力前画像検査の基準とするために、画像の出力前のプレプリント紙又は色紙の画像(下地の画像や下地の状態、下地の色等)をCIS装置を用いて予め登録しておく。これにより、記録媒体自体の検査が可能になる。この構成により、予め画像が印刷されたプレプリント紙の検査、ならびに色紙の検査などが可能になる。
次いで、記録媒体として設定されている用紙が再生紙又はレザック紙であるか否かを判別する(ステップS1903)。記録媒体として再生紙又はレザック紙が設定されている場合には、用紙の検査を行わずに本処理を終了する。検知部としてのCIS装置(図8参照)においては用紙の付着物や汚れと用紙の凹凸とを分離して検知することはできない。また、再生紙についてはそもそも白色度が低く、不純物も埋め込まれており、これを出力前用紙検査で検出することはできても、ほとんどの再生紙が欠陥があると判別される場合がある。このため、標準検査レベルにおいては、レザック紙ならびに再生紙については用紙検査を実行できないように構成されている。また、ユーザ指定により、生産性がダウンしても検査を実行したいときのために、第1の実施の形態同様に、検査レベルは選択可能に構成されている。例えば、ユーザが検査内容設定画面(図7)において、図示しない出力前用紙検査モードの設定ボタンを押下し、検査レベル指定ダイアログ702を操作して検査レベルを高精度にすることにより、検査条件を任意に設定することができる。
一方、ステップS1903において、記録媒体として再生紙又はレザック紙が設定されていない場合には、用紙の搬送を開始する(ステップS1904)。ステップS1904においては、選択された用紙が収納されている用紙収納庫151もしくは手差し給紙部152に用紙のピックアップを指示する。次いで、ピックアップ指示を受けた用紙収納庫151もしくは手差し給紙部152は指示タイミングで指示枚数の用紙のピックアップを行って用紙を搬送する。
次いで、レジ待機位置で用紙の搬送タイミングを調整し、CIS装置50で用紙の状態を検出する(ステップS1905)。具体的には、搬送されてきた用紙の下地の色や模様、汚れや付着物を読み取る。読み取り内容(検査内容)(図13参照)は、上記第1の実施の形態と同様に、検査内容設定画面(図7)において選択可能である。検査内容についての指示が特に無い場合には、第1の実施の形態において説明した汚れが検査内容に設定され、汚れについての検出が行われる。
次いで、ステップS1905の検出結果と、設定されている検査条件に対応する欠陥条件(図14)とを比較して、用紙に欠陥が有るか否かを判別する(ステップS1906)。ステップS1906においては、用紙として色紙又はプレプリント紙が設定されている場合は、予めこれらの用紙を読み込んで登録された基準データと比較して、検出した用紙の状態の内基準データと異なる部分のみを抽出する。これにより、色紙又はプレプリント紙に対して正確な用紙検査を行うことができる。
出力前の用紙に汚れ等が付着していて、欠陥が有ると判別された場合には、その用紙に画像を形成せずに用紙を排出し(ステップS1907)、本処理を終了する。一方、出力前の用紙に汚れ等が付着してなく、欠陥がないと判別された場合は、第1の実施の形態と同様にこの用紙に画像形成を行う(ステップS1908)。
次いで、用紙の両面に画像形成を行う両面モードが指示されている否かを判別する(ステップS1909)。両面モードが指示されている場合は、両面反転部152によって用紙を反転させ(ステップS1910)、ステップS1902に戻り、ステップS1902移行の処理を繰り返す。一方、両面モードが指示されていない場合は、本処理を終了する。両面モードが指示されている場合において、両面反転部152により用紙が反転され、ステップS1902〜S1908の処理が実行されたときは、ステップS1909において、両面モードが指示されていないと判別される。
尚、ステップS1902で出力前検査モードの設定が確認されると、用紙の種類を確認しているが、ステップS1901で出力前検査モードの設定がされると、自動的に用紙種類指定ダイアグラム701の再生紙とレザック紙の選択を禁止するようにしてもよい。この場合は、ステップS1903の処理を飛ばして、ステップS1904から動作すればよい。
上述のように本発明の第3の実施の形態に係る画像検査装置によれば、用紙の状態の検査を画像形成前に行うことによって、無駄な色材や用紙の使用がない、ランニングコストに優れた環境にやさしい画像形成装置を提供することができる。
また、出力前用紙検査により欠陥があると判別された用紙であっても、出力画像の欠陥の検査を行う必要がないような簡易な画像の出力に対しては、この用紙は十分に使用可能である。従って、画像出力後に出力画像の検査を行い、出力画像に欠陥があると判別された印刷の再利用方法は限られているが、本実施の形態に係る画像検査装置によれば、画像が形成された場合に画像欠陥を生じる用紙を無駄に使用することなく、適切な用途に使用することができるようになる。
次いで、本発明の第4の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置は、上記第3の実施の形態に係る画像形成装置と同様に、画像の出力前の用紙を検査するものであるが、読取部50及び対向板51を作像部130の最初の画像形成部への搬送パス上に備えるものではなく、第1の実施の形態に係るMFP100と同様に検知部170を備えるものである。本実施の形態に係る画像形成装置は、第1の実施の形態に係る画像形成装置と構成が同じであり、その説明を省略する。
次いで、本実施の形態に係る画像検査装置の実行する画像検査処理について図20を参照して説明する。図20は、本実施の形態に係る画像検査処理のフローチャートである。
本画像検査処理においては、まず、第3の実施の形態に係る画像検査処理と同様に、図19のステップS1901〜S1904の処理を実行する。次いで、レジ待機位置において用紙搬送のタイミングを調整して、用紙を作像部130を通過させる(ステップS2001)。ステップS2001においては、用紙が作像部130の各転写部を通過する時には、転写バイアスを通常とは逆(±を逆)に各転写部に対して印加してトナーを用紙に転写しないようにしている。これにより、用紙は、画像が形成されることなく作像部130を通過する。
次いで、転写部を通過した記録媒体を定着部140に搬送し、定着部140を通過させる(ステップS2002)。ステップS2002において、定着部140を通過する際に用紙に汚れなどがつくことは好ましくない。従って、図1において点線で示したように、用紙が定着部140を通過する際には、上ローラが下ローラに着かないように上方に付勢されるように定着部が構成されている。定着部140を通過する際には、上ローラが上方に付勢され、下ローラが用紙の搬送を行う。
次いで、定着部140を通過した用紙を、検知部170に搬送し、検知部170において用紙の状態を検出する(ステップS2003)。具体的には、搬送されてきた用紙の下地の色や模様、汚れや付着物を読み取る。読み取り内容(検査内容)(図13参照)は、上記第1の実施の形態と同様に、検査内容設定画面(図7)において選択可能である。検査内容についての指示が特に無い場合には、第1の実施の形態において説明した汚れが検査内容に設定され、汚れについての検出が行われる。
次いで、ステップS2003の検出結果と、設定されている検査条件に対応する欠陥条件(図14)とを比較して、用紙に欠陥が有るか否かを判別する(ステップS2004)。出力前の用紙に汚れ等が付着していて、欠陥が有ると判別された場合には、その用紙に画像を形成せずに用紙を排出し(ステップS2005)、本処理を終了する。一方、出力前の用紙に汚れ等が付着してなく、欠陥がないと判別された場合は、両面モードが指示されている否かを判別する(ステップS2006)。両面モードが指示されていない場合は、検査された用紙を、両面反転部152を通過させて両面待機収納庫154に搬送して保管して(ステップS2007)、本処理を終了する。
一方、両面モードが指示されている場合は、両面反転部152によって用紙を反転し(ステップS2008)、ステップS1902に戻り、検査されていない面に対してステップS1902以降の処理を繰り返す。ここで、この検査されていない面に対するステップS2006の処理においては、両面モードは設定されていないと判別され、ステップS2007の処理に移行し、両面の用紙状態の検査が終了した用紙を両面待機収納庫154に搬送して保管して、本処理を終了する。
本画像検査処理によって、用紙状態の検査が終了した用紙は、両面待機収納庫154にて再ピックアップタイミングを待ち、JOBに伴うピックアップ指示に応じて両面待機収納庫154からピックアップされ、作像部130、定着部140に搬送されて画像が形成される。
また、本実施の形態に係る画像検査装置は、出力前に状態の検査が行われた用紙に対して、出力画像の検査を行うようにしてもよい。具体的には、ステップS2007によって、両面待機収納庫154に保管されている検査済みの用紙を用いて画像を形成し、第1の実施の形態と同様に、検知部170の読取部50が出力画像を検出し、MFP制御部210において画像欠陥の検査を行う。
この場合は、例えば、図7の検査内容設定画面を2画面設定し、一方の画面を出力前用紙検査モードの検査条件設定用の画面に、他方の画面を図7の検査内容設定画面に設定する。この2つの設定画面において、各モードにおける検査条件を設定する。
具体的には、出力前用紙検査モードの設定画面において、ユーザが出力前用紙検査モードの設定ボタンを押すと、自動的に、検査対象が下地に、検査内容が汚れ及び折れに設定され、これらのチェックボックス712,717,724の箇所に自動的にチェックが付く。また、この状態において、ユーザが汚れ又は折れのどちらか一方の検査をしたい場合には、汚れ又は折れの内検査を望まないどちらか一方のチェックボックス717又は724のチェックを解除すればいい。但し、本実施の形態においては、汚れと折れの両方の解除はできないように構成されているものとする。また、画像検査モードの設定画面(図7)においては、第1の実施の形態と同様に検査条件の設定を行うことができる。
上述のように本発明の第4の実施の形態に係る画像検査装置によれば、用紙の状態の検査を画像出力前に行うことによって、無駄な色材や用紙の使用がない、ランニングコストに優れた環境にやさしい画像形成装置を提供することができる。
また、出力前用紙検査により欠陥があると判別された用紙であっても、出力画像の欠陥の検査を行う必要がないような簡易な画像の出力に対しては、この用紙は十分に使用可能である。従って、画像出力後に出力画像の検査を行い、出力画像に欠陥があると判別された印刷の再利用方法は限られていたが、本実施の形態に係る画像検査装置によれば、画像が形成された場合に画像欠陥を生じる用紙を無駄に使用することなく、適切な用途に使用することができるようになる。
上記第3,4の実施の形態に係る画像検査装置においては、CISを用いてもある程度の色や濃度、パターンに関するもの検出可能である。公知の光沢センサや高さセンサを組み合わせて紙の表面性や厚さを自動的に検査し、操作性を向上させても良い。
次いで、本発明の第5の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
上述の第1の実施の形態は、用紙の種類に応じて検査検査条件を設定し、検査レベルの最適化、検査内容・対称の絞込みを行う。第2の実施の形態は、用紙の種類に応じて読み込みデバイスである検知部170の読み込み設定を変更する。第3,4の実施の形態は、出力前の用紙の状態を検査する。本実施の形態に係る画像形成装置は、視覚特性に重要な正反射特性に注目し、正反射光特性をも解析して出力画像の検査を行う画像形成装置を備える。以下、上記第1の実施の形態に係る画像検査装置に対して同じ構成部材には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
スジやキズなどの光沢ムラは、高光沢なほど目立ちやすくなる。このため、本実施の形態においては、高光沢用紙であるコート紙と光沢紙の検査時に、正反射特性を検出して光沢ムラ検査するように構成されている。また、プリンタドライバや操作部250を介して他の用紙においても正反射特性を検出して光沢ムラを検査するよう設定可能に構成されている。
具体的には、図21に示すように、図8のCIS装置50に、フォトダイオード63を介して光源であるLEDアレイ60に対向する位置であって、LEDアレイ60の照射光の正反射光が入射する位置に、フォトダイオード63と同じフォトダイオード64が追加されている。光沢の検出については、RGB出力は必要ない。このため、フォトダイオード64はRGBフィルタを備えない。
以下、本実施の形態の特徴である光沢検査方法について述べる。
MFP制御部210は、フォトダイオード64が検出した出力画像からの正反射画像の情報を受信し、検査部290に通知する。検査部290は正反射画像とオリジナル画像とを比較して光沢ムラを検出する。
本実施の形態に係る画像形成装置の用いる画像形成方法は電子写真方式であり、用紙に転写されるトナーの高さは10μmを超える場合がある。光沢紙のような高光沢記録媒体では表面が平滑化されており、正反射画像に基づいて転写されたトナーの段差を検出することができる。このため、正反射画像データとオリジナル画像データとを段差において比較することにより、出力画像における定着ローラによるキズや、各種部材による擦れなどを検知することができる。また、正反射画像データとの比較に使用するオリジナル画像データとしては、RIP処理後のハーフトーニング処理された画像データを使用することが好ましい。図22(A),(B)にハーフトーニング処理された画像データを示す。図22(A)はハーフトーニング後のドット画像を示し、図22(B)はハーフトーニング後のドット画像の断面を示す。このようにドット構造の画像に凹凸があり、出力画像とハーフトーニング処理後のオリジナル画像とを比較することにより光沢ムラの誤検知を抑制することができる。このため、検査部290にはオリジナル画像データをハーフトーニング処理して得られる画像データを入力する。
比較方法は、第1の実施の形態において述べた汚れの検査に用いる計算方法を用いる。即ち、画像データに存在しない情報(光沢ムラ)が存在していれば、画像欠陥と判断する。
本実施の形態に係る画像検査処理の手順は、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。本実施の形態においては、フォトダイオード63を介して乱反射光を検出する時に、フォトダイオード64を介して正反射光も同時に検出する構成である。
上述のように、本実施の形態に係る画像検査装置によれば、出力画像の正反射光も検査対象にすることで、濃度や色では検知することができなかったスジやキズなどの光沢ムラも検出でき、より高品質な出力画像を提供することができる。
上述のように、本発明によれば、欠陥の検査等の検品が難しい記録媒体に対しても、画像検査条件を最適化することができ、画像形成の生産性を向上させることができる。加えて、検査品質を最適化することができる。
また、画像出力前に記録媒体の欠陥を判別するので、無駄な色材の消費、各種部材の劣化、用紙の浪費などを回避することができる。
さらに、光沢紙など形成されるキズが目立ちやすい高光沢画像については、正反射光を利用して光沢ムラの検査も実行するので、より高品質の出力画像を提供することができる。
上述のように、本実施の形態に係る画像検査装置は、電子写真方式の画像形成装置に適用されているものとしたが、インクジェットプリンタ、オフセット印刷機などの画像形成装置におも適用可能である。また、画像形成装置から分離されたオフライン検査装置としても適用可能である。
また、記録媒体の種類を入力する手段は、操作部250のタッチパネル部400もしくはプリンタドライバに限るものではなく、例えば、公知のメディアセンサなどを利用して、記録媒体の種類の検知を行ってもよい。
また、本発明の目的は、前述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した各実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その拡張機能を拡張ボードや拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。