JP5001174B2 - ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定助剤 - Google Patents
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Description
この他に、ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定助剤には、[5]ビニル系化合物の懸濁重合により、可塑剤の吸収速度が大きくて加工が容易であり、残存するビニル系化合物などのモノマー成分の除去が容易であり、フィッシュアイなどの生成を防止するために、粒子径ができるだけ均一で多孔性のビニル系重合体粒子が得られること、が要求される性能として求められている。
特許文献2(特開平10−101737号公報)には、平均重合度200〜600、けん化度が20〜55モル%の部分けん化ポリビニルアルコールとHLB10〜18の非イオン系界面活性剤を用いて塩化ビニルを懸濁重合する方法が開示されている。
特許文献3(特開平4−154810号公報)には、側鎖にアミノ基、アンモニウム基、カルボキシル基、スルホン基等を有するビニルエステル系重合体を分散質とする水性分散液を用いることが記載されている。
特許文献4(特開平10−259213号公報)には、オキシアルキレン基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、アンモニウム基を含有する部分けん化ビニルエステル系樹脂水溶液を用いることが記載されている。
特許文献5(特開昭53−6392号公報)には、けん化度40〜55モル%およびイソプロパノールと水との混合溶剤(イソプロパノール:水=1:1)中での4%粘度が5〜15mPas(平均重合度74〜80に相当する)である部分けん化ポリビニルアセテートと非イオン系乳化剤を用いて塩化ビニルを懸濁重合する方法が開示されている。
特許文献6(特開昭56−167745号公報)には、けん化度65モル%以上、平均重合度100〜3000のポリビニルアルコールを分散安定剤とし、けん化度25〜65モル%、平均重合度1000以下のポリビニルエステルを分散質とする水性分散液が開示されており、該水性分散液は、塩化ビニルの懸濁重合用分散安定助剤に使用できる旨の記載がある。
特許文献7(WO91/15518号公報)には、けん化度60モル%以下、平均重合度50〜3000の末端イオン変性ポリビニルエステル系重合体を分散質とする水性分散液を、塩化ビニル等のビニル系単量体の懸濁重合用分散安定助剤に用いることが開示されている。
特許文献8(特開昭52−110797号公報)には、けん化度30〜65モル%、重合度60〜6000の部分けん化ポリビニルアルコールからなる塩化ビニルの懸濁重合用分散安定助剤が開示されている。
特許文献9(特許第3340492号公報)には、けん化度60モル%以下および平均重合度4000以上であり、かつ平均粒子径が100μm以下のポリビニルエステル系重合体を分散質とする水性分散液からなるビニル系化合物の分散安定助剤が開示されている。
特許文献10(特開平7−62006号公報)には、けん化度が70〜85モル%、平均重合度が1500〜3000の部分けん化ポリビニルアルコールを分散安定剤とし、けん化度が20〜55モル%、平均重合度が100〜600の部分けん化ポリビニルアルコール分散安定助剤とし、該分散安定助剤を水と有機溶剤との混合溶液又は有機溶剤に溶解させた後、反応を開始する塩化ビニル系重合体の製造方法が開示されている。
しかしながら、これらの特許文献1〜特許文献10に記載された分散安定助剤には、前記した[1]〜[5]の要求に対して満足な性能が得られないという欠点があった。
このようなグリコールエーテル化合物として、例えば、エチレングルコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングルコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。さらにエチレングリコールの縮合体であるジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコ−ルモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジエチルエーテル、ヘキサエチレングリコールジプロピルエーテル等が挙げられる。さらにプロピレングリコールの縮合体であるジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、ヘキサプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。さらに3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等が挙げられる。これらの中でも、水性溶液の長期保存安定性の点で、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールが特に好ましい。
このようなグリコール化合物として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられるが、これらの中でも、水性溶液の長期保存安定性の点で、3−メチル−1,5−ペンタンジオールが特に好ましい。
一般式(I)で表される化合物(B)は単独で用いてもよく、2種類以上を組合せて用いることもできる。
(部分けん化PVA系重合体の製造)
撹拌機、窒素導入口、添加剤導入口および開始剤添加口を備えた10L反応槽に酢酸ビニル4410g、メタノール1890gを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。連鎖移動剤として3−メルカプトプロピオン酸(以下、3−MPAと記載する)をメタノールに溶解した濃度50%溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の反応槽内温を60℃に調整し、3−MPA2.0gを添加した後に、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2gを加えて重合を開始した。重合中は重合温度を60℃に維持し、3−MPAの50%メタノール溶液を26mL/hrで連続添加した。4時間後に重合率が58%に達したところで冷却して重合を停止した。次いで、減圧下にて未反応の酢酸ビニルを除去し、変性ポリ酢酸ビニル(変性PVAc)のメタノール溶液を得た。30%に調整した変性PVAc溶液にアルカリモル比(NaOHのモル数/変性PVAc中のビニルエステル単位のモル数)が0.002となるようにNaOHメタノール溶液(10%濃度)を添加してけん化した。以上の操作により重合度140、けん化度40モル%で、末端にイオン性基としてカルボキシル基を含有するポリビニルアルコール系重合体(部分けん化PVA系重合体)を得た。
なお、部分けん化PVA系重合体の重合度の測定および末端におけるカルボキシル基の有無の確認は次のようにして行なった。先に得られた、未反応の酢酸ビニルを除去したけん化反応に付する前の変性PVAcのメタノール溶液をn−ヘキサンに投入して変性PVAcを沈殿させ、回収した変性PVAcをアセトンで溶解する再沈精製を3回行った後、60℃で減圧乾燥して変性PVAcの精製物を得た。この変性PVAc精製物のメタノール溶液をアルカリモル比0.2でけん化した後、メタノールによるソックスレー抽出を3日間実施し、次いで乾燥して変性PVAの精製物を得た。該変性PVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ140であった。この変性PVAを重水に溶解し、核磁気共鳴分析を行ったところ、分子内の片末端にカルボキシル基(COONa基)が存在していることが確認された。
(塩化ビニルの懸濁重合)
ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製PVA−420H:重合度2000、けん化度80モル%)を塩化ビニルに対して1000ppmに相当する量で脱イオン水に溶解させ、分散安定剤を調製した。部分けん化PVA系重合体(重合度140、けん化度40モル%、末端がCOONa基で変性)およびグリコールエーテル化合物を、表1に示す割合で脱イオン水に溶解させて水性溶液を調製し、これを分散安定助剤として用いた。水性溶液の調製にあたり、該部分けん化PVA系重合体を塩化ビニル単量体に対して400ppmに相当する量で用いた。このようにして得られた分散安定剤および分散安定助剤を、スケール付着防止剤NOXOL WSW(CIRS社製)が固形分として0.3g/m2になるように塗布されたグラスライニング製オートクレーブに仕込んだ。次いで、グラスライニング製オートクレーブにジイソプロピルパーオキシジカーボネートの70%トルエン溶液0.04部を仕込み、オートクレーブ内の圧力が0.0067MPaとなるまで脱気して酸素を除いた後、塩化ビニル30部を仕込み、オートクレーブ内の内容物を57℃に昇温して撹拌下に重合を開始した。重合開始時におけるオートクレーブ内の圧力は0.83MPaであった。重合を開始してから7時間経過後のオートクレーブ内の圧力が0.44MPaとなった時点で重合を停止し、未反応の塩化ビニルを除去した後、重合反応物を取り出し、65℃にて一晩乾燥を行い、塩化ビニル系重合体粒子を得た。
(1)水性溶液
調製直後の外観(25℃)
○:透明である。
△:白濁した。
×:分離した。
調製して2週間後の外観(40℃にて保管)
◎:透明である
○:半透明である
△:白濁した
×:分離した
(2)塩化ビニル系重合体粒子の平均粒子径
タイラーメッシュ基準の金網を使用して乾式篩分析により粒度分布を測定し、平均粒子径を求めた。
(3)塩化ビニル系重合体粒子の可塑剤吸収量
ASTM−D3367−75に記載された方法にしたがって、23℃におけるジオクチルフタレートの吸収量を測定した。
実施例1における評価結果を表1に示す。
表1に示す内容のポリビニルアルコール、グリコールエーテル化合物またはグリコール化合物を用い、それらと脱イオン水を表1に示す量で用いた以外は実施例1と同様にして塩化ビニルの重合を行い、塩化ビニル系重合体粒子を得た。実施例2〜15および比較例1〜8における評価結果を表1に示す。
表2に示す内容のポリビニルアルコールと、グリコールエーテル化合物に代えて表2に示す非イオン型親水性界面活性剤を用い、さらに非イオン型親水性界面活性剤と脱イオン水を表2に示す量で用いた以外は実施例1と同様にして塩化ビニルの重合を行い、塩化ビニル系重合体粒子を得た。実施例16〜24および比較例9〜14における評価結果を表2に示す。なお、塩化ビニルの重合に用いた水性溶液の状態は、以下の基準にしたがって評価した。
(1)水性溶液
調製直後の外観(25℃)
◎:透明である。
○:青白い透明である。
△:白濁した。
×:分離した。
調製直後の泡立ちの状態
○:泡立ちが認められない。
△:泡立ちが認められたが、1日経過後消失した。.
×:激しい泡立ちが認められ、2日後まで残った。
調製して2週間後の外観(40℃にて保管)
◎:透明である
○:半透明である
△:白濁した
×:分離した
Claims (9)
- 平均けん化度が70モル%未満、平均重合度が650以下の部分けん化ポリビニルアルコール系重合体(A)と、下記一般式(I)で表される化合物(B)または非イオン型親水性界面活性剤(C)とを含有する水性溶液からなり、
当該化合物(B)が、一般式(I)においてR 1 が水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、R 2 が水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、R 3 が水素原子または炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基であり、R 4 が水素原子、水酸基または炭素数1〜6のアルコキシル基であり、R 5 が炭素数1〜6のアルキル基であるグリコールエーテル化合物、または一般式(I)においてR 1 が水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、R 2 が水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、R 3 が水素原子または炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基であり、R 4 が水素原子または水酸基であり、R 5 が水素原子であるグリコール化合物であり、
当該非イオン型親水性界面活性剤(C)がアセチレングリコール類のアルキレンオキサイド付加物であるビニル系化合物の懸濁重合用分散安定助剤。
- 部分けん化ポリビニルアルコール系重合体(A)が、末端にカルボキシル基またはその塩を有する部分けん化ポリビニルアルコール系重合体(A)である請求項1に記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散安定助剤。
- 化合物(B)の含有量が0.01〜40重量%である請求項1または2に記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散安定助剤。
- 非イオン型親水性界面活性剤(C)の含有量が0.1〜20重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散安定助剤。
- 化合物(B)が、一般式(I)においてnが1であるグリコールエーテル化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散安定助剤。
- グリコールエーテル化合物が3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールである請求項1〜4のいずれか1項に記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散安定助剤。
- 化合物(B)が、一般式(I)においてnが1であるグリコール化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散安定助剤。
- グリコール化合物が3−メチル−1,5−ペンタンジオールである請求項1〜4のいずれか1項に記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散安定助剤。
- 非イオン型親水性界面活性剤(C)が、エチレンオキサイド付加量が50重量%以上であるアセチレングリコール系界面活性剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散安定助剤。
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