JP4737898B2 - プロペラシャフトのブラケット取付構造 - Google Patents

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Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車のプロペラシャフト中間部に設けられるセンタベアリングを車体メンバに弾性的に支持させるためのブラケット取付構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来のブラケット取付構造として、例えば実公平７−３９６９７号公報や実用新案登録第２５８９８５５号に開示されたものがあった。次にそのような従来のブラケット取付構造の基本的構成を、図面によって説明する。
【０００３】
図４は、従来のブラケット取付構造の一例を、プロペラシャフトやセンタベアリングも含めて示す、一部切欠ぎ正面図である。
【０００４】
自動車のフロア下面を通るプロペラシャフトは、その中間部がセンタベアリングとブラケットを介して車体メンバ、例えばクロスメンバに回転自在に支持されている。すなわち、図４に示すように、ブラケット01の円弧部01Ａ内にアウタリング02、環状の防振ゴム03、更にインナリング04を介してセンタベアリング05が保持されており、このセンタベアリング05によってプロペラシャフト06の中間部が回転自在に支持されている。そして上記ブラケット01は、円弧部01Ａから左右に延びたプレート部01Ｂが、それぞれボルト07、ナット08、ワッシャ09によって車体のクロスメンバ010に取付けられている。
【０００５】
図５はこのブラケット01の取付部の拡大図であり、図４中のボルト07、ナット08、ワッシャ09およびクロスメンバ010を取除いて、センタベアリング05を支持するブラケット01に取付部のみを組付けた状態が示されている。そこで、図４、図５両図を参照してブラケット01の取付構造を説明する。
【０００６】
まず、上端にフランジを有する円筒状のブッシュカラー012が上記ボルト07に嵌装され、そのボルト07とナット08によって、車体のクロスメンバ010に固定される。また、そのブッシュカラー012の外周には、プロペラシャフト06の振動がクロスメンバ010へ伝達されるのを遮断するために、上下一対のゴムブッシュ013、014が嵌合されて、上記ブラケット01を挟持している。更にそれらのうち上側のゴムブッシュ013の上端と下側のゴムブッシュ014の下端には、それぞれワッシャ015、016が配されている。ワッシャ015の上面とワッシャ016の下面にも一部ラバーが焼付けられて、ワッシャ015、016はゴムブッシュ013、014に包まれた状態になっている。そして前記のとおりこれら全体が、クロスメンバ010にボルト07で取付けられる。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
センタベアリング05をクロスメンバ010等の車体メンバに取付ける際、第１段階としては、センタベアリング05が組付けられたブラケット01に、まずブッシュカラー012、ゴムブッシュ013、014、ワッシャ015、016を組付けて図５に示される状態とし、その後第２段階として、ボルト07、ナット08、ワッシャ09でクロスメンバ010等に取付けることになる。ところが図５に示される状態では、ブッシュカラー012にゴムブッシュ013、014がゴムの締め代（すなわちゴムの弾性力）のみで固定されているので、組立・搬送時の軽い衝撃等でブッシュカラー012からゴムブッシュ014が脱落すると、ブラケット01からブッシュカラー012が脱落する恐れがある。
【０００８】
そのためラインサイドでは、衝撃を与えないように注意して組付ける必要があった。また脱落して部品欠品が生じることも懸念されるので、常に確認作業と共にスペアのサービス部品を用意しなければならなかった。そこで接着剤で固定することも考えられるが、その場合、接着剤塗布前の脱脂工程が必要であるばかりでなく、接着強度自体の信頼性も高くないので、何等かの対策が求められていた。
【０００９】
【課題を解決するための手段および効果】
本発明は、前記従来の課題を解決するために、プロペラシャフトのセンタベアリングを保持するブラケットを車体メンバにボルトおよびナットによって取付けるブラケット取付構造において、上端にフランジを有する円筒状で、上記ボルトに嵌装され、かつ上記ボルトおよびナットによって上記車体メンバに固定されるブッシュカラーと、該ブッシュカラーの外周に嵌合され、ブラケットを挟持する上下一対のゴムブッシュと、該ゴムブッシュのうち下側のゴムブッシュの下端に設けられたワッシャとを備え、上記ブッシュカラーの下端外周縁に、径方向外方へ向かって突出する突起が設けられ、上記ワッシャの内周に、上記突起が通過できる切欠きと、上記ブッシュカラーと上記ワッシャの相対回転により上記突起と係合する係合部とが設けられ、上記突起が上記切欠きを通過可能な相対回転位置で上記下側ゴムブッシュを上記ブッシュカラーにその軸線方向に嵌合して、相対回転により上記係合部を上記突起に対向させた状態で、上記ワッシャの係合部の上記突起との係合により上記下側ゴムブッシュの脱落が防止されたことを特徴とする。
【００１０】
本発明は上記のとおり構成され、ブッシュカラーの下端外周縁に、外方へ向かって突出する突起が設けられるとともに、上記ワッシャの内周に、上記突起が通過できる複数の切欠きと、相対回転により上記突起が係合する係合部とが設けられているので、ブッシュカラーの突起にワッシャの切欠きを合わせて、下側のゴムブッシュをブッシュカラーに下から挿入し、軸線まわりに回転させれば、ワッシャの係合部がブッシュカラーの突起と軸線方向に係合し、引掛かって落ちなくなる。したがって、組立時および輸送・搬送時に、ゴムブッシュ、ワッシャの脱落が確実に防止され、組付作業性が向上する。したがってまた、ライン搬送が容易となり、組立ライン設計の自由度が増す。
【００１１】
【発明の実施の形態】
図１(ａ)は本発明の一実施例を示す縦断面図、図１(ｂ)は図１(ａ)のＢ−Ｂ矢視水平断面図である。これらの図では、理解の便のため、車体メンバや取付ボルト等は図示されず、ブラケットにその取付部のみを組付けた状態、すなわち前記図５に相当する状態が示されている。また図２(ａ)は図１中のブッシュカラー２を取出して示す縦断面図（図２(ｂ)のＡ−Ａ断面）、図２(ｂ)は同じく下面図である。そして図３は図１中の下側のワッシャ６の形状を示す平面図である。
【００１２】
図１に示されるように、本実施例においても、従来のものと同様、上端にフランジを有する円筒状のブッシュカラー２の外周に、上下一対のゴムブッシュ３、４が嵌合されて、ブラケット１を挟持している。更にそれらのうち上側のゴムブッシュ３の上端と下側のゴムブッシュ４の下端には、それぞれワッシャ５、６が一体に焼付けられて配されている。また、ワッシャ５の上面とワッシャ６の下面にもラバーが回り込んで、ワッシャ５、６はゴムブッシュ３、４に包まれた状態になっている。そしてこれら全体が図示しないボルト等により、図示しない車体メンバに取付けられる。
【００１３】
本実施例では、図２に示されるように、ブッシュカラー２の下端外周縁の複数箇所（図示例では４箇所）において、外方に向かって突出する突起７が設けられている。また図３に示されるように、下側のワッシャ６の内周に、上記複数の突起７が通過できる複数（上記と同じく４箇所）の切欠き８が設けられている。
【００１４】
そこで、下側のゴムブッシュ４をブラケット１に組付ける時には、ブッシュカラー２の突起７にワッシャ６の切欠き８を合わせて、ゴムブッシュ４をブッシュカラー２に下から挿入し、軸線まわりに回転させれば、ワッシャ６の係合部９がブッシュカラー２の突起７に軸線方向で係合し、引掛かって落ちなくなる（図１参照）。したがって組立時および輸送・搬送時の衝撃等によるゴムブッシュ４、ワッシャ６の脱落が確実に防止され、部品欠品が防止される。したがってまた、輸送・搬送に制約されない組立ライン設計が可能となり、ライン設計の自由度が増す。また、組付前の欠品確認作業も不要となり、組付性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図１】 図１は本発明の一実施例を示す縦断面図と水平断面図である。
【図２】 図２は図１中のブッシュカラーを取出して示す縦断面図と下面図である。
【図３】 図３は図１中の下側のワッシャの形状を示す平面図である。
【図４】 図４は従来のブラケット取付構造の一例を示す一部切欠ぎ正面図である。
【図５】 図５は図４の要部を示す縦断面図である。
【符号の説明】
１…ブラケット、２…ブッシュカラー、３、４…ゴムブッシュ、５、６…ワッシャ、７…突起、８…切欠き、９…係合部。

Claims (1)

  1. プロペラシャフト(06)のセンタベアリング(05)を保持するブラケット(01)を車体メンバ(010)にボルト(07)およびナット(08)によって取付けるブラケット取付構造において、
    上端にフランジを有する円筒状で、上記ボルト(07)に嵌装され、かつ上記ボルト(07)およびナット(08)によって上記車体メンバ(010)に固定されるブッシュカラー(2)と、該ブッシュカラー(2)の外周に嵌合され、ブラケット(01)を挟持する上下一対のゴムブッシュ(3,4)と、該ゴムブッシュ(3,4)のうち下側のゴムブッシュ(4)の下端に設けられたワッシャ(6)とを備え、上記ブッシュカラー(2)の下端外周縁に、径方向外方へ向かって突出する突起(7)が設けられ、上記ワッシャ(6)の内周に、上記突起(7)が通過できる切欠き(8)と、上記ブッシュカラー(2)と上記ワッシャ(6)の相対回転により上記突起(7)と係合する係合部(9)とが設けられ、上記突起(7)が上記切欠き(8)を通過可能な相対回転位置で上記下側ゴムブッシュ(4)を上記ブッシュカラー(2)にその軸線方向に嵌合して、相対回転により上記係合部(9)を上記突起(7)に対向させた状態で、上記ワッシャ(6)の係合部(9)の上記突起(7)との係合により上記下側ゴムブッシュ(4)の脱落が防止されたことを特徴とするプロペラシャフトのブラケット取付構造。
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