JP2003176306A - ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤 - Google Patents
ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤Info
- Publication number
- JP2003176306A JP2003176306A JP2002292640A JP2002292640A JP2003176306A JP 2003176306 A JP2003176306 A JP 2003176306A JP 2002292640 A JP2002292640 A JP 2002292640A JP 2002292640 A JP2002292640 A JP 2002292640A JP 2003176306 A JP2003176306 A JP 2003176306A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polymerization
- vinyl
- degree
- mol
- dispersion stabilizer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Polymerisation Methods In General (AREA)
Abstract
られるとともに、重合廃水の白濁化の問題を生じること
がないビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤を提供す
る。 【解決手段】 エチレン単位の含有量1〜20モル%、
けん化度90モル%以上および重合度100〜3000
の変性ビニルアルコール系重合体(A)、けん化度60
〜90モル%および重合度600〜4000のビニルア
ルコール系重合体(B)ならびにけん化度30〜60モ
ル%および重合度100〜600のビニルアルコール系
重合体(C)からなり、(A)成分/((B)成分+
(C)成分)が重量比で5/95〜40/60であるビ
ニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤。
Description
懸濁重合用分散安定剤に関する。さらに詳しくは重合安
定性に優れ、かさ比重の高い樹脂を製造することができ
るとともに、重合廃水の白濁化の問題を生じることがな
いビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤に関する。
の製造は、工業的には、水性媒体中で分散安定剤の存在
下で塩化ビニルなどのビニル系化合物を分散させ、油溶
性開始剤を用いて重合を行う懸濁重合により広く行われ
ている。一般に、ビニル系重合体の品質を支配する因子
としては、重合率、水−モノマー比、重合温度、開始剤
の種類および量、重合槽の型式、撹拌速度ならびに分散
安定剤の種類などが挙げられるが、この中でも分散安定
剤の種類による影響が非常に大きい。材料としての塩化
ビニル系樹脂は安価なことが必須条件とされる汎用樹脂
であるが、性能面でも種々の特性が要求され、加工時の
生産性の面ではとくに高吐出量を要求されることから、
かさ比重が高く、加工性に優れる樹脂が求められる。
る方法に関して、特許文献1(特開平8−259609
号公報)には、分散安定剤としてエチレン単位の含有量
が1〜24モル%およびけん化度が80モル%よりも大
きい変性ポリビニルアルコールを用いる方法が開示され
ている。また、特許文献2(特開平9−241308号
公報)および特許文献3(特開平10−251311号
公報)には、分散安定剤としてけん化度が85モル%以
上の部分けん化ポリ酢酸ビニルを少なくとも一種以上併
用する方法が開示されている。しかしながらこのような
方法では、得られる樹脂のかさ比重は高くなるものの、
重合廃水が白濁してその化学的酸素要求量(COD)が
高くなるという問題点がある。また、特許文献4(特開
2000−309602号公報)で提案されたビニルア
ルコール系重合体とアルカリ金属類の塩からなる分散安
定剤を用いる製造方法では、得られる樹脂のかさ比重お
よび粒子径分布のシャープさが必ずしも十分に満足でき
るレベルには達していない。
情の下で、ビニル系化合物の懸濁重合に際して重合安定
性に優れ、かさ比重の高い樹脂が得られるとともに、重
合廃水の白濁化の問題を生じることがないビニル系化合
物の懸濁重合用分散安定剤を提供することを目的とす
る。
重ねた結果、エチレン単位の含有量1〜20モル%、け
ん化度90モル%以上および重合度100〜3000の
変性ビニルアルコール系重合体(A)、けん化度60〜
90モル%および重合度600〜4000のビニルアル
コール系重合体(B)ならびにけん化度30〜60モル
%および重合度100〜600のビニルアルコール系重
合体(C)からなり、(A)成分/((B)成分+
(C)成分)が重量比で5/95〜40/60であるビ
ニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤が上記課題を達成
するのに有効であることを見出し、本発明を完成するに
到った。
本発明の懸濁重合用分散安定剤において、変性ビニルア
ルコール系重合体(A)のエチレン単位の含有量は1〜
20モル%であり、好ましくは1〜18モル%であり、
さらに好ましくは1〜15モル%であり、最も好ましく
は2〜10モル%である。1モル%未満の場合には重合
槽に付着するスケールが多くなり、20モル%を越える
場合には水溶性が低下して取り扱い性が悪化する。変性
ビニルアルコール系重合体(A)のけん化度は90モル
%以上であり、好ましくは91モル%以上であり、さら
に好ましくは92モル%以上である。けん化度が90モ
ル%未満の場合はかさ比重の高い樹脂を得ることができ
ない。変性ビニルアルコール系重合体(A)の重合度は
100〜3000であり、好ましくは150〜280
0、さらに好ましくは200〜2600であり、最も好
ましくは250〜2200である。重合度が3000を
越えると重合廃水が白濁化し、重合度が100未満の場
合にはかさ比重の高い樹脂を得ることができない。
(B)のけん化度は60〜90モル%であり、好ましく
は60〜88モル%であり、さらに好ましくは60〜8
5モル%である。けん化度が90モル%を越えると重合
安定性が悪くなる場合がある。ビニルアルコール系重合
体(B)の重合度は600〜4000であり、好ましく
は600〜3800、さらに好ましくは600〜350
0である。重合度が600未満の場合には重合安定性が
悪くなるおそれがある。
(C)のけん化度は30〜60モル%であり、好ましく
は32〜59モル%であり、さらに好ましくは35〜5
8モル%である。けん化度が60モル%を越えると得ら
れる樹脂の可塑剤吸収性が悪くなる場合があり、30モ
ル%未満では水溶性が低下して取り扱い性が悪くなる場
合がある。ビニルアルコール系重合体(C)の重合度は
100〜600であり、好ましくは120〜580、さ
らに好ましくは150〜550である。重合度が100
未満の場合にはかさ比重の高い樹脂を得ることができな
い。
ビニルアルコール系重合体(C)は、そのけん化度の差
が10モル%以上および/またはその重合度の差が20
0以上であることが好ましい。
変性ビニルアルコール系重合体(A)、ビニルアルコー
ル系重合体(B)およびビニルアルコール系重合体
(C)の使用比率は、(A)成分/((B)成分+
(C)成分)が重量比で5/95〜40/60である。
該重量比の下限については6/94以上がより好まし
く、7/93以上がさらに好ましい。また、上限につい
ては38/62以下が好ましく、35/65以下がさら
に好ましい。(A)成分/((B)成分+(C)成分)
が重量比で5/95未満の場合にはかさ比重の高い樹脂
を得ることができないおそれがあり、40/60を越え
る場合には得られる樹脂の可塑剤吸収性能が悪化するお
それがある。
ビニルアルコール系重合体(B)およびビニルアルコー
ル系重合体(C)の使用比率は特に制限されないが、通
常(B)成分/(C)成分が重量比で20/80〜90
/10であることが好適である。該重量比の下限につい
ては25/75以上がより好ましく、30/70以上が
さらに好ましい。また、上限については85/15以下
が好ましく、80/20以下がさらに好ましい。(B)
成分/(C)成分が重量比で20/80未満の場合には
かさ比重の高い樹脂を得ることができないおそれがあ
り、90/10を越える場合には得られる樹脂の可塑剤
吸収性能が悪化するおそれがある。
重合体(A)、ビニルアルコール系重合体(B)および
ビニルアルコール系重合体(C)の使用量は特に制限さ
れないが、ビニル系化合物100重量部当たり0.01
〜5重量部が好ましく、0.02〜2重量部がより好ま
しく、0.02〜1重量部がさらに好ましい。0.01
重量部未満の場合には重合安定性が低下し、5重量部を
越える場合には懸濁重合後の廃液が白濁してその化学的
酸素要求量(COD)が高くなるおそれがある。
重合体(A)は、従来公知の方法、例えば、特許文献1
(特開平8−259609号公報)に記載される方法に
従いビニルエステル系単量体とエチレンを共重合し、得
られた共重合体を定法によりけん化することにより得ら
れる。同様にビニルアルコール系重合体(B)およびビ
ニルアルコール系重合体(C)もまた、従来公知の方法
に従いビニルエステル系単量体を重合し、得られた重合
体を定法によりけん化することにより得られる。上記単
量体の重合法としては溶液重合法、塊状重合法、懸濁重
合法、乳化重合法など従来公知の方法が適用できる。
は、重合方法に応じて、アゾ系開始剤、過酸化物系開始
剤、レドックス系開始剤などが適宜選ばれる。アゾ系開
始剤としては2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)および2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4
−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられ、過酸化物
系開始剤としてはジイソプロピルパーオキシジカーボネ
ート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネー
トおよびジエトキシエチルパーオキシジカーボネートな
どのパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネ
オデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネートお
よびt−ブチルパーオキシデカネートなどのパーエステ
ル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキ
シド、ならびに2,4,4−トリメチルペンチル−2−
パーオキシフェノキシアセテートなどが挙げられる。さ
らには上記開始剤に過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウ
ム、過酸化水素などを組み合わせたものも開始剤として
使用できる。また、レドックス系開始剤としては上記の
過酸化物と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、酒石酸、L−アスコルビン酸およびロンガリットな
どの還元剤とを組み合わせたものが挙げられる。
触媒または酸触媒を用いる加アルコール分解、加水分解
反応などが適用できる。アルカリ触媒としては水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属化
合物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水
酸化アルカリ土類金属化合物;アンモニア、トリエチル
アミン、エチレンジアミンなどのアミン化合物が挙げら
れ、酸触媒としては塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン
酸、安息香酸、酢酸、乳酸、炭酸、シュウ酸、マレイン
酸などが挙げられる。中でもメタノールを溶剤としNa
OH触媒を用いるけん化反応が簡便であり最も好まし
い。
ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビ
ニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチッ
ク酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラ
ウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビ
ニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げら
れるが、中でも酢酸ビニルが好ましい。
合体(A)、ビニルアルコール系重合体(B)およびビ
ニルアルコール系重合体(C)は、カルボキシル基、ス
ルホン酸基、アミノ基、アンモニウム基などのイオン性
基を導入することにより水溶性を高めても良く、ノニオ
ン基または炭素数2〜16のアルキル基などを導入して
も良い。中でも、上記の重合体にカルボキシル基、スル
ホン酸基、アミノ基、アンモニウム基などのイオン性基
を導入して水溶性を高めることが好ましく、本発明の懸
濁重合用分散安定剤は、5〜100℃の水、好ましくは
10〜90℃の水に対して水溶性あるいは水分散性であ
ることが好ましい。
16のアルキル基などが導入された変性ビニルアルコー
ル系重合体は、従来公知の方法に従い、イオン性基、ノ
ニオン基または炭素数2〜16のアルキル基などの置換
基を有する単量体、ビニルエステル系単量体およびエチ
レンを共重合し、得られた変性ビニルエステル系重合体
をけん化することにより得られる。また、従来公知の方
法に従い、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸など
のチオール化合物の存在下でビニルエステル系単量体と
エチレンを共重合し、得られた変性ビニルエステル系重
合体をけん化することにより得られる末端変性物も用い
ることができる。同様に、イオン性基、ノニオン基また
は炭素数2〜16のアルキル基などが導入されたビニル
アルコール系重合体は、従来公知の方法に従い、イオン
性基、ノニオン基または炭素数2〜16のアルキル基な
どの置換基を有する単量体とビニルエステル系単量体を
共重合し、得られたビニルエステル系重合体をけん化す
ることにより得られる。また、従来公知の方法に従い、
チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール
化合物の存在下でビニルエステル系単量体を重合し、得
られたビニルエステル系重合体をけん化することにより
得られる末端変性物も用いることができる。上記重合体
のけん化度はビニルエステル基とビニルアルコール基の
比から求められ、導入されたイオン性基、ノニオン基ま
たはアルキル基などのけん化度は含まれない。
特に制限はないが、クロトン酸、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸などのカルボキシ
ル基含有単量体およびそれらの塩;エチレンスルホン
酸、(メタ)アリルスルホン酸、スルホアルキルマレー
ト、スルホアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのス
ルホン酸含有単量体およびそれらの塩;N−(1,1−
ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アク
リルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルア
ミノブチル)(メタ)アクリルアミド、N−ビニルイミ
ダゾール、2−メチル−N−ビニルイミダゾール、ビニ
ル−3−ジメチルアミノプロピルエーテル、ビニル−2
−ジメチルアミノエチルエーテル、アリル−3−ジメチ
ルアミノプロピルエーテル、アリルジメチルアミン、メ
タアリルジメチルアミンなどのアミノ基含有単量体また
はアンモニウム基含有単量体などが挙げられる。
合体(A)、ビニルアルコール系重合体(B)およびビ
ニルアルコール系重合体(C)は、本発明の主旨を損な
わない範囲で他の単量体を共重合したものであっても差
し支えない。そのような単量体としては例えば、プロピ
レン、n−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィン
類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n
−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシ
ル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル
類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタ
クリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタク
リル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、
メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなど
のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチ
ルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体な
どのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メ
チルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、
N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体など
のメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エ
チルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i
−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテ
ル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエー
テル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエー
テルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタ
クリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化
ビニルなどのハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、フッ
化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン;酢酸アリ
ル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタ
コン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸のエステル
誘導体;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル
化合物;酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。
たビニル系化合物の懸濁重合によるビニル系重合体の製
造方法について説明する。
ニル系化合物を水性媒体中で懸濁重合するに際し、水性
媒体の温度には特に制限はなく、20℃程度の冷水はも
とより、90℃以上の温水も好適に用いられる。この水
性媒体としては、純粋な水のほかに、各種の添加成分を
含有する水溶液あるいは他の有機溶剤を含む水性媒体を
挙げることができる。また、除熱効率を高めるためにリ
フラックスコンデンサー付重合器も好適に用いられる。
ビニル系化合物を水性媒体中で懸濁重合する際に通常使
用されるメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースなどの水溶性セルロースエーテ
ル、ポリビニルアルコールならびにゼラチンなどの水溶
性ポリマー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタント
リオレート、グリセリントリステアレートおよびエチレ
ンオキシドプロピレンオキシドブロックコポリマーなど
の油溶性乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノラ
ウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレートおよ
びラウリン酸ナトリウムなどの水溶性乳化剤などを併用
しても良い。その添加量については特に制限はないが、
塩化ビニルなどのビニル系化合物100重量部当たり
0.01〜1.0重量部が好ましい。
いて、重合開始剤としては従来塩化ビニルなどのビニル
系化合物の重合に使用されているものを使用することが
でき、具体的には上記ビニルエステル系単量体の重合法
において例示したものと同様の開始剤が使用できる。ま
た、その他の各種添加剤も必要に応じて使用することが
でき、各種添加剤としては、アセトアルデヒド、ブチル
アルデヒド、トリクロロエチレン、パークロロエチレン
およびメルカプタン類などの重合度調節剤;フェノール
化合物、イオウ化合物およびN−オキシド化合物などの
重合禁止剤などが挙げられる。さらに、pH調整剤、ス
ケール防止剤、架橋剤などを加えることも任意であり、
上記の添加剤を複数併用しても差し支えない。
ことのできるビニル系化合物としては、具体的には塩化
ビニル単独のほか、塩化ビニルを主体とする単量体混合
物(塩化ビニル50重量%以上)が包含され、この塩化
ビニルと共重合されるコモノマーとしては、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなど
の(メタ)アクリル酸エステル;エチレン、プロピレン
などのα−オレフィン;無水マレイン酸、イタコン酸な
どの不飽和ジカルボン酸類;アクリロニトリル、スチレ
ン、塩化ビニリデン、ビニルエーテル、その他塩化ビニ
ルと共重合可能な単量体が例示される。さらには、塩化
ビニルを含まない上記ビニル系化合物を単独で重合もし
くは共重合する場合においても、本発明の分散安定剤を
用いることができる。
に当たって、各成分の仕込み割合、重合温度などは、従
来塩化ビニルなどのビニル系化合物の懸濁重合で採用さ
れている条件に準じて定めればよい。また、ビニル系化
合物、重合開始剤、分散安定剤、水性媒体およびその他
添加物の仕込み順序や比率については、なんら制限され
ない。また、温水を用いると同時に、ビニル系化合物を
重合器に仕込む前にビニル系化合物を加熱しておく方法
も好適に用いられる。
説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限
定されるものではない。なお、以下の実施例において
「%」および「部」は特に断りのない限り、「重量%」
および「重量部」を意味する。また、以下においてポリ
ビニルアルコールをPVA、ポリ酢酸ビニルをPVAc
と略記することがある。
体の分析) (1)重合度 JIS K6726に従って測定した。 (2)けん化度 JIS K6726に従って測定した。
れた塩化ビニル系重合体の特性評価) (1)かさ比重 JIS K6721に従って測定した。 (2)スケール付着性 重合体スラリーを重合槽外に取り出した後、重合槽内に
おけるスケール付着の状態を目視観察し、以下の基準で
評価した。 ○:重合体スケールの付着がほとんどない △:重合槽内壁に白色の重合体スケールが確認できる ×:重合槽内壁に白色の重合体スケールが多く確認でき
る (3)重合廃水透明性評価 重合終了時に廃水の透明性について目視観察および透過
度測定を行い、以下の基準により評価した。 ◎:廃水が完全に透明(透過度85%以上) ○:廃水がほぼ透明(透過度70%以上85%未満) △:廃水がやや白い(透過度50%以上70%未満) ×:廃水が極めて白濁(透過度50%未満) ここで、重合廃水の透過度は、UV分光光度計(島津製
作所製UV2100)を用いて波長500nm、温度2
0℃、測定試料の光路長1cmで測定した。
口を備えた250L加圧反応槽に酢酸ビニル76.6k
g、メタノール73.3kgを仕込み、60℃に昇温し
た後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換し
た。次いで反応槽圧力が0.65MPaとなるようにエ
チレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾ
ビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調
製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換し
た。上記の反応槽内温を60℃に調整した後、上記の開
始剤溶液32mLを注入し、重合を開始した。重合中は
エチレンを導入して反応槽圧力を0.65MPaに、重
合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を0.55
2L/hrで連続添加した。3時間後に重合率が20%
に達したところで冷却して重合を停止した。反応槽を開
放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱
エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビ
ニル単量体を除去し、変性PVAcのメタノール溶液を
得た。30%に調整した該溶液にアルカリモル比(Na
OHのモル数/変性PVAc中のビニルエステル単位の
モル数)が0.02となるようにNaOHメタノール溶
液(10%濃度)を添加してけん化した。得られた変性
PVAのけん化度は98モル%であった。重合後に未反
応酢酸ビニル単量体を除去して得られた変性PVAcの
メタノール溶液をn−ヘキサンに投入して変性PVAc
を沈殿させ、回収した変性PVAcをアセトンで溶解す
る再沈精製を3回行った後、60℃で減圧乾燥して変性
PVAcの精製物を得た。該変性PVAcのプロトンN
MR測定から求めたエチレン単位の含有量は10モル%
であった。上記の変性PVAcのメタノール溶液をアル
カリモル比0.2でけん化した後、メタノールによるソ
ックスレー抽出を3日間実施し、次いで乾燥して変性P
VAの精製物を得た。該変性PVAの平均重合度を定法
のJIS K6726に準じて測定したところ500で
あった。上記操作により重合度500、けん化度98モ
ル%、エチレン含有量10モル%の変性PVA系重合体
(P−1)を得た。
造) 酢酸ビニル単量体、メタノール、エチレン圧、開始剤な
どの仕込量、およびけん化時の水酸化ナトリウムのアル
カリモル比を変更した以外は製造例1と同様に重合、け
ん化操作を行い、乾燥して脱溶剤することにより目的と
する変性PVA系重合体(P−2〜P−6)を得た。分
析結果を表1に示す。
開始剤などの仕込量、およびけん化時の水酸化ナトリウ
ムのアルカリモル比を変更した以外は製造例1に準じて
重合、けん化操作を行い、乾燥して脱溶剤することによ
り目的とするPVA系重合体(P−7〜P−11)を得
た。分析結果を表1に示す。
する変性PVA系重合体の製造) 撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、添加剤導入口お
よび開始剤添加口を備えた100L加圧反応槽に酢酸ビ
ニル26.5kg、メタノール33.5kgを仕込み、
60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中
を窒素置換した。次いで反応槽圧力が0.22MPaと
なるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として
2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチル
バレロニトリル)をメタノールに溶解した濃度2.8g
/L溶液を調製し、コモノマーとしてイタコン酸をメタ
ノールに溶解した濃度10%溶液を調製し、それぞれ窒
素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の
反応槽内温を60℃に調整し、イタコン酸11.8gを
添加した後に、上記の開始剤溶液95mLを注入し、重
合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力
を0.22MPaに、重合温度を60℃に維持し、イタ
コン酸の10%メタノール溶液を600mL/hr、上
記の開始剤溶液を298mL/hrでそれぞれ連続添加
した。5時間後に重合率が60%に達したところで冷却
して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした
後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行っ
た。次いで減圧下に未反応酢酸ビニル単量体を除去し、
変性PVAcのメタノール溶液を得た。30%に調整し
た該溶液にアルカリモル比(NaOHのモル数/変性P
VAc中のビニルエステル単位のモル数)が0.02と
なるようにNaOHメタノール溶液(10%濃度)を添
加してけん化した。得られた変性PVAのけん化度は9
8モル%であった。重合後に未反応酢酸ビニル単量体を
除去して得られた変性PVAcのメタノール溶液をn−
ヘキサンに投入して沈殿させ、回収した変性PVAcを
アセトンで溶解する再沈精製を3回行った後、60℃で
減圧乾燥して変性PVAcの精製物を得た。該変性PV
AcのプロトンNMR測定から求めたエチレン単位の含
有量は5モル%、イタコン酸単位の含有量は1モル%で
あった。上記の変性PVAcのメタノール溶液をアルカ
リモル比0.2でけん化した後、メタノールによるソッ
クスレー抽出を3日間実施し、次いで乾燥して変性PV
Aの精製物を得た。該変性PVAの平均重合度を定法の
JIS K6726に準じて測定したところ400であ
った。上記操作により重合度400、けん化度98モル
%、エチレン含有量5モル%で、側鎖にイオン性基とし
てカルボキシル基を含有する変性PVA系重合体(P−
12)を得た。分析結果を表1に示す。
するPVA系重合体の製造) エチレンを使用せず、酢酸ビニル単量体、メタノール、
開始剤などの仕込量、およびけん化時の水酸化ナトリウ
ムのアルカリモル比を変更した以外は製造例12に準じ
て重合、けん化操作を行い、乾燥して脱溶剤することに
より、側鎖にイオン性基としてカルボキシル基を含有す
るPVA系重合体(P−13)を得た。分析結果を表1
に示す。
ニルの重合) グラスライニング製オートクレーブに、表2に示した分
散安定剤を溶かした脱イオン水40部およびジイソプロ
ピルパーオキシジカーボネートの70%トルエン溶液
0.04部を仕込み、オートクレーブ内を0.0067
MPaとなるまで脱気して酸素を除いた後、塩化ビニル
単量体30部を仕込み、撹拌下に57℃に昇温して重合
を行った。重合開始時、オートクレーブ内の圧力は0.
83MPaであったが、重合開始7時間後に0.44M
Paとなった時点で重合を停止し、未反応の塩化ビニル
単量体をパージし、内容物を取り出し脱水乾燥した。塩
化ビニル重合体の重合収率は85%であり、平均重合度
は1050であった。塩化ビニルの重合性、得られた塩
化ビニル重合体の特性および重合廃水を評価した結果を
表2に示す。
散安定剤は、ビニル系化合物を懸濁重合する際の重合安
定性に優れており、かさ比重の高い樹脂が得られる。さ
らに、重合廃水の白濁化の問題が生じず、廃水の化学的
酸素要求量(COD)が低いことから環境に及ぼす影響
が顕著に軽減され、その工業的評価は極めて高い。
Claims (4)
- 【請求項1】 エチレン単位の含有量1〜20モル%、
けん化度90モル%以上および重合度100〜3000
の変性ビニルアルコール系重合体(A)、けん化度60
〜90モル%および重合度600〜4000のビニルア
ルコール系重合体(B)ならびにけん化度30〜60モ
ル%および重合度100〜600のビニルアルコール系
重合体(C)からなり、(A)成分/((B)成分+
(C)成分)が重量比で5/95〜40/60であるビ
ニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤。 - 【請求項2】 ビニルアルコール系重合体(B)とビニ
ルアルコール系重合体(C)とのけん化度の差が10モ
ル%以上および/または重合度の差が200以上である
請求項1に記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散安定
剤。 - 【請求項3】 変性ビニルアルコール系重合体(A)が
カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、アンモニウ
ム基またはカチオン基を有する変性ビニルアルコール系
重合体であることを特徴とする、水溶性もしくは水分散
性である請求項1または2に記載のビニル系化合物の懸
濁重合用分散安定剤。 - 【請求項4】 ビニル系化合物が塩化ビニルを含有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の
ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002292640A JP3905815B2 (ja) | 2001-10-05 | 2002-10-04 | ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001310045 | 2001-10-05 | ||
JP2001-310045 | 2001-10-05 | ||
JP2002292640A JP3905815B2 (ja) | 2001-10-05 | 2002-10-04 | ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003176306A true JP2003176306A (ja) | 2003-06-24 |
JP3905815B2 JP3905815B2 (ja) | 2007-04-18 |
Family
ID=26623760
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002292640A Expired - Fee Related JP3905815B2 (ja) | 2001-10-05 | 2002-10-04 | ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3905815B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009514990A (ja) * | 2003-06-30 | 2009-04-09 | フオルマン・ウント・コマンジツト・ゲゼルシヤフト・フユア・ヘミー−ベクストフエ・ウント−フエルフアーレンシユテフニク・エムビーエイチ・ウント・コンパニー・コマンジツトゲゼルシヤフト | 接着剤組成物 |
KR20150032750A (ko) * | 2012-07-19 | 2015-03-27 | 가부시키가이샤 구라레 | 현탁 중합용 분산 안정제 및 비닐계 수지의 제조 방법 |
-
2002
- 2002-10-04 JP JP2002292640A patent/JP3905815B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009514990A (ja) * | 2003-06-30 | 2009-04-09 | フオルマン・ウント・コマンジツト・ゲゼルシヤフト・フユア・ヘミー−ベクストフエ・ウント−フエルフアーレンシユテフニク・エムビーエイチ・ウント・コンパニー・コマンジツトゲゼルシヤフト | 接着剤組成物 |
KR20150032750A (ko) * | 2012-07-19 | 2015-03-27 | 가부시키가이샤 구라레 | 현탁 중합용 분산 안정제 및 비닐계 수지의 제조 방법 |
JPWO2014014009A1 (ja) * | 2012-07-19 | 2016-07-07 | 株式会社クラレ | 懸濁重合用分散安定剤及びビニル系樹脂の製造方法 |
KR101958630B1 (ko) | 2012-07-19 | 2019-03-15 | 주식회사 쿠라레 | 현탁 중합용 분산 안정제 및 비닐계 수지의 제조 방법 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3905815B2 (ja) | 2007-04-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10717797B2 (en) | Vinyl alcohol copolymer and method for producing same | |
KR101044571B1 (ko) | 현탁 중합용 분산 안정제 | |
US6635709B2 (en) | Dispersion stabilizer for suspension polymerization of vinyl compound | |
KR100470016B1 (ko) | 비닐계 화합물의 현탁중합용 분산안정제 | |
JP3474307B2 (ja) | ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤 | |
US5717044A (en) | Suspending agent for suspension polymerization of vinyl compound | |
JPH08259609A (ja) | ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤 | |
JP4615152B2 (ja) | ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤 | |
JP3995584B2 (ja) | ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤の製造法 | |
JP3905815B2 (ja) | ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤 | |
JP4615153B2 (ja) | ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤 | |
JP4245784B2 (ja) | 塩化ビニル懸濁重合用分散安定剤 | |
JP4754112B2 (ja) | ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤 | |
JP4303872B2 (ja) | ビニル系化合物の懸濁重合用分散安定剤 | |
JPWO2019244967A1 (ja) | ビニル系重合体の製造方法 | |
JP7337075B2 (ja) | 懸濁重合用分散助剤及びビニル系樹脂の製造方法 | |
JP2005060553A (ja) | ビニル系化合物の懸濁重合用分散剤および懸濁重合方法 | |
WO2010113570A1 (ja) | ビニル系樹脂の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050309 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20061211 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061219 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070112 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 3905815 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110119 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110119 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120119 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130119 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130119 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140119 Year of fee payment: 7 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |