JP4801904B2 - スケール付着防止剤、その製造方法及びそれを用いたポリマーの製造方法 - Google Patents

スケール付着防止剤、その製造方法及びそれを用いたポリマーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スケール付着防止剤、特にビニルアルコール系重合体を含有する水溶液からなるスケール付着防止剤に関する。また、当該スケール付着防止剤の製造方法及び当該スケール防止剤を使用したポリマーの製造方法に関する。
従来塩化ビニルを単独で、またはこれと共重合しうるモノマーと共に水性媒体中で懸濁重合する場合、重合槽内壁、攪拌翼表面、バッフル表面、重合機に設置された配管内壁、コンデンサー内壁等に重合体スケールが付着し、このため重合槽の冷却能力が低下したり、付着物の剥離混入によって製品の品質が低下したりする等の問題があった。従って重合終了後毎回重合装置内壁を清掃することが必要で、これが重合装置の稼働率の低下や製品コスト上昇の原因となっていた。これに対し、これまで種々のスケール付着防止剤を予め重合器内面に塗布する方法が提案されている。特開昭59−184208号公報(特許文献1)には、スケール付着防止剤としてシラノール変性ポリビニルアルコールを用いる方法が記載されているが、スケール付着防止効果が未だ不十分であった。
特開昭59−184208号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、粘度安定性、得られる皮膜の耐水性及び重合槽内壁へのスケール付着防止性に優れていて、しかも重合槽壁面へ付着したスケールおよびスケール付着防止剤の剥離に起因するポリマー生成物中への異物の混入を防ぐことのできるスケール付着防止剤を提供することを目的とするものである。また、そのようなスケール付着防止剤の製造方法及びそれを使用したポリマーの製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題は、下記の一般式(1)
Figure 0004801904
(Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、mは0〜2の整数である。)
で示されるシリル基を有する単量体単位を含有するビニルエステル系重合体をけん化することによって得られる、下記式(I)および(II)を満足するビニルアルコール系重合体を含有する水溶液からなるスケール付着防止剤を提供することによって解決される。
370<P×S<9000 ・・・(I)
P:ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度
S:一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体単位の含有量(モル%)
0.2/100≦(A−B)/(B)≦75/100 ・・・(II)
A:ビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(単位:ppm)
B:水酸化ナトリウムを含有するメタノールで洗浄し、次いでメタノールによるソックスレー抽出により洗浄したビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(単位:ppm)
ここで、AおよびBは、それぞれ測定試料を灰化した後、ICP発光分析法により測定される。
このとき、前記水溶液のpHが10〜14であることが好適である。また、前記ビニルアルコール系重合体の含有量が0.1〜10重量%であることも好適である。
上記課題は、上記一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体単位を含有するビニルエステル系重合体をけん化することによって、上記式(I)および(II)を満足するビニルアルコール系重合体を得てから、該ビニルアルコール系重合体を水に溶解させて水溶液を調製することを特徴とするスケール付着防止剤の製造方法を提供することによっても解決される。好適な実施態様では、前記ビニルエステル系重合体をけん化し、引き続き中和した後に、有機溶剤中で加熱処理して前記ビニルアルコール系重合体を得る。このとき、前記加熱処理を行う際に、ビニルアルコール系重合体の重量に対して1〜20倍の重量の有機溶剤を使用することが好ましい。またこのとき、前記有機溶剤が低級アルコールと低級脂肪酸エステルの混合溶剤からなることも好ましい。さらにこのとき、前記加熱処理において、処理温度が40〜100℃で、処理時間が30分〜10時間であることも好ましい。前記ビニルアルコール系重合体と塩基性物質とを水に溶解させることも好適である。
上記課題は、以上説明したスケール付着防止剤が内壁に塗布された重合槽を用いて重合反応を行うポリマーの製造方法を提供することによっても解決される。このとき、前記重合反応が懸濁重合又は乳化重合であることが好適である。また、前記ポリマーがポリ塩化ビニルであることも好適である。
また、上記課題は、上記一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体単位を含有するビニルエステル系重合体をけん化することによって得られる、上記式(I)および(II)を満足するスケール付着防止剤用ビニルアルコール系重合体を提供することによっても解決される。
本発明のスケール付着防止剤は、粘度安定性、得られる皮膜の耐水性及び重合槽内壁へのスケール付着防止性に優れていて、しかも重合槽壁面へ付着したスケールおよびスケール付着防止剤の剥離に起因するポリマー生成物中への異物の混入を防ぐことができる。
本発明のスケール付着防止剤に用いられるビニルアルコール系重合体は、下記の一般式(1)
Figure 0004801904
(Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、mは0〜2の整数である。)
で示されるシリル基を有する単量体単位を含有するビニルエステル系重合体をけん化することによって得られるビニルアルコール系重合体であって、下記式(I)および(II)を満足することが必要である。
370<P×S<9000 ・・・(I)
P:ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度
S:一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体単位の含有量(モル%)
0.2/100≦(A−B)/(B)≦75/100 ・・・(II)
A:ビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(単位:ppm)
B:水酸化ナトリウムを含有するメタノールで洗浄し、次いでメタノールによるソックスレー抽出により洗浄したビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(単位:ppm)
ここで、AおよびBは、それぞれ測定試料を灰化した後、ICP発光分析法により測定される。
上記ビニルアルコール系重合体に含まれるシリル基を表す一般式(1)において、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、mは0〜2の整数である。
ここで、Rで表される炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基などが挙げられる。Rで表されるアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシロキシ基、オクチロキシ基、ラウリロキシ基、オレイロキシ基などが挙げられ、また、アシロキシル基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基などが挙げられる。これらのアルコキシル基またはアシロキシル基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、その置換基の例として、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシル基を挙げることができる。
上記ビニルアルコール系重合体は、ビニルエステル単量体と一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体とを共重合させ、得られるビニルエステル系重合体をけん化することにより製造することができる。
また、上記ビニルアルコール系重合体は、ビニルエステル単量体と一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体とを2−メルカプトエタノール、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で共重合させ、得られるビニルエステル系重合体をけん化することによっても製造することができる。この方法により、チオール化合物に由来する官能基が末端に導入されたビニルアルコール系重合体が得られる。
このようなビニルアルコール系重合体の製造に用いられるビニルエステル単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等が挙げられ、とりわけ酢酸ビニルが好ましい。
ビニルエステル単量体とのラジカル共重合に用いられる一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体として、下記の一般式(2)または下記の一般式(3)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 0004801904
(式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、mは0〜2の整数であり、nは0〜4の整数である。)
Figure 0004801904
(式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキレン基であるかまたは酸素原子もしくは窒素原子を含む2価の炭化水素基であり、mは0〜2の整数である。)
上記一般式(2)および一般式(3)において、Rで表される炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基などが挙げられる。Rで表されるアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシロキシ基、オクチロキシ基、ラウリロキシ基、オレイロキシ基などが挙げられ、また、アシロキシル基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基などが挙げられる。これらのアルコキシル基またはアシロキシル基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、その置換基の例として、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシル基を挙げることができる。また、Rで表される炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、tert−ペンチル基、イソペンチル基などが挙げられる。Rで表される炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、ジメチルエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基などが挙げられ、また、酸素原子または窒素原子を含む2価の炭化水素基としては、−CHCHNHCHCHCH−、−CHCHNHCHCH−、−CHCHNHCH−、−CHCHN(CH)CHCH−、−CHCHN(CH)CH−、−CHCHOCHCHCH−、−CHCHOCHCH−、−CHCHOCH−などが挙げられる。
上記式(2)で示される単量体としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルメトキシジブトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシシラン、ビニルジメトキシヘキシロキシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビニルジメトキシオレイロキシシランなどが挙げられる。
上記式(2)においてnが1以上のシリル基を有する単量体とビニルエステル単量体を共重合させる場合には、得られるビニルエステル系重合体の重合度が低下する傾向がある。その点、ビニルトリメトキシシランは、ビニルエステル単量体と共重合させた場合に、得られるビニルエステル系重合体の重合度の低下を抑えることができるうえ、工業的な製造が容易で安価に入手できることから好ましく用いることができる。
また、上記式(3)で示される単量体としては、例えば、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、2−(メタ)アクリルアミド−エチルトリメトキシシラン、1−(メタ)アクリルアミド−メチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−イソプロピルトリメトキシシラン、N−(2−(メタ)アクリルアミド−エチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、(3−(メタ)アクリルアミド−プロピル)−オキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリアセトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−エチルトリアセトキシシラン、4−(メタ)アクリルアミド−ブチルトリアセトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリプロピオニルオキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリアセトキシシラン、N−(2−(メタ)アクリルアミド−エチル)−アミノプロピルトリアセトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルイソブチルジメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−エチルジメチルメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルメチルジアセトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルハイドロジェンジメトキシシラン、3−(N−メチル−(メタ)アクリルアミド)−プロピルトリメトキシシラン、2−(N−エチル−(メタ)アクリルアミド)−エチルトリアセトキシシランなどが挙げられる。
これらの単量体の中でも、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリメトキシシランおよび3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリアセトキシシランは、工業的な製造が比較的容易で安価に入手できることから好ましく用いることができ、また2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシシランおよび2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリアセトキシシランはアミド結合が酸またはアルカリに対して著しく安定であることから、好ましく用いることができる。
上記式(2)で示される単量体とビニルエステル単量体とを共重合させることにより、下記一般式(4)で示される単量体単位を含有するビニルエステル系重合体が得られる。前記ビニルエステル系重合体は、後述の方法にしたがってビニルアルコール系重合体へと導かれる。すなわち、本発明に用いられるビニルアルコール系重合体は、好ましくは下記一般式(4)で示される単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体である。
Figure 0004801904
(式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、mは0〜2の整数であり、nは0〜4の整数である。)
また、上記式(3)で示される単量体とビニルエステル単量体とを共重合させることにより、下記一般式(5)で示される単量体単位を含有するビニルエステル系重合体が得られる。前記ビニルエステル系重合体は、後述の方法にしたがってビニルアルコール系重合体へと導かれる。すなわち、本発明に用いられるビニルアルコール系重合体は、好ましくは下記一般式(5)で示される単量体単位を含有するビニルアルコール系重合体である。
Figure 0004801904
(式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキレン基であるかまたは酸素原子もしくは窒素原子を含む2価の炭化水素基であり、mは0〜2の整数である。)
シリル基を有する単量体とビニルエステル単量体とを共重合させる方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その方法の中でも、無溶媒で行う塊状重合法、またはアルコールなどの溶媒を用いて行う溶液重合法が通常採用される。溶液重合法を採用して共重合反応を行う際に、溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合反応に使用される開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)などのアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどの過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。共重合反応を行う際の重合温度については特に制限はないが、5℃〜180℃の範囲が適当である。
シリル基を有する単量体とビニルエステル単量体とをラジカル共重合させる際には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、必要に応じて、共重合可能な単量体を共重合させることができる。このような単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類;フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸またはその誘導体;アクリル酸またはその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸またはその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有ビニルエーテル類;酢酸アリル、酢酸イソプロペニル;プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル類;オキシアルキレン基を有する単量体;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体;ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシブチルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニロキシエチルジメチルアミン、ビニロキシメチルジエチルアミン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドジメチルアミン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルアミン、アリルエチルアミン等のカチオン基を有する単量体などが挙げられる。これらのシリル基を有する単量体およびビニルエステル単量体のいずれとも共重合可能な単量体の使用量は、その使用される目的および用途等によっても異なるが、通常、共重合に用いられる全ての単量体を基準にした割合で20モル%以下、好ましくは10モル%以下である。
シリル基を有する単量体とビニルエステル単量体とを共重合させることによって得られたビニルエステル系重合体は、次いで、公知の方法にしたがって溶媒中でけん化され、ビニルアルコール系重合体へと導かれる。
ビニルエステル系重合体のけん化反応の触媒としては通常アルカリ性物質が用いられ、その例として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、およびナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。アルカリ性物質の使用量は、ビニルエステル系重合体中のビニルエステル単量体単位を基準にしたモル比で0.004〜0.5の範囲内であることが好ましく、0.005〜0.05の範囲内であることが特に好ましい。けん化触媒は、けん化反応の初期に一括して添加しても良いし、あるいはけん化反応の初期に一部を添加し、残りをけん化反応の途中で追加して添加しても良い。
けん化反応に用いることができる溶媒としては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶媒の中でもメタノールが好ましく用いられ、その使用にあたり、メタノールの含水率が好ましくは0.001〜1重量%、より好ましくは0.003〜0.9重量%、特に好ましくは0.005〜0.8重量%に調整されているのがよい。
けん化反応は、好ましくは5〜80℃、より好ましくは20〜70℃の温度で行われる。けん化反応に必要とされる時間は、好ましくは5分間〜10時間、より好ましくは10分間〜5時間である。けん化反応は、バッチ法および連続法のいずれの方式にても実施可能である。けん化反応の終了後に、必要に応じて、残存するけん化触媒を中和しても良く、使用可能な中和剤として、酢酸、乳酸などの有機酸、および酢酸メチルなどのエステル化合物などを挙げることができる。
本発明で用いられるビニルアルコール系重合体のけん化度について特に制限はないが、けん化度は好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。そして、ビニルアルコール系重合体と無機物を含有する皮膜を形成させた場合に、皮膜の耐水性を良好なものにするという観点から、ビニルアルコール系重合体の最適のけん化度は95モル%以上である。
本発明で用いられるビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度(P)はJIS−K6726に準じて測定される。すなわち、シリル基を含有するビニルアルコール系重合体をけん化度99.5モル%以上に再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](dL/g)から次式により求めることができる。
P=([η]×1000/8.29)(1/0.62)
本発明で用いられるビニルアルコール系重合体において、シリル基を有する単量体単位の含有量S(モル%)は、けん化する前のビニルエステル系重合体のプロトンNMRから求められる。ここでけん化する前のビニルエステル系重合体のプロトンNMRを測定するに際しては、該ビニルエステル系重合体をヘキサン−アセトンにより再沈精製して重合体中から未反応のシリル基を有する単量体を完全に取り除き、次いで90℃減圧乾燥を2日間行った後、CDCl溶媒に溶解して分析に供する。
本発明で用いられるビニルアルコール系重合体は、ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度(P)とシリル基を有する単量体単位の含有量(S)の積(P×S)が370<P×S<9000の関係を満足する必要がある。P×Sは、好ましくは390<P×S<8950、さらに好ましくは390<P×S<8900の関係を満足するのがよい。P×Sが370以下の場合には、シリル基含有PVAから形成された皮膜の耐水性が低下し、スケール付着防止効果が低下するため好ましくなく、P×Sが9000以上の場合には、水溶液粘度が非常に高くなり、ハンドリング性が低下するなど好ましくない。
本発明で用いられるビニルアルコール系重合体は、ビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(A)(単位:ppm)と、水酸化ナトリウムを含有するメタノールで洗浄し、次いでメタノールによるソックスレー抽出により洗浄したビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(B)(単位:ppm)とが、
0.2/100≦(A−B)/(B)≦75/100 ・・・(II)
の関係式を満足する必要がある。
ここで、上記ケイ素原子の含有量(B)を求めるにあたり、ビニルアルコール系重合体の標準的な洗浄方法は、まず、水酸化ナトリウムを含有するメタノールによる洗浄操作(ビニルアルコール系重合体1重量部に対して、ビニルアルコール系重合体のビニルアルコール単量体単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.01となるように、水酸化ナトリウムを含有するメタノール溶液を10重量部添加し、得られた混合物を1時間煮沸した後、重合体をろ別する操作)を5回繰り返し、次いで、メタノールによるソックスレー抽出を1週間行う方法である。上記洗浄方法において、水酸化ナトリウムを含有するメタノールによる洗浄操作およびメタノールによるソックスレー抽出は、ビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量がほぼ変化しなくなるまで行われるものであり、この条件が満たされる範囲において、水酸化ナトリウムを含有するメタノールによる洗浄操作回数およびメタノールによるソックスレー抽出期間は適宜増減してもよい。
上記ビニルアルコール系重合体のケイ素原子の含有量(A)は、ビニルアルコール系重合体中に含まれる全てのケイ素原子の含有量を示すと考えられる。また、水酸化ナトリウムを含有するメタノールで洗浄し、次いでメタノールによるソックスレー抽出により洗浄したビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(B)は、ビニルアルコール系重合体の主鎖に直接組み込まれたシリル基含有単量体に由来するケイ素原子の含有量を示すと考えられる。
ケイ素原子の含有量(B)を求めるに当たり、ビニルアルコール系重合体は水酸化ナトリウムを含有するメタノールで洗浄され、その際にシロキサン結合(−Si−O−Si−)が切断される。このとき、ビニルアルコール系重合体の主鎖に直接組み込まれておらず、シロキサン結合を介してビニルアルコール系重合体の主鎖と結合していたシリル基含有単量体は、ビニルアルコール系重合体から切り離され、重合体中から取り除かれる。そのため、ケイ素原子の含有量(B)は、ビニルアルコール系重合体の主鎖に直接組み込まれていないシリル基含有単量体が取り除かれた状態でのケイ素原子の含有量を示していると考えられる。したがって、上記の式(II)における(A−B)は、ビニルアルコール系重合体の主鎖に直接導入されていないシリル基を有する単量体単位に由来するシリル基の含有量を示していると考えられる。
ビニルアルコール系重合体における(A−B)/(B)の値が大きい場合には、ビニルアルコール系重合体に余剰のシリル基を有する単量体単位が多く含まれていることを意味しており、ビニルアルコール系重合体における(A−B)/(B)の値が小さい場合には、ビニルアルコール系重合体の主鎖に直接導入されていない、余剰のシリル基を有する単量体単位の量が少ないことを意味している。
(A−B)/(B)の値が大き過ぎると、余剰のシリル基を含有する単量体単位と、主鎖に組み込まれたシリル基含有単量体単位との間でシロキサン結合(−Si−O−Si−)が多数形成されるために、ビニルアルコール系重合体の分子の運動性が制限されて、ビニルアルコール系重合体の水溶液の粘度安定性が低下する場合があると考えられる。
(A−B)/(B)の値が小さ過ぎると、余剰のシリル基を含有する単量体単位と、主鎖に組み込まれたシリル基含有単量体単位との間で形成されるシロキサン結合(−Si−O−Si−)の割合が少ないために、ビニルアルコール系重合体に含まれるシリル基の量が低下して、皮膜の耐水性が低下すると考えられる。
(A−B)/(B)のより好ましい範囲は1/100〜70/100であり、さらに好ましい範囲は5/100〜60/100であり、特に好ましい範囲は7/100〜50/100である。(A−B)/(B)が75/100を超えると、本発明のスケール付着防止剤の水溶液の粘度安定性が悪化する。さらに、スケール付着防止剤を重合槽壁に塗布、乾燥して塗膜を得る際の造膜性が悪化し、重合槽内壁へのスケール付着を抑制する効果が低下する。また、(A−B)/(B)が0.2/100に満たない場合には、スケール付着防止剤を重合槽壁に塗布し、皮膜を形成させた場合に、その皮膜の耐水性が低下する。
本発明に用いられるビニルアルコール系重合体において、上述の(A−B)/(B)の値を調整する方法としては特に限定されないが、本発明者らが推奨する方法の一つは、ビニルエステル系重合体をけん化し、引き続き中和した後に、有機溶剤中で加熱処理して得たビニルアルコール系重合体を水に溶解させる方法である。
上記の加熱処理に用いられる溶剤としては、低級アルコールまたは低級脂肪酸エステルが好適なものとして例示される。中でも、反応速度の速さおよび反応のコントロールのしやすさから、低級アルコールを用いることがより好ましい。低級アルコールのうちでも炭素数が3以下のアルコールが好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、1−プロパノールおよび2−プロパノールが好ましく、メタノールおよびエタノールがより好ましく、メタノールが特に好ましい。また、低級脂肪酸エステルのうちでも炭素数が3以下のアルコールと炭素数が3以下のカルボン酸とを脱水反応させて得られる脂肪酸エステルが好ましく、具体的には酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチルおよびプロピオン酸エチルなどが好ましく、酢酸メチルまたは酢酸エチルがより好ましく、酢酸メチルが特に好ましい。
また、加熱処理に用いられる溶剤として、上記低級アルコール及び上記低級脂肪酸エステルの混合溶剤を用いることが好ましい。前記混合溶剤を用いる場合の低級アルコールおよび低級脂肪酸エステルの混合比は特に限定されないが、低級アルコール/低級脂肪酸エステル(重量比)=25/75〜99.99/0.01であることが好ましく、50/50〜99.95/0.05であることがより好ましく、75/25〜99.9/0.1であることがさらに好ましい。溶剤として、上記の混合溶剤を用いることにより、メタノール単独を溶剤として用いた場合と比較して、混合溶剤の配合比率により反応速度の制御が可能であり、(A−B)/(B)の値を調整しやすい等の利点がある。特に、工業的スケールで生産を行う場合に、上記利点は大きく寄与する。これらの溶剤には、少量の水、またはアルカリもしくは酸が添加されていても良い。
また、上述の加熱処理を行うに際しては、けん化反応を行った後に中和した直後の湿潤状態のビニルアルコール系重合体に対して加熱処理を行っても良いし、けん化反応後に中和して乾燥を行ったビニルアルコール系重合体に対して加熱処理を行っても良い。反応速度の速さおよび反応のコントロールのしやすさの観点からは、けん化反応を行った後に中和した直後の湿潤状態のビニルアルコール系重合体に対して加熱処理を行うことが好ましい。
加熱処理を行う際の処理条件としては、ビニルエステル単量体とシリル基を有する単量体とを共重合させる際の重合率、共重合によって得られるビニルエステル系重合体の重合度、ビニルエステル系重合体をけん化することによって得られるビニルアルコール系重合体のけん化度等に基づき、任意に選択可能である。
加熱処理を行う際のビニルアルコール系重合体と溶剤の混合比は、ビニルアルコール系重合体の重量に対して、固形分換算で1〜20倍の重量の溶剤を用いることが好ましい。使用する溶剤の量は、より好ましくはビニルアルコール系重合体の重量に対して3〜15倍量であり、さらに好ましくは5〜12倍量である。
また、加熱処理時の温度は、好ましくは40〜100℃である。反応速度を高め、生産性を向上させる観点からは、反応温度の下限は40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることがさらに好ましい。一方、過剰な反応の進行を抑制する観点からは、加熱処理時の温度は100℃を超えないことが望ましい。さらに、工業的な生産時における品質の安定性の観点からは、加熱処理に使用する溶剤を加熱還流させる条件で加熱することが特に好ましい。
加熱処理の時間は30分〜10時間が好ましい。加熱処理時間の下限はより好適には45分以上であり、さらに好適には1時間以上である。一方、加熱時間の上限はより好適には8時間以下であり、さらに好ましくは6時間以下であり、特に好ましくは4時間以下である。
本発明のスケール付着防止剤は、上述した特定のビニルアルコール系重合体を水に溶解させてなる水溶液からなる。水溶液の濃度は特に限定されないが、重合槽内壁へ塗布する際の作業性の観点から、0.1〜10重量%であることが好ましい。特に、当該水溶液を塗布した後の乾燥時間を短縮し、重合槽の内壁に均一な塗膜を形成させる観点からは、水溶液の濃度の下限は0.5重量%以上であることがより好ましく、1重量%以上であることがさらに好ましく、2重量%以上であることがよりさらに好ましく、3重量%以上であることが特に好ましい。このとき、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、少量の有機溶剤を含んでいても構わないが、作業環境等を考慮すると実質的に有機溶媒を含まない方が好ましい。
上記水溶液を調製する際には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、水酸化アンモニウムのような塩基性物質を用いアルカリ条件下で水溶液を調製することが好ましい。塩基性物質としては、水溶液を塗布した後の乾燥工程における環境負荷を低減する観点から、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムがより好ましい。また、水溶液の粘度安定性の観点からは、前記水溶液のpHは9以上であることが好ましい。
また、本発明のスケール付着防止剤の重合槽内壁への塗布方法は特に限定されず、ハケ塗り、浸漬塗り及びスプレー塗布などの公知の方法が用いられる。重合槽のサイズが大きい場合は、作業性の観点からスプレー塗布が好ましく用いられるが、スプレー塗布においては、ハケ塗りまたは浸漬塗りの場合と比較して、使用される溶液はより高度な流動性を要求される。後述の実施例から明らかなように、本発明のスケール付着防止剤は、その水溶液のpHの下限が10以上の場合に、より好ましくは11以上の場合に、さらに好ましくは12以上の場合に極めて優れた流動性を示す。その結果、本発明のスケール付着防止剤が塗布された重合槽内壁は、スケールの付着を極めて効果的に抑制することができる。
水溶液の長期保存性およびスプレー塗布時の流動性確保の観点からは、前記水溶液のpHは14以下であることが好ましく、13.5以下であることがより好ましい。
前記水溶液の調製方法は特に限定されない。水に対して所定量の前記ビニルアルコール系重合体および前記塩基性物質を一括で混合する方法、水に前記塩基性物質を溶解させた後、前記ビニルアルコール系重合体を一括添加または逐次添加する方法などが例示される。また、溶解時間を短縮し、さらに均一な溶液を得る観点から、水溶液を調製する際には攪拌しながら加温して溶解させることが好ましい。
本発明のスケール付着防止剤の重合槽内壁への塗布量としては特に制限はされないが、ビニルアルコール系重合体の重量に換算して、0.001〜5g/mであることが好ましい。また、本発明のスケール付着防止剤が内壁に塗布された重合槽は、重合に供する前に、乾燥処理を行うことが好ましい。乾燥方法は特に限定されず、熱風を循環させる方法や、ジャケット等により重合槽を加熱する方法などが例示されるが、均一な塗膜を得る観点からは、ジャケット等により重合槽を加熱する方法が好適である。また、乾燥温度も特に限定されないが、優れた強度を有する塗膜を得る観点から、乾燥温度の下限は40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。また、スケール付着防止剤の着色を抑制し、重合槽で重合されるポリマーの色相への悪影響を低減する観点から、乾燥温度の上限は100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましい。本発明のスケール付着防止剤は造膜性に優れるため、従来品よりも低い乾燥温度で塗膜を形成することが可能であり、かかる観点からも本発明の意義は大きい。
また、乾燥時間も特に限定されず、重合槽の大きさ、スケール付着剤の塗布量、スケール付着剤の濃度および乾燥温度等に応じて任意に選択できるが、好ましくは1分〜1時間であり、より好ましくは1分〜30分である。乾燥時間を短くすることにより、作業効率を高められる他、スケール付着防止剤の着色を抑制し、重合槽で重合されるポリマーの色相への悪影響を低減することができる。
本発明のスケール付着防止剤を使用したポリマーの製造方法としては、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、塊状重合、気相重合等が挙げられ、用いられるモノマーとしては、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、並びにこれらのエステル及び塩;マレイン酸、フマル酸、並びにこれらのエステル及び無水物;スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、ビニルエーテル等が例示され、特に、塩化ビニル単独、あるいは塩化ビニル及び塩化ビニルと共重合可能なモノマーとを水性媒体中で懸濁重合または乳化重合する製造方法に、より適する。
塩化ビニルと共重合されるコモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン;無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類;アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン、ビニルエーテル、その他塩化ビニルと共重合可能な単量体が例示される。
重合に使用する重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクチルパーオキシジカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイドなどの有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物などが挙げられる。また、過酸化物と還元剤を組み合わせて用いるレドックス系も使用することができる。
懸濁重合においては、重合系に対してその他の各種添加剤を必要に応じて加えることができる。添加剤としては、例えば、アルデヒド類、ハロゲン化炭化水素類、メルカプタン類などの重合調節剤、フェノール化合物、イオウ化合物、N−オキシド化合物などの重合禁止剤などが挙げられる。また、pH調整剤、架橋剤などを加えることも任意であり、上記の添加剤を複数併用しても差し支えない。
懸濁重合においては分散安定剤を使用することができ、該分散安定剤としてはビニル系化合物を水性媒体中で懸濁重合する際に通常使用されるメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性セルロースエーテル、ポリビニルアルコール、ゼラチンなどの水溶性ポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリセリントリステアレート、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーなどの油溶性乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレート、ラウリン酸ナトリウムなどの水溶性乳化剤などが用いられる。
懸濁重合においては、水性媒体の温度には特に制限はなく、20℃程度の冷水はもとより、90℃以上の温水も好適に用いられる。この水性媒体は、純粋な水のほか、各種の添加成分を含有する水溶液または他の有機溶剤を含む水性媒体からなることができる。水性媒体を重合反応系に仕込む際に、その供給量は重合反応系を充分に加熱できる量であればよい。また、除熱効率を高めるためにリフラックスコンデンサー付重合器も好適に用いられる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味する。
I.シリル基含有ビニルアルコール系重合体
下記の方法によりPVAを製造し、そのけん化度、シリル基を有する単量体単位の含有量、およびケイ素原子の含有量を求めた。
[PVAのけん化度]
PVAのけん化度は、JIS−K6726に記載の方法により求めた。
[PVAに含まれるシリル基を有する単量体単位の含有量]
けん化する前のビニルエステル系重合体をヘキサン−アセトンにより再沈精製して、重合体中から未反応のシリル基を有する単量体を完全に取り除き、次いで90℃減圧乾燥を2日間行った後、CDCl溶媒に溶解したものを測定試料とし、500MHzのプロトンNMR測定装置(JEOL GX−500)によりPVAに含まれるシリル基を有する単量体単位の含有量を求めた。
[PVAに含まれるケイ素原子の含有量の分析方法]
PVAに含まれるケイ素原子の含有量は、前述した方法にしたがって、ジャーレルアッシュ社製ICP発光分析装置IRIS APを用いて求めた。
PVA−1
攪拌機、温度センサーを備え付けた100L反応器に、酢酸ビニル(VAc)2450部、メタノール(MeOH)1050部、ビニルトリメトキシシラン(VMS)18.4部を仕込み、攪拌下に系内を窒素置換した後、内温を60℃まで上げた。この系に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.8部を添加し、重合反応を開始した。重合開始時点よりビニルトリメトキシシランを1重量%含有するメタノール125部を系内に添加しながら4時間重合反応を行い、その時点で重合反応を停止した。重合反応を停止した時点における系内の固形分濃度は30.8%であった。次いで、系内にメタノール蒸気を導入することで未反応の酢酸ビニル単量体を追い出し、ビニルエステル系重合体を40%含有するメタノール溶液を得た。
このビニルエステル系重合体を40重量%含有するメタノール溶液に対して、ビニルエステル系重合体の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.025、ビニルエステル系重合体の固形分濃度が25重量%となるように、メタノール、および水酸化ナトリウムを10重量%含有するメタノール溶液をこの順序で撹拌下に加え、40℃でけん化反応を開始した。
前記の水酸化ナトリウム含有メタノール溶液を添加してから6分後にゲル化物が生成した。前記ゲル化物が生成した直後にこれを反応系から濾別した後、ミキサー粉砕を行った。得られた前記粉砕物を、空気中、25℃で放置し、けん化反応を進行させた。次いで、けん化反応の開始から1時間が経過した時点で、前記粉砕物を別の反応容器に移し、前記粉砕物に対して重量基準で2倍量の酢酸メチルを添加して、けん化触媒を中和した。前記酢酸メチルを添加後、1時間攪拌を行った後に、前記粉砕物を濾別して、メタノールで膨潤したシリル基含有ポリビニルアルコール(固形分:92重量%)を得た。
得られたケン化後のシリル基含有ポリビニルアルコールに対し、以下の方法で加熱処理を行った。即ち、得られたメタノールで膨潤したシリル基含有ポリビニルアルコール100部(固形分:92部)を、還流冷却管を備えた反応容器に移し、さらに前記反応容器にメタノール/酢酸メチル(90/10:重量比)からなる混合溶剤600部(シリル基含有ポリビニルアルコール(固形分)に対し、重量基準で6.5倍)を添加した。
次いで、反応容器を加熱し、65℃で1時間加熱処理を行った。このとき、溶媒は加熱されることによって還流された。前記加熱処理後、溶剤を濾別によって除去し、次いで65℃で16時間乾燥してシリル基含有ポリビニルアルコール(PVA−1)を得た。
得られたシリル基含有ポリビニルアルコール(PVA−1)におけるビニルトリメトキシシラン単位の含有量は0.50モル%、けん化度は98.5モル%、重合度は1700であった。また、上記したPVAに含まれるケイ素原子含有量の分析方法に従って求められた(A−B)/(B)の値は12/100であった。
PVA−2〜PVA−15
シリル基を有する単量体の種類、酢酸ビニル、メタノールおよびシリル基を有する単量体の仕込み量、重合開始剤の使用量、シリル基を有する単量体の逐次添加条件、加熱処理条件を表1に示すように変化させた以外はPVA−1と同様の方法により、PVA−2〜PVA−15を得た。ただし、PVA−13に関しては、前記加熱処理を行わず、30℃で30分間撹拌してから濾別したのみである。
実施例1
攪拌機、還流冷却管を備え付けた1Lセパラブルフラスコに、水93部および水酸化ナトリウム2部を加えた。攪拌下、上記方法で製造したシリル基含有ポリビニルアルコール(PVA−1)を5部加えた後、内温を90℃まで上げた。2時間後内温を30℃まで下げ、5重量%のPVA水溶液を調製した。当該PVA水溶液のpHは13であった。得られた水溶液について、下記の評価方法により、粘度安定性、皮膜の耐水性、ならびにスケール付着防止剤として使用した際の重合槽内部へのスケール付着量および塩化ビニル重合体中への異物混入量を評価した。ただし、PVA水溶液の粘度安定性については、同様に調製した8重量%のPVA水溶液を用いて評価した。その結果を表2に示す。
実施例2〜16
PVA−1〜PVA−10を用い、水溶液の組成を表2に示すように変化させた以外は、実施例1と同様の方法により水溶液を調製した。得られた水溶液について、実施例1と同様に、粘度安定性、皮膜の耐水性、ならびにスケール付着防止剤として使用した際の重合槽内部へのスケール付着量および塩化ビニル重合体中への異物混入量を評価した。その結果を表2にまとめて示す。
比較例1〜5
PVA−11〜PVA−15を用いた以外は、実施例1と同様の方法により水溶液を調製した。得られた水溶液について、実施例1と同様に、粘度安定性、皮膜の耐水性、ならびにスケール付着防止剤として使用した際の重合槽内部へのスケール付着量および塩化ビニル重合体中への異物混入量を評価した。その結果を表2にまとめて示す。
[PVA水溶液の粘度安定性]
8重量%のPVA水溶液を調製して10℃恒温槽中に放置し、該PVA水溶液の温度が10℃になった直後の粘度と7日後の粘度を測定した。PVA水溶液の温度が10℃になった直後の粘度で7日後の粘度を除した値(7日後/直後)を求め、以下の基準にしたがって判定した。
A:1.5倍未満。
B:1.5倍以上2.5倍未満。
C:2.5倍以上4.0倍未満。
D:4.0倍以上であるが、PVAはゲル化していない。
E:PVAは流動性を失いゲル化している。
[皮膜の耐水性]
5重量%のPVA水溶液を20℃で流延して厚み40μmの皮膜を得た。得られた皮膜を120℃で10分間熱処理した後、縦10cm、横10cmの大きさに切り出し、試験片を作製した。この試験片を20℃の蒸留水に24時間浸漬した後、取り出し、表面に付着した水分をガーゼで拭き取り、水膨潤時の重量を測定した。水膨潤時の重量を測定した試験片を105℃で16時間乾燥した後、乾燥時の重量を測定した。ここで水膨潤時の重量を乾燥時の重量で除した値を求めてこれを膨潤度(倍)とし、以下の基準にしたがって判定した。
A:5.0倍未満。
B:5.0倍以上8.0倍未満。
C:8.0倍以上12.0倍未満。
D:12.0倍以上であるが、蒸留水に浸漬後の試験片を取り出せる。
E:蒸留水に浸漬した試験片を取り出すことができない。
[重合槽内部への塗布]
グラスライニング製100Lオートクレーブ内壁面に、5重量%のPVA水溶液をスプレーで塗布し、ジャケット温度60℃にて、5分間乾燥後、十分水洗した。塗布量が固形分で、0.3g/mになるように塗布した。
[塩化ビニルの懸濁重合]
スケール防止剤を塗布したグラスライニング製オートクレーブに、脱イオン水に0.075重量%の分散安定剤を溶解させた水溶液40部およびジイソプロピルパーオキシジカーボネートの70%トルエン溶液0.04部を仕込んだ。前記分散安定剤は重合度2000、ケン化度80モル%の未変性PVAであった。オートクレーブ内を0.0067MPaとなるまで脱気して酸素を除いた後、塩化ビニル単量体30部を仕込み、撹拌下に57℃に昇温して重合を行った。重合開始時、オートクレーブ内の圧力は0.83MPaであったが、重合開始7時間後に0.44MPaとなった時点で重合を停止し、未反応の塩化ビニル単量体をパージし、内容物を取り出し、内壁を軽く水洗した。
[スケール付着量]
重合体スラリーを重合槽外に取り出した後、重合槽内におけるスケール付着の状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
A:重合体スケールの付着が全くない
B:重合体スケールの付着がほとんどない
C:重合槽内壁に重合体スケールが確認できる
D:重合槽内壁に重合体スケールが多く確認できる
E:重合槽内壁に重合体スケールが極めて多い
[塩化ビニル重合体中への異物混入量]
重合体スラリーを65℃で乾燥後、塩化ビニル重合体100gをケント紙上に広げ、異物混入数を目視で計測した。
A:1個未満。
B:1個以上3個未満。
C:3個以上5個未満。
D:5個以上。
Figure 0004801904
Figure 0004801904
表1および表2に示されるように、シリル基を含有し、式(I)および式(II)を満足する実施例1〜16では、水溶液の粘度安定性および皮膜の耐水性に優れ、スケール付着および生成ポリマーへのブツの混入を抑制できることがわかる。これに対し、P×Sの小さすぎる比較例1では皮膜の耐水性が不十分で、P×Sの大きすぎる比較例2では水溶液の粘度安定性が不十分である。また、(A−B)/(B)の大きすぎる比較例3では水溶液の粘度安定性が不十分で、(A−B)/(B)の小さすぎる比較例4では皮膜の耐水性が不十分である。さらに、シリル基を含有しないPVAを用いた比較例5では皮膜の耐水性が全く不十分である。その結果、これら比較例1〜5では、スケール付着量および生成ポリマーへのブツの混入量の抑制が不十分であった。

Claims (12)

  1. 下記の一般式(4)
    Figure 0004801904
    (式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、mは0〜2の整数であり、nは0〜4の整数である。)
    または、下記の一般式(5)
    Figure 0004801904
    (式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキレン基であるかまたは酸素原子もしくは窒素原子を含む2価の炭化水素基であり、mは0〜2の整数である。)
    で示されるシリル基を有する単量体単位を含有するビニルエステル系重合体をけん化することによって得られる、けん化度が95モル%以上であり、粘度平均重合度(P)が500〜2000であり、かつ下記式(I)および(II)を満足するビニルアルコール系重合体を含有する水溶液からなるスケール付着防止剤。
    510<P×S<5000 ・・・(I)
    P:ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度
    S:一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体単位の含有量(モル%)
    0.2/100≦(A−B)/(B)≦75/100 ・・・(II)
    A:ビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(単位:ppm)
    B:水酸化ナトリウムを含有するメタノールで洗浄し、次いでメタノールによるソックスレー抽出により洗浄したビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(単位:ppm)
    ここで、AおよびBは、それぞれ測定試料を灰化した後、ICP発光分析法により測定される。
  2. 前記水溶液のpHが10〜14である請求項1記載のスケール付着防止剤。
  3. 前記ビニルアルコール系重合体の含有量が0.1〜10重量%である請求項1又は2記載のスケール付着防止剤。
  4. 下記の一般式(4)
    Figure 0004801904
    (式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、mは0〜2の整数であり、nは0〜4の整数である。)
    または、下記の一般式(5)
    Figure 0004801904
    (式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基であり、Rはアルコキシル基またはアシロキシル基であって、これらの基は酸素を含有する置換基を有していてもよく、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは炭素数1〜5のアルキレン基であるかまたは酸素原子もしくは窒素原子を含む2価の炭化水素基であり、mは0〜2の整数である。)
    で示されるシリル基を有する単量体単位を含有するビニルエステル系重合体をけん化することによって、けん化度が95モル%以上であり、粘度平均重合度(P)が500〜2000であり、かつ下記式(I)および(II)を満足するビニルアルコール系重合体を得てから、該ビニルアルコール系重合体を水に溶解させて水溶液を調製することを特徴とするスケール付着防止剤の製造方法。
    510<P×S<5000 ・・・(I)
    P:ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度
    S:一般式(1)で示されるシリル基を有する単量体単位の含有量(モル%)
    0.2/100≦(A−B)/(B)≦75/100 ・・・(II)
    A:ビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(単位:ppm)
    B:水酸化ナトリウムを含有するメタノールで洗浄し、次いでメタノールによるソックスレー抽出により洗浄したビニルアルコール系重合体中のケイ素原子の含有量(単位:ppm)
    ここで、AおよびBは、それぞれ測定試料を灰化した後、ICP発光分析法により測定される。
  5. 前記ビニルエステル系重合体をけん化し、引き続き中和した後に、有機溶剤中で加熱処理して前記ビニルアルコール系重合体を得る請求項4記載のスケール付着防止剤の製造方法。
  6. 前記加熱処理を行う際に、ビニルアルコール系重合体の重量に対して1〜20倍の重量の有機溶剤を使用する請求項5記載のスケール付着防止剤の製造方法。
  7. 前記有機溶剤が低級アルコールと低級脂肪酸エステルの混合溶媒からなる請求項5又は6記載のスケール付着防止剤の製造方法。
  8. 前記加熱処理において、処理温度が40〜100℃で、処理時間が30分〜10時間である請求項5〜7のいずれか記載のスケール付着防止剤の製造方法。
  9. 前記ビニルアルコール系重合体と塩基性物質とを水に溶解させる請求項4〜8のいずれか記載のスケール付着防止剤の製造方法。
  10. 請求項1〜3のいずれか記載のスケール付着防止剤が内壁に塗布された重合槽を用いて重合反応を行うポリマーの製造方法。
  11. 前記重合反応が懸濁重合又は乳化重合である請求項10記載のポリマーの製造方法。
  12. 前記ポリマーがポリ塩化ビニルである請求項10又は11記載のポリマーの製造方法。
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