5.発明の詳細な説明
本発明は、インターロイキン9(「IL-9」)ポリペプチド(好ましくは、ヒトIL-9ポリペプチド)と免疫特異的に結合する抗体を提供する。特に、本発明は、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する以下の抗体を提供する:4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4。本発明は、4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVHドメインおよび/またはVLドメインのアミノ酸配列をそれぞれ有する重鎖可変(「VH」)ドメインおよび/または軽鎖可変(「VL」)ドメインを含む抗体も提供する。そのような抗体は当技術分野で公知のいかなる定常部、好ましくは当技術分野で公知のいかなるヒト定常部、例えばそれには限定されないがヒト軽鎖κ(κ)、ヒト軽鎖ラムダ(λ)、IgG1の定常部、IgG2の定常部、IgG3の定常部またはIgG4の定常部をさらに含むことができる。さらに、本発明は4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4の1つまたは複数の相補性決定部(「CDR」)を含む抗体を提供する。
本発明は、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するかそれを特徴とする疾患または障害、IL-9受容体(「IL-9R」)または1つもしくは複数のそのサブユニットの異常発現および/または活性に関連するかそれを特徴とする疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患あるいは感染症(好ましくは、呼吸器感染症)、あるいはその1つまたは複数の症状のために、現行の単剤治療法または併用療法よりも優れた予防的または治療的プロフィールを提供する治療プロトコルを含む。特に、本発明はIL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性を特徴とする疾患または障害、IL-9受容体または1つもしくは複数のそのサブユニットの異常発現および/または活性を特徴とする疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患あるいは感染症(好ましくは、呼吸器感染症)、あるいはその1つまたは複数の症状の予防、治療、管理および/または改善のための、被験者に本発明の1つまたは複数の抗体の有効量を単独で、または本発明の抗体以外の少なくとも1つの治療剤(例えば予防剤または治療剤)の有効量と併用して投与することを含む予防プロトコルおよび治療プロトコルを提供する。
本発明はIL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性を特徴とする疾患または障害、IL-9受容体または1つもしくは複数のそのサブユニットの異常発現および/または活性を特徴とする疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患あるいは感染症(好ましくは、呼吸器感染症)、あるいはその1つまたは複数の症状の予防、治療、管理および/または改善で使用する、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する1つまたは複数の抗体を含む医薬組成物、キットおよび物品を提供する。本発明はIL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性を特徴とする疾患または障害、IL-9受容体または1つもしくは複数のそのサブユニットの異常発現および/または活性を特徴とする疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患あるいは感染症(好ましくは、呼吸器感染症)、あるいはその1つまたは複数の症状の予防、治療、管理または改善で使用する、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する1つまたは複数の抗体、および本発明の抗体以外の1つまたは複数の予防剤または治療剤を含む医薬組成物、キットおよび物品を提供する。
5.1 IL-9抗体
本発明は、IL-9ポリペプチド(好ましくは、ヒトIL-9ポリペプチド)と免疫特異的に結合する抗体を提供する。特に、本発明は、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する以下の抗体を提供する。4D4またはその抗原結合断片、4D4 H2-1 D11またはその抗原結合断片、4D4com-XF-9またはその抗原結合断片、4D4com-2F9またはその抗原結合断片、7F3またはその抗原結合断片、71A10またはその抗原結合断片、7F3 22D3またはその抗原結合断片、7F3com-2H2またはその抗原結合断片、7F3com-3H5またはその抗原結合断片、および7F3com-3D4またはその抗原結合断片。好ましい実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、7F3com-2H2またはその抗原結合断片(例えば7F3com-2H2の1つまたは複数のCDR)である。4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、71A10、7F3 22D3、7F3com、7F3com-2H2、7F3com-3H5および7F3com-3D4の定常部は、パリビズマブ(palivizumab)(MedImmune社)IgG1の定常部と同一である(1998年10月20日公布の米国特許第5,824,307号を参照)。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は4D4(図1A;配列番号7)、4D4 H2-1 D11(図2A;配列番号9)、4D4com-XF-9(図3A;配列番号15)、4D4com-2F9(図4A;配列番号17)、7F3(図5A;配列番号21)、71A10(図6A;配列番号23)、7F3 22D3(図7A;配列番号21)、7F3com-2H2(図8A;配列番号27)、7F3com-3H5(図10A;配列番号29)または7F3com-3D4(図11A;配列番号31)のVHドメインのアミノ酸配列を有するVHドメインを含む。好ましい実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、7F3com-2H2(図8A;配列番号27)のVHドメインのアミノ酸配列を有するVHドメインを含む。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は下記表1に記載されているVH CDRのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVH CDRを含む。特に、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は下記表1に記載されているVH CDRのいずれかのアミノ酸配列を有する1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれより多くのVH CDRを含む(またはそれからなる)。一実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号1、配列番号11、配列番号19または配列番号26のアミノ酸配列を有するVH CDR1を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号2または配列番号10のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号3または配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号1、配列番号11、配列番号19または配列番号26のアミノ酸配列を有するVH CDR1、および配列番号2または配列番号10のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号1、配列番号11、配列番号19または配列番号26のアミノ酸配列を有するVH CDR1、および配列番号3または配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号2または配列番号10のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および配列番号3または配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号1、配列番号11、配列番号19または配列番号26のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号2または配列番号10のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および配列番号3または配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は4D4(図1B;配列番号8)、4D4 H2-1 D11(図2B;配列番号8)、4D4com-XF-9(図3B;配列番号16)、4D4com-2F9(図4B;配列番号18)、7F3(図5B;配列番号22)、71A10(図6B;配列番号24)、7F3 22D3(図7B;配列番号25)、7F3com-2H2(図8B;配列番号28)、7F3com-3H5(図10B;配列番号30)または7F3com-3D4(図11B;配列番号32)のVLドメインのアミノ酸配列を有するVLドメインを含む。好ましい実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、7F3com-2H2(図8B;配列番号28)のVLドメインのアミノ酸配列を有するVLドメインを含む。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は下記表1に記載されているVL CDRのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVL CDRを含む。特に、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は下記表1に記載されているVL CDRのいずれかのアミノ酸配列を有する1つ、2つ、3つまたはそれより多くのVL CDRを含む(またはそれからなる)。一実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号4または配列番号13のアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号5または配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号6または配列番号20のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号4または配列番号13のアミノ酸配列を有するVL CDR1、および配列番号5または配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号4または配列番号13のアミノ酸配列を有するVL CDR1、および配列番号6または配列番号20のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号5または配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および配列番号6または配列番号20のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、抗体の一部に配列番号4または配列番号13のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号5または配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および配列番号6または配列番号20のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は本明細書で開示されているVLドメインまたは他のVLドメインと組み合わせた本明細書で開示されているVHドメインを含む(例えば、本明細書で参照により完全に組み込まれている2002年4月12日に出願の米国特許仮出願60/371,683および2002年4月12日に出願の米国特許仮出願60/371,728で開示されているVLドメイン)。本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は本明細書で開示されているVHドメインまたは他のVHドメインと組み合わせた本明細書で開示されているVLドメインを含む(例えば、2002年4月12日に出願の米国特許仮出願60/371,683および2002年4月12日に出願の米国特許仮出願60/371,728で開示されているVHドメイン)。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は上記表1に記載されているVH CDR、および2002年4月12日に出願の米国特許仮出願60/371,683および2002年4月12日に出願の米国特許仮出願60/371,728で開示されているVL CDRを含む(またはそれからなる)。さらに、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は上記表1に記載されているVL CDR、および2002年4月12日に出願の米国特許仮出願60/371,683および2002年4月12日に出願の米国特許仮出願60/371,728で開示されているVH CDRを含む(またはそれからなる)。さらに、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は本明細書で記載のVH CDRおよびVL CDR、および2002年4月12日に出願の米国特許仮出願60/371,683および2002年4月12日に出願の米国特許仮出願60/371,728で開示されているVH CDRおよびVL CDRの組合せを含む。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は上記表1に記載されている1つまたは複数のVH CDRおよび1つまたは複数のVL CDRを含む。特に、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は上記表1に記載されているVH CDRおよびVL CDRのVH CDR1およびVL CDR1; VH CDR1およびVL CDR2; VH CDR1およびVL CDR3; VH CDR2およびVL CDR1; VH CDR2およびVL CDR2; VH CDR2およびVL CDR3; VH CDR3およびVH CDR1; VH CDR3およびVL CDR2; VH CDR3およびVL CDR3; VH1 CDR1、VH CDR2およびVL CDR1; VH CDR1、VH CDR2およびVL CDR2; VH CDR1、VH CDR2およびVL CDR3; VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR1; VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR2; VH CDR2、VH CDR2およびVL CDR3; VH CDR1、VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1、VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR1; VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR2; VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR3; VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR2、VH CDR3、VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3;またはそのいかなる組合せを含む(またはそれからなる)。
一実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号1、配列番号11、配列番号19または配列番号26のアミノ酸配列を有するVH CDR1、および配列番号4または配列番号13のアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号1、配列番号11、配列番号19または配列番号26のアミノ酸配列を有するVH CDR1、および配列番号5または配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号1、配列番号11、配列番号19または配列番号26のアミノ酸配列を有するVH CDR1、および配列番号6または配列番号20のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
一実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号2または配列番号10のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および配列番号4または配列番号13のアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号2または配列番号10のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および配列番号5または配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号2または配列番号10のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および配列番号6または配列番号20のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
一実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号3または配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR3、および配列番号4または配列番号13のアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号3または配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR3、および配列番号5または配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、配列番号3または配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR3、および配列番号6または配列番号20のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は7F3com-2H2またはその抗原結合断片のヌクレオチド配列を含む核酸配列によってコードされる。具体的な実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、7F3com-2H2のVHドメインのヌクレオチド配列を有する核酸配列によってコードされるVHドメインを含む。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、7F3com-2H2のVLドメインのヌクレオチド配列を有する核酸配列によってコードされるVLドメインを含む。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、7F3com-2H2のVHドメインおよびVLドメインのヌクレオチド配列を有する核酸配列によってコードされるVHドメインおよびVLドメインを含む。
他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、7F3com-2H2のVH CDRのヌクレオチド配列を有する核酸配列によってコードされるVH CDRを含む。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、7F3com-2H2のVL CDRのヌクレオチド配列を有する核酸配列によってコードされるVL CDRを含む。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、7F3com-2H2のVH CDRおよびVL CDRのヌクレオチド配列を有する核酸配列によってコードされるVH CDRおよびVL CDRを含む。
本発明は、通常単離され、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する本発明の抗体をコードする核酸分子を提供する。特に、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードする単離された核酸分子を提供し、前記抗体は4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4、あるいはその抗原結合断片のアミノ酸配列を有する。好ましい実施形態では、単離された核酸分子はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードし、前記抗体は7F3com-2H2のアミノ酸配列を有する。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードする単離された核酸分子を提供し、前記抗体は4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVHドメインのアミノ酸配列を有するVHドメインを含む(または、それからなる)。好ましい実施形態では、単離された核酸分子はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードし、前記抗体は7F3com-2H2のVHドメインのアミノ酸配列を有するVHドメインを含む。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードする単離された核酸分子を提供し、前記抗体は上記表1に記載のVH CDRのいずれかのアミノ酸配列を有するVH CDRを含む(または、それからなる)。特に、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードする単離された核酸分子を提供し、前記抗体は上記表1に記載のVH CDRのいずれかのアミノ酸配列を有する1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれより多くのVH CDRを含む。一実施形態では、単離された核酸分子はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードし、前記抗体は上記表1に記載のVH CDR1のアミノ酸配列を有するVH CDR1を含む。他の実施形態では、単離された核酸分子はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードし、前記抗体は上記表1に記載のVH CDR2のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。他の実施形態では、単離された核酸分子はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードし、前記抗体は上記表1に記載のVH CDR3のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードする単離された核酸分子を提供し、前記抗体は4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVLドメインのアミノ酸配列を有するVLドメインを含む(または、それからなる)。好ましい実施形態では、単離された核酸分子はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードし、前記抗体は7F3com-2H2のVLドメインのアミノ酸配列を有するVLドメインを含む。
また、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードする単離された核酸分子を提供し、前記抗体は上記表1に記載のVL CDRのいずれかのアミノ酸配列を有するVL CDRを含む(または、それからなる)。特に、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードする単離された核酸分子を提供し、前記抗体は上記表1に記載のVL CDRのいずれかのアミノ酸配列を有する1つ、2つ、3つ、またはそれより多くのVL CDRを含む。一実施形態では、単離された核酸分子はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードし、前記抗体は上記表1に記載のVH CDR1のアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。他の実施形態では、単離された核酸分子はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードし、前記抗体は上記表1に記載のVL CDR2のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。他の実施形態では、単離された核酸分子はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードし、前記抗体は上記表1に記載のVL CDR3のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードする核酸分子を提供し、前記抗体は上記表1に記載されている1つまたは複数のVH CDRおよび1つまたは複数のVL CDRを含む。特に、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体をコードする単離された核酸分子を提供し、前記抗体は上記表1に記載のVH CDRおよびVL CDRのVH CDR1およびVL CDR1; VH CDR1およびVL CDR2; VH CDR1およびVL CDR3; VH CDR2およびVL CDR1; VH CDR2およびVL CDR2; VH CDR2およびVL CDR3; VH CDR3およびVH CDR1; VH CDR3およびVL CDR2; VH CDR3およびVL CDR3; VH CDR1、VH CDR2およびVL CDR1; VH CDR1、VH CDR2およびVL CDR2; VH CDR1、VH CDR2およびVL CDR3; VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR1; VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR2; VH CDR2、VH CDR2およびVL CDR3; VH CDR1、VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1、VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR1; VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR2; VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR3; VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR2、VH CDR3、VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2; VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3; VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3; VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3;または、そのいかなる組合せを含む(または、それからなる)。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は本明細書に記載されているIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合するVHドメイン、VH CDR、VLドメインまたはVL CDRの誘導体を含む。本発明の抗体をコードするヌクレオチド配列に突然変異(例えば欠失、付加および/または置換)を導入するために、当業者に公知の標準の手法、例えば部位特定突然変異誘発およびアミノ酸置換をもたらすPCR媒介突然変異誘発を用いることができる。好ましくは、これら誘導体は元の分子と比較して25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換または2未満のアミノ酸置換を含む。好ましい一実施形態において、これら誘導体は1つまたは複数の予測された非必須アミノ酸残基(すなわち、抗体がIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合するために重要ではないアミノ酸残基)の位置に形成される保存的アミノ酸置換を有する。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似した電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものを意味する。類似した電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で規定されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性の側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えばトレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸がある。あるいは、突然変異は、例えば飽和突然変異誘発により、コード配列の全体または一部にランダムに導入することができ、得られた突然変異体は活性を保持する突然変異体を識別するために生物的活性に関してスクリーニングすることができる。突然変異誘発の後に、コードされた抗体を発現させ、抗体の活性を決定することができる。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は、1つまたは複数のアミノ酸残基置換を軽鎖可変(VL)ドメインおよび/または重鎖可変(VH)ドメインに有する4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のアミノ酸配列を含む。また、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は、1つまたは複数のアミノ酸残基置換を1つまたは複数のVL CDRおよび/または1つまたは複数のVH CDRに有する4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のアミノ酸配列を含む。また、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は、1つまたは複数のアミノ酸残基置換を1つまたは複数のVHフレームワークおよび/または1つまたは複数のVLフレームワークに有する4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4、あるいはそのVHおよび/またはVLドメインのアミノ酸配列を含む。4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVHドメイン、VH CDR、VLドメイン、VL CDRおよび/またはフレームワークに置換を導入することによって生成される抗体は、in vitroおよび/またはin vivoで、例えばIL-9ポリペプチドと結合するその能力またはIL-9媒介細胞増殖を低減するもしくは減らすその能力に関して、あるいは自己免疫性障害、炎症性障害、増殖性障害もしくは呼吸器感染症またはその症状を予防、治療および/または改善するその能力に関して試験することができる。
具体的な実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4、あるいはその抗原結合断片をコードするヌクレオチド配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列を含み、このハイブリダイゼーションはストリンジェントの条件下、例えば、約45℃における6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのフィルター結合DNAとのハイブリダイゼーションとその後の約50〜65℃における0.2×SSC/0.1% SDS中での1回または複数回の洗浄、高度にストリンジェントの条件下、例えば、約45℃における6×SSC中でのフィルター結合核酸とのハイブリダイゼーションとその後の約68℃における0.1×SSC/0.2% SDS中での1回または複数回の洗浄、または当業者に公知の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で起こる(例えば、Ausubel F.M.ら、編、1989年、Current Protocols in Molecular Biology、第I巻、Green Publishing Associates, Inc.、およびJohn Wiley & Sons, Inc.、ニューヨーク、6.3.1〜6.3.6頁および2.10.3頁を参照)。
他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVHドメインまたはVLドメインをコードするヌクレオチド配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるVHドメインのアミノ酸配列またはVLドメインのアミノ酸配列を含み、このハイブリダイゼーションは本明細書に記載のストリンジェント条件下または当業者に公知の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で起こる。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVHドメインおよびVLドメインをコードするヌクレオチド配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるVHドメインのアミノ酸配列およびVLドメインのアミノ酸配列を含み、このハイブリダイゼーションは本明細書に記載のストリンジェント条件下または当業者に公知の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で起こる。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、上記表1に記載のVH CDRまたはVL CDRのいずれか1つをコードするヌクレオチド配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるVH CDRのアミノ酸配列またはVL CDRのアミノ酸配列を含み、このハイブリダイゼーションは本明細書に記載のストリンジェント条件下または当業者に公知の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で起こる。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、上記表1に記載のVH CDRのいずれか1つおよび上記表1に記載のVL CDRのいずれか1つをコードするヌクレオチド配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるVH CDRのアミノ酸配列およびVL CDRのアミノ酸配列を含み、このハイブリダイゼーションは本明細書に記載のストリンジェント条件下または当業者に公知の
他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で起こる。
他の実施形態において、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は7F3com-2H2のVHドメインおよび/またはVLドメインのヌクレオチド配列(それぞれ配列番号43および配列番号47)とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるVHドメインおよび/またはVLドメインを含む。他の実施形態において、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は7F3com-2H2のVH CDRおよび/またはVL CDRのヌクレオチド配列(図9A〜B)とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるVH CDRおよび/またはVL CDRを含む。
具体的な実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4またはその抗原結合断片のアミノ酸配列と少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVHドメインと少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一のVHドメインのアミノ酸配列を含む。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVLドメインと少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一のVLドメインのアミノ酸配列を含む。
他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、上記表1に記載のVL CDRのいずれかと少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一の1つまたは複数のVL CDRのアミノ酸配列を含む。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、上記表1に記載のVL CDRのいずれか1つと少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一の1つまたは複数のVL CDRのアミノ酸配列を含む。
他の実施形態において、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は7F3com-2H2をコードするヌクレオチド配列と少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一のヌクレオチド配列によってコードされる。他の実施形態において、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は7F3com-2H2のVHドメインおよび/またはVLドメイン(それぞれ配列番号43および配列番号47)のヌクレオチド配列と少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一のヌクレオチド配列によってコードされるVHドメインおよび/またはVLドメインを含む。他の実施形態において、本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は7F3com-2H2のVH CDRおよび/またはVL CDR(図9A〜B)のヌクレオチド配列と少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一のヌクレオチド配列によってコードされるVH CDRおよび/またはVL CDRを含む。
本発明は、IL-9ポリペプチドとの結合に関し本明細書で記載されている抗体と競合する抗体を含む。特に、本発明はIL-9ポリペプチドとの結合に関し、4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4、あるいはその抗原結合断片と競合する抗体を含む。具体的な実施形態において、本発明は、本明細書で記載の競合アッセイまたは当技術分野で公知の競合アッセイにおいてPBSなどの対照との比較において4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4とIL-9ポリペプチドとの結合を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上、25%〜50%、45〜75%、または75〜99%低減する抗体を含む。他の実施形態において、本発明は、ELISA競合アッセイにおいてPBSなどの対照との比較において4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4とIL-9ポリペプチドとの結合を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上、または25%〜50%、45〜75%、もしくは75〜99%低減する抗体を含む。好ましい一実施形態において、ELISA競合アッセイは以下の方法で実行することができる。組換えIL-9を10μg/mlの濃度でPBSで調製する。この溶液の100μlをELISA 98ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに加え、4〜8℃で一晩インキュベートする。ELISAプレートを、0.1%のトゥイーンを加えたPBSで洗浄して過剰な組換えIL-9を取り除く。非特異的なタンパク質-タンパク質間相互作用は、PBSで最終濃度1%に調製したウシ血清アルブミン(BSA)の100μlを加えることによってブロックする。室温で1時間後、ELISAプレートを洗浄する。非標識の競合抗体を、ブロック溶液で1μg/ml〜0.01μg/mlの濃度範囲で調製する。対照ウェルは、ブロック溶液だけを、または1μg/ml〜0.01μg/mlの濃度範囲の対照抗体を含む。西洋ワサビペルオキシダーゼで標識された試験抗体(例えば7F3com-2H2)を、1μg/mlの固定された最終濃度で競合抗体希釈液に加える。試験抗体および競合抗体の混合物の100μlを3連のELISAウェルに加え、プレートを室温で1時間インキュベートする。残りの非結合抗体は洗い流す。結合した試験抗体は、各ウェルに100μlの西洋ワサビペルオキシダーゼ基質を加えることによって検出する。プレートを室温で30分間インキュベートし、吸光度は自動プレート読み取り機を使用して読み取る。3連のウェルの平均を計算する。試験抗体とよく競合する抗体は、対照ウェルと比較して吸光度測定値を低減する。好ましい実施形態において、本発明は、ELISA競合アッセイにおいてPBSなどの対照との比較において7F3com-2H2とIL-9ポリペプチドとの結合を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上、または25%〜50%、45〜75%、もしくは75〜99%低減する抗体を含む。
他の実施形態において、本発明は、本明細書で記載の競合アッセイまたは当業者に公知の競合アッセイにおいてPBSなどの対照との比較において4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4の抗原結合断片(例えば、VHドメイン、VH CDR、VLドメインまたはVL CDR)を含む(あるいは、それからなる)抗体とIL-9ポリペプチドとの結合を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上、または25%〜50%、45〜75%、もしくは75〜99%低減する抗体を含む。他の実施形態において、本発明は、ELISA競合アッセイにおいてPBSなどの対照との比較において4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4の抗原結合断片(例えば、VHドメイン、VLドメイン、VH CDRまたはVL CDR)を含む(あるいは、それからなる)抗体とIL-9ポリペプチドとの結合を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上、または25%〜50%、45〜75%、もしくは75〜99%低減する抗体を含む。好ましい実施形態において、本発明は、ELISA競合アッセイにおいてPBSなどの対照との比較において7F3com-2H2の抗原結合断片を含む(あるいは、それからなる)抗体とIL-9ポリペプチドとの結合を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上、または25%〜50%、45〜75%、もしくは75〜99%低減する抗体を含む。
本発明はIL-9ポリペプチドとの結合に関し、4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVHドメインと競合するVHドメインを含む(あるいは、それらからなる)ポリペプチドまたはタンパク質を含む。また、本発明はIL-9ポリペプチドとの結合に関し、4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVLドメインと競合するVLドメインを含む(あるいは、それらからなる)ポリペプチドまたはタンパク質を含む。
本発明は、IL-9ポリペプチドとの結合に関し、上記表1に記載のVH CDRと競合する VH CDRを含む(あるいは、それらからなる)ポリペプチドまたはタンパク質を含む。本発明は、IL-9ポリペプチドとの結合に関し、上記表1に記載のVL CDRと競合する VL CDRを含む(あるいは、それらからなる)ポリペプチドまたはタンパク質を含む。
IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体としては変更された誘導体があり、すなわち、いかなる種類の分子の抗体への共有結合によるものがある。例えば、それに限定するものではないが、このような抗体誘導体としては、例えばグリコシル化、アセチル化、PEG化(pegylation)、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク分解性切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合、その他によって変更された抗体がある。多くの化学的変更のいずれも公知の手法、例えばそれには限定されないが、特異的化学開裂、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシン代謝的合成、その他によって実行することができる。さらに、こうした誘導体は1つまたは複数の非古典的アミノ酸を含むことができる。
また本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供し、前記抗体は当業者に公知のフレームワーク部を含む(例えば、ヒトまたは非ヒトのフレームワーク)。このフレームワーク部は天然ものでもよく、またはコンセンサスフレームワーク部でもよい。好ましくは、本発明の抗体の断片部は、ヒト由来である(ヒトフレームワーク部の一覧については、例えば本明細書で参照により完全に組み込まれているChothiaら、1998年、J. Mol. Biol. 278:457〜479頁を参照)。
本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を含み、前記抗体は、フレームワーク部に突然変異(例えば、1つまたは複数のアミノ酸置換)を有する4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のアミノ酸配列を含む。ある実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、1つまたは複数のアミノ酸残基の置換をVHドメインおよび/またはVLドメインのフレームワーク部に有する4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のアミノ酸配列を含む。好ましくは、フレームワーク部のアミノ酸置換は、IL-9ポリペプチドと抗体との結合を改善する。
具体的な実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のCDRの1つまたは複数のアミノ酸配列、アミノ酸配列QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKAS(配列番号33)またはQVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKAS(配列番号37)を有するVHフレームワーク部1、アミノ酸配列WVRQAPGQGLEWMG(配列番号34)を有するVHフレームワーク部2、アミノ酸配列 RVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAR(配列番号35)またはRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAR(配列番号38)を有するVHフレームワーク部3、およびアミノ酸配列WGQGTLVTVSS(配列番号36)を有するVHフレームワーク部4を含む。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のCDRの1つまたは複数のアミノ酸配列、アミノ酸配列DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号39)を有するVLフレームワーク部1、アミノ酸配列WYQQKPGKAPKLLlY(配列番号40)を有するVLフレームワーク部2、アミノ酸配列GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号41)を有するVLフレームワーク部3、およびアミノ酸配列FGGGTKVEIK(配列番号42)を有するVLフレームワーク部4を含む。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のCDRの1つまたは複数のアミノ酸配列、配列番号33または配列番号37のアミノ酸配列を有するVHフレームワーク部1、配列番号34のアミノ酸配列を有するVHフレームワーク部2、配列番号35または配列番号38のアミノ酸配列を有するVHフレームワーク部3、配列番号36のアミノ酸配列を有するVHフレームワーク部4、配列番号39のアミノ酸配列を有するVLフレームワーク部1、配列番号40のアミノ酸配列を有するVLフレームワーク部2、配列番号41のアミノ酸配列を有するVLフレームワーク部3、および配列番号42のアミノ酸配列を有するVLフレームワーク部4を含む。
また本発明はIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を含み、前記抗体は、可変部およびフレームワーク部に突然変異(例えば、1つまたは複数のアミノ酸残基の置換)を有する4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のアミノ酸配列を含む。好ましくは、可変部およびフレームワーク部のアミノ酸置換は、IL-9ポリペプチドと抗体との結合を改善する。
本発明は、当業者に公知な定常部を含む本発明の抗体も提供する。好ましくは、本発明の抗体またはその断片の定常部は、ヒト由来である。
本発明は、活性T細胞または肥満細胞などの免疫細胞によって発現されるIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を含む。本発明は、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合し、T細胞、B細胞、肥満細胞、好中球および/または好酸球の活性または機能を調整する抗体も含む。本発明は、さらに、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合し、被験者の組織、関節または器官への炎症細胞の浸潤を阻害するかまたは減らし、かつ/または上皮細胞過形成を阻害するかまたは減らす抗体を含む。
本発明は、環境に存在する、すなわちIL-9Rまたはそのサブユニットと結合していないIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を含む。本発明は、可溶性IL-9Rαサブユニットと結合したIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体も含む。本発明は、さらに、細胞膜結合IL-9Rまたはそのサブユニットと結合したIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体も含む。
一実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えばELISAのようなイムノアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、IL-9ポリペプチドとIL-9受容体(「IL-9R」)またはそのサブユニットとの間の相互作用を約25%、好ましくは約30%、約35%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約98%阻害しかつ/または減らす。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えばELISAのようなイムノアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、IL-9ポリペプチドとIL-9Rまたはそのサブユニットとの間の相互作用を阻害しない。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、例えばELISAのようなイムノアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、IL-9ポリペプチドとIL-9Rとの間の相互作用を20%未満、15%未満、10%未満または5%未満低減する。
一実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えばヒトIL-9Rを発現するIL-9依存性マウスT細胞系などのIL-9依存性細胞系を使用する細胞増殖アッセイ)においてリン酸緩衝食塩水(「PBS」)または対照IgG抗体などの対照と比較して、IL-9ポリペプチドとIL-9受容体(「IL-9R」)またはその1つもしくは複数のサブユニットとの間の相互作用を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害するかまたは減らす。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えばヒトIL-9Rを発現するIL-9依存性マウスT細胞系などのIL-9依存性細胞系を使用する細胞増殖アッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、IL-9ポリペプチドとIL-9Rまたはその1つもしくは複数のサブユニットとの間の相互作用を阻害しない。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えばヒトIL-9Rを発現するIL-9依存性マウスT細胞系などのIL-9依存性細胞系を使用する細胞増殖アッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、IL-9ポリペプチドとIL-9Rまたはその1つもしくは複数のサブユニットとの間の相互作用を20%未満、15%未満、10%未満または5%未満阻害する。
本発明は、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合し、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、サイトカインの発現および/または放出を誘導および低減しない抗体を含む。一実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、PBSまたは対照IgG抗体などの対照を投与した被験者の血清中のIFN-γ、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15およびIL-23などのサイトカインの濃度と比較して、そのような抗体を投与した被験者の血清中のそのようなサイトカインの濃度の上昇を誘発しない。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、サイトカインの発現および/または放出を誘導する。具体的な実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、PBSまたは対照IgG抗体などの対照を投与した被験者の血清中のIFN-γ、IL-2、IL-12およびIL-15などのサイトカインの濃度と比較して、そのような抗体を投与した被験者の血清中のそのようなサイトカインの濃度の上昇を誘発する。他の具体的な実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、PBSまたは対照IgG抗体などの対照を投与した被験者の血清中のIFN-γおよびIL-12などのTh1細胞によって産生されるサイトカインの濃度と比較して、そのような抗体を投与した被験者のそのようなサイトカインの濃度の上昇を誘発する。他の具体的な実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、PBSまたは対照IgG抗体などの対照を投与した被験者の血清中のIL-4、IL-5、IL-10、IL-13およびIL-23などのサイトカインの濃度と比較して、そのような抗体を投与した被験者の血清中のそのようなサイトカインの濃度の低下を誘発する。他の具体的な実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、PBSまたは対照IgG抗体などの対照を投与した被験者の血清中のTNF-α、IL-4お
よびIL-13などの肥満細胞によって産生されるサイトカインの濃度と比較して、そのような抗体を投与した被験者の血清中のそのようなサイトカインの濃度の低下を誘発する。他の具体的な実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、PBSまたは対照IgG抗体などの対照を投与した被験者の血清中のIL-4、IL-5、IL-13およびIL-10などのTh2細胞によって産生されるサイトカインの濃度と比較して、そのような抗体を投与した被験者の血清中のそのようなサイトカインの濃度の低下を誘発する。血清中のサイトカインの濃度は、当業者に公知のいかなる手法、例えばELISAまたはウェスタンブロットアッセイで測定することができる。
一実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えばトリパンブルーアッセイまたは3H-チミジンアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、炎症性細胞(例えば、肥満細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、好中球、好塩基球および/または好酸球)の増殖を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減および/または阻害する。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、炎症性細胞の上気道および/または下気道への浸潤を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減および/または阻害する。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、炎症性細胞の上気道および/または下気道への浸潤を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減および/または阻害し、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えばトリパンブルーアッセイまたは3H-チ
ミジンアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、炎症性細胞の増殖を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減および/または阻害する。
ある実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞の脱顆粒を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減する。(肥満細胞脱顆粒アッセイの例については、例えば、WindmillerおよびBacker、2003年J. Biol. Chem. 278:11874〜78頁を参照)。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞の活性を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞活性および/または脱顆粒の生成物の発現および/または放出を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。
具体的な実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞プロテアーゼ、例えばキマーゼおよびトリプターゼの発現、活性、血清濃度および/または放出を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。好ましい一実施形態において、肥満細胞活性は10ng/mlのIL-9の存在下で一次肥満細胞または肥満細胞系をin vitroで培養することによって、測定することができる。プロテアーゼ(例えばキマーゼおよびトリプターゼ)およびロイコトリエンのベースラインレベルは、市販のELISAキットにより上清で測定される。プロテアーゼまたはロイコトリエンのレベルを調整する抗体の能力は、IL-9反応性抗体または対照抗体を1μg/mlの濃度で直接細胞培養に加えることによって判断される。プロテアーゼおよびロイコトリエンのレベルは、24時間および36時間の時点で判定される。他の具体的な実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞ロイコトリエン、例えばC4、D4およびE4の発現、活性、血清濃度および/または放出を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。他の具体的な実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例え
ば、ELISAまたはウェスタンブロットアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞サイトカイン、例えばTNF-α、IL-4およびIL-13の発現、活性、血清濃度および/または放出を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。
他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当技術分野で公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞の浸潤を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えば、トリパンブルーアッセイ、FACSまたは3Hチミジンアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞の増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当技術分野で公知のin vitroおよび/またはin vivoアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞の浸潤を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減し、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えばトリパンブルーアッセイ、FACSまたは3Hチミジンアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞の増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。好ましい一実施形態において、肥満細胞の浸潤の減少は、動物をオボアルブミンに感作させることによってin vivoで測定することができる。すなわち、アルミニウムアジュバントで複合化したオボアルブミンの100μgを、1日目および21日目に皮下投与する。3週間の感作操作を通して、動物は5〜7日ごとに10mg/kgの用量でIL-9反応性抗体または対照抗体を投与される。29日目、30日目および31日目に、動物はアジュバントなしのオボアルブミンでエアゾール送達により、あるいは、1μg/mlのPBS溶液100μlの経鼻注入により処理される。31日目に、最後のオボアルブミンチャレンジの6時間後に、動物を安楽死させて肺組織をホルマリン灌流により固定する。肥満細胞の浸潤は、肺上皮組織切片の1視野あたりの肥満細胞数を計数することによって組織学的に評価される。この実験計画法を使用して、例えば異染小体が存在するかどうかを判断することによって、かつ/または分化依存性細胞表面マーカー(例えばFcepsilonRI)を使った免疫組織化学によって、肺上皮内で肥満細胞前駆体を肥満細胞から区別することができる。
他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当技術分野で公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞前駆体による上気道および/または下気道への浸潤を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えば、トリパンブルーアッセイ、FACSまたは3Hチミジンアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞前駆体の増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当技術分野で公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞前駆体の上気道および/または下気道への浸潤を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減し、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えばトリパンブルーアッセイ、FACSまたは3H-チミジンアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比
較して、肥満細胞前駆体の増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。好ましい一実施形態において、肥満細胞前駆体の浸潤は、上記した肥満細胞浸潤アッセイによりin vivoで測定することができる。
ある実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、T細胞、特にTh2細胞のアポトーシスの増加を誘発することによって末梢血T細胞の枯渇を媒介する。好ましい一実施形態において、Th2 Tリンパ球の枯渇は、動物をオボアルブミンで感作することによってin vivoで測定することができる。すなわち、アルミニウムアジュバントで複合化したオボアルブミン100μgを、1日目および21日目に皮下投与する。3週間の感作操作を通して、動物は5〜7日ごとに10mg/kgの用量でIL-9反応性抗体または対照抗体を投与される。28日目に、動物にアジュバントなしのオボアルブミンタンパク質の100μgのブーストを静注投与する。静脈内ブーストの2日後、動物を安楽死させる。脾細胞を回収してフローサイトメトリーによって分析する。IL-4のための細胞質染色によって識別可能な脾臓のTh2 Tリンパ球は、対照抗体レシピエントと比較してIL-9中和抗体を投与された動物では減少していなければならない。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えばFACS)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、Th1およびTh2分化を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。ある実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、T細胞、特にTh2細胞の上気道および/または下気道への浸潤を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害
および/または低減する。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えば、トリパンブルーアッセイ、FACSまたは3Hチミジンアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、T細胞の増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、T細胞、特にTh2細胞の上気道および/または下気道への浸潤を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減し、T細胞の増殖、特にTh2細胞の増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減し、かつ/またはT細胞のアポトーシスを増加させる。
ある実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、マクロファージの浸潤を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減する。好ましい一実施形態において、マクロファージの浸潤の減少は、動物をオボアルブミンで感作することによってin vivoで測定することができる。すなわち、アルミニウムアジュバントで複合化したオボアルブミンの100μgを、1日目および21日目に皮下投与する。3週間の感作操作を通して、動物は5〜7日ごとに10mg/kgの用量でIL-9反応性抗体または対照抗体を投与される。29日目、30日目および31日目に、動物はアジュバントなしのオボアルブミンでエアゾール送達により、あるいは、1μg/mlのPBS溶液100μlの経鼻注入により処理される。31日目に、最後のオボアルブミンチャレンジの6時間後に、動物を安楽死させて肺組織をホルマリン灌流により固定する。マクロファージ浸潤は、肺組織切片の1視野あたりのCD 14陽性細胞を計数することによって免疫細胞化学により評価される。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えば、トリパンブルーアッセイ、FACSまたは3Hチミジンアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、マクロファージの増殖を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者
に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、マクロファージの浸潤を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減し、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、マクロファージの増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。
ある実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、B細胞の浸潤を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減する。好ましい一実施形態において、Bリンパ球の浸潤の減少は、動物をオボアルブミンで全身感作することによってin vivoで測定することができる。すなわち、アルミニウムアジュバントで複合化したオボアルブミンの100μgを、1日目および21日目に皮下投与する。3週間の感作操作を通して、動物は5〜7日ごとに10mg/kgの用量でIL-9反応性抗体または対照抗体を投与される。29日目、30日目および31日目に、動物はアジュバントなしのオボアルブミンでエアゾール送達により、あるいは、1μg/mlのPBS溶液100μlの経鼻注入により処理される。31日目に、最後のオボアルブミンチャレンジの6時間後に、動物を安楽死させて肺組織をホルマリン灌流により固定する。Bリンパ球浸潤は、肺組織切片の1視野あたりのCD 19陽性細胞を計数することによって免疫細胞化学により評価される。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えば、トリパンブルーアッセイ、FACSまたは3Hチミジンアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、B細胞の増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業
者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、B細胞の浸潤を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減し、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、B細胞の増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。
ある実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、好酸球の上気道および/または下気道への浸潤を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減する(例えば、Liら、2000年、Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 25:644〜51頁を参照)。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書(セクション5.6を参照)で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えば、トリパンブルーアッセイ、FACSまたは3Hチミジンアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、好酸球の増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、好酸球の浸潤を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減し、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、好酸球の増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。
他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、好中球の浸潤を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減する。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えば、トリパンブルーアッセイ、FACSまたは3Hチミジンアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、好中球の増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、好中球の浸潤を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも阻害および/または低減し、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、好中球の増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減する。
好ましい一実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、IL-9によって媒介される生体影響、例えば、それには限定されないが、炎症細胞補充、上皮過形成、上皮性細胞のムチン生産ならびに肥満細胞の活性化、脱顆粒、増殖および/または浸潤を中和または阻害する。
具体的な実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、IgEの発現、機能および/または作用と拮抗して、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞の活性化、脱顆粒、増殖および/または浸潤を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害または低減するタンパク質性物質(例えば、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質(抗体を含む))および/または非タンパク質性物質と相乗的に作用する。
他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、肥満細胞プロテアーゼの発現、機能および/または作用と拮抗して、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞の活性化、脱顆粒、増殖および/または浸潤を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害または低減するタンパク質性物質(例えば、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質(抗体を含む))および/または非タンパク質性物質と相乗的に作用する。
他の実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、幹細胞因子の発現、機能および/または作用と拮抗して、本明細書で記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞の活性化、脱顆粒、増殖および/または浸潤を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害または低減するタンパク質性物質(例えば、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質(抗体を含む))または非タンパク質性物質と相乗的に作用する。好ましい一実施形態において、1ng/mlのIL-9と1ng/mlの幹細胞因子の存在下で一次肥満細胞または肥満細胞系がin vitroで培養される。プロテアーゼ(例えばキマーゼおよびトリプターゼ)およびロイコトリエンのベースラインレベルは、市販のELISAキットにより上清で測定される。プロテアーゼまたはロイコトリエンのレベルを調整する抗体の能力は、IL-9反応性抗体または対照抗体を1μg/mlの濃度で直接細胞培養に加えることによって判断される。プロテアーゼおよびロイコトリエンのレベルは、24時間および36時間の時点で判定される。
IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する本発明の抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性または多重特異性でよい。多重特異性抗体は、IL-9ポリペプチドの異なるエピトープに特異的であってもよく、またはIL-9ポリペプチドならびに非相同的エピトープ、例えば非相同的ポリペプチドまたは固体支持物質の両方に特異的であってもよい。例えば、国際公開93/17715、国際公開92/08802、国際公開91/00360および国際公開92/05793; Tutt、ら、J. Immunol. 147:60〜69頁(1991);米国特許第4,474,893号、4,714,681号、4,925,648号、5,573,920号および5,601,819号;ならびにKostelnyら、J. Immunol. 148:1547〜1553頁(1992)を参照。
本発明は、IL-9ポリペプチドに対する高い結合能を有する抗体を提供する。具体的な実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、少なくとも105M-1s-1、少なくとも1.5×105M-1s-1、少なくとも2×105M-1s-1、少なくとも2.5×105M-1s-1、少なくとも5×105M-1s-1、少なくとも106M-1s-1、少なくとも5×106M-1s-1、少なくとも107M-1s-1、少なくとも5×107M-1s-1、または少なくとも108M-1s-1、あるいは105〜108M-1s-1、1.5×105M-1s-1〜1×107M-1s-1、2×105〜1×106M-1s-1、または4.5×105×107M-1s-1の会合速度定数またはkon速度(抗体(Ab)+抗原(Ag)→Ab-Ag(反応の速度定数kon))を有する。好ましい実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、BIAcoreアッセイで測定される少なくとも2×105M-1s-1、少なくとも2.5×105M-1s-1、少なくとも5×105M-1s-1、少なくとも106M-1s-1、少なくとも5×106M-1s-1、少なくとも107M-1s-1、少なくとも5×107M-1s-1、または少なくとも108M-1s-1のkon値を有し、この抗体は本明細書に記載の微量中和アッセイにおいてヒトIL-9を中和する。好ましい実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、BIAcoreアッセイで測定される108M-1s-1以下、109M-1s-1以下、1010M-1s-1以下、1011M-1s-1以下、または1012M-1s-1以下のkon値を有し、この抗体は本明細書に記載の微量中和アッセイにおいてヒトIL-9を中和する。これらの実施形態に従い、そのような抗体は4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVHドメインおよび/またはVLドメイン、あるいは4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVH CDRおよび/またはVL CDRを含むことができる。
他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、10-3s-1以下、5×10-3s-1以下、10-4s-1以下、2×10-4s-1以下、5×10-4s-1以下、10-5s-1以下、5×10-5s-1以下、10-6s-1以下、5×10-6s-1以下、10-7s-1以下、5×10-7s-1以下、10-8s-1以下、5×10-8s-1以下、10-9s-1以下、5×10-9s-1以下、または10-10s-1以下、あるいは10-3〜10-10s-1、10-4〜10-8s-1または10-5〜10-8s-1のkoff速度(抗体(Ab)+抗原(Ag)←Ab-Ag(反応の速度定数koff))を有する。好ましい一実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、BIAcoreアッセイで測定される10-5s-1、5×10-5s-1以下、10-6s-1以下、5×10-6s-1以下、10-7s-1以下、5×10-7s-1以下、10-8s-1以下、5×10-8s-1以下、10-9s-1以下、5×10-9s-1以下、または10-10s-1以下のkoff値を有し、この抗体は本明細書に記載の微量中和アッセイにおいてヒトIL-9を中和する。他の好ましい実施形態では、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、10-13s-1より大きい、10-12s-1より大きい、10-11s-1より大きい、10-10s-1より大きい、10-9s-1より大きいまたは10-8s-1より大きいkoff値を有する。これらの実施形態に従い、そのような抗体は4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVHドメインおよび/またはVLドメイン、あるいは4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVH CDRおよび/またはVL CDRを含むことができる。
他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、少なくとも102M-1、少なくとも5×102M-1、少なくとも103M-1、少なくとも5×103M-1、少なくとも104M-1、少なくとも5×104M-1、少なくとも105M-1、少なくとも5×105M-1、少なくとも106M-1、少なくとも5×106M-1、少なくとも107M-1、少なくとも5×107M-1、少なくとも108M-1、少なくとも5×108M-1、少なくとも109M-1、少なくとも5×109M-1、少なくとも1010M-1、少なくとも5×1010M-1、少なくとも1011M-1、少なくとも5×1011M-1、少なくとも1012M-1、少なくとも5×1012M-1、少なくとも1013M-1、少なくとも5×1013M-1、少なくとも1014M-1、少なくとも5×1014M-1、少なくとも1015M-1、または少なくとも5×1015M-1あるいは102〜5×105M-1、104〜1×1010M-1または105〜1×108M-1の親和定数またはKa(kon/koff)を有する。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、1011M-1以下、5×1011M-1以下、1012M-1以下、5×1012M-1以下、1013M-1以下、5×1013M-1以下、1014M-1以下、または5×1014M-1以下のKa値を有する。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、10-5M以下、5×10-5M以下、10-6M以下、5×10-6M以下、10-7M以下、5×10-7M以下、10-8M以下、5×10-8M以下、10-9M以下、5×10-9M以下、10-10M以下、5×10-10M以下、10-11M以下、5×10-11M以下、10-12M以下、5×10-12M以下、10-13M以下、5×10-13M以下、10-14M以下、5×10-14M以下、10-15M以下、または5×10-15M以下あるいは10-2M〜5×10-5M、10-6〜10-15Mまたは10-8〜10-14Mの解離定数またはKd(koff/kon)を有する。好ましい実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、BIAcoreアッセイで測定される10-9M以下、5×10-9M以下、10-10M以下、5×10-10M以下、1×10-11M以下、5×10-11M以下、1×10-12M以下、5×10-12M以下、10-13M以下、5×10-13M以下または1×10-14M以下、あるいは10-9M〜10-14MのKd値を有し、この抗体は本明細書に記載の微量中和アッセイにおいてヒトIL-9を中和する。他の好ましい実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、10-9Mより大きい、5×10-9Mより大きい、10-10Mより大きい、5×10-10Mより大きい、10-11Mより大きい、5×10-11Mより大きい、10-12Mより大きい、5×10-12Mより大きい、6×10-12Mより大きい、10-13Mより大きい、5×10-13Mより大きい、10-14Mより大きい、5×10-14Mより大きいまたは10-9M〜10-14Mより大きいKd値を有す。これらの実施形態に従い、そのような抗体は4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVHドメインおよび/またはVLドメイン、あるいは4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVH CDRおよび/またはVL CDRを含むことができる。
ある実施形態において、本発明の抗体には、当技術分野で公知のIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は含まれない。IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する公知の抗体の例としては、それには限定されないが、4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4がある。
具体的な実施形態において、本発明の抗体はIL-9の抗原エピトープを含んだペプチドおよびポリペプチドと結合し、前記抗原エピトープを含んだペプチドおよびポリペプチドは、いかなる生物種のIL-9の少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、より好ましくは少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個の連続アミノ酸残基、および好ましくは約15〜約30個の連続アミノ酸のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。免疫原性または抗原性のエピトープを含んでいる好ましいポリペプチドの長さは、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、または少なくとも35個のアミノ酸残基である。
IL-9のエピトープを含むペプチド、ポリペプチドおよびその断片は、従来のいかなる手段によっても生成することができる。例えば、Houghten、R. A. (1985)「多数のペプチドの迅速固相合成のための一般方法(General method for the rapid solid-phase synthesis of large numbers of peptides):個々のアミノ酸レベルでの抗原-抗体相互作用の特異性(specificity of antigen-antibody interaction at the level of individual amino acids)」、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:5 13 1〜5 135を参照;この「複数のペプチドの同時合成(Simultaneous Multiple Peptide Synthesis: SMPS)」プロセスは、Houghtenら(1986)の米国特許第4,631,211号でさらに記載されている。
本発明は、本明細書で記載されている抗体の1つまたは複数の可変部または超可変部を含んでいるペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を提供する。好ましくは、本発明の抗体の1つまたは複数の可変部または超可変部を含んでいるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、非相同的アミノ酸配列をさらに含む。ある実施形態において、そのような非相同的アミノ酸配列は、少なくとも5つの連続アミノ酸残基、少なくとも10の連続アミノ酸残基、少なくとも15の連続アミノ酸残基、少なくとも20の連続アミノ酸残基、少なくとも25の連続アミノ酸残基、少なくとも30の連続アミノ酸残基、少なくとも40の連続アミノ酸残基、少なくとも50の連続アミノ酸残基、少なくとも75の連続アミノ酸残基、少なくとも100の連続アミノ酸残基またはより多くの連続アミノ酸残基を含む。そのようなペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質は、融合タンパク質と称すことができる。
具体的な実施形態において、本発明の抗体の1つまたは複数の可変部または超可変部を含んでいるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の長さは、10アミノ酸残基、15アミノ酸残基、20アミノ酸残基、25アミノ酸残基、30アミノ酸残基、35アミノ酸残基、40アミノ酸残基、45アミノ酸残基、50アミノ酸残基、75アミノ酸残基、100アミノ酸残基、125アミノ酸残基、150アミノ酸残基またはより多くのアミノ酸残基である。ある実施形態において、本発明の抗体の1つまたは複数の可変部または超可変部を含んでいるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する。他の実施形態では、本発明の抗体の1つまたは複数の可変部または超可変部を含んでいるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合しない。
具体的な実施形態において、本発明は本明細書で記載されている抗体の1つのVHドメインおよび/またはVLドメインを含んでいるペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を提供する(上記表1を参照)。好ましい実施形態では、本発明は上記表1に記載のCDRのいずれかのアミノ酸配列を有する1つまたは複数のCDRを含むペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を提供する。これらの実施形態にしたがって、これらのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、非相同的アミノ酸配列をさらに含むことができる。
1つまたは複数の可変部または超可変部を含んでいるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、例えば抗イディオタイプ抗体の生産において有用性を有し、これらは次に疾患または障害(例えば自己免疫性障害、炎症性障害、増殖性障害または感染症(好ましくは、呼吸器感染症))と関連する1つまたは複数の症状を予防、治療および/または改善するために使用することができる。生成した抗イディオタイプ抗体は、イムノアッセイ、例えばELISAにおいて、抗イディオタイプ抗体の生産で使われるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質に含まれる可変部または超可変部を含む抗体の検出のために利用することができる。
5.1.1 延長した半減期を有する抗体
本発明は、in vivoにおいて延長した半減期を有し、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体を提供する。詳細には、本発明は、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合し、被験者、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトにおける半減期が3日、7日、10日、好ましくは15日、25日、30日、35日、40日、45日、2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月または5ヵ月を超える抗体を提供する。
in vivoにおいて抗体(例えばモノクローナル抗体、単鎖抗体およびFab断片)の血清中循環を延長するために、例えば、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)のような不活性のポリマー分子を、多機能リンカーの有無に関わらず、抗体のN末端またはC末端へのPEGの部位特異的コンジュゲーションを通して、あるいはリジン残基上のイプシロン-アミノ基を通して抗体に結合させることができる。生物的活性の損失が最小限となる線状または分岐のポリマー誘導体化が使われる。コンジュゲーションの程度をSDS-PAGEおよび質量分析によって綿密に監視し、抗体へのPEG分子のコンジュゲーションを適切にすることができる。未反応の釘は、サイズ排除クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーによって抗体-PEG複合体から分離することができる。PEG誘導体化抗体は、当業者に公知の方法、例えば本明細書で記載されているイムノアッセイにより結合活性について、ならびにin vivo有効性について試験することができる。
延長されたin vivo半減期を有する抗体は、1つまたは複数のアミノ酸修飾(すなわち置換、挿入または欠失)をIgGの定常ドメインまたはそのFcRn結合断片(好ましくはFcまたはヒンジ-Fcドメイン断片)に導入することによって生成することができる。例えば、本明細書で参照により完全に組み込まれている国際公開98/23289、国際公開97/34631、国際公開02/060919、および米国特許第6,277,375号を参照。
さらに、抗体または抗体断片をin vivoでより安定にするかまたはより長いin vivo半減期を保有させるために、抗体をアルブミンにコンジュゲートすることができる。このような技術は当技術分野において公知である。例えば、本明細書で参照により組み込まれている国際公開93/15199、93/15200および01/77137、および欧州特許第413,622号を参照。
5.1.2 抗体複合体
本発明は、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合し、非相同的タンパク質またはポリペプチド(またはその断片、好ましくは少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個または少なくとも100個のアミノ酸のポリペプチド)と組換えにより融合するかまたは化学的にコンジュゲートされるかして(共有結合性および非共有結合性コンジュゲーションを含む)融合タンパク質を生成する抗体またはその断片を提供する。詳細には、本発明は本明細書で記載されている抗体の抗原結合断片(例えばFab断片、Fd断片、Fv断片、F(ab)2断片、VHドメイン、VH CDR、VLドメインまたはVL CDR)および非相同的タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを含んでいる融合タンパク質を提供する。好ましくは、抗体または抗体断片が融合する非相同的タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドは、呼吸器上皮細胞、肥満細胞、好中球、好酸球、B細胞、マクロファージまたは活性T細胞を抗体の目標とさせるために有用である。例えば、特定の細胞型(例えば呼吸の上皮性細胞、肥満細胞、好中球、好酸球、B細胞、マクロファージまたは活性T細胞)によって発現される細胞表面受容体と免疫特異的に結合する抗体は、本発明の抗体または断片と融合またコンジュゲートすることができる。具体的な実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、抗幹細胞因子または抗キットリガンドとコンジュゲートされる。タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを抗体または抗体断片と融合またはコンジュゲートする方法は、当技術分野で公知である。例えば、参照により本明細書で完全に組み込まれている米国特許第5,336,603号、5,622,929号、5,359,046号、5,349,053号、5,447,851号および5,112,946号;欧州特許第307,434号および367,166号;国際公開96/04388および国際公開91/06570; Ashkenaziら、1991年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 10535〜10539頁; Zhengら、1995年、J. Immunol. 154:5590〜5600頁;およびVilら、199
2年、Proc, Natl. Acad. Sci. USA 89:11337〜11341頁を参照。
更なる融合タンパク質を、遺伝子シャフリング、モチーフシャフリング、エクソンシャフリングおよび/またはコドンシャフリング(「DNAシャフリング」と総称される)の手法を通して生成することができる。DNAシャフリングを使用して、本発明の抗体またはその断片の活性を変更することができる(例えばより高い親和性および低い解離速度を有する抗体またはその断片)。一般的には米国特許第5,605,793号、5,811,238号、5,830,721号、5,834,252号および5,837,458号; Pattenら、1997年、Curr. Opinion Biotechnol. 8:724〜33頁; Harayama、1998年、Trends Biotechnol. 16(2): 76〜82頁; Hanssonら、1999年、J. Mol. Biol. 287:265〜76頁;およびLorenzoおよびBlasco、1998年、Biotechniques 24(2): 308〜313頁を参照(これらの特許および刊行物はそれぞれ参照により本明細書で完全に組み込まれている)。抗体またはその断片、あるいはコードされた抗体またはその断片は、組換えの前に変異性PCR、ランダムなヌクレオチド挿入または他の方法によってランダムな突然変異を誘発することによって変更することができる。IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体またはその断片をコードするポリヌクレオチドは、1つまたは複数の非相同的分子の1つまたは複数の成分、モチーフ、切片、部分、ドメイン、断片、その他と再結合することができる。
さらに、抗体またはその断片は、精製を容易にするためにマーカー配列、例えばペプチドと融合することができる。好ましい実施形態において、マーカーアミノ酸配列はヘキサヒスチジンペプチド、例えば、中でもpQEベクター(QIAGEN, Inc.、9259 Eton Avenue、Chatsworth、CA、91311)で提供されている標識であり、この多くは市販されている。例えばGentzら、1989年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821〜824頁で記載されているように、ヘキサヒスチジンは融合タンパク質精製の便利な手段を提供する。精製のために有用な他のペプチド標識としては、それには限定されないが、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに一致する(Wilsonら、1984年、Cell 37:767頁)赤血球凝集素(「HA」)標識、および「フラグ」標識がある。
他の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、診断剤または検出可能な剤とコンジュゲートした。そのような抗体は、臨床検査手順、例えば特定の療法の有効性判定の一部として、疾患または障害(例えば自己免疫性障害、炎症性障害、増殖性障害または感染症(好ましくは、呼吸器感染症))の開始、発達、進行および/または程度の監視または予後判定に有用となる。そのような診断および検出は、検出可能な物質、例えば、それには限定されないが様々な酵素、例えば、それには限定されないが西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼ;補欠分子団、例えば、それには限定されないがストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチン;蛍光物質、例えば、それには限定されないがウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリン;発光物質、例えば、それには限定されないがルミノール;生物発光物質、例えば、それには限定されないがルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリン;放射性物質、例えば、それには限定されないが、ヨウ素(131I、125I、123Iおよび121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In、113In、112Inおよび111In)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Snおよび117Sn;ならびに、様々な陽電子放出断層撮影法を使う陽電子放出金属、および非放射性常磁性金属イオンなどと抗体とを結合させることにより達成することができる。
本発明は、治療成分とコンジュゲートした抗体またはその断片の使用を含む。抗体またはその断片は、細胞毒などの治療成分、例えば細胞増殖阻害剤もしくは細胞破壊剤、治療剤またはα放射体のような放射性の金属イオンとコンジュゲートすることができる。細胞毒または細胞毒性剤には、細胞に有害ないかなる剤も含まれる。治療成分としては、それには限定されないが、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキセート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン);アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BCNU)とロムスチン(CCNU)、シクロソスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシスジクロロジアミンプラチナ(II)(DDP)およびシスプラチン);アントラサイクリン類(例えば、ダウノルビシン(旧ダウノマイシン)およびドキソルビシン);抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン(AMC));オーリスタチン(Auristatin)分子(例えば、オーリスタチン(auristatin)PHE、ブリオスタチン1およびソラスタチン10;本明細書で参照により組み込まれているWoykeら、Antimicrob. Agents Chemother. 46:3802〜8頁(2002)、Woykeら、Antimicrob. Agents Chemother. 45:3580〜4頁(2001)、Mohammadら、Anticancer Drugs 12:735〜40頁(2001)、Wallら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 266:76〜80頁(1999)、Mohammadら、Int. J. Oncol. 15:367〜72頁(1999)を参照;ホルモン(例えば糖質コルチコイド、プロゲスチン、アンドロゲンおよびエストロゲン)、DNA修復酵素阻害剤(例えばエトポシドまたはトポテカン)、キナーゼ阻害剤(例えば、化合物ST1571、イマチニブ(imatinib)メシラート(Kantarjianら、Clin Cancer Res. 8(7):2167〜76頁(2002));細胞毒性剤(例えば、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアンスラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールおよびピューロマイシン、ならびにそのアナログまたは同族体、ならびに米国特許第6,245,759号、6,399,633号、6,383,790号、6,335,156号、6,271,242号、6,242,196号、6,218,410号、6,218,372号、6,057,300号、6,034,053号、5,985,877号、5,958,769号、5,925,376号、5,922,844号、5,911,995号、5,872,223号、5,863,904号、5,840,745号、5,728,868号、5,648,239号、5,587,459号で開示されている化合物);ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、R115777、BMS-214662、および米国特許第6,458,935号、6,451,812号、6,440,974号、6,436,960号、6,432,959号、6,420,387号、6,414,145号、6,410,541号、6,410,539号、6,403,581号、6,399,615号、6,387,905号、6,372,747号、6,369,034号、6,362,188号、6,342,765号、6,342,487号、6,300,501号、6,268,363号、6,265,422号、6,248,756号、6,239,140号、6,232,338号、6,228,865号、6,228,856号、6,225,322号、6,218,406号、6,211,193号、6,187,786号、6,169,096号、6,159,984号、6,143,766号、6,133,303号、6,127,366号、6,124,465号、6,124,295号、6,103,723号、6,093,737号、6,090,948号、6,080,870号、6,077,853号、6,071,935号、6,066,738号、6,063,930号、6,054,466号、6,051,582号、6,051,574号、および6,040,305号で開示されているもの);トポイソメラーゼ阻害剤(例えばカンプトセシン;イリノテカン;SN-38;トポテカン;9-アミノカンプトテシン;GG-211(GI 147211);DX-8951f;IST-622;ルビテカン(rubitecan);ピラゾロアクリジン;XR-5000;セントピン(saintopin);UCE6; UCE1022;TAN-1518A;TAN-1518B;KT6006;KT6528;ED-110;NB-506;ED-110;NB-506;およびレベッカマイシン);ブルガレイン(bulgarein);ヘキスト染料33342およびヘキスト染料33258のようなDNA副溝結合剤;ニチジン(nitidine);ファガロニン;エピベルベリン(epiberberine);コラリン(coralyne);β-ラパコン;BC-4-1;ビスホスホネート(例えば、アレンドロネート、シマドロネート(cimadronte)、クロドロネート(clodronate)、チルドロネート(tiludronate)、エチドロネート(etidronate)、イバンドロネート(ibandronate)、ネリドロネート(neridronate)、オルパンドロネート(olpandronate)、リセドロネート(risedronate)、ピリドロネート(piridronate)、パミドロネート、ゾレンドロネート(zolendronate))、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤(例えばロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン(atorvastatin)、プラバスタチン、フルバスタチン(fluvastatin)、スタチン(statin)、セリバスタチン(cerivastatin)、レスーコル(lescol)、ルピトール(lupitor)、ロスバスタチン(rosuvastatin)およびアトルバスタチン(atorvastatin));アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、米国特許第6,277,832号、5,998,596号、5,885,834号、5,734,033号、および5,618,709号で開示されているもの);アデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えばリン酸フルダラビンおよび2-クロロデオキシアデノシン);イブリツモマブチューキセタン(ibritumomab tiuxetan)(Zevalin(登録商標));トシツモマブ(tositumomab)(Bexxar(登録商標))、ならびに薬剤として許容されるその塩、溶媒和物、クラスレートおよびプロドラッグなどがある。
さらに、抗体またはその断片は、所定の生物反応を修飾する治療成分または医薬成分とコンジュゲートすることができる。治療成分または医薬成分は、古典的な化学療法剤に限られるとみなされるべきではない。例えば、医薬成分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質、ペプチドまたはポリペプチドでよい。そのようなタンパク質としては、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、コレラトキシンまたはジフテリア毒素のような毒素;タンパク質、例えば腫瘍壊死因子、α-インターフェロン、β-インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノーゲンアクチベータ、アポトーシス剤、例えば、TNF-α、TNF-β、AIM I(国際公開97/33899を参照)、AIM II(国際公開97/34911を参照)、Fas Ligand(Takahashiら、1994年、J. Immunol. 6:1567〜1574頁)、およびVEGF(国際公開99/23105を参照)、抗血管形成剤、例えばアンギオスタチン、エンドスタチンまたは凝固経路成分(例えば組織因子);あるいは、生体応答調節剤、例えば、リンホカイン(例えばインターフェロンγ(「IFN-γ」)、インターロイキン1(「IL-1」)、インターロイキン2(「IL-2」)、インターロイキン5(「IL-5」)、インターロイキン6(「IL-6」)、インターロイキン7(「IL-7」)、インターロイキン10(「IL-10」)、インターロイキン12(「IL-12」)、インターロイキン15(「IL-15」)、インターロイキン23(「IL-23」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、および顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」))、または成長因子(例えば成長ホルモン(「GH」))、または凝固因子(例えばカルシウム、ビタミンK、組織因子、例えば、それには限定されないがハーゲマン因子(第XII因子)、高分子キニノーゲン(HMWK)、プレカリクレイン(PK)、凝固タンパク質因子II(プロトロンビン)、第V、XIIa、VIII、XIIIa、XI、XIa、IX、IXa、X因子、リン脂質、フィブリノーゲンのαおよびβ鎖からのフィブリノペプチドAおよびB、フィブリンモノマー)がある。具体的な実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する
抗体は、ロイコトリエン拮抗薬(例えばmontelukast、zafirlukast、pranlukastおよびzyleuton)とコンジュゲートされる。
さらに、抗体を治療成分、例えば、放射性の金属イオン、例えば、213Biのようなα放射体、またはそれには限定されないが131In、131L、131Y、131Ho、131Smなどの放射金属イオンをポリペプチドまたは上記のいずれかにコンジュゲートするのに役立つ大環状キレート化剤とコンジュゲートすることができる。ある種の実施形態では、大環状キレート化剤は、リンカー分子を通して抗体に結合することができる、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(DOTA)である。そのようなリンカー分子は当技術分野で公知であり、参照により完全に組み込まれている、Denardoら、1998年、Clin Cancer Res. 4(10):2483〜90頁;Petersonら、1999年、Bioconjug. Chem. 10(4):553〜7頁;およびZimmermanら、1999年、Nucl. Med. Biol. 26(8):943〜50頁、に記載されている。
抗体に治療成分をコンジュゲートする手法は公知であり、例えばMonoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeldら編、243〜56頁(Alan R. Liss, Inc.、1985年)、Arnonら、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」; Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinsonら編、623〜53頁(Marcel Dekker, Inc.、1987年)、Hellstromら「Antibodies For Drug Delivery」; Monoclonal Antibodies 84:Biological And Clinical Applications、Pincheraら編、475〜506頁(1985)、Thorpe、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」; Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwinら編、303〜16頁(Academic Press 1985)、「Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」、およびThorpeら、1982年、Immunol. Rev. 62:119〜58頁を参照。
あるいは、参照により本明細書に完全に組み込まれている米国特許第4,676,980号でSegalが記載しているように、抗体は第2の抗体とコンジュゲートさせ、抗体ヘテロコンジュゲートを形成することができる。
IL-9ポリペプチドまたはその断片と免疫特異的に結合する抗体とコンジュゲートさせた治療成分または治療剤を選択する場合は、被験者におけるIL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するかそれを特徴とする特定の疾患または障害、IL-9Rまたは1つもしくは複数のそのサブユニットの異常発現および/または活性に関連するかそれを特徴とする疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)に対して所望の予防的効果または治療的効果を達成するようにしなければならない。臨床医または他の医療関係者は、どの治療成分または治療剤をIL-9ポリペプチドまたはその断片と免疫特異的に結合する抗体にコンジュゲートするかを決定する場合には、以下を検討するべきである。疾患の性質、疾患の程度および被験者の状態。
抗体は、標的抗原のイムノアッセイまたは精製に特に有用な固体支持体にも固着させることができる。そのような固体支持体としては、それには限定されないが、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンがある。
5.2 IL-9抗体との併用に有用な療法
本発明は、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する1つまたは複数の抗体の有効量、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体以外の1つまたは複数の療法(例えば、予防剤または治療剤)を、それを必要とする被験者に投与することを含む、これらに限定されるものではないが、異常発現および/または活性IL-9により特徴づけられる障害、IL-9またはその1つもしくは複数のサブユニットの異常発現および/または活性、炎症性障害、自己免疫障害、増殖性障害、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)を含む疾患および障害を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法をも提供する(米国仮特許出願第60/477,801号、2003年6月10日出願、表題「Methods of Preventing or Treating Respiratory Conditions」、米国仮特許出願第60/462,307号、2003年4月11日出願、表題「Methods of Preventing or Treating Respiratory Conditions」、および本出願と同時(2004年4月12日)に出願した米国仮特許出願(弁護士文書番号第10271-113-999で特定される)、表題「Methods of Preventing or Treating Respiratory Conditions」を参照、これらはそれぞれ本明細書に参照によりその全文が組み入れられる)。本発明はまた、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する1つまたは複数の抗体、およびIL-9ペプチドに免疫特異的に結合する抗体以外の1つまたは複数の予防剤または治療剤を含む組成物、および前記組成物を利用する疾患または障害を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法をも提供する。治療剤または予防剤は、限定されるものではないが、小分子、合成薬、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸(例えば、限定されるものではないが、アンチセンスヌクレオチド配列、三重螺旋、RNAi、および生物活性タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコード化するヌクレオチド配列を含む、DNAおよびRNAヌクレオチド)、抗体、合成のまたは天然の無機分子、模倣薬剤、および合成のまたは天然の有機分子を含む。
IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性により特徴づけられる障害、IL-9またはその1つもしくは複数のサブユニットの異常発現および/または活性と関連する障害または疾患、炎症性障害、自己免疫障害、増殖性障害、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)と関連する1つまたは複数の症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善するために有用であることが知られているか、または使用されてきたまたは現在使用されている如何なる療法(例えば、予防剤または治療剤)も、本明細書に記載した発明にしたがって、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体と併用して使用することができる。IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連する障害、IL-9またはその1つもしくは複数のサブユニットの異常発現および/または活性と関連する障害、自己免疫障害、炎症性障害、増殖性障害または感染症を予防し、治療し、管理し、および/または改善するために使用されてきたまたは現在使用されている療法、特に予防剤または治療剤に関する情報としては、例えばGilmanら、Goodman and Gilman's、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、第10版、McGraw-Hill、ニューヨーク、2001年、Berkow, M.D.ら(編集)、「The Merck Manual of Diagnosis and Therapy」、第17版、Merck Sharp & Dohme Research Laboratories、Rahway、ニュージャージー、1999年、およびBennettとPlum(編集)、「Cecil Textbook of Medicine」、第20版、W.B.Saunders、フィラデルフィア、1996年を参照のこと。予防剤および治療剤の例としては、限定されるものではないが、免疫調整剤、抗炎症因子(例えば副腎コルチコイド類、副腎皮質ステロイド類(例えば、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン)、糖質コルチコイド類、ステロイド類、非ステロイド抗炎症薬類(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、およびCOX-2阻害剤類)、およびロイコトリエン拮抗剤(例えば、モンテルカスト、メチルキサンチン類、ザフィルルカスト、およびジレウトン)、ベータ2-作動薬(例えば、アルブテロール、ビテロール、フェノテロール、イソエタリン、メタプロテレノール、ピルブテロール、サルブタモール、テルブタリンホルモテロール、サルメテロール、およびサルブタモールテルブタリン)、抗コリン薬(例えば、臭化イプラトロピウムおよび臭化オキシトロピウム)、スルファサラジン、ペニシラミン、ダプソン、抗ヒスタミン薬類、抗マラリヤ薬類(例えば、ヒドロキシクロロキン)、抗ウイルス剤類、および抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))を含む。
5.2.1 免疫調節療法
当業者に良く知られているいずれの免疫調節剤も、本発明の方法および組成物に使用することができる。免疫調節剤は、被験者において免疫応答の1つもしくは複数のまたは全ての様相に影響を与えることができる。免疫応答の様相は、限定されるものではないが、炎症性応答、補体カスケード、白血球およびリンパ球の分化、増殖、および/またはエフェクター機能、単球および/または好塩基球の数、および免疫系の細胞間の細胞コミュニケーションを含む。本発明のある特定の実施形態においては、免疫調節剤は免疫応答の1つの様相を調節する。他の実施形態においては、免疫調節剤は免疫応答の2以上の様相を調節する。本発明の好ましい実施形態においては、免疫調節剤の被験者への投与は、被験者の免疫応答能力の1つまたは複数の様相を阻害するかまたは低減する。本発明の特定の実施形態においては、免疫調節剤は被験者における免疫応答を阻害するかまたは抑制する。本発明によれば、免疫調節剤はIL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体ではない。ある特定の実施形態においては、免疫調節剤は抗炎症因子ではない。ある特定の実施形態においては、免疫調節剤は抗血管形成剤ではない。他の実施形態においては、免疫調節剤はインテグリンαVβ3拮抗剤ではない。他の実施形態においては、免疫調節剤はTNFα拮抗剤ではない。ある特定の実施形態においては、免疫調節剤は化学療法剤である。ある特定の実施形態においては、免疫調節剤は化学療法剤ではない。
免疫調節剤の例としては、限定されるものでないが、サイトカイン、ペプチドミメティック、および抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fv、ScFv、FabもしくはF(ab)2断片またはエピトープ結合断片)などのタンパク質性薬剤、核酸分子(例えば、アンチセンス核酸分子および三重螺旋)、小分子、有機化合物、および無機化合物を含む。特に、免疫調節剤としては、限定されるものでないが、メトトレキセート、レフルノミド、シクロホスファミド、サイトキサン、イムラン、シクロスポリンA、ミノサイクリン、アザチオプリン、抗生物質(例えば、FK506(タクロリムス))、メチルプレドニゾロン(MP)、副腎皮質ステロイド類、ステロイド類、ミコフェノール酸モフェチル、ラパマイシン(シロリムス)、ミゾリビン、デオキシスパガリン、ブレキナール、マロノニトリロアミド類(例えば、レフルナミド)、T細胞受容体調節薬、サイトカイン受容体調節薬、および調節薬肥満細胞調節薬を含む。
T細胞受容体調節薬、サイトカイン受容体調節薬、および肥満細胞調節薬の詳細な説明については、セクション3.1を参照されたい。T細胞受容体調節薬の例としては、限定されるものではないが、抗T細胞受容体抗体(例えば、抗CD4抗体(例えば、cM-T412(ベーリンガー社)、IDEC-CE9.1(登録商標)(IDECおよびSKB)、mAB 4162W94、オルソクローンおよびOKTcdr4a(ジャンセンシラグ社))、抗CD3抗体(例えばNuvion(プロダクトデザイン研究所)、OKT3(ジョンソンアンドジョンソン社)、またはリツキサン(IDEC)、抗CD5抗体(例えば、抗CD5リシン連結イムノコンジュゲート)、抗CD7抗体(例えば、CHH-380(ノバルティス社))、抗CD8抗体、抗CD40リガンドモノクローナル抗体(例えば、IDEC-131(IDEC))、抗CD52抗体(例えば、CAMPATH 1H(Ilex))、抗CD2抗体(例えば、シプリズマブ(siplizumab )(ディミューン社、国際公開第02/098370号および国際公開第02/069904号))、抗CD11a抗体(例えば、Xanelim(ジェネンテック社))、および抗B7抗体(例えば、IDEC-114)(IDEC))、CTLA4-免疫グロブリン、およびLFA-3TIP(バイオジェン社、国際公開第93/08656号および米国特許第6,162,432号)を含む。
サイトカイン受容体調節薬の例としては、限定されるものでないが、可溶性サイトカイン受容体(例えば、TNF-α受容体の細胞外ドメインまたはその断片、IL-1β受容体の細胞外ドメインまたはその断片、およびIL-6受容体の細胞外ドメインまたはその断片)、サイトカインまたはその断片(例えばインターロイキンIL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-23、TNF-α、TNF-β、インターフェロン(IFN)-α、IFN-β、IFN-γ、およびGM-CSF)抗サイトカイン受容体抗体(例えば、抗-IFN受容体抗体、抗-IL-2受容体抗体(例えば、ゼナパックス(タンパク質デザイン研究室)、抗-IL-3受容体抗体、抗-IL-4受容体抗体、抗-IL-6受容体抗体、抗-IL-10受容体抗体、抗-IL-12受容体抗体、抗-IL-13受容体抗体、抗-IL-15受容体抗体、および抗-IL-23受容体抗体)、抗-サイトカイン抗体(例えば抗-IFN抗体、抗-TNF-α抗体、抗-IL-1β抗体、抗-IL-3抗体、抗-IL-6抗体、抗-IL-8抗体、(例えばABX-IL-8(アブジェニクス社))抗-IL-12抗体、抗-IL-13抗体、抗-IL-15抗体、抗-IL-23抗体)を含む。
特定の実施形態においては、サイトカイン受容体調節薬はIL-3、IL-4、IL-10、またはそれらの断片である。他の実施形態においては、サイトカイン受容体調節薬は抗IL-lβ抗体、抗IL-6抗体、抗IL-12受容体抗体、または抗TNF-α抗体である。他の実施形態においては、サイトカイン受容体調節薬はTNF-α受容体の細胞外ドメインまたはその断片である。ある特定の実施形態においては、サイトカイン受容体調節薬はTNF-α拮抗剤ではない。
1つの実施形態においては、サイトカイン受容体調節薬は肥満細胞調節薬である。代わりの実施形態においては、サイトカイン受容体調節薬は肥満細胞調節薬ではない。肥満細胞調節薬の例としては、限定されるものではないが、幹細胞刺激因子(c-キット受容体リガンド)阻害剤(例えば、mAb7H6、mAb8H7a、pAb1337、FK506、CsA、デキサメタゾン、およびフルコンシノニド(fluconcinonide))、c-キット受容体阻害剤(例えば、STI571(以前はCGP57148Bとして知られていた))、肥満細胞蛋白質分解酵素阻害剤(例えば、GW-45、GW-58、ワートマニン、LY294002、カルホスチンC、サイトカラシンD、ゲニステイン、KT5926、スタウロスポリン、およびラクトフェリン)、リラキシン(RLX)、IgE拮抗剤(例えば、抗体rhuMAb-E25オマリズマブ、HMK-12および6HD5、およびmAB Hu-901)、IL-3拮抗剤、IL-4拮抗剤、IL-10拮抗剤、およびTGF-ベータを含む。
免疫調節剤は、Tヘルパーサブセット(TH1またはTH2)とB細胞との間の相互作用を妨害して中和抗体の形成を阻害するように選択しうる。TH(Tヘルパー)細胞によるB細胞の活性化に必要な相互作用を妨害するかまたはブロックして、それにより中和抗体の産生をブロックする抗体が、本発明の方法における免疫調節剤として有用である。例えば、T細胞によるB細胞活性化は、Tヘルパー細胞上のCD40リガンドとB細胞上のCD40抗原との結合、およびT細胞上のCD28および/またはCTLA4リガンドとB細胞上のB7抗原との結合などのある特定の相互作用が生じることを必要とする(Durieら、Immunol. Today、15巻(9号)、406〜410頁、1994年)。両方の相互作用なしに、中和抗体の産生を誘導するようにB細胞を活性化することはできない。
CD40リガンド(CD40L)-CD40相互作用は、Tヘルパー細胞の活性化と機能の両方におけるその広範な活性ならびにそのシグナル伝達経路における重複性の非存在のため、免疫応答をブロックするための望ましい着眼点である。したがって、本発明の特定の実施形態においては、1つまたは複数の免疫調節剤の投与時に、CD40LとCD40との相互作用を一時的にブロックする。これは、TH細胞上のCD40リガンドをブロックしてTヘルパー細胞上のCD40リガンドとB細胞上のCD40抗原との正常な結合を妨害する薬剤を用いて、治療することにより達成できる。CD40リガンドに対する抗体(抗CD40L)(ブリストルマイヤーズスクイブ社から入手可能、例えば、1993年8月18日に公開された欧州特許出願第555,880号を参照を参照されたい)または可溶性CD40分子を選択し、本発明の方法にしたがって免疫調節剤として使用することができる。
免疫調節剤は、TH1細胞と細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の間の相互作用を抑制してCTL媒介死滅の発生を低減するように選択しうる。免疫調節剤は、CD4+および/またはCD8+T細胞の増殖、分化、活性および/または機能を改変する(例えば、阻害または抑制する)ように選択しうる。例えば、T細胞に特異的な抗体を免疫調節剤として使用し、CD4+および/またはCD8+T細胞の増殖、分化、活性および/または機能を枯渇させたり、改変させたりすることができる。
本発明の1つの実施形態においては、T細胞(好ましくは記憶T細胞)を低減するかまたは枯渇させる免疫調節剤を、本発明の方法にしたがって、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連しまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、IL-9Rまたはそれらの1つまたは複数のサブユニットの異常発現と関連しまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)を患う被験者に投与する。例えば、米国特許第4,658,019号を参照されたい。本発明の他の実施形態においては、CD8+T細胞を不活性化する免疫調節剤を、本発明の方法にしたがって、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連しまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、IL-9Rまたはそれらの1つまたは複数のサブユニットの異常発現と関連しまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)を患う被験者に投与する。特定の実施形態においては、抗CD8抗体を使用してCD8+T細胞を低下または枯渇させる。
他の実施形態においては、CD4+Tヘルパー細胞のTH0、TH1、および/またはTH2サブセットの1つまたは複数の生物学的活性(例えば、分化、増殖、および/またはエフェクター機能)を低減するかまたは阻害する免疫調節剤を、本発明の方法にしたがって、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連しまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、IL-9またはそれらの1つまたは複数のサブユニットの異常発現と関連しまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)を患う被験者に投与する。かかる免疫調節剤の一例はIL-4である。IL-4はTH1細胞機能を犠牲にしてTH2細胞の抗原特異的活性を増強する(例えば、Yokotaら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA、83巻、5894〜5898頁、1986年、および米国特許第5,017,691号を参照されたい)。Tヘルパー細胞(特に、TH1および/またはTH2細胞)の生物学的活性(例えば、増殖、分化、および/またはエフェクター機能)に影響を与える免疫調節剤の他の例としては、限定されるものでないが、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-23およびインターフェロン(IFN)-γを含む。
他の実施形態においては、本発明の方法にしたがって、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連しまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、IL-9またはそれらの1つまたは複数のサブユニットの異常発現と関連しまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)を患う被験者に投与される免疫調節剤は、抗原提示を阻止するサイトカインである。特定の実施形態においては、本発明の方法に使用される免疫調節剤はIL-10である。IL-10はまた、細菌の除去に関わるマクロファージ作用を低下させたり、阻害したりする。
免疫調節剤は、肥満細胞の活性化、脱顆粒、増殖、および/または浸潤を低減または阻害するために選択できる。ある特定の実施形態においては、免疫調節剤は、限定されるものではないが、幹細胞刺激因子(c-キットリガンド)、IgE、IL-4、環境刺激剤、および感染症剤を含み、肥満細胞と肥満細胞活性化剤との間の相互作用を妨害する。特定の実施形態においては、免疫調節剤は、花粉、ダニ粉塵、タバコの煙、および/またはペットのふけに限定されるものではないが、これらなどの環境刺激剤に対する肥満細胞の応答を低減または阻害する。他の特定の実施形態においては、免疫調節剤は、ウイルス類、バクテリア類、および真菌類などの感染因子に対する肥満細胞の応答を低減または阻害する。肥満細胞の活性化、脱顆粒、増殖、および/または浸潤を低減または阻害させる肥満細胞調節薬の例としては、限定されるものではないが、幹細胞刺激因子(c-キット受容体リガンド)阻害剤(例えば、mAb 7H6、mAb 8H7a、およびpAb 1337(Mendiazら、Eur J Biochem、293巻、3号、842〜849頁、1996年参照)、FK506およびCsA(Itoら、Arch Dermatol Res、291巻、5号、275〜283頁、1999年参照)、デキサメサゾンおよびフルコンシノニド(Finootoら、J Clin Invest、99巻、7号、1721〜1728頁、1997年)、c-kit受容体阻害剤(例えばSTI571(以前CGP57148Bとして知られていた)(Heinrichら、Blood、96巻、3号、925〜932頁、2000年参照))、肥満細胞蛋白質分解酵素阻害剤(例えばGW-45およびGW-58(Temkinら、J Immunol、169巻、5号、2662〜2669頁、2002年参照)、ワートマニン、LY 294002、カルホスチンC、およびサイトカラシンD(Vossellerら、Mol Biol Cell、1997巻、909〜922頁、1997年参照)、ゲニステイン、KT5926、およびスタウロスポリン(Nagaiら、Biochem Biophys Res Commun、208巻、2号、576〜581頁、1995年参照)、およびラクトフェリン、(Heら、Biochem Pharmacol、65巻、6号、1007〜1015頁、2003年参照)、リラキシン(RLX)(Baniら、Int Immunopharmacol、2巻、8号、1195〜1294頁、2002年参照)、IgE拮抗剤(例えば、抗体rhuMAb-E25オマリズマブ(Finnら、J Allergy Clin Immuno、111巻、2号、278〜284頁、2003年、Correnら、J Allergy Clin Immuno、111巻、1号、87〜90頁、2003年、BusseとNeaville、Curr Opin Allergy Clin Immuno、1巻、1号、105〜108頁、2001年、およびTangとPowell、Eur J Pediatr、160巻、12号、696〜704頁、2001年参照)、HMK-12および6HD5(Miyajimaら、Arch Allergy Immuno、128巻、1号、24〜32頁、2202年参照)、およびmAB Hu-901(van Neervenら、Int Arch Allergy Immuno、124巻、1〜3号、400頁、2001年参照)IL-3拮抗剤、IL-4拮抗剤、IL10拮抗剤、およびTGF-ベータ(Metcalfeら、Exp Dermatol、4巻、4 Pt2号、227〜230頁、1995年参照)を含む。
好ましい実施形態においては、免疫調節剤として利用されているタンパク質、ポリペプチド類またはペプチド類(抗体を含む)は、タンパク質、ポリペプチド類またはペプチド類の受容者として同一種に由来するものであり、これらのタンパク質、ポリペプチド類またはペプチド類と免疫応答する可能性を低減する。他の好ましい実施形態においては、被験者がヒトである場合には、免疫調節剤として利用されているタンパク質、ポリペプチド類またはペプチド類は、ヒトのものであるか、またはヒト化される。
本発明によれば、1つまたは複数の免疫調節剤を、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体に先だって、または続いて、または同時に、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連するかまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、IL-9またはその1つもしくは複数のサブユニットの異常発現と関連するかまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)を患う被験者に投与する。好ましくは、当業者により必要性が判断されるように、免疫応答の1つまたは複数の様相を低減するかまたは阻害させるために、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連するかまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、IL-9またはその1つもしくは複数のサブユニットの異常発現と関連するかまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)を患う被験者に、1つまたは複数の免疫調節剤を、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体と併用して投与する。当業者に良く知られている何れかの技術を用いると、特定の被験者における免疫応答の1つまたは複数の様相を測定でき、それにより、いつ免疫調節剤を前記被験者に投与する必要があるかを決定することができる。好ましい実施形態においては、被験者において平均絶対リンパ球数を、およそ500個/mm3、好ましくは600個/mm3、650個/mm3、700個/mm3、750個/mm3、800個/mm3、900個/mm3、1000個/mm3、1100個/mm3、または1200個/mm3に維持する。他の好ましい実施形態においては、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連するかまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、IL-9またはその1つもしくは複数のサブユニットの異常発現と関連するかもしくは特徴づけられる疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)を患う被験者に、もし被験者の絶対リンパ球数が500個/mm3以下、550個/mm3以下、600個/mm3以下、650個/mm3以下、700個/mm3以下、750個/mm3以下、または800個/mm3以下であれば免疫調節剤を投与しない。
好ましい実施形態においては、1種またはそれ以上の免疫調節剤を、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体と併用して、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連するかまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、IL-9Rのまたはその1つもしくは複数のサブユニットの異常発現と関連するかまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)を患う被験者に投与して、免疫応答の1つまたは複数の様相を一時的に低減するか、または阻害する。かかる免疫系の1つまたは複数の様相を一時的に阻害することまたは低減することは、数時間、数日間、数週間、または数カ月間続くことがある。好ましくは、免疫応答の1つまたは複数の様相の一時的な阻害または低下は、数時間(例えば、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、14時間、16時間、18時間、24時間、36時間、または48時間)、数日間(例えば、3日、4日、5日、6日、7日、または14日)、または数週間(例えば、3週、4週、5週、または6週)続く。免疫応答の1つまたは複数の様相の一時的な低減または阻害は、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体の予防および/または治療効果を増強する。
免疫調節活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類をコードする核酸分子、または免疫調節活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類を、本発明の方法にしたがって、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連するかまたは特徴づけられる疾患または障害、IL-9またはその1つもしくは複数のサブユニットの異常発現と関連するかまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)を患う被験者に投与することができる。さらに、免疫調節活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類の誘導体、アナログ、もしくは断片をコードする核酸分子、または免疫調節活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類の誘導体、アナログ、もしくは断片を、本発明の方法にしたがって、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連するかまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、IL-9またはその1つもしくは複数のサブユニットの異常発現と関連するかまたは特徴づけられる疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)を患う被験者に投与することができる。好ましくは、かかる誘導体、アナログ、および断片は、全長の野生型タンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドの免疫調節活性を保持するものである。
好ましくは、免疫調節剤として機能することが知られている市販の薬剤を本発明の方法に使用する。ある薬剤の免疫調節活性は、当業者に良く知られているいずれかの技術、例えば、CTLアッセイ、増殖アッセイ、ならびに共刺激性分子およびサイトカインなどの特定のタンパク質の発現についてのイムノアッセイ(例えば、ELISA)により、in vitroおよび/またはin vivoで測定することができる。
5.2.2 抗血管形成治療
当業者に良く知られているいずれの抗血管形成剤も、本発明の組成物および方法に使用することができる。抗血管形成剤の例は、限定されるものでないが、血管形成を低減するかまたは阻害する、タンパク質、ポリペプチド類、ペプチド類、融合タンパク質、TNF-αと免疫特異的に結合する抗体などの抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fv、ScFv、Fab断片、F(ab)2断片、およびそれらの抗原結合断片)、核酸分子(例えば、アンチセンス分子または三重螺旋)、有機分子、無機分子、および小分子を含む。特に、抗血管形成剤の例は、限定されるものでないが、エンドスタチン、アンギオスタチン、アポミグレン、抗血管形成性アンチトロンビンIII、フィブロネクチンの29kDa N末端および40kDa C末端タンパク分解性断片、uPA受容体拮抗剤、プロラクチンの16kDaタンパク分解性断片、血小板因子-4の7.8 kDaタンパク分解性断片、血小板因子-4の抗血管形成性24アミノ酸断片、13.40と名付けられた抗血管形成因子、トロンボスポンジンIの抗血管形成性22アミノ酸ペプチド断片、SPARCの抗血管形成性20アミノ酸ペプチド断片、RGDおよびNGRを含有するペプチド、ラミニン、フィブロネクチン、プロコラーゲンおよびEGFの小さい抗血管形成ペプチド、インテグリンαVβ3拮抗剤、酸性繊維芽細胞増殖因子(aFGF)拮抗剤、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)拮抗剤、血管内皮増殖因子(VEGF)拮抗剤(例えば、抗VEGF抗体)、およびVEGF受容体(VEGFR)拮抗剤(例えば、抗VEGFR抗体)を含む。
インテグリンαVβ3拮抗剤の例としては、限定されるものではないが、非触媒性メタロプロテイナーゼ断片、RGDペプチド、ペプチドミメティック、融合タンパク質、ディスインテグリンまたはそれらの誘導体もしくはアナログ、およびインテグリンαVβ3と免疫特異的に結合する抗体などのタンパク様物質、核酸分子、有機分子、および無機分子を含む。インテグリンαVβ3と免疫特異的に結合する抗体の例としては、限定されるものではないが、11D2(サール社)、LM609(スクリプス社)、およびバイタクシン(商標)(メディミューン社)を含む。小分子ペプチドメトリック(peptidometric)インテグリンαVβ3拮抗剤の例としては、限定されるものではないが、S836(サール社)およびS448(サール社)を含む。ディスインテグリンの例としては、限定されるものでないが、Accutinを含む。本発明はまた、以下の米国特許および国際公開に開示されたいずれのインテグリンαVβ3拮抗剤の、本発明の組成物および方法における使用も包含する。米国特許第5,149,780号、第5,196,511号、第5,204,445号、第5,262,520号、第5,306,620号、第5,478,725号、第5,498,694号、第5,523,209号、第5,578,704号、第5,589,570号、第5,652,109号、第5,652,110号、第5,693,612号、第5,705,481号、第5,753,230号、第5,767,071号、第5,770,565号、第5,780,426号、第5,817,457号、第5,830,678号、第5,849,692号、第5,955,572号、第5,985,278号、第6,048,861号、第6,090,944号、第6,096,707号、第6,130,231号、第6,153,628号、第6,160,099号、および第6,171,588号、および国際公開第95/22,543号、第98/33,919号、第00/78,815号、および第02/070,007号であり、本明細書に参照によりその全文が組み入れられる。好ましい実施形態においては、抗拮抗剤はバイタクシン(商標)(メディミューン社)またはその抗原結合断片である。
本発明の特定の実施形態においては、抗血管形成剤はエンドスタチンである。天然のエンドスタチンは、コラーゲンXVIIIのC末端〜180アミノ酸(コラーゲンXVIIIの2つのスプライス型をコードするcDNAはGen Bank受託番号AF18081およびAF18082を有する)からなる。本発明の他の実施形態においては、抗血管形成剤はプラスミノーゲン断片である(プラスミノーゲンのコード配列はGen Bank受託番号NM_000301およびA33096で見出すことができる)。アンギオスタチンペプチドは天然でプラスミノーゲンの4つのクリングル(kringle)ドメイン、すなわちクリングル1〜クリングル4を含む。組換えクリングル1、2および3は天然のペプチドの抗血管形成特性を有するが、クリングル4はかかる活性を有しないことが実証されている(Caoら、J. Biol. Chem.、271巻、29461〜29467頁、1996年)。したがって、アンギオスタチンペプチドは、クリングル1、クリングル2およびクリングル3からなる群から選択される、少なくとも1つおよび好ましくは2以上のクリングルドメインを含む。特定の実施形態においては、抗血管形成ペプチドは、ヒトアンギオスタチン分子の40kDaイソ型、ヒトアンギオスタチン分子の42kDaイソ型、ヒトアンギオスタチン分子の45kDaイソ型、またはそれらの組合せである。他の実施形態においては、抗血管形成剤は、アンギオスタチン(アンギオスタチンはクリングルドメイン1〜4を含む)より強力な血管形成の阻害剤である、プラスミノーゲンのクリングル5ドメインである。本発明の他の実施形態においては、抗血管形成剤はアンチトロンビンIIIである。アンチトロンビンIIIは、本明細書で以後アンチトロンビンと呼ぶが、タンパク質を脈管構造壁に係留するヘパリン結合ドメイン、およびトロンビンと相互作用する活性部位ループを含む。アンチトロンビンがヘパリンに係留すると、タンパク質はコンフォメーションの変化を誘発し、活性ループがトロンビンと相互作用しうるようになり、前記ループのトロンビンによるタンパク分解性切断が起こる。タンパク分解性切断が起こると、アンチトロンビンのコンフォメーションはさらに変化し、(i)トロンビンとアンチトロンビンの間の相互作用界面を改変し、かつ(ii)その複合体をヘパリンから遊離する(Carrell、Science 285巻、1861〜1862頁、1999年および同文献中の参考文献)。O"Reillyら(Science、285巻、1926〜1928頁、1999年)は、切断されたアンチトロンビンが強力な抗血管形成活性を有することを発見した。したがって、1つの実施形態においては、抗血管形成剤は、アンチトロンビンの抗血管形成型である。本発明の他の実施形態においては、抗血管形成剤はフィブロネクチンの40kDaおよび/または29kDaタンパク分解性断片である。
本発明の他の実施形態においては、抗血管形成剤はウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベータ(uPA)受容体拮抗剤である。実施形態の一様式においては、拮抗剤はuPAの優性阻害型突然変異体(例えば、Crowleyら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻、5021〜5025頁、1993年を参照)である。実施形態の他の様式においては、拮抗剤は、ペプチド拮抗剤またはその融合タンパク質である(Goodsonら,1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:7129-7133)。実施形態のさらに他の様式においては、拮抗剤は優性阻害型な可溶性uPA受容体である(Minら、Cancer Res.、56巻、2428〜2433頁、1996年)。本発明の他の実施形態においては、本発明の治療用分子は、約120個のアミノ酸またはその生物学的活性断片を含んでなる、プロラクチンの16kDa N末端断片である(プロラクチンのコード配列は、Gen Bank受託番号NM_000948に見出しうる)。本発明の他の実施形態においては、抗血管形成剤は、7.8kDa血小板因子-4断片である。本発明の他の実施形態においては、本発明の治療用分子は、血小板因子-4の抗血管形成性の13個のアミノ酸断片に対応する小ペプチドであって、13.40と名付けられる抗血管形成因子、トロンボスポンジンIの抗血管形成性の22個のアミノ酸ペプチド断片、SPARCの抗血管形成性の20個のアミノ酸ペプチド断片、ラミニン、フィブロネクチン、プロコラーゲン、もしくはEGFの小抗血管形成ペプチド、またはインテグリンαVβ3もしくはVEGF受容体の小ペプチド拮抗剤である。他の実施形態においては、小ペプチドはRGDまたはNGRモチーフを含んでなる。ある特定の実施形態においては、抗血管形成剤はTNF-α拮抗剤である。他の実施形態においては、抗血管形成剤はTNF-α拮抗剤でない。
抗血管形成活性を有するタンパク質、ポリペプチド類もしくはペプチド類をコードする核酸分子、または抗血管形成活性を有するタンパク質、ポリペプチド類もしくはペプチド類を、本発明の方法にしたがって、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に特徴付けられる疾患もしくは障害、IL-9またはそれらの1つまたは複数のサブユニットの異常発現および/または活性に特徴づけられる疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症を患う被験者に投与することができる。さらに、抗血管形成活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類の誘導体、アナログ、断片もしくは変異体をコードする核酸分子、または抗血管形成活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、またはペプチド類の誘導体、アナログ、断片もしくは変異体を、本発明の方法にしたがって、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に特徴づけられる疾患もしくは障害、IL-9Rまたはそれらの1つまたは複数のサブユニットの異常発現および/または活性に特徴づけられる疾患もしくは障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、増殖性疾患、または感染症を患う被験者に投与することができる。好ましくは、かかる誘導体、アナログ、変異体および断片は、全長の野生型タンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類の抗血管形成活性を保持する。
抗血管形成剤として利用しうるタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類は、当業者に良く知られているまたは本明細書に記載のいずれかの技術により生産することができる。抗血管形成活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、またはペプチド類は、当業者に良く知られているまたは本明細書に記載の技術を利用して、かかるタンパク質、ポリペプチド類、またはペプチド類のin vivoにおける半減期を増加することができる。好ましくは、市販されている抗血管形成剤を、本発明の組成物および方法に使用する。薬剤の抗血管形成薬活性は、当業者に良く知られているいずれかの技術によりin vitroおよび/またはin vivoで決定することができる。
5.2.3. TNF-α拮抗剤
当業者に良く知られているいずれのTNF-α拮抗剤も、本発明の組成物および方法に使用することができる。TNF-α拮抗剤の例としては、限定されるものでないが、TNF-αの機能、活性および/または発現をブロックし、低下させ、阻害しまたは中和する、タンパク質、ポリペプチド類、ペプチド類、融合タンパク質、TNF-αと免疫特異的に結合する抗体などの抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fv、ScFv、Fab断片、F(ab)2断片、およびそれらの抗原結合断片)、核酸分子(例えば、アンチセンス分子または三重螺旋)、有機分子、無機分子、および小分子を含む。様々な実施形態において、TNF-α拮抗剤は、TNF-αの機能、活性および/または発現を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)などの対照と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%低減する。
TNF-αと免疫特異的に結合する抗体の例としては、限定されるものでないが、インフリキシマブ(レミケード(登録商標)、Centacor)、D2E7(アボットラボラトリーズ社/クノール製薬社、Mt. Olive、ニュージャージー州)、HUMICADE(商標)およびCDP-870(両方とも、セルテック/ファーマシア社、Slough、英国)としても知られるCDP571、ならびにTN3-19.12(Williamsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、91巻、2762〜2766頁、1994年、Thorbeckeら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻、7375〜7379頁、1992年)を含む。本発明はまた、以下の米国特許に開示されたTNF-αと免疫特異的に結合する抗体の、本発明の組成物および方法における使用を包含する:第5,136,021号、第5,147,638号、第5,223,395号、第5,231,024号、第5,334,380号、第5,360,716号、第5,426,181号、第5,436,154号、第5,610,279号、第5,644,034号、第5,656,272号、第5,658,746号、第5,698,195号、第5,736,138号、第5,741,488号、第5,808,029号、第5,919,452号、第5,958,412号、第5,959,087号、第5,968,741号、第5,994,510号、第6,036,978号、第6,114,517号、および第6,171,787号であり、これらはそれぞれ本明細書に参照によりその全文が組み入れられる。可溶性TNF-α受容体の例としては、限定されるものでないが、sTNF-R1(アムジェン社)、エタネルセプト(エンブレル(商標)、イミュネクス社)およびそのラット同族体RENBREL(商標)、TNFrI、TNFrIIから誘導されたTNF-αの可溶性阻害剤(Kohnoら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87巻、8331〜8335頁、1990年)、ならびにTNF-α阻害剤(Seckingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、87巻、5188〜5192頁、1990年)を含む。
1つの実施形態においては、本発明の組成物および方法に使用されるTNF-α拮抗剤は、可溶性TNF-α受容体である。特定の実施形態においては、本発明の組成物および方法に使用されるTNF-α拮抗剤は、エタネルセプト(エンブレル(商標)、イミュネクス社)またはその断片、誘導体もしくはアナログである。他の実施形態においては、本発明の組成物および方法に使用されるTNF-α拮抗剤は、TNF-αと免疫特異的に結合する抗体である。特定の実施形態においては、本発明の組成物および方法に使用されるTNF-α拮抗剤は、インフリキシマブ(レミケード(登録商標)、Centacor)またはその誘導体、アナログもしくは抗原結合断片である。
本発明に包含される他のTNF-α拮抗剤は、限定されるものでないが、インターフェロンγ-活性化マクロファージを介してTNF-α産生をブロックすることが知られるIL-10(Oswaldら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、89巻、8676〜8680頁、1992年)、TNFR-IgG(Ashkenaziら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、88巻、10535〜10539頁、1991年)、マウス産物TBP-1(セローノ社/Yeda)、ワクチンCytoTAb(Protherics)、アンチセンス分子104838(ISIS)、ペプチドRDP-58(サンスタット社)、サリドマイド(セルジーン社)、CDC-801(セルジーン社)、DPC-333(デュポン社)、VX-745(バーテックス社)、AGIX-4207(アセロジェニックス社)、ITF-2357(Italfarmaco社)、NPI-13021-31(Nereus)、SCIO-469(サイオス社)、TACEターゲッター(Immunix/AHP)、CLX-120500(Calyx)、Thiazolopyrim(ダイナバックス社)、オーラノフィン(リドーラ)(スミスクラインビーチャム製薬社)、キナクリン(メパクリン二塩酸塩)、テニダップ(エナブレックス)、メラニン(Large Scale Biological)、およびUriachによる抗p38 MAPK薬を含む。
TNF-α拮抗剤活性を有するタンパク質、ポリペプチド類もしくはペプチド類をコードする核酸分子、またはTNF-α拮抗剤活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類を、本発明の方法にしたがって、炎症性もしくは自己免疫疾患を患う被験者に投与することができる。さらに、TNF-α拮抗剤活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類の誘導体、アナログ、断片もしくは変異体をコードする核酸分子、またはTNF-α拮抗剤活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類の誘導体、アナログ、断片もしくは変異体を、本発明の方法にしたがって、炎症性もしくは自己免疫疾患を患う被験者に投与することができる。好ましくは、かかる誘導体、アナログ、変異体および断片は、全長の野生型タンパク質、ポリペプチド、もしくはペプチドのTNF-α拮抗剤活性を保持する。
TNF-α拮抗剤として使用できるタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類は、当業者に良く知られているまたは本明細書に記載されているいずれかの技術により生産することができる。TNF-α拮抗剤活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類は、当業者に良く知られているまたは本明細書に記載されている技術を利用して、かかるタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類のin vivoにおける半減期を増加することができる。好ましくは、市販されかつTNF-α拮抗剤として機能することが知られる薬剤を、本発明の組成物および方法に使用する。薬剤のTNF-α拮抗剤活性は、当業者に良く知られているいずれかの技術によりin vitroおよび/またはin vivoで決定することができる。
5.2.4 抗炎症療法
炎症性障害の療法に有用な薬剤を含む、当業者に良く知られているいずれの抗炎症因子も、本発明の組成物および方法に使用することができる。抗炎症因子の例としては、限定されるものでないが、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、ステロイド系抗炎症薬、抗コリン作用薬(例えば、硫酸アトロピン、硝酸メチルアトロピン、および臭化イプラトロピウム(アトロベント(商標))、ベータ2-拮抗剤(例えば、アブテロール(abuterol)(ベントリン(商標)およびプロベンチル(商標))、ビトルテロール(TORNALATE(商標))、レバルブテロール(XOPONEX(商標))、メタプロテレノール(アルペント(商標))、ピルブテロール(MAXAIR(商標))、テルブタリン(BRETHAIRE(商標)およびブレシン(商標))、アルブテロール(プロベンチル(商標)、レペタブ(商標)、およびボルマックス(商標))、ホルモテロール(フォラジルエアロライザー(商標))、およびサルメテロール(セレベント(商標)およびセレベントディスカス(商標)))、およびメチルキサンチン類(例えば、テオフィリン(ユニフィル(商標)、テオドール(商標)、SLO-BID(商標)、およびTEHO-42(商標))を含む。NSAIDの例としては、限定されるものでないが、アスピリン、イブプロフェン、セレコキシブ(セレブレックス(商標))、ジクロフェナク(ボルタレン(商標))、エトドラック(LODINE(商標))、フェノプロフェン(NALFON(商標))、インドメタシン(インドシン(商標))、ケトララック(TRADOL(商標))、オキサプロジン(デイプロ(商標))、ナブメントン(RELAFEN(商標))、スリンダック(クリノリル(商標))、トルメンチン(トレクチン(商標))、ロフェコキシブ(バイオックス(商標))、ナプロキセン(アリーブ(商標)、ナプロシン)(商標))、ケトプロフェン(アクトロン(商標))およびナブメトン(RELAFEN)(商標))を含む。かかるNSAIDは、酵素シクロオキシゲナーゼ(例えば、COX-1および/またはCOX-2)を阻害することにより機能する。ステロイド系抗炎症薬の例としては、限定されるものでないが、グルココルチコイド、デキサメタゾン(デカドロン(商標))、副腎皮質ステロイド(例えば、メチルプレドニゾロン(メ
ドロール(商標))、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン(プレドニゾン(商標)およびデルタゾン(商標))、プレドニゾロン(プレロン(商標)およびPEDIAPRED(商標))、トリアムシノロン、アズルフィジン、ならびにエイコサノイド類の阻害剤(例えば、プロスタグランジン、トロンボキサン、およびロイコトリエン(ロイコトリエンおよびかかる薬剤の典型的な用量の例として、限定されるものではないが、下記表2を参照されたい)を含む。
ある特定の実施形態においては、抗炎症薬は、喘息またはその1つもしくは複数の症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善するために有用な薬剤である。かかる薬剤の例としては、限定されるものではないが、アドレナリン作動性興奮剤(例えば、カテコールアミン類(例えば、エピネフリン、イソプロテレノール、およびイソエタリン)、レゾルシノール類(例えば、メタプロテレノール、テレブタリン、およびフェノテロール)、およびサリゲニン類(例えば、サルブタモール)、アドレノコルチコイド(adrenocorticoid)類、ブルココルチコイド(blucocorticoid)類、副腎皮質ステロイド(例えば、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、およびプレドニゾン)、他のステロイド類、ベータ2-拮抗剤(例えば、アルブテロール、ビトルテロール、フェノテロール、イソエタリン、メタプロテレノール、ピルブテロール、サルブタモール、テルブタリン、ホルモテロール、サルメテロール、およびアルブタモールテルブタリン(albutamol terbutaline))、抗コリン作動薬(例えば、臭化イプラトロピウムおよびオキシトロピウムブロミド)、IL-4拮抗剤(抗体を含む)、IL-5拮抗剤(抗体を含む)、IL-13拮抗剤(抗体を含む)、PDE4-阻害剤、NF-カッパー-β阻害剤、VLA-4阻害剤、CpG、抗CD23、セレクチン拮抗剤(TBC 1269)、肥満細胞タンパク質分解酵素阻害剤(例えば、トリプターゼキナーゼ阻害剤(例えば、GW-45、GW-58、およびゲニステイン)、ホスファチジルイノシタイド-3'(PI3)-キナーゼ阻害剤(例えば、カルホスチンC)、および他のキナーゼ阻害剤(例えば、スタウロスポリン)(Temkinら、J Immunol、169巻、5号、2662〜2669頁、2002年、Vossellerら、Mol.Biol.Cell、8巻、5号、909〜922頁、1997年、およびNagaiら、Biochem Biophys Res Commun、208巻、2号、576〜581頁、1995年))、C3受容体拮抗剤(抗体を含む)、免疫阻害剤(例えば、メトトレキセートおよび金塩)、肥満細胞調節剤(例えば、クロモリンナトリウム(インタール(商標))およびネドクロミルナトリウム(TILADE(商標)))、およびムコ多糖類加水分解剤(例えば、アセチルシステイン))を含む。特定の実施形態においては、抗炎症因子は、ロイコトリエン阻害剤(例えば、モンテルカスト(シングレア(商標))、ザフィルルカスト(アコレート(商標))、プランルカスト(オノン(商標))、またはジレウトン(ZYFLO(商標))(表2参照)である。
ある特定の実施形態においては、抗炎症因子は、アレルギー反応またはその1つもしくは複数の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善するために有用な薬剤である。かかる薬剤の例としては、限定されるものではないが、抗媒介薬(antimediator drug)(例えば、抗ヒスタミン薬、抗ヒスタミン薬およびかかる薬剤の典型的な用量の例として、限定されるものではないが、下記表3を参照されたい)、副腎皮質ステロイド、充血除去剤、交感神経興奮様薬(例えば、α-アドレナリン作用性薬物およびβ-アドレナリン作用性薬物)、TNX901(Leungら、N Engl J Med、348巻、11号、986〜993頁、2003年)、IgE拮抗剤(例えば、抗体rhuMAb-E25オマリズマブ(Finnら、J Allergy Clin Immuno、111巻、2号、278〜284頁、2003年、Correnら、J Allergy Clin Immuno、111巻、1号、87〜90頁、2003年、BusseとNeavilleのCurr Opin Allergy Clin Immuno、1巻、1号、105〜108頁、2001年、およびTangとPowellのEur J Pediatr、160巻、12号、696〜704頁、2001年参照)、HMK-12および6HD5(Miyajimaら、Int Arch Allergy Immuno、128巻、1号、24〜32頁、2202年参照)、mAB Hu-901(van Neervenら、Int Arch Allergy Immuno、124巻、1〜3号、400頁、2001年参照)、テオフィリンおよびその誘導体、糖質コルチコイド、および免疫療法(例えば、アレルギー誘発物質の繰り返し長期注射、短期除感作、および毒免疫療法)を含む。
抗炎症療法とその用量、投与経路、および推奨される用途は、当技術分野で知られており、「The Physician's Desk Reference」、第57版、2003年のような文献に記載されている。
5.2.5 抗癌療法
癌などの増殖性障害、またはその1つもしくは複数の症状の予防、治療、管理または改善に有用であることが知られているか、または使用されてきたか、または現在使用されているいずれの療法(例えば、治療剤または予防剤)も、本発明の組成物および方法に使用することができる。療法(例えば、治療剤または予防剤)としては、限定されるものではないが、ペプチド類、ポリペプチド類、融合タンパク質、核酸分子、小分子、模倣薬剤、合成薬、無機分子、および有機分子を含む。癌療法としては、限定されるものではないが、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、および/または生物学的療法/免疫療法を含む。
ある特定の実施形態においては、抗癌剤は、化学療法剤などの免疫調節剤である。ある特定の他の実施形態においては、抗癌剤は、化学療法剤以外の免疫調節剤である。他の実施形態においては、抗癌剤は免疫調節剤ではない。特定の実施形態においては、抗癌剤は抗血管形成剤である。他の実施形態においては、抗癌剤は抗血管形成剤ではない。特定の実施形態においては、抗癌剤は抗炎症因子である。他の実施形態においては、抗癌剤は抗炎症因子ではない。
特定の実施形態においては、抗癌剤は、限定されるものではないが、以下のものである:アシビシン、アクラルビシン、アコダゾール塩酸塩、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン、アメタントロンアセテート、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、ビサントレン塩酸塩、ビスナフィドジメシレート、ビスホスホネート(例えば、パミドロネート(Aredria)、ナトリウムクロンドロネート(Bonefos)、ゼレドロン酸(Zometa)、アレンドロネート(Fosamax)、エチドロネート、イバンドルネート、シマンドロネート、リセドロメート、およびチルドロメート)、ビゼレシン、ブレオマイシン硫酸塩、ブレキナーナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カムスチン、カルビシン塩酸塩、カルゼレシン、セデフィンゴール、クロランブシル、シロレマイシン、シスプラチン、クラドリビン、クリスナトールメシレート、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン塩酸塩、デシタビン、デキソマプラチン、デザグアニン、デザグアニンメシレート、ジアジクオン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドキソルビシン塩酸塩、ドロロキシフェン、ドロロキシフェンクエン酸塩、ドロモスタノロンプロピオネート、ヅアゾマイシン、エダトレキセート、エフロルニチン塩酸塩、EphA2阻害剤(例えば、EphA2のリン酸化およびEphA2の分解を生じる抗EphA2抗体(全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願第60/418,213号参照)、エルサミトルシン、エンロプラチン、エンプロメート、エピプロピジン、エピルビシン塩酸塩、エルブロゾール、エソルビシン塩酸塩、エストラムスチン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エタニダゾール、エトポシド、エトポシドリン酸塩、エトプリン、ファドロゾール塩酸塩、ファザラビン、フェンレチニド、フロキスリジン、フルダラビンリン酸塩、フルオロウラシル、フルロシタビン、ホスキドン、ホストリエシンナトリウム、ゲムシタビン、ゲムシタビン塩酸塩、ヒドロキシ尿素、イダルビシン塩酸塩、イホスファミド、イルモホシン、インターロイキン-2(組換えインターロイキン-2またはrIL2を含む)、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-n1、インターフェロンアルファ-n3、インターフェロンベータIa、インターフェロンガンマ-Ib、イプロプラチン、イリノテカン塩酸塩、ランレオチドアセテート、レトロゾール、ロイプロリドアセテート、リアロゾール塩酸塩、ロメトレキソルナトリウム、ロムスチン、ロソキサントロン塩酸塩、マソプロコール、メイタンシン、メクロレタミン塩酸塩、抗CD-2抗体(例えば、シプリズマブ(メディミューン社、国際公開第02/098370号、これらはそれぞれ本明細書に参照によりその全文が組み入れられる))、メゲストロールアセテート、メレンゲストロールアセテート、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メソトレキセート、メソトレキセートナトリウム、メトプリン、メツレデパ、ミチンドミド、ミトカルシン、ミトクロミン、ミトギリン、ミトマルシン、マイトマイシン、ミトスペー、ミトタン、ミトキサントロン塩酸塩、ミコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、パクリタキセル、ペガスパルガセ、ペリオマイシン、ペンタムスチン、ペプロマイシン硫酸塩、ペルホスファミド、ピポブロマン、ピポスルファン、ピロキサントロン塩酸塩、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン、プロカルバジン塩酸塩、プロマイシン、プロマイシン塩酸塩、ピラゾフリン、リボプリン、ログレチミド、サフィンゴール、サフィンゴール塩酸塩、セムスチン、シントラゼン、スパルフォセートナトリウム、スパルソマイシン、スピロゲルマニウム塩酸塩、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、タリソマイシン、テコガランナトリウム、テガフール、テロキサントロン塩酸塩、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン、テストラクトン、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、トレミフェンクエン酸塩、テストロンアセテート、トリシリビンリン酸塩、トリメトレキセート、トリメトレキセートグルクロン酸塩、トリプトレリン、ツブロゾール塩酸塩、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、ビンデシン、ビンデシン硫酸塩、ビネピジン硫酸塩、ビングリシネート硫酸塩、ビンローロシン硫酸塩、ビノレルビン酒石酸塩、ビンロシジン硫酸塩、ビンゾリジン硫酸塩、ボロゾールゼニプラチン、ジノサチン、ゾルビシン塩酸塩。
他の抗癌剤としては、特に限定されないが以下のものを含む。20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3、5-エチルウラシル、アビラテロン、アクラルビシン、アシルフルベン、アデシペノール、アドゼレシン、アルデスロイキン、ALL-TK拮抗剤、アルトレタミン、アンバムスチン、アミドックス、アミホスチン、アミノレブリン酸、アンルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラホリド、血管形成阻害剤、拮抗剤D、拮抗剤G、アンタレリックス、抗背方化形態形成タンパク質-1、抗アンドロゲン、前立腺癌、抗エストロゲン、抗ネオプラスチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アフィジコリングリシネート、アポトーシス遺伝子調節物質、アポトーシス制御物質、アプリン酸、ara-CDP-DL-PTBA、アルギニンデアミナーゼ、アスラクリン、アタメスタン、アトリムスチン、アキナスタチン1、アキナスタチン2、アキナスタチン3、アザセトロン、アザトキシン、アザチロシン、バカチンIII誘導体、バラノール、バチマスタット、BCR/ABL拮抗剤、ベンゾクロリン類、ベンゾイルスタウロスポリン、ベータラクタム誘導体、ベータアレチン、ベータクラマイシンB、ベツリン酸、bFGF阻害剤、ビカルタミド、ビサントレン、ビサジリジニルスペルミン、ビスナフィド、ビストラテンA、ビゼレシン、ブレフレート、ブロピリミン、ブドチタン、ブチオニンスルフォキシミン、カルシポトリオール、カルホスチンC、カンプトテシン誘導体、カナリポックスIL-2、カペシタビン、カルボキサミド-アミノ-トリアゾール、カルボキサミドトリアゾール、CaRest M3、CARN700、軟骨由来阻害剤、カゼレシン、カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS)、カスタノスペルミン、セクロピンB、セトロレリックス、クロルンズ、クロロキノキサリンスルホンアミド、シカプロスト、cis-ポルフィリン、クラドリビン、クロミフェンアナログ、クロトリマゾール、コリスマイシンA、コリスマイシンB、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチンアナログ、コナゲニン、クランベシジン816、クリスナトール、クリプトフィシン8、クリプトフィシンA誘導体、クラシンA、シクロペンタアントラキノン類、シクロプラタム、シペミシン、シタラビンオクホスフェート、細胞溶解性因子、シトスタチン、ダクリキシマブ、デシタビン、デヒドロジデムニンB、デスロレリン、デキサメタゾン、デキシホスファミド、デキサラゾキサン、デキスベラパミル、ジアジクオン、ジデムニンB、ジドックス、ジエチルノルスペルミン、ジヒドロ-5-アザシチジン、ジヒドロタキソール、ジオキサマイシン、ジフェニルスピロムスチン、ドセタキセル、ドコサノール、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドロロキシフェン、ドロナビノール、ヅオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン、エデルフォシン、エドレコロマブ、エフロルニチン、エレメン、エミテフール、エピルビシン、エプリステリド、エストラムスチンアナログ、エストロゲン作動薬、エストロゲン拮抗剤、エタニダゾール、エトポシドリン酸塩、エキセメスタン、ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチン、フィナステリド、フラボピリドール、フレゼラスチン、フルアステロン、フルダラビン、フルオロダウノルビシン塩酸塩、ホルフェニメックス、ホルメスタン、ホストリエシン、ホテムスチン、ガドリニウムテキサフィリン、ガリウム硝酸塩、ガロシタビン、ガニレリックス、ゲラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン、グルタチオン阻害剤、HMG CoA還元酵素阻害剤(例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、レスコール、ルピトール(lupitor)、ロバスタチン、ロスバスタチン、およびシンバスタチン)、ヘプスルファム、ヘレグリン、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ヒペリシン、イバンドロン酸、イダルビシン、イドキシフェフェン、イドラマントン、イルモホシン、イロマスタット、イミダゾアクリドン類、イミキモド、免疫刺激ペプチド、インスリン様増殖因子-1受容体阻害剤、インターフェロン作動薬、インターフェロン類、インターロイキン類、イオベングアン、ヨードドキソルビシン、イポメアノール、4-イロプラクト、イルソグラジン、イソベンガゾール、イソホモハリコンドリンB、イタセトロン、ジャスプラキノリド、カハラリドF、ラメラリン-N 3酢酸、ランレオチド、レイナマイシン、レノグラスチン、レンチナン硫酸塩、レプトルスタチン、レトロゾール、白血病阻害因子、白血球アルファインターフェロン、ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン、ロイプロレリン、レバミゾール、LKA-3TIP(Biogen、マサチューセッツ州ケンブリッジ、国際公開WO93/0686および米国特許第6,162,432号)、リアロゾールリアロゾール、線状ポリアミンアナログ、親油性二糖ペプチド、親油性白金化合物、リソクリナミド7、ロバプラチン、ロンブリシン、ロメトレキソール、ロニダミン、ロソキサントロン、ロバスタチン、ロキソリビン、ルルトテカン、ルテチウムテキサフィリン、リソフィリン、溶解性ペプチド、マイタンシン、マンノスタチンA、マリマスタット、マソプロコール、マスピン、マトリリシン阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メノガリル、メルバロン、メテレリン、メチオニナーゼ、メトクロプラミド、MIF阻害剤、ミフェプリストン、ミルテホシン、ミリモスチム、ミスマッチ2本鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール、ミトマイシンアナログ、ミトナフィド、ミトトキシン繊維芽細胞増殖因子-サポリン、ミトキサントロン、モファロテン、モルグラモスチン、モノクローナル抗体、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、モノホスホリル脂質A+ミオバクテリウム細胞壁sk、モピダモール、多剤耐性遺伝子阻害剤、多腫瘍サプレッサー1-ベースの治療法、マスタード抗癌剤、ミカパーオキシドB、マイコバクテリア細胞壁抽出物、ミリアポロン、N-アセチルジナリン、N-置換ベンズアミド、ナファレリン、ナグレスチップ、ナロキソン+ペンタゾシン、ナパビン、ナフェテルピン、ナルトグラスチン、ネダプラチン、ネモルビシン、ネリドロン酸、中性エンドペプチダーゼ、ニルタミド、ニサマイシン、亜酸化窒素調節物質、ニトロキシド抗酸化剤、ニトルリン、O6-ベンジルグアニン、オクトレオチド、オキセノン、オリゴヌクレオチド類、オナプリストン、オンダンセトロン、オンダンセトロン、オラシン、経口シトシンインデューサー、オルマプラチン、オサテロン、オキサリプラチン、オキサウノマイシン、パクリタキセル、パクリタキセルアナログ、パクリタキセル誘導体、パラウアミン、パルミトイルリゾキシン、パミドロン酸、パナキシトリール、パノミフェン、パラバクチン、パゼリプチン、ペガスパルゲーズ、ペルデシン、ペントサンポリサルフェートナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール、ペルフルブロン、ペルホスファミド、ペリリルアルコール、フェナジノマイシン、フェニルアセテート、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニール、ピロカルピン塩酸塩、ピラルビシン、ピリトレキシム、プラセチンA、プラセチンB、プラスミノーゲンアクチベータ阻害剤、白金複合体、白金化合物、白金-トリアミン複合体、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニソン、プロピルビスアクリドン、プロスタグランジンJ2、プロエアソーム阻害剤、タンパク質A-ベースの免疫調節物質、プロテインキナーゼC阻害剤、タンパク質キナーゼC阻害剤、ミクロアルガル、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤、プリンヌクレオチドホスホリラーゼ阻害剤、プルプリン類、ピラゾロアクリジン、ピリドキシル化ヘモグロビンポリエチレンコンジュゲート、raf拮抗剤、ラルチトレキセド、ラモセトロン、rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、ras阻害剤、ras-GAP阻害剤、レテリプチンデメシル化、レニウムRe186エチドロネート、リゾキシン、リボザイム、RIIレチナミド、ログレチミド、ロヒツキン、ロムルチド、ロキニメクス、ルビギノンB1、ルボキシル、サフィンゴール、サイントピン、SarCNU、サルコフィトールA、サルグラモスチム、Sdi1模倣物、セムスチン、セネセンス誘導阻害剤1、センスオリゴヌクレオチド、シグナル伝達阻害剤、シグナル伝達調節物質、1本鎖抗原結合タンパク質、シゾフィラン、ソブゾキサン、ボロカプテートナトリウム、フェニルアセテートナトリウム、ソルベロール、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン、スパルフォシック酸、スピカマイシンD、スピロムスチン、スプレノペンチン、スポンジスアチン1、スクラミン、幹細胞阻害剤、幹細胞分裂阻害剤、スチピアミド、ストロメリシン阻害剤、スルフィノシン、スーパー活性血管活性小腸ペプチド拮抗剤、スラジスタ、スラミン、スワインソニン、合成グリコサミノグリカン、タリムスチン、5-フルオロウラシル、ロイコボリン、タモキシフェンメチオジド、タウロムスチン、タザロテン、テコガランナトリウム、テガフール、テレラピリリウム、テロメラーゼ阻害剤、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、テトラゾミン、タリブラスチン、チオコラリン、トロンボポエチン、トロンボポエチン模倣物、チマルファシン、チモポエチン受容体作動薬、チモトリナン、甲状腺刺激ホルモン、スズエチルエチオプルプリン、チラパザミン、チタノセン二塩酸塩、トプセンチン、トレミフェン、全能性幹細胞因子、翻訳阻害剤、トレチノイン、トリアセチルウリジン、トリシリビン、トリメトレキセート、トリプトレリン、トロピセトロン、ツロステリド、チロシンキナーゼ阻害剤、トリホスチン類、UBC阻害剤、ウベニメックス、尿生殖洞由来阻害因子、ウロキナーゼ受容体拮抗剤、バプレオチド、バリオリンB、ベクター系、赤血球遺伝子治療、サリドマイド、ベラレソール、ベラミン、ベルディンス、ベルテポルフィン、ビノレルビン、ビンキサルチン、ビタキシン(商標)(米国特許第2002/0,168,360号、2002年11月14日発行、表題「Methods of Preventing or Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin αvβ3 Antagonists in Combination With Other Prophylactic or Therapeutic Agents」)、ボロゾール、ザノテロン、ゼニプラチン、ジラスコルブ、およびジノスタチンスチマラマー。
特定の実施形態においては、X線、ガンマ線、および他の放射線源を使用して癌細胞を破壊することを含む放射線療法は、本発明の抗体と併用して使用される。好ましい実施形態においては、放射線療法は、放射線が離れた光源から向けられる外部ビーム放射線または遠隔治療として行われる。他の好ましい実施形態においては、放射線療法は、放射活性源が体内で癌細胞または腫瘍塊の近くに置かれる内部療法または近接照射療法として行われる。
癌療法とその用量、投与経路および推奨される用途は、当技術分野で知られており、「The Physician's Desk Reference」、第56版、2002年のような文献に記載されている。
5.2.6 抗ウイルス剤
当業者に良く知られている何れの抗ウイルス剤も、本発明の組成物および方法に使用できる。抗ウイルス剤の例としては、限定されるものではないが、ウイルスのその受容体への結合、細胞へのウイルスの内部化、ウイルスの複製、または細胞からのウイルスの遊離を阻害および/または低下する、タンパク質、ポリペプチド類、ペプチド類、融合タンパク質抗体、核酸分子、有機分子、無機分子、および小分子を含む。特に、抗ウイルス剤としては、限定されるものではないが、ヌクレオシドアナログ(例えば、ジドブジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジン、およびリバビリン)、フォスカーネット、アマンタジン、リマンタジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、α-インターフェロン類および他のインターフェロン類、ならびにAZTを含む。
特定の実施形態においては、抗ウイルス剤は、ウイルス抗原に対して免疫特異的である免疫調節剤である。本明細書に使用するように、用語「ウイルス抗原」は、限定されるものではないが、免疫応答を誘発することができる、どのウイルスペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質(例えば、HIV gp120、HIV nef、RSV F糖タンパク質、RSV G糖タンパク質、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ、インフルエンザウイルス血球凝集素、HTLV tax、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質(例えば、gB、gC、gD、およびgE)およびHBs表面抗原)も含む。ウイルス感染疾患の治療に対して本発明に有用な抗体は、限定されるものではないが、病原ウイルスの抗原に対する抗体を含み、例えば、限定されるものではないが、以下の抗体を含む。アデノウイルス科(例えば、マストアデノウイルス属、およびアヴィアデノウイルス属)、ヘルペスウイルス科(例えば、単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2、単純ヘルペスウイルス5、単純ヘルペスウイルス6、)、レヴイウイルス科(例えば、レヴイウイルス属、腸内細菌フェーズMS2、アロレヴイウイルス属)、ポックスウイルス科、(例えば、コードポックスウイルス亜科、パラポックスウイルス属、アヴィポックスウイルス属、カプリポックスウイルス属、レポリポックスウイルス属、スイポックスウイルス属、モラシポックスウイルス属、および昆虫ポックスウイルス亜科)、パポバウイルス科(例えば、ポリオーマウイルス属、パピローマウイルス属、)、パラミクソウイルス科(例えば、パラミクソウイルス属、パラインフルエンザウイルス1、モービリウイルス属(例えば、麻疹ウイルス)、ルブラウイルス属(例えば、流行性耳下腺炎ウイルス)、ニューモウイルス亜科(例えば、ニューモウイルス属、ヒト呼吸器合胞体ウイルス)、およびメタニューモウイルス属(例えば、アヴィアンニューモウイルスおよびヒトメタニューモウイルス))、ピコルナウイルス科(例えば、エンテロウイルス属、ライノウイルス属、ヘパトウイルス属(例えば、ヒトA型肝炎ウイルス)、カーディオウイルス属、およびアフトウイルス属)、レオウイルス科(例えば、オルトレオウイルス属、オービウイルス属、ロタウイルス属、サイポウイルス属、フィジーウイルス属、ファイトレオウイルス属、およびオリザウイルス属)、レトロウイルス科(例えば、哺乳類タイプBレトロウイルス、哺乳類タイプCレトロウイルス、鳥類タイプCレトロウイルス、タイプDレトロウイルスグループ、BLV-HTLVレトロウイルス、レンチウイルス属(例えば、ヒト免疫不全ウイルス1およびヒト免疫不全ウイルス2)、スプマウイルス属)、フラビウイルス科(例えば、C型肝炎ウイルス)、ヘパドナウイルス科(例えば、B型肝炎ウイルス)、トガウイルス科(例えば、アルファウイルス属(例えば、シンドビスウイルス)およびルビウイルス属(例えば、風疹ウイルス))、ラブドウイルス科(例えば、ヴェシキュロウイルス属、リッサウイルス属、エファメロウイルス属、サイトラブドウイルス属、およびネクレオラブドウイルス属)、アレナウイルス科(例えば、アレナウイルス属、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、イッピウイルス、およびラッサウイルス)およびコロナウイルス科(例えば、コロナウイルス属、およびトロウイルス属)。
ウイルス感染疾患の治療に対して有用であり市販されている抗体の特定の例としては、限定されるものではないが、HIV感染の治療に有用なCD4融合抗体であるPRO542(プロジェニクス社)、B型肝炎ウイルスの治療に有用なヒト抗体であるOstavir(プロティンデザインラブ社、カリフォルニア)、およびサイトメガロウイルス(CMV)の治療に有用なヒト化IgG1抗体であるProtovir(プロティンデザインラブ社、カリフォルニア)、およびRSVの治療に有用なヒト化抗体であるパリビズマブ(シナジス(登録商標)、メディミューン社、国際公開第02/43,660号)を含む。
特定の実施形態においては、本発明の組成物および方法に使用される抗ウイルス剤は、肺性または呼吸性ウイルス感染を阻害または低下させ、肺性または呼吸性ウイルス感染を引き起こすウイルスの複製を阻害または低下させ、他の細胞または被験者に肺性または呼吸性ウイルス感染を引き起こすウイルスの伝播を阻害または低減する。他の好ましい実施形態においては、本発明の組成物および方法に使用される抗ウイルス剤は、RSV、hMPV、またはPIVによる感染を阻害または低下させ、RSV、hMPV、またはPIVの複製を阻害または低下させ、またはRSV、hMPV、またはPIVの他の細胞または被験者への伝播を阻害または低減する。RSV、hMPV、および/またはPIV感染を治療するかかる薬剤および方法の例としては、限定されるものではないが、ジドブジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジン、およびリバビリンなどのヌクレオシド類縁体と同様、フォスカーネット、アマンタジン、リマンタジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、およびα-インターフェロン類を含む。米国仮特許出願第60/398,475号、2002年6月25日出願、表題「Methods of Treating and Preventing RSV, HMPV, and PIV Using Anti-RSV, Anti-HMPV, and Anti-PIV Antibodies」、および米国特許出願第10/371,122、2003年2月21日出願を参照されたい。これらはそれぞれ本明細書に参照によりその全文が組み入れられる。
好ましい実施形態においては、ウイルス感染はRSVであり、抗ウイルス抗原は、RSVの抗原に免疫特異的に結合している抗体である。ある特定の実施形態においては、抗RSV抗原抗体は、RSVのグループAのRSV抗原に免疫特異的に結合している。他の実施形態においては、抗RSV抗原抗体は、RSVのグループBのRSV抗原に免疫特異的に結合している。他の実施形態においては、抗体は1つのグループのRSV抗原に結合し、他のグループの類似の抗原と交差反応する。特定の実施形態においては、抗RSV抗原抗体は、RSV核タンパク質、RSVリンタンパク質、RSVマトリックスタンパク質、RSV小疎水タンパク質、RSV RNA-依存RNAポリメラーゼ、RSV Fタンパク質、および/またはRSV Gタンパク質に免疫特異的に結合している。付加的な特定の実施形態においては、抗RSV抗原抗体は、RSV核タンパク質、RSVヌクレオカプシドタンパク質、RSVリンタンパク質、RSVマトリックスタンパク質、RSV結合糖タンパク質、RSV融合糖タンパク質、RSVヌクレオカプシドタンパク質、RSVマトリックスタンパク質、RSV小疎水タンパク質、RSV RNA-依存RNAポリメラーゼ、RSV Fタンパク質、RSV Lタンパク質、RSV Pタンパク質、および/またはRSV Gタンパク質の対立変異体に結合している。
RSV抗原に免疫特異的に結合する抗体は当技術分野で知られていることは認識すべきである。例えば、パリビズマブ(シナジス(登録商標))は、小児科患者へのRSV感染を予防するために現在使用されているヒト化モノクローナル抗体である。特定の実施形態においては、本発明の方法で使用されるべき抗体は、パリビズマブまたはその抗体結合断片(例えば、1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)および好ましくは、パリビズマブの可変ドメインを含む断片)である。パリビズマブのアミノ酸配列は、例えば、Johnsonら、J.Infectious Disease、176巻、1215〜1224頁、1997年、およびYoungら、米国特許第5,824,307,号および国際公開第02/43660号、表題「Methods of Administering/Dosing Anti-RSV Antibodies for Prophylaxis and Treatment」に開示されており、これらはそれぞれ本明細書に参照によりその全文が組み入れられる。
RSV抗原に免疫特異的に結合する、1つまたは複数の抗体またはその抗原結合断片は、本発明にしたがって使用することもできるパリビズマブのFcドメインよりも、FcRn受容体に対して高い結合性を有するFcドメインを包含する。かかる抗体は、米国特許出願第10/020,354号、2001年12月12日出願に記載されており、これらはそれぞれ本明細書に参照によりその全文が組み入れられる。さらに、1つまたは複数の抗RSV抗原抗体であるA4B4、P12f2 P12f4、P1ld4、Ale9、A12a6、A13c4、A17d4、A4B4、lX-493Ll、FRH3-3F4、M3H9、Y1OH6、DG、AFFF、AFFF(1)、6H8、L1-7E5、L2-15B10、A13al1、Alh5、A4B4(1)、A4B4-F52S、またはA4B4LlFR-S28Rを本発明にしたがって使用できる。これらの抗体は、Youngら、国際公開第02/43,660号、表題「Methods of Administering/Dosing Anti-RSV Antibodies for Prophylaxis and Treatment」、および米国仮特許出願第60/398,475号、2002年7月25日出願、表題「Methods of Treating and Preventing RSV, HMPV, and PIV Using Anti-RSV, Anti-HMPV, and Anti-PIV Antibodies」に開示されており、これらはそれぞれ本明細書に参照によりその全文が組み入れられる。
ある特定の実施形態においては、抗RSV抗原抗体は、Youngら、米国出願番号第09/724,531号、2000年11月28日出願、第09/996,288号、2001年11月28日出願、および米国特許第2003/0,091,584号、2003年5月15日発行、全ての表題「Methods of Administering/Dosing Anti-RSV Antibodies for Prophylaxis and Treatment」の抗原抗体であるか、またはこれらの方法により調製され、これらはそれぞれ本明細書に参照によりその全文が組み入れられる。本発明の方法に使用できる安定化抗体製剤の方法および組成物は、米国仮特許出願第60/388,921号、2002年6月14日出願、および第60/388,920号、2002年6月14日出願に開示されており、これらはそれぞれ本明細書に参照によりその全文が組み入れられる。
抗ウイルス療法とその用量、投与経路および推奨される用途は、当技術分野で知られており、「The Physician's Desk Reference」、第56版、2002年のような文献に記載されている。呼吸器ウイルス性感染に関する更なる情報は、Cecil Textbook of Medicine(第18版、1988年)で市販されている。
5.2.7.抗菌剤
細菌感染を予防し、治療し、管理し、または改善することが当業者に良く知られている抗菌剤および療法を、本発明の組成物および方法に使用できる。抗菌剤の例としては、限定されるものではないが、細菌感染を阻害もしくは低減する、細菌の複製を阻害もしくは低減する、または他の被験者への細菌の伝播を阻害もしくは低減する、タンパク質、ポリペプチド類、ペプチド類、融合タンパク質、抗体、核酸分子、有機分子、無機分子、および小分子を含む。特に、抗菌薬の例としては、限定されるものではないが、ペニシリン、セファロスポリン、イミペネム、アクストレオナム(axtreonam)、バンコマイシン、シクロセリン、バシトラシン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、カナマイシン、ネオマイシン、スペクチノマイシン、トリメトプリム、ノルフロキサシン、リファンピシン、ポリミキシン、アンホテリシンB、ナイスタチン、ケトコナゾール、イソニアジド、メトロニダゾール、およびペンタミジンを含む。
好ましい実施形態においては、抗菌剤は、肺性または呼吸性細菌感染を阻害もしくは低下させ、肺性または呼吸性感染を引き起こす細菌の複製を阻害もしくは低下させ、または他の被験者に肺性もしくは呼吸性感染を引き起こす細菌の伝播を阻害もしくは低減する薬剤である。肺性または呼吸性細菌感染がマイコプラズマ感染(例えば、咽頭炎、気管気管支炎、および肺炎)の場合、抗菌剤は好ましくは、テトラサイクリン、エリスロマイシン、またはスペクチノマイシンである。肺性または呼吸性細菌感染が好気性グラム陰性細菌(GNB)によって肺炎を引き起こした場合、抗菌剤は好ましくは、ペニシリン、第1第2、または第3世代のセファロスポリン薬(例えば、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、またはセファゾリン)、エリスロマイシン、クリンダマイシン、アミノグルコシド薬(例えば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、またはアミカシン)、またはモノラクタム薬(例えば、アズトレオナム)である。肺性または呼吸性細菌感染が結核の場合、抗菌剤は好ましくは、リファンピシン、イソニアジド、ピラジナミド、エタンブトール、およびストレプトマイシンである。呼吸性感染が再発性呼吸器肺炎の場合、抗菌剤は好ましくは、ペニシリン、アミノグルコシド薬、または第2、もしくは第3世代のセファロスポリン薬である。
抗菌療法とその用量、投与経路および推奨される用途は、当技術分野で知られており、「The Physician's Desk Reference」、第56版、2002年のような文献に記載されている。呼吸器感染および抗菌療法に関する更なる情報は、Cecil Textbook of Medicine(第18版、1988年)で市販されている。
5.2.8
抗真菌剤
真菌感染またはその1つもしくは複数の症状(例えば、真菌呼吸器感染症)を予防し、管理し、治療し、および/または改善することが当業者に良く知られている抗真菌剤および療法を、本発明の組成物および方法に使用できる。抗真菌剤の例としては、限定されるものではないが、真菌感染を阻害もしくは低減する、真菌の複製を阻害もしくは低減する、または他の被験者への真菌の伝播を阻害もしくは低減する、タンパク質、ポリペプチド類、ペプチド類、融合タンパク質、抗体、核酸分子、有機分子、無機分子、および小分子を含む。真菌剤の特定の例としては、限定されるものではないが、アゾール薬(例えば、ミコナゾール、ケトコナゾール(ニゾラール(登録商標))、カスポファンギンアセテート(CANCIDAS(登録商標))、イミダゾール、トリアゾール薬(例えば、フルコナゾール(ジフルカン(登録商標))、およびイトラコナゾール(スポラノックス(登録商標))、ポリエン(例えば、ナイスタチン、アンホテリシンB(ファンギゾン)(登録商標)、アンホテリシンB脂質複合物)(ABLC)(アベルセット(登録商標))アンホテリシンBコロイド状分散(ABCD)(AMPHOTEC(登録商標))、リポソームアンホテリシンB(AMBISONE(登録商標))、ヨウ化カリウム(KI)、ピリミジン(例えば、フルシトシン(ANCOBON(登録商標))およびボリコナゾール(ヴィフェンド(登録商標))を含む。例えば、特定の抗真菌剤およびその推奨される用量のリストは表4を参照されたい。
ある特定の実施形態においては、抗真菌剤は、肺性真菌感染を阻害もしくは低下させ、肺性または呼吸性感染を引き起こす真菌の複製を阻害もしくは低下させ、または他の被験者に肺性もしくは呼吸性感染を引き起こす真菌の伝播を阻害もしくは低減する薬剤である。肺性または呼吸性真菌感染が(発病性)分芽菌皮膚炎の場合、抗真菌剤は好ましくは、イトラコナゾール、アンホテリシンB、フルコナゾール、またはケトコナゾールである。肺性または呼吸性真菌感染が肺アスペルギルス腫の場合、抗真菌剤は好ましくは、アンホテリシンB、リポソームアンホテリシンB、イトラコナゾール、またはフルコナゾールである。肺性または呼吸性真菌感染がヒストプラスマ症の場合、抗真菌剤は好ましくは、アンホテリシンB、イトラコナゾール、フルコナゾール、またはケトコナゾールである。肺性または呼吸性真菌感染がコクシジウム症の場合、抗真菌剤は好ましくは、フルコナゾールまたはアンホテリシンBである。肺性または呼吸性真菌感染がクリプトコッカス症の場合、抗真菌剤は好ましくは、アンホテリシンB、フルコナゾール、または2つの薬剤の組合せである。肺性または呼吸性真菌感染がクロモミコーシスの場合、抗真菌剤は好ましくは、イトラコナゾール、フルコナゾール、またはフルシトシンである。肺性または呼吸性真菌感染がムコール菌症の場合、抗真菌剤は好ましくは、アンホテリシンBまたはリポソームアンホテリシンBである。肺性または呼吸性真菌感染が偽アレシェリアシス(pseudoallescheriasis)の場合、抗真菌剤は好ましくは、イトラコナゾールまたはミコナゾールである。
抗真菌療法とその用量、投与経路および推奨される用途は、当技術分野で知られており、Doddsら、Phamacotherapy、20巻、11号、1335頁〜1355頁、2000年、「the Physician's Desk Reference」、第57版、2003年、および「the Merk Manual of Diagnosis and Therapy」、第17版、1999年のような文献に記載されている。
5.3 抗体の予防および治療への使用
本発明は、疾患もしくは障害またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善するために、本発明の1以上の抗体および前記抗体を含む組成物を、被験者、好ましくはヒト対象に投与することを含む治療に関する。1つの実施形態においては、本発明は、疾患もしくは障害またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法、すなわち、本発明の1以上の抗体の有効量を、それを必要とする被験者に投与することを含む前記方法を提供する。ある特定の実施形態においては、本発明の1以上の抗体または抗体フラグメントを含む、1以上のポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質の有効量をそれを必要とする被験者に投与して、疾患もしくは障害またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。
本発明はまた、疾患もしくは障害またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体、および前記疾患もしくは障害またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善するために、現在使用されているか、使用されてきた、または有用であることが知られている、本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)を、これらを必要とする被験者に投与することを含む前記方法をも提供する。本発明の併用療法の予防剤または治療剤は、連続的にまたは同時に投与することができる。特定の実施形態においては、本発明の併用療法は、本発明の1以上の抗体の有効量、および前記抗体と同一の作用機構を有する少なくとも1つの他の療法の有効量を含む。特定の実施形態においては、本発明の併用療法は、本発明の1以上の抗体の有効量、および前記抗体とは異なる作用機構を有する少なくとも1つの他の療法(例えば、予防剤または治療剤)の有効量を含む。ある特定の実施形態においては、本発明の併用療法は、添加剤のまたは相乗作用の効果を有する抗体と共に機能化することにより、本発明の1以上の抗体の予防効果または治療効果を改善する。ある特定の実施形態においては、本発明の併用療法は、予防剤または治療剤と関連する副作用を低減する。
併用療法の予防剤または治療剤は、同一の医薬組成物において被験者、好ましくはヒト対象に投与することができる。あるいは、併用療法の予防剤または治療剤を、異なる医薬組成物において被験者に同時に投与することができる。予防剤または治療剤を、同一または異なる投与経路により被験者に投与してもよい。参照によりその全体を本明細書に組み入れる本明細書と同時に出願した同時係属中の米国仮特許出願(弁護士文書番号第10271-126-888で同定)、表題「Anti-IL-9 Antibody Formations and Uses Thereof」を参照されたい。
特定の実施形態においては、本明細書に記載した本発明の1以上の抗体を含む医薬組成物を、疾患もしくは障害またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善するために、被験者、好ましくはヒト対象に投与する。本発明に従い、本発明の医薬組成物もまた、疾患または障害と関連する1以上の症状を予防し、治療し、または改善するのに現在使用されているか、使用されてきた、または有用であることが知られている、本発明の抗体以外の、1以上の療法(例えば、予防剤または治療剤)を含む。
本発明の1以上の抗体の有効量を投与することにより予防し、治療し、管理し、および/または改善することができる疾患および障害は、限定されるものではないが、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連する疾患または障害、IL-9Rまたはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性と関連する疾患または障害、自己免疫疾患(例えば、狼瘡、リウマチ様関節炎、および多発性硬化症)、炎症性疾患(例えば、喘息、アレルギー性疾患、および関節炎)、増殖性疾患(例えば、白血病、線維症、悪性腫瘍、およびリンパ腫)、および感染症(好ましくは、呼吸器感染症)を含む。他の実施形態においては、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連する疾患もしくは障害、またはIL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性と関連する疾患もしくは障害の、1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する本発明の方法に従い、本発明の抗体および該抗体を含む組成物を、被験者、好ましくはヒト対象に投与する。特定の実施形態においては、本発明の抗体および該抗体を含む組成物を使用して、増殖性疾患を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の実施形態においては、本発明の抗体および該抗体を含む組成物を使用して、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の実施形態においては、本発明の抗体および該抗体を含む組成物を使用して、喘息またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の特定の実施形態においては、本発明の抗体および該抗体を含む組成物を使用して、非限定的に、鼻炎、湿疹、慢性蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、およびアレルギー喘息を含むアレルギー状態を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の実施形態においては、本発明の抗体および該抗体を含む組成物を使用して、自己免疫障害を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の実施形態においては、本発明の抗体および該抗体を含む組成物を、感染症、好ましくは呼吸器感染症、またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の特定の実施形態においては、本発明の抗体および該抗体を含む組成物を使用して、ムチンの過剰産生または異常産生が疾患病状に関与する障害および疾患を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。かかる疾患および障害の例として、非限定的に嚢胞性線維症、肺気腫およびCOPDを含む。
5.3.1 増殖性疾患
本発明の抗体および該抗体を含む組成物を使用して、増殖性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善することができる。特定の実施形態においては、増殖性疾患はIL-9がその成長を仲介する細胞の異常増殖(非制御増殖または増殖の欠乏)によって特徴付けられる。ここで前記細胞は非限定的にT細胞、赤血球前駆体、B細胞、肥満細胞、好酸球、好中球および胎児胸腺細胞を含む。
本発明は、IL-9仲介細胞過剰増殖と関連する非癌性疾患(すなわち、転移する可能性を有しない疾患)、特に上皮細胞(例えば、喘息、COPD、肺線維症、気管応答性亢進、乾癬、リンパ増殖症候群、および脂漏性皮膚炎などの場合)および内皮細胞(例えば、再狭窄、過剰増殖血管疾患、ベーチェット症候群、アテローム性動脈硬化症、および黄斑変性症などの場合)、の1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を、それを必要とする被験者に投与することを含む前記方法を提供する。本発明はまた、IL-9仲介細胞過剰増殖と関連する非癌性疾患を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量、および該疾患を予防し、治療し、管理し、および/または改善するために有用である本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量を、それを必要とする被験者に投与することを含む前記方法を提供する。かかる療法の例としては、限定されるものではないが、上記セクション5.2に記載した薬剤、および特に、セクション5.2.1に記載した免疫調節剤、セクション5.2.2に記載した抗血管形成剤、セクション5.2.3に記載したTNF-α拮抗剤、セクション5.2.4に記載した抗炎症剤、セクション5.2.5に記載した抗癌剤、およびセクション5.2.6に記載した抗ウイルス剤を含む。本発明の1以上の抗体を、セクション5.2.5に記載した放射線療法などの抗癌療法と併用して使用することもできる。
本発明は、IL-9仲介細胞過剰増殖と関連する従来の治療法に抗療性のある被験者において非癌性障害の1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体、組成物、または併用療法の有効量を被験者に投与することを含む前記方法を提供する。ある特定の実施形態においては、過剰増殖が根絶されていないおよび/または症状が緩和されていない場合、IL-9仲介細胞過剰増殖と関連する非癌性疾患を有する患者は療法に抗療性がある。患者に抗療性があるかどうかは、その関連で技術的に受け入れられている「抗療性」の意味を用いて、非癌性過剰増殖疾患を治療する効果をアッセイする当該技術分野で公知のあらゆる技術によりin vitroまたはin vivoのいずれかで決定することができる。様々な実施形態においては、患者のIL-9レベルが異常のままである場合、および/または細胞過剰増殖が減少していない場合、IL-9仲介細胞過剰増殖と関連する非癌性疾患を有する患者は抗療性がある。本発明はまた、かかる疾患のための従来の療法に抗療性がある被験者において、IL-9仲介細胞過剰増殖と関連する非癌性障害を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量、および該疾患を予防し、治療し、管理し、および/または改善するために有用である、本発明の抗体以外の1以上の他の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量を、それを必要とする被験者に投与することを含む前記方法を提供する。かかる療法の例としては、限定されるものではないが、上記セクション5.2に記載した薬剤、および特に、セクション5.2.1に記載した免疫調節剤、セクション5.2.2に記載した抗血管形成剤、セクション5.2.3に記載したTNF-α拮抗剤、セクション5.2.4に記載した抗炎症剤、セクション5.2.5に記載した抗癌剤、およびセクション5.2.6に記載した抗ウイルス剤を含む。本発明の1以上の抗体を、セクション5.2.5に記載した放射線療法などの抗癌療法と併用して使用することもできる。
本発明は、癌またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を、それを必要とする被験者に投与することを含む前記方法を提供する。本発明はまた、癌またはそれと関連する二次的状態(例えば、ウイルス、細菌、または真菌感染症)を予防し、治療し、管理し、または改善するために有用である、本発明の抗体以外の1以上の他の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)と併用して、本発明の1以上の抗体の有効量を投与する、癌を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法を提供する。かかる療法の例としては、限定されるものではないが、上記セクション5.2に記載した薬剤、および特に、セクション5.2.1に記載した免疫調節剤、セクション5.2.2に記載した抗血管形成剤、セクション5.2.3に記載したTNF-α拮抗剤、セクション5.2.4に記載した抗炎症剤、セクション5.2.5に記載した抗癌剤、セクション5.2.6に記載した抗ウイルス剤、セクション5.2.7に記載した抗菌剤、およびセクション5.2.8に記載した抗真菌剤を含む。本発明の1以上の抗体を、セクション5.2.5に記載した放射線療法などの抗癌療法と併用して使用することもできる。
特定の実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を、増殖性疾患の危険があるかまたはこれを患う被験者に、有効量のVITAXINTM(メディミューン社、国際公開 WO 00/78815、国際公開 WO 02/070007号、2002年9月12日付、表題「Methods of Preventing or Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin AlphaV Beta3 Antagonists」、国際公開 WO 03/075957 A1、2003年9月18日付、表題「The Prevention or Treatment of Cancer Using Integrin AlphaV Beta3 Antagonists in Combination With Other Agents」、米国特許2002/0168360 A1、2002年11月14日付、表題「Methods of Preventing or Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin αV β3 Antagonists in Combination With Other Prophylactic or Therapeutic Agents」、および国際公開WO 03/075,741、2003年9月18日付、表題「Methods of Preventing or Treating Disorders by Administering Integrin αV β3 Antagonist in Combination With an HMG-CoA Reductase Inhibitor or a Bisphosphonate」、これらをそれぞれ本明細書に参照によりその全体を組み入れる)と併用して投与する。他の実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を、有効量のシプリズマブ(siplizumab)(メディミューン社、国際公開 WO 02/069904号、これらはそれぞれ本明細書に参照によりその全体が組み入れられる)と併用して被験者に投与して、増殖性疾患を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を、1以上のEphA2阻害剤(例えば、1以上の抗EphA2抗体(メディミューン社、国際公開WO 02/102974 A4、2002年12月27日付、表題「Mutant Proteins, High Potency Inhibitory Antibodies and FIMCH Crystal Structure」、国際公開WO 03/094859 A2、2003年11月20日付、表題「EphA2 Monoclonal Antibodies and Methods of Use Thereof」、米国特許出願第10/436,783号、および米国特許出願第60/379,368号、これらはそれぞれ本明細書に参照によりその全体が組み入れられる))の有効量と併用して被験者に投与して、増殖性疾患を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。さらに他の実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量をVITAXINTM、シプリズマブおよび/またはEphA2阻害剤の有効量と併用して被験者に投与して、増殖性疾患を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の好ましい実施形態においては、Bi-Specific T Cell Engagers(BiTETM、メディミューン社)として知られている抗体誘導体のクラスの一部である、MT103などの抗体誘導体を、本発明の1以上の抗体と併用して使用することもできる。
本発明の抗体または本発明の併用療法を第1、第2、第3、第4、または第5の療法として使用して、増殖性疾患またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善してもよい。本発明はまた、他の疾患または障害の治療を受けている患者において増殖性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法を含む。本発明は、本発明の抗体以外の療法に対して副作用または不耐性が生じる前に、患者における増殖性疾患またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法を包含する。本発明はまた、従来の療法では副作用を引き起こしやすい患者における増殖性疾患またはその症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法を包含する。
本発明は、他の癌療法を既に行った結果として免疫反応が抑制された癌を有する患者において、癌またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法を包含する。本発明はまた、他の療法に抗療性があることが示されており、もはやこれらの療法中にはない患者において、癌またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法を包含する。本発明はまた、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、および/または生物学的療法/免疫療法が高い毒性があることが示されてきたまたは示されている、すなわち、前記療法が行われている患者にとって許容し難いかまたは我慢できない副作用がある患者の、癌またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法を包含する。本発明はまた、癌にかかりやすい患者において、癌またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法を包含する。本発明はまた、絶対リンパ球数の平均が少なくとも500細胞/mm3、好ましくは少なくとも600細胞/mm3、より好ましくは少なくとも750細胞/mm3である患者において、癌またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法を包含する。本発明はまた、癌を有する患者において、1以上の症状の発症または発育を予防する方法を包含する。本発明はまた、不治の癌を有する患者、特にホスピス患者において、1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法を包含する。さらには、本発明は、癌を治療してきたが疾患活性はない患者において、癌を予防する方法を提供する。
好ましい実施形態においては、本発明は、化学療法を行ってきたまたは行っている患者において、癌またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善することを管理する方法を包含する。この実施形態に従い、かかる患者は、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法/免疫療法および/または手術を行ってきたまたは行っている患者を包含する。癌を治療するために使用される化学療法剤の例としては、限定されるものではないが、メトトレキサート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシウレア、ヒドロキシウレア、シタラビン、シクロスポリンA、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、シスプラチン、カルボプラチン、ミトマイシン、ダカルバジン、プロカルバジン、エトポシド、カンパテシン(campathecin)、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル等を含む。
特定の実施形態においては、本発明は、放射線療法を行ってきたまたは行っている癌患者において、癌またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法を包含する。この実施形態に従い、かかる患者は、化学療法、ホルモン療法、生物学的療法/免疫療法および/または手術を行ってきたまたは行っている患者を含む。他の実施形態においては、本発明は、ホルモン療法、および/または生物学的療法/免疫療法を行ってきたまたは行っている患者を治療または管理する方法を包含する。この実施形態に従い、かかる患者は、化学療法、放射線療法および/または手術を行ってきたまたは行っている患者を含む。
本発明は、本発明の抗体、組成物、または併用療法以外の療法に抗療性があることが示された患者において、増殖性疾患またはその症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法を包含する。ある特定の実施形態においては、増殖性疾患を有する患者は、増殖性疾患が根絶されていない、および/または症状が緩和されていない場合に療法に抗療性がある。患者に抗療性があるかどうかは、その関連で技術的に受け入れられている「抗療性」の意味を用いて、増殖性疾患の治療の効果をアッセイする当該技術分野で公知のあらゆる技術によりin vitroまたはin vivoのいずれかで決定することができる。様々な実施形態においては、患者のIL-9レベルが異常のままである場合および/または細胞過剰増殖が減少していない場合に、増殖性疾患を有する患者は抗療性がある。
本発明は、他の従来の療法に代わりうるものとして、増殖性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法を提供する。特定の実施形態においては、本発明の方法に従い管理されまたは治療されている患者は、他の療法を行っているか、またはかかる療法からは副作用になりやすい。患者は、免疫系が抑制されているヒト(例えば、手術後の患者、化学療法の患者、および免疫不全症の患者)、腎機能または肝機能が損なわれているヒト、高齢者、小児、乳児、精神心理学的障害のヒトまたは向精神薬を摂取しているヒト、発作の経験があるヒト、または増殖性疾患を管理または治療するために使用された従来の薬剤とマイナスに相互作用する薬物治療中のヒトであり得る。
本発明は、かかる癌のための存在する単剤療法に抗療性がある被験者において、1以上の癌の症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法を包含する。本発明はまた、他の療法に対して抗療性があることが示されているがもはやこれらの療法中にはない患者において、癌またはそれに関連する第2の状態を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法を包含する。本発明はまた、他の癌療法を既に行ってきたことにより免疫抑制された患者において、癌を予防し、治療し、管理し、または改善する方法を包含する。本発明は、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、および/または生物学的療法/免疫療法が高い毒性があることが示されているまたは示され得る場合、すなわち、療法が行われている被験者にとって許容し難いかまたは我慢できない副作用がある場合に、癌を予防し、治療し、管理し、または改善する代替方法を提供する。さらには、本発明は、治療されて疾患を有しない患者において、癌の再発を予防する方法を包含する。
本発明に包含される方法により治療できる癌は、限定されるものではないが、新生物、腫瘍、転移、または非制御の細胞成長により特徴づけられる如何なる疾患または障害を含む。癌は原発性癌または転移性癌であり得る。本発明に包含される方法により治療できる癌の特定の例は、限定されるものではないが、頭、首、眼、口、のど、食道、胸、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、乳房、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓、および脳の癌を含む。さらなる癌には、特に限定されないが以下がある。白血病、例えば特に限定されないが、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(例えば、骨髄芽球性、前骨髄芽球性、骨髄性単球性、単球性、赤血白血病、骨髄異形成症候群)、慢性白血病(例えば特に限定されないが、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病、毛様細胞性白血病);真性赤血球増加症;リンパ腫、例えば限定されないが、ホジキン病、非ホジキン病;多発性骨髄腫、例えば特に限定されないが、スモルダリング多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞性白血病、孤立性形質細胞腫、および髄外性形質細胞腫;ワルデンストレームマクログロブリン血症;意義が不明のモノクローナル免疫グロブリン異常症;良性モノクローナル免疫グロブリン異常症;重鎖疾患;骨癌および結合組織肉腫、例えば特に限定されないが、骨肉腫、骨髄腫骨疾患、多発性骨髄腫、コレステリン腫に誘導される骨肉腫、骨のパジェット病、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨大細胞腫瘍、骨の繊維肉腫、脊索腫、骨膜性肉腫、軟組織肉腫、血管肉腫(血管内皮腫)、繊維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経鞘腫、横紋筋肉腫、および滑膜肉腫;脳腫瘍、例えば特に限定されないが、神経膠腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣細胞腫、乏突起神経膠芽細胞腫、非グリア腫瘍、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、松果体腫、松果体芽腫、および原発性脳リンパ腫;乳癌、特に限定されないが、腺癌、小葉(小細胞)癌、分泌管内癌、髄様乳癌、粘液性乳癌、管状乳癌、乳頭乳癌、ページェット病(若年性ページェット病を含む)、および炎症性乳癌を含む;副腎癌、例えば特に限定されないが、クロム親和性細胞腫、副腎皮質癌;甲状腺癌、例えば特に限定されないが、乳頭状または瀘胞性甲状腺癌、髄様甲状腺癌および未分化甲状腺癌;膵臓癌、例えば特に限定されないが、インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチン分泌腫瘍、およびカルチノイドまたは島細胞腫瘍;下垂体癌、例えば特に限定されないが、クッシング病、プロラクチン分泌腫瘍、先端巨大症および尿崩症;眼の癌、例えば特に限定されないが、虹彩黒色腫、脈絡膜黒色腫および毛様体黒色腫などの眼球黒色腫、ならびに網膜芽細胞腫;膣癌、例えば扁平上皮癌、腺癌、および黒色腫;外陰癌、例えば扁平上皮細胞癌、黒色腫、腺癌、基底細胞癌、肉腫、およびページェット病;子宮頚癌、例えば特に限定されないが、扁平上皮細胞癌、および腺癌;子宮癌、例えば特に限定されないが、子宮内膜癌および子宮肉腫;卵巣癌、例えば特に限定されないが、卵巣上皮癌、境界腫瘍、生殖細胞腫瘍、および間質性腫瘍;食道癌、例えば特に限定されないが、扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢胞癌、粘液性類表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、黒色腫、形質細胞腫、いぼ状癌、および燕麦細胞(小細胞)癌;胃癌、例えば特に限定されないが、腺癌、腫瘤形成性(ポリープ状)、潰瘍性、表在拡大型、びまん拡散性、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、繊維肉腫、および癌肉腫;結腸癌;直腸癌;肝臓癌、例えば特に限定されないが、肝細胞癌、および肝芽細胞腫、胆嚢癌、例えば腺癌;胆管癌、例えば特に限定されないが、乳頭状、結節性、およびびまん性;肺癌、例えば非小細胞肺癌、扁平上皮細胞癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌、および小細胞肺癌;精巣癌、例えば特に限定されないが、胚腫瘍、精上皮腫、未分化、古典的(典型的)、精母細胞、非精上皮腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛癌(卵黄嚢腫瘍)、前立腺癌、例えば特に限定されないが、腺癌、平滑筋肉腫、および横紋筋肉腫;陰茎癌;口腔癌、例えば特に限定されないが、扁平上皮細胞癌;基底癌;唾液腺癌、例えば特に限定されないが、腺癌、粘液性類表皮癌、および腺様嚢胞癌;咽頭癌、例えば特に限定されないが扁平上皮細胞癌、およびいぼ状癌;皮膚癌、例えば特に限定されないが、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌および黒色腫、表在拡大型、結節性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端性ほくろ性黒色腫;腎臓癌、例えば特に限定されないが、腎細胞癌、腺癌、副腎腫、線維肉腫、移行上皮癌(腎盂および/または子宮);ウィルムス腫瘍;膀胱癌、例えば特に限定されないが、移行上皮癌、扁平上皮細胞癌、腺癌、癌肉腫。さらに癌には、粘液肉腫、骨原性肉腫、内皮肉腫、リンパ管内皮腫、中皮腫、滑膜腫、血管芽細胞腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支原性癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌および乳頭状腺癌が含まれる(このような障害の総説については、Fishmanら、Medicine、第2版、1985年、J.B. Lippincott Co.、フィラデルフィア、およびMurphyら、Informed Decisions: The Complete Book of Cancer Diagnosis, Treatment, and Recovery、1997年、Viking Penguin、Penguin Books U.S.A., Inc., United States of America)。またアポトーシスの異常により引き起こされる癌も、本発明の方法および粗製物により治療することができることも考えられる。かかる癌としては、特に限定されるものではないが、濾胞性リンパ腫、p53変異を有する癌、乳房、前立腺および卵巣のホルモン依存性腫瘍、ならびに家族性腺腫様ポリープおよび骨髄異形成症候群のような前癌病変がある。
療法と用量、投与経路および増殖性疾患、あるいはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善するための療法の推奨される用途は、当技術分野で知られており、「the Physician's Desk Reference」(第57版、2003年)などの文献に記載されている。
5.3.2 炎症性疾患
本発明の1以上の抗体および該抗体を含む組成物を使用して、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善することができる。本発明の抗体または該抗体を含む組成物を、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善するために有用な1以上の他の療法(例えば、本発明の抗体以外の1以上の予防剤または治療剤)と併用して投与することもできる。かかる療法の例としては、限定されるものではないが、上記セクション5.2に記載した薬剤、および特に、セクション5.2.1に記載した免疫調節剤、セクション5.2.2に記載した抗血管形成剤、セクション5.2.3に記載したTNF-α拮抗剤、セクション5.2.4に記載した抗炎症剤、セクション5.2.5に記載した抗癌剤、セクション5.2.6に記載した抗ウイルス剤、セクション5.2.7に記載した抗菌剤、およびセクション5.2.8に記載した抗真菌剤を含む。
特定の実施形態においては、本発明は、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を、それを必要とする被験者に投与することを含む前記方法を提供する。他の実施形態においては、本発明は、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量および本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量を、それを必要とする被験者に投与することを含む前記方法を提供する。
本発明は、かかる炎症性疾患に対する従来の療法(例えば、メトトレキサートおよびTNF-α拮抗剤(例えば、REMICADETMまたはENBRELTM)に抗療性がある被験者において、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を前記被験者に投与することを含む前記方法を提供する。本発明はまた、かかる炎症性疾患に対する現行の単剤療法に抗療性がある被験者において、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量および本発明の抗体以外の本発明の1以上の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量を、これを必要とする前記被験者に投与することを含む前記方法を提供する。本発明はまた、他の療法に抗療性があるがもはやこれらの療法中にはない患者における炎症性疾患を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法を提供する。本発明はまた、他の療法が過度に毒性であるかことが判明しているかまたは判明し得る(すなわち、治療される被験者に対して、受け入れられないかまたは耐えられない副作用になる)場合に、炎症性疾患を予防し、治療し、管理し、および/または改善する代替方法も提供する。さらに、本発明は、治療され、疾患活性を持たない患者の、炎症性疾患の再発を予防する方法を提供する。
本発明の方法にしたがって予防し、管理し、治療し、および/または改善することかできる炎症性疾患の例としては、限定されるものではないが、喘息、アレルギー性疾患、2型媒介炎症により特徴づけられる炎症性疾患、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、脳炎、炎症性腸疾患、敗血性ショック、未分化脊椎関節症、未分化関節症、関節炎、炎症性骨溶解、および慢性ウイルスまたはバクテリア感染症から生じる慢性炎症を含む。好ましい実施形態においては、本発明の方法にしたがって予防し、治療し、管理し、および/または改善される炎症性疾患は、2型媒介炎症として特徴づけられる炎症性疾患である。2型媒介炎症は、表面結合IgEの交差結合に依存するプロセスである、好酸球性および好塩基性組織浸潤および/または広範囲の肥満細胞脱顆粒により特徴づけられる。他の好ましい実施形態においては、本発明の方法にしたがって予防し、治療し、管理し、および/または改善される炎症性疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症、またはアレルギー性疾患である。
特定の実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を、喘息またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善するために有用な本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量と併用して被験者に投与して、喘息またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。かかる療法の非限定的な例としては、アドレナリン作用性刺激剤(例えば、カテコールアミン(例えば、エピネフリン、イソプロテレノール、およびイソエタリン)、レゾルシノール(例えば、メタプロテレノール、テルブタリン、およびフェノテロール)、サリゲニン(サルブタモール)、抗コリン作用剤(例えば、硫酸アトロピン、硝酸メチルアトロピン、臭化イプラトロピウム、(ATROVENTTM))、β2アゴニスト(例えば、アルブテロール(VENTOLINTMおよびPROVENTILTM))、ビトルテロール(TORNALATETM)、レバルブテロール(XOPONEXTM)、メタプロテレノール(ALUPENTTM)、ピルブテロール(MAXAIRTM)、テルブタリン(BRETHAIRETMおよびBRETHINETM)、アルブテロール(PROVENTILTM、REPETABSTMおよびVOLMAXTM)、ホルモテロール(FORADIL AEROLIZERTM)、およびサルメテロール(SEREVENTTMおよびSEREVENT DISKUSTM)、コルチコステロイド(例えばメチルプレドニゾロン(MEDROLTM))、プレドニゾン(PREDNISONETMおよびDELTASONETM)、およびプレドニゾロン(PRELONETM、PEDIAPREDTM)、グルココルチコイド(例えば、経口ステロイド薬またはその他全身もしくは経口ステロイド薬、および吸入グルココルチコイド薬)その他ステロイド類、免疫抑制剤、(例えば、メトトレキサート、および金塩類)、ロイコトリエン阻害剤(例えば、モンテルカスト(SINGULAIRTM)、ザフィルルカスト(ACCOLATETM)、およびザイリュートン(ZYFLOTM)、肥満細胞変調剤(クロモリンナトリウム(INTALTM(商標))およびネドクロミルナトリウム(TILADETM))メチルキサンチン(例えば、テオフィリン(UNIPHYLTM、THEO−DURTM、SLO-BIDTMおよびTEHO-42TM)、および粘液溶解剤(例えば、アセチルシステイン)。特定の実施形態においては、本発明の1以上の抗体をシプリズマブ(siplizumab)(MedImmune, Inc.)と併用して被験者に投与して、喘息またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。
本発明は、喘息の発達からまたはその危険性に苦しむと予想される患者、例えば、喘息の遺伝的素因を有する患者、1以上の呼吸性感染症を有するかもしくは有していた患者、乳児、早産児、小児、高齢者、または毒性化学物質を用いて作業する(すなわち、職業性喘息の危険性がある)患者において、喘息の発達を予防する方法を包含する。特定の実施形態においては、被験者は、喘息が発達する危険性のある小児、例えば、特にPIV、RSV、およびhMPVなどの呼吸性感染症を有しているかまたは有していた小児、高いIgEレベル、家族に喘息歴のある小児、喘息誘因および/またはアレルゲン(例えば、動物、ゴキブリのアレルゲン、およびタバコの煙)に曝露された小児、または喘鳴もしくは気管支過応答性を経験した小児である。喘息の危険要因の議論としては、例えば、Klinnertら、Pediatrics、108巻、4号、E69頁、2001年、Londonら、Epidemiology、12巻、5号、577〜83頁、2001年、Melenら、Allergy、56巻、7号、464〜52頁、2001年、Mochizukiら、JAsthma、38巻、1号、1〜21頁、2001年、Arrudaら、Curr Opin Pulm Med、7巻、1号、14〜19頁、2001年、Castro-Rodriguezら、Am J Respir Crit Care Med、162巻、1403〜6頁、2000年、Goldの、Environ Health Perspect、108巻、643〜51頁、2000年、およびCsonkaら、Pediatr Allergy Immuno、11巻、4号、225〜9頁、2000年を参照されたい。
特定の実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を、アレルギーまたはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善するために有用な1以上の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量と併用して被験者に投与して、アレルギーまたはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。かかる療法の非限定的な例としては、抗メディエーター剤(antimediator agent)(例えば、抗ヒスタミン薬、表5参照)、コルチコステロイド、消炎剤、交感神経興奮様薬(例えば、α―アドレナリンおよびβ―アドレナリン作用の薬剤)、テオフィリンおよびその誘導体、グルココルチコイド、および免疫療法(例えば、長期間、アレルゲン注射を繰り返すこと、短期の脱感作、および毒液免疫療法)などの薬剤を含む。
1つの実施形態においては、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する1以上の抗体の有効量を1以上の抗IgE抗体の有効量と併用して被験者に投与して、アレルギーまたはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の実施形態においては、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する1以上の抗体の有効量を抗IgE抗体TNX901の有効量と共に被験者に投与して、アレルギー反応またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の実施形態においては、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する1以上の抗体の有効量を抗IgE抗体rhuMAb-E25オマリズマブの有効量と共に被験者に投与して、アレルギー反応またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の実施形態においては、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する1以上の抗体の有効量を抗IgE抗体HMK-12の有効量と共に被験者に投与して、アレルギー反応またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の実施形態においては、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する1以上の抗体の有効量を抗IgE抗体6HD5の有効量と併用して被験者に投与して、アレルギー反応またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の実施形態においては、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する1以上の抗体の有効量を抗IgE抗体MAb Hu-901の有効量と併用して、アレルギー反応を患う被験者に投与して、アレルギー反応またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。
特定の実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を、COPDまたはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善するのに有用である、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体以外の1以上の療法(例えば、予防剤または治療剤)の有効量と併用して、被験者に投与する。かかる療法の非限定的な例としては、、気管支拡張剤(例えば、短時間作用性β2-アドレナリン作用性アゴニスト(例えば、アルブテロール、ピルブテロール、テルブタリン、およびメタプロテレノール)、長時間作用性β2-アドレナリン作用性アゴニスト(例えば、口腔徐放性アルブテロールおよび吸入サルメテロール)、抗コリン作用薬(例えば、臭化イプラトロピウム)、およびテオフィリンおよびその誘導体(テオフィリンの治療域は、好ましくは10〜20μg/mLである))、グルココルチコイド、外来性α1AT(例えば、60mg/kgの週間投与量で静脈内投与されたプールしたヒト血漿に由来するα1AT)などの薬剤、酸素、肺移植、肺気量整復術、気管内挿管、ベンチレーション・サポート(ventilation support)、毎年のインフルエンザワクチンおよび23価の多糖による肺炎球菌ワクチン接種、運動、ならびに禁煙が含まれる。
特定の実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を、肺線維症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善するのに有用な本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、予防剤または治療剤)の有効量と併用して、それを必要とする被験者に投与する。かかる療法の非限定的な例としては、酸素、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾンの1日投与量は、6週間1〜1.5mg/kg/日(最高100mg/日まで)で始め、最小用量を0.25mg/kg/日に維持するように3〜6カ月かけてゆっくり漸減する)、細胞障害性薬剤(例えば、シクロホスファミドを1日1回100〜120mg経口で、およびアザチオプリンを一日一回3mg/kgから200mgまで)、気管支拡張薬(例えば、短時間および長時間作用性β2-アドレナリン作用性アゴニスト、抗コリン作用薬、およびテオフィリンおよびその誘導体)、ならびに抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミンおよびドキシラミン)を含む。
特定の実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を、有効量のVITAXINTM(MedImmune, Inc.,国際公開WO 00/78,815号、国際公開WO 02/070,007 A1、2002年9月12日付、表題「Methods of Preventing or Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin AlphaV Beta3 Antagonists」、国際公開WO 03/075957 A1、2003年9月18日付、表題「The Prevention or Treatment of Cancer Using Integrin AlphaV Beta3 Antagonists in Combination With Other Agents」、米国特許第2002/0,168,360 A1、2002年11月14日付、表題「Methods of Preventing or Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin αV β3 Antagonists in Combination With Other Prophylactic or Therapeutic Agents」、および国際公開WO 03/075,741 A2、2003年9月18日付、表題「Methods of Preventing or Treating Disorders by Administering Integrin αV β3 Antagonists in Combination With an HMG-CoA Reductase Inhibitor or a Bisphosphonate」、これらはそれぞれ本明細書に参照によりその全文が組み入れられる)と併用して被験者に投与して、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を有効量のシプリズマブ(MedImmune, Inc.,国際公開WO 02/069,904号、これらはそれぞれ本明細書に参照によりその全文が組み入れられる)と併用して被験者に投与して、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。他の実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を、1以上のEphA2阻害剤(例えば、1以上の抗EphA2抗体(MedImmune, Inc.,国際公開WO 02/102,974 A4、2002年12月27日付、表題「Mutant Proteins, High Potency Inhibitory Antibodies and FIMCH Crystal Structure」、国際公開WO 03/094,859 A2、2003年11月20日付、表題「EphA2 Monoclonal Antibodies and Methods of Use Thereof」、米国特許出願第10/436,783号、および米国特許出願第60/379,368号、これらはそれぞれ本明細書に参照によりその全文が組み入れられる))の有効量と併用して被験者に投与して、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。さらに他の好適な実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を、VITAXINTM、シプリズマブ、および/またはEphA2阻害剤の有効量と併用して被験者に投与して、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。
1つの実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を、非限定的にMAb 7H6、MAb 8H7a、pAb 1337、FK506、およびCsAなどの幹細胞刺激因子(c-キットリガンド)阻害剤の有効量と併用して被験者に投与して、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。この実施形態によれば、幹細胞刺激因子阻害剤を患部(すなわち、炎症部位)に局所的に投与することが好ましい。他の実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を、非限定的にSTI 571などの1以上のc-キット受容体阻害剤の有効量と併用して被験者に投与して、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する。この実施形態によれば、そのc-キット受容体阻害剤を患部に局所的に投与することが好ましい。
1つの実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を、炎症性疾患の危険があるかまたは該疾患を患う被験者に、肥満細胞のプロテアーゼ阻害剤と併用して投与する。他の実施形態においては、肥満細胞のプロテアーゼ阻害剤は、限定されるものではないが、GW-45、GW-58、およびゲニステインなどのトリプターゼキナーゼ阻害剤である。特定の実施形態においては、肥満細胞のプロテアーゼ阻害剤は、限定されるものではないが、カルホスチンCなどのホスファチジルイノシチド-3'(PI3)-キナーゼ阻害剤である。他の実施形態においては、肥満細胞プロテアーゼ阻害剤は、限定されるものではないが、スタウロスポリンなどのタンパク質キナーゼ阻害剤である。この実施形態によれば、肥満細胞プロテアーゼ阻害剤を患部に局所的に投与することが好ましい。
本発明の抗体または本発明の併用療法を、第1、第2、第3、第4、または第5の療法として使用して、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善することもできる。本発明はまた、他の疾患または障害に対して治療している患者において、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法を含む。本発明は、本発明の抗体以外の療法に対するいずれかの副作用または耐性がでる前に、患者における炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法を包含する。本発明はまた、抗療性の患者において炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法を包含する。本発明は、本発明の抗体、組成物、または併用療法以外の治療に耐性があることが示された患者において、増殖性疾患またはその症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法を包含する。患者に抗療性があるかどうかは、当業者が受け入れられている状況などの「抗療性」の意味を用いて、増殖性疾患を治療する効果をアッセイする当技術分野にて知られているいずれかの技術によりin vitroまたはin vivoのいずれかで決定することができる。ある特定の実施形態においては、炎症性疾患を有する患者は、炎症を予防し、管理し、および/または軽減できない場合、療法に抗療性がある。本発明はさらに、従来の療法に副作用を引き起こしやすい患者における、炎症性疾患またはその症状を予防し、管理し、治療し、および/または改善する方法を包含する。
本発明は、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体以外の療法に抗療性があることが示されているが、もはやこれらの療法中ではない患者において、炎症性疾患またはその症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法を提供する。ある特定の実施形態においては、本発明の方法に従い管理または治療されている患者は、抗炎症剤、抗生物質、抗ウイルス治療、抗真菌剤、または他の生物学的療法/免疫療法で既に治療されている患者である。これらの患者は、抗療性の患者、従来の療法には若すぎる患者、および存在する療法で管理または治療するにもかかわらず炎症性疾患を再発している患者である。
本発明は、他の従来の療法に代わりうる、炎症性疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、および/または改善する方法を包含する。特定の実施形態においては、本発明の方法に従い管理または治療されている患者は、他の療法に抗療性があるか、またはかかる治療から副作用を引き起こしやすい。患者は、免疫系が抑制されたヒト(例えば、手術後の患者、化学療法の患者、および免疫不全症の患者、気管支肺異形成症の患者、先天性心疾患の患者、嚢胞性線維症の患者、後天性または先天性心臓疾患、および感染症に罹っている患者)、障害のある腎臓または肝臓機能を有するヒト、高齢者、小児、乳児、早産児、精神心理学的障害を有するヒトまたは向精神薬を摂取しているヒト、てんかん発作の経験があるヒト、ウイルス性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療し、または改善するために使用される従来の薬剤と逆作用する薬物治療中のヒトである。
抗炎症療法とその用量、投与経路、および推奨される用途は、当技術分野で知られており、「the Physician's Desk Reference」、第57版、2003年のような文献に記載されている。
5.3.3 自己免疫疾患
本発明の1以上の抗体および該抗体を含む組成物を使用して、自己免疫疾患またはその1以上の徴候を予防し、治療し、管理しおよび/または改善することができる。本発明の1以上の抗体の有効量を、自己免疫疾患またはその1以上の症状の予防、治療、管理および/または改善のために有用な本発明の抗体以外の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)と併用してそれを必要とする被験者に投与して、自己免疫疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善してもよい。そのような治療法の非限定的な例としては、上記セクション5.2に記載した薬剤、特に、セクション5.2.1に記載した免疫調節剤、セクション5.2.2に記載した抗血管形成剤、セクション5.2.3に記載したTNF-α拮抗剤、セクション5.2.4に記載した抗炎症剤、セクション5.2.5に記載した抗癌剤、セクション5.2.6に記載した抗ウイルス剤、セクション5.2.7に記載した抗細菌剤、およびセクション5.2.8に記載した抗真菌剤が挙げられる。
1つの具体的実施形態では、本発明は、、本発明の1以上の抗体の有効量からなる用量をそれを必要とする被験者に投与することを含む、自己免疫疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、本発明の1以上の抗体の有効量と本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量をそれを必要とする被験者に投与することを含む、自己免疫疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を提供する。
自己免疫疾患では、戦うべき異物がないときに免疫系が免疫反応を始動し、身体の正常な保護免疫系が誤って自己を攻撃することにより自身の組織に損傷をもたらす。様々なかたちで身体に影響を及ぼす様々な自己免疫疾患がある。例えば、脳は多発性硬化症に罹患した個体において影響を受け、腸はクローン症に罹患した個体において影響を受け、また、様々な関節の関節滑膜、骨および軟骨は慢性関節リウマチに罹患した個体において影響を受ける。自己免疫疾患は1以上のタイプの身体組織の破壊を進展させるので、器官の異常成長や器官機能中の変化が生じることもある。自己免疫疾患は1つの器官または組織タイプのみに影響を及ぼす場合もあるし、多数の器官および組織に影響を及ぼす場合もある。自己免疫疾患によって一般に影響を受ける器官および組織としては、赤血球、血管、結合組織、内分泌腺(例えば、甲状腺や膵臓)、筋肉、関節および皮膚が含まれる。本発明の方法により予防し、治療し、管理しおよび/または改善することができる自己免疫疾患の例としては、以下に限定されるものではないが、アドレナリン作動性薬物耐性、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、アレルギー性脳脊髄炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性炎症性眼疾患、自己免疫性新生児血小板減少症、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性卵巣炎および自己免疫性精巣炎、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、心臓切開術症候群、セリアック病皮膚炎、慢性活動性肝炎、慢性疲労性免疫機能障害症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、クレスト(CREST)症候群、寒冷凝集素症、クローン病、デンスデポジット病、円板状狼瘡、本態性混合クリオグロブリン血症、維筋肉痛-線維筋炎、糸球体腎炎(例えば、IgA腎症)、グルテン敏感性腸疾患、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン-バレー症候群、甲状腺機能亢進症(すなわち、橋本甲状腺炎)、特発性肺線維症、特発性アジソン病、特発性血小板減少紫斑病(ITP)、IgA腎症、若年性関節炎、扁平苔癬、紅斑性狼瘡、メニエール病、混合型結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎、1型糖尿病または免疫媒介性糖尿病、重症筋無力症、心筋炎、神経炎、他の内分泌腺障害、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性内分泌障害、多腺性症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、ポストMI、先天性無ガンマグロブリン血症、先天性胆汁性肝硬変症、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、再発性多発性軟骨炎、ライター症候群、リウマチ性心疾患、慢性関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、紅斑性狼瘡、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、じんま疹、ブドウ膜炎、ブドウ膜炎眼結膜炎、疱疹状皮膚炎脈管炎等の脈管炎、白斑およびヴェゲナー肉芽腫症が含まれる。
具体的実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量を、多発性硬化症(MS)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するのに有用な本発明の抗体以外の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量と併用して投与して、多発性硬化症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。そのような療法の非限定的な例としては、IFN-β1b(BETSERON(登録商標))(例えば、800万国際単位(MIU)を1日おきに皮下注射によって投与する)、IFN-β1a(AVONEX(登録商標))(例えば、6.0 MlUを筋肉内注射によって毎週1回投与する)、酢酸グラチマラー(glatiramer acetate)(COPAXONE(登録商標))(例えば、20mgを毎日、皮下注射によって投与する)、ミトキサントロン(例えば、12mg/m2を3月ごとに静脈注射によって投与する)、アザチオプリン(例えば、2〜3mg/kg体重を毎日経口投与する)、メトトレキサート(例えば、7.5mgを毎週1回経口投与する)、シクロホスファミド、静脈内免疫グロブリン(例えば、0.15〜0.2g/kg体重を最大2年間、毎月投与する)、グルココルチコイド、メチルプレドニゾロン(例えば、高用量で隔月のサイクルで投与)、2-クロロデオキシアデノシン(例えば、クラドリビン(LEUSTATIN(登録商標))、バクロフェン(例えば、15〜80 mg/dを分割用量において、または経口で最大240mg/dのより高用量で、または留置カテーテルを介して鞘内に)、塩酸シクロエンザプリン(cycloenzaprine hydrochloride)(例えば、5〜10mgを1日2回または1日3回)、クロナゼパム(例えば、0.5〜1.0mgを就寝時服用を含め1日3回)、クロニジン塩酸(例えば、0.1〜0.2mgを就寝時服用を含め1日3回)、カルバマゼピン(例えば、100〜1200mg/dを分割して用量を増しながら)、ガバペンチン(gabapentin)(例えば、300〜3600mg/d)、ジランチン(例えば、300〜400mg/d)、アミトリプチリン(例えば、25〜150mg/d)、バクロフェン(例えば、10〜80mg/d)、プリミドン(例えば、125〜250mgを1日2回または1日3回)、オンダンセトロン(例えば、4〜8mgを1日2回または1日3回)、イソニアジド(例えば、最大1200mgを分割用量で)、オキシブチニン(例えば、5mgを1日2回または1日3回)、トルテロジン(tolterodine)(例えば、1〜2mgを1日2回)、プロパンテリン(例えば、7.5〜15mgを1日4回)、ベサンコール(bethanecol)(例えば、10〜50mgを1日3回または1日4回)、塩酸テラゾシン(例えば、1〜5mgを就寝前)、クエン酸シルデナフィル(例えば、50〜100mgを必要に応じて経口で)、アマンタジン(amantading)(例えば、100mgを1日2回)、ペモリン(例えば、37.5mgを1日2回)、高用量ビタミン、オロチン酸カルシウム、ガンシクロビル、抗生物質および血漿交換が含まれる。
具体的実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量を、乾癬またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するのに有用な本発明の抗体以外の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量と併用して被験者に投与して、乾癬またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。そのような療法の非限定的な例としては、局所用ステロイドクリームまたは軟膏、タール(例えば、Nutradermローション中のまたはトリアムシノロン0.1%のクリームと直接混合した、ESTAR(登録商標)、PSORIGEL(登録商標)、FOTOTAR(登録商標)およびLCD 10%)、閉塞、局所用ビタミンD類似体(例えば、カルシポトリエン軟膏)、紫外線PUVA(ソラレンと紫外線A)、メトトレキサート(例えば、毎週1回または毎週1回12時間ごとに3回の分割用量で最大25mg)、合成レチノイド(例えば、0.5〜1mg/kg/dの投薬量でエトレチネート(etretinate))、免疫調節剤(例えば、シクロスポリン)およびスルファサラジン(例えば、毎日3回、1gの投薬量で)などの薬剤が含まれる。
具体的実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量を、クローン病またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するのに有用な本発明の抗体以外の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量と併用して被験者に投与して、クローン病またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。そのような治療法の非限定的な例としては、下痢止め薬(例えば、1日当たり最大4回のロペラミド2〜4mg、1日当たり最大4回のアトロピン1錠と併用するジフェノキシレート、アヘンチンキは8〜15滴を1日最大4回、コレスチラミン2〜4gまたはコレスチポール5gを1日1回または2回)、鎮痙薬(例えば、食前にプロパンテリン15mg、ジシクロミン10〜20mg、ヒヨスチアミン0.125mg)、5-アミノサルチル酸剤(例えば、スルファサラジン1.5〜2gを1日2回、メサラミン(ASACOL(登録商標))およびその漸次放出形態(PENTASA(登録商標)))で、特に高用量、例えば、PENTASA(登録商標)1gを1日4回およびASACOL(登録商標)0.8〜1.2gを1日4回)、コルチコステロイド、免疫調節剤(例えば、アザチオプリン(1〜2mg/kg)、メルカプトプリン(50〜100mg)、シクロスポリンおよびメトトレキセート)、抗生物質、TNF阻害剤(例えば、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチルおよびサリドマイド)、抗炎症性サイトカイン(例えば、IL-10およびIL-11)、栄養的な治療、成分栄養食(例えば、Vivonex4週間)による経腸治療および完全非経口栄養法が含まれる。
別の具体的実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量を、紅斑性狼瘡またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するのに有用な本発明の抗体以外の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量と併用して被験者に投与して、紅斑性狼瘡またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。そのような療法の非限定的な例としては、抗マラリア剤(例えば、ヒドロキシクロロキン)、グルココルチコイド(例えば、低用量、高用量または高用量静脈内パルス療法)、免疫抑制剤(例えば、シクロホスファミド、クロラムブチルおよびアザンチオプリン(azanthioprine))、細胞毒性剤(例えば、メトトレキサートおよびミコフェノール酸モフェチル)、アンドロゲン系ステロイド(例えば、ダナゾール)および抗凝血剤(例えば、ワルファリン)が含まれる。
1つの具体的実施形態では、本発明の1以上の抗体の予防または治療のための有効量を、VITAXINTM(MedImmune社、「Methods of Preventing or Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin AlphaV Beta3 Antagonists」と題する2002年9月12日付国際公開WO 00/78815号、国際公開WO 02/07007 A1号「The Prevention or Treatment of Cancer Using Integrin AlphaV Beta3 Antagonists in Combination With Other Agents」と題する2002年9月18日付国際公開WO 03/075957 A1号、「Methods of Preventing or Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin αvβ3 Antagonists in Combination With Other Prophylactic or Therapeutic Agents」と題する2002年11月14日付米国特許公開2002/0168360 A1号、および「Methods of Preventing or Treating Disorders by Administering an Integrinαvβ3 Antagonist in Combination With an HMG-CoA Reductase Inhibitor or a Bisphosphonate」と題する2003年9月18日付国際公開WO 03/075741(A2)号、これらはそれぞれ参照によりその全体が本願に組み込まれる。)の有効量と併用して被験者に投与して、自己免疫疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。別の好ましい実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量を、シプリズマブ(siplizumab) (MedImmune社、国際公開WO 02/069904号)の有効量と併用して被験者に投与して、自己免疫疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。別の実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量を、EphA2阻害剤(例えば、1以上の抗EphA2抗体(MedImmune社、"Mutant Proteins, High Potency Inhibitory Antibodies and FIMCH Crystal Structure"と題する2002年12月27日付国際公開WO 02/102974(A4)号、"EphA2 Monoclonal Antibodies and Methods of Use Thereof"と題する2003年11月20日付国際公開WO03/094859(A2)号、米国特許出願第10/436,783号および米国特許出願第60/379,368号、これらはそれぞれ参照によりその全体が本願に組み込まれる。))の有効量と組み合わせて被験者に投与して、自己免疫疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。さらに別の実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量を、VITAXIN(商標)、シプリズマブ(siplizumab)および/またはEphA2阻害剤の有効量と併用して被験者に投与して、自己免疫疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。
本発明の抗体または本発明の併用療法を第1、第2、第3、第4または第5の治療法として使用して、自己免疫疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善することもできる。本発明はまた、他の疾患または障害の治療を受けている患者において、自己免疫疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するための方法を含む。本発明は、本発明の抗体以外の療法による何らかの副作用または抗療性が進展する前に、自己免疫疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するための方法にも及ぶ。本発明はまた、抗療性患者において自己免疫疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するための方法にも及ぶ。本発明はまた、本発明の抗体、組成物または併用療法以外の治療法に対して抗療性であると判明した患者において増殖性疾患またはその症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するための方法にも及ぶ。患者が抗療性かどうかの決定は、そのような文脈で技術的に受け入れられている「抗療性」の意味を用いて、自己免疫疾患の治療有効性を分析するために当技術分野で知られている任意の方法によってin vivoでもin vitroでも行うことができる。特定の実施形態では、自己免疫疾患の1以上の症状が予防、管理および/または改善されない場合、自己免疫疾患に罹患した患者は抗療性である。本発明はまた、従来の治療法では副作用の影響を受けやすい患者において、自己免疫疾患またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療しおよび/または改善するための方法にも及ぶ。
本発明は、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体以外の療法に対して抗療性であると判明しているがこれらの治療をもはや受けていない患者において増殖性疾患またはその症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するための方法にも及ぶ。特定の実施形態では、本発明の方法に従って管理または治療される患者は、抗炎症剤、免疫調節剤、抗生物質、抗ウイルス療法、抗真菌剤または他の生物学的治療/免疫療法で既に治療されている患者である。これらの患者の中には、抗療性患者、従来の治療法を受けるには若すぎる患者、既存の治療法による管理や治療にもかかわらずアレルギー反応を再発する患者が含まれる。
本発明は、他の従来療法の代替法として自己免疫疾患またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するための方法にも及ぶ。具体的実施形態では、本発明の方法に従って管理または治療される患者は、他の治療法に抗療性か、またはそのような治療法では副作用の影響を受けやすい。患者は、免疫系が抑制されている者(例えば、術後患者、化学療法患者および免疫不全症に罹患している患者、気管支-肺形成異常症の患者、先天性心疾患の患者、嚢胞性繊維症の患者、後天性または先天性心疾患の患者および感染症に罹患している患者)、腎臓または肝臓機能が損なわれている者、高齢者、小児、幼児、早産児、神経心理学的障害を有する者、または向精神薬を服用する者、発作の履歴のある者、あるいはウイルス性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するための従来の薬剤とマイナスの相互作用をするであろう薬物治療を受けている者でもよい。
自己免疫の治療およびその投薬、投与経路および推奨される使用法は当技術分野で知られており、Physician's Desk Reference(第57版、2003)などの文献に記載されている。
5.3.4 ウイルス感染症
本発明の1以上の抗体および該抗体を含む組成物を被験者に投与して、ウイルス感染またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善することができる。本発明の1以上の抗体および該抗体を含む組成物は、ウイルス感染またはその1以上の症状の予防、治療、管理および/または改善に有用な本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)と併用して、ウイルス感染症、好ましくは呼吸器ウイルス感染症の素因のあるまたは罹患している被験者に投与してもよい。そのような療法の非限定的な例としては、上記セクション5.2に記載した薬剤、特に、セクション5.2.1に記載した免疫調節剤、セクション5.2.2に記載した抗血管形成剤、セクション5.2.3に記載したTNF-α拮抗剤、セクション5.2.4に記載した抗炎症剤、セクション5.2.5に記載した抗癌剤、セクション5.2.6に記載した抗ウイルス剤、セクション5.2.7に記載した抗細菌剤、およびセクション5.2.8に記載した抗真菌剤が挙げられる。
1つの具体的実施形態では、本発明は、本発明の1以上の抗体の有効量をそれを必要とする被験者に投与することを含む、ウイルス性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、本発明の1以上の抗体の有効量と本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量とをそれを必要とする被験者に投与することを含む、ウイルス性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を提供する。
特定の実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量を、ウイルス感染、好ましくは、ウイルス性呼吸器感染症またはその1以上の症状の予防、治療、管理および/または改善に現在使われているか、使われてきた、または有用であることが知られている1以上の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量と併用して投与してもよい。ウイルス感染、好ましくは、ウイルス性呼吸器感染症の療法としては、限定的なものではないが、アマンタジン、オセルタミビル、リバビラン(ribaviran)、パリビズマブ(palivizumab)およびアナミビル(anamivir)などの抗ウイルス剤が含まれる。特定の実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量を、1以上のサポート手段(supportive measure)と併用してそれを必要とする被験者に投与して、ウイルス性感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。支持手段の非限定的な例としては、超音波ネビュライザーによる空気の給湿、エアロゾル化したラセミ体エピネフリン、経口デキサメタゾン、静脈内輸液、挿管、解熱剤(例えば、イブプロフェン、アセトメタフィン(acetometaphin))および抗生物質または抗真菌療法(すなわち、第2の細菌感染症を防止または治療するため)が含まれる。
本発明の1以上の抗体の有効量を単独で、または他の療法(例えば、本発明の抗体以外の予防剤または治療剤)の有効量と併用して投与することを含む本発明の方法によれば、ウイルス感染からまたはそれに伴って生じる任意のタイプのウイルス感染または症状(例えば、呼吸器症状)を予防し、治療し、管理しおよび/または改善することができる。ウイルス感染を引き起こすウイルスの非限定的な例としては、レトロウイルス(例えば、ヒトT細胞向性ウイルス(HTLV)I型およびII型、ならびにヒト免疫不全ウイルス(HIV))、疱疹ウイルス(例えば、単純疱疹ウイルス(HSV)I型およびII型、エプスタイン-バーウイルス、HHV6-HHV8ならびにサイトメガロウイルス)、アレナウイルス(例えば、ラッサ熱ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、麻疹ウイルス属ウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、マンプス、hMPVおよび肺炎ウイルス)、アデノウイルス、ブンヤウイルス(例えば、ハンタウイルス)、コロナウイルス、フィロウイルス(例えば、エボラウイルス)、フラビウイルス(例えば、C型肝炎ウイルス(HCV)、黄熱病ウイルスおよび日本脳炎ウイルス)、ヘパドナウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス(HBV))、オルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルスA、B、およびCならびにPIV)、パポバウイルス(例えば、パピローマウイルス)、ピコロナウイルス(例えば、ライノウイルス、腸内ウイルスおよびA型肝炎ウイルス)、ポックスウイルス、レオウイルス(例えば、ロタウイルス)、トガウイルス(例えば、風疹ウイルス)およびラブドウイルス(例えば、狂犬病ウイルス)が含まれる。ウイルス感染に対する生物学的反応としては、限定的なものではないが、IgE抗体レベルの上昇、T細胞の増殖および/または浸潤の増加、B細胞の増殖および/または浸潤の増加、上皮の過形成、またムチン生産が含まれる。1つの具体的実施形態において、本発明はまた、本発明の1以上の抗体の有効量を単独でまたは他の治療法の有効量と併用して投与することを含む、風邪、ウイルス性咽頭炎、ウイルス性喉頭炎、ウイルス性クループ、ウイルス性気管支炎、インフルエンザ、パラインフルエンザウイルス病(「PIV」)疾患(例えば、クループ、毛細気管支炎、気管支炎、肺炎)、呼吸器合胞体ウイルス(「RSV」)疾患、メタニューマウイルス(metapneumavirus)病、およびアデノウイルス病(例えば、発熱性呼吸器疾患、クループ、気管支炎、肺炎)と関連するかをこれらを引き起こすウイルス性呼吸器感染症を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を提供する。
1つの具体的実施形態においては、本発明の方法に従って、インフルエンザウイルス感染症、PIV感染症、hMPV感染症、アデノウイルス感染症および/またはRSV感染症、またはその1以上の症状が予防され、治療され、管理されおよび/および/または改善される。1つの具体的実施形態において、本発明は、RSV呼吸器感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を単独で、または1以上の抗ウイルス剤(限定されるものではないが、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビル、ズナミビル(znamivir)、リバビラン(ribaviran)、RSV-IVIG(すなわち、静脈内の免疫のグロブリン注入)(RESPIGAMTM)およびパリビズマブ(palivizumab)など)と併用してそれを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。1つの具体的実施形態において、本発明は、PIV感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を単独で、または1以上の抗ウイルス剤(限定されるものではないが、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビル、ズナミビル(znamivir)、リバビランおよびパリビズマブ(palivizumab)など)と併用してそれを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。別の具体的実施形態において、本発明は、ahMPV感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を単独で、または1以上の抗ウイルス剤(限定されるものではないが、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビル、ズナミビル(znamivir)、リバビランおよびパリビズマブ(palivizumab)など)と併用してそれを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。1つの具体的実施形態において、本発明は、インフルエンザを予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を単独で、または1以上の抗ウイルス剤(限定されるものではないが、ザナミビル(RELENZA(登録商標))、オセルタミビル(TAMIFLU(登録商標))、リマンタジンおよびアマンタジン(SYMADINE(登録商標);SYMMETREL(登録商標))など)と併用してそれを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。
本発明は、本発明の1以上の抗体の有効量を単独で、または他の療法の有効量と併用してそれを必要とする被験者に投与することを含む、ウイルス性呼吸器感染症に罹患しているか罹患したことのある被験者における喘息の進展を予防する方法を提供する。1つの具体的態様において、被験者は早産児、幼児または小児である。別の具体的実施形態では、被験者はRSV感染症に罹患したことがあるか罹患している。
1つの具体的実施形態において、本発明は、本発明の1以上の抗体の有効量を単独で、または他の療法(例えば、他の予防剤または治療剤)の有効量と併用して投与することを含む、第1ウイルスの感染に対する1以上の二次応答を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を提供する。第1ウイルスの感染、特に第1ウイルスの呼吸器感染に対する二次応答の例としては、限定的なものではないが、粘膜刺激に対する喘息様応答、全体的な呼吸器耐性の上昇、第2のウイルス、細菌および真菌感染症に対する感受性の増加、およびそのような症状(限定されるものではないが、肺炎、クループおよび発熱性気管支炎等)の進展が含まれる。
1つの具体的実施形態において、本発明は、ウイルス感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を、VITAXINTM(MedImmune社、「Methods of Preventing or Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin AlphaV Beta3 Antagonists」と題する2002年9月12日付国際公開WO 00/78815号、国際公開WO 03/07007 A1号「The Prevention or Treatment of Cancer Using Integrin AlphaVBeta3 Antagonists in Combination With Other Agents」と題する2003年9月18日付国際公開WO 03/075957 A1号、「Methods of Preventing or Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin αvβ3 Antagonists in Combination With Other Prophylactic or Therapeutic Agents」と題する2002年11月14日付米国特許公開2002/0168360 A1号、および「Methods of Preventing or Treating Disorders by Administering an Integrinαvβ3 Antagonist in Combination With an HMG-CoA Reductase Inhibitor or a Bisphosphonate」と題する2003年9月18日付国際公開WO 03/075741(A2)号、これらはそれぞれ参照によりその全体が本願に組み込まれる。))の有効量と併用してそれを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。別の具体的実施形態では、本発明は、ウイルス感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を、シプリズマブ(siplizumab) (MedImmune社、国際公開WO 02/069904号)の有効量と併用してそれを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、ウイルス感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量をEphA2阻害剤(例えば、1以上の抗EphA2抗体(MedImmune社、「Mutant Proteins, High Potency Inhibitory Antibodies and FIMCH Crystal Structure」と題する2002年12月27日付国際公開WO 02/102974(A4)号、「EphA2 Monoclonal Antibodies and Methods of Use Thereof」と題する2003年11月20日付国際公開WO 03/094859(A2)号、米国特許出願第10/436,783号および米国特許出願第60/379,368号、これらはそれぞれ参照によりその全体が本願に組み込まれる。))の有効量と併用してそれを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。さらに別の実施形態では、本発明は、ウイルス感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を、VITAXINTM、シプリズマブ(siplizumab)および/またはEphA2の有効量と併用してそれを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。
1つの実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を1以上の抗IgE抗体の有効量と併用して被験者に投与して、ウイルス感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。1つの具体的実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を抗IgE抗体TNX901の有効量と併用して被験者に投与して、ウイルス感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。1つの具体的実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を抗IgE抗体rhuMAb-E25-オマリズマブの有効量と併用して被験者に投与して、ウイルス感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。別の具体的実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を抗IgE抗体HMK-12の有効量と併用して被験者に投与して、ウイルス感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。1つの具体的実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を抗IgE抗体6HD5の有効量と併用して被験者に投与して、ウイルス感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。別の実施形態においては、本発明の1以上の抗体の有効量を、抗IgE抗体MAb Hu-901の有効量と併用して被験者に投与して、ウイルス感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。
本発明は、ウイルス感染に罹患すると予想される患者またはそのような感染症のリスクが増加した患者(例えば、臓器移植のレシピエント、AIDS患者、化学療法を受けている患者、高齢者、早産児、幼児、小児、閉塞性食道癌の患者、気管気管支胸膜瘻の患者、神経学的疾患(例えば、卒中、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症および筋疾患によって引き起こされたもの)に罹患している患者ならびに呼吸器感染症に既に罹患している)患者において、ウイルス感染、好ましくは、ウイルス性呼吸器感染症の進展を予防する方法を包含する。患者は以前に呼吸器感染症の治療を受けたことのある者でも、受けたことのない者でもよい。
本発明の抗体、組成物または本発明の併用療法を第1、第2、第3、第4または第5の治療法として使用して、ウイルス感染症、好ましくはウイルス性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善してもよい。本発明はまた、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連するかまたはこれに特徴付けられる他の疾患または障害、IL-9Rまたはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性と関連するかまたはこれに特徴付けられる疾患または障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、増殖性疾患または感染症(好ましくは呼吸器感染症)について治療している患者において、ウイルス感染症、好ましくはウイルス性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するための方法を含む。本発明は、本発明の抗体以外の治療に対する任意の副作用または抗療性が進展する前に、患者におけるウイルス感染症、好ましくはウイルス性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療しおよび/または改善する方法を包含する。本発明はまた、抗療性患者においてウイルス感染症、好ましくはウイルス性呼吸器感染症、またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するための方法にも及ぶ。特定の実施形態において、ウイルス感染症、好ましくはウイルス性呼吸器感染症の患者は、感染症が有意に完治されおよび/または徴候が有意に緩和されない場合は、療法に対して抗療性である。患者が抗療性かどうかの決定は、そのような文脈で技術的に受け入れられている「抗療性」の意味を用いて、感染症治療の有効性を分析するために当技術分野で知られている任意の方法によってin vivoでもin vitroでも行うことができる。様々な実施形態で、ウイルス性呼吸器感染症の患者は、ウイルス増殖が減少しないか増加する場合、抗療性である。本発明はまた、そうした感染症が進展するリスクのある患者において、ウイルス感染症の発症または再発を防止する方法にも及ぶ。本発明はまた、従来の治療法では副作用の影響を受けやすい患者において、ウイルス感染症、好ましくはウイルス性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療しおよび/または改善するための方法にも及ぶ。本発明はさらに、抗ウイルス治療法が利用可能でないウイルス感染症、好ましくはウイルス性呼吸器感染症を予防し、管理し、治療しおよび/または改善するための方法にも及ぶ。
本発明は、本発明の抗体以外の治療に対して抗療性であると判明しているがこれらの治療をもはや受けていない患者において、ウイルス感染症、好ましくはウイルス性呼吸器感染症またはその症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するための方法にも及ぶ。特定の実施形態では、本発明の方法に従って管理または治療される患者は、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤または他の生物学的治療/免疫療法で既に治療されている患者である。これらの患者の中には、抗療性患者、従来の治療法を受けるには若すぎる患者、既存の治療法による管理や治療にもかかわらずウイルス感染症を再発する患者が含まれる。
本発明は、他の従来療法の代替法としてウイルス感染症、好ましくはウイルス性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するための方法にも及ぶ。具体的実施形態では、本発明の方法に従って管理または治療される患者は、他の療法に抗療性か、またはそのような療法による副作用の影響を受けやすい。患者は、免疫系が抑制されている者(例えば、術後患者、化学療法患者および免疫不全症の患者)、腎臓または肝臓機能が損なわれている者、高齢者、小児、幼児、早産児、神経精神病学的障害を有する者、または向精神薬を服用する者、発作の履歴のある者、またはウイルス感染症またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療しおよび/または改善するための従来の薬剤とマイナスの相互作用をするであろう薬物治療を受けている者であり得る。
ウイルス感染症の治療およびその投薬、投与経路および推奨される使用法は当技術分野で知られており、Physician's Desk Reference(第57版、2003)などの文献に記載されている。
5.3.5 細菌感染症
本発明は、本発明の1以上の抗体の有効量をそれを必要とする被験者に投与することを含む、細菌感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、本発明の1以上の抗体の有効量を、本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量と併用してそれを必要とする被験者に投与することを含む、細菌感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するため方法を提供する。そのような治療法の非限定的な例としては、上記セクション5.2に記載した薬剤、特に、セクション5.2.1に記載した免疫調節剤、セクション5.2.4に記載した抗炎症剤、セクション5.2.5に記載した抗癌剤、セクション5.2.6に記載した抗ウイルス剤、セクション5.2.7に記載した抗細菌剤、およびセクション5.2.8に記載した抗真菌剤が含まれる。
本発明によれば、任意のタイプの細菌感染症または細菌感染(例えば、呼吸器の感染症)から生じるかこれと関連する症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善することができる。細菌感染症を引き起こす細菌の例としては、限定的なものではないが、アクワスピリルム(Aquaspirillum)科、アゾスピリルム(Azospirillum)科、アゾトバクター(Azotobacteraceae)科、バクテロイデス(Bacteroidaceae)科、バルトネラ(Bartonella)種、ブデロビブリオ(Bdellovibrio)科、カンピロバクター(Campylobacter)種、クラミジア(Chlamydia)種(例えば、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae))、クロストリディウム、腸内細菌(Enterobacteriaceae)科(例えば、シトロバクター(Citrobacter)種、エドワードシエラ、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エルウィニア(Erwinia)種、大腸菌(Escherichia coli)、ハフニア(Hafnia)種、クレブシェラ(Klebsiella)種、モルガネラ(Morganella)種、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロビデンシア、サルモネラ(Salmonella)種、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)およびフレキシナ赤痢菌(Shigella flexneri))、ガルディネラ(Gardinella)科、ヘモフィルス・インフルエンザエ(Haemophilus influertzae)、ハロバクテリウム(Halobacteriaceae)科、ヘリコバクター科、レジオナラセア(Legionallaceae)科、リステリア(Literia)種、メチロコッカス(Methylococcaceae)科、ミコバクテリア(例えば、結核菌(Mycobacterium tuberculosis))、ネイセリア(Neisseriaceae)科、オセアノスピリラム(Oceanospirillum)科、パステウレアセア(Pasteurellaceae)科、肺炎双球菌(Pneumococcus)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、リゾビアセア(Rhizobiaceae)科、スピリウム(Spirillum)科、スピロソマセア(Spirosomaceae)科、ブドウ球菌(Staphylococcus)(例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)およびスタフィロコッカス ポジェンス(Staphylococcus pyrogenes))、連鎖球菌(Streptococcus)(例えば、ストレプトコッカス・エンテリディス(Streptococcus enteritidis)、ストレプトコッカス・ファスシア(Streptococcus fasciae)およびストレプトコッカス・ニューモニア(Streptococcus pneumoniae))、バンピロビブリオ・ヘリコバクター(Vampirovibr Helicobacter)科およびバンピロバクテリオ(Vasnpirovibrio)科が含まれる。
1つの具体的実施形態において、本発明は、細菌性呼吸器感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量をそれを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。別の具体的実施形態において、本発明は、本発明の1以上の抗体の有効量と、本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、他の予防剤または治療剤)の有効量とを、それを必要とする被験者に投与することを含む、細菌性呼吸器感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を提供する。そのような療法の非限定的な例としては、上記セクション5.2に記載した薬剤、特に、セクション5.2.1に記載した免疫調節剤、セクション5.2.4に記載した抗炎症剤、セクション5.2.5に記載した抗癌剤、セクション5.2.6に記載した抗ウイルス剤、セクション5.2.7に記載した抗細菌剤、およびセクション5.2.8に記載した抗真菌剤が含まれる。
特定の実施形態では、本発明は、本発明の1以上の抗体の有効量を、細菌感染症を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するのに用いられる本発明の抗体以外の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量とをそれを必要とする被験者に投与することを含む、細菌感染症、好ましくは細菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を提供する。細菌感染症、特に細菌性呼吸器感染症の療法としては、限定的なものではないが、抗細菌剤(例えば、アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチリマイシン(netilimicin))アズトレオナム、セファロスポリン(celphalosporins)(例えば、セファクロル、セファドロキシル、セフレキシン、セファゾリン(cephazolin))、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン(例えば、ペニシリンV、結晶ペニシリンG、プロカインペニシリンG)、スペクチノマイシンおよびテトラサイクリン(例えば、クロールテトラサイクリン、ドキシサイクリン、オキシテトラサイクリン(oxytetracycine))ならびに補足的および機械的換気などの支持的呼吸療法が含まれる。特定の実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量を、1以上のサポート手段と併用してそれを必要とする被験者に投与して、細菌感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。サポート手段の非限定的な例としては、超音波ネビュライザーによる空気の給湿、エアロゾル化した(aerolized)ラセミ体エピネフリン、経口デキサメタゾン、静脈内輸液、挿管、解熱剤(例えば、イブプロフェン、アセトメタフィン(acetometaphin))およびより好ましくは抗生物質または抗ウイルス療法(すなわち、二次感染を防止または治療するため)が含まれる。
本発明は、細菌感染、好ましくは細菌性呼吸器感染症に対する生物学的反応(限定的なものではないが、IgE抗体レベルの上昇、肥満細胞増殖、脱顆粒、および/または浸潤、B細胞の増殖および/または浸潤の増加、T細胞の増殖および/または浸潤の増加など)を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を単独で、または本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、予防剤または治療剤)の有効量と併用して、それを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。本発明はまた、細菌感染、好ましくは、細菌性呼吸器感染症によって引き起こされる、またはこれと関連する呼吸器の症状(限定的なものではないが、ニューモノコッカス性肺炎、好気性グラム陰性バチルス(bacilli)によって引き起こされる肺炎、再発性吸収性肺炎、レジオネラ症、連鎖球菌性疾患、ヘモフィルス(Hemophilus)によって引き起こされる感染症、百日咳、髄膜炎または結核)を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を単独で、または他の療法の有効量と併用してそれを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。
1つの具体的実施形態において、本発明の1以上の抗体の有効量を単独で、または本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、予防剤または治療剤)の有効量と併用してそれを必要とする被験者に投与することを含む本発明の方法は、ニューモノコッカス、ミコバクテリウム、好気性グラム陰性バチルス、連鎖球菌、またはヘモフィルスによって引き起こされる細菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するために利用される。
1つの具体的実施形態において、本発明は、一次細菌感染、好ましくは、一次細菌性呼吸器感染症に対する1以上の二次症状または二次応答を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するための方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を単独で、または本発明の抗体以外の療法(例えば、予防剤または治療剤)の有効量と併用してそれを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。一次細菌感染、特に細菌性呼吸器感染症に対する二次症状または二次応答の例としては、限定的なものではないが、粘膜刺激に対する喘息様応答、全体的な呼吸器耐性の上昇、第2のウイルス、細菌および真菌感染症に対する感受性の増加、およびそのような症状(限定されるものではないが、肺炎、クループおよび発熱性気管支炎等)の進展が含まれる。
1つの具体的実施形態において、本発明の1以上の抗体の有効量を、VITAXINTM(MedImmune社、「Methods of Preventing or Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin AlphaV Beta3 Antagonists」と題する2002年9月12日付国際公開WO 00/78815号、国際公開WO 02/070007 A1号「The Prevention or Treatment of Cancer Using Integrin AlphaVBeta3 Antagonists in Combination With Other Agents」と題する2003年9月18日付国際公開WO 03/075957 A1号、「Methods of Preventing or Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin αvβ3 Antagonists in Combination With Other Prophylactic or Therapeutic Agents」と題する2002年11月14日付米国特許公開2002/0168360 A1号、および「Methods of Preventing or Treating Disorders by Administering an Integrinαvβ3 Antagonist in Combination With an HMG-CoA Reductase Inhibitor or a Bisphosphonate」と題する2003年9月18日付国際公開WO 03/075741(A2)号、これらはそれぞれ参照によりその全体が本願に組み込まれる。))の有効量と併用して、それを必要とする被験者に投与することを含む、本発明の方法を用いて、細菌感染症、好ましくは、細菌性呼吸器感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。別の具体的実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量を、シプリズマブ(siplizumab) (MedImmune社、国際公開WO 02/069904号)の有効量と併用して、それを必要とする被験者に投与することを含む本発明の方法を用いて、細菌感染症、好ましくは、細菌性呼吸器感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。別の実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量を、EphA2阻害剤(例えば、1以上の抗EphA2抗体(MedImmune社、「Mutant Proteins, High Potency Inhibitory Antibodies and FIMCH Crystal Structure」と題する2002年12月27日付国際公開WO 02/102974(A4)号、「EphA2 Monoclonal Antibodies and Methods of Use Thereof」と題する2003年11月20日付国際公開WO 03/094859(A2)号、米国特許出願第10/436,783号および米国特許出願第60/379,368号、これらはそれぞれ参照によりその全体が本願に組み込まれる。))の有効量と併用して、それを必要とする被験者に投与することを含む本発明の方法は、細菌感染症、好ましくは、細菌性呼吸器感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。さらに別の実施形態では、本発明は、細菌感染症、好ましくは、細菌性呼吸器感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を、VITAXINTM、シプリズマブ(siplizumab)および/またはEphA2の有効量と併用して、それを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。
本発明は、細菌感染症に罹患すると予想されるかまたはそのような感染症のリスクが増加した患者、例えば免疫系が抑制されている患者(例えば、臓器移植のレシピエント、AIDS患者、化学療法を受けている患者、高齢者、早産児、幼児、小児、閉塞性食道癌患者、気管気管支フィステルを有する患者、神経学的疾患(例えば、卒中、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症および筋疾患によって引き起こされたもの)に罹患している患者および感染症、特に呼吸器感染症に既に罹患している患者)において、細菌感染症、好ましくは、細菌性呼吸器感染症の進展を予防する方法に及ぶ。患者は以前に呼吸器感染症の治療を受けたことのある者でも、受けたことのない者でもよい。
本発明の抗体または本発明の併用療法は、第1、第2、第3、第4または第5の治療法として使用して、細菌感染症、好ましくは、細菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善し得る。本発明はまた、他の疾患または障害の治療を受けている患者において、細菌感染症、好ましくは、細菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を含む。本発明は、本発明の抗体以外の治療による何らかの副作用または不耐性が進展する前に、患者における細菌感染症、好ましくは、細菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法にも及ぶ。本発明はまた、抗療性患者において細菌感染症、好ましくは、細菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法にも及ぶ。特定の実施形態では、感染症が有意に完治されない場合および/または症状が有意に緩和されない場合は、細菌性呼吸器感染症の患者は治療に対して抗療性である。患者が抗療性かどうかの決定は、そのような文脈で技術的に受け入れられている「抗療性」の意味を用いて、感染症治療の有効性を分析するために当技術分野で知られている任意の方法によってin vivoでもin vitroでも行うことができる。様々な実施形態で、細菌性呼吸器感染症の患者は、細菌増殖が減少しないか増加する場合、抗療性である。本発明はまた、そうした感染症が進展するリスクのある患者において、細菌感染症、好ましくは細菌性呼吸器感染症の発症または再発を防止する方法にも及ぶ。本発明はまた、従来の治療法では副作用の影響を受けやすい患者において、細菌感染症、好ましくは細菌性呼吸器感染症またはその症状を予防し、管理し、治療しおよび/または改善する方法にも及ぶ。本発明はさらに、抗細菌治療法が利用可能でない細菌感染症、好ましくは細菌性呼吸器感染症を予防し、管理し、治療しおよび/または改善するための方法にも及ぶ。
本発明は、本発明の抗体以外の治療に対して抗療性であることが判明しているがこれらの治療をもはや受けていない患者において、細菌感染症、好ましくは細菌性呼吸器感染症またはその症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法にも及ぶ。特定の実施形態では、本発明の方法に従って管理または治療される患者は、抗炎症剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤または他の生物学的治療/免疫療法で既に治療されている患者である。これらの患者の中には、抗療性患者、従来の治療法を受けるには若すぎる患者、既存の療法による管理や治療にもかかわらず細菌感染症を再発する患者が含まれる。
本発明は、他の従来療法の代替法として細菌感染症、好ましくは細菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法にも及ぶ。具体的実施形態では、本発明の方法に従って管理または治療される患者は、他の治療法に抗療性か、またはそのような治療法では副作用の影響を受けやすい。患者は、免疫系が抑制されている者(例えば、術後患者、化学療法患者および免疫不全症の患者)、腎臓または肝臓機能が損なわれている者、高齢者、小児、幼児、早産児、神経心理学的障害を有する者、または向精神薬を服用する者、発作の履歴のある者、または細菌感染症(好ましくは細菌性呼吸器感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するために使用される従来の薬剤とマイナスの相互作用をするであろう薬物治療を受けている者でもよい。
細菌感染症の治療およびそれらの投薬、投与経路および推奨される使用法は当技術分野で知られており、Physician's Desk Reference(第57版、2003)などの文献に記載されている。
5.3.6 真菌感染症
本発明の1以上の抗体を被験者に投与して、真菌感染またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善することができる。また本発明の1以上の抗体を、真菌感染またはその1以上の症状の予防、治療、管理および/または改善に有用な本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)と併用して被験者に投与して、真菌感染またはその1以上の症状を治療し、管理し、および/または改善することもできる。そのような療法の非限定的な例としては、上記セクション5.2に記載した薬剤、特に、セクション5.2.1に記載した免疫調節剤、セクション5.2.4に記載した抗炎症剤、セクション5.2.6に記載した抗ウイルス剤、セクション5.2.7に記載した抗細菌剤、およびセクション5.2.8に記載した抗真菌剤が挙げられる。
1つの具体的実施形態では、本発明は、本発明の1以上の抗体の有効量をそれを必要とする被験者に投与することを含む、真菌感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、本発明の1以上の抗体の有効量と本発明の抗体以外の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量とをそれを必要とする被験者に投与することを含む、真菌感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を提供する。
本発明の方法によれば、あらゆるタイプの真菌感染症または真菌感染症(例えば、呼吸器の感染症)から生じるかこれと関連する症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善することができる。真菌感染症を引き起こす真菌の例としては、限定的なものではないが、アブシディア(Absidia)種(例えば、アブシディア・コリンビフェラ(Absidia corymbifera)およびアブシディア・ラモサ(Absidia ramose))、アスペルギルス(Aspergillus)種(例えば、アスペルギル・スフラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギル・スフミガトゥス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギル・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)およびアスペルギル・テレウス(Aspergillus terreus))、バシディオボルス・ラナルム(Basidiobolus ranarum)、ブラストマイセス・デルマティタイディス(Blastomyces dermatitidis)、カンジダ(Candida)種(例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・ケール(Candida kerr)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、カンジダ・キレルノンディ(Candida quillernondii)、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)、カンジダ・ステラトイデア(Candida stellatoidea)およびカンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis))、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、コニディオボルス(Conidiobolus)種、クリプトコッカス・ネオフォルムス(Cryptococcus neoforms)、カニンガメラ(Cunninghamella)種、皮膚糸状菌、ヒストプラズマ・カプスラトゥム(Histoplasma capsulatum)、ミクロスポリウム・ジプセウム(Microsporum gypseum)、ムコール・プシルス(Mucor pusillus)、パラコッキディオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、シューダレシェリア・ボイディ(Pseudallescheria boydii)、リノスポリジウム・セエベリ(Rhinosporidium seeberi)、ニューモサイティス・カリニイ(Pneumocystis carinii)、リゾープス(Rhizopus)種(例えば、リゾープス・アリズス(Rhizopus arrhizus)、リゾープス・オリザエ(Rhizopus oryzae)およびリゾープス・ミクロスポルス(Rhizopus microsporus))、サッカロミケス(Saccharamyces)種、スポロトリクス・シェンキイ(Sporothrix schenckii)、接合菌類(zygomycetes)、および接合菌類(Zygomycetes)、子嚢菌(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、不完全菌類(Deuteromycetes)および卵菌綱(Oomycetes)等のクラスが含まれる。
1つの具体的実施形態において、本発明は、真菌性呼吸器感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量をそれを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、本発明の1以上の抗体の有効量と本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、他の予防剤または治療剤)の有効量とを、それを必要とする被験者に投与することを含む、真菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を提供する。そのような療法の非限定的な例としては、上記セクション5.2に記載した薬剤、特に、セクション5.2.1に記載した免疫調節剤、セクション5.2.4に記載した抗炎症剤、セクション5.2.6に記載した抗ウイルス剤、セクション5.2.7に記載した抗細菌剤、およびセクション5.2.8に記載した抗真菌剤が含まれる。
特定の実施形態では、1以上の抗体の有効量を、真菌感染症、好ましくは、真菌性呼吸器感染症の予防、治療、管理または改善のために現在使われているか、使われてきた、または有用であることが知られている本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)の有効量と併用してそれを必要とする被験者に投与する。真菌感染症としては、限定的なものではないが、抗真菌剤、例えばアゾール剤(例えば、ミコナゾール、ケトコナゾール(NIZORAL(登録商標))、酢酸カスポフィムギン(caspofimgin acetate)(CANCIDAS(登録商標))、イミダゾール、トリアゾール(例えば、フルコナゾール(DIFLUCAN(登録商標))およびイトラコナゾール(SPORANOX(登録商標)))、ポリエン(例えば、ナイスタチン、アンホテリシンBコロイド分散液(「ABCD)(AMPHOTEC(登録商標)))、リポソームアンホテリシンB(AMBISONE(登録商標)))、ヨウ化カリウム(KI)、ピリミジン(例えば、フルシトシン(ANCOBON(登録商標)))およびボリコナゾール(voriconazole)(VFEND(登録商標))が含まれる。特定の実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量をそれを必要とする被験者に1以上の支持手段と併用して投与して、真菌感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。支持手段の非限定的な例としては、超音波ネビュライザーによる空気の給湿、エアロゾル化した(aerolized)ラセミ体エピネフリン、経口デキサメタゾン、静脈内輸液、挿管、解熱剤(例えば、イブプロフェンおよびアセトメタフィン(acetometaphin))および抗ウイルスまたは抗真菌治療(すなわち、第2のウイルスまたは細菌の感染を防ぐ)が挙げられる。
本発明はまた、真菌性呼吸器感染症に対する生物学的反応(限定的なものではないが、IgE抗体レベルの上昇、神経成長因子(NGF)レベルの上昇、肥満細胞増殖、脱顆粒、および/または浸潤、B細胞の増殖および/または浸潤の増加、T細胞の増殖および/または浸潤の増加等)を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する1以上の抗体の有効量を単独で、または1以上の他の療法と併用して投与することを含む、上記方法を提供する。
1つの具体的実施形態において、本発明は、第1の真菌感染、好ましくは、第1の真菌性呼吸器感染症に対する1以上の2次症状または応答を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するための方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を単独で、または本発明の抗体以外の療法(例えば、予防剤または治療剤)の有効量と併用してそれを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。第1の真菌感染、特に第1の呼吸器感染症に対する2次症状または応答の例としては、限定的なものではないが、粘膜刺激に対する喘息様応答、全体的な呼吸器抵抗の上昇、第2のウイルス、真菌および真菌感染症への感受性の増加、およびそのような症状(限定されるものではないが、肺炎、クループおよび発熱性気管支炎等)の進展が含まれる。
1つの具体的実施形態において、本発明は、真菌感染症、好ましくは、真菌性呼吸器感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を、VITAXINTM(MedImmune社、「Methods of Preventing or Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin AlphaV Beta3 Antagonists」と題する2002年9月12日付国際公開WO 00/78815号、国際公開WO 02/070007 A1号「The Prevention or Treatment of Cancer Using Integrin AlphaVBeta3 Antagonists in Combination With Other Agents」と題する2003年9月18日付国際公開WO 03/075957 A1号、「Methods of Preventing or Treating Inflammatory or Autoimmune Disorders by Administering Integrin αvβ3 Antagonists in Combination With Other Prophylactic or Therapeutic Agents」と題する2002年11月14日付米国特許公開2002/0168360 A1号、および「Methods of Preventing or Treating Disorders by Administering an Integrinαvβ3 Antagonist in Combination With an HMG-CoA Reductase Inhibitor or a Bisphosphonate」と題する2003年9月18日付国際公開WO 03/075741(A2)号、これらはそれぞれ参照によりその全体が本願に組み込まれる。))の有効量と併用して、それを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。別の具体的実施形態では、本発明は、真菌性呼吸器感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量をシプリズマブ(siplizumab)(MedImmune社、国際公開WO 02/069904号)の有効量と併用して、それを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、真菌性呼吸器感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量をEphA2阻害剤(例えば、1以上の抗EphA2抗体(MedImmune社、「Mutant Proteins, High Potency Inhibitory Antibodies and FIMCH Crystal Structure」と題する2002年12月27日付国際公開WO 02/102974(A4)号、「EphA2 Monoclonal Antibodies and Methods of Use Thereof」と題する2003年11月20日付国際公開WO 03/094859(A2)号、米国特許出願第10/436,783号および米国特許出願第60/379,368号、これらはそれぞれ参照によりその全体が本願に組み込まれる。))の有効量と併用して、それを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。さらに別の実施形態では、本発明は、真菌感染症、好ましくは、真菌性呼吸器感染症またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体の有効量を、VITAXINTM、シプリズマブ(siplizumab)および/またはEphA2の有効量と併用して、それを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。
本発明は、真菌感染症、好ましくは、真菌性呼吸器感染症に罹患すると予想されるまたはそのような感染症のリスクが増加した患者において、真菌性呼吸器感染症の進展を予防する方法を包含する。そのような被験者には、非限定的に、免疫系が抑制されている患者(例えば臓器移植のレシピエント、AIDS患者、化学療法を受けている患者、閉塞性食道癌患者、気管気管支フィステルを有する患者、神経学的疾患(例えば、卒中、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症および筋疾患によって引き起こされたもの)を有する患者および既に呼吸器症状、特に呼吸器感染症に罹患している患者)が含まれる。1つの具体的実施形態では、患者は、気管支肺異形成症、先天性心疾患、嚢胞性繊維症および/または後天性または先天性の免疫不全に罹患している。別の具体的実施形態では、患者は、早産児、幼児、小児、高齢者またはグループホーム、老人ホームまたは他の一部のタイプの施設の人間である。本発明はまた、その治療法が利用可能でない呼吸器症状についての従来療法では副作用を受けやすい患者において、呼吸器症状またはその症状の1以上を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法に及ぶ。
本発明の抗体または本発明の併用療法を、第1、第2、第3、第4または第5の治療法として使用して、真菌感染症、好ましくは、真菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善することもできる。本発明はまた、他の疾患または障害の治療を受けている患者において、真菌感染症、好ましくは、真菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を含む。本発明は、本発明の抗体以外の治療法に対する何らかの副作用または不耐性が進展する前に、患者における真菌感染症、好ましくは、真菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法にも及ぶ。本発明はまた、抗療性患者において真菌感染症、好ましくは、真菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法にも及ぶ。特定の実施形態では、感染症が有意に完治されない場合および/または症状が有意に緩和されない場合は、真菌感染症、好ましくは真菌性呼吸器感染症の患者は治療法に対して抗療性である。患者が抗療性かどうかの決定は、そのような文脈で技術的に受け入れられている「抗療性」の意味を用いて、感染症治療の有効性を分析するために当技術分野で知られている任意の方法によってin vivoでもin vitroでも行うことができる。様々な実施形態で、真菌感染症、好ましくは、真菌性呼吸器感染症の患者は、真菌増殖が減少しないか増加する場合、抗療性である。本発明はまた、そうした感染症が進展するリスクのある患者において、真菌感染症、好ましくは真菌性呼吸器感染症の発症または再発を防止する方法にも及ぶ。本発明はまた、従来の治療法では副作用の影響を受けやすい患者において、真菌感染症、好ましくは真菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、管理し、治療しおよび/または改善するための方法にも及ぶ。本発明はさらに、抗真菌治療法が利用可能でない真菌感染症、好ましくは真菌性呼吸器感染症を予防し、管理し、治療しおよび/または改善するための方法にも及ぶ。
本発明は、本発明の抗体以外の治療法に対して抗療性であることが判明しているがこれらの治療をもはや受けていない患者において、真菌感染症、好ましくは真菌性呼吸器感染症またはその症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法にも及ぶ。特定の実施形態では、本発明の方法に従って管理または治療される患者は、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤または他の生物学的治療/免疫療法で既に治療されている患者である。これらの患者の中には、抗療性患者、従来の治療法を受けるには若すぎる患者、既存の治療法による管理や治療にもかかわらず真菌感染症を再発する患者が含まれる。
本発明は、他の従来療法の代替法として真菌感染症、好ましくは真菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法にも及ぶ。具体的実施形態では、本発明の方法に従って管理または治療される患者は、他の治療法に抗療性か、またはそのような治療法では副作用の影響を受けやすい。患者は、免疫系が抑制されている者(例えば、術後患者、化学療法患者および免疫不全症の患者)、腎臓または肝臓機能が損なわれている者、高齢者、小児、幼児、早産児、神経心理学的障害を有する者、または向精神薬を服用する者、発作の履歴のある者、または真菌感染症、好ましくは真菌性呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するのに使用される従来の薬剤とマイナスの相互作用をするであろう薬物治療を受けている者でもよい。
真菌感染症の治療およびそれらの投薬、投与経路および推奨される使用法は当技術分野で知られており、Physician's Desk Reference(第57版、2003)などの文献に記載されている。
5.4 組成物および抗体投与方法
本発明は、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連する疾患、またはIL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連する疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患および感染症(好ましくは呼吸器の感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法を提供する。1つの具体的実施形態では、組成物は、本発明の1以上の抗体を含む。別の実施形態では、組成物は、本発明の1以上の抗体と、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連する疾患、またはIL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連する疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患および感染症(好ましくは呼吸器の感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するのに有用であること、用いられていたこと、または現在用いられていることが知られる、本発明の抗体以外の1以上の予防剤または療法とを含む。
1つの実施形態では、組成物は、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する本発明の抗体のフラグメントを含む、1以上のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を含む。別の実施形態では、組成物は、本発明の抗体のフラグメントを含むペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質以外の1以上の他の療法(例えば、1以上の予防剤または治療剤)との組み合わせで、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する本発明の抗体のフラグメントを含む1以上のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を含む。
1つの具体的実施形態では、組成物は、本発明の1以上の抗体、または本発明の抗体フラグメントを含む1以上のポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質と、1以上の免疫調節剤とを含む。1つの具体的実施形態では、組成物は、本発明の1以上の抗体、または本発明の抗体フラグメントを含む1以上のポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質と、1以上の肥満細胞調節剤とを含む。別の実施形態では、本発明の1以上の抗体、または本発明の抗体フラグメントを含む1以上のポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質と、1以上の抗血管形成剤とを含む。別の実施形態では、組成物は、本発明の1以上の抗体もしくは本発明の抗体フラグメントを含む1以上のポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質と、1以上の抗炎症剤とを含む。別の実施形態では、組成物は、本発明の1以上の抗体もしくは本発明の抗体フラグメントを含む1以上のポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質と、1以上の抗癌剤とを含む。この実施形態によれば、抗癌剤は免疫調節剤または抗血管形成剤であってもなくてもよい。別の実施形態では、組成物は、本発明の1以上の抗体もしくは本発明の抗体フラグメントを含む1以上のポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質と、1以上の抗ウイルス剤とを含む。別の実施形態では、組成物は、本発明の1以上の抗体もしくは本発明の抗体フラグメントを含む1以上のポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質、あるいは1以上の抗真菌剤を含む。別の実施形態では、組成物は、本発明の1以上の抗体、または本発明の抗体フラグメントを含む1以上のポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質、あるいは1以上の抗真菌剤を含む。さらに別の実施形態では、組成物は、本発明の1以上の抗体、または本発明の抗体フラグメントを含む1以上のポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質、および以下の予防剤または治療剤の各々の1種、2種、3種またはそれ以上の任意の組合せを含む:免疫調節剤、肥満細胞調節剤、抗血管形成剤、免疫調節剤または抗血管新生剤以外の抗癌剤、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗細菌剤、抗真菌剤。
1つの具体的実施形態では、組成物は、本発明の1以上の抗体、または本発明の抗体フラグメントを含む1以上のポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質と、1以上の抗TNF-α拮抗剤(例えば、ENBRELTMおよび/またはREMICADE(登録商標))とを含む。別の実施形態では、組成物は、本発明の1以上の抗体、または本発明の抗体フラグメントを含む1以上のポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質と、1以上のインテグリンαvβ拮抗剤とを含む。別の実施形態では、組成物は、本発明の1以上の抗体もしくは本発明の抗体フラグメントを含む1以上のポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質とVITAXINTM、シプリズマブ(siplizumab)、パリズマブ(palivizumab)、EphA2阻害剤またはその任意の組合せとを含む。予防剤または治療剤に加えて、本発明の組成物はさらに担体を含んでもよい。
本発明の組成物は、ユニット投薬形式の調製に使用することができる、医薬組成物(例えば、被験者または患者への投与に適した組成物)の製造において有用なバルク製剤組成物を含む(本願と同時に出願された「Anti-IL-9 Antibody Formulations and Uses Thereof」と題する同時係属中の米国仮出願(代理人整理番号10271-126-888によって識別される)参照のこと。これは参照によってその全体が本願に組み入れられる)。好ましい実施形態では、本発明の組成物は医薬組成物である。そのような組成物は、予防上または治療上有効な量の1以上の予防剤または治療剤(例えば、本発明の抗体;本発明の抗体フラグメントを含むポリペプチド、ペプチドまたはタンパク質、または他の予防剤または治療剤)および製薬上許容される担体とを含む。好ましくは、医薬組成物は、被験者への投与経路に適するように製剤化される。好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、pH 6.0の10mMヒスチジンバッファーおよび150mM塩化ナトリウムを含む無菌液として単回投与バイアル中に製剤化される。各溶液1.0 mLは、最適な安定性および可溶性のために、水中にタンパク質100mg、ヒスチジン1.6mgおよび塩化ナトリウム8.9mgを含む。本発明の抗体またはそのフラグメントを含む液剤についてのより詳細な記載は、本願と同時に出願された「Anti-IL-9 Antibody Formulations and Uses Thereof」と題する同時係属中の米国仮出願(代理人整理番号10271-126-888によって識別される)に示されている。
具体的実施形態では、「製薬上許容される」という用語は、米国の連邦取り締まり機関または州政府によって承認されているか、米国薬局方または動物、特にヒトについて使用が他の一般的に識められた薬局方に列記されていることを意味する。「担体」という用語は、それと共に治療剤が投与される希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全および不完全))、賦形剤またはビヒクルを指す。そのような製薬上の担体は、水および油などの無菌液とすることができ、落花生油、大豆油、鉱油、胡麻油等の石油、動物、植物または合成起源のものを含む。医薬組成物を静脈内に投与する場合は、水が好ましい担体である。食塩水およびブドウ糖およびグリセリン溶液も特に注射可能な溶液のために液体担体として使用することもできる。適切な製薬上の賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含む。組成物はまた、所望であれば、小量の湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤を含有できる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、タブレット、錠剤、カプセル、パウダー、徐放性の製剤等の形態をとることができる。
一般に、本発明の組成物の成分はそれぞれを別々に供給されるか、例えば、凍結乾燥粉または水を含まない濃縮液として、活性剤の量を示すアンプルかサシェットなどの密封容器に気密に封止したユニット投薬形式で一緒に混合される。組成物を注入によって投与すべき場合、組成物は無菌の製薬等級水または食塩水を含む注入ボトルが不要であり得る。組成物を注射によって投与する場合、投与に先立って成分を混合できるように、注射用の滅菌水または食塩水のアンプルを備えることができる。
本発明の組成物は中性または塩の形態で製剤化できる。製薬上許容される塩としては、塩酸、燐酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来する陰イオンで形成されたもの、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来する陽イオンで形成されたものが含まれる。
様々な送達システムが当技術分野で知られており、予防剤もしくは治療剤または本発明の組成物を投与して、IL−9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するか、それを特徴とする疾患または障害、あるいはIL-9Rポリペプチドもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連するか、それを特徴とする疾患または障害、炎症性疾患、自己免疫障害、増殖性疾患または感染症(好ましくは呼吸器の感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善することができ、例えば、リポソーム中のカプセル化、微粒子(microparticles)、マイクロカプセル、抗体または抗体フラグメントを発現できる組み換え細胞、受容体を介したエンドサイトーシス(例えば、WuおよびWu, J. Biol. Chem. 262: 4429-4432 (1987)参照)、レトロウイルスその他のベクターなどの一部としての核酸の構築が含まれる。本発明の療法(例えば、予防剤または治療剤)を投与する方法としては、限定されるものではないが、非経口的投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内および皮下)、硬膜外投与、腫瘍内投与および粘膜投与(例えば、鼻腔内および経口経路)が含まれる。さらに、例えば、吸入器またはネビュライザーを使用したりエアロゾル剤との製剤化によって肺投与も使用できる。例えば、米国特許第6,019,968号、5,985,320号、5,985,309号、5,934,272号、5,874,064号、5,855,913号、5,290,540号および4,880,078号;および国際公開WO 92/19244号、WO 97/32572号、WO 97/44013号、WO 98/31346号およびWO 99/66903号参照(その各々は参照によってその全体が本願に組み込まれる)。1つの実施形態では、本発明の抗体、併用療法または組成物は、Alkermes AIRTM肺薬物送達技術(Alkermes社、ケンブリッジ、MA)を使用して投与する。1つの具体的実施形態では、本発明の予防剤または治療剤を、筋肉内、静脈内、腫瘍内、経口、鼻腔内、肺または皮下に投与する。予防剤または治療剤は、任意の便利な経路例えば、注入もしくはボーラス注射、または上皮もしくは粘膜皮膚の内層(例えば、口内粘膜、直腸および腸
の粘膜など)を介した吸収によって投与してもよいし、他の生物学的に活性な薬剤と共に投与してもよい。投与は全身的でも局所的でもよい。
1つの具体的実施形態では、治療を必要とする領域に本発明の予防剤または治療剤を局所的に投与することが望ましいかもしれない。これには何らの制限もないが、例えば、局所的注入、注射によって、またはインプラントによって行ってもよい。インプラントは、多孔性または非多孔性の材料であり、シリコン膜、ポリマー、繊維状マトリックス(例えば、Tissuel(登録商標))またはコラーゲンマトリックスなどの膜およびマトリックスが含まれる。1つの実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量を、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するかもしくはこれによって特徴付けられる疾患または障害、あるいはIL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連するかもしくはこれによって特徴付けられる疾患もしくは障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、増殖性疾患または感染症(好ましくは呼吸器の感染症)のリスクがあるか、これに罹患している被験者に対し、病変部分に局所的に投与する。別の実施形態では、本発明の1以上の抗体の有効量を、本発明の抗体以外の1以上の療法(例えば、予防剤または治療剤)の有効量と併用して、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するかもしくはこれによって特徴付けられる疾患または障害、あるいはIL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連するかもしくはこれによって特徴付けられる疾患または障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、増殖性疾患または感染症(好ましくは呼吸器の感染症)のリスクがあるか、またはこれに罹患している被験者に対し、病変部分に局所的に投与する。別の実施形態では、肥満細胞調節剤(例えば、幹細胞因子(c-キット受容体配位子)阻害剤(例えば、mAb 7H6、mAb 8H7a、pAb 1337、FK506、CsA、デキサメタゾン(dexamthasone)およびフルコンシノニド(fluconcinonide))、c-キット受容体阻害剤(例えば、STI 571(以前はCGP 57148Bとして知られていた))、マスト細胞プロテアーゼ阻害剤(例えば、GW-45およびGW-58、ウォルトマンニン(wortmannin)、LY 294002、カルホスチン(calphostin) C、サイトカラシンD、ゲニステイン、KT5926、スタ
ウロスポリン(staurosproine)およびラクトフェリン))およびラキシン(「RLX」)などの療法の有効量を、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するかもしくはこれによって特徴付けられる疾患または障害、あるいはIL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連するかまたはこれによって特徴付けられる疾患または疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、増殖性疾患または感染症(好ましくは呼吸器の感染症)のリスクがあるか、またはこれに罹患している被験者に対し、病変部分に局所的に投与する。
さらに別の実施形態では、本発明の療法は、制御放出または徐放性システムにおいて送達することができる。1つの実施形態では、制御放出または徐放性を実現するためにポンプを使用してもよい(Langer,前掲; Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14: 20; Buchwaldら, 1980, Surgery88 : 507; Saudekら, 1989, N. Engl. J. Med. 321: 574参照)。別の実施形態では、本発明の療法の制御放出または徐放性システムを実現するために高分子材料を使用することができる(例えば、Medical Applications of Controlled Release, LangerおよびWise (編集), CRC Pres. , Boca Raton, Florida (1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (編集), Wiley, New York(1984) ; RangerおよびPeppas, 1983, J. , Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23: 61;また、Levyら, 1985, Science228 : 190; Duringら, 1989, Ann. Neurol. 25: 351; Howardら, 1989, J. Neurosurg. 7 1: 105参照);米国特許第5,679,377号;米国特許第5,916,597号;米国特許第5,912,015号;米国特許第5,989,463号;米国特許第5,128,326号;国際公開WO 99/15154号;および国際公開99/20253号参照)。徐放性製剤で使用されるポリマーの例としては、限定的なものではないが、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG),ポリアンヒドライド、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)およびポリオルトエーテルが含まれる。好ましい実施形態では、徐放性製剤で使用されるポリマーは不活性で、濾過され得る不純物がなく、保存時に安定していて、無菌で、かつ生物分解性である。さらに別の実施形態では、制御放出または徐放性システムは、予防または治療部位の近傍に配置することができ、これにより全身服用量の一部だけ必要とすることができる(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release,前掲, vol. 2, pp. 115-138(1984)参照)。
制御放出システムはLanger (1990, Science 249: 1527-1533)による総説で議論されている。当業者に知られているどのような技術も、本発明の1以上の治療剤を含む徐放性製剤を生産するために使用できる。例えば、米国特許第4,526,938号、国際公開WO 91/05548号、国際公開WO 96/20698号、Ningら, 1996,「Intratumoral Radioimmunotheraphy of a Human Colon Cancer Xenograft Using a Sustained-Release Gel」Radiotherapy & Oncology 39: 179-189, Songら, 1995, 「Antibody Mediated Lung Targeting of Long-Circulating Emulsions」PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 50. 372-397, Cleekら, 1997, 「Biodegradable Polymeric Carriers fora bFGF Antibody for Cardiovascular Application」Pro. Int'l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 24: 853-854,およびLamら, 1997,「Microencapsulation of Recombinant Humanized Monoclonal Antibody for Local Delivery」Proc. Int'l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater. 24: 759-760参照。これらの各々は、参照によってその全体が本願に組み入れられる。
1つの具体的実施形態では、本発明の組成物が予防剤または治療剤をコードする核酸である場合、核酸は、適当な核酸発現ベクターの一部としてそれを構築しそれが細胞内に入るようにそれを投与することにより、例えば、レトロウイルスベクターを使用して(米国特許第4,980,286号参照)、直接注射によって、微粒子衝撃(microparticle bombardment)(例えば、遺伝子銃;Biolistic(Dupont))を使用して、脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクティング剤で被覆することによって、または核に入ることが知られているホメオボックス様ペプチドに連結して(例えば、Joliotら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1864-1868参照)それを投与することによって、in vivoで投与してそのコードされた予防剤または治療剤の発現を発起することができる。あるいは、核酸を細胞内に導入し、相同的組換えによって発現用の宿主細胞DNAに組み込むことができる。
本発明の医薬組成物はその意図した投与経路と適合するように製剤化される。投与経路の例としては、限定的なものではないが、腸管外、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口、鼻腔内(例えば、吸入)、経皮的(例えば、局所的)、経粘膜および直腸投与が含まれる。1つの具体的実施形態では、医薬組成物を、ヒトの静脈内、皮下、筋肉内、経口、鼻腔内、または局所的投与に適合する医薬組成物として、慣用の手順に従って製剤化される。典型的には、静脈内投与用組成物は無菌の等張緩衝剤水溶液の溶液である。必要に応じて、組成物は、可溶化剤および注射部位での痛みを緩和するようにリグノケイン(lignocamne)などの局所麻酔薬を含んでもよい。
本発明の組成物を局所的に投与する場合は、組成物は、軟膏、クリーム、経皮パッチ、ローション、ゲル、シャンプー、スプレー、エアゾール、溶液、乳剤または当業者に良く知られている他の形態の形で製剤化できる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences and Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,第19版., Mack Pub. Co., Easton, PA (1995)参照。非スプレー式局所投薬形態のために、典型的には、局所的用途と適合する担体もしくは1以上の賦形剤を含み、かつ好ましくは水より大きな動粘性係数をを有する、粘着性から半固体または固体形態が使用される。適当な製剤は、限定されないが、溶液、懸濁液、乳剤、クリーム、軟膏(ointment)、パウダー、塗布剤、軟膏(salva)等を含み、これらは、必要に応じて、殺菌するか、例えば、浸透圧などの様々な特性に影響を及ぼす補助剤(例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤、緩衝剤または塩)と混合する。他の適当な局所的の投薬形態としては噴霧可能なエアゾール製剤であって、活性成分が(好ましくは、固体または液体の不活性担体と組み合わせた)加圧された揮発物(例えば、フロンなどのガス状噴射剤)との混合物内、またはスクイーズボトル内にパッケージングされる、上記製剤を含む。所望であれば、モイスチャライザーまたは湿潤剤も医薬組成物および投薬形態に加えることができる。そのような追加成分の例は当技術分野において良く知られている。
本発明の方法が組成物の鼻腔内投与を含む場合には、組成物はエアゾール形態、スプレー、ミストまたは滴下剤の形態で製剤化できる。特に、本発明によって使用するための予防剤または治療剤は、適当な推進剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガス)と共に使用して、加圧されたパックまたはネビュライザーからエアゾールスプレーの形で都合よく送達することができる。加圧されたエアゾールの場合には、一定量を送達するための弁を備えることにより投薬ユニットを決定してもよい。吸入器や通気器で使用するためのカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンからなる)を化合物のパウダーミックス、およびラクトースまたはデンプンなどの適当なパウダーベースを含むように製剤化してもよい。
本発明の方法が経口投与を含む場合、組成物は、タブレット、カプセル、サシェット、ゲルキャップ(gelcaps)、溶液、懸濁液等の形態で経口的に製剤化できる。結着剤(例えば、予めゼラチン化されたコーンスターチ、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば、ラクトース、微晶質セルロースまたはリン酸水素カルシウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはナトリウムスターチグリコレート)または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの製薬上許容される賦形剤を用いて従来の手段によりタブレットまたはカプセルを調製できる。タブレットは、当技術分野で良く知られている方法によって被覆してもよい。経口投与用の液体製剤は、限定されるものではないが、溶液、シロップまたは懸濁液の形態を採ることができ、または乾燥物品として提供して使用前に水または他の適当なビヒクルで形成してもよい。そのような液体製剤は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化合した食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分留によって得られた植物油)、および保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)などの製薬上許容される添加剤を用いて慣用の手段により調製できる。製剤はまた、必要に応じて、緩衝剤用の塩、香料、着色剤、および甘味剤を含んでもよい。経口投与用製剤は、予防剤または治療剤の穏やかな放出、制御放出または徐放性のために適宜製剤化してもよい。
本発明の方法は、例えば、エアロゾル剤を用いて製剤化した組成物について吸入器またはネビュライザーの使用する肺投与を含んでもよい。例えば、米国特許第6,019,968号、5,985,320号、5,985,309号、5,934,272号、5,874,064号、5,855,913号、5,290,540号および4,880,078号;ならびに国際公開WO 92/19244号、WO 97/32572号、WO 97/44013号、WO 98/31346号およびWO 99/66903号(その各々は参照によってその全体が本願に組み込まれる)を参照されたい。具体的実施形態では、本発明の抗体、併用療法および/または組成物は、Alkermes AIRTM肺薬物送達技術(Alkermes社、ケンブリッジ、MA)を使用して投与する。
本発明の方法は、注射(例えば、ボーラス注射か連続的な注入による)によって非経口的投与用に製剤化された組成物の投与を含んでもよい。注射のための製剤化は、ユニット投薬形態(例えば、アンプル中、または多重服用量容器中)に保存剤を添加して提供してもよい。組成物は、油性または水性のビヒクル中で懸濁液、溶液または乳剤などの形態をとることができ、懸濁剤、安定剤および/または分散剤などの製剤剤を含んでもよい。あるいは、活性成分は、使用前に、適当なビヒクル(例えば、無菌の発熱素を含まない水)で形成するためのパウダー形態でもよい。
本発明の方法は、さらに、デポ製剤として製剤化された組成物の投与を含んでもよい。そのような長期にわたって活性な製剤は、移植(例えば、皮下にまたは筋肉内に)によって、または筋肉注射によって投与してもよい。したがって、例えば、組成物は、適当な重合体または疎水性材料(例えば、許容される油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂で、あるいは難溶性誘導体(例えば、難溶性塩として)として製剤化してもよい。
本発明の方法は、中性または塩の形態で製剤化された組成物の投与にも及ぶ。製薬上許容される塩としては、塩酸、燐酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来する陰イオンで形成されたもの、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来する陽イオンで形成されたものが含まれる。
一般に、組成物の成分はそれぞれを別々に供給されるか、例えば、凍結乾燥粉または水を含まない濃縮液として、活性剤の量を示すアンプルかサシェットなどの密封容器に気密に封止したユニット投薬形式で混合される。投与形式が注射の場合は、組成物は無菌の製薬等級水または食塩水を含む注入ボトルが不要であり得る。投与形態が注射による場合は、投与に先立って成分を混合できるように、注射用の滅菌水または食塩水のアンプルを備えることができる。
特に、本発明は、1以上の予防剤もしくは治療剤または本発明の医薬組成物を薬剤の量を示すアンプルやサシェットなどの密封容器に気密に封止してパッケージングされるように提供する。1つの実施形態では、1以上の予防剤もしくは治療剤または本発明の医薬組成物は、殺菌された凍結乾燥粉または水を含まない濃縮液として気密に封止した容器で供給され、被験者への投与のための適当な濃度に(例えば、水または食塩水で)再構成することができる。好ましくは、予防剤もしくは治療剤または本発明の医薬組成物は、少なくとも5mg、より好ましくは少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも25mg、少なくとも35mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも75mg、または少なくとも100mgのユニット投薬量で、密封容器中の乾燥した無菌の凍結乾燥パウダーとして供給される。1以上の凍結乾燥された予防剤もしくは治療剤または本発明の医薬組成物は、その本来の容器内に2℃と8℃の間で保存すべきであり、予防剤もしくは治療剤または本発明の医薬組成物は、再構成してから1週間以内、好ましくは5日以内、72時間以内、48時間以内、24時間以内、12時間以内、6時間以内、5時間以内、3時間以内または1時間以内に投与するべきである。別の実施形態では、1以上の予防剤もしくは治療剤または本発明の医薬組成物は、薬剤の量および濃度を示す密封容器中、液体形態で供給される。好ましくは、投与される液状の組成物は、密封容器中で少なくとも0.25mg/ml、より好ましくは少なくとも0.5mg/ml、少なくとも1mg/ml、少なくとも2.5mg/ml、少なくとも5mg/ml、少なくとも8mg/ml、少なくとも10mg/ml、少なくとも15mg/kg、少なくとも25mg/ml、少なくとも50mg/ml、少なくとも75mg/mlまたは少なくとも100mg/mlで供給される。液状物は、その本来の容器内に2℃と8℃の間で保存すべきである。
一般に、本発明の組成物の成分は、そのような組成物の受容者と同じ種起源または種反応性である被験者に由来する。したがって、好ましい実施形態では、ヒト抗体またはヒト化抗体が、治療または予防処置のため、ヒト患者に投与される。
5.4.1 遺伝子治療
1つの具体的実施形態では、本発明の抗体または別の予防剤もしくは治療剤をコードする核酸を含むヌクレオチド配列を遺伝子治療の目的で投与して、呼吸器の感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する。遺伝子治療とは、発現されているか発現できる核酸の被験者への投与によって行われる治療を指す。本発明のこの実施形態では、核酸は、予防または治療効果を媒介する本発明のそれらのコードされた抗体または予防剤もしくは治療剤を産生する。
本発明によれば、当技術分野において利用可能な遺伝子治療用の方法のうちのいずれもが使用できる。遺伝子治療の方法の一般的な総説については、Goldspielら, 1993, Clinical Pharmacy 12: 488-505; WuおよびWu, 1991, Biotherapy 3: 87-95; Tolstoshev, 1993, Ami. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32: 573-596; Mulligan, Science 260: 926-932 (1993);ならびにMorganおよびAnderson, 1993, Ann. Rev. Biochem. 62: 191-217; May, 1993, TIBTECH 11 (5): 155-215を参照されたい。使用することができる組み換えDNA技術の分野で広く知られている方法は、Ausubelら(編), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY (1993);およびKriegler, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY (1990)に記載されている。
1つの実施形態では、本発明の方法は、本発明の抗体または別の予防剤もしくは治療剤をコードする核酸を含む組成物の投与を含み、前記核酸は、本発明の抗体または別の予防剤もしくは治療剤、あるいはそのフラグメントもしくはキメラ蛋白または重鎖もしくは軽鎖を適当な宿主において発現する発現ベクターの一部である。特に、そのような核酸はプロモーター、好ましくは抗体コード領域に機能的に連結された異種起源のプロモーターを有し、前記プロモーターは誘導性でも構成性であり、場合によっては組織特異的である。別の実施形態では、本発明の抗体または別の予防剤もしくは治療剤をコードする配列と他の所望の任意の配列がゲノムの所望の部位において相同的組み換えを発起する領域に隣接している核酸分子を用い、これにより、抗体をコードする核酸の染色体内発現がもたらされる(KollerおよびSmithies, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:8932-8935; Zijlstraら, 1989, Nature 342: 435-438)。具体的実施形態では、発現された本発明の抗体または他の予防剤もしくは治療剤は、単一鎖抗体である;あるいは、核酸配列は、本発明の抗体の重鎖と軽鎖の両方もしくはそのフラグメント、または他の予防剤もしくは治療剤をコードする配列を含む。
被験者内への核酸の送達は、直接でもよいし間接でもよく、直接の場合には、被験者は、核酸または核酸を保有するベクターに直接曝露され、間接の場合には、細胞は、最初に核酸によりin vitroで形質転換され、次に、被験者に移植される。これらの2つのアプローチは、invivoまたはex vivo遺伝子治療として、それぞれ知られている。
1つの具体的実施形態では、核酸配列は直接in vivoで投与され、そこでそれらは発現してコード産物を産生する。当技術分野で知られている多数の方法のうちのいずれでもこれは遂行することができ、例えば、適当な核酸発現ベクターの一部としてそれらを構築しそれらが細胞内に入るようにそれを投与すること、例えば、不完全なもしくは弱毒されたレトロウイルスまたは他のウイルスベクターを用いた感染(米国特許第4,980,286号参照)、裸のDNAの直接噴射、微粒子衝突(例えば、遺伝子銃; Biolistic、Dupont)の使用、脂質もしくは細胞表面受容体またはトランスフェクト剤による被覆、リポソーム、微粒子またはマククロカプセル中へのカプセル化、核内に入ると知られているペプチドに連結してそれらを投与すること、あるいはそれを受容体媒介エンドシトーシスの対象となる配位子に連結して投与すること(例えば、WuおよびWu, 1987, J. Biol. Chem. 262: 4429-4432参照)(これは特異的に受容体を発現する標的細胞タイプに用いることができる)、によって実現される。別の実施形態では、配位子がエンドソームを分裂させる融合性ウイルスペプチドを含み、核酸がリソソーム分解することを回避する、核酸-配位子複合体を形成することができる。さらに別の実施形態では、核酸は、特異的受容体を標的化することにより、細胞特異的な取り込みおよび発現のためにin vivoで標的化することができる(例えば、国際公開WO 92/06180号;WO 92/22635号;W0 92/20316号;W0 93/14188号;およびWO 93/20221号参照)。あるいは、発現のために、核酸は相同的組み換えによって宿主細胞内に細胞内導入され、組み込まれる(KollerおよびSmithies, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 8932-8935;およびZijlstraら, 1989, Nature 342: 435-438)。
1つの具体的実施形態では、本発明の抗体または他の予防剤もしくは治療剤、あるいはそのフラグメントをコードする核酸配列を含むウイルスベクターが用いられる。例えば、レトロウイルスベクターが使用できる(Millerら, 1993, Meth. Enzymol. 217: 581-599参照)。これらのレトロウイルスベクターはウイルスのゲノムの正確なパッケージングおよび宿主細胞DNA中への組込みに必要な成分を含む。遺伝子治療に使用される本発明の抗体または他の予防剤もしくは治療剤をコードする核酸配列は、1以上のベクター中にクローニングされ、被験者への遺伝子の送達を容易にする。レトロウイルスベクターに関するより詳細は、Boesenら, 1994, Biotherapy 6: 291-302でみることができ、これは幹細胞を化学療法に対してより耐性とするために造血幹細胞にmdr 1遺伝子を送達するレトロウイルスベクターを使用について記載している。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を例証する他の参考文献は以下のとおりである: Clowesら, 1994, J. Clin. Invest. 93:644-651 ; Kleinら, 1994, Blood 83: 1467-1473; SalmonsおよびGunzberg, 1993, Human Gene Therapy 4: 129-141;ならびにGrossmanおよびWilson, 1993, Curr. Opin. in Genetics and Devel. 3: 110-114。
アデノウイルスは遺伝子治療に使用できる他のウイルスベクターである。アデノウイルスは、呼吸器内皮組織に遺伝子を送達する点で特に魅力的な伝播体である。アデノウイルスは本来、呼吸器内皮組織に感染し、穏やかな疾患を引き起こす。アデノウイルスに基づく送達システムの他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞および筋肉である。アデノウイルスは、非分裂細胞に感染することができるという長所を有する。KozarskyおよびWilson, 1993, Current Opinion in Genetics and Development 3: 499-503は、アデノウイルスに基づく遺伝子治療の概要を示す。Boutら, 1994, Human Gene Therapy 5: 3-10はアカゲザルの呼吸基内皮組織に遺伝子を転移するためのアデノウイルスベクターの使用を実証した。遺伝子治療におけるアデノウイルスの使用の他の実例はRosenfeldら, 1991, Science 252: 431-434; Rosenfeldら, 1992, Cell 68: 143-155;Mastrangeliら, 1993, J. Clin. Invest. 91: 225-234; PCT Publication W0 94/12649;およびWangら, 1995, Gene Therapy 2: 775-783で見ることができる。好ましい実施形態では、アデノウイルスベクターが使用される。
アデノ関連ウイルス(AAV)も、遺伝子治療における使用が提案されている(Walshら., 1993, Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 204: 289-300;および米国特許第5,436,146号)。
遺伝子治療への別のアプローチは、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクションまたはウイルス感染などの方法によって組織培養中の細胞に遺伝子を転移することを含む。通常、転移の方法は、細胞への選択可能なマーカーの転移を含む。次いで、細胞を選択下に置き、転移した遺伝子を取り込み、かつ発現している細胞を分離する。次いで、それらの細胞を被験者に送達する。
この実施形態では、核酸は、生じる組み換え細胞のin vivoでの投与に先立って細胞に導入される。そのような導入は当技術分野で知られている任意の方法で行うことが可能であり、限定的なものではないが、トランスフェックション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、核酸配列を含むウイルスまたはバクテリオファージベクターによる感染、細胞融合、染色体を媒介とした遺伝子導入、微小細胞-媒介遺伝子導入、スフェロプラスト融合などが含まれる。細胞内に外来遺伝子を導入するための多くの技術が当技術分野で知られており(例えば、LoefflerおよびBehr, 1993, Meth. Enzymol. 217: 599-618;Cohenら, 1993, Meth. Enzymol. 217: 618-644 ; Clin. Pharma. Ther. 29:69-92 (1985)参照)、レシピエント細胞の必要な成長や生理作用を害しない限り、本発明にしたがって使用し得る。そうした技術は、核酸が細胞によって発現できて、その細胞子孫によって好ましくは継承可能かつ発現可能であるように、細胞への核酸の安定した転移を実現すべきである。
生じる組み換え細胞は当技術分野において既知の様々な方法によって被験者に送達できる。好ましくは組み換え血液細胞(例えば、造血幹細胞または前駆細胞)を静脈内投与する。使用のために考えられる細胞の量は、いくつかの要因(限定的ではないが、所望の効果および患者の状態)に依存し、当業者であれば決定できる。
遺伝子治療の目的のために核酸を導入することができる細胞は任意の所望かつ利用可能な細胞タイプを包含し、限定されるものではないが、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、繊維芽細胞、筋細胞、肝細胞;Tリンパ球、Bリンパ細胞、単球、マクロファージ、好中球、エオシン好性細胞、肥満細胞、巨大核細胞、顆粒細胞などの血液細胞;様々な幹細胞または前駆細胞、特に造血幹細胞または前駆細胞(例えば、骨髄、臍帯血、抹消血、胎児肝臓などから得られるもの)が含まれる。好ましい実施形態では、遺伝子治療に使用される細胞は、被験者に対して自己由来のものである。
組み換え細胞が遺伝子治療で使用される実施形態では、抗体またはそのフラグメントをコードする核酸配列は、それらが細胞またはその子孫によって発現されるように細胞に導入され、その後、組み換え細胞を治療効果を得るためにin vivoで投与する。具体的実施形態では、幹細胞または前駆細胞が使用される。in vitroで単離でき、維持できる任意の幹細胞および/または前駆細胞は、潜在的に本発明のこの実施形態に従って使用できる(例えば、国際公開WO 94/08598; StempleおよびAnderson, 1992, Cell 7 1: 973-985; Rheinwald, 1980, Meth. Cell Bio. 21A: 229;およびPittelkowおよびScott, 1986, Mayo Clinic Proc. 61: 771参照)。
1つの具体的実施形態では、遺伝子治療の目的のために導入される核酸は、核酸の発現が、適当な転写インデューサーの有無を制御することにより制御可能であるように、コード領域と機能的に連結された誘導可能なプロモーターを含む。
5.5 投薬量および投与頻度
IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連する疾患、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連する疾患、自己免疫障害、炎症性疾患、増殖性疾患または感染症(好ましくは呼吸器の感染症)、またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するのに有効であろう予防剤もしくは治療剤または本発明の組成物の量は、標準的な臨床的方法により決定できる。頻度と投薬量はまた、各患者に特異的な要因に従い、投与された具体的な治療薬(例えば、具体的な治療剤または予防剤)、障害、疾患または症状の厳しさ、投与経路、ならびに年齢、体重、応答および患者の過去の病歴に依存して変わるであろう。例えば、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連する疾患、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連する疾患、自己免疫障害、炎症性疾患、増殖性疾患もしくは感染症(好ましくは呼吸器の感染症)、またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するのに有効であろう予防剤もしくは治療剤または本発明の組成物の量は、動物モデル(例えば、本明細書に開示するまたは当業者に知られている動物モデル)への組成物の投与により決定できる。さらに、場合によっては最適の投薬範囲の識別を手助けするin vitroアッセイを使用してもよい。適当な処方計画は、当業者であれば、そのような要因を考慮し、例えば、文献に報告され、Physician's Desk Reference (第57版, 2003)に推奨されている投薬量に従って決定できる。
小分子の典型的な服用量は、被験者または試料重量1キログラム当たり小分子ミリグラムまたはマイクログラムの量を含む(例えば、1キログラム当たり約1マイクログラムから1キログラム当たり約500ミリグラム、1キログラム当たり約100マイクログラムから1キログラム当たり約5ミリグラム、または1キログラム当たり約1マイクログラムから1キログラム当たり約50マイクログラム)。
本発明に包含される抗体、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドおよび融合タンパク質については、患者に投与される投薬量は、典型的に患者の体重当たり0.0001mg/kgから100mg/kgである。好ましくは、患者に投与される投薬量は、患者の体重当たり0.0001mg/kg〜20mg/kg、0.0001mg/kg〜10mg/kg、0.0001mg/kg〜5mg/kg、0.0001〜2mg/kg、0.0001〜1mg/kg、0.0001mg/kg〜0.75mg/kg、0.0001mg/kg〜0.5mg/kg、0.0001mg/kg〜0.25mg/kg、0.0001〜0.15mg/kg、0.0001〜0.10mg/kg、0.001〜0.5mg/kg、0.01〜0.25mg/kgまたは0.01〜0.10mg/kgである。一般に、ヒト抗体は、外来ポリペプチドへの免疫応答に起因して、他の種からの抗体より人体内で長い半減期を有する。したがって、ヒト抗体の投薬量および投与頻度は多くの場合より低いものであり得る。さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントの投薬量および投薬頻度は、例えば脂質化(lipidation)などの修正によって抗体の取込量および組織浸透を増強することにより低減し得る。
具体的実施形態では、患者に投与される投薬量は、患者の体重キログラム(kg)を投与されるべきmg/kg用量で掛け算することにより算出されるであろう。次いで、与えられるべき必要な量(mL)は、必要なmg用量を製剤中の抗体またはそのフラグメントの濃度(100mg/mL)で割り算することにより決定される。最終的に算出される必要な量は、薬剤を投与する注射器に必要であるのと同量のバイアルの含有量をプールすることにより得られるであろう。製剤中の抗体またはそのフラグメントを部位当たり最大で2.0 mLの量で注射することができる。
1つの具体的実施形態では、患者におけるIL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連する疾患、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連する疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患もしくは感染症(好ましくは呼吸器の感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するために投与される本発明の抗体、組成物または併用療法の投薬量は、患者の体重当たり150μg/kg以下、好ましくは125μg/kg以下、100μg/kg以下、95μg/kg以下、90μg/kg以下、85μg/kg以下、80μg/kg以下、75μg/kg以下、70μg/kg以下、65μg/kg以下、60μg/kg以下、55μg/kg以下、50μg/kg以下、45μg/kg以下、40μg/kg以下、35μg/kg以下、30μg/kg以下、25μg/kg以下、20μg/kg以下、15μg/kg以下、10μg/kg以下、5μg/kg以下、2.5μg/kg以下、2μg/kg以下、1.5μg/kg以下、1μg/kg以下、0.5μg/kg以下、または0.5μg/kg以下である。別の実施形態では、患者におけるIL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連する疾患、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連する疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患または感染症(好ましくは呼吸器の感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するために投与される本発明の抗体、組成物または併用療法の投薬量は、0.1mg〜20mg、0.1mg〜15mgまで、0.1mg〜12mg、0.1mg〜10mg、0.1mg〜8mg、0.1mg〜7mg、0.1mg〜5mg、0.1〜2.5mg、0.25mg〜20mg、0.25〜15mg、0.25〜12mg、0.25〜10mg、0.25〜8mg、0.25mg〜7mg、0.25mg〜5mg、0.5mg〜2.5mg、1mg〜20mg、1mg〜15mg、1mg〜12mg、1mg〜10mg、1mg〜8mg、1mg〜7mg、1mg〜5mg、または1mg〜2.5mgの単位用量である。
特定の実施形態では、被験者に、本発明の1以上の抗体、組成物または併用療法の有効量の1用量以上が投与され、ここで、前記抗体、組成物または併用療法の有効量は、内因性IL-9のその受容体への結合を、少なくとも20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、または少なくとも85%まで防げる。特定の実施形態では、被験者に、本発明の1以上の抗体、組成物または併用療法の有効量の1用量以上が投与され、ここで、前記抗体、組成物または併用療法の有効量の服用は、当技術分野において良く知られているin vitroおよび/またはin vivoアッセイにおいて、PBSなどの対照と比較して肥満細胞の脱顆粒を、少なくとも20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、少なくとも80%〜85%、少なくとも85%〜90%、少なくとも90%〜95%、または少なくとも95%〜98%、低減および/または阻害する。特定の実施形態では、被験者に、本発明の1以上の抗体、組成物または併用療法の有効量の1用量以上が投与され、ここで、前記抗体、組成物または併用療法の有効量の服用は、当技術分野において良く知られているin vitroおよび/またはin vivoアッセイにおいて、PBSなどの対照と比較して肥満細胞の活性化を、少なくとも20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、少なくとも80%〜85%、少なくとも85%〜90%、少なくとも90%〜95%、または少なくとも95%〜98%、低減および/または阻害する。ある実施形態では、被験者に、本発明の1以上の抗体、組成物または併用療法の有効量の1用量以上が投与され、ここで、前記抗体、組成物または併用療法の有効量の服用は、当技術分野において良く知られているin vitroおよび/またはin vivoアッセイにおいて、PBSなどの対照と比較して肥満細胞の増殖を、少なくとも20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、少なくとも80%〜85%、少なくとも85%〜90%、少なくとも90%〜95%、または少なくとも95%〜98%、低減および/または阻害する。特定の実施形態では、被験者に、本発明の1以上の抗体、組成物または併用療法の有効量の1用量以上が投与され、ここで、前記抗体、組成物または併用療法の有効量の服用は、当技術分野において良く知られているin vitroおよび/またはin vivoアッセイにおいて、PBSなどの対照と比較して肥満細胞の浸潤を、少なくとも20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、少なくとも80%〜85%、少なくとも85%〜90%、少なくとも90%〜95%、または少なくとも95%〜98%、低減および/または阻害する。
他の実施形態では、被験者に、本発明の1以上の抗体の有効量を1回以上投与し、ここで、有効量の服用により、血清力価が、本発明の抗体の少なくとも0.1μg/ml、少なくとも0.5μg/ml、少なくとも1μg/ml、少なくとも2μg/ml、少なくとも5μg/ml、少なくとも6μg/ml、少なくとも10μg/ml、少なくとも15μg/ml、少なくとも20μg/ml、少なくとも25μg/ml、少なくとも50μg/ml、少なくとも100μg/ml、少なくとも125μg/ml、少なくとも150μg/ml、少なくとも175μg/ml、少なくとも200μg/ml、少なくとも225μg/ml、少なくとも250μg/ml、少なくとも275μg/ml、少なくとも300μg/ml、少なくとも325μg/ml、少なくとも350μg/ml、少なくとも375μg/ml、または少なくとも400μg/mlを達成する。さらに別の実施形態では、血清力価が、本発明の抗体の少なくとも0.1μg/ml、少なくとも0.5μg/ml、少なくとも1μg/ml、少なくとも2μg/ml、少なくとも5μg/ml、少なくとも6μg/ml、少なくとも10μg/ml、少なくとも15μg/ml、少なくとも20μg/ml、少なくとも25μg/ml、少なくとも50μg/ml、少なくとも100μg/ml、少なくとも125μg/ml、少なくとも150μg/ml、少なくとも175μg/ml、少なくとも200μg/ml、少なくとも225μg/ml、少なくとも250μg/ml、少なくとも275μg/ml、少なくとも300μg/ml、少なくとも325μg/ml、少なくとも350μg/ml、少なくとも375μg/ml、または少なくとも400μg/mlを達成するように被験者に、本発明の1以上の抗体の有効量を1回投与し、続いて血清力価が、少なくとも0.1μg/ml、0.5μg/ml、1μg/ml、少なくとも2μg/ml、少なくとも5μg/ml、少なくとも6μg/ml、少なくとも10μg/ml、少なくとも15μg/ml、少なくとも20μg/ml、少なくとも25μg/ml、少なくとも50μg/ml、少なくとも100μg/ml、少なくとも125μg/ml、少なくとも150μg/ml、少なくとも175μg/ml、少なくとも200μg/ml、少なくとも225μg/ml、少なくとも250μg/ml、少なくとも275μg/ml、少なくとも300μg/ml、少なくとも325μg/ml、少なくとも350μg/ml、少なくとも375μg/ml、または少なくとも400μg/mlを維持するように本発明の1以上の抗体の有効量を投与する。この実施形態によれば、被験者に、引き続き、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12以上の回数で投与される。
1つの具体的実施形態では、本発明は、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患もしくは障害、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患もしくは感染症(好ましくは呼吸器の感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体、組成物または併用療法の少なくとも10μg、好ましくは少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、少なくとも100μg、少なくとも105μg、少なくとも110μg、少なくとも115μg、または少なくとも120μgの用量をそれを必要とする被験者に投与することを含む、上記方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患もしくは障害、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患もしくは感染症(好ましくは呼吸器の感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、本発明の1以上の抗体、組成物または併用療法の少なくとも10μg、好ましくは少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、少なくとも100μg、少なくとも105μg、少なくとも110μg、少なくとも115μg、または少なくとも120μgの用量を、3日に1回、好ましくは4日に1回、
5日に1回、6日に1回、7日に1回、8日に1回、10日に1回、2週間に1回、3週間に1回、または1カ月に1回、投与することを含む、上記方法を提供する。
本発明は、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患または障害、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患または障害、自己免疫障害、炎症性疾患、増殖性疾患もしくは感染症(好ましくは呼吸器の感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、(a)本発明の1以上の抗体、組成物または併用療法の予防上または治療上の有効量をそれを必要とする被験者に1回以上を投与すること、および(b)前記抗体をある回数投与した後に、投与した前記抗体の前記被験者における血漿レベル/濃度をモニターすることを含む上記方法を提供する。また前記投与回数が、本発明の1以上の抗体、組成物または併用療法の予防上または治療上の有効量の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12回投与であることが好ましい。
1つの具体的実施形態では、本発明は、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患または障害、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患もしくは感染症(好ましくは呼吸器感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、(a)本発明の1以上の抗体の少なくとも10μg(好ましくは少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、または少なくとも100μg)の用量で投与すること、(b)前記被験者に投与した抗体の血漿中レベルが0.1μg/ml以下、好ましくは0.25μg/ml以下、0.5μg/ml以下、0.75μg/ml以下、または1μg/ml以下の場合に、前記被験者に本発明の抗体を引き続き1回以上投与することを含む上記方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患もしくは感染症(好ましくは呼吸器の感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善する方法であって、(a)本発明の1以上の抗体の少なくとも10μg(好ましくは少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、または少なくとも100μg)をそれを必要とする被験者に1回以上投与すること、(b)特
定回数の投与後に、投与した本発明の抗体の前記被験者における血漿レベルをモニターすること、および(c)前記被験者に投与した抗体の血漿レベルが0.1μg/ml以下、好ましくは0.25μg/ml以下、0.5μg/ml以下、0.75μg/ml以下、1μg/ml以下の場合に、前記被験者に本発明の抗体を引き続き1以上投与することを含む上記方法を提供する。前記投与回数が、本発明の1以上の抗体の有効量の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12回投与であることが好ましい。
本発明の抗体以外であって、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患または障害、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患もしくは感染症(好ましくは呼吸器の感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するために使われたことがあるか、または現に使われている療法(例えば、予防剤または治療剤)は、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患または障害、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患もしくは感染症(好ましくは呼吸器の感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するために、本発明に従って、本発明の1以上の抗体と併用して投与できる。本発明の併用療法で使用される予防剤または治療剤の投薬量は、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患または障害、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患もしくは感染症(好ましくは呼吸器の感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するために使われたことがあるか、現に使われている投薬量よりも低いことが好ましい。IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患または障害、IL-9Rポリペプチドもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連するか、それに特徴付けられる疾患または障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患もしくは感染症(好ましくは呼吸器の感染症)またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理しおよび/または改善するために現に使われている薬剤の推奨される投薬量は、当技術分野における任意の参考文献(これに限定されないがHardmanら,編., 2001, Goodman &Gilman's The Pharmacological Basis Of Basis Of Therapeutics, 第10版, Mc-Graw-Hill, New York; Physician's Desk Reference (PDR) 第57版 , 2003, Medical Economics Co., Inc., Montvale, NJ(その全体が参照によって本願に組み入れられる)を含む。)から得ることができる。
様々な実施形態において、療法(予防剤または治療剤)は、5分以下の間隔で、30分以下の間隔で、1時間の間隔で、約1時間の間隔で、約1時間から約2時間の間隔で、約2時間から約3時間の間隔で、約3時間から約4時間の間隔で、約4時間から約5時間の間隔で、約5時間から約6時間の間隔で、約6時間から約7時間の間隔で、約7時間から約8時間の間隔で、約8時間から9時間の間隔で、約9時間から約10時間の間隔で、約10時間から約11時間の間隔で、約11時間から約12時間の間隔で、約12時間から約18時間の間隔で、約18時間から約24時間の間隔で、約24時間から約36時間の間隔で、約36時間から約48時間の間隔で、約48時間から約52時間の間隔で、約52時間から約60時間の間隔で、約60時間から約72時間の間隔で、約72時間から約84時間の間隔で、約84時間から約96時間の間隔で、約96時間から約120時間の間隔で投与する。好ましい実施形態では、2つ以上の療法を同じ患者の訪問時に施す。
特定の実施形態では、本発明の抗体の1以上および1以上の他の療法(例えば、予防剤または治療剤)を周期的に投与する。周期的治療は、第1の療法(例えば、第1の予防剤または治療剤)をある期間投与すること、続いて、第2の療法(例えば、第2の予防剤または治療剤)をある期間投与すること、場合により、その後、第3の療法(例えば、第3の予防剤または治療剤)をある期間投与すること、以下同様とし、この連続投与を繰り返す(すなわち、療法のうちの1つに対する耐性の発達を低減し、療法の1つの副作用を回避するか縮小し、および/または治療剤の効能を改善するためのサイクル)ことを含む。
特定の実施形態では、本発明の同じ抗体の投与を繰り返してもよく、また、投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月または少なくとも6カ月間の間隔としてもよい。他の実施形態では、本発明の抗体以外の同じ療法(例えば、予防剤または治療剤)の投与を繰り返してもよい。また、投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月または少なくとも6カ月の間隔としてもよい。
5.6 生物学的アッセイ
5.6.1 本発明の抗体の免疫特異性
本発明の抗体またはそのフラグメントは、当業者に周知の種々の方法によって特徴づけることができる。特に、本発明の抗体またはそのフラグメントは、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する能力についてアッセイすることができる。このようなアッセイは、溶液中(例えば、Houghten、1992年、Bio/Techniques 13:412〜421頁)、ビーズ上(Lam、1991年、Nature354:82〜84頁)、チップ上(Fodor、1993年、Nature364:555〜556頁)、細菌上(米国特許第5,223,409号)、胞子上(米国特許第5,571,698号;5,403,484号;および5,223,409号)、プラスミド上(Cullら、1992年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:1865〜1869頁)またはファージ上(ScottおよびSmith、1990年、Science249:386〜390頁;Cwirlaら、1990年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA87:6378〜6382頁;およびFelici、1991年、J.Mol.Biol.222:301〜310頁)(これらの各参照は、その全体を参照により本明細書に組み入れる)で実施し得る。IL-9に対する免疫特異的な結合が同定されている抗体またはそのフラグメントは、その後、IL-9ポリペプチドに対するこれらの特異性および親和性についてアッセイし得る。
本発明の抗体またはそのフラグメントは、当該技術で公知の任意の方法によってIL-9ポリペプチドに対する免疫特異的結合や他の抗原との交差反応性についてアッセイすることが可能である。免疫特異的結合や交差反応性を分析するのに利用可能なイムノアッセイとして、少し例を挙げると、非限定的に、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル内沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量測定法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイなどの技法を用いる競合および非競合アッセイ系が含まれる。このようなアッセイは、当該技術で慣用かつ周知である(例えば、Ausubelら、編、1994年、Current Protocols in Molecular Biology、Vol.1、John Wiley&Sons、Inc.ニューヨークを参照。これは参照によりその全体を本明細書に組み入れる)。例示的なイムノアッセイについては下記に簡単に述べる(しかし、限定を意図するものではない)。
一般に、免疫沈降プロトコルは、タンパク質ホスファターゼおよび/またはプロテアーゼ阻害剤(例えば、EDTA、PMSF、アプロチニン、バナジン酸ナトリウム)が補充された、RIPA緩衝液(1%NP-40またはTritonX-100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、0.15 M NaCl、pH 7.2での0.01M リン酸ナトリウム、1%トラジロール)などの溶解緩衝液中の溶解細胞集団を含む。同プロトコルでは、目的の抗体を細胞溶解液に添加し、40℃である期間(例えば1〜4時間)インキュベートし、プロテインAおよび/またはプロテインGセファロースビーズを細胞溶解液に添加し、40℃で約1時間以上インキュベートし、溶解緩衝液中でビーズを洗浄し、SDS/サンプル緩衝液中でビーズを再懸濁する。目的の抗体が特定の抗原を免疫沈降させる能力は、例えばウエスタンブロット分析によって評価することができる。抗原に対する抗体の結合を亢進させ、バックグラウンドを低減するために変更可能なパラメータについては当業者に精通しているだろう(例えば、ファロースビーズによって細胞溶解液を予備洗浄する)。免疫沈降プロトコルに関するさらなる解説については、例えばAusubelら、編、1994年、Current Protocols in Molecular Biology、Vol.1、John Wiley&Sons、Inc.、ニューヨーク10.16.1を参照されたい。
一般に、ウエスタンブロット分析は、タンパク質サンプルを調製すること、ポリアクリルアミドゲル(例えば、抗原の分子量に依存して8%〜20%SDS-PAGE)におけるタンパク質サンプルの電気泳動、タンパク質サンプルをポリアクリルアミドゲルからニトロセルロース、PVDFまたはナイロンなどの膜に転写すること、ブロッキング溶液(例えば、3%BSAまたは脱脂乳を含むPBS)中での膜のインキュベーション、洗浄緩衝液(例えば、PBS-Tween20)中での膜の洗浄、ブロッキング緩衝液中で希釈される一次抗体(目的の抗体)と共に膜をインキュベートすること、洗浄緩衝液中で膜を洗浄すること、ブロッキング緩衝液中で希釈される酵素基質(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)または放射性分子(例えば、32Pまたは125I)とコンジュゲートした(一次抗体、例えば抗ヒト抗体を認識する)二次抗体と共に膜をインキュベートすること、洗浄緩衝液中で膜を洗浄すること、ならびに抗原の存在を検出することを含む。シグナル検出を増加させ、バックグラウンドノイズを低減するために変更されうるパラメータについては当業者に精通しているだろう。ウエスタンブロットのプロトコルに関するさらなる解説については、例えばAusubelら、編、1994年、Current Protocols in Molecular Biology、Vol.1、John Wiley&Sons、Inc.、ニューヨーク10.8.1を参照されたい。
ELISAは、抗原を調製すること、96ウェルマイクロタイタープレートのウェルを抗原で被覆すること、酵素基質(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼあるいはアルカリホスファターゼ)などの検出可能な化合物にコンジュゲートされた目的の抗体をウェルに添加し、ある期間インキュベートすること、ならびに抗原の存在を検出することを含む。ELISAでは、目的の抗体は検出可能な化合物にコンジュゲートさせる必要がなく、その代わり、検出可能な化合物にコンジュゲートされた(目的の抗体を認識する)二次抗体をウェルに添加することができる。さらに、ウェルを抗原で被覆する代わりとして、抗体をウェルに被覆することができる。この場合には、目的の抗原の被覆されたウェルへの添加後に、検出可能な化合物にコンジュゲートされた二次抗体を添加することができる。当該技術分野でで公知のELISAに関する他の変数と同様に検出されるシグナルを増加させるために変更可能なパラメータについては当業者に精通しているだろう。好ましい実施形態では、ELISAは、高結合96-ウェルマイクロタイタープレート(Costar)をPBS中で2ug/mlのrhu-IL-9で一晩被覆することによって実施することができる。PBSによって3回洗浄してから、プレートはFabの3倍の連続希釈で、25℃で1時間インキュベートされる。PBSによってさらに3回洗浄してから、1μg/ml抗ヒトκ-アルカリホスファターゼコンジュゲートが添加され、プレートは25℃で1時間インキュベートされる。PBSTによって3回洗浄してから、50μl/AMP/PPMP基質においてアルカリホスファターゼ活性が測定される。反応を停止させ、560nmでの吸光度がVMAXマイクロプレートリーダーによって決定される。ELISAに関するさらなる解説については、例えばAusubelら、編、1994年、Current Protocols in Molecular Biology、Vol.1、John Wiley&Sons、Inc.、ニューヨーク11.2.1を参照されたい。
抗体の抗原に対する結合親和性および抗体-抗原相互作用のオフレートは、競合的結合アッセイによって決定し得る。競合的結合アッセイの一例は、増加量の非標識抗原の存在下で、目的の抗体と共に標識抗原(例えば、3Hまたは125I)をインキュベーションすること、および標識抗原に結合する抗体の検出を含むラジオイムノアッセイである。本発明の抗体またはそのフラグメントのIL-9ポリペプチドに対する親和性および結合オフレートは、スキャッチャードプロット分析(scathard plot analysis)によるデータから決定できる。二次抗体との競合も、ラジオイムノアッセイを用いて決定できる。この場合、IL-9ポリペプチドは、増加量の非標識二次抗体の存在下で標識化合物(例えば、3Hまたは125I)にコンジュゲートされた本発明の抗体と共にインキュベートする。
好ましい実施形態において、BIAcore動態解析を用いて、本発明の抗体のIL-9ポリペプチドに対する結合オンレートおよびオフレートが決定される。BIAcore動態解析は、本発明の固定化抗体を表面に有するチップからのIL-9ポリペプチドの結合および解離を分析することを含む。例示的なBIAcore動態試験では、上部に抗原が固定化されているセンサチップ表面上部に、0.005% Tween-20を含むHBS緩衝液に溶かした様々の濃度の抗体試薬(mAb、Fab)を250μL注入することを含む。その流速は、75μL/分に一定に維持する。必要に応じて解離データを15分以上の間収集する。各々の注入/解離サイクルに続き、結合したmAbは、通常は10-100mM HClである希酸の短い1分間パルスを用いることで抗原表面から除去されるが、他の再生剤は、環境保証(circumstances warrant)として用いられる。より詳細には、結合速度konおよび解離速度koffの測定のために、標準アミン共役物質、すなわちEDC/NHS法(EDC=N-ジエチルアミノプロピル-カルボジイミド)の使用を介して、抗原がセンサチップ表面上に直接に固定化される。つまり、10mM NaOAcにおいて抗原の5〜100nM溶液、pH4またはpH5が調製され、約30-50RUの値の抗原が固定化されるまで、EDC/NHSで活性化した表面上に通過される。この後で、未反応の活性化エステルは、1M Et-NH2の注入によって「キャップ」が解かれる。比較する目的で、同一の固定条件下で、抗原を含まないブランク表面が調製される。一旦適当な表面が調製されていると、各抗体試薬の適当な連続希釈がHBS/Tween-20内で調製され、連続してつながっている抗原および対照細胞表面の両方に通される。調製される抗体濃度の範囲は、平衡結合定数KDがどのくらいに見積もられるかによって変化する。上述のように、結合した抗体は、適当な再生剤を用いて各注入/解離サイクル後に除去される。
当業者に公知の技術を用いて、IL-9のその宿主細胞受容体に対する結合を阻害する能力について、本発明の抗体またはそのフラグメントをアッセイすることができる。例えば、IL-9受容体を発現する細胞を、抗体またはそのフラグメントの存在または不在下でIL-9と接触させることができ、抗体またはそのフラグメントのIL-9の結合に対する阻害能は、例えば、フローサイトメトリーまたはシンチレーションアッセイを用いて測定可能である。IL-9または抗体もしくは抗体フラグメントは、放射性標識(例えば、32P、35Sおよび125I)または蛍光標識(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルデハイド(o-phthaldehyde)およびフルオレサミン)などの検出可能な化合物によって標識することで、IL-9とその宿主細胞受容体の間の相互作用を検出することが可能である。または、IL-9のその受容体への結合に対する抗体またはそのフラグメントの阻害能は、無細胞アッセイにおいて決定可能である。例えば、IL-9ポリペプチドは、抗体またはそのフラグメントと接触させることができ、IL-9ポリペプチドのその宿主細胞受容体への結合に対する抗体または抗体フラグメントの阻害能を決定することができる。好ましくは、抗体または抗体フラグメントは固体支持体上に固定化され、IL-9ポリペプチドは検出可能な化合物によって標識される。または、IL-9ポリペプチドは固体支持体上に固定化され、抗体またはそのフラグメントは検出可能な化合物によって標識される。IL-9は、部分的にもしくは完全に精製される(例えば、部分的もしくは完全に他のポリペプチドから遊離される)か、または細胞溶解液の一部であるかもしれない。さらに、IL-9ポリペプチドは、IL-9、誘導体、アナログまたはその断片を含む融合タンパク質であり、グルタチオニン-S-トランスフェラーゼなどのドメインである。または、IL-9ポリペプチドは、当該技術で周知の技術(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals;Rockford、IL)を用いてビオチン化できる。
IL-9のその宿主細胞受容体への結合に対する本発明の抗体またはフラグメントの阻害能は、細胞増殖アッセイによって測定できる。例えば、ヒトおよびネズミのIL-9Rαの両方を発現するネズミTS1-RA3 T細胞株は、rhuIL-9(25ng/ml、R&D Systems)を含む成長培地(DMEM)内で連続的に増殖されうる。rhuIL-9の供給が中止される際には、TS1-RA3は18〜24時間以内に細胞死を迎える。TS1-RA3細胞は、10%FBSおよび25ng/mlのrHu-IL9によって補充されたRPMI 1640(ATCC)培地内で増殖する。アッセイに先立ち、細胞はIL-9を含まない培地で洗浄され、2ng/ml rhuIL-9を含む培地中、5X105細胞/mlで再懸濁される。細胞は、非結合の96ウェルブラッククリアボトムマイクロタイタープレート(100μL細胞/ウェル)に撒かれ、次いで100mlの連続希釈された変異体Fabsがプレートに添加される。プレートは、37℃、5%CO2で72時間インキュベートされる。20μL/ウェルのAlamar blue(登録商標)が添加され、細胞はさらに4〜5時間インキュベートされる。細胞代謝は、555nmで励起され、590nmで放射する蛍光分光計を用いて定量化される。IL-9のその宿主細胞受容体への結合に対する本発明の抗体または抗体フラグメントの阻害能は、IL-9結合ELISAアッセイなどの細胞結合アッセイによっても測定することができる。例えば、96-ウェルELISAプレートの各ウェルは、100μLの本発明のIL-9抗体または抗体フラグメントによって、2〜8℃で一晩被覆される。プレートは、PBS/0.5% Tween-20緩衝液で3回洗浄され、PBS/0.1%Tween-20緩衝液、1%(w/v)BSAによって室温で1時間ブロッキングされる。プレートの洗浄後、100μLの対照標準、サンプルおよび対照は、アッセイプレート上にロードされ、室温で1時間インキュベートされる。洗浄後、100μLの西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識したヤギ抗ヒトIgGは、1:15,000希釈でアッセイプレートに添加される。1時間インキュベーションした後、プレートは洗浄され、100μL/ウェルの3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)基質がプレートに添加され、暗所、室温で10分間インキュベートされる。酵素反応は、50μL/ウェルの2N硫酸の添加によって停止される。450nmでの吸光度は、マイクロプレートリーダーを用いて測定される。サンプルは、サンプル曲線の対照標準曲線に対する平行度に基づいて通過/失敗(pass/fail)として処理され、サンプルのED50値は、3.91〜31.91ng/mLの範囲内で低下する。
5.6.2 in vitro研究
本発明の抗体、組成物、または併用療法は、免疫細胞(例えば、T細胞、好中球および肥満細胞)、内皮細胞、および上皮細胞の生物学的活性を調節する能力について、in vitroおよび/またはin vivoで試験可能である。免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、肥満細胞、マクロファージ、好中球および好酸球)、内皮細胞、および上皮細胞の生物学的活性を調節する本発明の抗体、組成物、または併用療法の能力は、抗原の発現の検出(例えば、非限定的にムチン遺伝子(例えば、MUC2、MUC5AC、MUC5BおよびMUC6)や、リンパ球活性化(例えば、Lgamma-6A/E)に関与する遺伝子など、IL-9による遺伝子の活性化)、免疫細胞、内皮細胞および/または上皮細胞の増殖の検出、シグナリング分子の活性化(例えば、Stat2のリン酸化、JAK3のリン酸化、またはIL-9Rのリン酸化)の検出、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、肥満細胞、マクロファージ、好中球、および好酸球)、内皮細胞および/または上皮細胞のエフェクター機能の検出、免疫細胞、内皮細胞、および/または上皮細胞の分化の検出によって評価できる。当業者に公知の技術は、これらの活性の測定に利用できる。例えば、細胞増殖は、3H-チミジン取り込みアッセイおよびトリパンブルー法による細胞計数によってアッセイ可能である。抗原発現は、非限定的に、例えば、ウエスタンブロット、免疫組織化学的ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル内沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量測定法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、ならびにFACS分析などの技術を用いた競合および非競合アッセイ系を含むイムノアッセイによってアッセイ可能である。シグナリング分子の活性化は、例えば、キナーゼアッセイおよび電気泳動シフトアッセイ(EMSA)によってアッセイ可能である。肥満細胞の脱顆粒は、例えば高速液体クロマトグラフィーによってセロトニン(5-HT)放出またはヒスタミン放出を測定することによってアッセイできる(例えば、Taylorら、1995年Immunology86(3):427〜433頁およびKurosawaら、1998年Clin Exp Allergy28(8):1007〜1012頁を参照)。
本発明の抗体、組成物、または併用療法は、ヒトにおける使用に先立ち、好ましくは所望の治療的または予防的な活性についてin vitroで、次いでin vivoで試験される。例えば、特定の医薬品組成物の投与が指示されるか否かを決めるのに使用可能なアッセイは、患者の組織サンプルが培養において増殖し、医薬品組成物に曝露されるか、それ以外では接触され、組織サンプルに対する上記組成物の効果を観察する、細胞培養アッセイが含まれる。組織サンプルは、患者からの生検によって採取できる。この試験により、各患者に最も効果的な療法(例えば予防剤または治療剤)を治療学的に同定することが可能である。種々の具体的な実施形態では、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連するか、これに特徴づけられる疾患または障害、IL-9Rまたはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性と関連するか、これに特徴づけられる疾患または障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは呼吸器感染症)を含む細胞型の代表的な細胞を用いてin vitroアッセイを実施することで、本発明の医薬品組成物がそうした細胞型に対して所望の効果があるか否かを判定可能である。
本発明の抗体、組成物または併用療法の末梢血リンパ球数に対する効果は、当業者に公知の標準的技術を用いてモニター/評価することが可能である。被験者における末梢血リンパ球数は、例えば該被験者由来の末梢血サンプルを採取すること、例えばFicoll-Hypaque(Pharmacia)勾配遠心分離法を用いてリンパ球を血漿などの末梢血の他の成分から分離すること、トリパンブルーを用いてリンパ球を計数することによって決定できる。例えば、被験者における末梢血T細胞数は、例えばFicoll-Hypaque(Pharmacia)勾配遠心分離法を用いて、リンパ球を血漿などの末梢血の他の成分から分離し、FITCあるいはフィコエリトリンにコンジュゲートしたT細胞抗原へ向かう抗体によってT細胞を標識し、FACSによってT細胞数を測定することによって決定できる。
ウイルス性呼吸器感染症またはその1以上の症状を治療し、管理し、予防し、かつ/または改善する本発明の方法は、in vitroアッセイにおいてウイルス複製を阻害しまたはウイルス負荷を低減する能力について試験可能である。例えば、ウイルス複製は、Johnsonら、1997、Journal of Infectious Diseases 176:1215〜1224頁 176:1215〜1224頁に記載されるプラークアッセイによってアッセイ可能である。本発明の方法に従って投与される抗体、組成物、または併用療法は、ウイルスポリペプチドの発現を阻害または下方制御するその能力についてもアッセイ可能である。ウエスタンブロット分析、ノーザンブロット分析、RT-PCRなどの当業者に公知の技術(これらに限定されない)を用いることで、ウイルスポリペプチドの発現が測定可能である。
当技術分野で周知のin vitroアッセイにおいて、呼吸器感染症またはその1以上の症状を予防し、治療し、管理し、かつ/または改善する本発明の方法は、呼吸器感染症を引き起こす細菌に対する活性について試験可能である。当技術分野で公知のin vitroアッセイを用いることで、本発明の療法(例えば、本発明の抗体、他の予防剤または治療剤、その組合せ、またはその組成物)に対する細菌の耐性の存在または発生が試験可能である。このようなin vitroアッセイは、Galesら、2002年、Diag.Nicrobiol.Infect.Dis.44(3):301〜311頁;Hicksら、2002年、Clin.Microbiol.Infect.8(11):753〜757頁;およびNicholsonら、2002年、Diagn.Microbiol.Infect.Dis.44(1):101〜107頁に記載されている。
呼吸器感染症またはその1以上の症状を治療し、管理し、予防し、かつ/または改善する本発明の療法(例えば、本発明の抗体単独または本発明の抗体以外の予防剤または治療剤との併用)は、種々の真菌種に対する抗真菌活性について試験可能である。当該技術で周知の標準的抗真菌アッセイのいずれかを用いることで、治療の抗真菌活性が評価可能である。種々の真菌種に対する抗真菌作用は試験可能である。National Committee for Clinical Laboratories(NCCLS)(National Committee for Clinical Laboratories Standards. 1995年、Proposed Standard M27T.Villanova、Pa.を参照。その全てが参照によりその全てが本明細書に組み込まれる)によって推奨される試験および当業者に公知の他の方法(Pfallerら.、1993年、Infectious Dis.Clin.N.Am.7:435〜444頁)を用いることで、治療の抗真菌作用が評価可能である。治療の抗真菌特性は、特に、成長阻害アッセイ、蛍光に基づく真菌生存度アッセイ、フローサイトメトリー分析、および当業者に公知の他の標準アッセイなどの他の方法と同様に、真菌溶解アッセイから決定される場合もある。
例えば、治療の抗真菌活性は、当業者に周知のプロトコルを用いたマクロ液体希釈法および/またはミクロ液体希釈法を用いて試験可能である(例えば、Clancyら、1997年Journal of Clinical Microbiology、35(11):2878〜82頁;Ryderら、1998年、Antimicrobial Agents and Chemotherapy、42(5):1057〜61頁;米国特許第5,521,153号;米国特許第5,883,120号、米国特許第5,521,169号を参照。すべて参照により本明細書にその全体を組み入れる)。すなわち、真菌株は、所定の期間で使用される(使用される特定の真菌株に左右される)特定の真菌株に応じて、適切な液体培地で培養され、適温で増殖される。次いで、接種材料は、測光法によって調製され、懸濁液の混濁度は、例えばMcFarland標準といった標準の混濁度に適合される。接種材料の混濁度に対する治療効果は、視覚的または分光光度的に決定される。培地の混濁度を決定することで測定される接種材料の可視的増殖を抑制するリード化合物の最小濃度として定義される、治療における最小発育阻止濃度(「MIC」)は決定される。
また治療における抗真菌活性は、当業者に周知の比色分析に基づくアッセイの利用によって決定できる。治療における抗真菌活性を評価するのに利用できる比色分析アッセイの1例は、Pfallerらによって説明されている(1994年、Journal of Clinical Microbiology、32(8):1993〜6頁を参照。参照により本明細書に全体にわたって援用される。またTiballiら、1995年、Journal of Clinical Microbiology、33(4):915〜7頁も参照されたい)。このアッセイでは、酸化還元指示薬(Alamar Biosciences,Inc.、サクラメント、カリフォルニア州)を用いた比色分析指標が採用されている。
さらに治療における抗真菌活性は、当業者に周知の光度測定アッセイの利用によって決定できる(例えば、Clancyら、1997年Journal of Clinical Microbiology、35(11):2878〜82頁;Jahnら、1995年、Journal of Clinical Microbiology、33(3):661〜667頁を参照。これらの各々が参照により本明細書にその全体が組み込まれる)。この光度測定アッセイは、3-(4,5-ジメチル-2-チアゾリル)-2,5,-ジフェニル-2H-テトラゾリウムブロマイド(MTT)のホルマザンへの還元を介する生存可能な真菌によるミトコンドリア呼吸の定量に基づいている。このアッセイによって決定されるMIC'sは、光学密度の最初の急激な低下に関連する最高濃度の試験治療として定義される。いくつかの実施形態では、マクロ液体希釈法、ミクロ液体希釈法およびMTTアッセイを並行使用することで、治療は抗真菌活性についてアッセイされる。
さらに、当業者に公知の任意のin vitroアッセイを用いることで、呼吸器感染症またはその1以上の症状に対する、本明細書で開示される抗体、組成物、併用療法の予防的かつ/または治療的な有用性が評価できる。
5.6.3 in vivoアッセイ
本発明の抗体、組成物、または併用療法は、ヒトにおける使用に先立ち、適切な動物モデル系において試験可能である。上記動物モデル系としては、非限定的に、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ブタ、イヌ、ウサギなどが含まれる。当技術分野で周知である任意の動物系を用いることができる。この手順のいくつかの態様は変化することがある。該態様としては、非限定的に、療法(例えば予防剤および/または治療剤)の投与の時間的な処方計画(temporal regime)、つまり該療法が独立に施されるか、あるいは混合物として施されるかや療法の投与頻度が含まれる。
自己免疫疾患用の動物モデルを用いることで、本発明の抗体、組成物、または併用療法の有効性も評価できる。I型糖尿病、甲状腺自己免疫、全身性エリテマトーデス、および糸球体腎炎などの自己免疫疾患用の動物モデルが作製されている(Flandersら、1999年、Autoimmunity29:235〜246頁;Kroghら、1999年、Biochimie 81:511〜515頁;Foster、1999、Semin.Nephrol.19:12〜24頁)。
自己免疫疾患の予防、治療、管理、および/または改善における有効性は、例えば、自己免疫疾患の1以上の症状を低減する、絶対リンパ球数の平均値を低減する、T細胞活性化を減衰する、T細胞増殖を低減する、サイトカイン産生を低減する、または1以上の特定のサイトカイン増殖を調節する、本発明の抗体、組成物、または併用療法の能力を検出することによって実証することができる。乾癬の予防または治療における有効性は、例えば、乾癬の1以上の症状を低減する、絶対リンパ球数の平均値を低減する、サイトカイン産生を低減する、1以上の特定のサイトカイン増殖を調節する、スケーリングを低減する、紅斑を抑制する、プラークの上昇を低減する、患部の真皮あるいは表皮におけるT細胞の活性化を低減する、患部の真皮あるいは表皮におけるT細胞の浸潤を低減する、PASIを低減する、医師のグローバル・アセスメント・スコア(global assessment score)を改善する、または生活の質を改善する、本発明の抗体、そのフラグメント、または組成物の能力を検出することによって実証することができる。
癌用の動物モデルを用いることで、本発明の抗体、組成物、または併用療法の有効性が評価できる。肺癌用の動物モデルの例としては、非限定的に、ZhangおよびRoth(1994年、In Vivo8(5):755〜69頁)によって記載された肺癌動物モデル、およびp53機能が破壊されたトランスジェニックマウスモデル(例えば、Morrisら、1998年、J La State Med Soc 150(4):179〜85頁を参照)が含まれる。乳癌用の動物モデルの例としては、非限定的に、サイクリンD1を過剰発現するトランスジェニックマウス(例えば、Hosokawaら、2001年、Transgenic Res 10(5):471〜8頁を参照)が含まれる。大腸癌用の動物モデルの例としては、非限定的に、TCR bおよびp53のダブルノックアアウトマウス(例えば、Kadoら、2001年、Cancer Res 61(6):2395〜8頁を参照)が含まれる。膵癌用の動物モデルの例としては、非限定的に、Panc02マウス膵腺癌の転移性モデル(例えば、Wangら、2001年、Int J Pancreatol 29(1):37〜46頁を参照)および皮下膵臓腫瘍において作製されるnu-nuマウス(例えば、Ghanehら、2001、Gene Ther 8(3):199〜208頁を参照)が含まれる。非ホジキンリンパ腫用の動物モデルの例としては、非限定的に、重症複合型免疫不全(「SCID」)マウス(例えば、Bryantら、2000年、Lab Invest80(4):553〜73頁を参照)およびIgHmu-HOX11トランスジェニックマウス(例えば、Houghら、1998年、Proc Natl Acad Sci USA 95(23):13853〜8頁を参照)が含まれる。食道癌用の動物モデルの例としては、非限定的に、ヒトパピローマウイルス型16E7ガン関連遺伝子についてのトランスジェニックマウス(例えば、Herberら、1996年、J Virol 70(3):1873〜81頁を参照)が含まれる。結腸直腸癌用の動物モデルの例としては、非限定的に、Apcマウスモデル(例えば、FoddeおよびSmits、2001年、Trends Mol Med 7(8):369〜73頁およびKuraguchiら、2000年、Oncogene19(50):5755〜63頁を参照)が含まれる。
本発明の抗体、組成物、または併用療法の抗炎症活性は、当業界で公知の炎症性関節炎の種々の実験動物モデルを用いることによって決定でき、Crofford L.J.およびWilder R.L.、「Arthritis and Autoimmunity in Animals」in Arthritis and Allied Conditions:A Textbook of Rheumatology、McCarty(編)、Chapter 30(LeeおよびFebiger、1993年)に記載されている。また、炎症性関節炎および自己免疫リウマチ疾患の実験動物モデルおよび野生動物モデルを用いることで、本発明の抗体、組成物、または併用療法の抗炎症活性が評価できる。
また本発明の抗体、組成物、または併用療法の抗炎症活性は、変更したWinterC.A.ら、「Carrageenan-Induced Edema in Hind Paw of the Rat as an Assay for Anti-inflammatory Drugs」Proc.Soc.Exp.Biol Med.111、544〜547頁、(1962年)に記載される方法を用いて、ラットにおけるカラゲニン誘導足浮腫の阻害を測定することによって評価できる。このアッセイは、大部分のNSAIDの抗炎症活性用のin vivo一次スクリーニングとして用いられており、予測的にヒトへの有効性が考えられる。試験療法(例えば、予防剤または治療剤)の抗炎症活性は、賦形剤が投与された対照群と比較して試験群の後肢重量の増加の阻害率として表現される。
用いられる実験動物モデルがアジュバント誘導関節炎ラットモデルである本発明の具体的な実施形態において、本発明の抗体、組成物、または併用療法の抗炎症活性を決定するために、対照群に相対的な体重が測定できる。
アレルギーおよび喘息用の動物モデルは当技術分野で公知であり、例えば、Ewartら、1995年J Appl Physiol 79(2):560〜566頁に記載される吸気終末閉塞を伴う定常流膨張や、例えば、Komaiら、2003年Br J Pharmacol138(5):912〜920頁;Kenyonら、2003年Toxicol Appl Pharmacol186(2):90〜100頁;Pathら、2002年Am J Resp&Critical Care Med 166(6):818〜826頁;Martinsら、1990年Crit Care Med19:515〜519頁;Nicolaidesら、1997年Proc Natl Acad Sci USA94:13175〜13180頁;McLaneら、1998年19:713〜720頁;およびTemannら、1998年J ExpMed 188(7):1307〜1320頁に記載される他のアッセイなどがある。例えば、ネズミ養子移植モデルは、予防、治療、管理、および/または喘息のために、本発明の抗体、組成物、または併用療法の有効性を評価するのに用いられる動物モデルである。マウス養子移植モデルでは、TH1またはTH2レシピエントマウスの空気アレルゲン誘発により、THエフェクター細胞の気道への遊走を生じ、強力な好中球性(TH1)および好酸球性(TH2)肺粘膜炎症反応と関連する(Cohnら、1997年、J.Exp.Med. 186 1737〜1747頁)。気道過敏症は、オバルブミン(Tomkinsonら、2001年、J.Immunol.166:5792〜5800頁)またはマンソン住血吸虫卵抗原(Tesciubaら.、2001年、J.Immunol.167:1996〜2003頁)によってマウス内に誘発される可能性がある。
炎症性疾患の予防または治療における有効性は、例えば、炎症性疾患の1以上の症状を低減する、T細胞活性化を減衰する、T細胞増殖を低減する、1以上のサイトカイン増殖を調節する、サイトカイン産生を低減する、関節、器官または組織の炎症を低減する、あるいは生活の質を改善する、本発明の抗体、組成物、または併用療法の能力を検出することによって実証することができる。
また炎症性疾患の活性における変化は、もろくて膨れた関節数、痛みや疾患の活性の患者および医師のグローバル・スコア、およびESR/CRPを介して評価することができる。構造的関節障害の進展は、手、手首、足におけるX線の定量的スコアリングによって評価することができる(シャープ(Sharp)法)。炎症性疾患のヒトにおける機能的状態の変化は、ヘルスアセスメント質問表(Health Assessment Questionnaire)(HAQ)を用いて評価される場合があり、生活の質の変化はSFによって評価される。
I型アレルギー反応の予防、治療、管理、および/または改善における本発明の抗体、組成物、または併用療法の有効性は、in vitroでIgEの肥満細胞または好塩基球の表面にあるその受容体への結合を阻害する抗IgE抗体を誘導するその能力によって評価することができる。IgEレベルは、イムノアッセイ、ゲル電気泳動に続き、可視化、ラジオイムノソルベント試験(RIST)、放射性アレルゲン吸着試験(RAST)、または当業者に公知の他の任意の方法によってアッセイできる。
ウイルス感染用の動物モデルを用いることで、本発明の抗体、組成物、または併用療法の有効性が評価できる。EBV関連疾患、γヘルペスウイルス、感染性単核球症、サル免疫不全ウイルス(「SIV」)、ボルナ病ウイルス感染症、肝炎、水疱瘡ウイルス感染症、ウイルス性肺炎、病原性エプスタインバーウイルス、ネコ免疫不全ウイルス(「FIV」)、HTLV I型感染症、ヒトロタウイルス、および陰部ヘルペスなどのウイルス感染症用の動物モデルが作製されている(例えば、Hayashiら、2002年、Histol Histopathol 17(4):1293〜310頁;Aricoら、2002年、J Interferon Cytokine Res 22(11):1081〜8頁;Flanoら、2002年、Immunol Res 25(3):201〜17頁;Sauermann、2001年、Curr Mol Med 1(4):515〜22頁;Pletnikovら、2002年、Front Biosci7:d593〜607頁;Englerら、2001年、Mol Immunol38(6):457〜65頁;Whiteら、2001年、Brain Pathol 11(4):475〜9頁;DavisおよびMatalon、2001年、News Physiol Sci 16:185〜90頁;Wang、2001年、Curr Top Microbiol Immunol.258:201〜19頁;Phillipsら、2000年、J Psychopharmacol.14(3):244〜50頁;Kazanji、2000年、AIDS Res Hum Retroviruses.16(16):1741〜6頁;Saifら、1996年、Arch Virol Suppl.12:153〜61頁;およびHsiungら、1984年、Rev Infect Dis.6(1):33〜50頁を参照)。
PIV(例えば、Shephardら、2003年Res Vet Sci 74(2):187〜190頁;Ottoliniら、2002年J Infect Dis 186(12):1713〜1717頁を参照)、RSV(例えば、Culleyら、2002年J Exp Med 196(10):1381〜1386頁;およびCurtisら、2002年Exp Biol Med 227(9):799〜802頁を参照)など(これらに限定されない)のウイルス性呼吸器感染症に対する動物モデル。具体的な実施形態では、コトンラットは、本発明の方法に従って、本発明の抗体、組成物、または併用療法が投与され、105 pfuのRSVでチャレンジされ、4日以上経てからラットが犠牲にされ、RSV滴定濃度および抗RSV抗体血清の滴定濃度が測定される。したがって105pfuのRSVでチャレンジされたが製剤が投与されていないコトンラットに対して、105pfuのRSVでチャレンジされたコトンラットにおけるRSV滴定濃度において2logの低下または99%の低下を生じさせる用量は、RSV感染と関連する1以上の症状の治療、予防または改善のためにヒトに投与することができる製剤の用量である。さらに、この実施形態に従って、犠牲になったラット由来の組織(例えば肺組織)は、組織学的変化について試験可能である。
本発明の抗体、組成物、または併用療法は、ウイルス感染症の経時変化を低減するこれらの能力について試験できる。本発明の抗体、組成物、または併用療法は、ウイルス感染症に罹患するヒトの生存期間を少なくとも25%、好ましくは、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%増加させるその能力について試験可能である。さらに、本発明の抗体、組成物、または併用療法は、ウイルス感染症に罹患しているヒトの入院期間を少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%低減するその能力について試験することも可能である。当業者に公知の技術を用いることで、in vivoで本発明の抗体、組成物、または併用療法の機能が分析できる。
細菌感染症用の動物モデルを用いることで、本発明の抗体、組成物、または併用療法の有効性が評価できる。ヘリコバクターピロリ感染症、生殖器性マイコプラズマ病、原発性硬化性胆管炎、コレラ、シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)による慢性呼吸器感染症、レジオネラ症、胃十二指腸潰瘍疾患、細菌性髄膜炎、胃ヘリコバクター感染症、肺炎球菌性中耳炎、実験的アレルギー性神経炎、癩性神経障害、マイコバクテリア感染症、心内膜炎、アエロモナス(Aeromonas)関連腸炎、バクテロイディス・フラジリス(Bacteroides fragilis)感染症、梅毒、連鎖球菌性心内膜炎、急性血行性骨髄炎、ヒト草原熱、中毒性ショック症候群、嫌気性感染症、大腸菌感染症、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)感染症などの細菌感染症についての動物モデルが作製されている(例えば、Sugiyamaら、2002年、J Gastroenterol.37Suppl 13:6〜9頁;Brownら、2001年、Am J Reprod Immunol.46(3):232〜41頁;Vierling、2001年、Best Pract Res Clin Gastroenterol.15(4):591〜610頁;Klose、2000年、Trends Microbiol.8(4):189〜91頁;Stotlandら、2000年、PediatrPulmonol.30(5):413〜24頁;Brielandら、2000年、Immunopharmacology 48(3):249〜52頁;Lee、2000年、Baillieres Best Pract Res Clin Gastroenterol.14(1):75〜96頁;KoedelおよびPfister、1999年、Infect Dis Clin North Am.13(3):549〜77頁;Nedrud、1999年、FEMS Immunol Med Microbiol.24(2):243〜50頁;Prellnerら、1999年、Microb Drug Resist.5(1):73〜82頁;Vriesendorp、1997年、J Infect Dis.176 Suppl 2:S164〜8頁;ShettyおよびAntia、1996年、Indian J Lepr.68(1):95〜104頁;Balasubramanianら、1994年、Immunobiology 191(4〜5):395〜401頁;Carbonら、1994年、Int J Biomed Comput.36(1〜2):59〜67頁;Haberbergerら、1991年、Experientia.47(5):426〜9頁;Onderdonkら、1990年、Rev Infect Dis.12 Suppl 2:S169〜77頁;WicherおよびWicher、1989年、Crit Rev Microbiol.16(3):181〜234頁;Scheld、1987年、J Antimicrob Chemother.20 Suppl A:71〜85頁;EmslieおよびNade、1986年、Rev Infect Dis.8(6):841〜9頁;Ridgwayら、1986年、Lab Anim Sci.36(5):481〜5頁;QuimbyおよびNguyen、1985年、Crit Rev Microbiol.12(1):1〜44頁;Onderdonkら、1979、Rev Infect Dis.1(2):291〜301頁;Smith、1976年、Ciba Found Symp.(42):45〜72頁、およびTaylor〜Robinson、1976年、Infection.4(1Suppl):4〜8頁を参照)。
本発明の抗体、組成物、または併用療法は、細菌感染症、好ましくは細菌性呼吸器感染症の経時変化を少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%低減するその能力について試験できる。本発明の抗体、組成物、または併用療法は、細菌感染症に罹患するヒトの生存期間を少なくとも25%、好ましくは、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%増加させるその能力について試験できる。さらに、本発明の方法に従って投与される抗体、組成物、または併用療法は、細菌感染症、好ましくは細菌性呼吸器感染症に罹患しているヒトの入院期間を少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%低減するその能力について試験可能である。当業者に公知の技術を用いることで、in vivoで本発明の抗体、組成物、または本発明の併用療法の機能が分析できる。
真菌感染症の予防、管理、治療、または改善における本発明の抗体、組成物、または併用療法の有効性は、そのような感染症用の動物モデルにおいて評価可能である。カンジダ感染症、接合菌症、カンジダ乳腺炎、潜在性トリコスポロン血症を伴う進行性播種性トリコスポロン症、播種性カンジダ症、肺パラコクシジオイデス症、肺アスペルギルス症、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)肺炎、クリプトコッカス(cryptococcal)髄膜炎、コクシジオイデス(coccidioidal)髄膜脳炎および脳脊髄脈管炎、アスペルギルス・ニガー感染症、フサリウム(Fusarium)角膜炎、副鼻腔真菌症、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)心内膜炎、脛骨軟骨発育不全症、カンジタ・グラブラタ(Candida glabrata)膣炎、口腔咽頭内カンジダ症、X連鎖慢性肉芽腫症、足白癬、皮膚カンジダ症、真菌性胎盤炎、播種性トリコスポロン症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、真菌性角膜炎、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)感染症、真菌性腹膜炎、カーブラリア(Curvularia)葉枯病、ブドウ球菌眼内炎、スポロトリクム症、および皮膚糸状菌症などの真菌感染症についての動物モデルが、作製されている(例えば、Arendrupら、2002年、Infection30(5):286〜91頁;Kamei、2001年、Mycopathologia 152(1):5〜13頁;Guhadら、2000年、FEMS Microbiol Lett.192(1):27〜31頁;Yamagataら、2000年、J Clin Microbiol.38(9):32606頁;Andrutisら、2000年、J Clin Microbiol.38(6):2317〜23頁;Cockら、2000年、Rev Inst Med Trop Sao Paulo 42(2):59〜66頁;Shibuyaら、1999年、Microb Pathog.27(3):123〜31頁;Beersら、1999年、J Lab Clin Med.133(5):423〜33頁;Najvarら、1999年、Antimicrob Agents Chemother.43(2):413〜4頁;Williamsら、1988年、J Infect Dis.178(4):1217〜21頁;Yoshida、1988年、Kansenshogaku Zasshi.1998年Jun;72(6):621〜30頁;Alexandrakisら、1998年、Br J Ophthalmol.82(3):306〜11頁;Chakrabartiら、1997年、J Med Vet Mycol.35(4):295〜7頁;Martinら、1997年、Antimicrob Agents Chemother.41(1):13〜6頁;Chuら、1996年、Avian Dis.40(3):715〜9頁;Fidelら、1996年、J Infect Dis.173(2):425〜31頁;Coleら、1995年、FEMS Microbiol Lett.15;126(2):177〜80頁;Pollockら、1995年、Nat Genet.9(2):202〜9頁;Uchidaら、1994年、Jpn J Antibiot.47(10):1407〜12頁;:Maebashiら、1994年、J Med Vet Mycol.32(5):349〜59頁;JensenおよびSchonheyder、1993年、J Exp Anim Sci.35(4):155〜60頁;GokaslanおよびAnaissie、1992年、Infect Immun.60(8):3339〜44頁;Kurupら、1992年、J Immunol.148(12):3783〜8頁;Singhら、1990年、Mycopathologia.112(3):127〜37頁;SalkowskiおよびBalish、1990年、Infect Immun.58(10):3300〜6;Ahmadら、1986年、Am J Kidney Dis.7(2):153〜6頁;Alture-Werber E、Edberg SC、1985、Mycopathologia.89(2):69〜73頁;Kaneら、1981年、Antimicrob Agents Chemother.20(5):595〜9頁;Barbeeら、1977年、Am J Pathol.86(1):281〜4頁;およびMaestroneら、1973、Am J Vet Res.34(6):833〜6頁を参照)。カンジタ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、浸潤性肺アスペルギルス症、ニューモシティス・カリニ(Pneumocystis carinii)、肺クリプトコックス症、シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、カンニンガメラ・バーソレティア(Cunninghamella bertholletia)などの真菌性呼吸器感染症についての動物モデル(例えば、Arataniら、2002年Med Mycol 40(6):557〜563頁;Bozzaら、2002年Microbes Infect4(13):1281〜1290頁;Kurupら、2002年Int Arch Allergy Immunol 129(2):129〜137頁;Horiら、2002年Eur J Immuno 32(5):1282〜1291頁;Riveraら、2002年J Immuno 168(7):3419〜3427頁;Vassalloら、2001年、Am J Respir Cell Mol Biol 25(2):203〜211頁;Wilderら、2002年Am J Respir Cell Mol Biol26(3):304〜314頁;Yonezawaら、2000年J Infect Chemother6(3):155〜161頁;Cacciapuotiら、2000 Antimicrob Agents Chemother 44(8):2017〜2022頁;およびHondaら、1998年Mycopathologia 144(3):141〜146頁を参照)。
本発明の抗体、組成物、または併用療法は、真菌性呼吸器感染症の経時変化を少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%低減するその能力について試験可能である。本発明の抗体、組成物、または併用療法は、真菌性呼吸器感染症に罹患するヒトの生存期間を少なくとも25%、好ましくは、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%増加させるその能力について試験可能である。さらに、本発明の方法に従って投与される抗体、組成物、または併用療法は、真菌性呼吸器感染症に罹患するヒトの入院期間を少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%低減するその能力について試験可能である。当業者に公知の技術を用いることで、in vivoで本発明の抗体、組成物、または併用療法の機能は分析できる。
さらに、当業者に公知の任意のアッセイを用いることで、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性によって特徴づけられる障害または疾患、IL-9Rまたはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性によって特徴づけられる障害または疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)またはその1以上の症状の予防、治療、管理、および/または改善するための、本明細書で開示される抗体、組成物、併用療法の予防的かつ/または治療的な有用性が評価できる。
5.6.4 毒性アッセイ
本発明の予防的かつ/または治療的なプロトコルの毒性および/または有効性は、細胞培養または実験動物における標準的な製薬的手順、例えばLD50(集団の50%が死に至る用量)およびED50(集団の50%に対して治療効果が得られる用量)によって決定できる。毒性効果と治療効果の用量比は、治療指数であり、LD50/ED50比として表現できる。高い治療指数を示す療法が好ましい。毒性の副作用を示す療法を用いることができる一方で、非感染細胞に対する潜在的な損傷を最小限にし、それにより副作用を低減させるために、患部組織部位に上記薬剤を標的にする送達システムを設計するのに注意が払われるべきである。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトへの使用のための予防剤および/または治療剤の用量範囲を調製するのに使用できる。該薬剤の用量は、好ましくは毒性がほとんどないか全くない状態のED50を含む循環濃度(circulating concentration)範囲内にある。用量は、使用される剤形や利用される投与経路に依存して同範囲内で変化する可能性がある。本発明の方法を用いたいかなる治療においても、治療的に有効な用量は、最初は細胞培養アッセイから推定できる。用量を動物モデルにおいて調製することで、細胞培養で決定されるように、IC50(すなわち、症状の半阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲が得ることができる。ヒトにおける有効量をより正確に決めるのに、上記情報は利用できる。血漿濃度は、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定可能である。
さらに、当業者に公知の任意のアッセイを使用することで、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連するかまたはそれに特徴づけられる疾患あるいは障害、IL-9Rまたはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性と関連するかまたはそれによって特徴づけられる疾患あるいは障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)あるいはその1以上の症状に対する、本明細書で開示される抗体、組成物、併用療法の予防的および/または治療的有用性が評価できる。
5.7 抗体の診断的使用
IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する本発明の抗体(抗体フラグメントあるいはその変異体を含む、または両者のいずれかからなる分子を含む)を診断目的に使用することで、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連する障害、IL-9Rまたはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性と関連する障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)あるいはその1以上の症状が検出、診断、予後判定、またはモニターできる。本発明は、(a)IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する本発明の1以上の抗体を用いて、一個人からの生物学的サンプルにおけるIL-9の発現をアッセイすること、および(b)IL-9の発現レベルを、例えば正常な生物学的サンプルにおけるIL-9の標準レベルと比較することを含む、IL-9の異常発現の検出を提供し、それによって、IL-9の標準レベルと比較されるIL-9のアッセイレベルの増減は、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性と関連する障害、IL-9Rまたはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性と関連する障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、または感染症(好ましくは、呼吸器感染症)あるいはその1以上の症状を示唆する。特定の実施形態において、IL-9の異常発現レベルは、自己免疫疾患またはそれと関連する疾患あるいは症状を示唆する。別の具体的な実施形態において、IL-9の異常発現レベルは、喘息などの炎症性疾患またはそれと関連する疾患もしくは症状を示唆する。好ましい実施形態において、IL-9の異常発現レベルは、非限定的に、RSV、PVI、あるいはhMPVなどの呼吸器感染症を示唆する。
好ましい実施形態において、IL-9に免疫特異的に結合する本発明の標識化抗体を診断目的に使用することで、呼吸器感染症、好ましくはRSV感染、PIV感染、またはhMPVを検出し、診断し、予後判定を行い、モニターする。本発明は、(a)IL-9に免疫特異的に結合する本発明の1以上の抗体を用いて、被験者の細胞または組織サンプルにおけるIL-9の発現をアッセイすること、および(b)IL-9の発現レベルを対照レベル、例えば感染していない正常な組織サンプルにおけるレベルと比較することを含む、呼吸器感染症の検出のための方法を提供し、それによって、IL-9の対照レベルと比較したIL-9のアッセイレベルの増加により呼吸器感染症が示唆される。
本発明の抗体を用いることで、本明細書で記載されるまたは当業者に公知の古典的免疫組織学的方法(例えば、Jalkanenら、1985年、J.Cell.Biol.101:976〜985頁;およびJalkanenら、1987年、J.Cell.Biol.105:3087〜3096頁を参照)を用いて、生物学的サンプル中のIL-9レベルがアッセイできる。遺伝子のタンパク質発現の検出に有用な他の抗体に基づく方法として、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)などのイムノアッセイが含まれる。適切な抗体アッセイ標識は当技術分野で公知であり、ブドウ糖酸化酵素などの酵素標識、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(121In)、テクネチウム(99Tc)などのラジオアイソトープ、ルミノールなどの発光標識、ならびにフルオレセインとローダミンなどの蛍光標識、およびビオチンを含む。
本発明の1つの態様は、動物、好ましくは哺乳動物、そして最も好ましくはヒトにおいて、IL-9の異常発現に関連する疾患または障害の検出および診断することである。1つの実施形態において、診断は、a)IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する(抗体フラグメントあるいはその変異体を含む、または両者のいずれかからなる分子を含む)本発明の標識抗体の有効量を被験者に投与すること(例えば、非経口、皮下、あるいは腹腔内)、b)被験者におけるIL-9が発現される部位に標識抗体を優先的に集中させる(かつ非結合標識分子がバックグラウンドレベルまで除去される)ように投与してからしばらくの間待つこと、c)バックグラウンドレベルを決定すること、ならびにd)バックグラウンドレベルを上回り、かつ疾患や障害のない個人において観察されるレベルを上回るかもしくは下回る、標識抗体またはそのフラグメントが検出されることが、被験者がIL-9の異常発現に関連する特定の疾患または障害を有することを示すように、被験者において標識抗体を検出することを含む。検出される標識分子量を特定の系について予め決められた標準値と比較することを含む種々の方法によってバックグラウンドレベルを決定することができる。IL-9の異常発現は、特にリンパ系細胞および骨髄性細胞型において生じ得る。呼吸器感染症のより明確な診断によって、医療専門家はより早期に予防対策をとるか、積極的治療を施すことによって、感染症の発生あるいはさらなる進展を予防することができる。
被験者の大きさと使用される画像システムによって診断画像を作製するのに必要な画像部の画質が決まるということは当業者に理解されるであろう。ラジオアイソトープ成分の場合、ヒト対象にとって、注がれる放射能の線量は通常、99Tcの約5から20ミリキュリーの範囲で変動することになる。次いで、標識抗体は、特異的なタンパク質を含有する細胞の位置で優先的に蓄積することになる。In vivoでの腫瘍画像は、S.W.Burchielら、「Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragments.」(Chapter13 in Tumor Imaging:The Radiochemical Detection of Cancer、S.W.BurchielおよびB.A.Rhodes、編、Masson Publishing Inc.(1982年)に記載される。使用される標識のタイプや投与形式を含むいくつかの変数に依存して、被験者における部位に標識分子を優先的に集中させて非結合標識分子がバックグラウンドレベルまで除去するための投与後の時間間隔は、6〜48時間、6〜24時間、または6〜12時間である。他の実施形態では、投与後の時間間隔は、5〜20日または5〜10日である。
1つの実施形態では、疾患または障害のモニタリングは、例えば、初期診断の1カ月後、初期診断の6カ月後、初期診断の1年後に、疾患あるいは障害の診断法を繰り返すことによって実施される。
患者における標識されたIL-9抗体の存在は、in vivoでのスキャニングのための当技術分野で公知の方法を用いて検出可能である。これらの方法は、使用される標識のタイプに左右される。当業者は、特定の標識を検出するための適切な方法を決定できるであろう。本発明の診断方法において使用される可能性がある方法および装置として、非限定的に、コンピュータ断層撮影(CT)、陽電子放射断層法(PET)、磁気共鳴画像法(MRI)、および断層撮影などの全身スキャンが含まれる。
特定の実施形態では、IL-9抗体は、ラジオアイソトープで標識され、患者において放射線反応手術器具(Thurstonら、米国特許第5,441,050号)を用いて検出される。別の実施形態では、IL-9抗体は、蛍光化合物で標識され、患者において蛍光反応走査機器を用いて検出される。別の実施形態では、IL-9抗体は、陽電子放射金属で標識され、患者において陽電子放射断層法を用いて検出される。さらに、別の実施形態では、IL-9抗体は、常磁性標識で標識され、患者において磁気共鳴画像法(MRI)を用いて検出される。
(抗体フラグメントあるいはその変異体を含む、または両者のいずれかからなる分子を含む)本発明の抗体は、そのIL-9発現またはIL-9受容体の発現によって細胞株および生物学的サンプルの免疫表現型分類に利用することができる。本発明の抗体、フラグメント、または変異体を用いて種々の技術を利用することで、(IL-9および/またはIL-9受容体、特に免疫細胞すなわち、TおよびBリンパ球、肥満細胞、好酸球、マクロファージ、好中球、上皮細胞すなわちIL-9受容体を発現する)細胞集団をスクリーニングでき、同技術としては、抗体で被覆された磁気ビーズを用いた磁気分離、固体マトリックス(すなわちプレート)に結合した抗体による「パニング」、およびフローサイトメトリーが含まれる(例えば、米国特許第5,985,660号;およびMorrisonら、Cell、96:737〜49頁(1999年)を参照)。
これらの技術は、血液悪性腫瘍(すなわち、急性白血病患者における微小残存病変(MRD))と共に発見し得る特定の細胞集団のスクリーニングおよび移植における「非自己」細胞による移植片対宿主病(GVHD)の予防を可能にする。あるいは、これらの技術は、ヒト臍帯血で発見し得る増殖および/または分化する能力を有する造血性幹細胞および造血性前駆細胞のスクリーニングを可能にする。
5.8 キット
本発明は、上記方法において使用可能なキットを提供する。1つの実施形態において、キットは、1以上の容器内に、本発明の抗体、好ましくは精製された抗体を含む。別の実施形態において、キットは、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する本発明の抗体フラグメントを含む。特定の実施形態において、本発明のキットは、対照として実質上単離されたIL-9ポリペプチドを含有する。好ましくは、本発明のキットは、さらにIL-9ポリペプチドと反応しない対照抗体を含む。別の特定の実施形態において、本発明のキットは、IL-9ポリペプチドに対する抗体の結合を検出するための手段を含む(例えば、抗体は、蛍光化合物、酵素基質、放射性化合物または発光化合物などの検出可能な基質にコンジュゲートする場合があり、または一次抗体を認識する二次抗体は、検出可能な基質にコンジュゲートする場合がある)。特定の実施形態において、キットは、組換え技術によって産生された、または化学的に合成されたIL-9ポリペプチドを含む場合がある。キットで提供されるIL-9ポリペプチドは、固体支持体に結合される場合もある。より特定の実施形態では、上記キットの検出手段は、IL-9ポリペプチドが結合される固体支持体を含む。このようなキットは、さらに非結合性のレポーターで標識された抗ヒト抗体を含む場合がある。この実施形態では、抗体のIL-9ポリペプチドに対する結合は、該レポーター標識抗体の結合によって検出可能である。
さらなる実施形態において、本発明は、IL-9ポリペプチドを含有する血清のスクリーニングに使用するための診断キットを含む。診断キットは、IL-9ポリペプチドに特異的な免疫応答性の、実質上単離された抗体、および抗体に対するIL-9ポリペプチドの結合を検出するための手段を含む。1つの実施形態において、抗体は固体支持体に結合される。具体的な実施形態において、抗体はモノクローナル抗体である場合がある。キットの検出手段は、二次抗体である標識モノクローナル抗体を含む場合がある。あるいは、またはこれに加えて、検出手段は標識された競合性抗原を含む場合がある。
5.9 製造物品
本発明は、完成パッケージおよび標識された医薬製品を包含する。本製造物品は、密封シールされたグラスバイアルあるいは他の容器などの適切な容器中に適切な単位投与形態を含む。本医薬製品は、pH6.0で10mMのヒスチジン緩衝液および150mMの塩化ナトリウムを含有する滅菌液体として、単一用量のバイアル中で製剤化し得る。溶液の各1.0mLは、注射用の水中にタンパク質100mg、ヒスチジン1.6mgおよび塩化ナトリウム8.9mgを含有する場合がある。製造過程において、製剤緩衝液のpHは塩酸を用いて6.0に調節される。非経口投与に適する剤形の場合、活性成分、例えば、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する本発明の抗体は、無菌で、かつ粒子の存在しない溶液としての投与に適している。言い換えると、本発明は、非経口溶液および凍結乾燥された粉末の両方を包含し、各々は無菌であり、後者は注射前の再構成に適している。または、その単位投与形態は、経口、経皮、鼻腔、あるいは局所送達に適した固体である場合がある。
好ましい実施形態としては、その単位投与形態は、静脈内、筋肉内、鼻腔内、経口、局所または皮下送達に適している。故に、本発明は、好ましくは無菌で、各送達経路に適した溶液を包含する。
あらゆる医薬製品と同様に、梱包される物質および容器は、保存および出荷の間における製品の安定性を保護するように設計される。さらに、本発明の製品は、問題になっている疾患または障害の適切な予防や治療の仕方について、医師、技術者あるいは患者に教示する取扱説明書あるいは他の関連情報を含む。言い換えると、製造物品は、実用量、モニター方法、総リンパ球数、肥満細胞数、T細胞数、IgE産生、および他のモニター情報などを含む(これらに限定されない)、投与計画を指示または示唆する指示手段を含む。
特に本発明は、例えばボックス、ボトル、チューブ、バイアル、容器、スプレー、吸入器、静脈(i.v.)バッグ、エンベロープなどの包装材、およびこの包装材の中に含まれる少なくとも1単位投与形態の薬剤を含む製造物品を提供する。ここで該薬剤は、IL-9に免疫特異的に結合する抗体を含み、該包装材は、本明細書に記載されるように、特定の用量を投与しかつ特定の投与計画を用いることにより、前記抗体を用いて、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連する疾患またはIL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連する疾患に関連する1以上の症状、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、感染症(好ましくは、呼吸器感染症)、あるいはその1以上の症状を予防し、管理し、治療し、かつ/または改善できることを示す指示手段を含む。
本発明は、例えばボックス、ボトル、チューブ、バイアル、容器、スプレー、吸入器、静脈(i.v.)バッグ、エンベロープなどの包装材、およびこの包装材の中に含まれる少なくとも1単位投与形態の各薬剤を含む製造物品も提供する。該薬剤は、一方のIL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する第1の抗体を含み、もう一方の薬剤はIL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する第2の異なる抗体を含み、また該包装材は、本明細書に記載されるように、特定の用量を投与しかつ特定の投与計画を用いることにより、該薬剤を用いて、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連する疾患、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連する疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、感染症(好ましくは、呼吸器感染症)、またはその1以上の症状を治療し、予防し、かつ/または改善できることを示す指示手段を含む。
本発明はまた、ボックス、ボトル、チューブ、バイアル、容器、スプレー、吸入器、静脈(i.v.)バッグ、エンベロープなどの包装材、およびこの包装材の中に含まれる少なくとも1単位投与形態の各薬剤を含む製造物品を提供する。ここで一方の薬剤はIL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する第1の抗体を含み、もう一方の薬剤はIL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体以外の予防剤あるいは治療剤を含み、かつ該包装材は、本明細書に記載されるように、特定の用量を投与し、かつ特定の投与計画を用いることにより、該薬剤を用いて、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性に関連する疾患、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性に関連する疾患に関連する1以上の症状、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性疾患、感染症(好ましくは、呼吸器感染症)、またはその1以上の症状を治療し、予防し、かつ/または改善できることを示す指示手段を含む。
本発明は、自己免疫疾患、炎症性疾患または感染症と関連する1以上の症状を予防し、治療し、および/または改善するのに用いる製造物品に添付された関連情報中に、本発明の方法によって低下し、または回避し得る副作用が示されているものを提供する。本発明の方法によって低下し、または回避し得る副作用として、バイタルサインの異常(発熱、頻脈、徐脈、高血圧、低血圧)、血液の現象(貧血、リンパ球減少症、白血球減少症、血小板減少症)、頭痛、悪寒、目まい、悪心、無気力、背痛、胸痛(胸部圧迫感)、下痢、筋肉痛、疼痛、痒み、乾癬、鼻炎、発汗、注射部位反応、および血管拡張が含まれるがこれらに限定されない。IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する本発明の抗体は免疫抑制性を示すことがあるため、免疫抑制が長引くことで、日和見感染症などの感染症にかかるリスクが増大する場合がある。長期的かつ持続的な免疫抑制を行うことによって、特定のタイプの癌の発症リスクの上昇を招く可能性もある。
さらに、IL-9ポリペプチドの異常発現および/または活性によって特徴づけられる疾患、IL-9Rもしくはその1以上のサブユニットの異常発現および/または活性によって特徴づけられる疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、増殖性疾患、感染症(好ましくは、呼吸器感染症)、あるいはその1以上の症状の予防、治療、管理、および/または改善に用いる製造物品に添付される関連情報は、外来タンパク質がアナフィラキシーまたはシトシン分泌症候群を含むアレルギー反応をも引き起こし得る旨を示すことができる。関連情報には、アレルギー反応が軽度の掻痒性発疹の様相のみを呈し得るか、あるいはこれらが紅皮症、スティーブンス-ジョンソン症候群、脈管炎、またはアナフィラキシーなどの重篤であり得るかが示される必要がある。関連情報には、アナフィラキシー反応(アナフィラキシー)は重症であって時には致命的な超過敏反応を呈することも示される必要がある。任意の外来タンパク質が体内に注射される場合には、アナフィラキシーを含むアレルギー反応が起こる可能性がある。アレルギー反応の範囲は、じんましん、発疹などの軽度の症状から致命的な全身性反応まで及ぶかもしれない。アナフィラキシー反応は、曝露後すぐ、通常は10分以内に起こる。患者は、感覚異常、低血圧、喉頭水腫、精神状態の変化、顔面または咽頭における血管浮腫、気道閉塞、気管支けいれん、じんましんと痒み、血清病、関節炎、アレルギー性神経炎、糸球体腎炎、一過性関節炎、または好酸球増多症を経験し得る。
5.10 抗体の産生方法
抗原に免疫特異的に結合する抗体は、抗体合成のための当該技術で既知の任意の方法、特に化学合成または好ましくは、組換え発現技術によって、産生可能である。
抗原に免疫特異的に結合するポリクローナル抗体は、当該技術で周知の種々の方法によって産生可能である。例えば、ウサギ、マウス、ラットなど(これらに限定されない)の種々の宿主動物にヒト抗原を投与して、ヒト抗原に特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導することが可能である。種々のアジュバントは、宿主の種類に応じて免疫応答を亢進させるのに用いることができ、フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどの天然ゲル、リゾレシチンなどの界面活性物質、プルロニックポリオール(pluronic polyol)、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェニル、およびBCG(カルメットゲラン菌)、コリネバクテリウム・パルヴム(corynebacterium parvum)などの潜在的に有用なヒトアジュバントを含むがこれらに限定されない。このようなアジュバントも当該技術分野で周知である。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組み換え、およびファージディスプレイ技術、またはこれらの組合せの利用など、当該技術分野で既知である多種多様な技術を用いて調製できる。例えば、モノクローナル抗体は、当該技術分野で既知の技術や、例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988年);Hammerlingら、Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563〜681頁(エルゼビア、ニューヨーク州、1981年)(これら参考文献はその全体を参照により本明細書に組み入れる)において教示される技術を含む、ハイブリドーマ技術を用いて産生可能である。本明細書で用いられる「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術により産生される抗体に限定されない。「モノクローナル抗体」という用語は、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンなどの単一クローン由来の抗体を指し、それが産生される方法を指すものではない。
ハイブリドーマ技術を用いて特異的抗体を産生し、スクリーニングする方法は、当該技術分野では慣用かつ周知である。つまり、マウスは、IL-9ポリペプチドによって免疫性が与えられ、一旦免疫応答が検出される、例えばIL-9に特異的な抗体がマウス血清において検出されると、マウス脾臓が採取されて脾細胞が単離される。次いで、周知の技術によって脾細胞は任意の適切な骨髄腫細胞、例えばATCCから利用可能な細胞株SP20由来の細胞と融合される。ハイブリドーマは、限界希釈法によって選択され、クローニングされる。さらに、RIMMS(繰り返し免疫化複数部位(repetitive immunization multiple sites))技術を用いて動物を免疫することができる(Kilptrackら、1997年Hybridoma16:381〜9頁、参照によりその全体を本明細書に組み入れる)。次いで、ハイブリドーマクローンは、本発明のポリペプチドに結合可能な抗体を分泌する細胞について当該技術で既知の方法でアッセイされる。一般に高レベルの抗体を含む腹水は、陽性のハイブリドーマクローンでマウスを免疫することによって作製できる。
したがって、本発明は、本発明の抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を培養することによって抗体を産生する方法を提供する。この場合、好ましくは、IL-9ポリペプチドと結合可能な抗体を分泌するハイブリドーマクローンのために、IL-9ポリペプチドで免疫されたマウスから単離された脾細胞を骨髄腫細胞と融合し、次いでその融合から得られたハイブリドーマをスクリーニングすることによってハイブリドーマが作製される。
特異的なIL-9エピトープを認識する抗体フラグメントは、当業者に既知のいかなる技術によっても産生可能である。例えば、本発明のFabおよびF(ab')2フラグメントは、パパイン(Fab断片を産生する)やペプシン(F(ab')2フラグメントを産生する)などの酵素を使用して、免疫グロブリン分子のタンパク質分解による切断によって産生し得る。F(ab')2断片は、可変領域、軽鎖の定常領域および重鎖のCH1ドメインを有する。さらに、本発明の抗体は、当該技術分野で既知の様々なファージディスプレイ法を用いても作製可能である。
ファージディスプレイ法では、機能的な抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を運搬するファージ粒子の表面上に提示される。特に、VHおよびVLドメインをコードするDNA配列は、動物cDNAライブラリー(例えば、ヒトまたはマウスの罹患組織のcDNAライブラリー)から増幅される。VHおよびVLドメインをコードするDNAは、PCRによってscFvリンカーと共に組み換えられ、ファージミドベクター中にクローニングされる。ベクターは、大腸菌の中にエレクトロポレートされ、大腸菌はヘルパーファージによって感染される。これらの方法で使用されるファージは、典型的にはfdおよびM13を含む線状ファージであり、VHおよびVLドメインは、通常は組み換え的にファージ遺伝子IIIもしくは遺伝子VIIIに融合される。特定の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原、例えば標識抗原あるいは固体表面もしくはビーズに結合または捕捉された抗原を用いて、選択または同定し得る。本発明の抗体を作製するのに利用可能なファージディスプレイ法の例として、Brinkmanら、1995年、J.Immunol.Methods 182:41〜50頁;Amesら、1995年、J.Immunol.Methods 184:177〜186頁;Kettleboroughら、1994年、Eur.J.Immunol.24:952〜958頁;Persicら、1997年、Gene 187:9〜18頁;Burtonら、1994年、Advances in Immunology 57:191〜280頁;PCT出願番号.PCT/GB91/O1 134;国際公開番号WO 90/02809、WO 91/10737、WO 92/01047、WO 92/18619、WO 93/11236、WO 95/15982、WO 95/20401、およびW0 97/13844;および米国特許第5,698,426号、米国特許第5,223,409号、米国特許第5,403,484号、米国特許第5,580,717号、米国特許第5,427,908号、米国特許第5,750,753号、米国特許第5,821,047号、米国特許第5,571,698号、米国特許第5,427,908号、米国特許第5,516,637号、米国特許第5,780,225号、米国特許第5,658,727号、米国特許第5,733,743号および米国特許第5,969,108号(これらはそれぞれ、参照によってその全体を本明細書に組み入れる)に開示される方法が含まれる。
上記参照に記載されているように、ファージ選択の後、ファージ由来の抗体コード領域を単離して用いることで、ヒト抗体、または他のあらゆる所望の抗原結合フラグメントを含む全抗体が作製され、例えば下記に記載するように、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含むあらゆる所望の宿主中で発現できる。Fab、Fab'およびF(ab')2断片を組み換え的に産生する技術は、PCT公開番号WO 92/22324;Mullinaxら、1992年、Bio Techniques 12(6):864〜869頁;Sawaiら、1995年、AJRI34:26〜34頁;およびBetterら、1988年、Science240:1041〜1043頁(これら参考文献は、参照によりその全体を本明細書に組み入れる)に開示される方法などの当該技術分野で既知の方法を用いて使用することも可能である。
全抗体を作製するために、制限部位、制限部位を保護するフランキング配列およびVHまたはVLヌクレオチド配列を含むPCRプライマーを用いることで、csFvクローンにおけるVHまたはVL配列の増幅が可能である。当業者に公知のクローニング技術を利用して、PCR増幅されたVHドメインは、例えばヒトγ4定常領域といったVH定常領域を発現するベクター中にクローニングでき、またPCR増幅されたVLドメインは、例えばヒトカッパーあるいはラムダ定常領域といったVL定常領域を発現するベクター中にクローニングできる。好ましくは、VHまたはVLドメインを発現するためのベクターは、EF-1αプロモーター、分泌シグナル、可変ドメイン、定常ドメインに対するクローニング部位、ならびにネオマイシンなどの選択マーカーを含む。VHおよびVLドメインは、必須の定常領域を発現する1つのベクター中にクローニングすることもできる。次いで、重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターは、細胞株中に同時トランスフェクトされ、当業者に既知の技術を用いて、例えばIgGといった完全長の抗体を発現する安定的または一過性の細胞株が産生される。
ヒト抗体のin vivoでの使用およびin vitroでの検出アッセイを含むいくつかの使用については、ヒト抗体またはキメラ抗体の使用が好ましい場合がある。完全ヒト抗体は、ヒト対象の治療にとって特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列由来の抗体ライブラリーを用いて、上記ファージディスプレイ法を含む当該技術分野で既知の様々な方法によって作製可能である。さらに、米国特許第4,444,887号および米国特許第4,716,111号;および国際公開WO 98/46645、WO 98/50433、WO 98/24893、W0 98/16654、WO 96/34096、WO 96/33735、ならびにWO 91/10741(これらの各参考文献は、参照によりその全体を本明細書に組み入れる)を参照されたい。
ヒト抗体は、機能的内因性免疫グロブリンを発現できないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現できるトランスジェニックマウスを用いて作製することも可能である。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、無作為にまたは相同組換えによってマウス胚幹細胞中に導入し得る。あるいは、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域は、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えて、マウス胚幹細胞中に導入することができる。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の相同組換えによる導入と別々にあるいは同時に、機能が発揮されない場合がある。特に、JH領域のホモ接合性欠失によって、内因性抗体の産生が抑制される。改変されたES細胞は、拡張され、胚盤胞中に微量注入されることにより、キメラマウスが作製される。次いで、キメラマウスは飼育され、ヒト抗体を発現するホモ接合性の子孫が生じる。トランスジェニックマウスは、例えば本発明のポリペプチドの全部あるいは一部といった選択された抗原によって通常の方法で免疫が付与される。抗原に対するモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いて免疫が付与されたトランスジェニックマウスから得られる。トランスジェニックマウスに内在されるヒト免疫グロブリントランス遺伝子は、B細胞の分化中に再構成し、続いてクラス転換および体細胞突然変異を経る。このように上記技術を用いて、治療に有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するこの技術の概要については、LonbergおよびHuszar(1995年、Int.Rev.Immunol.13:65〜93頁)を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するこの技術、ならびにそのような抗体を産生するためのプロトコルの詳細な議論については、例えば、PCT公開番号WO 98/24893、WO 96/34096、およびWO 96/33735;および米国特許第5,413,923、米国特許第5,625,126号、米国特許第5,633,425、米国特許第5,569,825、米国特許第5,661,016号、米国特許第5,545,806号、米国特許第5,814,318号、および米国特許第5,939,598号(これらは参照によりその全体を本明細書に組み入れる)を参照されたい。さらに、Abgenix、Inc.(フリーモント、カリフォルニア州)、Genpharm(サンホセ、カリフォルニア州)などの企業は、上記の技術に類似する技術を用いて選択された抗原に対するヒト抗体を提供することを保証し得る。
キメラ抗体は、抗体の種々の部分が種々の免疫グロブリン分子に由来する分子である。キメラ抗体を産生するための方法は、当該技術分野において既知である。例えば、Morrison、1985年、Science229頁:1202;Oiら、1986年、Bio Techniques4:214頁;Gilliesら、1989年、J.Immunol.Methods 125:191〜202頁;および米国特許第5,807,715号、米国特許第4,816,567号、米国特許第4,816,397号、および米国特許第6,331,415号(これらは参照によりその全体を本明細書に組み入れる)を参照されたい。
ヒト化抗体は、所定の抗原と結合でき、実質的にヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するフレームワーク領域と実質的に非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するCDRとを含む抗体またはその変異体もしくはそのフラグメントである。ヒト化抗体は、実質的に少なくとも1箇所および通常は2箇所の可変ドメイン(Fab、Fab'、F(ab')2、Fabc、Fv)のすべてを含み、ここで、すべてあるいは実質的にすべてのCDR領域が非ヒト免疫グロブリン(すなわちドナー抗体)の領域に対応し、すべてあるいは実質的にすべてのフレームワーク領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列領域である。好ましくは、ヒト化抗体は、さらに少なくとも免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部、通常はヒト免疫グロブリンの一部を含む。通常、抗体は、軽鎖および少なくとも重鎖の可変ドメインの両方を含むことになる。抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3およびCH4領域を含む。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む免疫グロブリンのいずれかのクラスと、IgGl、IgG2、IgG3およびlgG4を含むいずれかのアイソタイプから選択することができる。ヒト化抗体が細胞毒性活性を示すことが望ましい場合は、通常、定常ドメインは補体結合性定常ドメインであり、そのクラスは通常IgG1である。このような細胞毒性活性は望ましくない場合は、定常ドメインはIgG2クラスであってもよい。ヒト化抗体は、2以上のクラスまたはアイソタイプ由来の配列を含む場合があり、所望のエフェクター機能を最適化するために特定の定常ドメインを選択することは、当業者の技術の範囲内である。ヒト化抗体のフレームワーク領域およびCDR領域が親配列に正確に対応する必要はなく、例えば、ドナーCDRまたはコンセンサスフレームワークは、少なくとも1つの残基の置換、挿入または欠失によって変異誘発される可能性があるため、その部位でのCDRまたはフレームワークの残基は、コンセンサスまたは導入抗体のいずれにも対応しない。しかしながら、上記突然変異は大規模ではないであろう。少なくとも75%のヒト化抗体残基が親FRおよびCDR配列の残基と一致し、大抵は90%以上で、最も好ましくは95%以上で一致するであろう。ヒト化抗体は、CDR移植(欧州特許EP 239、400;国際公開WO 91/09967;および米国特許第5,225,539号、米国特許第5,530,101号、および米国特許第5,585,089号)、ベニアリング(veneering)またはリサーフェイシング(resurfacing)(欧州特許番号EP592,106およびEP519,596;Padlan、1991年、Molecular Immunology 28(4/5):489〜498頁;Studnickaら、1994年、Protein Engineering7(6):805〜814頁;およびRoguskaら、1994年、PNAS91:969〜973頁)、チェインシャッフリング(chain shuffling)(米国特許第5,565,332号)、ならびに例えば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、WO9317105、Tanら、J.Immunol.169:1119〜25頁(2002年)、Caldasら、Protein Eng.13(5):353〜60頁(2000年)、Moreaら、Methods20(3):267〜79頁(2000年)、Bacaら、J.Biol.Chem.272(16):10678〜84頁(1997年)、Roguskaら、Protein Eng.9(10):895〜904頁(1996年)、Coutoら、Cancer Res.55頁(23Supp):5973〜5977頁(1995年)、Coutoら、Cancer Res.55(8):1717〜22頁(1995年)、Sandhu JS、Gene 150(2):409〜10頁(1994年)、およびPedersenら、J.Mol.Biol.235(3):959〜73頁(1994年)で開示されている技術など(これらに限定されない)、当該技術分野で既知の種々の技術を用いて作製可能である。多くの場合、フレームワーク領域におけるフレームワーク残基は、CDRドナー抗体由来の対応する残基で置換されることで、抗原結合は改変され、好ましくは改善されることになる。これらのフレームワーク置換は、当該技術分野で周知の方法、例えば、CDR残基とフレームワーク残基との相互作用をモデリングして抗原結合にとって重要なフレームワーク残基を同定し、配列比較して特定位置における異常なフレームワーク残基を同定することによって同定される。(例えば、Queenら、米国特許第5,585,089号;およびRiechmannら、1988年、Nature332:323頁を参照。これらは参照によりその全体を本明細書に組み入れる)。
単独ドメイン抗体、例えば軽鎖を欠く抗体は、当該技術分野で周知の方法によって作製し得る。Riechmannら、1999年、J.Immuno.231:25〜38頁;Nuttallら、2000年、Curr.Pharm.Biotechnol.1(3):253〜263頁;Muylderman、2001年、J.Biotechnol.74(4):277302;米国特許第6,005,079号;および国際公開WO 94/04678、WO 94/25591およびWO 01/44301を参照されたい。これらはそれぞれ参照によりその全体を本明細書に組み入れる。
さらに、抗原(例えばIL-9ポリペプチド)に免疫特異的に結合する抗体は、当業者に周知の技術を用いて、抗原を「模倣する」抗イディオタイプ抗体を作製するために順次利用することができる(例えば、GreenspanおよびBona、1989年、FASEB J.7(5):437〜444頁;およびNissinoff、1991年、J.Immunol.147(8):2429〜2438頁を参照)。
5.10.1 抗体をコードするポリヌクレオチド配列
本発明は、抗原(例えばIL-9ポリペプチド)に免疫特異的に結合する抗体またはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明は、上記で定義される高ストリンジェント、中または低ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドをも包含する。
当該技術分野で既知のあらゆる方法によって、ポリヌクレオチドを得て、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することもできる。4D4、4D4 H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、22D3、7F3com-3H5、および7F3com-3D4のアミノ酸配列は既知であるので、これらの抗体をコードするヌクレオチド配列は、当該技術分野で周知の方法を用いて決定可能である。すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られているヌクレオチドコドンは、抗体をコードする核酸を生じるように構築される。抗体をコードする上記ポリヌクレオチドは(例えばKutmeierら、1994年、Bio Techniques17:242頁に記載されるように)化学合成されたオリゴヌクレオチドから構築することができ、簡潔に言うと、これは抗体、フラグメント、またはその変異体をコードする配列の一部を含む重複(overlapping)オリゴヌクレオチドの合成、これらのオリゴヌクレオチドのアニーリングおよび連結、ならびに連結したオリゴヌクレオチドをPCRによって増幅することを含む。
あるいは、抗体をコードするポリヌクレオチドは、適切な起源に由来する核酸から産生することができる。特定の抗体をコードする核酸を含むクローンは利用できないが、抗体分子の配列が既知である場合には、免疫グロブリンをコードする核酸は化学合成してもよいし、または適切な起源(例えば、抗体cDNAライブラリー、あるいは本発明の抗体を発現するために選択されるハイブリドーマ細胞などの抗体を発現する任意の組織または細胞から作製したcDNAライブラリー、またはそれらから単離される核酸、好ましくはポリA+RNA)から、該配列の3'および5'末端にハイブリダイズし得る合成プライマーを用いたPCR増幅によって、あるいは特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いたクローニングにより例えば抗体をコードするcDNAクローンをcDNAライブラリーから同定することによって、得てもよい。次いで、PCRによって生成される増幅核酸は、当該技術分野で周知の任意の方法を用いて、複製可能なクローニングベクター中にクローニングすることができる。
一旦抗体のヌクレオチド配列が決定されると、抗体のヌクレオチド配列を例えば、組換えDNA技術、部位特異的突然変異誘発、PCRなど(例えば、Sambrookら、1990年、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、第2版、コールドスプリングハーバー研究所、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州およびAusubelら、編、1998年、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、ニューヨーク州(これらは参照によりその全体を本明細書に組み入れる)に記載される技術を参照されたい)、ヌクレオチド配列の操作に関する当該技術分野で周知の方法を用いて操作することで、例えばアミノ酸置換、欠失、および/または挿入を作製して、種々のアミノ酸配列を有する抗体を作製し得る。
特定の実施形態において、1以上のCDRは、通常の組換えDNA技術を用いてフレームワーク領域内に挿入される。フレームワーク領域は天然に生じるフレームワーク領域もしくはコンセンサスフレームワーク領域、好ましくはヒトフレームワーク領域(例えば、ヒトフレームワーク領域のリストについては、Chothiaら、1998年、J.Mol.Biol.278:457〜479頁を参照のこと)であり得る。好ましくは、フレームワーク領域とCDRの組合せによって作製されるポリヌクレオチド配列は、特定の抗原(例えばIL-9ポリペプチド)に免疫特異的に結合する抗体をコードする。好ましくは、1以上のアミノ酸置換はフレームワーク領域内で作製することができ、好ましくは、該アミノ酸置換は抗体のその抗原に対する結合を改善する。さらに、上記方法を用いて鎖間のジスルフィド結合に関与する可変領域の1以上のシステイン残基にアミノ酸置換または欠失を作製して、1以上の鎖間ジスルフィド結合を欠く抗体分子を作製してもよい。ポリヌクレオチドに対する他の改変は、本発明に包含され、かつ当業者の技術範囲内である。
5.10.2 抗体の組換え発現
IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する本発明の抗体(例えば、本発明の抗体の重鎖もしくは軽鎖またはそのフラグメントあるいは本発明の一本鎖抗体)の組換え発現は、抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築を必要とする。一旦本発明の抗体分子、抗体の重鎖もしくは軽鎖、またはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド(好ましくは、重鎖または軽鎖可変ドメインを含むが常ではない)が得られると、抗体分子を産生するためのベクターは、当該技術分野で周知の技術を用いて、組換えDNA技術によって作製することができる。故に、ヌクレオチド配列をコードする抗体を含むポリヌクレオチドを発現することによってタンパク質を調製する方法が本明細書で記載される。当業者に周知の方法を使用することで、配列ならびに適切な転写および翻訳の制御シグナルをコードする抗体を含む発現ベクターが構築できる。これらの方法として、例えば、in vitroでの組換えDNA技術、合成技術、およびin vivoでの遺伝的組換えが含まれる。したがって、本発明は、プロモーターと機能的に連結された、本発明の抗体分子、抗体の重鎖もしくは軽鎖、抗体の重鎖もしくは軽鎖可変ドメインまたはそのフラグメント、あるいは重鎖もしくは軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む、複製可能なベクターを提供する。上記ベクターは、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含むことがあり(例えば、国際公開WO 86/05807;国際公開WO 89/01036;および米国特許第5,122,464号を参照)、抗体の可変ドメインは、完全な重鎖、完全な軽鎖、あるいは完全な重鎖と軽鎖の両方を発現するために、上記ベクター中にクローニングすることもできる。
発現ベクターは、従来の技術によって宿主細胞に移され、次いでトランスフェクトされた細胞は、従来の技術によって培養されて、本発明の抗体が産生される。したがって、本発明は、異種プロモーターと機能的に連結された、本発明の抗体もしくはそのフラグメント、その重鎖もしくは軽鎖またはそのフラグメント、あるいは本発明の一本鎖抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞を含む。二本鎖抗体の発現に好適な実施形態では、下記に記載するように、重鎖および軽鎖の両方をコードするベクターは、完全な免疫グロブリン分子の発現のために、宿主細胞において同時発現することもできる。
種々の宿主-発現ベクター系は、本発明の抗体分子を発現するのに利用し得る(例えば、米国特許第5,807,715号を参照)。このような宿主-発現系は、目的のコード配列が作製され、続いて精製されるための媒体を示すが、適切なヌクレオチドコード配列によって形質転換またはトランスフェクトされる際に本発明の抗体分子をin situで発現し得る細胞も示す。これらとして、非限定的に、抗体コード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、大腸菌および枯草菌(B.subtilis))などの微生物、抗体コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えばサッカロマイセス・ピキア(Saccharomyces Pichia))、抗体コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系、抗体コード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えばTiプラスミド)で形質転換されたかまたは組換えウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染したまたは植物細胞系、あるいは哺乳類細胞ゲノム由来のプロモーター(例えばメタロチオネインプロモーター)または哺乳類ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を保有する哺乳類細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NSO、および3T3細胞)が含まれる。好ましくは、大腸菌などの細菌細胞、より好ましくは真核細胞が、特に完全な組換え抗体分子の発現のために、組換え抗体分子の発現に用いられる。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な即時型初期遺伝子プロモーター要素などを含むベクターを伴うチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳類細胞が抗体の有効な発現系である(Foeckingら、1986年、Gene 45:101頁;およびCockettら、1990年、Bio/Technology8:2頁)。特定の実施形態では、IL-9ポリペプチドまたはそのフラグメントに免疫特異的に結合する本発明の抗体、誘導体、アナログ、またはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列の発現は、構成性プロモーター、誘導性プロモーターまたは組織特異的なプロモーターによって調節される。
細菌系では、多数の発現ベクターが、発現される抗体分子を対象とする使用に依存して有利に選択することができる。例えば、そのような抗体が大量に産生されるべき場合には、抗体分子の医薬品組成物の生成のために、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を指揮するベクターが望ましいかもしれない。該ベクターとして、抗体コード配列が個々にlac Zコード領域と共にフレームにおいてベクターにライゲーションされ、融合タンパク質が産生される大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherら、1983、EMBO 12:1791)、pINベクター(InouyeおよびInouye、1985年、Nucleic Acids Res.13:3101〜3109頁;Van HeekeおよびSchuster、1989年、J.Biol.Chem.24:5503〜5509頁)などが含まれるがこれらに限定されない。pGEXベクターを使用することによっても、グルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)を伴う融合タンパク質として外来ポリペプチドが発現し得る。一般に、該融合タンパク質は可溶性で、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着および結合の後に遊離グルタチオンの存在下で溶出することにより、溶解細胞から容易に精製可能である。pGEXベクターをトロンビンまたは因子Xaプロテアーゼ切断部位を含むように設計することで、クローニングされた標的遺伝子産物はGST部分から放出可能である。
昆虫系では、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)が外来遺伝子を発現するベクターとして使用される。ウイルスは、スポドプテラ・フルギペルタ(Spodoptera frugiperda)細胞内で増殖する。抗体コード配列は、ウイルスの非必須領域(例えばポリヘドリン遺伝子)中に個々にクローニングされ、AcNPVプロモーター(例えばポリヘドリンプロモーター)の制御下に置かれる場合がある。
哺乳類の宿主細胞では、多数のウイルスに基づく発現系が利用されることがある。アデノウイルスが発現ベクターとして用いられる場合、目的の抗体コード配列は、例えば、後期プロモーターおよびトリパータイトリーダー(tripartite leader)配列といったアデノウイルス転写/翻訳制御複合体と連結し得る。次いで、このキメラ遺伝子は、in vitroまたはin vivoでの組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノム(例えば、ElまたはE3領域)を非必須領域中に挿入すると、感染宿主内で生存可能かつ抗体分子を発現可能な組換えウイルスが生じる(例えば、LoganおよびShenk、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8 1:355〜359頁を参照)。特定の開始シグナルは、挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳にとっても必要な場合がある。これらのシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接配列を含む。さらに、開始コドンは、所望のコード配列のリーディングフレームと一致することで、完全な挿入の翻訳を確実にしなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の種々の起点である可能性がある。発現効率は、適切な転写エンハンサー要素、転写ターミネーターなどを含めることによって高められる可能性がある(例えば、Bittnerら、1987、Methods in Enzymol.153:51〜544頁を参照)。
さらに、挿入配列の発現を調節する、または特異的な所望の様式で遺伝子産物を修飾しかつ加工する宿主細胞株が選択することができる。このようなタンパク質産物の修飾(例えば糖鎖付加)およびプロセシング(例えば切断)は、タンパク質の機能にとって重要な場合がある。種々の宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾にとって特徴的かつ特異的な機構を有する。適切な細胞株または宿主系を選択することで、発現される外来タンパク質の誤りのない修飾およびプロセシングを保証することができる。このために、遺伝子産物の一次転写、糖鎖付加、およびリン酸化の適切なプロセシングのための細胞機構を保有する真核生物の宿主細胞を用いることができる。上記哺乳類の宿主細胞として、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O、およびT47D、NS0(いかなる免疫グロブリン鎖も内生的に産生しないネズミ骨髄腫細胞株)、CRL7O3OおよびHsS78Bst細胞が含まれるがこれらに限定されない。
組換えタンパク質を長期にわたり高収量で産生するために、安定的な発現が好まれる。例えば、抗体分子を安定的に発現する細胞株を設計することができる。宿主細胞は、ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを用いるのではなく、適切な発現制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)および選択可能なマーカーによって制御されるDNAを用いて形質転換できる。設計された細胞は、外来DNAを導入した後、富化培地内で1〜2日間増殖することができ、次いで選択培地に移される。組換えプラスミド中の選択可能なマーカーによって選択に対する耐性が付与され、細胞がプラスミドをその染色体に安定的に組み込み、増殖させることで、順に、クローニングすることができ、細胞株に引き伸ばすことができる細胞増殖巣(foci)の形成が可能になる。この方法をうまく用いることで、抗体分子を発現する細胞株を設計することができる。このように設計される細胞株は、抗体分子と直接あるいは間接的に相互作用する組成物のスクリーニングおよび評価において特に有用な場合であり得る。
tk-、hgprt-またはaprt-細胞でそれぞれ使用可能な単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、1977年、Cell 11:223頁)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskaおよびSzybalski、1992年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:202頁)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、1980年、Cell 22:8〜17頁)遺伝子を含む(がこれらに限定されない)多数の選択系を用いることができる。さらに、代謝拮抗物質耐性は、以下の遺伝子:メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr(Wiglerら、1980、Natl.Acad.Sci.USA77:357;O'Hareら、1981年、Proc.Natl.Acad.Sci.米国78:1527頁);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(MulliganおよびBerg、1981年、Proc.Natl.Acad.Sci.米国78:2072頁);アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(WuおよびWu、1991年、Biotherapy3:87〜95頁;Tolstoshev、1993年、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573〜596頁;Mulligan、1993年、Science260:926〜932頁;およびMorganおよびAnderson、1993年、Ann.Rev.Biochem.62:191〜217頁;1993年5月、TIB TECH 11(5):155〜215頁);およびハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerreら、1984年、Gene30:147頁)、の選択の基礎として利用可能である。組換えDNA技術の分野で一般に知られている方法を、所望の組換えクローンを選択するために慣用的に用いてもよく、かかる方法は、例えば、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、NY(1993年);Kriegler、Gene Transfer and Expression、A Laboratory Manual、Stockton Press、ニューヨーク(1990年);およびChapters 12&13、Dracopoliら(編)、Current Protocols in Human Genetics、John Wiley&Sons、ニューヨーク(1994年);Colberre-Garapinら、1981年、J.Mol.Biol.150:1頁(これらは参照によりその全体を本明細書に組み入れる)に記載される。
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増加可能である(総説については、BebbingtonおよびHentschel、The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning、Vol.3.(Academic Press、ニューヨーク、1987年)を参照)。抗体を発現するベクター系におけるマーカーが増幅可能な場合、宿主細胞の培養において認められる阻害剤の濃度増加によって、マーカー遺伝子のコピー数が増加することになる。増幅された領域は抗体遺伝子と関連するため、抗体の産生も増加することになる(Crouseら、1983、Mol.Cell.Biol.3:257)。
宿主細胞は、本発明の2つの発現ベクター、すなわち重鎖由来のポリペプチドをコードする第1のベクターと軽鎖由来のポリペプチドをコードする第2のベクターによって同時トランスフェクトすることができる。この2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの均等な発現を可能にする同一の選択可能なマーカーを含むことがある。あるいは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方をコードし発現することができる単一ベクターを用いることができる。このような状況では、軽鎖を重鎖の前に置くことで、毒性のない重鎖が過剰になるのを防ぐ必要がある(Proudfoot、1986年、Nature322:52頁;およびKohler、1980年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA77:2197頁)。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含む場合がある。
本発明の抗体分子は、一旦組換え発現によって産生されていると、免疫グロブリン分子の精製のために当該技術分野で公知のあらゆる方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、特にプロテインAに次ぐ特異的抗原に対する親和性によるアフィニティークロマトグラフィー、およびサイジング(sizing)カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の差異、またはタンパク質精製のための他の任意の標準的技術によって精製されることがある。さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントは、本明細書で記載されるかまたは当技術分野で公知の異種ポリペプチド配列と融合して精製を促進してもよい。
5.11 IL-9ポリペプチド
IL-9ポリペプチドは、IL-9、アナログ、誘導体もしくはその断片、またはIL-9、アナログ、誘導体もしくはその断片を含む融合タンパク質であり得る。IL-9ポリペプチドは、あらゆる種由来のものであり得る。IL-9ポリペプチドのヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列は、文献もしくは公的データベースにおいて見つけることができ、またはヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列は、当業者に公知のクローニングおよび配列決定技術を用いて決定できる。例えば、ヒトIL-9のヌクレオチド配列は、GenBankデータベース(例えば受託番号NM-000590;図12を参照)において見つけることができる。ヒトIL-9のアミノ酸配列は、GenBankデータベース(例えば受託番号A60480およびAAC17735;図13を参照)や、米国特許仮出願60/371,683(15頁のヒトIL-9のアミノ酸配列は、明確に参照により本明細書に組み入れる)において見つけることができる。好ましい実施形態において、IL-9ポリペプチドは、ヒトIL-9、アナログ、誘導体あるいはその断片である。
IL-9ポリペプチドは、最も好ましくは単一の連続領域としての、IL-9の「自立型(free-standing)」断片、または断片が一部分または領域を形成するより大きなポリペプチド内のIL-9断片であり得る。本発明の抗体によって結合され得るIL-9断片の代表例として、例えばヒトIL-9に対応するアミノ酸配列の約1〜15、16〜30、31〜46、47〜55、56〜72、73〜104、105〜126のアミノ酸残基を含むかあるいは該アミノ酸残基からなる断片が含まれる。さらに、本発明の抗体によって結合され得るIL-9ポリペプチドは、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120または少なくとも125のアミノ酸の長さでありうる。この文脈でいう「約」とは、アミノ末端およびカルボキシ末端のいずれかあるいは両方において、詳細に列挙した範囲、および該範囲より数個すなわち5個、4個、3個、2個または1個のアミノ酸残基分大きいか小さい範囲を意味する。
IL-9ポリペプチドは、免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、1gM)の定常ドメインまたはその一部(CHI、CH2、CH3、あるいはそのいずれかの組合せおよびその一部)、あるいはアルブミン(非限定的に、組換えヒトアルブミンまたはその断片あるいは変異体(例えば、米国特許第5,876,969号、1999年3月2日登録、欧州特許0413622、および米国特許第5,766,883号、1998年6月16日登録を参照、参照によりその全体を本明細書に組み入れる)を含む)と融合される場合があり、その結果、キメラポリペプチドが生じる。このような融合タンパク質は、精製を促進し、かつin vivo半減期を増加し得る。このことは、ヒトCD4ポリペプチドの2つの第1ドメインおよび哺乳類の免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質について示されている。例えば、EP394,827;Trauneckerら、Nature、33 1:84 86頁(1998年)を参照されたい。上皮障壁を通過する免疫系への抗原の送達が促進されることは、IgGやFcフラグメントなどのFcRn結合パートナーにコンジュゲートした抗原(例えばインシュリン)について実証されている(例えば国際公開番号WO 96/22024およびWO 99/048 13を参照)。IgG部分のジスルフィド結合に起因するジスルフィド結合のダイマー構造を有するIgG融合タンパク質は、他の分子との結合や中性化において、モノマーのポリペプチドあるいはその断片単独に比べてより効率的であることが判明している。例えば、Fountoulakisら、J.Biochem.、270:3958〜3964頁(1995年)を参照されたい。上記エピトープをコードする核酸は、発現したポリペプチドの検出および精製に役立つエピトープタグ(例えば、赤血球凝集素(「HA」)タグまたはフラグタグ)としての目的の遺伝子と再結合することができる。例えば、Janknechtらによって示される系は、ヒト細胞株で発現される非変性融合タンパク質の迅速な精製を可能にする(Janknechtら、1991年、Proc.Natl.Acad.Sci.米国88:8972〜897頁)。この系では、目的の遺伝子は、遺伝子のオープンリーディングフレームが6個のヒスチジン残基からなるアミノ末端タグに転移的に融合されるように、ワクシニア組換えプラスミド中にサブクローニングされる。同タグは、融合タンパク質に対するマトリックス結合ドメインとして機能する。組換えワクシニアウイルスに感染した細胞由来の抽出物は、Ni2+ニトリロ酢酸-アガロースカラムにロードされ、ヒスチジン標識されたタンパク質はイミダゾール含有緩衝液によって選択的に溶出することができる。
具体的な実施形態において、IL-9ポリペプチドは、異種の抗原(例えば、ポリペプチド、炭水化物、リン脂質、または核酸)と融合される。具体的な実施形態において、異種抗原は免疫原である。
別の実施形態において、IL-9ポリペプチドはIL-9またはそのエピトープ関連断片の誘導体である。このような誘導体は、IL-9をコードするポリヌクレオチドのランダム突然変異誘発、変異性PCR、ランダムなヌクレオチド挿入、または組換えに先行する他の方法によって作製可能である。あるいは、部位特異的突然変異誘発技術は、誘導体の産生に利用可能である。機能に不可欠なIL-9ポリペプチド中のアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発またはアラニンスキャニング突然変異誘発などの当該技術分野で既知の方法によって同定可能である(CunninghamおよびWells、Science244:1081〜1085頁(1989年))。後者の方法は、分子中の全残基で単一アラニン突然変異を導入する。次いで、生じた変異分子は、機能的活性、例えば、増殖、分化、および/または活性化の際における上記リガンド結合およびリンパ球(例えばB細胞)に対する刺激能が試験される。本発明の1つの実施形態において、IL-9ポリペプチドは、天然IL-9アミノ酸配列(例えば、天然ヒトIL-9アミノ酸配列)と比較して、少なくとも1個の保存的アミノ酸置換を含むが、50個より多くの保存的アミノ酸置換、より好ましくは40個より多くの保存的アミノ酸置換、さらにより好ましくは30個より多くの保存的アミノ酸置換、なお一層好ましくは、20個個より多くの保存的アミノ酸置換は含まない、アミノ酸配列を含む。本発明の別の実施形態において、IL-9ポリペプチドは、天然のIL-9アミノ酸配列(例えば、天然のヒトIL-9アミノ酸配列)と比較して、少なくとも1個の保存的アミノ酸置換を含むが、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個より多くの保存的アミノ酸置換は含まない、アミノ酸配列を含む。さらに別の実施形態において、IL-9ポリペプチドは、天然IL-9アミノ酸配列と比較して、1以上の保存的置換、または非保存的アミノ酸置換と保存的アミノ酸置換との組合せ、を含むアミノ酸配列を含む。
IL-9ポリペプチドの特性を改善または改変するために、タンパク質工学が利用されることがある。当業者に公知の組換えDNA技術を用いることで、新規突然変異タンパク質または「突然変異タンパク質」を作製することができ、これには単一または複数のアミノ酸の置換、欠失、付加または融合タンパク質が含まれる。このような修飾ポリペプチドは、例えば活性の促進または安定性の増加を示す可能性がある。さらに、対応する天然ポリペプチドと比較し、少なくとも特定の精製および保存条件下で、より高い収量で精製され、かつより高い溶解度を示す場合がある。例えば、多くのタンパク質にとって、1以上のアミノ酸は実質的に生物学的機能が失われることなくN末端またはC末端から削除される可能性があることが当該技術分野で知られている。例えば、Ronら、J.Biol.Chem.、268:2984〜2988頁(1993年)は、たとえ3、8、あるいは27アミノ末端のアミノ酸残基が失われた場合であってもヘパリン結合活性を有する修飾KGFタンパク質を報告した。したがって、本発明の抗体は、タンパク質工学によって作製されるIL-9ポリペプチド突然変異体または変異体に結合し得る。
別の実施形態において、IL-9ポリペプチドは、天然IL-9アミノ酸配列(例えば天然ヒトIL-9アミノ酸配列)と少なくとも50%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%が一致する。
5.12 ポリペプチドを産生する方法
ポリペプチド、ペプチド、タンパク質および融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技術またはタンパク質合成技術、例えばペプチドシンセサイザーの使用によって作製可能である。例えば、ポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質をコードする核酸分子は、自動DNAシンセサイザーを含む従来の技術によって合成可能である。あるいは、遺伝子断片のPCR増幅は、後にアニーリングおよび再増幅が施されてキメラ遺伝子配列を作製し得る2つの連続した遺伝子断片間に相補的な突出部を生じるアンカープライマーを使用することで実施可能である(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley&Sons、1992年を参照)。
ポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、当業者に利用可能なあらゆる情報(すなわち、Genbankや文献から、または通常のクローニングによって)から得られる可能性がある。ポリペプチド、ペプチド、タンパク質および融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、適切な発現ベクター、すなわち挿入されるタンパク質コード配列の転写および翻訳にとって必須の要素を含むベクター中に挿入可能である。種々の宿主-ベクター系を本発明において利用して、タンパク質コード配列を発現し得る。これらには、ウイルス(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルスなど)で感染される哺乳類細胞系、ウイルス(例えばバキュロウイルス)で感染される昆虫細胞系、酵母ベクターを含有する酵母などの微生物、またはバクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、あるいはコスミドDNAで形質転換される細菌が含まれるがこれらに限定されない。ベクターの発現要素は、その強さおよび特異性において変化する。利用される宿主-ベクター系に依存して、多数の適切な転写および翻訳要素のうちのいずれか1つが使用される可能性がある。
ポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質の発現は、当該技術分野で既知の任意のプロモーターまたはエンハンサー要素によって制御され得る。融合タンパク質をコードする遺伝子の発現を制御するのに用いられ得るプロモーターとして、SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon、1981、Nature290:304-310頁)、ラウス肉腫ウイルスの3'ロングターミナルリピートに含まれるプロモーター(Yamamotoら、1980年、Cell 22:787〜797頁)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら、1981年、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1441〜1445頁)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、1982年、Nature296:39〜42頁)、テトラサイクリン(Tet)プロモーター(Gossenら、1995年、Proc.Nat.Acad.Sci.USA89:5547〜5551頁);β-ラクタマーゼプロモーターなどの原核生物発現ベクター(Villa-Kamaroffら、1978年、Proc.Natl.Acad.Sci.米国75:3727〜3731頁)、またはtacプロモーター(DeBoerら、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.米国80:21〜25頁に加え、「Useful proteins from recombinant bacteria」 Scientific American、1980年、242:74〜94頁も参照);ノパリンシンテターゼプロモーター領域(Herrera-Estrellaら、Nature303:209〜213頁)またはカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター(Gardnerら、1981年、Nucl.Acids Res.9:2871頁)を含む植物発現ベクター、ならびに光合成酵素リブロース二リン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrellaら、1984年、Nature310:115〜120頁);Gal 4プロモーター、ADC(アルコール脱水素酵素)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーターなどの酵母あるいは他の菌類由来のプロモーター要素、ならびに組織特異性を示し、トランスジェニック動物において利用されている以下の動物転写制御領域:膵腺房細胞において活性のあるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swiftら、1984年、Cell 38:639〜646頁;Ornitzら、1986年、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399〜409頁;MacDonald、1987年、Hepatology7:425〜515頁);膵β細胞で活性のあるインスリン遺伝子制御領域(Hanahan、1985年、Nature315:115〜122頁)、リンパ球様細胞で活性のある免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedlら、1984年、Cell 38:647〜658頁;Adamesら、1985年、Nature318:533〜538頁;Alexanderら、1987年、Mol.Cell.Biol.7:1436〜1444頁)、精巣細胞、乳腺細胞、リンパ球様細胞および肥満細胞で活性のあるマウス乳腺癌ウイルス制御領域(Lederら、1986年、Cell 45:485〜495頁)、肝臓で活性のあるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkertら、1987年、Genes and Devel.1:268〜276頁)、肝臓で活性のあるαフェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlaufら、1985年、Mol.Cell.Biol.5:1639〜1648頁;Hammerら、1987年、Science235:53〜58頁);肝臓で活性のあるα1抗トリプシン遺伝子制御領域(Kelseyら、1987年、Genes and Devel.1:161〜171頁)、骨髄性細胞で活性のあるβグロビン遺伝子制御領域(Mogramら、1985年、Nature315:338〜340頁;Kolliasら、1986年、Cell 46:89〜94頁);脳内のオリゴデンドロサイト細胞で活性のあるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadら、1987年、Cell 48:703〜712頁);骨格筋で活性のあるミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Sani、1985年、Nature314:283〜286頁);ニューロン細胞で活性のあるニューロン特異性エノラーゼ(NSE)(Morelliら、1999年、Gen.Virol.80:571〜83頁);ニューロン細胞で活性のある脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子制御領域(Tabuchiら、1998年、Biochem.Biophysic.Res.Com.253:818〜823頁);星状細胞で活性のあるグリア原繊維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーター(Gomesら、1999年、Braz J Med Biol Res32(5):619〜631頁;Morelliら、1999年、Gen.Virol.80:571〜83頁)ならびに視床下部で活性のある性腺刺激放出ホルモン遺伝子制御領域(Masonら、1986年、Science 234:1372〜1378頁)が含まれるがこれらに限定されない。
具体的な実施形態において、ポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質の発現は、構成性プロモーターによって調節される。別の実施形態において、ポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質の発現は、誘導プロモーターによって調節される。別の実施形態において、ポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質の発現は、組織特異的プロモーターによって調節される。
具体的な実施形態において、ポリペプチド、ペプチド、タンパク質または融合タンパク質をコードする核酸と機能的に連結されたプロモーター、以上の複製起点、および場合により1以上の選択可能なマーカー(例えば抗生物質耐性遺伝子)を含むベクターが用いられる。
哺乳類宿主細胞において、多数のウイルスに基づく発現系を利用することができる。アデノウイルスが発現ベクターとして用いられる場合には、ポリペプチドまたは融合タンパク質をコードする配列は、例えば後期プロモーターやトリパータイトリーダー(tripartite leader)配列といったアデノウイルス転写/翻訳制御複合体に連結し得る。次いで、このキメラ遺伝子は、in vitroまたはin vivoでの組換えによってアデノウイルスゲノム中に挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)に挿入があると、感染宿主中で生存可能かつ抗体分子を発現できる組換えウイルスが生じることになる(例えば、LoganおよびShenk、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:355〜359頁を参照)。挿入される融合タンパク質コード配列の効率的翻訳のために、特異的な開始シグナルが必要とされる場合もある。これらのシグナルとして、ATG開始コドンや隣接配列が含まれる。さらに、開始コドンは、完全な挿入の翻訳を保証するために、所望のコード配列のリーディングフレームと一致しなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の種々の起点でありうる。発現効率は、適切な転写エンハンサー要素、転写ターミネーターなどを含めることによって高まる可能性がある。(Bittnerら、1987年、Methods in Enzymol.153:51〜544頁を参照)。
ポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質をコードする挿入遺伝子を含む発現ベクターは、3つの一般的な方法、すなわち、(a)核酸ハイブリダイゼーション、(b)「マーカー」遺伝子機能の有無、および(c)挿入配列の発現によって同定することができる。第1の方法によると、発現ベクター中のポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質をコードする遺伝子の存在は、ポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質をそれぞれコードする挿入遺伝子に相同な配列を含むプローブを用いた核酸ハイブリダイゼーションによって検出可能である。第2の方法によると、組換えベクター/宿主系は、ベクターへのポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列の挿入によって生じる特定の「マーカー」遺伝子機能(例えば、チミジンキナーゼ活性、抗生物質への耐性、形質転換表現型、バキュロウイルスにおける閉塞体形成(occlusion body formation)など)の有無に基づいた同定および選択が可能である。例えば、融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列がベクターのマーカー遺伝子配列内で挿入された場合、融合タンパク質挿入物をコードする遺伝子を含む組み換え体は、マーカー遺伝子機能の不在によって同定可能である。第3の方法によると、組換え発現ベクターは、組換えによって発現される遺伝子産物(例えば融合タンパク質)をアッセイすることによって同定可能である。このようなアッセイは、例えばin vitroアッセイ系における融合タンパク質の物理的または機能的特性、例えば抗体への結合を基礎とすることが可能である。
さらに、挿入配列の発現を調節する、または所望の特異的な方法で遺伝子産物を修飾しかつ加工する宿主細胞株が選択することができる。特定のプロモーターからの発現は特定のインデューサーの存在下で亢進可能なことから、遺伝子操作された融合タンパク質の発現が制御される可能性がある。さらに、種々の宿主細胞は、翻訳および翻訳後のプロセシングや修飾(例えば、糖鎖付加、タンパク質のリン酸化)に対して特徴的かつ特異的な機構を有している。適切な細胞株または宿主系を選択することで、発現される外来タンパク質の所望の修飾およびプロセシングを保証することができる。例えば、細菌系における発現によって非グリコシル化産物が産生され、酵母における発現によってグリコシル化産物が産生されることになる。遺伝子産物の一次転写産物、糖鎖付加、およびリン酸化といった適切なプロセシングのための細胞機械を有する真核生物の宿主細胞を用いることができる。上記哺乳類宿主細胞として、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、WI38、NS0、および特にニューロン細胞株、例えば、SK-N-AS、SK-N-FI、SK-N-DZヒト神経芽細胞腫(Sugimotoら、1984年、J.Natl.Cancer Inst.73:51〜57頁)、SK-N-SHヒト神経芽細胞腫(Biochim.Biophys.Acta、1982年、704:450〜460頁)、Daoyヒト小脳髄芽腫(Heら、1992年、Cancer Res.52:1144〜1148頁)DBTRG-05MG膠芽腫細胞(Kruseら、1992年、In Vitro Cell.Dev.Biol.28A:609〜614頁)、IMR-32ヒト神経芽細胞腫(Cancer Res.、1970年、30:2110〜2118頁)、1321N1ヒト星状細胞腫(Proc.Natl Acad.Sci.USA、1977年、74:4816頁)、MOG-G-CCMヒト星状細胞腫(Br.J.Cancer、1984年、49:269頁)、U87MGヒト膠芽細胞腫-星状細胞腫(Acta Pathol.Microbiol.Scand.、1968年、74:465〜486頁)、A172ヒト膠芽細胞腫(Olopadeら、1992年、Cancer Res.52:2523〜2529頁)、C6ラットグリオーマ細胞(Bendaら、1968年、Science 161:370〜371頁)、Neuro-2aマウス神経芽細胞腫(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1970年、65:129-136頁)、NB41A3マウス神経芽細胞腫(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1962年、48:1184〜1190頁)、SCPヒツジ脈絡叢(Bolinら、1994年、J.Virol.Methods48:211〜221頁)、G355-5、PG-4 Cat正常星状細胞(Haapalaら、1985年、J.Virol.53:827〜833頁)、Mpfフェレット脳(Trowbridgeら、1982年、In Vitro 18:952〜960頁など)、および例えば、CTX TNA2ラットの正常な脳の皮質(Radanyら、1992年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:6467〜6471頁)など、例えば、CRL7030およびHs578Bstなどの正常細胞株が含まれるがこれらに限定されない。さらに、種々のベクター/宿主発現系は、程度は異なるが、プロセシング反応に効果を発揮する場合がある。
組換えポリペプチド、ペプチド、タンパク質または融合タンパク質を長期にわたり高収量で産生するために、安定的な発現が好まれる。例えば、ポリペプチド、ペプチド、タンパク質または融合タンパク質を安定的に発現する細胞株が設計することができる。宿主細胞は、ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを用いるのではなく、適切な発現制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)および選択可能なマーカーによって制御されるDNAを用いて形質転換することができる。外来DNAを導入した後、設計された細胞は、富化培地内で1〜2日間増殖が可能であり得、次いで選択培地に移される。組換えプラスミド中の選択可能なマーカーによって選択に対する耐性が付与され、細胞にプラスミドをその染色体に安定的に組み入れて増殖させて、順にクローニングすることおよび細胞株へ引き伸ばすことが可能な細胞増殖巣の形成が可能になる。この方法は、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合するポリペプチド、ペプチド、タンパク質または融合タンパク質を発現する細胞株を設計するために有利に用いることができる。このように設計される細胞株は、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合するポリペプチド、ペプチド、タンパク質または融合タンパク質の活性に影響を及ぼす化合物のスクリーニングおよび評価において特に有用であり得る。
tk-、hgprt-またはaprt-細胞のそれぞれに使用可能な単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、1977年、Cell 11:223頁)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskaおよびSzybalski、1962年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA48:2026頁)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、1980年、Cell 22:817頁)遺伝子を含む(がこれらに限定されない)、多数の選択系を用いることができる。さらに、代謝拮抗物質耐性は、メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr(Wiglerら、1980年、Natl.Acad.Sci.USA77:3567頁;O'Hareら、1981年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA78:1527頁)、ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(MulliganおよびBerg、1981年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA78:2072頁)、アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(Colberre-Garapinら、1981年、J.Mol.Biol.150:1頁)、およびハイグロマイシン遺伝子に対する耐性を付与するhygro(Santerreら、1984年、遺伝子30:147頁)といった遺伝子の選択の基礎として利用可能である。
本発明のポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質は、一旦組換え発現によって産生されていると、タンパク質の精製を目的とする当該技術分野で既知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、特にプロテインAに次ぐ特異的な抗原についての親和性によるアフィニティークロマトグラフィー、およびサイジング(sizing)カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の差異によって、またはタンパク質の精製のためのあらゆる他の標準的技術によって精製することができる。
実施例
本発明の特定の実施形態を、以下の非限定的な実施例によって説明する。