JP4821930B2 - ドリル孔明け用エントリーシート - Google Patents

ドリル孔明け用エントリーシート

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Description

本発明は、銅張積層板や多層板のドリル孔明け加工の際に使用されるドリル孔明け用エントリーシートに関する。
プリント配線板材料に使用される銅張積層板や多層板のドリル孔明け加工方法としては、銅張積層板または多層板を1枚または複数枚重ねて、その最上部に当て板としてアルミ箔単体またはアルミ箔表面に樹脂組成物層を形成したシート(以下、本明細書ではこの「シート」を通常「ドリル孔明け用エントリーシート」という)を配置して孔明け加工を行う方法が一般的に採用されている。近年、プリント配線板材料に対する信頼性向上の要求や高密度化の進展に伴い、孔位置精度の向上や孔壁粗さの低減などの高品質の孔明け加工が求められている。これに対応するため、ポリエチレングリコールなどの水溶性樹脂からなるシートを使用した孔明け加工法(例えば特許文献1参照)、金属箔に水溶性樹脂層を形成した孔明け用滑剤シート(例えば特許文献2参照)、熱硬化性樹脂薄膜を形成したアルミニウム箔に水溶性樹脂層を形成した孔明け用エントリーシート(例えば特許文献3参照)などが提案・実用化されている。近年、プリント配線板の更なる高密度化において銅張積層板や多層板の加工孔間の導通信頼性が求められている。そのためには孔位置精度をさらに向上させる必要がある。またドリルへの樹脂巻き付きを低減することでドリル折損率を低下させて生産性を向上することも必要となる。このため、孔位置精度の向上、及びドリルへの樹脂巻き付きの低減といった効果を持つ水溶性樹脂層から形成されるドリル孔明け用エントリーシートが切望されている。
特開平4−92494号公報 特開平5−169400号公報 特開2003−136485号公報
本発明の課題は、従来のドリル孔明け用エントリーシートよりも孔位置精度に優れ、ドリルへの樹脂巻き付きが少なく、さらに加工屑の排出性を向上させることでドリルの折損率を低下させることを特徴とするドリル孔明け用エントリーシートの提供にある。
本発明者らは、上記の課題を解決するため種々の検討を行った結果、特定のポリエチレングリコール、特定のポリエチレンオキサイドおよび特定の水溶性物質からなる水溶性樹脂組成物(B)を、金属箔表面に形成したドリル孔明け用エントリーシートが、上記課題を解決する事を見出した。すなわち本発明は、数平均分子量15,000〜35,000のポリエチレングリコール80〜98重量部と数平均分子量50,000〜200,000のポリエチレンオキサイド2〜20重量部からなる水溶性樹脂混合物(A)に、更に、多価アルコール類、アミノ酸誘導体アルコール類、有機酸類及び有機酸塩類からなる群から選択された1種もしくは2種以上の水溶性物質を該水溶性樹脂混合物(A)100重量部に対し、0.1〜5重量部を含む水溶性樹脂組成物(B)を、金属箔の少なくとも片面に積層一体化して形成した銅張積層板のドリル孔明け用エントリーシートである。
本発明の水溶性樹脂混合物(A)に含まれる前記ポリエチレンオキサイドの多分散度(Mw/Mn)は、2.5以下が好ましい。本発明の水溶性樹脂混合物(A)は、さらに前記ポリエチレングリコール及びポリエチレンオキサイドの合計100重量部に対して1〜80重量部の水溶性滑剤樹脂を含むものが好ましく、該水溶性滑剤樹脂の数平均分子量は15,000以下で、100℃での溶融粘度は10Pa.s以下が好ましい。
また本発明のドリル孔明け用エントリーシートは、厚み0.05〜0.5mmの金属箔の少なくとも片面に、該水溶性樹脂組成物(B)を厚み0.02〜0.3mmの層に積層一体化して形成することが好ましい。
本発明のドリル孔明け用エントリーシートを使用することにより、ドリルへの樹脂巻き付きが低減することおよび加工屑の排出性を向上させることで、孔明け加工時における孔位置精度が向上し、かつドリル折損率が低減した。これにより、高品質で、生産性に優れる孔明け加工が可能となる。
本発明は、金属箔の少なくとも片面に、水溶性樹脂混合物(A)と水溶性物質とからなる水溶性樹脂組成物(B)の層が形成されているドリル孔明け用エントリーシートである。
一般的に、高分子の分子量は様々な分子量を持つ高分子の平均値をいう。平均分子量の算出方法には分子1個あたりの平均の分子量として算出される数平均分子量Mnや、重量に重みをつけて計算した重量平均分子量Mw等がある。本発明においての分子量とはGPCにて測定した数値とする。
本発明における数平均分子量の測定方法は、水系GPC分析条件で行い、ShodexSB−G、ShodexSB−803HQとShodexSB−806MHQ(いずれも昭和電工株式会社製)のカラムを直列に並べ測定したものである。分析試料のキャリアを50mM−NaCl水溶液とし注入量20μl、流速0.7ml/min、オーブン温度35℃条件下で示差屈折率計(RID−6A、島津製作所株式会社製)にて測定し、標準物質としてポリエチレングリコールキット(POLYMER LABORATORIES Ltd.製)を使用して、高分子化合物の数平均分子量及び重量平均分子量を算出する。
多分散度Mw/Mnとは、分子量分布を持つ高分子化合物の重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで割ったものであり、この値が大きいほど分子量分布が広く、小さいほど分子量分布が狭いことを表す。
本発明のドリル孔明け用エントリーシートの水溶性樹脂混合物としては、数平均分子量15,000〜35,000、好ましくは18,000〜25,000のポリエチレングリコールと数平均分子量50,000〜200,000、好ましくは60,000〜150,000のポリエチレンオキサイドとの混合物が用いられ、その配合量は、ポリエチレングリコールが80〜98重量部、ポリエチレンオキサイドが2〜20重量部である。ポリエチレングリコールの数平均分子量が前記の範囲外の場合は、水溶性樹脂組成物(B)が脆くなることでの孔位置精度の低下及びドリルへの樹脂巻き付き増加が懸念されるため好ましくない。またポリエチレンオキサイドの数平均分子量が前記の範囲外の場合は、ドリルへの樹脂巻き付き増加によるドリル折損や孔位置精度の低下が懸念されるため好ましくない。ポリエチレングリコールの配合量が80重量部未満の場合は、ドリルへの樹脂巻き付きが生じ、孔位置精度の低下およびドリル折損の悪影響が生じるため好ましくなく、98重量部を超えると、水溶性樹脂組成物(B)が脆くなり、シート形成ができず、孔位置精度の低下が懸念される。
本発明において、ポリエチレンオキサイドはその多分散度が通常2.5以下、好ましくは2.0以下のものが用いられる。ポリエチレンオキサイドの多分散度が2.5を超えるとドリルへの樹脂巻き付きが増加し、孔位置精度の低下およびドリル折損の悪影響が生じる。
本発明において使用される水溶性物質は、多価アルコール類、アミノ酸誘導体アルコール類、有機酸類および有機酸塩類からなる群から選択された水溶性物質であれば特に限定されるものではなく、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用する事も可能である。これらの水溶性物質として好ましいものは、多価アルコール類としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、ソルビトール、キシリトール、イノシトールなどが、アミノ酸誘導体アルコール類としてはチロシン、グリコシルアミンなどが、有機酸類としてはリンゴ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸などが、有機酸塩類としては、先に挙げた有機酸類の金属塩類が挙げられる。水溶性物質の配合量は、水溶性樹脂混合物(A)100重量部に対し、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜4重量部である。水溶性物質が前記の範囲外の場合は、ドリル孔明け加工時、ドリルへの樹脂巻き付きの増加または孔位置精度の低下もしくはドリル折損をきたし、好ましくない。
本発明において、ポリエチレングリコールとポリエチレンオキサイドとの混合物である水溶性樹脂混合物(A)にさらに水溶性滑材樹脂を加えることで、孔明け加工時における位置精度が向上し、また加工屑の排出性が向上し、さらにドリル折損率が低減する。
本発明のドリル孔明け用エントリーシートに用いられる水溶性滑剤樹脂は、数平均分子量が15,000以下の水溶性滑剤樹脂が好ましい。また水溶性滑材樹脂は、ポリオキシアルキレンの末端に置換基を有する構造であり、置換基としては、エーテル基、アミノ基、アミド基およびエステル基からなる群から選ばれる1種もしくは2種以上の基を有するのが好ましい。エーテル基としてはステアリルエーテル、オレイルエーテル、イソステアリルエーテル、フェニルエーテルなどが、アミノ基としては1級アルキルアミン、2級アルキルアミンなどが、アミド基としてはアルキルアミドなどが、エステル基としては脂肪酸エステル、脂肪酸ジエステルなどが好ましい。さらに、水溶性滑剤樹脂は100℃での溶融粘度が10Pa.s以下である。なお、水溶性滑剤樹脂の溶融粘度が10Pa.sを超えた場合、ドリルへの巻き付き量が増加し孔位置精度の悪化、ドリルの折損発生が懸念される。さらに、滑材としてソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸エステルなどの化合物の添加も好ましい。
水溶性滑材樹脂の配合量は、ポリエチレングリコール及びポリエチレンオキサイドの合計100重量部に対して1〜80重量部である。
水溶性滑剤樹脂の溶融粘度の測定方法に用いる試験装置は内孔の底に取替え可能なキャピラリーを設置したヒータ付きシリンダから成るものである。シリンダに充填された溶融試料には、エアーで試験圧力を加える。キャピラリー口径0.5mm、長さを10.0mmとする。この時の条件は試験温度が100℃、試験圧力が980000Paである。
本発明のドリル孔明け用エントリーシートに使用される金属箔の金属種としてはアルミニウムが好ましく、金属箔の厚みは通常0.05〜0.5mm、好ましくは0.05〜0.3mmである。アルミニウム箔の厚みが0.05mm未満ではドリル孔明け加工時に、積層板のバリが発生し易く、0.5mmを超えると、ドリル孔明け加工時に発生する加工屑の排出が困難になる。アルミニウム箔の材質としては、純度95%以上のアルミニウムが好ましく、具体的にはJIS−H4160に規定される、5052、3004、3003、1N30、1N99、1050、1070、1085、8021などが例示される。金属箔に高純度のアルミニウム箔を使うことでドリルビットの衝撃の緩和や食いつき性が向上し、水溶性樹脂組成物(B)によるドリルビットの潤滑効果と相俟って、加工孔の孔位置精度が向上する。また、これらアルミニウム箔に、予め厚さ0.001〜0.01mmの接着用皮膜が形成されているアルミニウム箔を使用すると水溶性樹脂組成物(B)との密着性の点から好ましい。接着用皮膜に使用される接着剤としては、ウレタン系、酢酸ビニル系、塩化ビニル系、ポリエステル系及び、それらの共重合体や、エポキシ系、シアネート系などの接着剤が例示される。
金属箔の少なくとも片面に水溶性樹脂組成物(B)の層を形成させる方法としては、金属箔の少なくとも片面に直接水溶性樹脂組成物(B)の熱溶解物や溶液をコーティング法などにより塗工、乾燥させる方法や予め水溶性樹脂組成物(B)のシートを作製しておき、金属箔と貼り合わせる方法などが例示される。その際、金属箔に予め接着用皮膜が形成されていると金属箔と水溶性樹脂組成物(B)の層を積層一体化させる上で好都合である。
本発明のドリル孔明け用エントリーシートにおける水溶性樹脂組成物(B)の層の厚みは、ドリル孔明け加工する際に使用するドリルビット径や加工する銅張積層板または多層板の構成などによって異なるが、通常0.02〜0.3mmの範囲であり、0.02〜0.2mmの範囲が好ましい。水溶性樹脂組成物(B)の層の厚みが、0.02mm未満では十分な潤滑効果が得られず、ドリルへの負荷が大きくなりドリル折損が生じる。0.3mmを超えると、ドリルビットへのエントリーシート樹脂の巻き付きが増加する場合がある。
構成される層の厚みの測定方法として、エントリーシートの樹脂組成物層面からクロスセクションポリッシャー(CROSS−SECTION POLISHER SM−09010:日本電子データム(株)製)にて切断後、SEM(VE−7800:KEYENCE製)にて断面に対して垂直方向から観察し、900倍の視野にて水溶性樹脂組成物層の厚みを測定する。1視野に対して、5箇所の厚みを測定し、その平均を厚みとする。
本発明のドリル孔明け用エントリーシートは、プリント配線材料、例えば銅張積層板または多層板をドリル孔明け加工する際に、銅張積層板または多層板を1枚または複数枚を重ねたものの少なくとも最上面に、該エントリーシートの金属箔側がプリント配線材料に接するように配置し、ドリル孔明け用エントリーシートの水溶性樹脂組成物(B)の面から、ドリル孔明け加工を行うものである。以下に実施例、比較例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、本明細書では実施例および比較例において、「ポリエチレングリコール」を「PEG」、「ポリエチレンオキサイド」を「PEO」と略記することがある。
[実施例1]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)98重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=60,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL−6、明成化学工業株式会社製)2重量部を該水溶性樹脂混合物の100重量部の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分100重量部に対して1.0重量部のギ酸ナトリウムを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。このドリル孔明け用エントリーシートを、厚さ0.2mmの銅張積層板(CCL−HL832、銅箔両面12μm、三菱ガス化学株式会社製)を4枚重ねた上に、水溶性樹脂組成物の層を上にして配置し、重ねた銅張積層板の下側には当て板(ベーク板)を配置してドリルビット:0.15mmφ、回転数:200,000rpm、送り速度:20μm/rev.の条件でドリルビット1本につき3,000hitで、20本のドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量の評価を行った結果を表1に示した。さらに、厚さ0.1mmの銅張積層板(CCL−HL832HS、銅箔両面4μm、三菱ガス化学株式会社製)を4枚重ねた上に、水溶性樹脂組成物の層を上にして配置し、重ねた銅張積層板の下側には当て板(ベーク板)を配置してドリルビット:0.08mmφ、回転数:300,000rpm、送り速度:8μm/rev.の条件でドリルビット1本につき3,000hitで、20本のドリル孔明け加工を行い、ドリル折損性の評価を行った結果も表1に示した。孔位置精度、樹脂巻き付き及びドリル折損に対して良好な数値が得られた。
[実施例2]
数平均分子量35,000のポリエチレングリコール(クラリアントジャパン社製)98重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=60,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL−6、明成化学工業株式会社製)2重量部を該水溶性樹脂混合物の100重量部の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して1.0重量部のギ酸ナトリウムを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。孔位置精度、樹脂巻き付き及びドリル折損に対して良好な数値が得られた。
[実施例3]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)90重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=80,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL−8、明成化学工業株式会社製)10重量部を水溶性樹脂混合物の100重量部の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して1.0重量部のギ酸ナトリウムを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。孔位置精度、樹脂巻き付き及びドリル折損に対して良好な数値が得られた。
[実施例4]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)90重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=110,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL−11、明成化学工業株式会社製)10重量部を水溶性樹脂混合物の100重量部の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して1.0重量部のギ酸ナトリウムを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。孔位置精度、樹脂巻き付き及びドリル折損に対して良好な数値が得られた。
[実施例5]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)95重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=110,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL−11、明成化学工業株式会社製)5重量部を水溶性樹脂混合物の100重量部の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して1.0重量部のペンタエリスリトールを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。孔位置精度、樹脂巻き付き及びドリル折損に対して良好な数値が得られた。
[実施例6]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)90重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=150,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL−15、明成化学工業株式会社製)10重量部を水溶性樹脂混合物の100重量部の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して1.0重量部のペンタエリスリトールを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。孔位置精度、樹脂巻き付き及びドリル折損に対して良好な数値が得られた。
[実施例7]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)95重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=80,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL−8、明成化学工業株式会社製)5重量部とポリエチレングリコールとポリエチレンオキサイドとの水溶性樹脂混合物100重量部に対してポリオキシエチレンステアリルエーテル(S−220:日油株式会社製)2重量部を水溶性樹脂混合物の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して1.0重量部のギ酸ナトリウムを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。孔位置精度、樹脂巻き付き及びドリル折損に対して良好な数値が得られた。
[実施例8]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)95重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=80,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL−8、明成化学工業株式会社製)5重量部とポリエチレングリコールとポリエチレンオキサイドとの水溶性樹脂混合物100重量部に対してポリオキシエチレンステアリルエーテル(S−220:日油株式会社製)10重量部を水溶性樹脂混合物の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して1.0重量部のギ酸ナトリウムを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。孔位置精度、樹脂巻き付き及びドリル折損に対して良好な数値が得られた。
[実施例9]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)95重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=80,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL−8、明成化学工業株式会社製)5重量部とポリエチレングリコールとポリエチレンオキサイドとの水溶性樹脂混合物100重量部に対してポリオキシエチレンステアリルエーテル(S−220:日油株式会社製)80重量部を該水溶性樹脂の混合物の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して1.0重量部のギ酸ナトリウムを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。孔位置精度、樹脂巻き付き及びドリル折損に対して良好な数値が得られた。
[比較例1]
数平均分子量10,000のポリエチレングリコール(PEG10000、三洋化成工業株式会社製)98重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=60,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL−6、明成化学工業株式会社製)2重量部を水溶性樹脂混合物の100重量部の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して1.0重量部のギ酸ナトリウムを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。シート強度が十分に得られずに、孔位置精度の悪化及びドリル折損数も増加した。
[比較例2]
数平均分子量40,000のポリエチレングリコール(青木油脂工業株式会社)98重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=60,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL−6、明成化学工業株式会社製)2重量部を水溶性樹脂混合物の100重量部の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して1.0重量部のギ酸ナトリウムを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。シート強度が十分に得られずに、孔位置精度の悪化が見られ、ドリル折損数も増加した。
[比較例3]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)90重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=48,000のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製)10重量部を水溶性樹脂混合物の100重量部の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して1.0重量部のギ酸ナトリウムを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。樹脂巻き付きが増加することで孔位置精度の悪化が見られ、ドリル折損数も増加した。
[比較例4]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)90重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=300,000のポリエチレンオキサイド(R−1000、明成化学工業株式会社)10重量部を水溶性樹脂混合物の100重量部の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して1.0重量部のギ酸ナトリウムを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。樹脂巻き付きが増加することで孔位置精度の悪化が見られ、ドリル折損数も増加した。
[比較例5]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)75重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=110,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL−11、明成化学工業株式会社製)25重量部を水溶性樹脂混合物の100重量部の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して1.0重量部のギ酸ナトリウムを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。また、実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。樹脂巻き付きが増加することで孔位置精度の悪化が見られ、ドリル折損数も増加した。
[比較例6]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)の固形分100重量部が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂の固形分に対して1.0重量部のギ酸ナトリウムを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。シート強度が十分に得られずに、孔位置精度の悪化が見られ、ドリル折損数も増加した。
[比較例7]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)95重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=110,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL−11、明成化学工業株式会社製)5重量部を該水溶性樹脂の混合物の100重量部の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。樹脂巻き付きが増加することで孔位置精度の悪化が見られ、ドリル折損数も増加した。
[比較例8]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)95重量部と多分散度Mw/Mn=1.5、数平均分子量Mn=110,000のポリエチレンオキサイド(アルコックスL−11、明成化学工業株式会社製)5重量部を該水溶性樹脂の混合物の100重量部の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して7.5重量部のペンタエリスリトールを添加し溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。水溶性物質を過剰に添加したために孔位置精度の最大値が大きくなり、孔位置精度が悪化し、ドリル折損数も増加した。
[比較例9]
数平均分子量20,000のポリエチレングリコール(PEG20000、三洋化成工業株式会社製)90重量部と多分散度Mw/Mn=4.5、数平均分子量Mn=150,000のポリエチレンオキサイド(アルトップR−400、明成化学工業株式会社製)10重量部を該水溶性樹脂の混合物の100重量部の固形分が30重量部になるよう水に溶解させた。さらにこの水溶性樹脂混合物の固形分に対して1.0重量部のペンタエリスリトールを添加し完全に溶解させた。この水溶性樹脂組成物の水溶液を厚み0.1mmのアルミニウム箔(1N30、三菱アルミニウム株式会社製)にバーコーターを用いて乾燥後の水溶性樹脂組成物層が0.03mmになるように塗布し、乾燥機にて120℃、3分間乾燥させ、ドリル孔明け用エントリーシートを得た。また、実施例1と同様にしてドリル孔明け加工を行い、孔位置精度、ドリルビットへの樹脂巻き付き量、ドリル折損の評価を行った結果を表1に示した。樹脂巻き付きが増加することで孔位置精度の悪化が見られ、ドリル折損数も増加した。
Figure 0004821930
1)樹脂巻き付き量:3,000hit加工後のドリルビット20本それぞれにつき、倍率25倍のマイクロスコープにて観察し、ドリルビット径に対する樹脂の巻き付きの最大径及びドリル軸方向の長さを測定し、巻き付いた樹脂の体積を求め、20本の平均値を計算した。
2)孔位置精度:重ねた銅張積層板の最下板の裏面における3,000hitの孔位置と指定座標とのズレをホールアナライザー(日立ビアメカニクス製)にて測定し、ドリル1本分ごとに平均値と標準偏差(σ)を計算し、平均値+3σと最大値を算出し、ドリル孔明け加工20回分の平均値を表記。
3)ドリル折損数:ドリル20本を使用して孔明け加工を行い、20本中のドリル折損本数を数えた。

Claims (4)

  1. 数平均分子量15,000〜35,000のポリエチレングリコール80〜98重量部及び数平均分子量50,000〜200,000で且つ多分散度(Mw/Mn)が2.5以下のポリエチレンオキサイド2〜20重量部からなる水溶性樹脂混合物(A)と、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、アミノ酸誘導体アルコール類、有機酸類及び有機酸塩類からなる群から選択された1種もしくは2種以上の水溶性物質を水溶性樹脂混合物(A)100重量部に対し0.1〜5重量部配合した水溶性樹脂組成物(B)を、金属箔の少なくとも片面に積層一体化して形成したことを特徴とする銅張積層板のドリル孔明け用エントリーシート。
  2. 水溶性樹脂混合物(A)がさらに水溶性滑剤樹脂を含み、水溶性滑材樹脂はポリエチレングリコール及びポリエチレンオキサイドの合計100重量部に対して1〜80重量部であることを特徴とする請求項1記載の銅張積層板のドリル孔明け用エントリーシート。
  3. 該水溶性滑剤樹脂は数平均分子量が15,000以下で、100℃での溶融粘度が10Pa.s以下である請求項2記載の銅張積層板のドリル孔明け用エントリーシート。
  4. 厚み0.05〜0.5mmの金属箔の少なくとも片面に、該水溶性樹脂組成物(B)を厚み0.02〜0.3mmの層に形成してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銅張積層板のドリル孔明け用エントリーシート。
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