JP2006523240A - EphA2、低増殖性細胞障害ならびに上皮および内皮の再構成 - Google Patents

EphA2、低増殖性細胞障害ならびに上皮および内皮の再構成 Download PDF

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Abstract

本発明は、低増殖性細胞障害、とりわけ上皮細胞および/または内皮細胞の破壊、脱粒、もしくは不十分な増殖に関連する障害、特に間質性膀胱炎(IC)および炎症性腸疾患(IBD)関連の病変を処置、管理、あるいは予防するために設計した方法ならびに組成物に関する。本発明の方法は、EphA2のアンタゴニストである1つまたは複数の薬剤を有効量で投与することを含む。特定の実施形態では、本発明のEphA2拮抗剤は、EphA2内在性リガンド結合を低下させ、EphA2遺伝子の発現および/もしくは翻訳をアップレギュレーションし、EphA2タンパク質の安定性もしくはタンパク質の蓄積を増加させ、EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させ、EphA2のキナーゼ活性(自己リン酸化もしくはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)を促進し、EphA2を発現する細胞の増殖を増加させ、EphA2を発現する細胞の生存を増加させ、かつ/または上皮および/もしくは内皮細胞層の完全性を維持/再構成する。本発明はまた、本発明の1つもしくは複数のEphA2拮抗剤を単独で、または低増殖性細胞障害の治療に有用な1つもしくは複数の他の薬剤と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。診断方法および治療上有用な薬剤のスクリーニング方法も提供する。

Description

本出願は、その全体で本明細書中に参考として組み込まれている2003年4月11日出願の米国仮特許出願第60/462,009号に対する優先権を主張する。
1. 発明の分野
本発明は、低増殖性細胞障害あるいは細胞死の増加を伴う障害、とりわけ上皮細胞および/または内皮細胞の破壊、脱粒、もしくは不十分な増殖に関連する障害、特に間質性膀胱炎(IC)および炎症性腸疾患(IBD)関連の病変を処置、管理、あるいは予防するために設計した方法ならびに組成物に関する。本発明の方法は、EphA2のアンタゴニスト(antagonist)である1つまたは複数の薬剤を有効量で投与することを含む。特定の実施形態では、本発明のEphA2拮抗剤(antagonistic agent)は、EphA2遺伝子の発現および/もしくは翻訳をアップレギュレーションし、EphA2タンパク質の安定性もしくはタンパク質の蓄積を増加させ、EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させ、EphA2のキナーゼ活性(自己リン酸化もしくはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)を促進し、EphA2-内在性リガンドの相互作用を低下/破壊し、EphA2を発現する細胞の増殖を増加させ、EphA2を発現する細胞の生存を増加させ、かつ/または細胞層の完全性を維持/再構成する。一部の実施形態では、EphA2アンタゴニストはEphA2に特異的な抗体、好ましくはモノクローナル抗体である。他の実施形態では、EphA2拮抗剤は、EphA2の可溶性がある内在性リガンド結合ドメインである。さらなる実施形態では、EphA2拮抗剤はエフリン(Ephrin)A1抗体またはその抗原結合断片である。さらなる実施形態では、EphA2拮抗剤は小分子アンタゴニスト、酵素活性アンタゴニスト、エフリンA2 siRNAもしくはeiRNA分子、またはエフリンA2アンチセンス分子である。本発明は、本発明の1つもしくは複数の薬剤を単独で、または低増殖性細胞障害の治療に有用な1つもしくは複数の他の薬剤と組み合わせて含む医薬組成物も提供する。診断方法および治療上有用な薬剤のスクリーニング方法も提供する。
2. 発明の背景
EphA2
EphA2(上皮細胞キナーゼ)は、受容体チロシンキナーゼのEphファミリーの130kDaのメンバーである(Zantek N.他、1999、Cell Growth Differ.、10:629-38;Lindberg R.他、1990、Mol. Cell. Biol.、10:6316-24)。EphA2の機能は知られていないが、結腸上皮の増殖、分化、およびバリヤー機能(Rosenberg I.他、1997、Am. J. Physiol.、273:G824-32)、血管網のアセンブリ、内皮遊走、毛細血管の形態形成、および血管形成(Stein E.他、1998、Genes Dev.、12:667-78)、神経系の分節化および軸索経路探索(Bovenkamp D.およびGreer P.、2001、DNA Cell Biol.、20:203-13)、腫瘍の新血管新生(Ogawa K.他、2000、Oncogene、19:6043-52)、ならびに癌の転移(国際公開公報WO01/9411020号、WO96/36713号、WO01/12840号、WO01/12172号)を調節することが示唆されている。
EphA2の天然リガンドはエフリンA1である(Eph命名法委員会、1997、Cell、90(3):403-4;Gale他、1997、Cell Tissue Res.、290(2):227-41)。EphA2とエフリンA1との相互作用は、器官の表面上への細胞の固着を補助し、また、EphA2の自己リン酸化によりEphA2の発現を低下させることによって上皮細胞および/または内皮細胞の増殖をダウンレギュレーションすると考えられている(Lindberg他、1990、上記)。自然の条件下では、この相互作用は、器官を保護する上皮細胞バリヤーの維持ならびに上皮細胞の増殖および成長の調節を支援する。しかし、上皮細胞が保護バリヤーを形成することを妨げるか、上皮細胞および/または内皮細胞の破壊および/または脱粒を引き起こすことによって適切な治癒が起こるのを妨げる病状が存在する。
間質性膀胱炎
間質性膀胱炎(IC)とは、膀胱の慢性炎症の障害である。ICの正確な原因は知られていないが、膀胱の上皮細胞の持続的な脱粒であると考えられている。研究により、IC患者の尿は一次膀胱上皮細胞の増殖を阻害する抗増殖性因子(APF)を含み、無症候性の対照および細菌性またはいわゆる「一般的な」膀胱炎に罹患している患者からの尿と比較した場合にヘパリン結合性表皮成長因子様成長因子(HB-EGF)のレベルが有意に低下しており、表皮成長因子(EGF)のレベルが増加していることが示されている(Keay S.他、2001、Urology、57:9-14)。仮定されている他の原因要素には、潜在または耐性微生物、尿路上皮透過性亢進、神経因性またはホルモン性病理学的機序、および肥満細胞の活性化が含まれる(Oberpenning F.他、2002、Curr. Opin. Urol.、12:321-32)。
ICの主な症状は、頻尿、切迫、圧力、圧痛、膀胱および周辺骨盤領域の激しい疼痛、ならびに性交中の疼痛である。ICは男性よりも女性に起こることがはるかに多い。ICに罹患していると推定される700,000人を超える米国人のうち、90%が女性である(Ratner V.、2001、World J. Urol.、19:157-9)。ICは症状および重篤度が様々であるので、女性のIC患者はしばしば細菌性膀胱炎と誤診断され、男性のIC患者はしばしば前立腺炎または膀胱排尿障害と誤診断される。
病因学および特有の疫学を定義せずには、ICの既存の診断的試験は不確かなままである(Warren J.およびKeay S.、2002、Curr. Opin. Urol.、12:69-74)。現在では、ICの治癒法も標準的な治療法も存在しない。むしろ、経口薬、水圧膀胱拡張、膀胱注入、膀胱洗浄、経皮的電気神経刺激(TENS)、および手術などの現在の治療の選択肢は、主に症状を緩和するために設計されており、多くの場合効果がないまたは重篤な副作用をもたらす(Gousse A.他、2000、Curr. Urol. Rep.、1:190-8)。細胞増殖の治療の改良された戦略が明らかに依然として必要とされている。
炎症性腸疾患
炎症性腸疾患(IBD)とは、潰瘍性大腸炎(大腸の内側の炎症)ならびにクローン病(大腸および/または小腸の内側および壁の炎症)をどちらも包含する用語である。炎症した際、腸管壁の内側は赤く腫れ上がり、潰瘍性となり、出血する。IBDに関連する病変は自然に治癒できるが、ほとんどが再発性である。慢性の病変は、その病状が損傷した組織を自身で修復する身体の能力を損なわせる、様々な種類の基礎疾患(たとえば糖尿病)に罹患している個体で起こる。
IBDに関連する病変の1種は潰瘍である。病変は、開いた潰瘍、剥離、水疱、または上皮細胞および場合によっては皮下組織の上層の瘡蓋もしくは糜爛により生じる浅いくぼみである。潰瘍は理論上皮膚のどの場所でも起こることができるが(たとえば創傷部)、大まかに、「胃潰瘍」および「消化性潰瘍」と互換性があるように使用される用語「潰瘍」とは、通常上部消化管の障害をいう。
潰瘍の多数の原因には、とりわけ、炎症、感染症(たとえばヘリコバクターピロリ(Heliobacter pylori))、胃酸の過剰分泌を引き起こす障害、情動ストレス、皮膚または筋肉に常に圧力を与えることなどがある。具体的には、消化性潰瘍の病態生理学は胃上皮細胞の機能の異常に基づいている(Kawai K.およびRokutan K.、1995、J Gastroenterol.、30(3):428-36)。一般的な症状には疼痛および出血が含まれる。現在の治療の選択肢には医薬品(たとえば、プロトンポンプ遮断薬、抗分泌薬、抗生物質、および制酸薬)および手術が含まれ、これらは主に症状を軽減させるかつ/または潰瘍の治癒を促進するよう設計されている。上皮再構成の治療の改良された戦略が明らかに依然として必要とされている。
3. 発明の概要
EphA2は、低増殖性細胞中でダウンレギュレーションされており、いくつかの上皮障害で機能が変化している。本発明者らは、EphA2レベルの増加により細胞の増殖、成長、および/もしくは生存を増加させる、かつ/または上皮および/もしくは内皮細胞層の組織化を維持することができることを見出した。部分的にこのことおよび他の開示に基づいて、本発明は、EphA2と拮抗する薬剤、すなわち、EphA2-内在性リガンド結合を低下させる、EphA2遺伝子の発現および/もしくは翻訳をアップレギュレーションする、EphA2タンパク質の安定性またはタンパク質の蓄積を上昇させる、EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる、EphA2のキナーゼ活性(自己リン酸化もしくはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)を促進する、EphA2を発現する細胞の増殖を増加させる、EphA2を発現する細胞の生存を増加させる、かつ/または上皮および/もしくは内皮細胞層の完全性を維持/再構成する薬剤、ならびにその薬剤の使用を包含する。
リガンド結合の主な結果はEphA2の自己リン酸化である(R.A. Lindberg他、Molecular & Cellular Biology、10:6316、1990)。しかし、他の受容体チロシンキナーゼとは異なり、EphA2はリガンド結合またはホスホチロシン含有量が存在しない場合でも酵素活性を保持している(Zantek他、Cell Growth & Differentiation、10:629、1999)。本発明者らはまた、EphA2は、リガンドに結合していない場合は増殖を促進するが、その内在性リガンドであるエフリンA1に結合した場合は増殖を阻害することを見出した。したがって、本発明はまた、EphA2がその内在性リガンドに結合することを低下させるまたは破壊する薬剤およびその薬剤の使用も包含する。
本発明はまた、EphA2と拮抗する、たとえば、EphA2-内在性リガンド結合を低下させる、EphA2遺伝子の発現および/もしくは翻訳をアップレギュレーションする、EphA2タンパク質の安定性もしくはタンパク質の蓄積を増加させる、EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる、EphA2のキナーゼ活性(自己リン酸化もしくはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)を促進する、EphA2を発現する細胞の増殖を増加させる、EphA2を発現する細胞の生存を増加させる、かつ/または上皮および/もしくは内皮細胞層の完全性を維持/再構成する、EphA2剤のスクリーニングおよび同定を提供する。好ましい実施形態では、本発明のEphA2拮抗剤は、EphA2と拮抗するEphA2抗体、好ましくはモノクローナル抗体、好ましくはヒト化モノクローナル抗体である。別の好ましい実施形態では、本発明のEphA2拮抗剤は、EphA2の可溶性がある内在性リガンド結合ドメインである。さらなる実施形態では、EphA2拮抗剤はエフリンA1抗体または抗原結合断片である。さらなる実施形態では、EphA2拮抗剤は、小分子アンタゴニスト、酵素活性アンタゴニスト、エフリンA1 siRNAもしくはeiRNA分子、またはエフリンA1アンチセンス分子である。他の実施形態では、EphA2拮抗剤は、エフリンA2 siRNAもしくはeiRNA分子、またはエフリンA2アンチセンス分子である。
特定の実施形態では、本発明は、低増殖性細胞障害あるいは細胞死の増加を伴う障害、とりわけ上皮細胞および/または内皮細胞の破壊、脱粒、もしくは不十分な増殖に関連する障害、特にICおよびIBD関連病変を治療、管理、あるいは予防するために設計した医薬組成物ならびに予防および治療レジメント(regiment)に関する。一部の実施形態では、本発明のEphA2拮抗剤を、このような低増殖性細胞障害の治療に有用な他の治療剤と組み合わせて投与する。好ましい実施形態では、本発明のEphA2拮抗剤を鎮痛剤、麻酔剤、抗生物質、免疫調節剤または抗尿路感染症剤と組み合わせて投与する。
本発明はさらに、低増殖性細胞障害、とりわけ上皮細胞および/または内皮細胞の破壊、脱粒、もしくは不十分な増殖に関連する障害、特にICおよびIBD関連病変のEphA2系あるいは非EphA2系の治療の有効性を評価するための、本発明のEphA2拮抗剤を用いた診断方法を提供する。一般に、EphA2の発現の低下は、ますます重篤になる低増殖、損傷した上皮および/もしくは内皮細胞層を修復できないことの増進、上皮細胞および/もしくは内皮細胞の脱粒の増加、ならびに/または脱粒した上皮細胞および/もしくは内皮細胞を交換できないことの増進に関連している。したがって、特定の治療によりEphA2の発現が増加することは、この治療により、低増殖の重篤度が軽減されている、かつ/または上皮および/もしくは内皮の再構成が改善されていることを示す。本発明の診断方法は、低増殖性細胞障害あるいは細胞死の増加を伴う障害、とりわけ上皮細胞および/または内皮細胞の破壊、脱粒、もしくは不十分な増殖に関連する障害、特にICおよびIBD関連病変を予後判定あるいは予測するためにも使用し得る。特定の実施形態では、本発明の診断方法は、低増殖性のまたは損傷した上皮細胞および/もしくは内皮細胞の領域のイメージングを行う方法を提供する。さらに、本発明の薬剤ならびに方法を使用して、低増殖性細胞障害、とりわけ上皮細胞および/または内皮細胞の破壊、脱粒、もしくは不十分な増殖に関連する障害、特にICおよびIBD関連病変の治療(EphA2もしくは非EphA2系の治療のどちらでも)を診断、予後判定あるいは監視し得る。
別の実施形態では、本発明の医薬組成物または診断試薬を含むキットを提供する。
3.1 定義
本明細書中で使用する用語「薬剤」とは、所望の生物学的効果を有する分子をいう。薬剤には、それだけには限定されないが、たとえばそれだけには限定されないがペプチド、ポリペプチド、タンパク質、翻訳後修飾されたタンパク質、抗体などを含めたタンパク質分子、または小分子(1000ダルトン未満)、無機もしくは有機化合物;あるいは、それだけには限定されないが二本鎖もしくは一本鎖DNA、または二本鎖もしくは一本鎖RNA(たとえばアンチセンス、RNAiなど)、ならびに三重らせん核酸分子を含めた核酸分子が含まれる。薬剤は、任意の既知の生物(それだけには限定されないが、動物、植物、細菌、真菌、および原生生物、もしくはウイルスを含む)、または合成分子のライブラリー由来とすることができる。EphA2拮抗剤である薬物はEphA2に結合して、EphA2遺伝子の発現および/もしくは翻訳をアップレギュレーションし、EphA2タンパク質の安定性もしくはタンパク質の蓄積を増加させ、EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させ、EphA2のキナーゼ活性(自己リン酸化もしくはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)を促進し、EphA2-内在性リガンドの相互作用を低下/破壊し、EphA2を発現する細胞の増殖を増加させ、EphA2を発現する細胞の生存を増加させ、かつ/または上皮細胞層の完全性を維持/再構成する。特定の実施形態では、本発明のEphA2拮抗剤はEphA2アンタゴニストであり、低増殖に関連する上皮細胞および/もしくは内皮細胞表現型または細胞死の増加(たとえば壊死もしくはアポトーシスによる)に関連する細胞表現型を阻害する。
本明細書中で使用する用語「類似体」とは、特定のタンパク質(たとえばEphA2ポリペプチド)に類似もしくは同一の機能を有するが、必ずしもそのタンパク質またはその断片に類似または同一のアミノ酸配列もしくは構造を含まないポリペプチド、またはその断片をいう。類似のアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、(a)本明細書中に記載のタンパク質またはその断片のアミノ酸配列に少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチド、(b)少なくとも20個のアミノ酸残基、少なくとも30個のアミノ酸残基、少なくとも40個のアミノ酸残基、少なくとも50個のアミノ酸残基、少なくとも60個のアミノ残基、少なくとも70個のアミノ酸残基、少なくとも80個のアミノ酸残基、少なくとも90個のアミノ酸残基、少なくとも100個のアミノ酸残基、少なくとも125個のアミノ酸残基、または少なくとも150個のアミノ酸残基の本明細書中に記載のタンパク質またはその断片をコードしているヌクレオチド配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列にコードされているポリペプチド、および(c)本明細書中に記載のタンパク質またはその断片をコードしているヌクレオチド配列に少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列にコードされているポリペプチドのうち、少なくとも1つが満たされているポリペプチドをいう。本明細書中に記載のタンパク質またはその断片に類似の構造を有するポリペプチドとは、本明細書中に記載のタンパク質またはその断片に類似の二次、三次または四次構造を有するポリペプチドをいう。ポリペプチドの構造は、それだけには限定されないが、X線結晶構造解析、核磁気共鳴、および結晶学的な電子顕微鏡観察を含めた当業者に知られている方法によって決定することができる。ポリペプチドはEphA2の活性を有することが好ましい。
本明細書中で使用する用語「アンタゴニスト」または「拮抗する」とは、分子が天然(もしくは内在性)の結合パートナーに結合することを阻害/低下させる、または分子が天然(もしくは内在性)の結合パートナーに結合することにより生じる細胞効果を阻害/低減させる任意の化合物あるいはその作用をいう。一実施形態では、EphA2アンタゴニストは、EphA2がエフリンA1に結合することを阻害/低下させる。たとえば、EphA2アンタゴニストは、1)EphA2-エフリンA1の結合を低下させるもしくは破壊すること、または2)細胞表面上のEphA2の量が結合に利用可能な天然リガンドの量を超え、したがって結合していないEphA2の量が増加するようにEphA2の発現をアップレギュレーションすることのうち、1つまたは複数を行うことができる。別の実施形態では、EphA2アンタゴニストは、EphA2-エフリンA1の結合の結果生じる細胞効果を阻害/低減させる。たとえば、EphA2アンタゴニストは、1)EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させること、2)EphA2を発現する細胞の増殖を増加させること、3)EphA2を発現する細胞の生存を増加させること、または4)上皮および/もしくは内皮細胞層の完全性を維持もしくは再構成することのうち、1つまたは複数を行うことができる。EphA2アンタゴニストには、それだけには限定されないが、生物学的または化学化合物、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、抗体断片、核酸、大または小(1000ダルトン未満)の有機または無機分子が含まれる。
本明細書中で使用する用語「EphA2に免疫特異的に結合する抗体またはその断片」とは、EphA2ポリペプチドもしくはEphA2ポリペプチドの断片に特異的に結合し、他の非EphA2ポリペプチドに特異的に結合しない抗体またはその断片をいう。好ましくは、EphA2ポリペプチドもしくはその断片に免疫特異的に結合する抗体または断片は、他の抗原と交差反応しない。EphA2ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体または断片は、たとえば免疫アッセイまたは当業者に知られている他の技術によって同定することができる。本発明の抗体には、それだけには限定されないが、合成抗体、モノクローナル抗体、組換えによって生成した抗体、多特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、合成抗体、細胞内抗体(intrabody)、単鎖Fv(scFv)(たとえば単一特異性および二重特異性などを含む)、Fab断片、F(ab')断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、ならびに上記のうち任意のものの抗イディオタイプ(抗Id)抗体、細胞内抗体、およびエピトープ結合性断片が含まれる。具体的には、本発明の抗体には、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性のある一部分、すなわち、EphA2抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位(たとえば抗EphA2抗体の1つまたは複数の相補性決定領域(CDR))を含む分子が含まれる。本発明の抗体は、任意の型(たとえば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスの免疫グロブリン分子のものとすることができる。拮抗性抗体またはEphA2ポリペプチドもしくはその断片に免疫特異的に結合する断片は、EphA2のみを拮抗し、他の活性に有意に影響を与えないことが好ましい。
本明細書中で使用する用語「細胞増殖刺激性」とは、生物学的もしくは化学化合物、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、抗体断片、巨大分子、または小有機分子もしくは小無機分子(1000ダルトン未満)が、in vivoもしくはin vitroで細胞の増殖、成長および/または生存を維持、増幅、加速、または延長する能力をいう。細胞の増殖、成長および/または生存を検出する任意の方法、たとえば、細胞増殖アッセイまたは上皮バリヤー完全性アッセイを使用して、薬剤が細胞増殖刺激薬であるかどうかアッセイすることができる。細胞増殖刺激薬はまた、低増殖性または損傷した細胞の確立したコロニーに加えた場合に上皮の維持、再生、または再構成を引き起こし得る。
本明細書中で使用する用語「誘導体」とは、EphA2ポリペプチド、EphA2ポリペプチドの断片、EphA2ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体、またはアミノ酸残基の置換、欠失もしくは付加の導入によって変更したEphA2ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドをいう。本明細書中で使用する用語「誘導体」とは、EphA2ポリペプチド、EphA2ポリペプチドの断片、EphA2ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体、または修飾した、すなわち任意の種類の分子がポリペプチドに共有結合することによって修飾されたEphA2ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体断片をいう。たとえば、限定はしないが、EphA2ポリペプチド、EphA2ポリペプチドの断片、抗体、または抗体断片は、たとえば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、知られている保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解性切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質への結合などによって修飾し得る。EphA2ポリペプチド、EphA2ポリペプチドの断片、抗体、または抗体断片の誘導体は、それだけには限定されないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含めた当業者に知られている技術を用いた化学修飾によって修飾し得る。さらに、EphA2ポリペプチド、EphA2ポリペプチドの断片、抗体、または抗体断片の誘導体は、1つまたは複数の非古典的アミノ酸を含み得る。一実施形態では、ポリペプチド誘導体は、本明細書中に記載のEphA2ポリペプチド、EphA2ポリペプチドの断片、抗体、もしくは抗体断片に類似または同一の機能を有する。別の実施形態では、EphA2ポリペプチド、EphA2ポリペプチドの断片、抗体、または抗体断片の誘導体は、変更していないポリペプチドと比較した場合に活性が変更されている。たとえば、誘導体抗体またはその断片は、そのエピトープにより強く結合するか、タンパク質分解に対してより耐性があることができる。
本明細書中で使用する用語「内在性リガンド」または「天然リガンド」とは、通常はin vivoにおいて特定の受容体に結合する分子をいう。エフリンA1はEphA2の内在性リガンドである。
本明細書中で使用する用語「エピトープ」とは、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトにおいて抗原性または免疫原性活性を有する、EphA2ポリペプチドの一部分である。免疫原性活性を有するエピトープは、動物において抗体応答を誘発させる、EphA2ポリペプチドの一部分である。抗原性活性を有するエピトープは、当分野で周知の任意の方法、たとえば免疫アッセイによって決定した、抗体が免疫特異的に結合するEphA2ポリペプチドの一部分である。抗原性エピトープは必ずしも免疫原性である必要はない。
本明細書中で使用する用語「断片」とは、EphA2ポリペプチド、EphA2ポリペプチドの断片、EphA2ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体、またはアミノ酸残基の置換、欠失もしくは付加の導入によって変更したEphA2ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体断片のアミノ酸配列の、少なくとも5個の連続したアミノ酸残基、少なくとも10個の連続したアミノ酸残基、少なくとも15個の連続したアミノ酸残基、少なくとも20個の連続したアミノ酸残基、少なくとも30個の連続したアミノ酸残基、少なくとも40個の連続したアミノ酸残基、少なくとも50個の連続したアミノ酸残基、少なくとも60個の連続したアミノ残基、少なくとも70個の連続したアミノ酸残基、少なくとも連続した80個のアミノ酸残基、少なくとも連続した90個のアミノ酸残基、少なくとも連続した100個のアミノ酸残基、少なくとも連続した125個のアミノ酸残基、少なくとも150個の連続したアミノ酸残基、少なくとも連続した175個のアミノ酸残基、少なくとも連続した200個のアミノ酸残基、または少なくとも連続した250個のアミノ酸残基のアミノ酸配列を含むペプチドあるいはポリペプチドをいう。抗体断片はエピトープ結合性断片であることが好ましい。
本明細書中で使用する用語「ヒト化抗体」とは、非ヒト免疫グロブリン由来の配列を最小限含む非ヒト(たとえばネズミ)抗体、好ましくはキメラ抗体の形態である。通常、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であって、レシピエントの超可変領域残基または相補性決定(CDR)残基が、マウス、ラット、ウサギもしくは非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)由来の所望の特異性、親和性、および能力を有する抗体の超可変領域残基またはCDR残基によって置換されている免疫グロブリンである。場合によっては、たとえばヒト化抗体の親和性を改善するために、ヒト免疫グロブリンの1つまたは複数のフレームワーク領域(FR)残基を、構造モデリングに基づいて対応する非ヒト残基または他の残基によって置換する。さらに、ヒト化抗体はレシピエント抗体中にもドナー抗体中にも見つからない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体の性能をさらに洗練するために行う。一般に、ヒト化抗体は少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、すべてまたは実質的にすべての超可変領域が非ヒト免疫グロブリンの超可変領域に対応し、すべてまたは実質的にすべてのFRがヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は任意選択で、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのFcの少なくとも一部分も含む。さらなる詳述には、Jones他、1986、Nature、321:522-525;Reichmann他、1988、Nature、332:323-329;Presta、1992、Curr. Op. Struct. Biol.、2:593-596;およびQueen他、米国特許第5,585,089号を参照されたい。
本明細書中で使用する用語「超可変領域」とは、抗原への結合を司っている抗体のアミノ酸残基をいう。超可変領域は、「相補性決定領域」すなわち「CDR」からのアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメイン中の残基24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)および重鎖可変ドメイン中の残基31〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3);Kabat他、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、公衆衛生局、国立衛生研究所、メリーランド州Bethesda、(1991))ならびに/または「超可変ループ」からの残基(すなわち、軽鎖可変ドメイン中の残基26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)および重鎖可変ドメイン中の26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3);ChothiaおよびLesk、1987、J. Mol. Biol.、196:901-917)を含む。「フレームワーク領域」すなわち「FR」残基とは、本明細書中で定義した超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
本明細書中で使用する用語「低増殖性細胞障害」および「細胞死の増加を伴う障害」とは、特定の細胞種の破壊、脱粒、もしくは不十分な成長/増殖または過剰な細胞死(たとえばアポトーシスもしくは壊死)を特徴とする障害である。好ましい実施形態では、この障害の細胞は上皮細胞および/または内皮細胞である。さらなる実施形態では、上皮細胞および/または内皮細胞は胃、結腸、直腸、膀胱、皮膚、肺、膵臓、子宮、脳、胃腸管、呼吸器系、循環系、または神経系のものである。このような低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害の例には、それだけには限定されないが、IC、慢性非細菌性前立腺炎、前立腺痛、IBD関連病変、潰瘍性大腸炎、クローン病、創傷治癒の欠損が含まれる。
本明細書中で使用する用語「組み合わせて」とは、複数の予防剤および/または治療剤の使用をいう。用語「組み合わせて」の使用は、低増殖性の上皮細胞および/もしくは内皮細胞障害、または細胞死の増加を伴う障害に罹患している対象に予防剤ならびに/あるいは治療剤を投与する順序を制限しない。第1の予防剤または治療剤は、第2の予防剤または治療剤を投与する前(たとえば、1分間、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間前)に、同時に、あるいはその後(たとえば、1分間、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間後)に、低増殖性の上皮細胞および/もしくは内皮細胞障害に罹患していた、罹患している、またはそれに感受性のある対象に投与することができる。任意の追加の予防剤または治療剤は、任意の順序で他の追加の予防剤または治療剤と共に投与することができる。特定の実施形態では、本発明のEphA2剤は、1つまたは複数の薬剤(たとえば、この障害を治療するために現在投与されている非EphA2系薬剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗生物質、免疫調節剤もしくは抗尿路感染症剤)と組み合わせて投与することができる。
本明細書中で使用する用語「耐性が低い」とは、患者が治療の副作用に苦しみ、有害作用および/または副作用からの害が治療の利点よりも大きいので患者が治療から利益を得ないかつ/または患者が治療を続けない状態をいう。
本明細書中で使用する用語「管理」、「管理する」および「管理すること」とは、対象が予防剤または治療剤から得る、障害の治癒をもたらさない有益な効果をいう。特定の実施形態では、障害を「管理する」して障害の進行または悪化を予防する(すなわち疾患の進行を保留する)ために、対象に1つもしくは複数の予防剤または治療剤を投与する。
本明細書中で使用する用語「増強」とは、その一般的または許容される用量における、治療剤の有効性の向上をいう。
本明細書中で使用する用語「予防」、「予防する」および「予防すること」とは、予防剤または治療剤を投与することにより生じる、対象における障害の再発、伝播または発症の予防をいう。
本明細書中で使用する「予防上有効な量」とは、低増殖性細胞障害あるいは上皮細胞ならびに/または内皮細胞の破壊および/もしくは脱粒、特にICおよびIBDに起因する病変に関連する細胞死の増加を伴う障害の再発、伝播あるいは発症の予防をもたらすのに十分な予防薬の量をいう。予防上有効な量とは、それだけには限定されないが低増殖性細胞障害にかかりやすい患者、たとえばこのような障害の遺伝的な傾向がある者または以前にこのような障害を罹患した者を含めた患者において低増殖性の細胞障害または細胞死の増加を伴う障害の発生、伝播または再発を予防するのに十分な予防薬の量をいい得る。予防上有効な量はまた、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害の予防において予防上の利益をもたらす予防薬の量をいい得る。さらに、本発明の予防薬に関して予防上有効な量とは、単独で、または低増殖性細胞障害の予防において予防上の利益をもたらす1つもしくは複数の他の薬剤(たとえば、この障害を治療するために現在投与されている非EphA2系薬剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗生物質、免疫調節剤または抗尿路感染症剤)と組み合わせた、予防薬のその量をいう。本発明のEphA2剤の量に関連して使用した場合、この用語は、全体的な予防を改善する、または別の予防薬の予防上の有効性を増強させる、または別の予防薬との相乗作用を与える量を包含することができる。
本明細書中で使用する用語「不応性」とは、1つもしくは複数の治療(たとえば現在利用可能な治療)に応答性のない低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害をいう。特定の実施形態では、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害が治療に不応性ということは、前記障害に関連する症状の少なくともある程度の有意な部分がその治療によって排除または軽減されないことを意味する。低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害が不応性であるかどうかの決定は、in vivoまたはin vitroのどちらかで、低増殖性細胞障害、とりわけICおよびIBDに起因する病変の治療の有効性をアッセイするために当分野で知られている任意の方法で行うことができる。
本明細書中で使用する表現「副作用」とは、予防剤または治療剤の望ましくないかつ有害な作用を包含する。有害作用は必ず望ましくないが、望ましくない効果は必ずしも有害ではない。予防剤または治療剤の有害作用は有害または不快感または危険であり得る。副作用の例には、それだけには限定されないが、嘔気、嘔吐、摂食障害、腹部痙攣、発熱、疼痛、体重減少、脱水症、脱毛症、呼吸困難、不眠症、眩暈、粘膜炎、神経および筋肉への影響、疲労、口渇、および食欲損失、投与部位の発疹や腫脹、発熱、悪寒および疲労などのインフルエンザ様の症状、消化管の問題ならびにアレルギー反応が含まれる。患者が経験するさらなる望ましくない効果が多数あり、当分野で知られている。その多くがPhysicians' Desk Reference、(第56版、2002)に記載されている。
本明細書中で使用する用語「単鎖Fv」すなわち「sFv」とは、抗体のVHおよびVLドメインを含む抗体断片をいい、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、VHおよびVLドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これによりsFvが抗原への結合に望ましい構造を形成することが可能になる。sFvの総説には、Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、RosenburgおよびMoore編、Springer-Verlag、New York、269-315ページ、(1994)を参照されたい。
本明細書中で使用する用語「対象」および「患者」は互換性があるように使用される。本明細書中で使用する対象は、好ましくは非霊長類(たとえば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)および霊長類(たとえばサルやヒト)などの哺乳動物、最も好ましくはヒトである。
本明細書中で使用する用語「治療剤」とは、上皮細胞ならびに/または内皮細胞の破壊ならびに/または脱粒、特にICおよびIBD関連病変に関連する、低増殖性細胞障害に関連する障害の治療、管理、予防、あるいは症状の軽減に使用することができる任意の薬剤をいう。特定の実施形態では、用語「治療剤」とは、病理を引き起こす上皮細胞および/または内皮細胞表現型を阻害するEphA2拮抗剤をいう。特定の実施形態では、EphA2治療剤はモノクローナル抗体、またはEphA2の可溶性がある内在性リガンド結合ドメインである。さらなる実施形態では、EphA2拮抗剤はエフリンA1抗体または抗原結合断片である。さらなる実施形態では、EphA2拮抗剤は、小分子アンタゴニスト、酵素活性アンタゴニスト、エフリンA1 siRNAもしくはeiRNA分子、またはエフリンA1アンチセンス分子である。他の実施形態では、EphA2拮抗剤は、エフリンA2 siRNAもしくはeiRNA分子、またはエフリンA2アンチセンス分子である。用語「治療剤」はまた、抗UTIおよび/または免疫調節療法に使用する薬剤もいうことができる。
本明細書中で使用する「治療上有効な量」とは、上皮細胞ならびに/または内皮細胞の破壊ならびに/または脱粒、特にICおよびIBDに起因する病変に関連する、低増殖性細胞障害に関連する障害または細胞死の増加を伴う障害の症状を治療、管理、あるいは寛解させるのに十分な治療剤のその量、好ましくは、このような障害に関連する症状を排除、変更、または制御するのに十分な量をいう。治療上有効な量とは、低増殖性細胞障害もしくは細胞死の増加を伴う障害の発症もしくは重篤度を遅延するまたは最小限にするのに十分な治療剤の量をいい得る。治療上有効な量はまた、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害の治療または管理において治療上の利点をもたらす治療剤の量をいい得る。さらに、本発明の治療剤に関して治療上有効な量とは、単独で、または低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害の治療または管理において治療上の利点をもたらす他の治療剤と組み合わせた、治療剤の量をいう。本発明のEphA2剤の量に関連して使用した場合、この用語は、全体的な治療を改善する、望ましくない効果を軽減もしくは回避する、または別の治療剤の治療上の有効性を増強させる、または別の治療剤との相乗効果を与える量を包含することができる。
本明細書中で使用する用語「治療」、「治療する」および「治療すること」とは、障害の症状の根絶、軽減もしくは寛解、特に低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害、特にICまたはIBD関連病変の根絶、除去、変更、もしくは制御、あるいは1つもしくは複数の予防剤または治療剤を投与することにより生じる損傷した上皮細胞および/または内皮細胞の再生および再構成をいう。特定の実施形態では、このような用語は、このような障害に罹患している対象に1つもしくは複数の予防剤または治療剤を投与することにより生じる、上皮細胞および/もしくは内皮細胞の破壊および/もしくは脱粒に関連する、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害の伝播を最小限にするあるいは遅延させることをいう。
5. 発明の詳細な説明
EphA2は、低増殖性細胞中でダウンレギュレーションされており、いくつかの上皮障害で機能が変化している。本発明者らは、EphA2レベルの増加により細胞の増殖、成長、および/もしくは生存を増加させる、かつ/または細胞の組織化を維持することができることを見出した。部分的にこのことおよび他の知見に基づいて、本発明は、EphA2を拮抗する、たとえば、EphA2-内在性リガンド結合を低下させる、EphA2遺伝子の発現および/もしくは翻訳をアップレギュレーションする、EphA2タンパク質の安定性もしくはタンパク質の蓄積を増加させる、EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる、EphA2のキナーゼ活性(自己リン酸化もしくはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)を促進する、EphA2を発現する細胞の増殖を増加させる、EphA2を発現する細胞の生存を増加させる、かつ/または上皮および/もしくは内皮細胞層の完全性を維持/再構成する薬剤およびその薬剤の使用を包含する。
リガンド結合の最初の結果はEphA2の自己リン酸化である(R.A. Lindberg他、Molecular & Cellular Biology、10:6316、1990)。しかし、他の受容体チロシンキナーゼとは異なり、EphA2は、リガンド結合またはホスホチロシン含有量が存在しない場合でも酵素活性を保持している(Zantek他、Cell Growth & Differentiation、10:629、1999)。本発明者らはまた、EphA2は、リガンドに結合していない場合は増殖を促進するが、その内在性リガンドであるエフリンA1に結合した場合は増殖を阻害することを見出した。したがって、本発明はまた、EphA2がその内在性リガンドに結合することを低下させるまたは破壊する薬剤およびその薬剤の使用も包含する。
本発明はまた、EphA2と拮抗する、たとえば、EphA2-内在性リガンドの結合を低下させる、EphA2遺伝子の発現および/もしくは翻訳をアップレギュレーションする、EphA2タンパク質の安定性もしくはタンパク質の蓄積を増加させる、EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる、EphA2のキナーゼ活性(自己リン酸化もしくはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)を促進する、EphA2を発現する細胞の増殖を増加させる、EphA2を発現する細胞の生存を増加させる、かつ/または上皮および/もしくは内皮細胞層の完全性を維持/再構成するEphA2剤のスクリーニングおよび同定を提供する。好ましい実施形態では、本発明のEphA2拮抗剤はEphA2抗体、好ましくはモノクローナル抗体、好ましくはヒト化モノクローナル抗体である。別の好ましい実施形態では、本発明のEphA2拮抗剤は、EphA2の可溶性がある内在性リガンド結合ドメインである。別の実施形態では、EphA2拮抗剤はエフリンA1の発現を阻害する。さらなる実施形態では、EphA2拮抗剤はエフリンA1抗体または抗原結合断片である。さらなる実施形態では、EphA2拮抗剤は、小分子アンタゴニスト、酵素活性アンタゴニスト、エフリンA2 siRNAもしくはeiRNA分子、またはエフリンA2アンチセンス分子である。他の実施形態では、EphA2拮抗剤は、エフリンA2 siRNAもしくはeiRNA分子、またはエフリンA2アンチセンス分子である。
5.1 EphA2拮抗剤
上述のように、本発明は、EphA2-内在性リガンド結合を低下させる、EphA2遺伝子の発現および/もしくは翻訳をアップレギュレーションする、EphA2タンパク質の安定性もしくはタンパク質の蓄積を増加させる、EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる、EphA2のキナーゼ活性(自己リン酸化もしくはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)を促進する、EphA2を発現する細胞の増殖を増加させる、EphA2を発現する細胞の生存を増加させる、かつ/または上皮および/もしくは内皮細胞層の完全性を維持/再構成するアンタゴニストの投与を包含する。本発明のこのような拮抗剤には、それだけには限定されないが、たとえばそれだけには限定されないがペプチド、ポリペプチド、タンパク質、翻訳後修飾されたタンパク質、抗体などを含めたタンパク質分子、または小分子(1000ダルトン未満)、無機もしくは有機化合物;あるいは、それだけには限定されないが、二本鎖もしくは一本鎖DNA、または二本鎖もしくは一本鎖RNA(たとえばアンチセンス、RNAiを媒介するなど)、ならびに三重らせん核酸分子を含めた核酸分子が含まれる。
5.2 ポリペプチド拮抗剤
本発明の方法は、ポリペプチドであるEphA2拮抗剤を包含する。一実施形態では、ポリペプチド拮抗剤は、EphA2に免疫特異的に結合してEphA2と拮抗する(たとえば、EphA2-内在性リガンド結合を低下させる、EphA2遺伝子の発現および/もしくは翻訳をアップレギュレーションする、EphA2タンパク質の安定性もしくはタンパク質の蓄積を増加させる、EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる、EphA2のキナーゼ活性(自己リン酸化もしくはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)を促進する、EphA2を発現する細胞の増殖を増加させる、EphA2を発現する細胞の生存を増加させる、かつ/または上皮および/もしくは内皮細胞層の完全性を維持もしくは再構成する)EphA2抗体あるいはその断片である。別の実施形態では、ポリペプチド拮抗剤は、EphA2リガンド(たとえばエフリンA1)に結合してEphA2と拮抗する(たとえば、EphA2-内在性リガンド結合を低下させる、EphA2遺伝子の発現および/もしくは翻訳をアップレギュレーションする、EphA2タンパク質の安定性もしくはタンパク質の蓄積を増加させる、EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる、EphA2のキナーゼ活性(自己リン酸化もしくはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)を促進する、EphA2を発現する細胞の増殖を増加させる、EphA2を発現する細胞の生存を増加させる、かつ/または上皮および/もしくは内皮細胞層の完全性を維持/再構成する)能力を有するEphA2断片である。
5.2.1 ポリペプチド拮抗剤としての抗体
一実施形態では、EphA2拮抗剤は抗体、好ましくはモノクローナル抗体である。本発明の抗体拮抗剤は、EphA2に免疫特異的に結合してEphA2を拮抗する。より具体的な実施形態では、本発明の抗体はEphA2の細胞外ドメインに(たとえばEphA2のリガンド結合部位の内部または外部のどちらかにあるエピトープで)免疫特異的に結合し、EphA2の分解を引き起こさずにEphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる。別の具体的な実施形態では、抗体はEphA2の細胞外ドメインに(たとえばEphA2のリガンド結合部位の内部または外部のどちらかにあるエピトープで)で結合し、EphA2-リガンドの相互作用の程度を阻害または低下させる。別の具体的な実施形態では、抗体はEphA2の細胞外ドメインに(たとえばEphA2のリガンド結合部位の内部または外部のどちらかにあるエピトープで)結合して、EphA2を発現する細胞の細胞増殖、成長および/または生存を増加、加速および/または延長する。別の具体的な実施形態では、抗体は、EphA2細胞外ドメインに(たとえばEphA2のリガンド結合部位の内部または外部のどちらかにあるエピトープで)結合し、上皮および/または内皮細胞層の完全性を維持/再構成する。
本発明の抗体には、それだけには限定されないが、モノクローナル抗体、合成抗体、組換えによって生成した抗体、多特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、合成抗体、細胞内抗体、単鎖Fv(scFv)(たとえば単一特異性および二重特異性などを含む)、Fab断片、F(ab')断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、細胞内抗体、ならびに上記のうち任意のもののエピトープ結合性断片が含まれる。具体的には、本発明の方法で使用する抗体には、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性のある一部分、すなわち、EphA2に免疫特異的に結合する少なくとも1つの抗原結合部位を含み、EphA2のアンタゴニストである(たとえば、EphA2-内在性リガンド結合を低下させる、EphA2遺伝子の発現および/もしくは翻訳をアップレギュレーションする、EphA2タンパク質の安定性もしくはタンパク質の蓄積を増加させる、EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる、EphA2のキナーゼ活性(自己リン酸化もしくはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)を促進する、EphA2を発現する細胞の増殖を増加させる、EphA2を発現する細胞の生存を増加させる、かつ/または上皮および/もしくは内皮細胞層の完全性を維持/再構成する)分子が含まれる。本発明の免疫グロブリン分子は、任意の型(たとえば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスの免疫グロブリン分子とすることができる。
本発明は、ラクダ化した単一ドメイン抗体を含めた単一ドメイン抗体を包含する(たとえば、その全体で本明細書中に参考として組み込まれているMuyldermans他、2001、Trends Biochem. Sci.、26:230;Nuttall他、2000、Cur. Pharm. Biotech.、1:253;ReichmannおよびMuyldermans、1999、J. Immunol. Meth.、231:25;国際公開公報WO94/04678号およびWO94/25591号;米国特許第6,005,079号を参照)。一実施形態では、本発明は、単一ドメイン抗体が形成されるように修飾した、EphA2拮抗性抗体(あるいはEphA2に結合する、かつ/またはEphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる、かつ/またはEphA2-リガンドの相互作用を阻害する、かつ/またはEphA2の酵素活性を刺激する、かつ/または細胞の増殖、成長および/もしくは生存を増加させる、かつ/または細胞層の完全性を維持もしくは再構成する抗体)のVHドメインのうち任意のもののアミノ酸配列を有する、2つのVHドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。別の実施形態では、本発明はまた、EphA2拮抗性抗体、あるいはEphA2に免疫特異的に結合する、かつ/またはEphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる、かつ/またはEphA2-リガンドの相互作用を阻害する、かつ/またはEphA2の酵素活性を刺激する、かつ/または細胞の増殖、成長および/もしくは生存を増加させる、かつ/または細胞層の完全性を維持もしくは再構成する抗体のうち任意のものの1つまたは複数のVHCDRを含む、2つのVHドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。
本発明の抗体にはEphA2細胞内抗体が含まれる(セクション5.2.1.1を参照)。細胞内抗体である本発明の抗体拮抗剤はEphA2に免疫特異的に結合してEphA2と拮抗する。より具体的な実施形態では、本発明の細胞内抗体はEphA2の細胞内ドメインに免疫特異的に結合し、EphA2の分解を引き起こさずにEphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる。別の具体的な実施形態では、細胞内抗体はEphA2の細胞内ドメインに結合し、EphA2-リガンドの相互作用の程度を阻害または低下させる。別の具体的な実施形態では、細胞内抗体はEphA2の細胞内ドメインに結合して、EphA2を発現する細胞の細胞増殖、成長および/または生存を増加、加速および/または延長する。別の具体的な実施形態では、細胞内抗体はEphA2の細胞内ドメインに結合し、上皮および/または内皮細胞層の完全性を維持/再構成する。
本発明の方法で使用する抗体は、鳥類および哺乳動物(たとえば、ヒト、ネズミ、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリ)を含めた任意の動物由来であり得る。最も好ましい実施形態では、抗体はヒトであるか、ヒト化したものである。本明細書中で使用する「ヒト」抗体にはヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が含まれ、ヒト免疫グロブリンのライブラリーまたはヒト遺伝子由来の抗体を発現するマウスから単離した抗体が含まれる。
本発明の方法で使用する抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性またはそれ以上の多重特異性であり得る。多特異性抗体は、EphA2ポリペプチドの異なるエピトープに免疫特異的に結合し得るか、EphA2ポリペプチドならびに異種ポリペプチドや固体担体物質などの異種エピトープのどちらにも免疫特異的に結合し得る。たとえば、国際公開公報WO93/17715号、WO92/08802号、WO91/00360号、およびWO92/05793号;Tutt他、1991、J. Immunol.、147:60-69;米国特許第4,474,893号、第4,714,681号、第4,925,648号、第5,573,920号、および第5,601,819号;ならびにKostelny他、1992、J. immunol.、148:1547-1553を参照されたい。
5.2.1.1 細胞内抗体
特定の実施形態では、本発明で使用する抗体は細胞内エピトープに結合する、すなわち細胞内抗体である。細胞内抗体は、抗原に免疫特異的に結合する能力を有する抗体の少なくとも一部分を含み、好ましくはその分泌をコードしている配列を含まない。このような抗体は細胞内で抗原に結合する。一実施形態では、細胞内抗体は単鎖Fv(「sFv」)を含む。sFvとは抗体のVHおよびVLドメインを含む抗体断片であり、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在する。一般に、sFvポリペプチドはVHおよびVLドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これによりsFvが抗原への結合に望ましい構造を形成することが可能になる。sFvの総説には、Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、RosenburgおよびMoore編、Springer-Verlag、New York、269-315ページ、(1994)を参照されたい。さらなる実施形態では、細胞内抗体は作動可能な分泌配列をコードしておらず、したがって細胞内に留まることが好ましい(一般に、Marasco, WA、1998、「Intrabodies: Basic Research and Clinical Gene Therapy Applications」、Springer:New Yorkを参照)。
細胞内抗体の生成は当業者に周知であり、たとえば、その全体で本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第6,004,940号;第6,072,036号;第5,965,371号に記載されている。さらに、細胞内抗体の構築は、その全体で本明細書中に参考として組み込まれている参考文献であるOhageおよびSteipe、1999、J. Mol. Biol.、291:1119-1128;Ohage他、1999、J. Mol. Biol.、291:1129-1134;ならびにWirtzおよびSteipe、1999、Protein Science、8:2245-2250に記載されている。組換えによる抗体の生成について記載されたものなどの組換え分子生物学的技法も、細胞内抗体の生成に使用し得る。
一実施形態では、本発明の細胞内抗体は、完全な抗体(すなわち定常ドメイン全体および可変領域全体を有する)の抗原に対する結合有効性の少なくとも約75%を保持している。より好ましくは、細胞内抗体は、完全な抗体の結合有効性の少なくとも85%を保持している。さらにより好ましくは、細胞内抗体は、完全な抗体の結合有効性の少なくとも90%を保持している。さらにより好ましくは、細胞内抗体は、完全な抗体の結合有効性の少なくとも95%を保持している。
細胞内抗体の生成にあたって、目的のVHおよびVL鎖のいずれもの可変領域をコードしているポリヌクレオチドは、たとえばハイブリドーマmRNAまたは脾臓mRNAを、このようなドメインをPCR増幅する鋳型として用いることによってクローニングすることができる(Huse他、1989、Science、246:1276)。1つの好ましい実施形態では、VHおよびVLドメインをコードしているポリヌクレオチドを、リンカーをコードしているポリヌクレオチド配列によって連結して単鎖抗体(sFv)を作製する。sFvは、典型的にはVH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VHの配列を有する単一のペプチドを含む。リンカーは、重鎖と軽鎖がその正しいコンホメーション配向で結合することを可能にするように選択される(たとえば、本明細書中に参考として組み込まれているHuston他、1991、Methods in Enzym.、203:46-121参照)。さらなる実施形態では、リンカーは、ネイティブFvコンホメーションの歪みを最小限にするために、可変ドメインのそれぞれとの融合点間の距離(たとえば3.5nm)にわたることができる。このような実施形態では、リンカーは少なくとも5個のアミノ酸残基、少なくとも10個のアミノ酸残基、少なくとも15個のアミノ酸残基、またはそれ以上のポリペプチドである。さらなる実施形態では、リンカーは結合部位のVHおよびVLドメインへの立体的な妨害を生じないべきである。このような実施形態では、リンカーは35個のアミノ酸以下、30個のアミノ酸以下、または25個のアミノ酸以下である。したがって、最も好ましい実施形態では、リンカーの長さは15〜25個のアミノ酸残基である。さらなる実施形態では、リンカーは親水性であり、VHおよびVLドメインが抗原の検出に必要なコンホメーションをとれるように十分柔軟である。同一のVHおよびVLドメインの間に異なるリンカー配列を挿入して細胞内抗体を生成することができる。特定のVHおよびVLドメインの対に適した特性を有するリンカーは、それぞれについて抗原への結合の度合いを評価することによって経験的に決定することができる。リンカーの例には、それだけには限定されないが、表1に開示した配列が含まれる。
Figure 2006523240
一実施形態では、細胞内抗体は細胞質中で発現される。他の実施形態では、細胞内抗体は細胞内の様々な位置に局在している。このような実施形態では、細胞内抗体を特定の位置に向けるために、細胞内抗体ポリペプチドに特定の局在化配列を結合することができる。細胞内抗体は、たとえば以下の細胞内位置、すなわち小胞体(Munro他、1987、Cell、48:899-907;Hangejorden他、1991、J Biol. Chem.、266:6015)、核(Lanford他、1986、Cell、46:575;Stanton他、1986、PNAS、83:1772;Harlow他、1985、Mol. Cell Biol.、5:1605;Pap他、2002、Exp Cell Res.、265:288-93)、核小体領域(Seomi他、1990、J. Virology、64:1803;Kubota他、1989、Biochem. Biophys. Res. Comm.、162:963;Siomi他、1998、Cell、55:197)、エンドソーム区画(Bakke他、1990、Cell、63:707-716)、ミトコンドリア基質(Pugsley, A. P.、1989、「Protein Targeting」、Academic Press, Inc.)、ゴルジ体(Tang他、1992、J. Bio. Chem.、267:10122-6)、リポソーム(Letourneur他、1992、Cell、69:1183)、ペルオキシソーム(Pap他、2002、Exp. Cell Res.、265:288-93)、トランスゴルジネットワーク(Pap他、2002、Exp. Cell Res.、265:288-93)、および形質膜(Marchildon他、1984、PNAS、81:7679-82;Henderson他、1987、PNAS、89:339-43;Rhee他、1987、J Virol.、61:1045-53;Schultz他、1984、J. Virol.、133:431-7;Ootsuyama他、1985、Jpn. J. Can. Res.、76:1132-5;Ratner他、1985、Nature、313:277-84)に局在化させることができる。局在化シグナルの例には、それだけには限定されないが、表2に開示した配列が含まれる。
Figure 2006523240
VHおよびVLドメインは、一般に保存された構造的ジスルフィド結合を有する免疫グロブリンドメインからなる。還元的環境(たとえば細胞質)中で細胞内抗体を発現させる実施形態では、このような構造的特徴は存在することができない。ジスルフィド結合の形成が存在しないことにより生じる免疫グロブリン構造の安定性の低下を補うために、細胞内抗体のポリペプチド配列に突然変異を行うことができる。一実施形態では、細胞内抗体のVHおよび/またはVLドメインは、還元的環境中でその発現が安定化されるように1つまたは複数の点突然変異を含む(Steipe他、1994、J. Mol. Biol.、240:188-92;WirtzおよびSteipe、1999、Protein Science、8:2245-50;OhageおよびSteipe、1999、J. Mol. Biol.、291:1119-28;Ohage他、1999、J. Mol Biol.、291:1129-34参照)。
治療剤としての細胞内抗体タンパク質
一実施形態では、組換えによって発現させた細胞内抗体タンパク質を患者に投与する。このような細胞内抗体ポリペプチドは、予防効果または治療効果を媒介するためには細胞内になければならない。本発明のこの実施形態では、細胞内抗体ポリペプチドは「膜透過性配列」に結合している。膜透過性配列とは、細胞の外部から細胞の内部まで細胞膜を通って貫通することができるポリペプチドをいう。別のポリペプチドと結合した場合、膜透過性配列は、そのポリペプチドの細胞膜を通った移動も指示することができる。
一実施形態では、膜透過性配列はシグナルペプチドの疎水性領域である(たとえば、その全体で本明細書中に参考として組み込まれているHawiger、1999、Curr. Opin. Chem. Biol.、3:89-94;Hawiger、1997、Curr. Opin. Immunol.、9:189-94;米国特許第5,807,746号および第6,043,339号参照)。膜透過性配列の配列は、任意のシグナルペプチドの疎水性領域に基づくことができる。シグナルペプチドは、たとえばSIGPEPデータベースから選択することができる(たとえば、von Heijne、1987、Prot. Seq. Data Anal.、1:41-2;von HeijneおよびAbrahmsen、1989、FEBS Lett.、224:439-46参照)。細胞内抗体ポリペプチドの挿入のために特定の細胞種を標的にする場合は、膜透過性配列は、その細胞種に内在するシグナルペプチドに基づくことが好ましい。別の実施形態では、膜透過性配列はウイルスタンパク質(たとえばヘルペスウイルスタンパク質VP22)またはその断片である(たとえば、Phelan他、1998、Nat. Biotechnol.、16:440-3参照)。特定の細胞内抗体および/または特定の標的細胞種に適した特性を有する膜透過性配列は、細胞内抗体の細胞膜を通る移動を指示するそれぞれの膜透過性配列の能力を評価することによって、経験的に決定することができる。膜透過性配列の例には、それだけには限定されないが、表3に開示した配列が含まれる。
Figure 2006523240
別の実施形態では、膜透過性配列は誘導体とすることができる。この実施形態では、膜透過性配列のアミノ酸配列は、アミノ酸残基の置換、欠失、付加、および/または修飾の導入によって変更されている。たとえば、限定はしないが、ポリペプチドを、たとえばグリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、知られている保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解性切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質への結合などによって修飾し得る。膜透過性配列ポリペプチドの誘導体は、それだけには限定されないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含めた当業者に知られている技術を用いた化学修飾によって修飾し得る。さらに、膜透過性配列ポリペプチドの誘導体は、1つまたは複数の非古典的アミノ酸を含み得る。一実施形態では、ポリペプチド誘導体は、変更していないポリペプチドに類似または同一の機能を有する。別の実施形態では、膜透過性配列ポリペプチドの誘導体は、変更していないポリペプチドと比較した場合に活性が変更されている。たとえば、誘導体膜透過性配列ポリペプチドは、より効率的に細胞膜を通って移動することができるか、タンパク質分解に対してより耐性がある。
膜透過性配列はいくつかの方法によって細胞内抗体に結合させることができる。一実施形態では、膜透過性配列および細胞内抗体は融合タンパク質として発現される。この実施形態では、標準的な組換えDNA技術を用いて、膜透過性配列をコードしている核酸を細胞内抗体をコードしている核酸に結合させる(たとえば、Rojas他、1998、Nat. Biotechnol.、16:370-5参照)。さらなる実施形態では、膜透過性配列および細胞内抗体をコードしている核酸の間に、スペーサーペプチドをコードしている核酸配列が存在する。別の実施形態では、それぞれを組換えによって個別に発現させたあとに、膜透過性配列ポリペプチドを細胞内抗体ポリペプチドに結合させる(たとえば、Zhang他、1998、PNAS、95:9184-9参照)。この実施形態では、ポリペプチドは、当分野で標準的な方法によるペプチド結合または非ペプチド結合(たとえば、グルタルアルデヒドやチアゾリジノ結合などの架橋結合試薬を用いる、たとえば、Hawiger、1999、Curr. Opin. Chem. Biol.、3:89-94参照)によって連結することができる。
膜透過性配列-細胞内抗体ポリペプチドの投与は、非経口投与、たとえば、標的細胞(もしくは複数の細胞)を有する組織(もしくは複数の組織)または器官(もしくは複数の器官)に供給する血管を通る局所灌流を含めた静脈内注射によって、あるいは、エアロゾルの吸入によって、皮下または筋肉内注射によって、皮膚の創傷および病変などへの局所投与によって、移植用に調製した、たとえば骨髄細胞内へ直接トランスフェクトし、次いで対象に移植することによって、ならびに後に対象に移植する器官への直接トランスフェクションによって行うことができる。さらなる投与方法には、特に複合体がカプセル封入されている場合は経口投与、または、特に複合体が坐薬形態の場合は直腸投与が含まれる。製薬上許容される担体には、生物学的にまたは他の点で望ましくない点がない任意の物質が含まれる。すなわちこの物質は、望ましくない生物学的効果をまったく引き起こさずに、またはその物質が含まれる医薬組成物中の他のどの成分とも有害な様式で相互作用せずに、選択した複合体と共に個体に投与し得る。
膜透過性配列-細胞内抗体ポリペプチドの投与条件は、当分野の教示をかんがみて容易に決定することができる(たとえば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、E. W. Martin (編)、Mack Publishing Co.、ペンシルベニア州Easton、(1990)参照)。in vivoの特定の細胞種を、たとえば器官または腫瘍の局所灌流によって標的にする場合は、標的組織からの細胞の生検を行い、その組織内へ複合体を移入する最適な用量をin vitroで決定して濃度および時間の長さを含めたin vivoでの用量を最適化することができる。あるいは、同一細胞種の培養細胞を使用してin vivoでの標的細胞の用量を最適化することもできる。
治療法としての細胞内抗体遺伝子治療
別の実施形態では、細胞内抗体をコードしているポリヌクレオチドを患者に投与する(たとえば遺伝子治療と同様に)。この実施形態では、セクション5.7.1に記載した方法を用いて本発明のポリヌクレオチドを投与することができる。
5.2.1.2 抗体の生成方法
本発明のEphA2拮抗性抗体またはその断片は、抗体を合成するための当分野で知られている任意の方法、具体的には化学合成、または好ましくは組換えによる発現技術によって生成することができる。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え体、およびファージディスプレイ技術、またはそれらの組合せの使用を含めた当分野で知られている広範な技術を用いて調製することができる。たとえば、モノクローナル抗体は、当分野で知られており、たとえばHarlow他、Antibodies: A Laboratory Manual、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988);Hammerling他、Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas、563-681、(Elsevier、N.Y.、1981)(前記参考文献はその全体で参考として組み込まれている)に教示されているものを含めたハイブリドーマ技術を用いて生成することができる。本明細書中で使用する用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術によって生成させた抗体に限定されない。用語「モノクローナル抗体」とは、任意の真核、原核、またはファージのクローンを含めた単一のクローン由来の抗体をいい、これが生成された方法ではない。
ハイブリドーマ技術を用いた特異的な抗体の生成およびスクリーニング方法は、日常的かつ当分野で周知である。手短に述べると、マウスをEphA2(完全長タンパク質またはそのドメイン、たとえば細胞外ドメインのどちらか)で免疫化し、免疫応答が検出されたあと、たとえば、EphA2に特異的な抗体がマウス血清中に検出されたあと、マウス脾臓を収集して脾細胞を単離することができる。その後、周知の技術によって脾細胞を任意の適切な骨髄腫細胞、たとえば細胞系SP20由来の細胞(ATCCから利用可能)またはNHO細胞に融合させる。ハイブリドーマを選択し、限界希釈によってクローニングする。その後、ハイブリドーマクローンを、本発明のポリペプチドを結合する能力を有する抗体を分泌する細胞について、当分野で知られている方法によってアッセイする。一般に抗体を高いレベルで含む腹水は、マウスを陽性ハイブリドーマクローンで免疫化することによって生成することができる。
したがって、モノクローナル抗体は、本発明の抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を培養することによって生成することができ、この場合、ハイブリドーマは、好ましくはEphA2またはその断片で免疫化したマウスから単離した脾細胞を骨髄腫細胞と融合させ、その後、融合により生じたハイブリドーマを、EphA2に結合してこれを拮抗することができる抗体を分泌するハイブリドーマクローンについてスクリーニングすることによって、作製する。
特異的なEphA2エピトープを認識する抗体断片は、当業者に知られている任意の技術によって生成し得る。たとえば、本発明のFabおよびF(ab')2断片は、パパイン(Fab断片を生じるため)またはペプシン(F(ab')2断片を生じるため)などの酵素を用いて免疫グロブリン分子のタンパク質分解性切断を行うことによって生成し得る。F(ab')2断片は、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。さらに、本発明の抗体は、当分野で知られている様々なファージディスプレイ法を用いても生成することができる。
ファージディスプレイ法では、機能的抗体ドメインは、それらをコードしているポリヌクレオチド配列を含むファージ粒子の表面上に表示される。具体的には、VHおよびVLドメインをコードしているDNA配列を動物のcDNAライブラリー(たとえばヒトまたはネズミのリンパ組織のcDNAライブラリー)から増幅する。VHおよびVLドメインをコードしているDNAをPCRによってscFvリンカーと再度一緒にし、ファージミドベクター(たとえばpCANTAB6またはpComb3HSS)内にクローニングする。ベクターを用いて大腸菌(E. coli)に電気穿孔を行い、大腸菌をヘルパーファージに感染させる。これらの方法で用いたファージは、典型的にはfdおよびM13を含めた繊維状ファージであり、VHおよびVLドメインは通常、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのどちらかに組換えによって融合されている。目的のEphA2エピトープに結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原、たとえば標識した抗原または固体表面もしくはビーズに結合したもしくはそれに捕捉された抗原を用いて、選択あるいは同定することができる。本発明の抗体を生成するために使用することができるファージディスプレイ法の例には、それぞれがその全体で本明細書中に参考として組み込まれているBrinkman他、1995、J. Immunol. Methods、182:41-50;Ames他、1995、J. Immunol. Methods、184:177;Kettleborough他、1994、Eur. J. Immunol.、24:952-958;Persic他、1997、Gene、187:9;Burton他、1994、Advances in Immunology、57:191-280;国際出願PCT/GB91/01134号;国際公開WO90/02809号、WO91/10737号、WO92/01047号、WO92/18619号、WO93/11236号、WO95/15982号、WO95/20401、およびW097/13844号;ならびに米国特許第5,698,426号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,750,753号、第5,821,047号、第5,571,698号、第5,427,908号、第5,516,637号、第5,780,225号、第5,658,727号、第5,733,743号および第5,969,108号に開示されているものが含まれる。
ファージを、EphA2への結合、特にEphA2の細胞外ドメインへの結合についてスクリーニングし得る。拮抗性EphA2の活性(たとえば、EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させること、EphA2のキナーゼ活性(自己リン酸化またはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)を促進すること、EphA2-リガンドの相互作用を破壊すること、細胞の増殖、成長および/または生存を増強、加速および/または延長すること、ならびに上皮および/または内皮細胞層の完全性を維持または再構成させること)についてもスクリーニングし得る(スクリーニング方法については、たとえばセクション5.5を参照)。
上記参考文献中に記載のように、ファージの選択後、ファージの抗体コード領域を単離して、たとえば以下に記載のようにヒト抗体を含めた完全な抗体、または任意の他の所望の抗原結合断片を生成させ、かつ哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含めた任意の所望の宿主中で発現させるために使用することができる。組換えによってFab、Fab'およびF(ab')2断片を生成する技術も、国際公開公報WO92/22324号;Mullinax他、1992、BioTechniques、12:864;Sawai他、1995、AJRI、34:26;およびBetter他、1988、Science、240:1041(前記参考文献はその全体で参考として組み込まれている)に開示されているものなどの当分野で知られている方法を用いて使用することができる。
完全な抗体を生成するために、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護するためのフランキング配列を含めたPCRプライマーを用いて、scFvクローン中のVHまたはVL配列を増幅するために使用することができる。当業者に知られているクローニング技術を利用して、PCR増幅したVHドメインをVH定常領域、たとえばヒトγ4定常領域を発現するベクター中にクローニングし、PCR増幅したVLドメインをVL定常領域、たとえば、ヒトκまたはλ定常領域を発現するベクター中にクローニングすることができる。好ましくは、VHまたはVLドメインを発現させるためのベクターは、EF-1αプロモーター、分泌シグナル、可変ドメイン用のクローニング部位、定常ドメイン、およびネオマイシンなどの選択マーカーを含む。VHおよびVLドメインはまた、必要な定常領域を発現する1つのベクター中にクローニングし得る。その後、重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターを細胞系中に同時トランスフェクトし、当業者に知られている技術を用いて完全長の抗体、たとえばIgGを発現する安定したまたは過渡的な細胞系を生成する。
ヒトにおける抗体のin vivoでの使用およびin vitro検出アッセイを含めた一部の使用では、ヒトまたはキメラ抗体を用いることが好ましいかもしれない。ヒト対象の治療的処置には完全にヒトの抗体が特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列由来の抗体ライブラリーを用いた上述のファージディスプレイ法を含めた当分野で知られている様々な方法によって生成することができる。それぞれがその全体で本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第4,444,887号および第4,716,111号;ならびに国際公開公報WO98/46645号、WO98/50433号、WO98/24893号、WO98/16654号、WO96/34096号、WO96/33735、およびWO91/10741号も参照されたい。
ヒト抗体は、機能的な内在性免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いても生成することができる。たとえば、ヒトの重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体は、無作為にまたは相同組換えによってマウス胚性幹細胞中に導入し得る。あるいは、ヒトの重鎖および軽鎖遺伝子に加えて、ヒトの可変領域、定常領域、および多様性領域をマウス胚性幹細胞中に導入し得る。マウスの重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子に、相同組換えによって個別にまたはヒト免疫グロブリン座位の導入と同時に機能性を持たなくさせてもよい。具体的には、JH領域のホモ接合性の欠失により内在性の抗体産生が阻止される。改変した胚性幹細胞を拡大し、胚盤胞中に微量注入してキメラマウスを作製する。その後、キメラマウスを繁殖させてヒト抗体を発現するホモ接合性の子孫を作製する。トランスジェニックマウスを、選択した抗原、たとえば本発明のポリペプチドの全体または一部分を用いて通常の様式で免疫化する。慣用のハイブリドーマ技術を用いて、免疫化したトランスジェニックマウスから抗原に向けられたモノクローナル抗体を得ることができる。トランスジェニックマウスが有するヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞の分化中に再編成され、次いでクラススイッチおよび体細胞性突然変異を受ける。したがって、このような技術を用いることによって治療上有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を生成することが可能である。ヒト抗体を生成するこのような技術の概要については、LonbergおよびHuszar(1995、Int. Rev. Immunol.、13:65-93)を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を生成するこのような技術ならびにこのような抗体を生成するプロトコルの詳述については、たとえば、その全体で本明細書中に参考として組み込まれている国際公開公報WO98/24893号、WO96/34096号、およびWO96/33735号;ならびに米国特許第5,413,923号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,569,825号、第5,661,016号、第5,545,806号、第5,814,318号、および第5,939,598号を参照されたい。さらに、Abgenix, Inc.(カリフォルニア州Freemont)およびMedarex(ニュージャージー州Princeton)などの企業が、上述の技術に類似の技術を用いて選択した抗原に向けられたヒト抗体を提供することに従事している。
キメラ抗体とは、非ヒト抗体由来の可変領域およびヒト免疫グロブリンの定常領域を有する抗体など、抗体の異なる部分が異なる免疫グロブリン分子由来である分子である。キメラ抗体を生成する方法は当分野で知られている。たとえば、その全体で本明細書中に参考として組み込まれているMorrison、1985、Science、229:1202;Oi他、1986、BioTechniques、4:214;Gillies他、1989、J. Immunol. Methods、125:191-202;および米国特許第5,807,715号、第4,816,567号、および第4,816,397号を参照されたい。非ヒト種由来の1つまたは複数のCDRおよびヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を含むキメラ抗体は、たとえば、CDR移植(EP239,400号;国際公開公報WO91/09967号;ならびに米国特許第5,225,539号、第5,530,101号、および第5,585,089号)、張り合わせ(veneering)または再表面化(resurfacing)(EP592,106号;EP519,596号;Padlan、1991、Molecular Immunology、28(4/5):489-498;Studnicka他、1994、Protein Engineering、7:805;およびRoguska他、1994、PNAS、91:969)、およびチェインシャフリング(chain shuffling)(米国特許第5,565,332号)を含めた当分野で知られている様々な技術を用いて生成することができる。一実施形態では、本発明のキメラ抗体はEphA2に免疫特異的に結合し、本発明の抗体のVLCDRのうち任意のもののアミノ酸配列を有する1つ、2つ、または3つのVLCDRをヒトフレームワーク領域内に含む。別の実施形態では、本発明のキメラ抗体はEphA2に免疫特異的に結合し、本発明の抗体のVHCDRのうち任意のもののアミノ酸配列を有する1つ、2つ、または3つのVHCDRをヒトフレームワーク領域内に含む。別の実施形態では、本発明のキメラ抗体はEphA2に免疫特異的に結合し、ヒトフレームワーク領域内に、本発明の抗体のVLCDRのうち任意のもののアミノ酸配列を有する1つ、2つ、または3つのVLCDRを含み、さらに本発明の抗体のVHCDRのうち任意のもののアミノ酸配列を有する1つ、2つ、または3つのVHCDRを含む。好ましい実施形態では、本発明のキメラ抗体はEphA2に免疫特異的に結合し、本発明の抗体のVLCDRのうち任意のもののアミノ酸配列を有する3つのVLCDRをおよび本発明の抗体のVHCDRのうち任意のもののアミノ酸配列を有する3つのVHCDRをヒトフレームワーク領域内に含む。
多くの場合、抗原への結合を変更、好ましくは改善するために、フレームワーク領域内のフレームワーク残基をCDRドナー抗体由来の対応する残基で置換する。このようなフレームワークの置換は、当分野で周知の方法によって、たとえば、抗原への結合に重要なフレームワーク残基を同定するためにCDRとフレームワーク残基との相互作用のモデリングを行い、特定の位置における異例のフレームワーク残基を同定するために配列比較を行うことによって、同定する。(たとえば、その全体で本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第5,585,089号;およびRiechmann他、1988、Nature、332:323を参照されたい)。
5.2.2 ポリペプチド拮抗剤としてのEphA2断片
別の実施形態では、EphA2拮抗剤はEphA2ポリペプチドの断片である。EphA2がその内在性リガンドであるエフリンA1に結合することにより細胞の成長または増殖が低下するので、EphA2-エフリンA1の結合の量を低減させるすべての方法が本発明の方法に包含される。一実施形態では、エフリンA1に結合するその能力を保有しているEphA2の断片は、本発明の方法において細胞性EphA2が細胞性エフリンA1(たとえばEphA2細胞外ドメイン)に結合することを阻害するために使用する。別の実施形態では、融合タンパク質は、エフリンA1に結合するその能力を保有しているEphA2の断片を含む(たとえば、免疫グロブリンの重鎖に融合したEphA2の細胞外ドメイン、Carles-Kinch他、2002、Cancer Res.、62:2840-7参照)。好ましい実施形態では、EphA2断片は可溶性である。EphA2の断片を作製し(たとえば、Genbank登録番号BC037166などの当分野で知られているEphA2配列を用いる)、エフリンA1に結合する能力についてアッセイすることができる。一実施形態では、この断片は1〜約400、500、または600個のアミノ酸残基を含む。より具体的な実施形態では、この断片はEphA2のアミノ酸残基1〜534である。それだけには限定されないが、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、電気泳動移動度シフトアッセイを含めたタンパク質間の結合を検出する当分野で知られている任意の方法を使用し得る。EphA2断片である本発明のポリペプチド拮抗剤には、内在性EphA2配列に100%、98%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%同一であるポリペプチドが含まれる。2つのアミノ酸配列の同一性パーセントの決定は、BLASTタンパク質検索を含めた当業者に知られている任意の方法によって決定することができる。
5.2.3 改変ポリペプチド拮抗剤
本発明の方法で使用するポリペプチド拮抗剤(たとえば抗体またはEphA2断片)には、修飾した、すなわち任意の種類の分子がポリペプチドに共有結合することによって修飾した誘導体が含まれる。たとえば、限定はしないが、ポリペプチド誘導体には、たとえば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、知られている保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解性切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質への結合などによって修飾したポリペプチドが含まれる。それだけには限定されないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含めた数々の化学修飾のうち任意のものを、知られている技術によって実施し得る。さらに、誘導体は1つまたは複数の非古典的アミノ酸を含み得る。
本発明の方法は、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて、15日を越える、好ましくは20日を越える、25日を越える、30日を越える、35日を越える、40日を越える、45日を越える、2カ月を越える、3カ月を越える、4カ月を越える、または5カ月を越える半減期(たとえば血清半減期)を有するポリペプチドEphA2拮抗剤の使用も包含する。哺乳動物、好ましくはヒトにおいてポリペプチド拮抗剤の半減期が増加することにより、哺乳動物内の前記ポリペプチド拮抗剤の濃度がより高くなり、したがって、前記ポリペプチド拮抗剤の投与頻度が減少するかつ/または投与する前記ポリペプチド拮抗剤の量が減少する。in vivo半減期が増加したポリペプチド拮抗剤は、当業者に知られている技術によって作製することができる。たとえば、in vivo半減期が増加したポリペプチド拮抗剤は、アミノ酸残基を改変することによって作製することができる(たとえば、置換、欠失または付加)。一実施形態では、ポリペプチド拮抗剤が抗体である場合、改変するアミノ酸残基はFcドメインとFcRn受容体との相互作用に関与する残基とすることができる(たとえば、その全体で本明細書中に参考として組み込まれている「Molecules With Extended Half-Lives, Compositions and Uses Thereof」と題された国際公開公報WO97/34631号および2001年12月12日出願の米国特許出願第10/020,354号参照)。in vivo半減期が増加したポリペプチド拮抗剤はまた、前記ポリペプチドに高分子量ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー分子を付加させることによっても作製することができる。PEGを前記ポリペプチドの-もしくはC-末端に部位特異的コンジュゲートさせることによって、またはリシン残基上に存在するε-アミノ基を介して、多官能性リンカーを用いてまたは用いずにPEGを前記ポリペプチド拮抗剤に結合させることができる。生じる生物活性の損失が最小限である直鎖または分枝鎖ポリマー誘導体化を用いる。PEG分子がポリペプチド拮抗剤に正しくコンジュゲートされることを確実にするために、コンジュゲーションの程度はSDS-PAGEおよび質量分析によって厳密に監視する。未反応のPEGは、たとえばサイズ排除またはイオン交換クロマトグラフィーによってポリペプチド拮抗剤-PEGコンジュゲートから分離することができる。
5.2.3.1 ポリペプチド拮抗剤をコードしているポリヌクレオチド
本発明のEphA2ポリペプチド拮抗剤には、上記セクション5.2.1および5.2.2に開示したポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドから生成したポリペプチドが含まれる。一実施形態では、本発明の抗体には、セクション5.5に記載の1つまたは複数のアッセイにおいてEphA2と拮抗するモノクローナル抗体をコードしているポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドから生成したEphA2モノクローナル抗体が含まれる。別の実施形態では、本発明の方法で使用するEphA2断片には、EphA2のリガンド結合ドメインをコードしているポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドから生成したポリペプチドが含まれる。ハイブリダイゼーション条件には、それだけには限定されないが、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中のフィルターに結合したDNAに約45℃でハイブリダイゼーションさせ、次いで約50〜65℃の0.2×SSC/0.1%SDSで1回もしくは複数回洗浄することなどのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件、6×SSC中のフィルターに結合したDNAに約45℃でハイブリダイゼーションさせ、次いで約60℃の0.1×SSC/0.2%SDSで1回もしくは複数回洗浄することなどの高度にストリンジェントな条件、または当業者に知られている任意の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が含まれる(たとえば、Ausubel, F.M.他編、1989、Current Protocols in Molecular Biology、第1巻、Green Publishing Associates, Inc.およびJohn Wiley and Sons, Inc.、NY、6.3.1から6.3.6ページおよび2.10.3ページ参照)。
本発明の抗体または本発明の方法で使用するEphA2断片をコードしているポリヌクレオチドは、当分野で知られている任意の方法によって得て配列決定し得る。本発明の方法で使用するポリペプチド拮抗剤をコードしているこのようなポリヌクレオチドは、化学合成オリゴヌクレオチドから組み立ててもよく(Kutmeier他、1994、BioTechniques、17:242に記載)、これは、手短に述べると、ポリペプチドをコードしている配列の複数の部分を含む重複オリゴヌクレオチドを合成すること、これらのオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーションを行うこと、ならびにPCRによってライゲーションしたオリゴヌクレオチドの増幅を行うことを含む。
あるいは、本発明の方法で使用するポリペプチド拮抗剤をコードしているポリヌクレオチドは、適切な源由来の核酸から作製し得る。特定のポリペプチドをコードしている核酸を含むクローンは利用可能でないが、ポリペプチドの配列が分かっている場合、ポリペプチドをコードしている核酸を化学合成するか、配列の3'および5'末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを用いたPCR増幅によって、または同定する特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブ、たとえば抗体もしくはEphA2ポリペプチドをコードしているcDNAライブラリーからのcDNAクローンを用いたクローニングによって適切な源(たとえば、抗体cDNAライブラリー、あるいは本発明の抗体を発現させるために選択したハイブリドーマ細胞やEphA2を発現する上皮細胞および/もしくは内皮細胞などの、所望のポリペプチドを発現している任意の組織または細胞から作成したcDNAライブラリー、あるいはそれから単離した核酸、好ましくはポリA+RNA)から得てもよい。その後、当分野で周知の任意の方法を用いて、PCRによって作製した増幅した核酸を複製可能なクローニングベクターへとクローニングし得る。
本発明の方法で使用するポリペプチド拮抗剤のヌクレオチド配列が決定したあと、たとえば組換えDNA技術、部位特異的突然変異誘発、PCRなどのヌクレオチド配列を操作するための当分野で周知の方法を用いてヌクレオチド配列を操作し(たとえば、どちらもその全体で本明細書中に参考として組み込まれているthe techniques described in Sambrook他、1990、Molecular Cloning, A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、ニューヨーク州Cold Spring Harbor、およびAusubel他編、1998、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、NY参照)、様々なアミノ酸配列を有するポリペプチドを作製し得る、たとえばアミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を行い得る。
たとえば、アミノ酸の置換をもたらす部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発を含めた当業者に知られている標準的な技術を用いて、ポリペプチド拮抗剤をコードしているヌクレオチド配列中に突然変異を導入することができる。好ましくは、誘導体は、最初の抗体またはその断片と比較して15個未満のアミノ酸置換、10個未満のアミノ酸置換、5個未満のアミノ酸置換、4個未満のアミノ酸置換、3個未満のアミノ酸置換、または2個未満のアミノ酸置換を含む。好ましい実施形態では、誘導体は1つまたは複数の予測される非必須アミノ酸残基の位置で保存的アミノ酸置換が行われている。
本発明はまた、フレームワークまたは可変領域内に突然変異(たとえば1つもしくは複数のアミノ酸置換)を有する、上述の任意のEphA2拮抗性抗体のアミノ酸配列を含む抗体または抗体断片の使用を包含する。好ましくは、これらの抗体中の突然変異により、それらが免疫特異的に結合する特定の抗原(もしくは複数の抗原)に対する、抗体の結合活性および/または親和性が維持または増強される。当業者に知られている標準的な技術(たとえば免疫アッセイまたはELISAアッセイ)を用いて、ポリペプチド拮抗剤とその結合パートナーとの結合の程度をアッセイすることができる。具体的な実施形態では、ポリペプチド拮抗剤が抗体である場合、EphA2抗原への結合を評価することができる。別の実施形態では、ポリペプチド拮抗剤がEphA2断片である場合、エフリンA1への結合を評価することができる。
5.2.3.2 ポリペプチド拮抗剤の組換えによる生成
ポリペプチド拮抗剤(それだけには限定されないが、その誘導体、類似体または断片を含む)を組換えによって発現させるには、ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む発現ベクターを構築しなければならない。ポリペプチド拮抗剤をコードしているポリヌクレオチドを得た後、ポリペプチド拮抗剤を生成するためのベクターは、当分野で周知の技術を用いた組換えDNA技術によって生成し得る。当業者に周知の方法を用いて、ポリペプチドのコード配列ならびに適切な転写および翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築することができる。したがって、含むポリヌクレオチドを発現することによってタンパク質を調製する方法を本明細書中に記載する。このような方法には、たとえば、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝的組換えが含まれる。したがって、本発明は、EphA2拮抗性ポリペプチド剤をコードしているヌクレオチド配列を含む、複製可能なベクターを提供する。
発現ベクターを慣用技術によって宿主細胞に導入し、その後、トランスフェクトした細胞を慣用技術によって培養してポリペプチド拮抗剤を生成する。したがって、本発明には、異種プロモーターに作動可能に結合したポリペプチド拮抗剤またはその断片をコードしているポリヌクレオチドを含む宿主細胞が含まれる。
様々な宿主-発現ベクター系を利用してポリペプチド拮抗剤を発現させ得る(たとえば米国特許第5,807,715号参照)。このような宿主-発現系は、目的のコード配列を生成および次いで精製し得るために用いるビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトした場合に、本発明のポリペプチド拮抗剤をin situで発現する細胞も表す。これらには、それだけには限定されないが、抗体のコード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAもしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌(たとえば大腸菌および枯草菌(B. subtilis))などの微生物;抗体のコード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母(たとえばサッカロミセスピキア(Saccharomyces Pichia));ポリペプチド拮抗剤のコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(たとえばバキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(たとえば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)を感染させた、もしくは抗体のコード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(たとえばTiプラスミド)で形質転換した植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノム(たとえばメタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルス(たとえば、アデノウイルスの後期プロモーター;ワクシニアウイルスの7.5Kプロモーター)由来のプロモーターを含む組換え発現構築体を有する哺乳動物細胞系(たとえば、COS、CHO、BHK、293、NS0、および3T3細胞)が含まれる。特に完全な組換えポリペプチド拮抗剤の発現には、好ましくは大腸菌などの細菌細胞、より好ましくは真核細胞が、ポリペプチド拮抗剤の発現に使用される。たとえば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な中間期初期遺伝子プロモーター要素などのベクターと組み合わせたチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、ポリペプチド拮抗剤、特に抗体ポリペプチド拮抗剤の有効な発現系である(Foecking他、1986、Gene、45:101;およびCockett他、1990、BioTechnology、8:2)。具体的な実施形態では、ポリペプチド拮抗剤をコードしているヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは組織特異的プロモーターによって調節される。
細菌系では、発現させるポリペプチドに意図される使用に応じて、いくつかの発現ベクターを有利に選択し得る。たとえば、医薬組成物を作製するためにこのようなタンパク質を大量に生成する場合は、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルでの発現を指示するベクターが望ましいかもしれない。このようなベクターには、それだけには限定されないが、融合タンパク質が生成されるように、抗体のコード配列をlacZコード領域と共にベクター内のフレーム中に個別にライゲーションし得る大腸菌発現ベクターpUR278(Ruther他、1983、EMBO、12:1791);pINベクター(InouyeおよびInouye、1985、Nucleic Acids Res.、13:3101-3109;Van HeekeおよびSchuster、1989、J. Biol. Chem.、24:5503-5509);などが含まれる。pGEXベクターはまた、外来ポリペプチドをグルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させるために使用し得る。一般に、このような融合タンパク質は可溶性があり、マトリックスグルタチオン-アガロースビーズへの吸着および結合、次いで遊離グルタチオンの存在下における溶出によって溶解細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローニングした標的遺伝子産物をGST部分から放出させることができるように、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部位を含むよう設計されている。
昆虫系では、外来遺伝子を発現させるためのベクターとしてオートグラファカリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)を使用する。このウイルスは、スポドプテラフルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞中で増殖する。抗体のコード配列をウイルスの非必須領域(たとえばポリヘドリン遺伝子)内の個別にクローニングし、AcNPVのプロモーター(たとえばポリヘドリンプロモーター)の制御下に置き得る。
哺乳動物宿主細胞では、いくつかのウイルス系の発現系を利用し得る。アデノウイルスを発現ベクターとして用いる場合は、目的のポリペプチドのコード配列をアデノウイルスの転写/翻訳制御複合体、たとえば後期プロモーターおよび三者構成のリーダー配列中にライゲーションし得る。その後、in vitroまたはin vivoの組換えによってこのキメラ遺伝子をアデノウイルスのゲノム中に挿入し得る。ウイルスゲノムの非必須領域(たとえば領域E1またはE3)中に挿入することにより、生存可能かつ感染した宿主内でポリペプチド拮抗剤を発現することができる組換えウイルスがもたらされる(たとえば、LoganおよびShenk、1984、PNAS、8 1:355-359参照)。挿入したポリペプチドのコード配列を効率的に翻訳するためには特異的な開始シグナルも必要となるかもしれない。このようなシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる。さらに、挿入物全体の翻訳を確実にするために、開始コドンは所望のコード配列の読み枠と同位相でなければならない。このような外来翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成のどちらもの様々な起源とすることができる。発現効率は、適切な転写エンハンサー要素、転写ターミネーターなどを含めることによって増強し得る。(たとえばBittner他、1987、Methods in Enzymol.、153:516-544参照)。
さらに、挿入した配列の発現をモジュレートする、または遺伝子産物を所望の特異的な様式で改変およびプロセッシングする宿主細胞株を選択し得る。タンパク質産物のこのような修飾(たとえばグリコシル化)およびプロセッシング(たとえば切断)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。様々な宿主細胞がタンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセッシングおよび修飾のための特徴的かつ特異的な機構を有する。発現される外来タンパク質の正しい修飾およびプロセッシングを確実にするために適切な細胞系または宿主系を選択することができる。このために、一次転写物の適切なプロセッシング、遺伝子産物のグリコシル化、およびリン酸化の細胞性機構を有する真核宿主細胞を使用し得る。このような哺乳動物宿主細胞には、それだけには限定されないが、CHO、VERY、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2OおよびT47D、NS0(免疫グロブリン鎖を内生的にまったく産生しないネズミ骨髄腫細胞系)、CRL7O3OおよびHsS78Bst細胞が含まれる。
組換えタンパク質の長期的な高収量の生成には、安定した発現が好ましい。たとえば、抗体分子を安定して発現する細胞系を遺伝子操作して設計し得る。ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを用いる代わりに、適切な発現制御要素(たとえば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)に制御されるDNA、および選択マーカーを用いて宿主細胞を形質転換することができる。外来DNAの導入後、遺伝子操作した細胞を1〜2日間富化培地中で増殖させ、その後、選択培地に切り替え得る。組換えプラスミド内の選択マーカーにより選択に対する耐性が与えられ、細胞がプラスミドをその染色体内に安定して組み込み、増殖して増殖巣を形成することが可能になり、これを次いでクローニングして細胞系へと拡大することができる。この方法を有利に使用して、ポリペプチド拮抗剤を発現する細胞系を遺伝子操作して設計し得る。このような遺伝子操作した細胞系は、ポリペプチド拮抗剤と直接または間接的に相互作用する組成物のスクリーニングおよび評価に特に有用であり得る。
いくつかの選択系を使用し得、それだけには限定されないが、それぞれtk-、gs-、hgprt-またはaprt-細胞で利用することができる単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler他、1977、Cell、11:223)、グルタミン合成酵素、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskaおよびSzybalski、1992、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、48:202)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy他、1980、Cell、22:8-17)遺伝子が含まれる。また、以下の遺伝子、すなわちメトトレキサートに対する耐性を与えるdhfr(Wigler他、1980、PNAS、77:357;O'Hare他、1981、PNAS、78:1527)、ミコフェノール酸に対する耐性を与えるgpt(MulliganおよびBerg、1981、PNAS、78:2072)、アミノグリコシドG-418に対する耐性を与えるneo(WuおよびWu、1991、BioTherapy、3:87;Tolstoshev、1993、Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol.、32:573;Mulligan、1993、Science、260:926;ならびにMorganおよびAnderson、1993、Ann. Rev. BioChem.、62:191;1993年5月、TIB TECH、11:155-)、およびハイグロマイシンに対する耐性を与えるhygro(Santerre他、1984、Gene、30:147)を選択するための基礎として代謝拮抗剤耐性を使用することができる。組換えDNA技術の分野で一般的に知られている方法を日常的に適用して所望の組換えクローンを選択してよく、このような方法は、たとえば、その全体で本明細書中に参考として組み込まれているAusubel他(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、NY、(1993);Kriegler、Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual、Stockton Press、NY、(1990);ならびに第12章および第13章、Dracopoli他(編)、Current Protocols in Human Genetics、John Wiley & Sons、NY、(1994);Colberre-Garapin他、1981、J. Mol. Biol.、150:1に記載されている。
ポリペプチド拮抗剤の発現レベルは、ベクターを増幅することによって増加することができる(総説には、BebbingtonおよびHentschel、The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning、第3巻、(Academic Press、New York、1987)を参照されたい)。ポリペプチド拮抗剤を発現するベクター系内のマーカーが増幅可能な場合、宿主細胞の培養物中に存在する阻害剤のレベルが増加することにより、マーカー遺伝子のコピー数が増加する。増幅される領域はポリペプチド拮抗剤の遺伝子に関連しているので、ポリペプチド拮抗剤の生成も増加する(Crouse他、1983、Mol. Cell. Biol.、3:257)。
宿主細胞は、第1のベクターは重鎖由来のポリペプチドをコードしており、第2のベクターは軽鎖由来のポリペプチドをコードしている本発明の2つの発現ベクターで同時トランスフェクトし得る。2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同一の選択マーカーを含み得る。あるいは、重鎖および軽鎖ポリペプチドをどちらもコードしており、それらを発現させることができる単一のベクターを使用し得る。このような場合、毒性がある遊離重鎖の過剰を避けるために、軽鎖を重鎖の前に配置すべきである(Proudfoot、1986、Nature、322:52;およびKohler、1980、PNAS、77:2197)。重鎖および軽鎖のコード配列はcDNAまたはゲノムDNAを含み得る。
本発明のポリペプチド拮抗剤を組換えによる発現によって生成したあと、これを、ポリペプチドを精製する当分野で知られている任意の方法、たとえば、クロマトグラフィー(たとえばイオン交換、親和性、およびサイズ決定カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差的溶解度、またはタンパク質を精製する任意の他の標準的な技術によって精製し得る。さらに、精製を容易にするためにポリペプチド拮抗剤を本明細書中に記載のまたは他の点で当分野で知られている異種ポリペプチド配列に融合し得る。
抗体である本発明のポリペプチド拮抗剤は、抗体分子の定常領域をコードしているヌクレオチド配列を既に含むベクターを用いて発現させ得る(たとえば、米国特許第5,919,900号;第5,747,296号;第5,789,178号;第5,591,639号;第5,658,759号;第5,849,522号;第5,122,464号;第5,770,359号;第5,827,739号;国際公開公報WO89/01036号;WO89/10404号;Bebbington他、1992、BioTechnology、10:169参照)。抗体の可変ドメインを、重鎖全体、軽鎖全体、または重鎖および軽鎖をどちらともの全体を発現させるこのようなベクター内にクローニングし得る。二重鎖抗体を発現させる好ましい実施形態では、重鎖および軽鎖をどちらもコードしているベクターを、免疫グロブリン分子全体を発現させるための宿主細胞内で同時発現させ得る。
5.3 ポリヌクレオチド拮抗剤
本発明のEphA2ポリペプチド拮抗剤に加えて、核酸分子を本発明の方法で使用することができる。EphA2がその内在性リガンドであるエフリンA1に結合することにより細胞の成長または増殖が低下するので、1)EphA2-エフリンA1の結合を低下させるもしくは破壊する、2)細胞表面上のEphA2の量が結合に利用可能な天然リガンドの量を超え、したがって結合していないEphA2の量が増加するようにEphA2の発現をアップレギュレーションする、または3)EphA2に結合するために利用可能な天然リガンドの量が低下し、したがって結合していないEphA2の量が増加するようにエフリンA1の発現を低下させる、任意の方法が本発明の方法に包含される。一実施形態では、EphA2に結合するために利用可能な内在性リガンドの量が低下している。それだけには限定されないがアンチセンスおよびRNA干渉技術を含めたEphA2リガンドであるエフリンA1の発現を低下させる当分野で知られている任意の方法を、本発明の方法で使用することができる。したがって、EphA2拮抗剤は、エフリンA1の発現またはEphA2の結合に利用可能な量を低下させる役割を果たす薬剤を包含する。
5.3.1 アンチセンス
本発明は、エフリンA1アンチセンス核酸分子、すなわち、エフリンA1をコードしているセンス核酸の全体もしくは一部に相補的な分子、二本鎖エフリンA1cDNA分子のコード鎖に相補的な分子、またはエフリンA1のmRNA配列(たとえばGenbank登録番号BC032698のヒトエフリンA1mRNA配列)に相補的な分子を包含する。したがって、アンチセンス核酸はセンス核酸に水素結合することができる。アンチセンス核酸は、コード鎖の全体、またはその一部分のみ、たとえばタンパク質コード領域(もしくはオープンリーディングフレーム)の全体または一部のみに相補的とすることができる。アンチセンス核酸分子は、本発明のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列のコード鎖の非コード領域の全体または一部に対するアンチセンスとすることができる。非コード領域(「5'および3'非翻訳領域」)とは、コード領域に隣接し、アミノ酸へと翻訳されない5'および3'配列である。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さがたとえば約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50個のヌクレオチドとすることができる。本発明のアンチセンス核酸は、当分野で知られている手順を用いて、化学合成および酵素的ライゲーション反応を用いて構築することができる。たとえば、アンチセンス核酸(たとえばアンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を増加するように、もしくはアンチセンス核酸とセンス核酸との間に形成される二重鎖の物理的安定性を増加するように設計された様々に改変したヌクレオチドを用いて化学合成することができ、たとえばホスホロチオエート誘導体およびアクリジンで置換したヌクレオチドを使用することができる。あるいは、核酸をアンチセンス方向でサブクローニングした(すなわち、挿入した核酸から転写したRNAは目的の標的核酸、すなわちエフリンA1に対してアンチセンス方向となる)発現ベクターを用いて生物学的にアンチセンス核酸を生成することができる。
本発明のアンチセンス核酸分子は、典型的には、本発明の選択したポリペプチドをコードしている細胞性mRNAおよび/もしくはゲノムDNAにハイブリダイズまたは結合して、たとえば転写および/または翻訳を阻害することによって発現を阻害するように、対象に投与するあるいはin situで作製する。ハイブリダイゼーションは、安定した二重鎖を形成する通常のヌクレオチドの相補性によって、または、たとえばDNA二重鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合は二重らせんの主溝中の特異的な相互作用によって行うことができる。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例には、組織部位への直接注入が含まれる。あるいは、アンチセンス核酸分子は、選択された細胞を標的とするように改変し、その後全身投与することができる。たとえば、全身投与には、アンチセンス分子は、たとえばアンチセンス核酸分子を細胞表面受容体または抗原に結合するペプチドまたは抗体に連結させることによって、選択した細胞表面上で発現される受容体または抗原に特異的に結合するように改変することができる。アンチセンス核酸分子は、本明細書中に記載のベクター用いても細胞に送達することができる。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度をもたらすためには、アンチセンス核酸分子が強力なpolIIまたはpolIIIプロモーターの制御下に置かれているベクター構築体が好ましい。
本発明のアンチセンス核酸分子はα-アノマー核酸分子とすることができる。α-アノマー核酸分子は相補的なRNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成し、これは、通常のβ-ユニットとは対照的に鎖が互いに平行である(Gaultier他、1987、Nucleic Acids Res.、15:6625)。アンチセンス核酸分子はまた、2'-o-メチルリボヌクレオチド(Inoue他、1987、Nucleic Acids Res.、15:6131)またはキメラRNA-DNA類似体(Inoue他、1987、FEBS Lett.、215:327)を含むことができる。
5.3.2 RNA干渉
特定の実施形態では、エフリンA1の発現を低下させるためにRNA干渉(RNAi)分子を用いる。RNAiは、二本鎖RNA(dsRNA)がそれ自身の配列に対応する遺伝子の発現を抑制する能力として定義される。RNAiは、転写後遺伝子サイレンシングまたはPTGSとも呼ばれる。細胞の細胞質中で通常見つかるRNA分子は一本鎖mRNAの分子のみであるので、細胞は、dsRNAを認識して21〜25塩基対(二重らせん約2巻き)を含む断片へと切断する酵素を有する。この断片のアンチセンス鎖は、内在細胞性mRNA(たとえばGenbank登録番号BC032698のヒトエフリンA1mRNA配列)の分子上の相補的なセンス配列とハイブリダイズするようにセンス鎖から十分離れている。このハイブリダイゼーションは二本鎖領域中のmRNAの切断を始動し、したがってそれがポリペプチドへと翻訳される能力を破壊する。したがって、特定の遺伝子に対応するdsDNAを導入することにより、細胞自身の、特定の組織中かつ/または選択された時点におけるその遺伝子の発現がノックアウトされる。
二本鎖(ds)RNAを用いて哺乳動物における遺伝子の発現を干渉することができる(その全体で本明細書中に参考として組み込まれているWiannyおよびZernicka-Goetz、2000、Nature Cell Biology、2:70-75)。dsRNAは、エフリンA1のヌル突然変異体と同じ表現型を生じる、エフリンA1の機能を阻害するRNAまたはRNAiといて使用する(WiannyおよびZernicka-Goetz、2000、Nature Cell Biology、2:70-75)。特定の実施形態では、dsRNA(たとえばヘアピン構造)をコードしているdsDNAを用いて、細胞中でRNAiを媒介するdsDNAを発現させる。
5.4 予防方法/治療方法
本発明は、本発明の1つもしくは複数のEphA2拮抗剤またはEphA2細胞増殖刺激薬を投与することを含む、対象において低増殖性細胞障害あるいは細胞死の増加を伴う障害、とりわけEphA2の発現不足または上皮細胞および/もしくは内皮細胞の破壊、脱粒、もしくは不十分な増殖/成長に関連する障害(特にICおよびIBD関連病変)の治療、管理、あるいは予防方法を包含する。一実施形態では、1つもしくは複数のEphA2剤を、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害の処置、管理、または予防に有用な1つもしくは複数の他の治療剤と組み合わせて投与することができる。
本明細書中で提供する投与の用量および頻度は、治療および予防上の有効性の点で包含される。用量および頻度はさらに、典型的には投与する特定の治療剤または予防剤に応じた各患者に特有の要素、低増殖性細胞障害または上皮細胞および/もしくは内皮細胞の破壊および/もしくは脱粒に関連する細胞死の増加を伴う障害の重篤度および種類、投与経路、ならびに患者の年齢、体重、応答性、および過去の病歴に応じて変化する。適切なレジメンは、このような要素を考慮することによって、およびたとえば、文献中に報告されており、Physician's Desk Reference (第56版、2002)に推奨されている用量に従うことによって、当業者が選択することができる。
5.4.1 患者集団
本発明は、本発明の1つもしくは複数のEphA2拮抗剤またはEphA2細胞増殖刺激薬を投与することを含む、対象において低増殖性細胞障害あるいは細胞死の増加を伴う障害、とりわけ上皮細胞および/または内皮細胞の破壊、脱粒、または不十分な増殖に関連する障害(特にICおよびIBD関連病原)の治療、管理、または予防方法を包含する。対象は、好ましくは非霊長類(たとえば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)および霊長類(たとえば、カニクイザルなどのサルやヒト)などの哺乳動物である。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
本発明の方法および組成物は、本発明の1つまたは複数のEphA2拮抗剤を、低増殖性細胞障害もしくは細胞死の増加を伴う障害、とりわけ上皮細胞および/もしくは内皮細胞の破壊、脱粒、もしくは不十分な増殖に関連する障害(特にICおよびIBD関連病変)に罹患しているまたは罹患することが予想される(たとえば、遺伝的素因を有するもしくは以前に罹患したことがある)患者に投与することを含む。このような患者は、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害について、たとえば非EphA2系治療剤で以前に治療されたことがあるまたは現在治療されているかもしれない。本発明の方法および組成物を第1の系統または第2の系統の治療剤として使用し得る。本発明の方法および組成物は、非EphA2系の治療の如何なる有害作用や不耐性が起こる前に使用することができる。本発明はまた、低増殖性の上皮および/または内皮細胞障害に罹患しやすい患者において、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害の発症または再発を予防するために本発明の1つもしくは複数のEphA2剤を投与する方法を包含する。
一実施形態では、患者は、非EphA2系治療剤、たとえば、ペントゾシン(pentzocine)(Talwin(商標))、フマル酸プロピラム(propiram fumarate)(Dirame(商標))、トラマドール(Ultram(商標))、ガバペンチン(Neurontin(商標))、メキシレチン(Mextie(商標))、プロクロルペラジン(Compazine(商標))、塩酸フェナゾピリジン(Pyridium(商標))などの鎮痛剤;アミトリプチリン(Elavil(商標))、デシプラミン(Norpramin(商標))、ドキセピン(Sinequan(商標))、イミプラミン(Tofranil(商標))などの抗鬱剤;硫酸ヒヨスチアミン(Anaspaz(商標))、塩化オキシブチニン(Ditropan(商標))、塩酸フラボキサート(Urispas(商標))、硫酸アトロピン(Urised(商標))などの抗痙攣剤;酢酸ロイプロリド(Lupron(商標))、タモキシフェン(Nolvadex(商標))などの抗ホルモン剤;セレコキシブ(Celebrex(商標))、コリンマグネシウム三サリチル酸(Trilisate(商標))、硫酸クロンドロチン(chrondrotin sulphate)+ケルセチン(Algonot-Plus(商標))、ジピロン(Novalgin(商標))、ロフェコキシブ(Vioxx(商標))などの抗炎症剤;モンテルカスト(Singulair(商標))、ザフィルルカスト(Accolate(商標))、ジロートン(Zyflo(商標))などのロイコトリエン遮断薬;シクロスポリン(Neoral(商標))、エタネルセプト(Embrel(商標))、インフリクスマブ(inflixmab)(Remicade(商標))、メトトレキサートなどの免疫抑制剤;シメチド(cimetide)(Tagamet(商標))、クロモリン(Intal(商標)、Gastrocrom(商標))、ヒドロキシジン(hydroxzine)(Atarax(商標)、Vistaril(商標))、インドリノン誘導体(SUGEN(商標))、IPD-1151Tなどの肥満細胞介在物質放出/作用阻害剤;ヘパリン、ヒアルロン酸(Cystistat(商標))、ペントサンポリ硫酸(Elmiron(商標))、プロスタガンジン(prostagandin)E1類似体(Misoprostol(商標))などの粘膜表面保護剤;レシニフェラトキシン、ニューロキニン受容体アンタゴニスト(CP96,345、SR-48,968)、ニューロテンシン受容体アンタゴニスト(SR-48,692)などの神経ペプチド枯渇剤/受容体アンタゴニスト;アンタラルミン(antalarmin)、アステシン(astessin)、ヒスタミン-3受容体アゴニスト(BP2-94)、チザニジン(Zanaflex(商標))などのニューロプリティック(neuroplytic)/抗ニューロン剤;L-アルギニン;カルメットゲラン菌;ドキソルビシン(Adriamycin(商標));オクトレオチド(Sandostatin(商標));および/またはDMSO(Rimso-50(商標))を用いて、ICについて以前に治療されたことがあるか、または現在治療されている(TheoharidesおよびSant、2001、Exp. Opin. Invest. Drugs、10:521-46参照)。
別の実施形態では、患者は、非EphA2系治療剤、たとえば、スルファサラジンなどのアミノサリシル酸塩(aminosalisylate);ペンタサ、アサコール、ロワサ、オルサラジン、バルサラジドなどのメサラミン;ブデソニドなどのステロイドやステロイド類似体;アザチポリン(azathiporine)、6-メルカプトプリン、シクロスポリン、メトトレキサートなどの免疫抑制剤;エイコサペンタエン酸などの魚油;シプロフロキシン、メトロニダゾールなどの抗微生物剤;インフリクスマブなどのTNFα阻害剤;IL-2阻害剤;ヘパリン;オルサラジン;および/もしくはニコチンを用いて、IBDについて以前に治療されたことがあるか、または現在治療されている(WolfおよびLashner、2002、Cleveland Clinic Journal of Medicine、69:621-31参照)。
本発明はまた、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害の症状を治療または寛解させるために、非EphA2系の治療剤に不応性である、または不応性となった患者に、本発明の1つもしくは複数のEphA2剤を投与することを包含する。症状が不応性かどうかの決定は、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害中の患部細胞、特に上皮細胞および/または内皮細胞において、治療の有効性をアッセイするための当分野で知られている任意の方法によって、in vivoまたはin vitroのどちらかによって行うことができる。
5.4.2 他の予防剤/治療剤
特定の実施形態では、本発明は、本発明の1つもしくは複数のEphA2剤を、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害の症状を軽減させる任意の他の治療剤と組み合わせて投与することによって患者の低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害(たとえばICまたはIBD関連病変)を治療する方法を提供する。患者への治療剤/予防剤の投与は、薬剤が一緒に作用して他の様式で投与した場合と比較して有益性の増大がもたらされるように、完全に同時にまたはある時間間隔の間に連続的に行うことができる。たとえば、それぞれの治療剤/予防剤を任意の順序で、異なる時点で投与し得る。しかし、同時に投与しない場合は、所望の治療効果または予防効果をもたらすために十分に近い時間に投与すべきである。それぞれの治療剤/予防剤は、任意の適切な形態かつ任意の適切な経路で個別に投与することができる。
様々な実施形態において、予防剤または治療剤は、1時間未満の間隔、約1時間の間隔、約1時間〜約2時間の間隔、約2時間〜約3時間の間隔、約3時間〜約4時間の間隔、約4時間〜約5時間の間隔、約5時間〜約6時間の間隔、約6時間〜約7時間の間隔、約7時間〜約8時間の間隔、約8時間〜約9時間の間隔、約9時間〜約10時間の間隔、約10時間〜約11時間の間隔、約11時間〜約12時間の間隔、24時間未満の間隔、または48時間未満の間隔で投与する。好ましい実施形態では、2つ以上の成分を1回の患者の訪問で投与する。
一実施形態では、本発明のEphA2拮抗剤を、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害を治療するために現在知られている治療剤と組み合わせて投与する(たとえば上記セクション5.4.1を参照)。別の実施形態では、本発明のEphA2拮抗剤を免疫調節剤または抗尿路感染症剤と組み合わせて投与する。別の実施形態では、本発明のEphA2拮抗剤を、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害を治療するために現在知られている治療剤と、免疫調節剤または抗尿路感染症剤と組み合わせて投与する。
5.4.2.1 免疫調節剤
特定の実施形態では、本発明は、本発明の1つまたは複数のEphA2剤および1つまたは複数の免疫調節剤(すなわち対象において免疫応答をモジュレートする薬剤)を含む組成物、ならびに、前記組成物の投与または1つもしくは複数の免疫調節剤と組み合わせたEphA2系予防剤/治療剤の投与を含む、対象において低増殖性細胞を伴う障害を治療する方法を提供する。本発明の具体的な実施形態では、免疫調節剤はヒト対象において免疫応答を阻害または抑制する。免疫調節剤は当業者に周知であり、本発明の方法および組成物において使用することができる。
免疫調節剤は、対象において免疫応答の1つもしくは複数またはすべての側面に影響を与えることができる。免疫応答の側面には、それだけには限定されないが、炎症反応、補体カスケード、白血球およびリンパ球の増殖、単球および/または好塩基球数、ならびに免疫系細胞間の細胞性連絡が含まれる。本発明の特定の実施形態では、免疫調節剤は免疫応答の1つの側面をモジュレートする。他の実施形態では、免疫調節剤は免疫応答の複数の側面をモジュレートする。本発明の好ましい実施形態では、対象に免疫調節剤を投与することにより、対象の免疫応答能力の1つまたは複数の側面が阻害されるまたは低下する。
本発明に従って、本発明のEphA2拮抗剤の前、後、またはそれと同時に、1つもしくは複数の免疫調節剤を低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害に罹患している対象に投与することができる。好ましくは、1つまたは複数の免疫調節剤は、必要に応じて免疫応答の1つもしくは複数の側面を低下または阻害するために、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害に罹患している対象に投与する。当業者に周知の任意の技術を用いて免疫応答の1つまたは複数の側面を測定することができ、これによりいつ免疫調節剤を投与する必要があるかを決定することができる。好ましい実施形態では、免疫応答の1つまたは複数の側面を過渡的に低下または阻害するために、1つもしくは複数の免疫調節剤を低増殖性の上皮および/または内皮細胞障害に罹患している対象に投与する。免疫系の1つもしくは複数の側面のこのような過渡的な阻害または低下は、数時間、数日間、数週間、または数カ月持続することができる。免疫応答の1つもしくは複数の側面の過渡的な低下または阻害は、本発明のEphA2拮抗剤の治療効果を増強させる。
好ましい実施形態では、免疫調節剤はIL-9の量を減少させる。より好ましい実施形態では、免疫調節剤は、IL-9に免疫特異的に結合する抗体(好ましくはモノクローナル抗体)またはその断片である(たとえば、すべてがその全体で本明細書中に参考として組み込まれている「Methods of Preventing or Treating Respiratory Conditions」と題された、Reed(弁理士整理番号第10271-113-999号)による2004年4月12日出願の米国特許出願第___号、「Recombinant IL-9 Antibodies and Uses Thereof」と題された、Reed(弁理士整理番号第10271-112-999号)による2004年4月12日出願の米国特許出願第___号、および「Anti-IL-9 Antibody Formulations and Uses Thereof」と題された、Reed(弁理士整理番号第10271-126-999号)による2004年4月12日出願の米国特許出願第___号参照。特定の作用機構に束縛されることを意図しないが、抗IL-9抗体を使用することによりIL-9が生物学的効果を持つ能力が中和され、炎症細胞を収集する能力がブロッキングされるまたは低下する。
他の実施形態では、本発明の組成物および方法で使用することができる他の免疫調節剤は、市販されており、免疫調節剤として機能することが知られているものとすることができる。免疫調節剤には、それだけには限定されないが、サイトカイン、抗体(たとえば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fv、sFv、FabもしくはF(ab)2断片またはエピトープ結合断片)、無機化合物、あるいはペプチド模倣体などの薬剤が含まれる。免疫調節剤のさらなる例には、それだけには限定されないが、抗IL-13モノクローナル抗体、抗IL-4モノクローナル抗体、抗IL-5モノクローナル抗体、抗IL-2R抗体(たとえば抗Tacモノクローナル抗体およびBT536)、抗CD4モノクローナル抗体、抗CD3モノクローナル抗体、抗CD3モノクローナルヒト抗体OKT3、抗CD8モノクローナル抗体、抗CD40リガンドモノクローナル抗体、抗CD2モノクローナル抗体(たとえば2002年9月12日公開の国際公開公報WO02/070007号)、CTLA4-免疫グロブリン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、マクロライド抗生物質(たとえばFK506(タクロリムス))、メチルプレドニソロン(MP)、副腎皮質ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル、ラパマイシン(シロリムス)、ミゾリビン、デオキシスペルグアリン、ブレキナール、マロノニトリロアミンド(malononitriloaminde)(たとえばレフルナミド(leflunamide))、β2-アゴニスト、ロイコトリエンアンタゴニスト、および、IgEレベルを低下させる薬剤が含まれる。
免疫調節剤の免疫調節活性は、たとえば、CTLアッセイ、増殖アッセイ、同時刺激性分子やサイトカインなど特定のタンパク質の発現のための免疫アッセイ(たとえばELISA)、およびFACSを含めた当業者に周知の任意の技術によってin vitroおよび/またはin vivoで決定することができる。
5.4.2.2 抗尿路感染症剤
特定の実施形態では、本発明は、本発明の1つまたは複数のEphA2拮抗剤および1つまたは複数の抗尿路感染(UTI)剤(すなわち、対象においてUTIの発生もしくは再発を軽減もしくは阻害する薬剤)を含む組成物、ならびに前記組成物の投与または1つもしくは複数の抗UTI剤と組み合わせたEphA2系予防剤/治療剤の投与を含む、対象において低増殖性細胞を伴う障害を治療する方法を提供する。
尿路上皮における大腸菌のコロニー形成は、大腸菌UTIの獲得および進行に必要なステップである。大腸菌尿路感染症の典型的な過程では、細菌は腸に由来し、膀胱内へと上り、膀胱粘膜に付着して、ここで増殖して感染症を確立し、輸尿管および腎臓へと上る。多くの細菌感染症の開始および持続は、細菌の線毛の先端に位置する付着因子と宿主細胞上の特異的な受容体構造との間の立体化学的な一致に依存する。尿路病原性大腸菌株は、尿路上皮細胞上に存在する受容体に結合するP線毛および1型線毛を発現する。P線毛の先端に存在する付着因子であるPapGは、糖脂質のグロボシリーズ中に存在するGalα(1-4)Gal部分に結合する。あるいは、1型付着因子であるFimHは、糖脂質および糖タンパク質中に存在するD-マンノースに結合する。
抗UTI剤は当業者に周知であり、本発明の方法および組成物で使用することができる。たとえば、線毛に媒介される大腸菌の尿路上皮への付着を破壊または予防することにより、UTIの発生が予防または遅延される。特定の実施形態では、UTIを予防または治療するために、FimH(1型線毛用)もしくはPapG(P線毛用)に対する抗体を直接投与するか、免疫化を介して誘導することができる(たとえば、すべてがその全体で本明細書中に参考として組み込まれている「FimH Adhesin-based Vaccines」と題された国際公開公報WO01/05978号;「Donor Strand Complemented Pilin and Adhesin Broad-based Vaccines」と題されたWO01/04148号;「Method of Administering FimH Protein as a Vaccine for Urinary Tract Infections」と題されたWO02/15928号;「FimH Adhesin Proteins and Methods of Use」と題されたWO02/04496号;2001年12月10日出願の米国特許第10/015,166号および第10/015,085号参照)。
5.4.3 コンジュゲート抗体
本発明は、抗体を使用して、治療する低増殖性障害に関与している細胞を予防剤/治療剤(たとえば低増殖性の上皮細胞および/または内皮細胞)の標的とすることを包含する。このような治療剤は、抗体またはその断片(たとえば、Fab断片、Fd断片、Fv断片、F(ab)2断片、もしくはその一部分)に、組換えによって融合するか化学的にコンジュゲートさせる(共有結合および非共有結合によるコンジュゲーションをどちらも含む)。一実施形態では、本発明のEphA2拮抗性抗体またはその断片を、低増殖性障害の治療に用いる予防剤/治療剤にコンジュゲートさせる。このような予防剤/治療剤は、EphA2系(たとえば本発明の拮抗剤)であるか、非EphA2系(たとえば、この障害を治療するために現在投与されている非EphA2系薬剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗生物質、免疫調節剤または抗尿路感染症剤)とすることができる。別の実施形態では、低増殖性障害に冒されている上皮細胞および/もしくは内皮細胞を標的とするが(たとえば病理学的に関連するマーカーの認識による)、EphA2に免疫特異的に結合しない抗体またはその断片を、低増殖性障害の治療に用いる予防剤/治療剤にコンジュゲートさせる。このような予防剤/治療剤はEphA2系である(たとえば本発明の拮抗剤)。
遊離薬剤と比較した、コンジュゲートさせた薬剤の相対効率はいくつかの要素に依存し得る。たとえば、細胞内への抗体-薬剤の取り込み速度(たとえばエンドサイトーシス)、抗体からの薬剤放出の速度/効率、細胞からの薬剤の搬出速度などがすべて、薬剤の作用に影響を与えることができる。薬剤の標的送達に用いる抗体は、当分野で知られている任意の方法によって、関連する細胞種(すなわち、治療する障害に関連する細胞種)によるエンドサイトーシスの能力についてアッセイを行うことができる。さらに、薬剤を抗体にコンジュゲートさせるために使用する結合の種類は、標的細胞内の薬剤の作用が妨害されないように、当分野で知られている任意の方法によってアッセイすべきである。
別の実施形態では、抗体をリポソームに融合またはコンジュゲートさせることができ、リポソームを用いて治療剤を封入する(たとえば、Park他、1997、Can. Lett.、118:153-160;Lopes de Menezes他、1998、Can. Res.、58:3320-30;Tseng他、1999、Int. J. Can.、80:723-30;Crosasso他、1997、J. Pharm. Sci.、86:832-9参照)。好ましい実施形態では、リポソームの薬物動態学およびクリアランスは、リポソーム配合物中にPEGの脂質誘導体を取り込むことによって改善される(たとえば、Allen他、1991、Biochem Biophys Acta、1068:133-41;Huwyler他、1997、J. Pharmacol. Exp. Ther.、282:1541-6参照)。
治療剤は、それだけには限定されないが、アルデヒド/シッフ結合、スルフヒドリル結合、酸に不安定な結合、cis-アコニチル(aconityl)結合、ヒドラゾン結合、酵素的に分解可能な結合を含めた当分野で知られている任意の方法によって抗体にコンジュゲートさせることができる(一般にGarnett、2002、Adv. Drug Deliv. Rev.、53:171-216参照)。治療剤部分を抗体にコンジュゲートさせるさらなる技術が周知である。たとえば、Amon他、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeld他(編)、243-56ページ、(Alan R. Liss, Inc.、1985);Hellstrom他、「Antibodies For Drug Delivery」、Controlled Drug Delivery、(第2版)、Robinson他(編)、623-53ページ(Marcel Dekker, Inc.、1987);Thorpe、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review」、Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications、Pinchera他(編)、475-506ページ、(1985);「Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwin他(編)、303-16ページ、(Academic Press、1985)、およびThorpe他、1982、Immunol. Rev.、62:119-58を参照されたい。抗体をポリペプチド薬剤に融合またはコンジュゲートさせる方法は当分野で知られている。たとえば、米国特許第5,336,603号、第5,622,929号、第5,359,046号、第5,349,053号、第5,447,851号、および第5,112,946号;EP307,434号;EP367,166号;国際公開公報WO96/04388号およびWO91/06570号;Ashkenazi他、1991、PNAS、88:10535-10539;Zheng他、1995、J. Immunol.、154:5590-5600;ならびにVil他、1992、PNAS、89:11337-11341を参照されたい。抗体を別の抗体に融合またはコンジュゲートさせる方法は、Segal、米国特許第4,676,980号に記載されている。抗体の薬剤への融合は必ずしも直接である必要はなく、リンカー配列を介して行い得る。このようなリンカー分子は当分野で一般に知られており、Denardo他、1998、Clin. Cancer Res.、4:2483-90;Peterson他、1999、Bioconjug. Chem.、10:553;Zimmerman他、1999、Nucl. Med. Biol.、26:943-50;Garnett、2002、Adv. Drug Deliv. Rev.、53:171-216に記載されている。
他の実施形態では、遺伝子シャフリング、モチーフシャフリング、エクソンシャフリング、および/またはコドンシャフリング(「DNAシャフリング」と総称される)の技術によって、所望に応じて(たとえば、より高い親和性およびより低い解離速度を有する抗体またはその断片)抗体の特性を変更することができる。一般に、米国特許第5,605,793号;第5,811,238号;第5,830,721号;第5,834,252号;および第5,837,458号、ならびにPatten他、1997、Curr. Opinion Biotechnol.、8:724-33;Harayama、1998、Trends Biotechnol.、16:76;Hansson他、1999、J. Mol. Biol.、287:265;ならびにLorenzoおよびBlasco、1998、BioTechniques、24:308を参照されたい。抗体もしくはその断片、またはコードされている抗体もしくはその断片は、組換えの前に誤りがちなPCR、ランダムヌクレオチド挿入または他の方法によるランダム突然変異誘発に供することによって変更し得る。特定の障害に関連する細胞上で発現された抗原に免疫特異的に結合する、抗体または抗体断片をコードしているポリヌクレオチドの1つもしくは複数の部分は、1つまたは複数の異種分子の1つもしくは複数の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、断片などと組換えを行い得る。
他の実施形態では、精製を容易にするために、コンジュゲートさせた抗体またはその断片をペプチドなどのマーカー配列にさらに融合させることができる。好ましい実施形態では、マーカーアミノ酸配列は、多くが市販されている中でも(たとえばGentz他、1989、PNAS、86:821参照)とりわけpQEベクター(QIAGEN, Inc.、カリフォルニア州Chatsworth)中に提供されるタグなどの、ヘキサヒスチジンペプチドである。精製に有用な他のペプチドタグには、それだけには限定されないが、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する赤血球凝集素(HA)タグ(Wilson他、1984、Cell、37:767)および「フラグ」タグが含まれる。当分野で知られている任意の精製方法を使用することができる(たとえば、国際公開公報WO93/21232号;EP439,095号;Naramura他、1994、Immunol. Lett.、39:91-99;米国特許第5,474,981号;Gillies他、1992、PNAS、89:1428-1432;およびFell他、1991、J. Immunol.、146:2446-2452参照)。
他の実施形態では、コンジュゲートさせた抗体またはその断片もしくは変異体を、診断的薬剤または検出可能な薬剤に、単独でまたは予防剤/治療剤と組み合わせてコンジュゲートさせることができる。このような抗体は、特定の治療の有効性の決定などの臨床治験手順の一部として低増殖性障害の発生もしくは進行を監視または予後判定するために有用であり得る。このような診断および検出は、抗体を、それだけには限定されないが、それだけには限定されないが西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼなどの様々な酵素;それだけには限定されないがストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンなどの人工基;それだけには限定されないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシネート(isothiocynate)、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリスリンなどの蛍光物質;それだけには限定されないがルミノールなどの発光物質;それだけには限定されないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンなどの生物発光物質;それだけには限定されないが、ビスマス(213Bi)、炭素(14C)、クロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ガリウム(68Ga、67Ga)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、111In)、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、ランタニウム(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテミウム(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、ストロンチウム(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、イットリウム(90Y)、亜鉛(65Zn)などの放射性物質;様々な陽電子放射断層撮影を用いた陽電子放射金属、ならびに非放射性の常磁性金属イオンを含めた、検出可能な物質にカップリングさせることによってもたらすことができる。
5.5 本発明のEphA2拮抗剤の同定
本発明は、薬剤を、EphA2を発現する細胞、特に上皮細胞および/または内皮細胞と共にインキュベートし、その後EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる、EphA2のキナーゼ活性(自己リン酸化もしくはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)を促進する、EphA2-内在性リガンドの相互作用を阻害する、EphA2を発現する細胞の増殖/成長/生存を促進する、かつ/または細胞層の完全性の維持/再構成を向上させる能力についてアッセイすることによる、本発明のEphA2拮抗剤のアッセイならびにスクリーニング方法を提供する。これにより本発明のEphA2剤が同定される。本発明はまた、たとえば低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害の動物モデルにおいて病理症状を軽減することによる、EphA2剤を同定するためのin vivoアッセイの使用も包含する。
5.5.1 EphA2細胞質テールリン酸化を低下させる拮抗剤
本発明は、EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させるEphA2拮抗剤のアッセイおよびスクリーニング方法を提供する。本発明のこのような拮抗剤は、EphA2の細胞質テールリン酸化によるEphA2の内部移行および分解を低下させる。したがって、EphA2タンパク質のレベルは、EphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる拮抗剤が存在しない場合よりも高く保たれる。一実施形態では、EphA2拮抗剤はEphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる。別の実施形態では、EphA2拮抗剤はEphA2の内部移行および分解を低下させる。当EphA2のリン酸化または発現のレベルのいずれかをアッセイする分野で知られている任意の方法、たとえば、免疫沈降、ウエスタンブロット、ELISA、およびリン酸化アッセイ(たとえばChemicon International、カリフォルニア州Temeculaから入手可能なOMNI-PHOS(商標)キット)を使用して、EphA2剤のスクリーニングを行い、EphA2の細胞質テールリン酸化またはEphA2の分解を低下させるその能力を決定することができる。リガンドに媒介されるEphA2の細胞質テールリン酸化は、EphA2の細胞質テールとSHCのPTBおよびSH2ドメインとの相互作用を引き起こし、ERKキナーゼ核移動およびリン酸化を促進し、Elk-1転写因子の核誘導を増加させることが示されている(PrattおよびKinch、2002、Oncogene、21:7690-9)。別の実施形態では、EphA2拮抗剤はリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達を低下させる。具体的な実施形態では、EphA2拮抗剤は、リガンドに媒介されるEphA2とSHCとの相互作用を低下させる。別の具体的な実施形態では、EphA2拮抗剤は、リガンドに媒介される核移動および/またはERKキナーゼのリン酸化を低下させる。別の具体的な実施形態では、EphA2拮抗剤は、リガンドに媒介されるElk-1転写因子の核誘導を低下させる。リガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達をアッセイする当分野の任意の方法、たとえば、レポーター遺伝子アッセイ、免疫沈降、免疫ブロット、GST融合タンパク質プルダウンアッセイを用いて、EphA2剤をスクリーニングしてリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達を低下させるその能
力を決定することができる(たとえばPrattおよびKinch、2002、Oncogene、21:7690-9参照)。
5.5.2 EphA2の酵素活性を増大させる拮抗剤
本発明は、EphA2の酵素活性(自己リン酸化もしくはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)を増大させるEphA2拮抗剤のアッセイおよびスクリーニング方法を提供する。このような拮抗剤は、リガンドに結合ていない場合に、EphA2を発現する細胞、特に上皮細胞および/または内皮細胞中に存在するEphA2の酵素活性のレベルを増加させる候補EphA2剤の能力をアッセイすることによって同定する。一部の実施形態では、候補薬剤を、EphA2がリガンドに結合していない場合に存在する、EphA2の酵素活性を増加させる能力についてスクリーニングする(たとえばキナーゼ活性アッセイ)。他の実施形態では、候補薬剤を、EphA2がリガンドに結合していない場合に活性である、EphA2のシグナル伝達カスケードによってシグナル伝達を増大させる能力についてスクリーニングする(たとえば、Serologicals Corporation、ジョージア州Norcrossから入手可能なCATalyseレポーター遺伝子アッセイなどのレポーター遺伝子アッセイ)。
5.5.3 EphA2-内在性リガンドの相互作用を低下させる拮抗剤
本発明は、EphA2-内在性リガンドの相互作用を低下または破壊するEphA2拮抗剤のアッセイおよびスクリーニング方法を提供する。一実施形態では、拮抗剤(好ましくはエフリンA1と構造的にまたは機能的に類似したエピトープを有するもの)を、その天然リガンドエフリンA1と結合できないように細胞性EphA2に競合的に結合するその能力についてスクリーニングする。このような非内在性リガンドに結合するEphA2は、その内在性リガンドに結合するEphA2が誘発するシグナル伝達と同じ種類または度合いものをもたらさないことが好ましい。別の実施形態では、拮抗剤(好ましくは可溶性がある、内在性リガンドに結合するEphA2の細胞外ドメイン)を、エフリンA1が細胞性EphA2に結合しないようにエフリンA1に競合的に結合する能力についてスクリーニングする。エフリンA1または細胞性EphA2に競合的に結合する拮抗剤の数は、それだけには限定されないが、ELISA、免疫ブロット、放射性免疫沈降などを含めた様々な知られている技術によって解析することができる。本発明は、細胞性EphA2とその内在性リガンドエフリンA1との結合の割合が99%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%未満である組成物を提供する。
5.5.4 細胞増殖刺激薬
本発明は、EphA2を発現する細胞、特に上皮細胞および/または内皮細胞の増殖/成長/生存を促進する本発明のEphA2拮抗剤のアッセイおよびスクリーニング方法を提供する。当分野で周知の多くのアッセイを使用して生存、成長、および/または増殖を評価することができる。たとえば、細胞増殖は、(3H)-チミジンの取り込みを測定することによって、直接の細胞計数によって、細胞周期マーカー(Rb、cdc2、サイクリンA、D1、D2、D3、Eなど)などの既知の遺伝子の転写、翻訳または活性の変化を検出することによって、アッセイすることができる。このようなタンパク質およびmRNAのレベルならびに活性は、当分野で周知の任意の方法によって決定することができる。たとえば、市販の抗体(たとえば、多くの細胞周期マーカー抗体はSanta Cruz Inc.からのものである)を用いたウエスタンブロットまたは免疫沈降などの知られている免疫診断方法によってタンパク質を定量することができる。mRNAは、たとえばノーザン分析、RNase保護、逆転写と一緒に行うポリメラーゼ連鎖反応などの当分野で周知かつ日常的である方法によって定量することができる。細胞の生存度はトリパンブルー染色または当分野で知られている他の細胞死もしくは細胞生存度マーカーを用いて評価することができる。
本発明は、それだけには限定されないが以下を含めた当分野で知られている様々な技術による細胞周期および細胞増殖の分析を提供する。
一例として、増殖中の細胞を同定するアッセイとしてブロモデオキシウリジン(BRDU)の取り込みを使用し得る。BRDUアッセイでは、新しく合成されたDNA中にBRDUが取り込まれることによってDNA合成を行っている細胞集団が同定される。その後、抗BRDU抗体を用いて新しく合成されたDNAを検出し得る(Hoshino他、1986、Int. J. Cancer、38:369;Campana他、1988、J. Immunol. Meth.、107:79参照)。
細胞増殖は(3H)-チミジンの取り込みを使用しても検査し得る(たとえば、Chen、1996、Oncogene、13:1395-403;Jeoung、1995、J. Biol. Chem.、270:18367-73参照)。このアッセイはS期DNA合成の定量的な特徴づけを可能にする。このアッセイでは、DNAを合成している細胞が新しく合成されたDNA中に(3H)-チミジンを取り込む。その後、シンチレーションカウンター(たとえばBeckman LS 3800液体シンチレーションカウンター)で放射性同位元素を計数することによるなど当分野で標準的な技術によって取り込みを測定し得る。
増殖細胞核抗原(PCNA)の検出も、細胞増殖を測定するために使用し得る。PCNAは、その発現が増殖中の細胞内で、特に細胞周期の初期G1およびS期に上昇しており、増殖中の細胞のマーカーとして役割を果たし得る36キロダルトンのタンパク質である。陽性の細胞は、抗PCNA抗体を用いた免疫染色によって同定される(Li他、1996、Curr. Biol.、6:189-99;Vassilev他、1995、J. Cell Sci.、108:1205-15参照)。
細胞の増殖は、細胞集団の試料を経時的に計数する(たとえば毎日細胞計数する)ことによって測定し得る。細胞は、赤血球計および光学顕微鏡(たとえばHyLite赤血球計、Hausser Scientific)を用いて計数し得る。目的集団の成長曲線を得るために細胞数を時間に対してプロットし得る。好ましい実施形態では、この方法によって計数した細胞は、生細胞が色素を遮断するように最初に色素トリパンブルー(Sigma)と混合し、集団の生存メンバーとして計数する。
細胞のDNA含有量および/または有糸分裂指標は、たとえば細胞のDNA倍数化値(ploidy value)に基づいて測定し得る。たとえば、細胞周期のG1期にある細胞は一般に2N DNA倍数化値を含む。DNAが複製されているが有糸分裂を終えるまで進行していない細胞(たとえばS期の細胞)は2Nより高く、4NまでのDNA含有量の倍数化値を示す。倍数化値および細胞周期の動力学は、ヨウ化プロピダム(propidum)アッセイを用いてさらに測定し得る(たとえばTurner他、1998、Prostate、34:175-81参照)。あるいは、DNA倍数化は、コンピュータ微量濃度測定染色システム上でDNAフォイルゲン染色(化学理論量でDNAに結合する)の定量を行うことによって決定し得る(たとえばBacus、1989、Am. J. Pathol.、135:783-92参照)。別の実施形態では、DNA含有量は染色体拡散を調製することによって分析し得る(Zabalou、1994、Hereditas.、120:127-40;Pardue、1994、Meth. Cell Biol.、44:333-351)。
細胞周期タンパク質(たとえば、CycA、CycB、CycE、CycD、cdc2、Cdk4/6、Rb、p21、p27など)の発現は、細胞または細胞集団の増殖状態に関する重大な情報を提供する。たとえば、抗増殖シグナル伝達経路における同定はp21cip1の誘導によって示すことができる。細胞中のp21の発現レベルの増加は、細胞周期のG1への移行の遅延をもたらす(Harper他、1993、Cell、75:805-816;Li他、1996、Curr. Biol.、6:189-199)。p21の誘導は、市販されている(たとえばSanta Cruz)特異的な抗p21抗体を用いた免疫染色によって同定し得る。同様に、細胞周期タンパク質を、市販されている抗体を用いたウエスタンブロット分析によって検査し得る。別の実施形態では、細胞周期タンパク質の検出の前に細胞集団を同調させる。細胞周期タンパク質はまた、目的タンパク質に対する抗体を用いたFACS(蛍光活性化細胞分類)解析によっても検出し得る。
本発明のEphA2拮抗剤は、細胞増殖が低下もしくは阻害されるよう細胞周期の長さまたは細胞周期の速さを変更するその能力によっても同定することができる。一実施形態では、細胞周期の長さは細胞集団の倍加時間(たとえば、1つもしくは複数の候補EphA2剤に接触させたまたは接触させていない細胞を用いる)によって決定される。別の実施形態では、細胞周期の進行の期を分析するために、またはG1、S、およびG2/M画分を精製するためにFACS解析を使用する(たとえばDelia他、1997、Oncogene、14:2137-47参照)。
5.5.5 細胞層の完全性を向上させる拮抗剤
本発明は、細胞層、とりわけ上皮および/もしくは内皮細胞層の完全性の維持または再構成を向上させる本発明のEphA2拮抗剤のアッセイならびにスクリーニング方法を提供する。候補の薬剤を、上皮および/もしくは内皮細胞層の完全性を維持ならびに/または再構成するその能力について二房性チャンバ(たとえば、ボイデンチャンバ、ウッシングチャンバ、トランウェルチャンバなど)中でスクリーニングを行う。たとえば、上皮細胞の単層が培地の上と下のウェルの間に存在するように二房性チャンバを構成することができる。候補EphA2剤が存在する場合および存在しない場合における細胞層の完全性はいくつかの方法によって確認することができる。たとえば、チャンバのウェル間の受動的な溶質の流れの程度は、細胞層の完全性の指標であり得る。マーカー分子(たとえば染色、放射性標識)を一方のウェルに加え、マーカー分子が他方のウェル中の培地に近づくのにかかる時間を測定することができる。あるいは、細胞層の完全性を示すために経上皮電気抵抗を測定し得る。細胞層の完全性の向上は、経上皮電気抵抗の増加によって示される。一般に、KimおよびSuh、1993、Am. J. Physiol.、264:L308-15ならびにNilsson他、1996、Eur. J Endocrinol.、135:469-80を参照されたい。
5.6 治療/予防上の有用性の特徴づけおよび実証
本発明の予防および/または治療プロトコル毒性および有効性は、たとえばLD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%に治療上有効な用量)を決定するために、細胞培養物または実験動物中で標準的な製薬学的手順によって決定することができる。毒性効果と治療効果との用量比は治療指数であり、LD50/ED50の比として表すことができる。高い治療指数を示す予防剤および/または治療剤が好ましい。毒性の副作用を示す予防剤および/または治療剤を使用し得るが、未感染細胞に対する潜在的な損傷を最小限にして副作用が軽減されるように、このような薬剤が患部組織の部位を標的とする送達系を設計するよう注意すべきである。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータを用いて、ヒトで使用するための予防剤および/または治療剤の用量範囲を考案することができる。このような薬剤の用量は、毒性がわずかであるかまったくない、ED50を含む循環濃度の範囲内にあることが好ましい。用量は、採用した剤形および利用した投与経路に応じてこの範囲内で変動し得る。本発明の方法で使用するすべての薬剤で、治療上有効な用量は最初に細胞培養アッセイから推定することができる。細胞培養物で決定されたIC50(すなわち、症状の阻害の最大半減がもたらされる試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲をもたらすために、動物モデルで用量を考案し得る。このような情報をより正確に使用してヒトにおける有用な用量を決定することができる。血漿中のレベルは、たとえば高速液体クロマトグラフィーによって測定し得る。
本発明に従って使用する治療剤の抗低増殖性細胞障害活性はまた、低増殖性細胞障害あるいは細胞死の増加を伴う障害、とりわけ上皮細胞および/または内皮細胞の破壊、脱粒、もしくは不十分な増殖に関連する障害、特にICおよびIBD関連病変を研究するための様々な実験動物モデルを用いて決定することができる。
5.6.1 治療上の有用性の実証
本発明のプロトコルおよび組成物は、ヒトで使用する前に、所望の治療上または予防上の活性についてin vitroで、その後in vivoで試験することが好ましい。たとえば、特定の治療プロトコルの投与が適応であるかどうかを決定するために使用することができるin vitroアッセイには、患者組織試料を培養して増殖し、プロトコルに曝すあるいは他の方法で投与し、組織試料に対するこのようなプロトコルの効果、たとえば、EphA2-内在性リガンドの結合の低下、EphA2遺伝子の発現および/もしくは翻訳のアップレギュレーション、EphA2タンパク質の安定性もしくはタンパク質の蓄積の増加、EphA2の細胞質テールリン酸化の低下、EphA2を発現する細胞の増殖の増加、EphA2を発現する細胞の生存の増加、ならびに/または上皮および/もしくは内皮細胞層の完全性の維持/再構成を観察する、in vitro細胞培養アッセイが含まれる。接触させた細胞の前述の特性のうち任意のものの実証により、治療剤が患者における状態の治療に有効であることが示される。あるいは、患者由来の細胞を培養する代わりに、上皮細胞および/または内皮細胞系の細胞を用いて治療剤および方法のスクリーニングを行い得る。当分野で標準的な多くのアッセイを用いて、このような生存、成長、および/または増殖を評価することができる。たとえば、細胞増殖は、3H-チミジンの取り込みを測定することによって、直接の細胞計数によって、プロトオンコジーン(たとえばfos、myc)または細胞周期マーカーなどの既知の遺伝子の転写活性の変化を検出することによってアッセイすることができる。細胞の生存度はトリパンブルー染色によって評価することができる。
治療で用いる化合物は、ヒトで試験する前に、それだけには限定されないがラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギ、ハムスターなどを含めた適切な動物モデル系で試験することができる。その後、化合物を適切な臨床治験で用いることができる。
さらに、当業者に知られている任意のアッセイを使用して、低増殖性細胞障害もしくは細胞死の増加を伴う障害を治療または予防するための、本明細書中に開示したコンビナトリアル治療の予防および/または治療上の有用性を評価することができる。
5.6.2 用量
低増殖性細胞障害あるいは細胞死の増加を伴う障害、とりわけ上皮細胞および/または内皮細胞の破壊、脱粒、もしくは不十分な増殖に関連する障害、特にICおよびIBD関連病変の処置、管理、あるいは予防に有効となる本発明の組成物の量は、標準的な研究技術によって決定することができる。たとえば、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害の処置、管理、または予防に有効となる組成物の用量は、たとえば当業者に知られている動物モデルなどの動物モデルに組成物を投与することによって決定することができる。さらに、最適な用量範囲の同定を支援するために、任意選択でin vitroアッセイを使用し得る。
好ましい有効用量の選択は、当業者に知られているいくつかの要素を考慮することで当業者によって決定することができる(たとえば臨床治験による)。このような要素には、治療または予防する障害、関連する症状、患者の体重、患者の免疫状態および当業者に知られている他の要素が含まれ、投与する医薬組成物の精度が示される。
配合物中で用いる正確な用量は、投与経路および低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害の重篤度にも依存し、従事者の判断および各患者の状況に応じて決定するべきである。有効な用量は、in vitroまたは動物モデル試験系から誘導した用量-応答曲線から外挿し得る。
抗体では、患者に投与する用量は、典型的には患者の体重1kgあたり0.1mg〜100mgである。好ましくは、患者に投与する用量は患者の体重1kgあたり0.1mg〜20mgであり、より好ましくは患者の体重1kgあたり1mg〜10mgである。一般に、外来ポリペプチドに対する免疫応答により、ヒト抗体およびヒト化抗体はヒトの体内において他の種由来の抗体よりも長い半減期を有する。したがって、多くの場合、ヒト抗体ではより低い用量およびより頻度の少ない投与が可能である。
患者に投与する他の治療剤では、様々な免疫調節剤または抗UTI治療剤の典型的な用量が当分野で知られている。本発明を考慮すると、特定の好ましい実施形態は、単一の薬剤の投与に推奨される用量と比較して、組み合わせ治療レジメンでより低い用量の投与を包含する。
本発明は、低増殖性細胞障害あるいは細胞死の増加を伴う障害、とりわけ上皮細胞および/または内皮細胞の破壊、脱粒、もしくは不十分な増殖に関連する障害、特にICおよびIBD関連病変の予防、処置、管理、あるいは予防に有効であると以前に考えられていた、既知の予防剤または治療剤をより低い用量で投与する任意の方法を提供する。好ましくは、より低い用量の本発明のEphA2拮抗剤と組み合わせて、既知の免疫調節剤および抗UTI剤をより低い用量で投与する。
5.7 医薬組成物
本発明の組成物には、剤形単位の調製に使用することができる経口医薬組成物(たとえば無菌的でない組成物)および非経口医薬組成物(すなわち、無菌的な、対象または患者への投与に適した組成物)の製造に有用なバルク薬物が含まれる。このような組成物は、本明細書中に開示した予防剤および/もしくは治療剤を予防上または治療上有効な量で含むか、あるいはこのような薬剤および製薬上許容される担体の組合せを含む。好ましくは、本発明の組成物は、予防上または治療上有効な量の本発明の1つもしくは複数のEphA2拮抗剤と製薬上許容される担体とを含むか、あるいはEphA2の発現を増加させる薬剤と製薬上許容される担体とを含む。さらなる実施形態では、本発明の組成物は、追加の治療剤、たとえば免疫調節剤または抗UTI剤をさらに含む。
具体的な実施形態では、用語「製薬上許容される」とは、動物、特にヒトで使用するために、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって認可されている、または米国薬局方もしくは他の一般に認識されている薬局方に記載されていることを意味する。用語「担体」とは、希釈剤、賦形アジュバント(たとえば、フロイントアジュバント、もしくはより好ましくはChiron、カリフォルニア州Emeryvilleから入手可能なMF59C.1アジュバント)、賦形剤、または治療剤を共に投与するビヒクルをいう。他のこのようなアジュバントには、それだけには限定されないが、水酸化アルミニウムなどの鉱物ゲル;リゾレシチン、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオンなどの表面活性物質;他のペプチド;油乳剤;ならびにBCGおよびコリネバクテリウムパルブム(Corynebacterium parvum)などの潜在的に有用なヒトアジュバントが含まれ得る。製薬用の担体は、石油、動物、野菜または合成起源のものを含めた水および油などの無菌的な液体、たとえばピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油などとすることができる。医薬組成物を静脈内投与する場合は水が好ましい担体である。生理食塩水およびデキストロース水溶液およびグリセロール溶液も液体担体として、特に注射用溶液として使用することができる。適切な製薬用賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。組成物は、所望する場合は少量の湿潤剤や乳化剤、またはpH緩衝剤も含むことができる。これらの組成物は、液剤、懸濁液、乳剤、錠剤、丸薬、カプセル、散剤、持続放出性の配合物などの形態をとることができる。
一般に、本発明の組成物の成分は、たとえば、活性剤の量を表示したアンプルやサシェなどの気密に密閉した容器中の、乾燥した凍結乾燥粉末またはもしくは水を含まない濃縮物として、個別にまたは剤形単位中に混合して供給する。輸液によって組成物を投与する場合は、無菌的な製薬グレードの水または生理食塩水を含む輸液瓶を用いて投薬することができる。組成物を注射によって投与する場合は、投与前に成分を混合し得るように、無菌的な注射用の水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
本発明の組成物は中性または塩の形態として配合することができる。製薬上許容される塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するものなどの陰イオンを用いて形成したもの、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するものなどの陽イオンを用いて形成したものが含まれる。
様々な送達系が知られており、本発明のEphA2拮抗剤、あるいは本発明のEphA2拮抗剤と、低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害、とりわけ上皮細胞および/または内皮細胞の破壊、脱粒、もしくは不十分な増殖に関連する障害、特にICおよびIBD関連病変の予防/治療に有用な非EphA2系予防剤/治療剤との組合せを投与するために使用することができる。これには、たとえば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセルへのカプセル封入、抗体または抗体断片を発現する能力を有する組換え細胞、受容体に媒介されるエンドサイトーシス(たとえばWuおよびWu、1987、J. Biol. Chem.、262:4429-4432参照)、レトロウイルスまたは他のベクターとしての核酸の構築などがある。本発明の予防剤または治療剤を投与する方法には、それだけには限定されないが、非経口投与(たとえば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内および皮下)、硬膜外、ならびに粘膜(たとえば、鼻腔内、吸入、および経口経路)が含まれる。具体的な実施形態では、本発明の予防剤または治療剤は筋肉内、静脈内、または皮下投与する。予防剤または治療剤は任意の都合のよい経路、たとえば輸液もしくはボーラス注射、上皮もしくは粘膜皮膚の内側(たとえば、口腔粘膜、直腸および腸管粘膜など)を介した吸収によって投与し得、他の生物活性のある薬剤と一緒に投与し得る。投与は全身性または局所的とすることができる。
具体的な実施形態では、本発明の予防剤または治療剤を、治療を必要としている領域に局所的に投与することが望ましいかもしれない。これはたとえば、それだけには限定されないが、局所動注、注射、またはインプラントによってもたらし得、前記インプラントはシアラスチック(sialastic)膜などの膜を含めた多孔性、非多孔性、もしくはゼラチン状物質、または繊維からなる。
さらに別の実施形態では、予防剤または治療剤は徐放性または持続放出系で送達することができる。一実施形態では、徐放性または持続放出性をもたらすためにポンプを使用し得る(Langer、上記;Sefton、1987、CRC Crit. Ref. Biomed. Eng.、14:20;Buchwald他、1980、Surgery、88:507;Saudek他、1989、N. Engl. J. Med.、321:574参照)。別の実施形態では、高分子物質を用いて本発明の抗体またはその断片の徐放または持続放出をもたらすことができる(Medical Applications of Controlled Release、LangerおよびWise(編)、CRC Pres.、フロリダ州Boca Raton、(1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance、SmolenおよびBall(編)、Wiley、New York、(1984);RangerおよびPeppas、1983、J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem.、23:61を参照;Levy他、1985、Science、228:190;During他、1989、Ann. Neurol.、25:351;Howard他、1989、J. Neurosurg.、71:105も参照);米国特許第5,679,377号;第5,916,597号;第5,912,015号;第5,989,463号;第5,128,326号;国際公開公報WO99/15154号およびWO99/20253号。持続放出配合物で用いるポリマーの例には、それだけには限定されないが、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-コ-ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコライド(PLG)、ポリ酸無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(乳酸-コ-グリコライド)(PLGA)、およびポリオルトエステルが含まれる。好ましい実施形態では、持続放出配合物で用いるポリマーは不活性であり、浸出可能な不純物を含まず、保存中に安定しており、無菌的であり、かつ生分解性である。さらに別の実施形態では、徐放性または持続放出系を予防剤または治療剤の標的の近傍に配置することができ、これにより全身用量のほんの一部分のみが必要となる(たとえばGoodson、Medical Applications of Controlled Release、上記、第2巻、115-138ページ、(1984)参照)。
徐放系はLangerの総説に記載されている(1990、Science、249:1527-1533)。当業者に知られている任意の技術を用いて、本発明の治療剤を1つまたは複数含む持続放出配合物を生成することができる。たとえば、それぞれがその全体で本明細書中に参考として組み込まれている米国特許第4,526,938号;国際公開公報WO91/05548号およびWO96/20698号;Ning他、1996、Radiotherapy & Oncology、39:179-189;Song他、1995、PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology、50:372-397;Cleek他、1997、Pro. Int'l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater.、24:853-854;ならびにLam他、1997、Proc. Intl. Symp. Control Rel. Bioact. Mater.、24:759-760を参照されたい。
本発明に従って使用する医薬組成物は、1つもしくは複数の生理的に許容される担体または賦形剤を用いて、慣用の方法で配合し得る。好ましくは、薬剤を配合して全身投与する。配合および投与の技術は「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」、第19版、1995、Lippincott Williams & Wilkins、メリーランド州Baltimoreに見られ得る。
したがって、本発明のEphA2拮抗剤(たとえば、EphA2の細胞質テールリン酸化の阻害剤、EphA2-リガンドの相互作用の阻害剤、EphA2の酵素活性(自己リン酸化もしくはリガンドに媒介されるEphA2のシグナル伝達以外)のプロモーター、および細胞増殖刺激薬)ならびにそれらの生理的に許容される塩および溶媒和物を、吸入あるいはガス注入による投与(口もしくは鼻のどちらかによる)または経口、非経口または粘膜による投与(頬、膣、直腸、舌下など)のために配合し得る。好ましい実施形態では、局所的または全身性の非経口投与を使用する。
経口投与には、医薬組成物は、結合剤(たとえば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(たとえば、ラクトース、結晶セルロースもしくはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、タルクもしくはシリカ);崩壊剤(たとえば、ジャガイモデンプンもしくはグリコール酸ナトリウムデンプン);または湿潤剤(たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの製薬上許容される賦形剤を用いて定法によって調製した、たとえば、錠剤またはカプセルの形態にしてもよい。当分野で周知の方法によって錠剤をコーティングし得る。経口投与用の液体調製物は、たとえば、液剤、シロップまたは懸濁液の形態にしてもよく、または使用前に水もしくは他の適切なビヒクルで再構成する乾燥製品として提供し得る。このような液体調製物は、懸濁剤(たとえば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または硬化食用脂);乳化剤(たとえば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(たとえば、アーモンド油、油状エステル、エチルアルコールまたは分留植物油);および保存料(たとえば、メチルもしくはプロピル-p-ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸)などの製薬上許容される添加剤を用いて定法によって調製し得る。調製物はまた、必要に応じて緩衝塩、香料、着色料および甘味剤も含み得る。
経口投与用の調製物は活性化合物に徐放性を与えるように適切に配合し得る。
頬投与には、組成物を定法によって配合した錠剤またはロゼンジの形態にしてもよい。
吸入による投与には、本発明に従って使用する予防剤または治療剤は、適切な噴霧剤、たとえば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素もしくは他の適切な気体を用いて、加圧パックまたは噴霧器からのエアロゾルスプレーの形態で都合よく送達する。加圧エアロゾルの場合には、定量を送達するための弁を備えることによって単位用量を決定し得る。ガス注入器で使用するためのたとえばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物の粉末混合物およびラクトースやデンプンなどの適切な粉末基材を含んで配合し得る。
予防剤または治療剤は、注射、たとえばボーラス注射または持続注入による非経口投与用に配合し得る。注射用の配合物は、剤形単位で、たとえばアンプルまたは複数用量容器中で、保存料を加えて提供し得る。組成物は、油状または水性ビヒクル中の懸濁液、液剤もしくは乳剤などの形態にしてもよく、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの配合剤を含み得る。あるいは、活性成分を、使用前に適切なビヒクル、たとえば、無菌的な発熱物質を含まない水で構成する散剤形態にしてもよい。
予防剤または治療剤はまた、たとえばカカオ脂もしくは他のグリセリドなどの慣用の坐薬基材を含む、坐薬または保留浣腸などの直腸組成物中に配合してもよい。
既に記載した配合物に加えて、予防剤または治療剤をデポー調製物として配合してもよい。このような長時間作用する配合物は、移植(たとえば皮下もしくは筋肉内)、または筋肉内注射によって投与し得る。したがって、たとえば、予防剤または治療剤は、適切な高分子もしくは疎水性材料(たとえば許容される油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂と共に配合するか、やや溶けにくい誘導体として、たとえばやや溶けにくい塩として配合し得る。
本発明はまた、予防剤または治療剤を、量を表示したアンプルまたはサシェなどの気密に密閉した容器に梱包することを定める。一実施形態では、予防剤または治療剤を気密に密閉した容器中の乾燥した無菌的な凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として供給し、これは、対象への投与に適した濃度に、たとえば水または生理食塩水を用いて再構成することができる。
本発明の好ましい実施形態では、様々な化学療法剤、生物学的/免疫学的治療剤およびホルモン療法剤の配合および投与が当分野で知られており、しばしばPhysician's Desk Reference、第56版、(2002)に記載されている。
本発明の他の実施形態では、放射性同位体などの放射線療法剤をカプセル中の液体または飲料として経口的に与えることができる。放射性同位体は静脈内注射用に配合することもできる。熟練した腫瘍学者は好ましい配合および投与経路を決定することができる。
特定の実施形態では、本発明の拮抗性モノクローナル抗体は、静脈内注射用には1mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、および25mg/mlで配合し、反復皮下投与および筋肉内注射には5mg/ml、10mg/ml、および80mg/mlで配合する。
組成物は、所望する場合は、活性成分を含む1つもしくは複数の剤形単位を含んでいてよいパックまたはディスペンサ装置で提供し得る。パックは、たとえばブリスターパックなどの金属またはプラスチックの箔を含み得る。パックまたはディスペンサ装置には投与指示書を添付し得る。
5.7.1 遺伝子治療
具体的な実施形態では、低増殖性細胞障害あるいは細胞死の増加を伴う障害、とりわけ上皮細胞および/または内皮細胞の破壊、脱粒、もしくは不十分な増殖に関連する障害、特にICおよびIBD関連病変を遺伝子治療によって治療、管理、あるいは予防するために、ヌクレオチドである本発明の拮抗剤を投与する。遺伝子治療とは、発現されたまたは発現可能な核酸を対象に投与することによって行う治療をいう。本発明のこの実施形態では、アンチセンス核酸を生成し、これが予防効果または治療効果を媒介する。
当分野で利用可能な遺伝子治療方法の任意のものを、本発明に従って用いることができる。例示的な方法を以下に記載する。
遺伝子治療方法の一般的な概要には、Goldspiel他、1993、Clinical Pharmacy、12:488;WuおよびWu、1991、Biotherapy、3:87;Tolstoshev、1993、Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol.、32:573;Mulligan、1993、Science、260:926-932;ならびにMorganおよびAnderson、1993、Ann. Rev. Biochem.、62:191;1993年5月、TIBTECH、11:155を参照されたい。用いることができる、当分野で知られている組換えDNA技術の方法は、Ausubel他(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、NY、(1993);およびKriegler、Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual、Stockton Press、NY、(1990)に記載されている。
好ましい態様では、本発明の組成物は、エフリンA1の発現を低下させるエフリンA1核酸を含む。前記核酸は、適切な宿主内で核酸を発現させる発現ベクターの一部である。具体的には、このような核酸は、プロモーター、好ましくは異種プロモーターを有し、前記プロモーターは誘導可能であるか構成的であり、任意選択で組織に特異的である。別の具体的な実施形態では、使用する核酸分子において、エフリンA1の発現を低下させる核酸の核酸分子および任意の他の所望の配列にはゲノムの所望の部位で相同組換えを促進する領域が隣接しており、これにより、エフリンA1の発現を低下させる核酸の染色体内発現がもたらされる(KollerおよびSmithies、1989、PNAS、86:8932;Zijlstra他、1989、Nature、342:435)。
対象内への核酸の送達は、対象が核酸もしくは核酸を含むベクターに直接曝される直接的なものであるか、または、細胞をまずin vitroで核酸で形質転換させ、その後対象内に移植する間接的なもののいずれかであり得る。これら2つの手法は、それぞれin vivoまたはex vivo遺伝子治療として知られている。具体的な実施形態では、核酸配列をin vivoで直接投与する。これは、数々の当分野で知られている方法のうち任意のものによって、たとえば、これらを適切な核酸発現ベクターの一部として構築し、細胞内核酸となるように投与することによって行うことができる。たとえば、欠陥または弱毒化レトロウイルスもしくは他のウイルスベクターを用いた感染によって(米国特許第4,980,286号参照)、あるいは裸のDNAを直接注入することによって、あるいは微粒子銃を用いることによって(たとえば遺伝子銃、Biolistic、Dupont)、あるいは脂質または細胞表面受容体またはトランスフェクト剤でコーティングすることによって、リポソーム、微粒子、またはマイクロカプセルにカプセル封入することによって、核に入ることが知られているペプチドに結合させて投与することによって、受容体に媒介されるエンドサイトーシスを受けるリガンドに結合させて投与することによって(たとえばWuおよびWu、1987、J. Biol. Chem.、262:4429参照)(これは、受容体を特異的に発現する細胞種を標的とするために使用することができる)行うことができる。別の実施形態では、エンドソームを破壊するために融合誘導ウイルスペプチドを含み、核酸がリソソーム分解を回避することを可能にするリガンドを用いた核酸-リガンドの複合体を形成することができる。さらに別の実施形態では、細胞に特異的な取り込みおよび発現のために、特異的な受容体を標的とすることによって、in vivoで核酸を標的とすることができる(たとえば、国際公開公報WO92/06180号;WO92/22635号;WO92/20316号;WO93/14188号、WO93/20221号参照)。あるいは、核酸を細胞内に導入し、相同組換えによって、発現させるために宿主細胞DNA内に取り込ませることができる(KollerおよびSmithies、1989、PNAS、86:8932;ならびにZijlstra他、1989、Nature、342:435)。
具体的な実施形態では、エフリンA1の発現を低下させる核酸配列を含むウイルスベクターを使用する。たとえば、レトロウイルスベクターを使用することができる(Miller他、1993、Meth. Enzymol.、217:581参照)。このようなレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの正しいパッケージングおよび宿主細胞DNA内への組込みに必要な構成要素を含む。遺伝子治療で用いる核酸配列を1つまたは複数のベクター内にクローニングし、これにより核酸の対象への送達が促進される。レトロウイルスベクターに関するさらなる詳細は、mdr1遺伝子を造血幹細胞に送達して、幹細胞を化学療法に対してより耐性を持たせるためのレトロウイルスベクターの使用を記載しているBoesen他、1994、Biotherapy、6:291-302に見つかる。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を例示している他の参考文献は、Clowes他、1994、J. Clin. Invest.、93:644-651;Klein他、1994、Blood、83:1467-1473;SalmonsおよびGunzberg、1993、Human Gene Therapy、4:129-141;ならびにGrossmanおよびWilson、1993、Curr. Opin. in Genetics Devel.、3:110-114である。
アデノウイルスは、遺伝子治療で用いることができる他のウイルスベクターである。アデノウイルスは、遺伝子を気道上皮に送達するために特に魅力的なビヒクルである。アデノウイルスは気道上皮に自然に感染し、ここで軽度の疾患を引き起こす。アデノウイルスは、非分裂細胞に感染できるという利点を有する。KozarskyおよびWilson、1993、Current Opinion in Genetics Development、3:499が、アデノウイルスに基づいた遺伝子治療を提示している。Bout他、1994、Human Gene Therapy、5:3-10は、遺伝子をアカゲザルの気道上皮に移行させるためのアデノウイルスベクターの使用を実証している。遺伝子治療におけるアデノウイルスの使用の他の事例はRosenfeld他、1991、Science、252:431;Rosenfeld他、1992、Cell、68:143;Mastrangeli他、1993、J. Clin. Invest.、91:225;国際公開公報WO94/12649号;およびWang他、1995、Gene Therapy、2:775に見つかる。好ましい実施形態では、アデノウイルスベクターを用いる。
アデノ関連ウイルス(AAV)も遺伝子治療での使用が提案されている(Walsh他、1993、Proc. Soc. Exp. Biol. Med.、204:289-300;および米国特許第5,436,146号)。
遺伝子治療の別の手法は、電気穿孔、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、またはウイルス感染などの方法によって遺伝子を組織培養物中の細胞に移入させることを含む。通常、移入方法は選択マーカーを細胞に移入させることを含む。その後、細胞を選択下におき、遺伝子を取り込み、移入させた遺伝子を発現している細胞を単離する。次いでこのような細胞を対象に送達する。
この実施形態では、核酸を細胞内に導入したあと、生じた組換え細胞をin vivoで投与する。このような導入は、それだけには限定されないが、トランスフェクション、電気穿孔、微量注入、核酸配列を含むウイルスまたはバクテリオファージベクターを用いた感染、細胞融合、染色体に媒介される遺伝子導入、微小核体に媒介される遺伝子導入、スフェロプラスト融合などを含めた当分野で知られている任意の方法によって実施することができる。外来遺伝子を細胞内に導入するための数々の技術が当分野で知られており(たとえば、LoefflerおよびBehr、1993、Meth. Enzymol.、217:599;Cohen他、1993、Meth. Enzymol.、217:618参照)、レシピエント細胞の必要な発生的および生理的機能が破壊されないという条件で、本発明に従って使用し得る。この技術は、核酸が細胞によって発現可能であり、好ましくはその子孫細胞に遺伝されかつ発現可能であるように、核酸の細胞への安定した移入を提供すべきである。
生じた組換え細胞は、当分野で知られている様々な方法によって対象に送達することができる。想定される使用する細胞の量は、所望の効果、患者の状態などの依存し、当業者によって決定することができる。
5.8 キット
本発明は、本発明のEphA2拮抗剤を充填した1つもしくは複数の容器を含む製薬パックまたはキットを提供する。さらに、低増殖性上皮および/または内皮細胞障害の治療に有用な1つもしくは複数の他の予防剤または治療剤、あるいは他の関連する薬剤も、製薬パックまたはキットに含めることができる。特定の実施形態では、他の予防剤または治療剤は免疫調節剤である(たとえば抗IL-9抗体)。他の実施形態では、予防剤または治療剤は抗UTI剤である(たとえば抗FimH抗体)。本発明はまた、本発明の医薬組成物の1つもしくは複数の成分を充填した1つもしくは複数の容器を含む製薬パックまたはキットを提供する。任意選択で、このような容器(もしくは複数の容器)には、製薬製品または生物学製品の製造、使用または販売を規制する政府機関が定めた、その機関がヒトに投与するための製造、使用または販売の認可を示す通知をつけることができる。
6. 均等物
当業者は、本明細書中に記載の本発明の具体的な実施形態の多くの均等物を認識する、または日常的な実験以上のことを行わずに確認することができるであろう。このような均等物は、添付の特許請求の範囲に包含されることを意図する。
本明細書中で言及したすべての刊行物、特許および特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許または特許出願を明確にかつ個別に本明細書中に参考として組み込むと示した場合と同じように、本明細書中に参考として組み込まれている。
【配列表】
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Claims (23)

  1. 低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害の治療を必要としている患者において該低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害を治療する方法であって、前記患者にEphA2拮抗剤を治療上有効量で投与することを含む方法。
  2. 前記低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害が上皮細胞の破壊、脱粒、または不十分な増殖を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記低増殖性細胞障害が間質性膀胱炎または炎症性腸疾患関連病変である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記低増殖性細胞障害または細胞死の増加を伴う障害が内皮細胞の破壊、脱粒、または不十分な増殖を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記投与が、未治療の上皮細胞および/もしくは内皮細胞における増殖レベルまたは生存レベルと比較して上皮細胞の増殖または生存を増加させる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記投与が、未治療の上皮細胞および/もしくは内皮細胞における増殖レベルまたは生存レベルと比較して内皮細胞の増殖または生存を増加させる、請求項1に記載の方法。
  7. 前記投与が、未治療でのEphA2の細胞質テールリン酸化のレベルと比較してEphA2の細胞質テールリン酸化を低下させる、請求項1に記載の方法。
  8. 前記投与が、未治療の上皮細胞層の完全性のレベルと比較して、上皮細胞層の完全性を向上させる、請求項1に記載の方法。
  9. 前記投与が、未治療の内皮細胞層の完全性のレベルと比較して、内皮細胞層の完全性を向上させる、請求項1に記載の方法。
  10. 前記投与が、EphA2遺伝子の発現または翻訳を増加させる、請求項1に記載の方法。
  11. 前記EphA2拮抗剤がEphA2のリガンド結合ドメインを含むEphA2ポリペプチド断片である、請求項1に記載の方法。
  12. 前記EphA2拮抗剤が抗体またはその抗原結合断片である、請求項1に記載の方法。
  13. 前記EphA2拮抗剤がエフリンA1抗体またはその抗原結合断片である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項12に記載の方法。
  15. 前記モノクローナル抗体がヒト抗体である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記モノクローナル抗体がヒト化されている、請求項14に記載の方法。
  17. 前記EphA2拮抗剤が小分子アンタゴニスト、酵素活性アンタゴニスト、エフリンA1 siRNAもしくはeiRNA分子、およびエフリンA1アンチセンス分子からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  18. 前記拮抗剤がEphA2タンパク質の安定性またはタンパク質の蓄積を上昇させる、請求項1に記載の方法。
  19. 前記投与が、未治療のEphA2-内在性リガンド結合量と比較して、EphA2-内在性リガンド結合を低下させる、請求項1に記載の方法。
  20. 前記内在性リガンドがエフリンA1である、請求項19に記載の方法。
  21. EphA2の発現または活性を変更しない1つまたは複数の追加の低増殖性細胞障害の治療剤を投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  22. 前記追加の低増殖性細胞障害の治療剤が免疫調節剤または抗尿路感染症剤からなる、請求項21に記載の方法。
  23. 前記免疫調節剤がIL-9に免疫特異的に結合する抗体である、請求項22に記載の方法。
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