JP4223545B2 - ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤およびビニル化合物重合体の製造方法 - Google Patents

ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤およびビニル化合物重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤、より具体的には、ビニル化合物を懸濁重合してビニル化合物重合体を製造する際に重合系に加えられる分散安定剤、に関する。また本発明は、当該分散安定剤を用いたビニル化合物重合体の製造方法に関する。
塩化ビニル樹脂などのビニル化合物重合体(以下、単に「ビニル重合体」ともいう)を工業的に製造する方法として、塩化ビニル単量体などのビニル化合物を懸濁重合する方法が広く実施されている。懸濁重合では、水性媒体中に分散させたビニル化合物を油溶性の触媒を用いて重合させることにより、粒子状のビニル重合体が得られるが、その際、得られる重合体の品質向上を目的として、分散安定剤が媒体に添加される。ビニル化合物を懸濁重合して得られるビニル重合体の品質を支配する因子には、重合率、水−化合物比(水−単量体比)、重合温度、油溶性触媒の種類および量、重合容器の型式、重合容器における内容物の攪拌速度、ならびに分散安定剤の種類などがある。なかでも分散安定剤の種類が、ビニル重合体の品質に大きな影響を与える。
ビニル化合物の懸濁重合に用いられる分散安定剤には、(1)粗大粒子の形成量が少なく、かつ得られるビニル重合体の粒径分布がシャープであること、ならびに(2)重合時に重合容器に付着するスケールの量が少ないこと、を実現する性能が求められる。従来、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、および部分けん化ポリビニルアルコールが、単独でまたは組み合わされて、分散安定剤に使用されている。しかし、これらの分散安定剤では、上記(1)および(2)の実現が困難である。
高分子刊行会1984年発行「ポバール」369〜373ページおよび411〜415ページには、塩化ビニルの懸濁重合に用いる分散安定剤として、重合度が2000、けん化度が80モル%のポリビニルアルコール(PVA)ならびに重合度が700〜800、けん化度が70モル%のPVAが開示されている。しかし、この分散安定剤では、上記(1)、(2)を十分に実現できない。
特公平5−88251号公報には、平均重合度が500以上、重量平均重合度Pwと数平均重合度Pnとの比(Pw/Pn)が3.0以下であり、カルボニル基とこれに隣接するビニレン基とを含む構造[−CO−(CH=CH−)2]を有し、0.1%水溶液の波長280nmおよび320nmでの吸光度が各々0.3以上および0.15以上であり、かつ波長280nmでの吸光度(a)に対する波長320nmでの吸光度(b)の比(b)/(a)が0.30以上のPVAからなる分散安定剤が開示されている。
特開平5−105702号公報には、けん化度が75〜85モル%、0.1重量%水溶液の波長280nmでの吸光度が0.1以上、カルボキシル基の含有量が0.01〜0.15モル%、かつ0.1重量%水溶液の曇点が50℃以上のPVAからなる分散安定剤が開示されている。
特開平8−208724号公報には、分子内に上記構造[−CO−(CH=CH−)2]を有し、1重量%水溶液の波長280nmでの吸光度が2.5以上、平均重合度が500以上、けん化度が60〜90モル%、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比(Mw/Mn)が2.5以下、けん化度に関するブロックキャラクターが0.45以下、かつメタノール可溶分が10重量%以下のPVAからなる懸濁重合用分散剤が開示されている。
しかし、特公平5−88251号公報、特開平5−105702号公報および特開平8−208724公報に開示の分散安定剤では、上記(1)、(2)を十分に実現できない。
本発明は、ビニル化合物の懸濁重合に用いられるPVA系分散安定剤であって、当該安定剤の使用により、従来よりも粗大粒子の形成量が少なく、得られるビニル重合体の粒径分布がシャープであり、重合容器に付着するスケール量が少ない分散安定剤の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ビニル化合物の懸濁重合に対して大きな影響を与えると考えられる上記構造[−CO−(CH=CH−)2]がPVAの主鎖における一方の末端にのみ存在する(特開平8−208724号公報の段落番号[0010]を参照)ことにより、上記各公報に開示の分散安定剤において上記(1)、(2)が十分に実現できないこと、ならびに特定の構成を有する一酸化炭素−ビニルアルコール共重合体が分散安定剤として優れた性能を示すことを見出し、本発明を完成させた。
本発明のビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤(以下、単に「分散安定剤」ともいう)は、一酸化炭素に基づく単位(CO単位)とビニルアルコール単位とを含む一酸化炭素−ビニルアルコール共重合体からなり、前記共重合体におけるCO単位の含有量が0.01〜8モル%、粘度平均重合度が200〜3500、けん化度が60〜90モル%であり、前記共重合体は、主鎖における末端以外にエノン構造を有する。
本発明のビニル化合物重合体の製造方法は、懸濁重合によるビニル化合物重合体の製造方法であって、前記重合に用いる分散安定剤が、一酸化炭素に基づく単位(CO単位)とビニルアルコール単位とを含み、CO単位の含有量が0.01〜8モル%、粘度平均重合度が200〜3500、けん化度が60〜90モル%であり、主鎖における末端以外にエノン構造を有する一酸化炭素−ビニルアルコール共重合体である。
本発明の分散安定剤は、CO単位とビニルアルコール単位とを含む一酸化炭素−ビニルアルコール共重合体(CO変性PVA)からなるが、CO変性PVAの主鎖にはCO単位がランダムに存在し、CO単位の一部は、隣接する基とともに構造[−CO−CH=CH−]を形成している(本明細書では、この構造をエノン構造と呼ぶ)。本発明の分散安定剤を構成するCO変性PVAのCO単位含有量(CO変性量)は0.01モル%以上であり、このようなPVAの主鎖には、その末端以外の任意の場所にエノン構造が存在する(末端はエノン構造であってもなくてもよい)。また、本発明の分散安定剤では、CO変性PVAにおけるCO変性量の上限、粘度平均重合度Pηおよびけん化度を、それぞれ8モル%、200〜2500、および60〜90モル%としている。即ち、本発明の分散安定剤は、主鎖における任意の場所にエノン構造を有するともに、重合度などが特定の範囲にあるCO変性PVAからなり、このような分散安定剤を用いてビニル化合物の懸濁重合を行うことにより、従来に比べて、粗大粒子の形成量を少なく、得られるビニル重合体の粒径分布をシャープに、重合容器に付着するスケール量を少なくできるという優れた効果が得られる。このような効果を実現できる本発明の分散安定剤は、工業的価値が極めて高い。
[分散安定剤]
本発明の分散安定剤を構成するCO変性PVAのCO変性量は0.01〜8モル%であり、0.1〜5モル%が好ましく、0.2〜3モル%がより好ましく、その下限は0.5モル%以上が特に好ましい。CO変性量が0.01モル%未満ではCO変性に基づく性能が発現せず、ビニル化合物の懸濁重合において、粗大粒子が多く形成され、得られるビニル重合体の粒径分布がブロードとなり、多くのスケールが重合容器に付着する。CO変性量が8モル%を超えると、CO変性PVAの水溶性が低下し、分散安定剤としての取扱性が低下する。また、この場合、粗大粒子の形成量および重合容器へのスケールの付着量を低減させる効果が十分に得られない。本発明の分散安定剤を構成するCO変性PVAは、背景技術に例示した従来のカルボニル基含有PVAに比べて、カルボニル基の含有量が大きい。
CO変性PVAのCO変性量は、当該PVAの前駆体である一酸化炭素−ビニルエステル共重合体に対するプロトンNMR測定により求めることができる。具体的には、以下のように求めればよい:n−ヘキサン/アセトン混合液により、一酸化炭素−ビニルエステル共重合体の再沈精製を3回以上十分に行った後、50℃の減圧下で2日間乾燥し、分析用の共重合体を作製する。次に、作製した共重合体をCDCl3に溶解させ、室温におけるプロトンNMRを測定する(実施例ではJEOL製GX−500を用いた)。得られたNMRスペクトルから、ビニルエステルの主鎖のメチン(CH)に由来するピークα(化学シフトが4.7〜5.2ppm)と、カルボニル基に隣接するメチレン(CH2)に由来するピークβ(化学シフトが2.2〜3.0ppm)とを判別し、以下の式(II)によりCO変性量を評価できる。なお、一酸化炭素−ビニルエステル共重合体は、通常、いわゆる「head to tail 構造」を有しており、基本的にCO単位に隣接してメチレンが存在する。例外的にCO単位に隣接してメチンのみが存在する場合があるが、その程度は、CO変性量の評価にあたって無視できる程度である。
CO変性量(モル%)={(βのプロトン数/2)/(αのプロトン数+βのプロトン数/2)}×100(%) ・・・(II)
本発明の分散安定剤を構成するCO変性PVAの粘度平均重合度Pηは200〜3500であり、500〜3000が好ましい。重合度Pηが200未満では、ビニル化合物の懸濁重合の安定性が低下する。重合度Pηが3500を超えると、得られる粒子の粒径分布がブロードとなることがある。また、重合度Pηが200〜3500の範囲を外れると、ビニル化合物の懸濁重合時に、粗大粒子の形成量および重合容器へのスケールの付着量を低減させる効果が十分に得られない。
CO変性PVAの粘度平均重合度Pηは、JIS−K6726に準じて測定される。具体的には、CO変性PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η]から、以下の式(III)により評価できる。
P=([η]×103/8.29)(1/0.62) ・・・(III)
本発明の分散安定剤を構成するCO変性PVAのけん化度は60〜90モル%であり、65〜88モル%が好ましく、68〜85モル%がより好ましい。けん化度が60モル%未満では、CO変性PVAの水溶性が低下し、分散安定剤としての取り扱い性が低下する。けん化度が90モル%を超えると、得られるビニルポリマーの可塑剤吸収性が低下することがある。また、けん化度が60〜90モル%の範囲を外れると、ビニル化合物の懸濁重合時に、粗大粒子の形成量および重合容器へのスケールの付着量を低減させる効果が十分に得られない。
本明細書におけるCO変性PVAのけん化度は、JIS−K6726に記載されているけん化度の測定方法により測定した値とする。なお、CO変性PVAに対してJIS−K6726に記載の方法を適用した場合、エノン構造を含む単位およびビニルアルコール単位の含有量の合計が導きだされるが、本明細書では、この値を「けん化度」とする。
本発明の分散安定剤を構成するCO変性PVAの粘度平均重合度PηおよびCO単位の含有量(CO変性量)Y(モル%)は、以下の式(I)に示す関係を満たすことが好ましい。
2≦0.01×Pη×Y≦50 (I)
重合度PηとCO変性量Yとの積に0.01を乗じた値が2以上50以下の場合、ビニル化合物の懸濁重合時に重合容器へ付着するスケールの量は、さらに少なくなる。
本発明の分散安定剤を構成するCO変性PVAは、本発明の効果が得られる範囲において、CO単位およびビニルアルコール単位、ならびにビニルアルコール単位の前駆体であるビニルエステル単位以外の構成単位を含んでいてもよい。このような構成単位として、例えば、後述する単量体(A)に由来する構成単位がある。
本発明の分散安定剤は、本発明の効果が得られる範囲において、上述したCO変性PVA以外の物質を含むことができる。
本発明の分散安定剤の製造方法は特に限定されないが、例えば、以下に示す分散安定剤の製造方法により製造できる。
[分散安定剤の製造方法]
本発明の分散安定剤は、例えば、ビニルエステル単位とCO単位とを含む一酸化炭素−ビニルエステル共重合体(CO変性PVEs)をけん化して製造できる。けん化によってビニルエステル単位がビニルアルコール単位に変化し、CO変性PVEsはCO変性PVAとなる。また、けん化時に、CO変性PVEsにおけるCO単位に隣接する構造が脱カルボン酸反応および/または脱水反応により変化してエノン構造が形成される。なお、ビニルエステル単位が酢酸ビニル単位である場合、脱カルボン酸反応は、脱酢酸反応となる。
なお、けん化により形成されたエノン構造の一部は、続いて実施される乾燥工程などにおいて、エノン構造に隣接するビニルアルコール単位がさらに脱水することで、ジエン構造またはトリエン構造などに変化することがある。
CO変性PVEsのけん化には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシドなどの塩基性触媒、あるいはp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いた、加アルコール分解反応または加水分解反応に基づく公知のけん化方法を適用できる。この反応に使用しうる溶媒は、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類:ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素などであり、これらの溶媒を単独で、または2種以上を組み合わせて、用いることができる。なかでも、メタノールまたはメタノール/酢酸メチル混合溶液を溶媒とし、水酸化ナトリウムを触媒としてCO変性PVEsをけん化することが簡便であり好ましい。
CO変性PVEsの形成方法は特に限定されないが、一酸化炭素を含む雰囲気下にて無溶媒で、あるいは一酸化炭素を含む雰囲気下にてアルコール系溶媒中において、一酸化炭素とビニルエステル単量体とを共重合させる方法が好ましい。この方法では、PVEsの主鎖内にCO単位を効率的に導入できる。
共重合は、COの分圧にして0.01〜8MPaの圧力下で行うことが好ましい。この場合、CO変性量が0.01〜8モル%の範囲にあるCO変性PVEsの形成が容易となる。共重合時のCOの分圧が過小であると、十分なCO変性量を有するCO変性PVEsを形成できず、当該分圧が過大であると、CO変性PVEsのCO変性量が過大となる。
共重合は、CO雰囲気下で行うことが好ましい。この場合、PVEsの主鎖内にCO単位が効率的に導入される。
共重合を行う温度(共重合温度)は、0〜200℃が好ましく、30〜140℃がより好ましい。当該温度が0℃より低い場合、十分な重合速度が得られないことがある。当該温度が200℃より高い場合、溶媒へのCOの溶解量が低下して、望むCO変性量を有するCO変性PVEsが得られないことがある。
共重合温度の制御方法は特に限定されず、例えば、重合速度の制御により、重合により生成する熱と、重合容器表面からの放熱とのバランスをとる方法、あるいは適当な熱媒を用いた外部ジャケットにより制御する方法などがある。安全性の面からは、後者の方法が好ましい。
共重合の方法は、無溶媒で、またはアルコール系溶媒中において実施できる限り特に限定されず、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの任意の重合方法を用いることができる。特に、無溶媒の塊状重合法、およびアルコール系溶媒を用いた溶液重合法を好適に採用できる。重合度が高いCO変性PVEsを得たい場合は、乳化重合法を採用すればよい。
共重合の方式は特に限定されず、例えば、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合のいずれであってもよい。
アルコール系溶媒は特に限定されないが、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどを単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。
共重合に用いる重合開始剤は、重合方法に応じて、公知の開始剤(例えばアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤など)から選択すればよい。アゾ系開始剤は、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などである。過酸化物系開始剤は、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシデカネートなどのパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどである。これらの開始剤に、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを組み合わせて開始剤としてもよい。レドックス系開始剤は、例えば、上記過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤とを組み合わせた開始剤である。COとビニルエステル単量体との共重合を高温で行った場合に、ビニルエステル単量体の分解に起因するPVEsの着色が見られることがあるが、その場合、着色の防止を目的として、酒石酸のような酸化防止剤を1〜100ppm(ビニルエステル単量体に対して)程度、重合系に添加することはなんら差し支えない。
COと共重合させるビニルエステル単量体は特に限定されず、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどである。なかでも、酢酸ビニルが好ましい。
COとビニルエステル系単量体との共重合に際して、本発明の主旨を損なわない範囲で、他の単量体(A)を共重合してもよい。単量体(A)は、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド;N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどである。
COとビニルエステル単量体との共重合は、得られる共重合体の重合度を調節することなどを目的として、本発明の主旨を損なわない範囲で、連鎖移動剤の存在下で行ってもよい。連鎖移動剤は、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;2−ヒドロキシエタンチオールなどのメルカプタン類;トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類であり、なかでもアルデヒド類およびケトン類を好適に用いることができる。連鎖移動剤の添加量は、添加する連鎖移動剤の連鎖移動定数、ならびに目的とするCO変性PVEsの重合度に応じて決定すればよいが、一般に、ビニルエステル単量体に対して0.1〜10重量%程度が望ましい。
[ビニル化合物重合体の製造方法]
本発明のビニル化合物重合体の製造方法(本発明の製造方法)では、上記説明した本発明の分散安定剤を用いて、ビニル化合物を懸濁重合する。これにより、粗大粒子の形成および重合容器へのスケールの付着を抑制でき、得られるビニル重合体粒子の粒径分布をシャープにできる。
本発明の製造方法における具体的な工程は、分散安定剤として本発明の分散安定剤を用いる以外、公知の製造方法における具体的な工程と同様であればよい。
懸濁重合は水性媒体中で行われるが、水性媒体の温度は特に限定されず、20℃程度の冷水はもとより、90℃以上の温水を好適に使用できる。水性媒体は、水であってもよいし、各種の添加成分を含む水溶液、あるいは有機溶剤を含む水性溶液であってもよい。重合系への水性媒体の添加量は、重合系を十分に加熱できる程度であればよい。除熱効率を高めるために、リフラックスコンデンサーを備えた重合容器を用いてもよい。水性媒体に温水を用いるとともに、予め加熱したビニル化合物を重合容器に仕込む方法を好適に使用できる。
懸濁重合に用いる(重合系に添加する)本発明の分散安定剤の量は特に限定されず、通常、ビニル化合物100重量部に対して0.01〜5重量部であり、より好ましくは0.02〜2重量部、さらに好ましくは0.02〜1重量部、特に好ましくは0.02〜0.1重量部である。また、後述の実施例に示すように、ビニル化合物100重量部に対して0.1重量部未満とすることもでき、この量は、従来の分散安定剤と比べて著しく少ない。
本発明の分散安定剤は単独で使用してもよいし、ビニル化合物を懸濁重合する際に通常使用されている水溶性乳化剤を併用してもよい。水溶性乳化剤は、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性セルロースエステル;ポリビニルアルコール、ゼラチンなどの水溶性ポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリセリントリステアレート、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーなどの油溶性乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレート、ラウリン酸ナトリウムなどである。水溶性乳化剤の添加量は特に限定されず、ビニル化合物100重量部に対して0.01〜1.0重量部が好ましい。
本発明の製造方法では、必要に応じ、各種の添加剤を重合系に添加してもよい。添加剤は、例えば、アルデヒド、ハロゲン化炭化水素、メルカプタンなどからなる重合調節剤;フェノール化合物、イオウ化合物、N−オキシド化合物などからなる重合禁止剤である。pH調整剤、スケール防止剤、架橋剤などを添加してもよく、これらの添加剤を複数併用しても差し支えない。
本発明の製造方法では、ビニル化合物の懸濁重合に従来使用されている重合開始剤を用いることができる。
本発明の製造方法におけるビニル化合物の懸濁重合条件、例えば重合反応に用いられるビニル化合物、重合開始剤、分散安定剤、水性媒体および添加物などの仕込み順序および仕込み割合ならびに重合温度など、は、塩化ビニルなどのビニル化合物の懸濁重合に従来用いられている条件を適用できる。
本発明の分散安定剤を用いて懸濁重合できるビニル化合物は、例えば、塩化ビニル、ならびに塩化ビニルと共重合可能な単量体と、塩化ビニルとの混合物(塩化ビニルの含有率が50重量%以上)である。塩化ビニルと共重合可能な単量体は、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エステル;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン;無水マレイン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸;アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン、ビニルエーテルなどである。
また、本発明の分散安定剤を用いて、塩化ビニル以外の上記例示したビニル化合物を単独で、あるいは2種以上、懸濁重合することも可能である。
以下、実施例および比較例により、本発明をより詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。以下の実施例における「部」および「%」は、特に断りのない限り、重量基準である。
本実施例では、以下の製造例により得たCO変性PVA(ただし製造例17は未変性のPVA)を分散安定剤に用いて塩化ビニル単量体を懸濁重合し、当該重合により形成された塩化ビニル重合体の粒子(塩化ビニル粒子)の粒径分布、ならびに懸濁重合時に重合容器に付着したスケール量を評価した。
(1)塩化ビニル粒子の粒径分布の評価
懸濁重合により形成した塩化ビニル粒子をJIS標準ふるいにより分別し、分別した全粒子に対する、60メッシュを通らない粒子(60メッシュオン)、60メッシュを通るが100メッシュを通らない粒子(60メッシュパス−100メッシュオン)、100メッシュを通るが150メッシュを通らない粒子(100メッシュパス−150メッシュオン)、150メッシュを通るが200メッシュを通らない粒子(150メッシュパス−200メッシュオン)、および200メッシュを通る粒子の各々の割合(重量%)を求めた。60メッシュを通らない粒子は、粗大粒子であるといえる。
(2)スケール付着量の評価
懸濁重合の終了後、リフラックスコンデンサー内に付着したスケールを採取して、その重量を測定した。懸濁重合した塩化ビニル単量体の重量に対する、測定したスケールの重量の比率(重量%)を求め、以下の基準に従って判定した。
A:塩化ビニル単量体の重量に対して0.1重量%未満
B:塩化ビニル単量体の重量に対して0.1〜0.5重量%
C:塩化ビニル単量体の重量に対して0.5〜1.0重量%
D:塩化ビニル単量体の重量に対して1.0重量%以上
[CO変性PVAの製造]
(製造例1:PVA1の製造)
撹拌機、窒素導入口、CO導入口および重合開始剤の添加口を備えた内容積1Lの加圧反応槽に、酢酸ビニル単量体275g、メタノール225gおよび酒石酸10mgを仕込み、内容物を60℃に昇温した後、30分間の窒素バブリングにより反応系内を窒素置換した。次に、30分間のCOバブリングにより反応系内をCO置換した後、反応槽内の圧力が1.0MPaとなるようにCOを導入し、次いで、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.25gを槽内に圧入して、酢酸ビニル単量体とCOとの共重合を開始させた。重合中は、COの加圧により反応槽内の圧力を1.0MPaに保つとともに、重合温度を60℃に維持した。重合開始から2時間が経過し、重合率が35%となったところで反応系にソルビン酸30mgを添加し、冷却して重合を停止させた。反応槽に設けられた排ガスラインから槽内のCOを排出した後、窒素ガスのバブリングにより、反応系内のCOを完全に脱気した。次に、反応槽を減圧して、反応系内に残留した未反応の酢酸ビニル単量体を除去し、CO変性ポリ酢酸ビニル(CO変性PVAc)のメタノール溶液を得た。
次に、得られた溶液にメタノールを加えて濃度を調整し、調整後の溶液192.74g(CO変性PVAcが40g含まれる)に7.26gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムのメタノール溶液:濃度5%)を加えて、CO変性PVAcのけん化を行った。なお、けん化溶液におけるCO変性PVAcの濃度は20%、CO変性PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比は0.0195とした。
アルカリ溶液を添加してから1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル200gを加えて、残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬により中和の完了を確認した後、濾別して得た白色固体をメタノール1000gに投入し、50℃で1時間放置して洗浄した。次に、濾別および当該濾別により得た白色固体をメタノールに投入する洗浄操作を3回繰り返した後、遠心分離により得られた白色固体を、65℃に保持した乾燥機中に1日間放置して乾燥させ、CO変性PVA(PVA1)を得た。得られたPVA1の粘度平均重合度Pη、けん化度およびCO変性量を上述の方法により評価したところ(これらの評価方法は、以下の製造例においても同様とした)、重合度が860、けん化度が70.2モル%、CO変性量が0.9モル%であった。
(製造例2〜17:PVA2〜17の製造)
酢酸ビニル単量体およびメタノールの仕込み量、重合条件(重合時におけるCOの圧力など)、ならびに、けん化条件(けん化時におけるCO変性PVAcの濃度、酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比など)を、以下の表1に示すように変更した以外は製造例1と同様にして、各種のCO変性PVA(PVA2〜16)および未変性PVA(PVA17)を製造した。製造したPVAに対して、その重合度、けん化度、およびCO変性量を評価した結果を以下の表1に示す。
(製造例18:PVA18の製造)
特公平5−88251号公報の実施例1に従い、カルボニル基を分子内に有するPVAを製造した。5Lのセパラブルフラスコに、酢酸ビニル単量体1200g、メタノール745gおよびアセトアルデヒド28gを仕込み、系内を十分に窒素置換した後、外温を65℃に昇温し、内温が60℃に達した時点で、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.25gを含むメタノール10gを加えた。次に、重合率が30%となったところでソルビン酸30mgを添加し、フラスコを冷却して重合を停止した。次に、フラスコ内を減圧して、未反応の酢酸ビニル単量体およびアセトアルデヒドを除去し、ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液を得た。次に、当該溶液の一部を採取し、その濃度を50%に調整した後にニーダーに仕込み、当該溶液の温度を35℃に保ちながらアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液)を添加して35℃で混練し、カルボニル基含有PVAを得た。次に、得られたPVAを165℃で2.5時間熱処理して、粘度平均重合度Pηが800、けん化度が72.0モル%の末端エノン変性PVA(PVA18)を得た。PVA18のCO変性量を評価したところ(測定したCO変性量は、PVA18におけるカルボニル基含有量に対応すると考えられる)、0モル%となった。これは、PVA18においてカルボニル基が主鎖の一方の末端にのみ存在するため、その含有量が非常に小さいことによると考えられる。PVA18の重合度およびけん化度を評価した結果を、CO変性量と併せて以下の表1に示す。
Figure 0004223545
(実施例1:塩化ビニル粒子の製造)
リフラックスコンデンサーを備えるグラスライニング製オートクレーブ(内容積5L)に、上記のように製造したPVA1の水溶液(脱イオン水にPVA1を0.018g溶解)40gと、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートのトルエン溶液(濃度70%)0.04gとを仕込み、オートクレーブ内を圧力0.0067MPaとなるまで脱気して酸素を除去した後、塩化ビニル単量体30gを仕込み、攪拌下、57℃に昇温して懸濁重合を行った(塩化ビニル単量体に対するPVA1の重量比は0.0006)。重合開始時、オートクレーブ内の圧力は0.83MPaであったが、重合開始7時間後には0.44MPaとなった。この時点で重合を停止させ、オートクレーブ内に残留する未反応の塩化ビニル単量体をパージした後、内容物を取り出して脱水乾燥し、塩化ビニル重合体の粒子を得た。塩化ビニル重合体の重合収率は85%であり、平均重合度は1050であった。得られた粒子の粒径分布、および重合容器へのスケール付着量の評価結果を以下の表2に示す。
(実施例2〜11および比較例1〜7)
PVAとしてPVA1の代わりにPVA2〜18を用いた以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル重合体の粒子を得た。得られた粒子の粒径分布、および重合容器へのスケール付着量の評価結果を以下の表2に示す。
(実施例12)
用いたPVA1の量を0.015gに変更した(塩化ビニル単量体に対するPVA1の重量比は0.0005となる)以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル重合体の粒子を得た。得られた粒子の粒径分布、および重合容器へのスケール付着量の評価結果を以下の表2に示す。
(実施例13)
用いたPVA1の量を0.012gに変更した(塩化ビニル単量体に対するPVA1の重量比は0.0004となる)以外は、実施例1と同様にして、塩化ビニル重合体の粒子を得た。得られた粒子の粒径分布、および重合容器へのスケール付着量の評価結果を以下の表2に示す。
Figure 0004223545
表1,2に示すように、CO変性量、粘度平均重合度およびけん化度が上述した範囲内にあるCO変性PVAを分散安定剤として用いることにより(実施例1〜13)、CO変性量、粘度平均重合度およびけん化度から選ばれる1つが上述した範囲内にないCO変性PVAを分散安定剤として用いた場合(比較例1〜5)、未変性のPVAを分散安定剤として用いた場合(比較例6)、ならびに末端のみにエノン構造を有する従来のカルボニル基含有PVAを分散安定剤として用いた場合(比較例7)に比べて、粗大粒子をほとんど含まない、粒径分布がシャープな塩化ビニル重合体が製造できるとともに、重合容器へのスケールの付着量を低減できた。特に式(I)を満たすCO変性PVAを分散安定剤として用いることで(実施例1〜9、12、13)、重合容器へのスケールの付着量を大きく低減できた。
また、実施例12および13に示すように、本発明の分散安定剤を著しく少ない量で用いて塩化ビニルを懸濁重合した場合においても、粗大粒子をほとんど含まない、粒径分布がシャープな塩化ビニル重合体を製造でき、さらにこの場合、重合容器へのスケールの付着がほとんど認められないことがわかった。
本発明の分散安定剤を用いてビニル化合物を懸濁重合することにより、従来よりも粗大粒子の形成量が少なく、粒径分布がシャープなビニル化合物重合体を製造できるとともに、重合容器に付着するスケールの量を大幅に低減できる。また、本発明の分散安定剤は、少量の添加により上記効果を実現できるため、その工業的価値が極めて高い。

Claims (3)

  1. 一酸化炭素に基づく単位(CO単位)とビニルアルコール単位とを含む、一酸化炭素−ビニルアルコール共重合体からなり、
    前記共重合体における、CO単位の含有量が0.01〜8モル%、粘度平均重合度が200〜3500、けん化度が60〜90モル%であり、
    前記共重合体は、主鎖における末端以外にエノン構造を有する、ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤。
  2. 前記共重合体の粘度平均重合度PηおよびCO単位の含有量Y(モル%)が、以下の式(I)に示す関係を満たす請求項1に記載のビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤。
    2≦0.01×Pη×Y≦50 (I)
  3. 懸濁重合によるビニル化合物重合体の製造方法であって、
    前記重合に用いる分散安定剤が、
    一酸化炭素に基づく単位(CO単位)とビニルアルコール単位とを含み、CO単位の含有量が0.01〜8モル%、粘度平均重合度が200〜3500、けん化度が60〜90モル%であり、主鎖における末端以外にエノン構造を有する一酸化炭素−ビニルアルコール共重合体である、ビニル化合物重合体の製造方法。
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