JPWO2019181915A1 - 懸濁重合用分散安定剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、メタノール含有量が低減され、さらに水溶液に不溶な成分の量が低減された、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤を提供する。本発明は、エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の含有量(X)が0.05モル%以上2.0モル%以下であり、けん化度が65.0モル%以上90.0モル%以下であり、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーで測定した場合のメタノール含有量が0.01質量%以上3.0質量%未満であり、かつ、90℃、濃度5質量%の水溶液に不溶な成分の量が0.1ppm以上2000ppm未満である変性ビニルアルコール系重合体を含有する、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤に関する。

Description

本発明は、特定の変性ビニルアルコール系重合体を含有するビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤に関する。
ビニルアルコール系重合体(以下、「PVA」と略記することがある。)は水溶性の合成高分子として知られており、合成繊維ビニロンの原料に用いられ、また紙加工、繊維加工、接着剤、乳化重合及び懸濁重合用の安定剤、無機物のバインダー、フィルム等の用途に広範囲に用いられている。
特にカルボン酸又はその誘導体に由来する基を含有するPVAはカルボン酸の反応性を利用して、硫酸バンドを含有する酸性紙のサイジング剤;架橋剤と組み合わせた耐水性塗膜等に用いられている。さらにはカルボン酸及びその誘導体の水溶性を生かして、農薬、洗濯用洗剤、工業用薬品の包装用フィルムとしても工業的に有用であり幅広く利用されている。
PVAへのカルボン酸又はその誘導体の導入は、例えばビニルエステル系単量体とカルボン酸又はその誘導体を含有する単量体とを共重合してビニルエステル系共重合体を得た後、該ビニルエステル系共重合体をけん化することで製造できる。カルボン酸を効率的に導入するために、ビニルエステル系単量体と反応性の高いエチレン性不飽和ジカルボン酸誘導体が用いられ、その工業的な入手容易性の観点から、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体の使用が知られている。中でも、マレイン酸、フマル酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸はビニルエステル系単量体に対しての溶解性が乏しいため、溶液重合法においては、エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル、ジエステル、又は無水物等の、ビニルエステル系単量体への溶解性が向上した単量体が使用される。
前記した、カルボン酸又はその誘導体が導入されたPVAは通常、酢酸ビニルをメタノール溶媒中でラジカル重合して酢酸ビニル重合体のメタノール溶液を得た後に、アルカリ触媒を添加してけん化することにより製造される。従って、溶媒のメタノールが、乾燥して得られる変性PVA中に必ず残存する。このようなメタノールが残存する重合体をコーティング剤に用いた場合、重合体の溶解工程及び該重合体の溶液をコーティングする工程において、メタノールが大気に放出される問題を有しており、作業環境の観点で改善が求められていた。このような問題に対して、特許文献1〜3の技術が提案されていた。
特許文献1及び2には乾燥中に含水ガスを供給することにより、PVA中の有機揮発成分と水分を置換して、効率的に有機揮発成分を取り除く技術が開示されている。しかしながら、エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル、ジエステル又は無水物に由来する構造単位を含有するPVAは水に対する親和性、溶解性が高く、含水ガスを供給するとPVA粒子の表面が溶解し、乾燥中に粒子同士が融着しブロックを生成してしまい、工程通過が困難となるため、この技術の適用が困難である。
特許文献3では、PVAを炭素数2〜3のアルコールを主体とする洗浄液で洗浄することでメタノール含有量を効率的に低減する技術が提案されている。しかしながら、メタノールよりも沸点及び蒸発潜熱の高い炭素数2〜3のアルコールを使用しているために、乾燥工程での必要な熱量、時間の増加を招いてしまうことから、製造コストが増大する等の工業的な問題が残っているのが現状である。
前記のような乾燥技術を用いずとも、通常であれば高温で長時間加熱乾燥することにより、メタノール分の除去は可能であるが、エネルギーの消費が多く、工業的に生産効率を犠牲にすることとなる。加えて、エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(例えば、モノエステル、ジエステル、又は無水物)に由来する構造単位を含有するPVAでは、非特許文献1に記載されるように、モノエステル、ジエステル、無水物由来の構造部分とPVAの水酸基部分との架橋反応が高温下で進行して水に不溶な成分が生成し、コーティング剤として水溶液を作製し用いた際に、コーティング面の印刷適性が悪くなったり、ロール汚れやフィルター詰まりなどの問題が生じることがあった。従って、当該PVAにおいて、メタノール含有量を低減し、かつ水に不溶な成分の生成を抑制することは両立できず、実質困難とされてきた。また、このような性質から、通常よりも高熱量、長時間乾燥が必要となる特許文献3の方法を適用することも困難である。
特公昭52−17070号公報 特開平9−302024号公報 特開2013−28712号公報
Polymer Vol.38, No.12, pp.2933-2945,1997
本発明は、エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体に由来する構造単位を含有する変性PVAにおいて、該変性PVA中のメタノール含有量が低減され、さらに水に溶解した際に不溶な成分の量が低減された、工業的に有用な懸濁重合用分散安定剤を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、粒子径や乾燥前の洗浄条件を工夫することにより、エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体に由来する構造単位を導入した場合でも、残存するメタノール含有量が0.01質量%以上3.0質量%未満であり、さらに水に溶解した際に不溶な成分の量が0.1ppm以上2000ppm未満である変性ビニルアルコール系重合体を製造するに至り、該変性ビニルアルコール系重合体を含有するビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤により、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
[1]エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の含有量(X)が0.05モル%以上2.0モル%以下であり、けん化度が65.0モル%以上90.0モル%以下であり、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーで測定した場合のメタノール含有量が0.01質量%以上3.0質量%未満であり、かつ、90℃、濃度5質量%の水溶液に不溶な成分の量が0.1ppm以上2000ppm未満である変性ビニルアルコール系重合体を含有する、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤。
[2]前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)が、エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル、ジエステル又は無水物である、前記[1]の懸濁重合用分散安定剤。
[3]前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)が、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、無水マレイン酸、フマル酸モノアルキルエステル又はフマル酸ジアルキルエステルを含む、前記[1]又は[2]の懸濁重合用分散安定剤。
[4]前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の少なくとも一部が、下記式(I)
Figure 2019181915
(式中、R1は、水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基であり、R2は、金属原子、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基である。)
で表される構造単位であり、前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の含有量(X)と式(I)で表される構造単位の含有量(Y)の値が下記式(Q)を満たす、前記[1]〜[3]のいずれかの懸濁重合用分散安定剤。
0.05≦Y/X<0.98 (Q)
[5]前記変性ビニルアルコール系重合体のけん化度が、68.0モル%以上80.0モル%以下である、前記[1]〜[4]のいずれかの懸濁重合用分散安定剤。
[6]前記90℃、濃度5質量%の水溶液に不溶な成分の量が、0.1ppm以上500ppm未満である、前記[1]〜[5]のいずれかの懸濁重合用分散安定剤。
[7]前記変性ビニルアルコール系重合体は、目開き1.00mmの篩を通過する量が全体の95質量%以上である、前記[1]〜[6]のいずれかの懸濁重合用分散安定剤。
[8]前記変性ビニルアルコール系重合体は、目開き500μmの篩を通過する量が全体の30質量%以上である、前記[1]〜[7]のいずれかの懸濁重合用分散安定剤。
[9]前記[1]〜[8]のいずれかの懸濁重合用分散安定剤の存在下で、ビニル化合物を懸濁重合する工程を含む、ビニル系重合体の製造方法。
本発明の懸濁重合用分散安定剤は、メタノール含有量が低減されているため環境にも配慮されており、さらに水溶液に不溶な成分の量が低減されているため、ビニル化合物の重合安定性に優れ、得られるビニル系重合体は粗大粒子の形成が少なく、得られるビニル系重合体をシート状にした際にフィッシュアイも低減できる。なお、本明細書において重合安定性とは、重合時にビニル化合物からなる液滴の分散性が良好であるため、結果として、粗粒化が抑制され径が均一なビニル系重合体の粒子が得られることを意味する。
<ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤>
本発明の懸濁重合用分散安定剤は、エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の含有量(X)が0.05モル%以上2.0モル%以下であり、けん化度が65.0モル%以上90.0モル%以下であり、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーで測定した場合のメタノール含有量が0.01質量%以上3.0質量%未満であり、かつ、90℃、濃度5質量%の水溶液に不溶な成分の量が0.1ppm以上2000ppm未満である変性ビニルアルコール系重合体(以下、「変性PVA」と略記することがある。)を含有する。
[変性PVA]
変性PVAのエチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の含有量(X)は0.05モル%以上2.0モル%以下であることが重要であり、0.1モル%以上1.5モル%以下が好ましく、0.5モル%以上1.3モル%以下がより好ましい。エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の含有量(X)が0.05モル%未満の場合には、カルボン酸の導入量が少なく、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた場合に、得られるビニル系重合体は粗大粒子の割合が多くなる。また、含有量(X)が2.0モル%を超える場合は、変性PVAの水溶性が高すぎるためビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として使用した際に界面活性能が低下し、得られるビニル系重合体をシート状にした際にフィッシュアイが増加する。エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の含有量(X)は、けん化前のビニルエステル系共重合体の1H−NMR解析により算出できる。
なお、本明細書において、数値範囲(各成分の含有量、各成分から算出される値及び各物性等)の上限値及び下限値は適宜組み合わせ可能である。
変性PVAのけん化度は、65.0モル%以上90.0モル%以下であることが重要であり、67.0モル%以上83.0モル%以下が好ましく、68.0モル%以上80.0モル%以下がより好ましく、70.0モル%以上75.0モル%以下がさらに好ましい。けん化度が65.0モル%未満の場合には、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた場合に、得られるビニル系重合体は粗大粒子の割合が多くなる。変性PVAのけん化度は、JIS K 6726:1994に記載の方法に従って測定できる。
変性PVAの粘度平均重合度(以下、単に「重合度」ともいう。)は、特に限定されないが、100以上2000以下が好ましく、200以上1200以下がより好ましく、500以上1000以下がさらに好ましい。変性PVAの粘度平均重合度が前記下限以上であることにより、該変性PVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた場合に、得られるビニル系重合体は粗大粒子の割合が少なくなる。変性PVAの粘度平均重合度が前記上限以下であることにより、該変性PVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた場合に、得られるビニル系重合体をシート状にした際にフィッシュアイが低減する。変性PVAの重合度は、JIS K 6726:1994に記載の方法に従って測定できる。
変性PVA中のメタノール含有量は、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた際の環境負荷低減の観点から、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーでの測定に供する変性PVA500mgにおいて0.01質量%以上3.0質量%未満であることが重要であり、0.01質量%以上2.5質量%未満が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%未満がより好ましい。0.01質量%未満は実質製造不可能である。
変性PVA中のメタノール含有量はヘッドスペースガスクロマトグラフィーを用いて、以下の方法で決定される。
<検量線の作成>
イソプロパノールを内部標準液として、メタノール含有量が既知の水溶液を3種類準備し、ヘッドスペースサンプラー(Turbo Matrix HS40、Parkin Elmer社製)を装着したガスクロマトグラフ(GC−2010、株式会社島津製作所製)を用いて測定を行い、検量線を作成する。
<変性PVA中のメタノール含有量の測定>
蒸留水を1000mLメスフラスコの標線に合わせて採取し、内部標準液のイソプロパノールをメスピペットにて0.1mL添加し、よく撹拌する。この液を「溶解液」とする。次に変性PVA500mgをヘッドスペースガスクロマトグラフィー測定用のバイアル瓶中に秤量し、撹拌子を投入した後、前記溶解液をホールピペットで10mL測りとり、バイアル瓶中に投入する。キャップをバイアル瓶に取り付け、ロックがかかるまで締め付けた後、バイアル瓶をホットスターラー上に乗せて、変性PVAを加熱溶解する。変性PVAが完全に溶解したことを目視で確認後、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー測定を行い、前記のようにして作成した検量線から変性PVA中のメタノール含有量を決定する。
変性PVAは、90℃、濃度5質量%の水溶液に不溶な成分の量(以下、単に「水溶液に不溶な成分の量」ともいう。)が0.1ppm以上2000ppm未満であり、0.1ppm以上1500ppm未満がより好ましく、0.1ppm以上1000ppm未満がさらに好ましく、0.1ppm以上500ppm未満が特に好ましい。0.1ppm未満は実質製造不可能である。前記水溶液に不溶な成分の量が2000ppm以上である場合、変性PVAをビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤として用いた場合に、得られるビニル系重合体は粗大粒子の割合が多くなる。本明細書において、ppmは質量ppmを意味する。本明細書において、水溶液に不溶な成分の量とは、水溶液を調製するために用いた変性PVAの全量に対する未溶解で残留する粒子(水不溶解分)の質量ppmを意味する。
前記水溶液に不溶な成分の量は、以下の方法で決定される。20℃に設定した水浴中に、撹拌機及び還流冷却管を装着した500mLのフラスコを準備し、蒸留水を285g投入して、300rpmで撹拌を開始する。変性PVA15gを秤量し、フラスコ中に該変性PVAを徐々に投入する。変性PVAを全量(15g)投入したのち、直ちに30分程度かけて水浴の温度を90℃まで上昇させる。温度が90℃に到達後、さらに60分間300rpmで撹拌しながら溶解を継続した後、未溶解で残留する粒子(未溶解粒子)を目開き63μmの金属製フィルターで濾過する。フィルターを90℃の温水でよく洗浄し、付着した溶液を取り除いた後、フィルターを120℃の加熱乾燥機で1時間乾燥する。こうして採取した未溶解粒子の質量から、水溶液に不溶な成分の量が決定される。
本発明で用いる変性PVAが有する構造単位の基となるエチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)は、本発明の効果を妨げない限り、特に制限されない。エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)としては、エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル、ジエステル又は無水物が好ましい。前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)の具体例としては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、メサコン酸モノメチル、メサコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル等のモノアルキル不飽和ジカルボン酸エステル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、シトラコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、メサコン酸ジメチル、メサコン酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル等のジアルキル不飽和ジカルボン酸エステル;無水マレイン酸、シトラコン酸無水物等の不飽和ジカルボン酸無水物が挙げられる。中でも、工業的な入手容易性の観点、ビニルエステル系単量体との反応性の面から、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、無水マレイン酸、フマル酸モノアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステルが好ましく、マレイン酸モノメチル、無水マレイン酸が特に好ましい。変性PVAは、少なくとも1種の前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)由来の構造単位を有していればよく、2種以上のエチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)を併用することもできる。
前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の少なくとも一部が、下記式(I)
Figure 2019181915
(式中、R1は、水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基であり、R2は、金属原子、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基である。)
で表される構造単位であり、前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の含有量(X)(以下、変性量(X)ともいう。)と式(I)で表される構造単位の含有量(Y)(以下、変性量(Y)ともいう。)が下記式(Q)を満たすことが、水溶液に不溶な成分の量を抑制できる面で好ましい。
0.05≦Y/X<0.98 (Q)
Y/Xが上記式(Q)で示される範囲を満たすことにより、前記水溶液に不溶な成分の量が低減された変性PVAを工業的に容易に製造することが可能となる。前記Y/Xの下限は、0.06以上であることがより好ましい。一方、Y/Xの上限は、0.80以下であることがより好ましく、0.60以下であることがさらに好ましく、0.40以下が特に好ましい。なお、式(I)で表される構造単位の含有量(Y)とは、変性PVAの主鎖を構成する単量体単位の総モル数に対する式(I)の構造単位のモル数の比である。
1及びR2が各々表す炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、2−メチルプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基(イソヘキシル基)、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,4−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチル−プロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチルヘプチル基等が挙げられる。前記アルキル基の炭素数としては、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。
2が表す金属原子としては、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属;カルシウム、バリウム、ストロンチウム、ラジウム等のアルカリ土類金属が挙げられ、これらの中でもアルカリ金属が好ましく、ナトリウムがより好ましい。
前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)を用いて変性PVAを製造した場合、導入したエチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位はけん化後、その一部が前記式(I)で表される6員環ラクトン構造を形成することが知られている。非特許文献1に記載されるように、前記式(I)で表される6員環ラクトン構造は、加熱により開環し、引き続き分子間のエステル化反応により架橋体を形成するため、変性PVAの水溶液に不溶な成分の量が増加する場合がある。すなわち、式(I)で表される構造単位の含有量(Y)が、導入したエチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の含有量(X)に対して多ければ、架橋反応が抑制されていることを意味する。前記式(I)の6員環ラクトン構造は、重ジメチルスルホキシド溶媒で測定した1H−NMRスペクトルにおいて6.8〜7.2ppmに検出されると考えられている。変性PVAにおいて、水溶液に不溶な成分の量を2000ppm未満とするためには、式(I)で表される構造単位の含有量(Y)は、けん化前のビニルエステル系共重合体から求められるエチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の含有量(X)に対して、前記式(Q)を満たすことが好ましい。なお、式(Q)においてY/Xが0.50の場合は、導入したエチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する全構造単位の半数が、式(I)で表される構造単位を形成していることを意味する。
変性PVAを構成する粒子の粒子径は特に限定されないが、変性PVA全体の95質量%以上が目開き1.00mmの篩を通過することが好ましく、目開き710μmの篩を通過することがより好ましく、目開き500μmの篩を通過することが特に好ましい。ここで、前記「変性PVA全体の95質量%以上」とは、粒度分布として、例えば、目開き1.00mmの篩を通過する粒子が、95質量%以上であるという積算分布を意味するものである。目開き1.00mmの篩を通過する粒子が95質量%未満の場合、変性PVA中に取り込まれたメタノールの揮発が困難となり、メタノールの含有量が3.0質量%を超える場合がある、もしくは粒子が大きいため乾燥ムラ等発生し、水溶液に不溶な成分の量が多くなる場合がある。また、変性PVAとしては、特に限定されないが、目開き500μmの篩を通過する量が、変性PVA全体の30質量%以上であることが好ましく、35質量%がより好ましく、45質量%以上がさらに好ましく、56質量%以上が特に好ましい。さらに、変性PVAを構成する粒子の粒子径は、変性PVAの99質量%以上が、目開き1.00mmの篩を通過することが好ましく、変性PVAの99質量%以上が目開き1.00mmの篩を通過し、かつ56質量%以上が目開き500μmの篩を通過することが特に好ましい。前記篩はJIS Z 8801−1:2006年の公称目開きWに準拠するものである。
[変性PVAの製造方法]
以下、本発明の懸濁重合用分散安定剤に用いる変性PVAの製造方法について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
変性PVAは、例えば、エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)とビニルエステル系単量体とを共重合させてビニルエステル系共重合体を得る工程、得られたビニルエステル系共重合体を、溶媒中でアルカリ触媒又は酸触媒を用いてけん化するけん化工程、洗浄工程及び乾燥する工程を有する製造方法により製造できる。
前記ビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、とりわけ酢酸ビニルが好ましい。
エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)とビニルエステル系単量体とを共重合する方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法が挙げられる。中でも、無溶媒で行う塊状重合法又はアルコール等の溶媒を用いて行う溶液重合法が通常採用される。本発明の効果を高める点では、メタノール等の低級アルコールと共に重合する溶液重合法が好ましい。塊状重合法あるいは溶液重合法で重合反応を行う場合、反応の方式は回分式及び連続式のいずれの方式も採用できる。
重合反応に使用される開始剤としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されず、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネート等の有機過酸化物系開始剤等の公知の開始剤が挙げられる。重合反応を行う際の重合温度に特に制限はなく、5〜200℃の範囲であってもよく、30〜150℃の範囲であってもよい。
エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)とビニルエステル系単量体とを共重合させる際には、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、必要に応じて、さらに、共重合可能な、エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)とビニルエステル系単量体以外の他の単量体を共重合させてもよい。このような他の単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチレングリコールビニルエーテル、1,3−プロパンジオールビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル等のヒドロキシ基含有ビニルエーテル;プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル等のアリルエーテル;オキシアルキレン基を有する単量体;酢酸イソプロペニル、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、7−オクテン−1−オール、9−デセン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリエトキシシラン等のシリル基を有する単量体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム等のN−ビニルアミド系単量体等が挙げられる。これらの他の単量体の使用量は、その使用される目的及び用途等によっても異なるが、通常、共重合に用いられる全ての単量体を基準にした割合で10モル%以下であり、5.0モル%以下が好ましく、3.0モル%以下がより好ましく、2.0モル%以下がさらに好ましい。本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリルとメタクリルの総称を意味する。
上述の方法により得られたビニルエステル系共重合体を溶媒中でけん化する工程、洗浄工程、及び乾燥工程に供することで変性PVAを得ることができる。変性PVAを得るためのけん化条件、乾燥条件に特に制限はないが、けん化原料溶液の含水率、乾燥時のPVA樹脂の温度又は乾燥時間を特定の範囲にすることが、変性PVA中のメタノール含有量の低減、及び水溶液に不溶な成分の量を抑制できる面で好ましい。
前記共重合工程で得られた、ビニルエステル系共重合体及び溶媒を含有する溶液に、さらに少量の水を添加することにより、けん化原料溶液を調製することができる。水の添加量は、得られるけん化原料溶液の含水率(「系含水率」ともいう。)が1.0質量%を超えて5.0質量%未満となるように調整することが好ましい。当該含水率は1.5〜4.0質量%であることがより好ましい。当該含水率が1.0質量%以下の場合はアルカリ触媒が失活しづらく、架橋のための触媒として働く場合があり、乾燥時、水溶液に不溶な成分の量が多くなる場合がある。一方、含水率が5.0質量%以上の場合は、けん化反応速度が低下したり、変性PVAが水に溶解し易いため、けん化反応溶液中に溶出して、製造工程で問題を引き起こす場合がある。
けん化反応に用いることができる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。特に使用する溶媒に限定はなく、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中でもメタノール、もしくはメタノールと酢酸メチルとの混合溶媒が好ましく用いられる。
ビニルエステル系共重合体のけん化反応の触媒としては、通常アルカリ触媒が用いられる。アルカリ触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物;及びナトリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシドが挙げられ、水酸化ナトリウムが好ましい。けん化触媒の使用量は、ビニルエステル系共重合体のビニルエステル単量体単位に対するモル比で0.005〜0.50であることが好ましく、0.008〜0.40であることがより好ましく、0.01〜0.30であることが特に好ましい。けん化触媒は、けん化反応の初期に一括して添加してもよいし、あるいはけん化反応の初期に一部を添加し、残りをけん化反応の途中で追加して添加してもよい。
けん化反応の温度は、好ましくは5〜80℃の範囲であり、より好ましくは20〜70℃の範囲である。けん化反応の時間は、好ましくは5分間〜10時間であり、より好ましくは10分間〜5時間である。けん化反応の方式は、バッチ法及び連続法のいずれであってもよい。アルカリ触媒を用いてけん化反応を行う際、けん化反応を停止させるため、必要に応じて、残存する触媒を酢酸、乳酸等の酸の添加により中和してもよいが、中和後、残存する酸により、乾燥時に変性PVAの分子間における架橋反応が進行しやすくなるため、水溶液に不溶な成分の量を2000ppm未満に抑制するためには、酸添加による中和は行わないことが好ましい。
けん化反応の方式は、公知の方法であれば特に限定されない。例えば、(1)20質量%を超える濃度に調整したビニルエステル系共重合体の溶液及びけん化触媒を混合し、得られた半固体(ゲル状物)又は固体を粉砕機で粉砕することによって変性PVAを得る方法、(2)メタノールを含む溶媒中に溶解しているビニルエステル系共重合体の濃度を10質量%未満に制御することによって、反応溶液全体が流動性の無いゲル状となることを抑制し、変性PVAを溶媒中で析出させ、メタノール中に分散する微粒子として得る方法、(3)飽和炭化水素系の溶媒を加えてビニルエステル系共重合体を乳化、又は懸濁相でけん化し、変性PVAを得る方法、等が挙げられる。前記(1)において、粉砕機は特に限定されず、公知の粉砕機、破砕機を使用することができる。
製造上の観点から飽和炭化水素系の溶媒を必要としない(1)又は(2)の方法が好ましく、メタノール含有量を低減させる観点からは(2)がより好ましい。(1)の製造方法では、ビニルエステル系共重合体の溶液におけるビニルエステル系共重合体の濃度は、21質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。さらに、(2)の製造方法は、後に続く洗浄工程及び乾燥工程を従来よりも弱めて行う場合においても、メタノール含有量が低減され、かつ、水溶液に不溶な成分も微量にでき、工業的に有利である点から好ましい。前記(2)において、メタノールを含む溶媒中に溶解しているビニルエステル系共重合体及びその部分けん化物の濃度は、8.0質量%未満が好ましく、5.0質量%未満がより好ましく、4.0質量%未満がさらに好ましい。
けん化工程の後に、必要に応じて変性PVAを洗浄する工程を設けることが、得られる変性PVA中のメタノール含有量を3.0質量%未満にできる点から好ましい。洗浄液として、メタノール等の低級アルコールを主成分とし、さらに、水及び/又は酢酸メチル等のエステルを含有する溶液を用いることができる。洗浄液としては、メタノールを主成分とし、酢酸メチルを含む溶液が好ましい。ビニルエステル系共重合体の共重合工程で好適に用いられるメタノール及びけん化工程で生成する酢酸メチルを洗浄液として用いることが工程内でリサイクルが可能であり、洗浄液として他の溶媒を準備する必要がなく、経済的、工程的に好ましい。ある実施形態では、前記(1)のけん化反応の方法では、洗浄中に、洗浄溶媒がPVAに一部含浸することにより、PVAに含有されるメタノールと置換されることがあるため、乾燥後の変性PVA中のメタノール含有量を3.0質量%未満とするためには、洗浄液として、酢酸メチルの含有量は45体積%以上が好ましく、60体積%以上がより好ましく、得られる変性PVAの水溶液に不溶な成分の量をより減らす観点から、70体積%以上がさらに好ましい。
けん化工程の後あるいは洗浄工程の後、重合体を乾燥することにより変性PVAを得ることができる。具体的には、円筒乾燥機を使用した熱風乾燥が好ましく、乾燥時の変性PVAの温度は80℃を超え、120℃未満であることが好ましく、90℃以上110℃未満であることがより好ましい。また、乾燥時間は2〜10時間であることが好ましく、3〜8時間であることがより好ましい。乾燥時の条件を前記範囲にすることにより、得られる変性PVA中のメタノール含有量を3.0質量%未満、水溶液に不溶な成分の量を2000ppm未満に抑制しやすくなるため好ましい。
[他の成分]
本発明の懸濁重合用分散安定剤は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、各種添加剤を含有してもよい。上記添加剤としては、例えば、アルデヒド類、ハロゲン化炭化水素類、メルカプタン類等の重合調節剤;フェノール化合物、イオウ化合物、N−オキサイド化合物等の重合禁止剤;pH調整剤;架橋剤;防腐剤;防黴剤;ブロッキング防止剤;消泡剤;相溶化剤等が挙げられる。懸濁重合用分散安定剤における各種添加剤の含有量は、懸濁重合用分散安定剤全体に対して10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
<ビニル系重合体の製造方法>
本発明の好適な実施形態としては、本発明の懸濁重合用分散安定剤の存在下で、ビニル化合物を懸濁重合する工程を含む、ビニル系重合体の製造方法が挙げられる。かかる製造方法では、粒子状のビニル系重合体が得られる。
変性PVAを含有する本発明の懸濁重合用分散安定剤を重合槽へ仕込む方法としては、例えば(i)水溶液にして重合槽に仕込む方法、(ii)粉末状態のまま仕込む方法等が挙げられる。重合槽内での均一性の観点から、上記(i)の方法が好ましい。
ビニル化合物の懸濁重合において、本発明の懸濁重合用分散安定剤の使用量(濃度)は、ビニル化合物に対して、1500ppm以下であってもよく、1000ppm以下であってもよく、800ppm以下であってもよい。前記ppmは、質量ppmを意味する。
ビニル化合物としては、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;(メタ)アクリル酸、これらのエステル及び塩;マレイン酸、フマル酸、これらのエステル及び無水物;スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、ビニルエーテル等が挙げられる。中でも、塩化ビニルを単独で、又は塩化ビニル及び塩化ビニルと共重合できる単量体を併用することが好ましい。塩化ビニルと共重合できる単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類;アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン、ビニルエーテル等が挙げられる。
ビニル化合物の懸濁重合には、従来から塩化ビニルの重合に使用される、油溶性又は水溶性の重合開始剤を使用できる。油溶性の重合開始剤としては、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、クミルパーオキシネオデカノエート等のパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。水溶性の重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これらの重合開始剤は1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
ビニル化合物の懸濁重合に際し、重合温度は特に制限はなく、20℃程度の低い温度でも、90℃を超える高い温度でもよく、中でも40〜70℃程度が好ましい。また、重合反応系の除熱効率を高めるために、還流冷却器が付属した重合器を用いてもよい。
本発明の懸濁重合用分散安定剤はビニル化合物の懸濁重合において単独で使用してもよいが、本発明の趣旨を損なわない範囲で、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などの水溶性セルロースエーテル;前記変性PVA以外の変性(例えば、カルボン酸、スルホン酸等のイオン性基による変性)又は未変性ポリビニルアルコール、ゼラチンなどの水溶性ポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリセリントリステアレート、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロックコポリマーなどの油溶性乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレート、ラウリン酸ナトリウムなどの水溶性乳化剤等を併用できる。
前記変性PVA以外のポリビニルアルコールとしては、例えばけん化度が65モル%未満であり、かつ粘度平均重合度が50〜750のけん化ポリビニルアルコール(S)、けん化度が65モル%以上99.5モル%以下であり、かつ粘度平均重合度が800〜3500のポリビニルアルコール(T)等が挙げられる。けん化度、粘度平均重合度は、前記変性PVAと同様にして測定できる。ポリビニルアルコール(S)としては、けん化度が30〜60モル%であり、かつ粘度平均重合度180〜650のポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコール(T)としては、けん化度が80モル%以上99.5モル%以下であり、かつ粘度平均重合度が1000〜3200のポリビニルアルコールが好ましい。また、該ポリビニルアルコール(S)及びポリビニルアルコール(T)は、未変性であってもよく、カルボン酸やスルホン酸のようなイオン性基が導入されて変性されることにより、自己乳化性が付与されたものであってもよい。変性PVAと併用するポリビニルアルコール(S)の質量比(変性PVA/ポリビニルアルコール(S))は特に限定されないが、95/5〜20/80が好ましく、90/10〜30/70がより好ましい。変性PVAと併用するポリビニルアルコール(T)の質量比(変性PVA/ポリビニルアルコール(T))は特に限定されないが、95/5〜20/80が好ましく、90/10〜30/70がより好ましい。変性PVAと、ポリビニルアルコール(S)及び/又はポリビニルアルコール(T)とは、懸濁重合の初期に一括して仕込んでもよいし、又は懸濁重合の途中で分割して仕込んでもよい。
得られたビニル系重合体は、適宜可塑剤等を配合して各種の成形品用途に使用できる。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的思想の範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた実施形態を含む。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想の範囲内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。以下の実施例及び比較例において、特に断りがない場合「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。
[変性PVAの粘度平均重合度]
変性PVAの粘度平均重合度はJIS K 6726:1994に準じて測定した。具体的には、変性PVAのけん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化し、得られた変性PVAについて、水中、30℃で測定した極限粘度[η](リットル/g)を用いて下記式により粘度平均重合度(P)を求めた。
P=([η]×104/8.29)(1/0.62)
[変性PVAのけん化度]
変性PVAのけん化度は、JIS K 6726:1994に記載の方法により求めた。
[エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の含有量(X)]
1H−NMRスペクトル解析によって、変性種のスペクトルから算出した。
[式(I)で表される構造単位の含有量(Y)]
ジメチルスルホキシド溶媒で測定した1H−NMRスペクトル解析において6.8〜7.2ppmに検出されるスペクトルから算出した。
[変性PVAのメタノール含有量]
実施例及び比較例の変性PVA中のメタノール含有量はヘッドスペースガスクロマトグラフィーを用いて、以下の方法で決定した。
<検量線の作成>
イソプロパノールを内部標準液として、メタノール含有量が既知の水溶液を3種類準備し、ヘッドスペースサンプラー(Turbo Matrix HS40、Parkin Elmer社製)を装着したガスクロマトグラフ(GC−2010、株式会社島津製作所製)を用いて測定を行い、検量線を作成する。
<変性PVA中のメタノール含有量の測定>
蒸留水を1000mLメスフラスコの標線に合わせて採取し、内部標準液のイソプロパノールをメスピペットにて0.1mL添加し、よく撹拌する。この液を「溶解液」とする。次に、試料として実施例及び比較例の変性PVA500mgをヘッドスペースガスクロマトグラフィー測定用のバイアル瓶中に秤量し、撹拌子を投入した後、前記溶解液をホールピペットで10mL測りとり、バイアル瓶中に投入する。キャップをバイアル瓶に取り付け、ロックがかかるまで締め付けた後、バイアル瓶をホットスターラー上に乗せて、試料の変性PVAを加熱溶解する。変性PVAが完全に溶解したことを目視で確認後、ヘッドスペースガスクロマトグラフィー測定を行い、前記のようにして作成した検量線から変性PVA中のメタノール含有量を決定した。
[90℃、濃度5質量%の水溶液に不溶な成分の量]
20℃に設定した水浴中に、撹拌機及び還流冷却管を装着した500mLのフラスコを準備し、蒸留水を285g投入して、300rpmで撹拌を開始する。実施例及び比較例の変性PVA15gを秤量し、フラスコ中に該変性PVAを徐々に投入する。変性PVAを全量(15g)投入したのち、直ちに30分程度かけて水浴の温度を90℃まで上昇させる。温度が90℃に到達後、さらに60分間300rpmで撹拌しながら溶解を継続した後、未溶解で残留する粒子(未溶解粒子)を目開き63μmの金属製フィルターで濾過する。フィルターを90℃の温水でよく洗浄し、付着した溶液を取り除いた後、フィルターを120℃の加熱乾燥機で1時間乾燥する。こうして採取した未溶解粒子の質量から、水溶液に不溶な成分の量が決定された。
[粒度分布]
JIS Z 8815:1994に記載の乾式篩法により、実施例及び比較例で得られた変性PVAの粒度分布を測定した。実施例及び比較例で得られた変性PVAを目開き1.00mmの篩(フィルター)にかけて、篩をパスした変性PVAの質量を測定し、篩にかける前の変性PVAの質量から、篩をパスした変性PVA粒子の割合(質量%)を算出した。同様に、実施例及び比較例で得られた変性PVAを目開き500μmの篩(フィルター)にかけて、篩をパスした変性PVAの質量を測定し、篩にかける前の変性PVAの質量から、篩をパスした変性PVA粒子の割合(質量%)を算出した。なお、前記目開きは、JIS Z 8801−1:2006の公称目開きWに準拠する。
[塩化ビニル重合体粒子の評価]
塩化ビニル重合体粒子について、(1)平均粒子径、(2)粗大粒子量及び(3)フィッシュアイを以下の方法に従って測定した。
(1)平均粒子径
JIS標準篩を使用して、JIS Z 8815:1994に記載の乾式篩法により粒度分布を測定した。その結果をロジン・ラムラー(Rosin−Rammler)分布式にプロットして平均粒子径を算出した。
(2)粗大粒子量
目開き355μmの篩(JIS標準篩のメッシュ換算では、42メッシュ)を通過しなかった塩化ビニル重合体粒子の含有量(質量%)を下記評価基準で評価した。前記含有量は、篩上累積(%)を意味する。また、前記篩の目開きは、JIS Z 8801−1−2006の公称目開きWに準拠する。
A:0.5質量%未満
B:0.5質量%以上1.0質量%未満
C:1.0質量%以上2.5質量%未満
D:2.5質量%以上
(3)フィッシュアイ
塩化ビニル重合体粒子100部、ジオクチルフタレート50部、三塩基性硫酸鉛5部及びステアリン酸鉛1部を150℃で7分間ロール混練して、厚み0.1mm、1400mm×1400mmのシートを5枚作製し、フィッシュアイの数を目視で測定した。1000cm2当たりのフィッシュアイ個数に換算し、以下の基準で評価した。フィッシュアイの数が少ないほどシート上の欠陥が少ないことを示す。
A:0〜5個
B:6〜10個
C:11〜49個
D:50個以上
[製造例1]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、変性種滴下口及び開始剤の添加口を備えた3Lの反応器に、酢酸ビニル500g、メタノール500g、変性種としてマレイン酸モノメチル(MMM)の20%メタノール溶液4.3mlを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。また、追加する変性種の溶液としてMMMの濃度20%溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.8gを添加し重合を開始した。追加する変性種の溶液を滴下して重合溶液中のモノマー組成(酢酸ビニルとマレイン酸モノメチルの比率)が一定となるようにしながら、60℃で3時間重合した後冷却して重合を停止した。重合を停止するまで加えたMMMのメタノール溶液の総量は25.3mlであった。また重合停止時の固形分濃度は24.3%であり、酢酸ビニルの重合率は50%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルの除去を行い、マレイン酸モノメチル変性ビニルエステル系共重合体(MMM変性PVAc)のメタノール溶液(濃度40%)を得た。さらに、これにメタノールを加えて調製したMMM変性PVAcのメタノール溶液314.7g(溶液中のMMM変性PVAc100.0g)に、18.6gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った(けん化溶液のMMM変性PVAc濃度30%、MMM変性PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比0.04)。アルカリ溶液を添加後40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、得られたゲルを粉砕し、メタノール/酢酸メチル比が20/80(体積比)である洗浄液に含浸した後、遠心脱液機を用いて脱液し、重合体を得た。得られた重合体を乾燥機中95℃で4時間乾燥した後、目開き1.00mmのフィルターを通過するまで粉砕を行い、本発明の変性PVA(PVA−1)を得た。PVA−1の粘度平均重合度は800、けん化度は72.0モル%、1H−NMRスペクトル解析における変性量(X)は1.0モル%、変性量(Y)は0.25モル%であり、その比(Y/X)は0.25であった。また得られた変性PVA全体のうち、目開き1.00mmのフィルターを通過した割合は99.0質量%であり、目開き500μmのフィルターを通過した割合は56.0質量%であった。さらに、上述したヘッドスペースガスクロマトグラフィーを用いて算出した変性PVA中のメタノール含有量は1.8質量%であり、上述した方法で測定した、水溶液に不溶な成分の量(水不溶分量)は60ppmであった。得られたPVA−1の分析結果を表2に示す。
[製造例2〜22]
表1に記載した条件に変更したこと以外は、製造例1のPVA−1の製造方法と同様の方法により、PVA−2〜PVA−22を得た。得られた変性PVAの分析結果を表2に示す。
[実施例1]
製造例1で得られたPVA−1、けん化度88モル%であり、かつ粘度平均重合度2400である未変性のポリビニルアルコール、けん化度40モル%であり、かつ粘度平均重合度500である未変性のポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製メトローズ(登録商標)65SH−50)をそれぞれ脱イオン水に溶解させて、分散安定剤水溶液とした。次に塩化ビニルに対してPVA−1を675ppm、けん化度88モル%であり、かつ粘度平均重合度2400である未変性のポリビニルアルコールを250ppm、けん化度40モル%であり、かつ粘度平均重合度500である未変性のポリビニルアルコールを130ppm、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを85ppmに相当するように混合した分散安定剤水溶液1150gを、容量5Lのオートクレーブに仕込んだ。次いでオートクレーブにジイソプロピルパーオキシジカーボネートの70%トルエン溶液1.5gを仕込んだ。オートクレーブ内の圧力が0.0067MPaになるまで脱気して酸素を除いた。その後、塩化ビニル1000gを仕込み、オートクレーブ内の内容物を57℃に昇温して、撹拌下に懸濁重合を開始した。重合開始時におけるオートクレーブ内の圧力は0.83MPaであった。懸濁重合を開始してから4時間が経過し、オートクレーブ内の圧力が0.65MPaとなった時点で重合を停止し、未反応の塩化ビニルを除去し、塩化ビニル重合体のスラリーを得た。その後、該スラリーを取り出し、65℃にて一晩乾燥を行い、塩化ビニル重合体粒子を得た。得られた塩化ビニル重合体粒子を下記方法にて分析したところ、平均粒子径150μm、目開き355μmの篩を通過しなかった量は0.1質量%、フィッシュアイの数は1個であった。
[実施例2〜16、比較例1〜6]
PVA−1に代えてPVA−2〜PVA−22をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行った。結果を表2に示す。
Figure 2019181915
Figure 2019181915
本発明のビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤は、メタノール含有量が低減され、かつ、水溶液に不溶な成分も微量であり、工業的に有用である。本発明の懸濁重合用分散安定剤は、これを用いたビニル化合物の懸濁重合を行った場合において、高品質の製品が得られることからその工業的評価は高い。

Claims (9)

  1. エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の含有量(X)が0.05モル%以上2.0モル%以下であり、けん化度が65.0モル%以上90.0モル%以下であり、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーで測定した場合のメタノール含有量が0.01質量%以上3.0質量%未満であり、かつ、90℃、濃度5質量%の水溶液に不溶な成分の量が0.1ppm以上2000ppm未満である変性ビニルアルコール系重合体を含有する、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤。
  2. 前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)が、エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル、ジエステル又は無水物である、請求項1に記載の懸濁重合用分散安定剤。
  3. 前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)が、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、無水マレイン酸、フマル酸モノアルキルエステル又はフマル酸ジアルキルエステルを含む、請求項1又は2に記載の懸濁重合用分散安定剤。
  4. 前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の少なくとも一部が、下記式(I)
    Figure 2019181915
    (式中、R1は、水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基であり、R2は、金属原子、水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基である。)
    で表される構造単位であり、前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の誘導体(A)に由来する構造単位の含有量(X)と式(I)で表される構造単位の含有量(Y)の値が下記式(Q)を満たす、請求項1〜3のいずれかに記載の懸濁重合用分散安定剤。
    0.05≦Y/X<0.98 (Q)
  5. 前記変性ビニルアルコール系重合体のけん化度が、68.0モル%以上80.0モル%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の懸濁重合用分散安定剤。
  6. 前記90℃、濃度5質量%の水溶液に不溶な成分の量が、0.1ppm以上500ppm未満である、請求項1〜5のいずれかに記載の懸濁重合用分散安定剤。
  7. 前記変性ビニルアルコール系重合体は、目開き1.00mmの篩を通過する量が全体の95質量%以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の懸濁重合用分散安定剤。
  8. 前記変性ビニルアルコール系重合体は、目開き500μmの篩を通過する量が全体の30質量%以上である、請求項1〜7のいずれかに記載の懸濁重合用分散安定剤。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の懸濁重合用分散安定剤の存在下で、ビニル化合物を懸濁重合する工程を含む、ビニル系重合体の製造方法。
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