JP4798308B2 - ドリル孔明け用エントリーシート - Google Patents

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Description

本発明は、銅張積層板や多層板のドリル孔明け加工の際に使用されるドリル孔明け用エントリーシートに関するものである。
プリント配線板材料に使用される銅張積層板や多層板のドリル孔明け加工方法としては、銅張積層板または多層板を1枚または複数枚重ねて、その最上部に当て板としてアルミニウム箔単体またはアルミニウム箔表面に樹脂組成物層を形成したシート(以下、本明細書ではこの「シート」を通常「ドリル孔明け用エントリーシート」という)を配置して孔明け加工を行う方法が一般的に採用されている。近年、プリント配線板材料に対する信頼性向上の要求や高密度化の進展に伴い、孔位置精度の向上や孔壁粗さの低減などの高品質の孔明け加工が求められており、これに対応するために、ポリエチレングリコールなどの水溶性樹脂からなるシートを使用した孔明け加工法(例えば、特許文献1参照)、金属箔に水溶性樹脂層を形成した孔明け用滑剤シート(例えば、特許文献2参照)、熱硬化性樹脂薄膜を形成したアルミニウム箔に水溶性樹脂層を形成した孔明け用エントリーシート(例えば、特許文献3参照)などが提案・実用化されている。近年、プリント配線板の更なる高密度化において銅張積層板や多層板の加工孔間の導通信頼性が求められている。そのためには孔間同士の絶縁信頼性を確保するために、優れた孔位置精度を維持しつつ、孔壁粗さを更に低減する必要がある。また、ドリルへの樹脂巻き付きを低減することで、ドリル折損率の低減やドリルの再研磨効率向上などにより生産性を向上させることも必要となる。このため、孔位置精度に優れ、孔壁粗さの低減、及びドリルへの樹脂巻き付きの低減といった性能を発揮する水溶性樹脂層から形成されるドリル孔明け用エントリーシートが切望されている。
特開平4−92494号公報 特開平5−169400号公報 特開2003−136485号公報
水溶性樹脂組成物層を薄くすると、樹脂巻き付きを減らすことができるが、孔壁粗さが粗くなることがわかっており、二律相反の関係にある。本発明の課題は、水溶性樹脂組成物層の厚みを薄くしてドリルへの樹脂巻き付きを減らし、同時に、孔位置精度を低下させることなく、孔壁粗さの低減を実現するドリル孔明け用エントリーシートを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するため種々の検討を行った結果、従来のドリル孔明け用エントリーシートより水溶性樹脂組成物層を薄くしても、特定の水溶性樹脂、特定のポリエチレングリコール、特定の水溶性滑剤樹脂、及び特定の水溶性物質からなる水溶性樹脂組成物の層を金属箔表面に形成してなるドリル孔明け用エントリーシートが、上記課題を解決する事を見出した。すなわち本発明は、以下の通りである。
[1] 金属箔と、該金属箔の少なくとも片面に積層一体化された水溶性樹脂組成物の層とを具えるドリル孔明け用エントリーシートにおいて、
前記水溶性樹脂組成物が、
数平均分子量80,000〜400,000の水溶性樹脂(A)を30〜85重量部含み、
数平均分子量15,000〜25,000のポリエチレングリコール(B)を10〜60重量部含み、
水溶性滑剤樹脂(C)を5〜50重量部含み、
前記水溶性樹脂(A)、前記ポリエチレングリコール(B)および前記水溶性滑剤樹脂(C)からなる水溶性樹脂混合物(X)の100重量部に対して、多価アルコール類、アミノ酸誘導体アルコール類、有機酸類および有機酸塩類からなる群から選択された1種または2種以上の水溶性物質(Y)を0.1〜5重量部含む
ことを特徴とするドリル孔明け用エントリーシート。
[2] 前記水溶性樹脂(A)が、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラメチレングリコール及びポリアルキレングリコールのポリエステルからなる群から選択された1種もしくは2種以上である、上記[1]に記載のドリル孔明け用エントリーシート。
[3] 前記水溶性滑剤樹脂(C)が下記構造式(1)で示される、上記[1]に記載のドリル孔明け用エントリーシート。
Figure 0004798308
(式中、R2は水素または炭素数1〜3のアルキル基であり、R1はアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、下記式(2)で表されるアミド基および下記式(3)で表されるエステル基から選択された基であり、mは10〜450の整数であり、nは1〜5の整数である。)
Figure 0004798308
Figure 0004798308
(式中、R3は水素、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数2〜20のアルケニル基を表す。)
[4] 前記水溶性樹脂組成物は、100℃での溶融粘度が50 Pa・s以上である、上記[1]に記載のドリル孔明け用エントリーシート。
[5] 前記金属箔の厚みが0.05〜0.5 mmであり、前記水溶性樹脂組成物の層の厚みが0.01〜0.3 mmである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のドリル孔明け用エントリーシート。
本発明のドリル孔明け用エントリーシートを使用することにより、従来よりも水溶性樹脂組成物層の厚みを薄くしても孔位置精度を低下させることなく、さらに孔壁の粗さが小さく、ドリルへの樹脂巻きつきを軽減することができる。これにより、高品質で生産性に優れる孔明け加工が可能となった。
本発明は、金属箔と、該金属箔の少なくとも片面に積層一体化された水溶性樹脂組成物の層とを具えるドリル孔明け用エントリーシートにおいて、前記水溶性樹脂組成物が、数平均分子量80,000〜400,000の水溶性樹脂(A)を30〜85重量部含み、数平均分子量15,000〜25,000のポリエチレングリコール(B)を10〜60重量部含み、水溶性滑剤樹脂(C)を5〜50重量部含み、前記水溶性樹脂(A)、前記ポリエチレングリコール(B)および前記水溶性滑剤樹脂(C)からなる水溶性樹脂混合物(X)の100重量部に対して、多価アルコール類、アミノ酸誘導体アルコール類、有機酸類および有機酸塩類からなる群から選択された1種または2種以上の水溶性物質(Y)を0.1〜5重量部含むことを特徴とするドリル孔明け用エントリーシートであり、以下に示される方法で製造することができるが、これに限定されるものではない。
本発明のドリル孔明け用エントリーシートにおいて、水溶性樹脂混合物(X)としては、数平均分子量80,000〜400,000、好ましくは80,000〜150,000の水溶性樹脂(A)と、数平均分子量15,000〜25,000のポリエチレングリコール(B)と、好ましくは数平均分子量15,000以下、より好ましくは1,000〜10,000の水溶性滑剤樹脂(C)との混合物が用いられ、その配合量は、水溶性樹脂(A)、ポリエチレングリコール(B)および水溶性滑剤樹脂(C)の合計100重量部中、水溶性樹脂(A)が30〜85重量部、好ましくは40〜70重量部、ポリエチレングリコール(B)が10〜60重量部、好ましくは15〜50重量部、水溶性滑剤樹脂(C)が5〜50重量部、好ましくは15〜40重量部である。
水溶性樹脂(A)の数平均分子量が80,000未満の場合は、水溶性樹脂組成物層が脆くなることでの孔位置精度の低下、また、水溶性樹脂組成物の溶融粘度低下により孔壁粗さの悪化が懸念される。一方、水溶性樹脂(A)の数平均分子量が400,000を超えると、ドリルへの樹脂巻き付き量が増加し、孔位置精度の低下が懸念される。また、ポリエチレングリコール(B)の数平均分子量が15,000未満の場合は、水溶性樹脂組成物層が脆くなる。一方、ポリエチレングリコール(B)の数平均分子量が25,000を超えると、ドリルへの樹脂巻き付き量が増加し、孔位置精度の低下が懸念される。また、水溶性滑剤樹脂(C)の数平均分子量が15,000を超えると、ドリルへの樹脂巻き付き量が増加し、孔位置精度の低下が懸念されるため好ましくない。
また、水溶性樹脂(A)の配合量が30重量部未満の場合は、水溶性樹脂組成物の溶融粘度の低下により孔壁粗さの悪化が生じ、一方、85重量部を超えると、ドリルへの樹脂巻き付き量が増加し、孔位置精度の低下が懸念される。また、ポリエチレングリコール(B)の配合量が10重量部未満の場合は、シート表面が柔らかくなり孔位置精度の悪化が生じ、一方、60重量部を超えると、水溶性樹脂組成物の溶融粘度の低下により孔壁粗さの悪化が生じる。また、水溶性滑剤樹脂(C)の配合量が5重量部未満の場合は、切り屑の排出性が悪化し、孔壁粗さの悪化およびドリル折損が生じ、一方、50重量部を超えると、シート表面が柔らかくなり孔位置精度の悪化が懸念される。
本発明において好適に使用される水溶性樹脂(A)としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラメチレングリコール及びポリアルキレングリコールのポリエステルからなる群から選択された1種もしくは2種以上が好ましい。ここで、ポリアルキレングリコールのポリエステルとは、ポリアルキレングリコールと二塩基酸とを反応させて得られる縮合物である。ポリアルキレングリコールの例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールやこれらの共重合物で例示されるグリコール類が挙げられ、また、二塩基酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、およびピロメリット酸などの多価カルボン酸の部分エステル、それらの酸無水物などから選択することが好ましい。
本発明において使用される水溶性滑剤樹脂(C)は、下記構造式(1)で示される構造を有することが好ましい。式(1)中、mは10〜450、好ましくは10〜200の整数を示し、nは1〜5、好ましくは1〜3の整数を示す。mが10未満の場合、シートが脆くなり、孔位置精度の低下、内壁状態の悪化などが懸念される。また、R2は水素又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R1はアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、下記式(2)で表されるアミド基および下記式(3)で表されるエステル基から選択された基である。なお、式(2)および式(3)中、R3は水素、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数2〜20のアルケニル基を表す。
Figure 0004798308
Figure 0004798308
Figure 0004798308
R1は、より具体的には、例えばステアリルエーテル、イソステアリルエーテル等のアルキルエーテル、オレイルエーテル、アリルエーテル等のアルケニルエーテル、アリールエーテルもしくは置換アリールエーテルなどのエーテル結合に相当するステアリルオキシ基、イソステアリルオキシ基等のアルコキシ基、オレイルオキシ基、アリルオキシ基等のアルケニルオキシ基、フェノキシ基、置換フェノキシ基等のアリールオキシ基など;アルキルアミノなどのアミノ基;アルキルアミドなどのアミド基;並びにオレイン酸エステル、ステアリン酸エステルなどのエステル基からなる群から選択されることが好ましい。また、水溶性滑樹脂(C)は1種あるいは2種以上の併用が可能である。
一般的に、高分子の分子量は様々な分子量を持つ高分子の平均値をいう。平均分子量の算出方法には分子1個あたりの平均の分子量として算出される数平均分子量Mnや、重量に重みをつけて計算した重量平均分子量Mw等がある。本発明においての分子量とはGPCにて測定した数値とする。
本発明における数平均分子量は、水系GPC分析条件で行い、Shodex SB-G、Shodex SB-803HQとShodex SB-806MHQ(昭和電工株式会社製)のカラムを直列に並べ測定した値である。本発明においては、分析試料のキャリアを50 mM-NaCl水溶液とし、注入量 20μl、流速 0.7 ml/min、オーブン温度 35℃の条件下で、示差屈折率計(RID-6A、島津製作所株式会社製)にて測定し、標準物質としてポリエチレングリコールキット(POLYMER LABORATORIES Ltd.製)を使用して、高分子化合物の数平均分子量及び重量平均分子量を算出する。さらに得られたGPCデータを基に各ピーク成分を分取し、FT-IR(日本分光株式会社製FT/IR-6100)を用いて成分同定を行う。
本発明のドリル孔明け用エントリーシートに用いられる水溶性樹脂組成物は、100℃での溶融粘度が好ましくは50 Pa・s以上であり、より好ましくは50〜600 Pa・sである。水溶性樹脂組成物の溶融粘度が50 Pa・s以上であれば、孔壁粗さの低減に優れ、さらに600 Pa・s以下であれば、ドリルへの樹脂巻きつきが低減される。
本発明において、水溶性樹脂組成物の溶融粘度の測定方法には、内孔の底に取替え可能なキャピラリーを設置したヒータ付きシリンダから成る溶融粘度測定装置(CFT−500D:SHIMADZU(株)製)を用いた。シリンダに充填された溶融試料には、空気圧で試験圧力を加える。キャピラリーとしては、口径0.5 mm、長さ10.0 mmのものを使用した。この時の測定条件は、試験温度が100℃、試験圧力が980,000 Paとして、溶融粘度測定を実施した。
本発明において使用される水溶性物質(Y)は、多価アルコール類、アミノ酸誘導体アルコール類、有機酸類および有機酸塩類からなる群から選択された水溶性物質であれば特に限定されるものではなく、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用する事も可能である。水溶性物質(Y)として好ましいものは、多価アルコール類としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、ソルビトール、キシリトール、イノシトールなどが、アミノ酸誘導体アルコール類としては、チロシン、グリコシルアミンなどが、有機酸類としてはリンゴ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸などが、有機酸塩類としては、先に挙げた有機酸類の金属塩類が挙げられる。ここで、金属塩類としては、ナトリウム塩などが挙げられる。水溶性物質(Y)の配合量は、水溶性樹脂混合物(X)100重量部に対し、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜4重量部である。水溶性物質(Y)の配合量が前記の範囲外の場合は、ドリル孔明け加工時に、孔位置精度の低下やドリルへの樹脂巻き付きの増加、さらにはドリル折損をきたし好ましくない。
水溶性樹脂組成物の調製方法としては、水溶性樹脂(A)、ポリエチレングリコール(B)および水溶性滑剤樹脂(C)からなる水溶性樹脂混合物(X)を溶媒に溶解させてから、その溶液に水溶性物質(Y)を加えて水溶性樹脂組成物の溶液とする方法や、水溶性樹脂(A)、ポリエチレングリコール(B)および水溶性滑剤樹脂(C)からなる水溶性樹脂混合物(X)を熱溶解させてから、さらに水溶性物質(Y)を加えて水溶性樹脂組成物の熱溶解物とする方法などが例示される。
本発明のドリル孔明け用エントリーシートに使用される金属箔の金属種としてはアルミニウムが好ましく、金属箔の厚みは通常0.05〜0.5 mm、好ましくは0.05〜0.3 mmである。金属箔の厚みが0.05 mm未満では、ドリル孔明け加工時に積層板のバリが発生し易く、一方、0.5 mmを超えると、ドリル孔明け加工時に発生する切り粉の排出が困難になる。また、アルミニウム箔の材質としては、純度95%以上のアルミニウムが好ましく、具体的にはJIS-H4160に規定される、5052、3004、3003、1N30、1N99、1050、1070、1085、8021などが例示される。金属箔に高純度のアルミニウム箔を使うことで、ドリルビットの衝撃の緩和や食いつき性が向上し、水溶性樹脂組成物によるドリルビットの潤滑効果と相俟って、加工孔の孔位置精度が向上する。また、これらアルミニウム箔に、予め厚さ0.001〜0.01 mmの樹脂皮膜が形成されているアルミニウム箔を使用すると水溶性樹脂組成物との密着性の点から好ましい。樹脂皮膜に使用される樹脂は特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであっても良い。たとえば、熱可塑性樹脂としてはウレタン系、酢酸ビニル系、塩化ビニル系、ポリエステル系及びそれらの共重合体が例示される。熱硬化性樹脂としては、エポキシ系、シアネート系などの樹脂が例示される。ならびに、本発明の金属箔としては市販の金属箔に予め樹脂を公知の方法でコーティングしたものを用いても良い。
金属箔の少なくとも片面に水溶性樹脂組成物の層を形成する方法としては、予め水溶性樹脂組成物のシートを作製しておき、金属箔と貼り合わせるホットメルトラミネート法や、水溶性樹脂組成物の熱溶解物や溶液を直接金属箔に塗工、乾燥させるコーティング法などが例示される。なお、コーティング法で作製したエントリーシートは、従来のホットメルトラミネート法で作製したシートと比べて水溶性樹脂組成物層の厚さを薄くすることができるが、本発明の水溶性樹脂組成物を用いることで、孔あけ加工時の孔位置精度を低下させることなく、さらに孔壁粗さの低減に優れ、ドリルへの樹脂巻き付きが少ないという優れた特徴を保持している。また、ホットメルトラミネート法、コーティング法ともに、金属箔に予め樹脂皮膜が形成されていることは、金属箔と水溶性樹脂組成物層を積層一体化させる上で好都合である。
本発明のドリル孔明け用エントリーシートにおける水溶性樹脂組成物の層の厚みは、ドリル孔明け加工する際に使用するドリル径や加工する銅張積層板または多層板の構成などによって異なるが、通常0.01〜0.3 mmの範囲であり、0.02〜0.2 mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.12 mmの範囲である。水溶性樹脂組成物の層の厚みが、0.01 mm未満では、十分な潤滑効果が得られず、孔壁粗さの悪化、またドリルへの負荷が大きくなりドリル折損が生じる。一方、水溶性樹脂組成物の層の厚みが0.3 mmを超えると、ドリルへの樹脂の巻き付きが増加する場合がある。
ドリル孔明け用エントリーシートを構成する各層の厚みは、次のようにして測定する。エントリーシートの水溶性樹脂組成物層面からクロスセクションポリッシャー(CROSS-SECTION POLISHER SM-09010:日本電子データム(株)製)、またはウルトラミクロトーム(Leica社製)にてエントリーシートを切断後、SEM(VE-7800:KEYENCE製)にて断面に対して垂直方向から断面を観察し、900倍の視野にてアルミニウム層および水溶性樹脂組成物層の厚さを測定する。1視野に対して、5箇所の厚みを測定し、その平均を厚みとする。
本発明のドリル孔明け用エントリーシートを用いたドリル孔明け加工は、プリント配線材料、例えば銅張積層板または多層板をドリル孔明け加工する際に、銅張積層板または多層板を1枚または複数枚を重ねたものの少なくとも最上面に、該エントリーシートの金属箔側がプリント配線材料に接するように配置し、ドリル孔明け用エントリーシートの水溶性樹脂組成物層の面から、ドリル孔明け加工を行うものである。
なお、本発明のドリル孔明け用エントリーシートは、銅張り積層板や多層板の孔明け加工に限定されず、樹脂形成物、金属筐体、太陽電池等の加工にも適用できる。
以下に実施例、比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例および比較例に使用している水溶性樹脂(A)、ポリエチレングリコール(B)および水溶性滑剤樹脂(C)についてGPC測定を行い、その数平均分子量を表1に示す。また、水溶性樹脂組成物の層に含まれる各樹脂成分の数平均分子量については各実施例・比較例の項目内に記載している。
(実施例1)
数平均分子量 110,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL-11、明成化学工業株式会社製)60重量部と数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)20重量部とポリオキシエチレンステアリルアミン(S-220:青木油脂工業株式会社製)20重量部を、水溶性樹脂混合物100重量部が固形分30重量%になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分100重量部に対して1.0重量部のギ酸ナトリウム(三菱ガス化学株式会社製)を添加し、完全に溶解させて水溶性樹脂組成物を得た。この水溶性樹脂組成物の一部を乾燥機にて溶媒を十分除去した後、溶融粘度測定装置(CFT−500D:SHIMADZU(株)製)を用いて、キャピラリー口径0.5 mm、長さ1.0 mm、温度100℃、試験圧力980,000 Paを条件として水溶性樹脂組成物の溶融粘度を測定した。さらにこの水溶性樹脂組成物の水溶液を片面に厚み0.01mmのエポキシ樹脂皮膜を形成したアルミニウム箔(使用アルミニウム箔:1N30、(厚さ0.1mm)三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層の厚みが0.05 mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。このドリル孔明け用エントリーシートを、厚さ 0.8 mmの銅張積層板(CCL−HL832HS LT、銅箔両面 12μm、三菱ガス化学株式会社製)を3枚重ねた上に、水溶性樹脂組成物の層を上にして配置し、重ねた銅張積層板の下側には当て板(ベーク板)を配置して、ドリルビット:0.25 mmφ、回転数:120,000 rpm、送り速度:2.4 m/minの条件でドリルビット 1本につき 3,000 hitsで、20本のドリル孔明け加工を行い、孔壁粗さ、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量を評価して、表2に示す結果を得た。なお、水溶性樹脂組成物をGPCおよびIRスペクトル測定により分析したところ、数平均分子量94,600のポリエチレンオキサイド 61.9重量部、数平均分子量20,600のポリエチレングリコール 21.1重量部、数平均分子量2,800のポリオキシエチレンステアリルアミン17.0重量部およびギ酸ナトリウム 1.0重量部であった。孔壁粗さ、孔位置精度、樹脂巻き付きに対して良好な数値が得られた。
(実施例2)
数平均分子量 110,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL-11、明成化学工業株式会社製)30重量部と数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)60重量部と数平均分子量1,000のポリオキシエチレンステアリルエーテル(ノニオンS-220:日油株式会社製)10重量部を、水溶性樹脂混合物100重量部が固形分30重量%になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分100重量部に対して1.0重量部のギ酸ナトリウム(三菱ガス化学株式会社製)を添加し、完全に溶解させて水溶性樹脂組成物を得た。この水溶性樹脂組成物の溶融粘度を実施例1と同様にして測定し、その結果を表2に示した。なお、水溶性樹脂組成物をGPCおよびIRスペクトル測定により分析したところ、数平均分子量117,000のポリエチレンオキサイド 30.2重量部、数平均分子量21,600のポリエチレングリコール 59.6重量部、数平均分子量980のポリオキシエチレンステアリルエーテル 10.2重量部およびギ酸ナトリウム 1.0重量部であった。さらに実施例1と同様にして、ドリル孔明け用エントリーシートを作製し、孔明け加工性評価を行い、各評価結果を表2に示した。孔壁粗さ、孔位置精度、樹脂巻き付きに対して良好な数値が得られた。
(実施例3)
数平均分子量 100,000のポリエチレングリコール・ジメチルテレフタレート重縮合物(パオゲンPP-15、第一工業製薬株式会社製)40重量部と数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)55重量部と数平均分子量7,000のポリオキシエチレンステアリルエーテル(SR-7200:青木油脂工業株式会社製)5重量部を、水溶性樹脂混合物100重量部が固形分30重量%になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分100重量部に対して1.0重量部のギ酸ナトリウム(三菱ガス化学株式会社製)を添加し、完全に溶解させて水溶性樹脂組成物を得た。この水溶性樹脂組成物の溶融粘度を実施例1と同様にして測定し、その結果を表2に示した。なお、水溶性樹脂組成物をGPCおよびIRスペクトル測定により分析したところ、数平均分子量101,000のポリエチレングリコール・ジメチルテレフタレート重縮合物 38.5重量部、数平均分子量21,200のポリエチレングリコール 55.9重量部、数平均分子量6,800のポリオキシエチレンステアリルエーテル 5.6重量部およびギ酸ナトリウム 1.0重量部であった。さらに実施例1と同様にして、ドリル孔明け用エントリーシートを作製し、孔明け加工性評価を行い、各評価結果を表2に示した。孔壁粗さ、孔位置精度、樹脂巻き付きに対して良好な数値が得られた。
(実施例4)
数平均分子量 110,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL-11、明成化学工業株式会社製)85重量部と数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)10重量部と数平均分子量1,000のポリオキシエチレンステアリルエーテル(ノニオンS-220:日油株式会社製)5重量部を、水溶性樹脂混合物100重量部が固形分30重量%になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分100重量部に対して1.0重量部のギ酸ナトリウム(三菱ガス化学株式会社製)を添加し、完全に溶解させて水溶性樹脂組成物を得た。この水溶性樹脂組成物の溶融粘度を実施例1と同様にして測定し、その結果を表2に示した。なお、水溶性樹脂組成物をGPCおよびIRスペクトル測定により分析したところ、数平均分子量100,000のポリエチレンオキサイド 82.4重量部、数平均分子量18,300のポリエチレングリコール 11.3重量部、数平均分子量1,560のポリオキシエチレンステアリルエーテル 6.4重量部およびギ酸ナトリウム 1.0重量部であった。さらに実施例1と同様にして、ドリル孔明け用エントリーシートを作製し、孔明け加工性評価を行い、各評価結果を表2に示した。孔壁粗さ、孔位置精度、樹脂巻き付きに対して良好な数値が得られた。
(実施例5)
数平均分子量 80,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL-8、明成化学工業株式会社製)60重量部と数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)10重量部とポリオキシエチレンステアリルアミン(S-220:青木油脂工業株式会社製)30重量部を、水溶性樹脂混合物100重量部が固形分30重量%になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分100重量部に対して1.0重量部のギ酸ナトリウム(三菱ガス化学株式会社製)を添加し、完全に溶解させて水溶性樹脂組成物を得た。この水溶性樹脂組成物の溶融粘度を実施例1と同様にして測定し、その結果を表2に示した。なお、水溶性樹脂組成物をGPCおよびIRスペクトル測定により分析したところ、数平均分子量80,200のポリエチレンオキサイド 59.0重量部、数平均分子量18,900のポリエチレングリコール 13.4重量部、数平均分子量2,300のポリオキシエチレンステアリルアミン27.6重量部およびギ酸ナトリウム 1.0重量部であった。さらに実施例1と同様にして、ドリル孔明け用エントリーシートを作製し、孔明け加工性評価を行い、各評価結果を表2に示した。孔壁粗さ、孔位置精度、樹脂巻き付きに対して良好な数値が得られた。
(実施例6)
数平均分子量 100,000のポリエチレングリコール・ジメチルテレフタレート重縮合物(パオゲンPP-15、第一工業製薬株式会社製)40重量部と数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)55重量部と数平均分子量3,500のポリオキシエチレンモノステアレート(ノニオンS-40:日油株式会社製)5重量部を、水溶性樹脂混合物100重量部が固形分30重量%になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分100重量部に対して1.0重量部のギ酸ナトリウム(三菱ガス化学株式会社製)を添加し、完全に溶解させて水溶性樹脂組成物を得た。この水溶性樹脂組成物の溶融粘度を実施例1と同様にして測定し、その結果を表2に示した。なお、水溶性樹脂組成物をGPCおよびIRスペクトル測定により分析したところ、数平均分子量103,300のポリエチレングリコール・ジメチルテレフタレート重縮合物 39.4重量部、数平均分子量21,900のポリエチレングリコール 54.3重量部、数平均分子量3,500のポリオキシエチレンモノステアレート 6.3重量部およびギ酸ナトリウム 1.0重量部であった。さらに実施例1と同様にして、ドリル孔明け用エントリーシートを作製し、孔明け加工性評価を行い、各評価結果を表2に示した。孔壁粗さ、孔位置精度、樹脂巻き付きに対して良好な数値が得られた。
(実施例7)
数平均分子量 100,000のポリエチレングリコール・ジメチルテレフタレート重縮合物(パオゲンPP-15、第一工業製薬株式会社製)40重量部と数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)55重量部と数平均分子量3,500のポリオキシエチレンモノステアレート(ノニオンS-40:日油株式会社製)5重量部を、水溶性樹脂混合物100重量部が固形分30重量%になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分100重量部に対して1.0重量部のペンタエリスリトール(三菱ガス化学株式会社製)を添加し、完全に溶解させて水溶性樹脂組成物を得た。この水溶性樹脂組成物の溶融粘度を実施例1と同様にして測定し、その結果を表2に示した。なお、水溶性樹脂組成物をGPCおよびIRスペクトル測定により分析したところ、数平均分子量93,200のポリエチレングリコール・ジメチルテレフタレート重縮合物 39.0重量部、数平均分子量20,400のポリエチレングリコール 55.0重量部、数平均分子量3,500のポリオキシエチレンモノステアレート 6.0重量部およびペンタエリスリトール 1.0重量部であった。さらに実施例1と同様にして、ドリル孔明け用エントリーシートを作製し、孔明け加工性評価を行い、各評価結果を表2に示した。孔壁粗さ、孔位置精度、樹脂巻き付きに対して良好な数値が得られた。
(比較例1)
数平均分子量 110,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL-11、明成化学工業株式会社製)10重量部と数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)60重量部とポリオキシエチレンステアリルアミン(S-220:青木油脂工業株式会社製)30重量部を、水溶性樹脂混合物100重量部が固形分30重量%になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分100重量部に対して1.0重量部のギ酸ナトリウム(三菱ガス化学株式会社製)を添加し、完全に溶解させて水溶性樹脂組成物を得た。この水溶性樹脂組成物の溶融粘度を実施例1と同様にして測定し、その結果を表2に示した。さらに実施例1と同様にして、ドリル孔明け用エントリーシートを作製し、孔明け加工性評価を行い、各評価結果を表2に示した。孔壁粗さが悪化する結果が得られた。
(比較例2)
数平均分子量 110,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL-11、明成化学工業株式会社製)90重量部と数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)8重量部とポリオキシエチレンステアリルアミン(S-220:青木油脂工業株式会社製)2重量部を、水溶性樹脂混合物の固形分が30重量%になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分100重量部に対して1.0重量部のギ酸ナトリウム(三菱ガス化学株式会社製)を添加し、完全に溶解させて水溶性樹脂組成物を得た。この水溶性樹脂組成物の溶融粘度を実施例1と同様にして測定し、その結果を表2に示した。さらに実施例1と同様にして、ドリル孔明け用エントリーシートを作製し、孔明け加工性評価を行い、各評価結果を表2に示した。ドリルへの樹脂巻き付き量が増加する結果が得られた。
(比較例3)
数平均分子量 60,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL-6、明成化学工業株式会社製)40重量部と数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)55重量部とポリオキシエチレンステアリルアミン(S-220:青木油脂工業株式会社製)5重量部を、水溶性樹脂混合物の固形分が30重量%になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分100重量部に対して1.0重量部のギ酸ナトリウム(三菱ガス化学株式会社製)を添加し、完全に溶解させて水溶性樹脂組成物を得た。この水溶性樹脂組成物の溶融粘度を実施例1と同様にして測定し、その結果を表2に示した。なお、水溶性樹脂組成物をGPCおよびIRスペクトル測定により分析したところ、数平均分子量65,200のポリエチレンオキサイド 37.2重量部、数平均分子量21,900のポリエチレングリコール58.0重量部、数平均分子量3,700のポリオキシエチレンステアリルアミン 4.8重量部およびギ酸ナトリウム 1.0重量部であった。さらに実施例1と同様にして、ドリル孔明け用エントリーシートを作製し、孔明け加工性評価を行い、各評価結果を表2に示した。孔壁粗さが悪化する結果が得られた。
(比較例4)
数平均分子量 100,000のポリエチレングリコール・ジメチルテレフタレート重縮合物(パオゲンPP-15、第一工業製薬株式会社製)40重量部と数平均分子量10,000のポリエチレングリコール(PEG10000、青木油脂工業株式会社製)55重量部と数平均分子量3,500のポリオキシエチレンモノステアレート(ノニオンS-40:日油株式会社製)5重量部を、水溶性樹脂混合物100重量部が固形分30重量%になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分100重量部に対して1.0重量部のギ酸ナトリウム(三菱ガス化学株式会社製)を添加し、完全に溶解させて水溶性樹脂組成物を得た。この水溶性樹脂組成物の溶融粘度を実施例1と同様にして測定し、その結果を表2に示した。なお、水溶性樹脂組成物をGPCおよびIRスペクトル測定により分析したところ、数平均分子量91,100のポリエチレングリコール・ジメチルテレフタレート重縮合物40.6重量部、数平均分子量10,000のポリエチレングリコール 54.9重量部、数平均分子量2,600のポリオキシエチレンモノステアレート4.5重量部およびギ酸ナトリウム 1.0重量部であった。さらに実施例1と同様にして、ドリル孔明け用エントリーシートを作製し、孔明け加工性評価を行い、各評価結果を表2に示した。孔壁粗さ、孔位置精度が悪化する結果が得られた。
(比較例5)
数平均分子量 100,000のポリエチレングリコール・ジメチルテレフタレート重縮合物(パオゲンPP-15、第一工業製薬株式会社製)40重量部と数平均分子量3,500のポリオキシエチレンモノステアレート(ノニオンS-40:日油株式会社製)60重量部を、水溶性樹脂混合物100重量部が固形分30重量%になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分100重量部に対して1.0重量部のギ酸ナトリウム(三菱ガス化学株式会社製)を添加し、完全に溶解させて水溶性樹脂組成物を得た。この水溶性樹脂組成物の溶融粘度を実施例1と同様にして測定し、その結果を表2に示した。なお、水溶性樹脂組成物をGPCおよびIRスペクトル測定により分析したところ、数平均分子量95,400のポリエチレングリコール・ジメチルテレフタレート重縮合物40.7重量部、数平均分子量3,600のポリオキシエチレンモノステアレート59.3重量部およびギ酸ナトリウム 1.0重量部であった。さらに実施例1と同様にして、ドリル孔明け用エントリーシートを作製し、孔明け加工性評価を行い、各評価結果を表2に示した。孔壁粗さ、孔位置精度が悪化する結果が得られた。
(比較例6)
数平均分子量 100,000のポリエチレングリコール・ジメチルテレフタレート重縮合物(パオゲンPP-15、第一工業製薬株式会社製)50重量部と数平均分子量3,500のポリオキシエチレンモノステアレート(ノニオンS-40:日油株式会社製)50重量部を、水溶性樹脂混合物100重量部が固形分30重量%になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分100重量部に対して1.0重量部のギ酸ナトリウム(三菱ガス化学株式会社製)を添加し、完全に溶解させて水溶性樹脂組成物を得た。この水溶性樹脂組成物の溶融粘度を実施例1と同様にして測定し、その結果を表2に示した。なお、水溶性樹脂組成物をGPCおよびIRスペクトル測定により分析したところ、数平均分子量90,800のポリエチレングリコール・ジメチルテレフタレート重縮合物50.4重量部、数平均分子量3,700のポリオキシエチレンモノステアレート49.6重量部およびギ酸ナトリウム 1.0重量部であった。さらに実施例1と同様にして、ドリル孔明け用エントリーシートを作製し、孔明け加工性評価を行い、各評価結果を表2に示した。孔壁粗さが悪化する結果が得られた。
Figure 0004798308
Figure 0004798308
<評価方法>
1)溶融粘度:
水溶性樹脂組成物の一部を乾燥機にて溶媒を十分除去した後、溶融粘度測定装置(CFT−500D:SHIMADZU(株)製)を用いて、キャピラリー口径 0.5 mm、長さ 10.0 mm、温度 100℃、試験圧力 980,000 Paを条件として水溶性樹脂組成物の溶融粘度を測定した。
2)内壁粗さ:
ドリル孔明け加工後、重ねられた銅張積層板の中の1番上の銅張積層板を加工孔の中心を通る断面で切断して研磨し、孔壁の1側面での最大凸部から最深凹部までの距離を測定した。測定箇所は、ドリル1本ごとに2996孔目から3000孔目の加工孔側面10箇所であり、ドリル5本の計50箇所の平均値を内壁粗さの平均値とした。また、最大値の平均値とは、ドリル1本ごとの最大値のドリル5本分での平均である。
3)孔位置精度:
重ねた銅張積層板の最下板の裏面における3,000 hitの孔位置と指定座標とのズレをホールアナライザー(日立ビアメカニクス製)にて測定し、ドリル1本分ごとに平均値と標準偏差(σ)を計算し、平均値+3σと最大値を算出し、ドリル孔明け加工20回分の平均値を表記した。
4)樹脂巻き付き量:
3,000 hit加工後のドリルビット 20本それぞれにつき倍率 25倍のマイクロスコープにて観察し、ドリルビット径に対する樹脂の巻き付きの最大径及びドリル軸方向の長さを測定し、巻き付いた樹脂の体積を求め、20本の平均値を計算した。
5)数平均分子量および成分同定:
Shodex SB-G、Shodex SB-803HQとShodex SB-806MHQ(昭和電工株式会社製)のカラムを直列に並べた水系GPC分析条件で行った。分析試料のキャリアを50 mM-NaCl水溶液とし、注入量 20μl、流速 0.7 ml/min、オーブン温度 35℃の条件下で、示差屈折率計(RID-6A、島津製作所株式会社製)にて測定し、標準物質としてポリエチレングリコールキット(POLYMER LABORATORIES Ltd.製)を使用して、高分子化合物の数平均分子量及び重量平均分子量を算出する。さらに得られたGPCデータを基に各ピーク成分を分取し、FT-IR(日本分光株式会社製FT/IR-6100)を用いて成分同定を行った。

Claims (5)

  1. 金属箔と、該金属箔の少なくとも片面に積層一体化された水溶性樹脂組成物の層とを具えるドリル孔明け用エントリーシートにおいて、
    前記水溶性樹脂組成物が、
    数平均分子量80,000〜400,000の水溶性樹脂(A)を30〜85重量部含み、
    数平均分子量15,000〜25,000のポリエチレングリコール(B)を10〜60重量部含み、
    水溶性滑剤樹脂(C)を5〜50重量部含み、
    前記水溶性樹脂(A)、前記ポリエチレングリコール(B)および前記水溶性滑剤樹脂(C)からなる水溶性樹脂混合物(X)の100重量部に対して、多価アルコール類、アミノ酸誘導体アルコール類、有機酸類および有機酸塩類からなる群から選択された1種または2種以上の水溶性物質(Y)を0.1〜5重量部含む
    ことを特徴とするドリル孔明け用エントリーシート。
  2. 前記水溶性樹脂(A)が、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラメチレングリコール及びポリアルキレングリコールのポリエステルからなる群から選択された1種もしくは2種以上である、請求項1に記載のドリル孔明け用エントリーシート。
  3. 前記水溶性滑剤樹脂(C)が下記構造式(1)で示される、請求項1に記載のドリル孔明け用エントリーシート。
    Figure 0004798308
    (式中、R2は水素または炭素数1〜3のアルキル基であり、R1はアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、下記式(2)で表されるアミド基および下記式(3)で表されるエステル基から選択された基であり、mは10〜450の整数であり、nは1〜5の整数である。)
    Figure 0004798308
    Figure 0004798308
    (式中、R3は水素、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数2〜20のアルケニル基を表す。)
  4. 前記水溶性樹脂組成物は、100℃での溶融粘度が50〜600 Pa・sである、請求項1に記載のドリル孔明け用エントリーシート。
  5. 前記金属箔の厚みが0.05〜0.5 mmであり、前記水溶性樹脂組成物の層の厚みが0.01〜0.3 mmである、請求項1〜4のいずれかに記載のドリル孔明け用エントリーシート。
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