JP5548676B2 - 水性エマルジョン用分散安定剤および水性エマルジョン - Google Patents

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Description

本発明は、特定の官能基を有するビニルアルコール系重合体を含有する水性エマルジョン用分散安定剤および水性エマルジョンに関する。
従来、ビニルアルコール系重合体(以下、PVAと略記することがある)を分散安定剤とした水性エマルジョンは、乳化作用を有する界面活性剤だけを乳化重合用分散安定剤に用いてモノマーを乳化重合して得られる水性エマルジョンに比べて、エマルジョンの安定性が良好で、無機物などとの混和性にも優れ、しかも、各種用途に合った流動特性を比較的容易に付与できるといった多くの利点を有することから、接着剤および塗料をはじめとした多岐にわたる用途で幅広く使用されている。しかしながら、従来公知のPVAを分散安定剤とした場合、得られる水性エマルジョンには幾つかの問題点があり、水性エマルジョンの用途の拡大および高性能化を図る上で性能が不十分な点があった。
PVAを分散安定剤とする水性エマルジョンに対する更なる要求性能としては、主として耐水性と初期接着性の改善が挙げられる。耐水性の改善策としては、各種架橋系や高耐水性PVAを分散安定剤に使用するなどの提案が数多くなされており、用途や要求性能に応じた様々な手法が確立しつつある。一方、初期接着性は、水性エマルジョンを接着剤や各種バインダーとして使用する場合に非常に重要な性能の一つである。特に、水性エマルジョンに対して高速生産を志向する昨今の流れの中では、より一層の改善要求が強く、古典的な手法を含めたいくつかの手法が提案されているものの、環境にやさしく、安全性が高く、高い初期接着性を実現できる手法はないのが実情であった。
従来公知の初期接着性改善策としては、例えば、特許文献1には、ポリマー分散質に対して平均重合度3500以上のPVAを0.1〜50重量%含有する水性エマルジョンが開示されている。この場合、水性エマルジョンの乾燥により系の粘度が上昇しやすいため初期接着力が発現しやすいが、使用時の粘度調整が困難な上、作業性に問題があるのが実情であった。
また、特許文献2には、分散剤として粘度平均重合度が200以上で、重量平均重合度(Pw)と数平均重合度(Pn)の比Pw/Pnが4以上であり、かつGPC測定による分子量分布の最大の分子量のピーク位置が重合度3500以上であるPVAを含む水性エマルジョンが開示されている。この場合も、乾燥による系の増粘が大きく、初期接着力の発現には効果があるが、依然として作業性などが問題になることがあった。
特許文献3に記載のPVAを含有する水性エマルジョンに特定量の界面活性剤とポリアルキレングリコール類を添加してなる紙用高速接着剤や、特許文献4あるいは非特許文献1などに記載のPVAを保護コロイドとする水性エマルジョンにほう酸などの電解質を添加してなる接着剤も知られている。しかしながら、これらのものは界面活性剤やポリアルキレングリコール、ほう酸などの添加剤の安全性、環境に対する影響などの問題があった上、初期接着性も昨今の要求レベルを満たせない場合が多かった。
また、特許文献5には、カルボキシル基および炭素数が5〜15のアルキル基を有するPVAを保護コロイドとした酢酸ビニル樹脂系エマルジョンと可塑剤からなる接着剤組成物が開示されている。さらに、特許文献6には、PVAを保護コロイドとする酢酸ビニル樹脂系エマルジョンに芳香族スルホン酸アルカリ金属ホルムアルデヒド縮合物と可塑剤を配合した接着剤組成物が開示されている。しかしながら、これらの方法では初期接着性のレベルが必ずしも十分ではなかった。また、特許文献6に記載の接着剤組成物の場合にはホルムアルデヒドの遊離の問題もあり好ましくなかった。
特許文献7には、カルボキシル基変性PVAもしくはα−オレフィンと不飽和カルボン酸との共重合体またはその誘導体を保護コロイドとした酢酸ビニル樹脂系エマルジョンに尿素を含有し、可塑剤を含有する接着剤組成物が開示されている。また、特許文献8には、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体のイミド化物を保護コロイドとして、酢酸ビニルモノマーを乳化重合してなる酢酸ビニル系エマルジョンと、グリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする高速接着剤組成物が開示されている。これらPVA以外の水溶性高分子を使用することで初期接着性等を改善しようとする試みはあるものの、工業的にはこれらを保護コロイドとする水性エマルジョンは製造時の安定性が問題になる場合があった。また、初期接着性のレベルをさらに上げたいという要求も依然としてあった。
特許文献9には、オキシアルキレン基を含有する不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することを特徴とする変性PVAの製造方法が開示されている。該変性PVAの製造に用いる不飽和単量体中のオキシアルキレン基としては、繰り返し単位数が1〜50程度のポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基等が例示されている。また、該変性PVAの用途として多数例示されているものなかに、乳化重合用乳化剤が記載されている。
特開平5−295276号公報 特開平7−247400号公報 特開昭58−120680号公報 特開平9−125033号公報 特開2000−192003号公報 特開2000−192004号公報 特開平8−85777号公報 特開2005−187704号公報 特開昭59−155408号公報
長野浩一、山根三郎、豊島賢太郎共著「ポバール」、昭和52年、高分子刊行会発行
本発明は、上記従来の技術における問題点を解消し、接着剤や各種バインダーとして使用する場合に重要な性能の一つである初期接着性が高く、高速生産が可能な水性エマルジョンを製造するのに適した水性エマルジョン用分散安定剤、および、それを分散安定剤とする水性エマルジョンを提供するものである。
本発明者らは、従来のPVAを保護コロイドに用いて製造された水性エマルジョンが有する種々の特徴(すなわち機械的安定性、化学的安定性、凍結融解安定性、無機物との混和性などの特徴)を損なうことなく、接着剤や各種バインダーとして使用する場合に重要な性能の一つである初期接着性が優れた水性エマルジョンを工業的な規模で容易に得ることのできる水性エマルジョン用分散安定剤について鋭意検討した。
その結果、下記一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン(以下、POAと略すことがある)基を側鎖に含有するビニルアルコール系重合体であり、ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度が200〜3000であり、けん化度が80〜99.99モル%であり、ポリオキシアルキレン基変性量が0.1〜10モル%であり、ビニルアルコール系重合体の主鎖100重量部に対するポリオキシアルキレン基含有量が6〜50重量部であるポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体(以下、POA変性PVAと略すことがある)を含有する水性エマルジョン用分散安定剤が、目的の水性エマルジョン用分散安定剤として適していることを見出し、本発明を完成するに至った。
Figure 0005548676
式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。mとnはそれぞれのオキシアルキレンユニットの繰り返し単位数を表し、1≦m≦10、5≦n≦20である。ここで、繰り返し単位数mで表されるユニットをユニット1と呼び、繰り返し単位数nで表されるユニットをユニット2と呼ぶことにする。ユニット1とユニット2の配置は、ランダム状、ブロック状のどちらの形態になっても良い。
このとき、前記ポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体が、下記一般式(II)で示されるポリオキシアルキレン基を有するマクロモノマーとビニルエステルとを共重合した後、けん化することによって得られたものであることが好ましい。
Figure 0005548676
式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。mとnはそれぞれのオキシアルキレンユニットの繰り返し単位数を表し、1≦m≦10、5≦n≦20である。R3は水素原子または−COOM基を表し、ここでMは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を表す。R4は水素原子、メチル基または−CH−COOM基を示し、ここでMは前記定義どおりである。Xは−O−、−CH−O−、−CO−、−CO−O−または−CO−NR5−を表す。ここでR5は水素原子または炭素数1〜4の飽和アルキル基を表す。
前記ポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体が、下記一般式(III)で示されるポリオキシアルキレン基を有するマクロモノマーとビニルエステルとを共重合した後、けん化することによって得られたものであることがより好ましい。
Figure 0005548676
式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。mとnはそれぞれのオキシアルキレンユニットの繰り返し単位数を表し、1≦m≦10、5≦n≦20である。R4は水素原子、メチル基または−CH−COOM基を示し、ここでMは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を表す。R5は水素原子または炭素数1〜4の飽和アルキル基を表す。
また、本発明の分散安定剤とエチレン性不飽和単量体およびジエン系単量体から選ばれる一種以上の不飽和単量体からなる重合体の分散質とを含有する水性エマルジョンが本発明の好適な実施態様である。
本発明の水性エマルジョン用分散安定剤を用いて乳化重合して得られたエマルジョンは、従来の分散剤を用いた場合に比べて、初期接着性に優れる。
以下、本発明について詳しく説明する。本発明は、上記の一般式(I)で示されるPOA基を側鎖に含有するPVAであり、該PVAの粘度平均重合度が200〜3000であり、けん化度が80〜99.99モル%であり、POA基変性量が0.1〜10モル%であり、該PVAの主鎖100重量部に対するポリオキシアルキレン基含有量が6〜50重量部であるPOA変性PVAを含有する水性エマルジョン用分散安定剤である。
本発明において、水性エマルジョン用分散安定剤に使用されるPOA変性PVAの側鎖に存在するPOA基は、ユニット1の繰り返し単位数mは1≦m≦10であり、ユニット2の繰り返し単位数nは5≦n≦20である必要がある。m及びnがこのような範囲であることで該POA変性PVAを分散剤とする水性エマルジョンの優れた接着性、特に初期接着性が発現する。mは2以上であることが好ましい。mは5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。nは8以上であることが好ましい。nは18以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましい。
上記の一般式(I)で示されるPOA基を側鎖に含有するPVAにおいて、POA基変性量Sは0.1〜10モル%であることが必要であり、好ましくは0.15〜8モル%、より好ましくは0.2〜6モル%である。POA基の変性量が0.1モル%よりも小さい場合には、本発明の目的である該PVAを分散安定剤とする水性エマルジョンの初期接着性が発現しない。一方、10モル%を超える場合には、該PVAの疎水性が増加し、水溶性の低下が起こることがあるため不適である。
POA基変性量は、PVAの主鎖メチレン基に対するPOA基のモル分率で表される。POA変性PVAのPOA基変性量は、例えば、該PVAの前駆体であるPOA変性ポリビニルエステル、具体的には、POA変性ポリ酢酸ビニル(以下、ポリ酢酸ビニルをPVAcと略記することがある)のプロトンNMRから求めることができる。具体的には、n−ヘキサン/アセトンでPOA変性PVAcの再沈精製を3回以上十分に行った後、50℃の減圧下で乾燥を2日間行い、分析用のPOA変性PVAcを作成する。該PVAcをCDClに溶解させ、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を室温で測定する。ビニルエステルの主鎖メチンに由来するピークα(4.7〜5.2ppm)とユニット2の末端メチル基に由来するピークβ(0.8〜1.0ppm)から下記式を用いてPOA基変性量Sを算出する。
S(モル%)={(βのプロトン数/3n)/(αのプロトン数+(βのプロトン数/3n))}×100
nはユニット2の繰り返し単位数を表す。
また、本発明において、POA変性PVA中のPOA基の含有量は、6〜50重量部であることが必要であり、この範囲内において、本発明の効果であるPOA変性PVAを分散安定剤とする水性エマルジョンの初期接着性が発現する。ここで、POA基の含有量とは、PVAの主鎖100重量部に対するPOA基の重量部(重量分率)で表される。POA基の含有量はPOA基変性量S、ユニット1の繰り返し単位数m、ユニット2の繰り返し単位数n、POA変性PVAのけん化度を用いて計算される値である。前述のPOA基変性量Sが同等であっても、けん化度が高くなるにつれ、あるいはm又はnが大きくなるにつれ、POA変性PVA中のPOA基の含有量は大きくなる。
上記の一般式(I)で示されるPOA基を側鎖に含有するPVAの粘度平均重合度は、200〜3000であることが必要であり、250〜2800が好ましく、300〜2600がより好ましい。ここで、粘度平均重合度Pは、JIS−K6726に準じて測定される。すなわち、該PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η]から次式により求められる。
P=([η]×10/8.29)(1/0.62)
なお、粘度平均重合度は、単に重合度と呼ぶことがある。
重合度が200より小さい場合には、水性エマルジョン用分散安定剤として十分な安定化能力を有さないために水性エマルジョンの安定性が不足するため不適である。3000よりも大きい場合には、エマルジョンの粘度をコントロールするのが困難となるため不適である。
上記の一般式(I)で示されるPOA基を側鎖に含有するPVAのけん化度は80〜99.99モル%であることが必要であり、83〜99.5モル%が好ましく、85〜99モル%がより好ましい。けん化度が80モル%よりも小さい場合にはPOA変性PVAの水溶性が失われるために分散安定剤として機能せず、水性エマルジョンが不安定化する。一方、けん化度が99.99モル%を超える場合には、水性エマルジョン用分散安定剤として十分な安定化能力を有さないために水性エマルジョンの安定性が不足する。なお、該PVAのけん化度は、JIS−K6726に準じて測定し得られる値である。
上記一般式(I)で示されるPOA基を側鎖に含有するPVAは、各種の方法により製造される。一般式(I)で表されるPOA基とPVAの水酸基などと反応しうる官能基(カルボキシル基、イソシアネート基など)とを有する化合物とPVAとを反応させることにより得ることも可能であるが、一般的および工業的には、一般式(I)で示されるPOA基を含有する不飽和単量体(マクロモノマー)とビニルエステルとを共重合した後、けん化することにより得られる。ここで、POA基を有するマクロモノマーとしては、上記の一般式(II)で示されるものが好ましい。
例えば、一般式(II)のR1が水素原子、R2が水素原子、R3が水素原子の場合、一般式(II)で示されるマクロモノマーとして具体的には、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノビニルエーテルなどが挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノビニルエーテルが好適に用いられ、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノビニルエーテルが特に好適に用いられる。
一般式(II)のR2が炭素数1〜8のアルキル基の場合、具体的には、一般式(II)のR1が水素原子、R2が水素原子、R3が水素原子の場合の例として上記に例示したマクロモノマーの末端のOH基が炭素数1〜8のアルコキシ基に置換されたものが挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノビニルエーテルの末端のOH基がメトキシ基に置換されたマクロモノマーが好適に用いられ、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミドの末端のOH基がメトキシ基に置換されたマクロモノマーが特に好適に用いられる。
また、本発明の水性エマルジョン用分散安定剤を構成するPOA変性PVAを、上記の一般式(II)で示されるマクロモノマーとビニルエステルとの共重合体をけん化して得る場合には、共重合性を考慮して、Xが−CO−NR5−である上記の一般式(III)で示されるマクロモノマーを用いることがさらに好適である。
上記の一般式(III)で示されるマクロモノマーとしては、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノアクリル酸アミド、およびその末端のOH基がメトキシ基に置換された不飽和単量体、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンモノメタクリル酸アミド、およびその末端のOH基がメトキシ基に置換された不飽和単量体が代表的である。
本発明で使用するPOA変性PVAを製造するには、POA基を有するマクロモノマーとビニルエステル系単量体との共重合をアルコール系溶媒中または無溶媒で行い、得られたPOA変性ビニルエステル系共重合体をけん化する方法が好ましい。POA基を有するマクロモノマーとビニルエステル系単量体との共重合を行う際に採用される温度は0〜200℃が好ましく、30〜140℃がより好ましい。共重合を行う温度が0℃より低い場合は、十分な重合速度が得られにくい。また、重合を行う温度が200℃より高い場合、本発明で規定するPOA基変性量を有するPOA変性PVAを得られにくい。共重合を行う際に採用される温度を0〜200℃に制御する方法としては、例えば、重合速度を制御することで、重合により生成する発熱と反応器の表面からの放熱とのバランスをとる方法や、適当な熱媒を用いた外部ジャケットにより制御する方法等があげられるが、安全性の面からは後者の方法が好ましい。
POA基を有するマクロモノマーとビニルエステル系単量体との共重合を行うのに用いられる重合方式としては、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合のいずれでもよい。重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法など公知の任意の方法を用いることができる。その中でも、無溶媒またはアルコール系溶媒中で重合を行う塊状重合法や溶液重合法が好適に採用され、高重合度の共重合体の製造を目的とする場合は乳化重合法が採用される。アルコール系溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。またこれらの溶媒は2種類またはそれ以上の種類を混合して用いることができる。
共重合に使用される開始剤としては、重合方法に応じて従来公知のアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤などが適宜選ばれる。アゾ系開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などが挙げられ、過酸化物系開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシデカネートなどのパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどが挙げられる。さらには、上記開始剤に過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを組み合わせて開始剤とすることもできる。また、レドックス系開始剤としては、上記の過酸化物と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤とを組み合わせたものが挙げられる。
また、POA基を有するマクロモノマーとビニルエステル系単量体との共重合を高い温度で行った場合、ビニルエステル系単量体の分解に起因するPVAの着色等が見られることがあるため、その場合には着色防止の目的で重合系に酒石酸のような酸化防止剤を1〜100ppm(ビニルエステル系単量体に対して)程度添加することはなんら差し支えない。
ビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられるが、中でも酢酸ビニルが最も好ましい。
POA基を有するマクロモノマーとビニルエステル系単量体との共重合に際して、本発明の主旨を損なわない範囲で他の単量体を共重合しても差し支えない。使用しうる単量体として、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィン;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド;N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。
また、POA基を有するマクロモノマーとビニルエステル系単量体との共重合に際し、得られる共重合体の重合度を調節することなどを目的として、本発明の主旨を損なわない範囲で連鎖移動剤の存在下で共重合を行っても差し支えない。連鎖移動剤としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、などのアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;2−ヒドロキシエタンチオールなどのメルカプタン類;トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類が挙げられ、中でもアルデヒド類およびケトン類が好適に用いられる。連鎖移動剤の添加量は、添加する連鎖移動剤の連鎖移動定数および目的とするビニルエステル系重合体の重合度に応じて決定されるが、一般にビニルエステル系単量体に対して0.1〜10重量%が望ましい。
POA変性ビニルエステル系共重合体のけん化反応には、従来公知の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシドなどの塩基性触媒またはP−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いた加アルコール分解反応ないし加水分解反応を適用することができる。この反応に使用しうる溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でもメタノールまたはメタノール/酢酸メチル混合溶液を溶媒とし、水酸化ナトリウムを触媒に用いてけん化反応を行うのが簡便であり好ましい。
本発明の好適な実施態様は、上記のPOA変性PVAを分散安定剤とし、エチレン性不飽和単量体あるいはジエン系単量体から選ばれる一種以上の不飽和単量体からなる重合体を分散質とする水性エマルジョンである。該水性エマルジョンは、分散安定剤として該POA変性PVA、分散質として該重合体を含有するものであれば特に制限はない。本発明の水性エマルジョンを接着剤や各種バインダーとして使用する場合に、本発明の重要な性能の一つである初期接着性を十分に発現させる意味では、水性媒体中でPOA変性PVA存在下にエチレン性不飽和単量体あるいはジエン系単量体から選ばれる一種以上の不飽和単量体を乳化重合して得られる水性エマルジョンが好ましい。この乳化重合を実施するにあたっては、水、分散安定剤および重合開始剤の存在下に該不飽和単量体を一時または連続的に添加して、加熱、撹拌するような通常の乳化重合法がいずれも実施しうる。また、不飽和単量体を予め分散安定剤と混合して乳化させたものを連続的に添加する方法も実施しうる。
本発明の水性エマルジョン用分散安定剤を用いた乳化重合において、上記POA変性PVAの使用量は、POA変性PVAの重合度や、要求される水性エマルジョンの樹脂濃度等によって多少異なるが、通常、分散質の重合体の合成に用いられる不飽和単量体100重量部に対して1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部である。POA変性PVAの使用量が1重量部よりも少ない場合には乳化重合の安定性が確保しにくく、また、20重量部を超えると得られる水性エマルジョンの粘度が高くなりすぎ重合のコントロールが困難になると同時に、水性エマルジョンの耐水性等の物性に悪影響を及ぼすことがある。重合開始剤としては、通常の乳化重合に用いられる、例えば、過酸化水素、過硫酸塩類、過炭酸塩類、過酸化物等を単独で用いたり、これらと酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸などのオキシカルボン酸、シュウ酸、スルフィン酸およびこれらの塩類、ロンガリット、水溶性鉄塩などとの組み合わせによるレドックス系重合開始剤などを用いることができる。
本発明の水性エマルジョンの分散質を構成する重合体の合成に用いるエチレン性不飽和単量体及びジエン系単量体としては、以下のものが挙げられる。エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン;塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオライドなどのハロゲン化オレフィン;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸およびそのエステルである(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸α−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びこれらの四級化物;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロバン、スルホン酸及びそのナトリウム塩のアクリルアミド系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、P−スチレンスルホン酸及びそのナトリウム塩等のスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体;その他N−ビニルピロリドン等があげられ、これらの単独重合もしくは共重合が実施しうる。
なお、本発明の水性エマルジョン用分散安定剤を用いた水性エマルジョンは、得られる水性エマルジョンの性能を損なわない範囲で、他の保護コロイドを重合時もしくは重合後に添加して、水性エマルジョンに望まれる特性を付与することも有効である。このような保護コロイドとしては、例えば、従来のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸およびその塩類、ポリビニルアルキルエーテル、酢酸ビニルとアクリル酸、メタクリル酸又は無水マレイン酸との共重合物およびそのけん化物、低級アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合物、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、アルキル澱粉、カルボンキシメチル澱粉、酸化澱粉などの澱粉誘導体、アラビアゴム、トラガントゴム、ポリアルキレングリコールなどが挙げられる。この他、水性エマルジョンの性能を損なわない範囲であれば、乳化重合の際に従来用いられている液性調節剤、1価または多価のアルコール類、可塑剤、消泡剤などの助剤を重合時または重合後に添加することは何ら差し支えない。また、水性エマルジョンの性能を損なわない範囲であれば、従来公知のアニオン性、ノニオン性、カチオン性の界面活性剤やPVA、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性高分子を添加することもできる。
このようにして得られる水性エマルジョンは、接着剤や各種バインダーとして使用する場合に重要な性能の一つである初期接着性が高く、高速生産が可能である。これは、実用に際して乾燥の工程での濃縮により分散剤に含まれる特定のPOA基間の相互作用が強まり、粘度上昇が大きくなるためと考えられる。その特徴を利用してそのままあるいは従来公知の添加剤を添加して各種用途に利用される。例えば、初期接着性を生かした接着剤や各種バインダーはもちろん、塗料、繊維加工剤、紙加工剤、セメント混和剤、モルタルプライマー等広範に利用される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中の「%」および「部」は特に断りのない限り、それぞれ「重量%」および「重量部」を表す。
[POA変性PVAの製造]
製造例1(PVA1の製造)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、コモノマー滴下口および開始剤の添加口を備えた3Lの反応器に、酢酸ビニル750g、メタノール250g、POA基を有する不飽和単量体(単量体A)17.6gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。また、ディレー溶液としてPOA基を有する不飽和単量体(単量体A)をメタノールに溶解して濃度20%としたコモノマー溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.25gを添加し重合を開始した。ディレー溶液を滴下して重合溶液中のモノマー組成(酢酸ビニルと単量体Aの比率)が一定となるようにしながら、60℃で3時間重合した後冷却して重合を停止した。重合を停止するまで加えたコモノマー溶液の総量は75mlであった。また重合停止時の固形分濃度は24.4%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、POA変性PVAcのメタノール溶液(濃度35%)を得た。さらに、これにメタノールを加えて調製したPOA変性PVAcのメタノール溶液453.4g(溶液中のPOA変性PVAc100.0g)に、55.6gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った(けん化溶液のPOA変性PVAc濃度20%、POA変性PVAc中の酢酸ビニルユニットに対する水酸化ナトリウムのモル比0.1モル%)。アルカリ溶液を添加後約1分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール2000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置してPOA変性PVA(PVA1)を得た。PVA1の重合度は1760、けん化度は98.7モル%、POA基変性量(S)は0.4モル%、POA基含有量は10重量部であった。
製造例2〜22(PVA2〜22の製造)
酢酸ビニルおよびメタノールの仕込み量、重合時に使用するPOA基を有する不飽和単量体の種類(表2)や添加量等の重合条件、けん化時におけるPOA変性PVAcの濃度、酢酸ビニルユニットに対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1および表2に示すように変更した以外は、製造例1と同様の方法により各種のPOA変性PVA(PVA2〜22)を製造した。
製造例23(PVA23の製造)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、開始剤の添加口を備えた3Lの反応器に、酢酸ビニル700g、メタノール300gを仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.25gを添加し重合を開始し、60℃で3時間重合した後冷却して重合を停止した。重合停止時の固形分濃度は17.0%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビニル(PVAc)のメタノール溶液(濃度30%)を得た。さらに、これにメタノールを加えて調製したPVAcのメタノール溶液544.1g(溶液中のPVAc120.0g)に、55.8gのアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った(けん化溶液のPVAc濃度20%、PVAc中の酢酸ビニルユニットに対する水酸化ナトリウムのモル比0.1)。アルカリ溶液を添加後約1分でゲル状物が生成したので、これを粉砕器にて粉砕し、40℃で1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール2000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られた白色固体を乾燥機中65℃で2日間放置して無変性PVA(PVA23)を得た。PVA23の重合度は1700、けん化度は98.5モル%であった。
製造例24〜26(PVA24〜26の製造)
酢酸ビニルおよびメタノールの仕込み量、けん化時におけるPVAcの濃度、酢酸ビニルユニットに対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表1に示すように変更した以外は、製造例23と同様の方法により各種の無変性PVA(PVA24〜26)を製造した。
Figure 0005548676
Figure 0005548676
実施例1
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口、イカリ型攪拌翼を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水450gと製造例1で得られたPVA1を24g仕込み、95℃で溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、140rpmで撹拌しながら酢酸ビニル40gを仕込み、60℃に昇温した後、過酸化水素/酒石酸のレドックス系開始剤の存在下で重合を開始した。重合開始15分後から酢酸ビニル360gを3時間にわたって連続的に添加し、重合を完結させた。使用した開始剤は、1%過酸化水素水30g、5%酒石酸水溶液10gであった。得られたポリ酢酸ビニルエマルジョン(PVAc−1)は、固形分濃度46.1%、粘度5000mPa・s(BH型粘度計、30℃、20rpm(ローター7))であった。PVAc−1を用いて、以下に示す初期接着力を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0005548676
[初期接着力試験]
接着力試験機ASM−01(日本たばこ産業株式会社製)を用いて、次の測定条件により測定した。
原紙 :ライナー紙(コブサイズ度19g/m/2分)
測定環境 :20℃、65%RH
接着剤塗工量 :60g/m(wet塗工量)
接着剤温度 :40℃
塗工速度 :0.5m/秒
塗工後の放置時間 :1秒
プレス圧 :3kg
圧着時間 :1秒、3秒、5秒、10秒
圧着後の放置時間 :1秒
剥離速度 :200mm/秒
実施例2〜6、比較例1〜20
実施例1のPVA1に代えて製造例2〜26で得られたPVA2〜26を用いる以外は実施例1と同様にしてポリ酢酸ビニルエマルジョン(PVAc−2〜PVAc−26)を得た。結果を表3に示す。
実施例7
実施例1において、PVA1を36g用いる以外は実施例1と同様にしてポリ酢酸ビニルエマルジョン(PVAc−27)を得た。結果を表3に示す。
実施例8
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水500g、製造例2で得られたPVA2を28g仕込み、95℃で溶解した。次に、メタクリル酸メチル20gとアクリル酸n−ブチル20gを添加し、窒素置換後65℃まで昇温し、1%過硫酸カリウム水溶液12gを添加して重合を開始し、さらに2時間かけてメタクリル酸メチル180g、アクリル酸n−ブチル180gを連続的に添加した。重合は4時間で完結し、固形分濃度45.1%、粘度3000mPa.sのメタクリル酸メチル/アクリル酸n−ブチル共重合体エマルジョン(ACR−1)を得た。結果を表3に示す。
実施例において示されているように、本発明の水性エマルジョン用分散安定剤を用いて乳化重合して得られたエマルジョンは、従来の分散剤を用いた場合に比べて、初期接着性に優れる。本発明の水性エマルジョン用分散安定剤を用いて得られた水性エマルジョンは、上記の特徴を生かして、各種接着剤、塗料、紙、繊維加工剤などに好適に用いることができ、工業上の利用価値が極めて大きい。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)で示されるポリオキシアルキレン基を側鎖に含有するビニルアルコール系重合体であり、ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度が200〜3000であり、けん化度が80〜99.99モル%であり、ポリオキシアルキレン基変性量が0.1〜10モル%であり、ビニルアルコール系重合体の主鎖100重量部に対するポリオキシアルキレン基含有量が6〜50重量部であるポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体を含有する水性エマルジョン用分散安定剤。
    Figure 0005548676
    (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。mとnはそれぞれのオキシアルキレンユニットの繰り返し単位数を表し、1≦m≦10、5≦n≦20である。)
  2. 前記ポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体が、下記一般式(II)で示されるポリオキシアルキレン基を有するマクロモノマーとビニルエステルとを共重合した後、けん化することによって得られたものである請求項1記載の分散安定剤。
    Figure 0005548676
    (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。mとnはそれぞれのオキシアルキレンユニットの繰り返し単位数を表し、1≦m≦10、5≦n≦20である。R3は水素原子または−COOM基を表し、ここでMは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を表す。R4は水素原子、メチル基または−CH−COOM基を示し、ここでMは前記定義どおりである。Xは−O−、−CH−O−、−CO−、−CO−O−または−CO−NR5−を表す。ここでR5は水素原子または炭素数1〜4の飽和アルキル基を表す。)
  3. 前記ポリオキシアルキレン変性ビニルアルコール系重合体が、下記一般式(III)で示されるポリオキシアルキレン基を有するマクロモノマーとビニルエステルとを共重合した後、けん化することによって得られたものである請求項2記載の分散安定剤。
    Figure 0005548676
    (式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。mとnはそれぞれのオキシアルキレンユニットの繰り返し単位数を表し、1≦m≦10、5≦n≦20である。R4は水素原子、メチル基または−CH−COOM基を示し、ここでMは水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基を表す。R5は水素原子または炭素数1〜4の飽和アルキル基を表す。)
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の分散安定剤とエチレン性不飽和単量体およびジエン系単量体から選ばれる一種以上の不飽和単量体からなる重合体の分散質とを含有する水性エマルジョン。
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