JP6931361B2 - 懸濁重合用分散剤水性溶液 - Google Patents

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Description

本発明は、ビニル化合物の懸濁重合用分散剤水性溶液に関する。
従来より、ビニル化合物(例えば、塩化ビニル)の懸濁重合用分散剤として、部分けん化ビニルアルコール系重合体(以下、ビニルアルコール系重合体を「PVA」と略記載することがある)を用いることが知られている。
しかしながら、通常の部分けん化PVAを用いた場合は、得られるビニル系樹脂に要求される性能、具体的には(1)少量の使用でも可塑剤の吸収性が高いこと、(2)フィッシュアイ等の異物がないこと、(3)残存するモノマー成分の除去が容易であること、(4)粗大粒子の形成が少ないこと等について、必ずしも満足すべき性能が得られているとは言いがたかった。
上記の要求性能を満足させるべく、ビニル化合物の懸濁重合用分散剤として例えば低重合度、低けん化度、かつ側鎖にオキシアルキレン基を有するPVAを用いる方法(特許文献1〜7参照)、イオン性基を有するPVAを用いる方法(特許文献8参照)、末端にアルキル基を有するPVAを用い、あらかじめ水溶液を調製して重合槽に仕込む方法(特許文献9参照)等が提案されている。これらの各種PVAは、水溶性に優れていて取扱性が良好である。
しかしながら、上記(1)〜(4)の要求は日々高まってきており、特許文献1〜9に記載の各種PVAを用いる方法では、現在要求されている性能に対して満足できる結果が得られているとは言いがたい。
特開平9−100301号公報 特開平10−147604号公報 特開平10−259213号公報 特開平11−217413号公報 特開2001−040019号公報 特開2002−069105号公報 特開2007−063369号公報 特開平10−168128号公報 WO2015/019614号
本発明は、ビニル化合物を懸濁重合するに際して、少量の使用でも、得られるビニル系樹脂の可塑剤の吸収性が高く、フィッシュアイ等の異物がなく、粗大粒子の形成が少なく、しかも残存するモノマー成分の除去が容易である、懸濁重合用分散剤水性溶液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、懸濁重合用分散剤水性溶液が、ビニルアルコール系重合体(A)を含み、該ビニルアルコール系重合体(A)は、けん化度が45モル%以上60モル%未満であり、残存ビニルエステル基のブロックキャラクターが0.60以下であり、
該分散剤水性溶液の粘度比が下記式
1.1≦(η40wt%/η35wt%)<1.6
(式中、η40wt%は前記ビニルアルコール系重合体(A)の40質量%濃度の分散剤水性溶液の粘度を表し、η35wt%は前記ビニルアルコール系重合体(A)の35質量%濃度の分散剤水性溶液の粘度を表す。)
を満たし、かつ、前記分散剤水性溶液の粘度が1000mPa・s以上4000mPa・s以下であるものとすることによって、上記の目的を達成できることを見い出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明に関する。
[1]ビニルアルコール系重合体(A)を含むビニル化合物の懸濁重合用分散剤水性溶液であって、
前記ビニルアルコール系重合体(A)のけん化度が45モル%以上60モル%未満であり、前記ビニルアルコール系重合体(A)の残存ビニルエステル基のブロックキャラクターが0.60以下であり、
前記分散剤水性溶液の粘度比が下記式
1.1≦(η40wt%/η35wt%)<1.6
(式中、η40wt%は前記ビニルアルコール系重合体(A)の40質量%濃度の分散剤水性溶液の粘度を表し、η35wt%は前記ビニルアルコール系重合体(A)の35質量%濃度の分散剤水性溶液の粘度を表す。)
を満たし、かつ、前記分散剤水性溶液の粘度が1000mPa・s以上4000mPa・s以下である、懸濁重合用分散剤水性溶液。
[2]前記ビニルアルコール系重合体(A)の粘度平均重合度が100以上600未満である、前記[1]の懸濁重合用分散剤水性溶液。
[3]前記ビニルアルコール系重合体(A)が未変性ビニルアルコール系重合体である、前記[1]又は[2]の懸濁重合用分散剤水性溶液。
[4]さらに、前記分散剤水性溶液が、下記一般式(I)
Figure 0006931361
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基を表し、nは1〜6の整数を表す。)
で表される化合物(C)を含有する、前記[1]〜[3]のいずれかの懸濁重合用分散剤水性溶液。
[5]前記化合物(C)の含有量が、前記分散剤水性溶液に対して5質量%以上20質量%以下である、前記[4]の懸濁重合用分散剤水性溶液。
[6]前記一般式(I)で表される化合物(C)が、R及びRがそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rが水素原子であり、nが1であるアルコールである、前記[4]又は[5]の懸濁重合用分散剤水性溶液。
[7]前記一般式(I)で表される化合物(C)が、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール及び2−ブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[6]の懸濁重合用分散剤水性溶液。
[8]前記一般式(I)で表される化合物(C)が、R及びRがそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基であり、Rが水素原子又はヒドロキシ基であり、Rが水素原子であり、nは1〜6の整数である(ただし、Rが水素原子であり、かつRが水素原子であるものを除く)グリコール化合物である、前記[4]又は[5]の懸濁重合用分散剤水性溶液。
[9]前記一般式(I)で表される化合物(C)が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、及び3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記[8]の懸濁重合用分散剤水性溶液。
[10]前記一般式(I)で表される化合物(C)が、R及びRがそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基であり、Rが水素原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基であり、Rが炭素数1〜6のアルキル基であり、nは1〜6の整数である(ただし、Rが水素原子であり、かつRが水素原子であるものを除く)グリコールエーテル化合物である、前記[4]又は[5]の懸濁重合用分散剤水性溶液。
[11]前記一般式(I)で表される化合物(C)が3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールである、前記[10]の懸濁重合用分散剤水性溶液。
[12]懸濁重合用分散剤の存在下で、ビニル化合物の懸濁重合を行う工程を含む、ビニル系樹脂の製造方法であって、前記懸濁重合用分散剤が、前記[1]〜[11]のいずれかの懸濁重合用分散剤水性溶液を含有するビニル系樹脂の製造方法。
[13]さらに、前記懸濁重合用分散剤がビニルアルコール系重合体(B)を含有し、前記ビニルアルコール系重合体(B)のけん化度が65モル%以上95モル%以下であり、粘度平均重合度が600以上5000以下である、前記[12]のビニル系樹脂の製造方法。
本発明の懸濁重合用分散剤水性溶液を用いてビニル化合物の懸濁重合を行った場合には、少量の使用でも可塑剤の吸収性が高く、フィッシュアイ等の異物がなく、ビニル系樹脂粒子における単位時間当たりの残存ビニル化合物の除去割合が高く、脱モノマー性に優れ、粗大粒子が少ないビニル系樹脂が得られる。
<懸濁重合用分散剤水性溶液>
本発明の懸濁重合用分散剤水性溶液は、ビニルアルコール系重合体(A)を含み、
前記ビニルアルコール系重合体(A)(以下、「PVA(A)」と略記することがある。)は、けん化度が45モル%以上60モル%未満であり、残存ビニルエステル基のブロックキャラクターが0.60以下であり、
前記分散剤水性溶液の粘度比が下記式
1.1≦(η40wt%/η35wt%)<1.6
(式中、η40wt%は前記ビニルアルコール系重合体(A)の40質量%濃度の分散剤水性溶液の粘度を表し、η35wt%は前記ビニルアルコール系重合体(A)の35質量%濃度の分散剤水性溶液の粘度を表す。)
を満たし、かつ、前記分散剤水性溶液の粘度が1000mPa・s以上4000mPa・s以下であることを特徴とする。
なお、本明細書において、数値範囲(各成分の含有量、各成分から算出される値及び各物性等)の上限値及び下限値は適宜組み合わせ可能である。
[PVA(A)]
本発明に用いられるPVA(A)のけん化度は、45モル%以上60モル%未満であり、好ましくは46モル%以上58モル%以下であり、より好ましくは47モル%以上55モル%以下である。PVA(A)のけん化度が45モル%未満であると、得られるビニル系樹脂粒子の脱モノマー性が低下したり、可塑剤吸収性が低下したり、フィッシュアイが増加する。また、PVA(A)を含有する懸濁重合用分散剤水性溶液を調製する際に析出や沈殿物が生じやすく、高濃度の分散剤水性溶液を調製することが困難となる。一方、PVA(A)のけん化度が60モル%以上であると、得られるビニル系樹脂粒子の脱モノマー性が低下したり、可塑剤吸収性が低下したり、フィッシュアイが増加する。また、PVA(A)を含有する高濃度の分散剤水性溶液を調製した際に粘度が増大し、ハンドリング性が低下する。PVA(A)のけん化度は、JIS K 6726(1994年)に準じて測定し得られる値である。
本発明に用いられるPVA(A)において、残存ビニルエステル基のブロックキャラクターは0.60以下であり、好ましくは0.30以上0.58以下であり、より好ましくは0.40以上0.55以下である。PVA(A)のブロックキャラクターが0.60を超える場合は、得られるビニル系樹脂粒子の脱モノマー性が低下したり、可塑剤吸収性が低下したり、フィッシュアイが増加する。
上述のブロックキャラクターとは、残存エステル基と、エステル基のけん化によって生じるヒドロキシ基の分布を表した数値であり、0から2の間の値(0及び2を含む)をとる。0が完全にブロック的に残存エステル基又はヒドロキシ基が分布していることを示し、値が増加するにつれて交互性が増していき、1が残存エステル基とヒドロキシ基が完全にランダムに存在し、2が残存エステル基とヒドロキシ基が完全に交互に存在することを示している。前記残存エステル基とは、けん化処理を経て得られるPVA(A)におけるビニルエステル系単量体単位に含まれるエステル基(−O−C(=O)−Y(Yは、ビニルエステル系単量体に含まれる、CH=CH−O−C(=O)部分以外の炭化水素基を表す。))を意味する。なお、PVA(A)において、ビニルエステル系単量体単位及び/又はビニルアルコール単位が連続する部位は、変性基を有する繰り返し単位等の他の繰り返し単位の存在によって断片的に存在するが、本明細書においてブロックキャラクターは、この断片的に存在する部位すべてを対象として計算され、13C−NMR測定により求めることができる。
本発明に用いられるPVA(A)の粘度平均重合度は、100以上600未満が好ましい。PVA(A)の粘度平均重合度が100未満になると、ビニル化合物の懸濁重合の重合安定性が低下し、懸濁重合によって得られるビニル系樹脂粒子が粗粒となるおそれがある。PVA(A)の粘度平均重合度は、110以上がより好ましく、120以上がさらに好ましく、150以上が特に好ましい。一方、PVA(A)の粘度平均重合度が600以上であると、ビニル化合物の懸濁重合により得られるビニル系樹脂粒子からモノマー成分を除去するのが困難になったり、得られるビニル系樹脂粒子の可塑剤吸収性が低下したり、高濃度の分散剤水性溶液として提供する際に粘度が非常に高くなり、ハンドリング性が低下するおそれがある。PVA(A)の粘度平均重合度は、500以下がより好ましく、400以下がさらに好ましく、320以下が特に好ましい。
PVA(A)の粘度平均重合度は、PVAを実質的に完全にけん化した後、アセチル化してビニルエステル系重合体とし、該ビニルエステル系重合体のアセトン溶液の極限粘度[η]測定から、以下に示す中島の式(中島章夫:高分子化学6(1949))を用いて算出できる。
[η]acetone, 30℃ = 7.94 × 10−4 ・ P0.62
本発明の懸濁重合用分散剤水性溶液は、以下の粘度及び粘度比を満たすことが重要である。具体的には、上記PVA(A)を特定の濃度とした場合に、前記分散剤水性溶液粘度の粘度比が、下記式
1.1≦(η40wt%/η35wt%)<1.6
(式中、η40wt%及びη35wt%は、上記と同様の意味を有する。)
を満たし、かつ、前記分散剤水性溶液の粘度が1000mPa・s以上4000mPa・s以下である。
前記粘度比の好適範囲は、1.2<(η40wt%/η35wt%)<1.4である。ここで、分散剤水性溶液の粘度は20℃の状態でB型粘度計を用いて測定したものである。B型粘度計は、例えば、B型粘度計BLII(東機産業株式会社製)、デジタルB型粘度計 BASE(商品名、株式会社アタゴ製)、デジタルB型粘度計 PRO(商品名、株式会社アタゴ製)等の市販品を使用できる。前記分散剤水性溶液の粘度は、1500mPa・s以上3800mPa・s以下が好ましく、1800mPa・s以上3500mPa・s以下がより好ましく、2000mPa・s以上3200mPa・s以下がさらに好ましい。
本発明は上記条件(けん化度、ブロックキャラクター、粘度、及び粘度比)をすべて同時に満たした場合にのみ発現されるものであり、極めて特異的である。これら条件の一つでも満たされない場合は、得られるビニル系樹脂は、可塑剤の吸収性が不十分であり、フィッシュアイ等の異物が多い。また、ビニル系樹脂粒子における単位時間当たりの残存ビニル化合物の割合が高く、脱モノマー性に問題がある。その理由については明らかではないが、懸濁重合用分散剤の水性溶液状態でのPVA(A)分子同士の会合状態が大きく寄与しているものと考えられる。すなわち、特定のけん化度及びブロックキャラクターを有するPVA(A)を含有する懸濁重合用分散剤水性溶液が、上記特定の粘度及び粘度比を有することで、前記分散剤水性溶液においてPVA(A)分子がある程度会合し、ビニル化合物の懸濁重合系に仕込まれた場合、効率的にビニル化合物の分散液滴表面に吸着できる。その最適な会合状態を保つことができる前記分散剤水性溶液の粘度が1000mPa・s以上4000mPa・s以下であると考えられる。
40質量%濃度の分散剤水性溶液の粘度η40wt%と35質量%濃度の水性溶液の粘度η35wt%の比η40wt%/η35wt%が1.6以上の場合、希釈とともに会合状態の変化が著しく、ビニル系化合物の分散液滴表面に吸着しても、分散剤の能力を最大限に発現できない。上記粘度の比η40wt%/η35wt%が1.1未満である場合、濃度上昇によりPVA(A)が析出するおそれがあり、ハンドリング性が低下する。
本発明の懸濁重合用分散剤水性溶液は、溶媒として、水を含むことが好ましい。溶媒が水の場合、本発明の懸濁重合用分散剤水性溶液に含まれるPVA(A)の濃度は、該分散剤水性溶液の粘度が上記特定の範囲を満たしていれば特に限定されないが、10質量%以上50質量%以下が好ましく、15質量%以上48質量%以下がより好ましく、20質量%以上45質量%以下がさらに好ましく、25質量%以上40質量%以下が特に好ましい。
本発明の懸濁重合用分散剤水性溶液に含まれるPVA(A)の製造法に特に制限はなく、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、メタノールとビニルエステル系単量体の仕込比から重合度を調整して重合し、ビニルエステル系重合体を調製し、次いで、該ビニルエステル系重合体をけん化することにより得る方法が挙げられる。
ビニルエステル系単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。中でも酢酸ビニルが最も好ましい。
PVA(A)の合成に際して、本発明の趣旨を損なわない範囲で他の単量体を共重合しても差し支えない。使用しうる単量体として、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン等のα−オレフィン;アクリル酸及びその塩;アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩又はその4級塩、N−メチロールアクリルアミド及びその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド;N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩又はその4級塩、N−メチロールメタクリルアミド及びその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−ビニルオキシプロパン、ポリオキシエチレンモノアリルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその塩又はそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル等が挙げられる。このような他の単量体の共重合量は、通常10モル%以下であり、1モル%未満であってもよい。また、本発明のPVA(A)は、本発明の効果がより一層向上する観点から、未変性PVAであることが好ましい。
上述の重合を行うのに採用される重合方式としては、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合のいずれでもよい。重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等公知の方法の中から、任意の方法を採用できる。その中でも、無溶媒又はアルコール系溶媒存在下で重合を行う塊状重合法や溶液重合法が好適に採用される。塊状重合法又は溶液重合法に用いられるアルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合に使用される開始剤としては、重合方法に応じて従来公知のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤等が適宜選ばれる。アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。過酸化物系開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシデカネート等のパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート等の過酸化物が挙げられる。さらには、上記開始剤に過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等を組み合わせて開始剤とすることもできる。また、レドックス系開始剤としては、上記の過酸化物(酸化剤)と、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリット等の還元剤とを組み合わせたものが挙げられる。
また、重合を高い温度で行った場合、ビニルエステル系単量体の分解に起因するPVAの着色等が見られることがある。その場合には着色防止の目的で重合系に、酒石酸等の酸化防止剤を、ビニルエステル系単量体の質量に対して1ppm以上100ppm以下程度添加してもよい。
重合に際して得られるビニルエステル系重合体の重合度を調節すること等を目的として、連鎖移動剤の存在下で重合を行ってもよい。連鎖移動剤としては、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を有するアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;2−ヒドロキシエタンチオール等のメルカプタン類;トリクロロエチレン、パークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;ホスフィン酸ナトリウム1水和物等のホスフィン酸塩類;炭素数6以上18以下の脂肪族炭化水素基を有する、アルコール、アルデヒド、チオール類が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用できる。連鎖移動剤の添加量は、添加する連鎖移動剤の連鎖移動定数及び目的とするビニルエステル系重合体の重合度に応じて決定すればよい。一般にビニルエステル系単量体に対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。
PVA(A)の重合には、公知の重合装置(重合槽)を使用できる。重合槽は、攪拌翼を備えていてもよい。攪拌翼には特に制限はなく、アンカー翼、パドル翼、マックスブレンド翼等、任意の攪拌翼を用いることができる。
ビニルエステル系重合体のけん化反応には、従来公知の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド等の塩基性触媒又はp−トルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、硝酸等の酸性触媒を用いた加アルコール分解反応ないし加水分解反応を適用できる。この反応に使用しうる溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を併用できる。中でもメタノール又はメタノール/酢酸メチル混合溶液を溶媒とし、水酸化ナトリウムを触媒に用いてけん化反応を行うのが簡便であり好ましい。けん化溶液中のビニルエステル系重合体の濃度は、特に限定されないが、10〜80質量%が好ましい。用いる塩基性触媒や酸性触媒の使用量は目標とするけん化度に合わせて調整を行うが、ビニルエステル系重合体に対して1〜100ミリモル当量にすることがPVA(A)の着色防止や酢酸ナトリウムの量を低く抑えるという点から好ましい。けん化温度は特に限定されないが、通常10℃〜70℃、好ましくは30℃〜40℃の範囲である。
[化合物(C)]
本発明の懸濁重合用分散剤水性溶液は、下記一般式(I)
Figure 0006931361
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を表し、Rは水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基を表し、nは1〜6の整数を表す。)
で表される化合物(C)を含有する形態が好適である。懸濁重合用分散剤水性溶液における上記一般式(I)で表される化合物(C)の含有量は、5質量%以上20質量%以下が好ましく、10質量%以上15質量%以下がより好ましい。
一般式(I)において、R、R、R、R及びRで表される炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。アルキル基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、2−メチルプロピル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基(イソヘキシル基)、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,4−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチル−プロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基等が挙げられる。
で表される炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基におけるアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。ヒドロキシアルキル基におけるアルキル基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。前記ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−n−プロピル基、2−ヒドロキシ−n−プロピル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、1−ヒドロキシイソプロピル基、2−ヒドロキシイソプロピル基、1−ヒドロキシ−n−ブチル基、2−ヒドロキシ−n−ブチル基、3−ヒドロキシ−n−ブチル基、4−ヒドロキシ−n−ブチル基、1−ヒドロキシイソブチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、3−ヒドロキシイソブチル基、1−ヒドロキシ−sec−ブチル基、2−ヒドロキシ−sec−ブチル基、3−ヒドロキシ−sec−ブチル基、4−ヒドロキシ−sec−ブチル基、1−ヒドロキシ−tert−ブチル基、1−ヒドロキシシクロブチル基、2−ヒドロキシシクロブチル基、3−ヒドロキシシクロブチル基、5−ヒドロキシ−n−ペンチル基、6−ヒドロキシ−n−ヘキシル基等が挙げられる。Rで表される炭素数1〜6のアルコキシ基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。アルコキシ基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec−ヘキシルオキシ基、tert−ヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基等が挙げられる。
好適な化合物(C)としては、上記一般式(I)において、R及びRがそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rが水素原子であり、nが1であるアルコールが挙げられる。これらのアルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等が挙げられる。これらの中でも、1−ブタノールが最も好ましい。
また、他の好適な化合物(C)としては、一般式(I)において、R及びRがそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基であり、Rが水素原子又はヒドロキシ基であり、Rが水素原子であり、nは1〜6の整数であるグリコール化合物(ただし、Rが水素原子であり、かつRが水素原子である化合物を除く)であってもよい。このようなグリコール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。化合物(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、他の好適な化合物(C)としては、一般式(I)において、R及びRがそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、Rが水素原子又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基であり、Rが水素原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基であり、Rが炭素数1〜6のアルキル基であり、nは1〜6の整数であるグリコールエーテル化合物(ただし、Rが水素原子であり、かつRが水素原子である化合物を除く)であってもよい。このようなグリコールエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。さらに、エチレングリコールの縮合体である、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジエチルエーテル、ヘキサエチレングリコールジプロピルエーテル等が挙げられる。さらに、プロピレングリコールの縮合体である、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、ヘキサプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。さらに、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等が挙げられる。これらの中でも、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールが最も好ましい。
[その他の成分]
本発明の懸濁重合用分散剤水性溶液は、ビニル化合物の懸濁重合の際に本発明の趣旨を損なわない範囲で、その他の各種添加剤を含有してもよい。上記添加剤としては、例えば、アルデヒド類、ハロゲン化炭化水素類、メルカプタン類等の重合調節剤;フェノール化合物、イオウ化合物、N−オキサイド化合物等の重合禁止剤;pH調整剤;架橋剤;防腐剤;防黴剤;ブロッキング防止剤;消泡剤;相溶化剤等が挙げられる。これらの添加剤の量は、特に限定されないが、懸濁重合用分散剤水性溶液において、10質量%未満が好ましく、5.0質量%未満がより好ましく、3.0質量%未満がさらに好ましく、1.0質量%未満が特に好ましい。
<ビニル系樹脂の製造方法>
本発明の他の実施形態としては、懸濁重合用分散剤の存在下で、ビニル化合物の懸濁重合を行う工程を含む、ビニル系樹脂の製造方法であって、前記懸濁重合用分散剤が、上記の懸濁重合用分散剤水性溶液を含有する製造方法が挙げられる。前記ビニル化合物としては、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、これらのエステル及び塩;マレイン酸、フマル酸、これらのエステル及び無水物;スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、ビニルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、本発明の懸濁重合用分散剤は、特に好適には塩化ビニルを単独で、又は塩化ビニル及び塩化ビニルと共重合することが可能な単量体と共に懸濁重合する際に用いられる。
塩化ビニルと共重合できる単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類;アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン、ビニルエーテル等が挙げられる。
ビニル化合物の懸濁重合法は、従来から塩化ビニル単量体等の重合に使用されている、油溶性又は水溶性の重合開始剤を用いることができる。油溶性の重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、α−クミルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。水溶性の重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これらの油溶性の重合開始剤又は水溶性の重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル化合物の懸濁重合に際し、重合温度には特に制限はなく、20℃程度の低い温度はもとより、90℃を超える高い温度に調整することもできる。また、重合反応系の除熱効率を高めるために、リフラックスコンデンサー付の重合器を用いることも好ましい実施態様の一つである。
ビニル系樹脂を上記懸濁重合用分散剤を用いて製造する場合、重合温度によらず、可塑剤の吸収性が高く、フィッシュアイ等の異物がなく、粗大粒子の形成が少なく、かつ残存するモノマー成分の除去が容易である、ビニル系樹脂粒子を得ることができる。得られたビニル系樹脂粒子は、適宜可塑剤等を配合して、各種の成形品用途に用いることができる。
[PVA(B)]
前記懸濁重合用分散剤は、それを構成する上記PVA(A)に加えて、粘度平均重合度が600以上5000以下であり、かつけん化度が65モル%以上95モル%以下であるビニルアルコール系重合体(B)(以下、「PVA(B)」と略記することがある。)を含んでいてもよい。
本発明で用いられるPVA(B)のけん化度は65モル%以上95モル%以下が好ましく、68モル%以上90モル%以下がより好ましい。PVA(B)のけん化度が65モル%未満の場合には、PVA(B)の水溶性が低下して取扱性が悪化する場合がある。また、ビニル化合物の懸濁重合が不安定となり得られるビニル系樹脂粒子が粗粒となる場合がある。なお、PVA(B)のけん化度は、JIS K 6726(1994年)に準じて測定し得られる値である。
また、PVA(B)の粘度平均重合度は、600以上5000以下が好ましく、600以上3500以下がより好ましい。PVA(B)の粘度平均重合度が600未満の場合には、ビニル化合物を懸濁重合する際の重合安定性が低下するおそれがある。なお、PVA(B)の粘度平均重合度は、前記PVA(A)と同様に中島の式(中島章夫:高分子化学6(1949))を用いて算出した値、又はJIS K 6726(1994年)に準じて測定し得られる。
PVA(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
PVA(A)とPVA(B)との質量比は〔PVA(A)〕/〔PVA(B)〕=10/90〜55/45の割合で併用するのが好ましく、15/85〜50/50の割合で併用することがより好ましい。10/90よりもPVA(A)の割合が少なくなるとビニル化合物の懸濁重合により得られるビニル系樹脂粒子からモノマー成分を除去するのが困難になったり、また得られるビニル系樹脂粒子の可塑剤吸収性が低下する場合がある。55/45よりもPVA(A)の割合が多くなるとビニル化合物の懸濁重合の重合安定性が低下し、懸濁重合によって得られるビニル系樹脂粒子が粗粒となる、均一な粒子径の粒子が得られない等の問題が生じる場合がある。
前記懸濁重合用分散剤は、ビニル化合物を水性媒体中で懸濁重合する際に通常使用される、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル;ゼラチン等の水溶性ポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリセリントリステアレート、エチレンオキシドプロピレンオキシドブロックコポリマー等の油溶性乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレート、ラウリン酸ナトリウム等の水溶性乳化剤等を併用してもよい。その添加量については特に制限はないが、ビニル化合物100質量部あたり0.01質量部以上1.0質量部以下が好ましい。
ビニル化合物の懸濁重合に際し、上記懸濁重合用分散剤の重合槽への仕込み方としては特に制限はない。例えば、上記の懸濁重合用分散剤がPVA(B)を含む場合には、PVA(A)を含有する懸濁重合用分散剤水性溶液及びPVA(B)を混合して仕込んでもよい。また、PVA(A)を含有する懸濁重合用分散剤水性溶液及びPVA(B)は別々に仕込んでもよく、例えば、重合開始前にPVA(A)を含有する懸濁重合用分散剤水性溶液、PVA(B)をそれぞれ仕込んでもよいし、重合開始前にPVA(A)を含有する懸濁重合用分散剤水性溶液を仕込み、重合開始後にPVA(B)を仕込んでもよい。
ビニル化合物の懸濁重合に際し、上記懸濁重合用分散剤の重合槽への仕込み量は特に限定されないが、PVA(A)がビニル化合物(例:塩化ビニル単量体)に対して、30ppm以上1000ppm以下となるように懸濁重合用分散剤水性溶液を仕込むことが好ましく、50ppm以上800ppm以下がより好ましく、100ppm以上500ppm以下がさらに好ましい。さらに上記懸濁重合用分散剤がPVA(B)を含有する場合、PVA(B)の仕込み量がビニル化合物に対して、100ppm以上4000ppm以下が好ましく、300ppm以上3000ppm以下がより好ましく、500ppm以上2800ppm以下がさらに好ましい。本明細書において、ppmは質量ppmを意味する。
ビニル化合物の懸濁重合に際し、仕込むビニル化合物と水の比は特に限定されないが、ビニル化合物の水に対する割合が低いほど重合は安定するが生産性が低く、ビニル化合物の水に対する割合が高いほど生産性は高くなるが、重合が不安定となる。通常、〔ビニル化合物〕と〔水〕の質量比(〔ビニル化合物〕/〔水〕)は4/7〜5/4であり、該比が4/7より小さいと得られるビニル系樹脂の生産性が低く、逆に該比が5/4より大きくなると重合が非常に不安定になり、生成するビニル系樹脂粒子が粗粒化したり、得られる製品のフィッシュアイが増加する傾向にあり好ましくない。しかしながら、上記の懸濁重合用分散剤を用いる場合、その重合条件はビニル化合物の水に対する割合が多く、重合が不安定になりやすい条件、具体的には、質量比〔ビニル化合物〕/〔水〕が3/4よりも大きい重合条件でも重合を安定に進行させることができる。よって、得られるビニル樹脂粒子の粗粒化防止効果がより発揮されることから、質量比〔ビニル系化合物〕/〔水〕が3/4よりも大きいことが好ましい。一方で、質量比〔ビニル系化合物〕/〔水〕は、10/9より小さいことが好ましい。なお、前記水の比率は、懸濁重合用分散剤に含有される水を含むものである。
上記の懸濁重合用分散剤の存在下で、上述のような方法でビニル化合物を懸濁重合することによって、少量の使用でも可塑剤の吸収性が高くフィッシュアイ等の異物がなく、粗大粒子の形成が少なく、しかも残存するモノマー成分の除去が容易であるビニル系樹脂粒子を得ることができる。得られたビニル系樹脂粒子は、適宜可塑剤等を配合して、各種の成形品用途に用いることができる。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた態様を含む。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。以下の実施例及び比較例において、特に断りがない場合、「部」及び「%」はそれぞれ質量部及び質量%を示す。
下記の製造例により得られた懸濁重合用分散剤水性溶液について、以下の方法にしたがって評価を行った。本発明の懸濁重合用分散剤水性溶液を構成するビニルアルコール系重合体(A)を、以下PVA(A1)、PVA(A2)等と記す。
[PVAのけん化度]
PVAのけん化度はJIS K 6726(1994年)に記載の方法により求めた。
[PVAのブロックキャラクター]
PVAの残存ビニルエステル基のブロックキャラクターはPVAの重水、重メタノール混合溶媒中、測定温度70℃、積算回数18000回での13C−NMR測定を行い、残存エステル基とヒドロキシ基に挟まれたメチレン炭素のピークの積分値、残存エステル基同士に挟まれたメチレン炭素のピークの積分値、及びヒドロキシ基同士に挟まれたメチレン炭素のピークの積分値からブロックキャラクターを求めた。測定法、計算法についてはポバール(高分子刊行会、1984年発行、第246〜249頁)及びMacromolecules,10,532(1977年)に記載されている。
[PVAの粘度平均重合度]
PVAの粘度平均重合度は、PVAを実質的に完全にけん化した後、アセチル化してビニルエステル系重合体とし、該ビニルエステル系重合体のアセトン溶液の極限粘度[η]測定から、以下に示す中島の式(中島章夫:高分子化学6(1949))を用いて算出した。
[η]acetone, 30℃ = 7.94 × 10−4 ・ P0.62
[PVAの35質量%濃度の懸濁重合用分散剤水性溶液の粘度]
PVAの35質量%濃度の水溶液を調製し、該水溶液の粘度をB型粘度計BLII(東機産業株式会社製)によって測定した。なお、粘度の測定は20℃、回転数60rpmで行った。
[PVAの40質量%濃度の懸濁重合用分散剤水性溶液の粘度とPVAの35質量%濃度の懸濁重合用分散剤水性溶液の粘度比]
PVAの40質量%濃度の分散剤水性溶液を調製し、該分散剤水性溶液の粘度を上記と同様にB型粘度計BLII(東機産業株式会社製)によって測定し、40質量%濃度の分散剤水性溶液の粘度と35質量%濃度の分散剤水性溶液の粘度比(η40wt%/η35wt%)を算出した。
[PVAの変性量]
PVAの変性量は、PVAを構成する全繰り返し単位に対する変性基のモル百分率(モル%)として、1H−NMR測定により求めた。
以下の調製例、実施例及び比較例では、表1に記載のPVA(A1)、PVA(A2)、PVA(A3)、PVA(I)〜PVA(XI)を使用した。
[懸濁重合用分散剤水性溶液の調製例1]
表1に記載のPVA(A1)の濃度が35質量%、化合物(C)として3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールの濃度が5質量%となるように、PVA(A1)、蒸留水及び化合物(C)を混合し、室温下マグネチックスターラーで2時間撹拌して懸濁重合用分散剤水性溶液を得た。表2に示す通り、得られた分散剤水性溶液の粘度は2200mPa・sであり、粘度比(η40wt%/η35wt%)は1.4であった。
[懸濁重合用分散剤水性溶液の調製例2〜15]
表2に示す所定の濃度となるようにPVA(A2)、PVA(A3)及びPVA(I)〜PVA(XI)のそれぞれと蒸留水を混合し、室温下マグネチックスターラーで2時間撹拌して懸濁重合用分散剤水性溶液を得た。また、必要に応じて、蒸留水と共に、上記一般式(I)で表される化合物(C)として、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール又は1−ブタノールを下記表2の量で加え、上記と同様の方法で懸濁重合用分散剤水性溶液を得た。得られた懸濁重合用分散剤水性溶液の粘度及び粘度比(η40wt%/η35wt%)を表2に示す。
Figure 0006931361
Figure 0006931361
[実施例1]
容量5Lのオートクレーブに、粘度平均重合度1800及びけん化度85モル%のPVA(B)を塩化ビニル単量体に対して1200ppmとなるように100部の脱イオン水溶液として仕込み、上記調製例1で得られた懸濁重合用分散剤水性溶液を、該分散剤水性溶液中のPVA(A1)が塩化ビニル単量体に対して200ppmとなるように仕込み、仕込む脱イオン水の合計が1640部となるように脱イオン水を追加して仕込んだ。次いで、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネートの70%トルエン溶液1.07部をオートクレーブに仕込んだ。オートクレーブ内の圧力が0.2MPaとなるように窒素を導入後、次いで導入した窒素をパージする、という作業を計5回行い、オートクレーブ内を十分に窒素置換して酸素を除いた後、塩化ビニル940部を仕込み、オートクレーブ内の内容物を65℃に昇温して撹拌下で塩化ビニル単量体の重合を開始した。重合開始時におけるオートクレーブ内の圧力は1.05MPaであった。重合を開始してから約3時間経過後、オートクレーブ内の圧力が0.70MPaとなった時点で重合を停止し、未反応の塩化ビニル単量体を除去した後、重合反応物を取り出し、65℃にて16時間乾燥を行い、塩化ビニル樹脂粒子を得た。
(塩化ビニル樹脂粒子の評価)
実施例1で得られた塩化ビニル樹脂粒子について、(1)平均粒子径、(2)可塑剤吸収性、(3)脱モノマー性、及び(4)フィッシュアイを以下の方法にしたがって評価した。評価結果を表3に示す。
(1)平均粒子径
タイラーメッシュ基準の篩を使用して、JIS Z 8815:1994に記載の乾式篩法により粒度分布を測定した。その結果をロジン・ラムラー(Rosin-Rammler)分布式にプロットして、実施例1で得られた塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径(dp50)を求めた。
(2)可塑剤吸収性
脱脂綿を0.02g詰めた容量5mLのシリンジの質量を量り(A(g))、次いで塩化ビニル樹脂粒子0.5gを入れ質量を量り(B(g))、そこにジオクチルフタレート(DOP)1gを入れ15分静置後、3000rpmで40分遠心分離して質量を量った(C(g))。そして、下記の計算式より可塑剤吸収性(%)を求めた。可塑剤吸収性が高いほど加工が容易で、主にシートへの加工時にブツ等の外観に生じる欠陥を生じにくい。
可塑剤吸収性(%)=100×[{(C−A)/(B−A)}−1]
(3)脱モノマー性(残留モノマー割合)
塩化ビニルの懸濁重合における重合反応物を取り出した後、75℃にて乾燥を1時間、及び3時間行い、それぞれの時点での残留モノマー量をヘッドスペースガスクロマトグラフィーにて測定し、(3時間の時点の残留モノマー量/1時間の時点の残留モノマー量)×100で残留モノマー割合を求めた。この値が小さいほど乾燥開始から1時間の時点から3時間の時点、すなわち2時間のうちに塩化ビニル樹脂粒子に残存するモノマーが乾燥によって抜けた割合が多いことを意味し、この値が残存するモノマーの抜けの良さ、すなわち脱モノマー性を表す指標となる。
(4)フィッシュアイの測定
得られた塩化ビニル樹脂粒子100部、DOP(ジオクチルフタレート)35部、三塩基性硫酸鉛5部及びステアリン酸亜鉛1部を150℃で7分間ロール練り機を用いて混合して0.1mm厚のシートを作製し、該シートの100mm×100mm当たりのフィッシュアイの数を測定した。
[実施例2、3、5、6及び7]
PVA(A1)に代えてPVA(A2)及びPVA(A3)をそれぞれ使用し、PVA(A)の使用量が表3に記載の量になるように上記調製例2〜4で得られた懸濁重合用分散剤水性溶液の仕込み量を変えたこと、並びにPVA(B)の種類及び使用量を表3に記載のものに変更したこと以外は実施例1と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂粒子を得た。塩化ビニル樹脂粒子を実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
[実施例4]
PVA(B)の種類及び使用量を表3に記載のものに変更したこと以外は実施例1と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂粒子を得た。塩化ビニル樹脂粒子を実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
[比較例1〜11]
PVA(A1)に代えてPVA(I)〜PVA(XI)をそれぞれ使用し、PVA(I)〜PVA(XI)の使用量が表3に記載の量になるように上記調製例5〜15のいずれかで得られた懸濁重合用分散剤水性溶液の仕込み量を変えたこと、並びにPVA(B)の種類及び使用量を表3に記載のものに変更したこと以外は実施例1と同様にして、塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂粒子を得た。塩化ビニル樹脂粒子を実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
Figure 0006931361
上記実施例において示されているように、けん化度が45モル%以上60モル%未満であり、残存ビニルエステル基のブロックキャラクターが0.60以下であるビニルアルコール系重合体(A)を含むビニル化合物の懸濁重合用分散剤水性溶液であって、該分散剤水性溶液の粘度比が式 1.1≦(η40wt%/η35wt%)<1.6(式中、η40wt%及びη35wt%は、上記と同様の意味を有する。)を満たし、かつ、該分散剤水性溶液の粘度η35wt%が1000mPa・s以上4000mPa・s以下である、ビニル化合物の懸濁重合用分散剤水性溶液を用いた場合、重合安定性が高いため、ビニルアルコール系重合体(A)の使用量が少量(例えば400ppm以下、300ppm以下、200ppm以下)であっても、粗大粒子の形成が少なく、残存するモノマー成分の除去が容易であり、可塑剤吸収性に優れたビニル系樹脂粒子を得ることが可能であり、特にフィッシュアイの少ないビニル系樹脂粒子を得ることができる。したがって、本発明の懸濁重合用分散剤水性溶液の工業的な有用性は極めて高い。
本発明は、懸濁重合法を用いた種々のビニル系樹脂(特に塩化ビニル系樹脂)の製造に有用である。

Claims (12)

  1. ビニルアルコール系重合体(A)を含むビニル化合物の懸濁重合用分散剤水性溶液であって、
    前記ビニルアルコール系重合体(A)のけん化度が45モル%以上60モル%未満であり、前記ビニルアルコール系重合体(A)の残存ビニルエステル基のブロックキャラクターが0.60以下であり、
    前記ビニルアルコール系重合体(A)が未変性ビニルアルコール系重合体であり、
    前記分散剤水性溶液の粘度比が下記式
    1.1≦(η40wt%/η35wt%)<1.6
    (式中、η40wt%は前記ビニルアルコール系重合体(A)の40質量%濃度の分散剤水性溶液の粘度を表し、η35wt%は前記ビニルアルコール系重合体(A)の35質量%濃度の分散剤水性溶液の粘度を表す。)
    を満たし、かつ、前記分散剤水性溶液の粘度が1000mPa・s以上4000mPa・s以下である、懸濁重合用分散剤水性溶液。
  2. 前記ビニルアルコール系重合体(A)の粘度平均重合度が100以上600未満である、請求項1に記載の懸濁重合用分散剤水性溶液。
  3. さらに、前記分散剤水性溶液が、下記一般式(I)
    Figure 0006931361
    (式中、R1、R2及びR5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を表し、R4は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基を表し、nは1〜6の整数を表す。)
    で表される化合物(C)を含有する、請求項1又は2に記載の懸濁重合用分散剤水性溶液。
  4. 前記化合物(C)の含有量が、前記分散剤水性溶液に対して5質量%以上20質量%以下である、請求項に記載の懸濁重合用分散剤水性溶液。
  5. 前記一般式(I)で表される化合物(C)が、R1及びR2がそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基であり、R4が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、R5が水素原子であり、nが1であるアルコールである、請求項又はに記載の懸濁重合用分散剤水性溶液。
  6. 前記一般式(I)で表される化合物(C)が、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール及び2−ブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の懸濁重合用分散剤水性溶液。
  7. 前記一般式(I)で表される化合物(C)が、R1及びR2がそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、R3が水素原子又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基であり、R4が水素原子又はヒドロキシ基であり、R5が水素原子であり、nは1〜6の整数である(ただし、R3が水素原子であり、かつR4が水素原子であるものを除く)グリコール化合物である、請求項又はに記載の懸濁重合用分散剤水性溶液。
  8. 前記一般式(I)で表される化合物(C)が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、及び3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の懸濁重合用分散剤水性溶液。
  9. 前記一般式(I)で表される化合物(C)が、R1及びR2がそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、R3が水素原子又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基であり、R4が水素原子、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基であり、R5が炭素数1〜6のアルキル基であり、nは1〜6の整数である(ただし、R3が水素原子であり、かつR4が水素原子であるものを除く)グリコールエーテル化合物である、請求項又はに記載の懸濁重合用分散剤水性溶液。
  10. 前記一般式(I)で表される化合物(C)が3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールである、請求項に記載の懸濁重合用分散剤水性溶液。
  11. 懸濁重合用分散剤の存在下で、ビニル化合物の懸濁重合を行う工程を含む、ビニル系樹脂の製造方法であって、前記懸濁重合用分散剤が、請求項1〜10のいずれかに記載の懸濁重合用分散剤水性溶液を含有するビニル系樹脂の製造方法。
  12. さらに、前記懸濁重合用分散剤がビニルアルコール系重合体(B)を含有し、前記ビニルアルコール系重合体(B)のけん化度が65モル%以上95モル%以下であり、粘度平均重合度が600以上5000以下である、請求項11に記載のビニル系樹脂の製造方法。
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